JP2009099390A - 極端紫外光光源装置および極端紫外光発生方法 - Google Patents

極端紫外光光源装置および極端紫外光発生方法 Download PDF

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Abstract

【課題】放電チャンネルの位置を画定可能とし、当該放電チャンネルにおける高温プラズマ原料の密度を適宜設定できるようにすること。
【解決手段】高温プラズマ原料21を例えば滴下しレーザビーム23を照射して気化させる。レーザビーム23は1対の電極11,12間の放電領域を通過して高温プラズマ原料21に照射され、気化した原料の少なくとも一部が放電領域に到達したとき、放電電流が所定の閾値となるように電極11,12間にパルス電力を印加する。これにより、電極間で放電が開始し、プラズマが加熱励起されてEUV放射が行われる。放射されたEUV放射はホイルトラップ3を通過してEUV集光鏡2により集光され取り出される。レーザビーム23を照射しているので、高温プラズマ原料の空間密度分布を所定の分布に設定することが可能となり、また放電チャンネルの位置を画定することが可能となる。
【選択図】 図4

Description

本発明は、放電により生成したプラズマより極端紫外光を発生させる極端紫外光光源装置および極端紫外光発生方法に関し、特に、放電電極近傍に供給された極端紫外光発生用高温プラズマ原料にエネルギービームを照射して気化して、気化後の高温プラズマ原料から放電により生成したプラズマより極端紫外光を発生させる極端紫外光光源装置および極端紫外光発生方法に関する。
半導体集積回路の微細化、高集積化につれて、その製造用の投影露光装置においては解像力の向上が要請されている。その要請に応えるため、露光用光源の短波長化が進められ、エキシマレーザ装置に続く次世代の半導体露光用光源として、波長13〜14nm、特に波長13.5nmの極端紫外光(以下、EUV(Extreme Ultra Violet)光ともいう)を放出する極端紫外光光源装置(以下、EUV光源装置ともいう)が開発されている。
EUV光源装置において、EUV光を発生させる方法はいくつか知られているが、そのうちの一つにEUV放射種の加熱励起により高温プラズマを発生させ、このプラズマから放射されるEUV光を取り出す方法がある。
このような方法を採用するEUV光源装置は、高温プラズマの生成方式により、LPP(Laser Produced Plasma :レーザ生成プラズマ)方式EUV光源装置とDPP(Discharge Produced Plasma :放電生成プラズマ)方式EUV光源装置とに大きく分けられる(例えば非特許文献1参照)。
LPP方式EUV光源装置は、固体、液体、気体等のターゲットをパルスレーザで照射して発生する高温プラズマからのEUV放射光を利用する。一方、DPP方式EUV光源装置は、電流駆動によって生成した高温プラズマからのEUV放射光を利用する。
上記した両方式のEUV光源装置において、波長13.5nmのEUV光を放出する放射種、すなわち、EUV発生用高温プラズマ原料として、現在10価前後のXe(キセノン)イオンが知られているが、より強い放射強度を得るための高温プラズマ原料としてLi(リチウム)イオンとSn(錫)イオンが注目されている。例えば、Snは、高温プラズマを発生させるための入力エネルギーに対する波長13.5nmのEUV光放射強度の比である変換効率がXeより数倍大きい。
近年、高温プラズマの生成方式として、高温プラズマ原料に対し、レーザビームの照射と、放電に基づく大電流による加熱とを組み合わせる方式(以下、ハイブリッド方式ともいう)が提案されている。
ハイブリッド方式を採用したEUV光源装置については、例えば、特許文献1に記載されている。以下、概略を説明する。
特許文献1に記載されたEUV光源装置におけるハイブリッド方式は、以下の手順で行われる。特許文献1の図4Cは、ハイブリッド方式を採用したEUV光源装置の説明図である。
同図において、接地されている外側電極は放電容器を形成している。外側電極の内側には絶縁体が設置され、さらに絶縁体の内側に高電圧側の内側電極が設置される。高温プラズマ原料としては、例えば、キセノン(Xe)ガス、もしくはキセノン(Xe)とヘリウム(He)の混合ガスが用いられる。こういった高温プラズマ原料ガスは、内側電極に設けられたガス経路から放電容器内に供給される。放電容器内には、高温プラズマ原料ガスを予備電離するためのRFプレイオン化コイル、レーザビームを集束するための集束レンズ等が配置される。
EUV放射の発生は、以下のようにして行われる。
まず、放電容器内に導入された高温プラズマ原料である原料ガスが、RFプレイオン化コイルにパルス電力が供給されることにより、予備電離される。次に、集光レンズを通過したレーザビームが放電容器内の所定の領域に集光される。高温プラズマ原料ガスは予備電離されているため、レーザ焦点近くで分解される。
次いで、外側電極、内側電極間にパルス電力が印加され、放電が発生する。放電によるピンチ効果により、高温プラズマ原料が加熱励起されて高温プラズマが生成し、この高温プラズマからEUV放射が発生する。
ここで、レーザ焦点近傍では、電子放出により導電率が低下している。よって、放電領域(電極間の放電が発生する空間)における放電チャンネルの位置は、レーザ焦点を設定した位置に画定される。すなわち、プラズマピンチ位置は、レーザビームにより画定される。そのため、EUV放射の発生点の位置安定性が向上する。
EUV光源装置が、露光用光源として使用される場合、発光点のポインティングスタビリティの高精度化が要請される。特許文献1に記載されたハイブリッド方式のEUV光源装置は、上記要請に応える例と言える。
なお、電極間における放電は、比較的広い領域で真空アーク放電から開始され、燃料供給に伴いガス放電(ピンチ放電を含む)へと成長するが、本明細書では 「放電領域」とは、そのすべての放電現象を含む空間と定義する。
また、上記の放電領域内において、放電が放電コラム(プラズマ柱)の成長にともない内部の電流密度が増大し真空アーク放電へと移行する際、放電コラムの中で放電駆動電流が支配的に流れている電流密度の高い空間領域を「放電チャンネル」と定義する。ここで、放電チャンネルが放電駆動電流が支配的に流れている領域であることから、この放電チャンネルを放電経路ともいう。
「リソグラフィ用EUV(極端紫外)光源研究の現状と将来展望」J.Plasma Fusion Res.Vol.79.No.3, P219-260,2003年3 月 特表2005−522839号 特開2004−214656号公報
しかしながら、特許文献1に示されたような装置の構成では、次のような問題がある。 上記EUV光源装置によれば、レーザビームの照射により、放電チャンネルの位置が画定される。しかしながら、効率のよいEUV放射の生成を実現するには、放電チャンネルにおける高温プラズマ原料(ガス)分布を所定の空間密度分布に設定する必要がある。
すなわち、放電チャンネルの位置が画定したとしても、例えば、放電チャンネルにおける高温プラズマ原料(ガス)の密度分布が所定の空間密度分布でないと、放電により生成したプラズマから波長13.5nmのEUV光が発生しない。
特許文献1のEUV光源装置においては、原料ガスは、内側電極に設けられたガス経路から放電容器内に供給される。しかしながら、能動的に放電チャンネルにおける高温プラズマ原料(ガス)の空間密度分布をコントロールすることは不可能であるため、必ずしも放電チャンネルにおいて、EUV放射に好適な高温プラズマ原料(ガス)の空間密度分布が得られるわけではない。
本発明は上記のような事情に鑑みなされたものであって、放電チャンネルの位置が画定可能であるとともに、当該放電チャンネルにおける高温プラズマ原料(ガス)の密度を適宜設定することが可能なEUV光源装置、並びに、EUV発生方法を提供とすることを課題とする。
本発明のEUV光源装置は、波長13.5nmのEUV光を放出する放射種、すなわち、高温プラズマ用原料である固体もしくは液体のSnやLi等に対して、エネルギービームを照射することにより気化する。気化した高温プラズマ原料は、エネルギービームが入射する高温プラズマ原料表面の法線方向を中心にして、所定の速度で広がる。
よって、エネルギービームの照射により気化して所定の速度で広がる高温プラズマ原料は、放電領域と原料の位置、原料へのエネルギービームの照射方向、エネルギービームの照射エネルギー等を適宜設定することにより、放電領域に供給される。
エネルギービームとしては、レーザビーム、イオンビーム、電子ビーム等を採用することができる。
即ち、エネルギービームの強度(エネルギー)、照射方向を適宜設定することにより、放電領域における気化した高温プラズマ原料の空間密度分布を所定の分布に設定することが可能となる。
さらに、このエネルギービームを放電領域の所定の位置に照射することにより、放電が開始するとともに、放電チャンネルの位置をエネルギービームの照射位置に画定することが可能となる。例えば、エネルギービームがレーザビームであるとき、レーザビームを放電領域の所定の位置を、所定のパワー密度で通過させることにより、放電チャンネルの位置は、レーザビームが通過した位置に画定することが可能となる。そのため、EUV放射の発生点の位置安定性が向上する。
また、上記したように、エネルギービームが放電領域の所定の位置に照射された時点で放電が開始するので、エネルギービームの照射タイミングを制御することにより、放電の開始タイミングを制御することが可能となる。
ここで、エネルギービームの照射により位置が画定される放電チャンネルにおいて、所定の空間密度分布を有する気化原料の、少なくとも一部が当該放電チャンネルに到達した時、放電領域で発生した放電の放電電流の大きさが、所定強度のEUV放射を得るために必要な放電電流値の下限以上となっているように、エネルギービームの照射タイミングと電極間へのパルス電力の印加タイミングとを適宜設定することが可能となる。この結果、効率のよいEUV放射が実現可能となる。
以下、(1)エネルギービームの照射タイミング、(2)電極位置、原料供給位置、エネルギービームの照射位置の相互関係、(3)エネルギービームのエネルギー、について説明する。以下、エネルギービームとしては、レーザビームを例に取る。
(1)タイミング
以下、タイミングチャートを用いて、本発明におけるEUV生成方式を説明する。
図1は、本発明におけるEUV生成方式を説明するためのタイミングチャートである。 まず、一対の電極間にパルス電力を印加するパルス電力供給手段のスイッチング手段(例えば、IGBT)にトリガ信号が入力(時刻Td)し、スイッチング手段はon状態とする(同図(a))。
Δtd後に、電極間電圧が閾値Vpに到達する(同図(b))。
この閾値Vpは、放電が発生したときに流れる放電電流の値が閾値Ip(閾値Ipに関する説明は後述する)以上となる場合の電圧値である。すなわち、閾値Vp未満で放電が発生した場合、放電電流のピーク値は、閾値Ipに到達しない。
なお、仮にこのまま放電が発生しない場合、電極間電圧は最大電圧に到達し、維持される(同図(b)の破線)。
電極間電圧が閾値Vpに到達した時点(Td+Δtd)以降の時点TLにおいて、レーザビームが放電領域に照射される(同図(c))。
放電が開始し、Δti後に、放電電流の大きさが上記した閾値Ipに達する(同図(d))。
この閾値Ipは、所定強度のEUV放射を得るために必要な放電電流値の下限である。なお、放電電流値が閾値Ip以上である期間をΔtpとする。
この時点(TL+Δti)以降のΔtp期間中に、放電領域を通過後高温プラズマ原料に照射されたレーザビームにより気化し所定の速度で広がる高温プラズマ原料のうち、空間密度分布が所定の分布である気化原料の少なくとも一部が放電領域に到達し、これによりEUV光が放射される(同図(e)(f))。
ここで、レーザビームが放電領域に照射される時点とレーザビームが高温プラズマ原料に照射される時点との遅延時間は非常に小さいので、実質的に、同時と見なしても差し支えない。よって、レーザビームが高温プラズマ原料に照射される時点も、レーザビームが放電領域に照射される時点と同様、TLとする。
レーザビームが原料に照射された時点から空間密度分布が所定の分布である気化原料の少なくとも一部が放電領域に到達するまでの時間をΔtgとするとき、TL+Δti≦TL+Δtg≦TL+Δti+Δtpなる関係が成立する(同図(e))。
(2)電極位置、原料供給位置、レーザビームの照射位置の相互関係について
上記したように、本発明のEUV光源装置では、一つのレーザビームにより、放電領域への気化原料の供給、放電の始動、放電領域の画定を実施する。その位置関係の例を以下に示す。
例として、レーザビームのターゲットとなる高温プラズマ原料の供給を、ドロップレット状にして滴下する場合について示す。なお、高温プラズマ原料の供給方法は、これに限るものではない。例えば、ワイヤー状の高温プラズマ原料を供給するようにしてもよい。
図2、図3は、上記位置関係を説明するための概略構成図である。同図において、板状の一対の電極11,12が所定間隔離間して配置される。放電領域は一対の電極11,12の離間空間内に位置する。高温プラズマ原料21は、原料供給手段(図示せず)によって、一対の電極11,12と極端紫外光集光鏡(以下、EUV集光鏡ともいう、ここでは図示されていない)との間の空間であり、かつ、放電領域近傍に対して重力方向に供給される。
本発明のEUV光源装置は、レーザ源から放出されるレーザビームが第1の電極11と第2の電極12との間の放電領域を通過して、高温プラズマ原料21に照射されるように構成される。
図2は、レーザビーム23を集光光学系23cにより点集光させる例を示す。集光光学系23cとしては、例えば、凸レンズが使用される。また、電極としては一対の回転電極が例示されている。
ここで、放電領域を通過するレーザビーム23の集光強度が比較的大きい場合、電極11,12間の絶縁破壊が誘発される。これにより、放電チャンネルは、レーザビーム23の光軸を含む空間に画定される。
さらに、放電領域を通過したレーザビーム23が所定の集光強度で高温プラズマ原料21に照射されると、高温プラズマ原料21は気化する。気化した高温プラズマ原料は、レーザビーム23が入射する高温プラズマ原料表面の法線方向を中心にして広がる。
レーザビーム23は放電領域を通過して高温プラズマ原料21に照射されるので、照射位置は、高温プラズマ原料表面の放電領域に面する側となる。よって、気化した高温プラズマ原料は、放電領域の方向に広がる。
ここで、気化した高温プラズマ原料の少なくとも一部が放電領域に到達して、放電領域において高温プラズマ原料が所定の空間密度分布で存在する間に、放電後の放電電流が所定の値に到達すると、所定の強度のEUV放射が得られる。
すなわち、レーザビーム23が放電領域を通過するときのタイミングと高温プラズマ原料21に照射されるタイミング、放電領域におけるレーザビーム23の集光強度、高温プラズマ原料21に照射される位置でのレーザビーム23のエネルギー、レーザビーム23の照射方向、放電領域と高温プラズマ原料21との位置関係等を適宜設定することにより、所定の強度のEUV放射が得られる。
また、放電チャンネルがレーザビームの光軸を含む空間に画定されるので、EUV放射の発生点の位置安定性が向上する。
図2に示す例においては、比較的長い焦点距離の集光光学系を使用することにより、放電領域におけるレーザビームの集光強度と、高温プラズマ原料上のレーザビームの集光強度との間に、大きな差がない配置を実現することが可能となる。
例えば、レーザビームの焦点位置を高温プラズマ原料上とし、集光光学系のレイリー長(Rayleigh range)を放電領域の中心と高温プラズマ原料の中心との距離とするとよい。なお、当然ながら、この場合もレーザビームの照射方向やエネルギー等が適宜設定される。
図3は、レーザビームを集光光学系23cにより線集光する例を示す。集光光学系23cとしては、例えば、2枚のシリンドリカルレンズ231,232が使用される。図3に示す2枚のシリンドリカルレンズ231,232は、レーザビーム23を集束する軸方向が互いに直交するように配置されている。
図3に示す配置例は、図2に示す配置例と同様、レーザ源23aから放出されるレーザビーム23が第1の回転電極11と第2の回転電極12との間の放電領域を通過して、高温プラズマ原料21に照射されるように構成されたEUV光源装置を示す。
図3に示す配置例においても、放電領域を通過するレーザビームの集光強度が比較的大きい場合、電極11,12間の絶縁破壊が誘発される。特に、電極近傍である放電領域の所定の地点に対して、レーザビーム23を線状に集光することにより、放電チャンネルの位置はレーザビーム23の集光線上に画定される。
レーザビーム23は放電領域を通過して高温プラズマ原料21に照射されるので、上記したように、気化した高温プラズマ原料は放電領域の方向に広がる。
気化した高温プラズマ原料の少なくとも一部が放電領域に到達して、放電領域において高温プラズマ原料が所定の空間密度分布で存在する間に、放電後の放電電流が所定の値に到達すると、所定の強度のEUV放射が得られる。
すなわち、図2に示す配置例のときと同様、レーザビーム23が放電領域を通過するときのタイミングと高温プラズマ原料21に照射されるタイミング、放電領域におけるレーザビーム23の集光強度、高温プラズマ原料21に照射される位置でのレーザビーム23のエネルギー、レーザビーム23の照射方向、放電領域と高温プラズマ原料21との位置関係等を適宜設定することにより、所定の強度のEUV放射が得られる。
また、放電チャンネルがレーザビームの集光線上に画定されるので、EUV放射の発生点の位置安定性が向上する。
図3に示すように、例えば、レーザビーム23を集束する軸方向が互いに直交するように配置されている2枚のシリンドリカルレンズ231,232の曲率を互いに相違するように設定してもよい。このように2枚のシリンドリカルレンズを構成することにより、レーザビーム23を、放電領域では放電方向に細長く、原料上では比較的丸型の小さなスポット状に集光することが可能となる。よって、効率的に放電チャンネルの画定、並びに、気化原料の放電領域への供給を実現することが可能となる。なお、当然ながら、この場合もレーザビームの照射方向やエネルギー等が適宜設定される。
(3)レーザビームのエネルギーについて
図1に戻り、レーザビームが原料に照射された時点から空間密度分布が所定の分布である気化原料の少なくとも一部が放電領域に到達するまでの時間Δtgは、放電領域とレーザビームが照射された原料との距離、および、気化した高温プラズマ原料が広がる速度により求められる。
ここで、放電領域とレーザビームが照射される高温プラズマ原料との距離は、レーザビームの照射時における原料の位置および高温プラズマ原料へのレーザビームの照射方向に依存する。
一方、上記したように、レーザビームの照射により気化した高温プラズマ原料は、レーザビームが入射する高温プラズマ原料表面の法線方向を中心にして、所定の速度で広がる。上記所定の速度は、原料に照射するレーザビームの照射エネルギーに依存する。
結局、レーザビームが原料に照射された時点から空間密度分布が所定の分布である気化原料の少なくとも一部が放電領域に到達するまでの時間Δtgは、放電領域と原料の位置、原料へのレーザビームの照射方向、レーザビームの照射エネルギーに依存し、これらのパラメータを適宜設定することにより、所定の時間に設定される。
以上まとめると、
Td+Δtd≦TL (26)
TL+Δti≦TL+Δtg≦TL+Δti+Δtp (27)
なる関係が成立するように、放電領域と原料の位置、原料へのレーザビームの照射方向、レーザビームの照射エネルギー、レーザビームの照射タイミング等を設定することにより、所定の強度のEUV放射が得られる。また、EUV放射の発生点の位置安定性が向上する。
以上に基づき、本発明においては、以下のようにして前記課題を解決する。
(1)容器と、この容器内に極端紫外光を放射させるための液体または固体の原料を供給する原料供給手段と、エネルギービームを上記原料に照射して当該原料を気化するエネルギービーム照射手段と、気化された上記原料を放電により上記容器内で加熱励起し高温プラズマを発生させるための、所定距離だけ離間した一対の電極と、電極にパルス電力を供給するパルス電力供給手段と、上記一対の電極による放電の放電領域内で生成された上記高温プラズマから放射される極端紫外光を集光する集光光学手段と、上記集光される極端紫外光を取り出す極端紫外光取出部とを有する極端紫外光光源装置において、上記エネルギービーム照射手段は、上記放電領域を除く空間であって、上記気化された原料が放電領域に到達できる空間内に供給された原料に対して、電力が印加された電極間を介してレーザビームを照射する。そして、電力が印加された電極間を通過する上記レーザビームにより、上記放電領域内で放電を始動し、かつ、放電領域の所定の位置に放電チャンネルを画定する。
(2)上記(1)において、エネルギービーム照射手段からエネルギービームを照射した際、空間密度分布が所定の分布である気化した原料の少なくとも一部が放電領域に到達したタイミングで、放電領域で発生した放電の放電電流が所定の閾値以上となるように、エネルギービームが放電領域を通過するときのタイミングと高温プラズマ原料に照射されるタイミング、放電領域におけるエネルギービームのエネルギー、高温プラズマ原料に照射される位置でのエネルギービームのエネルギー、エネルギービームの照射方向、放電領域に対する高温プラズマ原料の供給位置を設定する。
(3)上記(1)(2)において、原料供給手段による原料供給は、原料をドロップレット状にして重力方向に滴下することより行われる。
(4)上記(1)(2)において、原料供給手段による原料供給は、上記原料を線状原料として、当該線状原料を連続的に移動することにより行われる。
(5)上記(1)(2)において、原料供給手段が原料供給円盤を備え、原料供給手段による原料供給は、上記原料を液体原料として、当該液体原料を上記原料供給円盤に供給し、上記液体原料が供給された原料供給円盤を回転させて上記原料供給円盤の液体原料の供給部をエネルギービームの照射位置まで移動させることにより行われる。
(6)上記(1)(2)において、上記原料供給手段がキャピラリーを備え、原料供給手段による原料供給は、上記原料を液体原料として、当該液体原料を上記キャピラリーを介してエネルギービームの照射位置に供給することにより行われる。
(7)上記(1)(2)において、原料のエネルギービーム照射位置に管状ノズルを設け、エネルギービームの照射により気化した原料の少なくとも一部を上記管状ノズルより噴出させる。
(8)上記(7)において、管状ノズルの内部の一部に狭窄部を設ける。
(9)上記(1)(2)(3)(4)(5)(6)(7)(8)において、放電領域に対して、上記一対の電極間で発生する放電方向と略平行に磁場を印加する磁場印加手段を更に設ける。
(10)上記(1)(2)(3)(4)(5)(6)(7)(8)(9)において、上記一対の電極を円盤状の電極とし、電極表面における放電発生位置が変化するように回転駆動する。
(11)上記(10)において、上記円盤状である一対の電極を、両電極の周縁部のエッジ部分が、所定距離だけ離間して互いに向かい合うように配置する。
(12)上記(1)(2)(3)(4)(5)(6)(7)(8)(9)(10)(11)において、エネルギービームとしてレーザビームを用いる。
(13)内部に一対の電極を含む容器内に供給される極端紫外光を放射させるための液体または固体の原料にエネルギービームを照射して気化し、気化された上記原料を上記一対の電極による放電により加熱励起して高温プラズマを生成して極端紫外光を発生させる極端紫外光発生方法において、上記エネルギービームを、上記放電領域を除く空間であって、上記気化された原料が放電領域に到達できる空間内に供給された原料に対して照射し、電力が印加された電極間を通過する上記レーザビームにより、上記放電領域内で放電を始動させ、かつ、放電領域の所定の位置に放電チャンネルを画定させる。
(14)上記(13)において、空間密度分布が所定の分布である気化した原料の少なくとも一部が放電領域に到達したタイミングで、放電領域で発生した放電の放電電流が所定の閾値以上となるように、エネルギービームが放電領域を通過するときのタイミングと高温プラズマ原料に照射されるタイミング、放電領域におけるエネルギービームのエネルギー、高温プラズマ原料に照射される位置でのエネルギービームのエネルギー、エネルギービームの照射方向、放電領域に対する高温プラズマ原料の供給位置を設定する。
(15)上記(14)において、放電開始タイミングの時間データと放電電流が所定の閾値に到達するタイミングの時間データを取得し、両時間データに基づき、エネルギービームの照射タイミングを修正する。
(16)上記(14)(15)において、照射タイミングが設定されたエネルギービームの照射に先んじて、一対の電極による放電を休止した状態でエネルギービームを上記原料に1回以上照射する。
本発明においては、以下の効果を得ることができる。
(1)1つのエネルギービームの照射により、放電が開始して放電領域における放電チャンネルの位置が画定されるとともに、位置が画定される放電チャンネルにおいて原料が所定の空間密度分布に維持されているタイミングで、放電後の放電電流が所定の値に到達するようにしているので、効率のよいEUV放射が実現可能となる。
また、放電チャンネルがエネルギービームの集光線上に画定されるので、EUV放射の発生点の位置安定性が向上する。
(2)空間密度分布が所定の分布である気化した原料の少なくとも一部が放電領域に到達したタイミングで、放電領域で発生した放電の放電電流が所定の閾値以上となるように、エネルギービームが放電領域を通過するときのタイミングと高温プラズマ原料に照射されるタイミング、放電領域におけるエネルギービームのエネルギー、高温プラズマ原料に照射される位置でのエネルギービームのエネルギー、エネルギービームの照射方向、放電領域に対する高温プラズマ原料の供給位置を設定することにより、効率のよいEUV放射が可能となる。
(3)放電領域に対して、上記一対の電極間で発生する放電方向と略平行に磁場を印加する磁場印加手段を設けることにより、EUVを放射する高温プラズマのサイズを小さくすることができ、EUVの放射時間を長くすることが可能となる。
(4)一対の電極を円盤状の電極とし、電極表面における放電発生位置が変化するように回転駆動することにより、電極の磨耗スピードが減少させ、電極の長寿命化が可能となる。
(5)放電開始タイミングの時間データと放電電流が所定の閾値に到達するタイミングの時間データを取得し、両時間データに基づき、エネルギービームの照射タイミングを修正することにより、確実に効率のよいEUV放射を実現することができる。
また、例えば、パルス電力供給手段のスイッチング手段である固体スイッチSWとして使用されるIGBT等の半導体スイッチング素子の動作にばらつきが生じたとしても、確実に効率のよいEUV放射を実現することが可能となる。
(6)照射タイミングが設定されたエネルギービームの照射に先んじて、一対の電極による放電を休止した状態でエネルギービームを上記原料に1回以上照射することにより、放電電極間で放電が発生しやすくなり、所望のタイミングで確実に放電を発生させることができる。
1.実施例
図4、図5に、本発明の実施例の極端紫外光(EUV)光源装置の構成(断面図)を示 す。図4は本実施例のEUV光源装置の正面図であり、EUV放射は同図左側から取り出される。図5は、本実施例のEUV光源装置の上面図である。
図4、図5に示すEUV光光源装置は、放電容器であるチャンバ1を有する。チャンバ1は、開口を有する隔壁1cを介して、大きく2つの空間に分割される。一方の空間には放電部が配置される。放電部は、EUV放射種を含む高温プラズマ原料を加熱して励起する加熱励起手段である。放電部は、一対の電極11,12等により構成される。
他方の空間には、高温プラズマ原料が加熱励起されて生成した高温プラズマから放出されるEUV光を集光して、チャンバ1に設けられたEUV取出部7より図示を省略した露光装置の照射光学系へ導くEUV集光鏡2、および、放電によるプラズマ生成の結果生じるデブリがEUV光の集光部へ移動するのを抑制するためのデブリトラップが配置される。本実施例においては、図4、図5に示すようにデブリトラップは、ガスカーテン13bならびにホイルトラップ3から構成される。
以下、放電部が配置される空間を放電空間1a、EUV集光鏡が配置される空間を集光空間1bと呼ぶことにする。
放電空間1aには真空排気装置4、集光空間1bには真空排気装置5が連結される。なお、ホイルトラップ3は、例えば、ホイルトラップ保持用隔壁3aによりチャンバ1の集光空間1b内に保持される。すなわち、図4、図5に示す例では、集光空間1bはホイルトラップ保持用隔壁3aにより、さらに2つの空間に分割されている。
なお、図4、図5においては、放電部がEUV集光部より大きいように示されているが、これは理解を容易にするためであり、実際の大小関係は図4、図5の通りではない。実際は、EUV集光部が放電部より大きい。すなわち、集光空間1bが放電空間1aより大きい。
以下、本実施例のEUV光源装置の各部及びその動作について説明する。
(1)放電部
放電部は、金属製の円盤状部材である第1の放電電極11、同じく金属製の円盤状部材である第2の放電電極12とからなる。第1および第2の放電電極11,12は、例えば、タングステン、モリブデン、タンタル等の高融点金属からなり、所定距離だけ離間して互いに向かい合うように配置される。ここで、2つの電極11,12のうち一方が接地側電極であり、他方が高電圧側電極である。
両電極11,12の表面は同一平面上に配置してもよいが、図5に示すように、放電が発生しやすいように、電力印加時に電界が集中する周縁部のエッジ部分が、所定距離だけ離間して互いに向かい合うように配置することが好ましい。すなわち、各電極表面を含む仮想平面が交差するように各電極を配置することが好ましい。なお上記所定距離は、両電極の周縁部のエッジ部分間距離が最も短い部分での距離である。
後述するように、両電極11,12にパルス電力発生器8よりパルス電力が印加されると、上記周縁部のエッジ部分において放電が発生する。一般的には、両電極11,12の周縁部のエッジ部分間距離が最も短い部分で多く放電が発生する。
仮に、両電極11,12の表面を同一平面上に配置する場合を考える。この場合、上記所定距離は、各電極の側面間の距離が最も短い部分での距離となる。この場合、放電の発生位置は、円盤状電極の側面と当該側面に垂直な仮想平面とを接触したときにできる仮想接触線上となる。放電は、各電極の仮想接触線上の任意の位置で発生しうる。よって、両電極表面を同一平面上に配置する場合は、放電位置が安定しない可能性がある。
一方、図5のように、各電極11,12の周縁部のエッジ部分が所定距離だけ離間して互いに向かい合うように配置すると、上記したように両電極11,12の周縁部のエッジ部分間距離が最も短い部分で多く放電が発生するので、放電位置が安定する。以下、両電極間の放電が発生する空間を放電領域と呼ぶことにする。
上記したように、各電極11,12の周縁部のエッジ部分が所定距離だけ離間して互いに向かい合うように配置した場合、図5に示すように上方から俯瞰すると、第1および第2の放電電極11,12の表面を含む仮想平面が交差する位置を中心として、両電極は放射状に配置されることになる。図5においては、放射状に配置されている両電極の周縁部のエッジ部分間距離が最も長い部分は、上記仮想平面の交差位置を中心としたとき、後述するEUV集光鏡とは反対側に位置するように設置されている。
ここで、放射状に配置されている両電極11,12の周縁部のエッジ部分間距離が最も長い部分は、上記仮想平面の交差位置を中心としたとき、EUV集光鏡2と同じ側に位置するように設置することも可能である。しかしこの場合、放電領域とEUV集光鏡2との距離が長くなってしまい、その分、EUV集光効率も低下するので実際的ではない。
本実施例のハイブリッド方式のEUV光源装置は、レーザビームの照射により気化した高温プラズマ原料を放電による電流駆動によって生成した高温プラズマからのEUV放射光を利用するものである。高温プラズマ原料の加熱励起手段は、一対の電極11,12間に発生した放電による大電流である。よって、電極11,12は放電に伴う大きな熱的負荷を受ける。また、高温プラズマは放電電極近傍に発生するので、電極11,12はこのプラズマからも熱的負荷を受ける。このような熱的負荷により電極は徐々に磨耗し金属デブリが発生する。
EUV光源装置は、露光装置の光源装置として使用される場合、高温プラズマから放出されるEUV放射をEUV集光鏡2より集光し、この集光したEUV放射を露光装置側へ放出する。金属デブリは、EUV集光鏡2にダメージを与え、EUV集光鏡2におけるEUV光反射率を劣化させる。
また、電極11,12は徐々に磨耗することにより、電極形状が変化する。これにより、一対の電極11,12間で発生する放電が徐々に不安定になり、その結果、EUV光の発生も不安定となる。
上記したハイブリッド方式のEUV光光源装置を量産型の半導体露光装置の光源として用いる場合、上記したような電極の消耗を抑制し、電極寿命をできるだけ長くすることが必要となる。
このような要求に対応するため、図4、図5に示すEUV光源装置においては、第1の電極11、第2の電極12の形状を円盤上とし、かつ、少なくとも放電時に回転するように構成している。すなわち、第1および第2の電極11,12を回転させることにより、両電極においてパルス放電が発生する位置はパルス毎に変化する。よって、第1および第2の電極11,12が受ける熱的負荷は小さくなり、電極11,12の磨耗スピードが減少し、電極の長寿命化が可能となる。以下、第1の電極11を第1の回転電極、第2の電極12を第2の回転電極ともいう。
具体的には、円盤上の第1の回転電極11、第2の回転電極12の略中心部には、それぞれ、第1のモータ22aの回転軸22e、第2のモータ22bの回転軸22fが取り付けられている。第1のモータ22a、第2のモータ22bが、それぞれ回転軸22e,22fを回転させることにより、第1の回転電極11、第2の回転電極12は回転する。なお、回転の方向は特に規制されない。ここで、回転軸22e,22fは、例えば、メカニカルシール22c,22dを介してチャンバ1内に導入される。メカニカルシール22c,22dは、チャンバ1内の減圧雰囲気を維持しつつ、回転軸の回転を許容する。
図4に示すように、第1の回転電極11は、その一部が導電性の給電用溶融金属11aを収容する導電性の第1のコンテナ11bの中に浸されるように配置される。同様に、第2の回転電極12は、その一部が導電性の給電用溶融金属12aを収容する導電性の第2のコンテナ12bの中に浸されるように配置される。
第1のコンテナ11bおよび第2のコンテナ12bは、チャンバ1内の減圧雰囲気を維持可能な絶縁性の電力導入部11c,12cを介して、パルス電力供給手段としても機能するパルス電力発生器8と接続される。上記したように、第1、第2のコンテナ11b,12b、および、給電用溶融金属11a,12aは導電性であり、第1の回転電極11の一部および第2の回転電極12の一部は、上記給電用溶融金属11a,12aに浸漬しているので、第1のコンテナ11bおよび第2のコンテナ12b間にパルス電力発生器8からパルス電力を印加することにより、第1の回転電極11および第2の回転電極12間にパルス電力が印加される。
なお、給電用溶融金属11a,12aとしては、放電時、EUV放射に影響を及ぼさない金属が採用される。また、給電用溶融金属11a,12aは、各回転電極11,12の放電部位の冷却手段としても機能する。なお、図示を省略したが、第1のコンテナ11b、第2のコンテナ12bには、溶融金属を溶融状態に維持する温度調節手段が備えられている。
(2)放電始動機構
本実施例のEUV光源装置においては、高温プラズマ原料と放電領域の所定の地点とにレーザビーム23を照射するレーザ源23aならびに当該レーザ源23aの動作を制御するレーザ制御部23bを設ける。
上記したように、各回転電極11,12の周縁部のエッジ部分が所定距離だけ離間して互いに向かい合うように配置したので、両電極11,12の周縁部のエッジ部分間距離が最も短い部分で多く放電が発生する。よって、放電位置が安定する。しかしながら、放電による磨耗等でエッジ部分の変形が発生すると、放電位置の安定性は低下する。
ここで、放電領域の所定の位置にレーザビーム23を集光すると、レーザ焦点近傍では、電子放出により導電率が低下している。よって、放電チャンネルの位置は、レーザ焦点を設定した位置に画定される。そのためEUV放射の発生点の位置安定性が向上する。
レーザビーム23を放出するレーザ源23aとしては、例えば、炭酸ガスレーザ源や、YAGレーザ、YVO4 レーザ、YLFレーザ等の固体レーザ源、ArFレーザ、KrFレーザ、XeClレーザ等のエキシマレーザ源等を採用することができる。
また本実施例では、放電領域の所定の地点に照射するエネルギービームとしてレーザビームを照射しているが、レーザビームの代わりにイオンビーム、電子ビームを高温プラズマ原料に照射するようにしてもよい。
前記図2は、比較的長い焦点距離を有する凸レンズにより点集光する例を示す。
電極11,12近傍である放電領域の所定の地点に対して、レーザビーム23を点状に集光することにより、電極11,12間の絶縁破壊が誘発される。ここで、レーザ焦点(集光点)近傍では、電子放出により導電率が低下している。よって、放電チャンネルの位置は、レーザの集光点を設定した位置に画定される。
また前記図3は、2枚のシリンドリカルレンズ231,232により線集光する例を示す。2枚のシリンドリカルレンズ231,232は、レーザビーム23を集束する軸方向が互いに直交するように配置されている。
このようにして、電極11,12近傍である放電領域の所定の地点に対して、レーザビーム23を線状に集光することにより、電極11,12間の絶縁破壊が誘発される。点集光のときと同様、放電チャンネルの位置はレーザの集光線上に画定される。
すなわち、レーザビーム23の線集光位置をレーザ照射で固定することにより、放電チャンネルの位置が放電領域の局所的な領域に固定される。そのため、EUV放射の発生点の位置安定性が向上する。
(3)パルス電力発生器
パルス電力発生器8は、コンデンサと磁気スイッチとからなる磁気パルス圧縮回路部を介して、負荷である第1のコンテナ11bと第2のコンテナ12b、すなわち、第1の回転電極11と第2の回転電極12との間にパルス幅の短いパルス電力を印加する。
図4、図5にパルス電力発生器の構成例を示す。
図4、図5のパルス電力発生器は、可飽和リアクトルからなる2個の磁気スイッチSR2、SR3を用いた2段の磁気パルス圧縮回路を有する。コンデンサC1、第1の磁気スイッチSR2、コンデンサC2、第2の磁気スイッチSR3により2段の磁気パルス圧縮回路を構成している。
磁気スイッチSR1は、IGBT等の半導体スイッチング素子である固体スイッチSWでのスイッチングロスの低減用のものであり磁気アシストとも呼ばれる。なお、固体スイッチSWは、前述したスイッチング手段であり、以下ではスイッチング手段ともいう。
図4、図5に従って回路の構成と動作を以下に説明する。まず、充電器CHの充電電圧が所定の値Vinに調整され、主コンデンサC0が充電器CHにより充電される。このとき、IGBT等の固体スイッチSWはoffになっている。
主コンデンサC0の充電が完了し、固体スイッチSWがonとなったとき、固体スイッチSW両端にかかる電圧は主に磁気スイッチSR1の両端にかかる。
磁気スイッチSR1の両端にかかる主コンデンサC0の充電電圧V0の時間積分値が磁気スイッチSR1の特性で決まる限界値に達すると、磁気スイッチSR1が飽和して磁気スイッチが入り、主コンデンサC0、磁気スイッチSR1、昇圧トランスTr1の1次側、固体スイッチSWのループに電流が流れる。同時に、昇圧トランスTr1の2次側、コンデンサC1のループに電流が流れ、主コンデンサC0に蓄えられた電荷が移行してコンデンサC1に充電される。
この後、コンデンサC1における電圧V1の時間積分値が磁気スイッチSR2の特性で決まる限界値に達すると、磁気スイッチSR2が飽和して磁気スイッチが入り、コンデンサC1、磁気スイッチSR2、コンデンサC2のループに電流が流れ、コンデンサC1に蓄えられた電荷が移行してコンデンサC2に充電される。
さらにこの後、コンデンサC2における電圧V2の時間積分値が磁気スイッチSR3の特性で決まる限界値に達すると、磁気スイッチSR3が飽和して磁気スイッチが入り、第1のコンテナと第2のコンテナ、すなわち、第1の回転電極と第2の回転電極との間に高電圧パルスが印加される。
ここで、磁気スイッチSR2、SR3及びコンデンサC1、C2で構成される各段の容量移行型回路のインダクタンスを後段に行くにつれて小さくなるように設定することにより、各段を流れる電流パルスのパルス幅が順次狭くなるようなパルス圧縮動作が行われ、第1の回転電極と第2の回転電極間において短パルスの強い放電を実現することが可能となり、プラズマへの入力エネルギーも大きくなる。
(4)原料供給および原料気化機構
極端紫外光を放射するための高温プラズマ原料21は、チャンバ1に設けた原料供給ユニット20から液体または固体の状態で、放電領域(第1の回転電極11の周縁部のエッジ部分と第2の回転電極12の周縁部のエッジ部分との間の空間であって、放電が発生する空間)近傍に供給される。具体的には、高温プラズマ原料21は、放電領域を除く空間であって、気化された高温プラズマ原料が放電領域に到達できる空間に供給される。
上記原料供給ユニット20は、例えば、チャンバ1の上部壁に設けられ、高温プラズマ原料21は、上記放電領域の近傍の空間に、ドロップレット状にして供給(滴下)される。
ドロップレット状にして供給される高温プラズマ原料は、滴下され、放電領域近傍の空間に到達した際、レーザ源23aから放出されるレーザビーム23により照射されて気化する。
上記したように、レーザビーム23の照射により気化した高温プラズマ原料は、レーザビーム23が入射する高温プラズマ原料表面の法線方向を中心にして広がる。
ここで、レーザビーム23の照射により放電領域に供給された気化後の高温プラズマ原料のうち、放電による高温プラズマ形成に寄与しなかったものの一部、あるいは、プラズマ形成の結果分解生成する原子状ガスのクラスタの一部は、デブリとしてEUV光源装置内の低温部と接触し、堆積する。
しかし、レーザビーム23は、高温プラズマ原料21だけでなく、放電領域の所定の地点にも照射するために、放電電極11,12側から照射されることになる。したがって、気化後の高温プラズマ原料は、放電電極11,12の方向、即ち放電領域の方向に広がるので、デブリがEUV集光鏡2に進行するのを抑制することが可能となる。
上記したように、レーザビーム23の照射により気化した高温プラズマ原料はレーザビーム23が入射する高温プラズマ原料表面の法線方向を中心にして広がる。詳細には、レーザビーム23の照射により気化し飛散する高温プラズマ原料の密度は、上記法線方向が最も高密度になり、上記法線方向から角度が増すごとに低くなる。
上記を踏まえ、放電領域に対する高温プラズマ原料21の供給位置、並びに、レーザビーム23の照射エネルギー等の照射条件は、放電領域に供給される気化後の高温プラズマ原料の空間密度分布が、放電領域において高温プラズマ原料が加熱励起後、効率的にEUV放射が取り出されるような条件となるように、適宜設定される。
なお、高温プラズマ原料が供給される空間の下方には、気化しなかった高温プラズマ原料を回収する原料回収手段25を設けても良い。
(5)EUV光集光部
放電部により放出されるEUV光は、EUV光集光部に設けられた斜入射型のEUV集光鏡2により集光され、チャンバ1に設けられたEUV光取出部7より図示を省略した露光装置の照射光学系へ導かれる。
この斜入射型のEUV集光鏡2は、一般に、複数枚の薄い凹面ミラーを入れ子状に高精度に配置した構造である。各凹面ミラーの反射面の形状は、例えば、回転楕円面形状、回転放物面形状、ウォルター型形状であり、各凹面ミラーは回転体形状である。ここで、ウォルター型形状とは、光入射面が、光入射側から順に回転双曲面と回転楕円面、もしくは、回転双曲面と回転放物面からなる凹面形状である。
上記した各凹面ミラーの基体材料は、例えば、ニッケル(Ni)等である。波長が非常に短いEUV光を反射させるので、凹面ミラーの反射面は、非常に良好な平滑面として構成される。この平滑面に施される反射材は、例えば、ルテニウム(Ru)、モリブデン(Mo)、およびロジウム(Rh)などの金属膜である。各凹面ミラーの反射面には、このような金属膜が緻密にコーティングされる。
このように構成することにより、EUV集光鏡は、0°〜25°の斜入射角度のEUV光を良好に反射し、かつ、集光することが可能となる。
(6)デブリトラップ
上記した放電部とEUV光集光部との間には、EUV集光鏡2のダメージを防ぐために、放電後生成する高温プラズマと接する第1、第2の回転電極11,12の周縁部が当該高温プラズマによってスパッタされて生成する金属粉等のデブリや、高温プラズマ原料中のEUV放射種であるSnやLi等に起因するデブリ等を捕捉してEUV光のみを通過させるためのデブリトラップが設置される。
前記したように、図4、5に示す本実施例のEUV光源装置においては、デブリトラップはガスカーテン13bおよびホイルトラップ3から構成されている。
図4に示すように、ガスカーテン13bは、ガス供給ユニット13からノズル13aを介してチャンバ1内に供給されるガスにより構成される。ノズル13aは、直方体形状であり、ガスが放出される開口は細長い四角形状となっている。ガス供給ユニット13からノズル13aにガスが供給されると、ノズル13aの開口からシート状のガスが放出され、ガスカーテン13bが形成される。ガスカーテン13bは、上記デブリの進行方向を変化させ、デブリがEUV集光鏡2に到達するのを抑制する。
ここでガスカーテン13bに使用されるガスは、EUV光に対して透過率の高いガスが望ましく、例えば、ヘリウム(He)、アルゴン(Ar)等の希ガスや水素(H2 )などが用いられる。
さらに、ガスカーテン13bとEUV集光鏡2との間には、ホイルトラップ3が設けられる。ホイルトラップ3については、例えば、特許文献2に「フォイルトラップ」として記載されている。ホイルトラップ3は、高温プラズマから放射されるEUV光を遮らないように、高温プラズマ発生領域の径方向に設置される複数のプレートと、そのプレートを支持するリング状の支持体とから構成されている。
ガスカーテン13bとEUV集光鏡2との間にこのようなホイルトラップ3を設けると、高密度高温プラズマとホイルトラップ3との間の圧力が増加する。圧力が増加すると、その場に存在するガスカーテンのガス密度が増加し、ガス原子とデブリとの衝突が増加する。デブリは衝突を繰り返すことにより、運動エネルギーを減少する。よって、EUV集光鏡2にデブリが衝突する際のエネルギーが減少して、EUV集光鏡2のダメージを減少させることが可能となる。
なお、チャンバ1の集光空間1b側に、ガス供給ユニット14を接続して、EUV光の発光に関係のないバッファーガスを導入してもよい。ガス供給ユニット14から供給されたバッファーガスはEUV集光鏡2側から、ホイルトラップ3を通過して、ホイルトラップ保持用隔壁3aと隔壁1cとの間の空間を通って真空排気装置4から排気される。このようなガスの流れが生じることにより、ホイルトラップ3では捕捉しきれなかったデブリがEUV集光鏡2側に流れ込むのを防ぎ、デブリによるEUV集光鏡2のダメージを少なくすることができる。
ここで、バッファーガスに加えて、塩素(Cl2 )等のハロゲンガスや水素ラジカルをガス供給ユニット14から集光空間に供給してもよい。これらのガスは、デブリトラップで除去されずにEUV集光鏡2に堆積したデブリと反応して当該デブリを除去するクリーニングガスとして機能する。よって、デブリ堆積によるEUV集光鏡2の反射率低下といった機能低下を抑制することが可能となる。
(7)隔壁
放電空間1aの圧力は、レーザビーム照射により気化した高温プラズマ原料を加熱励起するための放電が良好に発生するように設定され、ある程度以下の真空雰囲気に保持する必要がある。
一方、集光空間1bは、デブリトラップでデブリの運動エネルギーを小さくする必要があるので、デブリトラップ部分で所定の圧力を維持する必要がある。
図4、図5では、ガスカーテンから所定のガスを流し、ホイルトラップ3で所定の圧力を維持して、デブリの運動エネルギーを小さくする。そのために、集光空間1bは、結果として数100Pa程度の圧力の減圧雰囲気に維持する必要がある。
ここで、本発明のEUV光源装置においては、チャンバ1内を放電空間1aと集光空間1bとに区画する隔壁1cが設けられている。この隔壁1cには、両空間を空間的に連結する開口が設けられる。開口は圧力抵抗として機能するので、放電空間を真空排気装置4、集光空間を真空排気装置5でそれぞれ排気する際、ガスカーテン13bからのガス流量、開口の大きさ、各真空排気装置の排気能力等を適宜考慮することにより放電空間1aを数Pa、集光空間1bを適切な圧力に維持することが可能となる。
(8)原料モニタ
原料モニタ20aは、上記した原料供給ユニット20よりドロップレット状にして滴下される原料21の位置をモニタする。例えば、図6に示すように、原料供給ユニット20から滴下される原料21が、原料モニタ20a近傍の位置P1に到達した時点をモニタする。後述するように、このモニタ結果により、原料21が位置P1に到達した時点からレーザビーム23が照射される位置P2に到達するまでの時間が求められる。モニタリングは、例えば、公知のレーザ計測法を用いて行われる。原料の検出信号は、原料供給モニタ20aより制御部26へ送信される。上記したように原料21はドロップレット状にして滴下されるので、原料の検出信号は断続的なパルス信号となる。
(9)極端紫外光(EUV)光源装置の動作
本実施例のEUV光源装置は、露光用光源として用いられる場合、例えば、以下のように動作する。図7、図8は本実施例の動作を示すフローチャート、図9はタイムチャートであり、以下図7−図9により、本実施例の動作を説明する。
EUV光源装置の制御部26は、図1に示した時間データΔtd、Δti、Δtgを記憶している。
すなわち、Δtdは、パルス電力供給手段(パルス電力発生器8)のスイッチング手段にトリガ信号が入力した時点(時刻Td)から、スイッチング手段がon状態となって電極間電圧が閾値Vpに到達するまでの時間である。Δtiは、放電開始後、電極11,12間を流れる電流の大きさが閾値Ipに到達するまでの時間である。Δtgは、レーザビーム23が原料21に照射された時点から気化原料の少なくとも一部が放電領域に到達するまでの時間である。
一般に、放電電極に印加される電圧Vが大きいと、放電電極間の電圧波形の立ち上がりは速くなる。よって、上記したΔtdは、放電電極に印加される電圧Vに依存することになる。EUV光源装置の制御部26は、予め実験等で求めた電圧Vと時間Δtdとの関係をテーブルとして記憶している。
また、EUV光源装置の制御部26は、原料21が所定の位置(例えば、図6のP1)に到達した時点から、レーザビーム23が原料21に照射される位置(例えば、図6のP2)に到達するまでの時間Δtmを記憶している。
更に、制御部26は、補正時間γ、ε、およびパルス電力発生器8のスイッチング手段に主トリガ信号が出力される時点から、当該主トリガ信号がパルス電力発生器8のスイッチング手段に入力してスイッチング手段がonとなる時点までの遅延時間d1を記憶している。この補正時間γ、εについては、後述する。
まず、EUV光源装置の制御部26からのスタンバイ指令が、真空排気装置5,真空排気装置4、ガス供給ユニット13,ガス供給ユニット14、第1のモータ22a、第2のモータ22bに送信される(図7のステップS501、図9のS601)。
スタンバイ指令を受信した、真空排気装置5,真空排気装置4、並びに、ガス供給ユニット13,ガス供給ユニット14は動作を開始する。すなわち、真空排気装置4が動作し、放電空間が真空雰囲気となる。一方、真空排気装置5が動作するとともに、ガス供給ユニット13が動作してガスカーテン13bが形成され、ガス供給ユニット14が動作して集光空間1b内にバッファーガス、クリーニングガスが供給される。その結果、集光空間1bが所定の圧力に到達する。また、第1のモータ22a、第2のモータ22bが動作して、第1の回転電極11、第2の回転電極12が回転する。以下、上記した動作状態を総称してスタンバイ状態と呼ぶ(図7のステップS502、図9のS602)。
EUV光源装置の制御部26は、このようなスタンバイ状態後、原料供給ユニット20および原料モニタ20aに動作開始指令信号を送信する(図7のステップS503、図9のS603)。
動作開始指令信号を受信した原料供給ユニット20は、EUV放射を行うための液体状または固体状の高温プラズマ原料21(例えば液体状のスズ)をドロップレット状にして滴下を開始する。一方、動作開始指令信号を受信した原料モニタ20aはモニタリング動作を開始し、後述する図6の位置P1に原料21が到達したとき、原料検出信号をEUV光源装置の制御部26に送信する(図7のステップS504、図9のS604)。
なお、この時点では、滴下する原料21はレーザビーム23に照射されていないので、そのまま原料回収手段25により回収される。
EUV光源装置の制御部26は、露光装置の制御部27にスタンバイ完了信号を送信する(図7のステップS505、図9のS605)。
スタンバイ完了信号を受信した露光装置の制御部27より、EUV光源装置の制御部26は、発光指令を受信する。なお、EUV放射の強度を露光装置側がコントロールする場合、本発光指令には、EUV放射の強度データも含まれる。(図7のステップS506、図9のS606)。
EUV光源装置の制御部26は、充電制御信号をパルス電力発生器8の充電器CHに送信する。充電制御信号は、例えば、放電開始タイミングデータ信号等からなる。上記したように、露光装置の制御部27からの発光指令にEUV放射の強度データが含まれる場合、主コンデンサC0への充電電圧データ信号も上記充電制御信号に含まれる。
例えば、予め、EUV放射強度と主コンデンサC0への充電電圧との関係が実験等により求められ、両者の相関を格納したテーブルが作成される。EUV光源装置の制御部26は、このテーブルを記憶しており、露光装置の制御部27から受信した発光指令に含まれるEUV放射の強度データに基づき、テーブルより主コンデンサC0の充電電圧データを呼び出す。そして呼び出した充電電圧データに基づき、EUV光源装置の制御部26は、主コンデンサC0への充電電圧データ信号を含む充電制御信号をパルス電力発生器8の充電器CHに送信する(図7のステップS507、図9のS607)。
充電器CHは上記したように主コンデンサC0の充電を行う(図7のステップS508)。
EUV光源装置の制御部26は、運転を開始してから最初のEUV光発生(初回パルスという)であるかを判定し(図7のステップS509)、初回パルスの場合には、ステップS509からステップS510に行く。また初回パルスでない場合には、ステップS516に行く。
ステップS510で、EUV光源装置の制御部26は、パルス電力発生器8のスイッチング手段に主トリガ信号を出力するタイミング、レーザ源23aの動作を制御するレーザ制御部23bへのトリガ信号の送出タイミングを計算する。
初回パルスの場合は、後述する電圧カウンタ、電流カウンタのカウント値が使用できず、後述するフィードバック補正をできないため、予め記憶している時間データΔtd、Δti、Δtm、d1、γに基づき、上記タイミングを決定する。
なお、図1に示すように、実際は、パルス電力発生器8のスイッチング手段に主トリガ信号が入力してスイッチング手段がonとなる時点Tdを基準として、レーザビームが照射される時間TLを設定することが望ましい。
本実施例では、パルス電力発生器8のスイッチング手段に主トリガ信号を出力する時点Td´から、当該主トリガ信号がパルス電力発生器8のスイッチング手段に入力してスイッチング手段がonとなる時点Tdまでの遅延時間d1を予め求めておく。そして、パルス電力発生器8のスイッチング手段に主トリガ信号を出力した時点Td’を上記遅延時間d1で補正して、スイッチング手段がonとなる時点Tdを求める。
一方、トリガ信号が送出された時点TL’からレーザビーム23が照射されるまでの遅延時間dLは、nsオーダーと無視できる程小さいので、ここでは考えないことにする。 レーザ源23aが、例えばQスイッチ式Nd:YAGレーザ装置の場合、パルス電力発生器8のスイッチング手段に主トリガ信号を出力した時点Td’を基準として、レーザ源23aの動作を制御するレーザ制御部23bへのトリガ信号の送出タイミングTL’を設定することにより、パルス電力発生器8のスイッチング手段に主トリガ信号が入力した時点Tdを基準としたレーザビームが照射される時間TLの設定が実現される。
主トリガ信号を送信する時点を基準(時刻Td’)とするとき、レーザ制御部23bへのトリガ信号の送出タイミングTL’は以下のように求められる。
図1から明らかなように、レーザビームが照射されるタイミングTLは、パルス電力発生器8のスイッチング手段がonとなる時点Tdを基準としたとき、
TL≧Td+Δtd…(26)
となる。
よって、主トリガ信号を送信する時点Td’を基準としたときのレーザ源23aの動作を制御するレーザ制御部へのトリガ信号の送出タイミングTL´は
TL’+dL≧(Td’+d1)+Δtd…(28)
となる。ここで、遅延時間dLは無視できる程小さいので、トリガ信号の送出タイミングTL’は
TL’≧Td’+d1+Δtd…(29)
となる。
ここで、電極間電圧が確実に閾値Vpを越えた時点で、レーザビーム23が照射されるように、レーザビーム23が照射される時点を、Δtdより幾分遅延させてもよい。この遅延時間を補正時間γと定義し、式(29)を変形すると、
TL’≧Td’+d1+Δtd+γ…(30)
となる。
本実施例では、
TL’=Td’+d1+Δtd+γ…(31)
とする。なお、当然ながら、TL’の設定は、(31)式に限るものではなく、(30)式を満たせばよい。例えば、TL’=Td’+d1+Δtdとしてもよい。
上記したように、レーザビーム23が原料21に照射された時点から気化原料の少なくとも一部が放電領域に到達するまでの時間Δtgとレーザビーム23が高温プラズマ原料21に照射される時点TLとは、
TL+Δti≦TL+Δtg≦TL+Δti+Δtp…(27)
なる関係が成立する必要がある。ここで、(27)式においては、レーザビームが高温プラズマ原料に照射される時点とレーザビームが放電領域に照射される時点とは、実質的に同時と見なしている。
(27)式をレーザ制御部へのトリガ信号の送出タイミングTL’とΔtgとの関係式に変形すると、下記(32)式のようになる。
TL’+Δti≦TL’+Δtg≦TL’+Δti+Δtp…(32)
すなわち、ΔtgとΔtiとの関係は、
Δti≦Δtg≦Δti+Δtp…(33)
となる。
上記したように、Δtgは、放電領域と原料の位置、原料21へのレーザビーム23の照射方向、レーザビーム23の照射エネルギーに依存する。これらのパラメータは、(33)式が成立するように適宜、設定される。
本実施例では、放電電流が確実に閾値Ipを越えた時点で、気化原料の少なくとも一部が放電領域に到達するように、Δtgを設定する。すなわち、Δtgの長さをΔtiより幾分長く設定する。この補正時間εと定義すると、ΔtiとΔtgとの関係は以下のようになる。
Δtg=Δti+ε (ε≦Δtp)…(34)
すなわち、放電領域と原料の位置、原料へのレーザビームの照射方向、レーザビームの照射エネルギーといったパラメータは、(34)式が成立するように適宜設定される。
上記したように、主トリガ信号を送信する時点Td’を基準としたときのトリガ信号の送出タイミングTL’は、(31)式で表される。
ここで、本実施例におけるEUV光源装置は、原料をドロップレット状にして滴下することにより供給される。よって、滴下される原料が図6におけるレーザビームの照射位置P2に到達している時点と、上記した主トリガ信号を送信する時点Td’、トリガ信号の送出タイミングTL’は同期している必要がある。
図6における原料が位置P1に到達した時点をTm、TmからΔtm後に原料が照射位置P2に到達するものとすると、原料が照射位置P2に到達する時点は、Tm+Δtmとなる。
すなわち、時点Tmを基準とする場合、
TL=Tm+Δtm…(35)
が成立している必要がある。
(32)式を、トリガ信号の送出タイミングTL’の式に変形すると、
(TL’+dL)=Tm+Δtm…(36)
となる。ここで、遅延時間dLは無視できる程小さいので、(36)式は、
TL’=Tm+Δtm…(37)
となる。
よって、時点Tmを基準とすると、主トリガ信号を送信する時点Td’、レーザ制御部23bへのトリガ信号の送出タイミングTL’は以下のように求められる。
Td’=Tm+(Δtm−Δtd)−d1−γ…(38)
TL’=Tm+Δtm…(37)
ここで、Δtmは、図6から、以下のように求められる。
図6に示すように、原料供給ユニット20の原料排出部の位置をP0、原料モニタ20aが原料21をモニタする位置をP1、レーザビームの照射位置をP2とし、P0とP1の距離をL、P0とP2の距離をLpとする。
また、原料がP0に位置する時間を原点とし、上記したように、原料がP1に到達した時点をTm、原料が照射位置P2に到達した時点をTm+Δtmとする。
位置P0における原料の落下速度を0、重力加速度をGとすると、
L=(1/2)GTm2 …(17)
Lp=(1/2)G(Tm+Δtm)2 …(18)
となる。(17)(18)式より、Δtmは(19)式のように求められる。
Δtm=(2Lp/G)1/2 −(2L/G)1/2 …(19)
すなわち、ステップS510において、EUV光源装置の制御部26は、予め記憶している時間データΔtd、Δti、Δtm、d1、γに基づき、式(38)(37)(19)により、時点Tmを基準としたときの主トリガ信号を送信するタイミングTd’、レーザ制御部へのトリガ信号の送出タイミングTL’を求める(図9のS608)。
ここで、時間データΔtdは、電圧Vと時間Δtdとの対応を格納するテーブルより呼び出される。放電電極に印加する電圧Vのデータは、例えば、ステップS507で充電制御信号をパルス電力発生器8の充電器CHに送信する際にEUV放射強度と主コンデンサC0への充電電圧との相関を格納したテーブルから呼び出した主コンデンサC0の充電電圧データをそのまま使用する。
EUV光源装置の制御部26は、主コンデンサC0の充電が安定するまでの時間であるチャージャ充電安定時間tstが経過した時点から、最初に原料モニタからの原料検知信号を検知した時点を基準時点Tmとする(図7のステップS511、図9のS604、S607)。なお、基準時点Tmの設定は、チャージャ充電安定時間tst経過した時点から、最初に原料検知信号を検知した時点に限る必要はない。例えば、時間tst経過した時点から、所定回数原料検知信号を検知した時点を基準時点Tmと設定してもよい。
EUV光源装置の制御部26は、ステップS511で設定した基準時点Tmを基準として、式(38)(37)(19)により求めた、時点Tmを基準としたときの主トリガ信号を送信するタイミングTd’、レーザ制御部23bへのトリガ信号の送出タイミングTL’で、主トリガ信号、トリガ信号を、それぞれ、パルス電力発生器8のスイッチング手段、レーザ制御部23bへ送信する(図7のステップS512、図9のS609、S613)。
EUV光源装置の制御部26は、主トリガ信号の出力開始で電極間電圧が閾値Vpまで到達するまでを計測する電圧カウンタを動作させる。
また、トリガ信号の出力開始で放電電流が閾値Ipまで到達するまでを計測する電流カウンタを動作させる(図8のステップS513、図9のS612、S616)。なお、電圧カウンタと、電流カウンタは、露光装置の制御部27から発光指令信号が入力されたとき、0クリアされている。
電圧カウンタは、主トリガ信号の出力後、電極間電圧が閾値Vpに到達するまでの時間を一定にするためにフィードバック制御するためのものである。一方、電流カウンタは、トリガ信号の出力後、ΔtgとΔtiとの関係が(34)式を満たしているかどうかを確認するためのものである。
すなわち、時点Tmを基準としたときの主トリガ信号を送信するタイミングTd’、レーザ制御部へのトリガ信号の送出タイミングTL’は、最初の一回目(初回パルス)は、上記のように、式(38)(37)(19)に基づいて決定するが、2回目以降は、後述するように上記式(38)(37)(19)を、前記電圧カウンタのカウント値に基づき補正した値に基づいて決定する。
EUV光源装置の制御部26は、図4、図5に不図示の電圧モニタにより電極間電圧が閾値Vpに到達したタイミングを検出し、電圧カウンタを停止させる。また、不図示の電流モニタにより放電電流が閾値Ipに到達したタイミングを検出し、電流カウンタを停止させる(図8のステップS514、図9のS612、S616)。
ステップS512において、(38)式に基づくタイミングTd’で主トリガ信号が送出され、当該主トリガ信号がパルス電力発生器8のスイッチング手段に入力されてから遅延時間d1経過すると、スイッチング手段(例えば、IGBT)がonとなる(図9のS609、S610)。
スイッチング手段がonとなると、第1の回転電極11、第2の回転電極12間の電圧が立ち上がり、時間Δtd後に、電極間電圧が閾値Vpに到達する。上記したように、この閾値Vpは、放電が発生したときに流れる放電電流の値が閾値Ip以上となる場合の電圧値である(図9のS610、S611)。
上記したように、ステップS512において、(37)式に基づくタイミングTL’で、トリガ信号がレーザ制御部23bへ送出される。その結果、電極間電圧が閾値Vpに到達した時点(Td+Δtd)以降の時点TLにおいて、レーザビームが放電領域に照射される(図9のS613、S614)。
レーザビームが放電領域に照射されて、放電領域にて放電が開始する。放電開始後、Δti後に、放電電流の大きさが上記した閾値Ipに達する(図9のS614、S615)。この閾値Ipは、所定強度のEUV放射を得るために必要な放電電流値の下限である。なお、放電電流値が閾値Ip以上である期間をΔtpとする。
一方、レーザビーム23が放電領域を通過するときのタイミングと高温プラズマ原料21に照射されるタイミングはほぼ同時と見なしてよい。ここで、高温プラズマ原料21に照射される位置でのレーザビーム23のエネルギー、レーザビーム23の照射方向、放電領域と高温プラズマ原料21との位置関係が(26)式、(27)式を満たすように適宜設定されている。
よって、空間密度分布が所定の分布である気化原料の少なくとも一部は、放電電流の大きさが所定強度のEUV放射を得るために必要な放電電流値の下限以上となっている期間中に到達する(図9のS617)
すなわち、ステップS512でEUV光源装置の制御部26が各トリガ信号を送信した結果、放電チャンネルの位置が所定の位置に画定される。また、位置が画定される放電チャンネルにおいて、空間密度分布が所定の分布である気化原料の少なくとも一部が放電チャンネルに到達している状態で、放電電流の大きさが所定強度のEUV放射を得るために必要な放電電流値の下限以上となっているように、放電が発生する。
放電は、第1の回転電極11、第2の回転電極12の周縁部のエッジ部分間で発生し、プラズマが形成される。プラズマを流れるパルス状の大電流によりプラズマが加熱励起され高温化すると、この高温プラズマから波長13.5nmのEUV放射が発生する(図8のステップS515)。
なお、上記した所定の空間密度分布は、EUV放射ができるだけ効率的に発生するように設定されている。具体的には、放電領域に対する高温プラズマ原料21の供給位置、高温プラズマ原料21へのレーザビーム23の照射方向、レーザビーム23の照射エネルギー等が、EUV放射ができるだけ効率的に発生するように適宜設定される。
また、放電チャンネルの位置が、レーザビーム23の照射により所定の位置に画定され、プラズマが生成する位置の位置安定性は向上する。
すなわち、EUV光源装置の制御部26が各トリガ信号を送信した結果、効率のよいEUV放射の発生、および、EUV放射の発生位置の安定化が実現される。
プラズマから放射されたEUV放射は、隔壁1cに設けられた開口、ホイルトラップ3を通過して集光空間に配置された斜入射型のEUV集光鏡2により集光され、チャンバ1に設けられたEUV光取出部7より図示を省略した露光装置の照射光学系へ導かれる。
以上のように初回のEUV放射が終わると、次いで、ステップS506に戻り、露光装置からの発光指令を待機する。
発光指令受信後、上記したステップS507、S508を経て、ステップS509に移行する。次回のEUV放射は、初回のパルスではないので、ステップS509からステップS516に行く。
ステップS516において、EUV光源装置の制御部26は、ステップS514において計測した主トリガ信号の出力開始後電極間電圧が閾値Vpまで到達するまでの時間である電圧カウンタの値、および、トリガ信号の出力開始後放電電流が閾値Ipまで到達するまでの時間である電流カウンタの値を基に、レーザ制御部へのトリガ信号の送出タイミングTL’のフィードバック演算を以下の式により行う。
tvcal=(d1+Δtd)−tvc…(20)
tical=Δti−tic…(21)
ここで、tvcalは、主トリガ信号の出力開始後電極間電圧が閾値Vpまで到達するまでの時間の補正値であり、tvcは電圧カウンタで計測した時間である。また、ticalは、トリガ信号の出力開始後放電電流が閾値Ipまで到達するまでの時間の補正値であり、ticは電流カウンタで計測した時間である。(図7のステップS516、図9のS608)。
なお、(20)式から明らかなように、tvcalは、主トリガ信号を出力する時点Td’から、当該主トリガ信号がパルス電力発生器8のスイッチング手段に入力してスイッチング手段がonとなる時点Tdまでの遅延時間d1と、スイッチング手段がonとなる時点Tdから電極間電圧が閾値Vpまで到達するまでの時間の総和の補正値である。
上記したように、パルス電力発生器8のスイッチング手段である固体スイッチSWは、大電流を流すことが可能なIGBT等の半導体スイッチング素子が使用されることが多い。
このようなIGBT等の半導体スイッチング素子は、ゲート信号(本実施例の主トリガ信号に相当)が入力して実際にonとなる時間はある程度、ばらつく。すなわち、(20)式は、スイッチング素子のばらつきの補正も考慮されたものである。
EUV光源装置の制御部26は、ステップS516において求めた補正値を考慮して、時点Tmを基準としたときの主トリガ信号を送信するタイミングTd’、レーザ制御部23bへのトリガ信号の送出タイミングTL’を次式により決定する(ステップS517、図9のS608)。
Td’=Tm+(Δtm−Δtd)−d1−γ−tvcal…(39)
TL’=Tm+Δtm…(37)
Δtm=(2Lp/G)1/2 −(2L/G)1/2 …(19)
EUV光源装置の制御部26は、主コンデンサC0の充電が安定するまでの時間であるチャージャ充電安定時間tstが経過した時点から、最初に原料モニタ20aからの原料検知信号を検知した時点を基準時点Tmとする(図7のステップS518、図9のS604、S607)。なお、基準時点Tmの設定は、チャージャ充電安定時間tst経過した時点から、最初に原料検知信号を検知した時点に限る必要はない。例えば、時間tst経過した時点から、所定回数原料検知信号を検知した時点を基準時点Tmと設定してもよい。
次いで、ステップS5185に移行し、EUV光源装置の制御部26は、トリガ信号の出力開始後放電電流が閾値Ipまで到達するまでの時間の補正値ticalで補正したΔtiとΔtgとの関係を検定する。
すなわち、Δti+ticalとΔtgとの大小を検定する。検定の結果、Δtg<Δti+ticalであるとき、ステップS5186に移行する。一方、Δtg≧Δti+ticalのときステップS519に移行する。
Δtg<Δti+ticalである場合、放電電流が閾値Ipに到達する以前に、空間密度分布が所定の分布である気化原料の少なくとも一部が放電領域に到達してしまう。そのため、上記気化原料の少なくとも一部が放電領域に到達してから放電電流が閾値Ipに到達するまでの期間、不所望な発光が発生する。結果として、放電領域から放射されるEUV放射に、波長13.5nm以外の帯域外光が含まれてしまう。すなわち、EUV光源装置から放出されるEUV放射のスペクトル純度が悪化する。ステップS5186において、EUV光源装置の制御部26は、露光装置の制御部27に、スペクトル純度の悪化を示す警告信号を送信する(図9のS618)。
警告信号の送信後もEUV光源装置の稼動を続行する場合は、ステップS519に移行する。
なお、スペクトル純度の悪化を検出後、EUV光源装置の稼動を停止する場合は、上記ステップS5186においてEUV光源装置の稼動を停止する。そして、放電領域と原料の位置、原料へのレーザビームの照射方向、レーザビームの照射エネルギーといったパラメータを再設定して、(34)式が成立するようにする。
本実施例においては、警告信号の送信後もEUV光源装置の稼動を続行するものとする。一方、ステップS5185において、Δtg≧Δti+ticalの場合は、放電電流が閾値Ipに到達した時点以降に、気化原料の少なくとも一部が放電領域に到達することになる。よって、スペクトル純度が悪化することもないので、そのまま、図7のステップS519に移行する。
上記したステップS5185の検定は、放電開始後、電極間を流れる電流の大きさが閾値Ipに到達するまでの時間Δtiのジッタの影響を排除するためのものである。(34)式における補正時間ε(ε≦Δtp)が、上記ジッタの大きさより十分大きいと判明している場合には、ステップS5185の検定を省略することが可能となる。
図7のステップS519において、EUV光源装置の制御部26は、ステップS518で設定した基準時点Tmを基準として、式(39)(37)(19)により求めた、時点Tmを基準としたときの主トリガ信号を送信するタイミングTd’、レーザ制御部へのトリガ信号の送出タイミングTL’で、主トリガ信号、トリガ信号を、それぞれ、パルス電力発生器8のスイッチング手段、レーザ制御部へ送信する(図9のS609、S613)。
次いで、図8のステップS513に移行し、EUV光源装置の制御部23は、主トリガ信号の出力開始で電極間電圧が閾値Vpまで到達するまでを計測する電圧カウンタを動作させる。また、第2トリガ信号の出力開始で放電電流が閾値Ipまで到達するまでを計測する電流カウンタを動作させる(図9のS612、S616)。なお、上記したように、電圧カウンタと、電流カウンタは、露光装置の制御部から発光指令信号が入力されたとき、0クリアされている。
EUV光源装置の制御部26は、図4、5に不図示の電圧モニタにより電極間電圧が閾値Vpに到達したタイミングを検出し、電圧カウンタを停止させる。また、不図示の電流モニタにより放電電流が閾値Ipに到達したタイミングを検出し、電流カウンタを停止させる(図8のステップS514、図9のS612、S616)。
ステップS519において、(39)式に基づくタイミングTd’で主トリガ信号が送出され、当該主トリガ信号がパルス電力発生器8のスイッチング手段に入力されてから遅延時間d1経過すると、スイッチング手段(例えば、IGBT)がonとなる(図9のS609、S610)。
スイッチング手段がonとなると、第1の回転電極11、第2の回転電極12間の電圧が立ち上がり、時間Δtd後に、電極間電圧が閾値Vpに到達する。(図9のS610、S611)。
上記したように、ステップS519において、(37)式に基づくタイミングTL’で、トリガ信号がレーザ制御部へ送出される。その結果、電極間電圧が閾値Vpに到達した時点(Td+Δtd)以降の時点TLにおいて、レーザビーム23が放電領域に照射される(図9のS613、S614)。
レーザビーム23が放電領域に照射されて、放電領域にて放電が開始する。放電開始後、Δti後に、放電電流の大きさが上記した閾値Ipに達する(図9のS614、S615)。この閾値Ipは、所定強度のEUV放射を得るために必要な放電電流値の下限である。なお、放電電流値が閾値Ip以上である期間をΔtpとする。
一方、レーザビーム23が放電領域を通過するときのタイミングと高温プラズマ原料21に照射されるタイミングはほぼ同時と見なしてよい。ここで、高温プラズマ原料21に照射される位置でのレーザビーム23のエネルギー、レーザビーム23の照射方向、放電領域と高温プラズマ原料との位置関係が(26)式、(27)式を満たすように適宜設定されている。
よって、空間密度分布が所定の分布である気化原料の少なくとも一部は、放電電流の大きさが所定強度のEUV放射を得るために必要な放電電流値の下限以上となっている期間中に到達する(図9のS617)
すなわち、ステップS519でEUV光源装置の制御部26が各トリガ信号を送信した結果、放電チャンネルの位置が所定の位置に画定される。また、位置が画定される放電チャンネルにおいて、空間密度分布が所定の分布である気化原料の少なくとも一部が放電チャンネルに到達している状態で、放電電流の大きさが所定強度のEUV放射を得るために必要な放電電流値の下限以上となっているように、放電が発生する。
放電は、第1の回転電極11、第2の回転電極12の周縁部のエッジ部分間で発生し、プラズマが形成される。プラズマを流れるパルス状の大電流によりプラズマが加熱励起され高温化すると、この高温プラズマから波長13.5nmのEUV放射が発生する(図8のステップS515)。
なお、上記した所定の空間密度分布は、EUV放射ができるだけ効率的に発生するように設定されている。
また、放電チャンネルの位置が、レーザビームの照射により所定の位置に画定され、プラズマが生成する位置の位置安定性は向上する。
すなわち、EUV光源装置の制御部が各トリガ信号を送信した結果、効率のよいEUV放射の発生、および、EUV放射の発生位置の安定化が実現される。
プラズマから放射されたEUV放射は、隔壁に設けられた開口、ホイルトラップを通過して集光空間に配置された斜入射型のEUV集光鏡により集光され、チャンバに設けられたEUV光取出部より図示を省略した露光装置の照射光学系へ導かれる。
以下、露光工程が継続する間は、ステップS506乃至ステップS515間の工程が繰り返される。露光工程が終了する場合は、ステップS515の後、エンドとなる。
以上のように動作させることにより、レーザビーム23が放電領域を通過するときのタイミングと高温プラズマ原料21に照射されるタイミング、放電領域におけるレーザビーム23の集光強度、高温プラズマ原料21に照射される位置でのレーザビーム23のエネルギー、レーザビーム23の照射方向、放電領域と高温プラズマ原料21との位置関係等が適宜設定される。
よって、空間密度分布が所定の分布である気化した高温プラズマ原料21の少なくとも一部が放電領域に到達して、放電領域において高温プラズマ原料21が所定の空間密度分布で存在する間に、レーザビーム21の照射により開始した放電の放電電流が所定の値に到達し、所定の強度のEUV放射が得られる。
すなわち、本実施例においては、1つのレーザビームの照射により、放電が開始して放電領域における放電チャンネルの位置が画定されるとともに、位置が画定される放電チャンネルにおいて原料が所定の空間密度分布に維持されているタイミングで放電後の放電電流が所定の値に到達する。よって、効率のよいEUV放射が実現可能となる。
また、放電チャンネルがレーザビームの集光線上に画定されるので、EUV放射の発生点の位置安定性が向上する。
特に、本実施例では、主トリガ信号の出力後電極間電圧が閾値Vpに到達するまでの時間が一定となるようにフィードバック制御を行っている。そのため、例えば、パルス電力発生器8のスイッチング手段である固体スイッチSWとして使用されるIGBT等の半導体スイッチング素子の動作にばらつきが生じたとしても、確実に効率のよいEUV放射を実現することが可能となる。
なお、図5に示すように、プラズマが生成される放電領域近傍に磁石6を設けて、プラズマに対し磁場をかけてもよい。
ここで、第1および第2の回転電極11,12間で発生する放電方向と略平行に一様な磁場を印加すると、EUVを放射する高温プラズマのサイズ(すなわち、EUV光源のサイズ)が小さくなり、EUVの放射時間を長くすることが可能となる。よって、本発明のEUV光源装置は、磁場を印加することにより、露光用光源としてより好ましくなる。
2.前記実施例の変形例
本発明のEUV光源装置は、極端紫外光を放射するための高温プラズマ原料は、液体または固体の状態で、放電領域近傍に供給される。
上記実施例のEUV光源装置においては、上記原料は、ドロップレット状にして供給される。しかし、当然ながら、高温プラズマ原料の供給機構は、この構成に限るものではない。
以下、高温プラズマ原料の原料供給ユニットのその他の例について述べる。
(1)第1の変形例
図10、図11は実施例の第1の変形例を説明するための図である。詳細には、図10は本発明のEUV光源装置の正面図であり、EUV放射は同図左側へ取り出される。すなわち、図10は、図4に示すEUV光源装置において、原料供給ユニットの部分を置換したものを示している。なお、理解を容易にするために、図10は、原料供給ユニットの配置、構成に重点をおいて示したものであり、EUV光源装置の一部は省略されている。なお、省略された部分は、図4と同等である。
一方、図11は本発明のEUV光源装置の上面図であり、図10と同様、EUV光源装置の一部は省略されている。
図10、図11に示す変形例においては、高温プラズマ原料として線状原料31が使用される。具体的には、極端紫外光放射種を含む金属ワイヤーであり、例えば、Sn(スズ)を含む。
第1の変形例における原料供給ユニット30は、線状原料31を所定の空間に供給する機能を有する。当該原料供給ユニット30は、リール30a、リール30e、位置決め手段30b、位置決め手段30c、線状原料31、駆動機構30dから構成される。なお、駆動機構30dは、図10、図11において図示を省略した制御部により駆動制御される。
線状原料31は、リール30aおよびリール30eに巻きついている。リール30aは線状原料31を送出する上流側のリールである。一方、リール30eは、リール30aから送出される線状原料31を巻き取る下流側のリールである。線状原料31は、駆動機構30dによりリール30eが回転駆動されることによりリール30aから送出される。
リール30aから送出された線状原料31は、レーザ源23aから放出されるレーザビーム23が照射されたとき、気化する。上記したように、気化した高温プラズマ用原料の広がる方向は、レーザビーム23の原料31への入射位置に依存する。
よって、線状原料31へのレーザビーム23の入射位置が放電領域を臨むように、線状原料31は、位置決め手段30b、位置決め手段30cにより位置決めされる。なお、この位置決めされた位置は、線状原料31にレーザビーム23が照射されることにより気化した原料が、放電領域に到達可能な位置である。
そして、線状原料31が供給され、かつ、線状原料31にレーザビーム23を照射したとき、気化後の高温プラズマ原料(液体原料)が放電領域の方向に広がるように、レーザ源23aから放出されるレーザビーム23の光軸、および、レーザビーム23のエネルギーが調整される。
ここで、放電領域と線状原料31との距離は、レーザビーム照射により放電領域の方向に広がる気化後の高温プラズマ原料が、所定の空間密度分布で放電領域に到達するように設定される。
なお、図10および図11に示すように、線状原料31は、一対の電極11,12とEUV集光鏡2との間の空間に対して供給することが好ましい。
このように供給された線状原料31に対し、レーザビーム23を上記のように線状原料表面の放電領域に面する側に対して照射すると、気化後の線状原料は放電領域の方向に広がるが、EUV集光鏡2の方向に広がらない。
すなわち、上記したように放電領域に対する線状原料31の供給位置、および、レーザビーム23の照射位置を設定することとにより、デブリがEUV集光鏡2に進行するのを抑制することが可能となる。
(2)第2の変形例
図12、図13、図14は前記実施例の第2の変形例を説明するための図である。詳細には、図12は本実施例のEUV光源装置の正面図であり、EUV放射は同図左側から取り出される。すなわち、図12は、図4に示す実施例のEUV光源装置において、原料供給ユニット20の部分を置換したものを示している。
なお、理解を容易にするために、図12は、原料供給ユニットの配置、構成に重点をおいて示したものであり、EUV光源装置の一部は省略されている。なお、省略された部分は、図6と同等である。
一方、図13は本発明のEUV光源装置の上面図、図14は本発明のEUV光源装置の側面図であり、図12と同様、EUV光源装置の一部は省略されている。
図12、図13、図14に示す第2の変形例においては、高温プラズマ原料として液体原料が使用される。具体的には、極端紫外光放射種を含む液体原料であり、例えば、Sn(スズ)を含む。
第2の変形例における原料供給ユニット40は、液体原料を所定の空間に供給する機能を有する。当該原料供給ユニット40は、液体原料供給手段40a、原料供給円盤40b、第3のモータ40cから構成される。なお、液体原料供給手段40a、図示を省略した第3のモータ駆動機構は、図12、図13、図14において図示を省略した制御部により駆動制御される。
原料供給用円盤40bの側面部には溝部が設けられる。まず、液体原料は、液体原料供給手段40aにより上記溝部の中に供給される。次いで、原料供給円盤40bを第3のモータ40cにより一方向に回転させる。溝部に供給された液体原料は、溝部の回転とともに移動する。
溝部に供給された液体原料は、レーザ源23aから放出されるレーザビーム23が照射されたとき、気化する。上記したように、気化した高温プラズマ用原料の広がる方向は、レーザビーム23の原料への入射位置に依存する。よって、溝部に供給された液体原料へのレーザビーム23の入射位置が放電領域を臨むように、原料供給用円盤40bは放電領域に対して配置される。
具体的には、溝部が設けられた側面部が放電領域を臨むように原料供給用円盤40bは配置される。なお、原料供給用円盤40bが配置される位置は、溝部に供給された液体原料にレーザビーム23が照射されることにより気化した原料が、放電領域に到達可能な位置である。
そして、液体原料が供給され、かつ、放電領域を臨む溝部へレーザビーム23を照射したとき、気化後の高温プラズマ原料(液体原料)が放電領域の方向に広がるように、レーザ源23aから放出されるレーザビーム23の光軸、および、レーザビーム23のエネルギーが調整される。
放電領域と原料供給用円盤40bとの距離は、レーザビーム23の照射により放電領域の方向に広がる気化後の高温プラズマ原料が、所定の空間密度分布で放電領域に到達するように設定される。
ここで、溝部に供給された液体原料は溝部の回転とともに移動するので、液体原料供給手段40aにより溝部の中に液体原料を連続的に供給することにより、所定のレーザビーム23の照射位置に連続的に供給することが可能となる。
なお、図12、図13、図14に示すように、第2の変形例の構成においては、溝部に供給された液体原料は光軸に対して垂直な平面上の空間であり、かつ、放電領域近傍に対して移動し、レーザビーム23は、光軸と垂直な方向から溝部に供給された液体原料に対して照射される。そのため、気化後の高温プラズマ原料(液体原料)は、EUV集光鏡2の方向には広がらない。よって、高温プラズマ原料へのレーザビーム23の照射、および、電極間で発生する放電により生成するデブリは、EUV集光鏡2に対してほとんど進行しない。
(3)第3の変形例
図15、図16は実施例の第3の変形例を説明するための図である。詳細には、図15は本発明のEUV光源装置の上面図であり、EUV放射は同図左側へ取り出される。一方、図16は、EUV光源装置の側面図である。
図15、図16は、図4に示すEUV光源装置において、原料供給ユニット20の部分および電極を置換したものを示している。なお、理解を容易にするために、図15は、原料供給ユニットの配置、構成に重点をおいて示したものであり、EUV光源装置の一部は省略されている。なお、省略された部分は、図4と同等である。
図15、図16に示す第3の変形例においては、高温プラズマ原料として液体原料が使用される。具体的には、極端紫外光放射種を含む液体原料であり、例えば、Sn(スズ)を含む。
第3の変形例における原料供給ユニット50は、液体原料を所定の空間に供給する機能を有する。当該原料供給ユニット50は、液体原料バス50a、キャピラリー50b、ヒータ50c、液体原料バス制御部50d、ヒータ用電源50eから構成される。なお、液体原料バス制御部50d、ヒータ用電源50eは、図15、図16において図示を省略した制御部により駆動制御される。
液体原料バス50aは、極端紫外光放射種を含む液体原料を収容するものである。液体原料バス50aには、極細管であるキャピラリー50bが設けられている。キャピラリー50bは、液体原料バス50aの液体原料収容部に貫通している。第3の変形例における原料供給ユニット50においては、液体原料バス50aに収容される液体原料は、毛細管現象により、キャピラリー50b内部を輸送されキャピラリー50b先端へ導かれる。
液体原料バス50aに収容される極端紫外光放射種を含む液体原料としては、例えば、Sn(スズ)が用いられる。液体原料バスの温度は、Snが液体状態を維持するように、液体原料バス制御部50dにより制御される。また、キャピラリー50bは、管中での液体原料の固化を回避するために、ヒータ50cにより加熱される。ヒータ50cへの電力供給は、ヒータ用電源50eにより行われる。
キャピラリー50bの先端に到達した液体原料にレーザ源23aから放出されるレーザビーム23が照射されたとき、液体原料は気化する。上記したように、気化した高温プラズマ用原料の広がる方向は、レーザビーム23の原料への入射位置に依存する。
よって、キャピラリー50b先端に到達した液体原料へのレーザビーム23の入射位置が放電領域を臨むように、キャピラリー50bの先端は配置される。なお、キャピラリー50bの先端が配置される位置は、キャピラリー50b先端に供給された液体原料にレーザビーム23が照射されることにより気化した原料が、放電領域に到達可能な位置である。
そして、液体原料がキャピラリー50b先端に供給され、かつ、キャピラリー先端にレーザビーム23を照射したとき、気化後の高温プラズマ原料(液体原料)が放電領域の方向に広がるように、レーザ源23aから放出されるレーザビームの光軸、および、レーザビーム23のパワーが調整される。
ここで、放電領域とキャピラリー50b先端との距離は、レーザビーム照射により放電領域の方向に広がる気化後の高温プラズマ原料が、所定の空間密度分布で放電領域に到達するように設定される。
また、キャピラリー50b先端に供給される液体原料は毛細管現象により液体原料バス50aより移動するので、所定のレーザビーム23の照射位置に連続的に供給することが可能となる。
なお、図15、図16に示す第3の変形例においては、柱状電極である第1電極11’、第2電極12’が採用されている。これらの第1電極11’、第2電極12’は、所定距離だけ離間して配置され、両者はパルス電力発生器8に接続される。勿論、電極として回転電極を採用することも可能である。
また、図15、図16に示すように、第3の変形例の構成においては、液体原料が供給されるキャピラリー50b先端は光軸に対して垂直な平面上の空間に位置し、レーザビーム23は、上記位置に配置されたキャピラリー50b先端に供給された液体原料に対して照射される。そのため、気化後の高温プラズマ原料(液体原料)は、EUV集光鏡2の方向には広がらない。よって、高温プラズマ原料へのレーザビームビームの照射、および、電極間で発生する放電により生成するデブリは、EUV集光鏡2に対してほとんど進行しない。
(4)実施例の変形例におけるEUV光源装置の動作
上記した種々の実施例の変形例においては、レーザビーム照射位置に高温プラズマ原料が連続的に供給される。よって、これらの実施例の変形例におけるEUV光源装置の動作例は、前記実施例におけるEUV光源装置の動作例と幾分相違する。以下、第1の変形例を例にとって、EUV光源装置の動作例を示す。
図17、図18は本実施例の動作を示すフローチャート、図19はタイムチャートであり、以下図17−図19により、本実施例の動作を説明する。なお、本変形例と、先に説明した実施例では、その動作に大きな違いはなく、ここでは、前述したのと同様な部分については簡単に説明する。
EUV光源装置の制御部26は、前記したように図1に示した時間データΔtd、Δti、Δtgを記憶している。すなわち、Δtdは、パルス電力発生器8のスイッチング手段にトリガ信号が入力した時点(時刻Td)から、スイッチング手段がon状態とって電極間電圧が閾値Vpに到達するまでの時間、Δtiは、放電開始後、電極間を流れる電流の大きさが閾値Ipに到達するまでの時間であり、Δtgは、レーザビームが原料に照射された時点から気化原料の少なくとも一部が放電領域に到達するまでの時間である。
前述したように、放電電極に印加される電圧Vが大きいと、放電電極間の電圧波形の立ち上がりは速くなるので、上記したΔtdは放電電極に印加される電圧Vに依存することになる。
前述したようにEUV光源装置の制御部26は、予め実験等で求めた電圧Vと時間Δtdとの関係をテーブルとして記憶している。また、EUV光源装置の制御部26は、補正時間γ、ε、およびパルス電力発生器8のスイッチング手段に主トリガ信号が出力される時点から、当該主トリガ信号がパルス電力発生器8のスイッチング手段に入力してスイッチング手段がonとなる時点までの遅延時間d1を記憶している。
まず、EUV光源装置の制御部26からのスタンバイ指令が、真空排気装置4,5、ガス供給ユニット13,14、第1のモータ22a、第2のモータ22b,駆動機構30dに送信される(図17のステップS701、図19のS801)。
前述したように、スタンバイ指令を受信した真空排気装置4,5、ガス供給ユニット13,14、第1のモータ22a、第2のモータ22b、駆動機構30dが動作を開始する。これにより、放電空間1aが真空雰囲気となる。また、ガスカーテンが形成され、集光空間1b内にバッファーガス、クリーニングガスを供給され、集光空間1bが所定の圧力に到達する。
また、第1のモータ22a、第2のモータ22bが動作して、第1の回転電極11、第2の回転電極12が回転する。更に、駆動機構30dによってリール30eが回転駆動されることにより、リール30aから送出され、スタンバイ状態となる(図17のステップS702、図19のS802)。
EUV光源装置の制御部26は、露光装置の制御部27にスタンバイ完了信号を送信する(図17のステップS705、図19のS805)。
EUV光源装置の制御部26は露光装置の制御部27より、発光指令を受信する。なお、EUV放射の強度を露光装置側がコントロールする場合、本発光指令には、EUV放射の強度データも含まれる(図17のステップS706、図19のS806)。
EUV光源装置の制御部26は、充電制御信号をパルス電力発生器8の充電器CHに送信する。充電制御信号は、例えば、放電開始タイミングデータ信号等からなる。上記したように、露光装置の制御部27からの発光指令にEUV放射の強度データが含まれる場合、主コンデンサC0への充電電圧データ信号も上記充電制御信号に含まれる。
前述したように、予め、EUV放射強度と主コンデンサC0への充電電圧との関係が実験等により求められ、両者の相関を格納したテーブルが作成される。EUV光源装置の制御部26は、このテーブルを記憶しており、露光装置の制御部27から受信した発光指令に含まれるEUV放射の強度データに基づき、上記テーブルより主コンデンサC0の充電電圧データを呼び出し、この充電電圧データに基づき、EUV光源装置の制御部26は、主コンデンサC0への充電電圧データ信号を含む充電制御信号をパルス電力発生器8の充電器CHに送信する(図17のステップS707、図19のS807)。
充電器CHは上記したように主コンデンサC0の充電を行う。(図17のステップS708)。
EUV光源装置の制御部26は、運転を開始してから最初のEUV光発生(初回パルスという)であるかを判定し(図17のステップS709)、初回パルスの場合には、ステップS709からステップS710に行く。また初回パルスでない場合には、ステップS716に行く。
ステップS710で、EUV光源装置の制御部26は、レーザ源23aの動作を制御するレーザ制御部23bへのトリガ信号の送出タイミングを計算する。
初回パルスの場合は、後述する電圧カウンタ、電流カウンタのカウント値が使用できず、後述するフィードバック補正をできないため、予め記憶している時間データΔtd、Δti、Δtg、d1、γに基づき、上記タイミングを決定する。
なお、前述した図1に示すように、パルス電力発生器8のスイッチング手段に主トリガ信号が入力してスイッチング手段がonとなる時点Tdを基準として、レーザビーム23が照射される時間TLを設定することが望ましい。
本実施例では、パルス電力発生器8のスイッチング手段に主トリガ信号を出力する時点Td’から、当該主トリガ信号がパルス電力発生器8のスイッチング手段に入力してスイッチング手段がonとなる時点Tdまでの遅延時間d1を予め求めておき、パルス電力発生器8のスイッチング手段に主トリガ信号を出力した時点Td’を上記遅延時間d1で補正して、スイッチング手段がonとなる時点Tdを求める。
一方、トリガ信号が送出された時点TL’からレーザビームが照射されるまでの遅延時間dLは、nsオーダーと無視できる程小さいので、ここでは、考えない。
すなわち、パルス電力発生器8のスイッチング手段に主トリガ信号を出力した時点Td’を基準として、レーザ源23aの動作を制御するレーザ制御部23bへのトリガ信号の送出タイミングTL’を設定することにより、パルス電力発生器8のスイッチング手段に主トリガ信号が入力した時点Tdを基準としたレーザビーム23が照射される時間TLの設定が実現される。
主トリガ信号を送信する時点を基準(時刻Td’)とするとき、レーザ制御部23bへのトリガ信号の送出タイミングTL’は以下のように求められる。
前述したように、レーザビームが照射されるタイミングTLは、パルス電力発生器8のスイッチング手段がonとなる時点Tdを基準としたとき、前記(26)式が成り立ち、主トリガ信号を送信する時点Td’を基準としたときのレーザ源の動作を制御するレーザ制御部へのトリガ信号の送出タイミングTL’は、(28)式となるが、前述したように、遅延時間dLが無視できる程小さいので、トリガ信号の送出タイミングTL’は
TL’≧Td’+d1+Δtd…(29)
となる。ここで、前述したように、電極間電圧が確実に閾値Vpを越えた時点で、レーザビームが照射されるように、レーザビーム23が照射される時点を、Δtdより幾分遅延させてもよい。この遅延時間を補正時間γと定義し、式(29)を変形すると、
TL’≧Td’+d1+Δtd+γ…(30)となる。
本実施例でも前述したように、
TL’=Td’+d1+Δtd+γ…(31)
とする。なお、当然ながら、TL’の設定は、(31)式に限るものではなく、(30)式を満たせばよい。例えば、前述したように、TL’=Td’+d1+Δtdとしてもよい。
上記したように、レーザビーム23が原料31に照射された時点から気化原料の少なくとも一部が放電領域に到達するまでの時間Δtgとレーザビームが高温プラズマ原料に照射される時点TLとは、前記(27)式の関係が成立する必要がある。
(27)式をレーザ制御部へのトリガ信号の送出タイミングTL’とΔtgとの関係式に変形すると、前記(32)式のようになり、ΔtgとΔtiとの関係は前記したように Δti≦Δtg≦Δti+Δtp…(33)
となる。
上記したように、Δtgは、放電領域と原料の位置、原料へのレーザビームの照射方向、レーザビームの照射エネルギーに依存する。これらのパラメータは、(33)式が成立するように適宜、設定される。
本実施例でも、放電電流が確実に閾値Ipを越えた時点で、気化原料の少なくとも一部が放電領域に到達するように、Δtgを設定する。すなわち、前記したようにΔtgの長さをΔtiより幾分長く設定し、この補正時間εと定義すると、ΔtiとΔtgとの関係は以下のようになる。
Δtg=Δti+ε (ε≦Δtp)…(34)
すなわち、放電領域と原料の位置、原料へのレーザビームの照射方向、レーザビームの照射エネルギーといったパラメータは、(34)式が成立するように適宜設定される。
上記したように、主トリガ信号を送信する時点Td’を基準としたときのトリガ信号の送出タイミングTL’は、(31)式で表される。
すなわち、ステップS710において、EUV光源装置の制御部26は、予め記憶している時間データΔtd、d1、γに基づき、式(31)により、主トリガ信号を送信するタイミングTd’を基準としたときのレーザ制御部23bへのトリガ信号の送出タイミングTL’を求める(図19のS808)。
ここで、時間データΔtdは、電圧Vと時間Δtdとの対応を格納するテーブルより呼び出される。放電電極11,12に印加する電圧Vのデータは、例えば、ステップS707で充電制御信号をパルス電力発生器8の充電器CHに送信する際にEUV放射強度と主コンデンサC0への充電電圧との相関を格納したテーブルから呼び出した主コンデンサC0の充電電圧データをそのまま使用する。
EUV光源装置の制御部26は、主コンデンサC0の充電が安定するまでの時間であるチャージャ充電安定時間tstが経過した時点後、主トリガ信号をパルス電力発生器8のスイッチング手段に送信する。そのときのタイミングをTd’とする。(図17のステップS711、図19のS809)。
EUV光源装置の制御部26は、ステップS711で主トリガ信号を送信した時点Td’を基準として、式(31)により求めた、時点Td’を基準としたときのレーザ制御部23bへのトリガ信号の送出タイミングTL’で、トリガ信号をレーザ制御部23bへ送信する(図17のステップS712、図19のS813)。
EUV光源装置の制御部26は、主トリガ信号の出力開始で電極間電圧が閾値Vpまで到達するまでを計測する電圧カウンタを動作させる。また、トリガ信号の出力開始で放電電流が閾値Ipまで到達するまでを計測する電流カウンタを動作させる(図18のステップS713、図19のS812、S816)。
なお、前述したように電圧カウンタと、電流カウンタは、露光装置の制御部から発光指令信号が入力されたとき0クリアされている。電圧カウンタは、前述したように主トリガ信号の出力後、電極間電圧が閾値Vpに到達するまでの時間を一定にするためにフィードバック制御するためのものであり、電流カウンタは、トリガ信号の出力後、ΔtgとΔtiとの関係が(34)式を満たしているかどうかを確認するためのものである。
すなわち、主トリガ信号を送信した時点Td’を基準としたときのレーザ制御部23bへのトリガ信号の送出タイミングTL’は、最初の一回目(初回パルス)は、上記のように、式(31)に基づいて決定するが、2回目以降は、後述するように上記式(31)を、前記電圧カウンタ、電流カウンタのカウント値に基づき補正した値に基づいて決定する。
EUV光源装置の制御部26は、不図示の電圧モニタにより電極間電圧が閾値Vpに到達したタイミングを検出し、電圧カウンタを停止させる。また、不図示の電流モニタにより放電電流が閾値Ipに到達したタイミングを検出し、電流カウンタを停止させる(図18のステップS714、図19のS812、S816)。
ステップS711において、タイミングTd’で主トリガ信号が送出され、当該主トリガ信号がパルス電力発生器8のスイッチング手段に入力されてから遅延時間d1経過すると、スイッチング手段(例えば、IGBT)がonとなる(図19のS809、S810)。
スイッチング手段がonとなると、第1の回転電極11、第2の回転電極12間の電圧が立ち上がり、時間Δtd後に、電極間電圧が閾値Vpに到達する。上記したように、この閾値Vpは、放電が発生したときに流れる放電電流の値が閾値Ip以上となる場合の電圧値である(図19のS810、S811)。
上記したように、ステップS712において、(31)式に基づくタイミングTL’で、トリガ信号がレーザ制御部23bへ送出される。その結果、電極間電圧が閾値Vpに到達した時点(Td+Δtd)以降の時点TLにおいて、レーザビーム23が放電領域に照射される(図19のS813、S814)。
レーザビーム23が放電領域に照射されて、放電領域にて放電が開始する。放電開始後、Δti後に、放電電流の大きさが上記した閾値Ipに達する(図19のS814、S815)。この閾値Ipは、所定強度のEUV放射を得るために必要な放電電流値の下限である。なお、放電電流値が閾値Ip以上である期間をΔtpとする。
一方、レーザビーム23が放電領域を通過するときのタイミングと高温プラズマ原料31に照射されるタイミングはほぼ同時と見なしてよい。ここで、高温プラズマ原料31に照射される位置でのレーザビーム23のエネルギー、レーザビーム23の照射方向、放電領域と高温プラズマ原料31との位置関係が(26)式、(27)式を満たすように適宜設定されている。
よって、空間密度分布が所定の分布である気化原料の少なくとも一部は、放電電流の大きさが所定強度のEUV放射を得るために必要な放電電流値の下限以上となっている期間中に到達する(図19のS817)
すなわち、ステップS711、S712でEUV光源装置の制御部26が各トリガ信号を送信した結果、放電チャンネルの位置が所定の位置に画定される。また、位置が画定される放電チャンネルにおいて、空間密度分布が所定の分布である気化原料の少なくとも一部が放電チャンネルに到達している状態で、放電電流の大きさが所定強度のEUV放射を得るために必要な放電電流値の下限以上となっているように、放電が発生する。
放電は、第1の回転電極11、第2の回転電極12の周縁部のエッジ部分間で発生し、プラズマが形成される。プラズマを流れるパルス状の大電流によりプラズマが加熱励起され高温化すると、この高温プラズマから波長13.5nmのEUV放射が発生する(図18のステップS715)。
なお、上記した所定の空間密度分布は、EUV放射ができるだけ効率的に発生するように設定されている。具体的には、放電領域に対する原料の供給位置、原料へのレーザビームの照射方向、レーザビームの照射エネルギー等が、EUV放射ができるだけ効率的に発生するように適宜設定される。
また、放電チャンネルの位置が、レーザビームの照射により所定の位置に画定され、プラズマが生成する位置の位置安定性は向上する。
すなわち、EUV光源装置の制御部26が各トリガ信号を送信した結果、効率のよいEUV放射の発生、および、EUV放射の発生位置の安定化が実現される。
プラズマから放射されたEUV放射は、隔壁に設けられた開口、ホイルトラップを通過して集光空間に配置された斜入射型のEUV集光鏡により集光され、チャンバに設けられたEUV光取出部より図示を省略した露光装置の照射光学系へ導かれる。
以上のように初回のEUV放射が終わると、次いで、ステップS706に戻り、露光装置からの発光指令を待機する。発光指令受信後、上記したステップS707、S708を経て、ステップS709に移行する。次回のEUV放射は、初回のパルスではないので、ステップS709からステップS716に行く。
ステップS716において、EUV光源装置の制御部26は、ステップS714において計測した主トリガ信号の出力開始後電極間電圧が閾値Vpまで到達するまでの時間である電圧カウンタの値、および、トリガ信号の出力開始後放電電流が閾値Ipまで到達するまでの時間である電流カウンタの値を基に、レーザ制御部へのトリガ信号の送出タイミングTL’のフィードバック演算を前記(20)(21)式より行う。
tvcal=(d1+Δtd)−tvc…(20)
tical=Δti−tic…(21)
ここで、前記したようにtvcalは、主トリガ信号の出力開始後電極間電圧が閾値Vpまで到達するまでの時間の補正値であり、tvcは電圧カウンタで計測した時間である。また、ticalは、トリガ信号の出力開始後放電電流が閾値Ipまで到達するまでの時間の補正値であり、ticは電流カウンタで計測した時間である。(図17のステップS716、図19のS808)。
なお、(20)式から明らかなように、tvcalは、主トリガ信号を出力する時点Td’から、当該主トリガ信号がパルス電力発生器8のスイッチング手段に入力してスイッチング手段がonとなる時点Tdまでの遅延時間d1と、スイッチング手段がonとなる時点Tdから電極間電圧が閾値Vpまで到達するまでの時間の総和の補正値である。
上記したように、パルス電力発生器8のスイッチング手段である固体スイッチSWは、大電流を流すことが可能なIGBT等の半導体スイッチング素子が使用されることが多い。このようなIGBT等の半導体スイッチング素子は、ゲート信号(本実施例の主トリガ信号に相当)が入力して実際にonとなる時間はある程度、ばらつく。すなわち、(20)式は、スイッチング素子のばらつきの補正も考慮されたものである。
EUV光源装置の制御部26は、ステップS716において求めた補正値を考慮して、主トリガ信号を送信した時点Td’を基準としたときのレーザ制御部へのトリガ信号の送出タイミングTL’を次式により決定する(図17のステップS717、図19のS808)。
TL’=Td’+d1+Δtd+γ+tvcal (40)
また、EUV光源装置の制御部26は、主コンデンサC0の充電が安定するまでの時間であるチャージャ充電安定時間tstが経過した時点時点後、主トリガ信号を送信する。そのときのタイミングをTd’とする(図17のステップS718、図19のS809)。
次いで、ステップS7185に移行し、EUV光源装置の制御部26は、トリガ信号の出力開始後放電電流が閾値Ipまで到達するまでの時間の補正値ticalで補正したΔtiとΔtgとの関係を検定する。すなわち、Δti+ticalとΔtgとの大小を検定する。検定の結果、Δtg<Δti+ticalであるとき、ステップS7186に移行する。一方、Δtg≧Δti+ticalのときステップS719に移行する。
Δtg<Δti+ticalである場合、放電電流が閾値Ipに到達する以前に、空間密度分布が所定の分布である気化原料の少なくとも一部が放電領域に到達してしまう。そのため、上記気化原料の少なくとも一部が放電領域に到達してから放電電流が閾値Ipに到達するまでの期間、不所望な発光が発生する。
結果として、放電領域から放射されるEUV放射に、波長13.5nm以外の帯域外光が含まれてしまう。すなわち、EUV光源装置から放出されるEUV放射のスペクトル純度が悪化する。ステップS7186において、EUV光源装置の制御部26は、露光装置の制御部27に、スペクトル純度の悪化を示す警告信号を送信する(図19のS818)。
警告信号の送信後もEUV光源装置の稼動を続行する場合は、ステップS719に移行する。
なお、スペクトル純度の悪化を検出後、EUV光源装置の稼動を停止する場合は、上記ステップS7186においてEUV光源装置の稼動を停止する。そして、放電領域と原料の位置、原料へのレーザビームの照射方向、レーザビームの照射エネルギーといったパラメータを再設定して、(34)式が成立するようにする。
本実施例においては、警告信号の送信後もEUV光源装置の稼動を続行するものとする。
一方、ステップS7185において、Δtg≧Δti+ticalの場合は、放電電流が閾値Ipに到達した時点以降に、気化原料の少なくとも一部が放電領域に到達することになる。よって、スペクトル純度が悪化することもないので、そのままステップS719に移行する。
上記したステップS7185の検定は、前述したように、放電開始後、電極間を流れる電流の大きさが閾値Ipに到達するまでの時間Δtiのジッタの影響を排除するためのものである。(34)式における補正時間ε(ε≦Δtp) が、上記ジッタの大きさより十分大きいと判明している場合には、ステップS7185の検定を省略することが可能となる。
ステップS719において、EUV光源装置の制御部26は、ステップS718で主トリガ信号をパルス電力発生器8のスイッチング手段に送信した時点Td’を基準として、式(40)により求めた、時点Td’を基準としたときのレーザ制御部へのトリガ信号の送出タイミングTL’を、レーザ制御部へ送信する(図17のステップS719、図19のS813)。
次いで、図18のステップS713に移行し、EUV光源装置の制御部26は、主トリガ信号の出力開始で電極間電圧が閾値Vpまで到達するまでを計測する電圧カウンタを動作させる。また、第2トリガ信号の出力開始で放電電流が閾値Ipまで到達するまでを計測する電流カウンタを動作させる(図19のS812、S816)。なお、上記したように、電圧カウンタと、電流カウンタは、露光装置の制御部27から発光指令信号が入力されたとき、0クリアされている。
EUV光源装置の制御部26は前述したように、不図示の電圧モニタにより電極間電圧が閾値Vpに到達したタイミングを検出し、電圧カウンタを停止させる。また、不図示の電流モニタにより放電電流が閾値Ipに到達したタイミングを検出し、電流カウンタを停止させる(図18のステップS714、図19のS812、S816)。
ステップS718において、タイミングTd’で主トリガ信号が送出され、当該主トリガ信号がパルス電力発生器8のスイッチング手段に入力されてから遅延時間d1経過すると、スイッチング手段がonとなり(図19のS809、S810)、第1の回転電極11、第2の回転電極12間の電圧が立ち上がり、時間Δtd後に、電極間電圧が閾値Vpに到達する(図19のS810、S811)。
上記したように、ステップS719において、(40)式に基づくタイミングTL’で、トリガ信号がレーザ制御部23bへ送出される。その結果、電極間電圧が閾値Vpに到達した時点(Td+Δtd)以降の時点TLにおいて、レーザビーム23が放電領域に照射される(図19のS813、S814)。
レーザビーム23が放電領域に照射されて、放電領域にて放電が開始する。放電開始後、Δti後に、放電電流の大きさが上記した閾値Ipに達する(図19のS814、S815)。この閾値Ipは、所定強度のEUV放射を得るために必要な放電電流値の下限である。なお、放電電流値が閾値Ip以上である期間をΔtpとする。
一方、レーザビーム23が放電領域を通過するときのタイミングと高温プラズマ原料に照射されるタイミングはほぼ同時と見なしてよい。ここで、高温プラズマ原料に照射される位置でのレーザビームのエネルギー、レーザビームの照射方向、放電領域と高温プラズマ原料との位置関係が(26)式、(27)式を満たすように適宜設定されている。
よって、空間密度分布が所定の分布である気化原料の少なくとも一部は、放電電流の大きさが所定強度のEUV放射を得るために必要な放電電流値の下限以上となっている期間中に到達する(図19のS817)
すなわち、ステップS718、S719でEUV光源装置の制御部26が各トリガ信号を送信した結果、放電チャンネルの位置が所定の位置に画定される。また、位置が画定される放電チャンネルにおいて、空間密度分布が所定の分布である気化原料の少なくとも一部が放電チャンネルに到達している状態で、放電電流の大きさが所定強度のEUV放射を得るために必要な放電電流値の下限以上となっているように、放電が発生する。
放電は、第1の回転電極11、第2の回転電極12の周縁部のエッジ部分間で発生し、プラズマが形成される。プラズマを流れるパルス状の大電流によりプラズマが加熱励起され高温化すると、この高温プラズマから波長13.5nmのEUV放射が発生する(図17のステップS715)。
なお、上記した所定の空間密度分布は、EUV放射ができるだけ効率的に発生するように設定されている。また、放電チャンネルの位置が所定の位置に画定されるので、プラズマが生成する位置の位置安定性は向上する。
すなわち、ステップS718、S719でEUV光源装置の制御部26が各トリガ信号を送信した結果、効率のよいEUV放射の発生、および、EUV放射の発生位置の安定化が実現される。
プラズマから放射されたEUV放射は、隔壁1cに設けられた開口、ホイルトラップ3を通過して集光空間1bに配置された斜入射型のEUV集光鏡2により集光され、チャンバ1に設けられたEUV光取出部7より図示を省略した露光装置の照射光学系へ導かれる。
以下、露光工程が継続する間は、ステップS706乃至ステップS715間の工程が繰り返される。露光工程が終了する場合は、ステップS715の後、エンドとなる。
以上のように動作させることにより、レーザビームが放電領域を通過するときのタイミングと高温プラズマ原料に照射されるタイミング、放電領域におけるレーザビームの集光強度、高温プラズマ原料に照射される位置でのレーザビームのエネルギー、レーザビームの照射方向、放電領域と高温プラズマ原料との位置関係等が適宜設定される。
よって、空間密度分布が所定の分布である気化した高温プラズマ原料の少なくとも一部が放電領域に到達して、放電領域において高温プラズマ原料が所定の空間密度分布で存在する間に、放電後の放電電流が所定の値に到達し、所定の強度のEUV放射が得られる。
すなわち、実施例の変形例においても、1つのレーザビームの照射により、放電領域における放電チャンネルの位置が画定されるとともに、位置が画定される放電チャンネルにおいて原料が所定の空間密度分布に維持されているタイミングで放電後の放電電流が所定の値に到達する。よって、効率のよいEUV放射が実現可能となる。
また、放電チャンネルがレーザビームの集光線上に画定されるので、EUV放射の発生点の位置安定性が向上する。
特に、本実施例では、主トリガ信号の出力後電極間電圧が閾値Vpに到達するまでの時間が一定となるようにフィードバック制御を行っている。そのため、例えば、パルス電力発生器8のスイッチング手段である固体スイッチSWとして使用されるIGBT等の半導体スイッチング素子の動作にばらつきが生じたとしても、確実に効率のよいEUV放射を実現することが可能となる。
(5)気化原料放出ノズル
エネルギービーム(レーザビーム)の照射により放電領域方向へと広がる高温プラズマ原料は、できるだけ多く放電領域に到達する方が好ましい。放電領域以外に到達した高温プラズマ原料が多いと、供給した高温プラズマ原料からのEUV放射の取り出し効率が低下し好ましくない。また、放電領域以外に到達した高温プラズマ原料の一部は、デブリとしてEUV光源装置内の低温部と接触し、堆積する可能性もある。
そこで、図20に示すように、高温プラズマ原料61のエネルギービーム照射位置に原料噴出用の管状ノズル60aを取り付けてもよい。図20は管状ノズル60aを使用した場合の概念図である。
図20(a)に示すように、エネルギービーム(レーザビーム23)は、管状ノズル60aの貫通孔を通過する。管状ノズル60aを通過したエネルギービームが高温プラズマ原料61に照射されると、原料は気化する。図20(b)に示すように、気化原料は、管状ノズル60aを通過し、管状ノズル60aより噴出する。
管状ノズル60aより噴出する気化原料61’は、管状ノズル60aにより噴射角度が制限される。そのため、指向性が良好で高密度の気化原料を放電領域に供給することが可能となる。
なお、管状ノズルの形状は、図20に示すような直管形状に限るものではない。例えば、図21に示す概念図のように、ノズル内部の一部に狭窄部62を設けた高速噴射用ノズル60bの形状でもよい。
図21(a)に示すように、エネルギービームは、高速噴射用ノズル60bの貫通孔を通過する。高速噴射用ノズル60bを通過したエネルギービームが高温プラズマ原料61に照射されると、原料61は気化する。ここで、高速噴射用ノズル60b内部に狭窄部62が設けられているので、当該狭窄部62と、高温プラズマ原料61のエネルギービームが照射される部分との間の空間(図21(b)の圧力上昇部63)内は、気化した原料により圧力が急激に上昇する。そして、図21(b)に示すように、気化原料61’は、狭窄部62の開口部分から加速され、かつ、指向性のよい高速ガス流として噴射される。
ここで、高速ガス流の噴射方向は、高速噴射用ノズル60bの方向に依存する。すなわち、気化原料の進行方向は、エネルギービームの高温プラズマ原料61への入射方向には依存しない。
なお、狭窄部62の開口は断面積が小さいので、エネルギービームが高温プラズマ原料61に照射されない時間が長いと、高温プラズマ原料61が固化し、開口が閉塞してしまうことも考えられる。よって、図21(c)に示すように、高温プラズマ原料61が高速噴射用ノズル60b内部で固化しないように、高速噴射用ノズル60bをヒータ64等で加熱してもよい。
なお、図20、図21に示した管状ノズル60a、高速噴射用ノズル60bは、実施例や各変形例に適用可能である。しかしながら、管状ノズル60a、高速噴射用ノズル60bは、できるだけ高温プラズマ原料61に近接した方が、より効果的である。
特に、高速噴射用ノズル60bは、圧力上昇部63を構成する必要があるので、高速噴射用ノズル60b内部に狭窄部62と、高温プラズマ原料61のエネルギービームが照射される部分との間の空間は、できるだけ気密な空間として構成することが望ましい。例えば、図22に示すように、高温プラズマ原料61を収容する原料収容部60cと高速噴射用ノズル60bとを一体に構成した原料供給ユニット60を使用することが好ましい。
以上のように、本発明のEUV光源装置においては、1つのエネルギービームの照射により、空間密度分布が所定の分布である高温プラズマ原料の放電領域への供給、放電の始動、放電チャンネルの画定を実施することが可能となる。
この場合、エネルギービームが放電領域を通過するときのタイミングと高温プラズマ原料に照射されるタイミング、放電領域におけるエネルギービームの強度(エネルギー)、高温プラズマ原料に照射される位置でのエネルギービームのエネルギー、エネルギービームの照射方向、放電領域と高温プラズマ原料との位置関係(放電領域に対する高温プラズマ原料の供給位置)等を適宜設定することにより、空間密度分布が所定の分布である気化した高温プラズマ原料の少なくとも一部が放電領域に到達した時、放電領域で発生した放電の放電電流が所定の閾値以上であるように設定することが可能となる。よって、効率のよいEUV放射が実現可能となる。
(6)調整照射
ここで、放電電極間で放電が発生しやすいように、エネルギービームの調整照射を行っても良い。以下、このような放電の始動性の改善策について、簡単に説明する。
例として、実施例に示すEUV光源装置において、調整照射の実施手順を説明する。
本手順においては、例えば前記図4、図5において、第1の放電電極11、第2の放電電極12へのパルス電力の印加をしない状態で、レーザビーム23を高温プラズマ原料21に1回以上照射するものである。このようなレーザビームの照射を調整照射と呼ぶことにする。
調整照射が実施されると、気化した高温プラズマ原料21が放電領域に到達する。放電領域に到達した気化した高温プラズマ原料の一部は、第1の放電電極11、第2の放電電極12に付着する。
このような状態で、第1の放電電極11、第2の放電電極12へのパルス電力の印加を行い、エネルギービームが放電領域の所定の位置に照射されると、放電領域近傍に位置する上記第1の放電電極11、第2の放電電極12に付着した高温プラズマ原料の一部が気化する。気化した原料は放電に寄与するので、放電電極間で放電が確実に発生しやすくなる。すなわち、放電の始動性が改善される。
なお、放電電極に付着した高温プラズマ原料の一部が気化するためには、エネルギービームの少なくとも一部が、放電電極の高温プラズマ原料が付着した部分照射される必要がある。
本発明におけるEUV生成を説明するタイミングチャート(1)である。 電極、原料供給位置、レーザビームの照射位置の相互関係を説明するための概略図(1)である。 電極、原料供給位置、レーザビームの照射位置の相互関係を説明するための概略図(2)である。 本発明の実施例のEUV光源装置の断面構成(正面図)を示す図である。 本発明の実施例のEUV光源装置の断面構成(上面図)を示す図である。 原料供給ユニットより滴下される原料の位置のモニタリングを説明する図である。 図4、図5に示す実施例の動作を示すフローチャート(1)である。 図4、図5に示す実施例の動作を示すフローチャート(2)である。 図4、図5に示す実施例の動作を示すタイムチャートである。 図4、図5に示す実施例のEUV光源装置の第1の変形例(正面図)を示す図である。 図4、図5に示す実施例のEUV光源装置の第1の変形例(上面図)を示す図である。 図4、図5に示す実施例のEUV光源装置の第2の変形例(正面図)を示す図である。 図4、図5に示す実施例のEUV光源装置の第2の変形例(上面図)を示す図である。 図4、図5に示す実施例のEUV光源装置の第2の変形例(側面図)を示す図である。 図4、図5に示す実施例のEUV光源装置の第3の変形例(上面図)を示す図である。 図4、図5に示す実施例のEUV光源装置の第3の変形例(側面図)を示す図である。 図4、図5に示す実施例のEUV光源装置の第1の変形例の動作を示すフローチャート(1)である。 図4、図5に示す実施例のEUV光源装置の第1の変形例の動作を示すフローチャート(2)である。 図4、図5に示す実施例のEUV光源装置の第1の変形例の動作を示すタイムチャートである。 エネルギービームの照射位置に原料噴出用の管状ノズルを取り付けた場合の概念図である。 エネルギービームの照射位置に原料噴出用の高速噴射用ノズルを設け、ノズル内部の一部に狭窄部を設けた場合を示す図である。 高温プラズマ原料を収容する原料収容部と高速噴射用ノズルとを一体に構成した場合を示す図である。
符号の説明
1 チャンバ
1a 放電空間
1b 集光空間
1c 隔壁
2 EUV集光鏡
3 ホイルトラップ
4,5 真空排気装置
6 磁石
7 EUV取出部
8 パルス電力発生器
11,12 放電電極(回転電極)
11a,12a 給電用溶融金属
11b,12b コンテナ
11c,12c 電力導入部
13,14 ガス供給ユニット
13a ノズル
13b ガスカーテン
20 原料供給ユニット
20a 原料モニタ
21 原料
22a,22b モータ
22c,22d メカニカルシール
22e,22f 回転軸
23 レーザビーム
23a レーザ源
23b レーザ制御部
25 原料回収手段
26 制御部
27 露光装置(制御部)
30 原料供給ユニット
31 線状原料
40 原料供給ユニット
40a 液体原料供給手段
40b 原料供給用円盤
40c モータ
50 原料供給ユニット
50a 液体原料バス
50b キャピラリー
50c ヒータ
50d 液体原料バス制御部
50e ヒータ用電源
60a 管状ノズル
60b 高速噴射用ノズル
61 原料
62 狭窄部
63 圧力上昇部
64 ヒータ

Claims (16)

  1. 容器と、この容器内に極端紫外光を放射させるための、液体または固体の原料を供給する原料供給手段と、
    エネルギービームを上記原料に照射して当該原料を気化するエネルギービーム照射手段と、気化された上記原料を放電により上記容器内で加熱励起し高温プラズマを発生させるための、所定距離だけ離間した一対の電極と、電極にパルス電力を供給するパルス電力供給手段と、
    上記一対の電極による放電の放電領域内で生成された上記高温プラズマから放射される極端紫外光を集光する集光光学手段と、上記集光される極端紫外光を取り出す極端紫外光取出部とを有する極端紫外光光源装置において、
    上記エネルギービーム照射手段は、上記放電領域を除く空間であって、上記気化された原料が放電領域に到達できる空間内に供給された原料に対して、電力が印加された電極間を介してレーザビームを照射するものであって、
    上記エネルギービーム照射手段は、電力が印加された電極間を通過する上記レーザビームにより、上記放電領域内で放電を始動し、かつ、放電領域の所定の位置に放電チャンネルを画定する
    ことを特徴とする極端紫外光光源装置。
  2. エネルギービーム照射手段からエネルギービームを照射した際、空間密度分布が所定の分布である気化した原料の少なくとも一部が放電領域に到達したタイミングで、放電領域で発生した放電の放電電流が所定の閾値以上となるように、
    エネルギービームが放電領域を通過するときのタイミングと高温プラズマ原料に照射されるタイミング、放電領域におけるエネルギービームのエネルギー、高温プラズマ原料に照射される位置でのエネルギービームのエネルギー、エネルギービームの照射方向、および放電領域に対する高温プラズマ原料の供給位置が設定されている
    ことを特徴とする請求項1に記載の極端紫外光光源装置。
  3. 上記原料供給手段による原料供給は、上記原料をドロップレット状にして重力方向に滴下することより行われる
    ことを特徴とする請求項1もしくは2に記載の極端紫外光光源装置。
  4. 上記原料供給手段による原料供給は、上記原料を線状原料として、当該線状原料を連続的に移動することにより行われる
    ことを特徴とする請求項1もしくは2に記載の極端紫外光光源装置。
  5. 上記原料供給手段は原料供給円盤を備え、
    上記原料供給手段による原料供給は、上記原料を液体原料として、当該液体原料を上記原料供給円盤に供給し、上記液体原料が供給された原料供給円盤を回転させて上記原料供給円盤の液体原料の供給部をエネルギービームの照射位置まで移動させることにより行われる
    ことを特徴とする請求項1もしくは2に記載の極端紫外光光源装置。
  6. 上記原料供給手段はキャピラリーを備え、
    上記原料供給手段による原料供給は、上記原料を液体原料として、当該液体原料を上記キャピラリーを介してエネルギービームの照射位置に供給することにより行われる
    ことを特徴とする請求項1もしくは2に記載の極端紫外光光源装置。
  7. 上記原料のエネルギービーム照射位置に管状ノズルを設け、
    エネルギービームの照射により気化した原料の少なくとも一部が上記管状ノズルより噴出する
    ことを特徴とする請求項1もしくは2に記載の極端紫外光光源装置。
  8. 上記管状ノズルの内部の一部に狭窄部を設けた
    ことを特徴とする請求項7記載の極端紫外光光源装置。
  9. 上記放電領域に対して、上記一対の電極間で発生する放電方向と略平行に磁場を印加する磁場印加手段を更に設けた
    ことを特徴とする請求項1,2,3,4,5,6,7もしくは請求項8に記載の極端紫外光光源装置。
  10. 上記一対の電極は円盤状の電極であり、電極表面における放電発生位置が変化するように回転駆動されている
    ことを特徴とする請求項1,2,3,4,5,6,7,8もしくは請求項9に記載の極端紫外光光源装置。
  11. 上記円盤状である一対の電極は、両電極の周縁部のエッジ部分が、所定距離だけ離間して互いに向かい合うように配置されている
    ことを特徴とする請求項10に記載の極端紫外光光源装置。
  12. 上記エネルギービームがレーザビームである
    ことを特徴とする請求項1,2,3,4,5,6,7,8,9,10もしくは請求項11に記載の極端紫外光光源装置。
  13. 内部に一対の電極を含む容器内に供給される極端紫外光を放射させるための液体または固体の原料にエネルギービーム照射して気化し、気化された上記原料を上記一対の電極による放電により加熱励起して高温プラズマを生成して極端紫外光を発生させる極端紫外光発生方法において、
    上記エネルギービームは、上記放電領域を除く空間であつて、上記気化された原料が放電領域に到達できる空間内に供給された原料に対して電力が印加された電極間を介して照射されるものであり、
    電力が印加された電極間を通過する上記レーザビームにより、上記放電領域内で放電が始動され、かつ、放電領域の所定の位置に放電チャンネルが画定される
    ことを特徴とする極端紫外光発生方法。
  14. エネルギービームが照射された際、空間密度分布が所定の分布である気化した原料の少なくとも一部が放電領域に到達したタイミングで、放電領域で発生した放電の放電電流が所定の閾値以上となるように、
    エネルギービームが放電領域を通過するときのタイミングと高温プラズマ原料に照射されるタイミング、放電領域におけるエネルギービームのエネルギー、高温プラズマ原料に照射される位置でのエネルギービームのエネルギー、エネルギービームの照射方向、および放電領域に対する高温プラズマ原料の供給位置が設定されている
    ことを特徴とする請求項13に記載の極端紫外光発生方法。
  15. 放電開始タイミングの時間データを取得し、当該時間データに基づき、エネルギービームの照射タイミングを修正する
    ことを特徴とする請求項14に記載の極端紫外光発生方法。
  16. 上記のように照射タイミングが設定されたエネルギービームの照射に先んじて、一対の電極による放電を休止した状態でエネルギービームを上記原料に1回以上照射する
    ことを特徴とする請求項14もしくは請求項15に記載の極端紫外光発生方法。
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