JP2009099287A - 二次電池用電極材料粉末およびその製造方法 - Google Patents

二次電池用電極材料粉末およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】導電性の高い二次電池用電極の構成要素として好適に使用される電極材料粉末およびその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明によると、二次電池用電極の構成要素として使用される電極材料粉末が提供される。該電極材料粉末を構成する粒子は、二次電池の電極活物質として機能するセラミック材料から実質的に構成されるセラミック粒子10と、セラミック粒子10の表面に形成された層であってアモルファスカーボン質のアモルファス部22に粒状の黒鉛部24が点在したカーボン層20と、を備える複合粒子2である。かかる構成のカーボン層20は、例えば、カーボン質のターゲットを用いて、該ターゲットから生じたドロップレットがセラミック粒子10に到達することを許容する態様で行われるアークイオンプレーティングにより形成することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、リチウム二次電池等の二次電池用の電極の構成要素として用いられる電極材料粉末およびその製造方法ならびに該電極材料粉末を用いてなる二次電池に関する。
正極用および負極用の電極活物質をそれぞれ有する正極および負極と電解質とを備えた二次電池が知られている。この種の二次電池の代表例としてリチウムイオン電池が挙げられる。電極活物質としては、電荷担体となる化学種(リチウムイオン電池ではリチウムイオン)を可逆的に吸蔵および放出可能な材料が用いられる。リチウムイオン電池の正極活物質の好適例としては、リチウムイオンを可逆的に挿入および脱離可能なニッケル酸リチウム等のリチウム遷移金属酸化物が挙げられる。このような電極活物質は、典型的には粉末状の形態で、該活物質を主成分とする電極合材層(活物質層)が電極集電体に保持された態様の電極の構成要素として使用される。
ところで、電池の高性能化のためには電極の導電性は高いほうが望ましい。このため、電極活物質としてリチウム遷移金属酸化物のように導電性の低いセラミック材料を用いるタイプの二次電池では、通常、上記セラミック材料の粉末(活物質粉末)と高導電性材料の粉末(導電材粉末)とが混合された組成の電極合材を有する電極構造(例えば、上記電極合材の層が電極集電体に保持された構造)とすることで導電性の向上を図っている。しかし、このように活物質粉末と導電材粉末とが単に混合された電極合材では、活物質粉末の構成粒子(活物質粒子)と導電材粉末の構成粒子(導電材粒子)との接触が基本的には点接触であるため、導電材の使用量のわりに導電性の向上効果が少なくなりがちである。特許文献1には、活物質粉末としてのリチウム酸化物粉体の表面に導電性物質を付着させる(例えば、カーボンを膜状に蒸着する)ことによって電極の導電性を高める技術が記載されている。他の従来技術文献として特許文献2および3が挙げられる。
特開2000−58063号公報 特開平11−307083号公報 特開2006−302671号公報
かかる状況に鑑み、二次電池用電極の構成要素として使用される電極材料粉末であって、導電性の向上により適した電極材料粉末が提供されれば有用である。本発明は、このような電極材料粉末およびその製造方法を提供することを目的とする。本発明の他の目的は、かかる電極材料粉末を用いてなる二次電池を提供することである。
本発明によると、二次電池用電極の構成要素として使用される電極材料粉末が提供される。その電極材料粉末を構成する粒子は、前記二次電池の電極活物質として機能するセラミック材料から実質的に構成されるセラミック粒子と、該セラミック粒子の表面に形成されたカーボン層とを備える複合粒子である。ここで、上記カーボン層は、アモルファスカーボン質のアモルファス部と、該アモルファス部に点在した粒状の黒鉛部とを有する。
なお、本明細書において「二次電池」とは、繰り返し充電可能な蓄電デバイス一般をいい、リチウム二次電池(典型的にはリチウムイオン電池)、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池等のいわゆる蓄電池ならびに電気二重層キャパシタ等の蓄電素子を包含する用語である。また、「電極活物質」とは、二次電池において電荷担体となる化学種(例えば、リチウムイオン電池ではリチウムイオン)を可逆的に吸蔵および放出(典型的には挿入および脱離)可能な物質をいう。
上記電極材料粉末を構成する複合粒子では、セラミック粒子(以下、「活物質粒子」ということもある。)と該粒子の表面に形成されたカーボン層(典型的には、電極活物質たるセラミック材料よりも高い導電性を示すカーボン層)とが面接触している。このような構成の複合粒子では、例えばカーボン層を有しないセラミック粒子と該粒子表面に点接触した導電材粒子との間の電荷移動に比べて、活物質粒子と外部(ここではカーボン層)との間の電荷移動をより効率よく(すなわち低抵抗で)行うことができる。また、上記カーボン層には粒状の黒鉛部が点在しているので、該黒鉛部を有しないカーボン層に比べて更に高い導電性を実現することができる。上記黒鉛部は、典型的にはその一部がアモルファス部よりも突出している。この黒鉛部の突出(すなわち、カーボン層の表面に該黒鉛部に起因する粒状凸部が存在すること)を利用して、当該複合粒子と他の材料(他の複合粒子、電極集電体、必要に応じて使用される導電材粒子等であり得る。)の接触をより効率よく行うことができる。
上記電極材料粉末を用いて構成された二次電池用電極(例えば、該電極材料粉末を主成分とする電極合材層を電極集電体に保持してなる電極)は、活物質粒子と外部との間の電荷移動をより素早く(より低抵抗で)行い得ることから、より導電性の高いものとなり得る。このことは、該電極を用いて構築される二次電池の内部抵抗低減、高出力特性の向上等の観点から有利である。かかる特性を有する二次電池は、例えば車両(ハイブリッド自動車等)の動力源として好適に利用され得る。したがって本発明は、他の側面として、ここに開示されるいずれかの電極材料粉末(ここに開示されるいずれかの方法により製造された電極材料粉末であり得る。)を用いてなる二次電池用電極(リチウムイオン電池用の正極等)、該電極を用いて構築された二次電池(リチウムイオン電池等)、および、該二次電池を備える車両(例えば、該二次電池を動力源として備えるハイブリッド自動車)を提供する。
上記のようにアモルファスカーボン質のアモルファス部に粒状の黒鉛部が点在したカーボン層は、好ましくはカーボン質のターゲットを用いたアークイオンプレーティング(AIP)法により、該AIPにおいて前記ターゲットから生じたドロップレットが前記セラミック粒子に到達することを許容して形成されたものである。このようにセラミック粒子にドロップレット(典型的には、μmオーダーの黒鉛質の粒子)が供給される態様でAIPを行うことにより、該ドロップレットから形成された黒鉛部が点在したカーボン層をセラミック粒子の表面に好適に形成することができる。
好ましい一つの態様では、上記カーボン層が、前記セラミック粒子の表面の一部を覆い、他の一部を露出させるように形成されている。かかる構成によると、活物質粒子への電荷担体の出入り(例えば、リチウムイオン電池ではリチウムイオンの挿入および脱離)を顕著に妨げることなく、上記カーボン層を設けることによる効果(導電性を向上させる効果)を発揮することができる。したがって、このような電極材料粉末は、より導電性の高い二次電池用電極を構成するものとなり得る。
本発明によると、また、二次電池用電極(例えば、リチウムイオン電池用正極)の構成要素として使用される電極材料粉末を製造する方法が提供される。その製造方法は、前記二次電池の電極活物質として機能するセラミック材料(例えば、リチウム遷移金属酸化物)から実質的に構成されるセラミック粒子からなるセラミック粉末を用意する工程を含む。また、アモルファスカーボン質のアモルファス部に粒状の黒鉛部が点在したカーボン層を前記セラミック粒子の表面に形成する工程を含む。ここで、前記カーボン層は、カーボン質のターゲットを用いたAIP法により、該AIPにおいて前記ターゲットから生じたドロップレットが前記セラミック粒子に到達することを許容して形成される。
かかる製造方法によると、該ドロップレットに由来する黒鉛部が点在したカーボン層をセラミック粒子の表面に好適に形成することができる。上記製造方法は、ここに開示されるいずれかの電極材料粉末を製造する方法として好ましく採用され得る。
前記AIPは、前記セラミック粉末側に(例えば、該セラミック粉末に近接して配置された金属部材に)バイアス電圧を印加する態様で好ましく行うことができる。このことによって、より導電性のよい電極を構成し得る電極材料粉末を製造することができる。
ここに開示される技術は、リチウムイオン電池用正極の構成要素として使用される電極材料粉末およびその製造に好ましく適用され得る。例えば、正極合材層が正極集電体に保持された構成のリチウムイオン電池用正極において、該正極合材層の主成分として用いられる電極材料粉末およびその製造方法として好適である。この場合において、上記セラミック粒子を構成するセラミック材料は、リチウム遷移金属酸化物(リチウムおよび遷移金属を構成金属元素として含む酸化物)であることが好ましい。該セラミック材料は、リチウムニッケル系酸化物、リチウムコバルト系酸化物およびリチウムマンガン系酸化物からなる群から選択される一種または二種以上であることが好ましい。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
ここに開示される電極材料粉末を構成する粒子は、図1に模式的に示すように、セラミック粒子10の表面の少なくとも一部にカーボン層20が形成された複合粒子2である。カーボン層20は、アモルファスカーボン質のアモルファス部22に黒鉛部24が点在した構成を有する。黒鉛部24は、グラファイト構造を基本に構成された黒鉛質の部分である。カーボン質のターゲット(例えば、黒鉛質のカーボン材)を用いたAIPにおいて生じたドロップレット(融滴)がセラミック粒子10に付着して形成された粒状部分は、ここでいう黒鉛部24の一つの典型例である。また、カーボン層20を構成するアモルファス部22は、黒鉛部24よりも相対的に結晶性の低い部分である。カーボンターゲットを用いたAIPにおいて生じたカーボン蒸気(典型的にはイオン化された蒸気)がセラミック粒子10に付着して形成されるアモルファス質の膜状(層状)部分は、ここでいうアモルファス部22の一つの典型例である。
カーボン層の各部の結晶性の評価は、ラマンスペクトル分析において、1540cm−1〜1560cm−1の範囲(Gバンド)にあるピークのピーク強度(G)と、1370cm−1〜1390cm−1の範囲(Dバンド)にあるピークのピーク強度(D)との強度比(D/G)を算出することにより行われる。この強度比(G/D)がより小さいことは、より結晶性が高いものとして評価される。ラマンスペクトルの測定は公知の方法で行うことができる。具体的には、例えば、波長514.5nmのアルゴンレーザを試料に照射し、試料からの散乱光のうち照射光と90度の角度をなす光を分光測定することによって測定することができる。測定装置としては、例えば、Jobin Ybon社から入手可能なレーザラマン分光測定装置、商品名「RAMANOR S−320」が挙げられる。
ここに開示されるカーボン層の好ましい一つの態様では、膜状のアモルファス部(以下「アモルファスカーボン膜」ということもある。)22に黒鉛部24が粒状(島状)に散らばって配置されている。図1に模式的に示すように、黒鉛部24の少なくとも一部はアモルファスカーボン膜24から部分的に突出して粒状凸部24Aを形成していることが好ましい。このような粒状凸部24Aが存在するカーボン層20を備えた複合粒子2によると、他の材料(他の複合粒子、電極集電体、必要に応じて使用される導電材粒子等であり得る。)の接触をより効率よく行うことができる。かかる複合粒子2を構成粒子とする電極材料粉末は、より導電性のよい二次電池用電極(ひいては該電極を備える二次電池)を与えるものであり得る。
かかる複合粒子2を構成粒子とする電極材料粉末は、例えば、セラミック粉末(活物質粉末)を被処理物とするAIP法により好ましく製造することができる。図2は、ここに開示される電極材料粉末製造方法の実施に適したAIP装置の概略構成の一例を示す模式図である。このAIP装置50は、図示しない真空ポンプにより真空排気可能に構成されたチャンバ52と、陰極を構成するターゲット54と、陽極56と、ターゲット54および陽極56の間に接続されたアーク電源58とを備える。チャンバ52の内部には、被処理物であるセラミック粉末3を収容する貯留部53が設けられている。AIP装置50は、貯留部53に収容されたセラミック粉末3を攪拌可能に構成された攪拌装置60を備える。この攪拌装置60は、金属製の攪拌翼62と、該攪拌翼62に連結された回転軸64を介して攪拌翼62と電気的に接続されたバイアス電源66とを備える。バイアス電源66を作動させることにより、攪拌翼62に所定のバイアス電圧を印加し、セラミック粉末3側にバイアス電圧を印加した状態でAIPを行うことができる。
かかる構成のAIP装置50を用いて、セラミック粉末3を構成するセラミック粒子10にカーボン層20(図1参照)を形成して複合粒子2を得るには、まずアーク電源58を作動させ、陽極56とターゲット54との間でアーク放電を生じさせる。該アーク放電によりターゲット54が局部的に溶解し、蒸発すると同時にイオン化する。このとき、図2に模式的に示すように、上記イオン化物(ターゲットが蒸発し、イオン化したものであり、以下「イオン化蒸気」ともいう。)4とともに、ドロップレットまたは融滴と称される粒子5が生成する。
従来の一般的なAIPにおいては、かかるドロップレット5がイオン化蒸気4とともに被処理材に供給されることはAIPにより形成される膜(AIP膜)の均質性を損なうため好ましくないとされ、したがってドロップレット5を排除してイオン化蒸気4のみを被処理材に供給する工夫がなされてきた。かかる工夫の代表例として、ターゲットと被処理物との間にフィルタを配置した態様でAIPを行うこと(フィルタドAIP)が挙げられる。
ここに開示される電極材料粉末製造方法では、上記のように被処理材にドロップレットが供給されることを意図的に避ける態様で行われる従来の一般的なAIPとは異なり、ドロップレット5が被処理物(セラミック粉末3)に到達することを意図的に許容する(すなわち、ドロップレット5を被処理材に意図的に供給する)態様でAIPを行う。このことによって、主としてイオン化蒸気4から形成されるアモルファス部22中に、主としてドロップレット5から形成される粒状の黒鉛部24が点在した構造(すなわち不均質構造)のカーボン層20を、セラミック10の表面に形成することができる。上記構成のカーボン層20によると、黒鉛部24を有しない(典型的には、実質的に均質なアモルファスカーボンからなる)カーボン層に比べて、より高い導電性向上効果が実現され得る。
このように、被処理材としてのセラミック粉末3にイオン化蒸気4およびドロップレット5を供給する態様で行われるAIPにより、該粉末3を構成するセラミック粒子10の表面に上記構成のカーボン層20を形成し、複合粒子2を構成粒子とする電極材料粉末1を製造することができる。
カーボン層20に含まれる黒鉛部24の数は、複合粒子2からなる電極材料粉末の走査型電子顕微鏡写真を撮影し、得られた写真を解析してカーボン層20の単位面積(例えば1μm)当たりに存在する黒鉛部24の数(個/μm)を算出することにより求めることができる。黒鉛部24の含有量が5個/μm以上のカーボン層20が形成された複合粒子2が好ましく、該含有量が10個/μm以上であることがより好ましい。上記含有量の上限は特に限定されないが、通常は30個/μm程度である。カーボン層20に含まれる複数の黒鉛部24のうち大部分(好ましくは70個数%以上、より好ましくは80個数%以上)は直径1μm以下若しくは1μm未満の黒鉛部24であることが好ましい。また、直径3μm以上の黒鉛部24は5個数%以下(より好ましくは2個数%以下)であることが好ましい。かかる構成のカーボン層20を備えた複合粒子2を構成粒子とする電極材料粉末は、より良好な導電性を実現するものとなり得る。
ここに開示される複合粒子2は、上記カーボン層20がセラミック粒子10の実質的に全表面を被覆するように形成されたものであってもよく、該表面の一部のみを被覆するように(換言すれば、セラミック粒子の表面の一部はカーボン層に覆われない状態で残るように)形成されたものであってもよい。セラミック粒子10の表面のうち一部にカーボン層20が形成され、他の一部(残部)が露出した構成の複合粒子2が好ましい。セラミック粒子10の表面積のうちカーボン層20が形成されている面積の割合(カーボン層による被覆率)は例えば凡そ20%〜90%とすることができる。この被覆率が凡そ40%〜80%である複合粒子2がより好ましい。上記被覆率は、例えば、複合粒子2からなる電極材料粉末の走査型電子顕微鏡写真を撮影し、得られた写真を解析することにより求めることができる。
カーボン層20の厚さ(図1に示すように粒状凸部24Aを有するカーボン層20では該凸部24Aの高さを除いた厚さ、すなわちアモルファス部22の厚さ)は、例えば凡そ0.02μm〜5μmとすることが適当である。このカーボン層20の厚さが上記範囲よりも小さすぎると導電性向上効果が低下傾向となることがある。カーボン層20の厚さが上記範囲よりも大きすぎると単位体積当たりの活物質量が少なくなるので好ましくない。
特に限定するものではないが、上記AIPは、セラミック粉末3の質量の例えば凡そ0.05%〜5%(より好ましくは凡そ0.1%〜3%)に相当する質量のカーボンがセラミック粒子10に付着するように行うことができる。換言すれば、使用するセラミック粉末3の凡そ0.05%〜5%の質量のカーボン層20が形成されるようにAIPを行うとよい。AIPにより形成されたカーボン層20の質量は、例えば、使用したセラミック粉末3の質量とAIP後に得られた電極材料粉末1の質量とを比較することにより算出することができる。
カーボン層20の厚さ、質量、被覆率、黒鉛部24の数およびその直径は、例えば、セラミック粒子10の表面にカーボン層20を形成する際の条件(すなわち複合粒子2の製造条件)により調節することができる。例えば、カーボン層20の形成方法としてAIP法を採用する場合には、バイアス電圧印加の有無、印加する場合にはバイアス電圧の大きさ、雰囲気圧力、ターゲットから被処理材(セラミック粉末)までの距離等により調節することができる。
なお、図2にはターゲットと被処理物との間にドロップレット排除用のフィルタを配置することなくAIP(フィルタレスAIP)を行う態様のAIP装置を例示したが、ドロップレットのうち一部を排除し、他の一部がセラミック粒子に到達することを許容するように構成されたフィルタを配置してAIP(フィルタドAIP)を行ってもよい。かかるフィルタは、例えば、ターゲットから生じたドロップレットのうち過剰に大きな(例えば直径が凡そ5μm以上の)粒子を排除する、該ドロップレットの粒径分布を狭める(すなわち、所定の目標値に対して直径が大きすぎるか或いは小さすぎるドロップレットを排除する)、セラミック粒子に供給されるイオン化蒸気とドロップレットとの量比を調整する、等の目的で配置されるものであり得る。かかるフィルタの配置によっても、カーボン層20に含まれる黒鉛部24の数およびその直径を制御することができる。
ここに開示される電極材料粉末におけるセラミック粒子(活物質粒子)の構成材料は、該電極材料粉末を用いて構成される電極の用途(二次電池の種類および電極の極性)に応じて該電極の活物質として機能し得るセラミック材料(典型的には、上記カーボン層よりも導電性の低いセラミック材料)であればよく、特に限定されない。例えば、リチウムイオン電池の正極(典型的には、正極合材層の主成分)に用いられる電極材料粉末では、上記セラミック材料がリチウム遷移金属酸化物であるセラミック粒子が好ましい。かかるリチウム遷移金属複合酸化物の好ましい代表例として、リチウムニッケル系複合酸化物、リチウムコバルト系複合酸化物およびリチウムマンガン系複合酸化物が例示される。
ここで「リチウムニッケル系複合酸化物」とは、リチウム(Li)とニッケル(Ni)とを構成金属元素とする酸化物のほか、リチウムおよびニッケル以外に他の少なくとも一種の金属元素(すなわち、LiおよびNi以外の遷移金属元素および/または典型金属元素)をニッケルよりも少ない割合(原子数換算。LiおよびNi以外の金属元素を二種以上含む場合にはそれらの合計量としてNiよりも少ない割合)で構成金属元素として含む酸化物をも包含する意味である。上記LiおよびNi以外の金属元素は、例えば、コバルト(Co),アルミニウム(Al),マンガン(Mn),クロム(Cr),鉄(Fe),バナジウム(V),マグネシウム(Mg),チタン(Ti),ジルコニウム(Zr),ニオブ(Nb),モリブデン(Mo),タングステン(W),銅(Cu),亜鉛(Zn),ガリウム(Ga),インジウム(In),スズ(Sn),ランタン(La)およびセリウム(Ce)からなる群から選択される一種または二種以上の金属元素であり得る。
同様に、ここでいうリチウムコバルト系酸化物とは、LiおよびCo以外に他の少なくとも一種の金属元素(例えば、Ni,Mn,Cr,Fe,V,Mg,Ti,Zr,Nb,Mo,W,Cu,Zn,Ga,In,Sn,LaおよびCeからなる群から選択される一種または二種以上の金属元素)を含む複合酸化物をも包含する意味であり、リチウムマンガン酸化物とは、LiおよびMn以外に他の少なくとも一種の金属元素(例えば、Ni,Co,Cr,Fe,V,Mg,Ti,Zr,Nb,Mo,W,Cu,Zn,Ga,In,Sn,LaおよびCeからなる群から選択される一種または二種以上の金属元素)を含む複合酸化物をも包含する意味である。
このようなリチウム遷移金属複合酸化物から実質的に構成されるセラミック粒子としては、例えば、従来公知の方法で調製・提供されるリチウム遷移金属複合酸化物粉末を構成する粒子を使用することができる。例えば、原子組成に応じて適宜選択されるいくつかの原料化合物を所定のモル比で混合し、適当な手段で焼成することによって該酸化物を調製することができる。また、焼成物を適当な手段で粉砕、造粒および分級することにより、所望する平均粒径および/または粒径分布を有する二次粒子(セラミック粒子)によって実質的に構成されたリチウム遷移金属複合酸化物粉末(セラミック粉末)を得ることができる。ここに開示される方法は、例えば、平均粒径が凡そ5μm〜25μmの範囲にある二次粒子によって実質的に構成されたリチウム遷移金属複合酸化物粉末を用いて、該二次粒子(セラミック粒子)の表面に上記構成のカーボン層を典型的にはAIP法によって形成する態様で好ましく実施することができる。このようなリチウム遷移金属複合酸化物粉末の調製方法自体は本発明を何ら特徴付けるものではないため、これ以上の詳細な説明は省略する。
ここに開示される電極材料粉末は、セラミック材料を活物質とする二次電池用電極(例えば、リチウムイオン電池の正極)に具備される電極合材層の構成成分(典型的には、該合材層の主成分)として好適である。かかる電極合材層は、例えば、上記電極材料粉末と適当な媒体(分散媒)とを含む電極合材層形成用組成物を電極集電体(典型的には、金属等の導電性のよい材料から形成されている。)に付与することにより形成され得る。上記電極合材層形成用組成物は、ここに開示されるいずれかの電極材料粉末(ここに開示されるいずれかの方法により製造された電極材料粉末であり得る。)と必要に応じて使用される他の電極合材層形成成分とを適当な溶媒(好ましくは水系溶媒)中で混合することにより調製され得る。ここで「水系溶媒」とは、水または水を主体とする混合溶媒を指す概念である。かかる混合溶媒を構成する水以外の溶媒としては、水と均一に混合し得る有機溶媒(低級アルコール、低級ケトン等)の一種または二種以上を適宜選択して用いることができる。例えば、該水系溶媒の80質量%以上(より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上)が水である水系溶媒の使用が好ましい。特に好ましい例として、実質的に水からなる水系溶媒が挙げられる。
上記正極合材層形成用組成物は、上記電極材料粉末および溶媒の他に、一般的な二次電池用電極の製造において電極合材層形成用の組成物に用いられる一種または二種以上の材料(上記「他の電極合材層形成成分」)を必要に応じて含有することができる。そのような材料の代表例としてバインダが挙げられる。該バインダとしては、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(PVDF−HFP)、スチレンブタジエンゴム(SBR)等の、上記溶媒に溶解または分散可能なポリマーを用いることができる。
ここに開示される電極材料粉末を用いてなる正極合材層形成用組成物は、上記電極材料粉末を構成する複合粒子がセラミック粒子の表面にカーボン層を有することから、導電材粉末を含有しない組成であっても、良好な導電性を示す電極合材層を形成するものであり得る。あるいは、より良好な導電性を実現するために導電材粉末を含む組成物であってもよい。ここに開示される電極材料粉末を含む正極合材層形成用組成物によると、より少量の導電材粉末を配合することによって所望の導電性を実現することができる。このことは、電池の小型化、高容量化、高エネルギー密度化等の観点から有利である。また、ここに開示される電極材料粉末を含む正極合材層形成用組成物によると、従来と同程度の導電材粉末配合量によって、より高い導電性を実現することができる。上記導電材粉末としては、例えば、カーボンブラック(アセチレンブラック等)のような炭素粉末、ニッケル粉末等の導電性金属粉末等を用いることができる。
特に限定するものではないが、電極合材層形成用組成物の固形分濃度(不揮発分、すなわち電極合材層形成成分の割合)は、例えば凡そ40〜60質量%程度であり得る。該固形分(すなわち電極合材層形成成分)に占める電極材料粉末の割合は、少なくとも凡そ50質量%であることが好ましく、例えば凡そ75〜99質量%であり得る。通常は、この割合を凡そ80〜95質量%程度とすることが適当である。導電材粉末を含む組成では、例えば、電極材料粉末を凡そ80〜95質量%、導電材粉末を凡そ1〜10質量%の割合で含む組成とすることができる。
このような電極合材層形成用組成物を電極集電体に付与(典型的には塗布)する操作は、従来の一般的な二次電池用電極(例えばリチウムイオン電池用正極)の作製と同様にして行うことができる。例えば、適当な塗布装置(スリットコーター、ダイコーター、コンマコーター等)を使用して、所定量の電極合材層形成用組成物を電極集電体に層状に塗布するとよい。該組成物の塗布量(集電体の単位面積当たりの塗布量)は特に限定されず、電極および電池の形状や用途に応じて適宜異なり得る。例えば、後述する捲回電極体を備えた二次電池の構築に使用されるシート状の正極を作製する場合には、箔状集電体(例えば、厚さ10μm〜30μm程度のアルミニウム箔等の金属箔を好ましく用いることができる。)の表面に上記組成物を、固形分換算の塗布量(すなわち、乾燥後の質量)が例えば凡そ6.0〜6.5mg/cm程度となるように塗布するとよい。塗布後、適当な乾燥手段で塗布物を乾燥(典型的には70℃〜200℃)することによって、正極集電体の表面に正極合材層が形成されたシート状正極を得ることができる。なお、乾燥後、必要に応じて適当なプレス処理(例えばロールプレス処理)を施すことによって、正極合材層の厚みや密度を適宜調整することができる。
ここに開示される技術をリチウムイオン電池の正極用の電極材料粉末に適用する場合を例として、図3および図4に示す模式図を参照しつつ、上記電極材料粉末を構成要素(電極合材層の構成成分、典型的には主成分)として使用した二次電池用電極および該電極を備えた二次電池の一実施形態を説明する。
図示するように、本実施形態に係るリチウムイオン電池70は、金属製(樹脂製又はラミネートフィルム製も好適である。)のケース71を備える。このケース71は、上端が開放された扁平な直方体状のケース本体72と、その開口部を塞ぐ蓋体73とを備える。ケース71の内部には、例えば、図4に示されるように長尺シート状の正極(正極シート)82および長尺シート状の負極(負極シート)84を計二枚の長尺シート状セパレータ(セパレータシート)86とともに積層して捲回し、次いで得られた捲回体を側面方向から押しつぶして拉げさせることによって作製される扁平形状の捲回電極体80が収容される。ケース71の上面(すなわち蓋体73)には、捲回電極体80の正極82と電気的に接続する正極端子74および該電極体80の負極84と電気的に接続する負極端子75が設けられている。
正極シート82は、長尺シート状の正極集電体(典型的にはアルミニウム箔)の両面に正極合材層が設けられた構成を有する。この正極合材層は、本発明に係る電極材料粉末(好ましくは、リチウム遷移金属酸化物粒子の表面に上記構成のカーボン層が形成された複合粒子を構成粒子とする電極材料粉末)を主成分とする。かかる構成の正極シート82は、例えば上述したようなシート状正極作製方法により、上記電極材料粉末と導電材粉末とバインダとを含む正極活物質層形成用組成物を正極集電体の両面に付与して得られる。負極シート82は、長尺シート状の負極集電体(典型的には銅箔)の両面に、例えば黒鉛粉末を主成分とする負極合材層が設けられた構成を有する。
これらの電極シート82,84の幅方向の一端には、いずれの面にも上記電極合材層が設けられていない電極合材層非形成部分が形成されている。正極シート82と負極シート84とは、正極シート82の正極合材層非形成部分と負極シート84負極合材層非形成部分とがセパレータシート86の幅方向の両側からそれぞれはみ出すように、幅方向にややずらして重ね合わされ(積層され)ている。その結果、捲回電極体80の捲回方向に対する横方向において、正極シート82および負極シート82の電極合材層非形成部分がそれぞれ捲回コア部分21(すなわち正極シート82の正極合材層形成部分と負極シート84の負極合材層形成部分と二枚のセパレータシート86とが密に捲回された部分)から外方にはみ出している。かかる正極側はみ出し部分(すなわち正極合材層の非形成部分)82Aおよび負極側はみ出し部分(すなわち負極合材層の非形成部分)84Aには、正極リード端子82Bおよび負極リード端子84Bがそれぞれ付設されている。これらのリード端子82B,84Bがそれぞれ上述の正極端子74および負極端子75と電気的に接続される。
なお、かかる捲回電極体80の構成は、上記電極材料粉末を主成分とする正極合材層が設けられた正極シート82を使用する点以外は従来のリチウムイオン電池の電極体と同様でよく、特に制限はない。例えば、負極シート84は、長尺状の負極集電体の上にリチウムイオン電池用負極活物質を主成分とする負極合材層が付与されて形成され得る。負極集電体には銅箔その他の負極に適する金属箔が好適に使用される。負極活物質としては従来からリチウムイオン電池に用いられる物質の一種または二種以上を特に限定することなく使用することができる。好適例として、グラファイトカーボン、アモルファスカーボン等の炭素系材料、リチウム遷移金属複合酸化物(リチウムチタン複合酸化物等)、リチウム遷移金属複合窒化物等が挙げられる。例えば、集電体としての長尺状銅箔の表面の所定領域に常法によって黒鉛を主体とする負極合材層(例えば黒鉛98質量%、スチレンブタジエンラバー1質量%、カルボキシメチルセルロース1質量%)を形成することにより、好適な負極シート40が得られる。電極シート82,84間に使用されるセパレータシート86の好適例としては、多孔質ポリオレフィン系樹脂で構成されたものが挙げられる。例えば、厚さ5〜30μm(例えば25μm)程度の合成樹脂製(例えばポリエチレン等のポリオレフィン製)多孔質セパレータシートを好適に使用し得る。なお、電解質として固体電解質もしくはゲル状電解質を使用する場合には、セパレータが不要な場合(すなわちこの場合には電解質自体がセパレータとして機能し得る。)があり得る。
ケース本体72の上端開口部から該本体72内に捲回電極体80を収容するとともに適当な液状電解質あるいは固体(もしくはゲル状)電解質、ここでは適当な非水系電解液(例えばLiPF等のリチウム塩(支持塩)を適当量含むジエチルカーボネートとエチレンカーボネートとの混合溶媒のような非水電解液)をケース本体72内に配置(注液)し、上記開口部を蓋体73との溶接等により封止することにより、本実施形態に係るリチウムイオン電池70の構築(組み立て)が完了する。なお、ケース71の封止プロセスや電解質の配置(注液)プロセスは、従来のリチウムイオン電池の製造で行われている手法と同様でよく、本発明を特徴付けるものではない。
本発明の構成を採用することによる(すなわち、セラミック粒子の表面に形成されるカーボン層を、上述のようにアモルファス部に粒状の黒鉛部が点在した構成とすることによる)導電性の向上効果を確認するため、以下の実験を行った。
<カーボン層の形成>
参考例1では、カーボン材をターゲットに用いたAIP法により、セラミック粒子に代えてアルミニウム箔を被処理物として、アモルファスカーボン質のアモルファス部に粒状の黒鉛部が点在したカーボン層を上記アルミニウム箔の表面に形成した。具体的には、図2に示す構成のAIP装置50を使用し、攪拌翼62に代えてアルミニウム箔(Al箔)をバイアス電源66に接続した。該アルミニウム箔に250Vのバイアス電圧を印加しつつ、ターゲット54と陽極56との間でアーク放電させて生じたイオン化蒸気およびドロップレットを上記Al箔に供給した。これにより、図1に示すカーボン層20と同様にアモルファス部22と黒鉛部24とを有するカーボン層20を、上記Al箔の表面に形成した。このようにして参考例1に係るカーボン層付Al箔を得た。
参考例2では、アルミニウム箔に印加するバイアス電圧を150Vとした点以外は参考例1と同様にして、参考例2に係るカーボン層付Al箔を得た。
参考例3では、アルミニウム箔に印加するバイアス電圧を0Vとした(すなわち、バイアス電圧を印加することなくAIPを行った)点以外は参考例1と同様にして、参考例3に係るカーボン層付Al箔を得た。
<接触抵抗の測定>
参考例1に係るカーボン層付Al箔の片面(カーボン層が形成された側の表面)に、LiCoO粉末(上記カーボン層を有しない活物質粉末)と導電材とバインダとを溶媒に分散させた正極合材層形成用組成物を塗布して正極合材層を形成した。これを所定寸法(こでは2cm×2cm)に裁断して試験片(サンプル1)を作製した。該試験片を2枚の銅板で挟んで1MPaの荷重を加え、一般的な交流4端子法(電流1A)により抵抗値を測定して接触抵抗[Ω・cm]を求めた。
比較のため、参考例1に係るカーボン層付Al箔に代えて未処理のAl箔(AIP処理を行っていない、すなわちカーボン層を有しないAl箔)を使用し、該Al箔の片面に上記と同様にして正極合材層を形成したものを上記所定寸法に裁断して試験片(比較サンプル)を作製した。この試験片の接触抵抗を上記と同様にして求めた。
上記接触抵抗測定の結果、比較サンプルの接触抵抗が3.92Ω・cmであったのに対して、サンプル1の接触抵抗は0.099Ω・cmであった。すなわち、LiCoOを主体とする正極合材層とAl箔との間に、上記のようにドロップレットの被処理物(Al箔)への到達を許容した態様のAIPにより形成されたカーボン層(すなわち、アモルファス部に粒状の黒鉛部が点在した構成のカーボン層)を介在させることにより、正極合材層とAl箔との接触抵抗が顕著に低減された。この結果は、同様の構成のカーボン層を活物質粒子(ここではLiCoO粒子)の表面に設けることにより、該活物質粒子と他の材料(他の複合粒子、電極集電体、必要に応じて使用される導電材粒子等であり得る。)との接触抵抗が大幅に低減され得ることを支持している。
<黒鉛部の個数の測定>
参考例1〜3に係るカーボン層付Al箔の表面(カーボン層が形成された側の面)の走査型電池顕微鏡写真を撮影した。それらの写真中の所定面積(ここでは50μm×50μm)に存在する黒鉛部の数を、目視により、直径1μm未満、直径1μm以上3μm未満、直径3μm以上に分けて数えた。その結果を1μm当たりの個数に換算した結果を表1にまとめた。
Figure 2009099287
表1からわかるように、バイアス電圧が0V(参考例3)、150V(参考例2)、250V(参考例1)と高くなるにつれて黒鉛部の個数が増加した。すなわち、バイアス電圧を調節することによりカーボン層の面積当たりに存在する黒鉛部の数を制御することができた。また、参考例2,3に係るカーボン層付Al箔の接触抵抗を参考例1と同様にして測定したところ、該接触抵抗の値は参考例1,2,3の順に大きくなった。すなわち、これらの参考例の範囲内では、カーボン層の面積当たりに存在する黒鉛部の数が多くなるにつれて接触抵抗の低減効果がより大きくなった。この結果は、本発明に係る電極材料粉末を構成する複合粒子において、セラミック粒子の表面に形成されたカーボン層の面積当たりに存在する黒鉛部の数を例えば10〜30個/μm程度とすることによって(好ましくは、例えば直径1μm未満の黒鉛部の個数が全個数の80%以上であり、直径3μm以上の黒鉛部の個数が全個数の5%以下とすることにより)、良好な導電性向上効果が実現されることを支持している。
本発明に係る電極材料粉末を用いて形成された電極(典型的には正極)を備える二次電池(例えばリチウムイオン電池)は、上記のとおり導電性に優れ、内部抵抗が低く高出力特性のよいものとなり得ることから、特に自動車等の車両に搭載されるモーター(電動機)用電源として好適に使用し得る。したがって本発明は、図5に模式的に示すように、かかる二次電池(組電池の形態であり得る。)70を電源として備える車両(典型的には自動車、特にハイブリッド自動車、電気自動車、燃料電池自動車のような電動機を備える自動車)100を提供する。
以上、本発明を詳細に説明したが、上述した実施形態は例示にすぎず、ここで開示される発明には上記具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
一実施形態に係る電極材料粉末を構成する複合粒子の断面を模式的に示す説明図である。 一実施形態に係る電極材料粉末製造方法に用いられる好適なAIP装置の概略構成例を模式的に示す説明図である。 一実施形態に係る二次電池を示す斜視図である。 捲回電極体の一例を模式的に示す正面図である。 本発明に係る二次電池を備えた車両(自動車)を模式的に示す側面図である。
符号の説明
1 電極材料粉末
2 複合粒子
3 セラミック粉末
4 イオン化蒸気
5 ドロップレット
10 セラミック粒子
20 カーボン層
22 アモルファス部(アモルファスカーボン膜)
22A 粒状凸部
24 黒鉛部
50 AIP装置
52 チャンバ
54 ターゲット(陰極)
56 陽極
58 アーク電源
60 攪拌装置
62 攪拌翼
66 バイアス電源
70 リチウムイオン電池(二次電池)
80 電極体
82 正極シート(電極)
84 負極シート(電極)
100 自動車

Claims (8)

  1. 二次電池用電極の構成要素として使用される電極材料粉末であって、
    該粉末を構成する粒子は、前記二次電池の電極活物質として機能するセラミック材料から実質的に構成されるセラミック粒子と、該セラミック粒子の表面に形成された層であってアモルファスカーボン質のアモルファス部に粒状の黒鉛部が点在したカーボン層と、を備える複合粒子である、二次電池用電極材料粉末。
  2. 前記カーボン層は、カーボン質のターゲットを用いたアークイオンプレーティング法により、該アークイオンプレーティングにおいて前記ターゲットから生じたドロップレットが前記セラミック粒子に到達することを許容して形成されたものである、請求項1に記載の電極材料粉末。
  3. 前記カーボン層は、前記セラミック粒子の表面の一部を覆い、他の一部を露出させるように形成されている、請求項1または2に記載の電極材料粉末。
  4. 前記セラミック材料はリチウム遷移金属酸化物である、請求項1から3のいずれか一項に記載の電極材料粉末。
  5. 請求項1から4のいずれか一項に記載の電極材料粉末を用いてなる電極を備えた二次電池。
  6. 二次電池用電極の構成要素として使用される電極材料粉末を製造する方法であって、以下の工程:
    前記二次電池の電極活物質として機能するセラミック材料から実質的に構成されるセラミック粒子からなるセラミック粉末を用意する工程;および、
    アモルファスカーボン質のアモルファス部に粒状の黒鉛部が点在したカーボン層を前記セラミック粒子の表面に形成する工程、ここで前記カーボン層は、カーボン質のターゲットを用いたアークイオンプレーティング法により、該アークイオンプレーティングにおいて前記ターゲットから生じたドロップレットが前記セラミック粒子に到達することを許容して形成される;
    を包含する、二次電池用電極材料粉末の製造方法。
  7. 前記アークイオンプレーティングは、前記セラミック粉末側にバイアス電圧を印加して行われる、請求項6に記載の方法。
  8. 前記セラミック材料はリチウム遷移金属酸化物である、請求項6または7に記載の方法。
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