JP2009096921A - 高絶縁性フィルム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】主としてシンジオタクチック構造のスチレン系重合体に、該スチレン系重合体とは誘電率が0.2以上異なる樹脂Xを3重量%以上48重量%以下配合した樹脂組成物からなる二軸延伸フィルムであって、該二軸延伸フィルムは平均粒径が0.01μm以上3.0μm以下の微粒子を0.01重量%以上5.0重量%以下含有し、厚み方向の屈折率が1.6050以上1.6550以下である高絶縁性フィルム。
【選択図】なし
Description
本発明の高絶縁性フィルムは、主としてシンジオタクチック構造のスチレン系重合体に、後述する樹脂Xを配合した樹脂組成物からなる二軸延伸フィルムであって、該二軸延伸フィルムは後述する微粒子を含有するものである。以下、本発明の高絶縁性フィルムを構成する各成分について説明する。
本発明におけるスチレン系重合体は、シンジオタクチック構造のスチレン系重合体であり、すなわち炭素−炭素結合から形成される主鎖に対して側鎖であるフェニル基や置換フェニル基が交互に反対方向に位置する立体構造を有するものである。一般にタクティシティーは、同位体炭素による核磁気共鳴法(13C−NMR法)により定量され、連続する複数個の構成単位の存在割合、例えば2個の場合はダイアッド、3個の場合はトリアッド、5個の場合はペンタッド等によって示すことができる。本発明におけるシンジオタクチック構造のスチレン系重合体とは、ラセミダイアッドで75%以上、好ましくは85%以上、あるいはラセミペンタッドで30%以上、好ましくは50%以上のシンジオタクティシティーを有するポリスチレン、ポリ(アルキルスチレン)、ポリ(ハロゲン化スチレン)、ポリ(アルコキシスチレン)、ポリ(ビニル安息香酸エステル)、あるいはこれらのベンゼン環の一部が水素化された重合体やこれらの混合物、またはこれらの構造単位を含む共重合体を指称する。なお、ここでポリ(アルキルスチレン)としては、ポリ(メチルスチレン)、ポリ(エチルスチレン)、ポリ(プロピルスチレン)、ポリ(ブチルスチレン)、ポリ(フェニルスチレン)、ポリ(ビニルナフタレン)、ポリ(ビニルスチレン)、ポリ(アセナフチレン)等があり、ポリ(ハロゲン化スチレン)としては、ポリ(クロロスチレン)、ポリ(ブロモスチレン)、ポリ(フロオロスチレン)等がある。また、ポリ(アルコキシスチレン)としては、ポリ(メトキシスチレン)、ポリ(エトキシスチレン)等がある。これらのうち特に好ましいスチレン系重合体としては、ポリスチレン、ポリ(p−メチルスチレン)、ポリ(m−メチルスチレン)、ポリ(p−ターシャリーブチルスチレン)、ポリ(p−クロロスチレン)、ポリ(m−クロロスチレン)、ポリ(p−フルオロスチレン)、またスチレンとp−メチルスチレンとの共重合体を挙げることができる。
このようなシンジオタクチック構造のスチレン系重合体は、従来のアタクチック構造のスチレン系重合体に比べて耐熱性が格段に優れている。
本発明における樹脂Xは、上記スチレン系重合体の誘電率とは0.2以上異なる誘電率を有する樹脂である。スチレン系重合体にこのような樹脂Xを配合すると、スチレン系重合体と樹脂Xのそれぞれのドメインが印加電圧を分担するためか、絶縁破壊電圧が高くなる。スチレン系重合体の誘電率と樹脂Xの誘電率との差は、好ましくは0.4以上、さらに好ましくは0.5以上であり、このような態様とすることによって、絶縁破壊電圧をより高くすることができる。
本発明の高絶縁性フィルムは、平均粒径が0.01μm以上3.0μm以下の微粒子を含有する。含有する微粒子の平均粒径が上記数値範囲にあると、得られる高絶縁性フィルムにおいて良好な電気的特性を維持しながら、巻取り性および加工性等の取り扱い性を良好なものとすることができる。微粒子の平均粒径が小さすぎると、取り扱い性に劣る傾向にある。他方大きすぎると、フィルム中のボイドの大きさが増大するため、電気的特性に劣る傾向にある。このような観点から、微粒子の平均粒径は、好ましくは0.05μm以上2.0μm以下、さらに好ましくは0.1μm以上1.6μm以下、特に好ましくは0.2μm以上1.3μm以下である。
上記不活性微粒子Aの平均粒径は、好ましくは0.6μm以上3.0μm以下、より好ましくは0.7μm以上2.0μm以下、さら好ましくは0.8μm以上1.6μm以下、特に好ましくは0.9μm以上1.3μm以下である。不活性微粒子Aの平均粒径が上記数値範囲にあると、エアー抜け性を向上させることができ、巻取り性の向上効果を高くすることができる。不活性微粒子Aの平均粒径が小さすぎると、十分なエアー抜け性が得られなくなる傾向にあり、すなわち巻取り性の向上効果が低くなる。他方大きすぎると、フィルム中のボイドの大きさが増大する傾向にあり、すなわち電気的特性の向上効果が低くなる。
本発明における不活性微粒子Bの平均粒径は、好ましくは0.01μm以上0.5μm以下、より好ましくは0.05μm以上0.5μm以下、さらに好ましくは0.1μm以上0.5μm以下、特に好ましくは0.2μm以上0.4μm以下である。不活性微粒子Bの平均粒径が上記数値範囲にあると、適度な滑り性を得ることができ、巻取り性の向上効果を高くすることができる。不活性微粒子Bの平均粒径が小さすぎると、十分な滑り性が得られなくなる傾向にあり、すなわち巻取り性の向上効果が低くなる。他方大きすぎると、フィルム表面における低突起の高さが高くなりすぎ、それにより滑り性が高くなりすぎる傾向にあり、巻取り時に端面ズレを起こしやすくなる等巻取り性の向上効果が低くなる。さらに、耐削れ性が悪化する傾向にあり、絶縁破壊電圧の向上効果が低くなる。
本発明の高絶縁性フィルムは、基本的には前述のシンジオタクチック構造のスチレン系重合体に、樹脂Xおよび微粒子を所定割合で配合した樹脂組成物からなるものであるが、さらに成形性、力学物性、表面性等を改良するために他の樹脂成分を含有することができる。
さらに、本発明の目的を阻害しない範囲で、酸化防止剤、帯電防止剤、着色剤、耐候剤等の添加剤を加えることができる。
本発明の高絶縁性フィルムは、厚み方向の屈折率が1.6050以上1.6550以下である。厚み方向の屈折率は、好ましくは1.6100以上1.6400以下、さらに好ましくは1.6130以上1.6380以下、特に好ましくは1.6150以上1.6360以下である。厚み方向の屈折率を上記数値範囲とすることによって、絶縁破壊電圧を良好なものとすることができる。また、フィルム製造工程におけるフィルム破断の頻度が低下し、生産性を良好なものとすることができる。厚み方向の屈折率が高すぎると、フィルム製造工程におけるフィルム破断の頻度が増加する傾向にあり、フィルムの生産性が低下する。他方低すぎると、絶縁破壊電圧が低くなる傾向にあり、電気的特性に劣るものとなる。また、コンデンサーの製造工程におけるフィルム破断の頻度が増加する。さらに、フィルムの厚み斑が悪くなる傾向にあり、品質の安定したコンデンサーを得ることができない。
本発明の高絶縁性フィルムは、一部の特別な製造方法を除けば、基本的には従来から知られている、あるいは当業界に蓄積されている方法で得ることができる。以下、本発明の高絶縁性フィルムを得るための製造方法について詳記する。
(1−1)粉体の平均粒径および粒径比
試料台上に、粉体を個々の粒子ができるだけ重ならないようにうに散在させ、金スパッター装置によりこの表面に金薄膜蒸着層を厚み200〜300Åで形成し、走査型電子顕微鏡を用いて1万〜3万倍で観察し、日本レギュレーター(株)製ルーゼックス500にて、少なくとも1000個の粒子についてその面積相当粒径(Di)、長径(Dli)および短径(Dsi)を求めた。
試料フィルム小片を走査型電子顕微鏡用試料台に固定し、日本電子(株)製スパッタリング装置(JIS−1100型イオンスパッタリング装置)を用いてフィルム表面に、0.13Paの真空下で0.25kV、1.25mAの条件でイオンエッチング処理を10分間施した。さらに、同じ装置で金スパッターを施し、走査型電子顕微鏡を用いて1万〜3万倍で観測し、日本レギュレーター(株)製ルーゼックス500にて、少なくとも1000個の粒子についてその面積相当粒径(Di)、長径(Dli)および短径(Dsi)を求めた。
粉体の相対標準偏差については前記(1−1)項、フィルム中の粒子の相対標準偏差については前記(1−2)項で求められた各々の微粒子の面積相当粒径(Di)および平均粒径(D)から、下記式により求めた。
(3−1)中心線平均表面粗さ(Ra)
非接触式三次元粗さ計(小坂研究所製、ET−30HK)を用いて波長780nmの半導体レーザー、ビーム径1.6μmの光触針で測定長(Lx)1mm、サンプリングピッチ2μm、カットオフ0.25mm、厚み方向拡大倍率1万倍、横方向拡大倍率200倍、走査線数100本(従って、Y方向の測定長Ly=0.2mm)の条件にてフィルム表面の突起プロファイルを測定した。その粗さ曲面をZ=f(x,y)で表わしたとき、次の式で得られる値をフィルムの中心線平均表面粗さ(Ra、単位:nm)とした。
上記(3−1)項により得られたフィルム表面の突起プロファイルにおいて、ピーク(Hp)の高い方から5点と谷(Hv)の低い方から5点をとり、次の式により10点平均粗さ(Rz、単位:nm)を求めた。
無張力の状態で150℃の雰囲気中30分におけるフィルムの熱収縮率(単位:%)を求めた。
ナトリウムD線(589nm)を光源としたアッベ屈折計を用いて23℃65%RHにて測定し、厚み方向の屈折率nZを求めた。
JIS C 2151に示される方法に従って測定した。23℃相対湿度50%の雰囲気にて、直流耐電圧試験機を用い、上部電極は直径25mmの真鍮製円柱、下部電極は直径75mmのアルミ製円柱を使用し、100V/秒の昇圧速度で昇圧し、フィルムが破壊し短絡した時の電圧(単位:V)を読み取った。得られた電圧をフィルム厚み(単位:μm)で除して、絶縁破壊電圧(単位:V/μm)とした。
測定は41回実施し、大きい方の10個、小さい方の10個を除き、21個の中央値を絶縁破壊電圧の測定値とした。
100℃、120℃での測定は熱風オーブンに電極、サンプルをセットし、耐熱コードで電源に接続し、オーブン投入後1分で昇圧を開始して測定した。
JIS C2151のA法に準拠して23℃、1kHzにおける誘電率を測定した。
樹脂サンプルにおいては、サンプル約10mgを測定用のアルミニウム製パンに封入して示差熱量計(TA Instruments社製:商品名DSC2920 Modulated)に装着し、25℃から20℃/分の速度で300℃まで昇温させ、300℃で3分間保持した後取り出し、直ちに氷の上に移して急冷した。このパンを再度示差熱量計に装着し、25℃から20℃/分の速度で昇温させてガラス転移温度(単位:℃)と融点(単位:℃)を測定した。
また、フィルムサンプルにおいては、サンプル約20mgを測定用のアルミニウム製パンに封入して示差熱量計(TA Instruments社製:商品名DSC2920 Modulated)に装着し、25℃から20℃/分の速度で300℃まで昇温させてガラス転移温度(単位:℃)と融点(単位:℃)を測定した。
二軸延伸フィルムを100万m製膜する間に破断の発生する回数により、以下の如く判断した。
延伸性◎ : 10万mの製膜当り 破断が1回未満
延伸性○ : 10万mの製膜当り 破断が1回〜2回未満
延伸性△ : 10万mの製膜当り 破断が2回〜4回未満
延伸性× : 10万mの製膜当り 破断が4回〜8回未満
延伸性××: 10万mの製膜当り 破断が8回以上
フィルムの製造工程において、フィルムを550mm幅で6000mのロール状に100m/分の速度で巻き上げ、その巻上げ状況、ロールの外観により次のように格付けする。
A: ロールの巻き姿良好
B: ロールの表面に1個以上5個未満のピンプル(突起状盛り上がり)が見られるがほぼ良好
C: ロールの表面に5個以上のピンプル(突起状盛り上がり)が見られ、外観不良
D: ロールのフィルム端面ズレが起き、巻き姿不良
モノマーとしてジメチルテレフタレートとエチレングリコールを、エステル交換触媒として酢酸マンガンを、重合触媒として三酸化アンチモンを、安定剤として亜燐酸を用い、常法により重合し、固有粘度0.62のポリエチレンテレフタレート樹脂(融点258℃、誘電率3.2)を得た。
スチレン系重合体として重量平均分子量3.0×105であり、13C−NMR測定でほぼ完全なシンジオタクチック構造であることが観察されるポリスチレン(融点(Tms)270℃、誘電率2.7)を用い、これを樹脂組成物とした。得られた樹脂組成物99.5質量部に、不活性微粒子Aとして平均粒径1.1μm、相対標準偏差0.15、粒径比1.08の球状シリカ粒子((株)日本触媒製:商品名シーホスター(登録商標))0.3質量部(得られる二軸延伸フィルム中において0.3重量%となる)と、不活性微粒子Bとして平均粒径0.3μm、相対標準偏差0.16、粒径比1.08の球状シリカ粒子((株)日本触媒製:商品名シーホスター(登録商標))0.2質量部(得られる二軸延伸フィルム中において0.2重量%となる)とからなる微粒子を添加し、樹脂組成物と微粒子の混合物を得た。
得られた混合物をペレット化し、該ペレットを130℃で7時間乾燥した後、押出機に供給し、290℃で溶融し、ダイスリットから押出してキャスティングドラム上で冷却固化し、未延伸シートを作成した。
比較例1で得られた二軸延伸フィルムは、延伸性および巻取り性は良好であったが、絶縁破壊電圧が低く、高絶縁性フィルムとして不適なものであった。そのため、コンデンサーの絶縁体として不適なものであり、特にハイブリッド自動車に用いられるコンデンサーの絶縁体としても、絶縁破壊電圧が低すぎ、不適なものであった。
スチレン系重合体として重量平均分子量3.0×105であり、13C−NMR測定でほぼ完全なシンジオタクチック構造であることが観察されるポリスチレン95質量部に、樹脂Xとして前記で得られたポリエチレンテレフタレート樹脂を5質量部配合したものを樹脂組成物として用いる以外は、比較例1と同様にして二軸延伸フィルムを得てロール状に巻き取った。得られた二軸延伸フィルムの特性を表1に示す。
実施例1で得られた二軸延伸フィルムは、延伸性および巻取り性に優れ、絶縁破壊電圧が高く、高絶縁性フィルムとして好適なものであった。そのため、コンデンサーの絶縁体として好適なものであった。
スチレン系重合体と樹脂Xとの配合比率を表1に示す通りとした樹脂組成物を用いる以外は、実施例1と同様にして二軸延伸フィルムを得てロール状に巻き取った。得られた二軸延伸フィルムの特性を表1に示す。
実施例2〜4で得られた二軸延伸フィルムは、延伸性および巻取り性が良好で、特に絶縁破壊電圧が高く、高絶縁性フィルムとして好適なものであった。そのため、コンデンサーの絶縁体として好適なものであり、特にハイブリッド自動車に用いられるコンデンサーの絶縁体としても好適なものであった。
比較例2で得られた二軸延伸フィルムは、比較的耐熱性の低いポリエチレンテレフタレート樹脂の配合比率が高すぎたためか、特に高温における絶縁破壊電圧が低く、高絶縁性フィルムとして不適なものであった。
縦方向および横方向の延伸倍率、延伸温度等の製膜条件を表1のとおりとした以外は、実施例2と同様にして二軸延伸フィルムを得てロール状に巻き取った。得られた二軸延伸フィルムの特性を表1に示す。
比較例3で得られた二軸延伸フィルムは、厚み方向の屈折率が低いため、絶縁破壊電圧が低く、高絶縁性フィルムとして不適なものであった。
実施例5で得られた二軸延伸フィルムは、延伸性および巻取り性が良好で、特に絶縁破壊電圧が高く、高絶縁性フィルムとして好適なものであった。そのため、コンデンサーの絶縁体として好適なものであり、特にハイブリッド自動車に用いられるコンデンサーの絶縁体としても好適なものであった。
厚み方向の屈折率がおおよそ1.6580であるようなフィルムを得るべく、縦方向および横方向の延伸倍率等の製膜条件を表1に示す通りとしたところ、フィルム破断が多発し、二軸延伸フィルムを得ることができなかった。
横方向に延伸する際の延伸速度および延伸温度等の製膜条件を表1のとおりとする以外は、実施例2と同様にして二軸延伸フィルムを得てロール状に巻き取った。得られた二軸延伸フィルムの特性を表2に示す。
実施例6、7で得られた二軸延伸フィルムは、横延伸における延伸速度の条件が好ましい範囲にないため、延伸性に劣るものであった。また、絶縁破壊電圧が比較的低いものであったが、巻取り性が良好で、高絶縁性フィルムとして実用に耐え得るものであった。
樹脂組成物99.4質量部に、微粒子として平均粒径1.1μm、相対標準偏差0.15、粒径比1.08の球状シリカ粒子((株)日本触媒製:商品名シーホスター(登録商標))0.6質量部(得られる二軸延伸フィルム中において0.6重量%となる)を添加して得た混合物を用いる以外は、実施例2と同様にして二軸延伸フィルムを得た。得られた二軸延伸フィルムの特性を表2に示す。
実施例8で得られた二軸延伸フィルムは、巻取り性および絶縁破壊電圧が比較的低いものであったが、高絶縁性フィルムとして実用に耐え得るものであった。
不活性微粒子Aとして平均粒径1.3μm、相対標準偏差0.14、粒径比1.10の球状シリコーン樹脂粒子0.3質量部(得られる二軸延伸フィルム中において0.3重量%となる)と、不活性微粒子Bとして平均粒径0.3μm、相対標準偏差0.16、粒径比1.08の球状シリカ粒子((株)日本触媒製:商品名シーホスター(登録商標))0.2質量部(得られる二軸延伸フィルム中において0.2重量%となる)とからなる微粒子を用いる以外は、実施例2と同様にして二軸延伸フィルムを得た。得られた二軸延伸フィルムの特性を表2に示す。
実施例9で得られた二軸延伸フィルムは、延伸性および巻取り性が良好で、特に絶縁破壊電圧が高く、高絶縁性フィルムとして好適なものであった。そのため、コンデンサーの絶縁体として好適なものであり、特にハイブリッド自動車に用いられるコンデンサーの絶縁体としても好適なものであった。
樹脂Xとして、ポリエチレンナフタレート樹脂(融点269℃、誘電率3.1)を用いる以外は、実施例2と同様にして二軸延伸フィルムを得た。得られた二軸延伸フィルムの特性を表2に示す。
実施例10で得られた二軸延伸フィルムは、絶縁破壊電圧が比較的低いものであったが、延伸性および巻取り性に優れ、高絶縁性フィルムとして実用に耐え得るものであった。
樹脂Xとして、ポリプロピレン樹脂(融点170℃、誘電率2.1)を用いる以外は、実施例2と同様にして二軸延伸フィルムを得た。得られた二軸延伸フィルムの特性を表2に示す。
実施例11で得られた二軸延伸フィルムは、樹脂Xとして用いたポリプロピレンの耐熱性が低いためか、高温における絶縁破壊電圧が比較的低いものであったが、高絶縁性フィルムとして実用に耐え得るものであった。
樹脂Xとして、ポリカーボネート樹脂(融点243℃、誘電率2.8)を使用する以外は、実施例2と同様にして二軸延伸フィルムを得た。得られた二軸延伸フィルムの特性を表2に示す。
比較例5で得られた二軸延伸フィルムは、ポリスチレンの誘電率とポリカーボネート樹脂の誘電率との差が小さすぎたためか、ポリカーボネート樹脂を混合した効果が得られず、絶縁破壊電圧が低く、高絶縁性フィルムとして不適なものであった。
まず、フィルムの片面にアルミニウムを500Åの厚みとなるように真空蒸着した。その際、8mm幅の蒸着部分と1mm幅の非蒸着部分との繰り返しからなる、縦方向のストライプ状に蒸着した。得られた蒸着フィルムを、蒸着部分と非蒸着部分のそれぞれ幅方向の中央部でスリットし、4mm幅の蒸着部分と0.5mm幅の非蒸着部分とからなる、4.5mm幅のテープ状に巻取りリールにした。次いで、2本のリールを、非蒸着部分がそれぞれ反対側の端面となるように重ね合わせ巻回し、巻回体を得た後、150℃、1MPaで5分間プレスした。プレス後の巻回体の両端面にメタリコンを溶射して外部電極とし、メタリコンにリード線を溶接して巻回型フィルムコンデンサーを作成した。
特に、実施例2〜5、9で得られた二軸延伸フィルムを用いたフィルムコンデンサーは、耐熱性に優れ、特に耐電圧特性に優れ、コンデンサーとしてより優れる性能を示すものであった。
Claims (9)
- 主としてシンジオタクチック構造のスチレン系重合体に、該スチレン系重合体とは誘電率が0.2以上異なる樹脂Xを3重量%以上48重量%以下配合した樹脂組成物からなる二軸延伸フィルムであって、該二軸延伸フィルムは平均粒径が0.01μm以上3.0μm以下の微粒子を0.01重量%以上5.0重量%以下含有し、厚み方向の屈折率が1.6050以上1.6550以下である高絶縁性フィルム。
- 樹脂Xの融点が、前記スチレン系重合体の融点(Tms、単位:℃)に対して、(Tms−30)℃以上(Tms+30)℃以下の範囲にある請求項1に記載の高絶縁性フィルム。
- 樹脂Xがポリエチレンテレフタレート樹脂およびポリエチレンナフタレート樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種である請求項1または2に記載の高絶縁性フィルム。
- 微粒子が、平均粒径が0.6μm以上3.0μm以下、粒径の相対標準偏差が0.5以下の不活性微粒子Aを0.01重量%以上1.5重量%以下と、平均粒径が0.01μm以上0.5μm以下、粒径の相対標準偏差が0.5以下の不活性微粒子Bを0.05重量%以上2.0重量%以下とを構成成分として含み、不活性微粒子Aの平均粒径が不活性微粒子Bの平均粒径より0.3μm以上大きい請求項1〜3のいずれか1項に記載の高絶縁性フィルム。
- 不活性微粒子Aが、粒径比が1.0以上1.3以下の球状粒子である請求項4に記載の高絶縁性フィルム。
- 不活性微粒子Aが球状高分子樹脂粒子である請求項5に記載の高絶縁性フィルム。
- 不活性微粒子Aが球状シリカ粒子である請求項5に記載の高絶縁性フィルム。
- 不活性微粒子Bが、粒径比が1.0以上1.3以下の球状シリカ粒子である請求項4〜7のいずれか1項に記載の高絶縁性フィルム。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載の高絶縁性フィルムを用いたコンデンサー。
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