JP2009096921A - 高絶縁性フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】電気的特性、耐熱性、巻取り性および加工性等の取り扱い性に優れた高絶縁性フィルムを提供すること。
【解決手段】主としてシンジオタクチック構造のスチレン系重合体に、該スチレン系重合体とは誘電率が0.2以上異なる樹脂Xを3重量%以上48重量%以下配合した樹脂組成物からなる二軸延伸フィルムであって、該二軸延伸フィルムは平均粒径が0.01μm以上3.0μm以下の微粒子を0.01重量%以上5.0重量%以下含有し、厚み方向の屈折率が1.6050以上1.6550以下である高絶縁性フィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は、高絶縁性フィルムに関する。
電気絶縁性材料、とりわけコンデンサーの絶縁体として用いられる電気絶縁性フィルムとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等からなるフィルムがよく知られている。さらに近年においては、コンデンサーの耐熱性を高める等の目的で、他の樹脂を用いる検討や、これらの樹脂を改質する検討が行われている。
例えば、シンジオタクチックポリスチレン樹脂からなるフィルムは、耐熱性、耐薬品性、耐熱水性、誘電特性、電気絶縁性等に優れたフィルムであり、様々な用途への適用が期待されているが、特に誘電特性に優れ、高い電気絶縁性と耐熱性を有するためにコンデンサーの絶縁体として用いる検討がなされており、特許文献1〜3等に開示されている。
また、特許文献4には、ポリエチレンナフタレート樹脂にシンジオタクチックポリスチレン樹脂を添加することによって、優れた耐熱性、耐電圧特性およびフィルムの製膜性を有する二軸延伸ポリエステルフィルムが開示されている。
さらに、コンデンサー用途に用いられるフィルムにおいては、ある程度の滑り性を付与し、巻取り性および加工性等の取り扱い性を有する必要がある。例えば特許文献5、6等に開示されているようなコンデンサー用ポリエステルフィルムにおいては、特許文献7〜9等により加工性を高める試みがなされている。
特開平6−80793号公報 特開平7−156263号公報 特開平8−283496号公報 特開2005−213351号公報 特開昭62−259304号公報 特開昭63−316419号公報 特開昭63−141308号公報 特開平10−294236号公報 特開平10−321459号公報
しかしながら、特許文献1〜3に開示されているシンジオタクチックポリスチレン系フィルムは、コンデンサーの絶縁体として使用され得るものであるが、例えば、近年のハイブリッド自動車に用いられるコンデンサーのように、より高性能なコンデンサーの絶縁体としては、より高い絶縁破壊電圧および耐熱性が要求されている。
また、コンデンサーの静電容量を向上する目的やコンデンサーを小型化する目的のため、絶縁体となるフィルムのさらなる薄膜化が要求されているが、一般的には薄膜化に伴い取り扱い性が低下してしまう。そのため、フィルムの製造工程における生産性向上およびコストダウンの目的や近年要求されているコンデンサーの製造速度に適応する目的のため、フィルムの巻取り性および加工性のさらなる向上が要求されている。
ここで、特許文献4に開示されている二軸延伸ポリエステルフィルムは、耐熱性に優れ、かつ特許文献1〜3に開示されているシンジオタクチックポリスチレン系フィルムよりも高い絶縁破壊電圧を示すものであるが、本発明者らの検討によれば、高い絶縁破壊電圧と取り扱い性とを同時に満足させる目的で、特許文献4に開示されている二軸延伸ポリエステルフィルムに特許文献7〜9に開示されている微粒子を添加したところ、絶縁破壊電圧が低くなってしまい、かつフィルム製造中にフィルム破断が多発することが判明した。
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、その目的は、電気的特性、耐熱性、巻取り性および加工性等の取り扱い性に優れた高絶縁性フィルムを提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定の樹脂および特定の微粒子を配合したシンジオタクチックポリスチレン系樹脂組成物からなる二軸延伸フィルムにおいて、特定の配向構造とすることで、耐熱性に優れ、高い絶縁破壊電圧を有し、かつ取り扱い性に優れた高絶縁性フィルムが得られることを見出し、本発明に到達した。
すなわち本発明は、主としてシンジオタクチック構造のスチレン系重合体に、該スチレン系重合体とは誘電率が0.2以上異なる樹脂Xを3重量%以上48重量%以下配合した樹脂組成物からなる二軸延伸フィルムであって、該二軸延伸フィルムは平均粒径が0.01μm以上3.0μm以下の微粒子を0.01重量%以上5.0重量%以下含有し、厚み方向の屈折率が1.6050以上1.6550以下である高絶縁性フィルムである。
さらに本発明は、樹脂Xの融点が、前記スチレン系重合体の融点(Tms、単位:℃)に対して、(Tms−30)℃以上(Tms+30)℃以下の範囲にあること、樹脂Xがポリエチレンテレフタレート樹脂およびポリエチレンナフタレート樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種であること、微粒子が、平均粒径が0.6μm以上3.0μm以下、粒径の相対標準偏差が0.5以下の不活性微粒子Aを0.01重量%以上1.5重量%以下と、平均粒径が0.01μm以上0.5μm以下、粒径の相対標準偏差が0.5以下の不活性微粒子Bを0.05重量%以上2.0重量%以下とを構成成分として含み、不活性微粒子Aの平均粒径が不活性微粒子Bの平均粒径より0.3μm以上大きいこと、不活性微粒子Aが、粒径比が1.0以上1.3以下の球状粒子であること、不活性微粒子Aが球状高分子樹脂粒子であること、不活性微粒子Aが球状シリカ粒子であること、不活性微粒子Bが、粒径比が1.0以上1.3以下の球状シリカ粒子であることのうち少なくともいずれか1つの態様を具備することで、さらに優れた高絶縁性フィルムを得ることができる。
本発明の高絶縁性フィルムは、電気的特性、耐熱性、取り扱い性に優れる。特に、高い絶縁破壊電圧を有するため、コンデンサーの絶縁体として好適に用いられる。また、フィルムの薄膜化が可能であり、コンデンサーの小型化や静電容量の向上を達成することができる。さらに、耐熱性に優れ、高温においても絶縁破壊電圧に優れるコンデンサーを製造することができる。
<高絶縁性フィルム>
本発明の高絶縁性フィルムは、主としてシンジオタクチック構造のスチレン系重合体に、後述する樹脂Xを配合した樹脂組成物からなる二軸延伸フィルムであって、該二軸延伸フィルムは後述する微粒子を含有するものである。以下、本発明の高絶縁性フィルムを構成する各成分について説明する。
<スチレン系重合体>
本発明におけるスチレン系重合体は、シンジオタクチック構造のスチレン系重合体であり、すなわち炭素−炭素結合から形成される主鎖に対して側鎖であるフェニル基や置換フェニル基が交互に反対方向に位置する立体構造を有するものである。一般にタクティシティーは、同位体炭素による核磁気共鳴法(13C−NMR法)により定量され、連続する複数個の構成単位の存在割合、例えば2個の場合はダイアッド、3個の場合はトリアッド、5個の場合はペンタッド等によって示すことができる。本発明におけるシンジオタクチック構造のスチレン系重合体とは、ラセミダイアッドで75%以上、好ましくは85%以上、あるいはラセミペンタッドで30%以上、好ましくは50%以上のシンジオタクティシティーを有するポリスチレン、ポリ(アルキルスチレン)、ポリ(ハロゲン化スチレン)、ポリ(アルコキシスチレン)、ポリ(ビニル安息香酸エステル)、あるいはこれらのベンゼン環の一部が水素化された重合体やこれらの混合物、またはこれらの構造単位を含む共重合体を指称する。なお、ここでポリ(アルキルスチレン)としては、ポリ(メチルスチレン)、ポリ(エチルスチレン)、ポリ(プロピルスチレン)、ポリ(ブチルスチレン)、ポリ(フェニルスチレン)、ポリ(ビニルナフタレン)、ポリ(ビニルスチレン)、ポリ(アセナフチレン)等があり、ポリ(ハロゲン化スチレン)としては、ポリ(クロロスチレン)、ポリ(ブロモスチレン)、ポリ(フロオロスチレン)等がある。また、ポリ(アルコキシスチレン)としては、ポリ(メトキシスチレン)、ポリ(エトキシスチレン)等がある。これらのうち特に好ましいスチレン系重合体としては、ポリスチレン、ポリ(p−メチルスチレン)、ポリ(m−メチルスチレン)、ポリ(p−ターシャリーブチルスチレン)、ポリ(p−クロロスチレン)、ポリ(m−クロロスチレン)、ポリ(p−フルオロスチレン)、またスチレンとp−メチルスチレンとの共重合体を挙げることができる。
さらに、本発明におけるスチレン系重合体に共重合成分を含有させて共重合体として使用する場合においては、そのコモノマーとしては、上述の如きスチレン系重合体のモノマーのほか、エチレン、プロピレン、ブテン、ヘキセン、オクテン等のオレフィンモノマー、ブタジエン、イソプレン等のジエンモノマー、環状ジエンモノマーやメタクリル酸メチル、無水マレイン酸、アクリロニトリル等の極性ビニルモノマー等を挙げることができる。
また、このスチレン系重合体の重量平均分子量は、好ましくは1.0×10以上3.0×10以下であり、さらに好ましくは5.0×10以上1.5×10以下であり、特に好ましくは1.1×10以上8.0×10以下である。重量平均分子量を1.0×10以上とすることで、強伸度特性に優れ、耐熱性がより向上したフィルムを得ることができる。また、重量平均分子量が3.0×10以下だと、延伸張力が好適な範囲となり、製膜時等において破断等が発生しにくくなる。
このようなシンジオタクチック構造のスチレン系重合体の製造方法は、例えば特開昭62−187708号公報に開示されている。すなわち、不活性炭化水素溶媒中または溶媒の不存在下において、チタン化合物および水と有機アルミニウム化合物、特にトリアルキルアルミニウムとの縮合生成物を触媒として、スチレン系単量体(上記スチレン系重合体に対応する単量体)を重合することにより製造することができる。また、ポリ(ハロゲン化アルキルスチレン)については、特開平1−146912号公報に、水素化重合体は特開平1−178505号公報にそれぞれ開示されている。
本発明におけるシンジオタクチック構造のスチレン系重合体には、必要に応じて公知の酸化防止剤、帯電防止剤等を適量配合することができる。これらの配合量はスチレン系重合体100重量部に対して10重量部以下が好ましい。10重量部を越えると延伸時に破断を起こしやすくなり、生産安定性不良となるので好ましくない。
このようなシンジオタクチック構造のスチレン系重合体は、従来のアタクチック構造のスチレン系重合体に比べて耐熱性が格段に優れている。
<樹脂X>
本発明における樹脂Xは、上記スチレン系重合体の誘電率とは0.2以上異なる誘電率を有する樹脂である。スチレン系重合体にこのような樹脂Xを配合すると、スチレン系重合体と樹脂Xのそれぞれのドメインが印加電圧を分担するためか、絶縁破壊電圧が高くなる。スチレン系重合体の誘電率と樹脂Xの誘電率との差は、好ましくは0.4以上、さらに好ましくは0.5以上であり、このような態様とすることによって、絶縁破壊電圧をより高くすることができる。
また、本発明における樹脂Xは、スチレン系重合体の融点(Tms、単位:℃)に対して、(Tms−30)℃以上(Tms+30)℃以下の範囲に融点を有することが好ましい。樹脂Xの融点が上記数値範囲にあると、スチレン系重合体と樹脂Xとを混合する際に、その混合状態が良好なものとなり、すなわち樹脂Xの分散状態が良好なものとなり、絶縁破壊電圧の向上効果が高くなる。このような観点から、樹脂Xの融点は、(Tms−20)℃以上(Tms+20)℃以下の範囲にあることが好ましく、(Tms−15)℃以上(Tms+15)℃以下の範囲にあることがさらに好ましく、(Tms−5)℃以上(Tms+5)℃以下の範囲にあることが特に好ましい。
さらに、樹脂Xの融点とスチレン系重合体の融点との差が1℃以上であると、樹脂Xの分散状態がより良好なものとなるためか、絶縁破壊電圧の向上効果をより高くする事ができるため好ましい。このような観点から、樹脂Xの融点とスチレン系重合体の融点との差は、2℃以上であることがさらに好ましく、3℃以上であることが特に好ましい。
以上のような樹脂Xとしては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリエチレンナフタレート(PEN)樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂等のポリエステル、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ナイロン6やナイロン6,6等のポリアミド、ポリフェニレンスルフィド等のポリチオエーテル、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、テフロン(登録商標)等のハロゲン化ビニル系重合体、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル系重合体、ポリビニルアルコール等の少なくとも1種からなる樹脂を好ましく例示することができる。このうち、絶縁破壊電圧をより高くすることができるという観点から、ポリエステルが好ましく、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリエチレンナフタレート(PEN)樹脂がさらに好ましい。中でも、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂が特に好ましい。
本発明の高絶縁性フィルムは、前記スチレン系重合体に、上記樹脂Xを3重量%以上48重量%以下配合した樹脂組成物からなる二軸延伸フィルムである。樹脂Xを上記数値範囲の量配合することによって、得られる高絶縁性フィルムの電気的特性を良好なものとすることができる。具体的には、絶縁破壊電圧を高くすることができる。このような観点から、樹脂Xの配合量は、樹脂組成物100重量%中に、好ましくは4重量%以上40重量%以下、さらに好ましくは6重量%以上35重量%以下、特に好ましくは9重量%以上24重量%以下である。
<微粒子>
本発明の高絶縁性フィルムは、平均粒径が0.01μm以上3.0μm以下の微粒子を含有する。含有する微粒子の平均粒径が上記数値範囲にあると、得られる高絶縁性フィルムにおいて良好な電気的特性を維持しながら、巻取り性および加工性等の取り扱い性を良好なものとすることができる。微粒子の平均粒径が小さすぎると、取り扱い性に劣る傾向にある。他方大きすぎると、フィルム中のボイドの大きさが増大するため、電気的特性に劣る傾向にある。このような観点から、微粒子の平均粒径は、好ましくは0.05μm以上2.0μm以下、さらに好ましくは0.1μm以上1.6μm以下、特に好ましくは0.2μm以上1.3μm以下である。
本発明の高絶縁性フィルムは、高絶縁性フィルム100重量%中に、上記微粒子を0.01重量%以上5.0重量%以下含有する。微粒子を上記数値範囲の量含有することによって、高絶縁性フィルムの絶縁破壊電圧を良好に保ったまま、巻取り性および加工性等の取り扱い性を良好なものとすることができる。このような観点から、微粒子の含有量は、好ましくは0.1重量%以上3.5重量%以下、さらに好ましくは0.2重量%以上2.0重量%以下、特に好ましくは0.3重量%以上0.7重量%以下である。
以上のような微粒子は、有機系微粒子であってもよいし、無機系微粒子であってもよい。有機系微粒子としては、高分子樹脂粒子が好ましく、例えば架橋ポリスチレン樹脂粒子、架橋シリコーン樹脂粒子、架橋アクリル樹脂粒子、架橋スチレン−アクリル樹脂粒子、架橋ジビニルベンゼン−アクリル樹脂粒子、架橋ポリエステル樹脂粒子、ポリイミド樹脂粒子、メラミン樹脂粒子等が挙げられ、このうち滑り性および耐削れ性に優れるという観点からシリコーン樹脂粒子、架橋ポリスチレン樹脂粒子が特に好ましい。また、無機系微粒子としては、(1)二酸化ケイ素(水和物、ケイ砂、石英等を含む);(2)各種結晶形態のアルミナ;(3)SiO成分を30重量%以上含有するケイ酸塩(例えば非晶質もしくは結晶質の粘土鉱物、アルミノシリケート(焼成物や水和物を含む)、温石綿、ジルコン、フライアッシュ等);(4)Mg、Zn、Zr、およびTiの酸化物;(5)Ca、およびBaの硫酸塩;(6)Li、Ba、およびCaのリン酸塩(1水素塩や2水素塩を含む);(7)Li、Na、およびKの安息香酸塩;(8)Ca、Ba、Zn、およびMnのテレフタル酸塩;(9)Mg、Ca、Ba、Zn、Cd、Pb、Sr、Mn、Fe、Co、およびNiのチタン酸塩;(10)Ba、およびPbのクロム酸塩;(11)炭素(例えばカーボンブラック、グラファイト等);(12)ガラス(例えばガラス粉、ガラスビーズ等);(13)Ca、およびMgの炭酸塩;(14)ホタル石;(15)スピネル型酸化物等が挙げられる。このうち、滑り性および耐削れ性に優れるという観点から、炭酸カルシウム粒子、シリカ粒子が好ましく、シリカ粒子が特に好ましい。
本発明においては、1種類の微粒子を含有する態様でもよいが、絶縁破壊電圧を低下させずに取り扱い性の向上効果を高くすることができるという観点から、2種類以上の微粒子を含有する態様が好ましい。そのような場合は、組成の異なる2種類以上の微粒子を含有する態様、平均粒径の異なる2種類以上の微粒子を含有する態様、形状の異なる2種類以上の微粒子を含有する態様、もしくはこれらを組み合わせた態様でもよいが、少なくとも平均粒径の異なる2種類以上の微粒子を含有する態様が特に好ましい。
2種類以上の微粒子を含有する態様うち、特に好ましい態様としては、平均粒径が0.6μm以上3.0μm以下、粒径の相対標準偏差が0.5以下の不活性微粒子Aを0.01重量%以上1.5重量%以下と、平均粒径が0.01μm以上0.5μm以下、粒径の標準偏差が0.5以下の不活性微粒子Bを0.05重量%以上2.0重量%以下との2種類の不活性微粒子を構成成分として含み、不活性微粒子Aの平均粒径が不活性微粒子Bの平均粒径より0.3μm以上大きい態様を例示することができる。このような態様とすることによって、微粒子の添加による電気的特性の低下を最小限に抑制することができ、かつ巻取り性および加工性等の取り扱い性の向上効果をより高くすることができる。
(不活性微粒子A)
上記不活性微粒子Aの平均粒径は、好ましくは0.6μm以上3.0μm以下、より好ましくは0.7μm以上2.0μm以下、さら好ましくは0.8μm以上1.6μm以下、特に好ましくは0.9μm以上1.3μm以下である。不活性微粒子Aの平均粒径が上記数値範囲にあると、エアー抜け性を向上させることができ、巻取り性の向上効果を高くすることができる。不活性微粒子Aの平均粒径が小さすぎると、十分なエアー抜け性が得られなくなる傾向にあり、すなわち巻取り性の向上効果が低くなる。他方大きすぎると、フィルム中のボイドの大きさが増大する傾向にあり、すなわち電気的特性の向上効果が低くなる。
また、不活性微粒子Aの粒径の相対標準偏差は、好ましくは0.5以下、より好ましくは0.4以下、さらに好ましくは0.3以下、特に好ましくは0.2以下である。粒径の相対標準偏差が上記数値範囲にあると、不活性微粒子Aの粒径分布がシャープであることを意味し、フィルム表面の突起の高さが均一となり、これにより巻取り性の向上効果を高くすることができる。また、粗大粒子や粗大突起が少なくなり、これにより欠陥が減少し、絶縁破壊電圧の向上効果を高くすることができる。
不活性微粒子Aの含有量は、高絶縁性フィルム100重量%中に、好ましくは0.01重量%以上1.5重量%以下、より好ましくは0.05重量%以上1.0重量%以下、さらに好ましくは0.1重量%以上0.5重量%以下、特に好ましくは0.2重量%以上0.4重量%以下である。不活性微粒子Aを上記数値範囲の量含有することによって、高絶縁性フィルムの絶縁破壊電圧を良好に保ったまま、取り扱い性の向上効果を高くすることができる。不活性微粒子Aの含有量が少なすぎると、エアー抜け性に劣る傾向にあり、巻取り性の向上効果が低くなる。他方多すぎると、フィルム表面が粗くなりすぎる傾向にあり、それによってフィルム表面の耐削れ性が悪化する傾向にあり、絶縁破壊電圧の向上効果が低くなる。また、特にコンデンサー用途においては、スペースファクターが増大する傾向にある。
かかる不活性微粒子Aは、粒径比が1.0以上1.3以下の球状粒子であることが好ましい。粒径比は、さらに好ましくは1.0以上1.2以下、特に好ましくは1.0以上1.1以下である。粒径比が上記数値範囲にあると、巻取り性の向上効果および絶縁破壊電圧の向上効果をより高くすることができる。
以上のような不活性微粒子Aは、前述の微粒子と同様の有機系微粒子および無機系微粒子を用いることができる。有機系微粒子としては、高分子樹脂粒子が好ましく、滑り性および耐削れ性に優れるという観点からシリコーン樹脂粒子、架橋ポリスチレン樹脂粒子が特に好ましい。このような高分子樹脂粒子は、前述のとおり球状であることが好ましく、すなわち球状高分子樹脂粒子が好ましい。このうち、滑り性および耐削れ性により優れるという観点から球状シリコーン樹脂粒子、球状架橋ポリスチレン樹脂粒子が特に好ましい。また、無機系微粒子としては、滑り性および耐削れ性に優れるという観点から、炭酸カルシウム粒子、シリカ粒子が好ましく、シリカ粒子が特に好ましい。このような無機系微粒子は、前述のとおり球状であることが好ましく、滑り性および耐削れ性により優れるという観点から球状シリカ粒子が特に好ましい。
(不活性微粒子B)
本発明における不活性微粒子Bの平均粒径は、好ましくは0.01μm以上0.5μm以下、より好ましくは0.05μm以上0.5μm以下、さらに好ましくは0.1μm以上0.5μm以下、特に好ましくは0.2μm以上0.4μm以下である。不活性微粒子Bの平均粒径が上記数値範囲にあると、適度な滑り性を得ることができ、巻取り性の向上効果を高くすることができる。不活性微粒子Bの平均粒径が小さすぎると、十分な滑り性が得られなくなる傾向にあり、すなわち巻取り性の向上効果が低くなる。他方大きすぎると、フィルム表面における低突起の高さが高くなりすぎ、それにより滑り性が高くなりすぎる傾向にあり、巻取り時に端面ズレを起こしやすくなる等巻取り性の向上効果が低くなる。さらに、耐削れ性が悪化する傾向にあり、絶縁破壊電圧の向上効果が低くなる。
また、不活性微粒子Bは、前述の不活性微粒子Aと同様の観点から、粒径分布がシャープであることが好ましく、不活性微粒子Bの粒径の相対標準偏差は、好ましくは0.5以下、より好ましくは0.4以下、さらに好ましくは0.3以下、特に好ましくは0.2以下である。
不活性微粒子Bの含有量は、高絶縁性フィルム100重量%中に、好ましくは0.05重量%以上2.0重量%以下、より好ましくは0.1重量%以上1.0重量%以下、さらに好ましくは0.1重量%以上0.6重量%以下、特に好ましくは0.1重量%以上0.3重量%以下である。不活性微粒子Bを上記数値範囲の量含有することによって、高絶縁性フィルムの絶縁破壊電圧を良好に保ったまま、取り扱い性の向上効果を高くすることができる。不活性微粒子Bの含有量が少なすぎると、滑り性に劣る傾向にあり、巻取り性の向上効果が低くなる。他方多すぎると、ボイドの頻度が増加する傾向にあり、絶縁破壊電圧の向上効果が低くなる。また、滑り性が高くなりすぎる傾向にあり、巻取り時に端面ズレを起こしやすくなる等巻取り性の向上効果が低くなる。
かかる不活性微粒子Bは、前述の不活性微粒子Aと同様の観点から、粒径比が1.0以上1.3以下の球状粒子であることが好ましく、さらに好ましくは1.0以上1.2以下、特に好ましくは1.0以上1.1以下である。
以上のような不活性微粒子Bは、前述の微粒子と同様の有機系微粒子および無機系微粒子を用いることができる。このうち、無機系微粒子が好ましく、滑り性および耐削れ性に優れるという観点から、炭酸カルシウム粒子、シリカ粒子が好ましく、シリカ粒子が特に好ましい。このような無機系微粒子は、前述のとおり球状であることが好ましく、滑り性および耐削れ性により優れるという観点から球状シリカ粒子が特に好ましい。
かかる不活性微粒子Aと不活性微粒子Bは、不活性微粒子Aの平均粒径が不活性微粒子Bの平均粒径より0.3μm以上大きい態様が好ましい。その差は、さらに好ましくは0.5μm以上、特に好ましくは0.7μm以上である。不活性微粒子Aの平均粒径と不活性微粒子Bの平均粒径との差を大きくすることで、フィルム表面において不活性微粒子Aによる高突起が散在する態様となり、これによってフィルム間のエアー抜け性が良好となる。同時に、不活性微粒子Bによる低突起が存在する態様となり、フィルム同士の滑り性が良好となる。これらによって、フィルムをロール状に巻取る際には、エアー抜け性と滑り性とのバランスが良く、高速で巻き上げても巻き姿の良好なフィルムロールを得ることができる等、巻取り性の向上効果が高まる。
本発明で用いられる微粒子は、最終的なフィルムに含有されていれば含有させる方法に限定はない。例えば、スチレン系単量体の重合中の任意の過程で添加あるいは析出させる方法、溶融押出する任意の過程で添加する方法が挙げられる。またこれらの微粒子を効果的に分散させるため、分散剤、界面活性剤等を用いることができる。
<その他の添加剤>
本発明の高絶縁性フィルムは、基本的には前述のシンジオタクチック構造のスチレン系重合体に、樹脂Xおよび微粒子を所定割合で配合した樹脂組成物からなるものであるが、さらに成形性、力学物性、表面性等を改良するために他の樹脂成分を含有することができる。
含有することができる他の樹脂成分としては、例えばアタクチック構造のスチレン系重合体、アイソタクチック構造のスチレン系重合体、ポリフェニレンエーテル、スチレン−無水マレイン酸共重合体等が、前記シンジオタクチック構造のスチレン系重合体と相溶しやすく、延伸用予備成形体を作成するときの結晶化の制御に有効で、その後の延伸性が向上し、延伸条件の制御が容易で、かつ力学物性に優れたフィルムを得ることができるため好ましく挙げることができる。このうち、アタクチック構造および/またはアイソタクチック構造のスチレン系重合体を含有させる場合は、シンジオタクチック構造のスチレン系重合体と同様のモノマーからなるものが好ましい。また、これら相溶性樹脂成分の含有割合は、シンジオタクチック構造のスチレン系重合体100質量部に対して、好ましくは40質量部以下、さらに好ましくは20質量部以下、特に好ましくは10質量部以下とすれば良い。相溶性樹脂成分の含有割合が40質量部を超えると、シンジオタクチック構造のスチレン系重合体の長所である耐熱性の向上効果が低くなってしまう。
また、含有する事ができる他の樹脂成分のうち、シンジオタクチック構造のスチレン系重合体に非相溶な樹脂としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリペンテン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ナイロン6やナイロン6,6等のポリアミド、ポリフェニレンスルフィド等のポリチオエーテル、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、テフロン(登録商標)等のハロゲン化ビニル系重合体、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル系重合体、ポリビニルアルコール等、前記相溶性の樹脂以外の樹脂はすべて相当し、さらに前記相溶性の樹脂を含む架橋樹脂が挙げられる。これらの樹脂は、本発明のシンジオタクチック構造のスチレン系重合体と非相溶であるため、少量含有する場合は、シンジオタクチック構造のスチレン系重合体中に島のように分散させることができ、延伸後に程良い光沢を与えたり、表面の滑り性を改良するのに有効である。非相溶性樹脂成分の含有割合は、シンジオタクチック構造のスチレン系重合体100質量部に対して、好ましくは30質量部以下、さらに好ましくは20質量部以下、特に好ましくは10質量部以下である。また、製品として使用する温度が高い場合は、比較的耐熱性のある非相溶性樹脂製分を含有することが好ましい。
さらに、本発明の目的を阻害しない範囲で、酸化防止剤、帯電防止剤、着色剤、耐候剤等の添加剤を加えることができる。
<フィルム特性>
本発明の高絶縁性フィルムは、厚み方向の屈折率が1.6050以上1.6550以下である。厚み方向の屈折率は、好ましくは1.6100以上1.6400以下、さらに好ましくは1.6130以上1.6380以下、特に好ましくは1.6150以上1.6360以下である。厚み方向の屈折率を上記数値範囲とすることによって、絶縁破壊電圧を良好なものとすることができる。また、フィルム製造工程におけるフィルム破断の頻度が低下し、生産性を良好なものとすることができる。厚み方向の屈折率が高すぎると、フィルム製造工程におけるフィルム破断の頻度が増加する傾向にあり、フィルムの生産性が低下する。他方低すぎると、絶縁破壊電圧が低くなる傾向にあり、電気的特性に劣るものとなる。また、コンデンサーの製造工程におけるフィルム破断の頻度が増加する。さらに、フィルムの厚み斑が悪くなる傾向にあり、品質の安定したコンデンサーを得ることができない。
厚み方向の屈折率を上記数値範囲とするには、例えば後述する製造方法を採用する。すなわち本発明における厚み方向の屈折率は、一軸方向の延伸に次いで、あるいは一軸方向の延伸と同時に実施される該一軸方向と垂直な方向の延伸において、延伸の温度を複数段階に分け、この第1段階の温度と最終段階の温度とで特定の温度差をつけることで達成される。
本発明の高絶縁性フィルムは、フィルム厚みが0.3μm以上12μm未満であることが好ましい。さらに好ましくは0.4μm以上6.0μm未満であり、特に好ましくは0.5μm以上3.5μm未満である。フィルム厚みを上記数値範囲とすることによって、静電容量の高いコンデンサーを製造することができる。
コンデンサーの絶縁体として用いられるフィルムは、一般的にフィルム厚みが薄い方がコンデンサーの静電容量が高くなり好ましいことは、自然現象であり当然の事項である。しかしながら実際にフィルム厚みを薄くしてゆくと、フィルムにしわが入りやすくなる、フィルムが破断しやすくなる、添加した粒子が脱落しやすくなる、さらにそれにより絶縁破壊電圧が低くなる、もしくはフィルム厚みが薄くなることにより絶縁破壊電圧の絶対値が低くなる等の問題が生じるため、それらをバランスさせることが不可欠となる。本発明は、フィルム厚みを薄くしても上記の問題が生じることが無いように、後述する製造方法を採用することにより、特定の微粒子と配向構造を有する新規の構成の高絶縁性フィルムを得るものである。
本発明の高絶縁性フィルムは、その少なくとも片面の中心線平均表面粗さRaが11nm以上89nm以下であることが好ましい。表面粗さRaを上記数値範囲とすることによって、巻取り性の向上効果を高くすることができる。また、耐ブロッキング性が向上し、ロールの外観を良好なものとすることができる。表面粗さRaが低すぎると、滑り性が低くなりすぎる傾向にあり、巻取り性の向上効果が低くなる。他方高すぎると、滑り性が高くなりすぎる傾向にあり、巻取り時に端面ズレを起こしやすくなる等巻取り性の向上効果が低くなる。このような観点から、表面粗さRaの下限は、好ましくは21nm以上、さらに好ましくは31nm以上である。また、表面粗さRaの上限は、好ましくは79nm以下、さらに好ましくは69nm以下、特に好ましくは59nm以下である。
本発明の高絶縁性フィルムは、その少なくとも片面の10点平均粗さRzが900nm以上3000nm以下であることが好ましい。10点平均粗さRzを上記数値範囲とすることによって、巻取り性の向上効果を高くすることができる。10点平均粗さRzが低すぎると、ロールとして巻き上げる際にエアー抜け性が低くなる傾向にあり、フィルムが横滑りしやすくなる等巻取り性の向上効果が低くなる。フィルム厚みが薄い場合は、フィルムの腰がなくなるため、エアー抜け性がさらに低くなる傾向にあり、巻取り性の向上効果がさらに低くなる。他方、10点平均粗さRzが高すぎると、粗大突起が多くなる傾向にあり、絶縁破壊電圧の向上効果が低くなる。このような観点から、10点平均粗さRzの下限は、より好ましくは950nm以上、さらに好ましくは1050nm以上、特に好ましくは1250nm以上である。また、10点平均粗さRzの上限は、より好ましくは2600nm以下、さらに好ましくは2250nm以下、特に好ましくは1950nm以下である。
<フィルムの製造方法>
本発明の高絶縁性フィルムは、一部の特別な製造方法を除けば、基本的には従来から知られている、あるいは当業界に蓄積されている方法で得ることができる。以下、本発明の高絶縁性フィルムを得るための製造方法について詳記する。
先ず、主にシンジオタクチック構造のスチレン系重合体に樹脂Xを所定量配合した樹脂組成物を加熱溶融し、未延伸シートを作成する。具体的には樹脂組成物の融点(Tm、単位:℃)以上(Tm+70℃)以下の温度で加熱溶融しシート状に押し出して、冷却固化して未延伸シートを得る。得られた未延伸シートの固有粘度は、0.35〜0.9dl/gの範囲であることが好ましい。次いで、この未延伸シートを二軸方向に延伸する。延伸は、縦方向(機械軸方向)および横方向(機械軸方向と垂直な方向)を同時延伸してもよいし、任意の順序で逐次延伸してもよい。例えば逐次延伸の場合には、先ず一軸方向に(樹脂組成物のガラス転移点温度(Tg、単位:℃)−10℃)以上(Tg+70℃)以下の温度で2.7倍以上4.8倍以下、好ましくは2.9倍以上4.4倍以下、さらに好ましくは3.1倍以上4.0倍以下の倍率で延伸し、次いで該一軸方向と垂直な方向にTg以上(Tg+80℃)以下の温度で2.8倍以上4.9倍以下、好ましくは3.0倍以上4.5倍以下、さらに好ましくは3.2倍以上4.1倍以下の倍率で延伸する。
なお、上記一軸方向と垂直な方向の延伸の際には、前段階の延伸で結晶化が進んでいるためか、延伸が難しくなり、製膜中に破断が起こりやすくなる。特にフィルム厚みの薄いフィルムを製膜する場合において、また特に延伸倍率が3.2倍を超える領域において破断が起こりやすくなる。
この対策を検討したところ、上記一軸方向と垂直な方向の延伸において、その延伸速度を特定の数値範囲とすることが有効であることが判明した。すなわち延伸速度が速すぎると、延伸による分子の高次構造変化が、延伸によるフィルムの形状変化の速さに追随できなくなり、該高次構造に歪が生じやすくなり、フィルム破断が生じやすくなる。他方遅すぎると、延伸途中においてフィルムの結晶化が先行してしまい、延伸応力にバラツキが生じるためか、延伸斑や厚み斑が生じやすくなり、それにより破断が生じやすくなる。このような観点から、延伸速度の下限は、好ましくは500%/分以上、より好ましくは1000%/分以上、さらに好ましくは2000%/分以上、特に好ましくは4000%/分以上である。また、延伸速度の上限は、好ましくは30000%/分以下、より好ましくは15000%/分以下、さらに好ましくは9000%/分以下、特に好ましくは6000%/分以下である。
さらに、上記一軸方向と垂直な方向の延伸において、その延伸温度を一定とするのではなく、複数段階に分け、この第1段階の温度と最終段階の温度とで温度差をつけることが有効であることが判明した。温度差の下限は、最終段階の温度が第1段階の温度より4℃以上高いことが好ましく、7℃以上高いことがより好ましく、11℃以上高いことがさらに好ましく、15℃以上高いことが特に好ましい。また、温度差の上限は、49℃以下が好ましく、39℃以下がより好ましく、29℃以下がさらに好ましく、20℃以下が特に好ましい。温度差が大きすぎると、フィルム破断が生じやすくなる、延伸後のフィルムの厚み斑が悪くなる傾向にある。このように、第1段階と最終段階の温度差を上記数値範囲とすることで、フィルム厚みの薄いフィルムの製膜において従来困難であった高い延伸倍率を達成することができ、これによって厚み斑が良好なフィルムを得ることができ、かつ本発明における厚み方向の屈折率を達成することができる。さらに、フィルム厚みを薄くしても破断が生じにくいため、本発明における好ましいフィルム厚みを達成することができる。
一軸方向と垂直な方向の延伸を実施する工程において第1段階と最終段階との温度差をつけるには、1の延伸ゾーンの中でゾーンの入口(第1段階)と出口(最終段階)とで温度差をつけてもよいし、温度の異なる2以上の連続した延伸ゾーンを設けて最初の延伸ゾーン(第1段階)と最後の延伸ゾーン(最終段階)とで温度差をつけてもよい。ここでゾーンとは、テンター等においてシャッター等で区切られた1の領域を示す。いずれの場合も第1段階と最終段階の間をさらに分割し、第1段階から最終段階に向かって温度を傾斜的に上昇させるのが好ましく、特に直線的に上昇させると良い。例えば、温度の異なる2以上の連続した延伸ゾーンによる場合は、最初の延伸ゾーンと最後の延伸ゾーンの間に、さらに1以上の延伸ゾーンを設けることが好ましく、1以上10以下の延伸ゾーンを設けることがさらに好ましい。延伸ゾーンの合計を13以上とすることは、設備コストの面から不利である。延伸は、例えばフィルムを幅方向に延伸する場合は、最終段階を出た直後のフィルム幅を、第1段階に入る直前のフィルム幅で除した値が目標の延伸倍率となるようにすればよく、傾斜的にフィルム幅を増加させることが好ましく、特に直線的に増加させると良い。縦方向と横方向を同時に延伸する場合においても、同様に延伸の温度を複数段階に分け、この第1段階の温度と最終段階の温度とで温度差をつけるようにする。
本発明においては、上記の延伸速度の態様および延伸温度の態様のうち、少なくともいずれか1つの態様を採用するが、両方の態様を採用することがより好ましく、延伸工程が安定化し、本発明における屈折率および好ましいフィルム厚みを達成しやすくなる。
次いで、(Tg+70℃)〜Tmの温度で熱固定する。熱固定の温度は200℃以上260℃以下であり、好ましくは220℃以上250℃以下であり、さらに好ましくは230℃以上240℃以下である。熱固定温度が高すぎると、特にフィルム厚みの薄いフィルムを製造する際に、フィルム破断が生じやすくなり、また厚み斑が悪化してしまう。熱固定の後に必要に応じて熱固定温度より20℃〜90℃低い温度下で弛緩処理をすると、寸法安定性が良くなる。
次に本発明を実施例および比較例によりさらに詳しく説明する。また、例中の各種特性値は下記の方法で測定、評価した。
(1)粒子の平均粒径および粒径比
(1−1)粉体の平均粒径および粒径比
試料台上に、粉体を個々の粒子ができるだけ重ならないようにうに散在させ、金スパッター装置によりこの表面に金薄膜蒸着層を厚み200〜300Åで形成し、走査型電子顕微鏡を用いて1万〜3万倍で観察し、日本レギュレーター(株)製ルーゼックス500にて、少なくとも1000個の粒子についてその面積相当粒径(Di)、長径(Dli)および短径(Dsi)を求めた。
(1−2)フィルム中の粒子の平均粒径および粒径比
試料フィルム小片を走査型電子顕微鏡用試料台に固定し、日本電子(株)製スパッタリング装置(JIS−1100型イオンスパッタリング装置)を用いてフィルム表面に、0.13Paの真空下で0.25kV、1.25mAの条件でイオンエッチング処理を10分間施した。さらに、同じ装置で金スパッターを施し、走査型電子顕微鏡を用いて1万〜3万倍で観測し、日本レギュレーター(株)製ルーゼックス500にて、少なくとも1000個の粒子についてその面積相当粒径(Di)、長径(Dli)および短径(Dsi)を求めた。
粉体の平均粒径および粒径比については上記(1−1)項、フィルム中の粒子の平均粒径および粒径比については上記(1−2)項から得られた値を下記式に用いて、粒子の個数nとし、面積相当粒径(Di)の数平均値を平均粒径(D)とした。
Figure 2009096921
また、下記式から得られた長径の平均値(Dl)と短径の平均値を(Ds)から、粒径比はDl/Dsとして算出した。
Figure 2009096921
Figure 2009096921
(2)粒子の粒径の相対標準偏差
粉体の相対標準偏差については前記(1−1)項、フィルム中の粒子の相対標準偏差については前記(1−2)項で求められた各々の微粒子の面積相当粒径(Di)および平均粒径(D)から、下記式により求めた。
Figure 2009096921
(3)フィルムの表面粗さ
(3−1)中心線平均表面粗さ(Ra)
非接触式三次元粗さ計(小坂研究所製、ET−30HK)を用いて波長780nmの半導体レーザー、ビーム径1.6μmの光触針で測定長(Lx)1mm、サンプリングピッチ2μm、カットオフ0.25mm、厚み方向拡大倍率1万倍、横方向拡大倍率200倍、走査線数100本(従って、Y方向の測定長Ly=0.2mm)の条件にてフィルム表面の突起プロファイルを測定した。その粗さ曲面をZ=f(x,y)で表わしたとき、次の式で得られる値をフィルムの中心線平均表面粗さ(Ra、単位:nm)とした。
Figure 2009096921
(3−2)10点平均粗さ(Rz)
上記(3−1)項により得られたフィルム表面の突起プロファイルにおいて、ピーク(Hp)の高い方から5点と谷(Hv)の低い方から5点をとり、次の式により10点平均粗さ(Rz、単位:nm)を求めた。
Figure 2009096921
(4)熱収縮率
無張力の状態で150℃の雰囲気中30分におけるフィルムの熱収縮率(単位:%)を求めた。
(5)屈折率
ナトリウムD線(589nm)を光源としたアッベ屈折計を用いて23℃65%RHにて測定し、厚み方向の屈折率nZを求めた。
(6)絶縁破壊電圧(BDV)
JIS C 2151に示される方法に従って測定した。23℃相対湿度50%の雰囲気にて、直流耐電圧試験機を用い、上部電極は直径25mmの真鍮製円柱、下部電極は直径75mmのアルミ製円柱を使用し、100V/秒の昇圧速度で昇圧し、フィルムが破壊し短絡した時の電圧(単位:V)を読み取った。得られた電圧をフィルム厚み(単位:μm)で除して、絶縁破壊電圧(単位:V/μm)とした。
測定は41回実施し、大きい方の10個、小さい方の10個を除き、21個の中央値を絶縁破壊電圧の測定値とした。
100℃、120℃での測定は熱風オーブンに電極、サンプルをセットし、耐熱コードで電源に接続し、オーブン投入後1分で昇圧を開始して測定した。
(7)誘電率
JIS C2151のA法に準拠して23℃、1kHzにおける誘電率を測定した。
(8)ガラス転移点温度(Tg)および融点(Tm、Tms)
樹脂サンプルにおいては、サンプル約10mgを測定用のアルミニウム製パンに封入して示差熱量計(TA Instruments社製:商品名DSC2920 Modulated)に装着し、25℃から20℃/分の速度で300℃まで昇温させ、300℃で3分間保持した後取り出し、直ちに氷の上に移して急冷した。このパンを再度示差熱量計に装着し、25℃から20℃/分の速度で昇温させてガラス転移温度(単位:℃)と融点(単位:℃)を測定した。
また、フィルムサンプルにおいては、サンプル約20mgを測定用のアルミニウム製パンに封入して示差熱量計(TA Instruments社製:商品名DSC2920 Modulated)に装着し、25℃から20℃/分の速度で300℃まで昇温させてガラス転移温度(単位:℃)と融点(単位:℃)を測定した。
(9)延伸性
二軸延伸フィルムを100万m製膜する間に破断の発生する回数により、以下の如く判断した。
延伸性◎ : 10万mの製膜当り 破断が1回未満
延伸性○ : 10万mの製膜当り 破断が1回〜2回未満
延伸性△ : 10万mの製膜当り 破断が2回〜4回未満
延伸性× : 10万mの製膜当り 破断が4回〜8回未満
延伸性××: 10万mの製膜当り 破断が8回以上
(10)巻取り性
フィルムの製造工程において、フィルムを550mm幅で6000mのロール状に100m/分の速度で巻き上げ、その巻上げ状況、ロールの外観により次のように格付けする。
A: ロールの巻き姿良好
B: ロールの表面に1個以上5個未満のピンプル(突起状盛り上がり)が見られるがほぼ良好
C: ロールの表面に5個以上のピンプル(突起状盛り上がり)が見られ、外観不良
D: ロールのフィルム端面ズレが起き、巻き姿不良
[ポリエチレンテレフタレート樹脂の準備]
モノマーとしてジメチルテレフタレートとエチレングリコールを、エステル交換触媒として酢酸マンガンを、重合触媒として三酸化アンチモンを、安定剤として亜燐酸を用い、常法により重合し、固有粘度0.62のポリエチレンテレフタレート樹脂(融点258℃、誘電率3.2)を得た。
[比較例1]
スチレン系重合体として重量平均分子量3.0×10であり、13C−NMR測定でほぼ完全なシンジオタクチック構造であることが観察されるポリスチレン(融点(Tms)270℃、誘電率2.7)を用い、これを樹脂組成物とした。得られた樹脂組成物99.5質量部に、不活性微粒子Aとして平均粒径1.1μm、相対標準偏差0.15、粒径比1.08の球状シリカ粒子((株)日本触媒製:商品名シーホスター(登録商標))0.3質量部(得られる二軸延伸フィルム中において0.3重量%となる)と、不活性微粒子Bとして平均粒径0.3μm、相対標準偏差0.16、粒径比1.08の球状シリカ粒子((株)日本触媒製:商品名シーホスター(登録商標))0.2質量部(得られる二軸延伸フィルム中において0.2重量%となる)とからなる微粒子を添加し、樹脂組成物と微粒子の混合物を得た。
得られた混合物をペレット化し、該ペレットを130℃で7時間乾燥した後、押出機に供給し、290℃で溶融し、ダイスリットから押出してキャスティングドラム上で冷却固化し、未延伸シートを作成した。
この未延伸シートを114℃で縦方向(機械軸方向)に3.2倍延伸し、続いてテンターに導いた後、横方向(機械軸方向と垂直な方向)に3.3倍延伸した。その際、横方向の延伸における延伸速度は5000%/分とし、延伸温度は、第1段階の温度を102℃、最終段階の温度を119℃とした。その後235℃で9秒間熱固定をし、さらに180℃まで冷却する間に、幅方向に4%弛緩処理をして厚み3.0μmの二軸延伸フィルムを得てロール状に巻き取った。得られた二軸延伸フィルムの特性を表1に示す。
比較例1で得られた二軸延伸フィルムは、延伸性および巻取り性は良好であったが、絶縁破壊電圧が低く、高絶縁性フィルムとして不適なものであった。そのため、コンデンサーの絶縁体として不適なものであり、特にハイブリッド自動車に用いられるコンデンサーの絶縁体としても、絶縁破壊電圧が低すぎ、不適なものであった。
[実施例1]
スチレン系重合体として重量平均分子量3.0×10であり、13C−NMR測定でほぼ完全なシンジオタクチック構造であることが観察されるポリスチレン95質量部に、樹脂Xとして前記で得られたポリエチレンテレフタレート樹脂を5質量部配合したものを樹脂組成物として用いる以外は、比較例1と同様にして二軸延伸フィルムを得てロール状に巻き取った。得られた二軸延伸フィルムの特性を表1に示す。
実施例1で得られた二軸延伸フィルムは、延伸性および巻取り性に優れ、絶縁破壊電圧が高く、高絶縁性フィルムとして好適なものであった。そのため、コンデンサーの絶縁体として好適なものであった。
[実施例2〜4、比較例2]
スチレン系重合体と樹脂Xとの配合比率を表1に示す通りとした樹脂組成物を用いる以外は、実施例1と同様にして二軸延伸フィルムを得てロール状に巻き取った。得られた二軸延伸フィルムの特性を表1に示す。
実施例2〜4で得られた二軸延伸フィルムは、延伸性および巻取り性が良好で、特に絶縁破壊電圧が高く、高絶縁性フィルムとして好適なものであった。そのため、コンデンサーの絶縁体として好適なものであり、特にハイブリッド自動車に用いられるコンデンサーの絶縁体としても好適なものであった。
比較例2で得られた二軸延伸フィルムは、比較的耐熱性の低いポリエチレンテレフタレート樹脂の配合比率が高すぎたためか、特に高温における絶縁破壊電圧が低く、高絶縁性フィルムとして不適なものであった。
[比較例3,実施例5]
縦方向および横方向の延伸倍率、延伸温度等の製膜条件を表1のとおりとした以外は、実施例2と同様にして二軸延伸フィルムを得てロール状に巻き取った。得られた二軸延伸フィルムの特性を表1に示す。
比較例3で得られた二軸延伸フィルムは、厚み方向の屈折率が低いため、絶縁破壊電圧が低く、高絶縁性フィルムとして不適なものであった。
実施例5で得られた二軸延伸フィルムは、延伸性および巻取り性が良好で、特に絶縁破壊電圧が高く、高絶縁性フィルムとして好適なものであった。そのため、コンデンサーの絶縁体として好適なものであり、特にハイブリッド自動車に用いられるコンデンサーの絶縁体としても好適なものであった。
[比較例4]
厚み方向の屈折率がおおよそ1.6580であるようなフィルムを得るべく、縦方向および横方向の延伸倍率等の製膜条件を表1に示す通りとしたところ、フィルム破断が多発し、二軸延伸フィルムを得ることができなかった。
Figure 2009096921
[実施例6、7]
横方向に延伸する際の延伸速度および延伸温度等の製膜条件を表1のとおりとする以外は、実施例2と同様にして二軸延伸フィルムを得てロール状に巻き取った。得られた二軸延伸フィルムの特性を表2に示す。
実施例6、7で得られた二軸延伸フィルムは、横延伸における延伸速度の条件が好ましい範囲にないため、延伸性に劣るものであった。また、絶縁破壊電圧が比較的低いものであったが、巻取り性が良好で、高絶縁性フィルムとして実用に耐え得るものであった。
[実施例8]
樹脂組成物99.4質量部に、微粒子として平均粒径1.1μm、相対標準偏差0.15、粒径比1.08の球状シリカ粒子((株)日本触媒製:商品名シーホスター(登録商標))0.6質量部(得られる二軸延伸フィルム中において0.6重量%となる)を添加して得た混合物を用いる以外は、実施例2と同様にして二軸延伸フィルムを得た。得られた二軸延伸フィルムの特性を表2に示す。
実施例8で得られた二軸延伸フィルムは、巻取り性および絶縁破壊電圧が比較的低いものであったが、高絶縁性フィルムとして実用に耐え得るものであった。
[実施例9]
不活性微粒子Aとして平均粒径1.3μm、相対標準偏差0.14、粒径比1.10の球状シリコーン樹脂粒子0.3質量部(得られる二軸延伸フィルム中において0.3重量%となる)と、不活性微粒子Bとして平均粒径0.3μm、相対標準偏差0.16、粒径比1.08の球状シリカ粒子((株)日本触媒製:商品名シーホスター(登録商標))0.2質量部(得られる二軸延伸フィルム中において0.2重量%となる)とからなる微粒子を用いる以外は、実施例2と同様にして二軸延伸フィルムを得た。得られた二軸延伸フィルムの特性を表2に示す。
実施例9で得られた二軸延伸フィルムは、延伸性および巻取り性が良好で、特に絶縁破壊電圧が高く、高絶縁性フィルムとして好適なものであった。そのため、コンデンサーの絶縁体として好適なものであり、特にハイブリッド自動車に用いられるコンデンサーの絶縁体としても好適なものであった。
[実施例10]
樹脂Xとして、ポリエチレンナフタレート樹脂(融点269℃、誘電率3.1)を用いる以外は、実施例2と同様にして二軸延伸フィルムを得た。得られた二軸延伸フィルムの特性を表2に示す。
実施例10で得られた二軸延伸フィルムは、絶縁破壊電圧が比較的低いものであったが、延伸性および巻取り性に優れ、高絶縁性フィルムとして実用に耐え得るものであった。
[実施例11]
樹脂Xとして、ポリプロピレン樹脂(融点170℃、誘電率2.1)を用いる以外は、実施例2と同様にして二軸延伸フィルムを得た。得られた二軸延伸フィルムの特性を表2に示す。
実施例11で得られた二軸延伸フィルムは、樹脂Xとして用いたポリプロピレンの耐熱性が低いためか、高温における絶縁破壊電圧が比較的低いものであったが、高絶縁性フィルムとして実用に耐え得るものであった。
[比較例5]
樹脂Xとして、ポリカーボネート樹脂(融点243℃、誘電率2.8)を使用する以外は、実施例2と同様にして二軸延伸フィルムを得た。得られた二軸延伸フィルムの特性を表2に示す。
比較例5で得られた二軸延伸フィルムは、ポリスチレンの誘電率とポリカーボネート樹脂の誘電率との差が小さすぎたためか、ポリカーボネート樹脂を混合した効果が得られず、絶縁破壊電圧が低く、高絶縁性フィルムとして不適なものであった。
Figure 2009096921
また、得られた高絶縁性フィルムを用いて、以下のようにコンデンサーを作成した。
まず、フィルムの片面にアルミニウムを500Åの厚みとなるように真空蒸着した。その際、8mm幅の蒸着部分と1mm幅の非蒸着部分との繰り返しからなる、縦方向のストライプ状に蒸着した。得られた蒸着フィルムを、蒸着部分と非蒸着部分のそれぞれ幅方向の中央部でスリットし、4mm幅の蒸着部分と0.5mm幅の非蒸着部分とからなる、4.5mm幅のテープ状に巻取りリールにした。次いで、2本のリールを、非蒸着部分がそれぞれ反対側の端面となるように重ね合わせ巻回し、巻回体を得た後、150℃、1MPaで5分間プレスした。プレス後の巻回体の両端面にメタリコンを溶射して外部電極とし、メタリコンにリード線を溶接して巻回型フィルムコンデンサーを作成した。
実施例1〜11で得られた二軸延伸フィルムを用いたフィルムコンデンサーは、耐熱性、耐電圧特性に優れ、コンデンサーとして優れる性能を示すものであった。またコンデンサー作成時の加工性に優れるものであった。
特に、実施例2〜5、9で得られた二軸延伸フィルムを用いたフィルムコンデンサーは、耐熱性に優れ、特に耐電圧特性に優れ、コンデンサーとしてより優れる性能を示すものであった。

Claims (9)

  1. 主としてシンジオタクチック構造のスチレン系重合体に、該スチレン系重合体とは誘電率が0.2以上異なる樹脂Xを3重量%以上48重量%以下配合した樹脂組成物からなる二軸延伸フィルムであって、該二軸延伸フィルムは平均粒径が0.01μm以上3.0μm以下の微粒子を0.01重量%以上5.0重量%以下含有し、厚み方向の屈折率が1.6050以上1.6550以下である高絶縁性フィルム。
  2. 樹脂Xの融点が、前記スチレン系重合体の融点(Tms、単位:℃)に対して、(Tms−30)℃以上(Tms+30)℃以下の範囲にある請求項1に記載の高絶縁性フィルム。
  3. 樹脂Xがポリエチレンテレフタレート樹脂およびポリエチレンナフタレート樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種である請求項1または2に記載の高絶縁性フィルム。
  4. 微粒子が、平均粒径が0.6μm以上3.0μm以下、粒径の相対標準偏差が0.5以下の不活性微粒子Aを0.01重量%以上1.5重量%以下と、平均粒径が0.01μm以上0.5μm以下、粒径の相対標準偏差が0.5以下の不活性微粒子Bを0.05重量%以上2.0重量%以下とを構成成分として含み、不活性微粒子Aの平均粒径が不活性微粒子Bの平均粒径より0.3μm以上大きい請求項1〜3のいずれか1項に記載の高絶縁性フィルム。
  5. 不活性微粒子Aが、粒径比が1.0以上1.3以下の球状粒子である請求項4に記載の高絶縁性フィルム。
  6. 不活性微粒子Aが球状高分子樹脂粒子である請求項5に記載の高絶縁性フィルム。
  7. 不活性微粒子Aが球状シリカ粒子である請求項5に記載の高絶縁性フィルム。
  8. 不活性微粒子Bが、粒径比が1.0以上1.3以下の球状シリカ粒子である請求項4〜7のいずれか1項に記載の高絶縁性フィルム。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の高絶縁性フィルムを用いたコンデンサー。
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