JP5684873B2 - 高絶縁性フィルム - Google Patents
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本発明におけるスチレン系重合体は、シンジオタクチック構造のスチレン系重合体であり、すなわち炭素−炭素結合から形成される主鎖に対して、側鎖であるフェニル基や置換フェニル基が交互に反対方向に位置する立体構造を有するものである。一般にタクティシティーは、同位体炭素による核磁気共鳴法(13C−NMR法)により定量され、連続する複数個の構成単位の存在割合、例えば2個の場合はダイアッド、3個の場合はトリアッド、5個の場合はペンタッド等によって示すことができる。本発明においては、シンジオタクチック構造のスチレン系重合体とは、ラセミダイアッド(r)で75%以上、好ましくは85%以上、あるいはラセミペンタッド(rrrr)で30%以上、好ましくは50%以上のシンジオタクティシティーを有するポリスチレン、ポリ(アルキルスチレン)、ポリ(ハロゲン化スチレン)、ポリ(アルコキシスチレン)、ポリ(ビニル安息香酸エステル)、あるいはこれらのベンゼン環の一部が水素化された重合体やこれらの混合物、またはこれらの構造単位を含む共重合体を指称する。なお、ここでポリ(アルキルスチレン)としては、ポリ(メチルスチレン)、ポリ(エチルスチレン)、ポリ(プロピルスチレン)、ポリ(ブチルスチレン)、ポリ(フェニルスチレン)、ポリ(ビニルナフタレン)、ポリ(ビニルスチレン)、ポリ(アセナフチレン)等があり、ポリ(ハロゲン化スチレン)としては、ポリ(クロロスチレン)、ポリ(ブロモスチレン)、ポリ(フロオロスチレン)等がある。また、ポリ(アルコキシスチレン)としては、ポリ(メトキシスチレン)、ポリ(エトキシスチレン)等がある。これらのうち、特に好ましいスチレン系重合体としては、ポリスチレン、ポリ(p−メチルスチレン)、ポリ(m−メチルスチレン)、ポリ(p−ターシャリーブチルスチレン)、ポリ(p−クロロスチレン)、ポリ(m−クロロスチレン)、ポリ(p−フルオロスチレン)、またスチレンとp−メチルスチレンとの共重合体が挙げられる。
このようなシンジオタクチック構造のスチレン系重合体は、従来のアタクチック構造のスチレン系重合体に比べて耐熱性が格段に優れている。
本発明においては、前記スチレン系重合体を主たる構成成分とする二軸延伸フィルムが特定の量の酸化防止剤を含有することによって、電気的特性を高いものとすることができる。
かかる酸化防止剤としては、生成したラジカルを捕捉して酸化を防止する一次酸化防止剤、あるいは生成したパーオキサイドを分解して酸化を防止する二次酸化防止剤のいずれであってもよく、一次酸化防止剤としてはフェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤があげられ、二次酸化防止剤としてはリン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤があげられる。
本発明における酸化防止剤は、特に耐腐食性により優れ、絶縁破壊電圧の向上効果をより高めることができるという観点から、一次酸化防止剤が好ましく、フェノール系酸化防止剤が特に好ましい。
本発明の高絶縁性フィルムは、平均粒径および粒径の相対標準偏差が特定の数値範囲にある不活性微粒子Aを含有する。
本発明における不活性微粒子Aの平均粒径は、0.2μm以上3.0μm以下である。不活性微粒子Aの平均粒径を上記数値範囲とすることによって、高い絶縁破壊電圧を保ったまま、フィルムのエアー抜け性を良好なものとすることができ、巻取り性に優れた高絶縁性フィルムを得ることができる。不活性微粒子Aの平均粒径が小さすぎる場合は、十分なエアー抜け性が得られなくなる傾向にあり、巻取り性に劣るものとなる。他方、大きすぎる場合は、フィルム中のボイドの大きさが増大する傾向にあり、絶縁破壊電圧が低くなる。このような観点から、不活性微粒子Aの平均粒径は、好ましくは0.25μm以上2.0μm以下、さら好ましくは0.4μm以上1.6μm以下、特に好ましくは1.0μm以上1.2μm以下である。
本発明の高絶縁性フィルムは、上記不活性微粒子Aの他に、平均粒径および粒径の相対標準偏差が特定の数値範囲にある不活性微粒子Bを含有する態様が好ましい。
本発明における不活性微粒子Bの平均粒径は、0.01μm以上0.5μm以下である。不活性微粒子Bの平均粒径を上記数値範囲とすることによって、適度な滑り性を得ることができ、巻取り性の向上効果を高くすることができる。不活性微粒子Bの平均粒径が小さすぎる場合は、滑り性が低くなる傾向にあり、巻取り性の向上効果が低くなる。他方、大きすぎる場合は、フィルム表面における低突起の高さが高くなりすぎる傾向にあり、それにより滑り性が高くなりすぎ、巻取り時に端面ズレを起こしやすくなる等巻取り性の向上効果が低くなる。さらに、耐削れ性が悪化する傾向にあり、絶縁破壊電圧の向上効果が低くなる。このような観点から、不活性微粒子Bの平均粒径は、好ましくは0.05μm以上0.5μm以下、さらに好ましくは0.08μm以上0.4μm以下、特に好ましくは0.1μm以上0.3μm以下である。
さらに、本発明における不活性微粒子Bは、前述の不活性微粒子Aと同様の観点から、粒径比が1.0以上1.3以下の球状粒子であることが好ましく、さらに好ましくは1.0以上1.2以下、特に好ましくは1.0以上1.1以下である。
本発明の高絶縁性フィルムは、基本的には前述のシンジオタクチック構造のスチレン系重合体、酸化防止剤、不活性微粒子Aおよび不活性微粒子Bからなるものであるが、さらに成形性、力学物性、表面性等を改良するために他の樹脂成分を含有することができる。
さらに、本発明の目的を阻害しない範囲で、帯電防止剤、着色剤、耐候剤等の添加剤を加えることができる。
本発明の高絶縁性フィルムは、厚み方向の屈折率が1.6050以上1.6550以下である。厚み方向の屈折率は、好ましくは1.6100以上1.6400以下、さらに好ましくは1.6130以上1.6380以下、特に好ましくは1.6150以上1.6360以下である。厚み方向の屈折率を上記数値範囲とすることによって、絶縁破壊電圧を高くすることができる。また、フィルム製造工程におけるフィルム破断の頻度が低下し、生産性を向上することができる。厚み方向の屈折率が高すぎる場合は、フィルム製造工程におけるフィルム破断の頻度が増加する傾向にあり、フィルムの生産性が低下する。他方、低すぎる場合は、絶縁破壊電圧が低くなる傾向にあり、電気的特性に劣るものとなる。また、コンデンサーの製造工程におけるフィルム破断の頻度が増加し、コンデンサーの生産性が低下する。さらに、フィルムの厚み斑が悪くなる傾向にあり、品質の安定したコンデンサーを得にくくなる。
本発明の高絶縁性フィルムは、一部の特別な製造方法を除けば、基本的には従来から知られている、あるいは当業界に蓄積されている方法で得ることができる。以下、本発明の高絶縁性フィルムを得るための製造方法について詳記する。
(1−1)粉体の平均粒径および粒径比
試料台上に、粉体を個々の粒子ができるだけ重ならないように散在させ、金スパッター装置によりこの表面に金薄膜蒸着層を厚み200〜300Åで形成し、走査型電子顕微鏡を用いて1万〜3万倍で観察し、日本レギュレーター(株)製ルーゼックス500にて、少なくとも1000個の粒子についてその面積相当粒径(Di)、長径(Dli)および短径(Dsi)を求めた。
試料フィルム小片を走査型電子顕微鏡用試料台に固定し、日本電子(株)製スパッタリング装置(JIS−1100型イオンスパッタリング装置)を用いてフィルム表面に、0.13Paの真空下で0.25kV、1.25mAの条件でイオンエッチング処理を10分間施した。さらに、同じ装置で金スパッターを施し、走査型電子顕微鏡を用いて1万〜3万倍で観測し、日本レギュレーター(株)製ルーゼックス500にて、少なくとも1000個の粒子についてその面積相当粒径(Di)、長径(Dli)および短径(Dsi)を求めた。
粉体の平均粒径および粒径比については上記(1−1)項、フィルム中の粒子の平均粒径および粒径比については上記(1−2)項から得られた値を下記式に用いて、粒子の個数nとし、面積相当粒径(Di)の数平均値を平均粒径(D)とした。
粉体の相対標準偏差については前記(1−1)項、フィルム中の粒子の相対標準偏差については前記(1−2)項で求められた各々の粒子の面積相当粒径(Di)および平均粒径(D)から、下記式により求めた。
(3−1)中心線平均表面粗さ(Ra)
非接触式三次元粗さ計(小坂研究所製、ET−30HK)を用いて波長780nmの半導体レーザー、ビーム径1.6μmの光触針で測定長(Lx)1mm、サンプリングピッチ2μm、カットオフ0.25mm、厚み方向拡大倍率1万倍、横方向拡大倍率200倍、走査線数100本(従って、Y方向の測定長Ly=0.2mm)の条件にてフィルム表面の突起プロファイルを測定する。その粗さ曲面をZ=f(x,y)で表わしたとき、次の式で得られる値をフィルムの中心線平均表面粗さ(Ra、単位:nm)とした。
上記(3−1)項により得られたフィルム表面の突起プロファイルにおいて、ピーク(Hp)の高い方から5点と谷(Hv)の低い方から5点をとり、次の式により10点平均粗さ(Rz、単位:nm)を求めた。
無張力の状態で150℃の雰囲気中30分におけるフィルムの熱収縮率(単位:%)を求めた。
ナトリウムD線(589nm)を光源としたアッベ屈折計を用いて23℃65%RHにて測定し、厚み方向の屈折率(nZ)とした。
JIS C 2151に示される方法に従って測定した。23℃相対湿度50%の雰囲気にて、直流耐電圧試験機を用い、上部電極は直径25mmの真鍮製円柱、下部電極は直径75mmのアルミ製円柱を使用し、100V/秒の昇圧速度で昇圧し、フィルムが破壊し短絡した時の電圧(単位:V)を読み取った。得られた電圧をフィルム厚み(単位:μm)で除して、絶縁破壊電圧(単位:V/μm)とした。
測定は41回実施し、大きい方の10個、小さい方の10個を除き、21個の中央値を絶縁破壊電圧の測定値とした。
100℃、120℃での測定は熱風オーブンに電極、サンプルをセットし、耐熱コードで電源に接続し、オーブン投入後1分で昇圧を開始して測定した。
二軸延伸フィルムを100万m製膜する間に破断の発生する回数により、以下の如く判断した。
延伸性◎ :10万mの製膜当り、破断が1回未満
延伸性○ :10万mの製膜当り、破断が1回〜2回未満
延伸性△ :10万mの製膜当り、破断が2回〜4回未満
延伸性× :10万mの製膜当り、破断が4回〜8回未満
延伸性××:10万mの製膜当り、破断が8回以上
フィルムの製造工程において、フィルムを500mm幅で9000mのロール状に140m/分の速度で巻き上げ、得られたロールの巻き姿、およびロール端面における端面ズレを次のように格付けした。
[巻き姿]
A :ロールの表面にピンプルがなく、巻き姿が良好。
B :ロールの表面に1個以上4個未満のピンプル(突起状盛り上がり)があり、巻き姿はほぼ良好。
C :ロールの表面に4個以上10個未満のピンプル(突起状盛り上がり)があり、巻き姿はやや不良であるが、製品として使用できる。
D :ロールの表面に10個以上のピンプル(突起状盛り上がり)があり、巻き姿が悪く、製品として使用できない。
[端面ズレ]
◎ :ロール端面における端面ズレが0.5mm未満であり、良好。
○ :ロール端面における端面ズレが0.5mm以上1mm未満であり、ほぼ良好。
△ :ロール端面における端面ズレが1mm以上2mm未満であり、やや劣るものであるが製品として使用できる。
× :ロール端面における端面ズレが2mm以上であり、劣るものであり製品として使用できない。
××:ロール巻き上げ中に端面ズレが大きくなり、9000mのロールが作成できない。
示差熱熱重量同時測定装置(セイコー電子工業社製:商品名TG/DTA220)を使用して、空気雰囲気下にて10℃/分の昇温速度で測定し、その温度/重量変化曲線より重量変化し始める温度を接線法により求め、熱分解温度(単位:℃)とした。
サンプル約10mgを測定用のアルミニウム製パンに封入して示差熱量計(TA Instruments社製:商品名DSC2920 Modulated)に装着し、25℃から20℃/分の速度で300℃まで昇温させてガラス転移温度(単位:℃)と融点(単位:℃)を測定した。
重量平均分子量3.0×105であり、13C−NMR測定でほぼ完全なシンジオタクチック構造であることが観察されるポリスチレン99.0質量部に、酸化防止剤として、ペンタエリスリトールテトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製:商品名IRGANOX1010)(融点120℃、熱分解温度335℃)0.5質量部(得られる高絶縁性フィルムの質量を基準として0.5質量%となる)と、不活性微粒子Aとして、平均粒径1.1μm、相対標準偏差0.15、粒径比1.08の球状シリカ粒子((株)日本触媒製:商品名シーホスターKE)を0.3質量部(得られる高絶縁性フィルムの質量を基準として0.3質量%となる)と、不活性微粒子Bとして、平均粒径0.3μm、相対標準偏差0.16、粒径比1.08の球状シリカ粒子((株)日本触媒製:商品名シーホスターKE)を0.2質量部(得られる高絶縁性フィルムの質量を基準として0.2質量%となる)とを配合し、樹脂混合物を得た。
この未延伸シートを114℃で縦方向(機械軸方向)に3.2倍延伸し、続いてテンターに導いた後、横方向(機械軸方向と垂直な方向)に3.3倍延伸した。その際横方向の延伸速度は5000%/分とした。また、横方向の延伸の温度は、第1段階の温度を102℃、最終段階の温度を119℃とした。その後235℃で9秒間熱固定をし、さらに180℃まで冷却する間に横方向に4%弛緩処理をして、厚み3.0μmの高絶縁性フィルムを得てロール状に巻取った。得られた高絶縁性フィルムの特性を表1に示す。
酸化防止剤の含有量を表1に示すとおりとする以外は、参考例1と同様にして厚み3.0μmの高絶縁性フィルムを得てロール状に巻取った。得られた高絶縁性フィルムの特性を表1に示す。なお、ポリスチレンの量を調整し、全体が100質量部となるようにした。
酸化防止剤として、N,N’−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル〕ヒドラジン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製:商品名IRGANOX1024)(融点210℃、熱分解温度275℃)を用いる以外は、参考例2と同様にして厚み3.0μmの高絶縁性フィルムを得てロール状に巻取った。得られた高絶縁性フィルムの特性を表1に示す。
酸化防止剤の含有量が適正な参考例1〜4で得られた高絶縁性フィルムは、延伸性および巻取り性が良好で、絶縁破壊電圧が高く、コンデンサーの絶縁体として好適なものであった。
また、上記参考例1〜4とは異なる酸化防止剤を用いた参考例5で得られた高絶縁性フィルムも、延伸性および巻取り性が良好で、絶縁破壊電圧が高く、コンデンサーの絶縁体として好適なものであった。
また、比較例2から分かるように、酸化防止剤の含有量が多すぎる場合は、酸化防止剤が凝集してボイドを形成する等の欠陥が生じやすくなるためか、絶縁破壊電圧が低くなる傾向が見られた。結果として、比較例2で得られた高絶縁性フィルムは、コンデンサーの絶縁体として使用に耐え得ないものであった。
ポリスチレンを98.6質量部として、不活性微粒子Aとして、平均粒径0.27μm、相対標準偏差0.16、粒径比1.08の球状シリカ粒子((株)日本触媒製:商品名シーホスターKE)を0.4質量部(得られる高絶縁性フィルムの質量を基準として0.4質量%となる)として、不活性微粒子Bを添加しなかった以外は、参考例2と同様にして厚み3.0μmの高絶縁性フィルムを得てロール状に巻取った。得られた高絶縁性フィルムの特性を表2に示す。
不活性粒子Aとしての球状シリカ粒子の平均粒径、相対標準偏差、粒径比、および含有量を表2に示すとおりとする以外は、実施例1と同様にして厚み3.0μmの高絶縁性フィルムを得てロール状に巻取った。得られた高絶縁性フィルムの特性を表2に示す。なお、ポリスチレンの量を調整し、全体が100質量部となるようにした。
ポリスチレンを98.4質量部として、不活性微粒子Aとして、平均粒径0.5μm、相対標準偏差0.15、粒径比1.08の球状シリカ粒子((株)日本触媒製:商品名シーホスターKE)を0.1質量部(得られる高絶縁性フィルムの質量を基準として0.1質量%となる)と、不活性微粒子Bとして、平均粒径0.1μm、相対標準偏差0.17、粒径比1.07の球状シリカ粒子((株)日本触媒製:商品名シーホスターKE)を0.5質量部(得られる高絶縁性フィルムの質量を基準として0.5質量%となる)とを配合した以外は、参考例2と同様にして厚み3.0μmの高絶縁性フィルムを得てロール状に巻取った。得られた高絶縁性フィルムの特性を表2に示す。
不活性粒子Aとしての球状シリカ粒子の平均粒径、相対標準偏差、粒径比、含有量、および不活性粒子Bとしての球状シリカ粒子の平均粒径、相対標準偏差、粒径比、含有量を表2に示すとおりとする以外は、参考例10と同様にして厚み3.0μmの高絶縁性フィルムを得てロール状に巻取った。得られた高絶縁性フィルムの特性を表2に示す。なお、ポリスチレンの量を調整し、全体が100質量部となるようにした。
不活性微粒子Aとして、平均粒径1.3μm、相対標準偏差0.14、粒径比1.10の球状シリコーン樹脂粒子を0.3質量部(得られる高絶縁性フィルムの質量を基準として0.3質量%となる)を用いる以外は、参考例2と同様にして厚み3.0μmの高絶縁性フィルムを得てロール状に巻取った。得られた高絶縁性フィルムの特性を表2に示す。
含有する不活性粒子の態様が適正な参考例2、実施例6〜9、参考例10〜13で得られた高絶縁性フィルムは、いずれも延伸性および巻取り性が良好で、絶縁破壊電圧が高く、コンデンサーの絶縁体として好適なものであった。
製膜条件を表3に示す通りとする以外は、参考例2と同様にして厚み3.0μmの高絶縁性フィルムを得てロール状に巻取った。得られた高絶縁性フィルムの特性を表3に示す。
[比較例4]
厚み方向の屈折率がおおよそ1.6580であるようなフィルムを得るべく、縦方向および横方向の延伸倍率等の製膜条件を表3に示す通りとした以外は、参考例2同様にしてフィルムを製造しようとしたところ、フィルム破断が多発し、二軸延伸フィルムを得ることができなかった。
参考例2、14で得られた高絶縁性フィルムは、厚み方向の屈折率が適正であるため、延伸性および巻取り性が良好で、絶縁破壊電圧が高く、コンデンサーの絶縁体として好適なものであった。
他方、比較例3で得られた高絶縁性フィルムは、延伸倍率が低く、フィルムの厚み方向の屈折率が低すぎるため、巻取り性および絶縁破壊電圧に劣るものであった。
また、比較例4では、目的とした厚み方向の屈折率が高すぎ、高絶縁性フィルムを得ることができなかった。
まず、フィルムの片面にアルミニウムを500Åの厚みとなるように真空蒸着した。その際、8mm幅の蒸着部分と1mm幅の非蒸着部分との繰り返しからなる、縦方向のストライプ状に蒸着した。得られた蒸着フィルムを、蒸着部分と非蒸着部分のそれぞれ幅方向の中央部でスリットし、4mm幅の蒸着部分と0.5mm幅の非蒸着部分とからなる、4.5mm幅のテープ状に巻取りリールにした。次いで、2本のリールを、非蒸着部分がそれぞれ反対側の端面となるように重ね合わせ巻回し、巻回体を得た後、150℃、1MPaで5分間プレスした。プレス後の巻回体の両端面にメタリコンを溶射して外部電極とし、メタリコンにリード線を溶接して巻回型フィルムコンデンサーを作成した。
特に、参考例2、3、実施例6、8、9、参考例10、13、14で得られた高絶縁性フィルムを用いたフィルムコンデンサーは、特に耐電圧特性に優れ、コンデンサーとしてより優れる性能を示すものであった。
Claims (6)
- シンジオタクチック構造のスチレン系重合体を主たる構成成分とする二軸延伸フィルムであって、平均粒径が0.2μm以上3.0μm以下、粒径の相対標準偏差が0.5以下の不活性微粒子Aを0.01質量%以上1.5質量%以下と、フェノール系もしくはアミン系の酸化防止剤を0.5質量%以上5質量%以下とを含有し、含有する不活性粒子の粒度分布をみたときに不活性微粒子Aの1つのピークを有し、酸化防止剤の熱分解温度が280℃以上で、厚み方向の屈折率が1.6050以上1.6550以下である高絶縁性フィルム。
- 不活性微粒子Aが、粒径比が1.0以上1.3以下の球状粒子である請求項1に記載の高絶縁性フィルム。
- 不活性微粒子Aが球状高分子樹脂粒子である請求項2に記載の高絶縁性フィルム。
- 不活性微粒子Aが球状シリカ粒子である請求項2に記載の高絶縁性フィルム。
- フィルム厚みが0.4μm以上6.5μm未満である請求項1〜4のいずれか1項に記載の高絶縁性フィルム。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の高絶縁性フィルムを用いたコンデンサー。
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