JP2009096878A - 発泡性塩化ビニル系樹脂組成物 - Google Patents

発泡性塩化ビニル系樹脂組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】成形金型への粘着が抑制され、押出発泡加工性が優れた発泡性塩化ビニル系樹脂組成物を提供する。
【解決手段】発泡性塩化ビニル系樹脂組成物を、(A)塩化ビニル系樹脂100質量部、(B)木粉5〜150質量部、(C)アミノ酸亜鉛化合物0.1〜5質量部、(D)脂肪酸亜鉛化合物0.1〜5質量部、(E)メチルメタクリレート単位とブチルアクリレート単位を65:35〜95:5の質量比で含み、重量平均分子量が60万〜600万のメチルメタクリレート系共重合体7〜30質量部及び(F)熱分解型発泡剤0.1〜3質量部が配合されているものとする。
【選択図】なし

Description

本発明は、人体及び環境に対して有害な、従来の鉛系安定剤に代わる非鉛系安定剤が配合された塩化ビニル系樹脂組成物であって、成形金型への粘着が抑制され、押出発泡加工性が優れた発泡性塩化ビニル系樹脂組成物に関する。
木材は、光合成により繰り返し生産される資源であり、石油系樹脂とは異なる将来性を有する資源として見直されている。森林が成長の早い樹種で育成され、大気中の炭酸ガスが光合成により消費され、結果的に地球環境が健全に保たれ、一方で木材が計画的に伐採されて資源として人類の生活に役立てられるよう試みられている。このような状況の下で、木材から得られた木粉が、機械的強度が大きく成形加工が容易な汎用樹脂である塩化ビニル系樹脂に配合され、建築用資材に多用される塩化ビニル系樹脂組成物が、調和のとれた地球資源利用の観点から検討された(例えば、特許文献1〜3参照)。
樹脂成形体が発泡性樹脂組成物から押出成形される際、成形体の外観が損なわれず、長時間安定な押出発泡成形が行われ、金型に付着した樹脂の除去作業が簡略化されるには、発泡性樹脂組成物の成形金型への粘着性が抑制される必要がある。ところが、上記塩化ビニル系樹脂組成物の成形金型への粘着性の抑制は検討されてきたが、有効な解決策は見出されていなかった。
特開2002−138179号公報 特開平10−273571号公報 特開平10−152593号公報
本発明が解決しようとする課題は、成形金型への粘着が抑制され、押出発泡加工性が優れた発泡性塩化ビニル系樹脂組成物の提供である。
本発明は、(A)塩化ビニル系樹脂100質量部、(B)木粉5〜150質量部、(C)アミノ酸亜鉛化合物0.1〜5質量部、(D)脂肪酸亜鉛化合物0.1〜5質量部、(E)メチルメタクリレート単位とブチルアクリレート単位を65:35〜95:5の質量比で含み、重量平均分子量が60万〜600万のメチルメタクリレート系共重合体7〜30質量部及び(F)熱分解型発泡剤0.1〜3質量部が配合されている発泡性塩化ビニル系樹脂組成物である。
本発明の好ましい実施態様では、上記発泡性塩化ビニル系樹脂組成物に、さらに(G)ハイドロタルサイト0.1〜3質量部が配合されている。
本発明の別の好ましい実施態様では、上記発泡性塩化ビニル系樹脂組成物に、さらに(H)エポキシ化大豆油及び/又はエポキシ化亜麻仁油0.1〜5質量部が配合されている。
本発明の発泡性塩化ビニル系樹脂組成物の金型への粘着性は低い。従って、長時間安定な押出発泡成形が、本発明の発泡性塩化ビニル系樹脂組成物により実施される。更に、本発明の発泡性塩化ビニル系樹脂組成物は、金型に付着した樹脂の押出発泡成形後の除去作業を大幅に簡略化する。本発明の発泡性塩化ビニル系樹脂組成物の押出発泡加工性も優れている。
以下、本発明につき詳細に説明する。
本発明の発泡性塩化ビニル系樹脂組成物に配合される(A)塩化ビニル系樹脂は、塩化ビニルの単独重合体の他、塩化ビニル単位を好ましくは50重量%以上、より好ましくは70重量%以上含有する共重合体を含む。塩化ビニル共重合体の共単量体の具体例は、エチレン、プロピレンなどのオレフィン類;塩化アリル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、三フッ化塩化エチレンなどのハロゲン化オレフィン類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル類;イソブチルビニルエーテル、セチルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;アリル−3−クロロ−2−オキシプロピルエーテル、アリルグリシジルエーテルなどのアリルエーテル類;アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、メチルメタクリレート、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジエチル、無水マレイン酸などの不飽和カルボン酸、そのエステルまたはその酸無水物類;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどの不飽和ニトリル類;アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライドなどのアクリルアミド類;アリルアミン安息香酸塩、ジアリルジメチルアンモニウムクロライドなどのアリルアミンおよびその誘導体類;などである。以上に例示される単量体は、塩化ビニルと共重合可能な単量体の一部に過ぎず、近畿化学協会ビニル部会編「ポリ塩化ビニル」日刊工業新聞社(1988年)第75〜104頁に例示されている各種単量体が使用され得る。これらの単量体の1種又は2種以上が使用され得る。本発明の発泡性塩化ビニル系樹脂組成物に配合される(A)塩化ビニル系樹脂は、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メチルメタクリレート共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、塩素化ポリエチレンなどの樹脂に、(1)塩化ビニルまたは(2)塩化ビニルと前記される共重合可能な単量体がグラフト重合された樹脂も含む。
本発明の発泡性塩化ビニル系樹脂組成物に配合される(A)塩化ビニル系樹脂は、懸濁重合、乳化重合、溶液重合、塊状重合など、従来から知られているいずれの製造法によって製造される。JIS K 6721規定の測定法による(A)塩化ビニル系樹脂の好ましい平均重合度は400〜1,500であり、より好ましい平均重合度は600〜1,100である。塩化ビニル系樹脂の平均重合度が400より小さいと、粗大な発泡セルが発生する傾向にある。塩化ビニル系樹脂の平均重合度が1,500より大きいと、発泡倍率が上がりにくい傾向にある。
本発明の発泡性塩化ビニル系樹脂組成物に配合される(B)木粉の樹種は特に限定されない。(B)木粉の原料となる木材の具体例は、杉、ツガ、ラワンなどの針葉樹又は広葉樹の材木片、鉋屑、鋸屑などである。(B)木粉は、好ましくは、上記木材が粉砕機により平均粒径500μm以下の比較的丸味を帯びた木粉に粉砕されて得られる。
本発明の発泡性塩化ビニル系樹脂組成物に配合される(B)木粉は、特開平5−177610号公報および特開平5−261708号公報に開示されているような、硬い小粒子が表面に付着した木粉であり得る。硬い小粒子の硬度は木粉の硬度より大きく、硬い小粒子の平均粒径は木粉の平均粒径より小さい。硬い小粒子の具体的は、金属、金属酸化物、金属塩、無機化合物、プラスチック粒子などである。好ましい硬い小粒子は、酸化チタン、ニッケル、炭酸カルシウム、シリカ、マイカなどの無機系または金属系粒子である。硬い小粒子が木粉表面に付着する態様は、(1)木粉への硬い小粒子の喰い込みを含む抱き込み結合、(2)喰い込み結合された複数の硬い小粒子の相互による狭み込み結合などの、硬い小粒子の木粉表面部に対する押しつけ外力による付着、(3)接着剤による木粉と硬い小粒子の付着であり得る。木粉は、木粉に対して1〜50質量%の硬い小粒子と共にボールミルなどの混練機に仕込まれ、窒素雰囲気下などの粉塵爆発が防止された条件下で処理される。
本発明の発泡性塩化ビニル系樹脂組成物に配合される(B)木粉の平均粒径は、好ましくは30〜500μmであり、(B)木粉のより好ましい平均粒径は50〜100μmである。平均粒径は、粉末が篩分析されて得られた目開きに対する累積重量%曲線の50重量%に該当する目開きの値の読みと定義される。(B)木粉の平均粒径が50μmより小さい場合、発泡性塩化ビニル系樹脂組成物の嵩比重が小さくなり、粉末状の発泡性塩化ビニル系樹脂組成物調製のための混合操作性が悪くなる恐れがある。(B)木粉の平均粒径が500μmより大きい場合、発泡性塩化ビニル系樹脂組成物から得られる成形体表面が荒れ、発泡倍率が低下する恐れがある。
(B)木粉中の好ましい水分量は10質量%以下であり、より好ましい水分量は5質量%以下である。
(B)木粉の配合量は、(A)塩化ビニル系樹脂100質量部に対して5〜150質量部である。(B)木粉の(A)塩化ビニル系樹脂100質量部に対する好ましい配合量は15〜120質量部であり、より好ましい配合量は25〜100質量部である。(B)木粉の配合量が(A)塩化ビニル系樹脂100質量部に対して5質量部より少ない場合、発泡性塩化ビニル系樹脂組成物から得られる成形体の外観が良好な木質感を呈さなくなる。(B)木粉の配合量が(A)塩化ビニル系樹脂100質量部に対して150質量部より多い場合、発泡性塩化ビニル系樹脂への木粉の分散が不均一となり、発泡性塩化ビニル系樹脂組成物から得られる成形体の機械的強度が低くなる。
本発明の発泡性塩化ビニル系樹脂組成物に配合される(C)アミノ酸亜鉛化合物は、アミノ酸と亜鉛との塩である。該アミノ酸の具体例は、グリシン、アラニン、ロイシン、イソロイシン、セリン、トレオニン、システイン、シスチン、メチオニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、リジン、アルギン、フェニルアラニン、チロシン、ヒスチジン、トリプトファン、プロニン、オキシプロニンなどである。(C)アミノ酸亜鉛化合物は1種又は2種以上を用いることができる。
(C)アミノ酸亜鉛化合物の配合量は、(A)塩化ビニル系樹脂100質量部に対して0.1〜5質量部である。(C)アミノ酸亜鉛化合物の(A)塩化ビニル系樹脂100質量部に対する好ましい配合量は1〜3質量部である。(C)アミノ酸亜鉛化合物の配合量が(A)塩化ビニル系樹脂100質量部に対して0.1質量部より少ない場合、発泡性塩化ビニル系樹脂組成物の熱安定性が小さくなる。(C)アミノ酸亜鉛化合物の配合量が(A)塩化ビニル系樹脂100質量部に対して5質量部より多い場合、発泡性塩化ビニル系樹脂組成物の押出加工性が悪く、発泡性塩化ビニル系樹脂組成物の成形時に金型汚れが起き易くなる。
本発明の発泡性塩化ビニル系樹脂組成物に配合される(D)脂肪酸亜鉛化合物は、脂肪酸と亜鉛との塩である。該脂肪酸は、通常、炭素数8〜22の飽和又は不飽和脂肪酸である。当該飽和脂肪酸の具体例は、オクチル酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸である。当該不飽和脂肪酸の具体例は、リンデル酸、ツズ酸、ペトロセリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸である。好ましい脂肪酸は、ステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸などである。(D)脂肪酸亜鉛化合物は、1種又は2種以上を用いることができる。
(D)脂肪酸亜鉛化合物の配合量は、(A)塩化ビニル系樹脂100質量部に対して0.1〜5質量部である。(D)脂肪酸亜鉛化合物の(A)塩化ビニル系樹脂100質量部に対する好ましい配合量は1〜3質量部である。(D)脂肪酸亜鉛化合物の配合量が(A)塩化ビニル系樹脂100質量部に対して0.1質量部より少ない場合、発泡性塩化ビニル系樹脂組成物の熱安定性が悪くなる。(D)脂肪酸亜鉛化合物の配合量が(A)塩化ビニル系樹脂100質量部に対して5質量部より多い場合、発泡性塩化ビニル系樹脂組成物の押出発泡安定性が悪くなる。
(C)アミノ酸亜鉛化合物及び(D)脂肪酸亜鉛化合物は、熱安定剤の1種である。後述される実施例と比較例の比較からわかるとおり、本発明は、熱安定剤の中からのアミノ酸亜鉛化合物及び脂肪酸亜鉛化合物の選択により有利な効果を発揮している。
(E)メチルメタクリレート単位とブチルアクリレート単位を65:35〜95:5の質量比で含み、重量平均分子量が60万〜600万のメチルメタクリレート系共重合体が、本発明の発泡性塩化ビニル系樹脂組成物に配合される。(E)メチルメタクリレート系共重合体は、メチルメタクリレート及びブチルアクリレートと共重合可能な単量体の単位を含有し得る。当該単量体の具体例は、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレンなどの芳香族ビニル系化合物;(メタ)アクリロニトリル、シアン化ビニリデンなどの不飽和ニトリル類;2−ヒドロキシエチルフマレート、ヒドロキシブチルビニルエーテル、モノブチルマレエート、グリシジルメタクリレート、ブトキシエチルメタクリレートなどである。(E)メチルメタクリレート系共重合体の粒子構造は、一段階の重合反応で得られる、粒子内がほぼ均一なポリマー組成であってもよいし、いわゆるコア−シェル構造のように断層毎に異なる重合体組成であってもよい。(E)メチルメタクリレート系共重合体の粒子構造がコア−シェルである場合、コアとシェルの質量比は好ましくは1/1〜15/1である。なお、メチルメタクリレート系共重合体において、メチルメタクリレート単位及びブチルアクリレート単位が上記の範囲内にあることにより、メチルメタクリレート系共重合体のガラス転移点が下記に示す好ましい範囲に入り、その結果、本発明の発泡性塩化ビニル系樹脂組成物の押出加工性を向上させ、なおかつ、メチルメタクリレート系共重合体の粉末どうしの固着(ブロッキング)を防止することができる。
(E)メチルメタクリレート系共重合体のガラス転移点は好ましくは50〜85℃であり、より好ましいガラス転移点は60〜83℃である。(E)メチルメタクリレート系共重合体のガラス転移点が50℃未満である場合、夏期の保存中に粉末どうしが固着(ブロッキング)し易くなる傾向にある。(E)メチルメタクリレート系共重合体のガラス転移点が85℃より高い場合、発泡性塩化ビニル系樹脂組成物から得られる発泡体が発泡不良を起こす恐れがある。本発明において、ガラス転移点の測定は示差熱分析計で行なわれる。
(E)メチルメタクリレート系共重合体の重量平均分子量は60万〜600万であり、好ましい重量平均分子量は100万〜400万である。(E)メチルメタクリレート系共重合体の重量平均分子量が60万未満である場合、発泡性塩化ビニル系樹脂組成物から得られる発泡体の表面が荒れ、かつ、発泡倍率が上がらない。(E)メチルメタクリレート系共重合体の重量平均分子量が600万より大きい場合、塩化ビニル系樹脂組成物の均一可塑化は長時間を要する。(E)メチルメタクリレート系共重合体の重量平均分子量は、重合反応温度の選定;t−ドデシルメルカプタン、四塩化炭素などの連鎖移動剤の使用などの一般的な方法により調節される。(E)メチルメタクリレート系共重合体の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法により標準ポリスチレンに換算して求められる。
(E)メチルメタクリレート系共重合体は、(A)塩化ビニル系樹脂の溶融粘度特性を改良し、(B)木粉を(A)塩化ビニル系樹脂に均一に分散させ、発泡セルの膜強度を保持し、当該発泡セルを破壊され難くする。
本発明の発泡性塩化ビニル系樹脂組成物に配合される(F)熱分解型発泡剤は、熱分解型有機発泡剤又は/及び熱分解型無機発泡剤である。熱分解型有機発泡剤の具体例は、N,N′−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、N,N′−ジメチル−N,N′−ジニトロソテレフタルアミド等のニトロソ化合物;アゾジカルボンアミド、アゾビスイソプチロニトリル等のアゾ化合物;ベンゼンスルホニルヒドラジド、p,p′−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、トルエンスルホニルヒドラジド等のスルホニルヒドラジド類;などである。熱分解型無機発泡剤の具体例は、重炭酸ナトリウム、重炭酸アンモニウム、炭酸アンモニウムなどである。有機熱分解型発泡剤及び/又は無機熱分解型発泡剤の群から選択される1種または2種以上の発泡剤が用いられる。
本発明の発泡性塩化ビニル系樹脂組成物に配合される(F)熱分解型発泡剤の配合量は、(A)塩化ビニル系樹脂100質量部に対して0.1〜3質量部である。(F)熱分解型発泡剤の(A)塩化ビニル系樹脂100質量部に対する好ましい配合量は0.5〜1.5質量部である。(F)熱分解型発泡剤の配合量が(A)塩化ビニル系樹脂100質量部に対して0.1質量部より少ない場合、発泡体の発泡倍率が小さくなり、発泡体の比重が高くなり経済性が悪くなる。(F)熱分解型発泡剤の配合量が(A)塩化ビニル系樹脂100質量部に対して3質量部より多い場合、発泡体表面が荒れ、発泡体外観が悪化する。
ブタン、塩化メチル、トリクロロフルオロメタン、トリフルオロメタン、石油エーテルなどの低沸点有機化合物からなる揮発型発泡剤は、本発明の発泡性塩化ビニル系樹脂組成物に配合されない。揮発型発泡剤は、発泡性塩化ビニル系樹脂組成物から得られる発泡体の発泡セルを微細にし、発泡体の発泡倍率を上がるが、発泡体の強度を著しく低下させ、発泡体の釘止め及びビス止めを利き難くする。
本発明の発泡性塩化ビニル系樹脂組成物は、(G)ハイドロタルサイトを含有し得る。(F)ハイドロタルサイトを含有させることにより、本発明の発泡性塩化ビニル系樹脂組成物の発泡セル状態をより改良することができる。ハイドロタルサイトは、一般式 [Mg1-xAlx(OH)2]x+ [(CO3)x/2・mH2O]x-で表される不定比化合物で、プラスに荷電した基本層 [Mg1-xAlx(OH)2]x+と、マイナスに荷電した中間層 [(CO3)x/2・mH2O]x-とからなる層状の結晶構造を有する無機物質である。ここで、xは0より大で0.33以下の範囲の数である。天然のハイドロタルサイトはMg6Al2(OH)16CO3・4H2Oである。合成されたハイドロタルサイトMg4.5Al2(OH)13CO3・3.5H2Oが市販されている。合成ハイドロタルサイトの合成方法は、特公昭61−174270号公報に記載されている。
(G)ハイドロタルサイトの好ましい配合量は、(A)塩化ビニル系樹脂100質量部に対して0.1〜3質量部である。(G)ハイドロタルサイトの配合量が(A)塩化ビニル系樹脂100質量部に対して3質量部より多い場合、発泡性塩化ビニル系樹脂組成物の押出発泡加工性が悪くなる。
本発明の発泡性塩化ビニル系樹脂組成物は、(H)エポキシ化大豆油及び/又はエポキシ化亜麻仁油を含有し得る。(H)エポキシ化大豆油及び/又はエポキシ化亜麻仁油を含有させることにより、本発明の発泡性塩化ビニル系樹脂組成物の粘着性を低くすることができる。(H)エポキシ化大豆油及び/又はエポキシ化亜麻仁油の配合量は、(A)塩化ビニル系樹脂100質量部に対して0.1〜5質量部である。(H)エポキシ化大豆油及び/又はエポキシ化亜麻仁油の(A)塩化ビニル系樹脂100質量部に対する好ましい配合量は1〜3質量部である。(H)エポキシ化大豆油及び/又はエポキシ化亜麻仁油の配合量が(A)塩化ビニル系樹脂100質量部に対して5質量部より多い場合、発泡性塩化ビニル系樹脂組成物から得られる発泡体の機械的強度が低くなり、エポキシ化大豆油及び/又はエポキシ化亜麻仁油が発泡体表面にブリードアウトする。
その他公知の添加剤が、本発明の発泡性塩化ビニル系樹脂組成物に配合され得る。当該添加剤の具体例は、エポキシ化大豆油及びエポキシ化亜麻仁油以外の可塑剤、脂肪酸亜鉛化合物以外の滑剤、顔料、耐衝撃性改良剤、酸化防止剤、抗菌剤、防黴剤、難燃剤、帯電防止剤、充填剤、塩化ビニル系樹脂と相溶可能な樹脂、安定化助剤、光安定剤などである。
エポキシ化大豆油及び/又はエポキシ化亜麻仁油以外の可塑剤は、塩化ビニル系樹脂の加工に可塑剤として従来慣用されているものである。エポキシ化大豆油及び/又はエポキシ化亜麻仁油以外の可塑剤の具体例は、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジ−(2−エチルヘキシル)フタレート、ジ−n−オクチルフタレート、ジイソブチルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジフェニルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジトリデシルフタレート、ジウンデシルフタレート、ジベンジルフタレート、ブチルベンジルフタレート、ジノニルフタレート、ジシクロヘキシルフタレートなどのフタル酸誘導体;ジメチルイソフタレート、ジ−(2−エチルヘキシル)イソフタレート、ジイソオクチルイソフタレートなどのイソフタル酸誘導体;ジ−(2−エチルヘキシル)テトラヒドロフタレート、ジ−n−オクチルテトラヒドロフタレート、ジイソデシルテトラヒドロフタレートなどのテトラヒドロフタル酸誘導体、ジ−n−ブチルアジペート、ジ(2−エチルヘキシル)アジペート、ジイソデシルアジペート、ジイソノニルアジペートなどのアジピン酸誘導体;ジ−(2−エチルヘキシル)アゼレート、ジイソオクチルアゼレート、ジ−n−ヘキシルアゼレートなどのアゼライン酸誘導体;ジ−n−ブチルセバケート、ジ−(2−エチルヘキシル)セバケートなどのセバシン酸誘導体;ジ−n−ブチルマレエート、ジメチルマレエート、ジエチルマレエート、ジ−(2−エチルヘキシル)マレエートなどのマレイン酸誘導体;ジ−n−ブチルフマレート、ジ−(2−エチルヘキシル)フマレートなどのフマル酸誘導体;トリ−(2−エチルヘキシル)トリメリテート、トリ−n−オクチルトリメリテート、トリイソデシルトリメリテート、トリイソオクチルトリメリテート、トリ−n−ヘキシルトリメリテート、トリイソノニルトリメリテートなどのトリメリット酸誘導体;テトラ−(2−エチルヘキシル)ピロメリテート、テトラ−n−オクチルピロメリテートなどのピロメリット酸誘導体;トリエチルシトレート、トリ−n−ブチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート、アセチルトリ−(2−エチルヘキシル)シトレートなどのクエン酸誘導体;モノメチルイタコネート、モノブチルイタコネート、ジメチルイタコネート、ジエチルイタコネート、ジブチルイタコネート、ジ−(2−エチルヘキシル)イタコネートなどのイタコン酸誘導体;ブチルオレエート、グリセリルモノオレエート、ジエチレングリコールモノオレエートなどのオレイン酸誘導体;メチルアセチルリシノレート、ブチルアセチルリシノレート、グリセリルモノリシノレート、ジエチレングリコールモノリシノレートなどのリシノール酸誘導体;n−ブチルステアレート、ジエチレングリコールジステアレートなどのステアリン酸誘導体;ジエチレングリコールモノラウレート、ジエチレングリコールジペラルゴネート、ペンタエリスリトール脂肪酸エステルなどのその他の脂肪酸誘導体;トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリ−(2−エチルヘキシル)ホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、トリス(クロロエチル)ホスフェートなどのリン酸誘導体;ジエチレングリコールジベンゾエート、ジプロピレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジ−(2−エチルブチレート)、トリエチレングリコールジ−(2−エチルヘキソエート)、ジブチルメチレンビスチオグリコレートなどのグリコール誘導体;グリセロールモノアセテート、グリセロールトリアセテート、グリセロールトリブチレートなどのグリセリン誘導体;エポキシヘキサヒドロフタル酸ジイソデシル、エポキシトリグリセライド、エポキシ化オレイン酸オクチル、エポキシ化オレイン酸デシルなどのエポキシ誘導体;アジピン酸系ポリエステル、セバシン酸系ポリエステル、フタル酸系ポリエステルなどのポリエステル系可塑剤などのいわゆる一次可塑剤;ならびに塩素化パラフィン、トリエチレングリコールジカプリレートなどのグリコールの脂肪酸エステル、ブチルエポキシステアレート、フェニルオレエート、ジヒドロアビエチン酸メチルなどの二次可塑剤;などである。1種又は2種以上の可塑剤が使用できる。二次可塑剤が用いられる場合、それと等質量以上の一次可塑剤が好ましくは併用される。
脂肪酸亜鉛化合物以外の滑剤の具体例は、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸ストロンチウム、ステアリン酸バリウム、ラウリン酸カルシウム、ラウリン酸バリウム、2−エチルヘキソイン酸バリウム、リシノール酸バリウムなどの金属せっけん類;n−ブチルステアレート、メチルヒドロキシステアレート、多価アルコール脂肪酸エステル、エステル系ワックスなどの脂肪酸エステル類;ステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸などの脂肪酸類;ステアロアミド、オキシステアロアミド、オレイルアミド、ベヘンアミド、メチレンビスステアロアミド、エチレンビスステアロアミド、N,N′−ジステアリルコハク酸アミドなどのアミド化合物;などである。
顔料の具体例は、キナクリドン系顔料、ペリレン系顔料、ポリアゾ縮合顔料、イソインドリノン系顔料、銅フタロシアニン系顔料、チタンホワイト、カーボンブラックである。1種又は2種以上の顔料が使用される。キナクリドン系顔料は、p−フェニレンジアントラニル酸類が濃硫酸で処理されて得られ、黄みの赤から赤みの紫の色相を示す。キナクリドン系顔料の具体例は、キナクリドンレッド、キナクリドンマゼンタ、キナクリドンバイオレットである。ペリレン系顔料は、ペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸無水物と芳香族第一級アミンの縮合反応により得られ、赤から赤紫、茶色の色相を示す。ペリレン系顔料の具体例は、ペリレンレッド、ペリレンオレンジ、ペリレンマルーン、ペリレンバーミリオン、ペリレンボルドーである。ポリアゾ縮合顔料は、アゾ色素が溶剤中で縮合されて高分子量化されて得られ、黄、赤系顔料の色相を示す。ポリアゾ縮合顔料の具体例は、ポリアゾレッド、ポリアゾイエロー、クロモフタルオレンジ、クロモフタルレッド、クロモフタルスカーレットである。イソインドリノン系顔料は、4,5,6,7−テトラクロロイソインドリノンと芳香族第一級ジアミンの縮合反応により得られ、緑みの黄色から、赤、褐色の色相を示す。イソインドリノン系顔料の具体例は、イソインドリノンイエローである。銅フタロシアニン系顔料は、フタロシアニン類に銅を配位した顔料で、黄みの緑から鮮やかな青の色相を示す。銅フタロシアニン系顔料の具体例は、フタロシアニングリーン、フタロシアニンブルーである。チタンホワイトは、二酸化チタンからなる白色顔料で、隠蔽力が大きく、アナタース型とルチル型がある。カーボンブラックは、炭素を主成分とし、酸素、水素、窒素を含む黒色顔料である。カーボンブラックの具体例は、サーマルブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、ボーンブラックである。
耐衝撃性改良剤の具体例は、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、メタクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン共重合体、塩素化ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体への塩化ビニルグラフト共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、クロロスルホン化ポリエチレンなどである。1種又は2種以上の耐衝撃性改良剤が使用できる。耐衝撃性改良剤は、発泡性塩化ビニル系樹脂組成物中で微細な弾性粒子の不均一相となって分散する。当該弾性粒子にグラフト重合した鎖及び極性基が塩化ビニル系樹脂と相溶し、発泡性塩化ビニル系樹脂組成物の耐衝撃性が向上する。
酸化防止剤の具体例は、フェノール系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、リン系酸化防止剤である。
防黴剤の具体例は、脂肪族エステル系防黴剤、炭化水素系防黴剤、有機窒素系防黴剤、有機窒素硫黄系防黴剤などである。
難燃剤の具体例は、塩素化パラフィン等のハロゲン系難燃剤;リン酸エステル等のリン系難燃剤;水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の無機水酸化物;などである。
帯電防止剤の具体例は、脂肪酸塩類、高級アルコール硫酸エステル類、スルホン酸塩類等のアニオン系帯電防止剤;脂肪族アミン塩類、第四級アンモニウム塩類のカチオン系帯電防止剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル類等のノニオン系帯電防止剤;などである。
充填剤の具体例は、シリカ、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、クレーなどである。
光安定剤の具体例は、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ニッケルキレート系等の紫外線吸収剤;ヒンダートアミン系光安定剤;などである。
本発明の発泡性塩化ビニル系樹脂組成物の調整方法は限定されない。当該調整方法の具体例は以下のとおりである。(A)〜(E)成分と必要に応じて配合されるその他の成分が、一括してヘンシェルミキサーなどの混合機に投入され、激しく撹拌混合されつつ120〜160℃に昇温される。木粉に吸収されている水分が、混合過程で揮散される。全成分の混合機への一括投入及び混合により、嵩比重が大きく、添加剤が均一分散された混合物が得られる。上記温度に到達したのち、混合物はクーリングミキサーに移され、通常、100℃程度まで冷却された後、(F)熱分解型発泡剤が添加され、さらに50〜60℃に冷却される。クーリングミキサー中の混合物の温度が十分に低下したのち、粉末状の混合物がクーリングミキサーから取り出される。取り出された粉末状の混合物は、そのまま成形用のコンパウンドとされ得るが、さらにペレット化することもできる。
本発明の発泡性塩化ビニル系樹脂組成物の成形方法は制限されない。当該成形方法の具体例は、押出発泡成形法、射出発泡成形法などである。天然木材に似た発泡体が、本発明の発泡性塩化ビニル系樹脂組成物から成形される。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。発泡性塩化ビニル系樹脂組成物の成形金型への粘着性及び押出発泡加工性は、下記のとおりに評価された。
(1)成形金型への粘着性
後述される発泡性塩化ビニル系樹脂組成物のペレットが、吐出口(間隙1mm、幅20mm、ランド長さ25mm)を備えた炭素鋼製金型(上下分割型)が先端に取り付けられた、シリンダー内径20mmの、スクリューが内蔵される単軸押出機に投入され、以下の条件で、短冊状の発泡体が1時間連続して押出発泡成形された。
スクリューL/D=24、スクリュー圧縮比=3.5、スクリュー回転数=30rpm
設定温度(℃);シリンダー1(ホッパー下)/シリンダー2/シリンダー3/ヘッド/ダイス(炭素鋼製金型)=加熱なし/170/180/170/170
1時間の連続押出発泡成形後、金型が解体され、以下の式で示される粘着物面積比が算出された。
粘着物面積比=[粘着物面積/金型面積(20mm×25mm)]×100(%)
(2)発泡セル状態
上記されるようにして得られた発泡体が切断され、切断面が光学顕微鏡で観察された。判定基準は以下のとおりである。
◎;セル径100μm以下の微細で均一なセルのみが観察される。
○;セル径100μm以下の微細なセルが観察されるが、セル破壊が散見される。
△;セル径100μm以下の微細なセルが観察されるが、多数のセル破壊が観察される。
×;セルが破壊され、粗くなっている。
(3)発泡倍率
後述される発泡性塩化ビニル系樹脂組成物のペレットが、外径8インチの電気ヒーターを備える樹脂混練用ロールに投入され、185℃で5分間混練され、発泡性塩化ビニル系樹脂組成物中のアゾジカルボンアミドが熱分解された。混練物は厚み2〜3mmのシートにされて冷却され、当該シートが5mm角に裁断され、ペレットが得られた。当該ペレットが、上記押出成形条件で押出成形され、非発泡成形体が得られた。上記発泡体の比重と非発泡成形体の比重が、JIS K 7112に記載される水中置換法で測定され、以下の式で示される発泡倍率が算出された。
発泡倍率=非発泡成形体の比重/発泡体の比重
実施例1〜10、比較例1〜10
水蒸気加熱装置を備え、攪拌羽根が内蔵されるヘンシェルミキサーのチャンバーが高熱水蒸気により120℃に加熱された。次いで、表1又は表2に示される組成を有する発泡性塩化ビニル系樹脂組成物のアゾジカルボンアミド以外の成分が、当該ヘンシェルミキサーに投入され、攪拌羽根回転速度1500rpmで攪拌された。混合物が140℃に加熱された後、混合物は冷却用ミキサーに移され、100℃まで冷却された。混合物が100℃に冷却された時点で、アゾジカルボンアミドが冷却用ミキサーに投入され、混合物が60℃に冷却された。得られた粉末状混合物は、シリンダー径65mmのベント付き単軸押出機に投入され、発泡性塩化ビニル系樹脂組成物からなるペレットが下記条件で製造された。なお、木粉に残存する水分はベント口から揮発された。
スクリューL/D=24、スクリュー圧縮比=2.5、スクリュー回転数=30rpm
設定温度(℃);シリンダー1(ホッパー下)/シリンダー2/シリンダー3/シリンダー4/ヘッド/ダイス=130/140/150/160/160/160
ダイス形状:穴径3mm×12穴、ストランド長さ10mm
上述される成形金型への粘着性及び押出発泡加工性が、得られたペレットが用いられて評価された。結果が表1及び表2に示されている。
Figure 2009096878
Figure 2009096878
[1]新第一塩ビ(株)製ZEST 700L、平均重合度680
[2]三菱レイヨン(株)製メタブレン P−530A(メチルメタクリレート単位/ブチルアクリレート単位=83/17(重量比)、ガラス転移点=+62℃、重量平均分子量(Mw)=310万)
[3]三菱レイヨン(株)製メタブレン P−551A(メチルメタクリレート単位/ブチルアクリレート単位=85/15(重量比)、ガラス転移点=+66℃、重量平均分子量(Mw)=145万)
[4]グリシンと酸化亜鉛が、グリシン:酸化亜鉛=2:1のモル比で沸騰水中に溶解され、そして反応させられた。次いで、グリシン亜鉛が反応液から再結晶され、得られた結晶が微粉砕機により平均粒径10μm以下に微粉砕された。
[5]水澤化学工業(株)製スタビネックス NT−Z1(ステアリン酸亜鉛)
[6](株)ADEKA製アデカスタブ RX−224
[7]堺化学工業(株)製CS−100(ステアリン酸カルシウム)
[8]協和化学工業(株)製アルカマイザー1(ハイドロタルサイト)
[9](株)ADEKA製アデカスタブ 0−130S(エポキシ化大豆油)
[10](株)ジェイ・プラス製フタル酸ビス(2−エチルヘキシル)(「DOP」ともいう。)
[11]コグニス・オレオケミカルズ・ジャパン(株)製ロキシオール VPN963、多価アルコール系エステル
[12]ロームアンドハース社製ADVALUBE F−1020、2塩基酸系エステル
[13]ミサワテクノ(株)製MTP E60−T5−3、5質量%の酸化チタン粒子が付着、平均粒径60μm、含水率5質量%
[14]清水工業(株)製KK600、平均粒径4μm
[15]石原産業(株)製TIPAQUE CR90、ルチル型未処理品
本発明の具体例である実施例1〜10の発泡性塩化ビニル系樹脂組成物の成形金型への粘着性は低く、当該発泡性塩化ビニル系樹脂組成物の押出発泡加工性は優れていた。
比較例1の発泡性塩化ビニル系樹脂組成物は、塩化ビニル系樹脂100質量部に対して7質量部より少ないメチルメタクリレート系共重合体を含有している。比較例2及び4の発泡性塩化ビニル系樹脂組成物は、グリシン亜鉛及び脂肪酸亜鉛を含有していない。比較例3及び5の発泡性塩化ビニル系樹脂組成物は脂肪酸亜鉛を含有していない。比較例6の発泡性塩化ビニル系樹脂組成物はグリシン亜鉛を含有していない。比較例7、9及び10の発泡性塩化ビニル系樹脂組成物は、塩化ビニル系樹脂100質量部に対して5質量部を超えるグリシン亜鉛を含有している。比較例8の発泡性塩化ビニル系樹脂組成物は、塩化ビニル系樹脂100質量部に対して5質量部を超える脂肪酸亜鉛を含有している。比較例1〜10の発泡性塩化ビニル系樹脂組成物の成形金型への粘着性は、実施例1〜10の発泡性塩化ビニル系樹脂組成物の成形金型への粘着性より高い。比較例1〜10の発泡性塩化ビニル系樹脂組成物の押出発泡加工性は、実施例1〜10の発泡性塩化ビニル系樹脂組成物の押出発泡加工性より劣っていた。
比較例4の発泡性塩化ビニル系樹脂組成物は、実施例2の発泡性塩化ビニル系樹脂組成物に含まれるグリシン亜鉛1.5質量部及び脂肪酸亜鉛1.0質量部に代えて、カルシウム/亜鉛系複合安定剤2.5質量部を含有している。実施例2と比較例4の対比より、本発明は、熱安定剤の中からのアミノ酸亜鉛化合物及び脂肪酸亜鉛化合物の選択により有利な効果を発揮していると言える。
比較例5の発泡性塩化ビニル系樹脂組成物は、実施例5の発泡性塩化ビニル系樹脂組成物に含まれる脂肪酸亜鉛2.0質量部に代えて、脂肪酸カルシウム2.0質量を含有している。実施例5と比較例5の対比より、本発明は、熱安定剤の中からのアミノ酸亜鉛化合物及び脂肪酸亜鉛化合物の選択により有利な効果を発揮していると言える。
本発明の発泡性塩化ビニル系樹脂組成物は、自然な木質感が豊かな発泡体を与える。本発明の発泡性塩化ビニル系樹脂組成物は、デッキ材、窓枠、戸枠、腰板、幅木、手摺り材などの建材;テーブルの天板、戸当たりなどの家具材の成形に好適である。

Claims (3)

  1. (A)塩化ビニル系樹脂100質量部、(B)木粉5〜150質量部、(C)アミノ酸亜鉛化合物0.1〜5質量部、(D)脂肪酸亜鉛化合物0.1〜5質量部、(E)メチルメタクリレート単位とブチルアクリレート単位を65:35〜95:5の質量比で含み、重量平均分子量が60万〜600万のメチルメタクリレート系共重合体7〜30質量部及び(F)熱分解型発泡剤0.1〜3質量部が配合されている発泡性塩化ビニル系樹脂組成物。
  2. さらに(G)ハイドロタルサイト0.1〜3質量部が配合されている、請求項1に記載された発泡性塩化ビニル系樹脂組成物。
  3. さらに(H)エポキシ化大豆油及び/又はエポキシ化亜麻仁油0.1〜5質量部が配合されている、請求項1又は2に記載された発泡性塩化ビニル系樹脂組成物。
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