JP2008120852A - 成形用塩化ビニル系樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】成形加工性を低下させることなく、良好な長期物性を有する成形品を供与しうる塩化ビニル系樹脂組成物を提供する。
【解決手段】前記塩化ビニル系樹脂組成物を、(A)平均重合度が400〜900の第1の塩化ビニル系樹脂30〜70質量%、および(B)平均重合度が3000以下であって第1の塩化ビニル系樹脂(A)の平均重合度よりも400以上大きい第2の塩化ビニル系樹脂70〜30質量%からなる樹脂成分を含有するものとする。
【選択図】なし
【解決手段】前記塩化ビニル系樹脂組成物を、(A)平均重合度が400〜900の第1の塩化ビニル系樹脂30〜70質量%、および(B)平均重合度が3000以下であって第1の塩化ビニル系樹脂(A)の平均重合度よりも400以上大きい第2の塩化ビニル系樹脂70〜30質量%からなる樹脂成分を含有するものとする。
【選択図】なし
Description
本発明は、成形用塩化ビニル系樹脂組成物に関し、さらに詳しくは、成形加工性を低下させることなく、良好な長期物性を有する成形品を供与しうる成形用塩化ビニル系樹脂組成物に関する。
従来から、塩化ビニル系樹脂単独または塩化ビニル系樹脂組成物の成形品が製造され、パイプ、平板、シートなどの分野で広く用いられている。
最近、パイプや継手などの長期物性が必要となる成形品の高品質化や、薄肉化によるコストダウンのため、長期物性の良好な塩化ビニル系樹脂が求められている。
最近、パイプや継手などの長期物性が必要となる成形品の高品質化や、薄肉化によるコストダウンのため、長期物性の良好な塩化ビニル系樹脂が求められている。
成形品の製造に塩化ビニル系樹脂組成物が使用される場合、得られる成形品の疲労強度等の長期物性を改良するためには、より高重合度の塩化ビニル系樹脂成分を用いる場合が多い(例えば特許文献1、非特許文献1参照)。
しかし、この場合、樹脂成分が高重合度のため、溶融粘度が上がりすぎて、成形加工性が低下するという問題があった。
こうした状況下、成形加工性を低下させることなく、良好な長期物性を有する塩化ビニル系樹脂の開発が求められていた。
しかし、この場合、樹脂成分が高重合度のため、溶融粘度が上がりすぎて、成形加工性が低下するという問題があった。
こうした状況下、成形加工性を低下させることなく、良好な長期物性を有する塩化ビニル系樹脂の開発が求められていた。
本発明は、成形加工性を低下させることなく、良好な長期物性を有する成形品を供与しうる塩化ビニル系樹脂組成物を提供することを課題とするものである。
本発明者らは、上記の優れた物性を有する塩化ビニル系樹脂組成物を開発すべく、鋭意検討を重ねた結果、特定の重合度を有する2種の異なる塩化ビニル系樹脂を樹脂成分とする塩化ビニル系樹脂組成物、より好ましくはさらに加えて特定の熱安定剤および滑剤を配合、調製し、それを成形したところ、前記課題が達成されることを見出し、この知見に基いて本発明をなすに至った。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、(A)平均重合度が400〜900の第1の塩化ビニル系樹脂30〜70質量%、および(B)平均重合度が3000以下であって第1の塩化ビニル系樹脂の平均重合度よりも400以上大きい第2の塩化ビニル系樹脂70〜30質量%からなる樹脂成分を含有することを特徴とする成形用塩化ビニル系樹脂組成物が提供される。
また、本発明の第2の発明によれば、前記第1の発明において、第1の塩化ビニル系樹脂(A)の平均重合度が700〜900であることを特徴とする成形用塩化ビニル系樹脂組成物が提供される。
また、本発明の第3の発明によれば、前記第1又は2の発明において、さらに、熱安定剤及び滑剤をそれぞれ樹脂成分に対し5質量%を超えない量比で含有することを特徴とする成形用塩化ビニル系樹脂組成物が提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、前記第3の発明において、熱安定剤が、有機錫系熱安定剤であることを特徴とする成形用塩化ビニル系樹脂組成物が提供される。
また、本発明の第5の発明によれば、前記第3または4の発明において、滑剤が、脂肪族炭化水素系滑剤および脂肪酸エステル系滑剤からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする成形用塩化ビニル系樹脂組成物が提供される。
また、本発明の第6の発明によれば、前記第3〜5のいずれかの発明において、熱安定剤がジオクチル錫メルカプチドであり、かつ滑剤がポリエチレンワックス及び/又はトリグリセリドであることを特徴とする成形用塩化ビニル系樹脂組成物が提供される。
また、本発明の第7の発明によれば、前記第3〜6のいずれかの発明において、さらに、加工助剤を樹脂成分に対し5質量%を超えない量比で含有することを特徴とする成形用塩化ビニル系樹脂組成物が提供される。
本発明において「平均重合度」とは、数平均重合度を意味する。ただし、塩化ビニル系樹脂が、塩化ビニルと、それと共重合可能なモノマーとの共重合体である場合は、該共重合体を形成する塩化ビニルおよびそれと共重合可能なモノマーの合計分子数を該共重合体の分子数で割った値である。
本発明の塩化ビニル系樹脂組成物によれば、成形加工性を低下させることなく、良好な長期物性を有する成形品を供与し得るという顕著な効果が奏される。そして、この特性を活かし、本発明の塩化ビニル系樹脂組成物を成形して得られる成形品は、優れた機械特性を有し、建築部材、管工機材、住宅資材等の用途に好適である。
以下、本発明の塩化ビニル系樹脂組成物(以下、本組成物ともいう。)の構成成分、製造法、成形等について詳細に説明する。
1.本発明の組成物を構成する成分
<塩化ビニル系樹脂>
本発明の組成物に用いられる塩化ビニル系樹脂(以下、樹脂成分ともいう)としては、塩化ビニルの単独重合体や、塩化ビニルと、それと共重合可能なモノマー(以下コモノマーともいう)との共重合体や、これらの混合物を挙げることができる。
<塩化ビニル系樹脂>
本発明の組成物に用いられる塩化ビニル系樹脂(以下、樹脂成分ともいう)としては、塩化ビニルの単独重合体や、塩化ビニルと、それと共重合可能なモノマー(以下コモノマーともいう)との共重合体や、これらの混合物を挙げることができる。
コモノマーとしては、例えば、エチレン、プロピレン等の炭素数2〜20のα−オレフィン類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類、メチルアクリレート、ブチルアクリレート等のアクリル酸エステル類、メチルメタクリレートやエチルメタクリレート等のメタクリル酸エステル類、ブチルマレート、ジエチルマレート等のマレイン酸エステル類、ジブチルフマレートや、ジエチルフマレート等のフマル酸エステル類、ビニルメチルエーテル、ビニルブチルエーテル、ビニルオクチルエーテル等のビニルエーテル類、塩化ビニリデン等のハロゲン化ビニリデン、臭化ビニル等のハロゲン化ビニル類、アクリル酸、メタクリル酸等の不飽和カルボン酸類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル類、ジアリルフタレート等のフタル酸エステル類などが挙げられる。
これらのコモノマーの量比は、塩化ビニル系樹脂を構成するモノマー成分全量当り30質量%以下であるのが好ましく、さらに20質量%以下であるのがより好ましい。
前記共重合体として代表的には、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−プロピオン酸ビニル共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体、アクリロニトリル−塩化ビニル共重合体などが挙げられる。
前記共重合体として代表的には、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−プロピオン酸ビニル共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体、アクリロニトリル−塩化ビニル共重合体などが挙げられる。
塩化ビニル系樹脂の嵩比重、平均粒径などは平均重合度などによっても異なるが、通常、嵩比重0.45〜0.65、平均粒径90〜250μm程度である。
塩化ビニル系樹脂の製法としては、懸濁重合法、乳化重合法、溶液重合法、塊状重合法などのいずれの方法でもよく、特に限定されないが、懸濁重合法により製造したものが、残存モノマー、嵩比重を考慮した塩化ビニル系樹脂の諸物性の点から好ましい。
また、塩化ビニル系樹脂は、平均重合度によって第1の塩化ビニル系樹脂(A)及び第2の塩化ビニル系樹脂(B)からなり、前者は平均重合度400〜900、好ましくは700〜900のものであり、後者は、平均重合度が、前者の平均重合度よりも400以上大きく3000以下、好ましくは前者の平均重合度よりも500以上大きく1500以下のものである。
このように、両者間の平均重合度の差に一定範囲を設けているのは、平均重合度の差が400より小さいと所期の効果が十分には達成されないからである。また、前者の樹脂(A)の平均重合度が400未満では疲労強度が十分には発現せず、また900を超えると熱成形性が良好でなくなり、後者の樹脂(B)との混合後の溶融粘度低下効果が十分には発現しにくくなる。また、後者の樹脂(B)の平均重合度が3000を超えると溶融粘度が高くなりすぎて、一般的な熱成形性の保持が困難になる。
これら2種の塩化ビニル系樹脂の使用割合としては、全塩化ビニル系樹脂中、第1の塩化ビニル系樹脂が30〜70質量%、好ましくは40〜60質量%、第2の塩化ビニル系樹脂が70〜30質量%、好ましくは60〜40質量%である。
本組成物における重合度の高い塩化ビニル系樹脂(第2の塩化ビニル系樹脂)の割合が本発明の範囲を外れる場合、成形品の長期物性の充分な向上効果が得られにくくなる。
<各種添加剤>
本発明組成物は、前記のごとく重合度の異なる塩化ビニル系樹脂を2種使用することを必須とするが、さらに、本発明組成物には、本発明の目的をそこなわない範囲で、必要に応じ、公知の添加剤、例えば熱安定剤や光安定剤等の安定剤、安定化助剤、滑剤、加工助剤、酸化防止剤、顔料、充填剤、可塑剤、耐衝撃改良剤などを添加することができる。
本発明組成物は、前記のごとく重合度の異なる塩化ビニル系樹脂を2種使用することを必須とするが、さらに、本発明組成物には、本発明の目的をそこなわない範囲で、必要に応じ、公知の添加剤、例えば熱安定剤や光安定剤等の安定剤、安定化助剤、滑剤、加工助剤、酸化防止剤、顔料、充填剤、可塑剤、耐衝撃改良剤などを添加することができる。
上記熱安定剤としては、特に限定されず、例えば、有機錫系熱安定剤、鉛系熱安定剤、金属石けん系熱安定剤、カルシウム−亜鉛系熱安定剤、バリウム−亜鉛系熱安定剤、バリウム−カドミウム系熱安定剤等が挙げられる。
有機錫系熱安定剤の例としては、ジメチル錫メルカプチド、ジブチル錫メルカプチド、ジオクチル錫メルカプチド、ジブチル錫マレート、ジブチル錫マレートポリマー、ジオクチル錫マレート、ジオクチル錫マレートポリマー、ジブチル錫ラウレート等が挙げられる。
鉛系熱安定剤には鉛塩系熱安定剤や鉛系石けん等があり、鉛塩系熱安定剤の例としては鉛白、三塩基性硫酸鉛、二塩基性亜燐酸鉛、三塩基性マレイン酸鉛、二塩基性フタル酸鉛、ケイ酸鉛等が、鉛系石けんの例としてはステアリン酸鉛、二塩基性ステアリン酸鉛等が、それぞれ挙げられる。
金属石けん系熱安定剤の例としては、ステアリン酸亜鉛のような亜鉛系石けん、ステアリン酸バリウムのようなバリウム系石けん、ステアリン酸カルシウムのようなカルシウム系石けん等が挙げられる。
これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。上記熱安定剤の量は多すぎると長期物性などに悪影響を与えるので、樹脂成分に対し10質量%以下、中でも5質量%を超えない量比とするのが好ましい。
有機錫系熱安定剤の例としては、ジメチル錫メルカプチド、ジブチル錫メルカプチド、ジオクチル錫メルカプチド、ジブチル錫マレート、ジブチル錫マレートポリマー、ジオクチル錫マレート、ジオクチル錫マレートポリマー、ジブチル錫ラウレート等が挙げられる。
鉛系熱安定剤には鉛塩系熱安定剤や鉛系石けん等があり、鉛塩系熱安定剤の例としては鉛白、三塩基性硫酸鉛、二塩基性亜燐酸鉛、三塩基性マレイン酸鉛、二塩基性フタル酸鉛、ケイ酸鉛等が、鉛系石けんの例としてはステアリン酸鉛、二塩基性ステアリン酸鉛等が、それぞれ挙げられる。
金属石けん系熱安定剤の例としては、ステアリン酸亜鉛のような亜鉛系石けん、ステアリン酸バリウムのようなバリウム系石けん、ステアリン酸カルシウムのようなカルシウム系石けん等が挙げられる。
これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。上記熱安定剤の量は多すぎると長期物性などに悪影響を与えるので、樹脂成分に対し10質量%以下、中でも5質量%を超えない量比とするのが好ましい。
上記安定化助剤としては、特に限定されず、例えば、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ豆油エポキシ化テトラヒドロフタレート、エポキシ化ポリブタジエン、リン酸エステル等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記滑剤としては、特に限定されず、例えば、脂肪族炭化水素系滑剤、脂肪酸エステル系滑剤、高級脂肪族アルコール系滑剤、高級脂肪酸系滑剤、脂肪酸アマイド系滑剤、および金属石けん系滑剤等が挙げられる。
脂肪族炭化水素系滑剤の例としては、ポリエチレンワックス、モンタン酸ワックス、パラフィンワックス等が挙げられる。
脂肪酸エステル系滑剤の例としては、トリグリセリド、ステアリン酸ブチル等が挙げられる。
高級脂肪族アルコール系滑剤の例としては、ステアリルアルコール、セチルアルコール等が挙げられる。
高級脂肪酸系滑剤の例としては、ステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、パルミチン酸等が挙げられる。
脂肪酸アマイド系滑剤の例としては、ステアロアマイド、オキシステアロアマイド、オレイルアマイド、エルシルアマイド、ラウリルアマイド、パルミチルアマイド、ベヘンアマイド等の高級脂肪酸モノアマイド、メチロールアマイド、エチロールアマイド等の変性モノアマイド、ステアリルオレイルアマイド、N−ステアリルエルクアマイド等の複合型アマイド、メチレンビスステアロアマイド、エチレンビスステアロアマイド等のビスアマイド等が挙げられる。
金属石けん系滑剤の例としては、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛・ステアリン酸バリウム複合体、ステアリン酸亜鉛・ステアリン酸カルシウム複合体等が挙げられる。
これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。上記滑剤の量は多すぎると長期物性などに悪影響を与えるので、樹脂成分に対し10質量%以下、中でも5質量%を超えない量比とするのが好ましい。
脂肪族炭化水素系滑剤の例としては、ポリエチレンワックス、モンタン酸ワックス、パラフィンワックス等が挙げられる。
脂肪酸エステル系滑剤の例としては、トリグリセリド、ステアリン酸ブチル等が挙げられる。
高級脂肪族アルコール系滑剤の例としては、ステアリルアルコール、セチルアルコール等が挙げられる。
高級脂肪酸系滑剤の例としては、ステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、パルミチン酸等が挙げられる。
脂肪酸アマイド系滑剤の例としては、ステアロアマイド、オキシステアロアマイド、オレイルアマイド、エルシルアマイド、ラウリルアマイド、パルミチルアマイド、ベヘンアマイド等の高級脂肪酸モノアマイド、メチロールアマイド、エチロールアマイド等の変性モノアマイド、ステアリルオレイルアマイド、N−ステアリルエルクアマイド等の複合型アマイド、メチレンビスステアロアマイド、エチレンビスステアロアマイド等のビスアマイド等が挙げられる。
金属石けん系滑剤の例としては、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛・ステアリン酸バリウム複合体、ステアリン酸亜鉛・ステアリン酸カルシウム複合体等が挙げられる。
これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。上記滑剤の量は多すぎると長期物性などに悪影響を与えるので、樹脂成分に対し10質量%以下、中でも5質量%を超えない量比とするのが好ましい。
上記加工助剤としては、特に限定されず、例えば、平均重合度10万〜200万のアルキルアクリレート/アルキルメタクリレート共重合体であるアクリル系加工助剤が挙げられ、具体例としては、n−ブチルアクリレート/メチルメタクリレート共重合体、2−エチルヘキシルアクリレート/メチルメタクリレート/ブチルメタクリレート共重合体等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。上記加工助剤の量は多すぎると長期物性などに悪影響を与えるので、樹脂成分に対し10質量%以下、中でも5質量%を超えない量比とするのが好ましい。
上記酸化防止剤としては、特に限定されず、例えば、フェノール系抗酸化剤等が挙げられる。これは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記光安定剤としては、特に限定されず、例えば、サリチル酸エステル系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系等の紫外線吸収剤、あるいはヒンダードアミン系の光安定剤等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記顔料としては、特に限定されず、例えば、アゾ系、フタロシアニン系、スレン系、染料レーキ系等の有機顔料、酸化物系、クロム酸モリブデン系、硫化物・セレン化物系、フェロシアン化物系等の無機顔料等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記充填剤としては特に限定されず、例えば、炭酸カルシウム、タルク等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、本発明の組成物には、成形時の加工性を向上させる目的で可塑剤を添加してもよいが、組成物全体に含まれる可塑剤の含有量レベルは、得られる成形体の強度低下や耐熱性低下を起こしたり、又は、可塑剤の溶出を生じたりしない程度の量であるように用量を制御するのが好ましく、塩化ビニル系樹脂の総量100質量部に対して、通常20質量部以下、好ましくは5質量部以下である。特に塩化ビニル系樹脂成分(B)には可塑剤を配合しないのが好ましい。可塑剤としては、二塩基酸エステル、例えばジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルアジペート、ジオクチルフタレート等が好ましい。
本発明の組成物は、2種の異なる塩化ビニル系樹脂に加えてさらに特定の熱安定剤および滑剤を配合したものが、所期の効果をより一層向上させうるので好ましい。そのような熱安定剤としては例えば、ジオクチル錫ジラウレート、ジオクチル錫マレエート、ジオクチル錫メルカプチド等の有機錫系熱安定剤、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸亜鉛等の金属石鹸系安定剤、鉛白、三塩基性硫酸鉛、二塩基性亜燐酸鉛、三塩基性マレイン酸鉛、二塩基性フタル酸鉛、珪酸鉛などの鉛塩系安定剤が挙げられ、中でも環境負荷の面で錫系安定剤又は金属石鹸安定剤が好ましく、就中ジオクチル錫メルカプチドが性能面で特に好ましい。
また、滑剤としては、ポリエチレンワックス、パラフィンワックス等の脂肪族炭化水素系滑剤、ステアリルアルコール等の高級脂肪族アルコール系滑剤、トリグリセリド等の脂肪酸エステル、ヒドロキシステアリン酸等の高級脂肪酸系滑剤、脂肪酸アマイド系滑剤などが挙げられ、中でもポリエチレンワックスおよびトリグリセリドを組み合わせて併用するのがよい。
また、滑剤としては、ポリエチレンワックス、パラフィンワックス等の脂肪族炭化水素系滑剤、ステアリルアルコール等の高級脂肪族アルコール系滑剤、トリグリセリド等の脂肪酸エステル、ヒドロキシステアリン酸等の高級脂肪酸系滑剤、脂肪酸アマイド系滑剤などが挙げられ、中でもポリエチレンワックスおよびトリグリセリドを組み合わせて併用するのがよい。
上記した各種添加剤を、本組成物に混合する方法としては、特に限定されず、例えば、ホットブレンドによる方法、コールドブレンドによる方法等が挙げられる。
本発明の組成物に配合する2種の異なる塩化ビニル系樹脂、すなわち、平均重合度が400〜900の第1の塩化ビニル系樹脂と、平均重合度が3000以下であって第1の塩化ビニル系樹脂の平均重合度よりも400以上大きい第2の塩化ビニル系樹脂は、どんな状態のものであってもよく、例えば、新生(バージン)だけでなく再生塩化ビニル系樹脂であってもよい。またその形態は、粗粉砕片、微粉砕片、粉体など、いずれの形態にも限られない。
2.本発明の組成物の製造法
本発明の組成物の製造方法は、特に制限されないが、たとえば重合度の異なる塩化ビニル系樹脂を所定量配合した後、必要に応じて使用される各種添加剤を配合したものをヘンシェルミキサーなどを用いて常法によって均一に混合するなどの方法で製造すればよい。
本発明の組成物の製造方法は、特に制限されないが、たとえば重合度の異なる塩化ビニル系樹脂を所定量配合した後、必要に応じて使用される各種添加剤を配合したものをヘンシェルミキサーなどを用いて常法によって均一に混合するなどの方法で製造すればよい。
このようにして製造される本発明の組成物は、塩化ビニル系樹脂成形品、中でも硬質塩化ビニル系樹脂成形品の製造に使用される。
3.本発明の組成物の成形
成形品の成形法、それに使用する装置、成形条件等は特に限定されず、成形法には、プレス成形法等の圧縮成形法、押出成形法、射出成形法、ブロー成形法などの各種のものが用いられるが、好ましくは熱成形法、中でも圧縮成形法、押出成形法を用いるのがよい。
成形品の成形法、それに使用する装置、成形条件等は特に限定されず、成形法には、プレス成形法等の圧縮成形法、押出成形法、射出成形法、ブロー成形法などの各種のものが用いられるが、好ましくは熱成形法、中でも圧縮成形法、押出成形法を用いるのがよい。
塩化ビニル系樹脂やその他の各使用原材料の添加、混合の順序等に制限はなく、混合及びペレット化は通常の塩化ビニル系樹脂の場合と同様な方法で行えばよい。塩化ビニル系樹脂組成物の混合には、例えば、ヘンシェルミキサーやスーパーミキサーのような高速ミキサー、リボンブレンダー等の混合機を使用する。混合方式は、上記混合機に各成分を投入し、例えば150℃以下の温度でそれぞれの混合機に見合った時間、均一にブレンドするのが好ましい。
ペレット化は、上記混合物をバンバリーミキサー、ミキシングロール、押出機等を使用し、通常の塩化ビニル系樹脂の製造に使用される方法に従って行えばよい。
このようにして成形品を製造することで、加工性をほぼ同等に保持したまま、長期物性が向上し、成形品の性能向上や薄肉化によるコストダウンが可能である。
成形品の具体例としては、パイプ状、平板状、波板状、異型状等の形状のものが挙げられる。
成形品の具体例としては、パイプ状、平板状、波板状、異型状等の形状のものが挙げられる。
次に、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。
なお、各例で用いた試験方法は以下の通りである。
なお、各例で用いた試験方法は以下の通りである。
<試験方法>
(1)疲労強度:成形品より2号ダンベルを切出し、JIS K 7118に準じ、疲労試験を、方振りで最大応力が30kN/mmの荷重を1Hzの条件で行い、破断するまでの繰返し回数を測定した。
(2)溶融粘度:JIS K 7199に準じ、キャピラリレオメータにより365(1/s)のせん断速度の際の粘度として求めた。
(1)疲労強度:成形品より2号ダンベルを切出し、JIS K 7118に準じ、疲労試験を、方振りで最大応力が30kN/mmの荷重を1Hzの条件で行い、破断するまでの繰返し回数を測定した。
(2)溶融粘度:JIS K 7199に準じ、キャピラリレオメータにより365(1/s)のせん断速度の際の粘度として求めた。
実施例1および比較例1、2
表1に示す各材料を表1に示す質量割合でヘンシェルミキサーで混合したのち、ロール型混練機(東洋精機製作所社製)(ロールサイズ6インチ)によってロール温度210℃、巻き付き後3分間混練して均質な樹脂組成物を調製した。この樹脂組成物について上記溶融粘度を求めた。
この樹脂組成物を、プレス成形機(東洋精機製作所社製、ハンドプレス)で圧力10MPa、温度220℃で、予熱時間3分、加圧時間3分、の条件でプレスを行い、厚さ3mmの板状成形体を作製した。
この成形体について上記試験方法により疲労強度を求めた。
これらの試験結果を表1に示す。
表1に示す各材料を表1に示す質量割合でヘンシェルミキサーで混合したのち、ロール型混練機(東洋精機製作所社製)(ロールサイズ6インチ)によってロール温度210℃、巻き付き後3分間混練して均質な樹脂組成物を調製した。この樹脂組成物について上記溶融粘度を求めた。
この樹脂組成物を、プレス成形機(東洋精機製作所社製、ハンドプレス)で圧力10MPa、温度220℃で、予熱時間3分、加圧時間3分、の条件でプレスを行い、厚さ3mmの板状成形体を作製した。
この成形体について上記試験方法により疲労強度を求めた。
これらの試験結果を表1に示す。
表1中のトリグリセリドは、コグニス社製、LOXIOL G−15(商品名)である。
表1より、実施例では、比較例1の単一重合度の単独樹脂成分と同等の溶融粘度を保持しうる混成樹脂成分を用いて、比較例1の成形品よりも疲労強度が2倍以上高い成形品が得られることが分かる。また、比較例2では、単一重合度の単独樹脂成分から実施例の成形品と同等の疲労強度を持つ成形品を得るためには、重合度が実施例の混成樹脂成分よりも大きい単独樹脂成分を用いることを余儀なくされるので、その溶融粘度が高くなり、成形加工性が悪化することが分かる。
本発明の組成物は、成形加工性を低下させることなく、良好な長期物性を有する成形品を供与しうるものであり、薄肉化、低コスト化が図れ、成形品は建築部材、管工機材、住宅資材等の用途に好適であるので、産業上大いに有用である。
Claims (7)
- (A)平均重合度が400〜900の第1の塩化ビニル系樹脂30〜70質量%、および(B)平均重合度が3000以下であって第1の塩化ビニル系樹脂の平均重合度よりも400以上大きい第2の塩化ビニル系樹脂70〜30質量%からなる樹脂成分を含有することを特徴とする成形用塩化ビニル系樹脂組成物。
- 第1の塩化ビニル系樹脂(A)の平均重合度が700〜900であることを特徴とする請求項1に記載の成形用塩化ビニル系樹脂組成物。
- さらに、熱安定剤及び滑剤をそれぞれ樹脂成分に対し5質量%を超えない量比で含有することを特徴とする請求項1又は2記載の成形用塩化ビニル系樹脂組成物。
- 熱安定剤が、有機錫系熱安定剤であることを特徴とする請求項3記載の成形用塩化ビニル系樹脂組成物。
- 滑剤が、脂肪族炭化水素系滑剤および脂肪酸エステル系滑剤からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項3または4に記載の成形用塩化ビニル系樹脂組成物。
- 熱安定剤がジオクチル錫メルカプチドであり、かつ滑剤がポリエチレンワックス及び/又はトリグリセリドであることを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載の成形用塩化ビニル系樹脂組成物。
- さらに、加工助剤を樹脂成分に対し5質量%を超えない量比で含有することを特徴とする請求項3〜6のいずれかに記載の成形用塩化ビニル系樹脂組成物。
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WO2016075903A1 (ja) * | 2014-11-11 | 2016-05-19 | 日本ゼオン株式会社 | 粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物及びその製造方法、塩化ビニル樹脂成形体及びその製造方法、並びに、積層体 |
KR20170018665A (ko) | 2015-08-10 | 2017-02-20 | 주식회사 엘지화학 | 염화비닐계 수지 플라스티졸, 이의 제조방법 및 이로부터 제조된 염화비닐계 수지 성형품 |
JP6191752B1 (ja) * | 2016-11-02 | 2017-09-06 | 住友ベークライト株式会社 | 塩化ビニル樹脂組成物およびシート材 |
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- 2006-11-08 JP JP2006303117A patent/JP2008120852A/ja active Pending
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