JP2009096341A - 車体前部構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、良好な吸音性能を有する車体前部構造を提供することを課題とする。
【解決手段】車体前部構造10は、エンジンルーム14と乗員が乗る車室21とを区画するダッシュパネル12と、このダッシュパネル12の左右に設けられ車体の長手方向に延びている左右のサイドメンバ17L、17Rと、これら左右のサイドメンバ17L、17Rの間を連結し断面コ字形状を呈しダッシュパネル12の前面12aに取り付けることで閉断面部を形成するクロスメンバ19とが備えられており、ダッシュパネル12の前面12aに吸音材23が配置され、ダッシュパネル12の前面12aとクロスメンバ18との間にも吸音材23が配置され、クロスメンバ18の前面18aに多数の小孔25が開けられている。
【選択図】図2

Description

本発明は、クロスメンバの内側に吸音材を配置した車体前部構造に関する。
車体の左右に延ばしたクロスメンバの内側に遮音材料を配置した車体前部構造が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
特許第3890463号公報(図3)
特許文献1の図3において、左右のフロントサイドメンバの間を掛け渡すダッシュロア2(符号は同公報のものを流用する。以下、同じ。)は、袋状の閉断面構造を有するアルミ製押出材であり、このアルミ製押出材の延出方向に遮音材4が配置されている。この遮音材4は、発泡材であり、溶接工程や塗装工程などにおいて、その容積を大きくすることでダッシュロア2(以下、「クロスメンバ2」と云う。)に遮音性能をもたせたものである。
ところで、クロスメンバ2は、袋状の閉断面構造を有しており、閉断面構造の内側には発泡材が配置されている。このような閉断面構造を有しているため、クロスメンバ2は、音のエネルギーを反射する遮音性能は有するが、音のエネルギーを吸収する吸音性能は有さない。吸音性能をもたせることができれば、エンジンルーム内の振動を減衰させ、車両の静粛性に寄与させることができ好適である。
本発明は、良好な吸音性能を有する車体前部構造を提供することを課題とする。
請求項1に係る発明は、エンジンルームと乗員が乗る車室とを区画するダッシュパネルと、このダッシュパネルの左右に設けられ車体の長手方向に延びている左右のサイドメンバと、これら左右のサイドメンバの間を連結し断面コ字形状を呈しダッシュパネルの前面に取り付けることで閉断面部を形成するクロスメンバと、が備えられている車体前部構造において、ダッシュパネルの前面に吸音材が配置され、ダッシュパネルの前面とクロスメンバとの間にも吸音材が配置され、クロスメンバの少なくとも前面に多数の小孔が開けられていることを特徴とする。
請求項2に係る発明はクロスメンバの上面には、吸音材が挿入される挿入孔が設けられていることを特徴とする。
請求項1に係る発明では、ダッシュパネルの前面に吸音材が配置され、ダッシュパネルとクロスメンバとの間にも吸音材が配置され、クロスメンバの少なくとも前面に多数の小孔が開けられている。つまり、クロスメンバが取り付けられている面を含むダッシュパネルの前面の全てにわたって吸音材が取り付けられている。ダッシュパネルの前面の全てにわたって吸音材が取り付けられているので、エンジンルーム内で発生した音・振動は小孔を通過して吸音材により吸収され、吸音性能をもたせることができる。
この場合に、ダッシュパネルの前面において、例えば、ダッシュパネルの前面とクロスメンバとの間に配置した吸音材の板厚を、それ以外の部分に配置する吸音材の板厚よりも厚くすれば、吸音性能を高めることができる。吸音性能が高まれば、車両の静粛性をより一層高めることができる。
また、ダッシュパネルとクロスメンバとの間に吸音材を配置したので、エンジンルーム内のスペースを節約することができる。
従来、エンジンルーム内において、クロスメンバの前面に吸音材を取り付けると、配管や補機類の配置スペースに影響を与える場合があるので、吸音材の板厚を薄くせざるを得ない場合や吸音材を省く場合などがあった。
この点、本発明では、吸音材をダッシュパネルとクロスメンバとの間に形成された閉断面部に配置し、クロスメンバの少なくとも前面に多数の小孔が開けられているので、小孔から吸音材に振動が伝達され、クロスメンバにも吸音性能をもたせながら、エンジンルーム内のスペースを節約することができる。
さらに、クロスメンバの面には、小孔が開けられているので、所定の強度をもたせながら車体の軽量化を図ることができる。
請求項2に係る発明では、クロスメンバの上面には、吸音材が挿入される挿入孔が設けられているので、この閉断面部に、吸音材を挿入することによって容易に吸音材を取り付けることができる。
吸音材の取付が容易となるため、吸音材の取付に係る生産性が高まる。生産性が高まれば、車両1台当たりの生産費用を下げることができる。
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。図中、「左」、「右」、「上」、「下」、「前」、「後」は、各々車両の運転者から見る方向を示す。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
図1は本発明に係る車体前部構造を説明する斜視図であり、車体前部構造10は、前輪を囲う左右のホイールハウス部材11L、11Rと、これらの左右のホイールハウス部材11L、11Rの後端部の間に設けられているダッシュパネル12と、左右のホイールハウス部材11L、11Rの前端部の間に設けられているデフレクタパネル13とを備え、これらの部材によって囲まれた領域にエンジンを含むパワーユニットを搭載するエンジンルーム14が設けられている。
車体前部構造10の骨格を構成するフレーム部材16について説明する。
フレーム部材16は、ダッシュパネル12の左右に設けられ車体の長手方向に延びている左右のサイドメンバ17L、17Rと、これら左右のサイドメンバ17L、17Rの間を連結し断面コ字形状を呈しダッシュパネル12の前面12aに取り付けることで閉断面部を形成するクロスメンバ18と、左右のサイドメンバ17L、17Rの前端部に掛け渡されているフロントクロスメンバ19とからなる。
ダッシュパネル12は、エンジンルーム14と、このエンジンルーム14の後方に設けられ乗員が乗る車室21との間を区画する部材である。
図2は図1の2−2線断面図、図3はクロスメンバの斜視図及びクロスメンバへの吸音材の取付作用図である。以下、図2と図3を参照して説明を行う。
ダッシュパネル12の前面12aには、エンジンルーム内に配置されているエンジンや変速機を含むパワーユニット22などから生ずる振動を吸収する吸音材23が配置され、ダッシュパネル12の前面12aとクロスメンバ18との間にも同様な仕様をもつ吸音材23が配置され、クロスメンバ18の前面18aには、振動成分を通過させる多数の小孔25・・・(・・・は複数を示す。以下、同じ。)が開けられている。
なお、本実施例において、多数の小孔25・・・は、クロスメンバ18の前面18aに開けられているが、クロスメンバ18の上面18t及び下面18b又はそれらのうちの一方の面に開けることは差し支えない。
クロスメンバ18の上面18tには、吸音材23を上方から挿入することができる挿入孔26・・・が設けられ、クロスメンバ18の下面18bには、上面視で挿入孔26・・・の位置に合わせて開けられ、挿入した吸音材23の下端部27が通過することができる抜け孔28・・・が設けられている。図中、30、30は、クロスメンバ18に備えられダッシュパネル12の前面12aへの取付部としてのフランジ部である。
挿入孔26・・・は、クロスメンバ18の上面18tに断続的に複数個設けられ、抜け孔28・・・は、クロスメンバ18の下面18bに断続的に複数個設けられている。これら挿入孔26・・・及び抜け孔28・・・は、ともに矩形状に形成されるとともに上面視で重なるように配置されている。これら挿入孔26・・・及び抜け孔28・・・の間には、各々複数のブリッジ部29t・・・、29b・・・(上側の符号29t・・・のみ示す。)が設けられており、ダッシュパネル12に配置される吸音材23の下部には、ブリッジ部29t・・・、29b・・・との干渉を避けるスリット31・・・が形成されているので、吸音材23を上方から差し込んだときに、クロスメンバ18とダッシュパネル12の前面の間に形成される閉断面部32に、容易に吸音材23を配置し取り付けることができる。
吸音材23の取付が容易となるため、吸音材23の取付に係る生産性が高まる。生産性が高まれば、車両1台当たりの生産費用を下げることができる。
なお、実施例において、クロスメンバ18の下面18bに開けた抜け孔28・・・を省略することは差し支えない。
以上に述べた車体前部構造の作用を次に述べる。
図4は本発明に係る車体前部構造の実施例図及び比較例図であり、図3を併せて参照して説明を行う。
(a)において、実施例が示されており、ダッシュパネル12の前面12aに吸音材23が配置され、ダッシュパネル12とクロスメンバ18との間にも吸音材23が配置され、クロスメンバ18の少なくとも前面18aに多数の小孔(図3の符号25)が開けられている。つまり、クロスメンバ18が取り付けられている面を含むダッシュパネル12の前面12aの全てにわたって吸音材23が取り付けられている。ダッシュパネル12の前面12aの全てにわたって吸音材23が取り付けられているので、ダッシュパネル12の前面12aの全てにわたって吸音材23が取り付けられていない場合に較べると、吸音性能を発揮させることができる。
また、ダッシュパネル12とクロスメンバ18との間に吸音材23を配置したので、エンジンルーム14内のスペースを節約することができる。
吸音材23は厚みを確保すると、形状のばらつきが大きくなり、配管などの部品と干渉する場合が考えられるが、クロスメンバ18内に配置することで、形状のばらつきによる干渉を回避することができる。特に、ブレーキや燃料パイプなどの重要部品の周辺においては、メリットは大きいものとなる。
(b)において、比較例が示されており、エンジンルーム14内において、クロスメンバ18の前面18aに、吸音材23を配置する場合には、この吸音材23による容積だけエンジンルーム14の容積が減る。具体的には、クロスメンバ18の前面18aに、吸音材23を配置すると、エンジンルーム内に配置する配管34、34や、補機類の配置に制約を与えてしまう場合がある。
このような場合には、クロスメンバ18の前面18aに配置する吸音材23を省くか、あるいは、吸音材23の板厚を薄くすることが考えられる。しかし、これでは、十分な吸音性能を発揮させることができない虞がある。
(a)に戻って、本発明では、吸音材23をダッシュパネル12とクロスメンバ18との間に形成された閉断面部32に配置し、クロスメンバ18の少なくとも前面18aに多数の小孔25・・・が開けられているので、小孔25から吸音材23に振動が伝達され、クロスメンバ18自体に良好な吸音性能をもたせながら、エンジンルーム内のスペースを節約することができる。
さらに、クロスメンバ18の前面18aには、小孔25が開けられているので、所定の剛性をもたせながら車体の軽量化を図ることができる。
図5は図2の別実施例図、図6は図3の別実施例図である。以下、図5と図6を参照して説明を行う。
図2及び図3と大きく異なる点は、音や振動成分が通過する多数の小孔25・・・がクロスメンバ18の上面18t及び下面18bに開けられている点と、吸音材23は、挿入孔を介することなくクロスメンバ18とダッシュパネル12との間に形成される閉断面32に側方から矢印s向きに挿入される点にあり、その他、大きく変わるところはない。
ダッシュパネル12の前面12aにおいて、ダッシュパネル12とクロスメンバ18との間に配置される吸音材23aと、それ以外の位置に配置する吸音材23bとを分割して配置する場合に、例えば、ダッシュパネル12の前面12aとクロスメンバ18との間に配置した吸音材23aの板厚(t1)を、それ以外の部分に配置する吸音材23bの板厚(t2)よりも厚く(t2<t1)すれば、吸音性能を高めることができる。吸音性能が高まれば、車両の静粛性をより一層高めることができる。
尚、本発明に係る車体前部構造は、実施の形態では四輪車に適用したが、一般の車両に適用することは差し支えない。
また、請求項1では、クロスメンバの上面に、吸音材が挿入される挿入孔を開けないようにすることは差し支えない。
本発明の車体前部構造は、四輪車に好適である。
本発明に係る車体前部構造を説明する斜視図である。 図1の2−2線断面図である。 図3はクロスメンバの斜視図及びクロスメンバへの吸音材の取付作用図である。 本発明に係る車体前部構造の実施例図及び比較例図である。 図2の別実施例図である。 図3の別実施例図である。
符号の説明
10…車体前部構造、12…ダッシュパネル、12a…ダッシュパネルの前面、14…エンジンルーム、17L、17R…サイドメンバ、18…クロスメンバ、18a…クロスメンバの前面、21…車室、23、23a、23b…吸音材、25…小孔、26…挿入孔、32…クロスメンバ。

Claims (2)

  1. エンジンルームと乗員が乗る車室とを区画するダッシュパネルと、このダッシュパネルの左右に設けられ車体の長手方向に延びている左右のサイドメンバと、これら左右のサイドメンバの間を連結し断面コ字形状を呈し前記ダッシュパネルの前面に取り付けることで閉断面部を形成するクロスメンバとが備えられている車体前部構造において、
    前記ダッシュパネルの前面に吸音材が配置され、前記ダッシュパネルの前面と前記クロスメンバとの間にも吸音材が配置され、前記クロスメンバの少なくとも前面に多数の小孔が開けられていることを特徴とする車体前部構造。
  2. 前記クロスメンバの上面には、前記吸音材が挿入される挿入孔が設けられていることを特徴とする請求項1の車体前部構造。
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