JP2009095852A - 熱延鋼板の製造方法及び製造装置 - Google Patents

熱延鋼板の製造方法及び製造装置 Download PDF

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武 太田
Yasuhiko Takee
康彦 武衛
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Abstract

【課題】r値の面内異方性が小さいことから深絞り加工用途にも十分に供することができる熱延鋼板を確実に製造する。
【解決手段】圧延スタンドF1〜F7と、冷却装置4a〜4eと、スタンド間温度計2cとを有する仕上圧延機3を用いて、熱間圧延を開始する前に予め定めた、冷却装置4a〜4eの冷却条件と圧延速度とに基づいて被圧延材1に仕上圧延を行うことにより熱延鋼板を製造する。仕上圧延を開始した後に、スタンド間温度計2cによる被圧延材1の温度の測定値が、被圧延材1の鋼のAr変態点以上の目標温度域を下回る場合に、最終の圧延スタンドF7を通過する際の被圧延材1の温度が目標値を満足するとともに、圧延スタンド間F4/5における被圧延材1の温度がAr変態点以上の目標温度域を満足するように、冷却条件及び圧延速度の一方又は双方を変更する。
【選択図】図1

Description

本発明は、熱延鋼板の製造方法及び製造装置に関し、具体的には、圧延スタンド間に設置されるスタンド間温度計を有する仕上圧延機を用いて仕上圧延を行うことによって、r値の面内異方性が小さいことから深絞り加工用として用いるのに好適な熱延鋼板を製造する方法と、そのための装置とに関する。
近年、自動車用鋼板等を始めとする加工用鋼板の使用分野では、コストダウンの一環として、深絞り加工を行われて製造される成形部品の素材を、冷延鋼板から熱延鋼板へ代替することが推進されている。この深絞り加工に供せられる熱延鋼板のr値(ランクフォード値)の面内異方性が大きいとイヤリングが大きくなり、歩留りの低下を生じたり、あるいはブランク材の形状変更を余儀なくされ、熱延鋼板に代替することによるコストダウンの効果が損なわれる。このため、深絞り加工に供せられる熱延鋼板にはr値の面内異方性が小さいことが求められる。
通常、熱延鋼板は、(a)スラブを加熱炉に装入して所定の温度に加熱し、(b)粗圧延機により粗圧延して粗圧延材とし、(c)この粗圧延材を、粗圧延機から仕上圧延機まで搬送テーブルにより所定の搬送パターンで搬送し、(d)タンデムに配置される複数の圧延スタンドを備える仕上圧延機によって、図8のグラフに例示するように、10m/秒程度の低速の圧延速度で圧延を開始し、20m/秒程度の高速の圧延速度に加速して圧延を継続して行った後、15m/秒程度の圧延速度に減速して圧延を終了するという圧延速度パターンにより圧延時間を短縮しながら仕上圧延することによって最終的に所定の寸法とする、という工程により製造される。
周知のように、r値を含む熱延鋼板の機械特性は、仕上圧延機の最終の圧延スタンドを通過する時の被圧延材の温度に強く支配される。このため、熱延鋼板の製造では、これまでも、この最終の圧延スタンドを通過する時の被圧延材の温度が所定の目標温度を下回らないように、管理されてきた。
しかし、図8を参照しながら上述したように、仕上圧延の途中で圧延速度を上昇するので被圧延材が第1の圧延スタンドに噛み込んでから最終の圧延スタンドを抜けるまでに要する時間が短くなり、これにより、被圧延材の表面からの抜熱量が低下して仕上圧延の間に被圧延材の温度が上昇し、最終の圧延スタンドを通過する時の被圧延材の温度も上昇する。また、粗圧延機の出口での粗圧延材の目標温度は、仕上圧延機の最終の圧延スタンドを通過する時の被圧延材の目標温度を維持することができるように、設定されるが、加熱炉等の操業条件の変化により、粗圧延機の出口での粗圧延材の温度がその目標温度よりも上昇することがある。これらの場合、仕上圧延機の最終の圧延スタンドを通過する時の被圧延材の温度を所定の目標温度に維持できないこともある。
特許文献1、2には、粗圧延機と仕上圧延機との間に加熱装置を設置するとともに仕上圧延機の各圧延スタンド間に例えば冷却水を噴射することによる冷却装置を複数設置しておき、粗圧延機の出口での粗圧延材の温度の実績値及び圧延速度パターンに基づいて仕上圧延機の最終の圧延スタンドを通過する時の被圧延材の温度を予測し、予測した温度が目標温度となるように、加熱装置の加熱条件と各冷却装置からの冷却水の噴射量とを、被圧延材の長手方向について変更することによって、仕上圧延機の最終の圧延スタンドを通過する時の被圧延材の温度をその長手方向について目標値とする発明が開示されている。特に、特許文献2には、仕上圧延機の圧延スタンド間にスタンド間温度計を設置し、このスタンド間温度計の測定値に基づいて冷却装置を制御することによって、仕上圧延機の最終の圧延スタンドを通過する時の被圧延材の温度を高精度で制御する発明が開示されている。
さらに、特許文献3には、仕上スタンド間の温度を予測するモデルを作成し、そのモデルの予測値を利用して、仕上圧延機の最終の圧延スタンドを通過する時の被圧延材の温度を所定値以上とするとともに仕上圧延機の圧延スタンド間における被圧延材の温度を所定値以下とすることによって被圧延材のスケール厚みを高精度で制御し、これにより、熱延鋼板のスケール疵の発生を抑制する発明が開示されている。
特開2001−314910号公報 特開2002−11502号公報 特開平9−47808号公報
しかしながら、特許文献1〜3により開示されたいずれの発明に基づいても、r値の面内異方性が小さいことから深絞り加工用途にも十分に供することができる熱延鋼板を提供することはできない。
これまでは、熱延鋼板のr値の面内異方性を小さくするためには、上述したように、仕上圧延機の最終の圧延スタンドを通過する時の被圧延材の温度が目標値を満足すればよいと考えられてきた。しかし、本発明者らが多数の操業実績に基づいて鋭意検討した結果、最終の圧延スタンドを通過する時の被圧延材の温度が目標値を満足する場合であっても、仕上圧延における加速及び冷却条件等に起因する、圧延スタンド間における被圧延材の温度の変動の程度によっては、熱延鋼板のr値の面内異方性が大きくなってしまうことがわかった。
上述した特許文献1、2により開示された発明は、いずれも、仕上圧延機の最終の圧延スタンドを通過する時の被圧延材の温度を目標値とすることを目的とするものであって仕上圧延機の圧延スタンド間における被圧延材の温度の変動を抑制するものではないので、これらの発明に基づいても、r値の面内異方性が小さい熱延鋼板を確実に製造することはできない。
なお、特許文献1、2により開示された発明には、仕上圧延機のワークロールの磨耗に起因したスケール疵が被圧延材に発生し、熱延鋼板の表面特性が悪化し易いという課題もある。
また、特許文献3、特にその段落0069〜0075及び図15により開示された発明は、略述すると、仕上圧延機の圧延スタンド間における被圧延材の温度を所定値以下とすることにより熱延鋼板のスケール疵の発生を抑制するものであるが、本発明者らの知見によれば、この発明が示唆するように仕上圧延機の圧延スタンド間における被圧延材の温度を所定値以下としても、熱延鋼板のr値の面内異方性を確実に小さくすることはできない。
本発明は、このような従来の技術が有する課題に鑑みてなされたものであり、r値の面内異方性が小さいことから深絞り加工用途にも十分に供することができる熱延鋼板を確実に製造する方法及び装置を提供することであり、具体的には、r値の面内異方性の低下、さらにスケール疵の発生といった、仕上圧延機の圧延スタンド間における被圧延材の温度の変動に起因した品質不良を生じることなく、熱延鋼板を確実に製造する方法及び装置を提供することである。
本発明者らは、上述した課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、以下に列記する知見1〜6を得て、本発明を完成した。
(知見1)
熱延鋼板のr値の面内異方性を所望の程度に小さくするには、仕上圧延機の最終の圧延スタンドを通過する時の被圧延材の温度を所定の温度以上とするだけでは足りず、これに加えて、仕上圧延機の圧延スタンド間における被圧延材の温度を、そのAr変態点以上に設定された目標温度域の温度とする。仕上圧延機の圧延スタンド間での被圧延材の温度がAr変態点未満に低下すると、フェライトに加工が行われて混粒組織となり、これにより、熱延鋼板のr値の面内異方性が著しく悪化するからである。この所定の温度域は、材質、操業条件により、圧延スタンド毎に異なるので、スタンド間温度計の設置位置や熱延鋼板に生じるスケール疵の発生状況等をも勘案して、適宜決定すればよい。
すなわち、これまでと同様に仕上圧延機の最終の圧延スタンドを通過する時の被圧延材の温度を目標温度域の温度とするとともに、新たに、仕上圧延機の圧延スタンド間における被圧延材の温度を、Ar変態点以上に設定された目標温度域の温度とすることにより、r値の面内異方性が小さいことから深絞り加工用途にも十分に供することができる熱延鋼板を確実に製造することができる。
(知見2)
仕上圧延機の圧延スタンド間での被圧延材の温度を、Ar変態点以上に設定された目標温度域の温度とするには、これまで同様に最終の圧延スタンドの出側に配置される出側温度計の測定値を用いることとともに、圧延スタンド間にもスタンド間温度計を配置して、被圧延材の温度を測定する。このスタンド間温度計は、必ずしも全ての圧延スタンド間に設置する必要はなく、スタンド間温度計に基づき冷却条件を変更できる冷却装置の設置数、スタンド間温度計の設置数及び熱延鋼板に生じるスケール疵の発生状況等を勘案して、その設置数を適宜決定すればよい。
(知見3)
圧延スタンド間における被圧延材の温度は、その長手方向のみならず幅方向にも変動するので、熱延鋼板のr値の面内異方性を確実に小さくするためには、スタンド間温度計として、被圧延材の幅方向の略全域の温度を測定することができる幅方向温度計を用いるか、あるいは被圧延材の幅方向に複数の温度計を並設することにより、被圧延材の幅方向の略全域の温度を測定することが望ましい。
(知見4)
被圧延材の表面(上面)及び裏面(下面)の温度が、加熱炉での加熱条件や仕上圧延時の冷却条件等により、異なることがあり、このような場合には、被圧延材の表面及び裏面で温度差を生じる。そこで、圧延スタンド間における被圧延材の温度は、その表面の温度のみで代用するのではなく、裏面についても測定することが望ましい。圧延スタンド間における被圧延材の裏面の温度は、仕上圧延機のロールの冷却水やルーパロールの冷却水等の影響を受けるために通常の温度計で測定することは難しいので、水環境下でも測定可能な温度計(特公平3−69974号公報、特開2005−24303号公報、特開2003−185501号公報等参照)を用いることが望ましい。
(知見5)
仕上圧延機の最終の圧延スタンドを通過する時の被圧延材の温度を目標値とすることができる、仕上圧延における加熱及び冷却条件(すなわち圧延スタンド間における被圧延材の温度)は、一義的に定まるものではなく多数存在する。このため、圧延スタンド間における被圧延材の温度をAr変態点以上の目標温度域の温度であるとともに仕上圧延機の最終の圧延スタンドを通過する時の被圧延材の温度を目標値通りにすることができる場合がある。このような場合を見出すことができなくとも、仕上圧延機の最終の圧延スタンドを通過する時の目標温度にもある程度の幅があるので、仕上圧延における加熱及び冷却条件を変更して、最終の圧延スタンドを通過する時の被圧延材の温度をこの幅の範囲内で変化させるとともに圧延スタンド間における被圧延材の温度が上述した目標温度域の温度を満足するようにすることによって、最終の圧延スタンドを通過する時の被圧延材の温度のみならず圧延スタンド間における被圧延材の温度も目標温度域の温度とすることができる。
(知見6)
仕上圧延における加熱及び冷却条件は、仕上圧延を開始する前においては圧延スタンド間での被圧延材の温度を演算により予測した値に基づいて制御するが、この演算による予測精度が高くない場合にも圧延スタンド間での被圧延材の温度を高精度で制御するために、仕上圧延を開始した後においても圧延スタンド間での被圧延材の温度の測定値に基づいてフィードバック制御を行うことが有効である。ここで、このフィードバック制御では、加熱装置からスタンド間温度計までの時間遅れが大きいので、温度実績に基づいて制御するのは、基本的には冷却装置及び圧延速度である。
本発明は、複数の圧延スタンドと、複数の圧延スタンド間に配置される冷却装置と、少なくとも一つの圧延スタンド間に設置されるスタンド間温度計とを有する仕上圧延機を用いて、仕上圧延を開始する前に予め定めた、冷却装置の冷却条件と圧延速度とに基づいて被圧延材に仕上圧延を行うことにより熱延鋼板を製造する際に、仕上圧延を開始した後に、スタンド間温度計による、少なくとも一つの圧延スタンド間における被圧延材の温度の測定値が、この被圧延材の鋼のAr変態点以上の温度域に予め設定した所定の温度を下回る場合には、仕上圧延を行われている際の被圧延材の温度がAr変態点以上に設定された目標温度域を満足するように、具体的には、複数の圧延スタンドのうちの最終の圧延スタンドを通過する際の被圧延材の温度が目標温度域を満足するとともに、圧延スタンド間における被圧延材の温度がAr変態点以上に設定された目標温度域を満足するように、冷却条件及び/又は圧延速度を変更し、変更した冷却条件及び/又は圧延速度により仕上圧延を引き続き行うことを特徴とする熱延鋼板の製造方法である。
本発明は、複数の圧延スタンドと、複数の圧延スタンド間に設置される冷却装置と、少なくとも一つの圧延スタンド間に設置されるスタンド間温度計とを有する仕上圧延機を用いて、仕上圧延を開始する前に予め定めた、冷却装置の冷却条件と圧延速度とに基づいて被圧延材に仕上圧延を行うことにより熱延鋼板を製造する際に、仕上圧延を開始する前に、スタンド間温度計の測定位置における被圧延材の温度を、複数の圧延スタンドのうちの最終の圧延スタンドを通過する時の被圧延材の温度が目標値を満足するように算出した冷却装置の冷却条件に基づいた演算により求め、求めた被圧延材の温度が、この被圧延材のAr変態点以上の温度域に設定した所定の温度を下回る場合には、この仕上圧延を行われている際の被圧延材の温度がAr変態点以上に設定された目標温度域を満足するように、具体的には、最終の圧延スタンドを通過する際の被圧延材の温度が目標温度域を満足するとともに、圧延スタンド間における被圧延材の温度がAr変態点以上に設定した目標温度域を満足するように、冷却条件と圧延速度とのうちの一方又は双方を変更し、変更した冷却条件と圧延速度とのうちの一方又は双方により仕上圧延を開始することを特徴とする熱延鋼板の製造方法である。
本発明は、複数の圧延スタンドと、複数の圧延スタンド間に設置される冷却装置と、少なくとも一つの圧延スタンド間に設置されるスタンド間温度計とを有する仕上圧延機を用いて、熱間圧延を開始する前に予め定めた、冷却装置の冷却条件と圧延速度とに基づいて被圧延材に仕上圧延を行うことにより熱延鋼板を製造する際に、
(A)仕上圧延を開始する前においては、スタンド間温度計の測定位置における被圧延材の温度を、複数の圧延スタンドのうちの最終の圧延スタンドを通過する時の被圧延材の温度が目標値を満足するように算出した冷却装置の冷却条件に基づいた演算により求め、求めた被圧延材の温度が、被圧延材のAr変態点以上の温度域に設定した所定の温度を下回る場合には、仕上圧延を行われている際の被圧延材の温度がAr変態点以上に設定された目標温度域を満足するように、具体的には、最終の圧延スタンドを通過する際の被圧延材の温度が目標温度域を満足するとともに、圧延スタンド間における被圧延材の温度がAr変態点以上に設定した目標温度域を満足するように、冷却条件と圧延速度とのうちの一方又は双方を変更し、
(B)変更した冷却条件と圧延速度とのうちの一方又は双方により仕上圧延を開始し、
(C)さらに、被圧延材がスタンド間温度計を通過した後においては、スタンド間温度計による、少なくとも一つの圧延スタンド間における被圧延材の温度の測定値が、被圧延材のAr変態点以上の温度域に設定した所定の温度を下回る場合には、仕上圧延を行われている際の被圧延材の温度がAr変態点以上に設定された目標温度域を満足するように、具体的には、複数の圧延スタンドのうちの最終の圧延スタンドを通過する際の被圧延材の温度が目標温度域を満足するとともに、圧延スタンド間における被圧延材の温度がAr変態点以上に設定した目標温度域を満足するように、冷却条件及び/又は圧延速度を変更し、変更した冷却条件及び/又は圧延速度により仕上圧延を引き続き行うことを特徴とする熱延鋼板の製造方法である。
また、本発明は、複数の圧延スタンドと、複数の圧延スタンド間に設置される冷却装置と、少なくとも一つの圧延スタンド間に設置されるスタンド間温度計と、複数の圧延スタンドのうちの第1の圧延スタンドの入側に設置されて被圧延材を加熱する加熱装置とを有する仕上圧延機を用いて、熱間圧延を開始する前に予め定めた、冷却装置の冷却条件及び/又は加熱装置の加熱条件と、圧延速度とに基づいて被圧延材に仕上圧延を行うことにより熱延鋼板を製造する際に、
(A)仕上圧延を開始する前においては、スタンド間温度計の測定位置における被圧延材の温度を、複数の圧延スタンドのうちの最終の圧延スタンドを通過する時の被圧延材の温度が目標値を満足するように算出した冷却装置の冷却条件、及び加熱装置の加熱条件に基づいた演算により求め、求めた被圧延材の温度が、被圧延材の鋼のAr変態点超の温度域に設定した所定の温度を下回る場合には、仕上圧延を行われている際の被圧延材の温度がAr変態点以上に設定された目標温度域を満足するように、具体的には、複数の圧延スタンドのうちの最終の圧延スタンドを通過する際の被圧延材の温度が目標温度域を満足するとともに、圧延スタンド間における被圧延材の温度がAr変態点以上に設定された目標温度域を満足するように、冷却条件及び/又は加熱条件と圧延速度とのうちの一方又は双方を変更し、
(B)変更した冷却条件及び/又は加熱条件と圧延速度とのうちの一方又は双方により仕上圧延を開始し、
(C)さらに、被圧延材がスタンド間温度計を通過した後においては、スタンド間温度計による、少なくとも一つの圧延スタンド間における被圧延材の温度の測定値が、この被圧延材の鋼のAr変態点超の温度域に設定した所定の温度を下回る場合には、この仕上圧延を行われている際の被圧延材の温度がAr変態点以上に設定された目標温度域を満足するように、具体的には、複数の圧延スタンドのうちの最終の圧延スタンドを通過する際の被圧延材の温度が目標温度域を満足するとともに、圧延スタンド間における被圧延材の温度がAr変態点以上に設定された目標温度域を満足するように、冷却条件及び/又は圧延速度を変更し、変更した冷却条件及び/又は圧延速度により仕上圧延を引き続き行うことを特徴とする熱延鋼板の製造方法である。
これらの本発明に係る熱延鋼板の製造方法では、仕上圧延機が、複数の圧延スタンドのうちの第1の圧延スタンドの入側に設置されて被圧延材を加熱する加熱装置をさらに有し、仕上圧延を開始する前においては、スタンド間温度計の測定位置における被圧延材の温度を、複数の圧延スタンドのうちの最終の圧延スタンドを通過する時の被圧延材の温度が目標値を満足するように算出した冷却装置の冷却条件、及び加熱装置の加熱条件に基づいた演算により求め、求めた被圧延材の温度が、被圧延材のAr変態点以上の温度域に設定した所定の温度を下回る場合には、仕上圧延を行われている際の被圧延材の温度がAr変態点以上に設定された目標温度域を満足するように、冷却条件及び加熱条件と圧延速度とのうちの一方又は双方を変更し、変更した冷却条件及び加熱条件と圧延速度とのうちの一方又は双方により仕上圧延を開始することが望ましい。
これらの本発明に係る熱延鋼板の製造方法では、仕上圧延を開始する前に、演算により求めた被圧延材の温度が被圧延材のAr変態点以上の温度域に設定した所定の温度を上回る場合には、この仕上圧延を行われている際の被圧延材の温度がAr変態点以上に設定された目標温度域を満足するように、冷却条件及び/又は圧延速度を変更することが望ましい。
これらの本発明に係る熱延鋼板の製造方法では、被圧延材がスタンド間温度計を通過した後に、スタンド間温度計による、少なくとも一つの圧延スタンド間における被圧延材の温度の測定値が、この被圧延材のAr変態点以上の温度域に設定した所定の温度を上回る場合には、この仕上圧延を行われている際の被圧延材の温度がAr変態点以上に設定された目標温度域を満足するように、冷却条件及び/又は圧延速を変更することが望ましい。
熱延鋼板の製造工程において被圧延材のAr変態点を正確に求めることは実際には難しい。このため、これらの本発明では、Ar変態点以上の温度域に所定の温度(例えば所定の温度=Ar変態点+10℃)を予め設定しておき、スタンド間温度計による、少なくとも一つの圧延スタンド間における被圧延材の温度の測定値がこの所定の温度を下回る場合には、冷却装置の冷却条件及び/又は圧延速度を変更することにより、仕上圧延を行われている際の被圧延材の温度がAr変態点以上に設定された目標温度域を確実に満足するようにしている。
これらの本発明に係る熱延鋼板の製造方法では、熱延鋼板が、深絞り加工用の熱延鋼板であること、換言すればr値の面内異方性が所定範囲内に抑制された熱延鋼板であることが望ましい。
これらの本発明に係る熱延鋼板の製造方法では、スタンド間温度計の設置位置が、スタンド間温度計に基づき冷却条件を変更できる冷却装置の設置数、このスタンド間温度計の設置数及び熱延鋼板に生じるスケール疵の発生状況のうちの少なくとも一に基づいて、決定されることが望ましい。
これらの本発明に係る熱延鋼板の製造方法では、目標温度域が、スタンド間温度計の設置位置及び熱延鋼板に生じるスケール疵の発生状況のうちの少なくとも一つに基づいて、決定されることが望ましい。
これらの本発明に係る熱延鋼板の製造方法では、スタンド間温度計が、被圧延材の板幅方向の温度分布を測定可能な温度計であることが望ましい。
これらの本発明に係る熱延鋼板の製造方法では、少なくとも一つの圧延スタンド間における被圧延材の温度の測定値が、スタンド間温度計による板幅方向の温度分布の測定値を統計処理した値であることが望ましい。
これらの本発明に係る熱延鋼板の製造方法では、スタンド間温度計が被圧延材の下面を測定する場合には、スタンド間温度計が水環境下でも測定可能な水環境温度計であることが望ましい。
別の観点からは、本発明は、複数の圧延スタンドと、複数の圧延スタンド間のうちの少なくとも一つの圧延スタンド間に設けられて被圧延材の温度を測定するスタンド間温度計と、スタンド間温度計が設けられる圧延スタンド間を除く複数の圧延スタンド間のうちの少なくとも一つの圧延スタンド間に設けられて被圧延材へ冷却水を噴射する冷却装置と、スタンド間温度計により測定される被圧延材の温度に基づいて冷却装置による被圧延材に対する温度制御量を決定する温度制御装置とを有する仕上圧延機を備える熱延鋼板の製造装置であって、温度制御装置が、スタンド間温度計による被圧延材の温度の測定値が、この被圧延材の鋼のAr変態点以上の温度域に設定した所定の温度を下回る場合に、仕上圧延を行われている際の被圧延材の温度がAr変態点以上に設定された目標温度域を満足するように、測定値に基づいて冷却装置の制御条件を変更する指令を出力することを特徴とする熱延鋼板の製造装置である。
この本発明に係る熱延鋼板の製造装置では、スタンド間温度計が、被圧延材の温度が最も低下する圧延スタンド間に設置されることが望ましい。
本発明によれば、被圧延材の温度を、仕上圧延機の最終の圧延スタンドを通過する時に目標範囲内にすることができるとともに、仕上圧延機の圧延スタンド間においてもAr変態点以上の目標温度域内の温度とすることができる。このため、仕上圧延機の各圧延スタンド間における被圧延材の目標温度の範囲を逸脱することに起因するr値の面内異方性の低下やスケール疵の発生等の品質不良を生じることなく、深絞り用の熱延鋼板を確実に製造することができる。
(実施の形態1)
以下、本発明に係る熱延鋼板の製造方法及び製造装置を実施するための最良の形態を、添付図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以降の実施の形態の説明では、圧延スタンド間における被圧延材の温度がAr変態点以上の目標温度域を満足するために、冷却装置の冷却条件を制御する場合を例にとるが、これとは異なり、例えば上述した特許文献1に開示されて周知であるように、仕上圧延における圧延速度を制御するようにしてもよい。圧延速度を制御する場合の考え方は、以降に説明する冷却条件を制御する場合と同様であるので、以降の説明は冷却条件を制御する場合についてのみ行い、圧延速度を制御する場合の説明は省略する。
図1は、本実施の形態で用いる熱延鋼板の製造装置を模式的に示す説明図である。
図1において、符号1は、被圧延材である粗バーを示す。
符号2aは、圧延スタンドF1〜F7を有する仕上圧延機0の第1の圧延スタンドF1の入側であって圧延機3aに近接して設置され、被圧延材1が第1の圧延スタンドF1を通過する際(圧延機3aに噛み込む際)の被圧延材1の表面(上面)の温度を実質的に測定することができる入側温度計を示す。
符号2bは、仕上圧延機0の最終の圧延スタンドF7の出側であって圧延機3gに近接して設置され、被圧延材1が最終の圧延スタンドF7を通過する際(圧延機3gを抜ける際)の被圧延材1の表面(上面)の温度を実質的に測定することができる出側温度計を示す。
符号2cは、仕上圧延機0の圧延スタンド間F4/5に設置されて被圧延材1の表面(上面)の温度を測定するスタンド間温度計を示す。スタンド間温度計2cは、圧延スタンド間F4/5における被圧延材1の温度が目標の範囲を逸脱することに起因するr値の面内異方性の低下やスケール疵の発生を防止するために、仕上圧延中の被圧延材1の温度を測定するための温度計である。本実施の形態はスタンド間温度計2cの設置数を最小の一基とするものであるが、これとは異なり、2基以上設けるようにしてもよく、もちろん全ての圧延スタンド間に一基ずつ合計六基設けてもよい。
スタンド間温度計2cは、被圧延材1の板幅方向の全域においてr値の面内異方性を小さくするために設けるものであるので、被圧延材1の板幅方向の略全域に設定される複数の測定点を同時に測定することができる幅方向温度計を用いることが望ましい。
符号3a〜3gは、各圧延スタンドF1〜F7にそれぞれ配置される圧延機である。被圧延材1は、圧延機3aから圧延機3gの方向へ向けて順番に熱間圧延される。
符号4a〜4eは、圧延スタンド間F1/2、F2/3、F3/4、F5/6、F6/F7にそれぞれ設置される冷却装置であり、スタンド間温度計2cによる被圧延材1の温度測定を妨害しないために、スタンド間温度計2cが設置される圧延スタンド間F4/5を除いて全ての圧延スタンド間F1/2、F2/3、F3/4、F5/6及びF6/7に設置される。本実施の形態では、冷却装置4a〜4eとして冷却水を被圧延材1へ向けて噴射する水冷装置を用いる。
符号5は、第1の圧延スタンドF1の入側に設置されて、被圧延材1の板幅方向の全域を加熱するための誘導式の加熱装置である。
符号6は、被圧延材1の温度を制御するための温度制御装置である。この温度制御装置6は、冷却装置4a〜4e及び加熱装置5に指令を出力することにより、冷却装置4a〜4eのそれぞれの冷却水供給バルブをオンオフするか、又は流量を変更するとともに、加熱装置5の加熱量を変更する。これにより、最終の圧延スタンドF7を通過する時の被圧延材1の温度、すなわち出側温度計2bによる被圧延材1の測定値を被圧延材1の全長にわたって目標温度とする。
符号7は、圧延スタンド間F4/5に設置されたスタンド間温度計2cによる被圧延材1の測定値が、被圧延材のAr変態点以上の温度域に予め設定した所定の温度を下回るときに、その設置位置よりも上流側に位置する冷却装置4a〜4cの冷却条件を変更することにより、スタンド間温度計2cによる被圧延材1を、Ar変態点以上に設定された目標温度域に制御するための温度制御装置である。
さらに、符号8は、圧延機3gのワークロールの駆動モータを示す。図1では圧延機3gについてのみ示すが、他の圧延機3a〜3fにも同様に駆動モータが設置される。各圧延機3a〜3gのいずれかの駆動モータ8の速度指令を変更すると、各圧延スタンド間F1/2、F2/3、F3/4、F4/5、F5/6及びF6/7での被圧延材1のマスフローが崩れないように、他の圧延機3a〜3gの駆動モータ8も連動して変更される機構を有する。圧延機3a〜3gを有するタンデム圧延機では、このような機構は周知かつ慣用であるので、この機構についてのこれ以上の説明は省略する。
本実施の形態の製造装置は以上のように構成される。次に、この製造装置により被圧延材1に仕上圧延を行って熱延鋼板を製造する状況を、経時的に説明する。
まず、温度制御装置6では、被圧延材1が加熱装置5に到達するまでに、入側温度計2aを通過する時の被圧延材1の温度と、被圧延材1の速度パターン等の情報とに基づいて、最終の圧延スタンドF7を通過する時の被圧延材1の長手方向の全域の温度が目標温度となるように、冷却装置4a〜4eの冷却条件(冷却水供給バルブのオンオフ指令又は水量指令等)による冷却量指令と、加熱装置5の加熱量指令を、予め算出する。
この算出方法は、最終の圧延スタンドF7を通過する時の被圧延材1の長手方向の全域の温度を目標通りに制御することができるものであればよく、特定の算出方法には制限されない。例えば特開2002−11502号公報により開示された算出方法を用いればよい。
次に、被圧延材1が加熱装置5及び第1の圧延スタンドF1の圧延機3aに到達してからは、温度制御装置6により算出された、冷却装置4a〜4eの冷却条件(冷却水供給バルブのオンオフ指令又は水量指令等)による冷却量指令と、加熱装置5の加熱量指令とを、各冷却装置4a〜4e内及び各加熱装置5内でトラッキング処理しながら、指令通りの加熱及び冷却を被圧延材1に対して行う。
温度制御装置6からのこの指令によれば、最終の圧延スタンドF7を通過する時の被圧延材1の長手方向の全域の温度を目標温度とすることができるが、各圧延スタンド間F1/2、F2/3、F3/4、F5/6、F6/F7における被圧延材1の温度が、Ar変態点以上の目標温度を逸脱する場合があり、この場合には熱延鋼板のr値の面内異方性が大きくなる。
そこで、本実施の形態では、圧延スタンド間F4/5に設置した、被圧延材1の板幅方向の温度を測定することができるスタンド間温度計2cにより、被圧延材1の温度を測定する。
図2は、スタンド間温度計2cによる被圧延材1の表面温度の測定結果の一例を示すグラフである。図2にグラフで示すように、被圧延材1の長手方向の同一の位置においても板幅方向に温度が変動しており、特に被圧延材1の両端側は、温度低下し易いために、板幅方向の中心(一点鎖線で示す)に比較して温度が低いことが分かる。
そこで、本実施の形態では、被圧延材1の材質と、被圧延材1に要求される仕様毎に決められた板幅方向での管理範囲(図2に両矢印で示す)とを対象に、スタンド間温度計2cの測定値を、下記(1)式及び(2)式を用いた統計処理を行って得られるTUP、TDOWNに基づいて、温度制御装置7により制御する。
ここで、TUPは、被圧延材1の温度が予め指定した上限温度TMAXよりも高いか否かを判定するための板幅方向の代表値である。一方、TDOWNは、被圧延材1の温度が予め指定した下限温度TMINよりも低いか否かを判定するための板幅方向の代表値である。いずれも、スタンド間温度計2cによる測定値にノイズが混入しても、そのノイズにより材料温度がTMIN〜TMAXの範囲を逸脱したと誤認識させないための平均化処理を行うものであり、(1)式及び(2)式を用いた統計処理には限定されないことは言うまでもない。
Figure 2009095852
Figure 2009095852
なお、板幅方向の温度変動は、被圧延材1の板幅方向の両端部を加熱するエッジヒータならびにスタンド間温度計2cの実績に基づき、板幅方向の冷却条件を変更することができる冷却装置を別途設置することにより抑制できることは言うまでもなく、その制御実績や制御効果に基づいて板幅方向の管理範囲を変更するようにしてもよい。
また、本発明において予め設定する「所定の温度」を規定する温度範囲TMIN、TMAXは、熱延鋼板のr値の面内異方性や、スケール疵の観点から、被圧延材1の材質や要求される仕様により決められた値であるが、本実施の形態の冷却条件の変更における応答遅れ等の操業因子を勘案して、本来の品質管理上の上下限に対して余裕代を加えた値に設定するようにしてもよい。例えば下限温度TMINは、Ar変態点に+5℃〜+20℃までの範囲で余裕代を加えた値に設定してもよい。また、上限温度TMAXは、例えば、Ar変態点+30℃と設定してもよい。さらに、例えばTMIN=Ar変態点+10℃、かつTMAX=Ar変態点+30℃と設定することが例示される。
温度制御装置7におけるスタンド間温度計2cの測定値に基づく冷却装置4a〜4cの冷却条件の変更は、仕上圧延時に一定周期毎に行われる、図3に示す処理フローにより実行される。以下、図3に示す処理フロー毎の処理について説明する。
(状態1)
UPが予め指定した上限温度TMAXより高くなった場合には、状態2Aへ移行し、またTDOWNが予め指定した下限温度TMINより低くなった場合には状態2Bへ移行する。
(状態2A)
状態2Aへ移行してから指定した時間ΔtUP[秒]を経過するまでにtUPがTMAXより低くなった場合は状態1へ戻り、状態2AがΔtUP[秒]以上継続した場合は状態3Aへ移行する。
(状態2B)
状態2Bへ移行してから指定した時間ΔtDOWN[秒]を経過するまでにTDOWNがTMINより高くなった場合は状態1へ戻り、状態2BがΔtDOWN[秒]以上継続した場合は状態3Bへ移行する。
(状態3A)
状態3Aに移行した時点で使用していない冷却装置4a〜4cの中のnUP本の冷却装置を予め指定した優先順位(例えばスタンド間温度計2cから近い順に高い優先順位を与える)に基づいて、冷却装置を使用する。
なお、nUPは(3)式の右辺を整数化した値であり、ΔTは冷却装置1本分の温度降下量[℃/本]であり、温度制御装置6又は7により事前に計算もしくは設定される値である。
Figure 2009095852
また、新たに使用した冷却装置のうち、第1の圧延スタンドF1に一番近い冷却装置の直下からスタンド間温度計2cまでのトラッキングを開始し、そのトラッキングがスタンド間温度計2cの直下に到達するまでは、さらに追加して冷却装置を使用することはしない。
(状態3B)
状態3Bに移行した時点で使用している冷却装置4a〜4cの中のnDOWN本の冷却装置を予め指定した優先順位(例えばスタンド間温度計2cに近い順に高い優先順位を与える)に基づいて、冷却装置の使用を停止する。
なお、nDOWNは(4)式の右辺を整数化した値である。
Figure 2009095852
また、新たに使用を停止した冷却装置のうち、第1の圧延スタンドF1に一番近い冷却装置の直下からスタンド間温度計2cまでのトラッキングを開始し、そのトラッキングがスタンド間温度計2cの直下に到達するまでは、さらに追加して冷却装置を使用することはしない。
スタンド間温度計の設置位置に関して補足する。スケール疵は、特に前段スタンドの温度の上昇に起因すると考え、スケール疵の発生抑制にはより前段スタンド側にスタンド間温度計を設置することが好ましい。また、r値の面内異方性は、特に後段スタンドの温度が低いところに起因すると考えられるため、r値の面内異方性の発生を抑制するには、より後段スタンド側にスタンド間温度計を設置することが好ましい。本実施の形態では、スタンド間温度計を一基だけ設置する前提で、r値の面内異方性の抑制とスケール疵の発生防止とをともに図るために、スタンド間温度計2cを中間の圧延スタンド間F4/5の間に設置した形態を例にとった。しかし、スタンド間温度計を2基設置できる場合には、前段スタンドとして例えば圧延スタンド間F3/4にもスタンド間温度計を設置すると、被圧延材1の温度管理をさらに厳格に行うことができ、品質のさらなる安定を図ることができる。なお、この場合には、被圧延材1の温度の上限を制御する場合には圧延スタンド間F3/4間の測定値を用いるとともに、被圧延材1の下限を制御する場合には圧延スタンド間F4/5間の測定値を用いることにより高精度で被圧延材1の温度を制御することができる。
また、被圧延材1の表面(上面)及び裏面(下面)で温度差が発生する場合には、同一の圧延スタンド、又は異なる圧延スタンドに表面用のスタンド間温度計と裏面用のスタンド間温度計とを設置し、これらのスタンド間温度計の測定値を(3)式及び(4)式によりそれぞれ統計処理し、二つの測定値のうち高い値に基づいて被圧延材1の上限を制御するとともに、低い値に基づいて被圧延材1の下限を制御することにより、たとえ被圧延材1の表面及び裏面で温度差が発生しても、被圧延材1の温度を目標温度に制御することができ、さらなる品質の安定化を図ることができる。
なお、本実施の形態においては、特許文献2にも開示されるように、出側温度計2bによる被圧延材1の温度の測定値に基づいて、冷却装置4の冷却条件や仕上圧延の際の圧延速度をさらに変更するようにすれば、最終の圧延スタンドF7を通過する際の被圧延材1の温度の制御精度をさらに高めることができることは言うまでもない。
なお、以上の説明は、スタンド間温度計の測定値を用いてr値の面内異方性の低下及びスケール疵の発生をいずれも低下する場合であるが、このスタンド間温度計の測定値を用いて、例えば穴広げ性等の加工性や強度や伸び等の異方性といった機械特性を向上することもできる。この場合には、仕上圧延機の最終スタンドを通過する時の被圧延材の温度、各圧延スタンド間における被圧延材の温度、及びスタンド間温度計を設置する圧延スタンド間の位置を、対象とする機械特性に応じて適宜変更すればよいことはいうまでもない。
このようにして、本実施の形態により、例えば、質量%で、C:0.01%以上0.10%以下、Si:0.10%以下、Mn:0.10%以上0.60%以下、P:0.03%以下、S:0.020%以下、sol.Al:0.004%以上0.10%以下及びN:0.0050%以下を含有し、残部がFe及び不純物からなる鋼組成を有するとともに、表面から板厚1/4深さ位置までの表層部におけるフェライトの最大結晶粒径と板厚1/4深さ位置から板厚中心までの中心部におけるフェライトの最大結晶粒径との差が10μm以内である鋼組織を有するとともに、Δrの絶対値が0.25以下であるというr値の面内異方性が小さく、深絞り加工用として好適な熱延鋼板を、確実に製造することができる。
以上説明したように、本実施の形態により、r値の面内異方性が小さいことから深絞り加工用途にも十分に供することができる熱延鋼板を確実に製造すること、具体的には、r値の面内異方性の低下、さらにスケール疵の発生といった、仕上圧延機0の圧延スタンド間F4/5における被圧延材1の温度が変動することに起因した品質不良を生じることなく、熱延鋼板を確実に製造することができるようになる。
(実施の形態2)
次に、実施の形態2を説明する。なお、以降の説明では、上述した実施の形態1と相違する部分を中心に説明し、同一の部分は同一の符号を付することにより重複する説明を適宜省略する。
図4は、本実施の形態で用いる熱延鋼板の製造装置を模式的に示す説明図である。
図1により示した実施の形態1の製造装置と相違するのは、スタンド間温度計2cに基づき冷却装置4a〜4cを制御する温度制御装置7を設けないことと、温度制御装置6が、最終の圧延スタンドF7を通過する時の被圧延材1の温度を目標温度とする従来の技術と異なり、最終の圧延スタンドF7を通過する時の被圧延材1の温度とともに、スタンド間温度計2cが設置される位置の被圧延材1の温度をも制御する点である。なお、図4では、圧延機3a〜3gのワークロールの駆動モータも図示を省略してある。
この本実施の形態の温度制御装置6による制御内容を説明する。図5は、本実施の形態の温度制御装置6の制御の各ステップを示すフロー図である。
(S0)
被圧延材1の長手方向のある点が入側温度計2aに到達した時点で、そのときの被圧延材1の温度実績ならびに、被圧延材1に特有の添加元素等の材料条件、さらには、製造厚さや圧延速度等の圧延条件を設定する。そして、S1へ移行する。
(S1)
加熱装置5の加熱量、及び冷却装置4a〜4eの冷却量を、初期値として0と設定する。そして、S2へ移行する。
(S2)
設定された加熱量及び冷却量に基づいて、入側温度計2aから出側温度計2bまで(粗圧延機の出口〜仕上圧延機0の出口)の温度計算を行い、S3へ移行する。温度計算方法は、例えば、特開2002−11502号公報により開示されるように、スタンド間温度計2cが設置された圧延スタンド間F4/5における被圧延材1の温度も計算できるものであればよく、特定の計算手法には限定されない。
(S3)
最終の圧延スタンドF7を通過する時の被圧延材1の温度の計算値(FT計算)がその目標温度(FT目標)であるか否か、すなわち|FT計算−FT目標|<ΔFTを判定し、目標温度域内であれば(S6−1)へ移行し、目標温度域内でなければ(S4)へ移行する。なお、S3におけるΔTは、出側温度が目標温度に収束したかどうかの値(ΔT=1℃程度)を意味する。
(S4)
FT計算がFT目標よりも低ければ(FT計算<FT目標)、被圧延材1を加熱する必要があるため(S5−1)へ移行し、そうでなければ(FT計算≧FT目標)、冷却する必要があるため(S5−2)へ移行する。
(S5−1)
現在の加熱量にα0の加熱量を加えて、S2へ移行する。なお、α0は任意の値であり、例えば、加熱量に対するFTへの温度影響量dαを計算して、以下のように計算しても良いが、違いは最終的な加熱量、冷却量を求めるのに必要な計算時間の差だけである。
α0=(FT目標−FT計算)/dα ・・・・・・・(5)
(S5−2)
現在の冷却量にβ0の冷却量を加えて、S2へ移行する。なお、β0は任意の値か、例えば、冷却量に対するFTへの温度影響量dβを計算して、以下のように計算しても良いが、違いは最終的な加熱量、冷却量を求めるのに必要な計算時間の差だけである。
β0=(FT計算−FT目標)/dβ ・・・・・・・(6)
(S6−1)
予め指定したスタンド間温度計2cの位置での被圧延材1の温度(TM計算)が、予め指定された上限温度(TMMAX)以下であれば(S6−2)へ移行し、そうでなければ(S7−1)へ移行する。なお、S6−1におけるTMMAXがスケール疵を目的にした目標温度域の上限値を意味する。
(S7−1)
TM計算値が上限温度よりも高いため、現在の加熱量をα1減らすとともに、スタンド間温度計2cよりも上流側の現在の冷却量にβ1を加えて、(S8−1)へ移行する。なお、α1、β1はそれぞれ任意の値であり、例えば、加熱量に対するTM計算への温度影響量dαm、上流側の冷却量に対するTM計算への温度影響量dβmをそれぞれ計算し、式(7)、(8)により計算により求めることができる。なお、a、bは加熱、冷却の優先度を決めるためのパラメータである。
α1=a・(TMMAX−TM計算)/dαm ・・・・・・・(7)
β1=b・(TMMAX−TM計算)/dβm ・・・・・・・(8)
(S8−1)
変更された加熱量及び冷却量に基づいて(S2)と同様にして、入側温度計2aから出側温度計2bまで(粗圧延機の出口〜仕上圧延機0の出口)の温度計算を行い、温度計算を実施する。そして(S9−1)へ移行する。
(S9−1)
FT計算が予め決められた下限温度FTMINよりも高い場合には(S6−1)へ移行し、そうでなければ(S10−1)へ移行する。なお、S9−1におけるFTMINは出側の目標温度域の下限を意味する。
(S10−1)
(S7−1)でスタンド間温度を低くした影響で、FT計算が予め決められた下限温度より低くなった場合は、スタンド間温度計2cより下流側の現在の冷却量をβ1’減らす。そして、S6−1へ移行する。なお、β1’は任意の値であり、例えば、下流側の冷却量に対するFT計算への温度影響量dβ’をそれぞれ計算し、式(9)により計算で求めることができる。
β1=(FTMIN−FT計算)/dβ’ ・・・・・・・(9)
(S6−2)〜(S10−2)
上述した(S6−1)〜(S10−1)とは大小関係が反対となる処理であって、ほぼ同様な考え方であるため、その説明は省略する。
なお、S6−2におけるTMMINがAr変態点以上に設定した目標温度域の下限である。したがって、TMMIN=品質管理上の温度公差(そのスタンド間の温度がこの温度以上あれば全スタンドでAr変態点以上となることが予め設定した値)+温度制御用の余裕代である。また、S9−2におけるFTMAXは出側の目標温度域の上限を意味する。
このようにして、最終的に、FTMIN<FT計算<FTMAX、及びTMMIN<TM計算<TMMAXを満足する、加熱装置5の加熱量及び冷却装置4の冷却量を決定する。
図5を参照しながら説明したフローに基づいて算出した加熱量及び冷却量となるように加熱装置5及び冷却装置4を制御することにより、被圧延材1の長方方向の任意の点について最終の圧延スタンドF7を通過する際の被圧延材1の温度はもとより、圧延スタンド間F4/5における被圧延材1の温度も予め指定した目標温度内に抑えることができる。
被圧延材1の長手方向の全長に渡る加熱量及び冷却量を算出するには、上記に示したフローを被圧延材1の長手方向の全長に渡り計算するだけでよく、例えば、被圧延材1を長手方向について仮想的に分割し、その分割点の全てに対して上記フローで計算する等の方法を用いることが例示される。
このようにして、本実施の形態によっても、r値の面内異方性が小さいことから深絞り加工用途にも十分に供することができる熱延鋼板を確実に製造すること、具体的には、r値の面内異方性の低下、さらにスケール疵の発生といった、仕上圧延機の圧延スタンド間における被圧延材の温度が変動することに起因した品質不良を生じることなく、熱延鋼板を確実に製造することができるようになる。
さらに、本発明を、実施例に基づいて詳細に説明する。
図6は、上述した実施の形態1における図1に示す仕上圧延機0を用いて被圧延材1に仕上圧延を行って熱延鋼板を製造する際のシミュレーションの結果を示すグラフであって、図6(a)は加熱装置5の加熱量(%)を経時的に示し、図6(b)は従来例によるスプレーの仕様状況(スプレーのオン/オフ指令)を経時的に示し、図6(c)は本発明例によるスプレーの仕様状況(スプレーのオン/オフ指令)を経時的に示し、図6(d)は圧延スタンド間F4/5に設置されたスタンド間温度計2cの設置位置に相当するスタンド間での被圧延材1の温度(℃)の計算値を経時的に示し、さらに、図6(e)は出側温度計2bの設置位置に相当する被圧延材1の温度(℃)の計算値を、その先端が入側温度計2aを通過してからの時間チャートとして示す。
なお、本実施例において製造される熱延鋼板は、板厚5mm、板幅1200mmの低炭素鋼からなる熱延鋼板であり、各圧延スタンドF1〜F7には上下1対で計2本のスプレーが設置されており、冷却水の量は冷却水供給バルブを単にオン/オフすることにより調整した。
図6(e)に示すように、本発明例及び従来例のいずれにあっても、出側温度計2bの設置位置に相当する被圧延材1の温度を目標の範囲(882〜938℃)を満足することができる。
しかし、従来例では、最終の圧延スタンドF7を通過する際の被圧延材1の温度のみを予め指定した範囲内に制御するものであったため、図6(d)に示すように、圧延スタンド間F4/5における被圧延材1の温度が品質管理上の下限であるAr変態点(本実施例では882℃)よりも低下してしまい、熱延鋼板のr値の面内異方性が低下する。
これに対し、本発明例では、圧延スタンド間F4/5に設置したスタンド間温度計2cによる被圧延材1の測定値に基づいて、圧延スタンドF4よりも上流の圧延スタンドF1〜F3に設置されたスプレー6本のうちの4本を順次オフすることにより、図6(d)に示すように圧延スタンド間F4/5における被圧延材1の温度がAr変態点よりも低下することを防止できる。
さらに、図7は、図6に示すテストを長期的にわたって実際の生産設備を用いて行った場合の、最終の圧延スタンドF7を通過する際の被圧延材1の温度(仕上出口温度)、ならびに圧延スタンド間F4/5における被圧延材1の温度が指令された品質上下限を超過した発生率を、従来法及び本発明法について比較して示すグラフである。なお、それぞれの発生率は、従来法の仕上出口温度が品質上下限を超過した発生率で正規化した値としている。
図7にグラフで示すように、本発明によれば、仕上出口温度での発生率を従来法と同程度に維持したまま、圧延スタンド間における上述した発生率を従来法に対して約50%低減することができる。
実施の形態1で用いる熱延鋼板の製造装置を模式的に示す説明図である。 スタンド間温度計による被圧延材の温度測定結果の一例を示すグラフである。 温度制御装置における処理フローを示す説明図である。 実施の形態2で用いる熱延鋼板の製造装置を模式的に示す説明図である。 実施の形態2の温度制御装置の制御の各ステップを示すフロー図である。 実施の形態1における図1に示す仕上圧延機を用いて被圧延材に仕上圧延を行って熱延鋼板を製造する際のシミュレーションの結果を示すグラフであって、図6(a)は加熱装置の加熱量(%)を経時的に示し、図6(b)は従来例によるスプレーの仕様状況(スプレーのオン/オフ指令)を経時的に示し、図6(c)は本発明例によるスプレーの仕様状況(スプレーのオン/オフ指令)を経時的に示し、図6(d)は圧延スタンド間F4/5に設置されたスタンド間温度計2cの設置位置に相当するスタンド間での被圧延材の温度(℃)の計算値を経時的に示し、さらに、図6(e)は出側温度計2bの設置位置に相当する被圧延材1の温度(℃)の計算値を、その先端が入側温度計2aを通過してからの時間チャートとして示す。 図6に示すテストを長期的にわたって実際の生産設備を用いて行った場合の、最終の圧延スタンドF7を通過する際の被圧延材の温度(仕上出口温度)、ならびに圧延スタンド間F4/5における被圧延材の温度が指令された品質上下限を超過した発生率を、従来法及び本発明法について比較して示すグラフである。 被圧延材に仕上圧延を行って熱延鋼板を製造する場合における圧延速度パターンの一例を示すグラフである。
符号の説明
0 仕上圧延機
1 被圧延材(粗バー)
2a 入側温度計
2b 出側温度計
2c スタンド間温度計
3a〜3g 圧延機
4a〜4e 冷却装置
5 加熱装置
F1〜F7 圧延スタンド
F1 第1の圧延スタンド
F7 最終の圧延スタンド
F1/2、F2/3、F3/4、F4/5、F5/6、F6/F7 圧延スタンド間
6 温度制御装置
7 温度制御装置
8 圧延機3gのワークロールの駆動モータ

Claims (18)

  1. 複数の圧延スタンドと、複数の圧延スタンド間に配置される冷却装置と、少なくとも一つの圧延スタンド間に設置されるスタンド間温度計とを有する仕上圧延機を用いて、仕上圧延を開始する前に予め定めた、前記冷却装置の冷却条件と圧延速度とに基づいて被圧延材に仕上圧延を行うことにより熱延鋼板を製造する際に、
    前記仕上圧延を開始した後に、前記スタンド間温度計による、前記少なくとも一つの圧延スタンド間における被圧延材の温度の測定値が、該被圧延材のAr変態点以上の温度域に予め設定した所定の温度を下回る場合には、該仕上圧延を行われている際の前記被圧延材の温度がAr変態点以上に設定された目標温度域を満足するように、前記冷却条件及び/又は前記圧延速度を変更し、変更した冷却条件及び/又は圧延速度により前記仕上圧延を引き続き行うこと
    を特徴とする熱延鋼板の製造方法。
  2. 複数の圧延スタンドと、複数の圧延スタンド間に配置される冷却装置と、少なくとも一つの圧延スタンド間に設置されるスタンド間温度計とを有する仕上圧延機を用いて、仕上圧延を開始する前に予め定めた、前記冷却装置の冷却条件と圧延速度とに基づいて被圧延材に仕上圧延を行うことにより熱延鋼板を製造する際に、
    前記仕上圧延を開始した後に、前記スタンド間温度計による、前記少なくとも一つの圧延スタンド間における被圧延材の温度の測定値が、該被圧延材のAr変態点以上の温度域に予め設定した所定の温度を下回る場合には、前記複数の圧延スタンドのうちの最終の圧延スタンドを通過する際の前記被圧延材の温度が目標温度域を満足するとともに、圧延スタンド間における前記被圧延材の温度がAr変態点以上に設定された目標温度域を満足するように、前記冷却条件及び/又は前記圧延速度を変更し、変更した冷却条件及び/又は圧延速度により仕上圧延を引き続き行うこと
    を特徴とする熱延鋼板の製造方法。
  3. 複数の圧延スタンドと、複数の圧延スタンド間に設置される冷却装置と、少なくとも一つの圧延スタンド間に設置されるスタンド間温度計とを有する仕上圧延機を用いて、仕上圧延を開始する前に予め定めた、前記冷却装置の冷却条件と圧延速度とに基づいて被圧延材に仕上圧延を行うことにより熱延鋼板を製造する際に、
    前記仕上圧延を開始する前に、前記スタンド間温度計の測定位置における被圧延材の温度を、前記複数の圧延スタンドのうちの最終の圧延スタンドを通過する時の被圧延材の温度が目標値を満足するように算出した前記冷却装置の冷却条件に基づいた演算により求め、
    求めた該被圧延材の温度が、該被圧延材のAr変態点以上の温度域に設定した所定の温度を下回る場合には、該仕上圧延を行われている際の前記被圧延材の温度がAr変態点以上に設定された目標温度域を満足するように、前記冷却条件と前記圧延速度とのうちの一方又は双方を変更し、変更した冷却条件と圧延速度とのうちの一方又は双方により前記仕上圧延を開始すること
    を特徴とする熱延鋼板の製造方法。
  4. 複数の圧延スタンドと、複数の圧延スタンド間に設置される冷却装置と、少なくとも一つの圧延スタンド間に設置されるスタンド間温度計とを有する仕上圧延機を用いて、仕上圧延を開始する前に予め定めた、前記冷却装置の冷却条件と圧延速度とに基づいて被圧延材に仕上圧延を行うことにより熱延鋼板を製造する際に、
    前記仕上圧延を開始する前に、前記スタンド間温度計の測定位置における被圧延材の温度を、前記複数の圧延スタンドのうちの最終の圧延スタンドを通過する時の被圧延材の温度が目標値を満足するように算出した前記冷却装置の冷却条件に基づいた演算により求め、
    求めた該被圧延材の温度が、該被圧延材のAr変態点以上の温度域に設定した所定の温度を下回る場合には、前記最終の圧延スタンドを通過する際の前記被圧延材の温度が目標温度域を満足するとともに、圧延スタンド間における前記被圧延材の温度がAr変態点以上に設定した目標温度域を満足するように、前記冷却条件と前記圧延速度とのうちの一方又は双方を変更し、変更した冷却条件と圧延速度とのうちの一方又は双方により前記仕上圧延を開始すること
    を特徴とする熱延鋼板の製造方法。
  5. 複数の圧延スタンドと、複数の圧延スタンド間に設置される冷却装置と、少なくとも一つの圧延スタンド間に設置されるスタンド間温度計とを有する仕上圧延機を用いて、熱間圧延を開始する前に予め定めた、前記冷却装置の冷却条件と圧延速度とに基づいて被圧延材に仕上圧延を行うことにより熱延鋼板を製造する際に、
    前記仕上圧延を開始する前においては、
    前記スタンド間温度計の測定位置における被圧延材の温度を、前記複数の圧延スタンドのうちの最終の圧延スタンドを通過する時の被圧延材の温度が目標値を満足するように算出した前記冷却装置の冷却条件に基づいた演算により求め、求めた該被圧延材の温度が、該被圧延材のAr変態点以上の温度域に設定した所定の温度を下回る場合には、該仕上圧延を行われている際の前記被圧延材の温度がAr変態点以上に設定された目標温度域を満足するように、前記冷却条件と前記圧延速度とのうちの一方又は双方を変更し、
    変更した冷却条件と圧延速度とのうちの一方又は双方により前記仕上圧延を開始し、
    さらに、前記被圧延材が前記スタンド間温度計を通過した後においては、
    前記スタンド間温度計による、前記少なくとも一つの圧延スタンド間における被圧延材の温度の測定値が、該被圧延材のAr変態点以上の温度域に設定した所定の温度を下回る場合には、該仕上圧延を行われている際の前記被圧延材の温度がAr変態点以上に設定された目標温度域を満足するように、前記冷却条件及び/又は前記圧延速度を変更し、
    変更した冷却条件及び/又は圧延速度により前記仕上圧延を引き続き行うこと
    を特徴とする熱延鋼板の製造方法。
  6. 複数の圧延スタンドと、複数の圧延スタンド間に設置される冷却装置と、少なくとも一つの圧延スタンド間に設置されるスタンド間温度計とを有する仕上圧延機を用いて、熱間圧延を開始する前に予め定めた、前記冷却装置の冷却条件と圧延速度とに基づいて被圧延材に仕上圧延を行うことにより熱延鋼板を製造する際に、
    前記仕上圧延を開始する前においては、
    前記スタンド間温度計の測定位置における被圧延材の温度を、前記複数の圧延スタンドのうちの最終の圧延スタンドを通過する時の被圧延材の温度が目標値を満足するように算出した前記冷却装置の冷却条件に基づいた演算により求め、求めた該被圧延材の温度が、該被圧延材のAr変態点以上の温度域に設定した所定の温度を下回る場合には、前記最終の圧延スタンドを通過する際の前記被圧延材の温度が目標温度域を満足するとともに、圧延スタンド間における前記被圧延材の温度がAr変態点以上に設定した目標温度域を満足するように、前記冷却条件と前記圧延速度とのうちの一方又は双方を変更し、
    変更した冷却条件と圧延速度とのうちの一方又は双方により前記仕上圧延を開始し、
    さらに、前記被圧延材が前記スタンド間温度計を通過した後においては、
    前記スタンド間温度計による、前記少なくとも一つの圧延スタンド間における被圧延材の温度の測定値が、該被圧延材のAr変態点以上の温度域に設定した所定の温度を下回る場合には、前記複数の圧延スタンドのうちの最終の圧延スタンドを通過する際の前記被圧延材の温度が目標温度域を満足するとともに、圧延スタンド間における前記被圧延材の温度がAr変態点以上に設定した目標温度域を満足するように、前記冷却条件及び/又は前記圧延速度を変更し、
    変更した冷却条件及び/又は圧延速度により前記仕上圧延を引き続き行うこと
    を特徴とする熱延鋼板の製造方法。
  7. 前記仕上圧延機は、前記複数の圧延スタンドのうちの第1の圧延スタンドの入側に設置されて被圧延材を加熱する加熱装置をさらに有し、
    前記仕上圧延を開始する前においては、
    前記スタンド間温度計の測定位置における被圧延材の温度を、前記複数の圧延スタンドのうちの最終の圧延スタンドを通過する時の被圧延材の温度が目標値を満足するように算出した前記冷却装置の冷却条件、及び前記加熱装置の加熱条件に基づいた演算により求め、求めた該被圧延材の温度が、該被圧延材のAr変態点以上の温度域に設定した所定の温度を下回る場合には、該仕上圧延を行われている際の前記被圧延材の温度がAr変態点以上に設定された目標温度域を満足するように、前記冷却条件及び前記加熱条件と前記圧延速度とのうちの一方又は双方を変更し、
    変更した冷却条件及び加熱条件と圧延速度とのうちの一方又は双方により前記仕上圧延を開始すること
    を特徴とする請求項3から請求項6までのいずれか1項に記載された熱延鋼板の製造方法。
  8. 前記仕上圧延を開始する前に、前記演算により求めた被圧延材の温度が該被圧延材のAr変態点以上の温度域に設定した所定の温度を上回る場合には、該仕上圧延を行われている際の前記被圧延材の温度がAr変態点以上に設定された目標温度域を満足するように、前記冷却条件及び/又は前記圧延速度を変更する請求項3から請求項7までのいずれか1項に記載された熱延鋼板の製造方法。
  9. 前記被圧延材が前記スタンド間温度計を通過した後に、前記スタンド間温度計による、前記少なくとも一つの圧延スタンド間における被圧延材の温度の測定値が、該被圧延材のAr変態点以上の温度域に設定した所定の温度を上回る場合には、該仕上圧延を行われている際の前記被圧延材の温度がAr変態点以上に設定された目標温度域を満足するように、前記冷却条件及び/又は前記圧延速を変更する請求項1、請求項2、請求項5、請求項6又は請求項7に記載された熱延鋼板の製造方法。
  10. 前記熱延鋼板は、深絞り加工用の熱延鋼板である請求項1から請求項9までのいずれか1項に記載された熱延鋼板の製造方法。
  11. 前記熱延鋼板は、r値の面内異方性が所定範囲内に抑制された熱延鋼板である請求項1から請求項10までのいずれか1項に記載された熱延鋼板の製造方法。
  12. 前記スタンド間温度計の設置位置は、スタンド間温度計に基づき冷却条件を変更できる冷却装置の設置数、該スタンド間温度計の設置数及び前記熱延鋼板に生じるスケール疵の発生状況のうちの少なくとも一に基づいて、決定される請求項1から請求項11までのいずれか1項に記載された熱延鋼板の製造方法。
  13. 前記目標温度域は、前記スタンド間温度計の設置位置及び前記熱延鋼板に生じるスケール疵の発生状況のうちの少なくとも一に基づいて、決定される請求項1から請求項12までのいずれか1項に記載された熱延鋼板の製造方法。
  14. 前記スタンド間温度計は、前記被圧延材の板幅方向の温度分布を測定可能な温度計である請求項1から請求項13までのいずれか1項に記載された熱延鋼板の製造方法。
  15. 前記少なくとも一つの圧延スタンド間における被圧延材の温度の測定値は、前記スタンド間温度計による前記板幅方向の温度分布の測定値を統計処理した値である請求項14に記載された熱延鋼板の製造方法。
  16. 前記スタンド間温度計が前記被圧延材の下面を測定する場合には、該スタンド間温度計は水環境下でも測定可能な水環境温度計である請求項1から請求項15までのいずれか1項に記載された熱延鋼板の製造方法。
  17. 複数の圧延スタンドと、
    複数の圧延スタンド間のうちの少なくとも一つの圧延スタンド間に設けられて被圧延材の温度を測定するスタンド間温度計と、
    前記スタンド間温度計が設けられる圧延スタンド間を除く複数の圧延スタンド間のうちの少なくとも一つの圧延スタンド間に設けられて被圧延材へ冷却水を噴射する冷却装置と、
    前記スタンド間温度計により測定される被圧延材の温度に基づいて前記冷却装置による前記被圧延材に対する温度制御量を決定する温度制御装置と
    を有する仕上圧延機を備える熱延鋼板の製造装置であって、
    前記温度制御装置は、前記スタンド間温度計による被圧延材の温度の測定値が、該被圧延材の鋼のAr変態点以上の温度域に設定した所定の温度を下回る場合に、仕上圧延を行われている際の被圧延材の温度がAr変態点以上に設定された目標温度域を満足するように、該測定値に基づいて前記冷却装置の制御条件を変更する指令を出力すること
    を特徴とする熱延鋼板の製造装置。
  18. 前記スタンド間温度計は、前記被圧延材の温度が最も低下する圧延スタンド間に設置される請求項17に記載された熱延鋼板の製造装置。
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