JP2009091405A - ポリカーボネート樹脂およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高い生物起源物質含有率を示し、耐熱性と熱安定性のいずれもが良好であり、かつ色相に優れた工業材料として有用なポリカーボネート樹脂を提供する。
【解決手段】下記式(1)で表されるカーボネート構成単位を含有するポリカーボネート樹脂であって、ポリマー末端に特定の炭素−炭素二重結合成分が含まれる割合の合計量が上記カーボネート構成単位に対して0.3%以下であり、かつポリカーボネート樹脂の15重量%塩化メチレン溶液を光路長30mmで測定したb値が5.0以下であることを特徴とするポリカーボネート樹脂。
Figure 2009091405

【選択図】なし

Description

本発明は、新規なポリカーボネート樹脂とその製造方法に関するものである。さらに詳しくは生物起源物質である糖質から誘導され得る部分を含有し、耐熱性と熱安定性のいずれも良好で、かつ色相に優れたポリカーボネート樹脂であり、各種成形材料やポリマーアロイ材料の素材として有用なポリカーボネート樹脂とその製造方法に関するものである。
ポリカーボネート樹脂は、芳香族もしくは脂肪族ジオキシ化合物を炭酸エステルにより連結させたポリマーであり、その中でも2,2ービス(4ーヒドロキシフェニル)プロパン(通称ビスフェノールA)より得られるポリカーボネート樹脂(以下「PCーA」と称することがある)は、透明性、耐熱性に優れ、また耐衝撃性等の機械特性に優れた性質を有することから多くの分野に用いられている。
一般的にポリカーボネート樹脂は石油資源から得られる原料を用いて製造されるが、石油資源の枯渇が懸念されており、植物などの生物起源物質から得られる原料を用いたポリカーボネート樹脂の製造が求められている。
生物起源物質を原料として使用されたバイオマス材料の代表例がポリ乳酸であり、バイオマスプラスチックの中でも比較的高い耐熱性、機械特性を有するため、食器、包装材料、雑貨などに用途展開が広がりつつあるが、更に、工業材料としての可能性も検討されるようになってきた。しかしながら、ポリ乳酸は、工業材料として使用するに当たっては、その耐熱性が不足し、また生産性の高い射出成形によって成形品を得ようとすると、結晶性ポリマーとしてはその結晶性が低いため成形性が劣るという問題がある。こういった意味からもバイオマス材料の工業材料への展開を考えた場合、ポリカーボネート樹脂のような非晶性を有するバイオマス材料が求められている。
生物起源物質を原料として使用されたポリカーボネート樹脂としては、ポリ乳酸樹脂の他に、糖質から製造可能なエーテルジオール残基から得られる原料を用いたポリカーボネート樹脂が検討されている。
例えば、下記式(a)
Figure 2009091405
に示したエーテルジオールは、たとえば糖類およびでんぷんなどから容易に作られ、3種の立体異性体が知られているが、具体的には下記式(b)
Figure 2009091405
に示す、1,4:3,6ージアンヒドローDーソルビトール(本明細書では以下「イソソルビド」と呼称する)、下記式(c)
Figure 2009091405
に示す、1,4:3,6ージアンヒドローDーマンニトール(本明細書では以下「イソマンニド」と呼称する)、下記式(d)
Figure 2009091405
に示す、1,4:3,6ージアンヒドローLーイジトール(本明細書では以下「イソイディッド」と呼称する)である。
イソソルビド、イソマンニド、イソイディッドはそれぞれDーグルコース、Dーマンノース、Lーイドースから得られる。たとえばイソソルビドの場合、Dーグルコースを水添した後、酸触媒を用いて脱水することにより得ることができる。
これまで上記のエーテルジオールの中でも、特に、モノマーとしてイソソルビドを中心に用いてポリカーボネートに組み込むことが検討されてきた。この中で、特にイソソルビドのホモポリカーボネートについては特許文献1,2、非特許文献1,2に記載されている。
このうち特許文献1では、溶融エステル交換法を用いて203℃の融点を持つホモポリカーボネート樹脂を報告している。しかしながらこのポリマーは不充分な機械的性質しか有していない。非特許文献1では、酢酸亜鉛を触媒として用いた溶融エステル交換法において、ガラス転移温度が166℃のホモポリカーボネート樹脂を得ているが、熱分解温度(5%重量減少温度)が283℃と熱安定性は充分でない。非特許文献2においては、イソソルビドのビスクロロフォーメートを用いた界面重合を用いてホモポリカーボネート樹脂を得ているが、ガラス転移温度が144℃と耐熱性が充分でない。一方、耐熱性が高い例として、特許文献2では昇温速度10℃/分での示差熱量測定によるガラス転移温度が170℃以上であるポリカーボネートを報告している。しかしながらこのような糖質から製造可能なエーテルジオールをポリマーの原料として用いた場合、ポリマーの着色が起こり易く、実用上問題があった。
英国特許出願公開第1079686号明細書 国際公開第2007/013463号パンフレット 国際公開第2004/008648号パンフレット "Journal of Applied Polymer Science",2002年, 第86巻, p.872〜880 "Macromolecules",1996年,第29巻,p.8077〜8082
本発明は上記問題点を解決し、高い生物起源物質含有率を示し、耐熱性と熱安定性のいずれもが良好であり、かつ色相に優れた工業材料として有用なポリカーボネート樹脂を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成すべく、鋭意検討を行った結果、下記式(1)
Figure 2009091405
で表されるカーボネート構成単位を含有するポリカーボネート樹脂中に含まれる炭素−炭素二重結合成分がポリマーの着色に深く関わりがある事を見出した。更に、重合触媒として含窒素塩基性化合物およびアルカリ金属化合物を使用し、上記式(a)で表されるエーテルジオールを含むジオール成分と炭酸ジエステルとを、加熱減圧下で溶融重縮合させる該ポリカーボネート樹脂の製造方法において、重合触媒を特定の量および比率とすることで、その二重結合成分含有量が低減し、色相が改善されることを見出した。さらに、溶融重合の際に特定の有機リン化合物を存在させることにより、さらに色相に優れたポリカーボネート樹脂を得られることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明によれば
1.下記式(1)で表されるカーボネート構成単位を含有するポリカーボネート樹脂であって、ポリマー末端に下記式(2)および下記式(3)で表される炭素−炭素二重結合成分が含まれる割合の合計量が上記カーボネート構成単位に対して0.3%以下であり、かつポリカーボネート樹脂の15重量%塩化メチレン溶液を光路長30mmで測定したb値が5.0以下であることを特徴とするポリカーボネート樹脂、
Figure 2009091405
Figure 2009091405
Figure 2009091405
2.樹脂0.7gを塩化メチレン100mlに溶解した溶液の20℃における比粘度が0.14〜0.55である前項1記載のポリカーボネート樹脂、
3.樹脂0.7gを塩化メチレン100mlに溶解した溶液の20℃における比粘度が0.20〜0.45である前項1記載のポリカーボネート樹脂、
4.250℃におけるキャピラリーレオメータで測定した溶融粘度が、シェアレート600secー1の条件下で0.2×10〜4.0×10Pa・sの範囲にある前項1記載のポリカーボネート樹脂、
5.ガラス転移温度(Tg)が120℃〜175℃であり、かつ5%重量減少温度(Td)が320〜400℃である前項1記載のポリカーボネート樹脂、
6.ガラス転移温度(Tg)が145℃〜170℃であり、かつ5%重量減少温度(Td)が320〜400℃である前項1記載のポリカーボネート樹脂、
7.上記式(1)で表されるカーボネート構成単位がイソソルビド(1,4:3,6ージアンヒドローDーソルビトール)由来のカーボネート構成単位である前項1記載のポリカーボネート樹脂、
8.全カーボネート構成単位中、前記式(1)で表わされる構成単位は60モル%以上である前項1記載のポリカーボネート樹脂、
9.重合触媒として含窒素塩基性化合物およびアルカリ金属化合物を使用し、下記式(a)で表されるエーテルジオールを含むジオール成分と炭酸ジエステルとを、加熱減圧下で溶融重縮合させるポリカーボネート樹脂の製造方法において、ジオール成分と炭酸ジエステルとを常圧で加熱溶融させた時のアルカリ金属の濃度を溶融溶液中0.1〜1.0ppmで、かつ含窒素塩基性化合物とアルカリ金属との割合が重量比で50/1〜2000/1(含窒素塩基性化合物/アルカリ金属)の範囲となるように重合触媒量を調整することを特徴とする前項1記載のポリカーボネート樹脂の製造方法、
Figure 2009091405
10.上記式(a)で表されるエーテルジオールを含むジオール成分と炭酸ジエステルとを、常圧で加熱溶融する際に、下記式(4)で表される有機リン化合物を炭酸ジエステルに対して200〜3000ppm添加する前項9記載のポリカーボネート樹脂の製造方法、および
Figure 2009091405
(上記式(4)において、Rは水素原子または炭素原子数1〜10のアルキル基であり、Rは炭素原子数4〜10のアルキル基であり、Rは水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基、炭素原子数6〜20のシクロアルキル基、炭素原子数6〜20のシクロアルコキシ基、炭素原子数2〜10のアルケニル基、炭素原子数6〜10のアリール基、炭素原子数6〜10のアリールオキシ基、炭素原子数7〜20のアラルキル基および炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基である。)
11.前項1記載のポリカーボネート樹脂から形成された成形品、
が提供される。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明に用いるポリカーボネート樹脂(A成分)は、前記式(1)で表されるカーボネート構成単位を含有するポリカーボネート樹脂であり、全カーボネート構成単位中、前記式(1)で表わされる構成単位は60モル%以上が好ましく、70モル%以上がより好ましく、80モル%以上がさらに好ましく、90モル%以上が特に好ましい。最も好適には、前記式(1)のカーボネート構成単位のみからなるホモポリカーボネート樹脂である。
本発明のポリカーボネート樹脂は上記式(1)で表されるカーボネート構成単位を含有するポリカーボネート樹脂であって、ポリマー末端に上記式(2)および上記式(3)で表される炭素−炭素二重結合成分が含まれる割合の合計量が上記カーボネート構成単位に対して0.3%以下であり、0.2%以下が好ましく、0.15%以下が特に好ましい。なお該割合はポリカーボネートのHNMRの積分値から下記のようにして求めたものである。
すなわち、上記式(1)で表されるカーボネート構成単位を含有するポリカーボネート樹脂のHNMR(重溶媒:CDCl)において、図1中Hで表されるプロトンの積分強度を1とした時の炭素−炭素二重結合成分の積分強度(6.5〜6.7ppmのピーク:図2参照)をLとすると該割合は下記式(A)で表される。
Figure 2009091405
本発明のポリカーボネート樹脂は、ポリカーボネート樹脂の15重量%塩化メチレン溶液の光路長30mmで測定した時の溶液b値が5.0以下であり、4.5以下が好ましく、4.0以下が特に好ましい。なお溶液b値は上記溶液を、光路長30mmの試料管に入れて日本電色(株)色差計300Aを用いて測定した。
本発明のポリカーボネート樹脂は、樹脂0.7gを塩化メチレン100mlに溶解した溶液の20℃における比粘度の下限が0.14以上であることが好ましく、0.20以上であることがより好ましく、更に好ましくは0.22以上である。また比粘度の上限は0.55以下であることが好ましく、0.45以下であることがより好ましく、更に好ましくは0.37以下である。比粘度が0.14より低くなると本発明のポリカーボネート樹脂より得られた成形品に充分な機械強度を持たせることが困難となる。また比粘度が0.55より高くなると溶融流動性が高くなりすぎて、成形に必要な流動性を有する溶融温度が分解温度より高くなってしまい好ましくない。また、本発明のポリカーボネート樹脂は、250℃におけるキャピラリーレオメータで測定した溶融粘度が、シェアレート600sec−1の条件下で0.2×10〜4.0×10Pa・sの範囲にあることが好ましく、0.4×10〜3.0×10Pa・sの範囲にあることがより好ましく、0.4×10〜2.4×10Pa・sの範囲にあることがさらに好ましい。溶融粘度がこの範囲であると機械的強度に優れ、成形性も成形時のシルバーの発生等が無く良好である。
本発明のポリカーボネート樹脂は、そのガラス転移温度(Tg)が好ましくは120〜175℃であり、より好ましくは145〜170℃であり、さらに好ましくは145〜165℃である。Tgが120℃未満だと耐熱性(殊に吸湿による耐熱性)に劣り、175℃を超えると成形時の溶融流動性に劣る。TgはTA Instruments社製 DSC (型式 DSC2910)により測定される。
また、本発明のポリカーボネート樹脂は、その5%重量減少温度が好ましくは320〜400℃であり、より好ましくは330〜400℃である。5%重量減少温度が上記範囲内であると、溶融成形時の樹脂の分解がほとんど無く好ましい。5%重量減少温度はTA Instruments社製 TGA (型式 TGA2950)により測定される。
本発明のポリカーボネート樹脂は、上記式(a)で表されるエーテルジオールを含むジオール成分および炭酸ジエステルとから溶融重合法により製造することができる。エーテルジオールとしては、具体的には下記式(b)、(c)および(d)
Figure 2009091405
Figure 2009091405
Figure 2009091405
で表されるイソソルビド、イソマンニド、イソイディッドなどが挙げられる。
これら糖質由来のエーテルジオールは、自然界のバイオマスからも得られる物質で、再生可能資源と呼ばれるものの1つである。イソソルビドは、でんぷんから得られるDーグルコースに水添した後、脱水を受けさせることにより得られる。その他のエーテルジオールについても、出発物質を除いて同様の反応により得られる。
特に、カーボネート構成単位がイソソルビド(1,4:3,6ージアンヒドローDーソルビトール)由来のカーボネート構成単位を含んでなるポリカーボネート樹脂が好ましい。イソソルビドはでんぷんなどから簡単に作ることができるエーテルジオールであり資源として豊富に入手することができる上、イソマンニドやイソイディッドと比べても製造の容易さ、性質、用途の幅広さの全てにおいて優れている。
本発明のポリカーボネート樹脂の製造方法としては、前記式(a)で表されるエーテルジオールと炭酸ジエステルとを混合し、エステル交換反応によって生成するアルコールまたはフェノールを高温減圧下にて留出させる溶融重合法が好ましく用いられる。
反応温度は、エーテルジオールの分解を抑え、着色が少なく高粘度の樹脂を得るために、できるだけ低温の条件を用いることが好ましいが、重合反応を適切に進める為には重合温度は180℃〜280℃の範囲であることが好ましく、より好ましくは180℃〜270℃の範囲である。
また、反応初期にはエーテルジオールと炭酸ジエステルとを常圧で加熱し、予備反応させた後、徐々に減圧にして反応後期には系を1.3×10−3〜1.3×10−5MPa程度に減圧して生成するアルコールまたはフェノールの留出を容易にさせる方法が好ましい。反応時間は通常0.5〜4時間程度である。
本発明のポリカーボネート樹脂の製造に用いる炭酸ジエステルとしては、置換されていてもよい炭素数6〜20のアリール基、アラルキル基あるいは炭素数1〜18のアルキル基などのエステルが挙げられる。具体的にはジフェニルカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネート、m−クレジルカーボネート、ジナフチルカーボネート、ビス(p−ブチルフェニル)カーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネートなどが挙げられ、なかでもジフェニルカーボネートが好ましい。
炭酸ジエステルは全ジオール化合物に対してモル比で1.02〜0.98となるように混合することが好ましく、より好ましくは1.01〜0.98であり、さらに好ましくは1.01〜0.99である。炭酸ジエステルのモル比が1.02より多くなると、炭酸ジエステル残基が末端封止として働いてしまい充分な重合度が得られなくなってしまい好ましくない。また炭酸ジエステルのモル比が0.98より少ない場合でも、充分な重合度が得られず好ましくない。
また、重合速度を速めるために重合触媒を用いることができる。該重合触媒としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、二価フェノールのナトリウム塩またはカリウム塩等のアルカリ金属化合物、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルアミン、トリエチルアミン等の含窒素塩基性化合物などが挙げられる。本発明のポリカーボネート樹脂を得る方法としては、含窒素塩基性化合物とアルカリ金属化合物とを組み合わせて使用することが好ましく、色相が良好なポリカーボネート樹脂を得るためにはアルカリ金属濃度の調整が重要になってくる。アルカリ金属は触媒として加える以外に例えば原料である前記式(a)で表されるエーテルジオール中に含まれるような場合もあるため(特表2005−509667号公報参照)、エーテルジオール中に含まれるアルカリ金属含有量も加味してアルカリ金属濃度を調整することが好ましい。
本発明においては、常圧で加熱溶融させた時のアルカリ金属の濃度を、溶融溶液中好ましくは0.1〜1.0ppm、より好ましくは0.1〜0.7ppm、さらに好ましくは0.1〜0.5ppm、特に好ましくは0.1〜0.3ppmに調整する。該アルカリ金属濃度が0.1ppmより少なくなると、充分な重合触媒活性が小さく目的の比粘度を有するポリカーボネート樹脂を得る事ができず、また1.0ppmより大きくなると触媒活性の制御が困難となり分解および色相の悪化を引き起こしてしまう。なお溶融溶液とはエーテルジオール及び炭酸ジエステルを混合し溶融した時点での溶融溶液であると定義する。
また、アルカリ金属化合物と組み合わせて用いる含窒素塩基性化合物の量は、含窒素塩基性化合物とアルカリ金属との割合が重量比で50/1〜2000/1(含窒素塩基性化合物/アルカリ金属)の範囲となるように配合することが好ましい。この割合は100/1〜2000/1であることがより好ましく、100/1〜1000/1であることが特に好ましい。含窒素塩基性化合物とアルカリ金属の割合がこの範囲にあると色相が良好なポリカーボネート樹脂を得ることができる。
また、反応系は窒素などの原料、反応混合物、反応生成物に対し不活性なガスの雰囲気に保つことが好ましい。窒素以外の不活性ガスとしては、アルゴンなどを挙げることができる。更に、必要に応じて酸化防止剤等の添加剤を加えてもよいが、特に酸化防止剤がである下記式(4)で示される有機リン化合物が好ましい。
Figure 2009091405
上記式(4)中、Rは水素原子または炭素原子数1〜10のアルキル基であり、水素原子または炭素原子数1〜4のアルキル基がより好ましく、特に水素原子、メチル基、イソプロピル基、イソブチル基、tert−ブチル基、またはtert−ペンチル基が好ましい。
は炭素原子数4〜10のアルキル基であり、炭素原子数4〜6のアルキル基が好ましく、特にイソブチル基、tert−ブチル基、tert−ペンチル基、またはシクロヘキシル基が好ましい。
は水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基、炭素原子数6〜20のシクロアルキル基、炭素原子数6〜20のシクロアルコキシ基、炭素原子数2〜10のアルケニル基、炭素原子数6〜10のアリール基、炭素原子数6〜10のアリールオキシ基、炭素原子数7〜20のアラルキル基および炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基であり、水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、または炭素原子数6〜10のアリール基が好ましく、特に水素原子、または炭素原子数1〜10のアルキル基が好ましい。
上記式(4)の好ましい具体例として、ビス(2―tertーブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2―tertーペンチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2―シクロヘキシルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4ージーtertーブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6ージーtertーブチルー4ーメチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、およびビス(2,6ージーtertーブチルー4ーエチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトが挙げられ、特にビス(2,6ージーtertーブチルー4ーメチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトが好ましい。かかる酸化防止剤は、1種または2種以上の混合物であってもよい。
酸化防止剤の添加量は炭酸ジエステルに対して200〜3000ppmが好ましく、500〜3000ppmがより好ましく、500〜2500ppmが特に好ましい。酸化防止剤がこの範囲内にあると、本発明のポリカーボネート樹脂を製造する際の熱分解による分子量低下や色相悪化などを抑える事ができる。
上記製造法により得られたポリカーボネート樹脂に触媒失活剤を添加する事もできる。触媒失活剤としては、公知の触媒失活剤が有効に使用されるが、この中でもスルホン酸のアンモニウム塩、ホスホニウム塩が好ましく、更にドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩等のドデシルベンゼンスルホン酸の上記塩類やパラトルエンスルホン酸テトラブチルアンモニウム塩等のパラトルエンスルホン酸の上記塩類が好ましい。またスルホン酸のエステルとしてベンゼンスルホン酸メチル、ベンゼンスルホン酸エチル、ベンゼンスルホン酸ブチル、ベンゼンスルホン酸オクチル、ベンゼンスルホン酸フェニル、パラトルエンスルホン酸メチル、パラトルエンスルホン酸エチル、パラトルエンスルホン酸ブチル、パラトルエンスルホン酸オクチル、パラトルエンスルホン酸フェニル等が好ましく用いられ、その中でもドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩が最も好ましく使用される。これらの触媒失活剤の使用量はアルカリ金属化合物および/またはアルカリ土類金属化合物より選ばれた前記重合触媒1モル当たり0.5〜50モルの割合で、好ましくは0.5〜10モルの割合で、更に好ましくは0.8〜5モルの割合で使用する事ができる。
また、本発明に用いるポリカーボネート樹脂は、その特性を損なわない範囲で脂肪族ジオール類および/または芳香族ビスフェノール類との共重合としても良い。全ジオール成分中、該脂肪族ジオール類および/または芳香族ビスフェノール類の割合は40モル%以下が好ましく、30モル%以下がより好ましく、20モル%以下がさらに好ましく、10モル%以下が特に好ましい。
脂肪族ジオールとしては、下記式(α)で表される脂肪族ジオールが好ましく用いられる。
Figure 2009091405
(式中、mは1〜20の整数)
具体的にはエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなどの直鎖状ジオール類や、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノールなどの脂環式アルキレン類などが挙げられ、中でも1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ヘキサンジオール、およびシクロヘキサンジメタノールが好ましい。
芳香族ビスフェノールとしては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称“ビスフェノールA”)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)デカン、1,3−ビス{2−(4−ヒドロキシフェニル)プロピル}ベンゼン等が挙げられる。
また、上記式(1)で表されるエーテルジオール、上記式(2)で表される脂肪族ジオールおよび芳香族ビスフェノールに加えて他のジオール残基を含むこともできる。その他のジオールとしてはジメタノールベンゼン、ジエタノールベンゼンなどの芳香族ジオールなどを挙げることができる。
さらに、本発明のポリカーボネート樹脂は、その特性を損なわない範囲で末端基を導入することもできる。かかる末端基は、対応するヒドロキシ化合物を重合時に添加することにより導入することができる。該末端基としては下記式(5)または(6)
Figure 2009091405
Figure 2009091405
で表される末端基が好ましい。
上記式(5),(6)中、Rは炭素原子数4〜30のアルキル基、炭素原子数7〜30のアラルキル基、炭素原子数4〜30のパーフルオロアルキル基、または下記式(7)
Figure 2009091405
であり、好ましくは炭素原子数4〜20のアルキル基、炭素原子数4〜20のパーフルオロアルキル基、または上記式(7)であり、特に炭素原子数8〜20のアルキル基、または上記式(7)が好ましい。Xは単結合、エーテル結合、チオエーテル結合、エステル結合、アミノ結合およびアミド結合からなる群より選ばれる少なくとも一種の結合が好ましいが、より好ましくは単結合、エーテル結合およびエステル結合からなる群より選ばれる少なくとも一種の結合であり、なかでも単結合、エステル結合が好ましい。aは1〜5の整数であり、好ましくは1〜3の整数であり、特に1が好ましい。
また、上記式(7)中、R,R,R,RおよびRは、夫々独立して炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数6〜20のシクロアルキル基、炭素原子数2〜10のアルケニル基、炭素原子数6〜10のアリール基及び炭素原子数7〜20のアラルキル基からなる群から選ばれる少なくとも一種の基であり、好ましくは夫々独立して炭素原子数1〜10のアルキル基および炭素原子数6〜10のアリール基からなる群から選ばれる少なくとも一種の基であり、特に夫々独立してメチル基及びフェニル基からなる群から選ばれる少なくとも一種の基が好ましい。bは0〜3の整数であり、1〜3の整数が好ましく、特に2〜3の整数が好ましい。cは4〜100の整数であり、4〜50の整数が好ましく、特に8〜50の整数が好ましい。
本発明のポリカーボネート樹脂は、植物などの再生可能資源から得られる原料を用いたカーボネート構成単位を主鎖構造に持つことから、これらのヒドロキシ化合物もまた植物などの再生可能資源から得られる原料であることが好ましい。植物から得られるヒドロキシ化合物としては、植物油から得られる炭素数14以上の長鎖アルキルアルコール類(セタノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール)などが挙げられる。
また、本発明のポリカーボネート樹脂には、用途に応じて各種の添加剤(機能付与剤)を添加してもよく、例えば可塑剤、光安定剤、重金属不活性化剤、衝撃吸収剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤などである。さらに、本発明のポリカーボネート樹脂には、用途に応じて各種の有機および無機のフィラー、繊維などを複合化して用いることもできる。フィラーとしては例えばカーボン、タルク、マイカ、ワラストナイト、モンモリロナイト、ハイドロタルサイトなどを挙げることができる。繊維としては例えばケナフなどの天然繊維のほか、各種の合成繊維、ガラス繊維、石英繊維、炭素繊維などが挙げられる。
また、本発明のポリカーボネート樹脂には、例えば脂肪族ポリエステルの他、芳香族ポリエステル、芳香族ポリカーボネート、ポリアミド、ポリスチレン、ポリオレフィン、ポリアクリル、ABS、ポリウレタンなどや、ポリ乳酸を始めとする各種の生物起源物質からなるポリマーなどと混合しアロイ化して用いることもできる。
本発明のポリカーボネート樹脂は生物起源物質から誘導される部分を含有し、耐熱性と熱安定性のいずれも良好で、成形性にも優れ、色相も良好なことから、光学用シート、光学用ディスク、情報ディスク、光学レンズ、プリズム等の光学用部品、各種機械部品、建築材料、自動車部品、各種の樹脂トレー、食器類をはじめとする様々な用途に幅広く用いることができる。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに説明する。但し、本発明はこれら実施例に何ら制限されるものではない。また、実施例中の部は重量部であり、%は重量%である。なお、評価は下記の方法によった。
(1)比粘度 ηsp
ペレットを塩化メチレンに溶解、濃度を約0.7g/dLとして、温度20℃にて、オストワルド粘度計(装置名:RIGO AUTO VISCOSIMETER TYPE VMR−0525・PC)を使用して測定した。なお比粘度ηspは下記式から求められる。
ηsp=t/t−1
t :試料溶液のフロータイム
:溶媒のみのフロータイム
(2)溶融粘度
(株)東洋精機製キャピラリーレオメータ(キャピログラフ 型式1D)を用い、キャピラリー長10.0mm、キャピラリー径1.0mm、測定温度250℃にて測定速度を任意に変更し測定した結果得られたShear Rate/Viscosityカーブより600sec-1での溶融粘度を読み取った。
(3)ガラス転移温度
TA Instruments社製 DSC (型式 DSC2910)により測定した。
(4)5%重量減少温度
TA Instruments社製 TGA (型式 TGA2950)により測定した。
(5)色相(溶液b値)
ペレットを塩化メチレンに溶解、濃度を15重量%として、光路長30mmの試料管に入れた。次いで20℃にて日本電色(株)色差計300Aを用いて測定した。b値はJIS Z8722に規定する三刺激値X、Y、Zからハンターの色差式から誘導されるもので、数値が低いほど色相が無色に近いことを示す。
(6)炭素−炭素二重結合成分の割合
ペレットを重溶媒(CDCl)に溶解し、HNMR測定を行い上記式(1)で表されるカーボネート構成単位中の特定プロトンの積分値と上記式(2)または(3)で表される炭素−炭素二重結合成分に由来する特定プロトンの積分値との比から炭素−炭素二重結合成分の割合を算出した。 この割合を算出する方法については、実施例1を具体例として以下に示す。なお、用いたNMRはJEOL製JNM−AL400である。
(7)アルカリ金属含有量
ICP発光分析装置VISTA MP−X(マルチ型)(バリアン社製)を用いた。
参考例1 イソソルビドの製造
ソルビトールの70%水溶液(ソルビット(登録商標)D−70(東和化成工業株式会社製)を容量2Lのガラス製攪拌機つきの減圧反応器に1930重量部仕込み、40Torrの減圧下で、120℃まで加熱し、水を留出した。次いで、98%濃硫酸32重量部を添加して、減圧下で24時間反応させ、水262重量部を留出した。この反応液を80℃まで冷却し、40%の水酸化ナトリウム水溶液でpH7.2(1%水溶液)まで中和した。この反応液を、減圧下で130℃まで加熱し、水を留出させて除去し、粗イソソルビド1076重量部を得た。この粗イソソルビドを減圧蒸留器に仕込み、9Torrまでの減圧下でバス温度210℃まで加熱し、約3時間かけて788重量部の留出物を得た。次に純水760重量部を上記留出物に添加し、希釈溶解した。次いで、粉末状の活性炭146重量部を添加し、60℃、6時間攪拌した後、活性炭をろ過して、無色透明な水溶液1434重量部を得た。この水溶液を減圧蒸留器に仕込み、130℃、50Torrで水を留出した後、190℃、9Torrで蒸留し、白色のイソソルビド734重量部を得た。このイソソルビドのアルカリ金属含有量は1.1ppmであった。
参考例2 アルカリ金属濃度の異なるイソソルビドの調整
参考例1で得られたイソソルビドを再結晶(再結晶溶媒:メタノール)精製した。この再結晶イソソルビドのアルカリ金属含有量は0.2ppmであった。
更に再結晶後のイソソルビドを190℃、9Torrで再び蒸留精製を行った。この蒸留精製イソソルビドのアルカリ金属含有量は0ppmであった。
一方、ロケット社製イソソルビド(POLYSORB―P)のアルカリ金属含有量を測定したところ、4.6ppmであった。
参考例3 ジフェニルカーボネートの製造
撹拌翼、温度計、コンデンサー及びガス吹込管を設けた反応槽にイオン交換水330.8部、48.6%の苛性ソーダ水溶液106.0部及びフェノール(試薬特級)118.1部を仕込んでナトリウムフェノラート水溶液を調整し、内温を20℃に水浴で冷却した。反応槽に撹拌下64.16部のホスゲンガスを40分かけて吹込んだ。この間反応槽を水浴で冷却して内温を略30℃に保持した。ホスゲンガス吹込み終了後、室温で3時間撹拌を続け反応を終了した。生成したジフェニルカーボネートを濾取し、400部のイオン交換水で5回洗浄した後、50℃で10時間減圧乾燥した。融点80〜81℃のジフェニルカーボネート127.7部(収率95%フェノール基準)を得た。このジフェニルカーボネートのアルカリ金属含有量を測定したところ0ppm(検出限界以下)であった。
以下実施例においては、参考例1、2で得られたイソソルビドおよび参考例3で得られたジフェニルカーボネートを用いてポリマーを合成した。
実施例1
アルカリ金属(ナトリウム)含有量が0ppmのイソソルビド(以下「ISS−1」と称する)1608重量部(11モル)と参考例4で得られたジフェニルカーボネート(以下「DPC」と称する)2356重量部(11モル)とを反応器に入れ、重合触媒としてテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(以下「TMAH」と称する)を0.31重量部(DPC成分1モルに対して3×10−4モル)、および水酸化ナトリウム(以下「NaOH」と称する)を6.6×10−4重量部(DPC成分1モルに対して1.5×10−6モル)仕込み、更に安定剤としてビス(2,6ージーtertーブチルー4ーメチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト(以下「P−1」と称する)をDPCに対して500ppm添加して窒素雰囲気下常圧で180℃に加熱し溶融させた。
この溶融溶液中の、アルカリ金属の濃度及び含窒素塩基性化合物/アルカリ金属化合物の割合を仕込み量から計算すると、アルカリ金属の濃度は0.1ppmであり、含窒素塩基性化合物/アルカリ金属化合物の割合は828/1である。
仕込み成分が完全に溶融した後、撹拌下、反応槽内を30分かけて徐々に減圧し、生成するフェノールを留去しながら13.3×10−3MPaまで減圧した。この状態で20分反応させた後に200℃に昇温した後、20分かけて徐々に減圧し、フェノールを留去しながら4.00×10−3MPaで20分間反応させ、さらに、220℃に昇温し30分間、250℃に昇温し30分間反応させた。
次いで、徐々に減圧し、2.67×10−3MPaで10分間、1.33×10−3MPaで10分間反応を続行し、さらに減圧し、4.00×10−5MPaに到達したら、徐々に260℃まで昇温し、最終的に260℃、6.66×10−5MPaで1時間反応せしめた。その結果、比粘度が0.41のポリマーが得られた。このポリマーの250℃,600sec−1における溶融粘度は2.58×10Pa・s、ガラス転移温度は166℃、5%重量減少温度は360℃、溶液b値は3.7であった。
[炭素−炭素二重結合成分の割合の測定]
実施例1で得られたポリマーのHNMR(重溶媒:CDCl)測定結果を図1に示す。図1中イソソルビドのHに帰属されるピーク(ケミカルシフト4.9ppm付近)の積分強度を1とした時の炭素−炭素二重結合成分に帰属されるピーク(ケミカルシフト6.5〜6.7ppm)の積分強度は0.0015であった。これらのピークはいずれもプロトン1つ分に相当するので、炭素−炭素二重結合成分の割合は、
0.0015/(1+0.0015)×100=0.15(%)と算出される。
実施例2
ISS−1の代わりにアルカリ金属(ナトリウム)含有量が0.2ppmのイソソルビド(以下「ISS−2」と称する)を用い、重合触媒としてTMAHを0.11重量部(DPC成分1モルに対して1.0×10−4モル)、およびNaOHを1.1×10−4重量部(DPC成分1モルに対して0.25×10−6モル)仕込み、安定剤P−1をDPCに対して1000ppm添加した以外は実施例1と同様に重合させ比粘度0.36のポリマーを得た。その他の評価結果については表1に示す。
実施例3
ISS−1の代わりにアルカリ金属(ナトリウム)含有量が1.1ppmのイソソルビド(以下「ISS−3」と称する)を用い、重合触媒としてTMAHを0.21重量部(DPC成分1モルに対して2.0×10−4モル)のみを仕込み、安定剤P−1をDPCに対して1000ppm添加した以外は実施例1と同様に重合させ比粘度0.32のポリマーを得た。その他の評価結果については表1に示す。
比較例1
ISS−1の代わりにアルカリ金属(ナトリウム)含有量が4.6ppmのイソソルビド(以下「ISS−4」と称する)を用い、重合触媒としてTMAHを0.21重量部(DPC成分1モルに対して2.0×10−4モル)のみを仕込み、安定剤P−1をDPCに対して500ppm添加した以外は実施例1と同様に重合させ比粘度0.23のポリマーを得た。その他の評価結果については表1に示す。
比較例2
ISS−1の代わりにISS−2を用い、重合触媒としてTMAHを0.63重量部(DPC成分1モルに対して8.0×10−4モル)、およびNaOHを1.1×10−4重量部(DPC成分1モルに対して0.25×10−6モル)仕込み、安定剤P−1をDPCに対して500ppm添加した以外は実施例1と同様に重合させ比粘度0.27のポリマーを得た。その他の評価結果については表1に示す。
比較例3
重合触媒としてTMAHを0.11重量部(DPC成分1モルに対して1.0×10−4モル)、およびNaOHを1.1×10−4重量部(DPC成分1モルに対して0.25×10−6モル)仕込み、安定剤P−1を添加しなかった以外は実施例1と同様に重合させ比粘度0.12のポリマーを得た。その他の評価結果については表1に示す。
Figure 2009091405
本発明のポリカーボネート樹脂のHNMRを測定した積分値0〜8ppmの図である。 図1における積分値6〜7ppmのピークの拡大図である。

Claims (11)

  1. 下記式(1)で表されるカーボネート構成単位を含有するポリカーボネート樹脂であって、ポリマー末端に下記式(2)および下記式(3)で表される炭素−炭素二重結合成分が含まれる割合の合計量が上記カーボネート構成単位に対して0.3%以下であり、かつポリカーボネート樹脂の15重量%塩化メチレン溶液を光路長30mmで測定したb値が5.0以下であることを特徴とするポリカーボネート樹脂。
    Figure 2009091405
    Figure 2009091405
    Figure 2009091405
  2. 樹脂0.7gを塩化メチレン100mlに溶解した溶液の20℃における比粘度が0.14〜0.55である請求項1記載のポリカーボネート樹脂。
  3. 樹脂0.7gを塩化メチレン100mlに溶解した溶液の20℃における比粘度が0.20〜0.45である請求項1記載のポリカーボネート樹脂。
  4. 250℃におけるキャピラリーレオメータで測定した溶融粘度が、シェアレート600secー1の条件下で0.2×10〜4.0×10Pa・sの範囲にある請求項1記載のポリカーボネート樹脂。
  5. ガラス転移温度(Tg)が120℃〜175℃であり、かつ5%重量減少温度(Td)が320〜400℃である請求項1記載のポリカーボネート樹脂。
  6. ガラス転移温度(Tg)が145℃〜170℃であり、かつ5%重量減少温度(Td)が320〜400℃である請求項1記載のポリカーボネート樹脂。
  7. 上記式(1)で表されるカーボネート構成単位がイソソルビド(1,4:3,6ージアンヒドローDーソルビトール)由来のカーボネート構成単位である請求項1記載のポリカーボネート樹脂。
  8. 全カーボネート構成単位中、前記式(1)で表わされる構成単位は60モル%以上である請求項1記載のポリカーボネート樹脂。
  9. 重合触媒として含窒素塩基性化合物およびアルカリ金属化合物を使用し、下記式(a)で表されるエーテルジオールを含むジオール成分と炭酸ジエステルとを、加熱減圧下で溶融重縮合させるポリカーボネート樹脂の製造方法において、ジオール成分と炭酸ジエステルとを常圧で加熱溶融させた時のアルカリ金属の濃度を溶融溶液中0.1〜1.0ppmで、かつ含窒素塩基性化合物とアルカリ金属との割合が重量比で50/1〜2000/1(含窒素塩基性化合物/アルカリ金属)の範囲となるように重合触媒量を調整することを特徴とする請求項1記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
    Figure 2009091405
  10. 上記式(a)で表されるエーテルジオールを含むジオール成分と炭酸ジエステルとを、常圧で加熱溶融する際に、下記式(4)で表される有機リン化合物を炭酸ジエステルに対して200〜3000ppm添加する請求項9記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
    Figure 2009091405
    (上記式(4)において、Rは水素原子または炭素原子数1〜10のアルキル基であり、Rは炭素原子数4〜10のアルキル基であり、Rは水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基、炭素原子数6〜20のシクロアルキル基、炭素原子数6〜20のシクロアルコキシ基、炭素原子数2〜10のアルケニル基、炭素原子数6〜10のアリール基、炭素原子数6〜10のアリールオキシ基、炭素原子数7〜20のアラルキル基および炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基である。)
  11. 請求項1記載のポリカーボネート樹脂から形成された成形品。
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