JP2009085422A - シンクロメッシュ機構 - Google Patents
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Abstract
【課題】軸内油路から供給される潤滑油を機構内部に一度貯留して摩擦係合部に導き、歯車が回転しないときにも確実に潤滑を行うことができる高い潤滑効率のシンクロメッシュ機構を提供する。
【解決手段】軸内油路22をもつ軸部材2と、遊転可能に配設される歯車(スプロケット3)と、該歯車に対して摩擦係合可能なシンクロナイザリング4と、該シンクロナイザリング4に摩擦係合しかつ該シンクロナイザリング4を押圧して該歯車3に摩擦係合させる係合手段(スリーブ51、キー52)と、前記軸内油路から摩擦係合部に潤滑油を供給する潤滑手段と、を備えるシンクロメッシュ機構1において、前記潤滑手段は、前記軸部材2と前記歯車3との間に形成されるとともに前記軸内油路22から供給された前記潤滑油を貯留する環状の貯油室6と、前記歯車(ピース部材35)に形成されるとともに該貯油室6から前記摩擦係合部へ該潤滑油を導く導入油路7と、を有する。
【選択図】図2
【解決手段】軸内油路22をもつ軸部材2と、遊転可能に配設される歯車(スプロケット3)と、該歯車に対して摩擦係合可能なシンクロナイザリング4と、該シンクロナイザリング4に摩擦係合しかつ該シンクロナイザリング4を押圧して該歯車3に摩擦係合させる係合手段(スリーブ51、キー52)と、前記軸内油路から摩擦係合部に潤滑油を供給する潤滑手段と、を備えるシンクロメッシュ機構1において、前記潤滑手段は、前記軸部材2と前記歯車3との間に形成されるとともに前記軸内油路22から供給された前記潤滑油を貯留する環状の貯油室6と、前記歯車(ピース部材35)に形成されるとともに該貯油室6から前記摩擦係合部へ該潤滑油を導く導入油路7と、を有する。
【選択図】図2
Description
本発明は車両用変速機などに用いられるシンクロメッシュ機構に関し、より詳細にはシンクロメッシュ機構内部の潤滑構造に関する。
2つの部材の回転速度を摩擦係合により同期させた後、両者を結合して動力を伝達するシンクロメッシュ機構は、車両用変速機に広く用いられている。シンクロメッシュ機構は、軸部材と遊転する歯車との間にシンクロナイザリングを配置して構成するのが一般的であり、動力を継断するために軸方向に変位するスリーブやキーなどの係合手段が設けられている。そして、歯車とシンクロナイザリングとの摩擦係合部や、シンクロナイザリングと係合手段との摩擦係合部を潤滑するために、潤滑油が封入されて循環供給されている。本願出願人が特許文献1に開示した同期変速機構の潤滑装置は掻き上げ方式の潤滑構造の一例であり、シフトフォークに円弧状の庇状部を設け、飛散する潤滑油を受け止めて機構内に導くことにより供給の効率化を図っている。しかしながら、この方式はシンクロメッシュ機構の外側から遠心力に抗して潤滑油を供給するので供給油量が制約される。このため、軸動力により駆動される油ポンプを備え、潤滑油を吸い上げて軸部材の軸内油路から供給する油ポンプ方式が採用される場合も多い。
また、シンクロメッシュ機構は、4輪駆動車用のトランスファ装置にも用いられている。この種のトランスファ装置では、例えば、入力軸と後輪用出力軸とが同軸に配置され、両軸に対して前輪用出力軸が平行配置され、シンクロメッシュ機構は前輪用出力軸への動力伝達を継断するように構成されている。つまり、シンクロメッシュ機構は、4輪駆動と2輪駆動とを切り替える役割を担っている。なお、軸間の距離があるため、シンクロメッシュ機構の歯車はスプロケットとされ、チェーンが噛合して動力を伝達するように構成されることもある。
特開2005−24041号公報
ところで、従来のシンクロメッシュ機構では油ポンプ方式を採用して軸芯側からシンクロメッシュ機構の内部に潤滑油を供給することができても、潤滑油は必ずしも摩擦係合部に到達せずに機構内部の隙間を流れ出たりして、潤滑効率は良好とは言えなかった。とりわけ、スプロケットにチェーンが噛合して4輪駆動と2輪駆動とを切り替えるシンクロメッシュ機構では、2輪駆動時にスプロケットが遊転せずに静止しているので遠心力が作用せず、潤滑油は重力方向に流れ落ちて、潤滑効率の低下を招いていた。逆に、低い潤滑効率で十分な潤滑油量を確保するために、油ポンプの性能を大きなものとする必要があった。
本発明は上記背景に鑑みてなされたものであり、軸内油路から供給される潤滑油を機構内部に一度貯留して摩擦係合部に導き、歯車が回転しないときにも確実に潤滑を行うことができる高い潤滑効率のシンクロメッシュ機構を提供する。
本発明のシンクロメッシュ機構は、軸内油路をもつ軸部材と、該軸部材の外周に遊転可能に配設される歯車と、該軸部材と該歯車との間に配設されるとともに該歯車に対して摩擦係合可能なシンクロナイザリングと、該軸部材と一体に回転しつつ軸方向に変位することにより該シンクロナイザリングに摩擦係合しかつ該シンクロナイザリングを押圧して該歯車に摩擦係合させる係合手段と、前記軸内油路から摩擦係合部に潤滑油を供給する潤滑手段と、を備えるシンクロメッシュ機構において、前記潤滑手段は、前記軸部材と前記歯車との間に形成されるとともに前記軸内油路から供給された前記潤滑油を貯留する環状の貯油室と、前記歯車に形成されるとともに該貯油室から前記摩擦係合部へ該潤滑油を導く導入油路と、を有することを特徴とする。
本発明は、車両用の変速機やトランスファ装置などに用いられるシンクロメッシュ機構の潤滑構造の改良に係わり、機構内部に貯油室を設けて軸内油路から供給される潤滑油を一度貯留するとともに、導入油路を設けて摩擦係合部へ導くことにより潤滑作用に寄与する油量を増加させ、潤滑効率を高めたことを主旨としている。本発明は、動力の伝達を継断するシンクロメッシュ機構を対象とし、動力伝達方向は問わない。すなわち、軸部材から歯車を駆動する構成にも、逆に歯車から軸部材を駆動する構成にも適用することができる。
本発明のシンクロメッシュ機構は、軸部材、歯車、シンクロナイザリング、係合手段、潤滑手段、を備える。軸部材は、軸内油路をもつ入力軸や出力軸が該当する。軸内油路には従来の構造を用いることができ、例えば、軸部材の一端の軸芯から軸長方向に延設される軸方向油路と、軸方向油路から分岐して径方向外側に向かう径方向油路と、で構成することができる。さらに、軸内油路に潤滑油を供給する手段として、軸動力を利用した油ポンプ、あるいは、歯車が掻き上げた潤滑油を収集する皿状のオイルレシーバ及び潤滑油を軸内に導く油樋、を設けることができる。歯車は、軸部材の外周に遊転可能に配設することができ、例えば、軸受ベアリングを用いて軸部材と同心配置されかつ相対回転可能に保持される構造とすることができる。
シンクロナイザリングは、軸部材と歯車との間に配設されるとともに歯車に対して摩擦係合可能に形成することができ、また、軸部材と歯車の両方に対して相対回転するように保持することができる。シンクロナイザリングと歯車との摩擦係合部は、例えば、周知のテーパ状のコーン部とすることができる、
前記シンクロナイザリングは、一個の部材とすることもできるが、複数個のリングを積層して用いることもできる。このとき、各リングが互いに摩擦係合するとともに、互いに相対回転できるように形成することができる。このようにして積層される複数の摩擦係合部を設けることにより、回転速度の異なる軸部材と歯車との間で同期を行う際に、各摩擦係合部に生起されるストレスを低減して、温度上昇や摩耗を抑制することができる。
前記シンクロナイザリングは、一個の部材とすることもできるが、複数個のリングを積層して用いることもできる。このとき、各リングが互いに摩擦係合するとともに、互いに相対回転できるように形成することができる。このようにして積層される複数の摩擦係合部を設けることにより、回転速度の異なる軸部材と歯車との間で同期を行う際に、各摩擦係合部に生起されるストレスを低減して、温度上昇や摩耗を抑制することができる。
係合手段は、シンクロナイザリングを介して軸部材と歯車とを同期させ、かつ結合させることにより動力伝達を実現する部位である。係合手段は、軸部材と一体に回転しつつ軸方向に変位することによりシンクロナイザリングに摩擦係合し、さらにシンクロナイザリングを押圧して歯車に摩擦係合させるように形成することができる。係合手段には、例えば、次に説明するキーシンクロ式を採用した構成を適用することができる。
前記係合手段は、軸方向に変位して該シンクロナイザリングに摩擦係合しかつ該シンクロナイザリングを押圧するキーと、該キーを駆動するとともに軸方向に変位して前記シンクロナイザリング及び前記歯車の外周に設けられた嵌合部に順次嵌合するスリーブと、を有する、ことでもよい。キーシンクロ式の係合手段として、軸方向に変位可能なキーとスリーブとを設けることができる。
潤滑手段は、軸内油路から摩擦係合部に潤滑油を供給する潤滑構造の総合的な構成を意味し、本発明では、貯油室と導入油路とを有する。貯油室は、軸部材と歯車との間の空間を利用して環状に形成することができ、遠心力により軸内油路から径方向外向きに供給された潤滑油を貯留するように構成することができる。導入油路は、例えば、歯車に貫通孔を穿孔して形成することができ、貯油室から摩擦係合部へ潤滑油を導くことができる。貯油室と導入油路とを設けることにより、軸内油路から供給された潤滑油は貯油室に一度貯留された後、摩擦係合部に導かれるので、機構内部の隙間を流れ出て潤滑に寄与できない潤滑油の比率が低減される。
貯油室及び導入油路は、より具体的には、例えば次の態様とすることができる。すなわち、前記歯車は、略筒状でかつ外周に形成されたテーパ状のコーン部が前記シンクロナイザリングと摩擦係合するピース部材を有し、前記貯油室は、該ピース部材の内周面と該内周面から径方向内向きに立設されるフェンス部材とにより形成され、前記導入油路は、該ピース部材を径方向に貫いて形成されている、ことでもよい。
歯車には、別体として製造され一体に組み付けられる略筒状のピース部材を設けることができる。ピース部材の外周にはシンクロナイザリングと摩擦係合するテーパ状のコーン部を形成し、内周には径方向内向きにフェンス部材を立設することができる。これにより、ピース部材の内周面を底面とし、フェンス部材を側面とし、径方向内側が開いた、環状の貯油室を形成することができる。この貯油室は、歯車が回転して遠心力が作用しているときには環状に潤滑油を貯留することができ、歯車が静止して遠心力が作用していないときには下側に弦の形状で潤滑油を貯留することができる。
また、導入油路は、ピース部材を径方向に貫いて形成することができる。すると、ピース部材内周側の貯油室の潤滑油は、遠心力あるいは重力が作用し導入油路に導かれて外周側のコーン部すなわち摩擦係合部に到達する。
前記ピース部材の前記内周面の半径をRとし、前記フェンス部材の径方向内向きの高さをHとし、余弦関数cosA=〔(R−H)/R〕としたとき、前記導入油路は中心角2A以下の角度間隔で設けられている、ことが好ましい。
上述の条件を満たすように導入油路を適当数設けると、歯車が静止しているときに弦の形状に貯留される潤滑油が増加しても、油面がフェンス部材の上縁に達する以前に潤滑油はいずれかの導入油路を経由してコーン部に導かれる。したがって、潤滑油がフェンス部材を乗り越え機構内部の隙間を経由して漏れ出てしまうことがなくなり、潤滑に寄与する潤滑油の比率を格段に向上することができる。この態様については、後の実施例で詳述する。
前記歯車は、チェーンと噛合するスプロケットである、ことでもよい。チェーンと噛合するスプロケットも歯車の一種と考えることができる。本発明は、歯車から別の歯車へと動力を伝達するシンクロメッシュ機構だけでなく、スプロケットと噛合するチェーンとの間で動力を伝達する態様にも適用することができる。とりわけ、軸部材が回転している状態で静止し得るスプロケットを有するシンクロメッシュ機構に有効である。
本発明のシンクロメッシュ機構では、機構内部に環状の貯油室と導入油路とを設けたので、軸内油路から供給された潤滑油が貯油室に一度貯留され、貯油室から摩擦係合部へと導かれ、機構内部の隙間を流れ出て潤滑に寄与できない潤滑油の比率が低減される。とりわけ、歯車が有するピース部材にフェンス部材を立設して貯油室を形成しかつピース部材を径方向に貫く適当数の軸内油路を設けた態様では、歯車が静止しているときであっても、潤滑油がフェンス部材を乗り越え機構内部の隙間を経由して流れ出てしまうことがなくなり、潤滑に寄与する潤滑油の比率を格段に向上することができる。したがって、高い潤滑効率を確保することができ、機構内部の摩擦係合部を確実に潤滑することができる。
本発明を実施するための最良の形態を、図1〜図6を参考にして説明する。図1は、本発明の実施例のシンクロメッシュ機構を用いた4輪駆動車用トランスファ装置9を説明する側面断面図である。このトランスファ装置9は、ケーシング91を備え、上側の主軸線AX1を軸芯として図中左から入力軸92、油ポンプ93、副変速機94、後輪用出力軸2、シンクロメッシュ機構1を備えている。また、主軸線AX1と平行する下側の副軸線AX2を軸芯として前輪用出力軸95を備えている。そして、入力軸92の回転動力をプラネタリギヤ式の副変速機94で高速あるいは低速のどちらかに選択して後輪用出力軸2に伝達出力するようになっている。さらに、シンクロメッシュ機構1で後輪用出力軸2から前輪用出力軸95への動力伝達を継断するようになっている。油ポンプ93は、入力軸92の外周に設けられ、入力軸92の軸動力に駆動されて、潤滑油をケーシング91の下部から吸い上げ、後輪用出力軸2の軸芯に延設された軸方向油路21に供給している。径方向油路22は、軸方向油路21の途中から径方向に分岐して形成されている。図中には8個の径方向油路22が示されている。潤滑油は、遠心力により径方向油路22を径方向外向きに流れ、軸受部や歯車噛合部などの潤滑対象部位に供給されるようになっている。
実施例のシンクロメッシュ機構1は、図1の後輪用出力軸2の中央右寄りの外周に形成されており、本発明の軸部材に相当する後輪用出力軸2、歯車に相当するスプロケット3、シンクロナイザリング部4、係合手段5、潤滑手段としての貯油室6及び導入油路7、を備えている。図示されるように、スプロケット3は後輪用出力軸2の外周にニードルベアリング31を介して相対回転可能に配設されている。スプロケット3の外側の歯には、二点鎖線で示されるチェーン32が噛合されている。チェーン32は、前輪用出力軸95の外周に一体に形成された歯にも噛合して、後輪用出力軸2から前輪用出力軸95へ動力を伝達するようになっている。また、スプロケット3には、略環状のピース部材35が図中右側から圧入されて一体に設けられている。係合手段5は、スリーブ51とキー52とを有している。スリーブ51は略環状で、内周には内スプライン511が形成され、後輪用出力軸2側に設けられたクラッチハブ23によって保持されている。スリーブ51は、フォーク24により操作されて、軸方向に移動するようになっている。キー52は、クラッチハブ23の円周方向に3個設けられるチップ状の部材であり、スリーブ51によって図中右側へと押圧されるようになっている。シンクロナイザリング部4は、ピース部材35とクラッチハブ23との間に配置されている。以下、図1のZ部を拡大して図2に示し、さらに詳細に説明する。
図2は、本発明の実施例のシンクロメッシュ機構1の要部を説明する断面図である。シンクロメッシュ機構1は、図中の上側の主軸線AX1を軸芯として、略軸対称に形成されている。後輪用出力軸2は、前述の軸方向油路21と径方向油路22とをもち、径方向油路22の図中下方端はシンクロメッシュ機構1の内部の空間に連通している。スプロケット3と一体に形成されたピース部材35は、ピース本体部351から図中の左方向に突出する略筒状のピース突出部352をもち、ピース突出部352の外周面は図中の右側の径が大きく左側に行くにしたがい小径となるテーパ状のコーン部36が形成されている。ピース本体部351の外周には外スプライン353が形成されている。
また、後輪用出力軸2の外周には軸2と一体に回転するクラッチハブ23が設けられ、クラッチハブ23の外周には外スプライン231が形成されている。スリーブ51は内スプライン511をもち、クラッチハブ23の外スプライン231と嵌合して、軸方向移動可能に保持されている。クラッチハブ23の周方向の3箇所にはキー52が設けられており、スリーブ51が軸方向に移動するとクラッチハブ23及びキー52を摺動できるようになっている。
シンクロナイザリング部4は、ピース部材35のコーン部36とクラッチハブ23との間に、同軸内外に積層される3個のリング41〜43により構成されている。内側リング41は、内周面でコーン部36に摩擦係合し、外周面はテーパ状のコーン面に形成されている。中間リング42は、内周面で内側リング41に摩擦係合し、外周面はテーパ状のコーン面に形成されている。さらに、外側リング43も、内周面で中間リング42に摩擦係合しており、外周面はキー52により軸方向に押圧されるように形成されている。つまり、コーン部36、内側リング41、中間リング42、外側リング43、キー52のそれぞれは、互いに相対回転可能に摩擦係合するようになっている。また、外側リング43の外周には外スプライン431が設けられている。
一方、図2に示されるように、ピース突出部352の内周面354の左端から機構1内部の空間に向けて径方向内向きに、フェンス部材61が立設されている。これにより、ピース突出部352の内周面354が底面で、フェンス部材61が左側の一側面で、ピース本体部351がフェンス部材の役割を兼ねて右側の一側面となり、径方向内側が開いた環状の貯油室6が形成されている。さらに、ピース突出部352を径方向に貫いて、内周側の貯油室6と外周側のコーン部36とを連通する導入油路7が形成されている。
図3は、フェンス部材61の形状を説明する断面図である。フェンス部材61は、周方向と交わる断面がL字形であり、ピース突出部352の内周面の半径Rに略等しい筒部611と、径方向内向きに折れ曲がっている高さHのフェンス部612と、で形成されている。また、筒部611が導入油路7と重なる箇所には導入孔613が形成されて、潤滑油の導入が妨げられないようになっている。図4は、スプロケット3とピース部材35とフェンス部材61とが一体に形成された状態を説明する断面図である。図示されるように、フェンス部材61の筒部611が、左方向からピース突出部352の内周面354に圧入されて一体に構成されている。
図5は、導入油路7の配置及び適当数を説明する図である。スプロケット3が静止しているとき、貯油室6に貯留される潤滑油Jは弦の形状を呈する。そして、貯留される最大深さは、フェンス部612の高さHに一致する。また、このときの弦の中心角2Aは、ピース突出部352の内周面354の半径Rとしたとき、余弦関数cosA=〔(R−H)/R〕を解くことにより求められる。したがって、円周方向に配設する導入油路7の角度間隔を2A以下とすることにより、潤滑油Jがフェンス部612を乗り越えて漏れ出ることがなくなる。なぜなら、スプロケット3がどのような回転位置で静止しても、最低1個以上の導入油路7が中心角2Aの内側に配置されて、貯油室6の潤滑油をコーン部36に導くからである。なお、導入油路7は等角度間隔に配置される必要はないが、実用的には中心角2Aよりも小さい適当な等角度間隔が選定されて、適当数の導入油路7が配置される。図5には、60°間隔で6個の導入油路7が配置された例が示されている。
次に、実施例のシンクロメッシュ機構1の摩擦係合及び結合の動作について説明する。図2は、シンクロメッシュ機構1が結合されていない、すなわち後輪用出力軸2からスプロケット3へ動力が伝達されていない断状態を示している。この断状態でトランスファ装置9は後輪駆動となり、後輪用出力軸2は回転するが、スプロケット3は静止している。ここで、フォーク24によりスリーブ51を軸方向右方に駆動すると、スリーブ51はクラッチハブ23及びキー52を摺動し、まずキー52が押圧されて外側リング43に摩擦係合する。続いて、外側リング43から、中間リング42、内側リング41、ピース部材35のコーン部36が順次摩擦係合され、ピース部材35と一体のスプロケット3が回転して加速され、やがて後輪用出力軸2の回転速度にほぼ同期する。すると、スリーブ51の内スプライン511が、外側リング43の外スプライン431及び、ピース部材35の外スプライン353へ、順番に嵌合する。この状態では、後輪用出力軸2とスプロケット3とは、摩擦係合ではなくスプライン嵌合により堅固に結合され、動力が安定して伝達される。
次に、実施例のシンクロメッシュ機構1の潤滑作用について、図6の従来構成と比較しながら説明する。図6は、貯油室6及び導入油路7を有しない従来のシンクロメッシュ機構8の要部を説明する断面図である。図示される従来構成において、軸方向油路21から径方向油路22を経て供給される潤滑油Jは、ピース突出部352の左側先端で分流し、一部J1はシンクロナイザリング部4の摩擦係合面に到達して潤滑作用に寄与するが、残りJ2はクラッチハブ23とシンクロナイザリング部4との間隙を流れ出てしまう。したがって、潤滑作用に寄与できない潤滑油の比率が大きい。
これに対して実施例のシンクロメッシュ機構1では、図2に示されるように、潤滑油Jは貯油室6に一度貯留されて、大部分の油量が導入油路7からシンクロナイザリング部4の摩擦係合面に到達するので、潤滑効率が格段に向上する。なお、スプロケット3が回転していない状態では、図4に示されるように、潤滑油Jは貯油室6に弦の形状で貯留され、重力の作用で下方の導入油路7からシンクロナイザリング部4へと導かれる。スプロケット3が回転している状態では、潤滑油Jには遠心力が作用するため、貯油室6内に環状に貯留されて、全ての導入油路7から径方向外向きに放射状に導かれる。いずれの状態であっても、潤滑効率が向上する効果は顕著である。
1:シンクロメッシュ機構
2:後輪用出力軸(軸部材)
21:軸方向油路 22:径方向油路 23:クラッチハブ
24:フォーク
3:スプロケット(歯車)
31:ニードルベアリング 32:チェーン
35:ピース部材 36:コーン部
4:シンクロナイザリング部
41:内側リング 42:中間リング 43:外側リング
5:係合手段 51;スリーブ 52:キー
6:貯油室 61:フェンス部材
7:導入油路
8:従来のシンクロメッシュ機構
9:4輪駆動車用トランスファ装置
91:ケーシング 92:入力軸 93:油ポンプ
94:副変速機 95:前輪用出力軸
AX1:主軸線 AX2:副軸線
R:ピース部材のピース突出部の内周面の半径
H:フェンス部材のフェンス部の高さ
2:後輪用出力軸(軸部材)
21:軸方向油路 22:径方向油路 23:クラッチハブ
24:フォーク
3:スプロケット(歯車)
31:ニードルベアリング 32:チェーン
35:ピース部材 36:コーン部
4:シンクロナイザリング部
41:内側リング 42:中間リング 43:外側リング
5:係合手段 51;スリーブ 52:キー
6:貯油室 61:フェンス部材
7:導入油路
8:従来のシンクロメッシュ機構
9:4輪駆動車用トランスファ装置
91:ケーシング 92:入力軸 93:油ポンプ
94:副変速機 95:前輪用出力軸
AX1:主軸線 AX2:副軸線
R:ピース部材のピース突出部の内周面の半径
H:フェンス部材のフェンス部の高さ
Claims (6)
- 軸内油路をもつ軸部材と、該軸部材の外周に遊転可能に配設される歯車と、該軸部材と該歯車との間に配設されるとともに該歯車に対して摩擦係合可能なシンクロナイザリングと、該軸部材と一体に回転しつつ軸方向に変位することにより該シンクロナイザリングに摩擦係合しかつ該シンクロナイザリングを押圧して該歯車に摩擦係合させる係合手段と、前記軸内油路から摩擦係合部に潤滑油を供給する潤滑手段と、を備えるシンクロメッシュ機構において、
前記潤滑手段は、前記軸部材と前記歯車との間に形成されるとともに前記軸内油路から供給された前記潤滑油を貯留する環状の貯油室と、前記歯車に形成されるとともに該貯油室から前記摩擦係合部へ該潤滑油を導く導入油路と、を有することを特徴とするシンクロメッシュ機構。 - 前記歯車は、略筒状でかつ外周に形成されたテーパ状のコーン部が前記シンクロナイザリングと摩擦係合するピース部材を有し、前記貯油室は、該ピース部材の内周面と該内周面から径方向内向きに立設されるフェンス部材とにより形成され、前記導入油路は、該ピース部材を径方向に貫いて形成されている、請求項1に記載のシンクロメッシュ機構。
- 前記ピース部材の前記内周面の半径をRとし、前記フェンス部材の径方向内向きの高さをHとし、余弦関数cosA=〔(R−H)/R〕としたとき、前記導入油路は中心角2A以下の角度間隔で複数設けられている請求項2に記載のシンクロメッシュ機構。
- 前記係合手段は、軸方向に変位して該シンクロナイザリングに摩擦係合しかつ該シンクロナイザリングを押圧するキーと、該キーを駆動するとともに軸方向に変位して前記シンクロナイザリング及び前記歯車の外周に設けられた嵌合部に順次嵌合するスリーブと、を有する請求項1〜3のいずれか一項に記載のシンクロメッシュ機構。
- 前記シンクロナイザリングは、積層して用いられるとともに互いに摩擦係合する複数個のリングからなる請求項1〜4のいずれか一項に記載のシンクロメッシュ機構。
- 前記歯車は、チェーンと噛合するスプロケットである請求項1〜5のいずれか一項に記載のシンクロメッシュ機構。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN103362980A (zh) * | 2013-07-31 | 2013-10-23 | 长城汽车股份有限公司 | 变速器及其换挡接合元件 |
CN108730747A (zh) * | 2018-08-01 | 2018-11-02 | 长兴曼尔申机械科技有限公司 | 一种离心动力注油高可靠润滑传动轴 |
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2007
- 2007-10-03 JP JP2007259929A patent/JP2009085422A/ja active Pending
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