JP2009084080A - カーボンナノチューブ層含有構造体、及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】支持体上にカーボンナノチューブ層が塗設されたカーボンナノチューブ層含有構造体であって、該支持体の表面に易接着層が塗設されており、その上に前記カーボンナノチューブ層が塗設されている、カーボンナノチューブ層含有構造体。
【選択図】なし
Description
[1]支持体上にカーボンナノチューブ層が塗設されたカーボンナノチューブ層含有構造体であって、該支持体の表面に易接着層が塗設されており、その上に前記カーボンナノチューブ層が塗設されていることを特徴とするカーボンナノチューブ層含有構造体。
[2]前記易接着層が、水系ウレタン樹脂とカルボジイミド系架橋剤とを含有している、[1]項に記載のカーボンナノチューブ層含有構造体。
[3]前記易接着層が、水系ウレタン樹脂とエポキシ系架橋剤とを含有している、[1]項に記載のカーボンナノチューブ層含有構造体。
[4]前記易接着層が、スチレン−ブタジエン共重合体とトリアジン系架橋剤又はカルボジイミド系架橋剤とを含有している、[1]項に記載のカーボンナノチューブ層含有構造体。
[5]前記支持体の裏面に形成されたバック層の最外層がポリオレフィン層である、[1]〜[4]のいずれか1項に記載のカーボンナノチューブ層含有構造体。
[6]前記支持体がポリエステルフィルムである、[1]〜[5]のいずれか1項に記載のカーボンナノチューブ層含有構造体。
[7]前記支持体がポリエチレンテレフタレートフィルムである、[1]〜[6]のいずれか1項に記載のカーボンナノチューブ層含有構造体。
[8]前記カーボンナノチューブが、マルチウォールカーボンナノチューブである、[1]〜[7]のいずれか1項に記載のカーボンナノチューブ層含有構造体。
[9]前記カーボンナノチューブが、シングルウォールカーボンナノチューブである、[1]〜[7]のいずれか1項に記載のカーボンナノチューブ層含有構造体。
[10]前記カーボンナノチューブが、ヒドロキシ基、カルボキシ基、又はアミノ基で修飾されている、[1]〜[9]のいずれか1項に記載のカーボンナノチューブ層含有構造体。
[11]前記カーボンナノチューブが架橋している、[1]〜[10]のいずれか1項に記載のカーボンナノチューブ層含有構造体。
[12]支持体の表面に易接着層を塗設する工程と、前記の支持体上に塗設された易接着層上にカーボンナノチューブ層を形成する工程と、を備えることを特徴とするカーボンナノチューブ層含有構造体の製造方法。
[13]支持体として紙又はプラスチックフィルムを用いて、前記支持体の表面に易接着層を塗設する工程と、前記支持体の裏面に最外層がポリオレフィン層であるバック層を塗設する工程と、前記易接着層及びバック層が塗設された前記支持体を乾燥する工程と、乾燥後の前記支持体を巻き取る工程と、巻き取られた前記支持体の前記易接着層上にカーボンナノチューブ層を形成する工程と、を備えることを特徴とするカーボンナノチューブ層含有構造体の製造方法。
本発明において、易接着層とは、カーボンナノチューブ層を支持体に接着させる層をいう。すなわち、本発明における易接着層とは、カーボンナノチューブ層と支持体の両面に対して高い接着性を有しており、製造工程(塗布、転写、搬送)や取扱時(輸送、切断、張り合せ時等)にカーボンナノチューブ層の剥離がないようにする目的のためにあるものである。
(支持体)
本発明において支持体としては、ガラス、透明セラミックス、金属、紙、プラスチックフィルム等が挙げられる。ガラス、透明セラミックスは、金属、紙、プラスチックフィルムに比べ、柔軟性に欠ける。また、金属とプラスチックフィルムを価格的に比べると、プラスチックフィルムの方が安価であり、柔軟性を有する。
本発明に用いられる支持体としては、紙およびプラスチックフィルムが好ましい。紙としてはセルロースが好ましい。プラスチックフィルムとしては、特に、ポリエステル系樹脂(以下、適宜、「ポリエステル」と称する)が好ましい。ポリエステルとしては、芳香族二塩基酸又はそのエステル形成性誘導体とジオール又はそのエステル形成性誘導体とから合成される線状飽和ポリエステルが好ましい。
本発明で用いられる易接着層としては、スチレン−ブタジエン共重合体(以下、適宜、「SBR」と略称する)又は水系ウレタン樹脂と架橋剤とを含有する構成が好ましい。SBRは、スチレンとブタジエンとを主体とした共重合体であり、更に必要に応じて他の成分を共重合したものを意味する。この共重合体は、スチレンとブタジエンとの含有比率を調整することにより、様々な物性のものを得られることが知られている。
次に、表面に易接着層が塗設された支持体の裏面に塗布するバック層について説明する。裏面に塗設されるバック層としては、ポリオレフィン層が優れている。ポリオレフィンであれば、ポリエステルフィルム等の支持体と適度な接着力が得られる。
本発明のカーボンナノチューブ層含有構造体は、前記の易接着性フィルムの易接着層上にカーボンナノチューブ層を形成して構成される。
本発明に用いられるカーボンナノチューブについて説明する。
カーボンナノチューブは、マルチウォールカーボンナノチューブ(多層カーボンナノチューブ;MWCT)、シングルウォールカーボンナノチューブ(単層カーボンナノチューブ;SWCT)のいずれであってもよい。各々単独に用いても、混合してもよい。また、カーボンナノホーン、カーボンナノコイル、カーボンナノビーズを用いても良い。シングルウォールカーボンナノチューブに関しては、半導体性であっても、金属性であってもよい。用途に応じて、半導体性と金属性の混合比率を調整することが好ましい。電極用途として、本発明のカーボンナノチューブ層含有構造体を用いる場合には、金属性カーボンナノチューブの比率が高いほうが好ましい。
さらに、カーボンナノチューブは、金属などが内包されていてもよい。また、フラーレンが内包されたピーポッドナノチューブを用いても良い。
カーボンナノチューブは、任意の方法、例えばアーク放電法、レーザーアブレーション法、CVD法などによって合成することができる。
本発明に用いられるカーボンナノチューブの長さとしては、0.1μm以上100μm以下であることが好ましい。
従来の電磁波吸収体は、フェライト等の強磁性材料による磁性損失により電磁波を吸収するものであったが、磁性損失は、電磁波の周波数がギガヘルツ帯以上に高くなると、磁極の分極が追いつかなくなり電磁波吸収性能が悪化するという問題があった。また、従来の炭素材料を樹脂に練り込む電磁波吸収材料は、樹脂をバインダーとして炭素材料が分散されており、分散する炭素材料間でコンデンサーを形成して誘電損失により電磁波を吸収するものであったが、このような構成はバインダーが導電性や熱伝導性を損なうという問題があった。これらに対し、本発明のカーボンナノチューブ層含有構造体は、導電性や熱伝導性などを損なうことなく、効率よく電磁波を吸収することができる。
−支持材の作製−
(1)支持体の作製
ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを縦方向及び横方向の各々に3.3倍に延伸する2軸延伸を行った後に、PETフィルムを240℃で20秒間熱固定後、これと同じ温度で横方向に約4%緩和させた。この後、テンターのチャック部をスリット処理したあと、両端にナール加工を行い、巻き取った。このようにして180μmの厚さを持つ基体のロール状の支持体を得た。
塗布に先立ち、下記の表面処理を行った。ピラー社製ソリッドステートコロナ処理機(6KVAモデル、商品名)を用い、支持体の両面を室温下において20m/分の送り速度で処理した。この時の電流、電圧の読み取り値から、支持体には0.375kV・A・分/m2の処理がなされていることになる。
・ブタジエン−スチレン共重合ラテックス(固形分43%、ブタジエン/スチレン質量比=32/68):13ml
・2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−S−トリアジンナトリウム塩8%水溶液:7ml
・ポリスチレン粒子(平均粒子径:1.8μm)2%水溶液:0.5ml
・蒸留水:79.5ml
支持体の裏面(易接着層が設けられていない側の表面)に、下記組成よりなる帯電防止層用塗布液をバーコーターにより塗布し、185℃で5分間乾燥して、厚さ0.15μmの帯電防止層を形成した。
・アクリル樹脂水分散液 1.9質量部
(ジュリマーET410、商品名、日本純薬(株)製、固形分30質量%)
・二酸化スズ−アンチモン複合金属酸化物水分散物 9.1質量部
(TDL−S、商品名、三菱マテリアル社製、17質量%)
・ドデシルジフェニルエーテルジスルフォン酸ナトリウム 0.1質量部
(サンデットBL、商品名、三洋化成製、44.6%)
・ポリオキシエチレンフェニルエーテル 0.1質量部
・エポキシ架橋剤 0.2質量部
(デナコールEX−614B、商品名、ナガセ化成社製)
上記の混合体に蒸留水を加えて100質量部となるように調製した。
上記バック第1層の上に、下記組成のポリオレフィンラテックス水分散液を、乾燥膜厚が0.08μmになるように塗布した。これを140℃で3分間乾燥した。
・ポリオレフィン 1.6質量部
(ケミパールS−120、商品名、三井石油化学(株)製、27質量%)
・ポリエチレン微粒子 0.04質量部
(ケミパールW950、商品名、三井石油化学(株)製、40質量%)
・コロイダルシリカ 1.1質量部
(スノーテックスC、商品名、日産化学(株)製、20質量%)
・エポキシ架橋剤 0.2質量部
(デナコールEX−614B、商品名、ナガセ化成(株)製)
上記の混合体に蒸留水を加えて合計が100質量部になるように調製した。
(1)カーボンナノチューブ塗布液の調製
多層カーボンナノチューブ(純度90%、三井物産製)3gを濃硝酸(60質量%、関東化学製)2000mlに加え、120℃、20時間加熱還流を行い、カルボキシ基が導入されたカーボンナノチューブを得た。なお、カーボンナノチューブは遠心分離操作を繰り返すことで精製した。つぎに、得られたカルボキシ基で修飾されたカーボンナノチューブを水中に超音波分散してカーボンナノチューブを含む塗布液を調製した。
塗布手段として、エクストルージョンタイプの塗布ヘッドを用いたダイコータを使用した。塗布液の湿潤状態の厚さは、乾燥後の膜厚が100nmになるように調整した。乾燥手段としては、熱風循環式の乾燥装置を用いた。熱風の温度は100℃とした。ニップローラとして、直径が200mmで、表面にゴム硬度が90のシリコンゴムの層を形成したローラを使用した。
得られたカーボンナノチューブ層含有構造体の表面に11本の切込みをNTカッターによって形成した。この切込みの各々は、ポリエステルフィルム(ウェブ)を貫通する深さまで1mm幅にクロスカットされたものである。
下記のカーボンナノチューブ塗布液を用いたこと以外は実施例1と同様にして、カーボンナノチューブ層含有構造体を作製した。
実施例1で得た表面にカルボキシ基を導入したカーボンナノチューブ100mgを、メチルエチルケトン(和光純薬製)200mlに添加し、N−エチル−N−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(塩酸塩、アルドリッチ製)300mgを超音波分散により混合して、カーボンナノチューブ同士が酸無水物で架橋されたカーボンナノチューブ塗布液を作成し用いた。
下記のカーボンナノチューブ塗布液を用いたこと以外は実施例1と同様にして、カーボンナノチューブ層含有構造体を作製した。
実施例1で得た表面にカルボキシ基を導入したカーボンナノチューブ100mgを、メチルエチルケトン(和光純薬製)200mlに添加し、グリセリン(和光純薬製)200mg、1N塩酸20mlを超音波分散により混合して、カーボンナノチューブ同士がエステル結合で架橋されたカーボンナノチューブ塗布液を作成し用いた。
実施例1で易接着層が何も塗設されていないこと以外は実施例1と同様にして、カーボンナノチューブ層含有構造体を得た。得られた構造体は密着性の低いものであった。
Claims (13)
- 支持体上にカーボンナノチューブ層が塗設されたカーボンナノチューブ層含有構造体であって、該支持体の表面に易接着層が塗設されており、その上に前記カーボンナノチューブ層が塗設されていることを特徴とするカーボンナノチューブ層含有構造体。
- 前記易接着層が、水系ウレタン樹脂とカルボジイミド系架橋剤とを含有している、請求項1記載のカーボンナノチューブ層含有構造体。
- 前記易接着層が、水系ウレタン樹脂とエポキシ系架橋剤とを含有している、請求項1記載のカーボンナノチューブ層含有構造体。
- 前記易接着層が、スチレン−ブタジエン共重合体とトリアジン系架橋剤又はカルボジイミド系架橋剤とを含有している、請求項1記載のカーボンナノチューブ層含有構造体。
- 前記支持体の裏面に形成されたバック層の最外層がポリオレフィン層である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のカーボンナノチューブ層含有構造体。
- 前記支持体がポリエステルフィルムである、請求項1〜5のいずれか1項に記載のカーボンナノチューブ層含有構造体。
- 前記支持体がポリエチレンテレフタレートフィルムである、請求項1〜6のいずれか1項に記載のカーボンナノチューブ層含有構造体。
- 前記カーボンナノチューブが、マルチウォールカーボンナノチューブである、請求項1〜7のいずれか1項に記載のカーボンナノチューブ層含有構造体。
- 前記カーボンナノチューブが、シングルウォールカーボンナノチューブである、請求項1〜7のいずれか1項に記載のカーボンナノチューブ層含有構造体。
- 前記カーボンナノチューブが、ヒドロキシ基、カルボキシ基、又はアミノ基で修飾されている、請求項1〜9のいずれか1項に記載のカーボンナノチューブ層含有構造体。
- 前記カーボンナノチューブが架橋している、請求項1〜10のいずれか1項に記載のカーボンナノチューブ層含有構造体。
- 支持体の表面に易接着層を塗設する工程と、前記の支持体上に塗設された易接着層上にカーボンナノチューブ層を形成する工程と、を備えることを特徴とするカーボンナノチューブ層含有構造体の製造方法。
- 支持体として紙又はプラスチックフィルムを用いて、前記支持体の表面に易接着層を塗設する工程と、前記支持体の裏面に最外層がポリオレフィン層であるバック層を塗設する工程と、前記易接着層及びバック層が塗設された前記支持体を乾燥する工程と、乾燥後の前記支持体を巻き取る工程と、巻き取られた前記支持体の前記易接着層上にカーボンナノチューブ層を形成する工程と、を備えることを特徴とするカーボンナノチューブ層含有構造体の製造方法。
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