JP2018131517A - 複合体 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、導電性に優れ、保存安定性が高く、架橋後の膜強度が高い、カルボキシル基を有するカーボンナノファイバーと、特定の有機化合物とからなる架橋剤と、基材とからなる複合体を提供することを目的とする。【解決手段】前記課題は、カルボキシル基を有するカーボンナノファイバーと、一般式(1)で表される化合物およびエポキシ基含有化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種である架橋剤とを含む組成物を基材に塗布、含浸または印刷してなる複合体によって解決される。【選択図】なし

Description

本発明は、カルボキシル基を有するカーボンナノファイバーと架橋剤と基材とからなる複合体に関する。
現在、カーボンナノチューブを代表とした各種のカーボンナノファイバーが開発されており、例えば、導電フィラー、熱伝導材料、発光素子、電池やキャパシターの電極材料、配線材料や配線どうしの電極接合材料、補強材料、黒色顔料などの各種用途において、多様な機能を有する材料として有望視されている。
カーボンナノファイバーは、電気的特性だけではなく、機械的性質についても優れた点を有する。すなわち、炭素原子のみで構成されているため、非常に軽量であるにもかかわらず、1TPaを超えるヤング率を有し、極めて強靱である。また、ケージ物質であるために弾力性・復元性にも富んでいる。このように、カーボンナノファイバーは様々な優れた性質を有するため、工業材料として魅力的な物質である。
これまでに、カーボンナノファイバーの優れた特性を利用した応用研究が数多く行われている。樹脂の強化や伝導性複合材料としてカーボンナノファイバーを添加したり、走査プローブ顕微鏡の探針として利用されたりしている。また、微小電子源として、電界放出型電子素子やフラットディスプレィとしてカーボンナノファイバーが利用されている。
このように、カーボンナノファイバーは、種々の応用が考えられるが、最近では色々な材料として用いられるポリマー樹脂の充填剤(フィラー)としての応用が考えられている。従来からポリマーに導電性、力学的強度、難燃性などの機能を付与するために、さまざまなフィラーを添加させることが行われてきた。
例えば、導電性を付与させる場合、ポリカーボネートなどのポリマーやブタジエンゴムのようなエラストマーに、カーボンブラックや炭素繊維、金属酸化物等の導電性フィラーを配合することが行われてきた。高い導電性を付与するため導電性材料の配合を増加させた場合、成形性の低下や衝撃強度などの力学的特性の大幅な低下といった問題が生じていた。
これらの問題を解決するため、最近では気相成長炭素繊維やカーボンナノファイバー等を樹脂に配合することが行われている(例えば特許文献1〜2)。
カーボンナノファイバーは従来のカーボン系導電性フィラーに比べ導電性が高く、また、アスペクト比が高いために樹脂中にネットワーク構造を形成しやすく、非常に微細で単位重量あたりの本数が多くなるといった特徴を有する。このため、従来のカーボン系導電性フィラーと同程度樹脂に配合した場合、より高い導電性の樹脂組成物を得ることができるとされている。
官能基を有するカーボンナノチューブとして、カーボンナノチューブカルボン酸メチルエステルとポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリイミド、エポキシ樹脂等からなるポリマー複合体の例がある(特許文献3)。また、カーボンナノチューブと紙製繊維材料からなる例がある(特許文献4)。
カーボンナノチューブ入り樹脂繊維として、ポリビニルアルコールまたはポリアクリロニトリルをバインダーに用いて、樹脂繊維を作成した例がある(特許文献5)。
カーボンナノチューブを含有する布に関しては、カーボンナノチューブをポリマー溶液に懸濁させ、これを凝集液中で紡糸することにより糸を作成させた例がある(特許文献6)。このポリマー溶液としては、ポリビニルアルコールが用いられている。また、ポリウレタン樹脂をバインダーとして用いてポリエステル系繊維に被覆した例がある(特許文献7)。
官能基を有するカーボンナノチューブと架橋剤からなるインキを塗布してなる基材に関しては、メチルエステル化したカーボンナノチューブとグリセリンからなる分散液をカプトンテープに塗布し、200℃で2時間加熱することにより硬化させてワイヤーを作成させた例がある(特許文献8)。架橋剤としては、グリセリンの他、ポリオール、ポリアミン、ポリカルボジイミドが報告されている。
これら先行事例は、カーボンナノファイバーと樹脂が結合していないので、樹脂よりカーボンナノファイバーが脱落する問題がある。同様に、カーボンナノチューブカルボン酸メチルエステルとポリエチレン等からなるポリマー複合体や、カーボンナノチューブ入り樹脂繊維も、同様の問題がある。また、これら事例には、基材が含まれないので、カーボンナノファイバーの充てん量が増えると脆くなるという問題点がある。
同様に、カーボンナノチューブを含有する布に関しては、カーボンナノチューブをポリマー溶液に懸濁させ、これを凝集液中で紡糸することにより糸を作成させた例では、カーボンナノチューブとポリマー溶液は結合していないので、脱落するという問題が有り、かつ基材が無いので、カーボンナノファイバーの充てん量が増えると脆く折れやすい。また、これら材料は導電性が低い等の問題が有る。
また、基材にポリエステル系繊維を用いた先行事例では、カーボンナノチューブに反応性官能基が無いので、ポリウレタン樹脂のバインダーと結合していない。かつ、高分子バインダーを用いているので、導電性が低い。
同様に、基材としてカプトンテープを用いた先行事例では、メチルエステル化したカーボンナノチューブとグリセリンからなる分散液をカプトンテープに塗布し、200℃で2時間加熱することにより硬化させてワイヤーを作成しているが、基材であるカプトンテープを成型用に用いているのであり、最終物には基材が含まれていない。
特開平7−102112号公報 特表2002−503204号公報 特開2005−133062号公報 特表2004−524945号公報 特開2012−167403号公報 特表2004−532937号公報 特開2017−26334号公報 特開2005−96024号公報
本発明は、導電性に優れ、保存安定性が高く、架橋後の膜強度が高い、カルボキシル基を有するカーボンナノファイバーと、特定の有機化合物とからなる架橋剤と、基材とからなる複合体を提供することを目的とする。
すなわち本発明は、カルボキシル基を有するカーボンナノファイバーと、下記一般式(1)で表される化合物およびエポキシ基含有化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種である架橋剤とを含む組成物を基材に塗布、含浸または印刷してなる複合体に関する。
一般式(1)


(式中、Xはn価の、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、脂肪族複素環基または芳香族複素環基を表し、nは2〜6の整数であり、
1およびR2は、それぞれ独立に、水素原子、一般式(2)で表される基、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基または芳香族炭化水素基を表し、R1およびR2のうち、少なくとも1つは、一般式(2)で表される基である。)
一般式(2)

(式中、R3〜R6はそれぞれ独立に、水素原子または脂肪族炭化水素基を表す。)
更に本発明は、カルボキシル基を有する前記のカーボンナノファイバーが、カルボキシル基を有する多層カーボンナノチューブ、カルボキシル基を有する単層カーボンナノチューブまたはカルボキシル基を有する黒鉛である前記複合体に関する。
更に本発明は、前記の基材が、紙、糸、布またはプラスチックフィルムである前記複合体に関する。
本発明により、導電性に優れ、保存安定性が高く、架橋後の膜強度が高い、カルボキシル基を有するカーボンナノファイバーと、架橋剤と、基材とからなる複合体を提供することができた。
以下、詳細にわたって本発明を説明する。
カルボキシル基を有するカーボンナノファイバーの製造方法としては、カーボンナノファイバーにカルボキシル基を導入するには、酸化作用を有する酸とともに加熱すればよい。この操作は比較的容易であり、しかも反応性に富むカルボキシル基を付加することができるため、好ましい。当該操作について、簡単に説明する。
酸化作用を有する酸としては、濃硝酸、過酸化水素水、硫酸と硝酸の混合液、王水等が挙げられる。特に濃硝酸を用いる場合には、その濃度としては、60質量%以上が好ましい。
加熱は、常法にて行えばよいが、その温度としては、使用する酸の沸点以下が好ましい。例えば、濃硝酸では50〜130℃の範囲が好ましい。また、加熱の時間としては、30分〜20時間の範囲が好ましく、1時間〜8時間の範囲がより好ましい。
還流の後の反応液には、カルボキシル基が付加したカーボンナノファイバー(カーボンナノファイバーカルボン酸)が生成しており、室温まで冷却し、必要に応じて分離操作ないし洗浄を行うことで、目的のカルボキシル基を有するカーボンナノファイバーが得られる。
カーボンナノファイバーとして用いられる無機炭素材料由来の炭素粒子としては、例えば、ファーネスブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック及びミディアムサーマルカーボンブラック等のカーボンブラック、活性炭、黒鉛、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、グラフェン、グラフェンナノプレートレット、ナノポーラスカーボン及び炭素繊維等が挙げられる。
本発明において、グラフェンナノプレートレットとは、炭素原子が6角形をなす平面構造を有するグラフェンシートが、ファンデルワールス力により弱く結合した複層構造を有している。グラフェンナノプレートレットは、欠陥の少ない平面構造を有しているため、高い電子伝導性、高い熱伝導性や高い機械的強度を示す。
本発明において、カーボンブラックとは、一次粒子がストラクチャーと呼ばれる粒子同士の繋がり、または凝集による構造を有する微細炭素粒子であり、大きい比表面積及び高い電子伝導性を有する。
本発明において、カーボンナノチューブには、単層カーボンナノチューブと多層カーボンナノチューブがある。
単層カーボンナノチューブは、ナノメートル領域の直径を持つ継ぎ目のない円筒状で、グラフェンシート(2次元のグラファイト平面)が丸まった状態としてイメージすることができる。ナノチューブの構造は、直径とチューブの軸に対する炭素の6員環の相対的な方向で規定される。例えば、名城ナノカーボン(EC1.0,EC1.5,EC2.0,EC1.5−P)等が挙げられる。また、アルドリッチ社の、SG65i、SG65、SG76、CG100、CG200、CG300等が挙げられる。
多層カーボンナノチューブは同心円筒状のこれらチューブから構成され、幾つかの単層チューブが入れ子になっていると考えられており、少ない場合は6層、多い場合で25層ほどの同心多層構造をとる。そのため、多層カーボンナノチューブの直径は、典型的な単層カーボンナノチューブの0.7〜2.0nmに対して、30nmと大きい値を示す。カーボンナノチューブの持つ優れた独特の特性によって、新たな応用開発や既存の用途における性能改善を行うことが可能となる。例えば、CNano社(FloTube9000、FloTube9100、FloTube9110、FloTube9200)、Nanocyl社(NC7000)、Knano社(100T)、トーヨーカラー社製の特開2016−13680号公報、特開2013−166140号公報、特開2014−001083号公報記載の多層カーボンナノチューブ等が挙げられる。
市販の無機炭素粒子としては、例えば、ケッチェンブラックEC−300J、及びEC−600JD等のライオン・スペシャリティ・ケミカルズ社製ケッチェンブラック;
トーカブラック#4300、#4400、#4500、及び#5500等の東海カーボン社製ファーネスブラック;
プリンテックスL等のデグサ社製ファーネスブラック;
Raven7000、5750、5250、5000ULTRAIII、5000ULTRA、Conductex SC ULTRA、975 ULTRA、PUER BLACK100、115、及び205等のコロンビヤン社製ファーネスブラック;
#2350、#2400B、#2600B、#3050B、#3030B、#3230B、#3350B、#3400B、及び#5400B等の三菱化学社製ファーネスブラック;
MONARCH1400、1300、900、VulcanXC−72R、及びBlackPearls2000等のキャボット社製ファーネスブラック;
Ensaco250G、Ensaco260G、Ensaco350G、及びSuperP−Li等のTIMCAL社製ファーネスブラック;
デンカブラック、デンカブラックHS−100、FX−35等のデンカ社製アセチレンブラック;
VGCF、VGCF−H、VGCF−X等の昭和電工社製カーボンナノチューブ;
xGnP−C−750、xGnP−M−5等のXGSciences社製グラフェンナノプレートレット;
EC1500、EC1000、EC500、EC300、EC100、PC−H、PC−10、PC−30等の伊藤黒鉛工業株式会社製黒鉛;
カイノール炭素繊維、カイノール活性炭繊維などの群栄化学工業社製炭素繊維;等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明において架橋剤として用いられる一般式(1)におけるXは、Xはn価の、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、脂肪族複素環基、あるいは、芳香族複素環基、を表し、nは2〜6の整数であり、R1およびR2は、それぞれ独立に、水素原子、一般式(2)で表される基、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基または芳香族炭化水素基を表し、R1およびR2のうち、少なくとも1つは、一般式(2)で表される基である。
一般式(1)におけるXの、直鎖の脂肪族炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルカジエニル基、アルカトリエニル基が挙げられる。また、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルカジエニル基、アルカトリエニル基が有する水素原子のうち、n個が置換をすることができる。
ここで、2価以上のアルキル基としては、1,6−ヘキシル基、1,7−ヘプチル基、1,8−オクチル基、1,9−ノニル基、1,6−デシル基、1,10−デシル基、1,11−ウンデシル基、1,12−ドデシル基、1,13−トリデシル基、1,14−テトラデシル基、1,15−ペンタデシル基、1,16−ヘキサデシル基、1,17−ヘプタデシル基、1,18−オクタデシル基、1,19−ノナデシル基、1,20−イコシル基、1,3,6−ヘキシル基、1,4,7−ヘプチル基、1,2,8−オクチル基、1,3,9−ノニル基、1,3,4,6−ヘキシル基、1,4,6,7−ヘプチル基、1,4,5,6,7−ヘプチル基、1,2,3,4,5,6−ヘキシル基といった炭素数6以上のアルキル基が挙げられる。
また、2価以上のアルケニル基としては、1,6−(2−ヘキセニル)基、1,7−(2−ヘプテニル)基、1,8−(2−オクテニル)基、1,9−(2−ノネニル)基、1,10−(2−デセニル)基、1,11−(2−ウンデセニル)基、1,12−(2−ドデセニル)基、1,13−(2−トリデセニル)基、1,14−(2−テトラデセニル)基、1,15−(2−ペンタデセニル)基、1,16−(2−ヘキサデセニル)基、1,17−(2−ヘプタデセニル)基、1,18−(2−オクタデセニル)基、1,19−(2−ノナデセニル)基、1,3,6−(2−ヘキセニル)基、1,4,7−(3−ヘプセニル)基、1,2,8−(4−オクテニル)基、1,3,9−(5−ノネニル)基、1,3,4,6−(2−ヘキセニル)基、1,4,6,7−(3−ヘプセニル)基、1,4,5,6,7−(3−ヘプセニル)基、といった炭素数6以上のアルケニル基が挙げられる。
また、2価以上のアルキニル基としては、1,6−(2−ヘキシニル)基、1,7−(2−ヘプシニル)基、1,8−(2−オクシニル)基、1,9−(2−ノニル)基、1,10−(2−デシニル)基、1,11−(2−ウンデシニル)基、1,12−(2−ドデシニル)基、1,13−(2−トリデシニル)基、1,14−(2−テトラデシニル)基、1,15−(2−ペンタデシニル)基、1,16−(2−ヘキサデシニル)基、1,17−(2−ヘプタデシニル)基、1,18−(2−オクタデシニル)基、1,19−(2−ノナデシニル)基、1,3,6−(2−ヘキシニル)基、1,4,7−(3−ヘプシニル)基、1,2,8−(4−オクシニル)基、1,3,9−(5−ノニル)基、1,3,4,6−(2−ヘキシニル)基、1,4,6,7−(3−ヘプシニル)基、1,4,5,6,7−(3−ヘプシニル)基、といった炭素数6以上のアルケニル基が挙げられる。
また、一般式(1)における脂環式炭化水素基としては、シクロアルキル基、デカヒドロナフチル基、アダマンチル基などが挙げられる。
また、2価以上の脂環式炭化水素基としては、1,1−シクロヘキシル基、1,2−シクロヘキシル基、1,3−シクロヘキシル基、1,4−シクロヘキシル基、1,2,4−シクロヘキシル基、1,3,5−シクロヘキシル基、1,2,4,5−シクロヘキシル基、1、2,3,4,5,6−シクロヘキシル基、2,6−デカヒドロナフチル基、1,3−アダマンチル基、1、3、5ーアダマンチル基、といった炭素数6以上のシクロアルキル基が挙げられる。
また、2価以上の脂肪族複素環基としては、2−ピラゾリノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基、2−モルホリニル基といった炭素数3〜18の脂肪族複素環基が挙げられる。
また、2価以上の芳香族炭化水素基としては、単環、縮合環、環集合芳香族炭化水素基が挙げられる。
ここで、単環芳香族炭化水素基としては、フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、2,4−キシリル基、p−クメニル基、メシチル基等の単環芳香族炭化水素基が挙げられる。
また、縮合環芳香族炭化水素基としては、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アンスリル基、2−アンスリル基、5−アンスリル基、1−フェナンスリル基、9−フェナンスリル基、1−アセナフチル基、2−アズレニル基、1−ピレニル基、2−トリフェニレル基等の縮合環芳香族炭化水素基が挙げられる。
また、環集合芳香族炭化水素基としては、o−ビフェニリル基、m−ビフェニリル基、p−ビフェニリル基等の環集合芳香族炭化水素基が挙げられる。
また、2価以上の芳香族複素環基としては、トリアゾリル基、3−オキサジアゾリル基、2−フラニル基、3−フラニル基、2−フリル基、3−フリル基、2−チエニル基、3−チエニル基、1−ピロ−リル基、2−ピロ−リル基、3−ピロ−リル基、2−ピリジル基、3−ピリジル基、4−ピリジル基、2−ピラジル基、2−オキサゾリル基、3−イソオキサゾリル基、2−チアゾリル基、3−イソチアゾリル基、2−イミダゾリル基、3−ピラゾリル基、2−キノリル基、3−キノリル基、4−キノリル基、5−キノリル基、6−キノリル基、7−キノリル基、8−キノリル基、1−イソキノリル基、2−キノキサリニル基、2−ベンゾフリル基、2−ベンゾチエニル基、N−インドリル基、N−カルバゾリル基、N−アクリジニル基、2−チオフェニル基、3−チオフェニル基、ビピリジル基、フェナントロリル基といった炭素数2〜18の芳香族複素環基が挙げられる。
また、一般式(1)中のXにおいて、好ましくは、炭素数2〜20の直鎖の脂肪族炭化水素基、あるいは、脂環式炭化水素基であり、より好ましくは、炭素数4〜12の直鎖の脂肪族炭化水素基、あるいは、脂環式炭化水素基であり、さらに好ましくは、炭素数6〜12の直鎖の脂肪族炭化水素基である。
また、一般式(1)中のR1およびR2のうち、脂肪族炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基が挙げられる。
ここで、アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、ペンタデシル基、オクタデシル基といったアルキル基が挙げられる。
また、アルケニル基としては、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、イソプロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1−オクテニル基、1−デセニル基、1−オクタデセニル基といったアルケニル基が挙げられる。
また、アルキニル基としては、エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、1−オクチニル基、1−デシニル基、1−オクタデシニル基といったアルキニル基が挙げられる。
一般式(1)中のR1およびR2における、脂環式炭化水素基としては、一般式(1)中のXにおいて前述したシクロアルキル基などが挙げられる。
また、シクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロオクタデシル基、2−インデノ基といったシクロアルキル基が挙げられる。
また、一般式(1)中のR1およびR2における、芳香族炭化水素基としては、単環、縮合環、環集合芳香族炭化水素基が挙げられる。
ここで、単環芳香族炭化水素基としては、フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、2,4−キシリル基、p−クメニル基、メシチル基等の単環芳香族炭化水素基が挙げられる。
また、縮合環芳香族炭化水素基としては、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アンスリル基、2−アンスリル基、5−アンスリル基、1−フェナンスリル基、9−フェナンスリル基、1−アセナフチル基、2−アズレニル基、1−ピレニル基、2−トリフェニレル基等の縮合環芳香族炭化水素基が挙げられる。
また、環集合芳香族炭化水素基としては、o−ビフェニリル基、m−ビフェニリル基、p−ビフェニリル基等の環集合芳香族炭化水素基が挙げられる。
また、一般式(1)中のR1およびR2として、好ましくは、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素または単環芳香族炭化水素基であり、より好ましくは、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素であり、さらに好ましくは、炭素数4以上の脂肪族炭化水素基である。
また、一般式(2)中のR3〜R6はそれぞれ独立に、水素原子、または、脂肪族炭化水素基を表す。
ここで、脂肪族炭化水素基としては、一般式(1)中のR1およびR2において前述したものが挙げられる。
本発明で用いられる一般式(1)で表される化合物の代表例を、以下の表1に示すが、本発明は、この代表例に限定されるものではない。
表1



本発明における架橋剤に用いる一般式(1)で表される化合物は、2価以上のカルボン酸またはその誘導体と、β位にヒドロキシ基を1つ以上有する1級または2級アミンとをアミド化することで製造することができ、その具体的な合成は、公知の方法(特開2013−151639号公報等)に従った。一般式(1)で表される化合物は、水、有機溶剤に可溶である。
ここでの有機溶剤としては、たとえば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、シクロヘキサン、ヘキサン、オクタン、シクロロメタン、クロロホルム、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、などが挙げられる。
本発明において架橋剤として用いられるエポキシ基含有化合物としては、分子内にエポキシ基を含有する化合物であればよく、特に限定されるものではない。例えば、分子内にエポキシ基を1個有する化合物としては、N−グリシジルフタルイミド、グリシドール、グリシジル(メタ)アクリレート等の化合物が挙げられる。これらは、次に例示する分子内にエポキシ基を2個以上有する化合物と、必要に応じて併用することで、硬化物の架橋密度を制御する目的で好適に用いることができる。また、エポキシ基を分子内に2個以上含有する化合物としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ビスフェノールA・エピクロロヒドリン型エポキシ樹脂、ビスフェノールF・エピクロロヒドリン型エポキシ樹脂、ビスフェノールS・エピクロロヒドリン型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD・エピクロロヒドリン型エポキシ樹脂、ビフェノール・エピクロロヒドリン型エポキシ樹脂、ビスフェノールAのエチレンオキシド付加体もしくはプロピレンオキシド付加体のエピクロロヒドリン型エポキシ樹脂、グリセリン・エピクロロヒドリン付加物のポリグリシジルエーテル、ナフタレンジオールジグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、ポリブタジエンジグリシジルエーテル、ヒドロキノンジグリシジルエーテル、ジブロモネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、水添ビスフェノールA型ジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ジフェニルスルホンジグリシジルエーテル、ジヒドロキシベンゾフェノンジグリシジルエーテル、ビフェノールジグリシジルエーテル、ジフェニルメタンジグリシジルエーテル、ビスフェノールフルオレンジグリシジルエーテル、ビスクレゾールフルオレンジグリシジルエーテル、ビスフェノキシエタノールフルオレンジグリシジルエーテル、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N−ジグリシジルアニリン、N,N−ジグリシジルトルイジン、特開2004−156024号公報、特開2004−315595号公報、特開2004−323777号公報に開示されている柔軟性に優れたエポキシ化合物や、下記式(a)〜(e)で表される構造のエポキシ化合物等が挙げられる。
式(a)
式(b)
式(c)
式(d)
式(e)
さらに、トリスヒドロキシエチルイソシアヌレートトリグリシジルエーテル、トリグリシジルイソシアヌレート、三菱化学株式会社製「エピコート1031S」、「エピコート1032H60」、「エピコート604」、「エピコート630」の他、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、特開2001−240654号公報に開示されているジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、エチレングリコール・エピクロルヒドリン付加物のポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、等が挙げられる。また、エポキシ基以外の他の熱硬化性基を併有する化合物も使用できる。例えば、特開2001−59011号公報や、2003−48953号公報に開示されているシラン変性エポキシ樹脂が挙げられる。
特に、三菱化学株式会社製「エピコート1031S」、「エピコート1032H60」、「エピコート604」、「エピコート630」は、多官能であり、かつ、耐熱性に優れるため、本発明において好ましく、また、脂肪族系のエポキシ化合物や、特開2004−156024号公報、特開2004−315595号公報、特開2004−323777号公報記載のエポキシ化合物は、架橋物の柔軟性に優れるため、好ましい。また、特開2001−240654号公報記載のジシクロペンタジエン型エポキシ化合物や、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェノール・エピクロロヒドリン型エポキシ樹脂、三菱化学株式会社製のビスフェノールA型エポキシ化合物である基本液状タイプグレード「825」、「828」、「828EL」、「828US」、「828XA」や、日本化薬株式会社製のクレゾールノボラック型エポキシ樹脂である「EOCN−102O」、「EOCN−102S」、「EOCN−103S」や、フェノールノボラック型エポキシ樹脂である「EPPN−201」、「EPPN−201L」、「EPPN−502H」などは、本発明において、熱硬化性および吸湿性や耐熱性をはじめとする架橋物の耐久性の面で優れており好ましい。
本発明において、架橋剤は、一種のみを単独で用いてもよいし、複数を併用しても良い。架橋剤の使用量は、本発明の複合体の用途等を考慮して決定すればよく、特に限定されるものではないが、カルボキシル基を有するカーボンナノファイバー100質量部に対して、0.1〜100質量部の割合で加えることが好ましく、0.1〜10質量部の割合で加えることがより好ましい。架橋剤を使用することにより、カルボキシル基を有するカーボンナノファイバーの間を架橋することができるので、少量でありながら架橋後の複合体の強度を高めることが出来る。
本発明の複合体を得る一例を説明する。少なくとも、カルボキシル基を有するカーボンナノファイバーと、下記一般式(1)で表される化合物、エポキシ基含有化合物、イソシアネート基含有化合物およびブロック化イソシアネート基含有化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種である架橋剤と、溶剤とから成る組成物を調整し、その組成物を各種基材へ塗工後に溶剤を蒸発乾燥させ、加熱等で架橋を進行させて得る方法が挙げられる。
組成物に使用可能な溶剤の一例として、水、及び以下の各種溶剤が挙げられる。
アルコール類:メタノール、エタノール、プロパノール、及びイソプロパノールなど。
ケトン類:アセトン、メチルエチルケトン、及びメチルイソブチルケトンなど。
炭酸エステル類:プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、及びメチルプロピルカーボネートなど。
エステル類:プロピオン酸エチル、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、メチルアセテート、及びエチルアセテート。
エーテル類:エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、及びグリコールエーテルなど。
スルホキシド類:ジメチルスルホキシドなど。
組成物は、さらに、必要に応じて、非反応性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂、併用する硬化剤、光開始剤、増感剤、レベリング剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、無機フィラー、接着付与剤、などの添加剤を加えてもよい。
組成物の塗工方法としては、スピンコート法、スプレー法、ローラーコート法、グラビアコート法、ダイコート法、コンマコート法、ロールコート法、カーテンコート法、バーコート法、インクジェット法、ディスペンサー法、シルクスクリーン印刷、フレキソ印刷等の各種手段を用いた方法が挙げられる。塗工する厚み、及び組成物の粘度等に応じて、上記方法から適宜選択することができる。
また、組成物中に基材を含浸させて塗工することも可能であり、基材が糸や布である場合、この方法で基材の表面に組成物を塗布することが最も有効な手段である。
組成物の塗工によって得る膜の厚さは、特に限定されるものではないが、一定以上の厚みを有するように形成されることが好ましい。
組成物を、各種基材の片面または両面に塗布し、もしくは金型等を用いて成形後、必要に応じて加熱乾燥後、100〜200℃において加熱重合させることで目的の複合体を得ることができる。
基材としては、たとえば、紙、糸、布、ガラス、プラスチックフィルム、ステンレス等の各種金属等が挙げられ、紙としては、植物性繊維からなる和紙、パルプからなる洋紙、プラスチック繊維からなる合成紙等が挙げられる。次に、糸としては、植物性繊維からなるもの、動物性繊維からなるもの、プラスチック繊維からなるもの等が挙げられる。次に、布としては、植物性繊維からなるコットン等の布、動物性繊維からなる羊毛等の布、プラスチック繊維からなる化学繊維等が挙げられる。次に、ガラスとしては、ガラス繊維、ガラス板等が挙げられる。次に、プラスチックフィルムとしては、ポリカーボネート、ポリエステル、ウレタン、アクリル、ポリアセテートセルロース、ポリアミド、ポリイミド、ポリスチレン、エポキシ樹脂、ポリオレフィン、ポリシクロオレフィン、ポリビニルアルコールなどが挙げられる。次に、各種金属としては、銅線のようなワイヤー形状、アルミニウム板のような板状、繊維状の金属が挙げられる。
組成物の乾燥物の架橋を行う温度として、好ましくは、100〜180℃である。このとき、架橋剤の全体の半分以上の質量を前記一般式(1)の化合物とする場合、低温で架橋反応を行うことが出来る。この場合、150℃以上の高温に耐えられない基材の利用が可能であり、組成物の乾燥物の架橋を行う温度として、100〜140℃の温度が好ましい。
組成物に、さらに光酸発生剤を加えることで、紫外線による架橋を行うこともできる。
本発明の複合体は、カーボンナノファイバーと架橋剤の間が架橋されることによって、カーボンナノファイバーが擦れや摩耗によって脱落することが防げるだけでなく、強靭さ故にヒートサイクル性や曲げ性に優れることが期待され、耐久性やフレキシブル性に優れた導電性複合体が提供可能であると期待できる。
本発明に用いるカルボキシル基を有するカーボンナノファイバーは、炭素材料の末端および/または側面にカルボキシル基が結合した無機炭素材料由来の炭素粒子である。たとえば、カルボキシル基を有する無機炭素材料由来の炭素粒子としては、ファーネスブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック及びミディアムサーマルカーボンブラック等のカーボンブラック、活性炭、黒鉛、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、グラフェンナノプレートレット、ナノポーラスカーボン及び炭素繊維等が挙げられる。
以下に実施例をもって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り「%」は「質量%」を、「部」は「質量部」を意味する。
実施例中のNMR測定はすべて、JEOL社製のJNM−ECX400Pを用いて1H−NMR測定をDMSO−d6中で行った。
実施例中のIR測定はすべて、PerkinElmer社製のSpectrum Oneを用いて行った。
以下、トーヨーカラー社製の多層カーボンナノチューブの製造方法を示す。
(製造例1)[カーボンナノチューブ合成用触媒の製造]
酢酸コバルト・四水和物200部、酢酸マグネシウム・四水和物172部、七モリブデン酸六アンモニウム・四水和物3.5部をビーカーに量り取り、精製水を1488部加えて完全に溶解するまで攪拌した。耐熱性容器に移し替え、電気オーブンを用いて、雰囲気温度150±5℃の温度で60分間乾燥させ水分を蒸発させた後、乳鉢で粉砕して平均粒径(D50)20μmの触媒前駆体を得た。得られた触媒前駆体300部を耐熱容器に量り取り、マッフル炉にて、空気中450±5℃雰囲気下で60分間焼成した後、乳鉢で粉砕して平均粒径(D50)2μmの触媒を得た。
(製造例2)[多層カーボンナノチューブの製造]
減圧が可能で、外部ヒーターで加熱可能な横型反応管の中央部に、製造例1で得られた触媒1.0gを散布した石英ガラス製耐熱皿を設置した。横型反応管中の空気を真空ポンプにて1×103Paまで減圧後、アルゴンガスを8×104Paまで注入し、再度真空ポンプにて1×103Paまで減圧する、を2回繰り返して、横型反応管中の酸素濃度を0.1体積%以下とした。1×103Paに保ちながら外部ヒーターにて加熱し、横型反応管の中心部が850℃まで加熱した。合成温度850±5℃ に保ち、ブタン/プロパン混合ガスを注入し、3×104Pa〜6×104Paに反応管内の圧力を維持しながら3時間反応させて多層カーボンナノチューブを製造した。合成終了後、反応管内のガスをアルゴンガスで置換し、200℃以下の温度で取り出し、多層カーボンナノチューブを得た。
以下、合成例におけるカルボキシル基を有するカーボンナノファイバーは、以下の方法で合成した。
カルボキシル基を有するカーボンナノファイバー(1)の合成
攪拌機、温度計、滴下装置を備えた反応容器に、60%硝酸200部、濃硫酸800部、トーヨーカラー社製多層カーボンナノチューブ25部を入れ、60℃で8時間加熱攪拌した。その後、室温まで冷却し、10Lの氷水中に投入した。析出した多層カーボンナノチューブを吸引濾別し、さらに20Lのイオン交換水で洗浄して、19部のカルボキシル基を有するカーボンナノファイバー(1)を得た。
カルボキシル基を有するカーボンナノファイバー(2)の合成
攪拌機、温度計、滴下装置を備えた反応容器に、60%硝酸100部、濃硫酸400部、アルドリッチ社製単層カーボンナノチューブ(CG100)10部を入れ、60℃で8時間加熱攪拌した。その後、室温まで冷却し、5Lの氷水中に投入した。析出した単層カーボンナノチューブを吸引濾別し、さらに10Lのイオン交換水で洗浄して、8部のカルボキシル基を有するカーボンナノファイバー(2)を得た。
カルボキシル基を有するカーボンナノファイバー(3)の合成
攪拌機、温度計、滴下装置を備えた反応容器に、60%硝酸100部、濃硫酸400部、ケッチェンブラック(EC−600JD)5部を入れ、30℃で30分間攪拌した。その後、5Lの氷水中に投入した。析出したケッチェンブラックを吸引濾別し、さらに10Lのイオン交換水で洗浄して、3部のカルボキシル基を有するカーボンナノファイバー(3)を得た。
カルボキシル基を有するカーボンナノファイバー(4)の合成
攪拌機、温度計、滴下装置を備えた反応容器に、60%硝酸100部、濃硫酸400部、黒鉛(EC1500)5部を入れ、80℃で8時間加熱攪拌した。その後、室温まで冷却し、5Lの氷水中に投入した。析出した黒鉛を吸引濾別し、さらに10Lのイオン交換水で洗浄して、5部のカルボキシル基を有するカーボンナノファイバー(4)を得た。
以下、一般式(1)で表される化合物の合成例を示す。尚、化合物番号は表1における化合物番号を示す。
合成例1 化合物(1)の合成
攪拌機、温度計、滴下装置、ディーンスターク管、還流冷却器、ガス導入管を備えた反応容器に、スベリン酸ジメチル(オクタン二酸ジメチル)225部、ジエタノールアミン234部、水酸化カリウム10部、トルエン300部を入れ、ディーンスターク管にはトルエンを満たし、窒素を吹き込みながら加熱還流させ、共沸によって生成する水を除去した。4時間後、トルエンをすべて除去し、1H−NMR測定、IR測定を行って目的物が生成していることを確認した。50℃まで降温した後、得られた均一な淡黄色透明の溶液を取り出した。
合成例2 化合物(2)の合成
窒素雰囲気下、攪拌機、温度計、ディーンスターク管、還流冷却器、減圧装置を備えた反応容器に、アゼライン酸ジメチル(ノナン二酸ジメチル)1,000mmol(216.27g)、ジエタノールアミン2,000mmol(210.28g)、ナトリウムエトキシド50mmol(3.40g)を入れ、常圧状態で内温が90℃になるまで加熱攪拌した。内温が90℃に達したら、500hPaの減圧状態にし、100℃で2時間加熱攪拌し、生成するメタノールを留去しながら反応を進行させた。2時間後、200hPaの減圧状態でさらに1時間加熱攪拌し、残存するメタノールを全て留去した。1H−NMR測定、IR測定を行って目的物が生成していることを確認した。50℃まで降温した後、得られた均一な淡黄色透明の溶液を取り出した。
合成例3 化合物(3)の合成
窒素雰囲気下、攪拌機、温度計、ディーンスターク管、還流冷却器、減圧装置を備えた反応容器に、セバシン酸ジメチル(デカン二酸ジメチル)1,000mmol(230.30g)、ジエタノールアミン2,000mmol(210.28g)、ジイソプロピルエチルアミン50mmol(6.46g)を入れ、常圧状態で内温が90℃になるまで加熱攪拌した。内温が90℃に達したら、500hPaの減圧状態で2時間加熱攪拌し、生成するメタノールを留去しながら反応を進行させた。2時間後、200hPaの減圧状態でさらに1時間加熱攪拌し、残存するメタノールを全て留去した。1H−NMR測定、IR測定を行って目的物が生成していることを確認した。50℃まで降温した後、得られた均一な淡黄色透明の溶液を取り出した。
化合物(4)〜(51)についても、上記合成例と同様の操作により合成した。
実施例1
カルボキシル基を有するカーボンナノファイバーと表1の化合物と基材からなる複合体を以下のように作製して、導電性試験、硬化試験、硬化膜強度試験を行った。
表2に示す様に、カルボキシル基を有するカーボンナノファイバー(1)と、架橋剤として表1の化合物(1)と、水を質量比が5:0.5:94.5になるように調整し、スキャンデックスにて60分間分散処理して架橋性組成物を作製した。
得られた架橋性組成物に関し、凝集物を目視で確認し、無ければ〇、僅かに有れば△、明らかに有れば×として、結果を表2に記載した。
得られた上記架橋性組成物を表2の基材であるPETフィルムに表2記載の塗布方法であるバーコーターにて塗工し、水分を蒸発させた後、120℃、150℃、180℃のオーブンにそれぞれ10分間入れて塗膜を架橋させて複合体を得た。架橋した塗膜に対し、水に対する再溶解試験を実施した。結果に関し、溶解しないを〇、溶解するを×として表2に記載した。
また、120℃、10分間加熱した塗膜の導電率は、別途膜厚を計測した上で株式会社三菱化学アナリテック社製のロレスタGX MCP−T700を用いて測定した。結果に関し、導電性有りを〇、導電性無しを×として表2に記載した。
実施例2〜60
カルボキシル基を有するカーボンナノファイバー、架橋剤として表2に示す材料を用いた以外は、実施例1と同様に複合体を作製して、試験を行った。結果を表2に示す。
表2中の架橋剤に関する記載は以下に従うものとする。
828:三菱化学株式会社製、ビスフェノールA型エポキシ化合物
EOCN−102S:日本化薬株式会社製、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂
EPPN−201L:日本化薬株式会社製、フェノールノボラック型エポキシ樹脂
PVDF:ポリフッ化ビニリデン
比較例1〜5
カルボキシル基を有しないカーボンナノファイバーまたは架橋性の無い樹脂として、表2に示す材料を用いた以外は、実施例1と同様に複合体を作製して、試験を行った。ただし、架橋反応が見込めない場合でも一律に検討を行った。結果を表2に示す。
実施例52〜60の120℃オーブン加熱での再溶解試験は、硬化不良であったが、実施例1〜51は他全ての試験において良好であることが確認された。
比較例1〜4は、カルボキシル基を有しないカーボンナノファイバーとして、多層カーボンナノチューブ、単層カーボンナノチューブ、ケッチェンブラックおよび黒鉛を使用した例であるが、溶剤に対する分散性が乏しく、凝集物が大量に存在したために塗工膜が不連続となり膜の強度も十分ではなかった。導電性能も膜が不連続なために発現しなかったと考えられる。
比較例5は、カルボキシル基を有するカーボンナノファイバーに、架橋性の無い樹脂だけを加えた例であるが、カルボキシル基を有するカーボンナノファイバーが優れた分散性を有するため、連続した塗工膜が得られたが、架橋反応が無いために膜強度が十分では無く、加えて材料間の相互作用も弱いために導電性能も低い結果となった。
以上のことから、カルボキシル基を有するカーボンナノファイバーと、一般式(1)で表される化合物およびエポキシ基含有化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種である架橋剤との架橋物である複合体は、導電性能に優れことが明らかとなった。
本発明の複合体は、導電性を有する紙、糸、布、プラスチックフィルムとして多方面で使用することができる。

Claims (3)

  1. カルボキシル基を有するカーボンナノファイバーと、下記一般式(1)で表される化合物およびエポキシ基含有化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種である架橋剤とを含む組成物を基材に塗布、含浸または印刷してなる複合体。
    一般式(1)
    (式中、Xはn価の、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、脂肪族複素環基または芳香族複素環基を表し、nは2〜6の整数であり、
    1およびR2は、それぞれ独立に、水素原子、一般式(2)で表される基、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基または芳香族炭化水素基を表し、R1およびR2のうち、少なくとも1つは、一般式(2)で表される基である。)
    一般式(2)
    (式中、R3〜R6はそれぞれ独立に、水素原子または脂肪族炭化水素基を表す。)
  2. カルボキシル基を有するカーボンナノファイバーが、カルボキシル基を有する多層カーボンナノチューブ、カルボキシル基を有する単層カーボンナノチューブまたはカルボキシル基を有する黒鉛である請求項1記載の複合体。
  3. 基材が、紙、糸、布またはプラスチックフィルムである請求項1または2記載の複合体。
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