JP2009080896A - 垂直磁気記録ディスクの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 軟磁性層のHexを増大させることによりSNRを高め、再生信号品質を向上させることが可能な垂直磁気記録ディスクの製造方法を提供する。
【解決手段】 基体上に少なくとも第一軟磁性層14aと、非磁性のスペーサ層14bと、第二軟磁性層14cと、磁気記録層22とをこの順に備え、第一軟磁性層14a及び第二軟磁性層14cが反強磁性交換結合(AFC)構造を備える垂直磁気記録ディスクの製造方法において、第一軟磁性層14aは半径方向内向きまたは外向きの磁場38を印加しながら成膜し、第二軟磁性層14cは第一軟磁性層14aを成膜する際とは逆方向の磁場38を印加しながら成膜する。
【選択図】 図3

Description

本発明は、垂直磁気記録方式のHDD(ハードディスクドライブ)などに搭載される垂直磁気記録ディスクの製造方法に関する。
近年の情報処理の大容量化に伴い、各種の情報記録技術が開発されている。特に磁気記録技術を用いたHDDの面記録密度は年率100%程度の割合で増加し続けている。最近では、HDD等に用いられる2.5インチ径垂直磁気記録ディスクにして、1枚あたり160GBを超える情報記録容量が求められるようになってきており、このような要請にこたえるためには1平方インチあたり250Gビットを超える情報記録密度を実現することが求められる。
HDD等に用いられる磁気記録ディスクにおいて高記録密度を達成するために、近年、垂直磁気記録方式の垂直磁気記録ディスクが提案されている。垂直磁気記録方式は、磁気記録層の磁化容易軸が基板面に対して垂直方向に配向するよう調整されている。垂直磁気記録方式は従来の面内記録方式に比べて熱揺らぎ現象を抑制することができるので、高記録密度化に対して好適である。
上記垂直磁気記録方式においては、単磁極型垂直ヘッドが用いられ磁気記録層に対して垂直方向の磁界を生じさせている。しかし、単に単磁極型垂直ヘッドを用いるのみでは、単磁極端部を出た磁束が直ぐに反対側のリターン磁極に戻ろうとするため十分な強度の磁界を磁気記録層に印加することができない。そこで、垂直磁気記録ディスクの磁気記録層の下に軟磁性層を設け、軟磁性層に磁路を形成することで磁気記録層に垂直方向の強い磁界を印加している。すなわち軟磁性層は、書き込むときの磁場によって磁化方向が整列し、動的に磁路を形成する層である。
軟磁性層は書き込む時に利用される層であり、書き込むときの磁場に沿って磁化方向が整列する。しかし読み出す際には軟磁性層に磁化方向を整列させる磁場はかからないので、原則として磁化方向は不規則な方向に散乱している。この不規則な方向は3次元方向であり、軟磁性層の磁化方向に垂直成分が含まれていると、磁気ヘッドで読み出す際に磁気記録層の信号と共にノイズとして拾ってしまうおそれがある。
そこで軟磁性層については、2層に分割し、間に非磁性のスペーサ層を介在させたAFC(Antiferro-magnetic exchange coupling:反強磁性交換結合)構造が提案され、実施されている。AFC構造においては、下層と上層で磁化方向が逆転し、相互に引き合うことで結合して固定される(交換結合)。したがって磁場がかかっていないときの各軟磁性層の磁化方向は互いに反平行(平行かつ互いに逆向き)となり、すなわち基板主表面と平行になる。これにより、磁化の垂直成分が極めて少なくなることで軟磁性層からから生じるノイズを低減することができる。
AFC構造における交換結合の強さは、交換結合磁界Hexで表される。Hexが強いほど軟磁性層の磁化方向は外部磁場の影響を受けにくくなり、漏れ磁場による磁路形成を防止できるため、SNR(Signal-Noise Ratio:シグナルノイズ比)を向上させることができる。
また、本来軟磁性層は、保磁力(Hc)が弱いこと、アモルファスであることなどから、磁区が形成されることについては議論されていなかった。しかしその後の研究によって、AFC媒体以前の単層の軟磁性層には磁区が形成されており、AFC媒体においては磁区が形成されなくなっていることが判明した。
磁区とは磁化方向が同じ方向を向いている領域であって、磁区(ドメイン)が形成されると磁区間の境界には磁壁(ドメインウォール)が形成される。磁壁は磁化方向が反転しているため、磁気ヘッドが磁壁を通過する際には突発的に信号レベルが押し上げられ、スパイクノイズとして検出される。
しかし、AFC構造を形成することにより2層の軟磁性層がそれぞれ単磁区化し、磁壁の発生を防ぐことが可能となっていることから、スパイクノイズを低減することができる。すなわちAFC媒体は、磁化方向の垂直成分をなくすだけでなく、スパイクノイズの防止にも寄与していたことがわかった。
特開2003−45015
上述の如く、AFC媒体においては、交換結合磁界(Hex)が大きいほど軟磁性層の磁化安定性が増し、軟磁性層起因のノイズを抑制できる。したがって、再生信号品質向上のためには軟磁性層のHexの増大が不可欠であるが、現在主流となっている軟磁性層のAFC構造において、Hexの大きさは必ずしも十分ではない。
そこで本発明は、軟磁性層のHexを増大させることによりSNRを高め、再生信号品質を向上させることが可能な垂直磁気記録ディスクの製造方法を提供することを目的とする。
発明者らがHexの増大を阻害する一因として鋭意検討したところ、軟磁性層をDCマグネトロンスパッタリング(以下、スパッタリングと略称する)にて成膜する際、プラズマに磁場を印加するために使用する回転マグネットの漏れ磁場が基体表面付近に影響を与えていることに想到した。すなわちスパッタリングによって成膜される層は、回転マグネットの漏れ磁場の中で成膜されることにより、マイグレーションを起こしている間に磁場方向に磁化容易軸が配向し、その状態で固定される。その結果、磁化方向が一方向(半径方向)に異方性を持つ構造となる。
ここで、スペーサ層の上下に形成される2層の軟磁性層は同様の装置および手順によって成膜されるため、磁化方向が同方向に異方性を持つ構造となる。そしてその後、2つの軟磁性層のうち、一方の軟磁性層の磁化容易軸が反平行方向に反転し、他方の軟磁性層の磁化容易軸と交換結合を成すと考えられる。そして発明者らは、一方の軟磁性層の磁化容易軸が、自身の本来の(成膜時の)磁化方向に対して反転して交換結合を行うために大きなエネルギーが必要となり、結合が弱く、もしくは不安定となっていることを見出した。そして、その結果としてHexが減少し、再生信号品質、特にシグナルノイズ比(SNR)の向上を妨げていることに想到し、本発明を完成するに到った。
すなわち、本発明の代表的な構成によれば、基体上に少なくとも第一軟磁性層と、非磁性のスペーサ層と、第二軟磁性層と、磁気記録層とをこの順に備え、第一軟磁性層及び第二軟磁性層が反強磁性交換結合(AFC)構造を備える垂直磁気記録ディスクの製造方法において、第一軟磁性層は半径方向内向きまたは外向きの磁場を印加しながら成膜し、第二軟磁性層は第一軟磁性層を成膜する際とは逆方向の磁場を印加しながら成膜することを特徴とする。
上記方法によれば、2つの軟磁性層を成膜する際の磁場を変えることにより、第一軟磁性層及び第二軟磁性層は成膜した段階で各々互いに反対の磁化方向を有することとなる。その結果、いずれの軟磁性層の磁化容易軸も反転しないため、交換結合をする際のエネルギーが減少し、安定して結合することができる。よって、Hexを増大させることが可能となる。
また第一軟磁性層または第二軟磁性層を成膜する際に、基体の両主表面に、半径方向内向きまたは外向きのいずれか同一方向の磁場を印加して成膜してもよい。
本来、スパッタリングによる成膜時に磁場をかける目的は、プラズマ化したターゲット粒子を基体に誘引することである。しかし、漏れ磁場が基体を通過した結果、漏れ磁場の影響を受けて、軟磁性層が磁化していた。そして上記のように基体の主表面の両側に各々回転マグネットを設置し、半径方向内向きまたは外向きのいずれか同一方向の磁場を印加することにより、回転マグネット間を行き交う磁束が増加し、積極的に基体にかかる磁場が増大する。このことから、軟磁性層の磁化方向をより確実に配向させることができる。
また、第一軟磁性層または第二軟磁性層を成膜する際は、同一チャンバー内に単一の基体のみを投入して成膜するとよい。
同一チャンバー内に単一の基体のみを投入して成膜することにより、基体主表面に他の磁場の影響を受けずに円形かつ半径方向の磁場を形成することができ、軟磁性層の磁化方向を全方向において一定にすることが可能となる。
以上、説明したように、本発明にかかる垂直磁気記録ディスクの製造方法によれば、軟磁性層のHexを増大させることによりSNRを高め、再生信号品質を向上させることが可能な垂直磁気記録ディスクを製造することができる。
[実施例]
本発明にかかる垂直磁気記録ディスクの製造方法の実施例について説明する。図1は本実施形態にかかる垂直磁気記録ディスクの構成を説明する図である。なお、以下の実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。
図1は、本実施例にかかる垂直磁気記録ディスク100の構成を説明する図である。図1に示す垂直磁気記録ディスク100は、基体10、付着層12、第一軟磁性層14a、スペーサ層14b、第二軟磁性層14c、配向制御層16、第一下地層18a、第二下地層18b、微細化促進層20、第一磁気記録層22a、第二磁気記録層22b、補助記録層24、媒体保護層26、潤滑層28で構成されている。なお第一軟磁性層14a、スペーサ層14b、第二軟磁性層14cは、あわせて軟磁性層14を構成する。第一下地層18aと第二下地層18bはあわせて下地層18を構成する。第一磁気記録層22aと第二磁気記録層22bとはあわせて磁気記録層22を構成する。
まず、アモルファスのアルミノシリケートガラスをダイレクトプレスで円盤状に成型し、ガラスディスクを作成した。このガラスディスクに研削、研磨、化学強化を順次施し、化学強化ガラスディスクからなる平滑な非磁性の基体10を得た。
基体10は、非磁性のガラスであることが好ましい。具体的には、アルミノシリケートガラス、アルミノボロシリケートガラス、ソーダライムガラス等が挙げられるが、中でもアルミノシリケートガラスが好適である。アルミノシリケートガラスは、平滑かつ高剛性が得られるので、磁気的スペーシング、特に、磁気ヘッドの浮上量をより安定して低減できる。また、アルミノシリケートガラスは化学強化により、高い剛性強度を得ることができる。軟磁性層がアモルファスである場合には、基体もアモルファスガラスとするのが好ましい。
得られた基体10上に、真空引きを行った成膜装置を用いて、Ar雰囲気中でスパッタリングにて、付着層12から補助記録層24まで順次成膜を行い、媒体保護層26はCVD法により成膜した。この後、潤滑層28をディップコート法により形成した。なお、量産性が高いという点で、インライン型成膜方法を用いることも好ましい。以下、各層の構成および製造方法について詳述する。
付着層12は、10nmのTi合金層となるように、Ti合金ターゲットを用いて成膜した。付着層12を形成することにより、基体10と軟磁性層14との間の付着性を向上させることができるので、軟磁性層14の剥離を防止することができる。付着層12の材料としては、例えばCrTi合金を用いることができる。実用上の観点からは付着層の膜厚は、1nm〜50nmとすることが好ましい。
軟磁性層14は、第一軟磁性層14aと第二軟磁性層14cの間に非磁性のスペーサ層14bを介在させることによって、AFC(Antiferro-magnetic exchange coupling:反強磁性交換結合)構造を備えるように構成した。これにより軟磁性層14の磁化方向を磁路(磁気回路)に沿って整列させることができ、磁化の垂直成分が減少することで軟磁性層14から生じるノイズを低減することができる。
図2は、AFC構造による磁化特性を説明するための説明図である。かかる磁化特性を参照すると、AFC構造をとらない軟磁性層が外部磁界Hを印加していないとき正負いずれかの磁化状態を維持するのに対して、AFC構造を有する軟磁性層は、磁界Hを印加していないときには、第一軟磁性層14aと第二軟磁性層14cの間で磁束が(b)に示すように閉路を構成し、磁化Mが0になる。そして、いずれかの方向に磁界Hを印加すると、両軟磁性層14a、14cの磁束が矢印(a)、矢印(c)のように同一方向に配向する。
上記AFC構造の結合の強さは、図2に示した交換結合磁界(Hex)に基づいて決まり、Hexが大きいほどAFCのカップリング(交換結合)が強いこととなる。かかるHexは、対応する磁気記録層22の書き込みに対する磁界に対しては磁化され、隣接する磁気記録層22の書き込みに対する磁界に対しては反応しないように設定される。
軟磁性層14の組成はCoCrFeBとしたが、特に限定されず、公知の軟磁性材料を用いることができる。例えば、FeCo系合金(FeCoB、FeCoSiB、FeCoZr、FeCoTaZr、FeCoZrBなど)、Fe系合金(FeTaN、FeTaCなど)、Co系合金(CoTaZr、CoZrNb、CoBなど)等を挙げることができる。スペーサ層14bの組成はRu(ルテニウム)が好ましい。
軟磁性層14の総膜厚は20nm以上120nm以下、好ましくは30nm以上100nm以下であることが望ましい。軟磁性層14の総膜厚が20nm未満であるとオーバーライト(OW)特性に影響を及ぼすことがある。
軟磁性層14はスパッタリングにて成膜する。図3はDCマグネトロンスパッタリングのイメージを説明するための説明図である。スパッタリングを行う際、ターゲット30とシールド32の間に高電圧をかけてArをプラズマ化し、ターゲット30粒子をイオン化する。このイオン化した蒸着粒子を基体10に誘引するため、回転マグネット36により磁場38を印加する。図3のように、ホルダー34に設置した基体10の主表面に対向するように、ターゲットの後方に回転マグネットを設置する。
第一軟磁性層14aを成膜する際は、図3(a)に示すように、半径方向外向きの磁場38を発生する回転マグネット36を使用し、磁場38を印加しながら成膜する。第二軟磁性層14cを成膜する際には、図3(b)に示すように、第一軟磁性層14a成膜時とは逆方向、すなわち、半径方向内向きの磁場38を発生する回転マグネットを使用し、磁場を印加しながら成膜する。
上記工程のように、各軟磁性層成膜時に印加する磁場38を逆方向にすることにより、軟磁性層14の磁化方向は、第一軟磁性層14aと第二軟磁性層14cで逆方向になる。このことにより、第一軟磁性層14aと第二軟磁性層14cがAFC構造を形成する際、一方の軟磁性層の磁化軸が逆方向に反転する必要がなくなり、結合が安定し、Hexを増大させることが可能となる。なお、上記工程において、第一軟磁性層14a成膜時と第二軟磁性層14c成膜時の回転マグネットの磁場の方向が逆転しても同様の効果が得られる。
また、軟磁性層14を上記工程にて成膜する際、基体10の主表面の両側に回転マグネット36を設置して磁場38を印加して成膜することにより、一方の回転マグネット36から出て他方の回転マグネット36に到る磁場38が発生する。これにより、基体の両主表面に、半径方向内向きまたは外向きのいずれか同一方向の磁場が印加される。この磁場38は基体10を通過することから、積極的に基体10に磁場38をかけることができ、軟磁性層の磁化方向をより確実に配向させることができる。
更に、仮に1つのチャンバー内に2枚の基体10を投入するとすれば、回転マグネット36も基体10と同じ数だけ配置する必要がある。しかし複数の回転マグネット36を配置(配列)すればその磁場は相互に影響し合うため、基体10にかかる磁場が必ずしも円形とならない。そこで、軟磁性層14の成膜時、一つのチャンバー内に単一の基体10のみを投入して成膜することにより、基体10主表面に他の磁場の影響を受けずに円形かつ半径方向の磁場を形成することができ、軟磁性層14の磁化方向を全方向において一定にすることが可能となる。
配向制御層16は、軟磁性層14を防護する作用と、下地層18の結晶粒の配向の整列を促進する作用を備える。配向制御層16としては、fcc構造またはhcp構造を有することが好ましい。配向制御層16の材質としては、Ni、Cu、Pt、Pd、Zr、Hf、Nbから選択することができる。さらにこれらの金属を主成分とし、Ti、V、Ta、Cr、Mo、Wのいずれか1つ以上の添加元素を含む合金としてもよい。例えば、NiW、CuW、CuCrを好適に選択することができる。膜厚は50nm以下が好ましい。50nmを超えると、オーバーライト(OW)特性に影響を及ぼすことがある。
下地層18は、hcp構造であって、磁気記録層22のhcp構造の結晶をグラニュラー構造として成長させることができる。したがって、下地層18の結晶配向性が高いほど、磁気記録層22の配向性を向上させることができる。下地層18の材料としては、Ruの他に、RuCr、RuCoから選択することができる。Ruはhcp構造をとり、Coを主成分とする磁気記録層を良好に配向することができる。
本実施例において下地層18は、Ruからなる2層構造となっている。上層側の第二下地層18bを形成する際に、下層側の第一下地層18aを形成するときよりもArのガス圧を高くしている。ガス圧を高くするとスパッタリングされるプラズマイオンの自由移動距離が短くなるため、成膜速度が遅くなり、結晶配向性を改善することができる。また、高圧にすることにより、結晶格子の大きさが小さくなる。Ruの結晶格子の大きさはCoの結晶格子よりも大きいため、Ruの結晶格子を小さくすればCoのそれに近づき、Coのグラニュラー層の結晶配向性を更に向上させることができる。
微細化促進層20は、非磁性のグラニュラー層である。下地層18のhcp結晶構造の上に非磁性のグラニュラー層を形成し、この上に第一磁気記録層22aのグラニュラー層を成長させることにより、磁性のグラニュラー層を初期成長の段階(立ち上がり)から分離させる作用を有している。微細化促進層20の組成は非磁性のCoCr−SiOとした。
磁気記録層22は、膜厚の薄い第一磁気記録層22aと、膜厚の厚い第二磁気記録層22bとから構成されている。
第一磁気記録層22aは、非磁性物質の例としての酸化クロム(Cr)を含有するCoCrPtからなる硬磁性体のターゲットを用いて、2nmのCoCrPt−Crのhcp結晶構造を形成した。非磁性物質は磁性物質の周囲に偏析して粒界を形成し、磁性粒(磁性グレイン)は柱状のグラニュラー構造を形成した。この磁性粒は、微細化促進層のグラニュラー構造から継続してエピタキシャル成長した。
第二磁気記録層22bは、非磁性物質の例としての酸化チタン(TiO)を含有するCoCrPtからなる硬磁性体のターゲットを用いて、10nmのCoCrPt−TiOのhcp結晶構造を形成した。第二磁気記録層22bにおいても磁性粒はグラニュラー構造を形成した。
磁気記録層22は、上記に記載した以外にも、公知の硬磁性材料を用いることができる。具体的には、CoCrPt系材料、CoCrPt−O系材料、CoCrPt−酸化物(SiO、Taなど)系材料等が挙げられる。また、SNR特性改善などを目的として、希土類金属などを添加することもできる。
磁気記録層22の膜厚は、例えば10nm〜30nmの範囲であることが好ましい。また、本実施例において磁気記録層22は2層構造となっているが、単層構造としてもよいし、組成の異なる材料からなる2層以上の構造とすることも可能である。
補助記録層24は、グラニュラー磁性層の上に高い垂直磁気異方性を示す薄膜(連続層)を形成し、CGC構造(Coupled Granular Continuous)を構成するものである。これによりグラニュラー層の高密度記録性と低ノイズ性に加えて、連続膜の高熱ゆらぎ耐性を付け加えることができる。補助記録層24の組成は、CoCrPtBとした。
媒体保護層26は、真空を保ったままカーボンをCVD法により成膜した。媒体保護層26は、磁気ヘッドの衝撃から磁気記録層22を防護するための保護層である。一般にCVD法によって成膜されたカーボンはスパッタリングによって成膜したものと比べて膜硬度が向上するので、磁気ヘッドからの衝撃に対してより有効に磁気記録層22を防護することができる。媒体保護層26には従来公知の材料を用いることができる。例えば、C、SiO、ZrO等である。また、高記録密度化の観点から、媒体保護層の膜厚は1nm以上5nm以下であることが好ましい。
潤滑層28は、PFPE(パーフロロポリエーテル)をディップコート法により成膜した。その他の公知材料も用いることができる。具体的には、フッ素化アルコール、フッ素化カルボン酸等である。潤滑層28の膜厚は約1nmである。
以上の製造工程により、垂直磁気記録ディスク100が得られた。以下に、実施例と比較例を用いて本発明の有効性について説明する。
[評価]
図4は、実施例及び比較例におけるスペーサ層の膜厚と交換結合磁界(Hex)の強度との関係を示すグラフである。実施例は上記説明した如く逆方向の磁場を印加しながら第一軟磁性層と第二軟磁性層を成膜した垂直磁気記録ディスクであり、比較例は同一方向の漏れ磁場がかかった状態で第一、第二軟磁性層を成膜した垂直磁気記録ディスクである。
図4に示すように、実施例と比較例は共に、スペーサ層の膜厚を次第に厚くしていくとHexは一旦増加してピークを迎え、更に膜厚を厚くするとHexは低下する傾向にある。ここで、ピークに到達した際、Hexの値が比較例より実施例のほうが大きいことから、実施例のほうが交換結合が強く、結合が安定していることがわかる。
図5は、実施例及び比較例における、シグナルノイズ比(SNR:Signal Noise Ratio)(dB)とトラック幅(nm)との関係を示すグラフである。
図5に示すように、トラック幅が狭くなるほどにSNRが低下する傾向にある。ここで、いかなるトラック幅においても、比較例より実施例のほうが高いSNRを示していることがわかる。このことから、本発明によって、従来と同じトラック幅であれば、従来よりSNRが増大し再生信号品質が向上した垂直磁気記録ディスクを提供することができる。また、従来と同じ再生信号品質であれば、従来よりトラック幅を狭め記録密度が向上した垂直磁気記録ディスクを提供することができる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施例について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
本発明は、垂直磁気記録方式のHDDなどに搭載される垂直磁気記録ディスクの製造方法として利用可能である。
本実施形態にかかる垂直磁気記録ディスクの構成を説明する図である。 AFC構造による磁化特性を説明するための説明図である。 DCマグネトロンスパッタリングのイメージを説明するための説明図である。 実施例及び比較例における、スペーサ層の膜厚と交換結合磁界(Hex)の強度との関係を示すグラフである。 実施例及び比較例における、シグナルノイズ比(SNR)とトラック幅(MWW)との関係を示すグラフである。
符号の説明
10 …基体
12 …付着層
14 …軟磁性層
14a …第一軟磁性層
14b …スペーサ層
14c …第二軟磁性層
16 …配向制御層
18 …下地層
18a …第一下地層
18b …第二下地層
20 …微細化促進層
22 …磁気記録層
22a …第一磁気記録層
22b …第二磁気記録層
24 …補助記録層
26 …媒体保護層
28 …潤滑層
30 …ターゲット
32 …シールド
34 …ホルダー
36 …回転マグネット
38 …磁場
100 …垂直磁気記録ディスク

Claims (3)

  1. 基体上に少なくとも第一軟磁性層と、非磁性のスペーサ層と、第二軟磁性層と、磁気記録層とをこの順に備え、前記第一軟磁性層及び第二軟磁性層が反強磁性交換結合(AFC)構造を備える垂直磁気記録ディスクの製造方法において、
    前記第一軟磁性層は半径方向内向きまたは外向きの磁場を印加しながら成膜し、前記第二軟磁性層は前記第一軟磁性層を成膜する際とは逆方向の磁場を印加しながら成膜することを特徴とする垂直磁気記録ディスクの製造方法。
  2. 前記第一軟磁性層または第二軟磁性層を成膜する際に、基体の両主表面に、半径方向内向きまたは外向きのいずれか同一方向の磁場を印加して成膜することを特徴とする、請求項1に記載の磁気記録ディスクの製造方法。
  3. 前記第一軟磁性層または第二軟磁性層を成膜する際に、同一チャンバー内に単一の基体のみを投入して成膜することを特徴とする、請求項1に記載の磁気記録ディスクの製造方法。
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