JP2009079078A - 水性樹脂分散組成物の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】塩素を含有しない酸変性ポリオレフィンを、乳化剤を使用せずに、水に均一に微分散せしめて、安定な水性分散体を製造する方法を提供する。
【解決手段】酸変性ポリオレフィンを、エーテル系溶剤、アルコール系溶剤、芳香族系溶剤および水に加熱溶解させ、これに塩基性物質を添加し、冷却した後に、エーテル系溶剤、アルコール系溶剤および芳香族系溶剤を除去する水性樹脂分散組成物の製造方法であって、使用するエーテル系溶剤、アルコール系溶剤および芳香族系溶剤の割合が、重量比で、エーテル系溶剤:アルコール系溶剤:芳香族系溶剤=100:3〜50:3〜50である方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂素材に対する接着付与剤等として使用される水性樹脂分散組成物の製造方法に関する。
ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂は、優れた性質を持ち安価であることから、自動車部品、各種フィルム、各種成形品等に多量に使用されている。しかしながら、ポリオレフィン系樹脂は結晶性で表面は無極性のため、塗装や接着が困難であるという問題を有する。
このため、ポリオレフィン系樹脂の塗装、印刷、フィルムの張り合わせや接着には、酸変性ポリオレフィンが開発され、中でも酸変性塩素化ポリオレフィンは、接着性に優れ、各種溶剤に容易に溶解するために取り扱い性に優れ、汎用的に使用されてきた。しかしながら、塩素を含有していると、焼却時にダイオキシン等の毒性物質の生成が懸念されるため、塩素を含有しない酸変性ポリオレフィンの分散体であって、環境面や衛生面に配慮した水性分散体が望まれている。
これらの酸変性ポリオレフィンの水性分散体としては、分散粒子の粒子径を小さくし、安定化を図るために、製造時に多量の乳化剤(あるいは界面活性剤)を使用したものが知られている。しかしながら、乳化剤を使用すると、水性分散体の接着性が低下するだけでなく、濃縮時に発泡して工程に長時間を要したり、塗工時に泡が残存して塗工被膜にむらが発生したり、塗工後に乳化剤がブリードアウトして外観不良を起こしたり、あるいは塗工被膜中に残存して塗工被膜の耐ガソホール性、耐水性、耐ブロッキング性等の物性を低下させたりするなど、多くの問題を有している。
一方、乳化剤を使用せずに、酸変性塩素化ポリオレフィンを、エーテル系溶剤またはエーテル系溶剤とアルコール系溶剤との混合有機溶剤に溶解し、アミン類を添加し、水に分散させた後、有機溶剤を除去するという水性樹脂分散組成物の製造方法が知られている(特許文献1、特許文献2参照)。しかしながら、塩素を含有しない酸変性ポリオレフィンを用いて、これらの方法と同様の方法で水性樹脂分散組成物を製造しようとしたところ、酸変性ポリオレフィンの溶解性や分散性が酸変性塩素化ポリオレフィンに比べて著しく低いため、酸変性ポリオレフィンの均一な水への分散ができず、安定な水性分散体が得られなかった。
国際公開WO 03/106555 特開2006−104432号公報
本発明の課題は、塩素を含有しない酸変性ポリオレフィンを、乳化剤を使用せずに、水に均一に微分散せしめて、安定な水性分散体を製造する方法を提供することにある。
本発明者らは、種々検討を重ねた結果、エーテル系溶剤、アルコール系溶剤および芳香族系溶剤を、特定の割合で使用することにより、乳化剤を使用しなくても、酸変性ポリオレフィンを水に分散できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記に示すとおりの水性樹脂分散組成物の製造方法を提供するものである。
項1. 酸変性ポリオレフィンを、エーテル系溶剤、アルコール系溶剤、芳香族系溶剤および水に加熱溶解させ、これに塩基性物質を添加し、冷却した後に、エーテル系溶剤、アルコール系溶剤および芳香族系溶剤を除去する水性樹脂分散組成物の製造方法であって、使用するエーテル系溶剤、アルコール系溶剤および芳香族系溶剤の割合が、重量比で、エーテル系溶剤:アルコール系溶剤:芳香族系溶剤=100:3〜50:3〜50である方法。
項2. 酸変性ポリオレフィンが、ポリプロピレンおよびプロピレン−α−オレフィン共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種に対し、α,β−不飽和カルボン酸およびその酸無水物からなる群より選ばれる少なくとも1種を0.1〜10重量%グラフト共重合してなる項1に記載の方法。
項3. 酸変性ポリオレフィンの重量平均分子量が5000〜200000である項1または2に記載の方法。
項4. 酸変性ポリオレフィンを加熱溶解する前の混合系において、酸変性ポリオレフィン、水、ならびにエーテル系溶剤とアルコール系溶剤と芳香族系溶剤との総有機溶剤の割合が、重量比で、酸変性ポリオレフィン:水:総有機溶剤=100:50〜800:11〜900である項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の水性樹脂分散組成物の製造方法は、酸変性ポリオレフィンを、エーテル系溶剤、アルコール系溶剤、芳香族系溶剤および水に加熱溶解させ、これに塩基性物質を添加し、冷却した後に、エーテル系溶剤、アルコール系溶剤および芳香族系溶剤を除去することからなる。
原料の酸変性ポリオレフィンとしては、例えば、ポリプロピレンおよびプロピレン−α−オレフィン共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種に、α,β−不飽和カルボン酸およびその酸無水物からなる群より選ばれる少なくとも1種をグラフト共重合して得られるものを用いることができる。
ここで、プロピレン−α−オレフィン共重合体とは、プロピレンを主体としてこれにα−オレフィンを共重合したものである。α−オレフィンとしては、例えば、エチレン、1−ブテン、1−ヘプテン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテンなどを1種または数種用いることができる。これらの中では、1−ブテンが好ましい。プロピレン−α−オレフィン共重合体のプロピレン成分とα−オレフィン成分との比率には特に制限はないが、プロピレン成分が50モル%以上であることが好ましい。
プロピレン−α−オレフィン共重合体の製造方法については特に制限はないが、メタロセン系触媒を用いて重合したプロピレン−α−オレフィン共重合体は、均一な結晶性を有しており、溶剤に対する溶解性も優れており、好ましい。
ポリプロピレンおよびプロピレン−α−オレフィン共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種にグラフト共重合するα,β−不飽和カルボン酸およびその酸無水物としては、例えば、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸およびこれらの酸無水物が挙げられる。これらの中でも酸無水物が好ましく、無水マレイン酸、無水イタコン酸がより好ましい。グラフト共重合する量は、0.1〜10重量%が好ましく、1〜5重量%がより好ましい。
ポリプロピレンおよびプロピレン−α−オレフィン共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種に、α,β−不飽和カルボン酸およびその酸無水物からなる群より選ばれる少なくとも1種をグラフト共重合する方法としては、溶液法や溶融法などの公知の方法が挙げられる。
溶液法としては、例えば次のように行う。すなわち、ポリプロピレンおよびプロピレン−α−オレフィン共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種を、トルエン等の芳香族系有機溶媒に100〜180℃で溶解させた後、α,β−不飽和カルボン酸およびその酸無水物からなる群より選ばれる少なくとも1種を添加し、さらにラジカル発生剤を一括または分割で添加して反応させる。
溶融法としては、例えば次のように行う。すなわち、ポリプロピレンおよびプロピレン−α−オレフィン共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種を、融点以上に加熱溶融した後、α,β−不飽和カルボン酸およびその酸無水物からなる群より選ばれる少なくとも1種とラジカル発生剤を添加して反応させる。
ラジカル発生剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド等が挙げられ、反応温度と分解温度によって選定することができる。
酸変性ポリオレフィンの重量平均分子量は、5000〜200000であるのが好ましい。5000未満だと、凝集力が弱くなり密着性が劣る場合がある。200000を超えると、溶解状態が悪くて水への分散が行えない場合がある。より好ましい重量平均分子量は、30000〜120000である。
本発明の水性樹脂分散組成物の製造方法は、酸変性ポリオレフィンを、エーテル系溶剤、アルコール系溶剤、芳香族系溶剤および水に加熱溶解させ、これに塩基性物質を添加し、冷却した後に、エーテル系溶剤、アルコール系溶剤および芳香族系溶剤を除去することからなる。
これを、工程ごとに説明する。
まず、酸変性ポリオレフィンを、エーテル系溶剤、アルコール系溶剤、芳香族系溶剤および水に加熱溶解させる。
エーテル系溶剤としては、テトラヒドロフラン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル等が挙げられ、これらを1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、テトラヒドロフランが好ましい。
アルコール系溶剤としては、炭素数1〜7の脂肪族アルコール、芳香族アルコール、脂環式アルコール等が挙げられ、これらを1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、炭素数3〜5の脂肪族アルコールが好ましく、イソプロピルアルコールがより好ましい。
芳香族系溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、ソルベントナフサ等が挙げられ、これらを1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、トルエンが好ましい。
使用するエーテル系溶剤、アルコール系溶剤および芳香族系溶剤の割合は、重量比で、エーテル系溶剤:アルコール系溶剤:芳香族系溶剤=100:3〜50:3〜50であり、好ましくは100:5〜35:5〜35である。エーテル系溶剤100重量部に対するアルコール系溶剤の割合が50重量部を超えると、製造工程中の高温時での酸変性ポリオレフィンの溶解性が低下し、均一な分散ができない。また、芳香族系溶剤の割合が50重量部を超えると、粒子と粒子が凝集して凝集物が多く生成し、均一な分散ができない。また、アルコール系溶剤または芳香族系溶剤の割合が3重量部未満であると、その効果が発現せず、均一な分散ができない。
酸変性ポリオレフィンを加熱溶解する前の混合系において、酸変性ポリオレフィン、水、ならびにエーテル系溶剤とアルコール系溶剤と芳香族系溶剤との総有機溶剤の割合は、任意に選択することができるが、重量比で、酸変性ポリオレフィン:水:総有機溶剤=100:50〜800:11〜900であるのが好ましく、100:200〜400:43〜233であるのがより好ましい。水または総有機溶剤が多い場合は、酸変性ポリオレフィンの水への分散がより容易に起こるが、濃縮に時間を要したり、容積効率が低下するので、経済的に不利となり、実用的ではない。水が少ない場合には、明らかに分散ができない。総有機溶剤が少ない場合には、加熱溶解時に著しく粘度が上昇し、均一な溶解ができず、結局、均一な分散ができない。
加熱溶解する際の温度は特に制限されないが、50℃以上が好ましい。また、75℃以下であれば、使用する有機溶剤の沸点以下であり、加熱溶解するのに圧力容器が不要で、好ましい。溶解時間も特に制限されないが、通常は1〜2時間で完全に溶解できる。
次に、同温度を維持した状態で塩基性物質を添加する。塩基性物質としては、モルホリン;アンモニア;メチルアミン、エチルアミン、ジメチルアミン、トリエチルアミン、エタノールアミン、ジメチルエタノールアミン等のアミン等が挙げられ、これらを1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。好ましい塩基性物質は、ジメチルエタノールアミンである。塩基性物質の使用量は、酸変性ポリオレフィンのカルボキシル基に対して、1〜5化学当量であるのが好ましく、1.5〜3.5化学当量であるのがより好ましい。目的の水性樹脂分散組成物は、中性からアルカリ性に保持することで、安定性をより維持できる。塩基性物質の添加方法としては、そのまま添加しても良いが、より均一に混合するために水で希釈して添加しても良い。また、塩基性物質を添加する温度および分散時間は、特に制限されないが、溶解温度と同様に50℃〜75℃で、分散に要する時間は1〜2時間が好ましい。
次に、得られた分散体から有機溶剤を除去して、水性樹脂分散組成物を得る。有機溶剤を除去するには、減圧で留去すればよい。留去する際の減圧度、温度は、特に制限されないが、90〜95KPa程度、20〜60℃程度が好ましい。この際、水の一部も留去される。減圧蒸留により有機溶剤と一部の水を留去した後の水性樹脂分散組成物の組成(重量比)は、酸変性ポリオレフィン:塩基性物質:水=1:0.06〜0.33:1.5〜4であるのが好ましい。なお、必要に応じて追加量の水を添加することができる。
本発明で得られる水性樹脂分散組成物は、そのままでも顔料を混合して使用しても良く、また他の水性樹脂を混合しても良い。
本発明で得られる水性樹脂分散組成物は、ポリオレフィン系樹脂に対する密着性に優れているので、塗装、印刷、接着、コーティングの際のプライマーや、塗料、インキ、コーティング剤、接着剤の用途に有用である。
本発明の製造方法によれば、乳化剤を使用せずに酸変性ポリオレフィンの水性樹脂分散組成物を容易に得ることができる。
本発明の製造方法には、押し出し機や乳化機といった特別な設備が必要でなく、工程が簡便で工業的に有用である。
本発明で得られる水性樹脂分散組成物においては、樹脂が、微細粒子の形で均一且つ安定的に水に分散している。
本発明で得られる水性樹脂分散組成物は、貯蔵安定性が良好で、しかも、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂に対する密着性、耐ガソリン性、耐水性に優れている。
以下に、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1
イオン交換水188g、酸変性ポリオレフィン(メタロセン系触媒を用いて重合されたプロピレン−1−ブテン共重合体(プロピレン成分76モル%および1−ブテン成分24モル%)、無水マレイン酸のグラフト量:2.4重量%、重量平均分子量:60000、230℃での溶融粘度:1950mPa・s、融点:70℃)50g、テトラヒドロフラン70g、イソプロピルアルコール5gおよびトルエン5gを撹拌機付きフラスコに入れ、70℃に昇温した後、同温度で2時間、加熱溶解した。次に、ジメチルエタノールアミン3.3gを添加し、2時間かけて徐々に40℃まで冷却した後、91KPaの減圧度で有機溶剤を留去し、微濁黄色の均一な分散体(水性樹脂分散組成物)を得た。この分散体の固形分濃度は25重量%、25℃での粘度は64.3mPa・s、pHは9.4、平均粒子径は92nmであった。
実施例2
イオン交換水125g、酸変性ポリオレフィン(メタロセン系触媒を用いて重合されたプロピレン−1−ブテン共重合体(プロピレン成分76モル%および1−ブテン成分24モル%)、無水マレイン酸のグラフト量:2.7重量%、重量平均分子量:40000、230℃での溶融粘度:1050mPa・s、融点:85℃)50g、テトラヒドロフラン70g、イソプロピルアルコール5gおよびトルエン5gを撹拌機付きフラスコに入れ、70℃に昇温した後、同温度で2時間、加熱溶解した。次に、ジメチルエタノールアミン3.5gを添加し、2時間かけて徐々に40℃まで冷却した後、91KPaの減圧度で有機溶剤を留去し、微濁黄色の分散体(水性樹脂分散組成物)を得た。この分散体の固形分濃度は25重量%、25℃での粘度は28.4mPa・s、pHは8.7、平均粒子径は53nmであった。
比較例1
実施例1で用いたトルエンをテトラヒドロフランに置換えた。すなわち、イオン交換水188g、酸変性ポリオレフィン50g、テトラヒドロフラン75gおよびイソプロピルアルコール5gを撹拌機付きフラスコに入れ、実施例1と同様の操作を行った。得られた分散体には、目視確認できる大きな粗粒子があり、不均一な微黄色の分散体であった。この分散体をステンレス製の400メッシュ金網を通過させ、粗粒子を除去した。通過した分散体の固形分濃度は25重量%、25℃での粘度は112mPa・s、pHは9.5,平均粒子径は147nmであった。通常、均一に分散している分散体の粒度分布は1山の正規分布に近いが、本比較例の分散体の粒度分布は3山に別れていた。このことから、本比較例の分散体は、同一系内に異なる粒度分布を持った集合体の集まりであり、酸変性ポリオレフィンの均一な分散がなされていないことがわかる。
比較例2
実施例1で用いたトルエン量を、テトラヒドロフラン100重量部に対して53重量部に増やした。すなわち、イオン交換水188g、酸変性ポリオレフィン50g、テトラヒドロフラン75g、イソプロピルアルコール5gおよびトルエン40gを撹拌機付きフラスコに入れ、実施例1と同様の操作を行った。得られたものは全く分散しておらず、樹脂を多く含んだ樹脂層と水層とに分かれていた。
実施例1、2および比較例1で得られた水性樹脂分散組成物について、密着性、耐ガソリン性および耐水性の評価を、以下の方法で行った。
密着性:
固形分濃度25重量%の水性樹脂分散組成物をポリプロピレン板に塗装し、80℃で10分間乾燥した後、二液ウレタン塗料を塗装し、90℃で20分間乾燥した。この塗装片の塗面にカッターナイフで切り目を入れて、1mm間隔で100個の碁盤目を作り、その上にセロハン粘着テープを密着させて180°の方向に10回引き剥がした。10回剥離しても変化の無かった場合を10点とした。
耐ガソリン性:
上記と同様にして塗装片を作製し、20℃のレギュラーガソリンに塗装片を2時間浸漬させた。塗膜表面に変化が無かった場合を良好、塗膜表面に剥離が生じた場合を不良とした。
耐水性:
上記と同様にして塗装片を作製し、40℃の温水に塗装片を10日間浸漬させた。塗膜表面に変化が無かった場合を良好、塗膜表面にブリスターが生じた場合を不良とした。
耐水性試験後の密着性:
上記の耐水性試験を行った後の試験片の塗面にカッターナイフで切り目を入れて、1mm間隔で100個の碁盤目を作り、その上にセロハン粘着テープを密着させて180°の方向に10回引き剥がした。10回剥離しても変化の無かった場合を10点とした。
評価結果を表1に示す。
Figure 2009079078
表1から明らかなように、均一な分散がなされた実施例1および実施例2の水性樹脂分散組成物から得られた塗膜の性能は良好であった。比較例1の水性樹脂分散組成物から得られた塗膜では、耐水性が悪かった。
次に、実施例1、2および比較例1で得られた水性樹脂分散組成物について、貯蔵安定性の評価を、以下の方法で行った。
貯蔵安定性:
固形分濃度25重量%の水性樹脂分散組成物を、25℃および40℃の環境下で固化するまで静置した。25℃で180日まで、40℃で90日まで、10日毎に水性樹脂分散組成物の状態を観察した。分散系が崩れて樹脂が凝集するまでの日数、すなわち固化するまでの日数を記録した。また、沈降物の有無を確認した。
評価結果を表2に示す。
Figure 2009079078
表2から明らかなように、実施例1および実施例2の水性樹脂分散組成物の貯蔵安定性は良好であった。各温度における観察期間において固化することもなく、沈降物も発生せず、安定な水性樹脂分散組成物であった。一方、芳香族系溶剤を使用しなかった比較例1の組成物では、10日目には沈降物が発生した。また、固化するまでの期間も実施例に比べると明らかに短かった。

Claims (4)

  1. 酸変性ポリオレフィンを、エーテル系溶剤、アルコール系溶剤、芳香族系溶剤および水に加熱溶解させ、これに塩基性物質を添加し、冷却した後に、エーテル系溶剤、アルコール系溶剤および芳香族系溶剤を除去する水性樹脂分散組成物の製造方法であって、使用するエーテル系溶剤、アルコール系溶剤および芳香族系溶剤の割合が、重量比で、エーテル系溶剤:アルコール系溶剤:芳香族系溶剤=100:3〜50:3〜50である方法。
  2. 酸変性ポリオレフィンが、ポリプロピレンおよびプロピレン−α−オレフィン共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種に対し、α,β−不飽和カルボン酸およびその酸無水物からなる群より選ばれる少なくとも1種を0.1〜10重量%グラフト共重合してなる請求項1に記載の方法。
  3. 酸変性ポリオレフィンの重量平均分子量が5000〜200000である請求項1または2に記載の方法。
  4. 酸変性ポリオレフィンを加熱溶解する前の混合系において、酸変性ポリオレフィン、水、ならびにエーテル系溶剤とアルコール系溶剤と芳香族系溶剤との総有機溶剤の割合が、重量比で、酸変性ポリオレフィン:水:総有機溶剤=100:50〜800:11〜900である請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
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