JP2009079051A - アルキルフェノールの製造法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高価で爆発の危険性がある有機過酸や過酸化水素を用いること無に、アルキルフェノールを安全で工業的に有利に製造する方法の提供。
【解決手段】芳香族アルデヒドを酸素含有ガスにより酸化して蟻酸アリールと芳香族カルボン酸を製造する第一工程、第一工程で得られた反応生成物から、芳香族カルボン酸、蟻酸アリールと芳香族アルデヒドの混合物および蟻酸アリールを分離する第二工程、蟻酸アリールを分解してアルキルフェノールを製造する第三工程からなり、第二工程で分離された蟻酸アリールと芳香族アルデヒドの混合物を第一工程に循環させる。
【選択図】なし

Description

本発明は芳香族アルデヒドからアルキルフェノールを製造する方法に関する。アルキルフェノールは種々の工業薬品、薬剤、染料の原料及び中間体として有用な化合物である。
アルキルフェノールを製造する方法として、バイヤービリガー反応により、芳香族アルデヒドと過酢酸あるいは過安息香酸等の過酸化物を反応させる方法が知られている。このバイヤービリガー反応による方法において、アルキルフェノールの収率を向上する為に多くの努力がなされている。例えば特開昭47−27933号では、水中でのpKaが4よりも小さいカルボン酸から誘導される有機過酸を用いることにより芳香族アルデヒドからアルキルフェノールを定量的に合成している。また特開昭48−56635号では、無機酸存在下、過酸化水素と芳香族アルデヒドの反応でアルキルフェノールを得ている。
特開昭47−27933号での有機過酸を用いる方法は、過蟻酸、過酢酸等を使用するが、これらの試薬は高価であり、かつ爆発の危険性がある。また特開昭48−56635号での過酸化水素も比較的高価で取り扱いも危険である。本発明の目的は、高価で爆発の危険性がある有機過酸や過酸化水素を用いること無に、アルキルフェノールを安全で工業的に有利に製造する方法を提供することにある。
発明者らは先に、酸化剤として酸素含有ガスを使用し、無水系で芳香族アルデヒドを酸化し、蟻酸アリールと芳香族カルボン酸とする方法を提案した(特開平5−65244号)。酸素含有ガスを使用する方法は、安価な酸化剤を使用し、取り扱い易い方法であるが、以下の難点がある。
(1) 未反応の芳香族アルデヒドと対応する蟻酸アリールの沸点差は極めて小さく蒸留による分離が非常に困難である。例えば、2,4−ジメチルベンズアルデヒドの沸点は117℃/25Torrに対し、2,4−キシレノール蟻酸エステルの沸点は114℃/25Torrである。
(2) この為、未反応の芳香族アルデヒドを減少させるのに芳香族アルデヒドを全量酸化し、芳香族過酸とした後、芳香族アルデヒドと芳香族過酸の反応を行なって、蟻酸アリールと芳香族カルボン酸とすることが考えられるが、反応を2段階で行うことになるので芳香族カルボン酸の選択率が高くなり、蟻酸アリールの選択率が著しく低下する。
本発明者等はアルキルフェノールを安全で有利に製造する方法について鋭意検討を行なった結果、上記の方法により酸素含有ガスを使用して無水系で芳香族アルデヒドを酸化し、蟻酸アリールと芳香族カルボン酸とした後、芳香族カルボン酸を分離し、蒸留分離しにくい蟻酸アリールと芳香族アルデヒドを反応工程に循環し、蟻酸アリールの濃度を高めて蒸留分離することにより、該酸化において溶媒が不要となり、蟻酸アリールと芳香族カルボン酸が有利に製造されること、また得られた蟻酸アリールを分解し、アルキルフェノールに変換することでアルキルフェノールが効率的に得られること、特に蟻酸アリールの分解にはアルカリ金属化合物が特有の触媒作用を有し、アルキルフェノールが有利に製造されることを見出し、本発明に到達した。
即ち本発明は、芳香族アルデヒドを酸素含有ガスにより酸化して蟻酸アリールと芳香族カルボン酸を製造する第一工程、第一工程で得られた反応生成物から、芳香族カルボン酸、蟻酸アリールと芳香族アルデヒドの混合物および蟻酸アリールを分離する第二工程、蟻酸アリールを分解してアルキルフェノールを製造する第三工程からなり、第二工程で分離された蟻酸アリールと芳香族アルデヒドの混合物を第一工程に循環することを特徴とするアルキルフェノールの製造法;無溶媒下10〜120℃で芳香族アルデヒドを酸素含有ガスにより酸化して蟻酸アリールと芳香族カルボン酸を製造する第一工程、第一工程で得られた反応生成物から、芳香族カルボン酸、蟻酸アリールと芳香族アルデヒドの混合物および蟻酸アリールを分離する第二工程からなり、第二工程で分離された蟻酸アリールと芳香族アルデヒドの混合物を第一工程に循環することを特徴とする蟻酸アリールと芳香族カルボン酸の製造法;および液相でアルカリ金属化合物の存在下、蟻酸アリールを熱分解してアルキルフェノールと一酸化炭素を製造することを特徴とするアルキルフェノールの製造法である。
本発明により芳香族アルデヒドを酸素含有ガスにより酸化して蟻酸アリールと芳香族カルボン酸を製造し、得られた反応生成物から芳香族カルボン酸、蟻酸アリールと芳香族アルデヒドの混合物および蟻酸アリールを分離し、分離された蟻酸アリールと芳香族アルデヒドの混合物を酸化反応器に循環することにより蟻酸アリールと芳香族カルボン酸が製造され、蟻酸アリールを更に分解することによって、アルキルフェノールとすることでアルキルフェノールが高成績で得られる。本発明の方法では高価で爆発の危険性がある有機過酸や過酸化水素を用いること無に、アルキルフェノールを安全に工業的に有利に製造することができる。また本発明で副生する芳香族カルボン酸や、一酸化炭素および蟻酸化合物も工業的に有用な物質であるから、本発明は工業的に極めて優れた方法である。
本発明において原料に用いられる芳香族アルデヒドとしては、ベンズアルデヒド、o,m,p−トルアルデヒド、2,4−ジメチルベンズアルデヒド、2,5−ジメチルベンズアルデヒド、3,4−ジメチルベンズアルデヒド、p−エチルベンズアルデヒド、p−メトキシベンズアルデヒド、p−クミンアルデヒド、ビフェニルアルデヒド、n−ブチルベンズアルデヒド、p−フェノキシベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、p−シクロヘキシルベンズアルデヒド、2,4,5−トリメチルベンズアルデヒド、2,4,6−トリメチルベンズアルデヒド、2,3,4−トリメチルベンズアルデヒド等が挙げられる。特にジメチルベンズアルデヒドの異性体及び2,4,5−トリメチルベンズアルデヒドは工業的規模で生産が行なわれており、本発明の原料として好適に用いられる。
本発明の特徴は第二工程で分離された蟻酸アリールと芳香族アルデヒドの混合物を第一工程に循環することである。この循環される蟻酸アリールと芳香族アルデヒドが実質的に溶媒の役目をするので、第一工程の蟻酸アリール合成では溶媒を使用する必要はない。これにより分離困難な蟻酸アリールと芳香族アルデヒドの混合物が有効に用いられ、第二工程の蟻酸アリールと芳香族アルデヒドを分離する操作が簡略化されることと、溶媒を別に分離する工程が不要となることから、蟻酸アリールやアルキルフェノール等を工業的に極めて有利に製造することができる。
第一工程の蟻酸アリール合成では無触媒でも実施することができるが、コバルト、マンガン、鉄、白金、パラジウム、バナジウム、ルテニウム、ジルコニウム、アルミニウム、アンチモン、ベリリウム、銅等の金属触媒を用いることが好ましく、特にコバルト触媒が好適に用いられる。コバルト触媒の使用量は反応液の全重量に対して0.001〜50ppm,好ましくは0.01〜10ppmである。コバルト触媒が0.001ppm未満の場合には反応速度が小さく、又50ppmを超える場合は蟻酸アリールの選択率は低下する。
第一工程の蟻酸アリールと芳香族アルデヒドの製造に際しての酸化剤には酸素含有ガスが用いられる。酸素含有ガスは純酸素、空気、酸素濃度を高めた空気、酸素と不活性ガス(二酸化炭素、窒素等)の混合ガス等の形態で供給されるが、一般的には空気が用いられる。第一工程の反応温度は一般に−20〜150℃、好ましくは10〜120℃の範囲である。反応温度が低すぎる場合は反応速度が小さく、又反応温度が高い場合にはぎ酸アリールの選択率が低下する。また第一工程の反応圧力は一般に大気圧から60 kg/cm2 G であり、好ましくは大気圧から50 kg/cm2 G の範囲である。酸素分圧が高い程、反応速度が増大し、蟻酸アリールの収率が高くなる傾向があり、かつ生成液がオフガスに同伴して系外に逸散するのを防止できるので加圧下で第一工程の反応を行うことが好ましい。しかし60 kg/cm2 G を超えると加圧の効果が現われなくなるので、上記範囲で行うのが一般的である。
第一工程における芳香族アルデヒドの反応率は5〜85mol%、好ましくは7〜70mol%の範囲である。芳香族アルデヒドの反応率を85mol%より高めると芳香族カルボン酸の選択率が高くなり、結果的に蟻酸アリールの選択率が低下する。逆に芳香族アルデヒドの反応率を5mol%より低くした場合には蟻酸アリールの選択率は高くなるが、原料の芳香族アルデヒドの未反応量が増加するので好ましくない。
第二工程では第一工程で得られた反応生成物から、芳香族カルボン酸、蟻酸アリールと芳香族アルデヒドの混合物および蟻酸アリールを分離する。第一工程で得られた反応液は、未反応芳香族アルデヒド、ぎ酸アリール、芳香族カルボン酸、その他、微量の不純物からなり、第二工程でこれらの成分を分離するのに一般的に蒸留法が用いられる。芳香族アルデヒドと蟻酸アリールは沸点差が極めて小さいので、蒸留での分離は非常に困難である。このため第二工程では第一工程で得られた反応液から高沸点成分である芳香族カルボン酸をまず分離する。分離された芳香族カルボン酸は種々の工業薬品の原料及び中間体として用いられる。
第一蒸留塔で第一工程で得られた反応液から芳香族カルボン酸を分離することにより芳香族アルデヒドと蟻酸アリールの混合物が得られるが、この一部を前述の如く第一工程に循環する。この混合物を循環することにより第一工程からの反応液中の蟻酸アリールの割合が高められ、蟻酸アリールを有利に分離することができる。芳香族アルデヒドと蟻酸アリールの混合物の残部は第二蒸留塔で未反応芳香族アルデヒドが分離され、第一工程に循環される。第二蒸留塔では供給液の蟻酸アリールの濃度を40重量%以上、好ましくは60重量%以上とする。蒸留塔塔頂から留出液の蟻酸アリールは90重量%以上、好ましくは95重量%以上である。蟻酸アリールは製品としても用いられるが、更に第三工程で蟻酸アリールは分解することによりアルキルフェノールが得られる。
第三工程では蟻酸アリールを分解してアルキルフェノールを製造する。この蟻酸アリールの分解には以下の方法が用いられる。
(1)熱分解によりアルキルフェノールと一酸化炭素とする。
(2)加水分解によりアルキルフェノールと蟻酸とする。
(3)アルカリ分解によりアルキルフェノールと蟻酸塩とする。
(4)メタノール分解によりアルキルフェノールと蟻酸メチルとする。
まず、 (1)蟻酸アリールの熱分解によるアルキルフェノールと一酸化炭素とする方法では、蟻酸アリールとアルカリ金属化合物と接触させ、熱分解することで効率的に行われる。熱分解に用いられるアルカリ金属化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、蟻酸ナトリウム、蟻酸カリウム、アルキル安息香酸ナトリウム類、アルキル安息香酸カリウム類、ナトリウムメチラート、カリウムメチラート、ナトリウムアルキルフェノラート類、カリウムアルキルフェノラート類が例示される。これらの中、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、ナトリウムアルキルフェノラート類、カリウムアルキルフェノラート類、塩化カリウム、蟻酸ナトリウム、蟻酸カリウムが好適に用いられる。またこれらのアルカリ金属化合物を担持した活性炭も使用される。
熱分解の反応方法には、液相均一触媒反応、液相懸濁触媒反応、固定床液相反応等の液相反応と、固定床気相反応が適用できる。液相反応が好適である。液相触媒反応の場合の触媒の使用量は蟻酸アリールに対して、0.01〜30重量%、好ましくは0.05〜25重量%の範囲である。熱分解温度は110〜350℃、好ましくは150〜330℃の範囲である。熱分解は90℃位から始まる。熱分解温度が高い程、速度は速いが副反応が生じ、350℃以上では副反応が無視できなくなる。反応圧力は一般に大気圧から2MPaの範囲であり、熱分解温度で蟻酸アリールが液相を保つような圧力が用いられる。滞留時間は0.01〜5時間、好ましくは0.1〜2時間の範囲である。滞留時間が長くなると副反応が併発するので好ましくない。分解した蟻酸アリールは、ほぼ定量的にアルキルフェノールと一酸化炭素になる。一酸化炭素はガスとして気相へ分離され、アルキルフェノールは液相に留まる。液相分離液に触媒が縣濁している場合は常法により該縣濁物を除いた後、液相分離液に触媒が溶解している場合はそのまま分離液を蒸留することにより、アルキルフェノールが精製される。
次に (2)加水分解によるアルキルフェノールと蟻酸とする方法について説明する。蟻酸アリールと水と接触させることで加水分解が効率的に行われる。蟻酸アリールに対する水のモル比は1.0〜100倍モル比、好ましくは1.5〜10倍モル比の範囲である。蟻酸アリールに対する水のモル比が1.0以下ではアルキルフェノール中に蟻酸アリールが残存することになる。蟻酸アリールに対する水のモル比が100倍モル以上では得られる蟻酸の濃度が低くなり、回収に熱エネルギーが多く必要となる。加水分解の反応温度は60〜300℃、好ましくは100〜280℃の範囲である。温度が高い程、加水分解の反応速度が速くなるが、高温すぎると分解などが生じようになる。加水分解の滞留時間は0.1〜10時間、好ましくは0.2〜5時間の範囲である。加水分解反応は油層と水層での反応であるので、撹拌を充分行うことが必要である。反応圧力は大気圧から10MPaの範囲で、反応液が液相を保つ圧力で実施する。蟻酸アリールは加水分解反応によりアルキルフェノールと蟻酸に転換し、蟻酸は水層に分配され、アルキルフェノールは油層に分配される。これは油層と水層に分液することで分離しても良いし、そのまま蒸留分離してもよい。
(3)のアルカリ分解によるアルキルフェノールと蟻酸塩とする方法について説明する。蟻酸アリールとアルカリ水溶液と接触させることで、効率的にアルキルフェノールと蟻酸塩とすることができる。アルカリ分解に用いられる触媒として、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムなどが挙げられる。水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムを触媒としてアルカリ分解を行う場合、蟻酸アリールに対するアルカリのモル比は1.0〜1.1の範囲である。過剰に用いた場合には、アルキルフェノールが更にアルキルフェノラートとなるので好ましくない。水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムは通常、水溶液として5〜50重量%で用いられる。この場合アルカリ分解温度及び滞留時間は特に制限されず、室温でも混合することで瞬時にアルキルフェノールと蟻酸塩が得られる。炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム又は炭酸水素カリウムを触媒としたアルカリ分解の場合、蟻酸アリールに対するアルカリのモル比は1.0以上である。この場合は過剰に用いてもアルキルフェノールがアルキルフェノラートにはならない。炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム又は炭酸水素カリウムは通常、水溶液として5〜30重量%位で用いられる。
(4)のメタノール分解によるアルキルフェノールと蟻酸メチルとする方法について説明する。メタノール分解による場合の蟻酸アリールに対するメタノールのモル比はメタノール過剰で行い、好ましくは1.5〜20倍モル比の範囲で実施する。反応温度は50〜250℃の範囲である。通常のエステル交換触媒が使用される。圧力は反応温度で液相を保持するような条件が選択される。
以上の本発明の方法は、回分式、連続式のいずれの方法でも行なうことが出来るが、連続式で行なうことが好ましい。尚本発明においてアルキルフェノールを製造する場合には、第二工程において芳香族カルボン酸が副生する。また上記の如く蟻酸アリールの分解に種々の方法を用いることによって、一酸化炭素、蟻酸、蟻酸塩及び蟻酸メチルが副生する。
次に図面を用いて本発明を説明する。図1は本発明によりアルキルフェノールを製造する場合のフロー図の一例である。図1において第一工程の酸化反応器1 に流路6 より原料の芳香族アルデヒド、流路12より蟻酸アリールと芳香族アルデヒドの混合物、流路13より回収芳香族アルデヒドが供給され、流路7 からの酸素含有ガスと流路8 からの触媒により芳香族アルデヒドの酸化反応が行われる。酸化反応器1 からの酸化反応混合物は流路9 より第一蒸留塔2 に供給される。第一蒸留塔2 では流路10より芳香族カルボン酸が分離される。第一蒸留塔2 の塔頂留出物の一部は流路12から酸化反応器1 に循環される。第一蒸留塔2 の塔頂留出物の残部は流路11から第二蒸留塔3 に供給される。第二蒸留塔3 の塔頂からは蟻酸アリールが留出し、流路14から分解反応器4 に供給される。分解反応器4 では (1)熱分解によりアルキルフェノールと一酸化炭素とする場合には、流路15より触媒のアルカリ金属化合物が導入され、流路18より一酸化炭素が分離される。 (2)加水分解によりアルキルフェノールと蟻酸とする場合には、流路16より水が導入され、流路18より蟻酸が分離される。 (3)アルカリ分解によりアルキルフェノールと蟻酸塩とする場合には、流路15よりアルカリ水溶液が導入され、流路18より蟻酸塩が分離される。 (4)メタノール分解によりアルキルフェノールと蟻酸メチルとする場合には、流路16よりメタノールが導入され流路18より蟻酸メチルが分離される。何れの場合にも流路17よりアルキルフェノールが分離され、精製蒸留塔5 に供給されて蒸留精製されたアルキルフェノールが流路19より留出する。
次に実施例および比較例により本発明を更に具体的に説明する。但し本発明は以下の実施例により制限されるものでない。なお、以下の実施例および比較例において、特記しない限り「%」は「モル%」、「ppm」は重量比である。また反応率および選択率は次の計算値による数値である。
反応率=[原料反応量 (モル) ]/[原料供給量 (モル) ]x100%選択率=[生成量 (モル) ]/[原料供給量 (モル) ]x100%
実施例1(第一工程)
内容積6Lの撹拌機付き流通式オートクレーブに触媒としてナフテン酸コバルトをコバルトとして0.03ppm含む2,4−ジメチルベンズアルデヒドを3000g仕込み、空気を導入し、反応を開始し、反応温度を60℃に維持し、オフガス酸素濃度10容量%、圧力25 kg/cm2 G で、45分間酸化した。酸化反応液を分析した結果、アルデヒド反応率が31%であり、2,4−ジメチル安息香酸の選択率は58%、2,4−キシレノール蟻酸エステルの選択率は41%であった。
実施例2
実施例1で得られた反応液を蒸留して2,4−ジメチル安息香酸を除き、未反応の2,4−ジメチルベンズアルデヒド及び2,4−キシレノール蟻酸エステルを回収した。得られた留出液は2,4−ジメチルベンズアルデヒド82重量%、2,4−キシレノール蟻酸エステル18重量%であった。この留出液を用いて実施例1と同様の酸化反応を70℃で行った。酸化反応液を分析した結果、アルデヒド反応率が36%であり、2,4−ジメチル安息香酸の選択率は58%、2,4−キシレノール蟻酸エステルの選択率は41%であった。
実施例3
実施例1で得られた反応液を蒸留し、2,4−ジメチル安息香酸を除き、未反応の2,4−ジメチルベンズアルデヒド及び2,4−キシレノール蟻酸エステルを回収した。得られた留出液は2,4−ジメチルベンズアルデヒド62重量%、2,4−キシレノール蟻酸エステル37重量%であった。この留出液を用いて実施例1と同様の酸化反応を75℃で行った。反応液を分析した結果、アルデヒド反応率が45%であり、2,4−ジメチル安息香酸の選択率は58%、2,4−キシレノール蟻酸エステルの選択率は41%であった。
実施例4(第二工程)
実施例1で得られた反応液を第一蒸留塔で蒸留し、2,4−ジメチル安息香酸を除き、未反応の2,4−ジメチルベンズアルデヒド及び2,4−キシレノール蟻酸エステルを回収した。留出液は2,4−ジメチルベンズアルデヒド40.8重量%、2,4−キシレノール蟻酸エステル59.0重量%であった。第一蒸留塔の留出液を理論段40段の第二蒸留塔で、25Torrの条件でバッチ蒸留した。第二蒸留塔の留出液は2,4−キシレノール蟻酸エステル93.0重量%、2,4−ジメチルベンズアルデヒド7.0重量%であり、2,4−キシレノール蟻酸エステルの留出率は86.0%であった。得られた純度93.0重量%の2,4−キシレノール蟻酸エステルを以下の第三工程の実施例の原料に用いた。
実施例5(第三工程)
長さ4m、直径6mmΦの蛇管を熱媒タンクに付け、260℃とし、0.5MPaで5時間にわたり、実施例4で得られた93.0重量%の純度の2,4−キシレノール蟻酸エステル液を98部、2,4−キシレノールカリウム塩を2,4−キシレノール蟻酸エステルに対し0.77重量%含む2,4−キシレノールを2部を連続的に圧送した。蛇管出口に於いて、反応混合物を室温に冷却し、気液を分離した。分離液のガスクロマトグラフィーによる定量分析の結果、2,4−キシレノール蟻酸エステル反応率は100%、2,4−キシレノール選択率は99%であった。また分離ガスをガスクロマトグラフィーにより定量分析した結果、一酸化炭素が99.75%、二酸化炭素が0.25%、メタン等の有機ガスが6ppmであった。
実施例6〜9及び比較例1実施例4で得られた純度93.0重量%の2,4−キシレノール蟻酸エステルと種々の添加物を撹拌機付反応器に入れ、200℃に加熱し、発生する一酸化炭素をパージし、1時間後、混合物をガスクロマトグラフィーによる定量分析を実施した。添加物と2,4−キシレノール蟻酸エステルに対する添加割合及び反応成績を表1に示す。
表1
添加物 添加割合(%) 反応率(%) 選択率(%)
実施例6 水酸化ナトリウム 8 99.2 100
実施例7 水酸化カリウム 15 100 99
実施例8 炭酸カリウム 2 80.5 100
実施例9 塩化カリウム 1 32.0 100
比較例1 無添加 − 9.2 100
実施例10
実施例4で得られた純度93.0重量%の2,4−キシレノール蟻酸エステル82部と水18部をSUS製の撹拌機付きの圧力容器に仕込み、窒素雰囲気下、175℃に1時間保持した後、オイル相をガスクロマトグラフィーによる定量分析を実施した。2,4−キシレノール蟻酸エステルの反応率は100%であり、2,4−キシレノールの選択率は98%であった。
実施例11
実施例4で得られた純度93.0重量%の2,4−キシレノール蟻酸エステル30部とメタノール70部をSUS製の撹拌機付きの圧力容器に仕込み、窒素雰囲気下、150℃に1時間保持した後、反応液をガスクロマトグラフィーによる定量分析を実施した。2,4−キシレノール蟻酸エステル反応率は86%であり、2,4−キシレノールの選択率は98%であった。
実施例12
実施例4で得られた純度93.0重量%の2,4−キシレノール蟻酸エステル35部と10重量%の重炭酸ナトリウム水溶液65部をSUS製の撹拌機付きの圧力容器に仕込み、窒素雰囲気下、100℃に1時間保持した後、オイル相をガスクロマトグラフィーによる定量分析を実施した。2,4−キシレノール蟻酸エステル反応率は84%であり、2,4−キシレノール選択率は98%であった。
実施例13
実施例4で得られた純度93.0重量%の2,4−キシレノールぎ酸エステル49部と24重量%の水酸化ナトリウム水溶液51部をSUS製の撹拌機付きの圧力容器に仕込み、窒素雰囲気下、室温で混合後、分液し、オイル相をガスクロマトグラフィーによる定量分析を実施した。2,4−キシレノールぎ酸エステル反応率は100%、2,4−キシレノール選択率は100%であった。
実施例14
実施例1に於いて2,4−ジメチルベンズアルデヒドの代わりに2,4,5−トリメチルベンズアルデヒドを使用し、他は実施例1と同じ条件とした。反応液を分析した結果、アルデヒド反応率が32%であり、2,4,5−トリメチル安息香酸選択率は57%、2,4,5−トリメチルフェノール蟻酸エステルの選択率は42%であった。
本発明によりアルキルフェノールを製造する場合のフロー図の一例である。
符号の説明
1:芳香族アルデヒド酸化反応器
2:酸化反応混合物第一蒸留塔
3:酸化反応混合物第二蒸留塔
4:蟻酸アリール分解反応器
5:アルキルフェノール精製蒸留塔
6:原料芳香族アルデヒド
7:酸素含有ガス
8:酸化反応用触媒
10:芳香族カルボン酸
12:蟻酸アリールと芳香族アルデヒドの混合物
13:回収芳香族アルデヒド
19:アルキルフェノール

Claims (3)

  1. 液相でアルカリ金属化合物の存在下、蟻酸アリールを熱分解してアルキルフェノールと一酸化炭素を製造することを特徴とするアルキルフェノールの製造法。
  2. アルカリ金属化合物が、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、ナトリウムアルキルフェノラート類、カリウムアルキルフェノラート類、塩化カリウム、蟻酸ナトリウム、蟻酸カリウムから選ばれた一種以上の化合物である請求項1に記載のアルキルフェノールの製造法。
  3. 熱分解の温度が110〜350℃である請求項1に記載のアルキルフェノールの製造法。
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