JPH05125006A - フエノール類の製造方法 - Google Patents
フエノール類の製造方法Info
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- JPH05125006A JPH05125006A JP3314074A JP31407491A JPH05125006A JP H05125006 A JPH05125006 A JP H05125006A JP 3314074 A JP3314074 A JP 3314074A JP 31407491 A JP31407491 A JP 31407491A JP H05125006 A JPH05125006 A JP H05125006A
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- hydrogen peroxide
- phenols
- reaction
- arsenic
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- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02P—CLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
- Y02P20/00—Technologies relating to chemical industry
- Y02P20/50—Improvements relating to the production of bulk chemicals
- Y02P20/52—Improvements relating to the production of bulk chemicals using catalysts, e.g. selective catalysts
Landscapes
- Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)
- Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】 芳香族アルデヒド類と過酸化水素とを反応せ
しめてフェノール類を高収率で得ることができる新規な
触媒。 【構成】 芳香族アルデヒド類と過酸化水素とをベンゼ
ンなどの溶媒中で触媒としてヒ素酸化物、アルシン酸
類、アルソン酸類などのヒ素化合物の存在下に、水を共
沸蒸留で反応系から除きながら反応せしめる。
しめてフェノール類を高収率で得ることができる新規な
触媒。 【構成】 芳香族アルデヒド類と過酸化水素とをベンゼ
ンなどの溶媒中で触媒としてヒ素酸化物、アルシン酸
類、アルソン酸類などのヒ素化合物の存在下に、水を共
沸蒸留で反応系から除きながら反応せしめる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は芳香族アルデヒドよりフ
ェノ−ル類を製造する方法に関する。フェノ−ル類は、
合成樹脂・可塑剤等の合成原料、又は殺虫剤や酸化防止
剤、医薬等に使用されており極めて重要な物質である。
ェノ−ル類を製造する方法に関する。フェノ−ル類は、
合成樹脂・可塑剤等の合成原料、又は殺虫剤や酸化防止
剤、医薬等に使用されており極めて重要な物質である。
【0002】
【従来の技術】各種のフェノ−ル類は、従来タ−ル酸か
らの分離法、ベンゼンのスルホン化アルカリ溶融法ある
いはシメン法をはじめとする種々の合成法により製造さ
れてきた。一般に、フェノ−ル類は異性体間はもちろん
同族間でも物性の差が小さいため、分離法によって高純
度の各種フェノ−ル類を製造することは困難である。一
方、合成法においても各種フェノ−ル類のアルキル化等
の方法では異性体が生成し、高選択的に目的物を合成で
きないという欠点を持っている。又、古典的なスルホン
化−アルカリ溶融法では多量の廃棄物の処理が必要であ
りまたシメン法では高価で複雑な装置を必要とするなど
の欠点を有している。これらの方法とは別に、芳香族ア
ルデヒドを過酢酸あるいは過安息香酸などの過酸化物に
より酸化しフェノ−ル類を合成する方法が知られてい
る。この方法は高純度のフェノ−ル類の合成に適してお
り、近年各種芳香族化合物のカルボニル化による選択的
な各種芳香族アルデヒドの工業的製造が可能となったこ
ともあり、この方法の利用価値は広範なものとなった。
例えば特開昭47-27933号公報では、水中でのpKaが4
よりも小さいカルボン酸から誘導される有機過酸を用い
ることにより、芳香族アルデヒドからフェノ−ル類を合
成しており、また特開昭48-56635号公報では、無機酸や
スルホン酸等の強酸(10-3よりも大きい解離定数を有す
る酸)の存在下、過酸化水素と芳香族アルデヒドとの反
応からもフェノ−ル類を得ている。一方、特開平1-1212
29号公報では、オルト位にアルキル基を持つ芳香族アル
デヒドをギ酸の存在下で過酸化水素と反応させてフェノ
−ル類のギ酸エステルを合成し、次に、このギ酸エステ
ルを加水分解することによって、フェノ−ル類を得てい
る。
らの分離法、ベンゼンのスルホン化アルカリ溶融法ある
いはシメン法をはじめとする種々の合成法により製造さ
れてきた。一般に、フェノ−ル類は異性体間はもちろん
同族間でも物性の差が小さいため、分離法によって高純
度の各種フェノ−ル類を製造することは困難である。一
方、合成法においても各種フェノ−ル類のアルキル化等
の方法では異性体が生成し、高選択的に目的物を合成で
きないという欠点を持っている。又、古典的なスルホン
化−アルカリ溶融法では多量の廃棄物の処理が必要であ
りまたシメン法では高価で複雑な装置を必要とするなど
の欠点を有している。これらの方法とは別に、芳香族ア
ルデヒドを過酢酸あるいは過安息香酸などの過酸化物に
より酸化しフェノ−ル類を合成する方法が知られてい
る。この方法は高純度のフェノ−ル類の合成に適してお
り、近年各種芳香族化合物のカルボニル化による選択的
な各種芳香族アルデヒドの工業的製造が可能となったこ
ともあり、この方法の利用価値は広範なものとなった。
例えば特開昭47-27933号公報では、水中でのpKaが4
よりも小さいカルボン酸から誘導される有機過酸を用い
ることにより、芳香族アルデヒドからフェノ−ル類を合
成しており、また特開昭48-56635号公報では、無機酸や
スルホン酸等の強酸(10-3よりも大きい解離定数を有す
る酸)の存在下、過酸化水素と芳香族アルデヒドとの反
応からもフェノ−ル類を得ている。一方、特開平1-1212
29号公報では、オルト位にアルキル基を持つ芳香族アル
デヒドをギ酸の存在下で過酸化水素と反応させてフェノ
−ル類のギ酸エステルを合成し、次に、このギ酸エステ
ルを加水分解することによって、フェノ−ル類を得てい
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記芳
香族アルデヒドからのフェノ−ル類の合成方法には、実
際に工業化する際に以下に述べるような欠点あるいは問
題点を有する。即ち、 (1)水中でpKaが4よりも小さいカルボン酸から誘
導される有機過酸を用いる方法において、これらの有機
過酸、例えば、過ギ酸、過安息香酸、過酢酸などは、高
価である上、非常に爆発の危険性が高く、安全面で問題
が多い。また、芳香族アルデヒドに対して溶媒として有
機酸を大量に用いる必要があり、それによる反応器の腐
蝕の問題や、反応後の有機酸の分離、回収のコスト等の
問題が存在する。また、反応条件下に於て過酸化水素と
有機酸の反応によって "その場" で有機過酸を形成させ
る方法も開示されている。その場合に、過酸を容易に形
成させる為に随意に酸触媒(過塩素酸、硫酸またはp−
トルエンスルホン酸のようなスルホン酸)を加えること
が多いが、これらの酸触媒は生成したフェノ−ル類を触
媒的に高沸点化合物等に変化させて収率を低下させた
り、生成物からの分離が困難であるなどの問題点を有す
る。 (2)特開昭48-56635号公報で開示された強酸の存在下
において過酸化水素と反応させる方法においては、実質
的に非常に濃度の高い過酸化水素(>95%)を使用す
る必要があり安全性に大きな問題がある。また、反応に
用いた強酸による高沸点化合物の生成の問題や、反応液
からの分離、回収等の処理は容易ではない等の問題があ
る。
香族アルデヒドからのフェノ−ル類の合成方法には、実
際に工業化する際に以下に述べるような欠点あるいは問
題点を有する。即ち、 (1)水中でpKaが4よりも小さいカルボン酸から誘
導される有機過酸を用いる方法において、これらの有機
過酸、例えば、過ギ酸、過安息香酸、過酢酸などは、高
価である上、非常に爆発の危険性が高く、安全面で問題
が多い。また、芳香族アルデヒドに対して溶媒として有
機酸を大量に用いる必要があり、それによる反応器の腐
蝕の問題や、反応後の有機酸の分離、回収のコスト等の
問題が存在する。また、反応条件下に於て過酸化水素と
有機酸の反応によって "その場" で有機過酸を形成させ
る方法も開示されている。その場合に、過酸を容易に形
成させる為に随意に酸触媒(過塩素酸、硫酸またはp−
トルエンスルホン酸のようなスルホン酸)を加えること
が多いが、これらの酸触媒は生成したフェノ−ル類を触
媒的に高沸点化合物等に変化させて収率を低下させた
り、生成物からの分離が困難であるなどの問題点を有す
る。 (2)特開昭48-56635号公報で開示された強酸の存在下
において過酸化水素と反応させる方法においては、実質
的に非常に濃度の高い過酸化水素(>95%)を使用す
る必要があり安全性に大きな問題がある。また、反応に
用いた強酸による高沸点化合物の生成の問題や、反応液
からの分離、回収等の処理は容易ではない等の問題があ
る。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者等は芳香族アル
デヒドからのフェノ−ル類の合成方法に於ける上述の問
題を克服すべく鋭意検討した結果、芳香族アルデヒドを
触媒量のヒ素化合物の存在下で過酸化水素と反応させる
ことにより容易に目的を達成し得ることを見い出し本発
明に至った。即ち本発明は、一般式(I)、
デヒドからのフェノ−ル類の合成方法に於ける上述の問
題を克服すべく鋭意検討した結果、芳香族アルデヒドを
触媒量のヒ素化合物の存在下で過酸化水素と反応させる
ことにより容易に目的を達成し得ることを見い出し本発
明に至った。即ち本発明は、一般式(I)、
【0005】
【化3】
【0006】〔上式中、置換基A1 、A2 、A3 、
A4 、A5 は同一でも異なってもよく、それぞれ、直鎖
もしくは分岐状の炭素数1〜10のアルキル基又はアル
コキシ基、ヒドロキシル基、水素原子を表し、さらにA
n とAn+1 ( n=1〜4) が環を組んでいる場合も含
む〕で表される芳香族アルデヒドを過酸化水素と反応さ
せ、一般式(II)、
A4 、A5 は同一でも異なってもよく、それぞれ、直鎖
もしくは分岐状の炭素数1〜10のアルキル基又はアル
コキシ基、ヒドロキシル基、水素原子を表し、さらにA
n とAn+1 ( n=1〜4) が環を組んでいる場合も含
む〕で表される芳香族アルデヒドを過酸化水素と反応さ
せ、一般式(II)、
【0007】
【化4】
【0008】〔式中A1 〜A5 は一般式(I)と同じ意
味を表す。〕で表されるフェノ−ル類を製造する方法に
於て、ヒ素系化合物を触媒として用いることを特徴とす
るフェノール類の製造方法である。本発明では、一般式
(I)で表される芳香族アルデヒドを用いることができ
る。これらに属する化合物として具体例を挙げれば、例
えばベンズアルデヒド、o−トルアルデヒド、p−トル
アルデヒド、o−エチルアルデヒド、p−エチルアルデ
ヒド、p−イソプロピルベンズアルデヒド、p−メトキ
シベンズアルデヒド、p−ペンチルベンズアルデヒド、
p−ヒドロキシベンズアルデヒド、2,3−ジメチルベ
ンズアルデヒド、2,4−ジメチルベンズアルデヒド、
2,5−ジメチルベンズアルデヒド、2,6−ジメチル
ベンズアルデヒド、2−メチル−4−イソプロピルベン
ズアルデヒド、2−メチル−4−t−ブチルベンズアル
デヒド、2,3,4−トリメチルベンズアルデヒド、
2,4,5−トリメチルベンズアルデヒド、2,4,6
−トリメチルベンズアルデヒド、2,4−ジメチル−6
−t−ブチルベンズアルデヒド、5,6,7,8−テト
ラヒドロ−2−ナフトアルデヒド等があるが、これらに
限定されるものではない。
味を表す。〕で表されるフェノ−ル類を製造する方法に
於て、ヒ素系化合物を触媒として用いることを特徴とす
るフェノール類の製造方法である。本発明では、一般式
(I)で表される芳香族アルデヒドを用いることができ
る。これらに属する化合物として具体例を挙げれば、例
えばベンズアルデヒド、o−トルアルデヒド、p−トル
アルデヒド、o−エチルアルデヒド、p−エチルアルデ
ヒド、p−イソプロピルベンズアルデヒド、p−メトキ
シベンズアルデヒド、p−ペンチルベンズアルデヒド、
p−ヒドロキシベンズアルデヒド、2,3−ジメチルベ
ンズアルデヒド、2,4−ジメチルベンズアルデヒド、
2,5−ジメチルベンズアルデヒド、2,6−ジメチル
ベンズアルデヒド、2−メチル−4−イソプロピルベン
ズアルデヒド、2−メチル−4−t−ブチルベンズアル
デヒド、2,3,4−トリメチルベンズアルデヒド、
2,4,5−トリメチルベンズアルデヒド、2,4,6
−トリメチルベンズアルデヒド、2,4−ジメチル−6
−t−ブチルベンズアルデヒド、5,6,7,8−テト
ラヒドロ−2−ナフトアルデヒド等があるが、これらに
限定されるものではない。
【0009】本発明の方法において触媒として用いるこ
とのできるヒ素系化合物としては、無機ヒ素化合物、有
機ヒ素化合物のいずれでもよく、特に制限はない。具体
的には、無機ヒ素化合物として、三酸化二ヒ素、五酸化
二ヒ素、三塩化ヒ素、五塩化ヒ素、亜ヒ酸、ヒ酸、及び
それらの塩として、亜ヒ酸ナトリウム、亜ヒ酸アンモニ
ウム、亜ヒ酸カリウム、ヒ酸アンモニウム、ヒ酸カリウ
ム等を挙げることができる。また有機ヒ素化合物とし
て、カコジル酸、フェニルアルソン酸、ジフェニルアル
ソン酸、p−ヒドロキシフェニルアルソン酸、p−アミ
ノフェニルアルソン酸、及びそれらの塩として、カコジ
ル酸ナトリウム、カコジル酸カリウム等を挙げることが
できる。実際の選択にあたっては、価格及び入手の容易
さを勘案して決定すればよく、より好ましくは、三酸化
二ヒ素、カコジル酸を好適に使用することができる。ヒ
素系化合物は触媒量であればよく、過酸化水素に対する
モル比は0.0001〜1であり、より好ましくは0.
001〜0.01である。
とのできるヒ素系化合物としては、無機ヒ素化合物、有
機ヒ素化合物のいずれでもよく、特に制限はない。具体
的には、無機ヒ素化合物として、三酸化二ヒ素、五酸化
二ヒ素、三塩化ヒ素、五塩化ヒ素、亜ヒ酸、ヒ酸、及び
それらの塩として、亜ヒ酸ナトリウム、亜ヒ酸アンモニ
ウム、亜ヒ酸カリウム、ヒ酸アンモニウム、ヒ酸カリウ
ム等を挙げることができる。また有機ヒ素化合物とし
て、カコジル酸、フェニルアルソン酸、ジフェニルアル
ソン酸、p−ヒドロキシフェニルアルソン酸、p−アミ
ノフェニルアルソン酸、及びそれらの塩として、カコジ
ル酸ナトリウム、カコジル酸カリウム等を挙げることが
できる。実際の選択にあたっては、価格及び入手の容易
さを勘案して決定すればよく、より好ましくは、三酸化
二ヒ素、カコジル酸を好適に使用することができる。ヒ
素系化合物は触媒量であればよく、過酸化水素に対する
モル比は0.0001〜1であり、より好ましくは0.
001〜0.01である。
【0010】用いる過酸化水素水の濃度には特に制限は
ないが、工業的に入手可能な10〜90wt%、特に3
0〜60wt%濃度のものを好適に使用することができ
る。芳香族アルデヒドに対する過酸化水素のモル比は
0.1〜2.0であり、好ましくは1.0〜1.2であ
る。モル比が1.0以下でも不利益なしに実行可能であ
るが、未反応の芳香族アルデヒドを分離、回収する必要
がある。モル比が1.2を超えると、生成するフェノ−
ル類が過剰の過酸化水素と反応し高沸点化合物に変化す
るためフェノ−ル類の収率が低下する。過酸化水素は、
芳香族アルデヒド、ヒ素系触媒および場合により溶媒か
らなる反応系にその全量を一度に添加することも出来る
が、反応による生成熱や副反応を抑制するため、間欠的
又は連続的に添加するのが望ましい。
ないが、工業的に入手可能な10〜90wt%、特に3
0〜60wt%濃度のものを好適に使用することができ
る。芳香族アルデヒドに対する過酸化水素のモル比は
0.1〜2.0であり、好ましくは1.0〜1.2であ
る。モル比が1.0以下でも不利益なしに実行可能であ
るが、未反応の芳香族アルデヒドを分離、回収する必要
がある。モル比が1.2を超えると、生成するフェノ−
ル類が過剰の過酸化水素と反応し高沸点化合物に変化す
るためフェノ−ル類の収率が低下する。過酸化水素は、
芳香族アルデヒド、ヒ素系触媒および場合により溶媒か
らなる反応系にその全量を一度に添加することも出来る
が、反応による生成熱や副反応を抑制するため、間欠的
又は連続的に添加するのが望ましい。
【0011】反応温度は60〜150℃であり、好まし
くは80〜120℃である。150℃を超えると過酸化
水素自身の分解が起こり易く、また過酸化水素と生成物
との副反応が起こり、高沸点化合物を生成し易くなる。
反応系内には、反応の進行に伴い、水が蓄積するため反
応溶液が不均一となり、反応が円滑に進行しにくくなる
ので、系内の水を留去しながら行うことが好ましい。最
も好適には水と共沸する溶媒を添加し、その共沸により
水を除去するのがよい。ここに用いる溶媒としては、反
応の条件下で不活性な物質、例えば脂肪族炭化水素(ヘ
キサン、ヘプタン)および脂環式炭化水素(シクロヘキ
サン)、芳香族炭化水素(ベンゼン、トルエン、クメ
ン、クロロベンゼン)、または、ハロゲン化炭化水素
(1,2−ジクロロエタン、1,2−ジクロロプロパ
ン)等があげられる。これらの溶媒は、目的とする反応
温度に応じて任意に選択することが可能である。芳香族
アルデヒドに対する溶媒の添加量は限定的ではないが、
余り大量に用いると反応物の濃度が下がり反応速度が低
下するので、一般に溶媒の添加量は芳香族アルデヒドに
対して10重量倍以内とするのが好ましい。反応終了
後、ギ酸エステルが残存している場合には、公知の方法
で加水分解を行うことができる。
くは80〜120℃である。150℃を超えると過酸化
水素自身の分解が起こり易く、また過酸化水素と生成物
との副反応が起こり、高沸点化合物を生成し易くなる。
反応系内には、反応の進行に伴い、水が蓄積するため反
応溶液が不均一となり、反応が円滑に進行しにくくなる
ので、系内の水を留去しながら行うことが好ましい。最
も好適には水と共沸する溶媒を添加し、その共沸により
水を除去するのがよい。ここに用いる溶媒としては、反
応の条件下で不活性な物質、例えば脂肪族炭化水素(ヘ
キサン、ヘプタン)および脂環式炭化水素(シクロヘキ
サン)、芳香族炭化水素(ベンゼン、トルエン、クメ
ン、クロロベンゼン)、または、ハロゲン化炭化水素
(1,2−ジクロロエタン、1,2−ジクロロプロパ
ン)等があげられる。これらの溶媒は、目的とする反応
温度に応じて任意に選択することが可能である。芳香族
アルデヒドに対する溶媒の添加量は限定的ではないが、
余り大量に用いると反応物の濃度が下がり反応速度が低
下するので、一般に溶媒の添加量は芳香族アルデヒドに
対して10重量倍以内とするのが好ましい。反応終了
後、ギ酸エステルが残存している場合には、公知の方法
で加水分解を行うことができる。
【0012】
【発明の効果】本発明の方法においては芳香族アルデヒ
ドを少量のヒ素系触媒の存在下、過酸化水素と反応させ
るだけで、フェノ−ル類を容易に合成することができ
る。その際、水と共沸する溶媒を添加することにより反
応系内の余分な水を留去することによって、反応を円滑
に進行させることができる。本発明の利点を従来法と比
較して列挙すると次のようである。 (1)本発明の方法では有機過酸を使う必要がなく、ヒ
素系触媒存在下に過酸化水素と反応させるだけで良いの
で非常に安全である。 (2)有機過酸を用いた場合には大量に有機酸が生成す
るため、その分離、回収等の処理は容易でないが、ヒ素
系化合物は触媒量の添加で済み反応後の処理が容易であ
る。また、有機酸を大量に用いる必要がないので反応器
の腐蝕などの問題がない。
ドを少量のヒ素系触媒の存在下、過酸化水素と反応させ
るだけで、フェノ−ル類を容易に合成することができ
る。その際、水と共沸する溶媒を添加することにより反
応系内の余分な水を留去することによって、反応を円滑
に進行させることができる。本発明の利点を従来法と比
較して列挙すると次のようである。 (1)本発明の方法では有機過酸を使う必要がなく、ヒ
素系触媒存在下に過酸化水素と反応させるだけで良いの
で非常に安全である。 (2)有機過酸を用いた場合には大量に有機酸が生成す
るため、その分離、回収等の処理は容易でないが、ヒ素
系化合物は触媒量の添加で済み反応後の処理が容易であ
る。また、有機酸を大量に用いる必要がないので反応器
の腐蝕などの問題がない。
【0013】
【実施例】次に、本発明を実施例により具体的に説明す
る。
る。
【0014】実施例1 攪拌機、還流コンデンサ−、温度計、滴下ロ−トを備え
た100mlの四口フラスコに2,4−ジメチルベンズ
アルデヒド30.54g(0.227mol)及び三酸化二ヒ素0.20g(0.
001mol) 、ベンゼン30.00gを加え90℃に加熱した。次に
60wt% 過酸化水素12.86g(0.227mol)を7時間で滴下し
た。反応中に留出してくる水、ベンゼンの共沸混合物は
コンデンサ−で凝縮し水を系外に除去し、ベンゼンは還
流させてフラスコ内に戻した。過酸化水素滴下終了後4
0分間さらに攪拌を続け反応を終了とした。反応液をガ
スクロマトグラフで分析した結果、2,4−ジメチルベ
ンズアルデヒドの転化率は93.4%であり、2,4−
キシレノ−ルの選択率は15.7%、2,4−キシリジ
ルフォ−メ−トの選択率は76.9%、2,4−ジメチ
ル安息香酸の選択率は1.8%であった。さらに、ギ酸
エステルを加水分解するため系内のベンゼンを留去した
後、留出した共沸混合物の水相を反応液に戻し、100 ℃
で加熱還流を行った。3時間後、ギ酸エステルのほとん
どは加水分解していた。反応液をガスクロマトグラフで
分析した結果、2,4−キシレノ−ルの選択率は89.
8%、2,4−キシリジルフォ−メ−トの選択率は0.
9%であった。尚、各選択率は次式によって計算した。 選択率=2,4−ジメチルベンズアルデヒドを基準とし
た各収率÷2,4−ジメチルベンズアルデヒドの転化率
×100(%)
た100mlの四口フラスコに2,4−ジメチルベンズ
アルデヒド30.54g(0.227mol)及び三酸化二ヒ素0.20g(0.
001mol) 、ベンゼン30.00gを加え90℃に加熱した。次に
60wt% 過酸化水素12.86g(0.227mol)を7時間で滴下し
た。反応中に留出してくる水、ベンゼンの共沸混合物は
コンデンサ−で凝縮し水を系外に除去し、ベンゼンは還
流させてフラスコ内に戻した。過酸化水素滴下終了後4
0分間さらに攪拌を続け反応を終了とした。反応液をガ
スクロマトグラフで分析した結果、2,4−ジメチルベ
ンズアルデヒドの転化率は93.4%であり、2,4−
キシレノ−ルの選択率は15.7%、2,4−キシリジ
ルフォ−メ−トの選択率は76.9%、2,4−ジメチ
ル安息香酸の選択率は1.8%であった。さらに、ギ酸
エステルを加水分解するため系内のベンゼンを留去した
後、留出した共沸混合物の水相を反応液に戻し、100 ℃
で加熱還流を行った。3時間後、ギ酸エステルのほとん
どは加水分解していた。反応液をガスクロマトグラフで
分析した結果、2,4−キシレノ−ルの選択率は89.
8%、2,4−キシリジルフォ−メ−トの選択率は0.
9%であった。尚、各選択率は次式によって計算した。 選択率=2,4−ジメチルベンズアルデヒドを基準とし
た各収率÷2,4−ジメチルベンズアルデヒドの転化率
×100(%)
【0015】実施例2 下記の条件以外は実施例1と同様の方法を繰り返した。 60wt% 過酸化水素: 15.41g(0.272mol) 溶媒(トルエン): 30.00g 反応温度 : 110℃ 滴下時間(hr) : 7.0 反応終了後反応液をガスクロマトグラフで分析した結果
2,4−ジメチルベンズアルデヒドの転化率は98.8
%であり、2,4−キシレノ−ルの選択率は56.3
%、2,4−キシリジルフォ−メ−トの選択率は23.
3%、2,4−ジメチル安息香酸の選択率は3.5%で
あった。
2,4−ジメチルベンズアルデヒドの転化率は98.8
%であり、2,4−キシレノ−ルの選択率は56.3
%、2,4−キシリジルフォ−メ−トの選択率は23.
3%、2,4−ジメチル安息香酸の選択率は3.5%で
あった。
【0016】実施例3 下記の条件以外は実施例1と同様の方法を繰り返した。 60wt% 過酸化水素 : 15.41g(0.272mol) 触媒(カコジル酸): 0.15g(0.001mol) 滴下時間(hr) : 5.5 反応終了後反応液をガスクロマトグラフで分析した結果
2,4−ジメチルベンズアルデヒドの転化率は96.1
%であり、2,4−キシレノ−ルの選択率は57.8
%、2,4−キシリジルフォ−メ−トの選択率は25.
2%、2,4−ジメチル安息香酸の選択率は5.2%で
あった。
2,4−ジメチルベンズアルデヒドの転化率は96.1
%であり、2,4−キシレノ−ルの選択率は57.8
%、2,4−キシリジルフォ−メ−トの選択率は25.
2%、2,4−ジメチル安息香酸の選択率は5.2%で
あった。
【0017】実施例4 下記の条件以外は実施例1と同様の方法を繰り返した。 60wt% 過酸化水素 : 15.41g(0.272mol) 触媒(フェニルアルソン酸): 0.20g(0.001mol) 溶媒(トルエン) : 30.00g 滴下時間(hr) : 9.0 反応終了後反応液をガスクロマトグラフで分析した結果
2,4−ジメチルベンズアルデヒドの転化率は97.4
%であり、2,4−キシレノ−ルの選択率は18.2
%、2,4−キシリジルフォ−メ−トの選択率は66.
2%、2,4−ジメチル安息香酸の選択率は4.3%で
あった。
2,4−ジメチルベンズアルデヒドの転化率は97.4
%であり、2,4−キシレノ−ルの選択率は18.2
%、2,4−キシリジルフォ−メ−トの選択率は66.
2%、2,4−ジメチル安息香酸の選択率は4.3%で
あった。
【0018】実施例5〜9 実施例1の方法で、各種アルキルベンズアルデヒドを表
1記載の条件で反応を行った。反応終了後、ギ酸エステ
ルを全て加水分解を行った後に分析を行った結果を表1
に示す。
1記載の条件で反応を行った。反応終了後、ギ酸エステ
ルを全て加水分解を行った後に分析を行った結果を表1
に示す。
【0019】
【表1】
【0020】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C07C 41/18 43/23 B 8619−4H // C07B 61/00 300
Claims (4)
- 【請求項1】 一般式(I)、 【化1】 〔上式中、置換基A1 、A2 、A3 、A4、A5 は同一
でも異なってもよく、それぞれ、直鎖もしくは分岐状の
炭素数1〜10のアルキル基またはアルコキシ基、ヒド
ロキシル基、水素原子を表し、さらにAn とAn+1 (n
=1〜4) が環を組んでいる場合も含む〕で表される芳
香族アルデヒドを過酸化水素と反応させ、一般式(I
I)、 【化2】 〔上式中A1 〜A5 は一般式(I)と同じ意味を表
す。〕で表されるフェノ−ル類を製造する方法において
ヒ素系化合物を触媒として用いることを特徴とするフェ
ノール類の製造方法。 - 【請求項2】 触媒としてヒ素酸化物、アルシン酸類ま
たはその塩、アルソン酸類またはその塩からなる群から
選ばれたヒ素化合物を使用する請求項1記載のフェノー
ル類の製造方法。 - 【請求項3】 触媒として三酸化二ヒ素あるいはカコジ
ル酸またはフェニルアルソン酸を使用する請求項1記載
のフェノール類の製造方法。 - 【請求項4】 水と共沸する溶媒を反応系内に添加し系
内の水を除去しながら反応させることを特徴とする請求
項1記載のフェノール類の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3314074A JPH05125006A (ja) | 1991-10-31 | 1991-10-31 | フエノール類の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3314074A JPH05125006A (ja) | 1991-10-31 | 1991-10-31 | フエノール類の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05125006A true JPH05125006A (ja) | 1993-05-21 |
Family
ID=18048917
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3314074A Pending JPH05125006A (ja) | 1991-10-31 | 1991-10-31 | フエノール類の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH05125006A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009079051A (ja) * | 2008-10-02 | 2009-04-16 | Mitsubishi Gas Chem Co Inc | アルキルフェノールの製造法 |
-
1991
- 1991-10-31 JP JP3314074A patent/JPH05125006A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009079051A (ja) * | 2008-10-02 | 2009-04-16 | Mitsubishi Gas Chem Co Inc | アルキルフェノールの製造法 |
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