JP2009077963A - 生体内留置物 - Google Patents
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Abstract
【課題】血管壁の炎症を抑制・防止するためのものであり、抗炎症リガンドを導入したポリ乳酸複合体を生理活性物質放出層の構成要素とすることにより、特にポリ乳酸複合体自体の生体内での分解に伴う炎症反応を抗炎症リガンド効果によって抑制することができるステントを提供する。
【解決手段】生体内留置物本体2;および前記生体内留置物本体の表面に形成され、かつ脂肪族ポリエステルに抗炎症リガンドを導入した脂肪族ポリエステル複合体と、生理活性物質とを含む生理活性物質放出層7;を有する生体内に留置する生体内留置物によって目的を達成する。
【選択図】図2
【解決手段】生体内留置物本体2;および前記生体内留置物本体の表面に形成され、かつ脂肪族ポリエステルに抗炎症リガンドを導入した脂肪族ポリエステル複合体と、生理活性物質とを含む生理活性物質放出層7;を有する生体内に留置する生体内留置物によって目的を達成する。
【選択図】図2
Description
本発明は、生体内留置物、特に、血管、胆管、気管、食道、尿道などの生体内に挿入・留置して使用する生体内留置物に関する。
一つの例として、虚血性心疾患に適用される血管形成術について説明する。すなわち、我が国における食生活の欧米化が、虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)の患者数を急激に増加させていることを受け、それらの冠動脈病変を軽減する方法として経皮的経血管的冠動脈形成術(PTCA)が施行され、飛躍的に普及してきている。現在では、技術的な発展により適用症例も増えており、PTCAが始まった当時の限局性(病変の長さが短いもの)で一枝病変(1つの部位にのみ狭窄がある病変)のものから、より遠位部で偏心的で石灰化しているようなもの、そして多枝病変(2つ以上の部位に狭窄がある病変)へとPTCAの適用が拡大されている。PTCAとは、患者の脚または腕の動脈に小さな切開を施してイントロデューサーシース(導入器)を留置し、イントロデューサーシースの内腔を通じて、ガイドワイヤを先行させながら、ガイドカテーテルと呼ばれる長い中空のチューブを血管内に挿入して冠状動脈の入口に配置した後ガイドワイヤを抜き取り、別のガイドワイヤとバルーンカテーテルをガイドカテーテルの内腔に挿入し、ガイドワイヤを先行させながらバルーンカテーテルをX線造影下で患者の冠状動脈の病変部まで進めて、バルーンを病変部内に位置させて、その位置で医師がバルーンを所定の圧力で30〜60秒間、1回あるいは複数回膨らませる手技である。これにより、病変部の血管内腔は拡張され、それにより血管内腔を通る血流は増加する。しかしながら、カテーテルによって血管壁が傷つけられたりすると、血管壁の治癒反応である血管内膜の増殖が起こり30〜40%程度の割合で再狭窄が報告されている。
この再狭窄を予防する方法としては、ステントやアテローム切除カテーテル等の器具を用いる方法等が検討され、ある程度の成果をあげている。ここで言うステントとは、血管あるいは他の管腔が狭窄もしくは閉塞することによって生じる様々な疾患を治療するために、その狭窄もしくは閉塞部位を拡張し、その内腔を確保するためにそこに留置することができる管状の医療器具である。ステントの多くは、金属材料または高分子材料より形成された医療用器具であり、例えば金属材料や高分子材料よりなる管状体に細孔を設けたものや、金属材料のワイヤや高分子材料の繊維を編み上げて円筒形に成形したもの等様々な形状のものが提案されている。ステントの留置の目的は、PTCA等の手技を施した後に起こる再狭窄の予防、およびその低減化を狙ったものであるが、ステントのみでは狭窄を顕著に抑制することができないのが実情であった。
そして近年では、このステントに免疫抑制剤や抗がん剤等の生理活性物質を担持させることによって、管腔の留置部位で長期にわたって局所的にこの生理活性物質を放出させ、再狭窄の低減化を図る試みが盛んに提案されている。
例えば、特許文献1にはタンタル製のステント本体の表面に治療のための物質と生分解性高分子材料の混合物とをコーティングしたステントが開示されている。そして、生分解性高分子材料として、ポリL乳酸、ポリカプロラクトンを用いることができることが記載されている。
特許文献2にはステンレス製のステント本体の表面に薬剤層を設け、さらにこの薬剤層に、薬剤を溶出するための生分解性高分子層を設けたステントが開示されている。そして、生分解性高分子層を構成する生分解性高分子として、ポリDL乳酸(D体とL体との共重合体)、ポリグリコール酸、ポリ乳酸/ポリグリコール酸共重合体を用いることができることが記載されている。
特開平8−33718号公報
特開平9−56807号公報
しかしながら、上記特許文献1または2で提案された生分解性高分子の場合、高分子自体の生体内分解に伴う炎症反応を引き起こす恐れがあった。
本発明の目的は、上記の特許文献1〜2に係る発明の問題点である、血管壁の炎症を抑制・防止するためのものであり、抗炎症リガンドを導入されたポリ乳酸複合体を生理活性物質放出層に用いることにより、特に生体内での分解に伴う炎症反応を抗炎症リガンド効果によって抑制することができるステントを提供することにある。
本発明者らは、上記課題解決のため鋭意研究を行なった結果、生体内に留置するための生体内留置物であって、前記生体内留置物は、脂肪族ポリエステルに抗炎症リガンドを導入した脂肪族ポリエステル複合体を生理活性物質放出層に用いることにより本発明の目的が達成される。
本発明によれば、生体内に留置するための生体内留置物であって、前記生体内留置物は、脂肪族ポリエステルに抗炎症リガンドを導入した脂肪族ポリエステル複合体を生理活性物質放出層に用いることにより、脂肪族ポリエステル複合体自体の生体内での分解により生理活性物質放出層自体が生体内で吸収され、かつ導入されている抗炎症リガンドにより炎症反応を抑制することができる。
本発明の第一は、生体内留置物本体;および前記生体内留置物本体の表面に形成され、かつ脂肪族ポリエステルに抗炎症リガンドを導入した脂肪族ポリエステル複合体と、生理活性物質とを含む生理活性物質放出層;を有する生体内に留置する生体内留置物である。
これにより、脂肪族ポリエステルの生体内での分解に伴う炎症反応を抗炎症リガンド効果によって抑制・防止することができる。また、生理活性物質および脂肪族ポリエステルに抗炎症リガンドを導入した脂肪族ポリエステル複合体を含む生理活性物質放出層により、当該生理活性物質放出層から抗炎症リガンドや生理活性物質が溶け出す速度を調節することができ、いわゆるコントロールドリリースとしての生体内留置物として有用である。
本発明に係る脂肪族ポリエステルは、末端の少なくとも一つがカルボキシル基を有する直鎖状ポリ乳酸、末端の少なくとも一つがカルボキシル基を有する多分岐ポリ乳酸などが挙げられ、当該多分岐ポリ乳酸としては、ハイパーブランチポリ乳酸、ポリ乳酸デンドリマー、ポリ乳酸スターポリマーが好ましい。ハイパーブランチポリマーとは、一分子中に二種類の置換基を合計3個以上もつ、いわゆるABx型分子の自己縮合により合成される多分岐高分子である。また、スターポリマーとは、分岐ポリマーの中で最もベーシックな構造をとっており、全ての分子鎖の一端が中心の小さなコア部にグラフトしているため、中心付近のセグメント密度が非常に大きくなり、最外殻層に向かってセグメント密度に関して傾斜構造をとっているポリマーである。そのため、スターポリマーは、重合中に枝分かれを繰り返しながら成長していくことが、ハイパーブランチポリマーと大きく異なる点である。デンドリマーは、ハイパーブランチポリマーと同様の構造をとっているが、特性や物性が異なっている。ハイパーブランチポリマーは、分子量が同じ線状高分子と比較して粘度が低いが、同一分子量のデンドリマーはさらに低粘度となる傾向がある。結晶性の高い線状高分子に対応するハイパーブランチポリマーは、溶解性が改善され非結晶性となる点も特徴であり、材料設計に向けて有用な場合も多い。ただし、分岐高分子であって末端基の分子間相互作用が強い場合は、上述の傾向とは異なる。また、ハイパーブランチポリマーもデンドリマーと同様に末端官能基が多いため、多くの機能原子団を導入したい分子設計には有用な骨格となる。このようにハイパーブランチポリマーは、有用な特性をもつ高分子であり、簡便に合成できる。ハイパーブランチポリマーは生体機能材料や耐熱性高分子材料や液晶素材などの用途に活用できる。また、デンドリマーを樹木状に成長させた星型デンドリマーも本発明には有用である。
なお、本発明に係るポリ乳酸は市販のものを購入しても、公知の方法、例えば、乳酸を加熱減圧下で直接脱水して縮重合する縮重合法や、乳酸から環状2量体であるラクチドを経由して開環重合することにより製造する開環重合法や、また、ポリ乳酸の分子量の増大や分岐、架橋を目的として、重合の際に少量の鎖延長剤(例えば、イソシアネート系化合物、エポキシ化合物、酸無水物、有機過酸化物)を使用して合成してもよい。
また本発明に係るポリ乳酸は、ポリ(L−乳酸)またはポリ(D−乳酸)のいずれであってもよく、またポリ(L−乳酸)とポリ(D−乳酸)とをブレンドしてもよい。
本発明に係るポリ乳酸において、ポリ乳酸の一本の鎖中のカルボキシル基の数は、1〜20個が好ましく、1〜15個がより好ましく、1〜10個が特に好ましい。
本発明に係るポリ乳酸を多分岐ポリ乳酸(多分枝ポリ乳酸)で構成し、各枝の末端ごとにカルボキシル基などの官能基を有する場合、この官能基と結合するような抗炎症性リガンドを複数導入することができるため、多分岐ポリ乳酸の分解に伴って生じた分解物によって生じる炎症反応を逐次抑制することができるばかりか、再狭窄さえ抑制できる可能性がある。
また、本発明に係るポリ乳酸の重量平均分子量は、1,000〜1,000,000が好ましく、2,000〜500,000がより好ましく、3,000〜400,000が特に好ましい。尚、重量平均分子量の測定方法は、GPC、光散乱法、粘度測定法、質量分析法(TOFMASSなど)が挙げられ、本発明に係るポリ乳酸は、GPCにより重量平均分子量を測定することが好ましい。
本発明に係る抗炎症リガンドは、配列番号2のM3ポリペプチド、または抗炎症性を有し、かつ配列番号1のM3ポリペプチドのアミノ酸配列と80%以上の相同性を有するポリペプチドであることが好ましく、配列番号2のM3ポリペプチドであることが特に好ましい。
本発明に係る抗炎症リガンドが、配列番号1の(配列番号1に由来の)M3ポリペプチドのアミノ酸配列と80%以上の相同性を有するポリペプチドの場合、抗炎症効果を有する活性部位は残しつつも、ポリ乳酸と容易に結合できる部位を有するアミノ酸とM3ポリペプチド本来のアミノ酸残基とを入れ替えることができる。
また、配列番号2のM3ポリペプチドを使用した場合、抗炎症作用に優れており、分解物によって生じる炎症反応を抑制することが可能となる。また、上記M3ポリペプチドについては以下の通りである。
本発明に係るM3として公知であるウィルスタンパク質は、最初にガンマヘルペスウィルス68(γHV68)から単離されたものである。このM3タンパク質がヒト生体内において、様々な生物学的関連のある化合物と結合し、かつin vivo投与された場合に抗炎症および/または免疫調節の役割を媒介するという発見を一部基にしている。γHV68ゲノム内のこのようなタンパク質の一つであるM3タンパク質は、γHV68の第三のオープンリーディングフレームによりコードされており、かつ406個のアミノ酸残基からなる(VirginH.W.ら、Complete Sequence and genomic analysis of murine gammaherpesvirus 68, J.Virol., 71(8):5894〜904(1997))。この遺伝子は、γHV68ゲノム内のヌクレオチド6060位と7277位の間に位置している。
上記M3ポリペプチドは、哺乳類への治療有効量のM3ポリペプチドの投与による哺乳類における免疫調節の方法を特徴としており、このポリペプチドは哺乳類における免疫調節作用を有する。また、別の局面において、本発明は炎症を軽減するか又は自己免疫反応を阻害するのに有効な量のM3タンパク質を送達することが可能な構築物においてM3遺伝子が発現されている細胞で、M3遺伝子の制御可能な発現を提供するプロモーターの制御下において、M3遺伝子を提供することに関連する免疫調節法を特徴としている。
また、M3ポリペプチドは、哺乳類における過形成を阻害する方法を特徴としている。例えば、血管損傷に反応して、ケモカインは再狭窄時にアップレギュレーションされ、これは再発性アテローム班増殖につながる。この方法は、血管内膜過形成を有する哺乳類に治療有効量のM3ポリペプチドを血管内膜過形成を阻害するように投与する段階を含む。
なお、本明細書において「ケモカイン」とは、白血球(例えば、好中球、好塩基球、単球、およびT細胞)のための化学誘引物質である低分子量のリガンドを意味し、かつこれはリンパ球および単球の炎症部位へ浸潤において重要である。「ケモカイン」という用語は全て白血球の組織への動員および浸潤を媒介する。哺乳類において発現された走化性サイトカインとして公知である。「ケモカイン」という用語は、その中でシステイン残基の分布を基に分類されており、走化性サイトカインのC、CC、CXC、およびCX3Cファミリーの全ての哺乳類のメンバーを含むが、これらに限定されるものではない。
上記M3ポリペプチドのポリ乳酸への導入方法は、特に限定されることはないが、例えば乳酸のモノマーやダイマー単位にM3ポリペプチドを化学結合させ、そのモノマーやダイマーを成長させていく方法や、最初にポリ乳酸を合成して、後にM3ポリペプチドを化学結合させる方法が挙げられる。具体的には、末端の少なくとも一つをカルボキシル基で修飾したポリ乳酸とM3ポリペプチドのN末端のアミノ基とを反応させてアミド結合を介して結合させる方法や、ポリ乳酸のカルボキシ末端をヒドロキシスクシンイミドでキャッピングさせ、その後M3ポリペプチドと反応させて保護基を外す方法が好適に用いられる。
本発明に係るポリ乳酸複合体におけるM3ポリペプチドのポリ乳酸への導入率(ポリ乳酸の末端基の全カルボキシル基に対して、M3ポリペプチドと結合しているカルボキシル基の数)は、1〜90%が好ましく、1〜80%がより好ましく、1〜50%が特に好ましい。
導入率が1%未満だとM3ポリペプチドとしての効果(炎症抑制)が充分に発揮できない可能性がある、また導入率が90%超だと、ポリ乳酸本来の機械的強度を保つことができない可能性がある。
本発明に係るポリ乳酸複合体(脂肪族ポリエステル複合体)におけるポリ乳酸の量は、全ポリ乳酸複合体に対して1〜99質量%が好ましく、5〜80質量%がより好ましく、10〜70質量%が特に好ましい。
ポリ乳酸の量が1質量%未満だと、ポリ乳酸複合体の強度が十分に保てなくなる可能性がある。また、ポリ乳酸の量が99質量%超だと、M3ポリペプチドとしての効果(炎症抑制)が十分に発揮できない可能性がある。
これにより本発明に係る生体内留置物が生体内の病変部に留置された後、生理活性物質を含む層(例えば、生理活性物質放出層の一部など)が生体内で分解することで生理活性物質の放出が行なわれ、血管再狭窄を抑制することができ、さらに、本発明に係る生理活性物質放出層には抗炎症リガンドが導入されたポリ乳酸複合体を含むことから、ポリ乳酸複合体自体の生分解性により生理活性物質を含む層自体が生体内で吸収され、かつ導入されている抗炎症リガンドにより炎症反応を抑制することができる。
本発明に係る生体内留置物本体を形成する材料は、特に制限されないが、金属材料であることが好ましい。機械的強度の優れ、病変部に確実に留置することができるためである。
上記金属材料としては、例えばステンレス鋼(SUS316L)、Ni−Ti合金、タンタル、ニッケル、クロム、イリジウム、タングステン、コバルト系合金等などが挙げられる。
本発明に係る生理活性物質は、生体内留置物を管腔の病変部に留置した際に再狭窄を抑制する効果があるものであれば特に限定されないが、例えば抗がん剤、免疫抑制剤、抗生物質、抗リウマチ剤、抗血栓薬、HMG−CoA還元酵素阻害剤、ACE阻害剤、カルシウム拮抗剤、抗高脂血症薬、抗炎症剤、インテグリン阻害薬、抗アレルギー剤、抗酸化剤、GPIIbIIIa拮抗薬、レチノイド、フラボノイド、カロチノイド、脂質改善薬、DNA合成阻害剤、チロシンキナーゼ阻害剤、抗血小板薬、血管平滑筋増殖抑制薬、抗炎症薬、生体由来材料、インターフェロンおよびNO産生促進物質等が挙げられる。
前記抗癌剤としては、例えば、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシン、イリノテカン、ピラルビシン、パクリタキセル、ドセタキセル、メトトレキサート等が好ましい。
前記免疫抑制剤としては、例えば、シロリムス、エベロリムス、ピメクロリムス、ABT−578、AP23573、CCI−779等のシロリムス誘導体、タクロリムス、アザチオプリン、シクロスポリン、シクロフォスファミド、ミコフェノール酸モフェチル、グスペリムス、ミゾリビン、ラパマイシン等が好ましい。
前記抗生物質としては、例えば、マイトマイシン、アドリアマイシン、ドキソルビシン、アクチノマイシン、ダウノルビシン、イダルビシン、ピラルビシン、アクラルビシン、エピルビシン、ペプロマイシン、ジノスタチンスチマラマー等が好ましい。
前記抗リウマチ剤としては、例えば、メトトレキサート、チオリンゴ酸ナトリウム、ペニシラミン、ロベンザリット等が好ましい。
前記抗血栓薬としては、例えば、へパリン、アスピリン、抗トロンビン製剤、チクロピジン、ヒルジン等が好ましい。
前記HMG−CoA還元酵素阻害剤としては、例えば、セリバスタチン、セリバスタチンナトリウム、アトルバスタチン、ロスバスタチン、ピタバスタチン、フルバスタチン、フルバスタチンナトリウム、シンバスタチン、ロバスタチン、プラバスタチン等が好ましい。
前記ACE阻害剤としては、例えば、キナプリル、ペリンドプリルエルブミン、トランドラプリル、シラザプリル、テモカプリル、デラプリル、マレイン酸エナラプリル、リシノプリル、カプトプリル等が好ましい。
前記カルシウム拮抗剤としては、例えば、ヒフェジピン、ニルバジピン、ジルチアゼム、ベニジピン、ニソルジピン等が好ましい。
前記抗高脂血症剤としては、例えば、プロブコールが好ましい。
前記インテグリン阻害薬としては、例えば、AJM300が好ましい。
前記抗アレルギー剤としては、例えば、トラニラストが好ましい。
前記抗酸化剤としては、例えば、α−トコフェロールが好ましい。
前記GPIIbIIIa拮抗薬としては、例えば、アブシキシマブが好ましい。
前記レチノイドとしては、例えば、オールトランスレチノイン酸が好ましい。
前記フラボノイドとしては、例えば、エピガロカテキン、アントシアニン、プロアントシアニジンが好ましい。
前記カロチノイドとしては、例えば、β―カロチン、リコピンが好ましい。
前記脂質改善薬としては、例えば、エイコサペンタエン酸が好ましい。
前記DNA合成阻害剤としては、例えば、5−FUが好ましい。
前記チロシンキナーゼ阻害剤としては、例えば、ゲニステイン、チルフォスチン、アーブスタチン、スタウロスポリン等が好ましい。
前記抗血小板薬としては、例えば、チクロピジン、シロスタゾール、クロピドグレルが好ましい。
前記抗炎症薬としては、例えば、デキサメタゾン、プレドニゾロン等のステロイドが好ましい。
前記生体由来材料としては、例えば、EGF(epidermal growth factor)、VEGF(vascular endothelial growth factor)、HGF(hepatocyte growth factor)、PDGF(platelet derived growth factor)、BFGF(basic fibrolast growth factor)等が好ましい。
前記インターフェロンとしては、例えば、インターフェロン−γ1aが好ましい。
前記NO産生促進物質としては、例えば、L−アルギニンが好ましい。
なお、生理活性物質を一種類の生理活性物質にするか、または二種類以上の異なる生理活性物質を組み合わせるかについては、症例に合わせて適宜選択されるべきものである。
本発明に係る生理活性物質(A)と、脂肪族ポリエステルに抗炎症リガンドを導入した脂肪族ポリエステル複合体(B)と、を含む生理活性物質放出層において、全生理活性物質放出層の質量に対する、各成分である生理活性物質(A)、および脂肪族ポリエステルに抗炎症リガンドを導入した脂肪族ポリエステル複合体(B)の質量比は、各々1〜50質量%、5〜50質量%が好ましい。
また、当該生理活性物質放出層には、上記成分以外その他公知の添加剤、増粘剤、低級アルコール、アセトンなど含有しても良いが、生理活性物質、および脂肪族ポリエステルに抗炎症リガンドを導入した脂肪族ポリエステル複合体のみ含有することが好ましい。
本発明に係る生理活性物質放出層の厚さは、1〜100μm、さらに好ましくは1〜50μm、最も好ましくは1〜30μmの範囲である。また、本発明に係る生理活性物質放出層は、生体内留置物の表面を一部被覆しても、全体被覆してもよく、好ましくは生体内留置物本体の表面積の10〜100%被覆していることが好ましく、50〜100%被覆していることがより好ましい。
本発明に係る生理活性物質放出層は、生理活性物質を含む層と、脂肪族ポリエステルに抗炎症リガンドを導入した脂肪族ポリエステル複合体を含む層と、を生体内留置物本体の表面に順次に積層してなることが好ましい。
これにより本発明に係る生体内留置物が生体内の病変部に留置された後、最外側の脂肪族ポリエステルに抗炎症リガンドを導入した脂肪族ポリエステル複合体を含む層が生体内で分解することで、内部の生理活性物質を含む層から生理活性物質の放出が行なわれ、血管再狭窄を抑制することができる。さらに、本発明に係る生理活性物質放出層には抗炎症リガンドが導入された脂肪族ポリエステル複合体を含むことから、脂肪族ポリエステル複合体自体の生分解性により生体内留置物表面に添着している生理活性物質放出層が生体内で吸収され、かつ導入されている抗炎症リガンドにより炎症反応を抑制することができる。
上記の前記生体内留置物本体の表面に形成される本発明に係る生理活性物質を含む層の厚さは、病変部への到達性(デリバリー性)や血管壁への刺激性など生体内留置物本体の性能を著しく損なわない程度であり、なおかつ生理活性物質の効果が確認される厚さで設定されるべきであるから、好ましくは1〜100μm、さらに好ましくは1〜50μm、最も好ましくは1〜20μmの範囲である。
上記の前記生理活性物質を含む層の表面に形成される、本発明に係る脂肪族ポリエステルに抗炎症リガンドを導入した脂肪族ポリエステル複合体を含む層の厚さは、生理活性物質層と同様、病変部へのデリバリー性や血管壁への刺激性などステント本体2の性能を著しく損なわない程度に設定されるべきであることから、好ましくは1〜75μm、より好ましくは1〜25μm、最も好ましくは1〜10μmの範囲である。
また、本発明に係る生理活性物質放出層は、前記生理活性物質を含む層、および前記脂肪族ポリエステルに抗炎症リガンドを導入した脂肪族ポリエステル複合体を含む層のみからなることが好ましい。
以下本発明に係る生体内留置物の代表例としてのステントを添付図面に示す好適な形態に基づいて詳細に説明する。なお、本発明に係る生体内留置物の範囲は、図面に示すステントに限定されることはなく、人工血管、人工臓器なども含まれることは言うまでもない。また、本発明に係る生体内留置物がステントである場合、生体内留置物本体は、ステント本体2に相当する。
図1は、本発明に係るステントの一態様を示す正面図、図2、図4は図1の線A−Aに沿って切断した拡大横断面図、図3、図5は図1の線B−Bに沿って切断した部分拡大縦断面図である。
図1において、ステント1は、両末端部が開口し、該両末端部の間を長手方向に延在する円筒体である。円筒体の側面は、その外側面と内側面とを連通する多数の切欠部を有し、この切欠部が変形することによって、円筒体の径方向に拡縮可能な構造になっており、目的部位に留置され、その形状を維持する。
図1に示す態様において、ステント1は、線状部材Cからなり、内部に切り欠き部を有する略菱形の要素Dを基本単位とする。複数の略菱形の要素Dが、略菱形の形状がその短軸方向に連続して配置され結合することで環状ユニットEをなしている。環状ユニットEは、隣接する環状ユニットと線状の連結部材Fを介して接続されている。これにより複数の環状ユニットEが一部結合した状態でその軸方向に連続して配置される。ステント本体2(ステント1)は、このような構成により、両末端部が開口し、該両末端部の間を長手方向に延在する円筒体をなしている。ステント1(ステント本体2)は、略菱形の切り欠き部を有しており、この切欠部が変形することによって、円筒体の径方向に拡縮可能な構造になっている。
尚、上記に示したステント本体2は一態様に過ぎず、両末端部が開口し、該両末端部の間を長手方向に延在する円筒体であって、その側面上に、外側面と内側面とを連通する多数の切欠部を有し、この切欠部が変形することによって、円筒体の径方向に拡縮可能な構造を広く含む。
本発明に係る生体内留置物の形状は、管状、網状、繊維状、コイル状、不織布状、織布、またはフィラメント状のものが好ましい。すなわち、本発明に係る生体内留置物は、管状、網状、繊維状、コイル状、不織布状、織布、またはフィラメント状の生体内留置物本体から製造されることが好ましい。また、生体内留置物がステントである場合、ステント本体2の形状は、生体内の管腔に安定して留置するに足る程度を有するものであれば特に限定されない。例えば、金属材料のワイヤーを編み上げて円筒状に形成したものや、金属材料からなる管状体に細孔を設けたものが好適に挙げられる。
本発明に係る生体内留置物の一例であるステントは、図2、3に示されるステント本体2と、当該ステント本体2の表面に設けた生理活性物質を含む層3と、前記生理活性物質を含む層を覆った本発明に係るポリ乳酸複合体を含む層4とを有するステントや、図4、5に示されるステント本体2と、前記ステント本体2の表面を覆うよう形成された生理活性物質放出層8(すなわち、本発明に係るポリ乳酸複合体を含む層5と、生理活性物質6とを有する)ステントなどが挙げられる。
より詳細には、図2、3に示すように、本発明に係るステントは、本発明に係るステント本体2と、前記ステント本体2の表面に形成され、かつ生理活性物質を含む層3と、前記生理活性物質を含む層3の表面に本発明のポリ乳酸複合体を含む層4とが形成されるステントが好ましい。なお、この図2、3において、生理活性物質を含む層3と、前記生理活性物質を含む層3の表面に本発明のポリ乳酸複合体を含む層4とを併せて生理活性物質放出層7と称する。
上記のステント本体2の直径は、ステントの使用方法や留置場所などの条件に応じて適宜選択されるが、例えば1〜10mmが好ましく、1〜5mmがより好ましい。
上記の前記ステント本体2の表面に形成され、かつ生理活性物質を含む層3の厚さは、病変部への到達性(デリバリー性)や血管壁への刺激性などステント本体2の性能を著しく損なわない程度であり、なおかつ生理活性物質の効果が確認される厚さで設定されるべきであるから、好ましくは1〜100μm、さらに好ましくは1〜50μm、最も好ましくは1〜20μmの範囲である。
上記の前記生理活性物質を含む層3の表面に本発明のポリ乳酸複合体を含む層4の厚さは、生理活性物質層3と同様、病変部へのデリバリー性や血管壁への刺激性などステント本体2の性能を著しく損なわない程度に設定されるべきであることから、好ましくは1〜75μm、より好ましくは1〜25μm、最も好ましくは1〜10μmの範囲である。
また、図4、5に示すように、本発明に係るステントは、本発明に係るステント本体2と、前記ステント本体2の表面に形成され、かつ生理活性物質6および脂肪族ポリエステルに抗炎症リガンドを導入したポリ乳酸複合体を含む層5(生理活性物質放出層8)と、を有するステントが好ましい。
上記のステント本体2の直径は、ステントの使用方法や留置場所などの条件に応じて適宜選択されるが、例えば1〜10mmが好ましく、1〜5mmがより好ましい。
上記の前記ステント本体2の表面に形成され、かつ生理活性物質および生分解性高分子を含む層5の厚さは、ステントの使用方法などにより適宜選択されるものであるが、例えば1〜100μmが好ましく、1〜40μmがより好ましい。
本発明に係るステント本体2は、バルーン拡張タイプ、自己拡張タイプのいずれであっても良い。また、ステント本体の大きさは適用箇所に応じて適宜選択すればよい。
本発明に係るステントの肉厚(ここで言うステントの肉厚とは、ステントを構成する線状部材自体の肉厚をいう。)は、病変部に留置するために必要なラジアルフォースを有し、血流を阻害しない程度であれば特に限定されないが、1〜1000μmの範囲が好ましく、10〜500μmの範囲がより好ましく、40〜200μmの範囲が最も好ましい。
本発明に係る生理活性物質放出層は、塗布することにより生体内留置物本体の表面に形成されることが好ましい。
例えば本発明に係る生理活性物質放出層を設けるための方法としては、脂肪族ポリエステルに抗炎症リガンドを導入した脂肪族ポリエステル複合体と、生理活性物質とを含むものであるため、生理活性物質と、脂肪族ポリエステルに抗炎症リガンドを導入した脂肪族ポリエステル複合体と、を融解させてステント本体2の表面に被覆する方法、または生理活性物質と、脂肪族ポリエステルに抗炎症リガンドを導入した脂肪族ポリエステル複合体と、を溶媒に溶解させて溶液を作製し、この溶液にステント本体2を浸漬し、その後引き上げて、溶媒を蒸散または他の方法で除去する方法、あるいはスプレーを用いて前記溶液をステント本体2に噴霧して、溶媒を蒸散または他の方法で除去する方法などが挙げられる。
上記の溶媒は、例えば、塩化メチレン、塩化エチレン、アセトン、THFなどが挙げられるが、必ずしもこれらに限定されることは無く、本発明の生理活性物質および脂肪族ポリエステル複合体を溶解できる溶媒であれば本発明に適用することができる。
以下、本発明に係るステントの製造方法の一形態を記載するが、本発明の範囲はこれに限定されるものではない。
(脂肪族ポリエステル複合体(ポリ乳酸複合体)の合成)
まず、予め末端がカルボキシル化されたポリ乳酸(0.1〜10wt%)を塩化メチレン溶媒(0.1〜20ml)中に溶解する。そして、ジシクロヘキシカルボイミド塩化メチレン溶媒(塩化メチレン0.1〜10ml中に0.1〜5wt%)の存在下でヒドロキシスクシンイミド(塩化メチレン0.1〜10ml中に0.1〜5wt%)を室温(20〜30℃)、48〜96時間で反応させる。この反応によってポリ乳酸の末端はヒドロキシスクシンイミドにより置換(キャッピング)される。そして、溶媒をTHFに変更した後、M3ポリペプチドを室温(25℃)で反応させる。この反応によって、ヒドロキシスクシンイミドがM3ポリペプチドに置換されて、ポリ乳酸とM3ポリペプチドの間でアミド結合がされ、本発明に係るポリ乳酸複合体を得る。
(ステント本体の製造方法)
本発明に係るステント本体の製造方法は特に制限されるものではなく、公知の方法を用いて作製することができる。
(脂肪族ポリエステル複合体(ポリ乳酸複合体)の合成)
まず、予め末端がカルボキシル化されたポリ乳酸(0.1〜10wt%)を塩化メチレン溶媒(0.1〜20ml)中に溶解する。そして、ジシクロヘキシカルボイミド塩化メチレン溶媒(塩化メチレン0.1〜10ml中に0.1〜5wt%)の存在下でヒドロキシスクシンイミド(塩化メチレン0.1〜10ml中に0.1〜5wt%)を室温(20〜30℃)、48〜96時間で反応させる。この反応によってポリ乳酸の末端はヒドロキシスクシンイミドにより置換(キャッピング)される。そして、溶媒をTHFに変更した後、M3ポリペプチドを室温(25℃)で反応させる。この反応によって、ヒドロキシスクシンイミドがM3ポリペプチドに置換されて、ポリ乳酸とM3ポリペプチドの間でアミド結合がされ、本発明に係るポリ乳酸複合体を得る。
(ステント本体の製造方法)
本発明に係るステント本体の製造方法は特に制限されるものではなく、公知の方法を用いて作製することができる。
例えば、特開2007−144108などに記載ように、Ni、Tiなどの金属(合金も含む)を冷間加工して、超弾性金属パイプを作製し、金属パイプを軸がぶれないようにファスナー機構の付いた回転モーター付治具にセットし、さらにこれを数値制御可能なXテーブル上にセットした後、Xテーブルおよび回転モーターをパーソナルコンピュータに接続し、パーソナルコンピュータの出力が、Xテーブルの数値制御コントローラーおよび回転モーターに入力されるものとして、パーソナルコンピュータより出力される図面データに基づいて、Xテーブルおよび回転モーターが駆動する。このようにして金属パイプにレーザーを照射することにより、所定の形状のステント本体を作製できる。また、例えばコイル状のステントであれば、本発明に係る金属を所定の太さ、外形のワイヤとする。そして、ワイヤを曲げて波状等のパターンを付けた後、マンドレル上に螺旋状に巻き付けてから、マンドレルを抜き取り、形状付けされたワイヤを所定の長さに切断するという方法で製造することができる。その他、特開平9−215753号公報、特開平7−529号公報に開示されているような弾性線材をコイル状に屈曲させて、それを複数接続して円筒状にされた例で弾性線材同士の隙間が切欠き部をなすステント本体、特表平8−502428号公報および特表平7−500272号公報に開示されているような、弾性線材をジグザグ状に屈曲させてそれを複数接続して円筒状にされた例で弾性線材同士の隙間が切欠き部をなすステント本体などが挙げられる。
(ステント本体に生理活性物質およびポリ乳酸複合体を添着させる方法、または生理活性物質放出層をステント本体に形成する方法)
まず、ステント本体に、本発明に係る生理活性物質(0.1〜1g)と、上記の方法で作成した本発明に係るポリ乳酸複合体(0.1〜1g)とを、塩化メチレン、メタノール、エタノール、プロパノールなどの低級アルコール、THF、アセトンなどの溶媒50〜200mlに溶解し、スプレー、ディスペンサーなどを用いた公知の方法により、噴霧したり、ステント本体を含浸させる。次いで、20〜60℃、16〜48時間の条件で溶媒を揮発させる。
(ステント本体に生理活性物質およびポリ乳酸複合体を添着させる方法、または生理活性物質放出層をステント本体に形成する方法)
まず、ステント本体に、本発明に係る生理活性物質(0.1〜1g)と、上記の方法で作成した本発明に係るポリ乳酸複合体(0.1〜1g)とを、塩化メチレン、メタノール、エタノール、プロパノールなどの低級アルコール、THF、アセトンなどの溶媒50〜200mlに溶解し、スプレー、ディスペンサーなどを用いた公知の方法により、噴霧したり、ステント本体を含浸させる。次いで、20〜60℃、16〜48時間の条件で溶媒を揮発させる。
または、本発明の生理活性物質を上記溶媒に1×10−4〜2.5×10−3g/mlとなるよう溶解し、スプレー、ディスペンサー等を用いた従来の方法により塗布した後、溶媒を揮発させる。次いで、上記作製したポリ乳酸複合体を、同様に上記溶媒に1×10−4〜2.5×10−3g/mlとなるよう溶解し、同様の方法で塗布し、溶媒を揮発させることにより、ステント本体の表面に生理活性物質を含む層と、当該生理活性物質を含む層の上にポリ乳酸複合体を含む層を形成させる。
ここで、ステント本体に、本発明の生理活性物質、本発明のポリ乳酸複合体、およびこれらの混合物を塗布する前に、本発明のステント本体の表面を化学的処理、またはプラズマ等を用いてエッチングのような表面に微細な凹凸を形成する作業を行うと好ましい。なぜなら、本発明のステント本体と、本発明の生理活性物質、本発明のポリ乳酸複合体、およびこれらの混合物との密着性が向上するからである。
同様な理由で本発明のステント本体の表面に接着剤等を塗布して良いし、本発明のステント本体と、本発明の生理活性物質、本発明のポリ乳酸複合体、およびこれらの混合物とを熱接着させても良い。このような方法により、本発明のステントを製造することができる。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。下記実施例は、本発明の好ましい一実施形態を示したに過ぎず、本発明がこれに限定されないことはいうまでもない。
マウス3T12繊維芽細胞をγHV68ウィルスを補充したDMEM中のWUMS株により感染多重度5で1時間感染させた後、単層をPBSで洗浄し、新鮮な10%FCSを含有するDMEMを添加してさらに37℃で8時間感染させた。その後、単層PBSで洗浄し、新鮮なFCS非含有のDMEMを添加して37℃で20時間感染させた。この培養液上清を0.2μMフィルターを通過させ、4℃で120倍濃縮して150,000xgで3時間遠心し、ウィルスを含まない残留物を除去してM3ポリペプチドを得た。このM3ポリペプチドの濃縮物を、標準として精製した細菌で発現されたM3タンパク質の既知量を用い、銀染色した12.5%アクリルアミドの濃度により測定した。
末端をカルボキシル化したポリ乳酸(API製 100D040A)を塩化メチレン溶媒中に溶かし、ジシクロへキシルカルボジミド存在下でヒドロキシスクシンイミドを室温(25℃)で反応させた後、溶媒をTHFにして上記M3ポリペプチドを室温で反応させ、M3ポリペプチドグラフト化ポリ乳酸を合成した。そのポリマーとラパマイシンを重量比が1:1になるようにテトラヒドロフラン(以下、THFと称する。)に溶解させた混合物の濃度が1wt%である溶液をスプレー(マイクロスプレーガンII NORDOSON製)によりステント表面に噴霧し、溶媒であるTHFを乾燥した。
このステントを経皮的にうさぎの左右腸骨動脈に9ヶ月間留置して造影した。その結果、%DS(ステント内径狭窄率)は21.6であり、顕著な狭窄は認められなかった。
(比較例1)
末端をカルボキシル化したポリ乳酸(API製 100D040A)を上記の実施例1と同様の方法でステント表面にコーティングした。
末端をカルボキシル化したポリ乳酸(API製 100D040A)を上記の実施例1と同様の方法でステント表面にコーティングした。
このステントを経皮的にうさぎの左右腸動脈に9ヶ月間留置して造影結果したところ、%DS(ステント内径狭窄率)は32.8であり、ポリ乳酸の炎症反応に起因すると思われる狭窄が認められた。
1 ステント、
2 ステント本体、
3 生理活性物質を含む層、
4 脂肪族ポリエステルに抗炎症リガンドを導入した脂肪族ポリエステル複合体を含む層、
5 脂肪族ポリエステルに抗炎症リガンドを導入した脂肪族ポリエステル複合体、
6 生理活性物質、
7、8 生理活性物質放出層、
C 線状部材、
D 略菱形の要素、
E 環状ユニット、
F 連結部材。
2 ステント本体、
3 生理活性物質を含む層、
4 脂肪族ポリエステルに抗炎症リガンドを導入した脂肪族ポリエステル複合体を含む層、
5 脂肪族ポリエステルに抗炎症リガンドを導入した脂肪族ポリエステル複合体、
6 生理活性物質、
7、8 生理活性物質放出層、
C 線状部材、
D 略菱形の要素、
E 環状ユニット、
F 連結部材。
Claims (9)
- 生体内留置物本体;および
前記生体内留置物本体の表面に形成され、かつ脂肪族ポリエステルに抗炎症リガンドを導入した脂肪族ポリエステル複合体と、生理活性物質とを含む生理活性物質放出層;
を有する生体内に留置する生体内留置物。 - 前記生理活性物質放出層は、塗布することにより生体内留置物本体の表面に形成されることを特徴とする、請求項1に記載の生体内留置物。
- 前記抗炎症リガンドは配列番号2のM3ポリペプチド、または抗炎症性を有し、かつ配列番号1のM3ポリペプチドのアミノ酸配列と80%以上の相同性を有するポリペプチドであることを特徴とする、請求項1または2に記載の生体内留置物。
- 前記生理活性物質放出層は、前記生理活性物質を含む層と、前記脂肪族ポリエステルに抗炎症リガンドを導入した脂肪族ポリエステル複合体を含む層と、を前記生体内留置物本体の表面に順次に積層してなることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の生体内留置物。
- 前記生理活性物質放出層は、前記生理活性物質を含む層、および前記脂肪族ポリエステルに抗炎症リガンドを導入した脂肪族ポリエステル複合体を含む層のみからなることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の生体内留置物。
- 前記脂肪族ポリエステルは、直鎖状ポリ乳酸、ハイパーブランチポリ乳酸、ポリ乳酸デンドリマーおよびポリ乳酸スターポリマーからなる群から選択される少なくとも1つであることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の生体内留置物。
- 請求項1〜5に記載の生体内留置物の形状は、管状、網状、コイル状、繊維状、不織布状、織布、またはフィラメント状であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の生体内留置物。
- 前記生理活性物質は、抗がん剤、免疫抑制剤、抗生物質、抗リウマチ剤、抗血栓薬、HMG−CoA還元酵素阻害剤、ACE阻害剤、カルシウム拮抗剤、抗高脂血症薬、抗炎症剤、インテグリン阻害薬、抗アレルギー剤、抗酸化剤、GPIIbIIIa拮抗薬、レチノイド、フラボノイド、カロチノイド、脂質改善薬、DNA合成阻害剤、チロシンキナーゼ阻害剤、抗血小板薬、血管平滑筋増殖抑制薬、抗炎症薬、生体由来材料、インターフェロンおよびNO産生促進物質からなる群から選択される少なくとも1つであることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の生体内留置物。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載の生体内留置物はステントであることを特徴とする生体内留置物。
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JP2007249924A JP2009077963A (ja) | 2007-09-26 | 2007-09-26 | 生体内留置物 |
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JP2014531933A (ja) * | 2011-09-29 | 2014-12-04 | 上海微▲創▼医▲療▼器械(集▲團▼)有限公司 | 介入医療機器およびその製造方法 |
-
2007
- 2007-09-26 JP JP2007249924A patent/JP2009077963A/ja active Pending
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