JP5675611B2 - 生分解性エラストマ及び放出可能なタキサン剤をコーティングした埋込み医療器具 - Google Patents

生分解性エラストマ及び放出可能なタキサン剤をコーティングした埋込み医療器具 Download PDF

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Description

本発明は、タキサン剤などの治療薬を放出する構造とされた埋込み医療器具コーティングに関する。更に特定すると、本発明は、生分解性のエラストマとタキサン剤とからなる埋込み医療器具のコーティング並びにこれに関連する埋込み医療器具のコーティング方法及び体内血管内の目標部位に治療薬を局部的に投与する方法に関する。
(関連出願)
本願は、2008年8月22日に出願された米国仮特許出願第61/091,045号による35U.S.C.第119条(e)に基づく優先日を主張しており、該出願の内容はこれに言及することにより本願に参照として組み入れられている。
埋込み医療器具からの治療薬の供給は種々の用途にとって望ましい。治療薬は、拡張可能なステント又は弁などの医療器具から放出されて、再狭窄、腫瘍の形成又は血栓症を含む望ましくない状態を治療又は緩和することができる。ある種の状態を緩和するための処置としては、治療薬を備えた器具を埋め込むことを含む。例えば、血管形成術処置中のステントの埋め込みは、閉塞された人体血管の治療を進歩させて来た。経皮経管冠動脈形成術(PCTA)などの血管形成術処置及び/又はバルーンの膨張によって血管の狭窄又は閉塞を拡張させることができる。血管形成術に続いて血管の突然の閉塞又は比較的ゆっくりとした閉塞が時々起こるが、これは一般的には再狭窄として知られている。血管壁の弾性的な跳ね返り及び/又は新しく開口された血管の損傷した長さに沿って血小板及び線維素が堆積することによって急性閉塞が生じるかもしれない。更に、再狭窄は、血管壁の創傷に対する自然治癒作用(内膜肥厚)から生じ、これは、中膜平滑筋細胞の移動及び増殖を含み、これは血管が再閉塞されるまで続く。このような血管閉塞を防止するために血管内にステントが埋め込まれて来た。しかしながら、再閉塞は、依然としてステントの長さを越えて且つ/又は再閉塞の内側の力が妨害されないステントの端部を越えて生じうる。この問題を少なくするために、1以上の治療薬が患者に投与される。例えば、治療薬は、全身に亘って投与されるか、ステントの近くの血管内に配置されているカテーテルを介して局部的に投与されるか、又はステント自体の表面にコーティングされる。
医療器具は、例えば、血管内において埋め込まれたステントから周囲の組織内へ治療薬を放出することによって、医療器具の埋め込まれた部位の近くの組織を所望の時間間隔に亘って治療薬に曝すのに適した方法で治療薬をコーティングすることができる。埋込み医療器具からの治療薬の放出速度及び投与量を制御するために種々の方法を使用することが出来る。埋込み器具の設計形状は、器具からの治療薬の放出に作用するようになすことができる。治療薬は種々の形状で埋込み医療器具内に含まれるようにすることができる。幾つかの器具においては、治療薬は、埋込みフレーム内か又は埋込みフレームの表面のコーティング内に含まれている。埋込みフレームのコーティングは、治療薬と混ぜ合わせられるか又は治療薬の周囲にコーティングされた生体吸収性材料を含むことができる。幾つかの埋込み医療器具は、治療薬と混ぜ合わせられるか又は治療薬の周囲にコーティングされた生体吸収性材料を備えた埋込みフレームからなる。例えば、1995年6月7日に出願されたTuchに付与された米国特許第5,624,411号には、種々の生体活性剤を含んでいる第一のコーティング層を覆っている多孔性ポリマーによってコーティングされた径方向に拡張可能なステントが記載されている。この多孔性ポリマーは、ポリ乳酸などの生分解性ポリマーとすることができる。埋込み医療器具はまた、溶解可能な物質と治療薬とを含んでいる多孔性の生体安定材料を含み、この材料は、埋め込まれたときに離脱可能な物質の溶解が治療薬を放出するポア(空所)を形成している。例えば、1993年11月15日に出願されたHelmusに付与された米国特許第5,447,724号には、生体安定性ポリマーと生体活性貯蔵層の周りに配置された溶出可能な構成要素との混合物を含んでいる外側層からなる二層コーティングが記載されており、該二層コーティングは、コーティングが体内に埋め込まれたときに前記の溶出可能な構成要素が分解して、外側層を前記の貯蔵層から外側層を通って体内へ入る生体活性剤の拡散を可能にする多孔性の層に変態させるようになされている。
制御放出医療器具の設計は、また器具の埋め込みの所望形態にも依存する。該器具は、使用される適切な生物学的環境に適合させることができる。例えば、穿刺による経カテーテルによって埋込まれる器具は、カテーテルの遠位部分から埋め込み、バルーンによるか又は自己拡張によって血管内の治療箇所で拡張するようになされた大きさ及び構造とすることができる。埋込み医療器具はまた、所望量の撓み又は衝撃に耐えるようにされ、所望期間に亘って所望の溶出速度での治療薬の給送を提供しなければならない。
埋め込まれたときに所望速度で所望期間に亘って治療薬を放出することができる医療器具が必要とされている。医療器具を埋め込むことによって、医療介入部位において必要に応じて治療薬が放出されて再狭窄の緩和などの治療上望ましい結果を促進することができることが好ましい。更に医療器具が治療部位へ埋め込まれる前に不所望な量の治療薬が放出されることなく器具の送り込み及び埋め込みを伴う撓み及び衝撃に耐えることができる放出可能な治療薬を備えた医療器具もまた必要とされている。例えば、医療器具は、血管内の治療部位へ埋め込まれる前に医療器具からの治療薬の不所望な早期の放出に耐える十分な持続性を有する生体吸収性材料からなるコーティングを備えることができる。
パクリタキセル並びにタキサンアナログ及びその誘導体は、再狭窄を緩和し又は防止するために、ステントなどの埋込み器具にコーティングされ且つ該器具から放出される治療薬として使用することができる。パクリタキセルは、チューブリンに結合させて異常分裂紡錘体(すなわち、微小管安定剤)を形成することによって、有糸分裂(M−相)を崩壊すると考えられている。
本発明は、タキサン剤を放出する構造とされた埋込み医療器具コーティング及びこのような器具の使用方法に関する。該埋込み医療器具は、血管内に埋め込まれたときにタキサン剤を放出する多層コーティングを備えているのが好ましい。このコーティングは、タキサン剤を含んでいる層を覆って配置される生体吸収性のエラストマの層を備えた少なくとも2つの層を有しているのが好ましい。一つの実施例においては、タキサン剤の少なくとも一部分はパクリタキセルの二水和固形形態である。
一つの態様に従って、末梢血管へ治療薬を供給する方法が提供されている。この方法は、径方向に拡張可能な血管ステントを使用するステップを含んでおり、該ステントは、実質的に円筒形の管腔を規定している管腔外面と管腔内面とを有しており且つ径方向に拡張した形態から径方向に圧縮した形態へと動くことができる。このステントはまた管腔外面上に多層コーティングをも備えている。該コーティングは、1735〜1700cm-1の範囲内に少なくとも3つのピークを有している振動スペクトルによって特徴付けられる第一のタキサン固形形態を含んでいるタキサン剤を含む第一の層と、第一の層の周囲に配置されており且つ1平方ミリメートルの表面積当たり約0.05〜20mgの生分解性エラストマを含んでいる第二の層とからなる。生分解性エラストマは、75,000〜240,000Daの分子量を有しており且つ第一の層内のタキサン剤の重量の1〜20倍の量で存在している。
コーティングされた血管ステントは、カテーテルを備えた管腔内給送のための手段を使用して管腔を介して血管内へ挿入される。該ステントは、末梢動脈内に位置決めされ且つ動脈内で径方向に拡張されて、末梢動脈の壁にタキサン剤を供給するのに有効な方法で動脈の壁の一部分と接触する状態に配置される。
生分解性のエストラマは、種々の実施例において、ポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)、ポリ(4−ヒドロキシブチレート)及びポリ(グリセロールセバケート)のうちの少なくとも一つを含んでいるポリマー又はコポリマーを含んでいる。他の実施例においては、生分解性エストラマは、ポリ(L−乳酸)、ポリ(D−乳酸)、及びポリ(D,L−乳酸)から選択されたポリ(乳酸)である。
一つの実施例においては、ステントは、腸骨動脈又は大腿動脈内に配置される。
別の実施例においては、第一のタキサン固体形態は二水和パクリタキセルである。更に別の実施例においては、無水パクリタキセルがタキサン剤の少なくとも20%を形成している。別の実施例においては、無水パクリタキセルがタキサン剤の少なくとも40%を形成している。更に別の実施例においては、無水パクリタキセルがタキサン剤の少なくとも60%を形成している。
別の特徴によって、薬剤給送装置を形成するために埋込み医療器具をコーティングする方法が提供されている。この方法は、タキサン剤を含む第一の層を該医療器具の表面上に付着させるステップを含んでいる。該第一の層は、第一の溶媒と該第一の溶媒内に分散しているタキサン剤とを含んでいる第一の溶液を表面に塗布することによって付着される。前記の第一の溶液はポリマーを含んでいない。前記の第一の溶媒は、前記の第一の層が1平方ミリメートルの表面積当たり約0.05〜1.00μgのタキサン剤を含むようになるまで塗布と蒸発とが繰り返される。タキサン剤の少なくとも一部分は第一のタキサン固体形態で存在しており、このタキサンの固体形態は、1735〜1700cm-1間に少なくとも3つのピークを含む振動スペクトルによって特徴付けられる。
生分解性エラストマを含んでいる第二の層が、第二の溶液を塗布することによって第一の層の周りに付着する。該第二の溶液は、第二の溶媒と該第二の溶媒内に分散された生分解性エラストマとを含んでおり、該生分解性エラストマの分子量は75,000〜240,000Daである。該第二の溶媒を蒸発させ、第二の層内の生分解性エラストマの重量が第一の層内のタキサン剤の重量の1〜20倍となるまで塗布と蒸発とが繰り返される。
一つの実施例においては第二の溶媒はアセトンである。別の実施例においては、タキサン剤の少なくとも一部分は、第二のタキサン固体形態で存在しており且つ1735〜1700cm−1の範囲内に3つ以下のピークを有している振動スペクトルによって特徴付けられる。
別の態様に従って、医療器具の表面に付着させたタキサン剤を放出する構造とされたコーティングを備えているコーティングされた埋込み医療器具が提供されている。該コーティングは、1735〜1700cm−1の範囲内に少なくとも3つのピークを有している振動スペクトルによって特徴付けられる第一のタキサン固体形態からなるタキサン剤を含んでいる第一の層と、該第一の層の周りに配置され且つ生分解性エラストマを含んでいる第二の層とを含んでいる。生分解性エラストマは、分子量が75,000〜24,000Daであり且つ前記の第一の層内の治療薬の重量の1〜20倍の量で存在している。
一つの実施例においては、生分解性エラストマはポリ(乳酸)である。別の実施例においては、第一のタキサン固体形態は無水パクリタキセルである。更に別の実施例においては、タキサン剤は少なくとも40%の無水パクリタキセルを含んでいる。別の実施例においては、タキサン剤は少なくとも60%の無水パクリタキセルを含んでいる。
図1Aは、コーティングされた血管ステントとして形成されている埋込み医療器具の側面図である。 図1Bは、図1Aのコーティングされた血管ステントの一部分の断面図である。 図1Cは、図1Aのコーティングされた血管ステントのための第一の代替的なコーティング構造の一部分の断面図である。 図2Aは、図1Aのコーティングされた血管ステントのための第二の代替的な器具構造の一部分の断面図である。 図2Bは、図1Aのコーティングされた血管ステントのための第三の代替的なコーティング構造の一部分の断面図である。 図3Aは、エタノール内のパクリタキセルの紫外スペクトル−可視スペクトルを示している図である。 図3Bは、パクリタキセルの第一の固体形態の赤外スペクトルを示している図である。 図3Cは、パクリタキセルの第二の固体形態の赤外スペクトルを示している図である。 図3Dは、パクリタキセルの第三の固体形態の赤外スペクトルを示している図である。 図4は、HCD内のパクリタキセル溶出特性を示している図である。 図5は、SDS内のパクリタキセルの溶出特性を示している図である。
以下の詳細な説明及び添付の図面は、本発明の種々の例示的な実施例を記載し且つ図示している。この説明および図面は、当業者が本発明を実施し且つ使用することができるようにする機能を果たす。血管ステント上に2つの層からなるコーティングを備えているある種の好ましいコーティングされた医療器具装置の例示的なコーティング構造の説明は、2以上の層、種々の疎水性の治療薬、種々の生分解性エストラマ、及び/又は層配合物がコーティングされた種々の埋込み医療器具を含む他のコーティングされた医療器具(カテーテル、ステント移植片、血管移植片、及びその他のものを含む)に関するものでもある。
別途規定されていない限り、本明細書において使用されている全ての技術用語及び科学用語は、本発明が関係する当業者によって一般的に理解されているものと同じ意味を有している。矛盾する場合には定義を含む本明細書を照合して確かめられるべきである。好ましい方法及び材料を以下に記載するが、ここに記載したものと類似の又は等価の方法及び材料を本発明の実施又は試験において使用することができる。
本明細書において使用されている“疎水性”という用語は、水溶性が室温(約25℃)において0.1mg/mL未満である物質を指している。
治療薬は、該治療薬が医療器具のコーティング又はその他の部分によって包囲されている場合に“封入”されており、治療薬の放出前は、医療器具の表面領域の一部分を形成していない。医療器具が最初に溶出媒体内に配置されるときには、封入されている治療薬は最初の溶出媒体と接触しないのが好ましい。
本明細書において使用されている“溶出”という用語は、溶出媒体と接触したときに医療器具コーティングから材料が取り出されることを指している。溶出媒体は、取り出し可能な物質に対する溶媒として作用することによる場合を含むあらゆるプロセスによって基材から前記物質を取り出すことができる。例えば、血管系に導入できるようになされている医療器具においては、血液は、医療器具の表面の一部分と放出可能に組み合わせられている治療薬を溶解する溶出媒体として機能することができる。取り出される物質としては好ましくは治療薬があるが、生体吸収性エラストマとすることもできる。所定のコーティング形態及び配合物の溶出特性は、典型的には種々の溶出媒体において変わる。
本明細書において使用されている“溶出媒体”は、コーティングが該溶出媒体と接触したときに治療薬がコーティングから放出される状態又は環境を指している。溶出媒体は流体であるのが望ましい。溶出媒体は、血液又はブタ血清などの生物学的流体であるのが更に好ましいが、他の化学物質も溶出媒体として使用できる。例えば代替的な溶出媒体としては、所定の速度で治療薬を放出するリン酸塩緩衝剤食塩水、水溶液、温度及び/又はpHを含む反応条件、又はこれらの組み合わせがある。溶出媒体は、医療器具を血管内に埋め込んだときに得られる溶出特性に似た溶出特性を提供する流体であるのが好ましい。例えば、ブタ血清は、幾つかのコーティング形態のための血液内の溶出特性に似た溶出特性を提供することができる。
“有効量”という用語は、不所望な副作用を惹き起すことなく所望の作用をもたらすのに十分な有効成分の量を指している。幾つかの場合には、所望の作用を得ることと過酷な望ましくない作用を制限することとの間のバランスをとることが必要であるかもしれない。使用される有効成分の量は、有効成分の種類及び本発明の配合物の意図した使用方法に応じて変わる。
量に関して使用されている“約”又は“実質的に”という用語は、意図されている目的又は機能について開示されている量と僅かに異なる量などの開示されている量と等価な開示量の変動値を含んでいる。
本明細書において使用されている“管腔内面”という用語は、管腔内側の少なくとも一部分を規定している医療器具の表面領域の部分を指している。逆に、本明細書において使用されている“管腔外面”という用語は、医療器具の表面領域の部分を指しており、これは管腔内側の少なくとも一部分を規定するものではない。例えば、医療器具が、筒形の管腔を規定している複数の連結された支柱及び屈曲部によって形成された管状のフレームである場合には、管腔外面は、外面、側面並びに支柱及び屈曲部の端縁を含み、一方、管腔内面は支柱及び屈曲部の内側面を包んでいる。
本明細書において、使用されている“境界部”という用語は、相互に接している2つのコーティング層などの2つの構造要素間の共通の境界部を指している。
本明細書において使用されている“コーティング”という用語は、別途指示されていない限り、概ね埋込み医療器具に付着された材料を指している。コーティングには、医療器具の一部分を覆っている材料が含まれ、1以上のコーティング層によって形成することができる。コーティングは実質的に一定の又は変動する厚み及び組成を有している。コーティングは医療器具表面の一部分に密着させることができ、この一部分には、管腔内面、管腔外面、又はあらゆる部分若しくはあらゆる部分の組み合わせが含まれる。
本明細書において使用されている“コーティング層”という用語は、基材表面を覆うように配置されている材料を指している。コーティング層材料は、基材表面と接触する状態に配置するか又は基材表面とコーティング層との間の他の材料と接触する状態に配置することができる。コーティング層は、基材の互いに別々の不連続な部分に配置される材料又は基材表面全体を覆う連続した層を含む基材のあらゆる部分を覆うことができる。
“埋込み”という用語は、医療器具を体内のある位置例えば血管内に配置されるようにすることができる機能を指している。更に、“埋込み”という用語は、医療器具を体内のある位置例えば血管内に配置することを指している。
“合金”という用語は、2以上の金属又は例えば化学的相互作用若しくは物理的相互作用によって密接に結合された金属と非金属とによって構成された基材を指している。合金は、溶解されたときに溶け合ったり溶解したりすることを含む種々の方法によって形成することができるが、溶融処理は、材料が“合金”という用語の範囲内に包含されるための要件ではない。当該技術において理解されているように、合金は、典型的にはその構成要素と異なる物理的特性又は化学的特性を有している。
“混合物”という用語は、各々の基材がそれ自体の化学的同一性及び特性を維持している2以上の物質の結合を指している。
“生体吸収性”という用語は、溶解、分解、吸収、排泄などの消失が生じるメカニズムの種類に関係無く、体内に埋め込まれたときに散逸させるために選択される材料を指している。使用のための材料の種類の実際の選択は当業者によって容易になされる。このような材料は、“生体再吸収性”、“生体吸収性”、又は“生分解性“などの、材料が散逸される方法に応じた当該技術における種々の用語によって示されることが多い。“生体”という接頭辞は、例えば、高温、強酸若しくは強塩基、紫外光若しくは気候条件によって生じる他の侵食過程とは異なり、侵食が生物学的条件下で生じることを示している。
“吸収”、“生体再吸収”及び“生体吸収”という用語は、例えば、埋め込み部位からの流体の搬送によるか又は細胞活性(例えば、食作用)による生物学的事象によって取り出されるポリマー又はその分解生成物の機能を指すために互換可能に使用することができる。生体吸収性という用語は、概ね、再吸収性、吸収性、生体再吸収性、及び生分解性を包含するものとして以下の説明において使用されている。
“生体適合性”材料は、毒性又は人体に害が無いことによって生組織又は生体系に適合性のある材料である。
“非生体吸収性”又は“生体安定性”材料は、例えば実質的に生体に吸収されることなく体内に残るポリマー又はコポリマーなどの材料を指している。
“制御放出”という用語は、所定の環境内で医療器具のコーティングからの治療薬の放出速度を変えることを指している。治療薬が、医療器具から放出される速度を変えることができるコーティング又は構造は、治療薬の制御放出を提供する。“持続放出”という語句は、医療器具からの治療薬の放出速度又は放出期間を引き延ばすことを指している。治療薬の徐放速度は、一定であっても良いし又は時間と共に変わっても良い。制御放出は、薬剤溶出特性によって特徴付けられる。この基材溶出特性は、治療薬が所定の溶出媒体内の薬剤がコーティングされた器具から放出される速度の測定値を時間の関数として示す。制御放出溶出特性は、例えば生理学的環境内への医療器具の導入に付随する初期の突然の放出とそれに続く比較的ゆっくりとした放出とを含んでいる。
“抗増殖性”の試薬/ファクタ/薬剤は、細胞分裂を阻止するように作用するタンパク質、ペプチド、化学物質、又は分子を指している。抗増殖性剤の例としては、ビンブラスチン、ビンクリスチン、コルヒチン、及びパクリタキセルなどの微小管阻害薬、又はシスプラチンなどの他の作用薬がある。
本明細書において使用されている“薬学的に受け入れ可能な”という用語は、正常な医学的判断の範囲内で、過度な毒性、刺激、及びアレルギー反応が無く、人間及び下等哺乳類の組織と接触した状態で使用するのに適しており且つ妥当な利益と危険性との比に対応し且つ意図されている使用方法並びに本発明の配合物の両性イオン塩形態に対して有効である本発明の配合物を指している。
多数の鏡像異性形態内に存在し得る物質に名前を付ける際に、(d)又は(l)などの鏡像異性呼称を付されていない物質の名前に対する符号は、本明細書においては、別途特定されない限り、(d)形態(l)形態及びラセミ混合物(例えば、d、l)を含む物質の属を指している。例えば、ポリ(乳酸)の列挙は、別途指定されない限り、ポリ(L−乳酸)、ポリ(D−乳酸)、及びポリ(D,L−乳酸)からなる群から選択された化合物を指している。同様に、2以上の多形体内に存在し得る化合物に対する総称参照は、個々の多形体種及びこれらの結合体又は混合物からなる種を指していると理解される。
本明細書に開示されている濃度範囲、パーセント範囲、又は比率範囲は、別途指示されない限り、整数の1/10及び1/100などの範囲及び分数内のあらゆる整数の濃度、パーセント、又は比率を含むものと理解されるべきである。更に、ポリマーのサブユニット、サイズ、又は厚み、などの物理的特性に関して本明細書に開示されている数値範囲は、別途指示されない限り、開示されている範囲内のあらゆる整数を含むものと理解されるべきである。上記及び本明細書内の他の場所において使用されている“1つの”という用語は列挙された構成要素のうちの“1以上”を指しているものと理解されるべきである。例えば“一つの”ポリマーは、1つのポリマー又は2以上のポリマーからなる混合物を指している。
コーティング構造
第一の実施例には、血管内に埋め込まれるとタキサン剤などの治療薬を放出する多層コーティングを備えている埋込み医療器具が提供されている。一つの実施例においては、コーティングは、少なくとも2つの層すなわち第一の層と第二の層とを有し、該第一の層は、医療器具の表面の少なくとも一部分と前記第二の層との間に配置されている治療薬を含み、第二の層は、生体吸収性エラストマを含んでおり且つ前記第一の層の少なくとも一部分の周りに配置されてこの部分を覆っている。
一つの実施例においては、該医療器具は、埋め込み時には、第一の層と血管壁との間に第二の層を配置した構造とされているのが好ましい。別の実施例においては、医療器具構造は、管腔外(外側)面と径方向反対側に配置されている管腔内(内側)面を有している内側管腔を規定している。コーティングは、管腔内面及び/又は管腔外面に適用される。一つの実施例においては、治療薬は徐放できるように管腔外面に付着されている。任意的に、第二の治療薬が徐放できるように管腔内面に付着される。1以上の生体吸収性エラストマが治療薬を覆っている。生体吸収性エストラマは、治療薬を封入し且つ医療器具の管腔外面並びに管腔内面に塗布されるのが好ましい。各コーティング層は、所望の器具形状に応じて、表面の一部分に適用するか又は表面全体にわたって連続するように適用される。
図1は、径方向に拡張可能なフレーム20を覆っている2つの層からなるコーティングを有しているコーティングされた埋込みステント10として作られている例示的なコーティングされた医療器具を示している。血管ステント10は、交互の支柱と屈曲部との正弦曲線列によって形成された複数の結合されたフープ12によって形成された管状のステントとされている。血管ステント10は、圧縮された状態から図1に示されている拡張された状態へと径方向に拡張可能である。フレーム20は、超弾性ニッケル−チタン合金などの適切な材料によって作ることができる。
フレーム20の管腔外面14には、治療薬剤を含む第一の層30と少なくとも第一の層30を覆うように配置されている第二の層40とがコーティングされている。第二の層40は生体吸収エラストマを含んでいる。一つの実施例においては、第一の層30は主として治療薬剤によって構成されている。治療薬剤は、埋込み医療器具のフレーム20の管腔外面14の少なくとも一部分に付着していて放出できるようになされており、埋込み医療器具20の管腔外面14と主として生体吸収性のエラストマ材料によって構成されている第二の層40との間に配置されている。一つの実施例においては、第一の層30は治療上有効な量の治療薬剤を含んでいる。別の実施例においては、第一の層30は、例えば第二の層40内に存在する生分解性エラストマなどのポリマーを実質的に含んでいない。第二の層40は、少なくとも第一の層30の周りに配置されており且つ任意に医療器具の管腔外面の全て又は一部を覆うように配置されている。一つの実施例においては、第二の層40は実質的に治療薬剤を含んでいない。例えば、第二の層40は、主として、第二の層40の1平方ミリメートルの表面積当たり約0.1mg未満の治療薬剤を含んでいる生分解性エラストマによって構成されている。
第一の層30と第二の層40とは適当な厚みを有している。図1Bは、図1Aの線A−A’に沿ったフレーム20のコーティングされた部分の断面を示しており、コーティングされた部分は管腔外面14と管腔内面16と有している。図1Bに示されている実施例においては、第一の層30は、主として、フレーム20の管腔外面に直に付着されている治療薬剤と、第一の層30とフレーム20の管腔内面16との両方を覆うように配置されている第二の層40とから構成されている。別の方法として、フレーム20の線A−A’に沿った断面図である図1Cに示されているように、第二の層40は、フレーム20の管腔外面14上には付着されず、フレーム20の管腔内面16のみを覆うように配置することができる。一つの実施例においては、第二の層40は、治療薬剤が溶け出す前にコーティングの外側面が被覆のない治療薬剤を含んでいないような形態で第一の層30を覆っている。
コーティングは、実質的に平らな又は粗面とされた金属表面上への適用、組織移植片若しくはポリマーゲル内への適用、器具の各部分に形成された溝、穴、又は凹部内への含浸による適用、を含む医療器具のあらゆる適当な面に適用することができる。一つの実施例においては、医療器具は血管ステント又はステント移植片として形成されているが、コーティングは、あらゆる適切な埋込み医療器具に適用できる。例えば、カテーテルの埋め込み部分、胆管若しくは泌尿器用のステント若しくはシャント、ステント移植片、組織移植片、整形外科用インプラント、ペースメーカー、埋め込み弁、及びその他の埋め込み器具には、ここに開示されているコーティングを被覆して、埋め込まれると治療薬剤を放出できるようにすることができる。
他の実施例においては、本発明は、治療薬剤が含まれている層を医療器具自体の中に備えることができる。該医療器具は、治療薬剤及び/又はポリマーを収容するための穴、凹部、長穴、溝、又はその他の類似の構造を備えていても良い(例えば、同時係属中の米国特許出願第10/870,079号を参照のこと。当該特許出願はこれに言及することにより本明細書に組み込まれている)。図2Aは、図1Aに示した医療器具の改良形態である医療器具110のコーティングされた部分の線A−A’に沿った断面図である。該医療器具はフレーム120を備えており、フレーム120は、治療薬剤を含んでいる第一の層130を備えている凹部125を有している。第一の層130は、医療器具110の表面上ではなく凹部125内に配置されている以外は、上記した第一の層30と類似である。第一の層130は、凹部125の壁と第二の層140とによって包囲されている。凹部125は、如何なる寸法とすることもでき且つ医療器具のフレームの機械的取り出し部分又は化学的取り出し部分を含む適切な方法によって医療器具内に形成することができる。生体吸収性エラストマを含んでいる第二の層140は、第一の層130の周囲に且つ医療器具110の管腔外面114に配置されている。第二の層140は、上記した第二の層40と類似している。医療器具110の管腔内面116はコーティングされていない。別の方法として、治療薬剤及び/又は生体吸収性エラストマを、器具が生体分解されるにつれて治療薬を放出する生分解性医療器具のフレーム120内に組み込んでも良いし、又は治療薬剤及び/又は生体吸収性エラストマを他の公知の方法で医療器具のフレーム120内に組み込むか若しくはフレーム120上に配置しても良い。
該医療器具のコーティングは任意に2以上の層を更に含むことができる。図2Bは、図1Aに示した医療器具の改良形態である医療器具150のコーティングされた部分の線A−A’に沿った断面図である。該医療器具はフレーム160を備えており、フレーム160は、管腔内面116と管腔外面114との間に延びている穴162を有しており、管腔外面114は穴162内に複数の層170を有している。層170は第一の治療薬層130と第二の治療薬層132とを含んでおり、これらは異なる薬剤の同じ層からなる。例えば、第一のコーティング層140が第一の治療薬層130と第二の治療薬層132との間に配置されており、第二のコーティング層142が第一の治療薬層130の管腔外側に配置されており、第三のコーティング層144が第二の治療薬層132の管腔内側に配置されている。第一のコーティング層140、第二のコーティング層142、及び第三のコーティング層144は、同じか又は異なる配合物及び厚みを有している。第一のコーティング層140と第二のコーティング層142とは生体吸収性エラストマを含んでいるのが好ましい。第三のコーティング層144は、治療薬の溶出を該医療器具の管腔外面114へと導くか又は管腔内面上への治療薬の溶出の溶出速度を遅らせるように機能する材料を含んでいる。第二のコーティング層142は、第一のコーティング層140よりも多孔率が大きいか又は埋め込まれたときに第一のコーティング層140よりも迅速に分解する。従って、第一の治療薬層130は、第二の治療薬層132よりも前にすなわち比較的迅速に管腔外面114から溶出する。第一の治療薬層130の迅速な溶出によって、管腔外面114に接触している血管の一部分への最初の“急激な”治療薬の供給がなされ、次いで、第二の治療薬層132から管腔外面114ヘの比較的ゆっくりとした持続する溶出がなされる。
コーティング内の複数の層170は、治療薬剤を含んでいる適当な数の層と、2,3,4,5,6,7,8,9,又は10層のコーティングを含む生体吸収性エラストマなどの他のコーティング材料からなる層とを含んでいる。生体吸収性エラストマを含んでいる層は1以上の治療薬剤を含んでいる層間に配置されるのが好ましい。種々の治療薬剤を異なる層内に又は同じ層内に配置することができる。別の方法として、第三のコーティング層144などの層を生体吸収性材料によって作って管腔内面116への治療薬剤の溶出を可能にすることができる。更に別の代替的なコーティング構造においては、第一のコーティング層140を生体安定性材料によって作り、第二のコーティング層142及び第三のコーティング層144を生体吸収性エラストマによって作って、管腔外面114からの第一の治療薬剤の層130の溶出と管腔内面116からの第二の治療薬剤の層132の溶出とを可能にすることができる。
他の実施例においては、治療薬剤又は生体吸収性エラストマを含んでいる層以外の追加の層を、治療薬剤を含んでいる第一の層と医療器具の表面との間に配置するか又は第一の層と第二の層との間に配置するか又は第二の層を覆うように配置することができる。この任意の追加の層は、例えば、医療器具への治療薬剤の付着を促進し又は治療薬の放出に関して所望通りに作用させることができる。例えば、付着促進層を図2Bのフレーム160と複数の層170との間に沈積させることができる。この付着促進層は、1以上のコーティング層の付着又は保持を促進する適当な材料、例えばシラン、熱分解炭素、パリレン等とすることができる。
幾つかの実施例においては、図2Aのコーティング層140などの外側コーティング層を血管の壁への付着を促進する材料とすることができる。別の方法として、埋め込んだときに体の一部ヘの付着を促進する材料をコーティング層140内に組み込むことができる。装置の表面又はコーティング層の化学的改質又は生物学的改質もまた、埋込み医療器具と周囲の宿主組織との間の付着を高めることができる。例えば、医療器具には、治療プロセス及び/又は宿主組織への器具の付着を高める物質がコーティングされる。一つの方法においては、埋込み医療器具は、特定の所望組織細胞による浸潤を可能にすることができる。一つのタイプの組織浸潤としては、“内皮形成”として知られている方法すなわち隣接組識から器具の表面上又は器具の表面内への内皮細胞の移動がある。内皮形成を促進する方法としては、インプラント表面の編み目内への組織の成長を可能にする多孔質のコーティングを器具に塗布する方法がある(例えば、WO96/37165A1を参照)。帯電性材料又は電離性材料(例えばフルオロポリマー)を器具の組織接触面又は器具のコーティングの一部分に適用することもできる(WO95/19796A1、J. E. DaviesによるSurface Characterization of Biomaterials(生体材料の表面特性), B. D. Ratner, ed., 第219〜234頁(1988年)、及び米国特許第5,876,743号を参照)。生体適合性有機ポリマー(例えば、炭素、硫黄、又はリン酸オキシ酸族によって置換したポリマー)を医療器具のフレームのコーティング層に又は該フレームの一部分に付加し、宿主とインプラントとの境界部における骨形成を促進させる(例えば、米国特許第4,795,475号を参照)か、又は生物学的物質(例えばコラーゲン)によって作られたコーティングをインプラントと組織との境界部における組織修復、成長、及び順応を高めるために使用する(例えば、米国特許第5,002,583号)ことができる。
タキサン剤
一つの実施例においては、治療薬剤はタキサン剤である。本発明の一つの態様は、パクリタキセルなどのタキサン剤を含む配合物をコーティングする方法に関する。一般的にはタキサン特にパクリタキサンは、微小管阻害剤更に特定すると安定剤として機能することによって、細胞周期阻害剤として機能すると考えられる。本明細書において使用されている“パクリタキセル“という用語は、以下においては、幾つかの置換基を有している4つの縮合環を有しているコア構造からなる構造式(1)(構造式(1)内において陰影が付されている“コアのタキサン構造”)として示されている化学構造の化合物を指している。
Figure 0005675611
他のタキサンアナログ又は化合物誘導体は、パクリタキセルの構造式(1)の変異体によって特徴付けられる。好ましいタキサンアナログ及びコア誘導体は、コアのタキサン構造に結合された置換基を変化させる。一つの実施例においては、治療薬剤はタキサンアナログ又はコアのタキサン構造式(1)と該コアのタキサン構造の13−炭素位置(“C13”)にあるメチル3−(ベンザミド)−2−ヒドロキシ−3−フェニルプロパノエイト成分(下の構造式(2)で示されている)とを含んでいる誘導体(構造式(1)において点線で囲まれている)である。
Figure 0005675611
コアのタキサン構造の13−炭素位置における構造式(2)は、分子の生物学的活性において細胞周期阻害剤としての役目を果たすと考えられる。構造式(2)を有している治療薬剤の例としては、パクリタキセル(メルク(Merck)索引項目 7117)、ドセタキソル(TAXOTERE(タキソテール),メルク(Merck)索引項目 3458)、及び3’−デスフェニル−3’−(4−ニチロフェニル)−N−脱ベンゾイル−N−(t−ブトキシカルボニル)−10−脱アセチルタキソルがある。
タキサン化合物を含んでいる組成物としては、配合、脂溶性薬剤、アナログ、及び例えばタキソール(TAXOL)(ニューヨーク州ニューヨークにあるBristol Myers Squibb製)などのパクリタキセルの誘導体がある。治療薬剤として使用することができるパクリタキセル誘導体又はアナログを含むタキサン化合物の他の代表的な例は、2008年1月24日に公開された同時係属中の出願公開第2008/0020013号に開示されており、該出願の内容は、これに言及することにより参考として本明細書に組み入れられている。
タキサン剤配合物の固体形態
タキサン剤は1以上のタイプのタキサン剤を含んでいる。同じ分子構造を有しているタキサン剤分子は種々の固体形態で配列される。タキサン剤分子は、埋め込み前に種々の溶出媒体(例えば、シクロデキストリン又はブタ血清)内での溶解速度を含む1以上の物理的特性によって特徴付けられ且つ区別することができる。典型的には、溶媒和された固体形態のタキサン剤は、水性環境例えば血管内では、非溶媒和固体形態よりも更にゆっくりと溶解するが、非溶媒和固体形態よりも耐久性が低い。特定の分子構造を有しているが種々の固体形態から発生するタキサン剤分子は、ひとたび溶解すると溶液内では識別できない。
一つの実施例においては、タキサン剤はパクリタキセルである。室温でのパクリタキサンの固体形態は、非晶質なパクリタキセル(“aPTX”)、二水和結晶パクリタキセル(“dPTX”)、及び無水結晶パクリタキセルを含んでいる。パクリタキセルのこれらの種々の固体形態は、種々の固体形態分析手段、例えば、“Preparation and Characterization of Solvent Induced Dihydrate, Anhydrous and Amorphous Paclitaxel(溶媒誘導された二水和、無水、及び非晶質パクリタキセルの調製及び特徴”,Bull. Korean Chem. Soc. 第22巻、第925〜928頁(2001年)においてJeong Hoon Leeらによって記載されている種々の固体形態分析手段を使用して特徴付け且つ特定することができる。当該文献は、これに言及することにより本明細書に参考として組み入れられている。例えば、非晶質及び二水和タキサン固体形態は、目に見える外観及び溶出速度によって容易に特定でき且つ区別できる。二水和タキサン固体形態は典型的には透明な白色を有しており、一方、非晶質の二水和タキサン固体形態は典型的には無色透明な外観を有している。更に、医療器具コーティング内に種々の固体形態のタキサン剤が存在することは、コーティングを、第一の固体形態を第二の固体形態よりも容易に選択的に溶解させる溶出媒体と接触させることによって特定し且つ定量することができる。ブタ血清又は血液などの溶出媒体を含んでいる溶液内においては、タキサン剤の存在は、例えば、紫外線分光分析法又は高圧液体クロマトグラフィ(HPLC)を使用することによって特定することができる。ブタ血清などの溶出媒体においては、溶媒和タキサン剤構造は、非溶媒和固体形態よりも更にゆっくりと分解する。非溶媒和固体形態は、非晶質固体形態又は無水固体形態を含んでいる。
Benigniらに付与された2002年11月26日出願の米国特許第6,858,644号(“Benigni”と称す)には、パクリタキセルを含んでいる結晶性溶媒和物と溶媒とが教示されており、該溶媒としては、ジメチルスルホキシド、N,N’−ジメチルホルムアミド、N,N’−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドリン、1,3−ジメチル−2−イミダドリジノン、1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2−(1H)−ピリミジノン、及びアセトニトリル、並びにこれらの組み合わせから選択されたものがある。しかしながら、Benigniは、種々の溶出速度を有する結晶パクリタキサン形態を含む埋込み器具コーティングを記載していない。Benigniには、非水溶性が高い結晶、粒状物、溶媒を含まない形態として報告されている第一の固体形態を含んでいる種々の形態のパクリタキセルが開示されている。第一の固体形態は、一般的な実験室条件(およそ50〜60%の相対湿度(RH);20〜30℃)において実質的に吸湿性である。しかしながら、約90%を超える相対湿度を有する雰囲気と接触したとき、又は懸濁水溶液、コロイド分散、若しくは乳濁液内で、報告されている第一のパクリタキセル固定形態は、(時間、温度、攪拌等の関数として)熱力学的に比較的安定した第二の固体形態に変化する。第二の固体形態は、2つの独立したパクリタキセル分子(1つのパクリタキセル“二量体”)当たり6個の水部位を有している三水和物斜方晶形態として記載されている。これらの水和結晶は、報告によれば細かい髪状の外観を呈しており且つ第一の固体形態よりも水溶性がかなり低い。第二の固体形態は、報告によれば、水性懸濁液内で又は過剰な水の存在下で水性溶媒からの結晶化によって形成される。この形態もまた特許出願EP 0717 041にも開示されている。この特許出願には、斜方格子のものとして単一の結晶X線回析研究によって特徴付けられている第二の固体形態が記載されており、単位細胞は、“二量体”を形成するために水素結合と組み合わせられているパクリタキセルの2つの結晶学的に独立した分子を含んでいる。Mastropaoloらは、ジオキサン状のTAXOL(登録商標)、水、及びキシレンの溶液の蒸発によって得られるパクリタキタルの結晶溶媒化合物を開示した(Proc. Natl. Acad. Sci. USA 92, 6920-24 (1995年7月))。この溶媒化合物は不安定なものとして示されており且つ少なくとも天然のままのパクリタキセルの精製をもたらすものとしては示されてはいない。この薄い板状の結晶は、パクリセキタルの2つの分子当たり5個の水分子と3個のジオキサン分子とを含んでいるものとして報告されている。これらの参考文献のいずれにも、コーティングの固体形態の組成を変えるために医療器具のコーティングの処理によって変えることができる溶出特性を有する耐久性のあるタキサンコーティングが記載されていない。
パクリタキサンの溶媒和された固体形態は更に、二水和パクリタキセル(パクリタキセル・2HO)などの溶媒和された固体形態を形成するために水分子を更に含んでいる。溶媒和された固体形態内のタキサン剤と水和用の水との間のモル比は、整数比並びにパクリタキセル水分子当たり2.2のHOなどの非整数比を含んでいる。溶媒和された固体形態は、タキサン剤の分子当たり約1.0〜5.0の水分子のモル比を有しているのが好ましく、溶媒和された固体形態のタキサン剤の分子当たりのモル比としては、1.2,1.3,1.4,1.5,1.6,1.7,1.8,1.0,1.1,1.2,1.3,1.4,1.5,1.6,1.7,1.8,1.9,2.0,2.1,2.2,2.3,2.4,2.5,2.6,2.7,2.8,2.9,3.0,3.1,3.2,3.3,3.4,3.5,3.6,3.7,3.8,3.9,4.0,4.1,4.2,4.3,4.4,4.5,4.6,4.7,4.8,4.9,5.0及びそれより高い水分子が含まれる。
コーティング構造内のタキサン剤の存在は、例えば紫外線検知方法によってコアのタキサン構造を検知することによって特定できる。例えば、コーティングの例は、適切な溶出媒体内でコーティングを溶解することによって破壊的に試験することができる。前記の適切な溶出媒体は、溶液内のタキサン剤の紫外線(UV)スペクトル内の溶液内のタキサン剤特有のピークの測定を可能にする。この特徴的なピークは、コアのタキサン構造と関連付けられているのが好ましい。メタノ−ル及びエタノールは、適切な溶媒の好ましい例である。図3Aは、エタノール内のパクリタキセルの25.67マイクロモル溶液から得られるエタノール内のパクリタキセルの紫外線(UV)スペクトル100(Agilent In-line UV Spectrometer)を示している。パクリタキセルは、227nmに特性ピーク(102)を示し、このピークは溶液内にパクリタキセルのコアのタキサン構造の存在を示す。タキサン剤は、約227nmにおける特性ピークによって特徴付けられた溶出媒体の紫外線スペクトルから特定することができ、これは、タキサン分子がもたらさせる固体形態に関係なく溶液内のタキサン剤の存在に対して関連付けることができる。
医療器具コーティング内のタキサン剤の種々の固体形態は固有の分子構造を有しているが、コーティング内のタキサン分子の配列は異なっている。種々の固体形態のタキサン剤が、融点、溶解度、及び外観を含む1以上の物理的特性に基づいて特定し且つ区別することができる。更に、タキサン剤の種々の他の固体形態を特定するために種々の他の分析方法を使用することができ、該方法としては、振動分光分析法(ラマンスペクトル又は赤外スペクトルを含む)、溶解度、融点、X線回析(XRD)、13C核磁気共鳴(NMR)、及び昇温離脱法(TRD)がある。
タキサン剤の種々の固体形態(非晶質形態、無水形態、又は二水和形態を含む)は、以下に記載する典型的には種々の溶媒内での無水形態で得られる固体のタキサン剤を溶解することによって形成することができる。これら3つの固体形態のパクリタキセルは、J. H. Leeらによる“Preparation and Characterization of Solvent Induced Dihydrated, Anhydrous and Amorphous Paclitaxel(溶媒によって誘導された二水和、無水、及び非晶質パクリタキセルの調整及び特性)”,Bull Korean Chem. Soc., 第22巻no.8, 第925〜928頁(2001年)に記載されている方法によって調製し且つ特定することができる。この文献はこれに言及することにより本願に参考として組み入れられている。
一つの実施例においては、非晶質パクリタキセル(“aPTX2”)などの非晶質のタキサン剤を含む医療器具が提供されている。塊状の非晶質パクリタキセルは、適切な中性有機溶媒好ましくは塩化メチレン(ジクロロメタン)内でタキサン剤を溶解し、次いで、溶媒を除去して非晶質の固体を残すことによって調製することができる。有機媒体としてクロロホルムを使用することもできる。例えば、非晶質タキサン剤は、固体のタキサン剤をジクロロメタン内に溶解させ、次いで、結晶化、ジクロルメタンの蒸発、及びこれに続く試料の真空乾燥によって形成することができる。望ましくは、この合成方法は、低湿度環境(好ましくは,約40%未満の相対湿度、より好ましくは約30%未満、最も好ましくは20%未満の相対湿度又はそれ以下)で且つ約23℃で行なわれる。図3Bは、例1の方法によって調製された非晶質パクリタキセルの赤外振動スペクトルを示している。非晶質パクリタキセル100のスペクトルは、約1723cm−1に単一の幅の広いピーク(102)を含むと共に次の他の特性ピークすなわち3064cm−1(104)、3029cm−1(106)、2942cm−1(108)、1650cm−1(110)、及び1517cm−1(112)を含んでいる。例1に従って調製された非晶質のパクリタキセル試料の溶融点は、約190℃〜210℃であった。非晶質タキサン剤は、赤外スペクトル内に約1700〜1740cm−1典型的には約1723cm−1の単一幅の広いピークの存在によって特定することができる。非晶質のタキサン剤は、二水和タキサン剤よりもブタ血清内での溶解度が比較的高いが非晶質タキサン剤よりも溶解度が低いことが判明した。
別の実施例は、無水パクリタキセルなどの無水タキサン剤を備えている医療器具を提供している。無水タキサン剤は、カールフィッシャー(Karl Fisher)分析法によって測定された約1.00%未満の水(約0.60%、0.55%、又は0.50%の水であるのが更に好ましい)を含んでいるのが好ましい。無水タキサン剤の塊状試料は、パクリタキセルなどのタキサン剤を適当なアルコールベースの溶媒内で溶解し、続いて溶媒を蒸発させて結晶固体物を残すことによって調製することができる。典型的には、タキサン剤は、最初にメタノール溶媒内で溶解し、続いてこの溶媒にヘキサンを徐々に添加することによって作られる。例えば、例1に更に詳細に説明されているように、無水タキサン剤は、最初にパクリタキセルをメタノール内で溶解して溶液を形成し、続いてこの溶液にヘキサンを添加し、続いてメタノールとヘキサンを蒸発させることによって形成することができる。アセトン、エチルアセテート、又はジエチルエーテルもまたタキサン剤の無水固体形態を形成する際にヘキサンと組み合わせるための適切な溶媒である。例1によって調製された無水パクリタキセルは、赤外分光分析によって特性を決定した。図3Dは、例1の方法によって調製された無水パクリタキセルの赤外振動スペクトルを示している。無水パクリタキセル300のスペクトルは、1700〜1740cm−1辺りに一対のピーク、典型的にはおよそ1714cm−1(302)及び1732cm−1(304)に2つのピークを有すると共に、その他の特徴的なピーク:3065cm−1(308)、2944cm−1(310)、1646cm−1(306)、及び1514cm−1(312)を有している。例1によって調製された無水パクリタキセル試料の融点は約220℃〜221℃であった。無水タキサン剤は、ブタ血清内では非結晶タキサン剤よりも溶解度が高いこと、及び二水和タキサン剤よりも著しく溶解度が高いことが判明した。
別の実施例は、無水パクリタキセルを備えている医療器具を提供している。二水和パクリタキセルの塊状試料は、タキサン剤を適当なアルコールベースの溶媒内で溶解し、続いてこの溶媒を蒸発させて結晶固体物を残すことによって調製することができる。典型的には、タキサン剤を最初にメタノール又はエタノール溶媒内で溶解し、続いて溶液に水を徐々に添加する。特に、塊状の二水和タキサン剤は、多くのステップ処理によって調製される。すなわち、(1)最初に、固体の無水タキサン剤をメタノール内で溶解させて溶液を形成するステップと、続いて、(2)溶液に段階的に水を添加するステップと、(3)続いて結晶化させるステップと、によって調製される。水は極めてゆっくりと一滴ずつ添加され、溶液がなくなるまで待って次の水の滴下を行い、溶液が80%v/vのメタノール及び20%v/vの水を含むようになるまで続けられる。二水和タキサン剤は、メタノール及び水を濾過し且つ真空蒸発させることによって集めることができる。この合成方法は、高い湿度環境(好ましくは少なくとも約20%の相対湿度、より好ましくは約40%以上の相対湿度、又はそれ以上の相対湿度)及び約23℃以上の温度で行なわれるのが望ましい。別の方法として、25℃で24時間に亘って水中に無水パクリタキセルを定温放置することによって二水和パクリセキセルを形成することについての研究が報告されている(例えば、R. T. Ligginsらによる“Characterization of Paclitaxel(パクリタキセルの固体状態特性)”,Journal of Pharmaceutical Sciences, 第86巻,No. 12,第1461頁(1997年12月)を参照のこと)。例1に従って調製された二水和パクリタキセルの振動スペクトルは、赤外分光分析によって得ることができる。図3Cは、例1の方法に従って調製された二水和パクリタキセルの赤外振動スペクトルを示している。二水和パクリタキセル200のスペクトルは、1700〜1740cm−1に3つ以上のピーク、典型的には約1705cm−1(204)、約1716cm−1(203)、及び1731cm−1(202)に3つのピークを有すると共に、以下の他の特徴的なピークすなわち3067cm−1(210)、3017cm−1(212)、2963cm−1(214)、1639cm−1(206)、及び1532cm−1(208)に特徴的なピークを有している。例1に従って調製される二水和パクリタキセル試料の融点は、約209℃〜215℃であった。DSC(約50℃及び約72℃において確認されたピークを有している)によって測定された約35℃〜約100℃の温度の範囲に亘って10℃/分の割合で加熱中の二水和パクリタキセルの脱水、及びよりゆっくりとした加熱速度で熱重量分析法(TGA)によって測定して約25℃〜約85℃の温度範囲に亘って加熱中の二水和パクリタキセルの脱水が報告されている。R. T. Ligginsらによる“Solid-State Characterization of Paclitaxel(パクリタキセルの固体状態の特性)”Journal of Pharmaceutical Sciences, 第86巻,No. 12,第1458〜1463頁,1461頁(1997年12月)(“Liggins”)を参照のこと。二水和パクリタキセルは、25℃、200トールで貯蔵されているときに数週間の貯蔵での重量の損失又は脱水の証拠を示さないと報告されて来た(Ligginsらの第1461頁参照)。二水和タキサン剤の塊状試料の溶解度を種々の溶出媒体内で測定して二水和徐放特性を得ることができる。溶出媒体内で測定されたタキサン剤の溶出特性を二水和物徐放特性と比較してタキサン剤コーティング内に存在する二水和物固体形態の量を特定して、二水和物の徐放溶出特性と比較することによってコーティング内に存在する二水和物の量が特定することができる。
1700〜1740cm−1に単一のピークが存在することは、非晶質タキサン治療薬剤の固体形態の存在を示しており、1700〜1740cm−1に3個以上のピークが存在することは、二水和タキサン治療薬固体形態の存在を示しており、1700〜1740cm−1に2つのピークが存在することは、無水タキサン治療薬剤の固体形態の存在を示している。
非晶質、二水和の、及び無水のタキサン治療剤の固体形態の合成のための適切な溶媒系並びに各固体形態を特定するのに有用な特有の融点範囲及び赤外スペクトルのピークが表1に示されている。他の溶媒系もまた、ここに記載されているタキサン固体形態のうちの1以上を形成するために使用することができ、他のIR(赤外)ピークは、タキサン剤の固体試料内に存在している固体形態の種類を特定するために使用することができる。
Figure 0005675611
振動分光分析によるタキサン固体形態の分類化もまたラマン散乱を使用して行なうことができる。ラマン散乱とは、分子によって散乱された入射光の波長が入射波長からシフトされる現象のことをいう。波長のシフトの大きさは分子が受け得る振動動作に依存し、この波長のシフトは分子構造の高精度な測定を可能とする。入射光よりも波長が短い散乱された放射線の部分は反ストークス散乱と称され、入射光よりも波長が長い散乱された光はストークス散乱と称される。種々のコーティング又はコーティング層のラマンスペクトルが直接的な光の吸収又は反射によって得られるスペクトルよりも明瞭であるので、ラマン散乱はコーティングの検知にとって有用な分光分析方法である。例えば、3つのラマンスペクトルのトレースは、8mWの出力を有している532nmレーザーからの励起によるFT−ラマン分光計を使用して測定されたステンレス鋼表面上の3つの固体パクリタキセルコーティングの10個のスペクトルの平均として記録される。この3つのスペクトルのトレースは、二水和の、無水の、及び非晶質の試料に対応している。各スペクトルのトレースは、空気中で使用する対物レンズ(100x,NA=0.9)を使用して10秒間の積分毎に(全体で100秒間の収集時間に亘って)収集されている。特有振動ピークの違いは、固体パクリタキセルの二水和形態、無水形態、及び非晶質形態を区別するために使用することができる。このようなトレースの例は、2007年9月13日に公開された米国出願公開第20070212394号に見出すことができ、該出願内容は、これに言及することにより本願に参考として組み入れられている。特有の振動ピークは、図3B〜3Dの赤外スペクトルに関して説明されている赤外特有ピークに対応しており且つ表1に列挙されているピークを有している。最も注目すべきことは、1700〜1740cm−1に単一のピークが存在することは、非晶質タキサン剤の固体形態の存在を示しており、1700〜1740cm−1に3つ以上のピークが存在することは、二水和タキサン剤固体形態を示しており、1700〜1740cm−1に2つのピークが存在することは、無水タキサン剤の固体形態の存在を示している。パクリタキセルの種々の形態を含むタキサンの種々の形態の検知及び区別を可能にする方法の更なる詳細は、2008年1月24日に公開された同時係属出願公開第2008/0020013号に開示されており、その内容はこれに言及することにより参考として本願に組み入れられている。
医療器具コーティング内にタキサン剤の種々の固体形態が存在することは、コーティングを一つの固体形態を第二の固体形態よりも容易に選択的に溶解する溶出媒体と接触させることによって特定できることが好ましい。ブタ血清又は血液などの溶出媒体を備えた溶液内では、タキサン剤の存在は、例えば、紫外線(UV)分光分析又は高圧液体クロマトグラフィ(HPLC)を使用して特定することができる。
コーティング形態
医療器具の溶出特性は、固体形態の比率、コ−ティング層の組成及び/又は厚み並びに生体吸収性エラストマに対するタキサン剤の比率を含むタキサン剤の固体形態などのバラメータを変えることによって変えることができる。例えば、溶出速度は、(1)タキサン剤に対する生体吸収性エストラマの重量比率を増大させること、(2)隣接して下に横たわっているタキサン剤コーティング層に対する生体吸収性エラストマの相対的厚みを増すこと、(3)コーティング層内のタキサン剤の全体の量を減らすこと、及び(4)溶媒和された固体形態(例えば、二水和パクリタキセル)の比率を増大させることによって遅くすることができる。
例えば、非晶質パクリタキセルは、ブタ血清内で二水和パクリタキセルよりも溶解度が高いが、無水パクリタキセルよりも溶解度が低い。より大きなパーセンテージの二水和形態のパクリタキセルを有しているコーティングを有している器具は、パクリタキセルが非晶質形態又は無水形態で存在している類似の器具と比較して比較的遅い放出速度を呈する。ある種の実施例においては、埋め込み後にパクリタキセルのゆっくりとした放出を必要とする器具は、二水和固体形態のパクリタキセルを含むことから利益を得る。しかしながら、非晶質固体形態のパクリタキセルは二水和形態のパクリタキセルよりも耐久性がある。典型的には、径方向に拡張可能なコーティングされた医療器具を捲縮し、コーティングされた医療器具を包装し且つ搬送するには、比較的高い耐久性が必要とされる。
水和された固体形態のタキサン剤に対する非晶質固体形態のタキサン剤の必要とされる比率を得るために医療器具をコーティングする方法は、2008年1月24日に公開された同時係属中の特許出願公開2008/020013号に開示されており、該出願公開の内容は、これに言及することにより参考として本願に組み入れられている。このような方法は、タキサン剤を含む医療器具コーティングの付着後の処理又はコーティング内のタキサン剤の固体形態の組成を変えるために行なわれるコーティングの“調整”を含んでいる。このような調整技術はまた、生体吸収性エラストマの適用後に適用されても良い。一つの実施例においては、コーティングは、タキサン剤の少なくとも一部分を無水形態に変態させるように処理される。
生体吸収性エストラマを含んでいるコーティング層は、タキサン剤の所望の放出速度を提供するのに十分な厚さであるが、コーティング全体の所望レベルの寿命を提供するのに十分な薄さであるのが好ましい。生体吸収エストラマの厚みを増すこと又はタキサン剤に対する生体吸収性エストラマの重量比率を増すことによって、溶出特性において測定される溶出速度を低下させることができる。タキサン剤又は生体吸収エストラマを含んでいる各層の厚みは、意図されている用途のためのタキサン剤の望ましい放出速度を提供するように選択されるのが望ましい。しかしながら、層の厚みが大きすぎるとコーティングの耐久性が低下するかも知れない。
生体分解エストラマを含んでいるコーティング層は、隣接しているコーティング層内のタキサン剤の重量よりも大きい重量の生体分解エストラマを有しているのが好ましい。例えば、隣接の層内の生体吸収性エラストマに対するタキサン剤の全重量比率は、1以上の層を有しているコーティング全体の全重量比率として測定した場合に、約1:1〜約1:00であるのが好ましく、1:5,1:10,1:25,1:50,及び1:75(これらの間の全ての比割を含む)が含まれる。一つの実施例においては、隣接する層内の生体吸収性エラストマに対するタキサン剤の重量比率は約1:1〜約1:20である。
一つの実施例においては、生体吸収性エラストマを含んでいるコーティング層は、無視できる量のタキサン剤を含んでいるが、代替的な実施例は、タキサン剤と生体吸収性エラストマとの混合物を備えたコーティング層を含んでいる。生体吸収性エラストマを含んでいるコーティング層は、コーティング層の全表面積の1平方ミリメートル当たり約10μg未満のタキサン剤を含んでいるのが好ましく、約5,4,3,2,1,0.5,0.25,0.20,0.15,0.10,0.05,又は0.01μg未満であるのが更に好ましい。
生分解性エラストマポリマーを含んでいるコーティング層は、所望の溶出速度を付与するのに適した1以上の生分解性エラストマポリマーのある量を含んでいる。例えば、コーティング層は、0.01,0.05,0.10,0.50,1.00,5.00,10.00,15.00、又は20.00、μg/mmの1以上の生分解性エラストマポリマーをコーティング層の表面積の関数として含んでおり、これは約0.01及び0.001の間隔を有している。コーティングは、約0.001〜20.00μg/mm,0.05〜5.00μg/mm、更に好ましくは、約0.01〜3.00μg/mmの生分解性エラストマポリマーを含んでいる少なくとも1つの層を含んでいるのが好ましい。この生分解性エラストマを含んでいる層は、タキサン剤を含んでいないのが好ましい。コーティングは、1以上の生体分解エラストマポリマーからなるか又は1以上の生分解性エラストマポリマーから主としてなる1以上の層を含んでいるのが最も好ましい。
層の厚みは、所望の放出速度を付与するように選択される。治療薬剤を含んでいる各層の厚みは、治療薬を含んでいる隣接の層の厚みの約2〜10倍であるのが好ましい。生体吸収性エラストマ層の厚みは、約0.4μm〜約20μmの生体吸収性エラストマ層を含んでいる治療薬剤の層の厚みの約2.0〜10.0倍であるのが好ましく、約2.0〜約5.0倍であるのが好ましく、約2.0〜約3.0倍であるのが最も好ましい。好ましくは、各タキサン剤層の厚みは約0.5μm〜約1.0μmとすることができ、各生体吸収性ポリマー層の厚みは約1.0μm〜約10.0μmであり、約1.0,1.5,2.0,2.5,3.0,3.5,4.0,4.5,5.0,5.5,6.0,6.5,7.0,7.5,8.0,8.5,9.0,9.5及び10.0μmの厚みが含まれる。
コーティングはあらゆる適切な数の層を有することができる。コーティング全体の厚みは約0.2μm〜約15μmであるのが好ましい。コーティング全体の厚みは約0.6μm〜約10μmであるのが更に望ましい。例えば、3つのタキサン剤の層が3つのポリマーの層と交互に重ねられている6つの層からなるコーティングの場合には、コーティング全体の厚みは、約1.5μm〜約66.0μmであるのが好ましい。これらの層の各々は、同じ厚みか異なる厚みを有することができ、各ポリマーの層は、隣接するタキサン剤の層の約2〜10倍厚いのが好ましい。
コーティングは、あらゆる適当な数の層を有することができるが、2,3,4,5,6,7,8,9,10,11及び12の層構造を含む2以上の層を有しているのが好ましい。一つの実施例においては、医療器具の所定の面(例えば、管腔内面又は管腔外面)上の多層コーティングの全厚みは、約0.2μm〜約75μm、好ましくは約0.4μm〜約50μmであるのが好ましい。管腔外面上のコーティングの全厚みは、約0.5μm〜10μmであるのがより好ましい。該コーティングは、タキサン剤又は生体吸収性エラストマによって主として構成されたコーティング層、タキサン剤と生体吸収性エラストマとの混合物を含むコーティング層、又はこれらを組み合わせた層を含む。
生分解性エラストマ
一つの実施例においては、生体吸収性エラストマは、埋め込まれたときに周囲の組織に対して不所望なレベルの刺激が無い状態で医療器具の変形から容易に復元する機械的に安定したコーティング層を提供するように選択されたポリマーである。該生体吸収性エラストマとしては、ヒドロゲル、エラスチン状ペプチド、ポリ水酸化アルカノエート(PHA)、ポリヒドロキシブチレート化合物、又はこれらの組み合わせがある。生体吸収性エラストマは、治療薬剤の所望の放出速度及び溶解メカニズムを含む種々の設計基準に基づいて選択することができる。幾つかの実施例においては、生体吸収性エラストマは、エステルなどの1以上の加水分解化学結合、所望程度の架橋結合、最小の不均質溶解の溶解メカニズム、及び非毒性モノマーを含む。
生体吸収性エラストマは、ポリ水酸化アルカノエート化合物、ヒドロゲル、ポリ(グリセロール−セバケート)、又はエラスチン状ペプチドとすることができる。望ましくは、生体吸収性エラストマとしては、ポリ乳酸(ポリラクチド)などのポリ水酸化アルカノエート生体吸収性ポリマー、ポリグルコール酸(ポリグリコリド)、ポリラクチドグルコール酸(ポリラクチド−コ−グリコリド)、ポリ−4−ヒドロキシブチレート、ポリ−3−ヒドロキシブチレート、チトサン、キサンタンガム、又はこれらの物質のいずれかの組み合わせがある。一つの実施例においては、タキサン剤は、医療器具のコーティング又はその他の部分によって最初に包囲され、治療薬剤の放出前に医療器具の外表面領域の部分を形成していない。
一つの実施例においては、生体吸収性エラストマは、ポリ乳酸(PLA)などのポリ−α−ヒドロキシ酸を含んでいる。PLAは、典型的にはポリ−D,L−乳酸と称されるエナンチオマーの混合物とすることができる。別の方法として、生体吸収性エラストマは、ポリ−L(+)−乳酸(PLLA)又はポリ−D(−)−乳酸(PDLA)であり、これらはその生体溶解度が互いに異なっている。PLLAは、半晶質である。これと対照的に、PDLAは非晶質であり、これは活性の粒子の均質な分散を促進することができる。別途特定されない限り、ここでの“PLA”として列挙したものは、PLA、PLLA、及びPDLAからなる群から選択された生体吸収性ポリマーを指している。種々の実施例においては、生体吸収性エラストマの分子量は、約50〜500kDa、約60〜250kDa、又は約75〜170kDaである。
生体吸収性エラストマはまた、ポリグリコール酸(PGA)をも含んでいるのが望ましい。ポリグリコール酸は単純な脂肪酸ポリエステルであり、これは半晶質構造であり、3ヶ月で完全に溶解し、体内に埋め込まれた後約1ヶ月以内に強度の喪失を受ける。PGAは、PLAと比較すると、強い酸であり且つ親水性が高く加水分解を受け易い。PLAは、一般的にPGAよりも疎水性であり1〜2年の間に完全な質量放出を起こす。
生体吸収性エラストマはまた、ポリ乳酸グリコール酸(PLGA)又はPLAとPGAとのその他のコポリマーとすることもできる。該コポリマーの特性は、PGAに対するPLAの比率を変えることによって制御することができる。例えば、PGAに対するPLAの比率が高いコポリマーは、一般的には、PLAに対するPGAの比率が高いものよりもゆっくりと分解する。PLGAは、PLAより若干速く溶解する。乳酸加水分解プロセスは、PLGAコポリマーのグリコール酸単位よりも遅い。従って、PLGAコポリマー内のPLA:PGAの比を大きくすることによって、PLGAコポリマーの生体内生体吸収率の比較的ゆっくりとした速度がもたらされる。
幾つかの好ましい生体吸収性エラストマポリマーの特性の概要が下の表2に示されている。
Figure 0005675611
ポリ−4−ヒドロキシブチレート(P4HB)又はポリ(グリセロール−セバケート)(PGS)などのグリセロールとセバシン酸との架橋結合ポリマーもまた生体吸収性エラストマとして使用することができる。PGSは、グリセロールとセバシン酸とを縮重合させてエストラマを形成することによって調製することができる。PGSは、グリセロール:セバシン酸の適切な比率によって形成することができる。生体吸収性エラストマは、1:1のグリセロール:セバシン酸の比率を有するPGSであるのが好ましく、これは、水中での不溶性が高く、24時間に亘って水中に浸漬した後に約2%膨潤し、架橋結合密度が約38モル/mであり、5.23℃と37.62℃とに2つのDSC溶融温度を有する。従って、1:1PGSポリマーは、体内の37℃で完全に非晶質である。1:1グリセロール:セバシン酸PGS生体吸収性エラストマの調整及び特性は、Y. Wangらによる“A tough biodegradable elastomer(強靱な生分解エラストマ)”、Nature Biotechnology, 20 第602〜606頁(2002年)に記載されており、この文献はこれに言及することにより参考として組み込まれている。簡単に言うと、1:1PGSは、液体内に溶け且つ1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、エタノール、イソプロパノール、及びN,N−ジメチルホルムアミドを含む一般的な有機溶媒内で溶融する未架橋プレポリマー内で調製することができる。NaCl粒子と無水1,3−ジオキソランプレポリマーとの混合物がPTFE型内に注がれる。該ポリマーを12℃で100ミリトールの真空オーブン内で型内で硬化させ且つ脱イオン水によって塩を浸出させた後に、多孔質の骨組みが得られる。PGS生体吸収性エラストマは、動脈及び静脈(例えば約260%以下)と類似し且つ腱(約18%以下)より大きい歪み破壊特性を有しているのが望ましい。更に、PGSの重量は、水性環境内に24時間浸漬した後も実質的に変化しないままであり、機械的特性は、乾燥ポリマーと比較して大きく変わらない状態のままである。Y. Wangらは、1:1PGSは重量変化によって測定した場合に37℃のPBS溶液内に60日間浸漬させた後に約17%分解すること、1:1PGSをラットの皮下に埋め込むことによって、60日間でポリマーが完全に吸収されることを報告した(Y. Wangらによる、“A tough biodegradable elastomer(強靱な生分解エラストマ)”、Nature Biotechnology,20,第602〜606頁(2002年))。データは、1:1PGSの機械的強度が質量損失と共に直線的に減少し、これは表面の侵食メカニズムを示唆している。(Y. Wangらによる“A tough biodegradable elastomer(強靱な生分解エラストマ)”、Nature Biotechnology,20,第602〜606頁(2002年))。
2:3PGS比率ポリマーを含んでいるグリセロール:セバシン酸の代替的な比率のものもまた調製でき、これは、M. Nagataらによって(“Synthesis, characterization and enzymatic degradation of network aliphatic copolyesters,(網目状の脂肪族コポリエステルの合成、特性及び酵素による分解)”J. Polym. Sci. Part A: Polym. Chem., 37,第2005〜2011頁に記載されている。
コーティング方法
別の実施例には、埋め込み医療器具の表面をコーティングする方法が提供されている。コーティングは、適当な方法によって埋込み医療器具の表面に適用される。コーティング層は連続的なやり方で医療器具に適用される。タキサン剤を含む層が最初に埋込み医療器具の表面に適用され、生分解エストラマを含んでいる別の層が、タキサン剤を覆うように適用されるのが好ましい。コーティング層は、埋込み医療器具の表面に付着させるか又は医療器具の表面の穴若しくは凹部に局部的に付着される。コーティング層を適用するための3つの好ましい方法、すなわち(1)スプレーガンコーティング、(2)超音波スプレーコーティング、及び(3)静電スプレーコーティングが、本明細書に記載されている。
これらの3つの方法全てにおいて、タキサン剤を含んでいるコーティング層は、タキサン剤の第一の溶液を医療器具の表面に適用することによって形成することができる。一つの実施例においては、第一の溶液は、主としてタキサン剤と揮発性の溶媒とによって構成されており、生体吸収性エラストマは含んでいない。一つの実施例においては、治療薬剤はパクリタキセルであり、溶媒はエタノール又はメタノールである。例えば、エタノール内に約0.5〜5.0mMのパクリタキセルを含む溶液が使用されるが、エタノール内に0.7mM、1.2mMのパクリタキセルを含む溶液が使用されるのが好ましい。他の治療薬剤及び溶媒を、所望の耐久性を要するコーティングを形成する所望の付着速度を可能にする濃度で、溶液内で使用することもできる。
スプレーコーティングは、あらゆる適切なコーティング技術によって行うことができるが、典型的には、適当な溶媒にタキサン剤を溶解させ、結果的に得られる溶液を医療器具の表面に吹き付けるステップを含んでいる。溶液内の溶媒を変えることによって、医療器具上に付着される最終的なタキサン剤の固体形態を変えることができる。二水和タキサン剤のコーティングを付着させるためには、再結晶化された二水和タキサンがメタノールなどの適当な有機アルコール溶媒内で溶解される。二水和タキサン固体形態と非結晶タキサン固体形態との混合物からなるコーティング層を付着させるためには、タキサンを、水とメタノールなどのプロトン性溶媒との混合物からなるスプレー溶媒内に溶解させるのが好ましい。メタノールに対する水の割合及び/又はタキサンを含むスプレー溶媒内のタキサンの濃度を変えることによって、典型的には吹き付けによって付着される最終的なコーティング層の組成が変わることは重要である。一般的には、スプレー溶液内のメタノールの量を増すことによって、非晶質タキサンの割合が比較的高いコーティング層がもたらされる。タキサンコーティングを適用するために使用されるパラメータに関する更なる詳細は、2008年1月24日に公開された同時係属中の出願公開第2008/0013号に見出すことができる。この出願公開の内容は、これに言及することにより本願に参考として組み込まれている。
タキサン剤を適用した後に、生体吸収性エラストマ材料を含む別の層を溶媒内で溶解し、次いで、予め医療器具上に付着させた治療薬剤の層上に吹き付けることができる。一つの実施例においては、ポリマーはPLAであり、溶媒はアセトンである。別の実施例においては、溶媒は、テトラヒドロフラン(THF)である。別の実施例においては、約0.1〜7.0g/LのPLAがアセトン内で使用される。更に、別の実施例においては、約2.5〜6.5g/Lnのアセトンが使用される。もう一つの別の実施例においては、アセトン内で約5.0g/LのPLAが使用される。
ある種の実施例においては、無水形態のパクリタキセルが非晶質形態のパクリタキセルへ変態するのを防止し又は少なくとも減らすやり方で、生体吸収性エラストマがタキサン剤の層に適用される。このような変態は、PLAなどの生体吸収エストラマがジクロロメタン(DCM)などの溶媒を使用して適用される場合に起こる。ジクロロメタン(DCM)は、無水パクリタキセルを溶解し、乾燥されたときに非晶質のパクリタキセルを形成させる。一つの実施例においては、溶解は、コーティング吹き付けがパクリタキセル層に到達する前にDCM溶媒のほとんどの蒸発を生じさせるコーティング条件を選択することによって制限される。これは、目標物からの噴射ノズルの距離を長くし且つ温度及び湿度を制御して、吹き付けが目標に到達する前に溶媒の十分な蒸発を確保することによって行われる。
非晶形態ヘの変態は、水/メタノール混合物を目標物へ送る第二の吹き付けラインを追加することによって制限することもできる。目標物への水の供給によって、溶解された無水物を無水形態へと変態させて戻すことが容易化される。吹き付け内にメタノールを含ませることによって、水とDCM吹き付けとの間の反発力が減じられる。このような反発力は不均一なコーティングをもたらし得る。
もう一つの実施例においては、水に溶解する低分子量の生体吸収性エラストマがパクリタキセルの層上にコーティングされる。もう一つ別の実施例においては、低分子量の材料によって最初のコーティングを形成した後に、比較的高分子量の生体吸収性エラストマの層がDCMなどの溶媒を使用して器具上にコーティングされる。
もう一つの実施例においては、生体吸収性エラストマが、例えばアセトン又はTHFなどの無水形態を溶解する傾向が比較的低い溶媒を使用して適用される。更に別の実施例においては、生体吸収性エラストマは、溶融付着などの溶媒が不要な方法を使用して適用される。
もう一つの実施例においては、埋込み器具は、生体吸収性エラストマを適用してタキサン剤の少なくとも一部分を無水形態に変えた後に、処理されるか又は調整される。更に別の実施例においては、埋込み器具は、生体吸収性エラストマを適用した後に捲縮してタキサン剤の少なくとも一部分を無水形態に変えた後に、処理されるか又は調整される。コーティングの後にタキサン剤の形態を変える方法に関する更に詳細な説明は、2008年1月24日に公開された同時係属中の特許出願第2008/0020013号に開示されている。これらの器具は、水が生体吸収性エラストマの層の中へ浸透せしめられ且つタキサン剤の一部分が無水形態に変えられるように、水中に浸漬されるか又は高湿度環境に曝される。水に曝される期間は、生体吸収性エラストマによる水の取り込みを最少にし且つ無水形態の量を制御するように制御される。一つの実施例においては、タキサン剤よりも吸湿性が低い生体吸収性エラストマが使用される。他の実施例においては、生体吸収性エラストマの分解は、高分子量のエストラマを選択すること及び/又はエストラマのコーティングの厚みを調整することによって制御される。
各コーティング層は、超音波ノズルスプレーコーティング技術を使用して別個に適用されるのが好ましい。超音波ノズルスプレーコーティング技術は、超音波を使用して噴霧溶液を霧状にし、滑らかで均一なポリマーコーティングを提供する。ポリマーコーティングは超音波ノズルから適用されるのが好ましい。アセトン又はTHFなどの適当な溶媒内にPLAなどの生体吸収性エラストマを約2〜4g/L含む溶液を、超音波ノズルを使用して適用することができる。超音波ノズルは圧電結晶の励起によってノズルの長さに沿った横断方向の重複波が形成される構造とすることができる。直径が大きなノズル本体内に配置されている結晶から発せられる超音波エネルギは、ノズルの長さを横切るときに重複波として段階的移動及び増幅を受ける。超音波ノズルは、節平面が結晶間に配置されるように設計することができる。超音波エネルギを霧状化にとって有効なものとするために、霧状化面(ノズル先端)は、振動の振幅が最も大きい波腹に配置されるのが好ましい。このことを達成するためには、ノズルの長さは半波長の倍数でなければならない。波長は作動周波数に依存するので、ノズルの寸法は作動周波数に関連付けられる。一般的に、高周波数ノズルは、比較的小さく且つ比較的小さな液滴を形成し、結果的には低周波数で作動するノズルよりも小さな最大流通能力を有する。超音波ノズルは、24kHz,35kHz,48kHz,60kHz,120kHz、又はそれ以上の周波数を含むあらゆる適当な周波数で作動させることができる。60〜120kHz又はそれ以上の周波数が使用されて、生体吸収性エラストマの溶液を可能な最大程度まで霧状化して滑らかで均一なコーティングを促進する。出力は、出力供給源における出力レベルを調整することによって制御することができる。ノズルの出力は、あらゆる適切なレベルに設定できるが、約0.9〜1.2Wであるのが好ましく、約1.0〜1.1Wであるのがより好ましい。ノズル本体は、その良好な音響特性、高い引っ張り強度、及び優れた耐食性により、チタンを含むあらゆる適切な材料によって作ることができる。ノズルの全長に亘って延びている大きく且つ詰まりのない給送チューブを介して噴霧面上に導かれる液体は、表面上の液体内の波の動きを惹き起こす振動エネルギの一部を吸収する。液体を霧状化させるためには、噴霧面の振動の振福は、ノズル特有の細かく速度が遅いミストを形成するために、ある入力幅内に維持される。噴霧メカニズムは噴霧面上に導入される液体にのみ依存するので、液体が霧状にされる速度は主として表面へ供給される速度に依存する。従って、超音波ノズルは幅の広い流速範囲を有している。特定のノズルの設計に対応する最大の流速及び液滴の直径の中央値は、設計パラメータとして当業者によって選択される。流速は、約0.01〜0.02mL/分であるのが好ましく、約0.05〜1.00mL/分であるのがより好ましく、約0.05〜0.07mL/分であるのが最も好ましい。Sono-tekモデル8700-60超音波ノズルを使用しているUSDの好ましいコーティングパラメータは下の表3に示されている。
Figure 0005675611
別の方法として、タキサン剤と生体吸収性エラストマとは、溶媒内で溶解され且つ一般的なスプレーガン例えばBadger社によって製造されたスプレーガン(モデルNo.200)、静電スプレーガン、又は最も好ましくは超音波スプレーガンを使用して医療器具上に吹き付けられる。タキサン剤を含んでいる医療器具コーティングは、スプレーガンを使用して医療器具の表面に適用される。医療器具の表面は、改質された剥き出しの表面とするか又は予め医療器具に付着せしめられたプライマーコーティングとすることができる。一つの実施例においては、表面に適用されるコーティングは、主としてタキサン剤からなり且つポリマー又はその他の物質を含んでいない。タキサン剤と任意のポリマーとは、溶媒内で溶解され且つ一般的なスプレーガン例えばBadger社によって製造されたスプレーガン(モデルNo.200)又は780シリーズのスプレー分配バルブ(EFD, East Providence, RI)を使用して、換気フードの下で医療器具に吹き付けられる。スプレーガンとステントとの整合性はレーザービームの使用によって図ることができる。レーザービームは、コーティングされつつある医療器具の周りを通過するときのガイドとして使用される。
一つの実施例においては、治療薬剤はパクリタキセルであり、溶媒はエタノール又はメタノールである。例えば、上記したエタノール内のパクリタキセルの溶液が使用される。スプレーノズルとノズルサイズとの間の距離は、当業者に明らかなパラメータに応じて当業者によって選択される。該パラメータとしては、コーティングされる面積、コーティングの望ましい厚み、付着速度がある。あらゆる適当な距離及びノズルサイズを選択することができる。例えば、長さ80mmのステントに対しては、ノズルとステントとの間の距離は、所望の吹き付けパターンの大きさに応じて約2.54〜17.8センチメートル(約1〜7インチ)であるのが好ましい。ノズルの直径は、例えば、約0.356〜約1.17ミリメートル(約0.014インチ〜約0.046インチ)とすることができる。
噴霧コーティングプロセスにおける変動パラメータによって、付着されるコーティング内のタキサン剤の種々の固体形態がもたらされる。吹き付けコーティングパラメータとしては、例えば溶媒系、流体圧力(すなわち、タンク圧力)、噴霧圧力、雰囲気温度、及び湿度がある。溶媒は、噴霧コーティングプロセス中又はプロセス後にコーティングから容易に除去されるのに十分な揮発性を有しているのが望ましく、各々のタキサン剤の固体形態について上記した溶媒から選択されるのが好ましい。
780S−SS噴霧分配弁(EFD, East Providence, RI)を使用している非晶質タキサン剤をコーティングする方法は、固体パクリタキサンをエタノール内で溶解して溶液を形成するステップと、該溶液を相対湿度が30%未満の環境内で約34.5〜68.9kPa(約5〜10psi)の噴霧圧力で医療器具上に吹き付けるステップとを含んでいる。一つの実施例においては、吹き付けステップは、約18.3〜23.9℃(約65°F〜75°F)の温度で約6.89〜34.5kPa(約1.00〜5.00psi)の液体圧力によって行なわれる。
1以上のコーティング層はまた静電塗装(ESD)プロセスを使用して適用されても良い。ESDプロセスは、一般的には、帯電した粒子が接地されている目標物に向かって引き付けられるという原理に基づいている。目標物上に付着した溶液は、典型的には、数千ボルトに(典型的には負に)帯電し且つ接地電位に保持される。溶液の電荷は、一般的に溶液を数インチの空隙を横切ってジャンプして目標物に落下させるのに十分な大きさである。溶液が目標物に向かって移動しつつあるときに、溶液は円錐形パターンで扇型に広がり、これは比較的均一なコーティングを補助する。円錐形噴霧に加えて、電子は更に、目標物に取り付けられている非導電性基材に向かうのではなく目標物の金属部分に向かって引き付けられ、コーティングは主として目標物の上にのみ残る。
一般的に、ESD方法は、コーティングの組成及び付着されたコーティングの表面の形態の制御を可能にする。特に、付着されたコーティングの形態は、WO 03/006180(Electrostatic Spray Deposition (ESD) of biocompatible coatings on Metallic Substrates(金属基材上の生体適合性コーティングの静電塗装(ESD))、該出願の内容は、これに言及することにより本願に参考として組み入れられている)に記載されているESDパラメータの適切な選択によって制御される。例えば、均一な厚み及び粒子サイズ並びに滑らかな表面を有しているコーティングは、付着温度、吹き付け速度、前駆体溶液、及びスプレーノズルとコーティングされつつある医療器具との間のバイアス電圧などの付着条件を制御することによって得られる。多孔質コーティングの付着もまたESD方法によって可能である。
一つの実施例においては、生体吸収性エラストマ(例えばPLA)はアセトン内で溶解される。溶媒としてアセトンを使用することによって、二水和形態を溶解させ且つ水性環境内で比較的溶解度が高い他の固体形態を再形成することなく、生体吸収性エラストマが二水和パクリタキセルを含むコーティングに適用されることが可能になると考えられる。一つの実施例においては、二水和形態を含んでいるタキサン剤の層を覆う生体吸収性エラストマのコーティングの存在によって、二水和形態を含まない類似の器具よりもパクリタキセルの溶出速度が遅い埋込み器具がもたらされる。種々の実施例においては、二水和形態内に少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、又は90%のタキサン剤が存在している。
コーティングの均一性及び耐久性
該コーティングはまた、径方向に圧縮した状態における経皮経カテーテルの配備に耐える十分な耐久性を有していることも好ましく、この耐久性としては、カテーテル給送装置上ヘの捲縮中の剥離、切削、又はコーティングの崩壊に対する抵抗性がある。
コーティングは、典型的には製造及び所望の治療位置への医療器具の給送に伴う操作の後に所望量のタキサン剤を保持し且つ所望の治療位置で治療薬剤を所望の速度で放出するように機能するための十分な耐久性を有しているのが望ましい。医療器具上の耐久性のあるコーティングは、物理的な摩擦、圧縮、撓み、振動、流体との接触、及び流体による剪断の結果としての剥離、窪み、層間剥離に耐えるのが好ましい。埋込み血管ステントの場合には、コーティングは、殺菌中の均一なコーティング、給送カテーテル上への捲縮による径方向の圧縮、及び治療位置における血管内での径方向の拡張を維持するのに十分な耐久性を有していることが望ましい。
コーティングの耐久性は、コーティング直後に医療器具の第一回目の重量測定を行うこと、製造及び意図した使用方法(例えば、捲縮、冷凍、殺菌等)のための給送プロセスの際の典型的な物理的な力をコーティングされた医療器具にかけること、並びに次いでコーティングされた医療器具の第二回目の重量測定を行うこと、によって評価することができる。一回目の重量測定と二回目の重量測定の間の重量の損失は、剥離又は層間剥離によるコーティングの部分の損失を示す。埋込み血管ステントの耐久性のあるコーティングは、織り曲げの前後でコーティングの重量の約20%又はそれ以下の重量しか損失しないのが好ましい。耐久性のあるコーティングの捲縮過程中のコーティング重量の損失は、コーティングの重量の約15%未満であるのが好ましく、約0〜10%であるのがより好ましく、約0〜5%であるのが最も好ましい。耐久性のあるコーティングはまた、医療器具の部分同士の間の隙間空間を覆うように付着された“皮膜”又はコーティングを殆ど含んでいない。コーティングは亀裂又は窪みがない実質的に均一な表面を有しているのが好ましい。コーティングは、殺菌及び捲縮の際に表面の均一性及び一体性を維持する面を有しているのが望ましい。適切に滑らかで且つ耐久性のあるコーティングを形成するために種々のコーティング方法を使用することができる。コーティングの頂部の層は生体吸収性エラストマからなるのが好ましい。実質的に均一で且つ耐久性のあるコーティングは、一般的な圧力ガン、静電スプレーガン、又は超音波スプレーガンを使用して、医療器具の管腔外面上にタキサン剤又は生体吸収性エラストマの溶液を吹き付けることによって付着させることができる。コーティングの均一性は、表面の光学的及びSEM像によって評価することができる。PLAなどの生分解性エラストマの耐久性のあるコーティングを適用する方法についての更なる詳細は、2007年8月23日に公開された同時係属中の出願公開第2007/96423A1に開示されている。この出願の内容は、これに言及することによって本願に参考として組み入れられている。このような方法は、コーティングの表面にタキサン剤を付着させるか又はコーティングの耐久性を高めるために、医療器具の表面とタキサン剤との間に1以上の主要な層を適用することを含んでいる。この層は、例えば、シラン、アクリレートポリマー/コポリマー、アクリレートカルボキシル及び/又はヒドロキシルコポリマー、ポリビニルピロリドン/ビニルアセテートコポリマー、オレフィンアクリル酸コポリマー、エチレンアクリル酸コポリマー、エポキシポリマー、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、熱分解炭素、ポリビニルピリジンコポリマー、ポリアミドポリマー/コポリマー、ポリイミドポリマー/コポリマー、エチレンビニルアセテートコポリマー及び/又はポリエーテルスルフォンを含むことができる。この主要な層は、約0.01μm〜5.00μmの適当な厚みを有することができる。
タキサン剤溶出特性
医療器具コーティングは、特定の溶出媒体内のコーティングの溶出特性を測定することによって特性を決定することができる。溶出特性は、タキサン剤がコーティングされた医療器具から溶出媒体内へ放出される速度とコーティングが溶出媒体と接触する時間との関数として示したグラフである。溶出特性は、所望の速度及び/又は所望の期間に治療薬剤の徐放を提供する特に好ましいコーティング構造を特定するために使用することができる。ブタ血清内で約15〜20日間に亘るコーティングからタキサン剤の約70〜90%の放出によって決定される持続放出コーティングの特性は、幾つかの用途に対して特に好ましい。該コーティングはまた、治療期間に亘って治療に有効な投与量のタキサン剤を放出する構造とされている。再狭窄に対する治療期間は、変動するかも知れないが、動脈壁の一つの部分に対して約10〜15mgのタキサン剤を供給する場合に約15日とすることができる。
コーティングから溶出媒体内へ放出されるタキサン剤の量及びコーティングからのタキサン剤の放出速度は、所望レベルの精度及び正確さでのタキサン剤の放出の測定を可能にするあらゆる適切な方法によって測定することができる。コーティング内のタキサン剤は、適当な溶出媒体内にコーティングを溶解させ、続いて、溶出媒体内のタキサン剤の量を検知することによって判定することができる。溶出媒体内に溶解されているタキサン剤は、あらゆる適当な技術を使用して検知することができる。分光写真技術などの適当な方法によって、所望レベルの精度及び正確さでタキサン剤分析物の存在又は濃度に相関させることができる試験溶液の特性の測定が可能になる。溶出媒体の種々の分光写真測定法は、医療器具コーティングから取り出される治療薬剤の量と相関させることができる。溶出媒体内のタキサン剤を検知する適切な分光写真技術としては、医療器具と接触した後の溶出媒体のUV(紫外線)吸収スペクトル、UV−VIS検知器を備えたHPLCの分光光度計の使用、又は質量分析検知器と組み合わせられた液体クロマトグラフィがある。例えば、パクリタキセルなどのタキサン剤は、UV−可視光分光光度計を使用してブタ血清溶出媒体内で検知することができる。治療薬剤の検知は、医療器具を溶媒と接触させる前に医療器具表面上に存在していた治療薬剤の量と関連させることができる。例えば、試験溶液又は溶媒溶液内の治療薬剤の存在を検知するために吸収スペクトルが使用される場合には、ベール−ランベルト相関作用を使用して溶液内の治療薬剤の濃度を判定することができる。この相関作用は、光学濃度(吸光度)と吸収している種の濃度との間に直線関係を含んでいる。濃度が知られている一組の標準的な試料を使用して、試料の光学濃度(O.D.)を測定するためにこの相関作用を使用することができる。次いで、濃度対光学濃度のプロット(校正プロット)を使用して、その光学濃度から未知の濃度を測定することができる。図3は、エタノール溶出媒体の25.67μMパクリタキセルについてのUV−可視光スペクトルを示している。ブタ血清内のパクリタキセルとある種のタキサンとの存在は、約230nmにおける吸収に基づいて検知することができる。このようなデータは、アジレント(Agilent)8453フォトダイオードアレイUV−Vis分光光度計などの装置によって得られる。校正プロットは、治療薬剤の公知の濃度の光学濃度を測定することによって行うことができる。次いで、未知量の治療薬剤を含んでいるコーティングされた医療器具を溶出媒体と接触状態に配置し、続いて、溶出媒体内の治療薬剤の光学濃度を検知することにより、医療器具コーティング上にコーティングされるか医療器具コーティングから溶解された治療薬剤の量に相関させることができる。
コーティングされた医療器具の溶出特性は、治療薬剤が放出される溶出媒体及び状態に応じて変動し得る。適切な溶出媒体は、コーティング内のタキサン剤の量に相関させることができる方法で可溶化されたタキサン剤の引き続く測定を可能にしつつタキサン剤を可溶化する。所望期間に亘って溶出媒体と接触した後に実質的に全てのタキサン剤が医療器具から取り出されるのが好ましい。溶出のための所望期間は、溶出媒体内への放出速度の測定において適切な分解能を得るのに十分な長さであるべきであるが、コーティング内の治療薬剤の全体の量を測定するのに望ましくない長い期間を必要としない程度に十分な短さであるべきである。
医療器具のコーティングの溶出特性は、溶出アッセイを行なうことによって生体内で測定することができる。溶出定量法はコーティングされた医療器具の薬剤溶出を測定する。薬剤の所望の溶出速度を付与する種々の溶出媒体を使用することができる。例えば、SDSなどの溶出媒体は、例えば治療薬剤の全体量を測定するためにコーティング内の疎水性治療薬剤を迅速に溶解するために選択することができる。別の方法として、ブタ血清などの溶出媒体は、例えば治療薬剤の放出速度を測定するために、更に長い期間に亘って疎水性の治療薬剤を徐々に溶解するように選択することができる。一つの実施例においては、治療薬剤の溶出特性は、医療器具を、ブタ血清に6.0g/Lのへパリン溶液を0.104mL添加し且つ20%v/vの酢酸水溶液を使用してpH5.6±0.3に調整することによって調製された改質されたブタ溶出媒体と接触させることによって試験管内で得ることができる。この改質されたブタ血清溶出媒体は、血液と同様な速度での治療薬剤の緩やかな放出を提供する。別の方法として、治療薬剤を比較的急速に溶解させるために他の溶出媒体を使用することができる。
タキサン剤などのシクロデキストリン溶液に溶ける治療剤においては、溶出特性はまた、コーティングされた医療器具をシクロデキストリンを含んでいる溶出媒体と接触させることによって得ることもできる。シクロデキストリンは、内部空間を規定している共有結合されたグルコピラノース環によって作られる環状オリゴ糖類である。シクロデキストリンの内部の軸線方向空間の直径は、リング内のグルコピラノースのユニットの数に応じて増大する。グルコピラノースの大きさは、タキサン剤の分子の大きさに適合するように選択された軸線方向の空間を付与するように選択することができる。シクロデキストリンは、ヘプタキス−(2,6―ジ―O−メチル)―β―シクロデキストリン(HCD)などの改質β−シクロデキストリンであるのが好ましい。適切なシクロデキストリン分子としては、β−シクロデキストリン分子並びにγ−シクロデキストリン構造がある。
例えば、二水和パクリタキセルなどの溶媒和された固体形態のタキサン剤は、典型的には、所望に応じた持続溶出速度を有しており、これは、37℃のブタ血清内で24時間後に約40重量%未満の溶解度によって例示されるか、又は25℃のヘプタキス−(2,6−ジ−O−メチル)−β−シクロデキストリンの0.5%水溶液内で1時間後に20重量%未満の溶解度を有することによって例示される。これと対照的に、非晶質及び無水の固体形態を含む非溶媒和固体形態タキサン剤は、典型的には、比較的急速に溶出し、このことは、37℃のブタ血清内で24時間後に約50重量%未満の溶解度によって例示されるか、又は25℃のヘプタキス−(2,6−ジ−O−メチル)−β−シクロデキストリンの0.5重量%水溶液内で1時間後に50%未満の溶解度を有することによって例示される。
シクロデキストリンを含んでいる溶出媒体は、所望の時間間隔、典型的には約24時間以下に亘って医療器具からタキサン剤を溶出させるためにタキサン剤を溶解することができる。シクロデキストリン溶出媒体は、コーティング内のタキサン剤の種々の固体形態又はコーティング内のタキサン剤によって組み込まれた種々のタイプ若しくは量のポリマーなどの種々のコーティング形態のための識別可能な溶出速度を付与するように配合されるのが好ましい。
適当なシクロデキストリンを含んでいる溶出媒体は、タキサン剤を含んでいる医療器具コーティングの組成若しくは構造を示す溶出特性を付与すること、及び医療器具のコーティングに関する多数の放出データを提供するのに有用である。例えば、シクロデキストリン溶出媒体内で測定された溶媒和された固体形態のタキサン剤によって作られた医療器具の溶出特性は、典型的には、同じ溶出媒体内の非晶質固体形態のタキサン剤によって作られた医療器具コーティングよりも識別可能な遅い溶出速度を提供する。同様に、タキサン剤と種々の量の生分解性エラストマ例えばポリ(乳酸)との両方を含むコーティングの溶出特性は、シクロデキストリン溶出媒体内の溶出特性に基づいて区別することができる。タキサン剤がコーティングされた医療器具を、適当なシクロデキストリンを含む溶出媒体と接触させることによって溶出特性を得ることは、シクロデキストリン内でのタキサン剤の溶解性に基づいて区別されるコーティング構造の差異を示す多数の放出データを得るための方法を提供する。
医療器具
コーティングは、種々の構造及び機能の埋込み又は挿入可能な医療器具に適用することができる。典型的な被験体(本明細書では、“患者”とも称される)は、例えば、ウシ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、ウマ、イヌ、ネコ、及びヒトなどの哺乳類を含む脊椎動物被験体(すなわち、亜門類の構成体)である。典型的な医療器具の配置部位としては、冠状血管系及び末梢血管系(本明細書では、これらは集合的に血管系と称されている)、心臓、食道、気管、結腸、胃腸管、膀胱、前立腺、脳、及び外科部位がある。該医療器具が血管系内に挿入される場合には、例えば治療薬剤は、該器具に隣接している血管へと徐放され且つ同様に下流の血管組織へも徐放される。
本発明の医療器具は、医療状態の予防又は治療のために体内へ一時的又は永久的に導入される器具とすることができる。例えば、このような医療器具としては、限定的ではないが、ステント、ステント移植片、血管移植片、カテーテル、ガイドワイヤ、バルーン、フィルタ(例えば、大静脈フィルタ)、大脳動脈瘤充填コイル、管腔内通路装置、縫合糸、ステープル、吻合器具、椎間板、骨ピン、縫合用アンカー、止血障壁、鉗子、ねじ、プレート、クリンプ、三角布、血管インプラント、組織接着剤及びシーラント、組織骨組み、心筋プラグ、ペースメーカーのリード線、弁(例えば静脈弁)、腹部大動脈瘤(AAA)グラフト、塞栓コイル、種々のタイプの包帯、代用骨、管腔内器具、血管支持部材、又はその他の公知の生体適合性器具がある。
一般的には、本発明と結合させて使用するための管腔内ステントは、典型的には、金属フィラメント(ファイバ及びワイヤを含む)、区分、又は領域間に、複数の開口部又は開口空間を備えている。典型的な構造としては、1以上の金属フィラメントからなるコイル構造又は螺旋構造、及びパターン化された管状の金属シート(例えば、レーザー切断された管)がある。管腔内ステントの例としては、腸内血管ステント、胆管ステント、気管ステント、胃腸管ステント、尿道ステント、尿管ステント、食道ステント、及び冠状血管ステントがある。本発明の管腔内ステントは、例えば、バルーン拡張型又は自己拡張型とすることができる。従って、ここでは血管ステントに関して本発明のある種の実施例を説明するけれども、本発明は他のタイプのステントを含む他の医療器具に適用することができる。
本発明の一つの実施例においては、医療器具は管腔内ステントからなる。該ステントは、自己拡張型であっても又はバルーン拡張型であっても良く、二叉ステント、冠状動脈及び末梢動脈(例えば、腎動脈、表層大腿動脈、頚動脈等)を含むあらゆる血管用に作られたステント、尿道ステント、胆管ステント、気管ステント、胃腸管ステント、又は食道ステントであっても良い。
本発明のステント又はその他の医療器具は、1以上の適切な生体適合性材料、例えば、ステンレス鋼、ニチノール、MP35N、金、チタン、白金若しくは白金インジウム、ニオビム、タングステン、インコネル、セラミック、ニッケル、チタン、ステンレス鋼/チタン複合材、コバルト、クロム、コバルト/クロム合金、マグネシウム、アルミニウム、又は炭素若しくは炭素繊維などのその他の生体適合性金属及び/又は複合材若しくは合金によって作られる。
治療方法
本発明による治療方法は、上記した構造のいずれかを有しているコーティングされた医療器具を患者の体内に挿入することを含む。例えば、医療器具が上記したコーティング方法によってコーティングされたステントである場合には、該治療方法は、該ステントを患者の血管系内へ埋め込むこと、及び治療薬剤が該コーティングされたステントの薬剤溶出特性によって示されている制御方法で該ステントから放出されるようにすることを含んでいる。
一つの好ましい実施例においては、該コーティングされた医療器具は、例えば、該コーティングされた医療器具を末梢血管内に埋め込むことによって、末梢血管系の疾患を治療するために埋め込まれる。末梢血管疾患(PVD)は、50歳を超える男女の殆どに影響を及ぼす変動する罹患率を有する一般的な状態である。下肢の末梢血管疾患は、非症候性の患者から切断除去及び四肢の喪失をもたらす危機的四肢虚血(CLI)を患っている患者までに亘る臨床スペクトルを有している。危機的四肢虚血は、患者の機能状態及び快生度を著しく損なう持続的で且つ過酷な問題であり且つ高い心血管系疾患による死亡及び罹患率に伴うものである。これは、急性のCLI(すなわち、遠位部の塞栓症状、外部圧迫、急性血栓形成等)をもたらし又は大多数の場合には常習的CLIとして存在する。今日の高い老年人口に対する予測される罹患率に基づくと、PVDは米国内の1000万人程度の人に影響を及ぼす(Becker GJ, McClenny TE, Kvacs ME,らによる“The importance of increasing public and physician awareness of peripheral arterial disease(末梢動脈疾患の国民及び医師の認識を高める重要性)”J Vasc Interv Radiol., 13(1):第7〜11頁(2002年1月))。人口が年をとるに従って、ホームドクターは、下肢PVDの症状を訴えている患者の数が益々増加することに直面するであろう。Legs for Lifeの国家規模のスクリーニングプログラムによって1年間に検査された約60,000人の人々のうちの実質的に4人に1人が、徐々に下肢PVDの高い危険性にあると判断され且つ彼らの一次医療医に診断が委ねられている(心臓血管及び介入放射線医学学会によって収集されたデータ)(Becker GJ, McClenny TE, Kovacs ME,らによる“The importance of increasing public and physician awareness of peripheral arterial disease(末梢動脈疾患の国民及び医師の認識を高める重要性)”J Vasc Interv Radiol., 13(1):第7〜11頁(2002年1月))。
危機的四肢虚血は、臨床所見によって規定されているばかりでなく正常に機能しない血流の客観的な測定結果によっても規定されている。診断基準としては、(1)鎮痛薬の常用を必要とし且つ50mmHg以下の膝内収縮期血圧に伴う安静時の2週間以上の再発性足部痛、若しくは30mmHg以下のつま先の最高血圧、又は(2)類似の血行動態測定による足又はつま先の非治癒性創傷若しくは壊疽のうちのどちらか一方がある。血行動態測定パラメータは、糖尿病を患っている患者においては信頼性が乏しいかも知れない。なぜならば、動脈壁の石灰化は圧力計カフによる圧縮を減じ且つ実際の高さよりも大きい収縮期血圧測定を生じるからである。虚血性休息痛は、伝統的には、足部又はつま先の母指球内の灼熱痛として記載されており、これは患者がベッドに寝ている夜間に更に劣悪である。この痛みは、重力補助血流の喪失により臥位によって増悪する。虚血性休息痛は。組織が心臓から最も遠い動脈の閉塞部の遠位側にある足部内に位置している。虚血性休息痛患者は、ベッドの側部から脚をぶら下げるか又は重力増強血流を回復し且つ痛みを軽減するためにリクライニング装置で眠る必要があることが多い。心地良さのために自分の脚をぶら下げた状態に保持している患者は、足及び膝にかなりの水腫をもたらす場合が多い。靴が合っていないか外傷によって生じる足部外傷部分には、通常、非治癒性の外傷が見られる。外傷は、規則的な包帯交換、外傷の回避、感染症の治療、及び壊死組織の切除などの4〜12週間の姑息的療法によって治らない場合に、非治癒性であると一般的に考えられている。壊死は通常はつま先に見られる。血液の供給程度が低くて自然壊死が潅流が最も少ない組織において生じる場合には、壊死は発達する。
末梢血管疾患の治療及び予後は、外傷及び患者の特徴、例えば外傷部位、外傷のタイプ(狭窄又は閉塞、外傷の長さ)、動脈の流出、及び臨床症状によって影響を受ける(Dormandy JA, Rutherford RB.による“Management of peripheral arterial disease (PAD)(末梢動脈疾患(PAD)の管理)”:TASC Working Group. J Vasc Surg 2000; 31 (1 pt 2):S103-S106)。大腿膝窩動脈疾患に対するバルーン拡張による5年間の開存率の推定値は、閉塞患者及び危機的虚血患者における12%と低い範囲から狭窄及び間欠性跛行患者における68%までの範囲に亘る(Hunink MGM, Wong JB, Donaldson MC, Meyerovitz MF, Harrington DP.による“Patency results of percutaneous and surgical revascularization for femoropopliteal arterial disease(大腿膝窩動脈疾患の経皮的及び外科的血管再生の開存率結果)”Med Decis Making 1994; 14:第71〜81頁)。大腿膝窩動脈疾患のバイパス外科手術は、より長い期間に亘る開存率を伴うばかりでなく、より高い処置による罹患率、死亡率、及びより長い期間に亘る入院を伴って来た(Hunink MGM, Wong JB, Donaldson MC, Meyerovitz MF, de Vries JA, Harrington DP.による“Revascularization for femoropopliteal disease(大腿膝窩疾患のための血管再生)”.“A decision and cost-effectiveness analysis(決定及びコスト効率分析)”. JAMA 1995; 274:第165〜171頁)。
危機的四肢虚血疾患を含む末梢血管疾患の治療方法は、ここに提供されているコーティングされた医療器具を1つ以上血管内に埋め込むことを含むことが好ましい。アンテローム性動脈硬化は、脚部筋肉を動かすための十分な血流を供給できない狭窄した血管は間欠性跛行を起こし、これは、運動すると起こり且つ休息すると和らぐので、末梢血管疾患の多くの場合の元となる。血管の狭窄が増すにつれて、危機的四肢虚血疾患(CLI)は、血流が休息時の組織の代謝要求量に適さないときに発生する。危機的四肢虚血疾患は塞栓又は狭窄などの急性症状によるので、多くの場合には、慢性的な症状、最も一般的にはアンテローム性動脈硬化の進行性の結果をもたらす。危機的四肢虚血疾患の進行は、通常は、組織への血流を著しく減じる動脈閉塞の多くの部位を必要とする。危機的組織虚血疾患は、臨床的には、休息痛、非治癒性創傷(創傷治癒の高い代謝要求量による)、又は組織壊死(壊死)として現れる。
該コーティングされた医療器具は、あらゆる適切な体内脈管内に埋め込むことができる。埋込みフレームの構造は、所望の埋め込み部位に応じて選択することができる。例えば、浅腹壁動脈、膝窩動脈、又は脛骨動脈に対しては、圧潰に対する高い耐久性を有するフレーム設計が望ましい。腎動脈又は腸骨動脈内への埋め込みのためには、適当なレベルの径方向の力及び可撓性を有するフレーム設計が望ましい。コーティングされた血管ステントは、無冠末梢動脈例えば腸骨動脈又は腎動脈内に埋め込まれる。
一つの実施例においては、生体吸収性のエラストマポリマーの層によって覆われている治療薬剤をコーティングされたバルーン拡張型フレーム部分を備えている医療器具が、CLIを治療するために、脛骨動脈若しくは腓骨動脈などの膝窩下動脈内又は腸骨動脈内の治療部位へ管腔を介して給送できる。病巣疾患症状を治療するためには、コーティングされたバルーン拡張型の医療器具は、コーティングに取り付けられた拡張可能なフレームを備えている。フレームはまた、生体吸収性材料によって形成されるか、又はフレームの一部分を覆う生体吸収性材料からなるコーティングを含んでいる。該フレームは、埋め込まれたときに、体内脈管の壁に医療器具を固定するための棘状部材又はその他の装置を含む構造とすることができる。
もう一つ別の実施例においては、コーティングされた器具は、コーティングされたニチノール製のステントなどの自己拡張型の器具とすることができる。該自己拡張型器具は、該医療器具を体内脈管内に固定するために所望量の径方向外方への力を提供する構造とされている。該医療器具は、CLIの治療のために脛骨動脈内に埋め込まれるのが好ましい。例えば、コーティングされた医療器具は、金属製の生体吸収性材料をコーティングされた超弾性自己拡張型ニチノール−チタン合金によって作られ且つ移植片素材に取り付けられた血管ステントとして形成することができる。ステントが挿入されるべき血管が遠位の膝窩部分内へと伸長している場合には、自己拡張型のフレームを使用することができる。埋込みフレームのタイプの選択はまた、脚部を折り曲げている間に血管内の埋め込み部位が外部から圧縮される可能性について情報を提供され得る。
ここに記載した医療器具を適切な血管、例えば静脈、動脈、胆管、尿管、体内通路、又は消化管内へと給送する方法もまた提供されている。
以上、本発明の例示的実施例を血管形成処置に続く狭窄などの合併症の治療に関して説明したけれども、治療薬剤の局部的な供給は、あらゆる数の医療器具を使用して広範囲の症状を治療するために使用できる。例えば、器具の内部、上、又は周囲での組織の内部成長又はタンパク質物質の蓄積により作用しなくなることが多い他の医療器具も、本発明によって利益を得ることができる。このような器具としては、限定的ではないが、人工水晶体、脳水腫のためのシャント、透析用移植片、人工肛門袋取り付け器具、耳排水チューブ、ペースメーカーのリード線、及び埋込み細動除去器がある。
本発明によって考案された器具などの薬剤溶出ステントを評価するための基準を記載するための臨床介入器具の評価に従事した治験担当医師、学術的研究者、及び産業関係の研究者によって総覧が編纂されて来ている。“Drug-Eluting Stents in Preclinical Studies-Recommended Evaluation From a Consensus Group(臨床研究における薬剤−溶出ステント−総覧群によって推奨される評価)”(http://www.circulationaha.orgにおいて入手可能)(本明細書に参考として組み入れられている)を参照のこと。
ここに記載されている医療器具は、適切な血管、例えば静脈、動脈、胆管、尿管、体内通路、又は消化管にも提供される。
ここに記載されている多くの実施例は動脈内への医療器具の埋め込みについて説明しているけれども、他の実施例は他の体内脈管内への埋め込みを提供する。他の用語で言えば、多くのタイプの体内の管、血管、導管、管、及びその他の体内通路があり、“脈管”という用語はこのような通路の全てを包含することを意味している。
本発明は、特許請求の範囲に含まれる他の実施例及び全ての実施例の変形例を含んでおり且つ出願人によって記載された特許請求の範囲によってのみ限定される。

以下の例においては、下の表に特定されている装置及び試薬を使用した。
Figure 0005675611
例1:非晶質パクリタキセル、無水パクリタキセル、及び二水和パクリタキセルの調製
非晶質パクリタキセル固体形態、無水パクリタキセル固体形態、及び二水和のパクリタキセル固体形態の塊状サンプルを下に記した方法で調製する。これらの調製は、Jeong Hoon Leeらによる“Preparation and Characterization of Solvent Induced Dihydrate, Anhydrous and Amorphous Paclitaxel(溶媒誘導の二水和パクリタキセル、無水パクリタキセル、及び非晶質パクリタキセルの調製及び特性)”,Bull. Korean Chem. Soc. v. 22, no. 8,第925〜928頁(2001)に基づいている。
塊状の非晶質パクリタキセルの試料は以下のようにして調製する。すなわち、1.01gのパクリタキセル(Phytogen Life Science製)を5mLのジクロロメタン(Mallinckrodt製)内で撹拌しながら溶解させてパクリタキセル溶液を形成し、該パクリタキセル溶液を約23℃において約10時間空気に曝したままにしてジクロロメタンを蒸発させて非晶質パクリタキセルを形成する。該非晶質パクリタキセルの溶融温度は209〜215℃である。
塊状の無水パクリタキセルの試料は以下のようにして調製する。すなわち、1.06gのパクリタキセル(Phytogen Life Science製)を40mLのメタノール(Sigma Aldrich製、99.93%のHPLC等級)内で容器に超音波を当て且つ容器を反転させながら溶解させてパクリタキセルの溶液を形成し、約2mLのヘキサン(Sigma Adrich製)を該パクリタキセル溶液に添加し、該溶液を約−20℃のフリーザ内に終夜(10時間)置いて無水結晶パクリタキセルを形成する。該無水パクリタキセルの溶融温度は190〜210℃である。
二水和パクリタキセル試料は以下のようにして調製する。すなわち1.09gのパクリタキセル(Phytogen Life Science製)を25mLのメタノール内で容器に超音波を当てながら溶解させてパクリタキセル溶液を形成し、該パクリタキセル溶液に約5mLの水を添加し、該試料を約−20℃のフリーザ内に終夜置いて二水和結晶を形成する。該二水和結晶の溶融温度は209〜215℃である。続いて、該試料を2.5時間に亘って真空状態に密封して0.025トールにして残っている溶媒を除去する。二水和パクリタキセル試料はまた以下のようにしても調製される。50.08gのパクリタキセル(Phytogen Life Science製)を1.1Lのメタノール内で溶解して溶液を形成し、続いて、275mLの水を該メタノール溶液に滴下形態で添加して沈殿物を形成し、これを約−20℃で終夜(約10時間)冷凍する。この結果として得られた固体沈殿物をろ過し、1500mLのメタノールに溶解し、続いて375mLの水を滴下形態で添加する。この結果として得られた結晶は1200mlのメタノールを300mLの水と共に使用して3回目の再結晶化をさせ、結果として得られた二水和結晶を収集する。
例2:塊状パクリタキセル試料の紫外線(UV)スペクトル
例1において調製された3つの固体試料(非晶質パクリタキセル、二水和パクリタキセル、及び無水パクリタキセル)をエタノール内で溶解して噴霧試料溶液を形成する。これら3つの試料の各々の紫外線スペクトルを(Agilent製のIn-Line紫外線分光計を使用して)取得して図3Aに示されているスペクトル100から区別できる3つのスペクトルを得る。これらのスペクトルは全てパクリタキセル内のタキサンコア構造を示すピークを227nmに有し、これは、例1のパクリタキセル固体形態が溶液内のパクリタキセルのUVスペクトルに基づいて相互に区別できないことを示している。
例3:塊状パクリタキセル試料の赤外スペクトル
例1において調製された試料の各々のFTIR赤外スペクトルを以下の手順で得た。すなわち、室温(約23℃)において乳鉢と乳棒とを使用してパクリタキセル結晶をKBrと混ぜ合わせることによってKBrのペレットを形成し、この結果として得られた固体を真空中に置いて残留しているメタノール溶液(0.025mmHg)を除去した。パクリタキセルの各固体形態の代表的なスペクトルを記録した。上記したパクリタキセルの固体形態の各々の代表的なスペクトルが図3B〜3Dに提供されている。赤外スペクトルは減衰全反射赤外法(ATR−IR)を使用してコーティングから得ることができ、又はコーティングから固体タキサン試料の少量のサンプルを得ることもできる。一つの適切なATR−IR装置は、PerkinElmer製のHorizontal ATR モデル L1200361である。
例4:パクリタキセルによるステントの超音波スプレーコーティング
パクリタキセルの二水和固体形態と非晶質固体形態との両方を含んでいるパクリタキセルコーティングからなるコーティングを備えたステントを、パクリタキセルとメタノールと水とを含む溶液をスプレーコーティングすることによって調製する。メタノールと水内のパクリタキセル溶液を準備する。特に、予め作られた68%のメタノールと32%の水との溶液5ml内に7.43mgのパクリタキセルを溶解させることによって68%メタノール内に1.74mMのパクリタキセル溶液を調製する。該溶液をグローブボックス(密閉透明容器)内の超音波スプレーガン(Sono-tek製のモデル06−04372)から噴霧する。噴霧前に、グローブボックスは137.9kPa(20psi)で15分間窒素によって浄化する。グローブボックス内の雰囲気は、酸素濃度計がグローブボックス内に一定の200ppmを読み取るまで調整する。グローブボックス内の熱は31℃(88°F)に設定し、空気囲いは13.8kPa(2.0psi)に設定し、超音波出力は1.0Wに設定する。該パクリタキセル溶液を注射器内に装填し、超音波コーティング装置内の注射器ポンプ上に配置し、裸の金属ステント(6×20 Zilver、インディアナ州ブルーミントンにあるCook Inc., 製)をスプレーノズルと整合させた心棒に取り付ける。該溶液を、0.03mL/分の流速、0.635mm(0.025in)/秒のコーティング速度、1.0Wのノズル出力、13.8kPa(2.0psi)のプロセスガス圧力、及び約12mmのノズル−ステント間距離で、ステントを60rpmの軸線回転速度で回転させながら、60kHzノズルを使用してステントに吹き付ける。ステントの管腔外面のみをコーティングする。
例5:パクリタキセルをコーティングされたステントのコーティング付着後の調整
パクリタキセルをコーティングされたステントを、エタノールなどの適切な揮発性溶媒内のパクリタキセルの溶液を医療器具の管腔外面に吹き付けることによって調製する。コーティングは、適当な程度の持続性を提供するのに十分な量のパクリタキセルを非晶質(透明な)固体形態で含んでいるのが好ましい。コーティングは、この例においては、少なくとも約5時間好ましくは約12〜15時間又はそれ以上に亘って、温度を約35℃〜50℃まで(又はそれ以上まで)上昇させ且つ約75%〜100%の相対湿度レベルまで上昇させることによって調製される。
この例においては、エタノール内に溶解されたパクリタキセルからなる溶液をステントの管腔外面上に吹き付けることによって、6×20mm ZILVERステント(インディアナ州ブルーミントンにあるCook Incorporated製)の管腔外面上に目視上実質的に透明なパクリタキセルコーティングが適用される。スプレーガンを所望投与量のパクリタキセルがステントの管腔外面上にコーティングされるまでステント上を多数回通過させる。例えば、パクリタキセルコーティングは、該コーティングがスプレーガンによって適用される回数に応じてステントの管腔外面のmm当たり約4μgまでのパクリタキセルの投与量を含むようになるまでスプレーによって付着せしめられる。スプレーコーティング条件は、スプレー過程中に又は吹き付けられるステントを乾燥させるステップと組み合わせて、エタノール溶媒を蒸発させるように選択される。この結果として得られたコーティングは、非晶質固体形態を含む1以上の固体形態でステントの管腔外面上のパクリタキセルによって構成されていた。
コーティング内に存在しているパクリタキセルの固体形態は、目視検査及びここに記載されている溶出媒体でのコーティングの溶解度によって特定することができる。シクロデキストリンの水溶液などの溶出媒体をパクリタキセルのコーティングと接触させ、溶出媒体内のパクリタキセルの濃度は、UVスペクトル写真法を使用して時間の関数として監視することができる。透き通ったパクリタキセルのコーティングは非晶質固体形態を示しており、一方、白い又は濁ったコーティングは、パクリタキセルの溶媒和された固体形態(例えば二水和物)を示す。二水和固体形態は非晶質固体形態よりも水性シクロデキストリン溶媒内での溶解度が低い。従って、二水和固体形態のパーセンテージが比較的高いパクリタキセルコーティングは、より高いパーセンテージの非晶質固体形態を有しているコーティングよりもコーティングからの溶出速度が遅い。
比較可能なコーティング方法又は同一のコーティング方法を使用して多数のステントをコーティングすることによって、該コーティングのうちの一つを適当な溶出媒体内で溶出させ、該コーティングの組成を、比較可能な又は同一のコーティング方法を使用してコーティングされた他のステントのコーティングの組成の推定値として推定することができる。一つの代表的なコーティングされたステントを試験することによって、他のコーティング内に存在するパクリタキセルの固体形態を判定することができる。二水和固体形態と非晶質固体形態との両方の存在は、2つの溶液の溶解特性の違いによって特定される。すなわち、コーティングをブタ血清と接触させることによって非晶質固体形態が溶出され、一方、これに続いて硫酸ドデシルナトリウムと接触させることによって残りのパクリタキセルが溶出される。溶出速度は、パクリタキセルコーティングと接触させた後に溶出媒体のUV検知を行うことによって監視することができる。別の代表的なコーティングされたステントの重量を捲縮の前後で測定し、コーティング重量の損失のパーセンテージを測定する。捲縮中の典型的な重量損失は約6%である。
コーティングされたステントは、給送カテーテルの遠位部分上に捲縮され、次いで、パクリタキセルをコーティングされたステントを約120°F(48℃)で相対湿度が約100%の状態に約13時間維持することによって調整した。調整過程の後に、実質的に透き通っていた(透明であった)パクリタキセルコーティングの領域が白くなり且つ濁って二水和パクリタキセルが形成されたことを示した。引き続いて行われるコーティングの溶出試験によって、調整されなかった他の匹敵するパクリタキセルステントコーティングに対するコーティング内の二水和パクリタキセルの量の増加が示された。
調整後に、コーティングされたステントを適当な溶出媒体例えば水性HCD溶液内に溶解させ、続いて、硫酸ドデシルナトリウム又はエタノールによって溶解して、調整されたコーティング内に存在する固体形態が特定できる。固体形態の二水和パクリタキセルの重量パーセントは、調整されたコーティング内のほうが調整前のコーティング内より高い。二水和パクリタキセルは、コーティングの重量の約75%以下であるのが好ましい。別の調整されたステントは、捲縮前後において重量を測定し、コーティング重量の損失のパーセンテージを測定する。調整されたステントのコーティングの重量損失の典型的な値は、6%未満例えば3〜5%であると予測される。
例6:超音波コーティング付着方法を使用してステント上にパクリタキセルの単一の層を覆うPLAの単一の層
Zilver(登録商標)ステントを、約3μg/mm(約200μg)の非晶質パクリタキセルか50〜60%の二水和パクリタキセルを含んでいる同量の組成物でコーティングする。コーティングは超音波ノズルを使用して行う。
ステントがパクリタキセルによってコーティングされると、2〜4g/LのPLAをアセトン内に溶解させることによって0.5μg/mm(約40μg)のPLAを適用する。次いで、該溶液を超音波ノズルを使用して適用する。溶液を10.0mLの注射器に装填し、該注射器を注射器ポンプ上に取り付け且つ溶液をスプレーヘッドへと搬送するチューブに接続される。次いで、注射器ポンプを使用して溶液ラインから空気を抜き取り、ラインとスプレーノズルとを溶液によって下塗りした。超音波ノズルは、圧電結晶の励起によってノズルの全長に沿って横断する定在波が発生されるように配置されている。従って、噴霧面上に導入された溶液は振動エネルギの一部を吸収し、液体内に波動を惹き起こす。液体を霧状化させるためには、噴霧面の振動の振幅を注意深く制御しなければならない。コーティングチャンバは、装置内の酸素を押し出すために窒素によって浄化される。対応するパラメータを使用して、該コーティング方法が形成され且つ該装置が設定される。その後に、ステントの一端が心棒上を摺動せしめられてステントの半分がコーティングされる。ノズルは、手動によってステントの先端及びステントの中間部分に整合せしめられる。これらの位置番号は、シリンジポンプが実際に作動せしめられるときのコーティングプログラムのために使用される。ステントがひっくり返されて残りの半分がコーティングされる。この過程中に、ステントは雰囲気温度に且つ閉塞チャンバ内に保たれる。
Figure 0005675611
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例7:HCD及びSDS内でのパクリタキセルをコーティングされたステントの溶出
非晶質形態と約50〜60%の二水和固体形態との両方のパクリタキセルによって構成されているコーティングを有しているZILVER(インディアナ州ブルーミントンにあるCook Inc., 製)を、例4に記載されているものに基づく手順を使用して調製した。次いで、ステントをアセトン溶媒を使用してPLAでコーティングした。
ステントからのパクリタキセルの溶出は、2つの溶出媒体すなわち5%のヘプタキス−(2,6−ジ−O−メチル)―β―シクロデキストリン(HCD)と1%の硫酸ドデシルナトリウム(SDS)との中で判定した。溶出特性は、227nmにおける溶出したパクリタキセルのUV吸収を測定すること及びこれをパクリタキセル試験溶液に相関させることによって判定した。図4は、5%のHCD内で得られた溶出特性を示している。3μg/mmの非晶質パクリタキセルと43〜44μgのPLAの被覆によってコーティングされたステントは、二水和形態を含んでいるステントより速くパクリタキセルを放出した。
図4はまた、3μg/mmの非晶質パクリタキセルでコーティングされ且つより多量のPLA(212μgのPLA)によって被覆されたステントからの溶出特性をも示している。被覆内のPLAの重量は増大するけれども、約10分以下の期間で放出が減少することがわかる。このステントからのより長い時間に亘るパクリタキセルの放出は、二水和形態を含んでいるステントからの放出よりも速い。
図5は、1%SDS内で得られた溶出を示している。ここでは、二水和形態のパクリタキセルを有しており且つPLAで被覆されたステントは、同様の重量の非晶質形態のパクリタキセルと同様の重量のPLAとをコーティングされたステントよりも約5分の1ゆっくりとした速度で80%の溶出に達した。
10 ステント、 12 フープ、
14 管腔外面、 16 管腔内面、
20 フレーム、 30 第一の層、
40 第二の層、 110 医療器具、
114 管腔外面、 116 管腔内面、
120 フレーム、 125 凹部、
130 第一の層、第一の治療薬層、
132 第二の治療薬層、
140 第一のコーティング層、
142 第二のコーティング層、
144 第三のコーティング層、
150 医療器具、 160 フレーム、
162 穴、 170 複数の層

Claims (15)

  1. 医療器具の表面に付着されてタキサン剤を放出させるように構成されたコーティングを備えた、コーティングされた埋込み医療器具であって、
    前記コーティングが、
    a.少なくとも20%の二水和パクリタキセルを含むタキサン剤を有する第一の層と、
    b.前記第一の層を覆うように配置されており、75,000〜240,000Daの分子量を有し、且つ前記第一の層内の治療薬の重量の1〜20倍の量で存在している生分解性エラストマを有している第二の層と、を備える器具。
  2. 前記生分解性エラストマが、ポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)、ポリ(4−ヒドロキシブチレート)、及びポリ(グリセロール−シバケート)からなる群から選択された少なくとも一つのポリマーを含んでいるポリマー又はコポリマーからなる、ことを特徴とする請求項1に記載の器具。
  3. 前記生分解性エラストマが、ポリ(L−乳酸)、ポリ(D−乳酸)、及びポリ(D,L−乳酸)からなる群から選択されたポリ(乳酸)である、ことを特徴とする請求項2に記載の器具。
  4. 前記タキサン剤が、少なくとも40%の二水和パクリタキセルを含んでいる、ことを特徴とする請求項1に記載のコーティングされた埋込み医療器具
  5. 前記タキサン剤が、少なくとも60%の二水和パクリタキセルを含んでいる、ことを特徴とする請求項に記載のコーティングされた埋込み医療器具。
  6. 管腔内面と管腔外面とを有している径方向に拡張可能な血管ステントを備えている、ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の器具。
  7. 前記第二の層が、前記管腔外面の1平方ミリメートルの面積当たり0.05〜20mgの前記生分解性エラストマを含んでいる、ことを特徴とする請求項6に記載の器具。
  8. 前記タキサン剤がパクリタキセルであり、前記コーティングされた血管ステントが、前記管腔外面の1平方ミリメートルの面積当たり0.06〜0.90μgのパクリタキセルを含んでおり、前記管腔内面が0.01μg未満のパクリタキセルを含んでいる、ことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の器具。
  9. 前記第一の層が、実質的にポリマーを含んでおらず、主としてタキサン剤からなる、ことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の器具。
  10. 前記第二の層が、主として該第二の層の1平方ミリメートルの表面積当たり0.1mg未満のタキサン剤を含んでいる生分解性エラストマからなる、ことを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の器具。
  11. 薬剤給送装置を形成するために埋込み医療器具をコーティングする方法であって、
    a.表面を有する医療器具を準備するステップと、
    b.前記医療器具の表面上にタキサン剤を含む第一の層を堆積させるステップであって、
    i.第一の溶媒を含んでおり且つポリマーを含んでいない第一の溶液と、前記第一の溶媒内に分散したタキサン剤とを前記表面に塗布し、
    ii.前記第一の溶媒を蒸発させ、
    iii.前記塗布と前記蒸発とを、前記第一の層が1平方ミリメートルの表面積当たり0.05〜1.00μgのタキサン剤を含むようになるまで繰り返し、このとき前記タキサン剤が少なくとも20%の二水和パクリタキセルを含む、ステップと、
    c.前記医療器具上の前記第一の層を覆うように生分解性エラストマを含む第二の層を堆積させるステップであって、
    i.第二の溶媒と該第二の溶媒内に分散された75,000〜240,000Daの分子量を有する生分解性エラストマとを含む第二の溶液を前記第一の層に塗布し、
    ii.前記第二の溶媒を蒸発させ、
    iii.前記第二の層内の生分解性エラストマの重量が前記第一の層内のタキサン剤の重量の1〜20倍になるまで前記塗布と蒸発とを繰り返すステップと、を含んでいる、方法。
  12. 前記第二の溶媒がアセトンであることを特徴とする請求項11に記載の方法。
  13. 前記タキサン剤の少なくとも一部分が、1735〜1700cm−1の範囲内に3つよりも少ないピークを有している振動スペクトルによって特徴付けられる固体形態で存在する、ことを特徴とする請求項11又は12に記載の方法。
  14. 前記タキサン剤が、少なくとも40%の二水和パクリタキセルを含んでいる、ことを特徴とする、請求項11から13のいずれか1項に記載の方法。
  15. 前記タキサン剤が、少なくとも60%の二水和パクリタキセルを含んでいる、ことを特徴とする、請求項11から13のいずれか1項に記載の方法。
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