JP2009075287A - 高分子光回路の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】光回路における導波路コアパターンの自由度が維持されるとともに、光回路に挿入されたフィルタ類が本来の性能を発揮しうるような高分子光回路を提供できる高分子光回路の製造方法の提供。
【解決手段】導波路コア2と導波路コア2の両端部を連通する連通流路12A、12Bとに対応する凹部を一方の面に有し、導波路コア2に交差するように形成され、光学フィルタ3が挿入される光学フィルタ挿入孔13を有する鋳型11を、鋳型形成用エラストマを型に注入して硬化させることにより形成し、鋳型11の前記一方の面に、クラッド基材15を密着させ、コア形成用硬化樹脂を鋳型11の凹部12に注入し、光学フィルタ挿入孔13に光学フィルタ3を挿入し、コア形成用硬化樹脂を硬化させて導波路コア2を形成し、鋳型11を除去し、クラッド4の残りの部分を形成する高分子光回路の製造方法。
【選択図】図7
【解決手段】導波路コア2と導波路コア2の両端部を連通する連通流路12A、12Bとに対応する凹部を一方の面に有し、導波路コア2に交差するように形成され、光学フィルタ3が挿入される光学フィルタ挿入孔13を有する鋳型11を、鋳型形成用エラストマを型に注入して硬化させることにより形成し、鋳型11の前記一方の面に、クラッド基材15を密着させ、コア形成用硬化樹脂を鋳型11の凹部12に注入し、光学フィルタ挿入孔13に光学フィルタ3を挿入し、コア形成用硬化樹脂を硬化させて導波路コア2を形成し、鋳型11を除去し、クラッド4の残りの部分を形成する高分子光回路の製造方法。
【選択図】図7
Description
本発明は高分子光回路の製造方法に関する。
高分子光回路の製造方法としては、(1)フィルムにモノマーを含浸させてコア部を選択的に露光して屈折率を変化させ、このフィルムを張り合わせる方法(選択重合法)、(2)コア層及びクラッド層を塗布後、反応性イオンエチングを用いてクラッド部を形成する方法(RIE法)、(3)高分子材料中に感光性の材料を添加した紫外線硬化樹脂を用いて、露光・現像するフォトリソグラフィー法を用いる方法(直接露光法)、(4)射出成形を利用する方法、(5)コア層及びクラッド層を塗布後、コア部を露光してコア部の屈折率を変化させる方法(フォトブリーチング法)等が提案されている。
中でも、導波路コアのパターンに対応する凹部を形成したシリコーンゴム鋳型における凹部を形成した側の面にクラッド用フィルムを密着させ、前記凹部に導波路コア形成用樹脂を注入して硬化させ、前記クラッド用フィルムの表面に導波路コアを形成する方法が、導波路コアの透過損失が少ない高分子光回路が低コストで作製できる方法として注目されている(特許文献1、2)
更に、前記高分子光回路において、導波路コア上に反射鏡や各種フィルタなどの光学素子を設ける方法として、導波路コア形成用樹脂を注入して硬化させて導波路コアを形成した後に、シリコーンゴム鋳型の表面から導波路コアを切断するように前記光学素子を挿入するための孔または溝を形成し、前記孔または溝に光学素子を挿入した後に前記光学素子を導波路コアと光接合する方法が提案された(特許文献3)
また、高分子導波路を形成した基板にダイシングソーやレーザなどによって溝を形成し、形成された溝に光学フィルタを挿入する方法も提案されている(特許文献4)
特開2004−86144号公報
特開2006−126568号公報
特開2004−109926号公報
特開2002−243960号公報
光学素子が波長選択フィルタのようなフィルタ類の場合、これらのフィルタ類は、一般的に大きなクラッド基材やガラス基材に誘電体多層膜を積層した後、ダイシングソーなどによって所定の大きさに裁断することにより製造される。したがって、ダイシングソーの切断面近傍は光学特性が損なわれる可能性があるため、フィルタを使用するときは、切断面よりも最低10μm、好ましくは100μm内側の部分を使用する必要がある。
しかしながら、特許文献3に記載されているように、シリコーンゴム鋳型の凹部に注入した導波路コア形成用樹脂を硬化させて導波路コアを硬化させた後に、シリコーンゴム鋳型に導波路コアを切断するような溝を形成し、この溝にフィルタ類を挿入したのでは、前記フィルタ類の切断面近傍部分が導波路コアにかかる。これは、前記フィルタ類が波長選択フィルタの場合には波長選択性能を低下させることに繋がる。
また、高分子導波路を形成した高分子導波路基板にフィルタ類を挿入するための溝を追加工すると工数が増加してコストが上昇する。また、導波路パターンと追加工方法の組合せも限定される。
前記高分子導波路基板に溝を加工する方法としてはダイシングソーによるハーフカットが一般的であるが、ダイシングソーによる加工では局所的な加工は不可能であり、基板全体がハーフカットされる。したがって、導波路パターンは、基板のハーフカットされる部分を避けるように形成する必要があるので、導波路パターンの自由度が限定される。
エキシマレーザによるレーザアブレーション加工によれば、前記高分子導波路基板を局所的にハーフカットすることは可能であるが、アスペクト比の大きな加工はレーザアブレーション加工では困難なため、導波路コア径および導波路全体の厚みの大きな導波路パターンを有する高分子導波路基板においては必要な加工精度を得ることが困難であった。そのため、挿入したフィルタ類が本来の性能を発揮しないという問題があった。
本発明は、上記問題を解決すべく成されたもので、光回路における導波路コアパターンの自由度が維持されるとともに、光回路に挿入されたフィルタ類が本来の性能を発揮しうるような高分子光回路を提供できる高分子光回路の製造方法の提供を目的とする。
請求項1に記載の発明は、導波路コアとそれを囲繞するクラッドと前記導波路コアに交差するように設けられた光学フィルタとを備える高分子光回路の製造方法であって、導波路コアと導波路コアの両端部を夫々連通する連通流路とに対応する凹部を一方の面に有し、前記導波路コアと前記一方の面とは反対側の他方の面とを貫通するとともに前記導波路コアに交差するように形成され、光学フィルタが挿入される光学フィルタ挿入孔を有する鋳型を、鋳型形成用エラストマを型に注入して硬化させることにより形成し、前記鋳型の前記一方の面に、前記クラッドの一部を構成するクラッド基材を密着させ、前記導波路コアを形成するための硬化性樹脂であるコア形成用硬化樹脂を前記鋳型の注入孔から凹部に注入し、前記鋳型に導波路コア成形樹脂を注入する前、または注入した後に、光学フィルタ挿入孔に光学フィルタを挿入し、前記光学フィルタ挿入孔に光学フィルタを挿入した後に、注入したコア形成用硬化樹脂を硬化させて導波路コアを形成し、前記導波路コアが形成されたら鋳型を除去し、前記クラッド基材における導波路コアが形成された側の面に前記クラッドの残りの部分を形成する高分子光回路の製造方法に関する。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の高分子光回路の製造方法において、前記クラッド基材を前記鋳型に密着させる前、または密着させた後に、前記クラッド基材における光学フィルタ挿入孔に対応する位置に、前記光学フィルタを挿入するための光学フィルタ挿入溝を形成するものに関する。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の高分子光回路の製造方法において前記クラッド基材を前記鋳型に密着させた後に、レーザアブレーション加工により前記光学フィルタ挿入溝を形成するものに関する。
請求項4に記載の発明は、請求項2または3に記載の高分子光回路の製造方法において、前記光学フィルタ挿入溝の深さが10μm以上であるものに関する。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4の何れか1項に記載の高分子光回路の製造方法において、光学フィルタを前記光学フィルタ挿入孔に挿入した後に導波路コア成形樹脂を注入するものに関する。
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5の何れか1項に記載の高分子光回路の製造方法において、前記クラッド基材における光学フィルタ挿入孔に対応する部分を硬化性樹脂で形成し、前記光学フィルタを前記光学フィルタ挿入孔から挿入し、前記光学フィルタにおける挿入方向先端縁部が前記クラッド基材における硬化性樹脂で形成された部分に挿入されたら、前記部分を形成する硬化性樹脂を硬化させるものに関する。
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の高分子光回路の製造方法において、前記クラッド基材における光学フィルタ挿入孔に対応する部分を形成する硬化性樹脂を硬化させた後に導波路コア成形樹脂を注入するものに関する。
請求項8に記載の発明は、請求項1〜7の何れか1項に記載の高分子光回路の製造方法において、前記導波路コアの高さが70〜200μmに設定されているものに関する。
以上説明したように、本発明によれば、導波路コアのパターンの制限が従来に比較して少ない高分子光回路の製造方法が提供される。
本発明の高分子光回路の製造方法においては、前述したように、鋳型にポリジメチルシロキサン(PDMS)などのポリジアルキルシロキサンを用いているから、クラッド基材との密着性に優れている。したがって、両者は、何ら特別な手段で固着させなくても互いに密着するから、鋳型とクラッド基材の間には、鋳型に形成された凹部構造以外には空隙が生ずることがない。故に、前記鋳型に注入されたコア形成用樹脂は、前記凹部とクラッド基材との間に形成される空間にのみ進入し、他の部分には侵入しない。また、前記鋳型とクラッド基材とは、互いに密着させた後の剥離製にも優れている。更に、前記鋳型は、ポリジメチルシロキサンによって形成されるから、前記鋳型には、微細な構造も高精度で写し取られる。故に、本発明の高分子光回路の製造方法によれば、高精度且つ微細な導波路パターンを有する高分子光が単純な工程で作製できる。
また、光学フィルタ挿入孔に光学フィルタを挿入してからコア形成用樹脂を硬化させているから、導波路コア形成後にダイシングソーによるハーフカットやレーザアブレーション加工によって光学フィルタ挿入孔を形成する場合に比較して導波路パターンの制限が小さい。
以下、本発明の高分子光回路の製造方法の具体例について説明する。
1.実施形態1
実施形態1に係る製造方法は、以下の工程、即ち
(1)鋳型を作製する工程
(2)鋳型とクラッド基材とを密着させる工程
(3)コア形成用樹脂を鋳型に注入する工程、
(4)光学フィルタを挿入する工程、および
(5)鋳型に注入したコア形成用樹脂を硬化させる工程
を有する。
実施形態1に係る製造方法は、以下の工程、即ち
(1)鋳型を作製する工程
(2)鋳型とクラッド基材とを密着させる工程
(3)コア形成用樹脂を鋳型に注入する工程、
(4)光学フィルタを挿入する工程、および
(5)鋳型に注入したコア形成用樹脂を硬化させる工程
を有する。
以下、各工程について説明する。
(1)鋳型を作製する工程
鋳型の作製は、導波路コアに対応する凸部を形成した原盤を用いて行うのが好ましいが、これに限定されるものではない。以下では、原盤を用いる方法について説明する。
鋳型の作製は、導波路コアに対応する凸部を形成した原盤を用いて行うのが好ましいが、これに限定されるものではない。以下では、原盤を用いる方法について説明する。
<原盤の作製>
先ず、図2および図3の(A)、(B)に示すように、導波路コア2と導波路コア2の夫々の端部に連通する一対の連通流路12A、12Bとに対応する凸部5をシリコン基板6上に形成した原盤10を作製する。なお、図2、図3の(A)に示すように、連通流路12A、12Bの一方はコア形成用樹脂を注入する注入流路であり、連通流路12A、12Bの他方は注入流路から注入されたコア形成用樹脂が排出される排出流路である。シリコン基板6としては、シリコン基板やガラス基板、石英基板などが使用される。
先ず、図2および図3の(A)、(B)に示すように、導波路コア2と導波路コア2の夫々の端部に連通する一対の連通流路12A、12Bとに対応する凸部5をシリコン基板6上に形成した原盤10を作製する。なお、図2、図3の(A)に示すように、連通流路12A、12Bの一方はコア形成用樹脂を注入する注入流路であり、連通流路12A、12Bの他方は注入流路から注入されたコア形成用樹脂が排出される排出流路である。シリコン基板6としては、シリコン基板やガラス基板、石英基板などが使用される。
原盤10の作製には、通常の方法、たとえばフォトリソグラフィー法を特に制限なく用いることができる。特に通常厚膜レジストと呼ばれるフォトレジスト材料を用いた場合には200μm程度までの凸部パターンを容易に形成できる。また、本出願人が先に出願した電着法又は光電着法により高分子光導波路を作製する方法(特願2002−10240号)も、原盤を作製するのに適用できる。原盤10に形成される凸部5のうち導波路コア2に対応する部分の幅および高さは高分子光回路の用途等に応じて適宜決められる。例えばシングルモード用の導波路コアの場合には、凸部5の断面寸法は10μm角程度とされ、マルチモード用の導波路コアの場合には、凸部5の断面寸法は50〜100μm角程度とされる。また、高分子光回路の用途によっては凸部5の高さおよび幅は、数百μm程度と更に大きくすることもできる。
前記凸部5のうち、光学フィルタ挿入孔に対応する部分である凸部5Aは、光学フィルタ3が挿入できるだけの幅を有する。具体的には、光学フィルタ3の位置を正確に定めるためと、光学フィルタ3において性能が不十分な可能性のある周縁部を使用しないため、凸部5Aは、導波路コア2よりも大きな幅を有している。
<鋳型の作製>
鋳型11は、図4の(A)に示すように、原盤10の凸部5が形成された面に鋳型形成用エラストマを塗布したり、同図の(B)に示すように、原盤10の周囲に壁10Aを形成し、原盤10の凸部5が形成された側の面と壁10Aの内周面とで形成される空間に前記鋳型形成用エラストマを注型したりし、必要に応じ乾燥処理をした後、同図の(C)に示すように鋳型形成用エラストマを硬化させることにより、作製される。
鋳型11は、図4の(A)に示すように、原盤10の凸部5が形成された面に鋳型形成用エラストマを塗布したり、同図の(B)に示すように、原盤10の周囲に壁10Aを形成し、原盤10の凸部5が形成された側の面と壁10Aの内周面とで形成される空間に前記鋳型形成用エラストマを注型したりし、必要に応じ乾燥処理をした後、同図の(C)に示すように鋳型形成用エラストマを硬化させることにより、作製される。
凸部5に対応する凹部にコア形成用樹脂を充填するための注入口、及び凹部に注入されたコア形成用樹脂を排出させる排出口の形成方法は特に制限はなく、たとえば、原盤10に予め連通流路12Aや連通流路2Bに前記注入口および排出口に対応する凸部5を形成しておいてもよいし、原盤10に鋳型形成用エラストマの硬化層を形成した後剥離して型をとり、その後、型の両端を前記凹部が露出するように切断することにより注入口及び排出口を形成してもよい。
前記硬化層の厚さは、鋳型としての取り扱い性を考慮して適宜決められるが、一般的に0.5〜50mm程度が適切である。
また、原盤10にはあらかじめ離型剤塗布などの離型処理を行なって鋳型11との剥離を促進することが望ましい。
鋳型形成用エラストマは、その硬化物が、後述する光学フィルタ挿入孔13を形成後に原盤10から容易に剥離できること、鋳型11(繰り返し用いる)として一定以上の機械的強度・寸法安定性を有すること、凹部形状を維持する硬さ(硬度)を有すること、クラッド基材15との密着性が良好なことが好ましい。鋳型形成用エラストマには、必要に応じて各種添加剤を加えることができる。
鋳型形成用エラストマは、原盤の表面に塗布や注型等することが可能で、また、原盤10に形成された個々の導波路コアに対応する凸部を正確に写し取らなければならないので、ある限度以下の粘度、たとえば、500〜7000mPa・s程度を有することが好ましい。(なお、本発明において用いる「鋳型形成用エラストマ」の中には、硬化後、弾性を有するゴム状体となるものも含まれる。)また、粘度調節のために溶剤を、溶剤の悪影響が出ない程度に加えることができる。
鋳型形成用エラストマとしては、前記のごとき剥離性、機械強度・寸法安定性、硬度、クラッド基材との密着性の点から、硬化後、シリコーンゴム(シリコーンエラストマー)又はシリコーン樹脂となる硬化性オルガノポリシロキサンが好ましく用いられる。前記硬化性オルガノポリシロキサンは、分子中にメチルシロキサン基、エチルシロキサン基、フェニルシロキサン基を含むものが好ましい。また、前記硬化性オルガノポリシロキサンは、一液型のものでも硬化剤と組み合わせて用いる二液型のものでもよく、また、熱硬化型のものでも室温硬化型(例えば空気中の水分で硬化するもの)のものでもよく、更に他の硬化(紫外線硬化等)を利用するものであってもよい。
前記硬化性オルガノポリシロキサンとしては、硬化後シリコーンゴムとなるものが好ましく、これには通常液状シリコーンゴム(「液状」の中にはペースト状のように粘度の高いものも含まれる)と称されているものが用いられ、硬化剤と組み合わせて用いる二液型のものが好ましく、中でも付加型の液状シリコーンゴムは、表面と内部が均一にかつ短時間に硬化し、またその際副生成物が無く又は少なく、かつ離型性に優れ収縮率も小さいので好ましく用いられる。
前記液状シリコーンゴムの中でも特に液状ジメチルシロキサンゴムが密着性、剥離性、強度及び硬度の点から好ましい。また、液状ジメチルシロキサンゴムの硬化物は、一般に屈折率が1.43程度と低いために、これから作った鋳型は、クラッド基材から剥離させずに、そのままクラッド層として利用することができる。この場合には、鋳型と、充填したコア形成用樹脂及びクラッド基材とが剥がれないような工夫が必要になる。
前記液状シリコーンゴムの粘度は、導波路コア2に対応する凸部を正確に写し取り、かつ気泡の混入を少なくして脱泡し易くする観点と、数ミリの厚さの鋳型形成の点から、500〜7000mPa・s程度のものが好ましく、さらには、2000〜5000mPa・s程度のものがより好ましい。
さらに、鋳型の表面エネルギーは、10dyn/cm〜30dyn/cm、好ましくは15dyn/cm〜24dyn/cmの範囲にあることが、基材フィルムとの密着性の点からみて好ましい。
鋳型のシェア(Share)ゴム硬度は、15〜80、好ましくは20〜60であることが、型取り性能、凹部形状の維持、剥離性の点からみて好ましい。
鋳型の表面粗さ(自乗平均粗さ(RMS))は、0.5μm以下、好ましくは0.1μm以下にすることが、型取り性能の点からみて好ましい。
鋳型のシェア(Share)ゴム硬度は、15〜80、好ましくは20〜60であることが、型取り性能、凹部形状の維持、剥離性の点からみて好ましい。
鋳型の表面粗さ(自乗平均粗さ(RMS))は、0.5μm以下、好ましくは0.1μm以下にすることが、型取り性能の点からみて好ましい。
また、鋳型は、紫外領域及び/又は可視領域において光透過性であることが好ましい。鋳型が可視領域において光透過性であることが好ましいのは、以下の2)の工程において鋳型をクラッド用クラッド基材に密着させる際、位置決めが容易に行え、また、以下の3)の工程においてコア形成用樹脂が鋳型凹部に充填される様子が観察でき、充填完了等が容易に確認しうるからである。また、鋳型が紫外領域において光透過性であることが好ましいのは、コア形成用樹脂として紫外線硬化性樹脂を用いる場合に、鋳型を透して紫外線硬化を行うためであり、鋳型の、紫外領域(250nm〜400nm)における透過率が80%以上であることが好ましい。
前記硬化性オルガノポリシロキサン、中でも硬化後シリコーンゴムとなる液状シリコーンゴムは、後述するクラッド基材15との密着性と剥離性という相反した特性に優れ、ナノ構造を写し取る能力を持ち、シリコーンゴムとクラッド基材とを密着させると液体の進入さえ防ぐことができる。このようなシリコーンゴムを用いた鋳型11は高精度に原盤10を写し取り、クラッド基材に良く密着するため、鋳型10とクラッド基材15の間の凹部12のみに効率よくコア形成用樹脂を充填することが可能となり、さらにクラッド基材15と鋳型11の剥離も容易である。したがって、この鋳型11からは高精度に形状を維持した高分子光導波路を、極めて簡便に作製することができる。
<光学フィルタ挿入孔の形成>
鋳型形成用エラストマが硬化したら、図5に示すように、原盤10に形成された凸部5Aに対応する部分に光学フィルタ挿入孔13を穿設する。光学フィルタ挿入孔13は、たとえばレーザアブレーション加工によって穿設できるし、機械的な方法で穿設してもよい。なお、光学フィルタ挿入孔13は、光学フィルタ3の挿入作業の容易さを考慮して上方に向かって拡大する錐状に形成することが好ましい。また、原盤10の凸部5Aを、光学フィルタ挿入孔13に対応する形状とすれば、光学フィルタ挿入孔13を穿設する作業は省略できる。
鋳型形成用エラストマが硬化したら、図5に示すように、原盤10に形成された凸部5Aに対応する部分に光学フィルタ挿入孔13を穿設する。光学フィルタ挿入孔13は、たとえばレーザアブレーション加工によって穿設できるし、機械的な方法で穿設してもよい。なお、光学フィルタ挿入孔13は、光学フィルタ3の挿入作業の容易さを考慮して上方に向かって拡大する錐状に形成することが好ましい。また、原盤10の凸部5Aを、光学フィルタ挿入孔13に対応する形状とすれば、光学フィルタ挿入孔13を穿設する作業は省略できる。
これらの一連の工程によって形成された鋳型11は、図6に示すように、原盤10の凸部5、連通流路12A、および連通流路2Bに対応する形状の凹部12と、凹部12における凸部5Aに対応する部分に穿設された光学フィルタ挿入孔13とを有する。
鋳型11が形成されたら、図6に示すように、凹部12における連通流路12Aおよび連通流路2Bの末端に対応する部分に夫々貫通孔7A、7Bを穿設する。貫通孔7A、7Bはカッタやパンチャを用いて穿設してもよく、レーザアブレーション加工によって穿設してもよい。
貫通孔7A、7Bを穿設したら、鋳型11を原盤10から剥離する。
(2)鋳型とクラッド基材とを密着させる工程
鋳型11を原盤10から剥離したら、図7において(1)に示すように、鋳型11の凹部12を形成した側の面をクラッド基材15と密着させる。
鋳型11を原盤10から剥離したら、図7において(1)に示すように、鋳型11の凹部12を形成した側の面をクラッド基材15と密着させる。
本発明の高分子光回路は、カプラー、ボード間の光配線や光分波器等として使用しうるので、クラッド基材15の材質は、前記用途に応じ、屈折率、光透過性等の光学的特性、機械的強度、耐熱性、鋳型との密着性、フレキシビリティー(可撓性)等を考慮して選択される。
クラッド基材15としては、可撓性を有するフィルム状の基材が好ましいが、用途によっては剛直な基材であっても良い。
可撓性のクラッド基材15としては脂環式アクリル樹脂フィルム、脂環式オレフィン樹脂フィルム、三酢酸セルロースフィルム、含フッ素樹脂フィルム等が挙げられる。クラッド基材の屈折率は、コアとの屈折率差を確保するため、1.55より小さく、好ましくは1.53より小さくすることが望ましい。
前記脂環式アクリル樹脂フィルムとしてはトリシクロデカン等の脂肪族環状炭化水素をエステル置換基に導入した、OZ−1000、OZ−1100(日立化成(株)製)等が用いられる。
また、脂環式オレフィン樹脂フィルムとしては主鎖にノルボルネン構造を有するもの、及び主鎖にノルボルネン構造を有しかつ側鎖にアルキルオキシカルボニル基(アルキル基としては炭素数1から6のものやシクロアルキル基)等の極性基をもつものが挙げられる。中でも前記のごとき主鎖にノルボルネン構造を有しかつ側鎖にアルキルオキシカルボニル基等の極性基をもつ脂環式オレフィン樹脂は、低屈折率(屈折率が1.50近辺であり、コア・クラッドの屈折率の差を確保できる)及び高い光透過性等の優れた光学的特性を有し、鋳型との密着性に優れ、さらに耐熱性に優れているので特に本発明の高分子光導波路の作製に適している。
また、前記クラッド基材15の厚さはフレキシビリティーと剛性や取り扱いの容易さ等を考慮して適切に選ばれ、一般的には0.05mm〜0.5mm程度が好ましい。
(3)コア形成用樹脂を鋳型に注入する工程、
鋳型11にクラッド基材15を密着させたら、図7において(2)に示すように貫通孔7Aから鋳型11にコア形成用樹脂を注入する。このとき、光学フィルタ挿入孔13は塞ぎ板16で塞いでおく。
鋳型11にクラッド基材15を密着させたら、図7において(2)に示すように貫通孔7Aから鋳型11にコア形成用樹脂を注入する。このとき、光学フィルタ挿入孔13は塞ぎ板16で塞いでおく。
貫通孔7Aから注入されたコア形成用樹脂は、毛細管現象により鋳型11の凹部12に充填され貫通孔7Bから排出される。コア形成用樹脂としては放射線硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂、および熱硬化性樹脂の何れも用いることができ、中でも紫外線硬化性樹脂及び熱硬化性樹脂が好ましく用いられる。
コア形成用樹脂として使用される紫外線硬化性樹脂又は熱硬化性樹脂としては、紫外線硬化性又は熱硬化性のモノマー、オリゴマー若しくはモノマーとオリゴマーの混合物が好ましく用いられる。
また、前記紫外線硬化性樹脂としてエポキシ系、ポリイミド系、アクリル系紫外線硬化性樹脂が好ましく用いられる。
コア形成用樹脂は、毛細管現象により鋳型11の凹部12とクラッド基材15との間に形成された空隙に充填させるため、十分低粘度であることが必要である。したがって、前記硬化性樹脂の粘度は、10mPa・s〜2000mPa・s、望ましくは20mPa・s〜1000mPa・s、更に好ましくは30mPa・s〜500mPa・sにするのが好ましい。
このほかに、原盤11に形成された導波路コア2に対応する凸部5が有する元の形状を高精度に再現できるように、前記コア形成用樹脂の硬化前後の体積変化が小さいことが必要である。例えば、体積が減少すると導波損失の原因になる。したがって、前記コア形成用樹脂は、体積変化ができるだけ小さいものが望ましく、10%以下、好ましくは6%以下であるのが望ましい。溶剤を用いて低粘度化することは、硬化前後の体積変化が大きいのでできれば避ける方が好ましい。
コア形成用樹脂の硬化後の体積変化(収縮)を小さくするため、前記樹脂にポリマーを添加することができる。前記ポリマーはコア形成用樹脂との相溶性を有し、かつ該樹脂の屈折率、弾性率、透過特性に悪影響を及ぼさないものが好ましい。またポリマーを添加することにより体積変化を小さくする他、粘度や硬化樹脂のガラス転移点を高度に制御できる。前記ポリマーとしては例えばアクリル系、メタクリル酸系、エポキシ系のものが用いられるが、これらに限定されるものではない。
コア形成用樹脂の硬化物の屈折率は、クラッドとなる前記クラッド基材15より大きいことが必要で、1.50以上、好ましくは1.53以上である。クラッド(以下の5)の工程におけるクラッド層を含む)とコアの屈折率の差は、0.01以上、好ましくは0.02以上である。
また、この工程において、毛細管現象によるコア形成用樹脂の凹部12への充填を促進するために、系全体を減圧(0.1〜200Pa程度)することが望ましい。
また、前記充填を促進するため、前記系の減圧に加えて、コア形成用樹脂を加熱することによって低粘度化することも有効な手段である。
(4)光学フィルタを挿入する工程
鋳型11の凹部12にコア形成用樹脂が充填されたら、図7において(3)に示すように塞ぎ版16を除去し、光学フィルタ挿入孔13に光学フィルタ3を挿入する。光学フィルタ3としては、たとえば波長選択フィルタやハーフミラーなどが使用される。
鋳型11の凹部12にコア形成用樹脂が充填されたら、図7において(3)に示すように塞ぎ版16を除去し、光学フィルタ挿入孔13に光学フィルタ3を挿入する。光学フィルタ3としては、たとえば波長選択フィルタやハーフミラーなどが使用される。
光学フィルタ挿入孔13に挿入された光学フィルタ3は、凹部12に充填されているコア形成用樹脂を押し退ける形で挿入される。また、光学フィルタ挿入孔13は導波路コア2よりも幅が広く形成され、しかも光学フィルタ3を挿入する際のガイドとして機能するから、挿入された光学フィルタ3と凹部12における導波路コア2に対応する部分との間の角度のずれが生じることが防止される。なお、前記角度のずれをより小さくするためには、光学フィルタ3の高さを高くすることが好ましい。なお、光学フィルタの高さは70μm以上有れば、実質的な角度誤差が生じることなく光学フィルタ3を挿入できる。
(5)鋳型に注入したコア形成用樹脂を硬化させる工程
光学フィルタ挿入孔13に光学フィルタ3を挿入したら、図7において(4)に示すように凹部12に充填されたコア形成用樹脂を硬化させる。
光学フィルタ挿入孔13に光学フィルタ3を挿入したら、図7において(4)に示すように凹部12に充填されたコア形成用樹脂を硬化させる。
コア形成用樹脂の硬化は、注入したコア形成用樹脂の種類に応じて熱、紫外線、放射線、電子線などが使用される。前記コア形成用樹脂として紫外線硬化性樹脂を用いたときは、紫外線ランプ、紫外線LED,UV照射装置などによって硬化させることができる。また、熱硬化性樹脂を用いたときは、鋳型11をオーブン中で加熱するなどの手段によって硬化させることができる。
コア形成用樹脂が硬化したら、図7において(5)に示すように鋳型11を除去し、(6)に示すようにクラッド基材15の導波路コア2が形成された面にクラッド層17を形成する。クラッド層17は、クラッド基材15と同様のフィルムを積層して形成しても良く、紫外線硬化性樹脂、光硬化性樹脂、熱硬化性樹脂、放射線硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂などの硬化性樹脂を流延して硬化させてもよい。但し、前記硬化性樹脂は、硬化物の屈折率が導波路コア2よりも小さく、好ましくはクラッド基材15と同様であることが好ましい。
クラッド層17が形成されたら周囲をダイシングソーなどによって切断、除去し、高分子光回路1とする。
2.実施形態2
実施形態2に係る製造方法においては、実施形態1に係る製造方法と同一の手順で鋳型11を作製し、クラッド基材15と密着させる。次いで、図8において(1)に示すように、光学フィルタ挿入孔13からレーザ光を入射してレーザアブレーション加工によってクラッド基材15に光学フィルタ挿入溝18を形成する。
実施形態2に係る製造方法においては、実施形態1に係る製造方法と同一の手順で鋳型11を作製し、クラッド基材15と密着させる。次いで、図8において(1)に示すように、光学フィルタ挿入孔13からレーザ光を入射してレーザアブレーション加工によってクラッド基材15に光学フィルタ挿入溝18を形成する。
光学フィルタ挿入溝18を形成したら、図8の(2)〜(6)に示すように、鋳型11の凹部12にコア形成用樹脂を注入し、光学フィルタ挿入孔13に光学フィルタ3を挿入した後、注入したコア形成用樹脂を硬化させる。そして鋳型11を除去してクラッド層17を形成し、周囲をダイシングソーなどによって切断、除去し、高分子光回路1とする。コア形成用樹脂を注入する工程およびそれ以降の工程は、実施形態1のところで述べたとおりである。
3.実施形態3
実施形態3に係る製造方法においても、実施形態1に係る製造方法と同一の手順で鋳型11を作製する。同時に、図9において(1)に示すように、基材20に液状の紫外線硬化性樹脂を塗布し、紫外線感光層21を形成する。そして同図の(2)に示すように光学フィルタ3を挿入する箇所についてはマスク22で紫外線を遮断した状態で紫外線感光層を紫外線で照射して硬化させる。これにより、同図の(3)に示すように、マスク22に対応する部分が未硬化部15Aであるクラッド基材15が形成される。
実施形態3に係る製造方法においても、実施形態1に係る製造方法と同一の手順で鋳型11を作製する。同時に、図9において(1)に示すように、基材20に液状の紫外線硬化性樹脂を塗布し、紫外線感光層21を形成する。そして同図の(2)に示すように光学フィルタ3を挿入する箇所についてはマスク22で紫外線を遮断した状態で紫外線感光層を紫外線で照射して硬化させる。これにより、同図の(3)に示すように、マスク22に対応する部分が未硬化部15Aであるクラッド基材15が形成される。
クラッド基材15が形成されたら、同図の(4)に示すようにクラッド基材15と鋳型11とを密着させ、同図の(5)に示すように光学フィルタ挿入孔13を塞ぎ版16で塞いで凹部12にコア形成用樹脂を注入する。
凹部12にコア形成用樹脂を注入したら、同図の(6)に示すように光学フィルタ挿入孔13から光学フィルタ3を未硬化部15Aに向かって挿入する。
光学フィルタ3を挿入したら、同図の(7)に示すようにコア形成用樹脂を硬化させて導波路コア2を形成する。このとき、未硬化部15Aも硬化してクラッド基材15と一体化する。
コア形成用樹脂が硬化したら、同図の(8)および(9)に示すように鋳型11を除去してクラッド層17を形成し、周囲をダイシングソーなどによって切断、除去して高分子光回路1とする。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
1.実施例1
高分子光回路1として、図1に示すように、導波路コア2として、分岐角度20度の分岐部に、光学フィルタ3としてポリイミド基板に誘電体多層膜を着膜した幅1mm、厚さ25μmの波長選択フィルタを挿入したWDM部2Aと、4分岐スプリッタ2Bとが並列に存在するものを形成した。導波路コア2の径は90μmとした。なお、波長選択フィルタは、790nmと850nmの2波長を分離でき、フィルタ面に垂直に入射した光の分離比は40dBである。
高分子光回路1として、図1に示すように、導波路コア2として、分岐角度20度の分岐部に、光学フィルタ3としてポリイミド基板に誘電体多層膜を着膜した幅1mm、厚さ25μmの波長選択フィルタを挿入したWDM部2Aと、4分岐スプリッタ2Bとが並列に存在するものを形成した。導波路コア2の径は90μmとした。なお、波長選択フィルタは、790nmと850nmの2波長を分離でき、フィルタ面に垂直に入射した光の分離比は40dBである。
厚膜レジストパターンとして、図2に示すように、WDM部2Aと4分岐スプリッタ2Bとに対応するパターンと、WDM部2Aに設けられた光学フィルタ3に対応する幅1.1mm、厚さ30μm、高さ90ミクロンのパターンを4個並べて両端を連通流路12A、12Bで結合したパターンを有するレジストフォトマスクを作製した。
次いで、図3に示すように、シリコン基板6(直径5インチ)の表面に厚膜レジスト(SU−8:マイクロケミカル(株)製)をスピンコート法で塗布した後、80℃でプリベークし、前記レジストフォトマスクを通して露光した後現像し、上記パターンに対応する形状の凸部5を形成した。次にシリコン基板6を120℃でポストベークし、断面が1辺90μmの正方形状の凸部5を有する原盤10を作成した。
次に、原盤10に離型剤としてノルマルヘキサンを塗布し、熱硬化性ポリジメチルシロキサン(PDMS)エラストマ(商品名:SYLGARD184、ダウコーニング・アジア社製)を流し込み、120℃で30分加熱して硬化させた。そして原盤10を剥離して凸部5に対応する形状の凹部12を有する厚さ5mmの鋳型11を形成した。
鋳型11の凹部12における連通流路12A、12Bの端部に対応する位置にパンチで貫通孔7A、7Bを穿設した。更に、NC制御ルータにより、鋳型11における凹部12が形成された側とは反対側の面から凹部12に向かって光学フィルタ挿入孔13を穿設し、図6に示すような鋳型11を作製した。凹部12によって形成される導波路構造を傷つけないためと、光学フィルタ3を挿入する際の作業性を高めるため、光学フィルタ挿入孔13は入口の直径が2mmのテーパ形状とした。鋳型11の表面エネルギーは20mN/mであり、ショア硬度は45度、自乗平均粗さRqは0.05μmであった。
また、光学フィルタ挿入孔13に対応する形状の型部材を厚膜レジスト上に配置してからPDMSエラストマを流し込み、硬化させることによっても同様の鋳型11が得られた。
次に、図7に示すように、クラッド基材15として鋳型11よりも一回り大きなアートンフィルム(JSR(株)製、ノルボルネン樹脂フィルム、膜厚188μm、屈折率1.51)と鋳型11の凹部12を形成した側の面とを接触させたところ、両者は密着した。
この状態で、粘度が300mPa・sのエポキシ系紫外線硬化性樹脂(NTT−AT社製)を貫通孔7Aから注入し、塞ぎ板16としてPETフィルムを光学フィルタ挿入孔13の入口に被せて塞いだ。この状態で貫通孔7Bから100hPaの負圧で吸い出すことにより、エポキシ系紫外線硬化性樹脂を鋳型11の凹部12とクラッド基材15とで形成される空間に満たした。エポキシ系紫外線硬化性樹脂は約3分で凹部12全体に充填された。凹部12をエポキシ系紫外線硬化性樹脂で充填後、塞ぎ板16を外し、光学フィルタ挿入孔13に光学フィルタ3を挿入した。
光学フィルタ13を挿入後、光強度が50mW/cm2の紫外線を鋳型11を通して10分間照射して凹部に充填されたエポキシ系紫外線硬化性樹脂を硬化させた。エポキシ系紫外線硬化性樹脂が硬化した後、鋳型11を剥離したところ、クラッド基材15の表面に原盤10の凸部5と同一の形状の導波路コア2が形成された。導波路コア2の屈折率は1.53であった。
次に、クラッド基材15の導波路コア2を形成した側の面に、屈折率がアートンフィルムと同一の1.51である紫外線硬化性樹脂(NTT−AT社製)を塗布し、光強度が50mW/cm2の紫外線を10分間照射して硬化させ、厚みが0.3mmのクラッド層17を形成した。最後に、ダイシングソーによって外形加工を行い、高分子光回路1とした。
得られた高分子光回路1におけるWDM部2Aの波長分離比は22dBであり、4分岐スプリッタ2Bの過剰損失は1dBであった。
2.実施形態2
図8に示すように鋳型11とクラッド基材15とを密着させた後、光学フィルタ挿入孔13からエキシマレーザ光を照射して光学フィルタ挿入孔13に沿って深さ10μmの光学フィルタ挿入溝18を加工した以外は、実施形態1と同様にして高分子光回路1を作製した。
図8に示すように鋳型11とクラッド基材15とを密着させた後、光学フィルタ挿入孔13からエキシマレーザ光を照射して光学フィルタ挿入孔13に沿って深さ10μmの光学フィルタ挿入溝18を加工した以外は、実施形態1と同様にして高分子光回路1を作製した。
作製された高分子光回路1においては、波長選択フィルタとしての性能が発揮できない光学フィルタ3の周縁部が導波路コアにかからなくなったので、WDM部2Aの波長分離は27dBと向上した。
3.実施形態3
図9に示すように、アートンフィルムからなる基材20に予め屈折率1.51の紫外線硬化性樹脂をスピンコートして厚み20μmの紫外線感光層21を形成した。そして、光学フィルタ挿入孔13に対応する部分が隠れるようにしたマスク22を通して光強度が50mW/cm2の紫外線を10分間照射して硬化させ、未硬化部15Aを有するクラッド基材15を作製した。
図9に示すように、アートンフィルムからなる基材20に予め屈折率1.51の紫外線硬化性樹脂をスピンコートして厚み20μmの紫外線感光層21を形成した。そして、光学フィルタ挿入孔13に対応する部分が隠れるようにしたマスク22を通して光強度が50mW/cm2の紫外線を10分間照射して硬化させ、未硬化部15Aを有するクラッド基材15を作製した。
作製されたクラッド基材15を鋳型11と密着させ、実施例1と同様の工程を行い、高分子光回路1を作製した。
作製された高分子光回路1においては、波長選択フィルタとしての性能が発揮できない光学フィルタ3の周縁部が導波路コアにかからなくなったので、WDM部2Aの波長分離比は28dBと向上した。
4.比較例1
光学フィルタ挿入孔を設けなかった以外は実施例1と同様の手順で導波路コア2およびクラッド4を形成した後、実施例2で使用したエキシマレーザによるレーザアブレーション加工によって光学フィルタ挿入孔13を形成した。レーザアブレーション加工によってアスペクト比が10:1の光学フィルタ挿入孔13を形成することができたが、光学フィルタ挿入孔13全体に焦げおよび角度誤差が発生した。この光学フィルタ挿入孔13に光学フィルタ3を挿入した高分子光回路1においては、WDM部2Aの波長分離比は15dBと、十分な波長分離が得られなかった。
光学フィルタ挿入孔を設けなかった以外は実施例1と同様の手順で導波路コア2およびクラッド4を形成した後、実施例2で使用したエキシマレーザによるレーザアブレーション加工によって光学フィルタ挿入孔13を形成した。レーザアブレーション加工によってアスペクト比が10:1の光学フィルタ挿入孔13を形成することができたが、光学フィルタ挿入孔13全体に焦げおよび角度誤差が発生した。この光学フィルタ挿入孔13に光学フィルタ3を挿入した高分子光回路1においては、WDM部2Aの波長分離比は15dBと、十分な波長分離が得られなかった。
5.比較例2
光学フィルタ挿入孔を設けなかった以外は実施例1と同様の手順で導波路コア2およびクラッド4を形成した後、ダイシングソーによって光学フィルタ挿入孔13を形成した。形成された光学フィルタ挿入孔13は形状は良好であったものの、4分岐スプリッタ2Bにも溝が形成された。この光学フィルタ挿入孔13に光学フィルタ3を挿入した高分子光回路1においては、WDM部2Aの波長分離は30dBと良好であったものの、4分岐スプリッタ2Bの損失は2dBと実施例1〜3に比較して悪化した。
光学フィルタ挿入孔を設けなかった以外は実施例1と同様の手順で導波路コア2およびクラッド4を形成した後、ダイシングソーによって光学フィルタ挿入孔13を形成した。形成された光学フィルタ挿入孔13は形状は良好であったものの、4分岐スプリッタ2Bにも溝が形成された。この光学フィルタ挿入孔13に光学フィルタ3を挿入した高分子光回路1においては、WDM部2Aの波長分離は30dBと良好であったものの、4分岐スプリッタ2Bの損失は2dBと実施例1〜3に比較して悪化した。
6.比較例3
実施例1において導波路コア2の径を40μmとしたところ、光学フィルタ挿入孔13に光学フィルタ3を挿入する際に角度誤差が生じた。この高分子光回路1においては、波長選択フィルタとしての性能が発揮できない光学フィルタ3の周縁部が導波路コア2にかかったので、WDM部2Aの波長分離は18dBと実施例1〜3よりも悪化した。
実施例1において導波路コア2の径を40μmとしたところ、光学フィルタ挿入孔13に光学フィルタ3を挿入する際に角度誤差が生じた。この高分子光回路1においては、波長選択フィルタとしての性能が発揮できない光学フィルタ3の周縁部が導波路コア2にかかったので、WDM部2Aの波長分離は18dBと実施例1〜3よりも悪化した。
1 高分子光回路
2 導波路コア
2A WDM部
2B 4分岐スプリッタ
3 光学フィルタ
4 クラッド層
5 凸部
6 シリコン基板
7A 貫通孔
7B 貫通孔
10 原盤
11 鋳型
13 光学フィルタ挿入孔
15 クラッド基材
15A 未硬化部
17 クラッド層
18 光学フィルタ挿入溝
20 基材
21 紫外線感光層
22 マスク
2 導波路コア
2A WDM部
2B 4分岐スプリッタ
3 光学フィルタ
4 クラッド層
5 凸部
6 シリコン基板
7A 貫通孔
7B 貫通孔
10 原盤
11 鋳型
13 光学フィルタ挿入孔
15 クラッド基材
15A 未硬化部
17 クラッド層
18 光学フィルタ挿入溝
20 基材
21 紫外線感光層
22 マスク
Claims (8)
- 導波路コアとそれを囲繞するクラッドと前記導波路コアに交差するように設けられた光学フィルタとを備える高分子光回路の製造方法であって、
導波路コアと前記導波路コアの両端部を夫々連通する連通流路とに対応する凹部を一方の面に有し、前記導波路コアと前記一方の面とは反対側の他方の面とを貫通するとともに前記導波路コアに交差するように形成され、光学フィルタが挿入される光学フィルタ挿入孔を有する鋳型を、鋳型形成用エラストマを型に注入して硬化させることにより形成し、
前記鋳型の前記一方の面に、前記クラッドの一部を構成するクラッド基材を密着させ、
前記導波路コアを形成するための硬化性樹脂であるコア形成用硬化樹脂を前記鋳型の注入孔から凹部に注入し、
前記鋳型に導波路コア成形樹脂を注入する前、または注入した後に、光学フィルタ挿入孔に光学フィルタを挿入し、
前記光学フィルタ挿入孔に光学フィルタを挿入した後に、注入したコア形成用硬化樹脂を硬化させて導波路コアを形成し、
前記導波路コアが形成されたら鋳型を除去し、
前記クラッド基材における導波路コアが形成された側の面に前記クラッドの残りの部分を形成する
高分子光回路の製造方法。 - 前記クラッド基材を前記鋳型に密着させる前、または密着させた後に、前記クラッド基材における光学フィルタ挿入孔に対応する位置に、前記光学フィルタを挿入するための光学フィルタ挿入溝を形成する請求項1に記載の高分子光回路の製造方法。
- 前記クラッド基材を前記鋳型に密着させた後に、レーザアブレーション加工により前記光学フィルタ挿入溝を形成する請求項2に記載の高分子光回路の製造方法。
- 前記光学フィルタ挿入溝の深さは10μm以上である請求項2または3に記載の高分子光回路の製造方法。
- 光学フィルタを前記光学フィルタ挿入孔に挿入した後に導波路コア成形樹脂を注入する請求項1〜4の何れか1項に記載の高分子光回路の製造方法。
- 前記クラッド基材における光学フィルタ挿入孔に対応する部分を未硬化の硬化性樹脂で形成し、
前記光学フィルタを前記光学フィルタ挿入孔から挿入し、
前記光学フィルタにおける挿入方向先端縁部が前記クラッド基材における硬化性樹脂で形成された部分に挿入されたら、前記部分を形成する硬化性樹脂を硬化させる請求項1〜5の何れか1項に記載の高分子光回路の製造方法。 - 前記クラッド基材における光学フィルタ挿入孔に対応する部分を形成する硬化性樹脂を硬化させた後に導波路コア成形樹脂を注入する請求項6に記載の高分子光回路の製造方法。
- 前記導波路コアの高さは70〜200μmに設定されている請求項1〜7の何れか1項に記載の高分子光回路の製造方法。
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- 2007-09-20 JP JP2007243319A patent/JP2009075287A/ja active Pending
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