JP2009073790A - 防蟻剤およびそれを含有する防蟻シート、ならびに防蟻シートを用いた床下の防蟻構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 ヒノキチオールを添加し又はヒノキチオールを本来含有する植物由来の精油に対し、除虫菊抽出エキスを加えると、合成樹脂の成形時の高い熱履歴によってもヒノキチオールおよび精油の蒸散消失が極度に抑制され、そして除虫菊抽出エキスと前記ヒノキチオール含有の植物精油が相乗効果を発揮して強力な防蟻作用を奏する事実を見出し、本発明を完成するに到った。
【選択図】 図1
Description
を提供することができる。
まず、本発明の防蟻剤について説明する。本発明の防蟻剤に用いられる除虫菊抽出エキスとしては、ピレスロイド(pyrethroid)を防虫有効成分とし、天然物、合成物の各種ピレスロイド誘導体のいずれを用いてもよい。ピレスロイドとは除虫菊(Chrysanthemum-cinerariaefolium-Bocquilon)に含まれる有効成分の総称であって、天然に産するピレスロイドは菊酸を共通構造にもっており、ピレトリンI(PyrethrinI)とピレトリンII(PyrethrinII)を主成分とする6種の化合物の混合物である。また、微量成分のピレスロイドとしてシネリンI、シネリンIIあるいはジャスモリンI、ジャスモリンIIも含まれ、いずれもピレトリンと同様な作用を持つことが知られている。一方、ピレトリンの誘導体は合成ピレスロイドと呼ばれ、アレスリンなどが知られている。ピレスロイド類は昆虫類・両生類・爬虫類の神経細胞上の受容体に作用し、脱分極を生じさせる神経毒であるが、哺乳類・鳥類の受容体に対する作用は弱いので、安全性の高い防虫剤として知られている。初期の合成ピレスロイドには菊酸構造が存在したが、現在の合成ピレスロイドには共通化学構造はもはや存在しない。本発明では、ピレトリンIおよび/またはピレトリンIIを10w%以上含有する除虫菊抽出エキスを用いるのが、防蟻効果の点から好ましい。
まず、乳剤とする場合には、通常、有効成分を乳化のための乳化剤と混合し、これに有機溶媒と水を加えて製剤化する。また、乳剤を塗布処理した場合の被膜形成のために、乳剤には必要に応じて樹脂エマルションを添加してもよい。乳剤において、有効成分を溶解させる有機溶媒としては、疎水性有機溶媒が好適に用いられるが、例えば、低級アルコール類のような極性の高い有機溶媒では、O/W型(oil-water)の安定なエマルション形成が困難となり、さらに乳化安定性に問題があるので好ましくない。
1)脂肪族炭化水素系n−ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン等
2)芳香族炭化水素系キシレン、トルエン、エチルベンゼン、クメン等
3)エステル系酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸n−ブチル、酢酸アミル等
4)アルコール系イソブタノール、sec−ブタノール、2−エチル−1−ブタノール、イソペンタノール、1−ヘプタノール、1−オクタノール、ネオペンチルアルコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(MDG)等
5)ケトン系アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン等
これらの有機溶媒は単独で、あるいは2種以上を混合して用いることができる。
次に、油剤とする場合には、乳剤で用いる有機溶媒の他、灯油、重油、スピンドル油等の炭化水素溶媒を用いて製剤化する。油剤は、製剤を100重量部としたとき、有効成分の合計量が1〜10重量部、炭化水素溶媒が50〜99重量部程度である。
また、水溶剤とする場合には、通常、有効成分を例えばアルコール系の有機溶媒に溶解したものを水に溶解させて製剤化する。水溶剤は、製剤を100重量部としたとき、有効成分の合計量が1〜10重量部、残部を有機溶媒と水とするのが好ましい。また、水和剤とする場合は、通常、有効成分を乳化剤や増粘剤等と混合することにより製剤化する。水和剤は、製剤を100重量部としたとき、有効成分の合計量が5〜40重量部、乳化剤または増粘剤が10〜40重量部程度である。
そして、粉剤とする場合には、通常、有効成分を固体希釈剤(例えばカオリン、クレー、ベントナイト、CMC、二酸化チタン、ホワイトカーボン、タルク、木粉、澱粉、デキストリン、シリカゲル粉末、水酸化カルシウムなどのカルシウム塩、無水石膏等)で希釈し、混合粉砕して製剤化する。また、粒剤とする場合には、前記の粉剤を成形して製剤化する。粉剤、粒剤のような固形剤は、製剤を100重量部としたとき、有効成分の合計量が0.1〜5重量部、固体希釈剤が95〜99.9重量部程度である。
更に、エアゾール剤とする場合には、通常、油剤と同じように、有効成分を揮発性の強い有機溶媒に溶解して製剤化する。使用時には、これを噴霧部と弁を備えた気密容器に加圧充填して用いる。
次に、本発明の防蟻シートについて説明する。本発明の防蟻シートは、前記の防蟻剤を0.005〜1.0w%、好ましくは0.01〜0.1w%の割合で含有して構成されている。シートは、一般に防蟻や防湿の目的で、建築物やブロック塀の基礎部分や建築物の床パネル下等に敷設されている、不織布等の繊維製や合成樹脂製等のいずれのシートも好適に用いることができる。また、シートに防蟻剤を含有させる方法としては、シート製造時に防蟻剤を混合する方法や、シートに防蟻剤を含浸あるいは塗布する方法等が挙げられる。なお、防蟻シートに使用する合成樹脂としては、ポリエステル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂が好ましい。防蟻合成樹脂シートを製造する場合には、本発明の防蟻剤を混合したマスターバッチと樹脂との配合割合を1:10〜1:30とするのが好ましい。また、防蟻合成樹脂シートの成形は、Tダイ押出し成形法やインフレーション成形法等の通常の合成樹脂シート成形法を採用することができる。
次に、本発明の建築物の基礎部分における防蟻構造を図1から図8に示す図面に基づいて説明する。本実施形態では、まず、土またはスラグなどの土壌3の中に基礎2を埋設する。この基礎2としては、布基礎やベタ基礎、ブロック塀などがある。
下記の有効成分および溶剤を混合、撹拌することにより防蟻剤製剤を調製した。
「本発明品」
除虫菊抽出エキス 0.5重量部
ヒバ油(ヒノキチオール2w%含有) 10重量部
ケロシン 89.5重量部
「比較製剤例1」
除虫菊抽出エキス 0.5重量部
ケロシン 99.5重量部
「比較製剤例2」
ヒバ油(ヒノキチオール2w%含有) 10重量部
ケロシン 90重量部
「比較製剤例3」
ヒバ油(ヒノキチオール2w%含有) 20重量部
ケロシン 80重量部
「比較製剤例4」
ヒバ油(ヒノキチオール2w%含有) 50重量部
ケロシン 50重量部
1×1×2cmの供試木材片(アカマツ辺材)に刷毛を用いて製剤例1および比較製剤例1〜4の製剤を100g/m2ずつ塗布し、室温で5日間放置後、60℃で48時間乾燥した。得られた木材片を、規定のアクリル製容器(容器底部を石膏で固めたもので、予め水を含ませた脱脂綿の上に静置してあるもの)の底部中心部にこれを1個ずつ(合計2個)入れ、さらにイエシロアリの職蟻150頭と兵蟻15頭を投入し、28℃の暗所に5日間静置した後の供試木材片の食害の有無を目視で観察した。その結果を以下の〔表1〕に示す。
2 基礎
3 土壌
4 充填剤
5 ガラス粉
6 シート接続テープ
7 目張りテープ材
8 土台コンクリート
9 捨てコンクリート
Claims (15)
- ヒノキチオールを添加し又はヒノキチオールを含有する植物由来の精油に対し、
除虫菊からの抽出エキスを付加して、熱履歴による前記ヒノキチオールおよび精油の揮発を抑制したことを特徴とする防蟻剤。 - ヒノキチオールを含有する精油として、タイワンヒノキ、ニオイヒバ、ネズコ、アスナロ、オニヒバなどのヒノキ科植物やビャクシンに由来する精油を単独または複合して用いることを特徴とする請求項1記載の防蟻剤。
- 除虫菊抽出エキスが、ピレトリンIまたはピレトリンIIを主成分とする化合物であることを特徴とする請求項1または2記載の防蟻剤。
- 除虫菊抽出エキスと、ヒノキチオールを添加し又はヒノキチオールを含有する精油との配合割合が、重量比として1:80〜1:1であることを特徴とする請求項1〜3の何れか一つに記載の防蟻剤。
- ヒノキチオールを添加し又はヒノキチオールを含有する植物由来の精油に対し除虫菊抽出エキスを付加して得られた防蟻剤を、合成樹脂材料中に0.005〜1.0w%混合してシート状に成形して成ることを特徴とする防蟻シート。
- シート基材と防蟻剤とが、シート製造時に防蟻剤を混合されるか、あるいは、シートに防蟻剤を含浸あるいは塗布して作製されていることを特徴とする請求項5記載の防蟻シート。
- 建築物の基礎部分における防蟻構造であって、
土またはスラグなどの土壌中に基礎が埋設されている一方、当該土壌上には、ヒノキチオールを添加し又はヒノキチオールを含有する植物由来の精油に対し、除虫菊抽出エキスを付加して得られた防蟻剤を0.005〜1.0w%含有する合成樹脂製の防蟻シートを敷設し、この防蟻シートと前記基礎の基部側面との境界における接合部分には、充填剤を充填し、当該防蟻シートの端縁が密閉状態に固定したことを特徴とする床下の防蟻構造。 - 防蟻シートと前記基礎の基部側面との境界における接合部分に、ガラス粉を配設し、配設されたガラス粉の上に充填剤を充填したことを特徴とする請求項7記載の床下の防蟻構造。
- 基礎の基部側面に沿って掘成された掘削溝に防蟻シートの端縁が折り込まれ、この掘削溝に折り込まれた防蟻シートの端縁部と基礎側面との間に充填剤を充填して封止したことを特徴とする請求項7または8記載の床下の防蟻構造。
- 基礎の基部側面に沿って掘成された掘削溝に充填剤が充填され、掘削溝に充填された充填剤の上に防蟻シートの端縁を載置し、かつ、これら基礎と防蟻シートとの境界における接合部分には目張りテープ材を貼着して封止したことを特徴とする請求項7〜9の何れか一項に記載の床下の防蟻構造。
- 防蟻シートおよび目張りテープ材の上にスラブコンクリートを打設したことを特徴とする請求項10記載の床下の防蟻構造。
- 防蟻シートの上にさらに吸湿シートを敷設する請求項11記載の床下の防蟻構造。
- 充填剤に少なくともガラス粉が混入されていることを特徴とする請求項7〜12の何れか一項に記載の床下の防蟻構造。
- 土またはスラグなどの土壌中に基礎が埋設されている一方、当該土壌上には、ヒノキチオールを添加し又はヒノキチオールを含有する植物由来の精油に対し、除虫菊抽出エキスを付加して得られた防蟻剤を0.005〜1.0w%含有する合成樹脂製の防蟻シートを敷設し、
この防蟻シートの上には捨てコンクリートを打設し、さらに、その上にコンクリート製のベタ基礎を設置し、前記防蟻シートを密閉状態に固定したことを特徴とする床下の防蟻構造。 - 防蟻シートの上にさらに吸湿シートを敷設し、この吸湿シートの上に捨てコンクリートを打設することを特徴とする請求項14記載の床下の防蟻構造。
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JPH10286914A (ja) * | 1997-04-14 | 1998-10-27 | Wakayama Pref Gov | 防虫シート及びその製造方法 |
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JP3239207B2 (ja) * | 1997-09-05 | 2001-12-17 | 大日本除蟲菊株式会社 | 防蟻・防腐処理剤 |
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