JP2009069348A - 眼用レンズモノマー、眼用レンズ用ポリマーおよび眼用レンズ。 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、透明性、酸素透過性および変形回復性に優れる、特にコンタクトレンズや眼内レンズなどの眼用レンズに好適な眼用レンズモノマー、眼用レンズ用ポリマーおよび眼用レンズに関するものである。
従来、眼用レンズ用ポリマーとして、ケイ素基を有するモノマーと親水性モノマーを共重合して得られるポリマーが知られている(例えば特許文献1)。
例えば、メタクリル酸3−トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピルをN,N−ジメチルアクリルアミドと共重合させて得られるポリマーが知られている。このポリマーは高酸素透過性という特長を有するが、弾性率が高いために例えばコンタクトレンズとして使用した場合に装用感が悪いという欠点があった。
また、下記式(a)で表されるシロキサニルモノマー
また、下記式(a)で表されるシロキサニルモノマー
とN,N−ジメチルアクリルアミドを共重合させて得られるポリマーが知られている。このポリマーは低弾性率ではあるが、酸素透過性に劣るという欠点があった。
さらにシロキサニルモノマー中にアミン性の窒素原子を含む場合、高温煮沸滅菌条件下でシロキサニル基の加水分解を誘起する場合があり、好ましくなかった。
特開昭55−015110号公報
さらにシロキサニルモノマー中にアミン性の窒素原子を含む場合、高温煮沸滅菌条件下でシロキサニル基の加水分解を誘起する場合があり、好ましくなかった。
上記問題に鑑み、本発明は、透明性、酸素透過性、変形回復性に優れた眼用レンズを得ることが可能な眼用レンズ用モノマー、眼用レンズ用ポリマーを提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明の眼用レンズ用モノマーおよび眼用レンズ用ポリマーは、下記の構成を有する。
(1)下記式(X)で表される眼用レンズ用モノマー。
(1)下記式(X)で表される眼用レンズ用モノマー。
R1は水素またはメチル基、R2はアルキル基(l=0もしくは1)、R3はシロキサニル基を表す。
なお、本明細書中において、シロキサニルとは少なくとも1つのSi−O−Si結合を含有する構造を表す。したがって例えばシロキサニル基とは少なくとも1つのSi−O−Si結合を含有する基を、シロキサニル化合物とは少なくとも1つのSi−O−Si結合を含有する化合物を表す。
(2)上記(1)項に記載の眼用レンズ用モノマーを重合成分として含むことを特徴とする眼用レンズ用ポリマー。
(3)上記(2)項に記載の眼用レンズ用ポリマーを用いてなる眼用レンズ。
なお、本明細書中において、シロキサニルとは少なくとも1つのSi−O−Si結合を含有する構造を表す。したがって例えばシロキサニル基とは少なくとも1つのSi−O−Si結合を含有する基を、シロキサニル化合物とは少なくとも1つのSi−O−Si結合を含有する化合物を表す。
(2)上記(1)項に記載の眼用レンズ用モノマーを重合成分として含むことを特徴とする眼用レンズ用ポリマー。
(3)上記(2)項に記載の眼用レンズ用ポリマーを用いてなる眼用レンズ。
本発明によって、透明性、酸素透過性、変形回復性に優れたポリマーが得られる。
以下、上記式(X)における各置換基について説明する。
式(X)中のR3は下記式(Y)で表される。
m、nはそれぞれ0以上10以下の整数を表す。
式(Y)中のシロキサニル基Aとしては、下記式(Z)で表される置換基が原料の入手しやすさや合成の容易さの点で好ましく使用される。
式(Y)中のシロキサニル基Aとしては、下記式(Z)で表される置換基が原料の入手しやすさや合成の容易さの点で好ましく使用される。
[式(Z)中、A1〜A11はそれぞれが互いに独立にH、置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換されていてもよい炭素数6〜20のアリール基のいずれかを表す。kは0〜200の整数を表し、a、b、cはそれぞれが互いに独立に0〜20の整数を表す。ただしk=a=b=c=0の場合は除く。]
式(Z)中、A1〜A11はそれぞれが独立にH、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基などのアルキル基、フェニル基、ナフチル基などのアリール基を挙げることができる。これらの中で最も好ましいのはメチル基である。
式(Z)中、A1〜A11はそれぞれが独立にH、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基などのアルキル基、フェニル基、ナフチル基などのアリール基を挙げることができる。これらの中で最も好ましいのはメチル基である。
式(Z)中、kは0〜200の整数であるが、好ましくは0〜50,さらに好ましくは0〜10である。a、b、cはそれぞれが互いに独立に0〜20の整数であるが、好ましくはa、b、cがそれぞれ互いに独立に0〜5の整数である。k=0の場合、好ましいa、b、cの組み合わせはa=b=c=1またはa=b=1かつc=0である。
式(Z)で表される置換基の中で、工業的に比較的安価に入手できることから特に好適なものはトリス(トリメチルシロキシ)シリル基、ビス(トリメチルシロキシ)メチルシリル基、トリメチルシロキシジメチルシリル基、ポリジメチルシロキサン基、ポリメチルシロキサン基、ポリ−コ−メチルシロキサン−ジメチルシロキサン基などである。
本発明のポリマーは一般式(X)で表されるモノマーを単独で重合して得ることも、他のモノマーと共重合して得ることも可能である。共重合する場合の他のモノマーとしては、共重合可能であれば特に制限はなく、(メタ)アクリロイル基、スチリル基、アリル基、ビニル基、および他の重合可能な炭素・炭素不飽和結合を有するモノマーを使用することができる。
以下、その例をいくつか挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、ビニル安息香酸、メチル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート類、N,N−ジメチルアクリルアミドなどの(メタ)アクリルアミド類、スチレンなどの芳香族ビニルモノマーなどである。
本発明の眼用レンズ用ポリマーにおいては、良好な機械物性が得られ、消毒液や洗浄液に対する良好な耐性を得るためには、1分子中に2個以上の共重合可能な炭素炭素不飽和結合を有するモノマーを共重合成分として用いることが好ましい。1分子中に2個以上の共重合可能な炭素炭素不飽和結合を有するモノマーの共重合比率は0.1重量%以上が好ましく、0.3%重量以上がより好ましく、0.5重量%以上がさらに好ましい。ただし、本発明の眼用レンズ用モノマー単独で重合する場合はその重量を、また他の眼用レンズ用モノマーと共重合する場合は本発明の眼用レンズ用モノマーと共重合モノマーの合計重量を100重量%とし、以下も同様である。
本発明の眼用レンズ用ポリマーにおける一般式(X)で表される眼用レンズ用モノマーの(共)重合比率は、他にケイ素基を含むモノマーを含有しない場合、高酸素透過性と高親水性を両立させるという点から30〜100重量%、より好ましくは40〜99重量%、最も好ましくは50〜95重量%である。また酸素透過性モノマーとの共重合においては、本発明のモノマーとの合計が上記の共重合比率の範囲にあることが好ましい。更にこの場合、シロキサニル基の割合が高くなりすぎると水濡れ性と酸素透過性のバランスを確保することが困難となるため、ポリマー中の、エステル基を有する置換基/シロキサニル基数比を一定値以上にすることが重要である。すなわちポリマー中のエステル基を有する置換基/シロキサニル基数比が0.1から1の範囲内にあることが好ましいが、特に0.3から0.7の範囲内であると好適に用いられる。
本発明の眼用レンズ用ポリマーは、良好なレンズの変形回復性が得られることから、一般式(X)で表される眼用レンズ用モノマーとケイ素数4以上の直鎖状シロキサン部位を有するモノマーとを共重合することが好ましい。より好ましくは下記式(b)で表されるmPDMSが共重合モノマーとして使用される。
本発明の眼用レンズ用ポリマーは、紫外線吸収剤や色素、着色剤などを含むものでもよい。また重合性基を有する紫外線吸収剤や色素、着色剤を共重合した形で含有してもよい。
本発明のポリマーを重合により得る際は、重合をしやすくするために過酸化物やアゾ化合物に代表される熱重合開始剤や、光重合開始剤を添加することが好ましい。熱重合を行う場合は、所望の反応温度に対して最適な分解特性を有するものを選択して使用する。一般的には10時間半減期温度が40℃〜120℃のアゾ系開始剤および過酸化物系開始剤が好適である。光重合開始剤としてはカルボニル化合物、過酸化物、アゾ化合物、硫黄化合物、ハロゲン化合物、および金属塩などを挙げることができる。これらの重合開始剤は単独または混合して用いられ、およそ1重量%くらいまでの量で使用される。
本発明の眼用レンズ用ポリマーを重合により得る際は、重合溶媒を使用することができる。溶媒としては有機系、無機系の各種溶媒が適用可能であり特に制限はない。例を挙げれば、水、メタノール、エタノール、プロパノール、2−プロパノール、ブタノール、tert−ブタノールなどの各種アルコール系溶剤、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの各種芳香族炭化水素系溶剤、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、石油エーテル、ケロシン、リグロイン、パラフィンなどの各種脂肪族炭化水素系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどの各種ケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、安息香酸メチル、フタル酸ジオクチルなどの各種エステル系溶剤、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジアルキルエーテル、ジエチレングリコールジアルキルエーテル、トリエチレングリコールジアルキルエーテル、テトラエチレングリコールジアルキルエーテル、ポリエチレングリコールジアルキルエーテルなどの各種グリコールエーテル系溶剤であり、これらは単独あるいは混合して使用することができる。
本発明の眼用レンズ用ポリマーの重合方法、成形方法としては公知の方法を使用することができる。たとえば一旦、円柱状や板状に成形し、これを切削加工等によって所望の形状に加工する方法、モールド重合法、およびスピンキャスト法などである。
一例として本発明の眼用レンズ用ポリマー成形体をモールド重合法により得る場合について、次に説明する。
眼用レンズ用モノマー組成物を一定の形状を有する2枚のモールドの空隙に充填する。そして光重合あるいは熱重合を行ってモールドの形状に賦型する。モールドは樹脂、ガラス、セラミックス、金属等で製作されたものを用いることができるが、光重合の場合は光学的に透明な素材が用いられ、通常は樹脂またはガラスが使用される。眼用レンズ用ポリマー成形体を製造する場合には、多くの場合、2枚の対向するモールドにより空隙が形成されており、その空隙に眼用レンズ用モノマー組成物が充填されるが、モールドの形状や眼用レンズ用モノマーの性状によっては眼用レンズ用ポリマー成形体に一定の厚みを与え、かつ、充填したモノマー組成物の液もれを防止する目的を有するガスケットを併用してもよい。続いて、空隙に眼用レンズ用モノマー組成物を充填したモールドは、紫外線のような活性光線を照射されるか、オーブンや液槽に入れて加熱されて、眼用レンズ用モノマーを重合する。光重合の後に加熱重合したり、逆に加熱重合後に光重合するなど、両者を併用する方法もあり得る。光重合の場合は、例えば水銀ランプや捕虫灯を光源とする紫外線を多く含む光を短時間(通常は1時間以下)照射するのが一般的である。熱重合を行う場合には、室温付近から徐々に昇温し、数時間ないし数十時間かけて60℃〜200℃の温度まで高めていく条件が、ポリマーの光学的な均一性、品位を保持し、かつ再現性を高めるために好まれる。
本発明の眼用レンズ用ポリマーを用いてなる成形品は、種々の方法で改質処理を行うことができる。表面の水濡れ性を向上させる改質処理を行うことが好ましい。
具体的な改質方法としては、電磁波(光を含む)照射、プラズマ照射、蒸着およびスパッタリングなどのケミカルベーパーデポジション処理、加熱、塩基処理、酸処理、その他適当な表面処理剤の使用、およびこれらの組み合わせを挙げることができる。これらの改質手段の中で、簡便であり好ましいのは塩基処理および酸処理である。
塩基処理または酸処理の一例としては、成形品を塩基性または酸性溶液に接触させる方法、成形品を塩基性または酸性ガスに接触させる方法等が挙げられる。そのより具体的な方法としては、例えば塩基性または酸性溶液に成形品を浸漬する方法、成形品に塩基性または酸性溶液または塩基性または酸性ガスを噴霧する方法、成形品に塩基性または酸性溶液をヘラ、刷毛等で塗布する方法、成形品に塩基性または酸性溶液をスピンコート法やディップコート法などで塗布する方法を挙げることができる。最も簡便に大きな改質効果が得られる方法は、成形品を塩基性または酸性溶液に浸漬する方法である。
成形品を塩基性または酸性溶液に浸漬する際の温度は特に限定されないが、通常−50℃〜300℃程度の温度範囲内で行われる。作業性を考えれば−10℃〜150℃の温度範囲がより好ましく、−5℃〜60℃が最も好ましい。成形品を塩基性または酸性溶液に浸漬する時間については、温度によっても最適時間は変化するが、一般には100時間以内が好ましく、24時間以内がより好ましく、12時間以内が最も好ましい。接触時間が長すぎると、作業性および生産性が悪くなるばかりでなく、酸素透過性の低下や機械物性の低下などの悪影響が出る場合がある。
塩基処理に使用する塩基としてはアルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、各種炭酸塩、各種ホウ酸塩、各種リン酸塩、アンモニア、各種アンモニウム塩、各種アミン類、およびポリエチレンイミン、ポリビニルアミン等の高分子量塩基などが使用可能である。これらの中では、低価格であることおよび処理効果が大きいことからアルカリ金属水酸化物が最も好ましい。
酸処理に使用する酸としては硫酸、リン酸、塩酸、硝酸などの各種無機酸、酢酸、ギ酸、安息香酸、フェノールなどの各種有機酸、およびポリアクリル酸、ポリスチレンスルホン酸などの各種高分子量酸が使用可能である。これらの中では、処理効果が大きく他の物性への悪影響が少ないことから高分子量酸が最も好ましい。
塩基処理または酸処理に用いる塩基性または酸性溶液の溶媒としては、無機、有機の各種溶媒が使用できる。例えば、水、メタノール、エタノール、プロパノール、2−プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリンなどの各種アルコール類、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの各種芳香族炭化水素、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、石油エーテル、ケロシン、リグロイン、パラフィンなどの各種脂肪族炭化水素、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどの各種ケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、安息香酸メチル、フタル酸ジオクチルなどの各種エステル類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジアルキルエーテル、ジエチレングリコールジアルキルエーテル、トリエチレングリコールジアルキルエーテル、テトラエチレングリコールジアルキルエーテル、ポリエチレングリコールジアルキルエーテルなどの各種エーテル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルイミダゾリジノン、ヘキサメチルホスホリックトリアミド、ジメチルスルホキシドなどの各種非プロトン性極性溶媒、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン、トリクロロエタン、トリクロロエチレンなどのハロゲン系溶媒、およびフロン系溶媒などである。中でも経済性、取り扱いの簡便さ、および化学的安定性などの点で水が最も好ましい。溶媒としては、2種類以上の物質の混合物も使用可能である。
塩基処理または酸処理において使用される塩基性または酸性溶液は、塩基性または酸性物質および溶媒以外の成分を含んでいてもよい。塩基処理または酸処理を行った眼用レンズ用ポリマー成形品は、塩基処理または酸処理の後、洗浄により塩基性または酸性物質を除くことができる。
洗浄溶媒としては、無機、有機の各種溶媒が使用できる。例えば、水、メタノール、エタノール、プロパノール、2−プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリンなどの各種アルコール類、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの各種芳香族炭化水素、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、石油エーテル、ケロシン、リグロイン、パラフィンなどの各種脂肪族炭化水素、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどの各種ケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、安息香酸メチル、フタル酸ジオクチルなどの各種エステル類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジアルキルエーテル、ジエチレングリコールジアルキルエーテル、トリエチレングリコールジアルキルエーテル、テトラエチレングリコールジアルキルエーテル、ポリエチレングリコールジアルキルエーテルなどの各種エーテル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルイミダゾリジノン、ヘキサメチルホスホリックトリアミド、ジメチルスルホキシドなどの各種非プロトン性極性溶媒、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン、トリクロロエタン、トリクロロエチレンなどのハロゲン系溶媒、およびフロン系溶媒などである。
洗浄溶媒としては、2種類以上の溶媒の混合物を使用することもできる。洗浄溶媒は、溶媒以外の成分、例えば無機塩類、界面活性剤、および洗浄剤を含有してもよい。
該改質処理は、成形品全体に対して行ってもよく、例えば表面のみに行うなど成形品の一部のみに行ってもよい。表面のみに改質処理を行った場合には成形品全体の性質を大きく変えることなく表面の水濡れ性のみを向上させることができる。
本発明の眼用レンズ用ポリマーの酸素透過性は、酸素透過係数が75×10−11(cm2/sec)mLO2/(mL・hPa)以上が好ましい。本発明のポリマーは、コンタクトレンズ、眼内レンズ、人工角膜などの眼用レンズとして特に好適である。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが本発明はこれによって限定されるものではない。
[測定方法]本実施例における各種測定は、以下に示す方法で行った。
(1)プロトン核磁気共鳴スペクトル
日本電子社製のEX270型を用いて測定した。溶媒にクロロホルム−dを使用した。
(2)酸素透過係数
理化精機工業社製の製科研式フィルム酸素透過率計を用いて35℃の水中にてコンタクトレンズ状サンプルの酸素透過係数を測定した。
(3)変形回復性
(株)サン科学製レオメータRD-300を用い、チャック間距離を5mmとして測定サンプルを把持した。測定サンプルを100mm/minの速さで10mm引っ張り、続いて100mm/minの速さで戻した。さらに続けて同じ操作を2回繰り返した。サンプルの形状性が悪いと、1回目の引っ張り、戻しの操作に続いて2回目の引っ張り操作を行っても、サンプルの長さが元に比べて伸張している。そのため、2回目の引っ張りの初期の段階では応力がゼロのままで、引っ張り距離が長くなって始めて応力が検出されることになる。さらに第2回目の引っ張り、戻し操作に続いて行う3回目の引っ張り操作の際には、さらに応力がゼロのままの時間が長くなり、2回目の引っ張り操作よりもさらに引っ張り距離が長くなって始めて応力が検出される。本測定においては、3回目の引っ張りを開始してから、応力が検出され始めるまでの時間を測定し、これを「応力ゼロ時間」とした。
また「応力ゼロ時間」が3秒未満の評価結果を○、3秒以上5秒未満の結果を△、5秒以上の結果を×として、評価を行った。
[測定方法]本実施例における各種測定は、以下に示す方法で行った。
(1)プロトン核磁気共鳴スペクトル
日本電子社製のEX270型を用いて測定した。溶媒にクロロホルム−dを使用した。
(2)酸素透過係数
理化精機工業社製の製科研式フィルム酸素透過率計を用いて35℃の水中にてコンタクトレンズ状サンプルの酸素透過係数を測定した。
(3)変形回復性
(株)サン科学製レオメータRD-300を用い、チャック間距離を5mmとして測定サンプルを把持した。測定サンプルを100mm/minの速さで10mm引っ張り、続いて100mm/minの速さで戻した。さらに続けて同じ操作を2回繰り返した。サンプルの形状性が悪いと、1回目の引っ張り、戻しの操作に続いて2回目の引っ張り操作を行っても、サンプルの長さが元に比べて伸張している。そのため、2回目の引っ張りの初期の段階では応力がゼロのままで、引っ張り距離が長くなって始めて応力が検出されることになる。さらに第2回目の引っ張り、戻し操作に続いて行う3回目の引っ張り操作の際には、さらに応力がゼロのままの時間が長くなり、2回目の引っ張り操作よりもさらに引っ張り距離が長くなって始めて応力が検出される。本測定においては、3回目の引っ張りを開始してから、応力が検出され始めるまでの時間を測定し、これを「応力ゼロ時間」とした。
また「応力ゼロ時間」が3秒未満の評価結果を○、3秒以上5秒未満の結果を△、5秒以上の結果を×として、評価を行った。
[実施例1]
・モノマーの合成
200mLのナスフラスコにトリメチロールプロパンジアリルエーテルメタクリレート5.64g(0.02mol)、トルエン80mL、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール(BHT)8.8mg(0.04mmol)、塩化白金酸(IV)6水和物20.8mg(0.04mmol)を加え、トリクロロシラン5.4g(0.04mol)を滴下し、室温で8時間攪拌した。反応溶液の溶媒を減圧下で留去し、得られた液体を減圧蒸留により精製し透明の液体を得た。この液体を採りトリメチルメトキシシラン11.86gと混合して得られた溶液を、0℃で水40mL、メタノール20mL、ヘキサン20mLの混合溶液に滴下し、室温で16時間攪拌した。反応溶液の水層を捨てた後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で3回、飽和食塩水で1回洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥、減圧下で溶媒を留去した。得られた液体を減圧蒸留により精製し、透明の液体を得た。
この液体のプロトン核磁気共鳴スペクトルを測定し分析した結果、下記式(M1)で表されるモノマーであることを確認した。
・モノマーの合成
200mLのナスフラスコにトリメチロールプロパンジアリルエーテルメタクリレート5.64g(0.02mol)、トルエン80mL、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール(BHT)8.8mg(0.04mmol)、塩化白金酸(IV)6水和物20.8mg(0.04mmol)を加え、トリクロロシラン5.4g(0.04mol)を滴下し、室温で8時間攪拌した。反応溶液の溶媒を減圧下で留去し、得られた液体を減圧蒸留により精製し透明の液体を得た。この液体を採りトリメチルメトキシシラン11.86gと混合して得られた溶液を、0℃で水40mL、メタノール20mL、ヘキサン20mLの混合溶液に滴下し、室温で16時間攪拌した。反応溶液の水層を捨てた後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で3回、飽和食塩水で1回洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥、減圧下で溶媒を留去した。得られた液体を減圧蒸留により精製し、透明の液体を得た。
この液体のプロトン核磁気共鳴スペクトルを測定し分析した結果、下記式(M1)で表されるモノマーであることを確認した。
・重合
上で得た式(M1)で表されるモノマー化合物(65重量部)、N,N−ジメチルアクリルアミド(35重量部)、ジメタクリル酸トリエチレングリコール(1重量部)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(10重量部)、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン(商品名:ダロキュア1173、CIBA社、0.5重量部)を混合し攪拌した。均一で透明なモノマー混合物が得られた。このモノマー混合物をアルゴン雰囲気下で脱気した。窒素雰囲気下のグローブボックス中で透明樹脂(ポリ4−メチルペンテン−1)製のコンタクトレンズ用モールドに注入し、補虫灯を用いて光照射(1mW/cm2、10分間)して重合し、コンタクトレンズ状サンプルを得た。
上で得た式(M1)で表されるモノマー化合物(65重量部)、N,N−ジメチルアクリルアミド(35重量部)、ジメタクリル酸トリエチレングリコール(1重量部)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(10重量部)、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン(商品名:ダロキュア1173、CIBA社、0.5重量部)を混合し攪拌した。均一で透明なモノマー混合物が得られた。このモノマー混合物をアルゴン雰囲気下で脱気した。窒素雰囲気下のグローブボックス中で透明樹脂(ポリ4−メチルペンテン−1)製のコンタクトレンズ用モールドに注入し、補虫灯を用いて光照射(1mW/cm2、10分間)して重合し、コンタクトレンズ状サンプルを得た。
得られたレンズ状サンプルを水和処理した後、15重量%ポリアクリル酸(平均分子量25,000)水溶液(pH2.3)に40℃/8時間浸漬させた。改質処理後、純水に浸漬し、超音波洗浄機による洗浄(5分間)を2回行った。純粋は洗浄が終了するたびに交換した。
得られたサンプルは透明で濁りがなかった。このサンプルを水和処理したときの酸素透過係数は87(cm2/sec)[mLO2/(mL/hPa)]であり、高い酸素透過性を有していた。また変形回復性は△であった。
[実施例2]
・重合
実施例1で得た式(M1)で表される化合物(35重量部)、片末端にメタクリル基を有する分子量1000のポリジメチルシロキサン(30重量部)を用いた以外は、実施例1と同様にしてコンタクトレンズ状サンプルを得た。このサンプルの酸素透過係数は95(cm2/sec)[mLO2/(mL/hPa)]であった。得られたサンプルは透明で濁りがなく。変形回復性は○であり、実施例1よりも良好であった。
[実施例2]
・重合
実施例1で得た式(M1)で表される化合物(35重量部)、片末端にメタクリル基を有する分子量1000のポリジメチルシロキサン(30重量部)を用いた以外は、実施例1と同様にしてコンタクトレンズ状サンプルを得た。このサンプルの酸素透過係数は95(cm2/sec)[mLO2/(mL/hPa)]であった。得られたサンプルは透明で濁りがなく。変形回復性は○であり、実施例1よりも良好であった。
[比較例1]
・モノマーの合成
(1)滴下ロート、ジムロートコンデンサおよび撹拌翼を備えた500mL三ツ口フラスコにジエチレングリコール(100g)および水酸化カリウム(62.2g)を入れ、室温で1時間程度撹拌した。滴下ロートに臭化アリル(114g)を入れ、撹拌しながら滴下した。滴下終了後、撹拌しながら60℃で3時間反応させた。ジエチルエーテル(250mL)を加えた後、塩をろ過で除き、ロータリーバキュームエバポレーターにより溶媒成分を留去した。再び塩が析出したので再度ろ過で除いた。減圧蒸留により精製し、ジエチレングリコールモノアリルエーテルを無色透明液体として得た。
(2)滴下ロートおよび撹拌翼を備えた300mL三ツ口フラスコに、上記(1)で合成したジエチレングリコールモノアリルエーテル(20g)、トリエチルアミン(20.7g)およびテトラヒドロフラン(30mL)を入れた。この三ツ口フラスコを氷浴に浸漬し、撹拌しているところへ、メタクリル酸クロリド(21.4g)を約5分間かけて滴下した。滴下終了後、室温で3時間撹拌を行った。析出した塩を吸引ろ過で除いた。ろ液に酢酸エチル(100mL)を加え、分液ロートに入れ、食塩水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液および食塩水をこの順に用いて洗浄した。無水硫酸マグネシウムにより脱水処理を行った後、ロータリーバキュームエバポレーターで溶媒を留去した。減圧蒸留により精製し2−(2−アリロキシエトキシ)エチルメタクリレートを無色透明液体として得た。
(3)塩化白金酸六水和物を同重量の2−プロパノールに溶かし、テトラヒドロフランで1.93×10−5mol/gに希釈した。以下この溶液を触媒溶液と呼ぶ。
マグネット式回転子を備えた100mLナスフラスコに、上記(2)で合成した2−(2−アリロキシエトキシ)エチルメタクリレート(13.63g)、トルエン(13g)および触媒溶液(6.6g)を入れた。フラスコを水浴に漬けて冷却し、撹拌しながらトリクロロシラン(17.22g)を少しずつ加えた。発熱が治まったことを確認してからフラスコをセプタムで密栓し、室温で一晩静置した。ロータリーバキュームエバポレーターにより低沸点成分を除いた後、減圧蒸留により精製し、3−[2−(2−メタクリロキシエトキシ)エトキシ]プロピルトリクロロシランを無色透明液体として得た。
(4)マグネット式回転子を備えた200mLナスフラスコにヘキサン(6.0g)、メタノール(6.0g)および水(12.0g)を入れ、フラスコを氷浴に浸漬し、フラスコ内を激しく撹拌した。ここへ、3−[2−(2−メタクリロキシエトキシ)エトキシ]プロピルトリクロロシラン(12.5g)およびメトキシトリメチルシラン(22.3g)からなる混合物を約10分間かけて滴下した。滴下終了後、室温において3.5時間撹拌を続けた。反応液は2層に分かれるので、分液ロートにより上層を分取した。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(3回)および水(2回)をこの順に用いて洗浄した。無水硫酸ナトリウムにより脱水を行った後、ロータリーバキュームエバポレーターで溶媒を留去した。減圧蒸留により精製し、微黄色透明液体を得た。この液体のプロトン核磁気共鳴スペクトルを測定し分析した結果、下記式(M2)で表されるモノマーであることを確認した。
・モノマーの合成
(1)滴下ロート、ジムロートコンデンサおよび撹拌翼を備えた500mL三ツ口フラスコにジエチレングリコール(100g)および水酸化カリウム(62.2g)を入れ、室温で1時間程度撹拌した。滴下ロートに臭化アリル(114g)を入れ、撹拌しながら滴下した。滴下終了後、撹拌しながら60℃で3時間反応させた。ジエチルエーテル(250mL)を加えた後、塩をろ過で除き、ロータリーバキュームエバポレーターにより溶媒成分を留去した。再び塩が析出したので再度ろ過で除いた。減圧蒸留により精製し、ジエチレングリコールモノアリルエーテルを無色透明液体として得た。
(2)滴下ロートおよび撹拌翼を備えた300mL三ツ口フラスコに、上記(1)で合成したジエチレングリコールモノアリルエーテル(20g)、トリエチルアミン(20.7g)およびテトラヒドロフラン(30mL)を入れた。この三ツ口フラスコを氷浴に浸漬し、撹拌しているところへ、メタクリル酸クロリド(21.4g)を約5分間かけて滴下した。滴下終了後、室温で3時間撹拌を行った。析出した塩を吸引ろ過で除いた。ろ液に酢酸エチル(100mL)を加え、分液ロートに入れ、食塩水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液および食塩水をこの順に用いて洗浄した。無水硫酸マグネシウムにより脱水処理を行った後、ロータリーバキュームエバポレーターで溶媒を留去した。減圧蒸留により精製し2−(2−アリロキシエトキシ)エチルメタクリレートを無色透明液体として得た。
(3)塩化白金酸六水和物を同重量の2−プロパノールに溶かし、テトラヒドロフランで1.93×10−5mol/gに希釈した。以下この溶液を触媒溶液と呼ぶ。
マグネット式回転子を備えた100mLナスフラスコに、上記(2)で合成した2−(2−アリロキシエトキシ)エチルメタクリレート(13.63g)、トルエン(13g)および触媒溶液(6.6g)を入れた。フラスコを水浴に漬けて冷却し、撹拌しながらトリクロロシラン(17.22g)を少しずつ加えた。発熱が治まったことを確認してからフラスコをセプタムで密栓し、室温で一晩静置した。ロータリーバキュームエバポレーターにより低沸点成分を除いた後、減圧蒸留により精製し、3−[2−(2−メタクリロキシエトキシ)エトキシ]プロピルトリクロロシランを無色透明液体として得た。
(4)マグネット式回転子を備えた200mLナスフラスコにヘキサン(6.0g)、メタノール(6.0g)および水(12.0g)を入れ、フラスコを氷浴に浸漬し、フラスコ内を激しく撹拌した。ここへ、3−[2−(2−メタクリロキシエトキシ)エトキシ]プロピルトリクロロシラン(12.5g)およびメトキシトリメチルシラン(22.3g)からなる混合物を約10分間かけて滴下した。滴下終了後、室温において3.5時間撹拌を続けた。反応液は2層に分かれるので、分液ロートにより上層を分取した。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(3回)および水(2回)をこの順に用いて洗浄した。無水硫酸ナトリウムにより脱水を行った後、ロータリーバキュームエバポレーターで溶媒を留去した。減圧蒸留により精製し、微黄色透明液体を得た。この液体のプロトン核磁気共鳴スペクトルを測定し分析した結果、下記式(M2)で表されるモノマーであることを確認した。
・重合
式(M1)で表されるモノマーの代わりに、上で得た式(M2)で表されるモノマーを用いた以外は実施例1と同様の方法でコンタクトレンズ状サンプルを得た。得られたサンプルは透明で濁りがなかった。このサンプルを水和処理したときの酸素透過係数は、70(cm2/sec)[mLO2/(mL/hPa)]であった。また変形回復性は△であった。
式(M1)で表されるモノマーの代わりに、上で得た式(M2)で表されるモノマーを用いた以外は実施例1と同様の方法でコンタクトレンズ状サンプルを得た。得られたサンプルは透明で濁りがなかった。このサンプルを水和処理したときの酸素透過係数は、70(cm2/sec)[mLO2/(mL/hPa)]であった。また変形回復性は△であった。
Claims (7)
- 前記式(Y)中の官能基Aがトリス(トリメチルシロキシ)シリル基、メチルビス(トリメチルシロキシ)シリル基およびジメチル(トリメチルシロキシ)シリル基から選ばれた1つの置換基を表す請求項2記載の眼用レンズ用モノマー。
- 請求項1〜4いずれかに記載の眼用レンズ用モノマーを重合成分として含むことを特徴とするポリマー。
- さらにケイ素数4以上の直鎖状シロキサン部位を有するモノマーを共重合成分として含むことを特徴とする請求項5に記載の眼用レンズ用ポリマー。
- 請求項5または6に記載の眼用レンズ用ポリマーを用いてなる眼用レンズ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007236347A JP2009069348A (ja) | 2007-09-12 | 2007-09-12 | 眼用レンズモノマー、眼用レンズ用ポリマーおよび眼用レンズ。 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007236347A JP2009069348A (ja) | 2007-09-12 | 2007-09-12 | 眼用レンズモノマー、眼用レンズ用ポリマーおよび眼用レンズ。 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2009069348A true JP2009069348A (ja) | 2009-04-02 |
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ID=40605700
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2007236347A Pending JP2009069348A (ja) | 2007-09-12 | 2007-09-12 | 眼用レンズモノマー、眼用レンズ用ポリマーおよび眼用レンズ。 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2009069348A (ja) |
-
2007
- 2007-09-12 JP JP2007236347A patent/JP2009069348A/ja active Pending
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