JP2009067893A - フォトレジスト用単量体、高分子化合物及びフォトレジスト組成物 - Google Patents

フォトレジスト用単量体、高分子化合物及びフォトレジスト組成物 Download PDF

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Yutaka Koyama
裕 小山
Hiromi Tanaka
洋己 田中
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Abstract

【課題】レジスト用樹脂等に応用した場合に有機溶媒への溶解性が良好で、基板への密着性が良く、更に高い耐エッチング性を発揮できるものであり、また、工業的見地からコストや入手の面で優位にある樹脂、更にはその原料である単量体を提供する。
【解決手段】下記式(I)
Figure 2009067893

(式中、Rは水素原子、ハロゲン原子、又はハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基を示し、Rは飽和炭化水素6員環を含有する特定の基)で表されるフォトレジスト用単量体。
【選択図】なし

Description

本発明は、半導体の微細加工などを行う際に用いるフォトレジスト用単量体、高分子化合物、及びフォトレジスト組成物ならびにフォトレジスト組成物を使用する半導体の製造方法に関するものである。
半導体の製造において、パターン形成のためのリソグラフ技術は飛躍的な革新により、近年その線幅が極微細化されている。リソグラフのための露光は当初、i線、g線が使用され、その線幅も広いものであった。従って、製造される半導体の容量も低かった。しかし、近年の技術開発により、KrFエキシマレーザの使用が可能となり、その線幅も飛躍的に微細なものとなった。その後も、更に短波長であるArFエキシマレーザの適用を目指して開発が進み、極近年においてその実用化がなされた。KrFエキシマレーザでの露光では、従来の樹脂であるノボラック系又はスチレン系樹脂が使用されていたが、ArFエキシマレーザの波長は193nmと更に短波長となり、ノボラック系やスチレン系樹脂のように芳香族を含むものは、その波長を吸収するために、樹脂の構造は芳香族を含まない、つまり脂環族のものに置き換えられた。使用される樹脂はアクリル系がメインであり、アクリル酸を保護基で保護して、露光により発生した酸により保護基が脱離してカルボン酸となり、アルカリ可溶性となる機構を応用している。現在使用されている保護基は脂環族で極性基を有していないものが多く、それだけでは基板への密着性の悪さや、アルカリ現像液などとの親和性にかけており、極性基を有する脂環骨格をエステル基とするアクリル系の単量体が数多く提案されている。中でも、極性基として水酸基を有する脂環式骨格はその機能として基板への密着性効果は高く評価されている。その一部として特許文献1がある。しかし、提案されている単量体は、脂環骨格としてアダマンタンなどであり、コスト高く工業的に安価で容易に製造可能なものが要望されている。
特開平11−109632号公報
本発明の目的は、レジスト用樹脂等に応用した場合に有機溶媒への溶解性が良好で、基板への密着性が良く、更に高い耐エッチング性を発揮できるものであり、また、工業的見地からコストや入手の面で優位にある樹脂、更にはその原料である単量体を提供することにある。
本発明は、レジスト用樹脂等に応用した場合に有機溶媒への溶解性が良好で、基板への密着性が良く、更に高い耐エッチング性を有する単量体及び高分子化合物を鋭意検討した結果、工業的な製造として優位であり、高度なレジスト性能を発揮する化合物を見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、下記式(I)
Figure 2009067893


(式中、Rは水素原子、ハロゲン原子、又はハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基を示し、Rは下記式(Ia)〜(Ic)
Figure 2009067893


(式中、R及びRはハロゲン原子又は炭素数1〜6のアルキル基を示し、mは0〜3の整数値、nは0〜3の整数値を示す。R及びRは同一又は異なって水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を示す)
のいずれかを示す。)で表されるフォトレジスト用単量体を提供する。
また、本発明は、下記式(1)
Figure 2009067893

(式中、Rは水素原子、ハロゲン原子、又はハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基を示し、Rは下記式(1a)〜(1c)
Figure 2009067893


(式中、R及びRはハロゲン原子又は炭素数1〜6のアルキル基を示し、mは0〜3の整数値、nは0〜3の整数値を示す。R及びRは同一又は異なって水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を示す)
のいずれかを示す。)で表されるモノマー単位を有するフォトレジスト用高分子化合物を提供する。
更にまた、本発明は、前記高分子化合物が更に、下記式(2a)〜(2d)
Figure 2009067893

(式中、環Zは置換基を有していてもよい炭素数5〜20の脂環式炭化水素環を示す。Rは水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基を示す。R〜Rは、同一又は異なって、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基を示す。Rは環Zに結合している置換基であって、同一又は異なって、オキソ基、アルキル基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシアルキル基、又は保護基で保護されていてもよいカルボキシル基を示す。但し、p個のRのうち少なくとも1つは、−COOR基を示す。前記Rは置換基を有していてもよい第3級炭化水素基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロピラニル基、又はオキセパニル基を示す。pは1〜3の整数を示す。R10、R11は、同一又は異なって、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基を示す。R12は水素原子又は有機基を示す。R10、R11、R12のうち少なくとも2つが互いに結合して隣接する原子とともに環を形成していてもよい)から選択された少なくとも1種のモノマー単位を含む前記記載のフォトレジスト用高分子化合物を提供する。
前記高分子化合物が更に、下記式(3a)〜(3d)
Figure 2009067893


(上記式中、Rは水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基を示す。R13〜R15は、同一又は異なって、水素原子、アルキル基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシアルキル基、又は保護基で保護されていてもよいカルボキシル基を示し、V1〜V3は、同一又は異なって、−CH2−、−CO−又は−COO−を示す。但し、(i)V1〜V3のうち少なくとも1つは−CO−若しくは−COO−であるか、又は(ii)R13〜R15のうち少なくとも1つは、保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシアルキル基、又は保護基で保護されていてもよいカルボキシル基である。Xは炭素原子、酸素原子又は硫黄原子を示し、炭素原子のときにのみ置換基R17、R18が存在する。R16〜R20は、同一又は異なって、水素原子、アルキル基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシアルキル基、保護基で保護されていてもよいカルボキシル基、シアノ基、フッ素原子、塩素原子などのハロゲン原子、フッ素原子により置換されている炭素数1〜6のアルキル基を示す。qは1又は2を示し、rは0又は1を示す。Xは炭素原子、酸素原子又は硫黄原子を示し、炭素原子のときはメチレン基である。R21は水素原子又は炭素数1から6のアルキル基を示す。)で表されるモノマー単位を含むことを特徴とする前記記載のフォトレジスト用高分子化合物を提供する。
本発明はまた、重量平均分子量が1000〜50000である前記いずれかに記載のフォトレジスト用高分子化合物を提供する。
本発明は更に、分子量分布が1.0〜3.0である前記のいずれかに記載のフォトレジスト用高分子化合物を提供する。
前記のいずれかに記載のフォトレジスト用高分子化合物及び少なくとも光酸発生剤を含むことを特徴とするフォトレジスト組成物を提供する。
また、本発明は、前記記載のフォトレジスト組成物を使用してパターンを形成することを特徴とする半導体の製造方法を提供する。
本発明の水酸基を有する多環式エステルをポリマー等に誘導した場合に、有機溶剤に対する溶解性に優れ、基板への密着性に優れると共に、鮮明なレジストパターンを可能とした。また、モノマーの原料が工業的見地から入手しやすいものであり、産業界への寄与は大きなものといえる。
なを、本明細書において、メタクリル酸誘導体やアクリル酸誘導体などのメタクリル及びアクリルを総称して(メタ)アクリルと記載したり、(メタ)アクリロイルなどと記載することがある。
本発明のフォトレジスト用単量体は前記式(I)によって表される。式(I)において、Rは水素原子、ハロゲン原子、又はハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基を示し、Rは前記式(Ia)〜(Ic)のいずれかであり、式中、R及びRはハロゲン原子又は炭素数1〜6のアルキル基を示し、mは0〜3の整数値、nは0〜3の整数値を示す。R及びRは同一又は異なって水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基である。
式(I)で示される単量体のうち、特に好ましい例として例えば、2−(メタ)アクリロイル−5−ヒドロキシジシクロ[4.4.0]デカン(以降、MHCDと記載する事もある)、2−(メタ)アクリロイル−9−ヒドロキシトリシクロ[8.4.0.03,8]テトラデカン(以降、MHCTと記載することもある)、2−(3−(メタ)アクリロイルシクロヘキシル)−2−(3−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン(以降、MHCHPと記載することもある)等が挙げられる。
2−(メタ)アクリロイル−5−ヒドロキシジシクロ[4.4.0]デカンは、下記反応式で示されるように、ナフトキノンを水添反応により2,5−ジヒドロキシジシクロ[4.4.0]デカン(以降、DHCDと記載する事もある)とし、更に(メタ)アクリル酸誘導体によりアクリル化して得られる。
Figure 2009067893

2−(メタ)アクリロイル−9−ヒドロキシトリシクロ[8.4.0.03,8]テトラデカンは、下記反応式で示されるように、アントラキノンを水添反応により2,5−ジヒドロキシジシクロ[4.4.0]デカン(以降、DHCDと記載する事もある)とし、更に(メタ)アクリル酸誘導体によりアクリル化して得られる。
Figure 2009067893

2−(3−(メタ)アクリロイルシクロヘキシル)−2−(3−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンは、下記反応式で示されるように、ビスフェノールAを水添反応により2,2−ビス(3−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン(以降、BHCHPと記載する事もある)とし、更に(メタ)アクリル酸誘導体によりアクリル化して得られる。
Figure 2009067893

前記水添反応は、通常水添反応触媒の存在下、水素ガスによって実施される。水添反応触媒としては、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、ニッケル(Ni)などの金属を活性状態として使用したり、炭素、シリカ、アルミナ、ゼオライトなどの担体に担持して使用することが出来る。水素ガスは常圧でも可能であるが、加圧する事で反応速度が増加して効率的な製造が可能である。更に反応は溶媒を使用して溶液状で実施する事が好ましい。また、反応によって得られた生成物は触媒をろ過などの分離手段により分離した後に、カラムクロマトグラフィーや再結晶などの通常の精製手段を用いて精製することが可能である。
前記反応で使用される(メタ)アクリル酸誘導体としては、(メタ)アクリル酸、無水(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸クロライドなどが挙げられる。(メタ)アクリル酸を使用する場合は、蒸留方法による脱水縮合によってエステル化され合成される。脱水縮合はエステル化によって生成する水を反応系外へ追い出すために、水と共沸する有機溶媒が使用される。また、蒸留系外へ出された後に、水と分液する有機溶媒が好ましい。それにより、分液した有機溶媒はデカンターなどを使用して、水と分離して、再び反応系内へ戻すことが可能である。
無水(メタ)アクリル酸や(メタ)アクリル酸クロライドを使用する場合は、溶液として反応させることで、エステル化が可能であるが、酸触媒や塩基性物質を使用することも好ましい。反応によって得られた生成物はカラムクロマトグラフィーや再結晶などの通常の精製手段を用いて精製することが可能である。
以下に高分子化合物に関して説明する。本発明の高分子化合物は上記式(1)で表される水酸基を有する多環式エステルに対応するモノマー単位(繰り返し単位)、を含んでいる。該モノマー単位は1種又は2種以上含んでいてもよい。このような高分子化合物は、上記式(I)で表される水酸基を有する多環式エステルを重合に付すことにより得ることができる。
なを、式(Ia)〜(Ic)等に示される脂環骨格に刺さっている結合手は環のどの位置に結合しても良いことを示したものである。
本発明の高分子化合物は、フォトレジスト用樹脂として使用する場合、式(1)で表されるモノマー単位に加えて、他のモノマー単位を有していてもよい。このような他のモノマー単位は、該他のモノマー単位に対応する重合性不飽和単量体を前記式(1)で表される水酸基を有する多環式エステルと共重合することにより形成できる。
上記他のモノマー単位に対応する重合性不飽和単量体として、例えば、酸による分解反応等によりカルボキシル基を生成しうる単量体が挙げられる。このような単量体として、例えば、前記式(2a)、(2b)、(2c)、(2d)で表されるモノマー単位に対応する重合性不飽和単量体が挙げられる。
環Zは置換基を有していてもよい炭素数5〜20の脂環式炭化水素環を示す。Rは水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基を示す。R〜Rは、同一又は異なって、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基を示す。Rは環Zに結合している置換基であって、同一又は異なって、オキソ基、アルキル基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシアルキル基、又は保護基で保護されていてもよいカルボキシル基を示す。但し、p個のRのうち少なくとも1つは、−COOR基を示す。前記Rは置換基を有していてもよい第3級炭化水素基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロピラニル基、又はオキセパニル基を示す。pは1〜3の整数を示す。R10、R11は、同一又は異なって、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基を示す。R12は水素原子又は有機基を示す。R10、R11、R12のうち少なくとも2つが互いに結合して隣接する原子とともに環を形成していてもよい
式(2a)、(2b)、(2c)、(2d)中、環Zにおける炭素数5〜20の脂環式炭化水素環は単環であっても、縮合環や橋かけ環等の多環であってもよい。代表的な脂環式炭化水素環として、例えば、シクロヘキサン環、シクロオクタン環、シクロデカン環、アダマンタン環、ノルボルナン環、ノルボルネン環、ボルナン環、イソボルナン環、パーヒドロインデン環、デカリン環、パーヒドロフルオレン環(トリシクロ[7.4.0.03,8]トリデカン環)、パーヒドロアントラセン環、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン環、トリシクロ[4.2.2.12,5]ウンデカン環、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカン環などが挙げられる。脂環式炭化水素環には、メチル基等のアルキル基(例えば、C1-4アルキル基など)、塩素原子等のハロゲン原子、保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、オキソ基、保護基で保護されていてもよいカルボキシル基などの置換基を有していてもよい。環Zは例えばアダマンタン環等の多環の脂環式炭化水素環(橋かけ環式炭化水素環)であるのが好ましい。
式(2a)、(2b)、(2c)、(2d)中のR〜R、R10、R11における置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ヘキシル基などの直鎖状又は分岐鎖状の炭素1〜6のアルキル基;トリフルオロメチル基等の炭素1〜6のハロアルキル基などが挙げられる。
p個のRのうち少なくとも1つは、−COOR基を示すが、前記Rは置換基を有していてもよい第3級炭化水素基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロピラニル基、又はオキセパニル基を示す。第3級炭化水素基としては例えば、t−ブチル、t−アミル、2−メチル−2−アダマンチル、(1−メチル−1−アダマンチル)エチル基などが挙げられる。テトラヒドロフラニル基には2−テトラヒドロフラニル基が、テトラヒドロピラニル基には2−テトラヒドロピラニル基が、オキセパニル基には2−オキセパニル基が含まれる。
12における有機基としては、炭化水素基及び/又は複素環式基を含有する基が挙げられる。炭化水素基には脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、及びこれらが2以上結合した基が含まれる。脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ヘキシル、オクチル基等の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基(C1-8アルキル基等);アリル基等の直鎖状または分岐鎖状のアルケニル基(C2-8アルケニル基等);プロピニル基等の直鎖状または分岐鎖状のアルキニル基(C2-8アルキニル基等)などが挙げられる。脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基(3〜8員シクロアルキル基等);シクロペンテニル、シクロヘキセニル基等のシクロアルケニル基(3〜8員シクロアルケニル基等);アダマンチル、ノルボルニル基等の橋架け炭素環式基(C4-20橋架け炭素環式基等)などが挙げられる。これらの炭化水素基は、アルキル基(C1-4アルキル基等)、ハロアルキル基(C1-4ハロアルキル基等)、ハロゲン原子、保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシメチル基、保護基で保護されていてもよいカルボキシル基、オキソ基などの置換基を有していてもよい。保護基としては有機合成の分野で慣用の保護基を使用できる。
前記複素環式基としては、酸素原子、硫黄原子及び窒素原子から選択された少なくとも1種のヘテロ原子を含む複素環式基が挙げられる。
好ましい有機基として、C1-8アルキル基、環式骨格を含む有機基等が挙げられる。前記環式骨格を構成する「環」には、単環又は多環の非芳香族性又は複素環が含まれる。なかでも、単環又は多環の非芳香族性炭素環、ラクトン環(非芳香族性炭素環が縮合していてもよい)が特に好ましい。単環の非芳香族性炭素環として、例えば、シクロペンタン環、シクロヘキサン環などの3〜15員程度のシクロアルカン環などが挙げられる。
多環の非芳香族性炭素環(橋架け炭素環)として、例えば、アダマンタン環;ノルボルナン環、ノルボルネン環、ボルナン環、イソボルナン環、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン環、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカン環等のノルボルナン環又はノルボルネン環を含む環;パーヒドロインデン環、デカリン環(パーヒドロナフタレン環)、パーヒドロフルオレン環(トリシクロ[7.4.0.03,8]トリデカン環)、パーヒドロアントラセン環などの多環の芳香族縮合環が水素添加された環(好ましくは完全水素添加された環);トリシクロ[4.2.2.12,5]ウンデカン環などの2環系、3環系、4環系などの橋架け炭素環(例えば、炭素数6〜20程度の橋架け炭素環)などが挙げられる。前記ラクトン環として、例えば、γ−ブチロラクトン環、4−オキサトリシクロ[4.3.1.13,8]ウンデカン−5−オン環、4−オキサトリシクロ[4.2.1.03,7]ノナン−5−オン環、4−オキサトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−5−オン環などが挙げられる。
前記環式骨格を構成する環は、メチル基等のアルキル基(例えば、C1-4アルキル基など)、トリフルオロメチル基などのハロアルキル基(例えば、C1-4ハロアルキル基など)、塩素原子やフッ素原子等のハロゲン原子、保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシアルキル基、保護基で保護されていてもよいメルカプト基、保護基で保護されていてもよいカルボキシル基、保護基で保護されていてもよいアミノ基、保護基で保護されていてもよいスルホン酸基などの置換基を有していてもよい。保護基としては有機合成の分野で慣用の保護基を使用できる。
前記環式骨格を構成する環は、式(2d)中に示される酸素原子(R12の隣接位の酸素原子)と直接結合していてもよく、連結基を介して結合していてもよい。連結基としては、メチレン、メチルメチレン、ジメチルメチレン、エチレン、プロピレン、トリメチレン基などの直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基;カルボニル基;酸素原子(エーテル結合;−O−);オキシカルボニル基(エステル結合;−COO−);アミノカルボニル基(アミド結合;−CONH−);及びこれらが複数個結合した基などが挙げられる。
10、R11、R12のうち少なくとも2つは、互いに結合して隣接する原子とともに環を形成していてもよい。該環としては、例えば、シクロプロパン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環などのシクロアルカン環;テトラヒドロフラン環、テトラヒドロピラン環、オキセパン環などの含酸素環;橋架け環などが挙げられる。
式(2a)〜(2d)で表される化合物には、それぞれ立体異性体が存在する場合があるが、それらは単独で又は2種以上の混合物として使用できる。
式(2a)で表されるモノマー単位に相当する単量体の代表的な例として下記化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。2−(メタ)アクリロイルオキシ−2−メチルアダマンタン、1−ヒドロキシ−2−(メタ)アクリロイルオキシ−2−メチルアダマンタン、5−ヒドロキシ−2−(メタ)アクリロイルオキシ−2−メチルアダマンタン、2−(メタ)アクリロイルオキシ−2−エチルアダマンタン。
式(2b)で表されるモノマー単位に相当する単量体の代表的な例として下記化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。1−(1−(メタ)アクリロイルオキシ−1−メチルエチル)アダマンタン、1−ヒドロキシ−3−(1−(メタ)アクリロイルオキシ−1−メチルエチル)アダマンタン、1−(1−エチル−1−(メタ)アクリロイルオキシプロピル)アダマンタン、1−(1−(メタ)アクリロイルオキシ−1−メチルプロピル)アダマンタン。
式(2c)で表されるモノマー単位に相当する単量体の代表的な例として下記化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。1−t−ブトキシカルボニル−3−(メタ)アクリロイルオキシアダマンタン、1−(2−テトラヒドロピラニルオキシカルボニル)−3−(メタ)アクリロイルオキシアダマンタン。
式(2d)で表されるモノマー単位に相当する単量体の代表的な例として下記化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。1−アダマンチルオキシ−1−エチル(メタ)アクリレート、1−アダマンチルメチルオキシ−1−エチル(メタ)アクリレート、2−(1−アダマンチルエチル)オキシ−1−エチル(メタ)アクリレート、1−ボルニルオキシ−1−エチル(メタ)アクリレート、2−ノルボルニルオキシ−1−エチル(メタ)アクリレート、2−テトラヒドロピラニル(メタ)アクリレート、2−テトラヒドロフラニル(メタ)アクリレート。
上記式(2d)で表されるモノマー単位に相当する単量体は、例えば、対応するビニルエーテル化合物と(メタ)アクリル酸とを酸触媒を用いた慣用の方法で反応させることにより得ることができる。例えば、1−アダマンチルオキシ−1−エチル(メタ)アクリレートは、1−アダマンチル−ビニルエーテルと(メタ)アクリル酸とを酸触媒の存在下で反応させることにより製造できる。
上記他のモノマー単位に対応する重合性不飽和単量体の別の例として、親水性や水溶性を付与又は向上しうる単量体が挙げられる。このような単量体として、例えば、ヒドロキシル基含有単量体(ヒドロキシル基が保護されている化合物を含む)、メルカプト基含有単量体(メルカプト基が保護されている化合物を含む)、カルボキシル基含有単量体(カルボキシル基が保護されている化合物を含む)、アミノ基含有単量体(アミノ基が保護されている化合物を含む)、スルホン酸基含有単量体(スルホン酸基が保護されている化合物を含む)、ラクトン骨格含有単量体、環状ケトン骨格含有単量体、酸無水物基含有単量体、イミド基含有単量体などの極性基含有単量体が挙げられる。
本発明の高分子化合物を構成する重合単位として、前記式(3a)〜(3d)はラクトン骨格を含む重合単位を示すものであるが、この式(3a)〜(3d)で示される重合単位に相当する単量体は以下のようなものが挙げられる。式(3a)〜(3d)で表されるモノマー単位には、それぞれ立体異性体が存在しうるが、それらは単独で又は2種以上の混合物として使用できる。
前記式(3a)〜(3d)において、Rは水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基を示す。R13〜R15は、同一又は異なって、水素原子、アルキル基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシアルキル基、又は保護基で保護されていてもよいカルボキシル基を示し、V1〜V3は、同一又は異なって、−CH2−、−CO−又は−COO−を示す。但し、(i)V1〜V3のうち少なくとも1つは−CO−若しくは−COO−であるか、又は(ii)R13〜R15のうち少なくとも1つは、保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシアルキル基、又は保護基で保護されていてもよいカルボキシル基である。Xは炭素原子、酸素原子又は硫黄原子を示し、炭素原子のときにのみ置換基R17、R18が存在する。R16〜R20は、同一又は異なって、水素原子、アルキル基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシアルキル基、保護基で保護されていてもよいカルボキシル基、シアノ基、フッ素原子、塩素原子などのハロゲン原子、フッ素原子により置換されている炭素数1〜6のアルキル基を示す。qは1又は2を示し、rは0又は1を示す。Xは炭素原子、酸素原子又は硫黄原子を示し、炭素原子のときはメチレン基である。R21は水素原子又は炭素数1から6のアルキル基を示す。
式(3a)で表されるモノマー単位に対応する単量体の代表的な例として下記化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。1−(メタ)アクリロイルオキシ−4−オキサトリシクロ[4.3.1.13,8]ウンデカン−5−オン、1−(メタ)アクリロイルオキシ−4,7−ジオキサトリシクロ[4.4.1.13,9]ドデカン−5,8−ジオン、1−(メタ)アクリロイルオキシ−4,8−ジオキサトリシクロ[4.4.1.13,9]ドデカン−5,7−ジオン、1−(メタ)アクリロイルオキシ−5,7−ジオキサトリシクロ[4.4.1.13,9]ドデカン−4,8−ジオン、1−(メタ)アクリロイルオキシ−3−ヒドロキシアダマンタン、1−(メタ)アクリロイルオキシ−3,5−ジヒドロキシアダマンタン、1−(メタ)アクリロイルオキシ−3,5,7−トリヒドロキシアダマンタン、1−(メタ)アクリロイルオキシ−3−ヒドロキシ−5,7−ジメチルアダマンタン、1−(メタ)アクリロイルオキシ−3−カルボキシアダマンタン。
式(3b)で表されるモノマー単位に対応する単量体の代表的な例として下記化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。例えば、Xが炭素原子の時には、5−(メタ)アクリロイルオキシ−3−オキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−2−オン、5−(メタ)アクリロイルオキシ−5−メチル−3−オキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−2−オン、5−(メタ)アクリロイルオキシ−1−メチル−3−オキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−2−オン、5−(メタ)アクリロイルオキシ−9−メチル−3−オキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−2−オン、5−(メタ)アクリロイルオキシ−9−カルボキシ−3−オキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−2−オン、5−(メタ)アクリロイルオキシ−9−メトキシカルボニル−3−オキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−2−オン、5−(メタ)アクリロイルオキシ−9−エトキシカルボニル−3−オキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−2−オン、5−(メタ)アクリロイルオキシ−9−t−ブトキシカルボニル−3−オキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−2−オンなどが挙げられる。
また、1−シアノ−5−(メタ)アクリロイルオキシ−3−オキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−2−オン、1−フルオロ−5−(メタ)アクリロイルオキシ−3−オキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−2−オン、1−クロロ−5−(メタ)アクリロイルオキシ−3−オキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−2−オン、1−クロロ−5−(メタ)アクリロイルオキシ−3−オキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−2−オン、1−トリフルオロメチル−5−(メタ)アクリロイルオキシ−3−オキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−2−オン、9−シアノ−5−(メタ)アクリロイルオキシ−3−オキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−2−オン、9−フルオロ−5−(メタ)アクリロイルオキシ−3−オキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−2−オン、9−クロロ−5−(メタ)アクリロイルオキシ−3−オキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−2−オン、9−クロロ−5−(メタ)アクリロイルオキシ−3−オキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−2−オン、9−トリフルオロメチル−5−(メタ)アクリロイルオキシ−3−オキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−2−オン等が挙げられる。
また、Xが酸素原子の時は、1−シアノ−5−(メタ)アクリロイルオキシ−3、7−ジオキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−2−オン、1−フルオロ−5−(メタ)アクリロイルオキシ−3、7−ジオキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−2−オン、1−クロロ−5−(メタ)アクリロイルオキシ−3、7−ジオキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−2−オン、1−クロロ−5−(メタ)アクリロイルオキシ−3、7−ジオキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−2−オン、1−トリフルオロメチル−5−(メタ)アクリロイルオキシ−3、7−ジオキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−2−オン、9−シアノ−5−(メタ)アクリロイルオキシ−3、7−ジオキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−2−オン、9−フルオロ−5−(メタ)アクリロイルオキシ−3、7−ジオキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−2−オン、9−クロロ−5−(メタ)アクリロイルオキシ−3、7−ジオキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−2−オン、9−クロロ−5−(メタ)アクリロイルオキシ−3、7−ジオキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−2−オン、9−トリフルオロメチル−5−(メタ)アクリロイルオキシ−3、7−ジオキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−2−オン等が挙げられる。
式(3c)で表されるモノマー単位に対応する単量体の代表的な例として下記化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。例えば、8−(メタ)アクリロイルオキシ−4−オキサトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−5−オン、9−(メタ)アクリロイルオキシ−4−オキサトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−5−オン等が挙げられる。
式(3d)で表されるモノマー単位に対応する単量体の代表的な例として下記化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。例えば、6−(メタ)アクリロイルオキシ−4−オキサトリシクロ[5.2.1.05,9]デカン−3−オン、2−メチル−6−クリロイルオキシ−4−オキサトリシクロ[5.2.1.05,9]デカン−3−オン、2−エチル−6−クリロイルオキシ−4−オキサトリシクロ[5.2.1.05,9]デカン−3−オン、2−プロピル−6−クリロイルオキシ−4−オキサトリシクロ[5.2.1.05,9]デカン−3−オン等が挙げられる。
更に本発明の高分子化合物は、前記式(I)に記載される本発明の水酸基を有するモノマー単位の他に、同様な水酸基を有する単量体や極性基を有する単量体を共重合に使用することも可能である。その代表的な例として下記化合物が挙げられる。1−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシアダマンタン、1,3−ジヒドロキシ−5−(メタ)アクリロイルオキシアダマンタン、1−カルボキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシアダマンタン、1,3−ジカルボキシ−5−(メタ)アクリロイルオキシアダマンタン、1−カルボキシ−3−ヒドロキシ−5−(メタ)アクリロイルオキシアダマンタン、1−t−ブトキシカルボニル−3−(メタ)アクリロイルオキシアダマンタン、1,3−ビス(t−ブトキシカルボニル)−5−(メタ)アクリロイルオキシアダマンタン、1−t−ブトキシカルボニル−3−ヒドロキシ−5−(メタ)アクリロイルオキシアダマンタン、1−(2−テトラヒドロピラニルオキシカルボニル)−3−(メタ)アクリロイルオキシアダマンタン、1,3−ビス(2−テトラヒドロピラニルオキシカルボニル)−5−(メタ)アクリロイルオキシアダマンタン、1−ヒドロキシ−3−(2−テトラヒドロピラニルオキシカルボニル)−5−(メタ)アクリロイルオキシアダマンタン、1−(メタ)アクリロイルオキシ−4−オキソアダマンタン。
本発明の高分子化合物は更に、共重合成分として例えば、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、マレイミドなどを含んでもかまわない。
本発明の高分子化合物において、式(1)で表されるモノマー単位の割合は特に限定されないが、ポリマーを構成する全モノマー単位に対して、一般には1〜70モル%、好ましくは5〜60モル%、さらに好ましくは10〜50モル%程度である。また、分解反応等によりカルボキシル基を生成しうる単量体に対応するモノマー単位の割合は、例えば10〜95モル%、好ましくは15〜90モル%、さらに好ましくは20〜60モル%程度である。ラクトン骨格を有するモノマー単位の割合は、例えば0〜60モル%、好ましくは5〜50モル%、さらに好ましくは10〜45モル%程度である。
本発明の高分子化合物を得るに際し、モノマー混合物の重合は、溶液重合、塊状重合、懸濁重合、塊状−懸濁重合、乳化重合など、アクリル系ポリマー等を製造する際に用いる慣用の方法により行うことができるが、特に、溶液重合が好適である。さらに、溶液重合のなかでも滴下重合が好ましい。滴下重合は、具体的には、例えば、(i)予め有機溶媒に溶解した単量体溶液と、有機溶媒に溶解した重合開始剤溶液とをそれぞれ調製し、一定温度に保持した有機溶媒中に前記単量体溶液と重合開始剤溶液とを各々滴下する方法、(ii)単量体と重合開始剤とを有機溶媒に溶解した混合溶液を、一定温度に保持した有機溶媒中に滴下する方法、(iii)予め有機溶媒に溶解した単量体溶液と、有機溶媒に溶解した重合開始剤溶液とをそれぞれ調製し、一定温度に保持した前記単量体溶液中に重合開始剤溶液を滴下する方法などの方法により行われる。
重合溶媒としては公知の溶媒を使用でき、例えば、エーテル(ジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等グリコールエーテル類などの鎖状エーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテルなど)、エステル(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のグリコールエーテルエステル類など)、ケトン(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなど)、アミド(N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミドなど)、スルホキシド(ジメチルスルホキシドなど)、アルコール(メタノール、エタノール、プロパノールなど)、炭化水素(ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、ヘキサン等の脂肪族炭化水素、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素など)、これらの混合溶媒などが挙げられる。また、重合開始剤として公知の重合開始剤を使用できる。重合温度は、例えば30〜150℃程度の範囲で適宜選択できる。
重合により得られたポリマーは、沈殿又は再沈殿により精製できる。沈殿又は再沈殿溶媒は有機溶媒及び水の何れであってもよく、また混合溶媒であってもよい。沈殿又は再沈殿溶媒として用いる有機溶媒として、例えば、炭化水素(ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの脂肪族炭化水素;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素)、ハロゲン化炭化水素(塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素などのハロゲン化脂肪族炭化水素;クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどのハロゲン化芳香族炭化水素など)、ニトロ化合物(ニトロメタン、ニトロエタンなど)、ニトリル(アセトニトリル、ベンゾニトリルなど)、エーテル(ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシエタンなどの鎖状エーテル;テトラヒドロフラン、ジオキサンなどの環状エーテル)、ケトン(アセトン、メチルエチルケトン、ジイソブチルケトンなど)、エステル(酢酸エチル、酢酸ブチルなど)、カーボネート(ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなど)、アルコール(メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノールなど)、カルボン酸(酢酸など)、これらの溶媒を含む混合溶媒等が挙げられる。
中でも、前記沈殿又は再沈殿溶媒として用いる有機溶媒として、少なくとも炭化水素(特に、ヘキサンなどの脂肪族炭化水素)を含む溶媒が好ましい。このような少なくとも炭化水素を含む溶媒において、炭化水素(例えば、ヘキサンなどの脂肪族炭化水素)と他の溶媒との比率は、例えば前者/後者(体積比;25℃)=10/90〜99/1、好ましくは前者/後者(体積比;25℃)=30/70〜98/2、さらに好ましくは前者/後者(体積比;25℃)=50/50〜97/3程度である。
高分子化合物の重量平均分子量(Mw)は、例えば1000〜500000程度、好ましくは3000〜50000程度であり、分子量分布(Mw/Mn)は、例えば1.5〜2.5程度である。なお、前記Mnは数平均分子量を示し、Mn、Mwともにポリスチレン換算の値である。
本発明の高分子化合物は、耐薬品性等の安定性が高く、有機溶剤に対する溶解性に優れ、しかも加水分解性及び加水分解後の水に対する溶解性に優れるため、種々の分野における高機能性ポリマーとして使用できる。
以下に実施例に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明は実施例により限定されるものではない。
重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、屈折率計(RI)を用い、テトラヒドロフラン溶媒を用いたGPC測定により求めた標準ポリスチレン換算値を示す。GPCは、昭和電工製カラムKF−806Lを3本直列につないだものを使用し、カラム温度40℃、RI温度40℃、テトラヒドロフラン流速0.8ml/分の条件で行った。分散度(Mw/Mn)は前記測定値より算出した。
2,2−ビス(3−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン(BHCHP)(水素化ビスフェノールAとも称す)は工業生産がなされており、新日本理化株式会社製のものを使用した。
製造例1
2,5−ジヒドロキシジシクロ[4.4.0]デカン(DHCD)の製造
攪拌機付きステンレス製の内容積1リットルのオートクレーブに、ナフトキノン30g(0.19モル)、メタノール350ml、触媒として5重量%ルテニウムを担持した炭素粉末10gを仕込み、水素圧20kg/cmで一定圧力下で150℃で水添反応を行った。2時間後、室温まで冷却し放圧し、内容物を取り出した。次いで触媒をろ紙でろ過し、ろ液をエバポレーターで減圧濃縮した。残渣をトルエン100mlに加熱溶解し、冷却して結晶をろ過し、減圧乾燥した。純度98%のDHCDが12g得られた。
製造例2
2,9−ジヒドロキシトリシクロ[8.4.0.03,8]テトラデカン(DHCT)の製造
攪拌機付きステンレス製の内容積1リットルのオートクレーブに、アントラキノン30g(0.14モル)、メタノール350ml、触媒として5重量%ルテニウムを担持した炭素粉末10gを仕込み、水素圧20kg/cmで一定圧力下で150℃で水添反応を行った。2時間後、室温まで冷却し放圧し、内容物を取り出した。次いで触媒をろ紙でろ過し、ろ液をエバポレーターで減圧濃縮した。残渣をトルエン100mlに加熱溶解し、冷却して結晶をろ過し、減圧乾燥した。純度99%のDHCTが10g得られた。
実施例1
2−(メタ)アクリロイル−5−ヒドロキシジシクロ[4.4.0]デカン(MHCD)の製造
留出水分離装置、温度計、滴下ロートを備えた500ml丸底フラスコに、製造例1で得られたDHCD20g(117ミリモル)、トルエン200ml、PTS1.1g、p−メトキシフェノール0.2gを仕込んでトルエンを還流させたフラスコ内にメタクリル酸10g(117ミリモル)を滴下ロートから滴下した。その後トルエンの還流を15時間を続け、室温へ冷却した。5%炭酸ナトリウム水溶液200g、5%炭酸水素ナトリウム水溶液200g、蒸留水200gで順次洗浄分離した。トルエン層はエバポレーターにて半分程度まで減圧濃縮し、得られた液はシリカゲルクロマトグラフィーにて目的物を分離した。
[MHCDのスペクトルデータ]
1H−NMR(CDCl3) δ:0.9-1.8(14H), 1.95(3H), 2.89(1H), 3.89(1H), 4.87(1H), 5.55(1H), 6.10(1H),
実施例2
2−(メタ)アクリロイル−9−ヒドロキシトリシクロ[8.4.0.03,8]テトラデカン(MHCT)の製造
留出水分離装置、温度計、滴下ロートを備えた500ml丸底フラスコに、製造例2で得られたDHCT20g(89ミリモル)、トルエン200ml、PTS1.1g、p−メトキシフェノール0.2gを仕込んでトルエンを還流させたフラスコ内にメタクリル酸7.7g(89ミリモル)を滴下ロートから滴下した。その後トルエンの還流を15時間を続け、室温へ冷却した。5%炭酸ナトリウム水溶液200g、5%炭酸水素ナトリウム水溶液200g、蒸留水200gで順次洗浄分離した。トルエン層はエバポレーターにて半分程度まで減圧濃縮し、得られた液はシリカゲルクロマトグラフィーにて目的物を分離した。
[MHCTのスペクトルデータ]
1H−NMR(CDCl3) δ:0.9-1.8(20H), 1.94(3H), 2.90(1H), 3.92(1H), 4.88(1H), 5.60(1H), 6.11(1H),
実施例3
2−(3−(メタ)アクリロイルシクロヘキシル)−2−(3−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン(MHCHP)の製造
留出水分離装置、温度計、滴下ロートを備えた500ml丸底フラスコに、DHCHP20g(83ミリモル)、トルエン200ml、PTS1.1g、p−メトキシフェノール0.2gを仕込んでトルエンを還流させたフラスコ内にメタクリル酸7.2g(83ミリモル)を滴下ロートから滴下した。その後トルエンの還流を15時間を続け、室温へ冷却した。5%炭酸ナトリウム水溶液200g、5%炭酸水素ナトリウム水溶液200g、蒸留水200gで順次洗浄分離した。トルエン層はエバポレーターにて半分程度まで減圧濃縮し、得られた液はシリカゲルクロマトグラフィーにて目的物を分離した。
[MHCHPのスペクトルデータ]
1H−NMR(CDCl3) δ:0.9-1.8(24H), 1.96(3H), 2.30(1H), 3.92(1H), 4.90(1H), 5.63(1H), 6.13(1H),
実施例4
下記構造の樹脂を含むフォトレジスト用高分子化合物の製造
Figure 2009067893


還流管、撹拌子、3方コック、温度計を備えた丸底フラスコに、窒素雰囲気下、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)35.7g、及びプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)23.8gを入れて温度を80℃に保ち、撹拌しながら、MHCD5.65g(23.7mmol)、5−メタクリロイルオキシ−2,6−ノルボルナンカルボラクトン11.82g(53.2mmol)、1−(1−メタクリロイルオキシ−1−メチルエチル)アダマンタン12.54g(47.8mmol)、ジメチル 2,2’−アゾビスイソブチレート(和光純薬工業製V−601)1.80g、PGMEA66.3g、及びPGME44.2gを混合したモノマー溶液を6時間かけて一定速度で滴下した。滴下終了後、さらに2時間撹拌を続けた。重合反応終了後、得られた反応溶液を孔径0.1μmのフィルターで濾過した後、該反応溶液の7倍量のヘキサンと酢酸エチルの9:1(体積比;25℃)混合液中に撹拌しながら滴下した。生じた沈殿物を濾別することにより、所望の樹脂26gを得た。回収したポリマーをGPC分析したところ、Mw(重量平均分子量)が9000、分散度(Mw/Mn)が1.88であった。
実施例5
下記構造の樹脂を含むフォトレジスト用高分子化合物の製造
Figure 2009067893

還流管、撹拌子、3方コック、温度計を備えた丸底フラスコに、窒素雰囲気下、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)35.7g、及びプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)23.8gを入れて温度を80℃に保ち、撹拌しながら、MHCT5.65g(19.3mmol)、5−メタクリロイルオキシ−2,6−ノルボルナンカルボラクトン11.82g(53.2mmol)、1−(1−メタクリロイルオキシ−1−メチルエチル)アダマンタン12.54g(47.8mmol)、ジメチル 2,2’−アゾビスイソブチレート(和光純薬工業製V−601)1.80g、PGMEA66.3g、及びPGME44.2gを混合したモノマー溶液を6時間かけて一定速度で滴下した。滴下終了後、さらに2時間撹拌を続けた。重合反応終了後、得られた反応溶液を孔径0.1μmのフィルターで濾過した後、該反応溶液の7倍量のヘキサンと酢酸エチルの9:1(体積比;25℃)混合液中に撹拌しながら滴下した。生じた沈殿物を濾別することにより、所望の樹脂25gを得た。回収したポリマーをGPC分析したところ、Mw(重量平均分子量)が9100、分散度(Mw/Mn)が1.97であった。

実施例6
下記構造の樹脂を含むフォトレジスト用高分子化合物の製造
Figure 2009067893

還流管、撹拌子、3方コック、温度計を備えた丸底フラスコに、窒素雰囲気下、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)35.7g、及びプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)23.8gを入れて温度を80℃に保ち、撹拌しながら、MHCHP5.65g(18.3mmol)、5−メタクリロイルオキシ−2,6−ノルボルナンカルボラクトン11.82g(53.2mmol)、1−(1−メタクリロイルオキシ−1−メチルエチル)アダマンタン12.54g(47.8mmol)、ジメチル 2,2’−アゾビスイソブチレート(和光純薬工業製V−601)1.80g、PGMEA66.3g、及びPGME44.2gを混合したモノマー溶液を6時間かけて一定速度で滴下した。滴下終了後、さらに2時間撹拌を続けた。重合反応終了後、得られた反応溶液を孔径0.1μmのフィルターで濾過した後、該反応溶液の7倍量のヘキサンと酢酸エチルの9:1(体積比;25℃)混合液中に撹拌しながら滴下した。生じた沈殿物を濾別することにより、所望の樹脂26gを得た。回収したポリマーをGPC分析したところ、Mw(重量平均分子量)が8900、分散度(Mw/Mn)が1.90であった。
比較例1
下記構造の樹脂を含むフォトレジスト用高分子化合物の製造
Figure 2009067893


実施例2において、モノマー成分として、5−メタクリロイルオキシ−2,6−ノルボルナンカルボラクトン13.94g(72.7mmol)、1−(1−メタクリロイルオキシ−1−メチルエチル)アダマンタン16.06g(61.2mmol)を用いた以外は、実施例2と同様の操作を行ったところ、所望の樹脂25.0gを得た。回収したポリマーをGPC分析したところ、重量平均分子量(Mw)が8600、分子量分布(Mw/Mn)が1.87であった。
評価試験(溶剤溶解性)
上記実施例4〜6及び比較例1で得られた各樹脂について、PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)/PGME(プロピレングリコールモノメチルエーテル)=6/4(重量比)混合溶媒を加えてポリマー濃度10重量%に調整した。得られたポリマー溶液をシリコンウェハ上にスピンコーティング法により塗布し、温度120℃で90秒間加熱処理を行い、厚み約0.4μmのポリマー層を形成した後、膜の均一性を確認した。膜の表面は均一な溶液が出来ていないものは、ストリエーションが発生していた。実施例4〜6は全く均一な表面であったが、比較例1は表面状態に粗さとストリエーションが見られた。また、ArFエキシマレーザ露光によって得られたパターンも明らかに3つの実施例共に比較例より鮮明であった。

Claims (8)

  1. 下記式(I)
    Figure 2009067893


    (式中、Rは水素原子、ハロゲン原子、又はハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基を示し、Rは下記式(Ia)〜(Ic)
    Figure 2009067893


    (式中、R及びRはハロゲン原子又は炭素数1〜6のアルキル基を示し、mは0〜3の整数値、nは0〜3の整数値を示す。R及びRは同一又は異なって水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を示す)
    のいずれかを示す。)で表されるフォトレジスト用単量体。
  2. 下記式(1)
    Figure 2009067893

    (式中、Rは水素原子、ハロゲン原子、又はハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基を示し、Rは下記式(1a)〜(1c)
    Figure 2009067893


    (式中、R及びRはハロゲン原子又は炭素数1〜6のアルキル基を示し、mは0〜3の整数値、nは0〜3の整数値を示す。R及びRは同一又は異なって水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を示す)
    のいずれかを示す。)で表されるモノマー単位を有するフォトレジスト用高分子化合物。
  3. 前記高分子化合物が更に、下記式(2a)〜(2d)
    Figure 2009067893

    (式中、環Zは置換基を有していてもよい炭素数5〜20の脂環式炭化水素環を示す。Rは水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基を示す。R〜Rは、同一又は異なって、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基を示す。Rは環Zに結合している置換基であって、同一又は異なって、オキソ基、アルキル基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシアルキル基、又は保護基で保護されていてもよいカルボキシル基を示す。但し、p個のRのうち少なくとも1つは、−COOR基を示す。前記Rは置換基を有していてもよい第3級炭化水素基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロピラニル基、又はオキセパニル基を示す。pは1〜3の整数を示す。R10、R11は、同一又は異なって、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基を示す。R12は水素原子又は有機基を示す。R10、R11、R12のうち少なくとも2つが互いに結合して隣接する原子とともに環を形成していてもよい)から選択された少なくとも1種のモノマー単位を含む請求項2記載のフォトレジスト用高分子化合物。
  4. 前記高分子化合物が更に、下記式(3a)〜(3d)
    Figure 2009067893


    (上記式中、Rは水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基を示す。R13〜R15は、同一又は異なって、水素原子、アルキル基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシアルキル基、又は保護基で保護されていてもよいカルボキシル基を示し、V1〜V3は、同一又は異なって、−CH2−、−CO−又は−COO−を示す。但し、(i)V1〜V3のうち少なくとも1つは−CO−若しくは−COO−であるか、又は(ii)R13〜R15のうち少なくとも1つは、保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシアルキル基、又は保護基で保護されていてもよいカルボキシル基である。Xは炭素原子、酸素原子又は硫黄原子を示し、炭素原子のときにのみ置換基R17、R18が存在する。R16〜R20は、同一又は異なって、水素原子、アルキル基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシアルキル基、保護基で保護されていてもよいカルボキシル基、シアノ基、フッ素原子、塩素原子などのハロゲン原子、フッ素原子により置換されている炭素数1〜6のアルキル基を示す。qは1又は2を示し、rは0又は1を示す。Xは炭素原子、酸素原子又は硫黄原子を示し、炭素原子のときはメチレン基である。R21は水素原子又は炭素数1から6のアルキル基を示す。)で表されるモノマー単位を含むことを特徴とする請求項2又は3に記載のフォトレジスト用高分子化合物。
  5. 重量平均分子量が1000〜50000である請求項2〜4のいずれかに記載のフォトレジスト用高分子化合物。
  6. 分子量分布が1.0〜3.0である請求項2〜4のいずれかに記載のフォトレジスト用高分子化合物。
  7. 請求項2〜6のいずれかに記載のフォトレジスト用高分子化合物及び少なくとも光酸発生剤を含むことを特徴とするフォトレジスト組成物。
  8. 請求項7記載のフォトレジスト組成物を使用してパターンを形成することを特徴とする半導体の製造方法。
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