JP2004161827A - フッ素含有有橋脂環式ラクトン構造をもつ不飽和単量体、その重合体、化学増幅レジスト及びパターン形成方法 - Google Patents
フッ素含有有橋脂環式ラクトン構造をもつ不飽和単量体、その重合体、化学増幅レジスト及びパターン形成方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】190nm以下の露光光に対する透明性、基板密着性、及びドライエッチング耐性に優れた化学増幅型レジスト用樹脂材料を提供する。
【解決手段】式(1)で表されるフッ素含有有橋脂環式ラクトン構造を有する不飽和単量体の重合体を用いる。
【化1】
R1、R2は水素原子もしくはアルキル基、またはR1及びR2が結合している炭素原子とともに環を形成するアルキレン基、R3は水素原子又はメチル基、Z1、Z2は水素原子、アルキル基、フッ素原子、フッ素化アルキル基又は式(2)で表される基を表し、少なくとも一方はフッ素原子、フッ素化アルキル基又は式(2)で表される基である。X:−CH2−、−CH2CH2−又は−O−、n:0又は1。
【化2】
R4、R5はアルキル基またはフッ素化アルキル基を表し、少なくとも一方はフッ素化アルキル基、R6は水素原子、アルキル基または酸により分解する基を表す。
【選択図】 なし
【解決手段】式(1)で表されるフッ素含有有橋脂環式ラクトン構造を有する不飽和単量体の重合体を用いる。
【化1】
R1、R2は水素原子もしくはアルキル基、またはR1及びR2が結合している炭素原子とともに環を形成するアルキレン基、R3は水素原子又はメチル基、Z1、Z2は水素原子、アルキル基、フッ素原子、フッ素化アルキル基又は式(2)で表される基を表し、少なくとも一方はフッ素原子、フッ素化アルキル基又は式(2)で表される基である。X:−CH2−、−CH2CH2−又は−O−、n:0又は1。
【化2】
R4、R5はアルキル基またはフッ素化アルキル基を表し、少なくとも一方はフッ素化アルキル基、R6は水素原子、アルキル基または酸により分解する基を表す。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野野】
本発明は、新規なフッ素含有有橋脂環式ラクトン構造を有する単量体およびその重合体に関し、特に波長が190nm以下の遠紫外光を露光光とする化学増幅型レジストに有用な化合物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
半導体デバイスに代表されるハーフミクロンオーダーの微細加工を必要とする各種電子デバイスの製造の分野では、デバイスのより一層の高密度、高集積化の要求が高まっている。そのため、微細パタ−ン形成のためのフォトリソグラフィ技術に対する要求がますます厳しくなっている。特に0.13μm以下の加工技術を必要とする1Gビット以上の集積度を持つDRAMの製造には、ArFエキシマレ−ザ(193nm)を用いたフォトリソグラフィが利用されようとしている。そしてさらに微細なパターンを加工するには、F2エキシマレーザ(157nm)を用いたフォトリソグラフィの利用が最近考えられている(例えば非特許文献1を参照)。
【0003】
このためF2エキシマレーザ光を用いたフォトリソグラフィに対応するレジスト材料の開発が望まれている。このF2エキシマレーザ光の露光用レジストの開発に際しては、レーザの原料であるガスの寿命が短いこと、レーザ装置自体が高価であることなどから、レーザのコストパフォーマンスの向上を満たす必要がある。このため、加工寸法の微細化に対応する高解像性に加え、高感度化への要求が高い。
【0004】
レジストの高感度化の方法として、感光剤である光酸発生剤を利用した化学増幅レジストが良く知られており、現在、KrFエキシマレ−ザ(248nm)用レジストおよびArFエキシマレーザ用レジストに広く用いられている。化学増幅型レジストの特徴は、含有成分である光酸発生剤から光照射により発生したプロトン酸が、露光後の加熱処理によりレジスト樹脂などと酸触媒反応を起こすことである。このようにして光反応効率(一光子あたりの反応)が1未満の従来のレジストに比べて飛躍的な高感度化を達成している。現在では開発されるレジストの大半が化学増幅型である。
【0005】
しかし、F2エキシマレーザ光に代表される190nm以下の短波長光を用いたリソグラフィの場合、微細パターンを形成するためのレジストには従来の材料では満足できない新たな特性、即ち190nm以下の露光光に対する高透明性が必要とされている。
【0006】
従来のKrFエキシマレーザ、ArFエキシマレーザ用のフォトレジスト材料は、主な樹脂成分として、ポリ(p−ビニルフェノール)あるいは脂環式樹脂などが利用されている。しかしこれらの樹脂は180nm以下の波長の光に対する光吸収が極めて強い。そのため、レジスト表面で大部分の露光光が吸収され、露光光が基板まで透過しないため、微細なレジストパタ−ンの形成ができない。このため従来樹脂は、そのまま190nm以下の短波長光を用いたフォトリソグラフィには適用できない。
【0007】
F2エキシマレーザ光(157nm)に対して透明性を持つ高分子化合物として、フッ素原子を含有する樹脂が有望視されている(非特許文献1及び2を参照)。
【0008】
しかし、従来のフッ素含有樹脂は、極性の高い官能基を持たないため基板密着性が低く、そのままでは化学増幅型レジスト用樹脂としては利用できない。
【0009】
【非特許文献1】
R.R.クンツ(R.R.Kunz)ら、ジャーナル・オブ・バキューム・サイエンス・アンド・テクノロジー(Journal of Vacuum Science and Technology)B17巻(6号)、3267−3272頁(1999年)
【非特許文献2】
T.チバ(T.Chiba)ら、ジャーナル・オブ・フォトポリマー・サイエンス・アンド・テクノロジー(Journal of Photopolymer Science and Technology)13巻(4号)、657−664頁(2000年)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、190nm以下の露光光に対する透明性、基板密着性、及びドライエッチング耐性に優れたレジスト用樹脂材料を提供し、また微細なパターンの形成方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、下記一般式(1)で表されるフッ素含有有橋脂環式ラクトン構造を有する不飽和単量体に関する。
【0012】
【化20】
【0013】
(式中、R1、R2はそれぞれ独立に、水素原子もしくは炭素数1〜6のアルキル基を表し、またはR1およびR2は互いにつながり、それらが結合している炭素原子とともに環を形成する炭素数4〜6のアルキレン基を表し、R3は水素原子またはメチル基を表す。Z1、Z2はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、フッ素原子、フッ素化されたアルキル基、または下記一般式(2)で表される基を表し、少なくとも一方は、フッ素原子、フッ素化されたアルキル基、または下記一般式(2)で表される基である。またXは−CH2−、−CH2CH2−、または−O−を表し、nは0または1を表す。)
【0014】
【化21】
【0015】
(式中、R4、R5はそれぞれ独立に、炭素数1〜4のアルキル基またはフッ素化されたアルキル基を表し、少なくとも一方はフッ素化されたアルキル基である。R6は、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、または酸により分解する基を表す。)
【0016】
また本発明は、下記一般式(3)で表されるフッ素含有有橋脂環式ラクトン構造を有する不飽和単量体に関する。
【0017】
【化22】
【0018】
(式中、R1、R2はそれぞれ独立に、水素原子もしくは炭素数1〜6のアルキル基を表し、またはR1およびR2は互いにつながり、それらが結合している炭素原子とともに環を形成する炭素数4〜6のアルキレン基を表し、R3は水素原子またはメチル基を表す。Z3はフッ素原子、フッ素化されたアルキル基、または下記一般式(2)で表される基を表す。またXは−CH2−、−CH2CH2−、または−O−を表し、nは0または1を表す。)
【0019】
【化23】
【0020】
(式中、R4、R5はそれぞれ独立に、炭素数1〜4のアルキル基またはフッ素化されたアルキル基を表し、少なくとも一方はフッ素化されたアルキル基である。R6は、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、または酸により分解する基を表す。)
【0021】
また本発明は、上記のいずれかの単量体の少なくとも1種含む混合物を重合して得られる重合体に関する。
【0022】
また本発明は、下記一般式(4)で表されるフッ素含有有橋脂環式ラクトン構造を有する繰返し構造単位、または下記一般式(5)で表されるフッ素含有有橋脂環式ラクトン構造を有する繰返し構造単位のいずれか一種以上を含むことを特徴とする重合体に関する。
【0023】
【化24】
【0024】
(式中、R1、R2はそれぞれ独立に、水素原子もしくは炭素数1〜6のアルキル基を表し、またはR1およびR2は互いにつながり、それらが結合している炭素原子とともに環を形成する炭素数4〜6のアルキレン基を表し、R3は水素原子またはメチル基を表す。Z1、Z2はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、フッ素原子、フッ素化されたアルキル基、または下記一般式(2)で表される基を表し、少なくとも一方は、フッ素原子、フッ素化されたアルキル基、または下記一般式(2)で表される基である。またXは−CH2−、−CH2CH2−、または−O−を表し、nは0または1を表す。)
【0025】
【化25】
【0026】
(式中、R1、R2はそれぞれ独立に、水素原子もしくは炭素数1〜6のアルキル基を表し、またはR1およびR2は互いにつながり、それらが結合している炭素原子とともに環を形成する炭素数4〜6のアルキレン基を表し、R3は水素原子またはメチル基を表す。Z3はフッ素原子、フッ素化されたアルキル基、または下記一般式(2)で表される基を表す。またXは−CH2−、−CH2CH2−、または−O−を表し、nは0または1を表す。)
【0027】
【化26】
【0028】
(式中、R4、R5はそれぞれ独立に、炭素数1〜4のアルキル基またはフッ素化されたアルキル基を表し、少なくとも一方はフッ素化されたアルキル基である。R6は、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、または酸により分解する基を表す。)
【0029】
また本発明は、下記一般式(6)で表されるフッ素含有有橋脂環式ラクトン構造を有する繰返し構造単位、または下記一般式(7)で表されるフッ素含有有橋脂環式ラクトン構造を有する繰返し構造単位のいずれか一種以上を含むことを特徴とする重合体に関する。
【0030】
【化27】
【0031】
(式中、R1、R2はそれぞれ独立に、水素原子もしくは炭素数1〜6のアルキル基を表し、またはR1およびR2は互いにつながり、それらが結合している炭素原子とともに環を形成する炭素数4〜6のアルキレン基を表し、R3は水素原子またはメチル基を表す。Z1、Z2はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、フッ素原子、フッ素化されたアルキル基、または下記一般式(2)で表される基を表し、少なくとも一方は、フッ素原子、フッ素化されたアルキル基、または下記一般式(2)で表される基である。またXは−CH2−、−CH2CH2−、または−O−を表し、nは0または1を表す。)
【0032】
【化28】
【0033】
(式中、R1、R2はそれぞれ独立に、水素原子もしくは炭素数1〜6のアルキル基を表し、またはR1およびR2は互いにつながり、それらが結合している炭素原子とともに環を形成する炭素数4〜6のアルキレン基を表し、R3は水素原子またはメチル基を表す。Z3はフッ素原子、フッ素化されたアルキル基、または下記一般式(2)で表される基を表す。またXは−CH2−、−CH2CH2−、または−O−を表し、nは0または1を表す。)
【0034】
【化29】
【0035】
(式中、R4、R5はそれぞれ独立に、炭素数1〜4のアルキル基またはフッ素化されたアルキル基を表し、少なくとも一方はフッ素化されたアルキル基である。R6は、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、または酸により分解する基を表す。)
【0036】
また本発明は、下記一般式(8)〜(16)の何れかで表される構造単位のうち少なくとも一種を更に含むことを特徴とする請求項3乃至5の何れかに記載の重合体に関する。
【0037】
【化30】
【0038】
(式中、R7、R8はそれぞれ独立に、水素原子またはフッ素原子であり、R9は水素原子、フッ素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基であり、R10は水素原子、炭素数1〜20の直鎖状、分枝状もしくは環状のアルキル基、フッ素化されたアルキル基、酸により分解する基、酸により分解する基を有する炭素数7〜13の有橋脂環式炭化水素基、または2,6−ノルボルナンカルボラクトン−5−イル基を表す。)
【0039】
【化31】
【0040】
(式中、R11は水素原子または酸により分解する基を表す。)
【0041】
【化32】
【0042】
(式中、R12は水素原子または酸により分解する基を表す。)
【0043】
【化33】
【0044】
【化34】
【0045】
【化35】
【0046】
【化36】
【0047】
【化37】
【0048】
(式中、R13、R14、R15、R16はそれぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、メチル基、トリフルオロメチル基、ヒドロキシ基、ヒドロキシアルキル基、カルボキシ基、または酸により分解しカルボキシ基を生じる炭素数20以下の酸解離性有機基を表す。)
【0049】
【化38】
【0050】
(式中、R17、R18はそれぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、トリフルオロメチル基を表す。)
【0051】
また本発明は、上記の何れかの重合体と、露光により酸を発生する光酸発生剤とを少なくとも含んでなり、該光酸発生剤の、該重合体と該光酸発生剤との合計に占める割合は0.2〜30質量%であることを特徴とする化学増幅レジストに関する。
【0052】
また本発明は、上記の化学増幅レジストを被加工基板上に塗布する工程と、130〜190nmの波長の光で露光する工程と、ベークを行う工程と、現像を行う工程とを少なくとも含むことを特徴とするパターン形成方法に関する。
【0053】
本発明における重合体はフッ素原子及び有橋脂環式ラクトン構造を有している。このため190nm以下の光に対して光透明性が高く、エッチング耐性が高く、優れた基板密着性を実現できる。この理由は、以下の通りであると推定している。
【0054】
第一に、本発明の樹脂は、フッ素原子を有するため、波長が190nm以下の光に対して光透明性が高いと考えられる。
【0055】
第二に、本発明の樹脂は、有橋脂環式構造を有しているため、炭素密度が高く、高いドライエッチング耐性を実現できる。
【0056】
第三に、本発明の樹脂は、γ−ラクトン構造を有しているために、極性が高く基板密着性が良好な化学増幅レジスト用重合体を実現できると考えられる。
【0057】
一般に、ラクトン構造は、エステル構造、エーテル構造およびアルコール構造などに比べ比誘電率が高い。例えば、日本化学会編、化学便覧、基礎編II、改訂3版、第502〜504頁、1984年、丸善(株)刊などによれば、炭素数4の化合物で比較すると、γ−ブチロラクトンの比誘電率は39、酢酸エチルの比誘電率は6.02、ジエチルエーテルの比誘電率は4.335、1−ブタノールの比誘電率は17.51である。中でも、γ−ラクトン構造は適度な比誘電率を有しているため、特に良好な基板密着性を実現できると考えられる。
【0058】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0059】
一般式(1)及び(3)において、R1、R2はそれぞれ独立に、水素原子もしくは炭素数1〜6のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。)を表し、またはR1およびR2は互いにつながり、それらが結合している炭素原子とともに環を形成する、炭素数4〜6のアルキレン基(例えば、ブチレン基[−(CH2)4−]、ペンチレン基[−(CH2)5−]、ヘキシレン基[−(CH2)6−]等が挙げられる。)を表し、R3は水素原子またはメチル基を表す。
【0060】
また、一般式(1)において、Z1、Z2はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。)、フッ素原子、フッ素化されたアルキル基(例えば、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基等が挙げられる。)、または一般式(2)で表される基を表し、少なくとも一方は、フッ素原子、フッ素化されたアルキル基(例えば、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基等が挙げられる。)、または一般式(2)で表される基である。
【0061】
また、一般式(3)において、Z3はフッ素原子、フッ素化されたアルキル基(例えば、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基等が挙げられる。)、または一般式(2)で表される基を表す。
【0062】
また、一般式(1)及び(3)において、Xは−CH2−、−CH2CH2−、または−O−を表し、nは0または1を表す。
【0063】
また、一般式(1)及び(3)における一般式(2)において、R4、R5はそれぞれ独立に、炭素数1〜4のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基等が挙げられる。)、またはフッ素化されたアルキル基(例えば、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基等が挙げられる。)を表し、少なくとも一方はフッ素化されたアルキル基(例えば、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基等が挙げられる。)である。R6は、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。)、または酸により分解する基を表す。ここでいう酸により分解する基は、下記式(A)に示すように酸の作用により酸素とR6の結合が解裂し、ヒドロキシ基を生成する基をいい、例えば、t−ブチル基、t−ブトキシカルボニル基、メトキシメチル基、エトキシエチル基、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基、t−ブトキシカルボニルメチル基等が挙げられる。
【0064】
【化39】
【0065】
具体的には、一般式(1)で表されるフッ素含有有橋脂環式ラクトン構造を有する不飽和単量体としては、例えば以下のような化合物が挙げられる。
【0066】
【化40】
【0067】
また、一般式(3)で表されるフッ素含有有橋脂環式ラクトン構造を有する不飽和単量体としては、例えば以下のような化合物が挙げられる。
【0068】
【化41】
【0069】
一般式(1)で表される不飽和単量体のうち、R1、R2がメチル基、R3が水素原子、Z1が水素原子、Z2が1,1,1、3,3,3−ヘキサフルオロ−2−ヒドロキシ−プロパン−2−イル基(一般式(2)において、R4、R5がトリフルオロメチル基、R6が水素原子である。)、Xがメチレン基(−CH2−)、nが1である不飽和単量体は、例えば以下のようにして合成される。
【0070】
まず、トリシクロ[4.2.1.02,5]−7−ノネン−3,4−ジカルボン酸無水物とメチルマグネシウムブロミドを反応させ、酸で処理することで4−オキソ−5−オキサ−6,6−ジメチルテトラシクロ[7.2.1.02,8.03,7]−10−ドデセンを得ることができる。次に、4−オキソ−5−オキサ−6,6−ジメチルテトラシクロ[7.2.1.02,8.03,7]−10−ドデセンをテトラヒドロフラン中、−78℃でリチウムジイソプロピルアミド等のリチウムアミドで処理した後、ヘキサフルオロアセトンと反応させ、その後、酸で処理することで目的とする不飽和単量体を得た。
【0071】
また、一般式(4)、(5)、(6)及び(7)において、R1、R2はそれぞれ独立に、水素原子もしくは炭素数1〜6のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。)を表し、またはR1およびR2は互いにつながり、それらが結合している炭素原子とともに環を形成する、炭素数4〜6のアルキレン基(例えば、ブチレン基[−(CH2)4−]、ペンチレン基[−(CH2)5−]、ヘキシレン基[−(CH2)6−]等が挙げられる。)を表し、R3は水素原子またはメチル基を表す。
【0072】
また、一般式(4)及び(6)において、Z1、Z2はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。)、フッ素原子、フッ素化されたアルキル基(例えば、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基等が挙げられる。)、または一般式(2)で表される基を表し、少なくとも一方は、フッ素原子、フッ素化されたアルキル基(例えば、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基等が挙げられる。)、または一般式(2)で表される基である。
【0073】
また、一般式(5)及び(7)において、Z3はフッ素原子またはフッ素化されたアルキル基(例えば、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基等が挙げられる。)、または一般式(2)で表される基を表す。
【0074】
また、一般式(4)、(5)、(6)、(7)において、Xは、−CH2−、−CH2CH2−、または−O−を表し、nは0または1を表す。
【0075】
また、一般式(4)、(5)、(6)及び(7)における一般式(2)において、R4、R5はそれぞれ独立に、炭素数1〜4のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基等が挙げられる。)、フッ素化されたアルキル基(例えば、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基等が挙げられる。)を表し、少なくとも一方はフッ素化されたアルキル基(例えば、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基等が挙げられる。)である。R6は、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。)、または酸により分解する基(例えば、t−ブチル基、t−ブトキシカルボニル基、メトキシメチル基、エトキシエチル基、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基、t−ブトキシカルボニルメチル基等が挙げられる。)を表す。
【0076】
具体的には、一般式(4)で表されるフッ素含有有橋脂環式ラクトン構造を有する繰返し構造単位としては、以下のような例が挙げられる。
【0077】
【化42】
【0078】
また、一般式(5)で表されるフッ素含有有橋脂環式ラクトン構造を有する繰返し構造単位としては、以下のような例が挙げられる。
【0079】
【化43】
【0080】
また、一般式(6)で表されるフッ素含有有橋脂環式ラクトン構造を有する繰返し構造単位としては、以下のような例が挙げられる。
【0081】
【化44】
【0082】
また、一般式(7)で表されるフッ素含有有橋脂環式ラクトン構造を有する繰返し構造単位としては、以下のような例が挙げられる。
【0083】
【化45】
【0084】
本発明の重合体は、以上のような繰り返し構造単位を有するものであるが、さらに化学増幅型レジスト用重合体の特性を実現できる繰り返し構造単位を含むことができ、これら繰り返し構造単位に対応するモノマーを共重合することにより得ることができる。本発明の重合体にさらに含まれてもよい繰り返し構造単位としては、対応するモノマーが十分な重合性を有する理由から、下記一般式(8)〜(16)で表される構造単位のうち少なくとも一つが好ましい。
【0085】
【化46】
【0086】
式中、R7、R8はそれぞれ独立に、水素原子またはフッ素原子であり、R9は水素原子、フッ素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基であり、R10は水素原子、炭素数1〜20の直鎖状、分枝状あるいは環状のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、n−ペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、イソボニル基、アダマンチル基、トリシクロデシル基等が挙げられる。)、フッ素化されたアルキル基(例えば、フルオロメチル基、フルオロエチル基、フルオロプロピル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、テトラフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘキサフルオロイソプロピル基、ノナフルオロヘキシル基等が挙げられる。)、酸により分解する基(例えば、t−ブチル基、テトラヒドロピラン−2―イル基、テトラヒドロフラン−2―イル基、4−メトキシテトラヒドロピラン−4―イル基、1−エトキシエチル基、1−ブトキシエチル基、1−プロポキシエチル基、3−オキソシクロヘキシル基、2−メチル−2−アダマンチル基、2−エチル−2−アダマンチル基、1−メチル−1−アダマンチルエチル基、8−メチル−8−トリシクロ[5.2.1.02,6]デシル基、1,2,7,7−テトラメチル−2−ノルボルニル基、2−アセトキシメンチル基、2−ヒドロキシメンチル基、1−メチル−1−シクロヘキシルエチル基等が挙げられる。)、酸により分解する基を有する炭素数7〜13の有橋脂環式炭化水素基(例えば、特許第2856116号公報に記載されているような、酸により分解する基を有する炭素数7〜13の有橋脂環式炭化水素基、すなわちt−ブトキシカルボニルトリシクロ[5.2.1.02,6]デカニル基、t−ブトキシカルボニルアダマンチル基、t−ブトキシカルボニルノルボルニル基、t−ブトキシカルボニルメチルノルボルニル基、t−ブトキシカルボニルイソボルニル基、t−ブトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデシル基、t−ブトキシカルボニルメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]ドデシル基等が挙げられる。)または2,6−ノルボルナンカルボラクトン−5−イル基を表す。
【0087】
【化47】
【0088】
式中、R11は水素原子または酸により分解する基(例えば、t−ブチル基、t−ブトキシカルボニル基、メトキシメチル基、エトキシエチル基、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基、t−ブトキシカルボニルメチル基等が挙げられる。)を表す。
【0089】
【化48】
【0090】
式中、R12は水素原子または酸により分解する基(例えば、t−ブチル基、t−ブトキシカルボニル基、メトキシメチル基、エトキシエチル基、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基、t−ブトキシカルボニルメチル基等が挙げられる。)を表す。
【0091】
【化49】
【0092】
【化50】
【0093】
【化51】
【0094】
【化52】
【0095】
【化53】
【0096】
一般式(12)〜(15)のそれぞれにおいて、R13、R14、R15、R16はそれぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、メチル基、トリフルオロメチル基、ヒドロキシ基、ヒドロキシアルキル基(例えば、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基等が挙げられる。)、カルボキシ基、または酸により分解しカルボキシ基を生じる炭素数20以下の酸解離性有機基(例えば、t−ブトキシカルボニル基、テトラヒドロピラニルオキシカルボニル基、テトラヒドロフラニルオキシカルボニル基、4−メトキシテトラヒドロピラニルオキシカルボニル基、1−エトキシエトキシカルボニル基、1−ブトキシエトキシカルボニル基、1−プロポキシエトキシカルボニル基、3−オキソシクロヘキシルオキシカルボニル基、2−メチル−2−アダマンチルオキシカルボニル基、2−エチル−2−アダマンチルオキシカルボニル基、8−メチル−8−トリシクロ[5.2.1.02,6]デシルオキシカルボニル基、あるいは1,2,7,7−テトラメチル−2−ノルボルニルオキシカルボニル基、2−アセトキシメンチルオキシカルボニル基、2−ヒドロキシメンチルオキシカルボニル基、1−メチル−1−シクロヘキシルエトキシカルボニル基等等が挙げられる。)を表す。また、一般式(12)及び(14)におけるnは0または1である。]
【0097】
【化54】
【0098】
式中、R17、R18はそれぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、トリフルオロメチル基を表す。
【0099】
本発明の重合体においては、所望の特性を得る観点から、一般式(4)、(5)、(6)及び(7)の何れかで表される繰り返し構造単位の共重合体中に占める割合(複数種ある場合はそれらの合計の割合)は、5モル%以上が好ましく、7モル%以上がより好ましく、一方、90モル%以下が好ましく、80モル%以下がより好ましい。
【0100】
本発明の重合体は、ラジカル重合、アニオン重合、付加重合、開環メタセシス重合などの通常の重合方法によって得ることが可能である。例えばラジカル重合の場合、乾燥テトラヒドロフラン中、不活性ガス(アルゴン、窒素など)雰囲気下、適当なラジカル重合開始剤(例えばアゾビスイソブチロニトリル)を加えて50〜70℃で0.5〜24時間加熱攪拌することにより製造される。
【0101】
また例えば付加重合の場合、Macromolecules、29巻、2755−2763頁(1996年)記載のJ.P.Mathewらの方法に準じ、パラジウム化合物(例えば、{(η3−allyl)Pd(BF4)}、{(η3−allyl)Pd(SbF6)}、[Pd(CH3CN)4][BF4]2等)を触媒として用いたり、Journal of Photopolymer Science and Technology、13巻(4号)、657頁〜664頁(2000年)記載のT.Chibaらの方法に準じ、ニッケル化合物[ビス(ペンタフルオロフェニル)ニッケル トルエン錯体]などを触媒として製造することもできる。
【0102】
また、例えば開環メタセシス重合の場合、メタセシス触媒[例えば、W(タングステン)、Mo(モリブデン)、Re(レニウム)などの遷移金属のハロゲン化物等(例えば、WCl6、MoCl5、ReCl3等が挙げられる。)]を用いて開環重合させ、さらにパラジウム等の貴金属触媒を用いて水素化することにより合成される。
【0103】
本発明の重合体の重量平均分子量は、所望の特性を得る点から、2,000〜200,000が好ましい。
【0104】
以上説明した本発明の重合体と、露光により酸を発生する光酸発生剤とを少なくとも混合することにより、化学増幅型レジストを得ることができる。
【0105】
本発明に用いる光酸発生剤は、130nm〜190nmの範囲の光照射により酸を発生する光酸発生剤であることが好ましく、本発明の重合体とともに有機溶媒に十分に溶解し、かつその溶液を用いて、スピンコートなどの製膜法で均一な塗布膜が形成可能なものが好ましい。また、光酸発生剤は、単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。
【0106】
使用可能な光酸発生剤としては、例えばトリアリールスルホニウム塩誘導体、ジアリールヨードニウム塩誘導体、ジアルキルフェナシルスルホニウム塩誘導体、ニトロベンジルスルホナート誘導体、N−ヒドロキシスクシイミドのスルホン酸エステル誘導体等が挙げられるが、これらだけに限定されるものではない。
【0107】
光酸発生剤の含有率は、化学増幅型レジスト組成物の十分な感度を実現し、良好なパターン形成を可能とする観点から、重合体及び光酸発生剤の総和に対して0.2質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましい。一方、均一な塗布膜の形成を実現し、現像後の残渣(スカム)を抑制する観点から、30質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましい。
【0108】
なお、必要に応じて、化学増幅型レジストを調製する際に、適当な溶剤を用いる。
【0109】
この溶剤としては、重合体および光酸発生剤からなる成分が充分に溶解し、かつその溶液がスピンコート法などの方法で均一な塗布膜が形成可能な有機溶媒であれば特に制限されない。また、単独でも2種類以上を混合して用いても良い。
【0110】
具体的には、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、乳酸エチル、酢酸2−メトキシブチル、酢酸2−エトキシエチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、N−メチル−2−ピロリジノン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノール、メチルエチルケトン、1,4−ジオキサン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどが挙げられるが、もちろんこれらだけに限定されるものではない。
【0111】
本発明の化学増幅型レジストは、重合体および光酸発生剤、必要により溶剤を加え、さらに必要に応じて溶解阻止剤、有機塩基、界面活性剤、色素、安定剤、塗布性改良剤、染料などの他の成分を添加して、化学増幅レジストを調製することもできる。
【0112】
以上のようにして得られた化学増幅型レジストを被加工基板上に塗布し、130〜190nmの波長の光で露光し、ベークを行い、現像を行うことによりパターン形成することができる。
【0113】
本発明のパターン形成方法における露光に用いられる光は、F2エキシマレーザ光であることが好ましい。
【0114】
【実施例】
以下に実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、これらは、本発明を何ら限定するものではない。
【0115】
(実施例1)
下記構造のフッ素含有有橋脂環式ラクトン化合物、即ち、一般式(1)において、R1、R2がメチル基、R3が水素原子、Z1が水素原子、Z2が1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−ヒドロキシプロパン−2−イル基、Xがメチレン基、n=1である単量体を合成した。
【0116】
【化55】
【0117】
メチルマグネシウムブロミド3mol/lジエチルエーテル溶液250g中に、アルゴン雰囲気下、氷冷下でトリシクロ[4.2.1.02,5]−7−ノネン−3,4−ジカルボン酸無水物(J.Am.Chem.Soc.94巻、787−792頁(1972年)記載の方法に従い合成)40gを乾燥テトラヒドロフラン(以下THFと略す)400mlに溶解したものを滴下し、その後室温で2時間攪拌した。氷冷下10%塩酸を加え、反応溶液を酸性にし、その後40℃で1時間攪拌した。ジエチルエーテル300mlを加え、有機層を4%炭酸水素ナトリウム溶液、食塩水の順に洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。ジエチルエーテルを減圧下留去し、残渣をトルエンで再結晶することで4−オキソ−5−オキサ−6,6−ジメチルテトラシクロ[7.2.1.02,8.03,7]−10−ドデセンを10g得た。
【0118】
次に、リチウムジイソプロピルアミド2mol/Lエチルベンゼン/THF/ヘプタンの溶液(以下LDA溶液と略す)100mlに、アルゴン雰囲気下、−78℃で4−オキソ−5−オキサ−6,6−ジメチルテトラシクロ[7.2.1.02,8.03,7]−10−ドデセン6gを乾燥THF10mlに溶解したものを滴下した。−78℃で1時間攪拌した後、ヘキサフルオロアセトン(ヘキサフルオロアセトン水和物11gと濃硫酸15mlから発生させる)を吹き込んだ。さらに30分攪拌後、10%塩酸で溶液を酸性にし、有機層をジエチルエーテル200mlで抽出した。ジエチルエーテル層を食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧下留去した。残渣にヘキサン30mlを加え攪拌し、結晶を析出させた。この結晶をろ別し、トルエン/ヘキサン(1/1)混合溶媒で再結晶することで目的物を6.2g得た(白色固体、収率57%)。
【0119】
得られた単量体の1H−NMR(CDCl3)の測定結果は次の通りであった;
δ:1.33(1H,d)、1.48(6H,s)、1.96(1H,d)、2.15−2.19(2H,m)、2.81(1H,d)、2.86(1H,s)、3.24(1H,s)、3.54(1H,s)、6.00−6.09(2H,m)。
【0120】
また、IR(KBr)の測定結果は次の通りであった;IR(KBr)/cm−1:3306(νO−H)、3065,3018,2988,2965(νC−H)、1739(νC=O)、1276,1213,1170,1136,1104,1053。
【0121】
(実施例2)
下記構造のフッ素含有有橋脂環式ラクトン化合物、即ち、一般式(1)において、R1、R2がメチル基、R3が水素原子、Z1が水素原子、Z2がフルオロメチル基、Xがメチレン基、n=0である単量体を合成した。
【0122】
【化56】
【0123】
3mol/Lのメチルマグネシウムブロミドジエチルエーテル溶液250gに氷冷下、アルゴン雰囲気下で5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物34.47gを乾燥THF100mlに溶解したものを滴下した。その後室温で2時間攪拌し、反応溶液に10%塩酸を加え、反応溶液を酸性にし、さらに40℃で1時間攪拌した。ジエチルエーテル200mlを加え、3%炭酸水素ナトリウム水溶液、食塩水の順に洗浄した。硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を留去した。残渣を減圧蒸留(106−107℃/0.6mmHg)することで3−オキソ−4−オキサ−5,5−ジメチルトリシクロ[5.2.1.02,6]−8−ノネンを20.12g得た。
【0124】
次に、LDA溶液31mlに、アルゴン雰囲気下、−78℃で3−オキソ−4−オキサ−5,5−ジメチルトリシクロ[5.2.1.02,6]−8−ノネン10gを乾燥THF15mlに溶解したものを滴下した。−78℃で1時間攪拌した後、ホルムアルデヒド(パラホルムアルデヒドの熱分解で発生させる)を10分間吹き込んだ。さらに30分攪拌後、10%塩酸で溶液を酸性にし、有機層をジエチルエーテル200mlで抽出した。ジエチルエーテル層を食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧下留去した。残渣をトルエンで再結晶することで、2−ヒドロキシメチル−3−オキソ−4−オキサ−5,5−ジメチルトリシクロ[5.2.1.02,6]−8−ノネンを5.94得た(収率51%)。
【0125】
次に、2−ヒドロキシメチル−3−オキソ−4−オキサ−5,5−ジメチルトリシクロ[5.2.1.02,6]−8−ノネン1.8g、ピリジン2.73gを乾燥塩化メチレン10mlに溶解し、そこにp−トルエンスルホン酸クロリド1.81gを加え、室温で7時間攪拌した。ジエチルエーテル50mlを加え、0.5N塩酸、3%炭酸水素ナトリウム、食塩水の順に洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を留去した。残渣をヘキサンで洗浄することで、2−(p−トルエンスルホニルオキシメチル)−3−オキソ−4−オキサ−5,5−ジメチルトリシクロ[5.2.1.02,6]−8−ノネンを2.16g得た(収率69%)。
【0126】
次に、2−(p−トルエンスルホニルオキシメチル)−3−オキソ−4−オキサ−5,5−ジメチルトリシクロ[5.2.1.02,6]−8−ノネン1.5gを1mol/LテトラブチルアンムニウムフルオリドTHF溶液12mlに溶解し、12時間加熱還流した。放冷後、ジエチルエーテル50mlを加え、食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムで分離精製(溶出液:ヘキサン/酢酸エチル=2/1)することで目的物を0.45g得た(粘性液体、収率52%)。
【0127】
得られた単量体の1H−NMR(CDCl3)の測定結果は次の通りであった;
δ:1.39(3H,s)、1.43(3H,s)、1.58−1.68(2H,m)、2.76(1H,d)、2.83(1H,s)、3.13(1H,s)、4.47(1H,dd)、4.99(1H,dd)、6.23−6.25(1H,m)、6.36−6.38(1H,m)。
【0128】
また、IR(KBr)の測定結果は次の通りであった;IR(KBr)/cm−1:3070,2978,2879(νC−H)、1756(νC=O)、1272,1222,1182,1136,1085。
【0129】
(実施例3)
下記構造のフッ素含有有橋脂環式ラクトン化合物、即ち、一般式(1)において、R1、R2、R3が水素原子、Z1、Z2がフッ素原子、Xがメチレン基、n=1である単量体を合成した。
【0130】
【化57】
【0131】
ジフルオロマレイン酸無水物(USP2891968記載に準じて合成)5gとクアドリシクラン5.15gをクロロホルム10mlに溶解し、2時間加熱還流した。放冷後、クロロホルムと未反応のクアドリシクランを減圧下留去することで、2,6−ジフルオロ−3,5−ジオキソ−4−オキサトリシクロ[5.2.1.02,6]−8−ノネンを8g得た(収率95%)。
【0132】
次に90%水素化ホウ素ナトリウム0.938gを乾燥THFに分散させ、アルゴン雰囲気下、氷冷下に、2,6−ジフルオロ−3,5−ジオキソ−4−オキサトリシクロ[5.2.1.02,6]−8−ノネン5gを乾燥THF20mlに溶解したものを滴下した。室温で2時間攪拌後、10%塩酸で酸性にし、50℃で1時間攪拌した。ジエチルエーテル100mlを加え、食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧下留去する。残渣をシリカゲルカラムで分離精製(溶出液:ヘキサン/酢酸エチル=3/1)することで目的物を0.4g得た(収率8.5%)。
【0133】
得られた単量体の1H−NMR(CDCl3)の測定結果は次の通りであった;
δ:1.20−1.46(2H,m)、2.58−2.70(2H,m)、3.09(1H,s)、3.17(1H,s)、4.37−4.66(2H,m)、6.18−6.20(2H,m)。
【0134】
また、IR(KBr)の測定結果は次の通りであった;IR(KBr)/cm−1:2981(νC−H)、1794(νC=O)、1234,1193,1162,1056。
【0135】
(実施例4)
下記構造のフッ素含有有橋脂環式ラクトン化合物、即ち、一般式(1)において、R1、R2がメチル基、R3が水素原子、Z1が水素原子、Z2が1,1,1−トリフルオロ−2−ヒドロキシプロパン−2−イル基、Xがメチレン基、n=0である単量体を合成した。
【0136】
【化58】
【0137】
3mol/Lのメチルマグネシウムブロミドジエチルエーテル溶液250gに、氷冷下、アルゴン雰囲気下で5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物34.47gを乾燥THF100mlに溶解したものを滴下した。その後室温で2時間攪拌し、反応溶液に10%塩酸を加え、反応溶液を酸性にし、さらに40℃で1時間攪拌した。ジエチルエーテル200mlを加え、3%炭酸水素ナトリム水溶液、食塩水の順に洗浄した。硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を留去した。残渣を減圧蒸留(106−107℃/0.6mmHg)することで3−オキソ−4−オキサ−5,5−ジメチルトリシクロ[5.2.1.02,6]−8−ノネンを20.12g得た。
【0138】
次に、LDA溶液62mlに、アルゴン雰囲気下、−78℃で3−オキソ−4−オキサ−5,5−ジメチルトリシクロ[5.2.1.02,6]−8−ノネン20gを乾燥THF15mlに溶解したものを滴下した。−78℃で1時間攪拌した後、トリフルオロアセトン25gを滴下した。さらに30分攪拌後、10%塩酸で溶液を酸性にし、有機層をジエチルエーテル200mlで抽出した。ジエチルエーテル層を食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧下留去した。残渣にヘキサン30mlを加え攪拌し、結晶を析出させた。この結晶をろ別し、トルエン/ヘキサン(5/1)混合溶媒で再結晶することで目的物を11.65得た(白色固体、収率36%)。
【0139】
得られた単量体の1H−NMR(CDCl3)の測定結果は次の通りであった;
δ:1.41,1.43(3H,s)、1.528,1.534(3H,s)、1.58−1.80(5H,m)、3.02−3.11(2H,m)、3.27,3.60(1H,s)、4.24,4.50(1H,s)、6.27−6.41(2H,m)。
【0140】
(実施例5)
下記反応式に従いフッ素含有有橋脂環式ラクトン化合物、即ち、一般式(3)において、R1、R2がメチル基、R3が水素原子、Z3が1,1,1−トリフルオロ−2−ヒドロキシプロパン−2−イル基、Xがメチレン基、n=0である単量体を合成した。
【0141】
【化59】
【0142】
5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物の代わりに上記無水物1を用いた以外は実施例4と同様に合成した(収率21%)。
【0143】
(実施例6)
下記構造の重合体、即ち、一般式(4)において、R1、R2がメチル基、R3が水素原子、Z1が水素原子、Z2が1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−ヒドロキシプロパン−2−イル基、Xがメチレン基、n=1である重合体を合成した。
【0144】
【化60】
【0145】
テトラキス(アセトニトリル)パラジウム(II)ビス(テトラヒドロほう酸塩)0.024gをニトロメタン1mlに溶解したものを、実施例1で得られた単量体1gをニトロメタン29mlに溶解した溶液に加えた。室温で120時間撹拌した後、溶液を1/4程度に減圧下濃縮し、ジエチルエーテル100mlに加え、析出した樹脂を濾別することにより、目的とする重合体0.22gを得た(収率22%)。得られた重合体の重量平均分子量(Mw)は6800(ポリスチレン換算)、分散度(Mw/Mn)は1.95であった。
【0146】
(実施例7)
一般式(4)において、R1、R2がメチル基、R3が水素原子、Z1が水素原子、Z2が1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−ヒドロキシプロパン−2−イル基、Xがメチレン基、n=1である下記構造単位33モル%と、一般式(8)において、R7,R8が水素原子、R9がトリフルオロメチル基、R10がt−ブチル基である下記構造単位67%とからなる重合体を合成した。
【0147】
【化61】
【0148】
実施例1で得た単量体6gとα−トリフルオロメチルアクリル酸t−ブチル6.49gを乾燥THF6mlに溶解し、そこにアゾビスイソブチロニトリル319mgを加え、加熱還流した。15時間後放冷し、ヘキサン100mlに注ぎ、析出した樹脂をろ別することで、目的とする重合体を5.7g得た(収率39%)。得られた重合体の重量平均分子量(Mw)は9500(ポリスチレン換算)、分散度(Mw/Mn)は2.66であった。
【0149】
(実施例8)
一般式(4)において、R1、R2がメチル基、R3が水素原子、Z1が水素原子、Z2が1,1,1−トリフルオロ−2−ヒドロキシプロパン−2−イル基、Xがメチレン基、n=0である下記構造単位33モル%と、一般式(8)において、R7,R8が水素原子、R9がトリフルオロメチル基、R10がt−ブチル基である下記構造単位67%とからなる重合体を合成した。
【0150】
【化62】
【0151】
実施例1で得た単量体6gに代えて、実施例4で得た単量体4.7gを用いた以外は実施例7と同様にして重合体を得た(収率37%)。得られた重合体の重量平均分子量(Mw)は8600、分散度(Mw/Mn)は2.34であった。
【0152】
(実施例9)
一般式(5)において、R1、R2がメチル基、R3が水素原子、Z3が1,1,1−トリフルオロ−2−ヒドロキシプロパン−2−イル基、Xがメチレン基、n=0である下記構造単位33モル%と、一般式(8)において、R7,R8が水素原子、R9がトリフルオロメチル基、R10がt−ブチル基である下記構造単位67%とからなる重合体を合成した。
【0153】
【化63】
【0154】
実施例1で得た単量体6gに代えて、実施例5で得た単量体4.6gを用いた以外は実施例7と同様にして上記構造単位を有する重合体を得た(収率26%)。得られた重合体の重量平均分子量(Mw)は9100(ポリスチレン換算)、分散度(Mw/Mn)は2.41であった。
【0155】
(実施例10)
一般式(4)において、R1、R2がメチル基、R3が水素原子、Z1が水素原子、Z2が1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−ヒドロキシプロパン−2−イル基、Xがメチレン基、n=1である下記構造単位20モル%と、一般式(10)において、R8が水素原子である下記構造単位50モル%と、一般式(10)において、R8がメトキシメチル基である下記構造単位30モル%とからなる重合体を合成した。
【0156】
【化64】
【0157】
テトラキス(アセトニトリル)パラジウム(II)ビス(テトラヒドロほう酸塩)0.12gをニトロメタン5mlに溶解したものを、実施例1で得られた単量体2gと、5−(2−トリフルオロメチル−1,1,1−トリフルオロ−2−ヒドロキシプロピル)−2−ノルボルネン7.4gと、5−(2−トリフルオロメチル−1,1,1−トリフルオロ−2−メトキシメトキシプロピル)−2−ノルボルネン5.15gとをニトロメタン25mlに溶解した溶液に加える。室温で120時間撹拌した後、ヘキサン100mlに加え、析出した樹脂を濾別することにより、目的とする重合体3.36gを得た(収率23%)。得られた重合体の重量平均分子量(Mw)は7900(ポリスチレン換算)、分散度(Mw/Mn)は2.01であった。
【0158】
(実施例11)
一般式(4)において、R1、R2がメチル基、R3が水素原子、Z1が水素原子、Z2が1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−ヒドロキシプロパン−2−イル基、Xがメチレン基、n=1である下記構造単位20モル%と、一般式(10)において、R8が水素原子である下記構造単位50モル%と、一般式(12)において、R13,R14,R15が水素原子、R16がt−ブトキシカルボニル基、n=0である下記構造単位30モル%とからなる重合体を合成した。
【0159】
【化65】
【0160】
5−(2−トリフルオロメチル−1,1,1−トリフルオロ−2−メトキシメトキシプロピル)−2−ノルボルネン7.4gに代えて、2−ノルボルネン−5−カルボン酸t−ブチルエステル3.15gを用いた以外は実施例10と同様にして重合体を得た(収率21%)。得られた重合体の重量平均分子量(Mw)は7400(ポリスチレン換算)、分散度(Mw/Mn)は2.12であった。
【0161】
(実施例12)
〔重合体の透明性の評価〕
実施例7で得た樹脂0.08gをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート0.45gに溶解し、次いでフィルターを用い濾過した。次にフッ化カルシウム板上にスピンコート塗布し、110℃、120秒間ホットプレート上でベーキングを行い、膜厚0.3μmの薄膜を形成した。
【0162】
この薄膜について、真空紫外分光光度計(日本分光製VUV−201)を用いてF2エキシマレーザ光の中心波長である157nmにおける透過率を測定した。
【0163】
同様にして、実施例8、実施例10、実施例11で得た樹脂についても測定した。また比較例としてKrFレジスト用樹脂であるポリ(p−ヒドロキシスチレン)の透過率も測定した。
【0164】
測定の結果、透過率は実施例7で得た重合体が49%/0.1μm、実施例8の重合体が46%/0.1μm、実施例10の重合体が60%/0.1μm、実施例11の重合体が42%/0.1μmであった。またポリ(p−ヒドロキシスチレン)の透過率が20%/0.1μmであった。この結果から、本発明の重合体は、157nmの光に対して高い透明性を示すことを確認できた。
【0165】
(実施例13)
〔本発明の樹脂を用いたレジストの露光実験〕
下記の組成からなるレジストを調製した。
【0166】
レジストの組成:
(a)重合体(実施例7):1.5g
(b)光酸発生剤(トリフェニルスルホニウムノナフレート):0.06g
(c)プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート:10g
上記混合物を0.2μmのテフロンフィルターを用いてろ過し、レジストを調製した。
【0167】
4インチシリコン基板上に、上記レジストをスピンコート塗布し、110℃2分間ホットプレート上でベークし、膜厚0.1μmの薄膜を形成した。
【0168】
得られた薄膜に対して、F2レーザを用い、5mm角の露光面積で露光した。その後すぐさま130℃、60秒間ホットプレート上でベークし、液温23℃の2.38%(CH3)4NOH(TMAH)水溶液で60秒間浸漬法による現像を行い、続けて60秒間純水でリンス処理を行った。そして露光量とレジストの残存膜厚の関係を調べた結果、露光量15mJ/cm2の時にレジスト膜厚が0となり、ポジ型レジストとしての挙動を示した。
【0169】
同様に、実施例10で得た重合体を用いたレジストと実施例11で得た重合体を用いたレジストについても評価した。その結果、レジスト膜厚が0になった露光量は、実施例10で得た重合体を用いたレジストでは20mJ/cm2、また実施例11で得た重合体を用いたレジストでは11mJ/cm2となり、ポジ型レジストとしての挙動を示した。
【0170】
(実施例14)
〔本発明の樹脂を用いたレジストのパターニング実験〕
下記の組成からなるレジストを調製した。
【0171】
レジストの組成:
(a)重合体(実施例7):1.5g
(b)光酸発生剤(トリフェニルスルホニウムノナフレート):0.03g
(c)プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート:9g
上記混合物を0.2μmのテフロンフィルターを用いてろ過し、レジストを調製した。
【0172】
8インチシリコン基板上に有機反射防止膜を0.1μm厚に塗布した基板上に、上記レジストをスピンコート塗布し、130℃、1分間ホットプレート上でベークし、膜厚0.3μmの薄膜を形成した。
【0173】
得られた薄膜に対して、ArF縮小露光装置(ニコン製、NA=0.6)を用いて露光した。その後、直ちに135℃、60秒間ホットプレート上でベークし、液温23℃の2.38%(CH3)4NOH(TMAH)水溶液で60秒間浸漬法による現像を行い、続けて60秒間純水でリンス処理を行った。その結果、レジスト膜の露光部分のみが現像液に溶解除去されポジ型のパターンが得られた。同様にして実施例10で得た重合体を用いたレジストと実施例11で得た重合体を用いたレジストについても評価した。表1に、これらのレジストの感度および解像度の評価結果を示す。
【0174】
【表1】
【0175】
以上の結果から、本発明の重合体を用いたレジストは優れた解像特性を有することが分かった。
【0176】
〔基板密着性の評価〕
上記のパターニングをした基板をSEMにより観察した。その結果、パターン剥がれなどは観測されず、十分な基板密着性を確認できた。
【0177】
(実施例15)
〔エッチング耐性の評価〕
実施例7で得た重合体2gをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート10gに溶解し、次いでフィルターを用いてろ過した。次に、3インチシリコン基板上にスピンコート塗布し、90℃、60秒間ホットプレート上でベーキングを行い、膜厚0.7μmの薄膜を形成した。
【0178】
得られた薄膜について、日電アネルバ製DEM451リアクティブイオンエッチング(RIE)装置を用いてCF4ガスに対するエッチング速度を測定した(エッチング条件;Power:100W、圧力:5Pa、ガス流量:30sccm)。その結果を表2に示す。
【0179】
同様にして、実施例10で得た重合体と実施例11で得た重合体についてもエッチング速度を測定した。
【0180】
また、比較例としてKrFレジストのベース樹脂として使用されているポリ(p−ビニルフェノール)塗布膜、および分子構造に有橋環式炭化水素基も持たない樹脂であるポリ(メチルメタクリレート)塗布膜の結果も示す。なおエッチング速度はポリ(p−ビニルフェノール)に対して規格化した。
【0181】
【表2】
【0182】
以上の結果から、本発明の重合体はCF4ガスに対するエッチング速度がポリ(メチルメタクリレート)より遅く、ドライエッチング耐性に優れていることが示された。
【0183】
【発明の効果】
以上に説明したことから明らかなように、本発明の重合体を用いることで、透明性、基板密着性、およびドライエッチング耐性に優れた化学増幅型レジストが得られ、半導体素子製造に必要な微細パターン形成が可能である。
【発明の属する技術分野野】
本発明は、新規なフッ素含有有橋脂環式ラクトン構造を有する単量体およびその重合体に関し、特に波長が190nm以下の遠紫外光を露光光とする化学増幅型レジストに有用な化合物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
半導体デバイスに代表されるハーフミクロンオーダーの微細加工を必要とする各種電子デバイスの製造の分野では、デバイスのより一層の高密度、高集積化の要求が高まっている。そのため、微細パタ−ン形成のためのフォトリソグラフィ技術に対する要求がますます厳しくなっている。特に0.13μm以下の加工技術を必要とする1Gビット以上の集積度を持つDRAMの製造には、ArFエキシマレ−ザ(193nm)を用いたフォトリソグラフィが利用されようとしている。そしてさらに微細なパターンを加工するには、F2エキシマレーザ(157nm)を用いたフォトリソグラフィの利用が最近考えられている(例えば非特許文献1を参照)。
【0003】
このためF2エキシマレーザ光を用いたフォトリソグラフィに対応するレジスト材料の開発が望まれている。このF2エキシマレーザ光の露光用レジストの開発に際しては、レーザの原料であるガスの寿命が短いこと、レーザ装置自体が高価であることなどから、レーザのコストパフォーマンスの向上を満たす必要がある。このため、加工寸法の微細化に対応する高解像性に加え、高感度化への要求が高い。
【0004】
レジストの高感度化の方法として、感光剤である光酸発生剤を利用した化学増幅レジストが良く知られており、現在、KrFエキシマレ−ザ(248nm)用レジストおよびArFエキシマレーザ用レジストに広く用いられている。化学増幅型レジストの特徴は、含有成分である光酸発生剤から光照射により発生したプロトン酸が、露光後の加熱処理によりレジスト樹脂などと酸触媒反応を起こすことである。このようにして光反応効率(一光子あたりの反応)が1未満の従来のレジストに比べて飛躍的な高感度化を達成している。現在では開発されるレジストの大半が化学増幅型である。
【0005】
しかし、F2エキシマレーザ光に代表される190nm以下の短波長光を用いたリソグラフィの場合、微細パターンを形成するためのレジストには従来の材料では満足できない新たな特性、即ち190nm以下の露光光に対する高透明性が必要とされている。
【0006】
従来のKrFエキシマレーザ、ArFエキシマレーザ用のフォトレジスト材料は、主な樹脂成分として、ポリ(p−ビニルフェノール)あるいは脂環式樹脂などが利用されている。しかしこれらの樹脂は180nm以下の波長の光に対する光吸収が極めて強い。そのため、レジスト表面で大部分の露光光が吸収され、露光光が基板まで透過しないため、微細なレジストパタ−ンの形成ができない。このため従来樹脂は、そのまま190nm以下の短波長光を用いたフォトリソグラフィには適用できない。
【0007】
F2エキシマレーザ光(157nm)に対して透明性を持つ高分子化合物として、フッ素原子を含有する樹脂が有望視されている(非特許文献1及び2を参照)。
【0008】
しかし、従来のフッ素含有樹脂は、極性の高い官能基を持たないため基板密着性が低く、そのままでは化学増幅型レジスト用樹脂としては利用できない。
【0009】
【非特許文献1】
R.R.クンツ(R.R.Kunz)ら、ジャーナル・オブ・バキューム・サイエンス・アンド・テクノロジー(Journal of Vacuum Science and Technology)B17巻(6号)、3267−3272頁(1999年)
【非特許文献2】
T.チバ(T.Chiba)ら、ジャーナル・オブ・フォトポリマー・サイエンス・アンド・テクノロジー(Journal of Photopolymer Science and Technology)13巻(4号)、657−664頁(2000年)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、190nm以下の露光光に対する透明性、基板密着性、及びドライエッチング耐性に優れたレジスト用樹脂材料を提供し、また微細なパターンの形成方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、下記一般式(1)で表されるフッ素含有有橋脂環式ラクトン構造を有する不飽和単量体に関する。
【0012】
【化20】
【0013】
(式中、R1、R2はそれぞれ独立に、水素原子もしくは炭素数1〜6のアルキル基を表し、またはR1およびR2は互いにつながり、それらが結合している炭素原子とともに環を形成する炭素数4〜6のアルキレン基を表し、R3は水素原子またはメチル基を表す。Z1、Z2はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、フッ素原子、フッ素化されたアルキル基、または下記一般式(2)で表される基を表し、少なくとも一方は、フッ素原子、フッ素化されたアルキル基、または下記一般式(2)で表される基である。またXは−CH2−、−CH2CH2−、または−O−を表し、nは0または1を表す。)
【0014】
【化21】
【0015】
(式中、R4、R5はそれぞれ独立に、炭素数1〜4のアルキル基またはフッ素化されたアルキル基を表し、少なくとも一方はフッ素化されたアルキル基である。R6は、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、または酸により分解する基を表す。)
【0016】
また本発明は、下記一般式(3)で表されるフッ素含有有橋脂環式ラクトン構造を有する不飽和単量体に関する。
【0017】
【化22】
【0018】
(式中、R1、R2はそれぞれ独立に、水素原子もしくは炭素数1〜6のアルキル基を表し、またはR1およびR2は互いにつながり、それらが結合している炭素原子とともに環を形成する炭素数4〜6のアルキレン基を表し、R3は水素原子またはメチル基を表す。Z3はフッ素原子、フッ素化されたアルキル基、または下記一般式(2)で表される基を表す。またXは−CH2−、−CH2CH2−、または−O−を表し、nは0または1を表す。)
【0019】
【化23】
【0020】
(式中、R4、R5はそれぞれ独立に、炭素数1〜4のアルキル基またはフッ素化されたアルキル基を表し、少なくとも一方はフッ素化されたアルキル基である。R6は、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、または酸により分解する基を表す。)
【0021】
また本発明は、上記のいずれかの単量体の少なくとも1種含む混合物を重合して得られる重合体に関する。
【0022】
また本発明は、下記一般式(4)で表されるフッ素含有有橋脂環式ラクトン構造を有する繰返し構造単位、または下記一般式(5)で表されるフッ素含有有橋脂環式ラクトン構造を有する繰返し構造単位のいずれか一種以上を含むことを特徴とする重合体に関する。
【0023】
【化24】
【0024】
(式中、R1、R2はそれぞれ独立に、水素原子もしくは炭素数1〜6のアルキル基を表し、またはR1およびR2は互いにつながり、それらが結合している炭素原子とともに環を形成する炭素数4〜6のアルキレン基を表し、R3は水素原子またはメチル基を表す。Z1、Z2はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、フッ素原子、フッ素化されたアルキル基、または下記一般式(2)で表される基を表し、少なくとも一方は、フッ素原子、フッ素化されたアルキル基、または下記一般式(2)で表される基である。またXは−CH2−、−CH2CH2−、または−O−を表し、nは0または1を表す。)
【0025】
【化25】
【0026】
(式中、R1、R2はそれぞれ独立に、水素原子もしくは炭素数1〜6のアルキル基を表し、またはR1およびR2は互いにつながり、それらが結合している炭素原子とともに環を形成する炭素数4〜6のアルキレン基を表し、R3は水素原子またはメチル基を表す。Z3はフッ素原子、フッ素化されたアルキル基、または下記一般式(2)で表される基を表す。またXは−CH2−、−CH2CH2−、または−O−を表し、nは0または1を表す。)
【0027】
【化26】
【0028】
(式中、R4、R5はそれぞれ独立に、炭素数1〜4のアルキル基またはフッ素化されたアルキル基を表し、少なくとも一方はフッ素化されたアルキル基である。R6は、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、または酸により分解する基を表す。)
【0029】
また本発明は、下記一般式(6)で表されるフッ素含有有橋脂環式ラクトン構造を有する繰返し構造単位、または下記一般式(7)で表されるフッ素含有有橋脂環式ラクトン構造を有する繰返し構造単位のいずれか一種以上を含むことを特徴とする重合体に関する。
【0030】
【化27】
【0031】
(式中、R1、R2はそれぞれ独立に、水素原子もしくは炭素数1〜6のアルキル基を表し、またはR1およびR2は互いにつながり、それらが結合している炭素原子とともに環を形成する炭素数4〜6のアルキレン基を表し、R3は水素原子またはメチル基を表す。Z1、Z2はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、フッ素原子、フッ素化されたアルキル基、または下記一般式(2)で表される基を表し、少なくとも一方は、フッ素原子、フッ素化されたアルキル基、または下記一般式(2)で表される基である。またXは−CH2−、−CH2CH2−、または−O−を表し、nは0または1を表す。)
【0032】
【化28】
【0033】
(式中、R1、R2はそれぞれ独立に、水素原子もしくは炭素数1〜6のアルキル基を表し、またはR1およびR2は互いにつながり、それらが結合している炭素原子とともに環を形成する炭素数4〜6のアルキレン基を表し、R3は水素原子またはメチル基を表す。Z3はフッ素原子、フッ素化されたアルキル基、または下記一般式(2)で表される基を表す。またXは−CH2−、−CH2CH2−、または−O−を表し、nは0または1を表す。)
【0034】
【化29】
【0035】
(式中、R4、R5はそれぞれ独立に、炭素数1〜4のアルキル基またはフッ素化されたアルキル基を表し、少なくとも一方はフッ素化されたアルキル基である。R6は、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、または酸により分解する基を表す。)
【0036】
また本発明は、下記一般式(8)〜(16)の何れかで表される構造単位のうち少なくとも一種を更に含むことを特徴とする請求項3乃至5の何れかに記載の重合体に関する。
【0037】
【化30】
【0038】
(式中、R7、R8はそれぞれ独立に、水素原子またはフッ素原子であり、R9は水素原子、フッ素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基であり、R10は水素原子、炭素数1〜20の直鎖状、分枝状もしくは環状のアルキル基、フッ素化されたアルキル基、酸により分解する基、酸により分解する基を有する炭素数7〜13の有橋脂環式炭化水素基、または2,6−ノルボルナンカルボラクトン−5−イル基を表す。)
【0039】
【化31】
【0040】
(式中、R11は水素原子または酸により分解する基を表す。)
【0041】
【化32】
【0042】
(式中、R12は水素原子または酸により分解する基を表す。)
【0043】
【化33】
【0044】
【化34】
【0045】
【化35】
【0046】
【化36】
【0047】
【化37】
【0048】
(式中、R13、R14、R15、R16はそれぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、メチル基、トリフルオロメチル基、ヒドロキシ基、ヒドロキシアルキル基、カルボキシ基、または酸により分解しカルボキシ基を生じる炭素数20以下の酸解離性有機基を表す。)
【0049】
【化38】
【0050】
(式中、R17、R18はそれぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、トリフルオロメチル基を表す。)
【0051】
また本発明は、上記の何れかの重合体と、露光により酸を発生する光酸発生剤とを少なくとも含んでなり、該光酸発生剤の、該重合体と該光酸発生剤との合計に占める割合は0.2〜30質量%であることを特徴とする化学増幅レジストに関する。
【0052】
また本発明は、上記の化学増幅レジストを被加工基板上に塗布する工程と、130〜190nmの波長の光で露光する工程と、ベークを行う工程と、現像を行う工程とを少なくとも含むことを特徴とするパターン形成方法に関する。
【0053】
本発明における重合体はフッ素原子及び有橋脂環式ラクトン構造を有している。このため190nm以下の光に対して光透明性が高く、エッチング耐性が高く、優れた基板密着性を実現できる。この理由は、以下の通りであると推定している。
【0054】
第一に、本発明の樹脂は、フッ素原子を有するため、波長が190nm以下の光に対して光透明性が高いと考えられる。
【0055】
第二に、本発明の樹脂は、有橋脂環式構造を有しているため、炭素密度が高く、高いドライエッチング耐性を実現できる。
【0056】
第三に、本発明の樹脂は、γ−ラクトン構造を有しているために、極性が高く基板密着性が良好な化学増幅レジスト用重合体を実現できると考えられる。
【0057】
一般に、ラクトン構造は、エステル構造、エーテル構造およびアルコール構造などに比べ比誘電率が高い。例えば、日本化学会編、化学便覧、基礎編II、改訂3版、第502〜504頁、1984年、丸善(株)刊などによれば、炭素数4の化合物で比較すると、γ−ブチロラクトンの比誘電率は39、酢酸エチルの比誘電率は6.02、ジエチルエーテルの比誘電率は4.335、1−ブタノールの比誘電率は17.51である。中でも、γ−ラクトン構造は適度な比誘電率を有しているため、特に良好な基板密着性を実現できると考えられる。
【0058】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0059】
一般式(1)及び(3)において、R1、R2はそれぞれ独立に、水素原子もしくは炭素数1〜6のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。)を表し、またはR1およびR2は互いにつながり、それらが結合している炭素原子とともに環を形成する、炭素数4〜6のアルキレン基(例えば、ブチレン基[−(CH2)4−]、ペンチレン基[−(CH2)5−]、ヘキシレン基[−(CH2)6−]等が挙げられる。)を表し、R3は水素原子またはメチル基を表す。
【0060】
また、一般式(1)において、Z1、Z2はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。)、フッ素原子、フッ素化されたアルキル基(例えば、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基等が挙げられる。)、または一般式(2)で表される基を表し、少なくとも一方は、フッ素原子、フッ素化されたアルキル基(例えば、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基等が挙げられる。)、または一般式(2)で表される基である。
【0061】
また、一般式(3)において、Z3はフッ素原子、フッ素化されたアルキル基(例えば、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基等が挙げられる。)、または一般式(2)で表される基を表す。
【0062】
また、一般式(1)及び(3)において、Xは−CH2−、−CH2CH2−、または−O−を表し、nは0または1を表す。
【0063】
また、一般式(1)及び(3)における一般式(2)において、R4、R5はそれぞれ独立に、炭素数1〜4のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基等が挙げられる。)、またはフッ素化されたアルキル基(例えば、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基等が挙げられる。)を表し、少なくとも一方はフッ素化されたアルキル基(例えば、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基等が挙げられる。)である。R6は、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。)、または酸により分解する基を表す。ここでいう酸により分解する基は、下記式(A)に示すように酸の作用により酸素とR6の結合が解裂し、ヒドロキシ基を生成する基をいい、例えば、t−ブチル基、t−ブトキシカルボニル基、メトキシメチル基、エトキシエチル基、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基、t−ブトキシカルボニルメチル基等が挙げられる。
【0064】
【化39】
【0065】
具体的には、一般式(1)で表されるフッ素含有有橋脂環式ラクトン構造を有する不飽和単量体としては、例えば以下のような化合物が挙げられる。
【0066】
【化40】
【0067】
また、一般式(3)で表されるフッ素含有有橋脂環式ラクトン構造を有する不飽和単量体としては、例えば以下のような化合物が挙げられる。
【0068】
【化41】
【0069】
一般式(1)で表される不飽和単量体のうち、R1、R2がメチル基、R3が水素原子、Z1が水素原子、Z2が1,1,1、3,3,3−ヘキサフルオロ−2−ヒドロキシ−プロパン−2−イル基(一般式(2)において、R4、R5がトリフルオロメチル基、R6が水素原子である。)、Xがメチレン基(−CH2−)、nが1である不飽和単量体は、例えば以下のようにして合成される。
【0070】
まず、トリシクロ[4.2.1.02,5]−7−ノネン−3,4−ジカルボン酸無水物とメチルマグネシウムブロミドを反応させ、酸で処理することで4−オキソ−5−オキサ−6,6−ジメチルテトラシクロ[7.2.1.02,8.03,7]−10−ドデセンを得ることができる。次に、4−オキソ−5−オキサ−6,6−ジメチルテトラシクロ[7.2.1.02,8.03,7]−10−ドデセンをテトラヒドロフラン中、−78℃でリチウムジイソプロピルアミド等のリチウムアミドで処理した後、ヘキサフルオロアセトンと反応させ、その後、酸で処理することで目的とする不飽和単量体を得た。
【0071】
また、一般式(4)、(5)、(6)及び(7)において、R1、R2はそれぞれ独立に、水素原子もしくは炭素数1〜6のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。)を表し、またはR1およびR2は互いにつながり、それらが結合している炭素原子とともに環を形成する、炭素数4〜6のアルキレン基(例えば、ブチレン基[−(CH2)4−]、ペンチレン基[−(CH2)5−]、ヘキシレン基[−(CH2)6−]等が挙げられる。)を表し、R3は水素原子またはメチル基を表す。
【0072】
また、一般式(4)及び(6)において、Z1、Z2はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。)、フッ素原子、フッ素化されたアルキル基(例えば、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基等が挙げられる。)、または一般式(2)で表される基を表し、少なくとも一方は、フッ素原子、フッ素化されたアルキル基(例えば、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基等が挙げられる。)、または一般式(2)で表される基である。
【0073】
また、一般式(5)及び(7)において、Z3はフッ素原子またはフッ素化されたアルキル基(例えば、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基等が挙げられる。)、または一般式(2)で表される基を表す。
【0074】
また、一般式(4)、(5)、(6)、(7)において、Xは、−CH2−、−CH2CH2−、または−O−を表し、nは0または1を表す。
【0075】
また、一般式(4)、(5)、(6)及び(7)における一般式(2)において、R4、R5はそれぞれ独立に、炭素数1〜4のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基等が挙げられる。)、フッ素化されたアルキル基(例えば、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基等が挙げられる。)を表し、少なくとも一方はフッ素化されたアルキル基(例えば、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基等が挙げられる。)である。R6は、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。)、または酸により分解する基(例えば、t−ブチル基、t−ブトキシカルボニル基、メトキシメチル基、エトキシエチル基、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基、t−ブトキシカルボニルメチル基等が挙げられる。)を表す。
【0076】
具体的には、一般式(4)で表されるフッ素含有有橋脂環式ラクトン構造を有する繰返し構造単位としては、以下のような例が挙げられる。
【0077】
【化42】
【0078】
また、一般式(5)で表されるフッ素含有有橋脂環式ラクトン構造を有する繰返し構造単位としては、以下のような例が挙げられる。
【0079】
【化43】
【0080】
また、一般式(6)で表されるフッ素含有有橋脂環式ラクトン構造を有する繰返し構造単位としては、以下のような例が挙げられる。
【0081】
【化44】
【0082】
また、一般式(7)で表されるフッ素含有有橋脂環式ラクトン構造を有する繰返し構造単位としては、以下のような例が挙げられる。
【0083】
【化45】
【0084】
本発明の重合体は、以上のような繰り返し構造単位を有するものであるが、さらに化学増幅型レジスト用重合体の特性を実現できる繰り返し構造単位を含むことができ、これら繰り返し構造単位に対応するモノマーを共重合することにより得ることができる。本発明の重合体にさらに含まれてもよい繰り返し構造単位としては、対応するモノマーが十分な重合性を有する理由から、下記一般式(8)〜(16)で表される構造単位のうち少なくとも一つが好ましい。
【0085】
【化46】
【0086】
式中、R7、R8はそれぞれ独立に、水素原子またはフッ素原子であり、R9は水素原子、フッ素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基であり、R10は水素原子、炭素数1〜20の直鎖状、分枝状あるいは環状のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、n−ペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、イソボニル基、アダマンチル基、トリシクロデシル基等が挙げられる。)、フッ素化されたアルキル基(例えば、フルオロメチル基、フルオロエチル基、フルオロプロピル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、テトラフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘキサフルオロイソプロピル基、ノナフルオロヘキシル基等が挙げられる。)、酸により分解する基(例えば、t−ブチル基、テトラヒドロピラン−2―イル基、テトラヒドロフラン−2―イル基、4−メトキシテトラヒドロピラン−4―イル基、1−エトキシエチル基、1−ブトキシエチル基、1−プロポキシエチル基、3−オキソシクロヘキシル基、2−メチル−2−アダマンチル基、2−エチル−2−アダマンチル基、1−メチル−1−アダマンチルエチル基、8−メチル−8−トリシクロ[5.2.1.02,6]デシル基、1,2,7,7−テトラメチル−2−ノルボルニル基、2−アセトキシメンチル基、2−ヒドロキシメンチル基、1−メチル−1−シクロヘキシルエチル基等が挙げられる。)、酸により分解する基を有する炭素数7〜13の有橋脂環式炭化水素基(例えば、特許第2856116号公報に記載されているような、酸により分解する基を有する炭素数7〜13の有橋脂環式炭化水素基、すなわちt−ブトキシカルボニルトリシクロ[5.2.1.02,6]デカニル基、t−ブトキシカルボニルアダマンチル基、t−ブトキシカルボニルノルボルニル基、t−ブトキシカルボニルメチルノルボルニル基、t−ブトキシカルボニルイソボルニル基、t−ブトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデシル基、t−ブトキシカルボニルメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]ドデシル基等が挙げられる。)または2,6−ノルボルナンカルボラクトン−5−イル基を表す。
【0087】
【化47】
【0088】
式中、R11は水素原子または酸により分解する基(例えば、t−ブチル基、t−ブトキシカルボニル基、メトキシメチル基、エトキシエチル基、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基、t−ブトキシカルボニルメチル基等が挙げられる。)を表す。
【0089】
【化48】
【0090】
式中、R12は水素原子または酸により分解する基(例えば、t−ブチル基、t−ブトキシカルボニル基、メトキシメチル基、エトキシエチル基、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基、t−ブトキシカルボニルメチル基等が挙げられる。)を表す。
【0091】
【化49】
【0092】
【化50】
【0093】
【化51】
【0094】
【化52】
【0095】
【化53】
【0096】
一般式(12)〜(15)のそれぞれにおいて、R13、R14、R15、R16はそれぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、メチル基、トリフルオロメチル基、ヒドロキシ基、ヒドロキシアルキル基(例えば、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基等が挙げられる。)、カルボキシ基、または酸により分解しカルボキシ基を生じる炭素数20以下の酸解離性有機基(例えば、t−ブトキシカルボニル基、テトラヒドロピラニルオキシカルボニル基、テトラヒドロフラニルオキシカルボニル基、4−メトキシテトラヒドロピラニルオキシカルボニル基、1−エトキシエトキシカルボニル基、1−ブトキシエトキシカルボニル基、1−プロポキシエトキシカルボニル基、3−オキソシクロヘキシルオキシカルボニル基、2−メチル−2−アダマンチルオキシカルボニル基、2−エチル−2−アダマンチルオキシカルボニル基、8−メチル−8−トリシクロ[5.2.1.02,6]デシルオキシカルボニル基、あるいは1,2,7,7−テトラメチル−2−ノルボルニルオキシカルボニル基、2−アセトキシメンチルオキシカルボニル基、2−ヒドロキシメンチルオキシカルボニル基、1−メチル−1−シクロヘキシルエトキシカルボニル基等等が挙げられる。)を表す。また、一般式(12)及び(14)におけるnは0または1である。]
【0097】
【化54】
【0098】
式中、R17、R18はそれぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、トリフルオロメチル基を表す。
【0099】
本発明の重合体においては、所望の特性を得る観点から、一般式(4)、(5)、(6)及び(7)の何れかで表される繰り返し構造単位の共重合体中に占める割合(複数種ある場合はそれらの合計の割合)は、5モル%以上が好ましく、7モル%以上がより好ましく、一方、90モル%以下が好ましく、80モル%以下がより好ましい。
【0100】
本発明の重合体は、ラジカル重合、アニオン重合、付加重合、開環メタセシス重合などの通常の重合方法によって得ることが可能である。例えばラジカル重合の場合、乾燥テトラヒドロフラン中、不活性ガス(アルゴン、窒素など)雰囲気下、適当なラジカル重合開始剤(例えばアゾビスイソブチロニトリル)を加えて50〜70℃で0.5〜24時間加熱攪拌することにより製造される。
【0101】
また例えば付加重合の場合、Macromolecules、29巻、2755−2763頁(1996年)記載のJ.P.Mathewらの方法に準じ、パラジウム化合物(例えば、{(η3−allyl)Pd(BF4)}、{(η3−allyl)Pd(SbF6)}、[Pd(CH3CN)4][BF4]2等)を触媒として用いたり、Journal of Photopolymer Science and Technology、13巻(4号)、657頁〜664頁(2000年)記載のT.Chibaらの方法に準じ、ニッケル化合物[ビス(ペンタフルオロフェニル)ニッケル トルエン錯体]などを触媒として製造することもできる。
【0102】
また、例えば開環メタセシス重合の場合、メタセシス触媒[例えば、W(タングステン)、Mo(モリブデン)、Re(レニウム)などの遷移金属のハロゲン化物等(例えば、WCl6、MoCl5、ReCl3等が挙げられる。)]を用いて開環重合させ、さらにパラジウム等の貴金属触媒を用いて水素化することにより合成される。
【0103】
本発明の重合体の重量平均分子量は、所望の特性を得る点から、2,000〜200,000が好ましい。
【0104】
以上説明した本発明の重合体と、露光により酸を発生する光酸発生剤とを少なくとも混合することにより、化学増幅型レジストを得ることができる。
【0105】
本発明に用いる光酸発生剤は、130nm〜190nmの範囲の光照射により酸を発生する光酸発生剤であることが好ましく、本発明の重合体とともに有機溶媒に十分に溶解し、かつその溶液を用いて、スピンコートなどの製膜法で均一な塗布膜が形成可能なものが好ましい。また、光酸発生剤は、単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。
【0106】
使用可能な光酸発生剤としては、例えばトリアリールスルホニウム塩誘導体、ジアリールヨードニウム塩誘導体、ジアルキルフェナシルスルホニウム塩誘導体、ニトロベンジルスルホナート誘導体、N−ヒドロキシスクシイミドのスルホン酸エステル誘導体等が挙げられるが、これらだけに限定されるものではない。
【0107】
光酸発生剤の含有率は、化学増幅型レジスト組成物の十分な感度を実現し、良好なパターン形成を可能とする観点から、重合体及び光酸発生剤の総和に対して0.2質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましい。一方、均一な塗布膜の形成を実現し、現像後の残渣(スカム)を抑制する観点から、30質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましい。
【0108】
なお、必要に応じて、化学増幅型レジストを調製する際に、適当な溶剤を用いる。
【0109】
この溶剤としては、重合体および光酸発生剤からなる成分が充分に溶解し、かつその溶液がスピンコート法などの方法で均一な塗布膜が形成可能な有機溶媒であれば特に制限されない。また、単独でも2種類以上を混合して用いても良い。
【0110】
具体的には、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、乳酸エチル、酢酸2−メトキシブチル、酢酸2−エトキシエチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、N−メチル−2−ピロリジノン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノール、メチルエチルケトン、1,4−ジオキサン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどが挙げられるが、もちろんこれらだけに限定されるものではない。
【0111】
本発明の化学増幅型レジストは、重合体および光酸発生剤、必要により溶剤を加え、さらに必要に応じて溶解阻止剤、有機塩基、界面活性剤、色素、安定剤、塗布性改良剤、染料などの他の成分を添加して、化学増幅レジストを調製することもできる。
【0112】
以上のようにして得られた化学増幅型レジストを被加工基板上に塗布し、130〜190nmの波長の光で露光し、ベークを行い、現像を行うことによりパターン形成することができる。
【0113】
本発明のパターン形成方法における露光に用いられる光は、F2エキシマレーザ光であることが好ましい。
【0114】
【実施例】
以下に実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、これらは、本発明を何ら限定するものではない。
【0115】
(実施例1)
下記構造のフッ素含有有橋脂環式ラクトン化合物、即ち、一般式(1)において、R1、R2がメチル基、R3が水素原子、Z1が水素原子、Z2が1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−ヒドロキシプロパン−2−イル基、Xがメチレン基、n=1である単量体を合成した。
【0116】
【化55】
【0117】
メチルマグネシウムブロミド3mol/lジエチルエーテル溶液250g中に、アルゴン雰囲気下、氷冷下でトリシクロ[4.2.1.02,5]−7−ノネン−3,4−ジカルボン酸無水物(J.Am.Chem.Soc.94巻、787−792頁(1972年)記載の方法に従い合成)40gを乾燥テトラヒドロフラン(以下THFと略す)400mlに溶解したものを滴下し、その後室温で2時間攪拌した。氷冷下10%塩酸を加え、反応溶液を酸性にし、その後40℃で1時間攪拌した。ジエチルエーテル300mlを加え、有機層を4%炭酸水素ナトリウム溶液、食塩水の順に洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。ジエチルエーテルを減圧下留去し、残渣をトルエンで再結晶することで4−オキソ−5−オキサ−6,6−ジメチルテトラシクロ[7.2.1.02,8.03,7]−10−ドデセンを10g得た。
【0118】
次に、リチウムジイソプロピルアミド2mol/Lエチルベンゼン/THF/ヘプタンの溶液(以下LDA溶液と略す)100mlに、アルゴン雰囲気下、−78℃で4−オキソ−5−オキサ−6,6−ジメチルテトラシクロ[7.2.1.02,8.03,7]−10−ドデセン6gを乾燥THF10mlに溶解したものを滴下した。−78℃で1時間攪拌した後、ヘキサフルオロアセトン(ヘキサフルオロアセトン水和物11gと濃硫酸15mlから発生させる)を吹き込んだ。さらに30分攪拌後、10%塩酸で溶液を酸性にし、有機層をジエチルエーテル200mlで抽出した。ジエチルエーテル層を食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧下留去した。残渣にヘキサン30mlを加え攪拌し、結晶を析出させた。この結晶をろ別し、トルエン/ヘキサン(1/1)混合溶媒で再結晶することで目的物を6.2g得た(白色固体、収率57%)。
【0119】
得られた単量体の1H−NMR(CDCl3)の測定結果は次の通りであった;
δ:1.33(1H,d)、1.48(6H,s)、1.96(1H,d)、2.15−2.19(2H,m)、2.81(1H,d)、2.86(1H,s)、3.24(1H,s)、3.54(1H,s)、6.00−6.09(2H,m)。
【0120】
また、IR(KBr)の測定結果は次の通りであった;IR(KBr)/cm−1:3306(νO−H)、3065,3018,2988,2965(νC−H)、1739(νC=O)、1276,1213,1170,1136,1104,1053。
【0121】
(実施例2)
下記構造のフッ素含有有橋脂環式ラクトン化合物、即ち、一般式(1)において、R1、R2がメチル基、R3が水素原子、Z1が水素原子、Z2がフルオロメチル基、Xがメチレン基、n=0である単量体を合成した。
【0122】
【化56】
【0123】
3mol/Lのメチルマグネシウムブロミドジエチルエーテル溶液250gに氷冷下、アルゴン雰囲気下で5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物34.47gを乾燥THF100mlに溶解したものを滴下した。その後室温で2時間攪拌し、反応溶液に10%塩酸を加え、反応溶液を酸性にし、さらに40℃で1時間攪拌した。ジエチルエーテル200mlを加え、3%炭酸水素ナトリウム水溶液、食塩水の順に洗浄した。硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を留去した。残渣を減圧蒸留(106−107℃/0.6mmHg)することで3−オキソ−4−オキサ−5,5−ジメチルトリシクロ[5.2.1.02,6]−8−ノネンを20.12g得た。
【0124】
次に、LDA溶液31mlに、アルゴン雰囲気下、−78℃で3−オキソ−4−オキサ−5,5−ジメチルトリシクロ[5.2.1.02,6]−8−ノネン10gを乾燥THF15mlに溶解したものを滴下した。−78℃で1時間攪拌した後、ホルムアルデヒド(パラホルムアルデヒドの熱分解で発生させる)を10分間吹き込んだ。さらに30分攪拌後、10%塩酸で溶液を酸性にし、有機層をジエチルエーテル200mlで抽出した。ジエチルエーテル層を食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧下留去した。残渣をトルエンで再結晶することで、2−ヒドロキシメチル−3−オキソ−4−オキサ−5,5−ジメチルトリシクロ[5.2.1.02,6]−8−ノネンを5.94得た(収率51%)。
【0125】
次に、2−ヒドロキシメチル−3−オキソ−4−オキサ−5,5−ジメチルトリシクロ[5.2.1.02,6]−8−ノネン1.8g、ピリジン2.73gを乾燥塩化メチレン10mlに溶解し、そこにp−トルエンスルホン酸クロリド1.81gを加え、室温で7時間攪拌した。ジエチルエーテル50mlを加え、0.5N塩酸、3%炭酸水素ナトリウム、食塩水の順に洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を留去した。残渣をヘキサンで洗浄することで、2−(p−トルエンスルホニルオキシメチル)−3−オキソ−4−オキサ−5,5−ジメチルトリシクロ[5.2.1.02,6]−8−ノネンを2.16g得た(収率69%)。
【0126】
次に、2−(p−トルエンスルホニルオキシメチル)−3−オキソ−4−オキサ−5,5−ジメチルトリシクロ[5.2.1.02,6]−8−ノネン1.5gを1mol/LテトラブチルアンムニウムフルオリドTHF溶液12mlに溶解し、12時間加熱還流した。放冷後、ジエチルエーテル50mlを加え、食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムで分離精製(溶出液:ヘキサン/酢酸エチル=2/1)することで目的物を0.45g得た(粘性液体、収率52%)。
【0127】
得られた単量体の1H−NMR(CDCl3)の測定結果は次の通りであった;
δ:1.39(3H,s)、1.43(3H,s)、1.58−1.68(2H,m)、2.76(1H,d)、2.83(1H,s)、3.13(1H,s)、4.47(1H,dd)、4.99(1H,dd)、6.23−6.25(1H,m)、6.36−6.38(1H,m)。
【0128】
また、IR(KBr)の測定結果は次の通りであった;IR(KBr)/cm−1:3070,2978,2879(νC−H)、1756(νC=O)、1272,1222,1182,1136,1085。
【0129】
(実施例3)
下記構造のフッ素含有有橋脂環式ラクトン化合物、即ち、一般式(1)において、R1、R2、R3が水素原子、Z1、Z2がフッ素原子、Xがメチレン基、n=1である単量体を合成した。
【0130】
【化57】
【0131】
ジフルオロマレイン酸無水物(USP2891968記載に準じて合成)5gとクアドリシクラン5.15gをクロロホルム10mlに溶解し、2時間加熱還流した。放冷後、クロロホルムと未反応のクアドリシクランを減圧下留去することで、2,6−ジフルオロ−3,5−ジオキソ−4−オキサトリシクロ[5.2.1.02,6]−8−ノネンを8g得た(収率95%)。
【0132】
次に90%水素化ホウ素ナトリウム0.938gを乾燥THFに分散させ、アルゴン雰囲気下、氷冷下に、2,6−ジフルオロ−3,5−ジオキソ−4−オキサトリシクロ[5.2.1.02,6]−8−ノネン5gを乾燥THF20mlに溶解したものを滴下した。室温で2時間攪拌後、10%塩酸で酸性にし、50℃で1時間攪拌した。ジエチルエーテル100mlを加え、食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧下留去する。残渣をシリカゲルカラムで分離精製(溶出液:ヘキサン/酢酸エチル=3/1)することで目的物を0.4g得た(収率8.5%)。
【0133】
得られた単量体の1H−NMR(CDCl3)の測定結果は次の通りであった;
δ:1.20−1.46(2H,m)、2.58−2.70(2H,m)、3.09(1H,s)、3.17(1H,s)、4.37−4.66(2H,m)、6.18−6.20(2H,m)。
【0134】
また、IR(KBr)の測定結果は次の通りであった;IR(KBr)/cm−1:2981(νC−H)、1794(νC=O)、1234,1193,1162,1056。
【0135】
(実施例4)
下記構造のフッ素含有有橋脂環式ラクトン化合物、即ち、一般式(1)において、R1、R2がメチル基、R3が水素原子、Z1が水素原子、Z2が1,1,1−トリフルオロ−2−ヒドロキシプロパン−2−イル基、Xがメチレン基、n=0である単量体を合成した。
【0136】
【化58】
【0137】
3mol/Lのメチルマグネシウムブロミドジエチルエーテル溶液250gに、氷冷下、アルゴン雰囲気下で5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物34.47gを乾燥THF100mlに溶解したものを滴下した。その後室温で2時間攪拌し、反応溶液に10%塩酸を加え、反応溶液を酸性にし、さらに40℃で1時間攪拌した。ジエチルエーテル200mlを加え、3%炭酸水素ナトリム水溶液、食塩水の順に洗浄した。硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を留去した。残渣を減圧蒸留(106−107℃/0.6mmHg)することで3−オキソ−4−オキサ−5,5−ジメチルトリシクロ[5.2.1.02,6]−8−ノネンを20.12g得た。
【0138】
次に、LDA溶液62mlに、アルゴン雰囲気下、−78℃で3−オキソ−4−オキサ−5,5−ジメチルトリシクロ[5.2.1.02,6]−8−ノネン20gを乾燥THF15mlに溶解したものを滴下した。−78℃で1時間攪拌した後、トリフルオロアセトン25gを滴下した。さらに30分攪拌後、10%塩酸で溶液を酸性にし、有機層をジエチルエーテル200mlで抽出した。ジエチルエーテル層を食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧下留去した。残渣にヘキサン30mlを加え攪拌し、結晶を析出させた。この結晶をろ別し、トルエン/ヘキサン(5/1)混合溶媒で再結晶することで目的物を11.65得た(白色固体、収率36%)。
【0139】
得られた単量体の1H−NMR(CDCl3)の測定結果は次の通りであった;
δ:1.41,1.43(3H,s)、1.528,1.534(3H,s)、1.58−1.80(5H,m)、3.02−3.11(2H,m)、3.27,3.60(1H,s)、4.24,4.50(1H,s)、6.27−6.41(2H,m)。
【0140】
(実施例5)
下記反応式に従いフッ素含有有橋脂環式ラクトン化合物、即ち、一般式(3)において、R1、R2がメチル基、R3が水素原子、Z3が1,1,1−トリフルオロ−2−ヒドロキシプロパン−2−イル基、Xがメチレン基、n=0である単量体を合成した。
【0141】
【化59】
【0142】
5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物の代わりに上記無水物1を用いた以外は実施例4と同様に合成した(収率21%)。
【0143】
(実施例6)
下記構造の重合体、即ち、一般式(4)において、R1、R2がメチル基、R3が水素原子、Z1が水素原子、Z2が1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−ヒドロキシプロパン−2−イル基、Xがメチレン基、n=1である重合体を合成した。
【0144】
【化60】
【0145】
テトラキス(アセトニトリル)パラジウム(II)ビス(テトラヒドロほう酸塩)0.024gをニトロメタン1mlに溶解したものを、実施例1で得られた単量体1gをニトロメタン29mlに溶解した溶液に加えた。室温で120時間撹拌した後、溶液を1/4程度に減圧下濃縮し、ジエチルエーテル100mlに加え、析出した樹脂を濾別することにより、目的とする重合体0.22gを得た(収率22%)。得られた重合体の重量平均分子量(Mw)は6800(ポリスチレン換算)、分散度(Mw/Mn)は1.95であった。
【0146】
(実施例7)
一般式(4)において、R1、R2がメチル基、R3が水素原子、Z1が水素原子、Z2が1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−ヒドロキシプロパン−2−イル基、Xがメチレン基、n=1である下記構造単位33モル%と、一般式(8)において、R7,R8が水素原子、R9がトリフルオロメチル基、R10がt−ブチル基である下記構造単位67%とからなる重合体を合成した。
【0147】
【化61】
【0148】
実施例1で得た単量体6gとα−トリフルオロメチルアクリル酸t−ブチル6.49gを乾燥THF6mlに溶解し、そこにアゾビスイソブチロニトリル319mgを加え、加熱還流した。15時間後放冷し、ヘキサン100mlに注ぎ、析出した樹脂をろ別することで、目的とする重合体を5.7g得た(収率39%)。得られた重合体の重量平均分子量(Mw)は9500(ポリスチレン換算)、分散度(Mw/Mn)は2.66であった。
【0149】
(実施例8)
一般式(4)において、R1、R2がメチル基、R3が水素原子、Z1が水素原子、Z2が1,1,1−トリフルオロ−2−ヒドロキシプロパン−2−イル基、Xがメチレン基、n=0である下記構造単位33モル%と、一般式(8)において、R7,R8が水素原子、R9がトリフルオロメチル基、R10がt−ブチル基である下記構造単位67%とからなる重合体を合成した。
【0150】
【化62】
【0151】
実施例1で得た単量体6gに代えて、実施例4で得た単量体4.7gを用いた以外は実施例7と同様にして重合体を得た(収率37%)。得られた重合体の重量平均分子量(Mw)は8600、分散度(Mw/Mn)は2.34であった。
【0152】
(実施例9)
一般式(5)において、R1、R2がメチル基、R3が水素原子、Z3が1,1,1−トリフルオロ−2−ヒドロキシプロパン−2−イル基、Xがメチレン基、n=0である下記構造単位33モル%と、一般式(8)において、R7,R8が水素原子、R9がトリフルオロメチル基、R10がt−ブチル基である下記構造単位67%とからなる重合体を合成した。
【0153】
【化63】
【0154】
実施例1で得た単量体6gに代えて、実施例5で得た単量体4.6gを用いた以外は実施例7と同様にして上記構造単位を有する重合体を得た(収率26%)。得られた重合体の重量平均分子量(Mw)は9100(ポリスチレン換算)、分散度(Mw/Mn)は2.41であった。
【0155】
(実施例10)
一般式(4)において、R1、R2がメチル基、R3が水素原子、Z1が水素原子、Z2が1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−ヒドロキシプロパン−2−イル基、Xがメチレン基、n=1である下記構造単位20モル%と、一般式(10)において、R8が水素原子である下記構造単位50モル%と、一般式(10)において、R8がメトキシメチル基である下記構造単位30モル%とからなる重合体を合成した。
【0156】
【化64】
【0157】
テトラキス(アセトニトリル)パラジウム(II)ビス(テトラヒドロほう酸塩)0.12gをニトロメタン5mlに溶解したものを、実施例1で得られた単量体2gと、5−(2−トリフルオロメチル−1,1,1−トリフルオロ−2−ヒドロキシプロピル)−2−ノルボルネン7.4gと、5−(2−トリフルオロメチル−1,1,1−トリフルオロ−2−メトキシメトキシプロピル)−2−ノルボルネン5.15gとをニトロメタン25mlに溶解した溶液に加える。室温で120時間撹拌した後、ヘキサン100mlに加え、析出した樹脂を濾別することにより、目的とする重合体3.36gを得た(収率23%)。得られた重合体の重量平均分子量(Mw)は7900(ポリスチレン換算)、分散度(Mw/Mn)は2.01であった。
【0158】
(実施例11)
一般式(4)において、R1、R2がメチル基、R3が水素原子、Z1が水素原子、Z2が1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−ヒドロキシプロパン−2−イル基、Xがメチレン基、n=1である下記構造単位20モル%と、一般式(10)において、R8が水素原子である下記構造単位50モル%と、一般式(12)において、R13,R14,R15が水素原子、R16がt−ブトキシカルボニル基、n=0である下記構造単位30モル%とからなる重合体を合成した。
【0159】
【化65】
【0160】
5−(2−トリフルオロメチル−1,1,1−トリフルオロ−2−メトキシメトキシプロピル)−2−ノルボルネン7.4gに代えて、2−ノルボルネン−5−カルボン酸t−ブチルエステル3.15gを用いた以外は実施例10と同様にして重合体を得た(収率21%)。得られた重合体の重量平均分子量(Mw)は7400(ポリスチレン換算)、分散度(Mw/Mn)は2.12であった。
【0161】
(実施例12)
〔重合体の透明性の評価〕
実施例7で得た樹脂0.08gをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート0.45gに溶解し、次いでフィルターを用い濾過した。次にフッ化カルシウム板上にスピンコート塗布し、110℃、120秒間ホットプレート上でベーキングを行い、膜厚0.3μmの薄膜を形成した。
【0162】
この薄膜について、真空紫外分光光度計(日本分光製VUV−201)を用いてF2エキシマレーザ光の中心波長である157nmにおける透過率を測定した。
【0163】
同様にして、実施例8、実施例10、実施例11で得た樹脂についても測定した。また比較例としてKrFレジスト用樹脂であるポリ(p−ヒドロキシスチレン)の透過率も測定した。
【0164】
測定の結果、透過率は実施例7で得た重合体が49%/0.1μm、実施例8の重合体が46%/0.1μm、実施例10の重合体が60%/0.1μm、実施例11の重合体が42%/0.1μmであった。またポリ(p−ヒドロキシスチレン)の透過率が20%/0.1μmであった。この結果から、本発明の重合体は、157nmの光に対して高い透明性を示すことを確認できた。
【0165】
(実施例13)
〔本発明の樹脂を用いたレジストの露光実験〕
下記の組成からなるレジストを調製した。
【0166】
レジストの組成:
(a)重合体(実施例7):1.5g
(b)光酸発生剤(トリフェニルスルホニウムノナフレート):0.06g
(c)プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート:10g
上記混合物を0.2μmのテフロンフィルターを用いてろ過し、レジストを調製した。
【0167】
4インチシリコン基板上に、上記レジストをスピンコート塗布し、110℃2分間ホットプレート上でベークし、膜厚0.1μmの薄膜を形成した。
【0168】
得られた薄膜に対して、F2レーザを用い、5mm角の露光面積で露光した。その後すぐさま130℃、60秒間ホットプレート上でベークし、液温23℃の2.38%(CH3)4NOH(TMAH)水溶液で60秒間浸漬法による現像を行い、続けて60秒間純水でリンス処理を行った。そして露光量とレジストの残存膜厚の関係を調べた結果、露光量15mJ/cm2の時にレジスト膜厚が0となり、ポジ型レジストとしての挙動を示した。
【0169】
同様に、実施例10で得た重合体を用いたレジストと実施例11で得た重合体を用いたレジストについても評価した。その結果、レジスト膜厚が0になった露光量は、実施例10で得た重合体を用いたレジストでは20mJ/cm2、また実施例11で得た重合体を用いたレジストでは11mJ/cm2となり、ポジ型レジストとしての挙動を示した。
【0170】
(実施例14)
〔本発明の樹脂を用いたレジストのパターニング実験〕
下記の組成からなるレジストを調製した。
【0171】
レジストの組成:
(a)重合体(実施例7):1.5g
(b)光酸発生剤(トリフェニルスルホニウムノナフレート):0.03g
(c)プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート:9g
上記混合物を0.2μmのテフロンフィルターを用いてろ過し、レジストを調製した。
【0172】
8インチシリコン基板上に有機反射防止膜を0.1μm厚に塗布した基板上に、上記レジストをスピンコート塗布し、130℃、1分間ホットプレート上でベークし、膜厚0.3μmの薄膜を形成した。
【0173】
得られた薄膜に対して、ArF縮小露光装置(ニコン製、NA=0.6)を用いて露光した。その後、直ちに135℃、60秒間ホットプレート上でベークし、液温23℃の2.38%(CH3)4NOH(TMAH)水溶液で60秒間浸漬法による現像を行い、続けて60秒間純水でリンス処理を行った。その結果、レジスト膜の露光部分のみが現像液に溶解除去されポジ型のパターンが得られた。同様にして実施例10で得た重合体を用いたレジストと実施例11で得た重合体を用いたレジストについても評価した。表1に、これらのレジストの感度および解像度の評価結果を示す。
【0174】
【表1】
【0175】
以上の結果から、本発明の重合体を用いたレジストは優れた解像特性を有することが分かった。
【0176】
〔基板密着性の評価〕
上記のパターニングをした基板をSEMにより観察した。その結果、パターン剥がれなどは観測されず、十分な基板密着性を確認できた。
【0177】
(実施例15)
〔エッチング耐性の評価〕
実施例7で得た重合体2gをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート10gに溶解し、次いでフィルターを用いてろ過した。次に、3インチシリコン基板上にスピンコート塗布し、90℃、60秒間ホットプレート上でベーキングを行い、膜厚0.7μmの薄膜を形成した。
【0178】
得られた薄膜について、日電アネルバ製DEM451リアクティブイオンエッチング(RIE)装置を用いてCF4ガスに対するエッチング速度を測定した(エッチング条件;Power:100W、圧力:5Pa、ガス流量:30sccm)。その結果を表2に示す。
【0179】
同様にして、実施例10で得た重合体と実施例11で得た重合体についてもエッチング速度を測定した。
【0180】
また、比較例としてKrFレジストのベース樹脂として使用されているポリ(p−ビニルフェノール)塗布膜、および分子構造に有橋環式炭化水素基も持たない樹脂であるポリ(メチルメタクリレート)塗布膜の結果も示す。なおエッチング速度はポリ(p−ビニルフェノール)に対して規格化した。
【0181】
【表2】
【0182】
以上の結果から、本発明の重合体はCF4ガスに対するエッチング速度がポリ(メチルメタクリレート)より遅く、ドライエッチング耐性に優れていることが示された。
【0183】
【発明の効果】
以上に説明したことから明らかなように、本発明の重合体を用いることで、透明性、基板密着性、およびドライエッチング耐性に優れた化学増幅型レジストが得られ、半導体素子製造に必要な微細パターン形成が可能である。
Claims (11)
- 下記一般式(1)で表されるフッ素含有有橋脂環式ラクトン構造を有する不飽和単量体。
- 下記一般式(3)で表されるフッ素含有有橋脂環式ラクトン構造を有する不飽和単量体。
- 請求項1又は2記載の単量体の少なくとも1種含む混合物を重合して得られる重合体。
- 下記一般式(4)で表されるフッ素含有有橋脂環式ラクトン構造を有する繰返し構造単位、または下記一般式(5)で表されるフッ素含有有橋脂環式ラクトン構造を有する繰返し構造単位のいずれか一種以上を含むことを特徴とする重合体。
- 下記一般式(6)で表されるフッ素含有有橋脂環式ラクトン構造を有する繰返し構造単位、または下記一般式(7)で表されるフッ素含有有橋脂環式ラクトン構造を有する繰返し構造単位のいずれか一種以上を含むことを特徴とする重合体。
- 下記一般式(8)〜(16)の何れかで表される構造単位のうち少なくとも一種を更に含むことを特徴とする請求項3、4又は5に記載の重合体。
- 前記一般式(4)〜(7)の何れかで表される構造単位の共重合体中に占める割合(複数種ある場合はそれらの合計の割合)は、5〜90モル%であることを特徴とする請求項3乃至6の何れか一項に記載の重合体。
- 重量平均分子量が2,000〜200,000であることを特徴とする請求項3乃至7の何れか一項に記載の重合体。
- 請求項3乃至8の何れか一項に記載の重合体と、露光により酸を発生する光酸発生剤とを少なくとも含んでなり、該光酸発生剤の、該重合体と該光酸発生剤との合計に占める割合は0.2〜30質量%であることを特徴とする化学増幅レジスト。
- 請求項9記載の化学増幅レジストを被加工基板上に塗布する工程と、130〜190nmの波長の光で露光する工程と、ベークを行う工程と、現像を行う工程とを少なくとも含むことを特徴とするパターン形成方法。
- 前記露光の光は、F2エキシマレーザ光であることを特徴とする請求項10記載のパターン形成方法。
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2002
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