JP2009067246A - 車高調整装置 - Google Patents

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秀樹 大橋
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浩太郎 沖村
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Abstract

【課題】モーグル路から脱出したときの車両姿勢をできるだけ安定側に留めるとともに、車輪がスタック状態に陥った場合には、速やかに脱出できるように支援することのできる車高調整装置を提供する。
【解決手段】路面推定部38がワープ演算部52から提供されるワープ値に基づき、路面の状態が所定の不整地条件を満たすと判定した場合、つまり、車両姿勢の傾きが所定値を超えてしまう場合、制御禁止部40は車高制御を一時的に禁止して車両姿勢がそれ以上不安定側に移行してしまうことを抑制する。ただし、この状態でスタック検出部42により車輪がスタック状態に陥ったことが検出された場合、制御復帰部44は車両姿勢の傾きが許容されている第2最高車高値を制御限度とする車高調整を実行して、スタック状態から迅速に脱出できるように支援する。
【選択図】図2

Description

本発明は、車高調整装置、特に車高調整装置の動作復帰制御の改良に関する。
従来、車両の使用状態や走行状態に応じて流体の供排制御やモータ制御により車高を変化させる車高調整装置を搭載する車両がある。例えば、乗客が乗り降りするときに車高を低くして乗り降りを容易にできるようにしている。また、荷物の積み降ろしのときには、プラットホームの高さと荷台の高さが一致するように車高を調整して荷物の積み降ろしを容易にできるようにしている。また、特許文献1に開示される車高調節装置は、凹凸等の路面状況に応じて車高調整を実行する機能を有している。この車高調節装置は車両情報の偏位量があるしきい値を超えた場合に不整地条件を満たしたとする不整地検出手段を備えている。そして、不整地条件が満たされた場合に、車高調整制御のうち少なくとも下降側への制御を中断し、不整地で車両の下部が路面に接触して不整地から脱出できなくなることを防止する機能を備えている。
特開2005−271718号公報
ところで、車両が不整地(モーグル路ともいう)に進入した場合、各車輪の車高調整手段(例えば、油圧サスペンションに含まれる車高調整機能付きのアブソーバユニット)は、路面の凹凸に応じて伸縮動作する。例えば、車輪が岩などの凸部に乗り上げた場合、その乗り上げ車輪における車両重量の分配率が高くなるので、アブソーバユニットは圧縮される。その結果、車両の下部と路面との距離は接近し接触する可能性が高くなる。そのため、車高を上昇させる制御を行う必要が生じる。一方、凸部に乗り上げていない車輪は凸部に乗り上げた車輪の影響により路面から浮き上がる方向に変位する。その結果、アブソーバユニットの内部圧力が低くなる。したがって、このアブソーバユニットに作動流体を供給しても車両全体としての車高上昇は期待できない。そのため、車高調整装置は、モーグル路など凹凸の激しい路面で車高制御を実行する場合、車高の低い車輪の車高を優先的に高くする制御を実行することが好ましい。モーグル路では、各車輪における凹凸の状態が刻々と変化するため、例えば、最初に左前輪の車高上昇制御が行われた後、左後輪の車高上昇制御が行われることがある。また、再び左前輪の上昇制御が行われたり、右前輪や右後輪の制御が行われることもある。このような制御が繰り返されると上昇制御限界に達するまで車高を上げてしまう場合がある。つまり、路面状態が不安定なモーグル路であるにも拘わらず、車両の重心が高くなり車両姿勢として不安定な方向に制御されてしまう可能性が高くなる。また、モーグル路から脱出して整地路に戻ったときには、車高が非常に高く重心位置も高くなったままであり車両姿勢として不安定な状態のまま通常走行を再開することになってしまう。そのため、モーグル路等の不整地で所定の不整地条件が成立した場合、すなわち、車両の傾きが設定値を超えるような場合、車高調整によって車両姿勢が不安定な方向に制御されてしまうことを回避するために下降側の車高制御と同様に上昇側の車高制御も禁止することが好ましい。その一方で、モーグル路の走行において上昇側の車高制御に制限を設けると車両の下部と路面とが接触する可能性が高まりモーグル路から容易に脱出できなくなる可能性が増加する。特にモーグル路で車両の下部が路面に接触し駆動輪が空転してしまう、いわゆるスタック状態に陥った場合には、モーグル路からの自走による脱出が不可能になってしまうことがある。
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、モーグル路から脱出したときの車両姿勢をできるだけ安定側に留めるとともに、車輪がスタック状態に陥った場合には、速やかに脱出できるように支援することのできる車高調整装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の車高調整装置は、車両の各車輪を支持する車軸と車体との間に配置され、当該車両の車高を車輪毎に変化させるための車高調整手段と、各車輪の車高値を検出するための車高検出手段と、前記車高調整手段を制御して車高調整を実行するための車高制御手段と、前記車両が存在する路面の状態を推定する路面推定手段と、前記路面の状態が所定の不整地条件を満たす場合に前記車高制御手段による車高制御を一時的に禁止する制御禁止手段と、前記車輪がスタック状態に陥ったことを検出するスタック検出手段と、前記制御禁止手段による車高制御禁止中に前記スタック状態に陥ったことが検出された場合に、前記制御禁止手段による車高制御の禁止を一時的に解除し車輪をスタック状態から脱出させるための車高制御を復帰させる制御復帰手段と、を含むことを特徴とする。
車高調整手段は、各車輪毎に車高調整ができればよく、例えば液圧を用いたもの、空気圧を用いたものなど流体圧を用いたものが利用可能である。また、モータなど流体圧以外の駆動源により動作する駆動機構により車高調整するものも利用可能である。車高制御手段は、ユーザの操作により所定の操作可能条件を満たしたときに手動で車高を変化させることが可能な手動車高制御と、標準車高または標準車高より高い車高に自動的に車高を調整する自動車高制御を実現することができるものが利用可能である。なお、標準車高は、車両の設計段階で決めることのできる車高で、走行時の空気抵抗や車両の重心位置を考慮して安定した走行を実現できる車高である。路面推定手段は、例えば各車輪の車高値を比較することにより、4つの車輪の接地点の捩れ、つまり車両の存在する路面の凹凸などの状態を推定する。制御禁止手段は、路面の状態が所定の不整地条件超える場合に車高制御手段による車高制御を一時的に禁止する。この場合、例えば、各車輪が接触する路面の凹凸の差が所定のしきい値を超えた結果、車両姿勢が所定角度より傾く場合に所定の不整地条件を満たしたと判定し、車高姿勢がそれ以上不安定側に傾かないように車高制御を一時的に禁止する。なお、車両が安定した状態で走行できるか否かは路面の状態が影響するので、不整地条件は車両が安定して走行できるか否かを判別する条件と見なすことができる。この不整地条件は車両の重心位置や車両の形状などによって予め試験やシミュレーションによって決めることができる。スタック検出手段は、駆動輪の駆動力が路面に良好に伝達されているか否かを検出する手段である。例えば、車輪の空転の有無により検出することができる。具体的には、特定の車輪の車輪速が他の車輪の車輪速より極端に大きい場合、その車輪がスタック状態であると推定できる。また、特定の車輪の車高値が制御範囲を超えて高くなっている場合(車高調整手段が延びきっている状態)、その車輪がスタック状態であると推定できる。
この態様によれば、モーグル路などの不整地に進入して、路面の状態が所定の不整地条件を満たす場合に、制御禁止手段が車高制御手段による車高制御を一時的に禁止する。その結果、不整地における過剰な車高調整が抑制され、不整地から脱出したときに車両の重心位置が極端に高くなり不安定な姿勢のまま整地走行を開始してしまうことを抑制できる。また、車高制御が禁止された状態で、車輪がスタック状態に陥ったことが検出された場合、緊急処置的に車高制御禁止を一時的に解除して車高調整を実行し車輪と路面の接触バランスを変化させてスタック状態からの脱出を優先させる。その結果、スタック状態からの脱出(不整地からの脱出)後の車両姿勢をできるだけ安定側(標準車高に近い側)に留めるとともに、車輪がスタック状態に陥った場合には、速やかに脱出できるように支援することができる。
また、上記態様において、前記制御復帰手段は、通常の車高制御において調整が許可される第1最高車高値より所定量だけ車高を高く制御できる第2最高車高値までを調整限度として車高制御を復帰させてもよい。第1最高車高値及び第2最高車高値は、いずれも車高制御において車両姿勢の安全を維持できる車高であり、予め試験やシミュレーションによって決めることができる。なお、第1最高車高値は、整地路の走行において車両搭乗者に違和感を与えることなく制御できる車高値である。また、第2最高車高値は、緊急処置用に設定された車高値であり、第1最高車高値より車高値を高くするので搭乗者に違和感を与える可能性があるので、整地路など通常走行を行う場合には利用できないように設定することが望ましい。車輪の車高を上昇させることにより、車両の下部と路面の接触が解消される可能性が増大するとともに、各車輪と路面との接触バランスが変化し、各車輪に対する車重分配率を変化させることが可能になる。その結果、スタックしている車輪と路面の摩擦力を向上させ駆動力の伝達性を改善することができる。この態様によれば、スタック状態に陥った場合にスムーズにスタック状態から脱出できるように支援することができる。
また、上記態様において、前記制御復帰手段は、前記車高制御禁止のときの車高値に基づき前記第2最高車高値までの範囲で制御許可時間を設定するようにしてもよい。この態様によれば、スタック状態から脱出するとき必要以上に車高が高くなることを抑制することができる。
また、上記態様において、前記制御復帰手段は、通常路走行中の制御目標値である標準車高値から前記第1最高車高値まで変化するのに要する第1平均制御時間と前記第1最高車高値から前記第2最高車高値まで変化するのに要する第2平均制御時間と前記標準車高値から前記制御禁止手段により制御が一時停止されるまでの車高制御時間に基づき前記制御許可時間を定めるようにしてもよい。この態様によれば、スタック状態から脱出するときの制御量を容易に算出することができる。
また、上記態様において、前記制御復帰手段は、前記制御許可時間内で制御期間を複数回に区切り、段階的に前記車高制御を復帰させるようにしてもよい。この態様によれば、スタック状態から脱出するとき必要以上に車高が高くなることを抑制しつつ、必要最小限の調整量でスタック状態から脱出できるように支援することができる。
本発明の車高調整装置によれば、モーグル路から脱出したときの車両姿勢をできるだけ安定側に留めるとともに、車輪がスタック状態に陥った場合には、速やかに脱出できるように支援することができる。
以下、本発明の実施の形態(以下実施形態という)を図面に基づいて説明する。
本実施形態の車高調整装置は、車両が不整地に進入したことを各車輪の車高値の変化に基づき推定する。また、路面の状態が所定の不整地条件を満たす場合、つまり、各車輪の車高値に大きな差異が生じて、車両姿勢の傾きが所定値を超えてしまう場合、車高制御を一時的に禁止して車両姿勢がそれ以上不安定側に移行してしまうことを抑制する。ただし、このとき車輪がスタック状態になった場合には、スタック状態からの脱出を優先させて、車両姿勢の安全性が確認される範囲内で制御禁止している車高制御を一時的に復帰させて、スタック状態から迅速に脱出できるように支援する。
図1は、本実施形態の車高調整装置を搭載する車両10の構成概念図である。なお、図1は、本実施形態の車高調整装置に関連する構成のみを示し他の構成は省略している。本実施形態では、各車輪の位置における車高を変化させる車高調整手段として、例えば電子制御式の油圧サスペンションに含まれる車高調整機能付きのアブソーバユニット12を用いることができる。
アブソーバユニット12は周知のものが利用可能であり、例えば、アブソーバユニット12に形成されたチャンバーに作動流体を出し入れし、当該アブソーバユニット12の伸縮量の調整を行い車高を変化させるものが使用できる。このアブソーバユニット12は、車両の車幅方向両端部で車輪14を支持するサスペンションの一部であり、当該アブソーバユニット12の下端部がサスペンションアーム16(車輪14側)に接続されている。また、アブソーバユニット12の上端部が車体側(不図示)に接続されている。したがって、車両が走行中に路面から振動や衝撃を受けてもアブソーバユニット12の振動減衰効果によってその振動や衝撃を吸収し、乗り心地の改善や走行安定性の向上に寄与することができる。また、上述のようにアブソーバユニット12のチャンバーに作動流体を出し入れすることによりアブソーバユニット12自体の伸縮を行うことができ、車体と車輪14の間の鉛直方向の距離を調整して車高を変化させることができる。
アブソーバユニット12の伸縮動作は、例えばサスペンションを構成するサスペンションアーム16(ロアアームなど)に接続され車高検出手段として機能する車高センサ18で検出される車高値に基づき行われる。例えば、車両10の積載量や乗員数が変化した場合、その重量により車高は変化する。このときアブソーバユニット12を制御すれば車高をほぼ一定の高さに制御できる。その結果、車両姿勢が安定し、ばね上共振周波数をほぼ一定に維持できるようになり、快適な乗り心地や操作性の安定化に寄与できる。また、車速によって車高を変化させることも可能であり、車速に適した車高で安定した走行を実現できる。また、乗員が乗り降りするときに車高を下げることにより乗り降りが容易になる。また、荷物の積み降ろしのために荷台の高さ調節を行えば作業が容易になる。更に、車輪14が路面の突出物(たとえば岩や縁石など)に乗り上げた場合や窪みにはまってしまった場合など、各車輪14の車高を適宜変化させて、車両10が極端に傾いたり車両10の下部が路面に接触して走行不可能になってしまうことを回避している。
アブソーバユニット12には、油路20を介して流体供排装置22が接続されている。流体供排装置22は電動モータ22aにより駆動される液圧ポンプ22bを備えており、この液圧ポンプ22bはリザーバタンク22cから作動流体を汲み上げてチェックバルブ22dを介して油路20に作動流体を吐出する。油路20に供給された作動流体は、各車輪14毎に配置されるコントロールバルブ24を介してアブソーバユニット12に供給される。アブソーバユニット12は作動流体の供給を受けて内部圧力を上昇させることにより伸張動作する。すなわち、車高を高くする制御が行われる。逆に、作動流体がアブソーバユニット12から排出されコントロールバルブ24を介し流体供排装置22のリザーバタンク22cに戻されることによりアブソーバユニット12の内部圧力を低下させる。その結果、アブソーバユニット12が圧縮動作して、車高を低くする制御が行われる。
コントロールバルブ24は、車高調整装置全体を制御する制御手段として機能するECU26により開閉制御される。また、ECU26は流体供排装置22の動作制御を実行する。ECU26は、コントロールバルブ24の制御を車高センサ18から提供される車高値に基づくフィードバック制御により実行する。したがって、車体に対するサスペンションアーム16の高さ状態を車高センサ18で検出することにより、アブソーバユニット12を最適な伸縮状態にして車高制御を実現できる。
ECU26には、車高調整を実行するために必要な各種情報が提供される。たとえば、各アブソーバユニット12とコントロールバルブ24の間には、アブソーバユニット12の内部の圧力値を検出する圧力センサ28が配置され、常時アブソーバユニット12毎の圧力値をECU26に提供している。また、車高センサ18は各車輪位置における車高値をECU26に提供している。各車輪14の近傍には、当該車輪14の車輪速を測定するための車輪速センサ30が配置され、常時車輪速情報をECU26に提供している。ECU26では、車輪速情報に基づき車両10の車速を取得したり、車輪14の空転の有無、すなわちスタック状態に陥ったか否かを検出している。なお、ECU26は車高制御装置以外のシステムで用いられる車輪速情報や車速情報を取得して車高制御に用いてもよい。また、ECU26には、運転者が手動で車高調整を実行する場合に操作する車高調整スイッチ32が接続されている。この車高調整スイッチ32は基本的には、車両10が停車している場合のみ操作可能になっている。車両10の停車時のみECU26側で車高調整スイッチ32からの操作信号を受け付け可能としてもよい。また、ECU26には、車高調整状態や車高調整制御の一時停止や、一時停止の解除を運転者に提示する提示装置34が接続されている。この提示装置34は表示器やスピーカを備えることができる。
図2は、ECU26の構成を説明するブロック図である。本実施形態において、ECU26は、車高制御部36、路面推定部38、制御禁止部40、スタック検出部42、制御復帰部44、報知処理部46を含む。
車高制御手段として機能する車高制御部36は、通常、運転者の操作する車高調整スイッチ32からの信号を受けて動作する。車両10の乗り降りを行うために車高を下げた方が好ましい場合や、標準車高では車両屋根がゲートやトンネルや車庫の天井などに接触する可能性がある場合、運転者は車高調整スイッチ32を下降側に操作し車高を標準車高より低くする。また、荷物の積み降ろしなど荷台の高さをプラットホームの高さに合わせて高くした方が作業しやすい場合や、凹凸の激しい不整地(モーグル路)の走行などで車高を高くした方が走行し易い場合、運転者は車高調整スイッチ32を上昇側に操作し車高を標準車高より高くする。なお、この場合、車高は、4輪同時に同じ調整量だけ調整される。また、ここでいう標準車高は通常走行中の制御目標値であり、車両の設計段階で決めることのできる車高である。標準車高は、走行時の空気抵抗や車両の重心位置を考慮して車両が安定してスムーズに走行するのに適した車高で安定走行車高とも表現できる。たとえば、車速が所定速度以上(例えば、30km/h以上)の場合に、標準車高で走行させることにより、車両10に安定した走行を実行させることができる。
車高制御部36は、現在の車両10の使用状況に適した車高状態に制御するために、または標準車高に近づくようにコントロールバルブ24を制御する。そのため、車高制御部36は車高取得部48を介して提供される各車高センサ18で検出された車高値、車輪速取得部50を介して提供される各車輪速センサ30で検出された車輪速またはその車輪速から算出される車速、各圧力センサ28(図1参照)で検出された圧力値などを取得する。また、後述するが制御禁止手段として機能する制御禁止部40からの指令により車高制御を一時的に禁止する場合には、強制的に制御を禁止する。車高制御部36は各コントロールバルブ24の開閉制御、すなわちアブソーバユニット12の動作制御を、たとえばフィードバック制御で行う。
路面推定手段として機能する路面推定部38による路面の状態の推定は車高値を用いて実行することができる。路面推定部38には、ワープ演算部52が接続され路面の状態の推定に用いるワープ値を算出する。ワープ演算部52は、常時または一定間隔で、各車輪14の車高値の比較を行い車両10が存在する路面の状態を示すワープ値を算出する。ワープ演算部52は車両10の対角線上に配置された2本の車輪14の車高値の和を求める。そして、得られた2種類の対角線の車高値の和の差を取りワープ値とする。ワープ値が大きい場合、車両10の一方の対角線上の車輪の車高が低く、他方の対角線上の車輪の車高が高いことを示す。すなわち、車両10が捩れ姿勢となり傾いていることを示す。したがって、ワープ値の大きさに基づき、車両10が平坦な路面に存在するか、捩れた路面に存在するか、さらに、車両10がどの程度傾いているかを推定することができる。
具体的には、左前輪14aの車高値をH[FL]、右前輪14bの車高値をH[FR]、左後輪14cの車高値をH[RL]、右後輪14dの車高値をH[RR]とした場合、ワープ値Warpは、Warp=(H[FL]+H[RR])−(H[FR]+H[RL])となる。ワープ値Warpが大きい場合、路面は車両10の対角線方向に大きく捩れていると推定できる。つまり、車両10が捩れ姿勢となり、車両10が傾いていると推定できる。
このワープ値が所定のしきい値(例えば、100mm)を超えている場合、車両10は大きく傾いていると推定できる。言い換えれば、路面の状態が激しい凹凸状態であり所定の不整地条件を満たしていると推定できる。図3は、車両10が不整地(モーグル路)に進入して車両姿勢が傾いている状態を示す説明図である。図3の例では、左前輪14aが凸部に乗り上げ、左後輪14cが凹部に落ち込んでいる状態が示されている。この場合、左前輪14aと右後輪14dのアブソーバユニット12が圧縮側に変位し、右前輪14bと左後輪14cのアブソーバユニット12が伸張側に変位する。その結果、ワープ値は大きくなる。つまり、車両10は右後方に向かい大きく傾く。このような場合、車高制御部36は前述したように車両10の車高を効率的に上昇させるために、内部圧力が高く直ちに車高調整が実施できる左前輪14aと右後輪14dのアブソーバユニット12に対し作動流体の供給を実行する。その結果、左前輪14aと右後輪14dのアブソーバユニット12が伸張変位する。また、この左前輪14aと右後輪14dのアブソーバユニット12の伸張変位に伴い、右前輪14bと左後輪14cのアブソーバユニット12は、吊り下げられる状態になりさらに伸張側に変位する。不整地を走行している場合、各車輪は刻々と凸部と凹部を通過することになるので、その度に凸部に乗り上げ圧縮されたアブソーバユニット12に対して作動流体が供給される。その結果、車高は次第に高くなり車両姿勢は不安定側に移行してしまう。特に不整地走行の場合、各車輪14の車高は独立して制御されるので、車両姿勢が大きく傾くことがある。したがって、不整地を走行している場合、不用意に車高調整を実行することは好ましくない場合がある。
そこで、制御禁止部40は、ワープ値が所定のしきい値(例えば、100mm)を超えた場合、車高取得部48に対し車高制御を一時的に禁止するように指示を出す。つまり車両姿勢が所定値を超えて傾いたと推定できる場合、言い換えれば、所定の不整地条件を満たした場合、車高取得部48に対し車高制御を一時的に禁止するように指示を出す。なお、車高制御を一時的に禁止する判定を行うしきい値は、予め試験やシミュレーションによって決めておくことができる。制御禁止部40により車高制御が禁止された場合、車両10は現在の車高を維持して車両姿勢の悪化を最小限に抑えつつ不整地(モーグル路)を走行する。
ところで、上述したように不整地において車高制御を一時的に禁止した状態で走行を継続すると、車輪14がスタック状態に陥ってしまう場合がある。車輪14がスタック状態に陥ったか否かはスタック検出手段として機能するスタック検出部42により検出できる。スタック検出部42には、車輪速取得部50を介して各車輪速センサ30の車輪速が提供される。スタック状態に陥っていない場合、各車輪14の車輪速はほぼ同じである。一方、いずれかの車輪がスタック状態に陥っている場合、その車輪の車輪速のみが他の車輪に比べ大きくなる。車輪14がスタック状態に陥ってしまうと、その車輪14の駆動力が路面に良好に伝達できなくなり、その状態から脱出できなくなる。なお、スタック検出部42は車高取得部48から取得できる各車輪14の車高値からでもスタックの有無を推定できる。例えば、ある車輪の車高値が制御範囲を超えて高くなっている場合がある。この場合、車輪14が路面から浮き上がり、車両10から吊り下げられている状態であると推定できる。つまり、スタック検出部42はその車輪14が路面から浮いて駆動力を路面に伝達できなくなりスタック状態に陥ったとことを検出できる。
スタック状態から脱出させるためには、スタックしている車輪14と路面との摩擦力を向上させる必要がある。つまり、車輪の車高を変化させて、車両10の姿勢を変化させて、スタックしている車輪14に対する車重の分配率を変化させてスタックしている車輪を路面に強く押しつけるようにすればよい。この場合、制御復帰手段として機能する制御復帰部44は、車両10の姿勢悪化を抑制するために制御禁止部40が一時的に禁止していた車高制御禁止を解除する。
制御復帰部44は、車高制御禁止を解除する場合、通常の車高制御において調整が許可される第1最高車高値より所定量だけ車高を高く制御できる第2最高車高値までを調整限度として車高制御を復帰させる。例えば、通常路走行中の制御目標値である標準車高値(車両姿勢として安定している車高)を基準に第1最高車高値をαmmとすることができる。また、第2最高車高値を第1最高車高値から更にβmm(例えば、α×0.5)とすることができる。つまり、スタック中は標準車高から最大(α+β)mm(車両姿勢や車両重心を考慮して設計上で上昇できる車高)の車高調整が可能になる。第2最高車高値は、車両10の設計段階のシミュレーションや実際の試験によって定められる車高調整限度であり、安全走行可能な姿勢範囲内の値であることが確認されている車高値である。ただし、第2最高車高値は安全走行可能な制御範囲内の値であるが、調整量が大きく車両10の搭乗者に違和感を与える可能性がある。そのため、第2最高車高値による車高調整はあくまで緊急用であり、本実施形態では、通常走行で利用できないように設定されている。
制御復帰部44は、制御時間取得部54を含む。スタック状態であることが検出され、制御禁止部40による車高制御の禁止を一時的に解除する場合、車輪に対して無制限に車高制御を許可してしまうと車両10の姿勢が必要以上に悪化する方向に移行してしまう場合がある。したがって、制御禁止部40による車高制御の禁止の車高値に応じて制御時間の適切な設定を行うことが必要となる。制御時間取得部54は、第2最高車高値を制御限界として制御許可時間を取得する。ここで、標準車高値から第1最高車高値まで車高値を上昇させるために必要な時間(第1平均制御時間)は予めアブソーバユニット12や流体供排装置22の能力によって決定することができる。同様に、第1最高車高値から第2最高車高値まで変化するのに要する第2平均制御時間も予めアブソーバユニット12や流体供排装置22の能力によって決定することができる。また、標準車高値から制御禁止部40により制御が一時停止されるまでの車高制御時間は、車高制御部36の制御時間を参照することにより取得可能である。したがって、制御時間取得部54は第1平均制御時間と第2平均制御時間と標準車高値から制御禁止部40により制御が一時停止されるまでの車高制御時間に基づき制御許可時間を取得または算出することができる。
例えば、制御禁止部40による車高制御の禁止が第1最高車高値まで制御したときに実行され、スタック状態に陥った場合を考える。前述したように第1最高車高値から第2最高車高値まで変化するのに要する第2平均制御時間は予めアブソーバユニット12や流体供排装置22の能力によって決定することができる。例えば、前輪の場合5秒、後輪の場合3秒と設定することができる。ここで、前輪側の制御許可時間が後輪側に比べ長いのは、前輪側にエンジンがあり負荷重量が大きいためである。制御時間取得部54は、車高制御禁止の原因になった車輪の車高調整を実行する場合、予め設定されている第1平均制御時間を読み出し、制御復帰部44は読み出した第1平均制御時間に基づき制御復帰処理を実行する。
次に、制御禁止部40による車高制御の禁止が標準車高値から第1最高車高値に至る間で実行され、スタック状態に陥った場合を考える。この場合、標準車高値から第1最高車高値までに変化するのに要する第1平均制御時間と、第1最高車高値から第2最高車高値までに変化するのに要する第2平均制御時間と、標準車高値から制御禁止部40により制御が一時停止されるまでの車高制御時間が取得可能である。したがって、制御禁止部40による車高制御の禁止が実行されたときの車高値から第2最高車高値に至るまでの制御許可時間の算出を容易に行うことが可能になり、制御復帰部44による復帰処理を正確に行うことができる。
また、制御禁止部40による車高制御の禁止が標準車高値に至る前に実行され、スタック状態に陥る場合もある。通常、車両10の運転者はモーグル路等の不整地に進入する場合、車高を標準車高より低い状態にすることは考え難い。しかし、誤操作や制御エラーにより標準車高より低い状態でモーグル路に進入し、車高制御が禁止されてしまう場合もある。このような場合、制御時間取得部54は、車高制御が禁止されている車高値に基づき標準車高に至るまでの制御許可時間を算出して車高を標準車高に戻す。その後、スタック状態がなおも継続している場合、前述した第2最高車高値まで制御可能とする制御許可時間を取得し車高制御を実行する。
このように、車高制御の禁止中に車輪がスタック状態に陥った場合、車高制御を一時的に復帰させ、車両10の車高を変化させることにより、車両10の接地バランスが変化してスタックしている車輪と路面との接触状態が改善され車輪の駆動力が路面に伝達できるようになる可能性が増大する。その結果、スタック状態から迅速に脱出することを支援できる。
上述の説明では、制御時間取得部54が第2最高車高値まで車高調整を実行する場合を示したが、その車高制御中にスタック状態から脱出できる場合もある。つまり、第2最高車高値まで車高制御を行わなくてもよい場合がある。モーグル路から脱出した場合、標準車高に近い車高になっていることが望ましい。そこで、制御時間取得部54はスタック状態から脱出するための制御許可時間を複数段階に分けて算出するようにしてもよい。つまり、第1段階の少ない車高制御で脱出できなければ、更に車高制御量を増やす第2段階で脱出を試みるようにする。その結果、最小の車高上昇制御でスタック状態からの脱出が可能になり、モーグル路から脱出したときの車高が高くなることを抑制できる。なお、制御許可時間の分割回数は任意であるが、あまり細かくしてしまうとスタックしている車輪と路面との摩擦力が僅かしか高まらず、駆動力が良好に伝達しない。そのため制御許可時間は2段階〜3段階程度に分割することが望ましい。
報知処理部46は、車高制御が禁止されたことやスタック状態に陥り一時的に車高制御の禁止が解除されたこと、また、スタック状態から脱出できたこと、逆に脱出のための車高制御を行ってもスタック状態から脱出できなかったことなどを提示装置34を介して車両10の搭乗者に報知する。
以上にように構成される車高調整装置において、車両10の車高制御禁止中にスタック状態に陥った場合のスタック脱出処理の手順を図4のフローチャートに基づき説明する。
まず、車両10のイグニッションスイッチがオンされるとECU26は、車高制御部36の制御状態を確認し、各車輪14が独立して車高制御されているか否かチェックする(S100)。4輪同時に車高制御が行われている場合(S100のN)、車輪14は4輪同時に車高上昇または車高下降の制御が行われているので、車両10の姿勢は傾くことなく、車高制御が禁止されることはない。この場合、S100で4輪同時に車高制御が行われているか否かの監視を継続する。なお、ここで、4輪同時とは、実質的に同じタイミングで同方向に実質的に同量の車高調整が行われていることを意味し、完全に同じタイミングで同じ量の車高制御が行われていなくてもよい。S100で各車輪14が独立して車高制御を行っている場合(S100のY)、前述したように車輪14がモーグル路などを走行している場合がある。したがって、ワープ演算部52は車高取得部48から取得される各車輪14の車高値に基づきワープ値を算出する(S102)。路面推定部38は、ワープ演算部52が算出したワープ値を予め設定されているしきい値と比較する。ワープ値≦しきい値の場合(S104のN)、車両10の傾き量は許容範囲以内であり、モーグル路から脱出したときに車高が極端に高くなってしまうことはないと推定できる。したがって、ECU26はS100に戻りS100以降の処理を継続して路面の状態や車両10の傾きの状態の監視を実行する。S104において、ワープ値>しきい値の場合(S104のY)、ECU26は車両10が設定された許容範囲を超えて傾いていると推定する。つまり、このまま車高調整を継続した場合モーグル路から脱出したときに、車高が極端に高くなってしまう可能性があるので、制御禁止部40により車高制御を一時的に禁止させる(S106)。
車両10は、車高制御が禁止された場合もモーグル路における走行を継続することになるが、車高制御が禁止されているので車輪14がスタック状態に陥る可能性が高くなる。スタック検出部42は常時、車輪速取得部50から得られる各車輪14の車輪速に基づきスタック状態に陥ったか否かの検出を行っている。もし、スタック検出部42がスタック有りと判定した場合(S108のY)、ECU26は、制御復帰部44による車高制御復帰処理を開始する。まず、車高取得部48から提供される車高値に基づき、車高制御禁止の原因になった車輪14の車高値が第1最高車高値か否か判定する(S110)。そして、車高制御が第1最高車高値まで行われた時点で禁止されている場合(S110のY)、制御時間取得部54は第2平均制御時間を記憶部から読み出し、スタック状態からの脱出に使用する制御許可時間として決定する(S112)。続いて、制御復帰部44は、制御禁止部40に対し車高制御復帰許可を出し(S114)、制御禁止部40は車高制御部36に対して決定された制御許可時間に従い車高の上昇制御を実行させる(S116)。車高上昇制御は、決定された制御許可時間に到達するまで継続され(S118のN)、制御許可時間に到達した場合(S118のY)、制御復帰部44はスタック検出部42の検出結果を参照してスタック状態を脱出したか否かの確認を実行する(S120)。第2最高車高値を限度とする車高制御によりスタック状態から脱出できた場合(S120のY)、制御復帰部44は報知処理部46を介してスタック状態からの脱出が完了した旨を報知するメッセージや音声出力を提示装置34から出力するスタック脱出報知処理を実行する(S122)。その後、S100に戻りモーグル路を考慮した車高制御処理を継続して実行する。なお、再度S100以降の処理が行われる場合、スタック状態からの脱出制御を行った結果、ワープ値が変化するので、車高制御禁止処理が行われない場合もある。逆に、再度車高制御禁止処理が行われる場合もある。そして、再びスタックした場合に、第2最高車高値までの制御が可能な場合、上述した処理により脱出処理を行う。
また、S120で第2最高車高値まで車高制御を行ってもスタック状態から脱出できない場合(S120のN)、制御復帰部44は報知処理部46を介してスタック状態から脱出できない旨を示す警報処理を実行する(S124)。この場合、車両10はスタック状態からの自走脱出が困難となるため、牽引など他の脱出方法の提案を提示装置34を介して実行するようにしてもよい。
S110において、第1最高車高値でない場合(S110のN)、制御復帰部44は車高取得部48から提供される車高値に基づき、車高制御禁止の原因になった車輪14の車高値について、標準車高値から第1最高車高値の間で車高制御禁止が実行されているか否か判定する(S126)。そして、車高制御が標準車高値から第1最高車高値の間で禁止されている場合(S126のY)、前述したように、第1平均制御時間と第2平均制御時間と標準車高値から制御禁止部40により車高制御が一時停止されるまでの車高制御時間から制御許可時間を算出・決定する(S128)。そして、S114に移行し、S114以降の処理を実行して前述と同様にスタック状態からの脱出用の緊急車高調整処理を実行する。また、S126で車高制御が標準車高値から第1最高車高値の間で禁止されていない場合(S126のN)、制御禁止部40は標準車高値より低い車高値で車高制御を禁止したことになる。この場合、制御復帰部44は車高を標準車高値に戻すための制御許可時間の算出を実行し(S130)、S108へ移行してS108以降の処理を実行してスタック状態からの脱出を図る。なお、標準車高値に戻す車高制御は通常制御でも実行しているとともに、標準車高に車高制御した状態でモーグル路から脱出しても車両10の車高は通常姿勢の範囲内である。したがって、S130において制御許可時間の算出を実行することなく機械的に標準車高に戻す制御を行ってもよい。
また、S108において、スタック状態に陥っていないと判定された場合(S108のN)、S124に移行して、制御禁止部40は報知処理部46を介してモーグル路の走行中に車高制御を一時的に禁止している旨を報知する警報処理を実行し、運転者の注意を喚起するようにする。
このように、制御禁止部40の制御により、モーグル路の走行中に上昇側の車高制御が過剰に行われることが抑制できるので、モーグル路から脱出したときの車両姿勢をできるだけ安定側に留めることができる。また、車輪がスタック状態に陥った場合には、制御復帰部44により一時的に車高制御の禁止が解除され、第2最高車高値を制御限度とした緊急処理的な車高上昇制御が実行されるので、スタック状態から速やかに脱出できるように支援することができる。
なお、図4のフローチャートでは、車輪がスタック状態に陥った場合、車高を第2最高車高値まで一気に上昇させる例を示したが、スタック時の車高上昇制御は段階的に行ってもよい。図5はスタック時の車高上昇制御を段階的に実行するときの手順を示すフローチャートである。なお、S114までの処理は図4の処理と同じなので、S114以前のフローは図4のフローチャートを流用しその記載及び説明を省略する。
図5のS114において、車高制御復帰が許可された場合、制御復帰部44は、スタック後の車高制御を段階的に実行するか否かを決定する(S140)。段階処理を行わない場合(S140のN)、すなわち、一気に第2最高車高値まで上昇させる場合、図4のフローチャートと同様に、制御禁止部40は車高制御部36に対して決定された制御許可時間に従い車高の上昇制御を実行させる(S142)。車高上昇制御は、決定された制御許可時間に到達するまで継続され(S144のN)、制御許可時間に到達した場合(S144のY)、制御復帰部44はスタック検出部42の検出結果を参照してスタック状態を脱出したか否かの確認を行う(S146)。
一方、S140で段階制御を実行する場合(S140のY)、制御時間取得部54は段階車高制御上昇制御を実行する(S148)。具体的には、制御禁止部40が車高制御を禁止した車高値に基づき制御許可時間を算出し決定する(図4のS112、S128、S130の処理と同じ)。そして、決定された制御許可時間を分割する。このときの分割数は、2分割や3分割のように予め決めておいてもよいし、決定された制御許可時間の長さに応じて分割数を決定してもよい。例えば、制御時間が5秒未満の場合には、1分割(分割無し)、5秒以上8秒未満の場合は2分割、8秒以上の場合は3分割としてもよい。また、分割は均等分割でもよいし最初は長い制御時間として、徐々に短い制御時間としてもよい。各段階における段階制御許可時間が決定されたら、各段階において決定された段階制御許可時間に到達するまで車高上昇制御が継続される(S150のN)。そして、段階制御許可時間に到達した場合(S150のY)、制御復帰部44はスタック検出部42の検出結果を参照してスタック状態を脱出したか否かの確認を行う(S146)。
車高制御によりスタック状態から脱出できた場合(S146のY)、制御復帰部44は報知処理部46を介してスタック状態からの脱出が完了した旨を報知するメッセージや音声出力を提示装置34から出力するスタック脱出報知処理を実行する(S152)。その後、図4のS100に戻りモーグル路を考慮した車高制御処理を継続して実行する。
一方、スタック状態から脱出できていない場合(S146のN)で、現在、段階車高制御中でない場合(S154のN)、制御復帰部44は報知処理部46を介してスタック状態から脱出できない旨を示す警報処理を実行する(S156)。この場合、車両10はスタック状態からの自走脱出が困難となるため、牽引など他の脱出方法の提案を提示装置34を介して実行するようにしてもよい。
また、S154において、段階車高制御中の場合で(S154のY)、段階車高制御回数が設定された段階制御回数の上限に到達していない場合(S158のN)、S148に移行し、次の段階における段階制御許可時間を取得してS148以降の処理を実行する。また、S158において、スタック状態から脱出することなく段階制御回数の上限に到達している場合(S158のY)、S156に移行し警報処理を実行して、このフローを終了する。
このように、第2最高車高値を上限とする緊急時の車高制御を複数回に分割して実行することにより、最小の車高上昇制御でスタック状態からの脱出が可能になり、モーグル路から脱出したときの車高が高くなることを抑制できる。
なお、本実施形態において用いた図面の構成は一例であり、路面の状況に基づき車高制御を一時的に禁止して不整地などのモーグル路から脱出したときの車両姿勢をできるだけ安定側に留めることができるとともに、スタック状態に陥った場合には、一時的に車高制御の禁止を解除して、スタック状態からの脱出を優先させる構成であれば他の構成でもよい。つまり、上述のような目的を達成する構成であれば図1や図2に示す各構成を適宜変更してもよく、本実施形態と同様の効果を得ることができる。また、図2においては、説明を分かりやすくするために、ECU26内部の構成を機能毎に分けて記載したが、同様な機能を達成できれば、複数の機能を統合したり、さらに分離したりしても本実施形態と同様な効果を得ることができる。また、図4、図5のフローチャートは、処理手順を示す一例であり、車両姿勢を安定側に留めたり、スタック状態からの脱出を優先できる構成であれば、処理手順を適宜変更しても本実施例と同様の効果を得ることができる。
また、本実施形態では、車高調整手段として油圧駆動のアブソーバユニット12で車高調整行う例を説明したが、空気圧駆動で車高調整を行う構成でもよいし、モータ駆動により車高調整行う構成でも本実施形態と同様の効果を得ることができる。
本実施形態に係る車高調整装置を搭載する車両の構成概念図である。 本実施形態に係る車高調整装置のECUの内部構成を説明するブロック図である。 本実施形態に係る車高調整装置において、車両が不整地(モーグル路)に進入して車両姿勢が傾いている状態を示す説明図である。 本実施形態に係る車高調整装置の動作を説明するフローチャートである。 本実施形態に係る車高調整装置において、スタック状態からの脱出処理を段階的に実行する場合の動作を説明するフローチャートである。
符号の説明
10 車両、 12 アブソーバユニット、 14 車輪、 16 サスペンションアーム、 18 車高センサ、 22 流体供排装置、 24 コントロールバルブ、 26 ECU、 28 圧力センサ、 30 車輪速センサ、 32 車高調整スイッチ、 34 提示装置、 36 車高制御部、 38 路面推定部、 40 制御禁止部、 42 スタック検出部、 44 制御復帰部、 46 報知処理部、 48 車高取得部、 50 車輪速取得部、 52 ワープ演算部、 54 制御時間取得部。

Claims (5)

  1. 車両の各車輪を支持する車軸と車体との間に配置され、当該車両の車高を車輪毎に変化させるための車高調整手段と、
    各車輪の車高値を検出するための車高検出手段と、
    前記車高調整手段を制御して車高調整を実行するための車高制御手段と、
    前記車両が存在する路面の状態を推定する路面推定手段と、
    前記路面の状態が所定の不整地条件を満たす場合に前記車高制御手段による車高制御を一時的に禁止する制御禁止手段と、
    前記車輪がスタック状態に陥ったことを検出するスタック検出手段と、
    前記制御禁止手段による車高制御禁止中に前記スタック状態に陥ったことが検出された場合に、前記制御禁止手段による車高制御の禁止を一時的に解除し車輪をスタック状態から脱出させるための車高制御を復帰させる制御復帰手段と、
    を含むことを特徴とする車高調整装置。
  2. 前記制御復帰手段は、通常の車高制御において調整が許可される第1最高車高値より所定量だけ車高を高く制御できる第2最高車高値までを調整限度として車高制御を復帰させることを特徴とする請求項1記載の車高調整装置。
  3. 前記制御復帰手段は、前記車高制御禁止のときの車高値に基づき前記第2最高車高値までの範囲で制御許可時間を設定することを特徴とする請求項2記載の車高調整装置。
  4. 前記制御復帰手段は、通常路走行中の制御目標値である標準車高値から前記第1最高車高値まで変化するのに要する第1平均制御時間と前記第1最高車高値から前記第2最高車高値まで変化するのに要する第2平均制御時間と前記標準車高値から前記制御禁止手段により制御が一時停止されるまでの車高制御時間に基づき前記制御許可時間を定めることを特徴とする請求項3記載の車高調整装置。
  5. 前記制御復帰手段は、前記制御許可時間内で制御期間を複数回に区切り、段階的に前記車高制御を復帰させることを特徴とする請求項2から請求項4のいずれか1項に記載の車高調整装置。
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