以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
なお、説明は以下の順序で行うものとする。
(1.用語の定義)
(2.システム構成:図1)
(3.サーバの構成:図2〜図4)
(4.クラス判定タイミングの例示:図5)
(5.クラス優遇と期間優遇の競合時の対応:図6)
(6.クラス判定結果の表示制御:図7〜図10)
(7.クラス判定の評価基準の変更例)
(8.外貨資産のクラス優遇:図11〜図12)
(9.クラス判定方法:図13〜図14)
(10.資産管理方法:図15)
(11.表示制御方法:図16)
(12.顧客の取引状態フラグを用いたクラス判定:図17)
(13.優遇特典選択制:図18〜図19)
(14.効果)
(1.用語の定義)
まず、本明細書で用いる用語について定義する。
・資産は、金融機関の顧客(個人又は法人)の保有する金融資産であり、例えば、預金、有価証券、投資信託、保険商品、信託商品などといった、金融機関で金融商品として取り扱われる各種の金融資産が含まれる。より具体的には、例えば、預金は、定期預金、普通預金、貯蓄預金、通知預金、外貨預金などを含み、有価証券は、株券、債券(公共債、社債、金融債等)、小切手、手形などを含み、投資信託は、MMF、MRF、外国MMF、中期国債ファンド等を含み、保険商品は、年金保険、障害保険、火災保険、損害保険、生命保険などを含む。
・資産カテゴリは、同種の資産が属する部類であり、顧客が保有可能な各種の資産を分類する基準となる。この資産カテゴリの分類基準は、例えば、金融資産の種類、通貨、金額、販売地、販売時期などの任意の分類基準を、単独で又は組み合わせて設定できる。具体的には、この資産カテゴリとして、例えば、円預金カテゴリ、外貨預金カテゴリ、投資信託カテゴリ、有価証券カテゴリ、保険商品カテゴリなどを設定できる。
・クラスは、顧客の保有する資産の合計金額に応じて顧客を分類するための等級である。顧客の保有する資産金額が大きいほど、顧客は高いクラスに分類され、資産の運用や取引に関する優遇サービスが高くなり、より良い優遇条件での資産の取引、運用が可能となる。
・資産の管理は、金融機関が顧客の資産を運用(例えば、預金の利息計算)すること、又は、金融機関と顧客との間で資産を取引(例えば、購入、売却等)することを含む。この資産の運用時に用いられる値(預金金利等)を運用値といい、また、資産の取引時に用いられる値(取引手数料等)を取引値という。
・通常値は、資産(金融商品)の運用又は取引に関して金融機関が設定する通常条件(通常の預金金利、取引手数料、配当金、為替レート、取引手数料の無料回数、ポイントなど)を表す数値である。この通常値は、通常時(非優遇時)に適用される、資産の運用値又は取引値などである。
・優遇値は、資産(金融商品)の運用又は取引に関して金融機関が設定する優遇条件(優遇された預金金利、取引手数料、配当金、為替レート、取引手数料の無料回数、ポイントなど)を表す数値である。この優遇値は、優遇条件を表す実値であってもよいし、幅値(通常値との差分)であってもよい。
・資産管理の優遇条件は、資産(金融商品)の運用又は取引に関して金融機関が設定する優遇条件(優遇された預金金利、取引手数料、配当金、為替レート、取引手数料の無料回数、ポイントなど)である。
・クラス優遇は、顧客のクラスに応じて、顧客の資産(金融商品)の運用又は取引を優遇するサービスである。
・クラス優遇値は、顧客のクラスに応じて設定される優遇値であり、クラス優遇に関する資産優遇条件を表す。顧客のクラスが高いほど、クラス優遇値は顧客にとって有利な優遇条件の値に設定される。
・期間優遇は、キャンペーン期間などの所定の優遇期間に、顧客の資産(金融商品)の運用又は取引を優遇するサービスである。
・期間優遇値は、キャンペーン期間などの所定の優遇期間に設定される優遇値であり、期間優遇に関する資産の優遇条件を表す。キャンペーン期間であれば、通常値の代わりに、顧客にとって有利な期間優遇値が適用される。
(2.システム構成)
次に、図1を参照して、本発明の第1の実施形態にかかる金融サービス提供システム1について説明する。図1は、本実施形態にかかる金融サービス提供システム1の全体構成を示す概略図である。
図1に示すように、本実施形態にかかる金融サービス提供システム1は、銀行等の金融機関に設けられるサーバ10と、顧客がそれぞれ所持する複数の顧客端末20−1、20−2、・・・(以下、「顧客端末20」と総称する場合もある。)とが、ネットワーク5を介して通信可能に接続されている。なお、本実施形態にかかるサーバ10は、本発明の情報処理装置の一例である。
この金融サービス提供システム1において、サーバ10は、自身が有する機能やデータを、クライアントである顧客端末20に提供可能なコンピュータ装置で構成される。このサーバ10は、金融機関等に設置されて、各種の金融サービスを提供する金融サーバとして機能する。また、顧客端末20は、図1に示すように、パーソナルコンピュータ(PC)20−1、情報家電、家庭用ゲーム機などの、比較的処理能力の高い情報処理装置であってもよいし、或いは、携帯電話、PDA(Personal Digital Assistant)、携帯型ゲーム機、携帯型映像/音声プレーヤなどのモバイル機器(携帯端末)20−2であってもよい。また、ネットワーク5は、サーバ10と顧客端末20を相互に通信可能に接続する通信網であり、有線又は無線を問わない。このネットワーク5は、例えば、インターネット、電話回線網、衛星通信網等の公衆回線網や、Ethernet(登録商標)を含む各種のLAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、IP−VPN(Internet Protocol−Virtual Private Network)等の専用回線網などを使用できる。
かかる金融サービス提供システム1では、サーバ10と顧客端末20との間で、ネットワーク5経由で種々の情報をやり取りすることにより、顧客端末20を所持するユーザに対して、各種の金融サービスを提供することができる。この金融サービスは、例えば、預金の残高照会や、入出金照会、口座振込、振替などといった、ATMで対応しているサービスのみならず、各種の金融商品の取引(売買、申し込み、解約等)や、ウェブサイト又は電子メール等を用いた各種の情報(例えば、金融商品、為替レート、顧客の保有する資産等に関する情報、クラス優遇の情報、期間優遇の情報)の提供など、種々のサービスを含む。このように金融サービス提供システム1は、インターネットバンキングシステムとして機能し、顧客は顧客端末20を利用して金融機関のサーバ10にアクセスすることで、金融機関が提供する種々の金融サービスを利用できる。
本実施形態では、かかる金融サービス提供システム1において、顧客の資産活用状況を的確に判断し、顧客の多様な資産活用に応じた細やかな金融サービスを提供するために、サーバ10において、顧客の保有する資産を資産カテゴリごとに分類して管理し、適宜のクラス判定タイミングで、顧客の資産合計金額に応じて顧客のクラスを資産カテゴリごとに判定し、当該判定された顧客のクラスに応じた資産優遇条件で、顧客の資産を管理(運用、取引等)する優遇サービスを提供することを特徴としている。このとき、資産カテゴリごとに優遇条件が異なるために、サーバ10では、資産カテゴリごとに資産優遇条件(預金金利又は手数料等の優遇値)を定めたクラス優遇情報を予め設定しておき、このクラス優遇情報を用いて、資産カテゴリごとに顧客のクラスに応じた優遇サービスを施す。以下に、上記優遇サービスを実現するための金融サービス提供システム1の構成について、詳細に説明する。
(3.サーバの構成)
まず、図2を参照して、本実施形態にかかるサーバ10のハードウェア構成について説明する。図2は、本実施形態にかかるサーバ10の構成を示すブロック図である。
図2に示すように、サーバ10、例えば、CPU(Central Processing Unit)101と、ROM(Read Only Memory)102と、RAM(Random Access Memory)103と、ホストバス104と、ブリッジ105と、外部バス106と、インタフェース107と、入力装置108と、出力装置110と、ストレージ装置(HDD)111と、ドライブ112と、接続ポート113と、通信装置114とを備える。
CPU101は、演算処理装置および制御装置として機能し、各種プログラムに従って動作し、サーバ10内の各部を制御する。このCPU101は、ROM102に記憶されているプログラム、或いは、ストレージ装置111からRAM103にロードされたプログラムに従って、各種の処理を実行する。ROM102は、CPU101が使用するプログラムや演算パラメータ等を記憶するとともに、CPU101からストレージ装置111へのアクセスを軽減するためのバッファーとしても機能する。RAM103は、CPU101の実行において使用するプログラムや、その実行において適宜変化するパラメータ等を一次記憶する。これらはCPUバスなどから構成されるホストバス104により相互に接続されている。ホストバス104は、ブリッジ105を介して、PCI(Peripheral Component Interconnect/Interface)バスなどの外部バス106に接続されている。
入力装置108は、例えば、マウス、キーボード、タッチパネル、ボタン、スイッチ、レバー等の操作手段と、入力信号を生成してCPU101に出力する入力制御回路などから構成されている。サーバ10のユーザは、この入力装置108を操作することにより、サーバ10に対して各種のデータを入力したり、処理動作を指示したりすることができる。出力装置110は、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ装置、液晶ディスプレイ(LCD)装置、ランプ等の表示装置と、スピーカ等の音声出力装置などで構成される。
ストレージ装置111は、本実施形態にかかるサーバ10の記憶部の一例として構成されたデータ格納用の装置であり、例えば、HDD(Hard Disk Drive)で構成される。このストレージ装置111は、記憶媒体であるハードディスクを駆動し、CPU101が実行するプログラムや各種データを格納する。ドライブ112は、記憶媒体用リーダライタであり、サーバ10に内蔵、或いは外付けされる。このドライブ112は、サーバ10にローディングされた磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、または半導体メモリ等のリムーバブル記憶媒体に対して、各種データを書き込み/読み出しする。
接続ポート113は、外部周辺機器を接続するためのポートであり、例えば、USB、IEEE1394等の接続端子を有する。接続ポート113は、インタフェース107、および外部バス106、ブリッジ105、ホストバス104等を介してCPU101等に接続されている。通信装置114は、例えば、ネットワーク5に接続するための通信デバイス等で構成された通信インタフェースである。この通信装置114は、顧客端末20等の外部機器との間で、ネットワーク5を介して、上記の金融サービスや優遇サービスに関する各種データを送受信する。
なお、顧客端末20がPC20−1等のコンピュータ装置である場合には、上記のサーバ10と略同一の構成を採用でき、また、顧客端末20がモバイル機器20−2である場合には、周知の構成を採用できるので、顧客端末20のハードウェア構成の詳細説明は省略する。
次に、図3及び図4A〜図4Eを参照して、本実施形態にかかるサーバ10の機能構成について説明する。なお、図3は、本実施形態にかかるサーバ10の機能ブロック図である。図4A〜図4Eは、本実施形態にかかるサーバ10が保持する各種の情報の構成をそれぞれ示す説明図である。
図3に示すように、サーバ10は、記憶部120と、為替レート取得部130と、クラス条件設定部132と、通常条件設定部134と、期間条件設定部136と、顧客情報設定部138と、合計金額計算部140と、クラス判定部150と、資産管理部160と、表示制御部170と、を主に備える。なお、このうち、記憶部120、為替レート取得部130、クラス条件設定部132、通常条件設定部134、期間条件設定部136、顧客情報設定部138、合計金額計算部140、クラス判定部150、及びクラス判定部150は、顧客の資産活用状況に応じて顧客のクラスを判定するためのクラス判定ユニット180を構成する。以下、図3に示すサーバ10の各部について詳述する。
記憶部120は、例えば、上述したストレージ装置111又はROM102などからなる記憶装置であり、上記の金融サービスや優遇サービスに関する各種情報を記憶する機能を有する。具体的には、この記憶部120は、為替レート情報121(図11参照)、顧客資産情報122(図4A参照)、クラス優遇情報123(図4B参照)、通常条件情報124(図4C参照)、期間優遇情報125(図4D参照)及びクラス判定結果情報126(図4E参照)、顧客情報127など、を記憶する。以下にこれらの情報について、図4を参照してそれぞれ説明する。
まず、為替レート情報121について説明する。為替レート情報121は、市場動向に応じて時々刻々変動する為替レートと、その日時と関連づけた情報であり、現在の為替レートのみならず、過去の為替レートも含む。また、為替レート情報121は、外貨預金等の外貨資産(金融商品)を取り引きする際に通貨換算の基準となる為替レートである基準レート(図11参照)を少なくとも含むが、さらに、この基準レートに金融機関の取引手数料(為替手数料等)を上乗せした購入レート及び売却レートを含んでもよい。かかる為替レート情報121は、外貨預金等の外貨金融商品を取り引きする際に通貨換算の基準として用いられるだけでなく、後述のクラス判定の評価基準となる資産合計金額を算出するためにも用いられる。
次に、図4Aを参照して、顧客資産情報122について説明する。顧客資産情報122は、サーバ10を運営する金融機関において顧客が実際に保有する資産を表す情報である。この顧客資産情報122は、顧客が実際に保有する資産の金額や数量(預金の金額、投資額、株数など)を、顧客ごと及び資産カテゴリごとに区分して保持するテーブルで構成される。顧客を識別する情報として、例えば、金融機関の口座番号が使用され、個々の資産カテゴリの顧客資産情報122にも口座番号を記述する(図示せず。)ことにより、顧客と資産カテゴリとの関連付けが行われている。かかる顧客資産情報122は、顧客と金融機関との間の資産取引(売買等)により、顧客が当該金融機関で保有する資産が変化すれば、それに応じて更新される。
図4Aの例では、顧客Aは、例えば円預金カテゴリである資産カテゴリ1に属する資産X1、Y1と、外貨預金カテゴリである資産カテゴリ2に属する資産X2、Y2、Z2、W2と、投資信託カテゴリである資産カテゴリ3に属する資産X3、Y3をそれぞれ保有していることが分かる。資産カテゴリ1(円預金カテゴリ)には、顧客Aが保有する円預金である資産X1(例えば普通預金)と資産Y2(例えば定期預金)が含まれており、資産カテゴリ1の顧客資産情報テーブルにはこれら資産X1、Y1の預金額(通貨:円)の情報が記述されている。また、資産カテゴリ2(外貨預金カテゴリ)には、顧客Aが保有する各国の外貨預金である資産X2、Y2、Z2、W2が含まれており、資産カテゴリ2の顧客資産情報テーブルにはこれら資産X2、Y2、Z2、W2の外貨預金額(通貨:米ドル、ユーロ等)の情報が記述されている。また、資産カテゴリ3(投資信託カテゴリ)には、顧客Aが保有する投資信託である資産X3(ファンド名:X)、資産Y3(ファンド名:Y)が含まれており、この資産カテゴリ3の顧客資産情報テーブルにはこれら資産X3、Y3の投資額または所定時点における評価額(例えば通貨:円)の情報が記述されている。
次に、図4Bを参照して、クラス優遇情報123について説明する。クラス優遇情報123は、資産カテゴリごとに、顧客が実際に保有する資産の合計金額に応じて顧客を分類するためのクラスと、そのクラスに応じたクラス優遇条件とを定めた情報である。このクラス優遇情報123は、後述するクラス判定部150による顧客のクラス判定の評価基準となるものであり、クラス優遇サービスの優遇条件であるクラス優遇値を定めたものである。このクラス優遇値は、クラス優遇サービスの適用時における資産の取引又は運用の優遇条件を表す値(例えば、預金金利、取引手数料など)であり、通常時(非優遇時)に適用される通常値よりも顧客にとって有利な値(例えば、クラス優遇値が預金金利である場合には高い預金金利値、取引手数料の場合には低い手数料値)に設定される。なお、取引手数料は、顧客が金融機関と資産を取引する際に課金される各種の手数料であり、例えば、資産の購入/売却手数料、外貨資産の為替手数料、預金の預入/引出手数料などを含む。
図4Bに示すように、このクラス優遇情報123は、資産カテゴリごとに、クラス判定の評価基準となる資産合計金額の範囲と、資産合計金額に応じて設定される顧客のクラスと、当該クラスに対応するクラス優遇値とを関連づけたテーブル(クラス優遇情報テーブル)で構成される。図4Bに示す例では、上記の資産カテゴリ1(円預金カテゴリ)と資産カテゴリ2(外貨預金カテゴリ)についてそれぞれ、相異なるクラス優遇情報123が設定されている。資産カテゴリ1のクラス優遇情報123では、資産合計金額の範囲に応じて例えば3段階のクラスA、B、Cが設定され、このクラスA、B、Cに対してそれぞれ、資産カテゴリ1に属する各々の資産X1、Y1、・・・についてクラス優遇値V1a〜c、V1d〜fが個別に設定されている。一方、資産カテゴリ2のクラス優遇情報123では、資産合計金額の範囲に応じて例えば2段階のクラスA、Bが設定され、このクラスA、Bに対して、当該資産カテゴリ2に属する全ての資産X2、Y2、Z2、W2、・・・で共通のクラス優遇値V2a、V2bが設定されている。
このように、異なる資産カテゴリ間で、クラスの評価基準となる資産合計金額の範囲や、クラス数、クラス優遇値を変えることで、資産カテゴリに応じてクラス優遇条件を設定して、各資産カテゴリの特徴に応じたクラス優遇サービスを提供できる。また、資産カテゴリ1のように同一の資産カテゴリに属する資産ごとに個別のクラス優遇値を設定することで、同一の資産カテゴリ内であっても各々の資産X1、Y1に適した細分化された優遇サービスを提供できる。一方、資産カテゴリ2のように同一の資産カテゴリに属する全ての資産X2、Y2、Z2、W2に共通のクラス優遇値を設定することで、共通の特徴を有する複数の資産に適した統一的なクラス優遇サービスを提供できる。なお、図4Bに示す資産カテゴリ1、2のクラス優遇情報123では、顧客の資産合計金額が所定金額以下(例えば、資産カテゴリ1では「¥○以下」、資産カテゴリ2では「¥▽以下」)である場合には、顧客を優遇するためのクラス及びクラス優遇値が設定されてないため、かかる場合には、顧客は優遇クラスの対象外となりクラス優遇サービスが適用されず、通常値又は期間優遇値を適用して顧客の資産が管理されることなる。
次に、図4Cを参照して、通常条件情報124について説明する。通常条件情報は、資産カテゴリごとに、顧客が保有する資産の取引又は運用に関する通常条件を定めた通常値を示す情報である。この通常値は、上記クラス優遇サービスや期間優遇サービスが適用されない通常時における、資産の取引条件又は運用条件を表す値(例えば、預金金利、取引手数料など)である。
図4Cに示すように、通常条件情報124としては、資産カテゴリごとに、所定の資産カテゴリ内の資産合計金額の範囲と、通常値とを関連づけたテーブル(通常条件情報テーブル)で構成される。例えば、資産カテゴリ1(円預金)の通常条件情報124では、所定の資産カテゴリ内の資産合計金額(例えば資産カテゴリ1内の資産合計金額)が、¥○未満(つまり、上記資産カテゴリ1のクラス優遇情報123における最低クラスAに対応する資産合計金額の範囲の下限値未満)である場合には、資産X1(例えば普通預金)については通常値Ex1が、資産Y1(例えば定期預金)については通常値Ey1が適用される。また、資産カテゴリ2(外貨預金)の通常条件情報124では、所定の資産カテゴリ内の資産合計金額(例えば資産カテゴリ2内の全ての外貨預金を所定の基準通貨に換算して合計したときの合計金額)が、¥▽未満(上記資産カテゴリ2のクラス優遇情報123における最低クラスAに対応する資産合計金額の範囲の下限値未満)である場合には、資産カテゴリ2に属する全ての資産について通常値E2が適用される。このように、資産カテゴリごとに異なる通常値を設定することができ、また、通常値が適用される資産合計金額の範囲を、資産カテゴリごとに異なる範囲に設定することができる。また、資産カテゴリ1のように、同一の資産カテゴリ1に属する資産X1、Y1ごとに通常値Ex1、Ey1を個別に設定してもよいし、或いは、資産カテゴリ2のように、同一の資産カテゴリ2に属する全ての資産X2、Y2、Z2、W2で共通の通常値E2を設定してもよい。
次に、図4Dを参照して、期間優遇情報125について説明する。期間優遇情報125は、所定の優遇期間(例えばキャンペーン期間)に適用される期間優遇条件を定めた期間優遇値を示す情報である。この期間優遇値は、期間優遇サービスの適用時における資産の取引条件又は運用条件を表す値(預金金利や、取引手数料など)であり、通常時に適用される通常値よりも顧客にとって有利な値(例えば、クラス優遇値が預金金利である場合には高い預金金利値、取引手数料の場合には低い手数料値)となる。
図4Dに示すように、期間優遇情報125としては、所定の優遇期間と、その優遇期間に適用される期間優遇値とを関連づけたテーブル(期間優遇情報テーブル)で構成される。この期間優遇情報125は資産カテゴリごとに個別に設定することができる。例えば、資産カテゴリ1(円預金カテゴリ)の期間優遇情報125では、円預金に関する所定の優遇期間t1〜t2と、その優遇期間における期間優遇値Dx1、Dy1が、資産カテゴリ1に属する資産X1、Y1ごとに個別に設定されている。また、資産カテゴリ2(外貨預金カテゴリ)の期間優遇情報125では、外貨預金に関する所定の優遇期間t3〜t4と、その優遇期間における期間優遇値D2が、資産カテゴリ2に属する全ての資産X2、Y2、Z2、W2(各国通貨の外貨預金)で共通に設定されている。このように、資産カテゴリごとに異なる優遇期間及び期間優遇値を設定することで、資産カテゴリに応じた期間優遇サービスを提供できる。
次に、図4Eを参照して、クラス判定結果情報126について説明する。クラス判定結情報126は、後述のクラス判定部150がクラス優遇情報123に基づいて顧客のクラスを資産カテゴリごとに判定した結果を示す情報である。図4Eに示すように、クラス判定結果情報126は、顧客ごと及び資産カテゴリごとに作成・管理される。このクラス判定結果情報126は、例えば、クラス判定を行った判定日と、判定された顧客のクラスと、そのクラスに対応するクラス優遇値と、そのクラス優遇値の適用期間(例えば適用月)とを関連づけたテーブル(クラス判定結果情報テーブル)で構成される。例えば、資産カテゴリ1のクラス判定結果情報126では、一ヶ月ごとに資産カテゴリ1に関する顧客Aのクラスが判定されてB→A→Aと変化し、このクラス変化に応じて、資産カテゴリ1に関するクラス優遇値もV1b→V1a→V1a、V1e→V1d→V1d、と設定変更されている。また、資産カテゴリ2のクラス判定結果情報126では、最初の判定日(2007年3月31日)では、顧客Aの資産合計金額がクラス優遇の下限値未満(上記「¥▽未満」)であったため、資産カテゴリ2については顧客Aがクラス優遇サービスの対象外であると判定された(つまり、上記通常値が適用される通常クラスであると判定された)ため、資産カテゴリ2に関するクラス優遇値が設定されてない。
また、記憶部120には、顧客に関する識別情報等の各種情報を含む顧客情報127が記憶されている。この顧客情報127は、例えば、顧客の氏名、口座番号、住所、電話番号、電子メールアドレス、顧客端末20からサーバ10にアクセスするための顧客ID及びパスワード、銀行等の金融機関と顧客の取引状態を表すフラグなどが含まれている。これらの顧客情報127は、顧客情報設定部138により設定されて記憶部120に記憶される。サーバ10は、この顧客情報127のうちの電子メールアドレスを用いて、顧客の保有資産や優遇サービスなどに関する各種情報を顧客端末20に電子メールで通知することができる。また、顧客情報127に含まれるフラグは、例えば、住宅ローンフラグ、家族フラグ、アンケートフラグ、モバイルフラグ、クレジットカードフラグなど、金融機関と顧客の取引状態を表す情報である。かかるフラグは、顧客の資産合計金額とともに、顧客のクラス判定に用いることができるが、詳細は後述する(図17等参照。)。
以上、図4A〜図4Eを参照して、サーバ10の記憶部120に記憶されている各種情報について説明した。なお、上記のクラス優遇情報123、期間優遇情報125に含まれるクラス優遇値、期間優遇値は、実値(実際に適用される値)でもよいし、幅値(実値と通常値との差分)でもよい。例えば、優遇値が預金金利を表す場合であって、通常預金金利が1.8%、優遇預金金利が2.0%であるときには、優遇値は実際の優遇預金金利値(実値)である2%でもよいし、通常預金金利に対する実際の優遇預金金利値の幅値0.2%でもよい。また、上記のクラス優遇値、通常値、期間優遇値は、全て実値または幅値のいずれか一方に統一される必要はない。
再び図3に戻り、サーバ10の各部について更に説明する。為替レート取得部130は、上記の為替レート情報121を取得して、記憶部120に記録する。詳細には、為替レート取得部130は、例えば、サーバ10に対して有線又は無線で接続された外部装置、或いは、サーバ10に装着されたリムーバブル記憶媒体などから、各国通貨の為替レートに関する情報を日時情報とともに取得し、当該情報を上記為替レート情報121として記憶部120に記録する。これにより、市場動向に応じて時々刻々変動する為替レートが随時、その取得日時と関連づけられて記憶部120に記憶される。
クラス条件設定部132は、資産カテゴリごとに上記クラス優遇情報123を設定して、管理する。詳細には、クラス条件設定部132は、例えば、サーバ10の管理者の入力に基づいて、或いは、予め設定されたクラス優遇条件に基づいて自動的に、図4Bに示した資産合計金額に応じたクラス評価基準とクラス優遇値(例えば、優遇預金金利値、優遇手数料値など)を関連づけたクラス優遇情報123を、資産カテゴリごとに作成し、記憶部120に記録する。このとき、クラス条件設定部132は、クラス優遇対象となる資産カテゴリに関してクラス優遇情報123を設定すればよく、必ずしも全ての資産カテゴリに関してクラス優遇情報123を設定しなくてもよい。また、複数の資産カテゴリで共通のクラス優遇情報123を設定することも可能である。さらに、クラス条件設定部132は、その後のクラス優遇条件の変更に応じて、上記記憶部120に記憶されているクラス優遇情報123を更新する。かかるクラス条件設定部132によってクラス優遇情報123を予め設定しておくことで、クラス判定部150によるクラス判定が可能となる。
通常条件設定部134は、資産カテゴリごとに上記通常条件情報124を設定して、管理する。また、期間条件設定部136は、資産カテゴリごとに上記期間優遇情報125を設定して、管理する。これらの通常条件設定部134、期間条件設定部136はそれぞれ、例えば、サーバ10の管理者の入力に基づいて、或いは、予め設定された通常条件、期間優遇条件に基づいて自動的に、図4C、図4Dに示したような通常条件情報124、期間優遇情報125を作成して、記憶部120に記録し、さらに、その後の通情条件、期間優遇条件の変更に応じて、通常条件情報124、期間優遇情報125を更新する。なお、期間優遇サービスを実施しない場合には、期間条件設定部136は、期間優遇情報125を設定しなくてもよい。
顧客情報設定部138は、各顧客の顧客情報127を設定して、記憶部120に記憶する。上述したように、顧客情報127は、例えば、顧客の氏名、口座番号、住所、電話番号、電子メールアドレス、顧客ID及びパスワード、銀行等の金融機関と顧客の取引状態を表すフラグなどである。顧客情報設定部138は、サーバ10の管理者の入力に基づいて顧客情報127を手動設定してもよいし、或いは、外部装置(顧客データベース等)から取得したデータに基づいて顧客情報127を自動設定してもよい。
合計金額計算部140は、上記の複数の資産カテゴリの中から、クラス判定の評価基準となる所定の資産カテゴリを選択する。さらに、合計金額計算部140は、予め設定された優遇顧客抽出パターン情報に基づいて、クラス優遇サービスの対象となる顧客を抽出する。そして、合計金額計算部140は、クラス優遇サービスの対象となる顧客に関し、顧客資産情報122を記憶部120から読み出し、この読み出した顧客資産情報122に基づいて、当該顧客が実際に保有する資産のうち、上記選択した所定の資産カテゴリに属する資産の合計金額を計算する。このように合計金額計算部140は、クラス優遇サービスの対象となる顧客に関し、クラス判定の評価基準となる所定の資産カテゴリに属する顧客の全資産の金額を合計して、クラス判定の評価基準となる資産合計金額を産出し、この資産合計金額をクラス判定部150に出力する。
ここで、合計金額計算部140の処理の具体例について、図4の例を参照して説明する。まず、合計金額計算部140は、顧客資産情報122で分類されている複数の資産カテゴリから、顧客のクラスを判定するための評価基準となる所定の資産カテゴリを選択する。ここでは、顧客のクラス判定の評価基準となる所定の資産カテゴリとして、例えば、資産カテゴリ1が選択されたとする。次に、合計金額計算部140は、クラス優遇サービスの対象となる顧客の顧客資産情報122を読み出し、この顧客資産情報122のうち資産カテゴリ1に属する全ての資産X1、Y1の合計金額を計算する。例えば、資産カテゴリ1が円預金カテゴリである場合、資産X1は円普通預金、資産Y1は円1年定期預金とすることができ、この円普通預金の残高と、円1年定期預金の残高とが合計される。この結果、顧客Aが実際に保有する資産の合計金額(X1+Y1)が、顧客Aのクラスを判定するための評価基準値として算出される。
また、他の資産カテゴリ2について顧客Aのクラスを判定する場合には、上記資産カテゴリ1の資産合計金額(X1+Y1)を用いてクラス判定することも可能であるが、当該資産カテゴリ2自身の資産合計金額(X2+Y2+Z2+W2)を用いてクラス判定することも可能である。後者の場合、例えば、資産カテゴリ2が外貨預金カテゴリであるとすると、資産カテゴリ2に属する外貨預金X2、Y2、Z2、W2の金額は、通貨が異なる。そこで、合計金額計算部140は、記憶部120から為替レート情報121を読み出し、この為替レート情報121に含まれる各通貨の為替レートの基準レートを用いて、外貨預金X2、Y2、Z2、W2の金額を、所定の基準通貨(例えば「円」)に換算した上で、この通貨換算した外貨預金を合計して資産合計金額を求める。このとき、換算に用いる基準レートは、最新の為替レートであってもよいし、過去の所定時点の為替レートであってもよい。これにより、資産カテゴリ2に属する資産X2、Y2、Z2、W2の通貨が異なる場合であっても、クラス判定の評価基準値となる資産合計金額を求めることができる。
このようにして、合計金額計算部140が各々の資産カテゴリごとに資産合計金額を算出することで、クラス判定部150は、これらの資産合計金額を評価基準として各資産カテゴリに対する顧客のクラスをそれぞれ判定できるので、顧客の資産カテゴリごとの資産活用状況に応じてクラス判定を行うことができる。
次に、クラス判定部150について説明する。クラス判定部150は、上記クラス条件設定部134により資産カテゴリごとに設定されたクラス優遇情報123に基づいて、資産カテゴリごとに、上記合計金額計算部140により計算された資産合計金額に応じて顧客のクラスを判定する。詳細には、クラス判定部150は、記憶部120から、判定対象の資産カテゴリのクラス優遇情報123を読み出し、このクラス優遇情報123にてクラスごとに定められている資産合計金額の範囲と、上記計算された資産合計金額とを比較して、上記計算された資産合計金額に相当するクラスを判定し、更に、当該クラス優遇情報123に基づいて、当該判定されたクラスに対応するクラス優遇値を決定する。そして、クラス判定部150は、このクラス判定結果を表すクラス判定結果情報126(図4E参照)を作成し、記憶部120に記録する。なお、このクラス判定部150によるクラス判定は、予め定められた所定時期に定期的(例えば一ヶ月ごと)に行ってもよいし(図5参照)、或いは、顧客と金融機関との間で資産に関する取引(売買等)が発生した時点で即時行ってもよい(図12参照)。また、クラス判定部150は、判定されたクラス及び当該クラスに対応するクラス優遇値の適用期間を設定するが、この判定期間は、クラス判定処理を行った時点より後の所定期間に設定されてもよいし(図5B参照)、クラス判定処理時の直後の所定期間に設定されてもよい(図5A参照)。
ここで、クラス判定部150の処理の具体例について、図4の例を参照して説明する。例えば、前述の合計金額計算部140により計算された資産合計金額(X1+Y1)が、資産カテゴリ1のクラス優遇情報123における所定の資産合計金額の範囲内、例えば、「¥○〜¥△」の範囲内にある場合には、クラス判定部150は、当該資産を保有する顧客Aの資産カテゴリ1のクラスを、当該資産合計金額の範囲「¥○〜¥△」に対応するクラスAと判定する。この判定の結果、クラス判定部150は、当該判定を行った判定日と、判定されたクラスAと、このクラスAに対応するクラス優遇値V1a、V1dと、このクラス優遇値の適用期間とを関連づけた情報を、クラス判定結果情報126として記憶部120に記録する。一方、上記の資産合計金額(X1+Y1)が、資産カテゴリ1のクラス優遇情報123で定められたいずれの資産合計金額の範囲にも含まれない場合は、クラス判定部150は、当該顧客はクラス優遇サービスの対象外であると判定し、クラス優遇値を設定しない。この判定の結果、クラス判定部150は、当該判定を行った判定日と、クラス優遇サービスの対象外である旨の情報と、適用期間とを関連づけた情報を、クラス判定結果情報126として記憶部120に記録する。図4Eの例では、資産カテゴリ2のクラス判定結果情報126において、顧客Aは、2007年5月の適用期間ではクラス優遇サービスの対象外であると判定されている。
次に、資産管理部160について説明する。資産管理部160は、上記クラス判定結果情報に基づいて、資産カテゴリごとに顧客が保有する資産を管理する。ここで、資産の管理とは、資産管理部160が、上記の通常値又は優遇値(クラス優遇値、期間優遇値)を用いて顧客資産の運用又は取引を行い、この運用又は取引の内容に応じて記憶部120の顧客資産情報122を更新することである。例えば、この資産の管理は、顧客の保有する資産の運用(例えば、預金の利息の計算、投資信託や株の配当金の計算など)や、顧客と金融機関との間の資産の取引(例えば、預金や投資信託等の金融商品の売買、申し込み、契約変更、解約、積み増し等)などを含む。このため、資産管理部160は、当該資産の運用を行う資産運用部162と、当該資産の取引を行う資産取引部164とを含む。
資産管理部160は、顧客の資産を管理(運用、取引等)する場合、上記記憶部120に記憶されているクラス優遇情報123、通常条件情報124及び/又は期間優遇情報125を読み出し、これらの情報に含まれるクラス優遇値、期間優遇値または通常値のいずれかに基づいて、顧客の資産を管理し、管理した結果に応じて顧客資産情報122を更新する。例えば、資産管理部160は、上記クラス判定結果情報126に基づいて、管理対象の資産を保有する顧客がクラス優遇サービスの適用対象の顧客であるか否かを判定し、クラス優遇サービスの適用対象の顧客である場合には、上記クラス判定結果情報126内のクラス優遇値を適用して、当該顧客の資産を管理する。また、クラス優遇サービスの適用対象の顧客でない場合には、上記通常条件情報124内の通常値、又は、優遇期間中であるときには期間優遇情報125内の期間優遇値を適用して、当該顧客の資産を管理する。
例えば、図4Eの例では、2007年6月及び7月の適用期間では、顧客Aは、資産カテゴリ1に属する資産X1、Y1の運用または取引において、クラスAに対応するクラス優遇値V1aの優遇預金金利又は優遇手数料等が適用されることとなる。一方、資産カテゴリ2については、2007年5月の適用期間では、顧客Aがクラス優遇サービスの対象外と判定されているので、資産カテゴリ2に属する資産X2、Y2、Z2、W2の取引又は運用をする場合(例えば預金金利の利息を計算する場合)には、クラス優遇値は適用されず、資産カテゴリ2の通常条件情報124に含まれる通常値E2(例えば、通常預金金利値1.8%)が適用される。
なお、上述したように、記憶部120に記憶されるクラス優遇情報123やクラス判定結果情報126では、例えば、クラス優遇値V1aの具体的な値として、実際の優遇預金金利を表す実値(例えば2.0%)、又は、通常値Ex1に対する実際の優遇預金金利値の幅値(例えば0.2%)のいずれを保持してもよいが、後者の場合は、資産取引時には、通常値Ex1にクラス優遇値V1aを上乗せした値(通常値Ex1+幅値V1a)で、資産X1は取引されることになる。
ここで、資産管理部160がクラス優遇値を用いて、顧客の資産を管理する処理の具体例について説明する。例えば、クラス優遇値が優遇預金金利値を表す場合、資産管理部160は、資産の運用時(利息計算時)には、クラス判定結果情報126に含まれるクラス優遇値である優遇預金金利値と、顧客資産情報122に含まれる顧客が実際に保有する預金金額とを記憶部120から読み出し、当該優遇預金金利値を当該預金金額に乗算して当該顧客の預金の利息を計算し、計算した利息が反映されるように、当該顧客の顧客資産情報122の預金金額を更新する。
また、クラス優遇値が資産の取引手数料値を表す場合、資産管理部160は、資産の取引時(例えば、外貨預金の購入時)には、クラス判定結果情報126に含まれるクラス優遇値である取引手数料値(例えば、外貨預金の優遇購入レート)を記憶部120から読み出し、当該取引手数を用いて取引対象の資産の取引手数料を計算し(例えば、購入される外貨預金の金額に優遇購入レートを乗算して、為替手数料を計算し)、計算した取引手数料(購入代金)を顧客に課金するために、当該顧客の顧客資産情報122の預金金額から当該取引手数料の金額を減算する。
以上のように、上記のクラス判定部150によって、資産合計金額を評価基準として資産カテゴリごとに顧客のクラス判定を行って、クラス判定結果情報126を記憶部120に記録しておき、実際の資産管理時には、資産管理部160は、このクラス判定結果情報126に基づいて、クラス優遇サービスの適用期間中にはクラス優遇値を適用し、クラス優遇サービスの適用期間外には通常値又は期間優遇値を適用して、顧客の資産を管理する。これにより、資産カテゴリごとに、顧客の資産の利用状況に応じた優遇サービスを提供することが可能となる。
また、資産管理部160は、記憶部120に記憶されている各顧客の顧客資産情報122やクラス判定結果情報126の一部又は全部の情報を、電子メール等を用いて、各顧客の端末装置20に配信することができる。ここで、各顧客の電子メールのアドレスは、上記記憶部120に予め登録されているものを使用できる。これにより、顧客に対して、クラス優遇サービスの適用状況を通知して、クラス優遇サービスの利用を促進できるとともに、金融機関における資産取引額の増加を図ることができる。
例えば、外貨預金カテゴリ(上記資産カテゴリ2)に関するクラス判定時に、各外貨預金を所定の基準通貨に換算するために使用する為替レートにおいて、少なくとも前回のクラス判定に用いた為替レートより一つでも下がった為替レートがあれば(例えば、顧客が米ドル、ユーロ、ポンドの外貨預金を保有している場合に、ポンドの為替レートが下がった場合)、資産管理部160は、顧客のクラスが前回判定されたクラスよりも低くなる可能性がある旨を、顧客端末20に電子メールで通知する。即ち、前回と今回のクラス判定の間に、資産の出し入れを行っていない顧客は、前回のクラスが維持されることを期待している。そこで、サーバ10は、今回のクラス判定で、前回よりも下がった為替レートを用いてクラス判定する場合は、今回のクラス判定前に予め、クラスが少なくとも1ランク低下する可能性のある旨の情報を、電子メール等を用いて顧客端末20に通知する。これにより、未来のクラス判別の予想状況を顧客に通知して、保有資産に適したクラス優遇の範囲を顧客に提示することが可能となる。より具体的には、後述する図8Bの例では、10月のクラス優遇内容は8月31日のクラス判定の結果で決定されるが、このクラス判定で用いる為替レートが当月の月初の8月1日に決定した場合、この8月1日で決定した為替レートと、7月31日のクラス判定で用いた為替レート(7月1日に決定した為替レート)とを比較して、この比較の結果、各国通貨のうち一つでも下がった為替レートがある場合は、その旨をサーバ10から顧客端末20に電子メールで通知する。
なお、図3の記憶部120の中の為替レート情報121には、各国通貨に関し、前回(例えば前月)のクラス判定に用いた為替レートと、今回(例えば今月)のクラス判定に用いる為替レートとが記録されており、サーバ10は、両者を比較することで、為替レートの変動に伴うクラス判定の変動を予想して、顧客端末20に通知できる。
次に、表示制御部170について説明する。表示制御部170は、サーバ10にネットワーク5を介してアクセスした顧客端末20の表示画面に、上記記憶部120に記憶されている、当該顧客端末20を所有する顧客のクラス判定結果情報126のうち、少なくとも一部の情報を表示させるための表示制御を行う。この表示制御部170は、例えば、サーバ10にアクセスした顧客端末20がいずれのサイト経由でアクセスしたか(例えば、PC等の一般機器用のサイトか、或いは、モバイル機器用のサイトか)に基づいて、顧客端末20の表示画面に表示させるクラス判定結果情報126の情報量を増減させることができる。具体的には、表示制御部170は、比較的大きい表示処理能力と表示画面を有するPC20−1等の顧客端末20にクラス判定結果情報126を表示させるためのPC用表示制御部172(第1の表示制御部)と、比較的小さい表示処理能力と表示画面を有するモバイル機器20−2等の顧客端末20にクラス判定結果情報126を表示させるためのモバイル用表示制御部174(第2の表示制御部)と、を備える。このPC用表示制御部172及びモバイル用表示制御部174による表示制御の詳細は後述する。
以上、本実施形態にかかるサーバ10を構成する各部について説明した。このうち、上記の為替レート取得部130、クラス条件設定部132、通常条件設定部134、期間条件設定部136、顧客情報設定部138、合計金額計算部140、クラス判定部150、資産管理部160、及び表示制御部170は、これら各部の機能を実行するプログラムをサーバ10にインストールすることにより、ソフトウェアで実現することもできるし、専用のハードウェアで実現することも可能である。また、上記プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体を介して、或いは、ネットワーク5等の通信媒体を介して、サーバ10に提供することができる。
(4.クラス判定タイミングの例示)
次に、図5A及び図5Bを参照して、上記の合計金額計算部140による資金合計金額の計算処理及びクラス判定部150による顧客のクラス判定処理と、資産管理部160によるクラス判定結果を用いた資産の管理処理との時間的関係の例について説明する。図5Aは、クラス判定結果を資産管理に即時反映させる例を示す説明図であり、図5Bは、クラス判定結果を所定期間後の資産管理に反映させる例を示す説明図である。なお、両図では、上記図4に示す資産カテゴリ1に属する資産X1の管理に、クラス優遇値V1a〜V1c及び通常値Ex1を適用する例を示している。
図5Aに示す例では、予め定められた所定時期に定期的に(例えば毎月末に)クラス判定を行い(判定時点T1、T2、T3、・・・)、そのクラス判定結果を、当該各クラス判定時直後の所定の期間に即時反映させて、その後の資産管理に利用している。例えば、ある判定時点T1(例えば2007年5月31日)で、資産カテゴリ1に関する顧客のクラス判定を行い、その結果、クラスAであると判定された場合には、当該判定結果を即時適用して、クラスA及びクラスAに対応するクラス優遇値V1aの適用期間を判定時点T1以後の期間(例えば2007年6月)に設定し、この判定時点T1以後、次の判定時点T2までの期間は、資産カテゴリ1内の顧客の資産X1をクラス優遇値V1aに基づいて管理する。その後、次の判定時点T2(例えば2007年6月30日)で再度、資産カテゴリ1に関する顧客のクラス判定を行い、その結果、クラスCであると判定された場合には、当該判定結果であるラスC及びクラスCに対応するクラス優遇値V1cを即時適用して、この判定時点T2以後、次の判定時点T3までの期間は、資産カテゴリ1内の顧客の資産X1をクラス優遇値V1cに基づいて管理する。このように定期的にクラス判定を行い、その判定結果を即時反映させて資産管理することで、顧客の資産活用状況に迅速に対応したクラス優遇サービスを提供できる。
一方、図5Bに示す例では、予め定められた所定時期に定期的に(例えば毎月末に)クラス判定を行い(判定時点T1、T2、T3、・・・)、そのクラス判定結果を、該各判定処理時から所定時間経過後(例えば一ヶ月後)の所定の期間に適用して、資産管理に利用している。例えば、ある判定時点T1(例えば2007年5月31日)でクラスAであると判定された場合には、当該判定結果であるクラスA及びクラスAに対応するクラス優遇値V1aの適用期間を、当該判定時点T1の属する月の翌々月に相当する所定期間(例えば2007年7月)に遅らせて設定し、この適応期間で、資産カテゴリ1内の顧客の資産X1をクラス優遇値V1aに基づいて管理する。このように定期的にクラス判定を行い、その判定結果を判定時点より所定期間経過の適用期間に反映させて資産管理することで、クラス判定及び資産管理を行うサーバ10のシステム安定性を確保して、クラス優遇サービスを提供できる。
(5.クラス優遇と期間優遇の競合時の対応)
次に、図6を参照して、クラス優遇サービスに関するクラス優遇値の適用期間と、期間優遇サービスに関する期間優遇値の適用期間とが重複した場合の、資産管理部160の優遇値の選択基準について説明する。図6は、クラス優遇値と期間優遇値の適用期間の重複時における、優遇値の適用例を示す説明図である。なお、図6では、上記図4に示す資産カテゴリ1に属する資産X1の管理に、クラス優遇値V1a〜V1c、期間優遇値Dx1及び通常値Ex1を適用する例を示している。
上述したように、本実施形態にかかる金融サービス提供システム1では、所定の優遇期間、全部又は一部の顧客に対して、資産の運用又は取引に関して何らかの特典(預金金利や手数料等の優遇)を与える期間優遇サービス(キャンペーンサービス等)を提供できる。図6に示すように、この期間優遇サービスの適用期間中には、前述の例のとおり、資産管理部160は、顧客の資産の運用又は取引については、期間優遇値情報125に設定された期間優遇値を適用する。例えば、かかる期間優遇サービスの優遇期間t1〜t2中に、資産X1に関して運用又は取引が行われる場合には、通常値Ex1よりも優遇された期間優遇値Dx1が適用されて、資産X1の預金金利や手数料等が計算される。
一方、上記のようにクラス優遇サービスでは、クラス判定結果に応じて、所定の適用期間にクラス優遇値V1a〜V1cを適用して、資産X1に関して運用又は取引が行われる。この結果、図6に示すように、かかるクラス優遇値V1bの適用期間T1〜T2と、上記の期間優遇値Dx1の適用期間t1〜t2とが重複する場合、つまり、クラス優遇サービスと期間優遇サービスとが競合する場合がある。この場合には、資産管理部160は、両者が重複する期間(図6の例では期間t1〜t2)中には、クラス優遇値V1bと期間優遇値Dx1を比較し、クラス優遇値V1bと期間優遇値Dx1のうち、優遇条件が高い方の優遇値を選択して、当該選択した優遇値に基づいて資産X1の管理を行う。ここで、優遇条件が高い方の優遇値とは、顧客にとって有利となる方の優遇値である。例えば、クラス優遇値V1bと期間優遇値Dx1が預金金利値を表す場合には、上記比較により数値が大きいと判定された方(つまり、預金金利が高い方)の優遇値であり、また、クラス優遇値V1bと期間優遇値Dx1が取引手数料値を表す場合には、上記比較により数値が小さいと判定され方(つまり、取引手数料が安い方)の優遇値である。このように、クラス優遇値と期間優遇値とが競合した場合に、顧客にとって有利な優遇値を選択して適用することで、顧客に対してよりよい優遇サービスを提供することが可能となり、顧客の満足度を向上できる。
(6.クラス判定結果の表示制御)
次に、図7〜図10を参照して、本実施形態にかかるサーバ10の表示制御部170により、端末装置20の表示画面に、クラス判定結果を表示する制御について説明する。
図7は、本実施形態にかかるサーバ10における表示制御部170周辺の構成を示すブロック図である。図7に示すように、表示制御部170は、上記クラス判定ユニット180によるクラス判定結果を表すクラス判定結果情報126を記憶部120から読み出し、このクラス判定結果情報126を、サーバ10にアクセスしてきた顧客端末20の表示画面に表示させる制御を行う。この表示制御部170は、上述のように、PC用表示制御部172と、モバイル用表示制御部174とを備えている。PC用表示制御部172は、比較的大きい表示処理能力と表示画面を有するPC20−1等の顧客端末20に、クラス判定結果情報126の大部分を表示させる制御を行う。一方、モバイル用表示制御部174は、比較的小さい表示処理能力と表示画面を有するモバイル機器20−2等の顧客端末20に、クラス判定結果情報126の一部を表示させる制御を行う。
詳細には、例えば、顧客端末20であるPC20−1から、サーバ10のPC用表示制御部172に対してアクセスがあった場合(つまり、ネットワーク5上のPC用のサイト(WEBページ)に顧客端末20がアクセスした場合)には、PC用表示制御部172からクラス判定ユニット180に対して、PC表示用情報の取得要求を行い、クラス判定ユニット180のクラス判定部160は、この取得要求に応じて、記憶部120に記憶されているクラス判定結果情報126のうち必要な情報の抽出、加工、計算処理を行って、PC用表示制御部172に提供し、PC用表示制御部172は当該情報をPC20−1に送出して、PC20−1の表示画面上に表示させる。
同様に、モバイル機器20−2からモバイル用表示制御部174にアクセスがあった場合(つまり、ネットワーク5上のモバイル機器用のサイト(WEBページ)に顧客端末20がアクセスした場合)には、モバイル用表示制御部174からクラス判定ユニット180に対して、モバイル表示用情報の取得要求を行い、クラス判定ユニット180のクラス判定部160は、この取得要求に応じて、記憶部120に記憶されているクラス判定結果情報126のうち必要な情報の抽出、加工、計算処理を行って、モバイル用表示制御部174に提供し、モバイル用表示制御部174は当該情報をモバイル機器20−2に送出して、モバイル機器20−2の表示画面上に表示させる。ここで、クラス判定ユニット180からPC用表示制御部172又はモバイル用表示制御部174に提供される、端末装置20の1画面で表示するための情報量は、モバイル用表示制御部174に対して提供される情報の方が少なくなる。このため、モバイル機器20−2のような、表示画面が小さく情報処理能力の低い機器においても、顧客に対してストレスなく迅速に情報を表示させることが可能となる。
ここで、サーバ10が顧客端末20のアクセスしたサイトを判別する手法について説明する。例えば、上記各サイトをネットワーク5上で提供するWEBサーバ(図示せず。)が、顧客端末20がアクセスしたサイトのURL(Uniform Resource Locator)等のアドレス情報をサーバ10に通知することで、サーバ10は当該アドレス情報に基づいて、顧客端末20がいずれのサイトに対してアクセスしたかを判別可能である。図7の例では、上記WEBサーバがサーバ10に内蔵されて、表示制御部170として構成されている例を示すが、かかる例に限定されず、WEBサーバと、クラス判定を行うサーバ10とを別装置で構成することもできる。
次に、図8A及び図8Bを参照して、本実施形態にかかるPC用表示制御部172によりPC20−1の表示画面20aに表示されるクラス判定結果情報の表示例について説明する。なお、図8Aの例では、サーバ10への顧客端末20のアクセス時(現時点)が2007年6月10日であり、クラス判定方式としては、図5Bに示したように、クラス判定時点(毎月末)の翌々月にクラス判定結果を反映させる場合を示す。
図8Aに示すように、PC20−1の表示画面20aには、判定されたクラスの適用期間である適用月と、判定されたクラスと、当該クラスに対応するクラス優遇値と、クラス判定の判定日と、クラス判定の評価基準となる所定の資産カテゴリ内の資産合計金額である判定資産残高とを関連づけた情報が、一覧表形式で時系列に表示される。かかる表示画面20aには、現時点(顧客端末20のアクセス時である2007年6月10日)を基準として既に判定済みのクラスに関する情報として、現在、過去及び未来の情報(適用月が2007年5月から7月分)のみならず、未だクラス判定が確定していない未来の情報(適用月が2007年8月分)もが、顧客がこれらの情報を相互に対照可能に表示されている。このクラス判定が未確定の未来の情報は、現時点の資金合計金額のままであれば判定される予定のクラスBと、そのクラスBに対応するクラス優遇値V1bと、次の上位クラスに昇格するまでに必要な資産残高を示す情報「あと***円でクラスUP」とを含んでいる。当該必要な資産残高は、クラス判定ユニット180が、上記記憶部120に記憶されている顧客資産情報122に含まれる、クラス判定基準となる所定の資産カテゴリ内の資産の現時点での実際の合計金額と、クラス優遇情報123に含まれる、次の上位クラスの合計金額の範囲の下限値とから逆算して求めることができる(「次の上位クラスの合計金額の範囲の下限値」−「現時点での実際の資産合計金額」)。
また、図8Bの例では、サーバ10への顧客端末20のアクセス時(現時点)が2007年8月10日であり、クラス判定方式としては、図5Bに示したように、クラス判定時点(毎月末)の翌々月にクラス判定結果を反映させる場合を示す。
図8Bに示すように、PC20−1の表示画面20aには、上記のクラス判定結果情報126のうち、顧客端末のアクセス時(2007年8月)を基準として、現在(8月)及び未来(9月、10月)のクラス判定結果情報126が表示されており、未来に向かうほど、表示されるクラス判定結果情報(クラス、クラス優遇値等)の情報量が少なくなっている。詳細には、顧客端末20がアクセスした現在のクラス判定結果情報を示す、「8月の優遇内容」の欄では、既に前々月の月末(2007年6月30日)に判定されたクラス判定結果として、判定されたクラス(「クラスA」)と、このクラスに対応するクラス優遇値(預金金利優遇幅「0.15%」、及び、為替コスト優遇幅「0.15」)とが表示されている。これに対し、未来(翌月)のクラス判定結果情報を示す「9月の優遇内容」の欄では、既に前月の月末(2007年7月31日)に判定されたクラス判定結果として、判定されたクラス(「クラスB」)のみが表示されており、クラス優遇値は表示されていない。さらに、未来(翌々月)のクラス判定結果情報を示す「10月の優遇見込み内容」の欄では、現時点では未だクラス判定が行われておらず(クラス判定日は2007年8月31日)、クラスは確定していないので、10月のクラス及びクラス優遇値は表示されていない。このように、顧客端末20のアクセス時を基準として未来の月になるほど、表示されるクラス判定結果の情報量を低減することで、アクセスした現時点で顧客が必要な情報以外を低減し、全体として、表示画面20aの一画面に表示される情報量を削減できるので、顧客端末20における表示処理を迅速に行うことができる。
また、図8Bの例では、1つの資産カテゴリに対して、預金金利優遇幅(「優遇預金金利値」に相当する。)及び為替コスト優遇幅(「優遇為替手数料」に相当する。)という2種類のクラス優遇値が設定されて、記憶部120にクラス判定結果情報126として保持され、顧客端末20の表示画面20aに表示されていることが分かる。このように、各資産カテゴリについて複数のクラス優遇値を設定して、当該各資産カテゴリ内の資産の運用、取引時に、その運用、取引に対応するクラス優遇値を適用することも可能である。
さらに、図8Bの例では、顧客が現在保有する各外貨資産を所定の基準通貨に換算した金額と、当該換算に使用される為替レート(基準レート)と、換算後の合計金額とが、表示されている。本例では、外貨資産の換算を行うための為替レートとしては、クラス判定日(月末)の属する月の月初のレートが採用される。例えば、9月の優遇内容を決めるクラス判定は2007年7月31日に行われるが、このクラス判定に使用される為替レートは、その判定日の属する月の月初である2007年7月1日に決定される。そこで、「9月の優遇内容」の欄には、2007年7月1日の為替レートと、その為替レートで換算された、顧客が現在保有する外貨資産の金額が表示される。同様に、「10月の優遇見込み内容」の欄には、2007年8月1日の為替レートと、その為替レートで換算された顧客が現在保有する外貨資産の合計金額が表示される。これにより、顧客は、現時点(2007年8月10日時点)で、8月末のクラス判定に使用される為替レート(確定済み)と、その為替レートで換算して得られる合計金額を認識できるので、現状のクラスの維持又はクラスアップに必要な資産額などを把握でき、クラス優遇サービスを適切に利用できる。
以上のように、比較的処理能力の高く表示画面の大きいPC20−1の表示画面20aには、図8Aに示したようなクラス判定結果の詳細な一覧表が表示され、現在、過去、未来のクラス判定結果(クラス、クラス優遇値、資産残高等)が対照可能に表示される。また、図8Bに示したように、現在及び未来のクラス判定結果情報のうち、顧客がクラス優遇サービス内容を把握するために必要な情報が詳細に表示される。これによって、顧客は資産の運用又は取引に関する現在のクラス及びクラス優遇値を確認できるだけでなく、過去のクラス及びクラス優遇値を示すことにより、過去の資産残高に対するクラス判定の履歴を確認することができ、また、未来のクラス及びクラス優遇値を示すことにより、未来のクラス優遇値に応じた将来の資産運用を予め計画することが可能となる。さらに、未来のクラス判定日、現時点で予定される未来のクラス、さらに次の上位クラスに昇格するために必要な残りの資産残高を表示することにより、顧客は、将来のクラス優遇値を見越した資産運用を、現時点から行うことが可能となる。
次に、図9、図10を参照して、本実施形態にかかるモバイル用表示制御部174によりモバイル機器20−2の表示画面20bに表示されるクラス判定結果情報の表示例1、2について説明する。なお、図9及び図10の例では、図8Aと同様に、サーバ10への顧客端末20のアクセス時(現時点)が2007年6月10日であり、クラス判定方式としては、図5Bに示したように、クラス判定時点(毎月末)の翌々月にクラス判定結果を反映させる場合を示す。
従来から、顧客に対する金融サービスの提供の一形態として、ネットワーク5に接続した顧客端末20への各種情報の提供サービスがある。しかし、モバイル機器20−2のように表示処理速度が遅く、表示画面の小さい機器では、PC20−1のような機器を想定した情報提供方法及び情報量でサーバ10から情報を提供した場合には、モバイル機器20−2では、情報の受信及び表示に多くの時間を費やすという問題があった。
そこで、本実施形態では、顧客が情報提供サービスを享受するために使用する顧客端末20の処理能力等に応じた適切な情報提供サービスを提供できるようにするため、モバイル機器20−2の表示画面20bにおいて1画面で表示される情報量が、上記のPC20−1の表示画面20aにおいて1画面で表示される情報量よりも少ない所定量以下となるように、記憶部120に記憶されているクラス判定結果情報126を抽出、加工して、モバイル表示用画像を作成する。これにより、サーバ10からモバイル機器20−2に一回で提供する情報量を抑制し、モバイル機器20−2での表示処理を迅速に実行できる。
具体的には、図9に示す表示例では、PC20−1の表示画面20aよりも小さいモバイル機器20−2(例えば携帯電話)の表示画面20bに対応するため、サーバ10の記憶部120に記憶されているクラス判定結果情報126のうち、特に重要な一部の情報を抽出して提供することで、モバイル機器20−2の表示画面20bにおいて1画面に表示される情報量を低減している。この図9の例では、モバイル機器20−2の表示画面20bには、上記のクラス判定結果情報126のうち、判定されたクラスの適用期間である適用月と、判定されたクラスと、当該クラスに対応するクラス優遇値とを関連づけた情報が、一覧表形式で時系列に表示されている。また、かかる表示画面20bには、現時点(顧客端末20のアクセス時である2007年6月10日)を基準として既に判定済みのクラスに関する情報として、現在、過去及び未来の3ヶ月分の情報(適用月が2007年5月から7月分)のみが表示されている。
この図9のような表示を実現すべく、サーバ10のクラス判定ユニット180及びモバイル表示制御部174は、記憶部120に記憶されたクラス判定情報126から必要な情報を抽出して、モバイル機器20−2に提供する。かかる図9に示すモバイル機器20−2の表示画面20bの表示例によれば、上述した図8A及び図8Bに示すPC20−1の表示画面20aの表示例と比べて、1画面に表示される情報量及びその情報の大きさを大幅に低減することができる。従って、表示画面20bが小さく、処理能力の低いモバイル機器20−2においても、適度な表示速度でクラス判定結果情報を表示可能とすることができる。
また、図10に示す表示例では、上記PC20−1の表示画面20aの表示例と同様に、適用月と、判定されたクラスと、当該クラスに対応するクラス優遇値と、クラス判定の判定日と、判定資産残高とを関連づけた情報が表形式で表示されているが、時系列的に全ての適用月に関する情報を1画面に表示するのではなく、図10(a)に示す1つの適用月に関する情報のみを表示することで、モバイル機器20−2の表示画面20bにおいて1画面に表示される情報量を低減している。モバイル端末20−2によるサーバ10へのアクセス投射には、図10(a)に示すように、サーバ10へのアクセス時点を基準とした当月分(6月分)の情報が表されている。さらに、かかる表示画面20bの一側(図では下部側)に、その他の適用月に関する情報へのリンク先(「5月」「7月」等のリンク情報)が表示されており、顧客端末20のユーザによる当該リンク先の選択操作に応じて、図10(b)に示すように、画面表示が切り替わり、選択されたリンク先の適用月(図では5月)に関する情報を表示できるようになっている。
この図10のような表示を実現すべく、サーバ10のクラス判定ユニット180及びモバイル表示制御部174は、記憶部120に記憶されたクラス判定情報126から必要な情報を抽出するとともに、リンク先が表示されるように表示データを加工して、モバイル機器20−2に提供する。かかる図10に示すモバイル機器20−2の表示画面20bの表示例によれば、クラス判定結果情報を所定単位(例えば適用月単位)で分割して送信することにより、一度にサーバ10からモバイル機器20−2に提供する1画面分の情報量を低減できる。従って、表示画面20bが小さく、処理能力の低いモバイル機器20−2においても、適度な表示速度で表示可能であるとともに、全てのリンク先の情報を順次表示すれば、結果として図8AのPC用表示画面20bと同等の情報量を表示可能である。なお、画面分割単位は、図10における適用月単位の例に限定されず、判定日やクラス優遇値などといった他の項目単位であってもよい。
以上、図7〜図10を参照して説明したように、本実施形態にかかるサーバ10は、表示画面の大きさや表示処理能力、表示処理速度などが相異なる複数種類の端末装置20に対処するべく、端末装置20の種類ごとにクラス判定結果を表示するための複数の表示制御部、例えば、PC用表示制御部172及びモバイル用表示制御部174を備えている。そして、これらのPC用表示制御部172及びモバイル用表示制御部174により、サーバ10にアクセスした顧客端末20の表示画面の大きさや表示処理能力等に適した表示画面20a、20bを表示するよう制御する。これにより、サーバ10にアクセスした顧客端末20の種類に応じて、顧客端末20の表示画面に表示させるクラス判定結果情報126の情報量を増減させることができる。そして、モバイル用表示制御部174では、モバイル機器20−2の表示画面において、1画面で表示される情報量が所定量以下となるように、クラス判定結果情報126の一部を抽出、加工した情報を表示するよう制御する。これにより、表示画面が小さく表示処理能力が低いモバイル機器20−2においても、クラス判定結果情報126のうち必要な情報を効率的に表示させて、表示処理速度を向上させることができるため、顧客に対してストレスなく、クラス判定結果に関する情報を迅速に表示できる。
(7.クラス判定の評価基準の変更例)
次に、本実施形態にかかるサーバ10において、上記クラス判定の評価基準となる所定の資産カテゴリ(評価基準カテゴリ)の選択方式の変更例について説明する。
上述したように、図3及び図4を用いて説明したクラス判定方式では、各資産カテゴリに属する資産の合計金額を評価基準として、当該各資産カテゴリに関する顧客のクラスを判定しており、評価基準となる所定の資産カテゴリと、クラス判定の対象となる資産カテゴリとは、1:1対応していた。例えば、1つの資産カテゴリ1のみに属する資産X1、Y1のみの合計金額に基づいて、当該資産カテゴリ1に関する顧客のクラスを判定し、クラス優遇値V1a〜c、V1d〜fを決定していた。また、1つの資産カテゴリ2のみに属する資産X2、Y2、Z2、W2に所定の為替レートを乗じて所定の通貨に換算したものの合計金額に基づいて、当該資産カテゴリ2に関する顧客のクラスを判定し、クラス優遇値V2a〜bを決定していた。
しかし、本発明はかかる例に限定されず、クラス判定の評価基準となる所定の資産カテゴリは、多様な選択方式で選択可能である。例えば、合計金額計算部140は、クラス判定の評価基準となる所定の資産カテゴリとして、複数の資産カテゴリを選択して、当該選択された複数の資産カテゴリに属する資産の合計金額を計算し、当該資産合計金額を、複数の資産カテゴリのクラス判定を行うための評価基準値としてもよい(「評価基準カテゴリ:クラス判定対象の資産カテゴリ」=「多:多」)。また、合計金額計算部140は、クラス判定の評価基準となる所定の資産カテゴリとして、1つの所定の資産カテゴリを選択し、当該選択された1つの資産カテゴリに属する資産の合計金額を計算して、当該資産合計金額を、当該1つの資産カテゴリ以外の複数の資産カテゴリのクラス判定を行うための評価基準値としてもよい(「評価基準カテゴリ:クラス判定対象の資産カテゴリ」=「1:多」)。
ここで、前者の変更例の具体例について説明する。例えば、図1の例において、クラス判定の評価基準となる所定の資産カテゴリとして、複数の資産カテゴリ1、2、3、・・の中から、2つの資産カテゴリ1、3が選択されたとすると、資産カテゴリ1に属する資産X1、Y1の合計金額と、資産カテゴリ3に属する資産X3、Y3の合計金額との和、即ち、「(X1+Y1)+(X3+Y3)の資産合計金額」を、クラス判定のための評価基準値として、評価対象の各資産カテゴリ1、3に関する顧客のクラスをそれぞれ判定することができる。
かかる合計金額計算部140による合計金額計算処理以外の処理は、上記と同様にすることができる。クラス判定部150は、記憶部120に記憶されている各資産カテゴリ1、3のクラス優遇情報を用いて、上記計算された「(X1+Y1)+(X3+Y3)の資産合計金額」に基づいて、資産カテゴリ1、3ごとに顧客のクラスを判定し、クラス優遇値を決定する。
例えば、当該「(X1+Y1)+(X3+Y3)の資産合計金額」が、図4Bに示す資産カテゴリ1のクラス優遇情報123の「¥□」以上であれば、資産カテゴリ1に関して顧客はクラスCと判定され、資産カテゴリ1の資産X1の取引で使用される取引値(例えば預金の引出手数料)は、クラス優遇値V1cに決定される。そして、資産X1に対して何らかの取引(例えば預金引出し等)を行う際に、資産管理部160は、資産カテゴリ1について決定されたクラス優遇値V1cを用いて、資産X1の取引を実行する。
また同様に、例えば、資産カテゴリ3が投資信託カテゴリであり、資産X3がファンド名Xの投資信託である場合、上記「(X1+Y1)+(X3+Y3)の資産合計金額」が、図示しない資産カテゴリ3のクラス優遇情報123で定められた合計金額の範囲のいずれかに該当すれば、資産カテゴリ3に関して顧客のクラスは、その合計金額の範囲に対応するクラスに判定され、資産カテゴリ3の資産X3の運用値(例えば配当率、取引手数料)は、当該判定されたクラスに応じたクラス優遇値に決定される。そして、資産X3に対して何らかの管理(例えば配当金の計算といった運用や、投資信託の売買といった取引等)を行う際に、資産管理部160は、資産カテゴリ3について決定されたクラス優遇値を用いて、資産X3を運用又は取引する。
以上、クラス判定の評価基準となる所定の資産カテゴリの選択方式の変更例について説明した。これによれば、顧客の保有する全ての資産又は大部分の資産の合計金額に基づいて、各資産カテゴリのクラス判定を実行できる。このため、ある資産カテゴリ1に関するクラス判定に、他の資産カテゴリ3の資産合計金額を反映させることができ、顧客の保有する資産全体に基づく総合的なクラス判定を実現できる。
(8.外貨資産のクラス優遇)
次に、顧客が保有する資産が外貨資産(外貨預金、外貨投資信託など)である場合に、クラス判定を行って外貨資産の取引や運用を優遇する手法について、より詳細に説明する。
従来のインターネットバンキングシステムでは、顧客は、顧客端末を用いて金融機関サーバにアクセスして、各国通貨の外貨資産を購入することができたが、通貨の為替レートは時々刻々と変動するため、金融機関は、所定時点において顧客の保有する複数の外貨資産を統一的な基準で評価することはできなかった。
これに対し、本実施形態にかかる金融サービス提供システム1では、サーバ10の合計金額計算部140により、各国通貨の外貨資産を、上記為替レート情報121を用いて所定の基準通貨にレート換算して、当該換算後の外貨資金の金額を合計した合計資産金額を算出する。そして、この換算後の外貨資金の合計資産金額を評価基準値としてクラス判定を行うことで、顧客の保有する外貨資産を統一的な基準(例えば円基準または米ドル基準など)で評価することができるという効果がある。
詳細には、上述したサーバ10の為替レート取得部130は、外部装置等から取得した為替レート情報121を、サーバ10の記憶部120に記録して保持する。この為替レート121は、図11に示すように、各国通貨を所定の基準通貨(例えば、円、米ドルなど)に換算するための基準となる基準レートを含んでいる。従って、上述した合計金額計算部140は、図11に示すような為替レート情報121に含まれる各国通貨の基準レートを、顧客資産情報122(図4A参照)に含まれる顧客が保有する各国通貨の外貨資産X2、Y2、Z2、W2に乗算することにより、当該外貨資産X2、Y2、Z2、W2を基準通貨にそれぞれ換算できる。さらに、合計金額計算部140は、かかる基準通貨に換算後の各外貨資産X2、Y2、Z2、W2の和を求めることで、外貨資産の合計金額を算出できる。
さらに、クラス判定部150は、このようにして得られた外貨資産の合計金額を、上述したクラス判定の評価基準値とすることができる。詳細には、クラス判定時には、クラス判定部150は、記憶部120から外貨資産カテゴリ(例えば図4の資産カテゴリ2)のクラス優遇情報123を読み出し、このクラス優遇情報123に基づいて、上記外貨資産の合計金額に応じたクラスを判定し、当該クラスに対応するクラス優遇値を決定できる。例えば、円換算した外貨資産X2、Y2、Z2、W2の合計金額が、図4Bに示す資産カテゴリ2のクラス優遇情報123の「¥▽〜¥☆」の範囲内であれば、当該外貨資産を補保有する顧客はクラスAと判定され、資産カテゴリ2の外貨資産X2、Y2、Z2、W2の運用値(例えば預金金利)又は取引値(例えば取引手数料)は、クラスAに対応するクラス優遇値V2aに決定される。
このようにして、外貨資産を基準通貨に換算して合計金額を求めて、クラス判定の評価基準値とすることで、顧客の保有する外貨資産を統一的な基準で評価することができる。これにより、金融機関は、顧客の外貨資産全体の取引実績や活用状況を把握することができる。また、外貨資産の合計金額を評価基準値としてクラス判定することで、クラスに応じたクラス優遇値を設定できる。このため、外貨資産の取引実績(外貨預金の合計金額等)に応じて、顧客をクラス分類して、外貨資産の預金金利又は為替手数料等を優遇することができる。
ところで、上述した図5の例では、クラス判定部150によるクラス判定処理は、予め定められた所定時期に定期的に(例えば毎月末に)行われていた。しかし、かかるクラス判定方法では、顧客が上記所定時期より前(例えば月の半ば)に大量の外貨預金を購入し、その直後に当該大量の外貨預金を売却した場合などには、かかる取引実績が上記所定時期におけるクラス判定に反映されないという問題がある。
そこで、かかる問題に対処するべく、本実施形態の変更例では、上述した外貨資産の合計金額に基づく顧客のクラス判定処理を、外貨資産の取引(購入、売却等)の発生に応じて随時実行する。以下に、図12を参照して、本実施形態の変更例にかかるクラス判定方法について説明する。図12は、本実施形態の変更例にかかる外貨資産の取引に応じたクラス判定方法を示す説明図である。
図12に示すように、ある顧客が、米ドルの外貨預金50ドルと、ユーロの外貨預金100ユーロと、英ポンドの外貨預金5000ポンドを保有(顧客資産情報122a参照)しているときに、米ドルの外貨預金50ドルを更に購入して合計で100ドルとし(顧客資産情報122b参照)、その後に、米ドルの外貨預金50ドルを売却(顧客資産情報122c参照)したケースを想定する。かかるケースにおいて、サーバ10の合計金額計算部140は、外貨預金の取引(購入又は売却)が発生すると即時、当該取引を行った日時における為替レート情報121の基準レートを用いて、顧客の保有する全ての外貨資産を基準通貨(例えば円)に換算して合計金額を求める。次いで、クラス判定部150は、この外貨資産の合計金額に基づいてクラス判定を行って、クラス優遇値(為替手数料の優遇値)を決定する。そして、このクラス判定時点以後に発生する取引では、資産管理部160は、当該決定されたクラス優遇値を即時適用して取引を行う。以下に、このような外貨資産の取引に連動して動的に実行されるクラス判定方法について、より具体的に説明する。
図12に示すように、まず、顧客が米ドルの外貨預金50ドルを購入するときには、顧客はクラスAに分類されているので、資産管理部160は、基準レートよりも30銭高い通常購入レート(通常値E2:「118.71」)の代わりに、この通常購入レートよりも10銭安いクラス優遇レート(クラス優遇値V2a:「118.61」)を適用して購入代金を計算し、当該購入代金を顧客に課金する。
さらに、かかる米ドルの外貨預金50ドルの購入が発生すると、合計金額計算部140は、当該購入時点における最新の為替レート情報121aに含まれる各国通貨の基準レートを用いて、購入後の顧客資産情報122bに含まれる各国通貨の外貨預金の金額を、基準通貨(例えば円)に換算して合計金額を求める。そして、クラス判定部150は、この外貨預金の合計金額を基準として、記憶部に120に記憶されている外貨資産カテゴリ(資産カテゴリ2)のクラス優遇情報123(図4B参照)とに基づいて、外貨資産カテゴリに関する顧客のクラス判定を行う。このクラス判定の結果、米ドルの外貨預金50ドルの購入により外貨資産の合計金額が増加したため、顧客がクラスBに昇格判定されたとすると、上記購入時点とり後の取引では、クラスBに対応するクラス優遇レート(クラス優遇値V2b)が適用される。
このため、顧客が米ドルの外貨預金50ドルを売却するときには、顧客はクラスBに分類されているので、資産管理部160は、基準レートよりも30銭安い通常購売却レート(通常値E2:「117.90」)の代わりに、この通常売却レートよりも15銭高いクラス優遇レートB(クラス優遇値V2b:「118.05」)を適用して売却代金を計算して、当該売却代金を顧客に支払う。
さらに、かかる米ドルの外貨預金50ドルの売却が発生すると、合計金額計算部140は、当該売却時点における最新の為替レート情報121bに含まれる各国通貨の基準レートを用いて、売却後の顧客資産情報122cに含まれる各国通貨の外貨預金の金額額を、基準通貨(例えば円)に換算して合計金額を求める。そして、クラス判定部150は、この外貨預金の合計金額と、上記の外貨資産カテゴリ(資産カテゴリ2)のクラス優遇情報123(図4B参照)に基づいて、顧客のクラス判定を行う。この判定の結果、顧客がクラスAに判定されたとすると、上記売却時点以降は、クラスAに対応するクラス優遇レート(クラス優遇値V2a)が適用される。
以上のように、本実施形態の変更例にかかるクラス判定方法では、外貨預金の取引(購入や売却)が発生したときには即時、サーバ10は、外貨資産の取引時における最新の為替レート情報121を用いて、取引後の外貨資産の合計金額を計算してクラス判定を行い、このクラス判定結果を当該取引後に発生する他の取引に適用する。このため、顧客の外貨預金の取引実績を随時、クラス判定に動的に反映できる。従って、図12のように、外貨預金を大量に購入した後に売却した場合であっても、購入による外貨預金の合計金額の増加に応じて、クラスAからクラスBに昇格判定されるため、売却時に、昇格したクラスBのクラス優遇レートを用いた優遇サービスを享受できる。また、過去に外貨資産を取引したときの基準レートに関わらず、外貨資産の最新取引時における基準レートを用いて、外貨資産の合計金額を算出して、クラス判定を行う。これにより、外貨資産を購入した顧客に対して均等な条件でクラス判定することが可能となる。
(9.クラス判定方法)
次に、図13及び図14を参照して、本実施形態にかかるサーバ10におけるクラス判定方法について説明する。図13及び図14は、本実施形態にかかるクラス判定方法を示すフローチャートである。
図13に示すように、クラス判定を行う場合、まず、サーバ10は、予め設定された情報に基づいて、クラス判定を実行する時期を確認する(ステップS10)。本実施形態にかかるサーバ10では、(a)予め定められた所定時期(例えば毎月末)に定期的にクラス判定を行うこともできるし(図5参照)、又は、(b)資産の取引の発生に応じて動的にクラス判定を行うこともできる(図12参照)。本ステップS10では、サーバ10は、サーバ10の管理者により予め設定されたクラス判定時期を表す設定情報を確認して、クラス判定時期が上記の(a)又は(b)のいずれであるかを判別する。この結果、(a)である場合にはステップS12に進み、(b)である場合にはステップS16に進む。
(a)の資産の取引後にクラス判定を行う場合には、サーバ10は、顧客端末20とサーバ10との間で資産の取引(購入、売却等)が発生するまで待機し(ステップS12)、取引が発生した場合には、当該資産の取引時における最新の基準レートを含む為替レート情報121を記憶部120のメモリに記録する(ステップS14)。なお、この為替レート情報121は、取引対象の資産を所定通貨に換算するための基準レートのみならず、取引対象以外の資産を所定通貨に換算するための基準レートも含む。これにより、後述のクラス判定の評価基準値である資産合計値を求める際に、外貨資産が含まれている場合でも、上記基準レートを用いて外貨資産を所定の基準通貨に換算できる。
一方、(b)の所定時期に定期的にクラス判定を行う場合には、サーバ10は、その所定時期になるまで待機し(ステップS16)、所定時期になった場合には、当該所定時期における最新の基準レートを含む為替レート情報121を記憶部120のメモリに記録する(ステップS18)。なお、この為替レート情報121は、上記S14と同様に、クラス判定の評価基準となりうる全ての外貨資産を、所定通貨に換算するための基準レートを含む。
その後、サーバ10は、クラス判定処理を実行する(ステップS20)。以下に、このクラス判定処理(S20)の具体例として、2つの例(図14Aに示すクラス判定処理と、図14Bに示すクラス判定処理)について説明する。図14Aは、各資産カテゴリをクラス判定の評価基準の資産カテゴリとし、各資産カテゴリの合計金額に基づいて、当該各資産カテゴリのクラス判定をそれぞれ行う処理を示す。一方、図14Bは、複数の資産カテゴリの中から、クラス判定の評価基準となる所定の資産カテゴリを選択し、当該所定の資産カテゴリの合計金額に基づいて、全ての資産カテゴリのクラス判定を行う処理を示す。
ここで、クラス判定の評価基準となる所定の資産カテゴリ(以下、「評価基準カテゴリ」という。)とは、クラス判定の評価基準値である資産合計金額を算出する際に使用される資産カテゴリである。いずれの資産カテゴリを評価基準カテゴリとして選択するかは、サーバ10に予め設定されている。本実施形態では、図14Aのように、クラス判定の評価対象となる各資産カテゴリをそれぞれ評価基準カテゴリとして選択し、当該各資産カテゴリ内の資産合計金額に基づき、当該各資産カテゴリに関する顧客の資産カテゴリを行うこともできる(評価基準カテゴリ=評価対象の資産カテゴリ)。或いは、図14Bのように、所定の資産カテゴリを評価基準カテゴリとして選択し、当該所定の資産カテゴリ内の資産合計金額に基づき、全ての資産カテゴリに関する顧客の資産カテゴリを行うこともできる。
まず、図14Aを参照して、評価対象の資産カテゴリごとに合計金額を評価基準値として算出して、各評価対象の資産カテゴリの顧客のクラスを判定する処理の例について説明する。
図14Aに示すように、まず、サーバ10の合計金額計算部140は、顧客の資産を分類するために設けられた複数の資産カテゴリの中から、クラス判定を行う対象となる1又は2以上の評価対象の資産カテゴリ、即ち、評価基準カテゴリを選択する(S22)。図14の例では、評価基準カテゴリは、評価対象の資産カテゴリと等しい。以下では、評価対象の資産カテゴリとして、資産カテゴリ1〜5が選択された例について説明する。このステップS22で選択された各々の評価対象の資産カテゴリ1〜5について、以下のS24〜S34のクラス判定処理が個別に実行される。
次いで、サーバ10の合計金額計算部140は、記憶部120に記憶されている顧客資産情報122を読み出し、この顧客資産情報122に含まれる顧客が実際に保有する資産のうち、最初の評価対象の資産カテゴリに属する資産を抽出する。さらに、合計金額計算部140は、当該評価対象の資産カテゴリに属する資産が、所定の基準通貨(例えば円)に換算する必要がある資産であるか否かを選別する(ステップS24)。例えば、評価対象の資産カテゴリが、図4Aに示す資産カテゴリ1(円預金カテゴリ)である場合には、この資産カテゴリ1に属する資産である円預金X1、Y1は、円換算する必要のない資産である。一方、評価対象の資産カテゴリが、資産カテゴリ2(外貨預金カテゴリ)である場合には、この資産カテゴリ2に属する資産である各国通貨の外貨預金X2、Y2、Z2、W2は、円換算する必要がある資産である。
この選別の結果、合計金額計算部140は、所定の基準通貨に換算する必要がある資産を、上記S14又はS18にて記憶部120のメモリ上に記録されている基準レートを使用して、所定通貨に換算する(ステップS26)。例えば、資産カテゴリ2(外貨預金カテゴリ)に属する外貨預金X2、Y2、Z2、W2がそれぞれ円換算される。
さらに、合計金額計算部140は、評価対象のカテゴリに属する資産の合計金額を計算する(ステップS28)。この際、評価対象の資産カテゴリが、資産カテゴリ2である場合は、S26で所定の基準通貨に換算された各外貨預金の金額が合計される。
次いで、サーバ10のクラス判定部150は、記憶部120に記憶されている評価対象の資産カテゴリに対応するクラス優遇情報123を読み出す(ステップS30)。さらに、クラス判定部150は、上記S28で計算された資産合計金額と、S30で読み出したクラス優遇情報123で定められている合計金額の範囲とを比較することで、当該評価対象の資産カテゴリに関して、上記の資産合計金額に応じた顧客のクラスを判定するとともに、このクラスに対応するクラス優遇値を決定する(ステップS32)。なお、資産合計金額が、クラス優遇情報123で定められている最下位の合計金額の範囲の下限値未満である場合には、当該資産カテゴリについてはその顧客はクラス優遇対象外であると判定される。
次いで、クラス判定部150は、S32でのクラス判定の結果を表すクラス判定結果情報126を、記憶部120に記録する(ステップS34)。このクラス判定結果情報126は、資産カテゴリごとに、クラス判定日と、判定されたクラスと、このクラスに対応するクラス優遇値と、クラス優遇値の適用期間とを関連づけた情報である(図4E参照)。
その後、クラス判定部150は、上記S22で選択された全ての評価対象の資産カテゴリ1〜5に関してクラス判定が終了したか否かを判定し(ステップS36)、終了していない場合には、次の判定対象の資産カテゴリに関して上記S24〜S34でのクラス判定処理を繰り返し行う。以上のようにして、評価対象の資産カテゴリをそれぞれ評価基準カテゴリとし、各評価対象の資産カテゴリに属する資産の合計金額を個別の評価基準値として、当該各資産カテゴリについて顧客のクラス判定を行うことができる。
次に、図14Bを参照して、所定の資産カテゴリを評価基準カテゴリとして固定的に選択して、この評価基準カテゴリに属する資産合計金額を評価基準値として、各評価対象の資産カテゴリの顧客のクラスを判定する処理の例について説明する。
図14Bに示すように、まず、サーバ10の合計金額計算部140は、顧客の資産を分類するために設けられた複数の資産カテゴリの中から、クラス判定の評価基準となる1又は2以上の所定の資産カテゴリ(評価基準カテゴリ)を選択する((ステップS122)。以下の説明では、例えば、5つの資産カテゴリ1〜5が存在する場合に、2つの資産カテゴリ1、2(図4Aに示す円預金カテゴリと外貨預金カテゴリ)が評価基準カテゴリとして選択された例について説明する。
次いで、サーバ10の合計金額計算部140は、記憶部120に記憶されている顧客資産情報122を読み出し、この顧客資産情報122に含まれる顧客が実際に保有する資産のうち、上記選択した評価基準カテゴリに属する資産を抽出する。さらに、合計金額計算部140は、抽出した評価基準カテゴリに属する資産のうち、所定の基準通貨(例えば円)に換算する必要がある資産と、そうでない資産を選別する(ステップS124)。例えば、図4Aに示す資産カテゴリ1(円預金カテゴリ)に属する資産である円預金X1、Y1は、円換算する必要のない資産であり、資産カテゴリ2(外貨預金カテゴリ)に属する資産である各国通貨の外貨預金X2、Y2、Z2、W2は、円換算する必要がある資産である。
この選別の結果、合計金額計算部140は、所定の基準通貨に換算する必要がある資産を、上記S14又はS18にて記憶部120のメモリ上に記録されている基準レートを使用して、所定通貨に換算する(ステップS126)。例えば、資産カテゴリ2(外貨預金カテゴリ)に属する外貨預金X2、Y2、Z2、W2がそれぞれ円換算される。
さらに、合計金額計算部140は、上記選択した評価基準カテゴリに属する資産の合計金額を計算する(ステップS128)。このとき、資産カテゴリ2に属する外貨預金X2、Y2、Z2、W2については、上記S126にて円換算されているので、この円換算された外貨預金X2、Y2、Z2、W2の金額と、資産カテゴリ1に属する円預金X1、Y1の金額を合計して、これら資産の合計金額(通貨:円)を算出できる。
その後、サーバ10のクラス判定部150は、複数の資産カテゴリの中から、クラス判定の評価対象となる1又は2以上の資産カテゴリ(評価対象の資産カテゴリ)を選択する(ステップS130)。以下では、5つの資産カテゴリ1〜5が存在する場合に、全ての資産カテゴリ1〜5が評価対象の資産カテゴリとして選択された例について説明する。このステップS130で選択された各々の評価対象の資産カテゴリ1〜5について、上記S128で計算された資産合計金額を共通の評価基準値として、以下のS132〜S136のクラス判定処理がそれぞれ実行される。
次いで、サーバ10のクラス判定部150は、記憶部120から、最初の評価対象の資産カテゴリに対応するクラス優遇情報123を読み出す(ステップS132)。さらに、クラス判定部150は、上記S128で計算された資産合計金額と、S132で読み出した評価対象の資産カテゴリのクラス優遇情報123で定められている合計金額の範囲とを比較することで、当該評価対象の資産カテゴリに関して、上記の資産合計金額に応じた顧客のクラスを判定するとともに、このクラスに対応するクラス優遇値を決定する(ステップS134)。なお、資産合計金額が、クラス優遇情報123で定められている最下位の合計金額の範囲の下限値未満である場合には、当該資産カテゴリについてはその顧客はクラス優遇対象外であると判定される。
次いで、クラス判定部150は、S134でのクラス判定の結果を表すクラス判定結果情報126を、記憶部120に記録する(ステップS136)。このクラス判定結果情報126は、資産カテゴリごとに、クラス判定日と、判定されたクラスと、このクラスに対応するクラス優遇値と、クラス優遇値の適用期間とを関連づけた情報である(図4E参照)。
その後、クラス判定部150は、上記S130で選択された全ての評価対象の資産カテゴリ1〜5に関してクラス判定が終了したか否かを判定し(ステップS138)、終了していない場合には、次の判定対象の資産カテゴリに関して上記S132〜S136でのクラス判定処理を繰り返し行う。以上のようにして、所定の資産カテゴリを評価基準カテゴリとし、評価基準カテゴリに属する資産の合計金額を共通の評価基準値として、それぞれの評価対象の資産カテゴリについて顧客のクラス判定を行うことができる。
(10.資産管理方法)
次に、図15を参照して、本実施形態にかかるサーバ10における上記クラス判定結果を利用した資産管理方法について説明する。図15は、本実施形態にかかる資産管理方法の一例である資産取引方法を示すフローチャートである。
図15に示すように、まず、サーバ10の資産管理部160は、顧客端末20からの資産の取引要求を受け付けると、顧客資産情報122に基づいて、取引対象の資産が属する資産カテゴリを確認する(ステップS40)。例えば図4Aの顧客資産情報122の例では、取引対象の資産が円預金である場合には、当該取引対象の資産が属する資産カテゴリは資産カテゴリ1であると判定できる。
次いで、資産管理部160は、記憶部120に記憶されている、上記S40で確認した資産カテゴリのクラス判定結果情報126に基づいて、当該資産カテゴリに関しクラス優遇値が設定されているか否かを判定する(ステップS42)。
この判定の結果、クラス優遇値が設定されていないと判定された場合には、資産管理部160は、期間優遇サービスの優遇期間中であるときには、期間優遇情報125に含まれる当該資産カテゴリの期間優遇値(例えば、期間優遇された取引手数料)を適用して、取引対象の資産の取引を行い、一方、優遇期間外であるときには、通常条件情報124に含まれる当該資産カテゴリの通常値を適用して、取引対象の資産の取引を行う(ステップS44)。
一方、S42での判定の結果、クラス優遇値が設定されていると判定された場合には、資産管理部160は、記憶部120から、当該資産カテゴリに対応するクラス判定結果情報126のクラス優遇値を読み出す(ステップS46)。
次いで、資産管理部160は、記憶部120に記憶されている期間優遇情報125に基づいて、当該資産カテゴリに関して期間優遇サービスの優遇期間中であるか否か、即ち、当該資産カテゴリに関して期間優遇値が設定されているか否かを判定する(ステップS48)。この結果、期間優遇値が設定されていない場合には、クラス優遇値を適用して取引対象の資産の取引を行う(ステップS52)。
一方、期間優遇値が設定されている場合には、ステップS50に進み、資産管理部160は、クラス優遇値と期間優遇値とを比較して、いずれの優遇値が顧客にとって有利な取引条件であるかを判定する(ステップS50)。例えば、クラス優遇値と期間優遇値が預金金利値を表す場合には、クラス優遇値と期間優遇値のうち数値が大きい方(つまり、預金金利が高い方)が、顧客にとって有利な優遇値であると判定され、また、クラス優遇値と期間優遇値が取引手数料値を表す場合には、クラス優遇値と期間優遇値のうち数値が小さい方(つまり、取引手数料が安い方)が、顧客にとって有利な優遇値であると判定される。
このS50での判定の結果、クラス優遇値が顧客にとって有利であると判定された場合には、資産管理部160は、クラス優遇値を適用して取引対象の資産の取引を行う(ステップS52)。一方、期間優遇値が顧客にとって有利であると判定された場合には、資産管理部160は、期間優遇値を適用して取引対象の資産の取引を行う(ステップS54)。例えば、クラス優遇値や期間優遇値が、優遇された取引手数料値を表す場合には、この手数料値を基に資産の取引代金を計算して、取引を行う。
その後、資産管理部160は、上記S44、S52又はS54における取引対象の資産の取引内容に応じて、当該資産が属する資産カテゴリの顧客資産情報122を更新する(ステップS56)。例えば、資産が新たに購入された場合には、顧客資産情報122における当該資産の金額を購入分だけ増加させ、優遇値等に基づいて計算された取引手数料を、顧客の口座から減じる課金処理を行う。
以上のようにして、クラス優遇サービス及び期間優遇サービスを提供可能なサーバ10において、資産管理部160により、クラス優遇値、期間優遇値を用いた資産の取引処理が実行される。なお、資産取引後にクラス判定を実行するよう設定されている場合には、上記S56後に上記図14のクラス判定処理が実行される。
(11.表示制御方法)
次に、図16を参照して、本実施形態にかかるサーバ10により顧客端末20の表示画面にクラス判定結果に関する情報を表示させるための表示制御方法について説明する。図16は、本実施形態にかかる表示制御方法を示すフローチャートである。
図16に示すように、まず、サーバ10の表示制御部170は、ネットワーク5を介してサーバ10にアクセスした顧客端末20から、当該顧客端末20のユーザ(顧客)に対して適用されるクラス優遇サービスの内容を示すクラス優遇情報の確認要求を受け付ける(ステップS60)。さらに、このクラス優遇情報の確認要求を受け付けに応じて、表示制御部170は、顧客端末20によりアクセスされたサイトが、PC等に対応した一般表示用サイトであるか、モバイル機器に対応したモバイル用サイトであるかを確認する(ステップS62)。この結果、アクセスされたサイトが一般表示用サイトであれば、サーバ10にアクセスした顧客端末20が、PC20−1等の処理能力の比較的高い機器であると判定できるので、S64に進む。一方、アクセスされたサイトがモバイル用サイトであれば、サーバ10にアクセスした顧客端末20が、モバイル機器20−2等の処理能力の比較的低い機器であると判定できるので、S66に進む。
ステップS64では、表示制御部170のPC用表示制御部172が起動される。このPC用表示制御部172は、記憶部120に顧客ごとに記憶されたクラス判定結果情報126のうち、アクセスしてきた顧客端末20の顧客に対応するクラス判定結果情報126を読み出し、このクラス判定結果情報126に基づいて、一般用表示画像を作成し(ステップS64)、この一般用表示画像をサイトに送信して、当該端末装置20の表示画面に表示させる(ステップS68)。この一般用表示画像は、PC20−1等の比較的表示画面が大きく処理能力の高い機器で表示するための画像であり、例えば図8Aに示したように、クラス判定結果情報126の各項目の現在、過去、未来の情報を、一覧表形式で時系列に表示したり、図8Bに示すように、クラス判定結果情報126や為替レート情報121のうち顧客が必要とする情報を重点的に詳細に表示したりするものである。かかる一般用表示画像を顧客端末20に提供することで、表示画面が大きく表示処理能力が高いPC20−1などの顧客端末20において、現在、過去及び未来のクラス判定結果に関する詳細な情報を表示できるので、顧客はクラス判定の履歴を確認したり、資産運用の計画を立てたりすることができ、利便性が高い。
一方、ステップS66では、表示制御部170のモバイル用表示制御部174が起動される。このモバイル用表示制御部172は、記憶部120から、アクセスしてきた顧客端末20の顧客に対応するクラス判定結果情報126を読み出し、このクラス判定結果情報126に基づいて、一般用表示画像よりも1画面当たりの情報量が少ないモバイル用表示画像を作成し(ステップS66)、このモバイル用表示画像をサイトに送信して、当該端末装置20の表示画面に表示させる(ステップS70)。このモバイル用表示画像は、モバイル機器20−2等の比較的表示画面が小さく、処理能力の低い機器で表示するための画像であり、例えば図9及び図10に示したように、クラス判定結果情報126に含まれる情報を抽出、加工することで、1画面当たりに表示される情報量を所定量以下に低減したものである。かかるモバイル用表示画像を顧客端末20に提供することで、表示画面が小さく表示処理能力が低いモバイル機器20−2においても、クラス判定結果情報126のうち必要な情報を効率的に表示させて、表示処理速度を向上させることができる
(12.顧客の取引状態フラグを用いたクラス判定)
次に、顧客情報127の取引状態フラグをクラス判定に適用する手法について説明する。
以上の説明では、クラス判別部150が、各々の資産カテゴリごとに、顧客の資産の合計金額を求め、この合計金額に基づいて顧客のクラスを判定する例について説明した。これに対し、以下では、上記顧客資産の合計金額のみならず、金融機関と顧客の取引状態も、顧客のクラス判定に利用する例について説明する。なお、以下の説明における「金融機関」とは、顧客がクラス優遇対象となる資産を保有している金融機関(例えば、銀行、証券会社、保険会社等)を指す。
上述したように、サーバ10の記憶部120に記憶される顧客情報127(図4参照)には、金融機関と顧客の取引状態を表すフラグ(取引状態フラグ)が含まれている。取引状態とは、例えば、金融機関の提供するサービス又は商品に対する顧客の利用状態や契約状態、金融機関の業務に対する顧客の寄与度などを意味する。取引状態フラグとしては、例えば以下のフラグ(a)〜(e)を例示できる。
(a)住宅ローンフラグ
顧客が金融機関から住宅ローンを借り入れしているかどうかを示すフラグ
(b)家族フラグ
顧客の家族が金融機関の口座(銀行口座等)を保有しているかどうかを示すフラグ
(c)アンケートフラグ
顧客が金融機関からのアンケートに回答したかどうかを示すフラグ
(d)モバイルフラグ
顧客が携帯電話等のモバイル機器を利用して金融機関の口座開設をしたかどうかを示すフラグ
(e)クレジットカードフラグ
顧客が保有するクレジットカードの支払い口座振替先としてその顧客の口座を指定しているかどうかを示すフラグ
ここで、図17を参照しながら、サーバ10の記憶部120に顧客情報127として設定される取引状態フラグのデータ構造例について説明する。図17に示すように、顧客情報127には、顧客ごとに、その顧客と金融機関との取引状態を示すフラグからなるフラグ情報が含まれる。このフラグ情報は、所定のビット数(例えば8ビット)のデジタルデータであり、例えば、第0〜4番目のビットがそれぞれ、住宅ローンフラグ、家族フラグ、アンケートフラグ、モバイルフラグ、クレジットカードフラグを示す。また、第5〜7番目のビットは、他の種類の取引状態フラグを追加設定するためのリザーブである。フラグ情報の各ビットのデータが「1」であれば、フラグが成立しており、「0」であれば、フラグが成立していないことを表す。図17の例では、「1」に設定された住宅ローンフラグ、アンケートフラグ、クレジットカードフラグが成立していることが分かる。かかる取引状態フラグは、上記顧客情報設定部138により記憶部120に設定される。
このような取引状態フラグを顧客ごとに記憶部120設定しておくことで、資産管理部160は、取引状態フラグが「1」に設定された顧客に対して、より高いクラス優遇を施すことができるようになる。
なお、図17の例では、各取引状態フラグに1ビットを割り当てているが、かかる例に限定されない。例えば、上記(a)〜(e)の各取引状態フラグに複数ビット(例えば4ビット)ずつを割り当てて、その複数ビットを用いて各取引状態フラグ(上位フラグ)に関する下位フラグを設定可能にするようにしてもよい。これにより、顧客の各取引状態をより詳細に管理して、顧客に適切なクラス優遇を施すことができる。
また、取引状態フラグを設定する際に、上記顧客情報設定部138は、上記各取引状態フラグを、顧客の取引状態に応じて時限的に設定してもよい。例えば、金融機関と顧客との間で取引が発生してから所定期間のみ、取引状態フラグを成立させてもよい。これにより、金融機関にとっては、顧客に長期間にわたりクラス優遇を与え続けるリスクを回避できるとともに、顧客にとっては、金融機関と取引を行えば、所定期間に限って高いクラス優遇を享受可能となる。
以下に、上記の各取引状態フラグ(a)〜(e)について詳述する。
(a)住宅ローンフラグ
顧客が金融機関から住宅ローンを借り入れしている場合は、その顧客の住宅ローンフラグが「1」に設定される。さらに、住宅ローンを借り入れた顧客は、毎月決められた返済額を顧客の普通口座から引き落とされるため、住宅ローンフラグの成立条件として、返済に滞りがない顧客という限定事項を付加してもよい。この場合、住宅ローンフラグを表すフラグ情報を複数ビットにし、その複数ビット内に顧客の返済の滞りの有無を表す下位フラグを含めればよい。そして、顧客情報設定部138は、他のデータベースから顧客の返済の滞りの有無の情報を取得し、返済の滞りが無ければ下位フラグを「1」に設定し、返済の滞りが有れば下位フラグを「0」に設定する。さらに、顧客情報設定部138は、当該下位フラグが「1」である場合にのみ、住宅ローンフラグを「1」に設定する。これにより、住宅ローンを借り入れた顧客であっても、返済が滞っている顧客は、住宅ローンフラグが「0」に設定され、返済に滞りがない顧客のみが「1」に設定される。これによって、高いクラス優遇を与える顧客を、返済に滞りがない優良顧客に限定できる。
(b)家族フラグ
顧客の家族が銀行口座を保有している場合は、その顧客の家族フラグが「1」に設定される。このために、顧客情報127として、顧客の家族の口座番号を保持するようにする。顧客同士が家族であるかどうかは、例えば、口座開設時に提出された本人確認書類である住民票に記載された家族名により確認することが可能である。さらに、家族フラグの成立条件として、その顧客の家族個々が例えば普通預金口座に所定金額以上を預金している顧客という限定事項を付加してもよい。この場合、家族フラグを表すフラグ情報を複数ビットにし、その複数ビット内に、その顧客の家族が預金口座に所定金額以上を預金しているか否かを表す下位フラグを含めればよい。そして、顧客情報設定部138は、家族の預金口座の残高と所定金額とを比較し、所定金額以上であれば下位フラグを「1」に設定し、所定金額未満であれば下位フラグを「0」に設定する。さらに、顧客情報設定部138は、当該下位フラグが「1」である場合にのみ、家族フラグを「1」に設定する。これにより、家族が預金口座を有する顧客であっても、その預金口座の残高が所定金額未満であれば、家族フラグが「0」に設定され、当該預金口座の残高が所定金額以上である顧客のみが「1」に設定される。これによって、高いクラス優遇を与える顧客を、家族が金融機関の口座を十分に利用している優良顧客に限定できる。
(c)アンケートフラグ
銀行等の金融機関は、その顧客(例えば無作為に抽出した顧客)に対して、業務に関するアンケートを依頼する場合がある。この場合に、依頼されたアンケートに正しく回答した顧客に対して、その顧客のアンケートフラグが「1」に設定される。さらに、このアンケートフラグを設定する際には、顧客情報設定部138は、時限的に(例えば、アンケートの実施から1年間のみ)アンケートフラグを「1」に設定するようにしてもよい。これにより、アンケート実施から所定期間のみ、顧客をクラス優遇することができる。
(d)モバイルフラグ
顧客が口座開設する際に、金融機関の窓口ではなく、顧客の所有する通信端末(例えば、モバイル機器、パーソナルコンピュータ等)を用いて金融機関のサーバにアクセスして、オンラインで口座開設した場合に、その顧客のモバイルフラグが「1」に設定される。モバイル機器等から口座を開設した場合には、本人確認資料は、紙媒体(口座開設申込用紙等)ではなく、データで金融機関のサーバに送信されるため、金融機関の事務手続きが削減される。このモバイルフラグについても、アンケートフラグと同様に、顧客情報設定部138は、時限的に(例えば口座開設から1年間のみ)モバイルフラグを「1」に設定するようにしてもよい。これにより口座開設から所定期間のみ、顧客をクラス優遇することができる。
(e)クレジットカードフラグ
顧客が、保有するクレジットカードの支払い口座振替先としてその顧客の口座を指定している場合、その顧客のクレジットカードフラグが「1」に設定される。さらに、クレジットカードフラグの成立条件として、クレジットカードの使用状況という限定事項を付加し、クレジットカードの使用状況(使用頻度、使用金額など)に応じてクレジットカードフラグを設定してもよい。例えば、クレジットカードを用いて所定金額以上のショッピングがあった顧客のみ、クレジットカードフラグを「1」に設定してもよい。この場合、クレジットカードフラグを表すフラグ情報を複数ビットにし、その複数ビット内に顧客のクレジットカードの使用状況を表す下位フラグを含めればよい。そして、顧客情報設定部138は、顧客の過去のクレジットカードの使用金額と所定金額とを比較し、所定金額以上であれば下位フラグを「1」に設定し、所定金額未満であれば下位フラグを「0」に設定する。さらに、顧客情報設定部138は、当該下位フラグが「1」である場合にのみ、クレジットカードフラグを「1」に設定する。これにより、クレジットカードの支払い口座先としてその顧客の口座を指定している顧客であっても、そのクレジットカードの使用頻度や使用金額が低い顧客は、クレジットカードフラグが「0」に設定され、使用頻度や使用金額が高い顧客のみが「1」に設定される。これによって、高いクラス優遇を与える顧客を、クレジットカードをよく使用する優良顧客に限定できる。
以上、取引状態フラグの具体例について説明した。次に、上記取引状態フラグを利用したクラス判定手法について説明する。
上述したように、クラス判定部150は、合計金額計算部140により資産カテゴリごとに計算された合計金額に応じて顧客のクラスを判定する。さらに、クラス判定部150は、記憶部120内の顧客情報127に含まれるフラグ情報を確認し、上記合計金額に応じて判定した顧客のクラスを、取引状態フラグに応じてランクアップ/ランクダウンさせて、顧客のクラスを最終的に決定する。
より詳細には、クラス判定部150は、記憶部120に記憶されている上記各種の取引状態フラグ(a)〜(E)のうち少なくともいずれかが「1」に設定されている場合には、先に合計金額に基づいて判定したクラスを、所定ランク(例えば1ランク)だけランクアップさせて、その顧客のクラスを確定する。例えば、ある顧客について、合計金額に基づいて判定されたクラスが「A」であったとき、その顧客の住宅ローンフラグが「1」に設定されていれば、クラス判定部150は、その顧客のクラスを「A」から「B」に1ランクアップさせる。
このようにして、取引状態フラグが成立していれば、合計金額に基づいて判定された顧客のクラスが更にランクアップされる。これにより、金融機関の商品又はサービスの利用頻度が高い、或いは、金融機関の業務に対する寄与度が高い顧客ほど、より高いクラス優遇を享受できるようになる。この結果、顧客はより高いクラス優遇を受けるために、特定の金融機関の商品、サービスを頻繁に利用するようになる。また、顧客の預金口座等の資産合計だけでなく、その他の業務面から金融機関が得た利益を、より確実に顧客に還元できるようになる。
なお、顧客の優遇クラスのランクアップの条件は、取引状態フラグの設定状況に応じて適宜、選択/変更可能にしてもよい。例えば、所定数以上の取引状態フラグが成立している場合(例えば、2以上のフラグが「1」に設定されている場合)に、顧客のクラスを所定ランク(例えば1ランク)アップするようにしてもよい。また、上記では顧客の取引状態フラグが成立している(「1」に設定されている)場合に、その顧客のクラスをランクアップしたが、その逆に、取引状態フラグが不成立していない(「0」に設定されている)場合に、その顧客のクラスを所定ランクだけランクダウンさせてもよい。
(13.優遇特典選択制)
次に、図18及び図19を参照して、複数種類のクラス優遇情報123を用いて、複数種類のクラス優遇特典を選択可能に適用する手法について説明する。
以上の説明では、クラス判別された後に、そのクラスに対応する顧客に対してクラス優遇する際には、例えば図4Bに示したクラス優遇情報123のクラス優遇値に基づいてクラス優遇していた。このクラス優遇値は、預金口座の金利(例えば、普通預金、定期預金又は外国預金の金利)や取引手数料(例えば、外国預金の為替手数料)などであり、金利や取引手数料の額を優遇していた。
これに対し、以下では、上記図4Bに示したクラス優遇情報123のクラス優遇値を用いたクラス優遇特典以外にも、別のクラス優遇条件を定めたクラス優遇情報128(図18参照。)を設定し、これら複数種類のクラス優遇特典を表示画面20c、20d(図19参照。)で選択可能にする例について説明する。以下に、かかるクラス優遇特典の選択手法について詳細に説明する。
上記クラス条件設定部132は、上記図4Bのようなクラス優遇値を定めたクラス優遇情報123以外にも、図18に示すように、別の種類の優遇条件のクラス優遇値を定めたクラス優遇情報128を設定する。これら複数種類のクラス優遇情報123、128は、記憶部120に保持される。そして、図19に示すように、上記表示制御部170は、上記複数種類のクラス優遇情報123、128に基づいて、顧客が複数種類のクラス優遇特典を比較・検討可能な表示画面20c、20dを、顧客端末20(PC20−1、モバイル機器20−2等)に表示させる。これにより、顧客は、表示画面20c、20dに表示された複数種類のクラス優遇特典の中から、所望するクラス優遇特典を選択可能となる。この結果、顧客が所望のクラス優遇特典を選択すると、資産管理部160は、そのクラス優遇特典に対応するクラス優遇情報123を選択し、当該選択したクラス優遇情報123のクラス優遇値を適用して、顧客の資産を管理する。これにより、顧客は、選択したクラス優遇特典を享受できるようになる。
より詳細に説明すると、クラス優遇特典のデフォルトは、上記図4Bに示した金利若しくは為替手数料等のクラス優遇値に設定されている。一方、図18に示すように、図4Bに示した金利若しくは為替手数料等のクラス優遇値と等価な別のクラス優遇特典として、例えば、ATM引出手数料無料特典、振込手数料無料特典及びポイント特典などのクラス優遇値も設定されている。ATM引出手数料無料特典は、顧客がATMを用いて口座から金銭を引き出すときの引出手数料を所定期間内(例えば1ヶ月)で所定回数無料にする特典である。振込手数料無料特典は、顧客が他人の口座へ金銭を振り込むときの振込手数料を所定期間内(例えば1ヶ月)で所定回数無料にする特典である。ポイント特典は、金融機関で利用可能なポイントを付与する特典である。
図18に示すクラス優遇情報128では、これら複数種類のクラス優遇特典に関するクラス優遇値が、顧客のクラスに応じて設定される。例えば、ATM引出手数料無料特典のクラス優遇値として、ATM引出手数料の無料回数がクラスに応じて設定される。また、振込手数料無料特典のクラス優遇値として、振込手数料の無料回数がクラスに応じて設定される。また、ポイント特典のクラス優遇値として、顧客に付与されるポイント額がクラスに応じて設定される。ポイントは、例えば1ポイントを所定額の金銭(例えば○○円)と交換可能としてもよいし、他者のポイントと交換するように利用してもよい。ポイントは顧客情報127として記憶部120に記憶される。
これら他の特典のクラス優遇値は、顧客のクラスが高いほど、大きな優遇を受けられるような値に設定される。さらに、これら他の特典のクラス優遇値は、上記図4Bに示した金利や取引手数料等のクラス優遇値と等価な値に設定されることが好ましい。例えば、図18Aに示す資産カテゴリ1のクラス優遇情報では、クラスAの顧客にとって、普通預金のクラス優遇値V1a(例えば、金利0.15%アップ)と略同等の価値を有するATM引出手数料の無料回数(例えば、5回)や、ポイント額(例えば100)が設定される。これにより、ユーザは、ほぼ等価な複数種類のクラス優遇特典の中から、所望する特典を選択できる。
さらに、図18Aと図18Bに区別して示すように、上記複数種類のクラス優遇値を定めたクラス優遇情報128は、資産カテゴリごとにそれぞれ設定される。図18Aに、資産カテゴリ1(例えば普通預金、定期預金)のクラス優遇情報128Aを示し、図18Bに、資産カテゴリ2(例えば外貨預金)のクラス優遇情報128Bを示す。このとき、金融機関の収益が大きい資産カテゴリほど顧客の優遇条件が高くなるように、各資産カテゴリのクラス優遇情報128A、128Bのクラス優遇値を設定してもよい。例えば、資産カテゴリ1の普通預金や定期預金よりも、資産カテゴリ2の外貨預金の方が金融機関の収益が大きい。このため、図18Bの資産カテゴリ2のクラス優遇値は、図18Aの資産カテゴリ1のクラス優遇値よりも、顧客が優遇されるような値に設定されている。これにより、金融機関にとって有益な資産カテゴリ2の取引を促進できる。
上記のように設定された複数種類のクラス優遇情報123、128は、顧客のクラス優遇に用いられる。クラス判定部150は、定期的に顧客のクラスを判定し、判定したクラスと、そのクラスに対応する複数種類のクラス優遇値とを含むクラス判定結果情報126を、記憶部120に保存する。表示制御部170は、記憶部120のクラス判定結果情報126から、顧客のクラスと複数種類のクラス優遇値とを取得し、これらの情報に基づいてクラス優遇特典の選択画面20c、20d(図19参照。)を生成して、顧客端末20に表示させる。なお、図19Aは、資産カテゴリ1(普通預金、定期預金)のクラス優遇特典の選択画面20cであり、図19Bは、資産カテゴリ2(外国預金)のクラス優遇特典の選択画面20cである。
図19に示す選択画面20c、20dでは、ユーザ選択可能なクラス優遇特典として、(1)デフォルトである金利や取引手数料を優遇する特典、(2)ATM引出手数料無料特典、(3)振込手数料無料特典、(4)ポイント特典からなる4つの特典と、各特典のクラス優遇値が表示される。クラス優遇値は、その時点の顧客のクラスに対応する値が表示される。図19の例では、図4B及び図18のクラス優遇情報123、128におけるクラスAのクラス優遇値が表示されている。例えば、図19Aの例では、金利の優遇特典のクラス優遇値として、普通預金の金利が「V1a」%アップし、定期預金の金利が「V1d」%アップすることが示されている。一方、図19Bの例では、取引手数料の優遇特典のクラス優遇値として、外貨預金の為替手数料が「V2a」%ダウンすることが示されている。また、その他の特典のクラス優遇値も、クラスに応じた値が表示される。
また、図19A及び図19Bでは、クラス優遇値の金利V1a、V1d又は為替手数料V2a(図4B参照。)が表示されているが、これに代えて、期間優遇値の金利Dx1又は為替手数料D2(図4D参照。)を表示してもよい。上記図6で説明したように、クラス優遇が期間優遇と競合する場合がある。この場合、表示制御部170は、クラス優遇値と期間優遇値とを比較し、顧客にとって優遇条件が高い方の優遇値を選択画面20c、20dに表示する。
以上のような選択画面20c、20dを表示することで、顧客は、複数種類のクラス優遇特典の優遇内容を比較して、複数種類のクラス優遇特典の中から所望の特典を選択できる。その後、資産管理部160は、当該選択されたクラス優遇特典のクラス優遇値に基づいて、顧客の資産を管理する。例えば、金利優遇特典が選択された場合には、資産管理部160は、そのクラス優遇値の金利で顧客資産を運用する。また、ATM引出手数料無料特典が選択された場合には、資産管理部160は、そのクラス優遇値で指定された無料回数だけ、引出手数料を無料にする。これにより、判定された顧客のクラスに応じた複数種類の優遇特典のうち、顧客が所望する優遇特典を選択して、顧客の資産を運用・取引できるので、顧客の満足度が高まる。
なお、顧客によるクラス優遇特典の選択は、所定の基準時から所定期間内にのみ可能としてもよい。例えば、クラス判定された日から10日以内にのみ選択可能に設定することができる。この所定期間内に顧客がいずれの特典も選択もなかった場合には、資産管理部160は、図4Bに示したクラス優遇値によるクラス優遇特典を自動的に選択して、優遇期間にそのクラス優遇値に基づいて顧客資産を管理する。詳細に、クラス判定日に、サーバ10から顧客端末20にURL付きの電子メールが送信され、顧客端末20が当該URLを指示すると、図19で示される選択画面20c、20dが表示される。そして、所定期間内に、この選択画面20c、20d上で顧客が優遇特典を選択すると、資産管理部160は、顧客が選択した優遇特典に応じて、顧客の資産優遇を適用して、顧客資産情報122又は顧客情報127を更新する。
なお、上記図18の例では、等価な複数種類のクラス優遇特典を表すクラス優遇情報128を、資産カテゴリごとにそれぞれ設定して、各々の資産カテゴリごとに顧客に対してクラス優遇を選択させるようにした。しかし、かかる例に限定されず、図4Bに示した複数の資産カテゴリに共通して、1つのクラス優遇情報128を設定して、複数の資産カテゴリ全体でクラス優遇を選択させるようにしてもよい。
(14.効果)
以上、本実施形態にかかる金融サービスシステムについて説明した。本実施形態によれば、顧客の保有する資産を分類した資産カテゴリごとに異なるクラス優遇条件を設定して、資産カテゴリごとに顧客のクラス判定を行うことで、顧客の資産活用状況を的確に判断できるとともに、資産カテゴリの特徴に対応した適切な優遇サービスを提供できる。これにより、従来のような全ての顧客及び全ての金融商品に対して画一的なサービスではなく、顧客の資産取引実績に応じて、顧客ごと金融商品ごとに細やかな優遇サービスを提供できる。例えば、外貨預金優遇サービスにおいて、顧客の外貨預金全体の取引実績(預金残高等)に応じて顧客をクラス分類して、各外貨預金に関する預金金利や為替手数料などをクラスに応じて優遇することができる。
また、上記クラス判定の結果を分析することで、多様な顧客に対して金融サービスを提供する金融機関側が、個々の顧客の金融商品に対する活用状況や傾向を、把握することが可能となる。特に、外貨預金等の外貨資産については、通貨の為替レートが時々刻々と変動するため、従来では、金融機関は、顧客の保有する多様な外貨資産を統一的な基準で評価できなかったが、本実施形態では、多様な通貨の外貨資産を所定の基準通貨に換算して求めた合計金額を、クラス判定の評価基準値とすることで、顧客の保有する外貨資産を統一的な基準で評価できる。
また、従来のインターネットバンキングでは、顧客に対して現在提供されているサービス内容の表示は、大きな表示画面を有する顧客端末を前提とした画一的な表示であり、小さな表示画面を有する顧客端末において、顧客はそのサービス内容の理解が困難であった。しかし、本実施形態によれば、サーバ10の表示制御部170により、顧客端末20のアクセス時を基準として現在、過去及び/又は未来のクラス判定結果情報126を、顧客端末20の種類に応じて適切に抽出又は加工して、顧客端末20の表示画面に好適な情報量で表示できる。よって、顧客は、いかなる種類の顧客端末20を用いてサーバ10にアクセスしようとも、クラス優遇サービス内容を容易に理解できるので、自身の資産運用を適切に計画できる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。