JP2009062263A - 封着材料およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ビスマス系ガラス粉末と耐火性フィラー粉末を含有する封着材料において、耐火性フィラー粉末を改良し、封着材料の流動性を向上させることにより、セラミックパッケージまたは平面表示装置等の特性を向上させること。
【解決手段】本発明の封着材料は、ビスマス系ガラス粉末と耐火性フィラー粉末を含有する封着材料において、耐火性フィラー粉末の含有量が5〜50体積%であり、且つ耐火性フィラー粉末が略球状であることを特徴とする。
【選択図】図2

Description

本発明は、セラミックパッケージまたは平面表示装置等に好適な封着材料に関するものである。特に、本発明は、ICセラミックパッケージまたはプラズマディスプレイパネル(以下、PDP)に好適な封着材料に関するものである。
従来からセラミックパッケージ等の封着材料としてガラスが用いられている。ガラスは、樹脂系の接着剤に比べ、化学的耐久性および耐熱性に優れるとともに、セラミックパッケージ等の気密性を確保するのに適している。
これらのガラスは、用途によっては機械的強度、流動性、電気絶縁性等様々な特性が要求されるが、少なくともセラミックパッケージ等に使用される部材を劣化させない温度で使用可能であることが要求される。それゆえ、上記特性を満足するガラスとして、低融点の鉛ホウ酸系ガラスが広く用いられてきた(特許文献1参照)。
ところが、最近、鉛ホウ酸系ガラスに含まれるPbOに対して環境上の問題が指摘されており、鉛ホウ酸系ガラスからPbOを含まない無鉛ガラスに置き換えることが望まれている。そのため、鉛ホウ酸系ガラスの代替品として、様々な無鉛ガラスが開発されている。特に、特許文献2等に記載されているビスマス系ガラス(Bi−B系ガラス)は、熱膨張係数等の諸特性が鉛ホウ酸系ガラスと略同等の特性であるため、その代替候補として有力であるが、依然として、流動性および熱的安定性等の特性が鉛ホウ酸系ガラスに及ばないのが実情である。
また、ビスマス系ガラスは、通常、熱膨張係数が約l00〜120×10−7/℃であり、これらを用いて、高歪点ガラス(約85×10−7/℃)、アルミナ基板(約76×10−7/℃)等を封着すると、封着層(封着材料で形成された封着部位)の内部に大きな引張応力が残留し、これがクラックや割れの原因となる。このため、通常、ビスマス系ガラス粉末に低膨張性の耐火性フィラー粉末を添加して、被封着物の熱膨張係数に整合させた封着材料が用いられる。
一般的に、耐火性フィラー粉末は、ウイレマイト、コーディエライト、β−ユークリプタイト、ジルコン、酸化錫、ムライト、アルミナ、ジルコニア等が使用される。また、耐火性フィラー粉末の含有量が多くなる程、封着材料の熱膨張係数が低下することが知られている。
特開昭63−315536号公報 特開2003−095697号公報
既述の通り、耐火性フィラー粉末の含有量を多くする程、封着材料の熱膨張係数が低下するが、これに付随して封着材料の流動性が低下しやすくなる。封着材料の流動性が低下すれば、被封着物を低温で封着し難くなり、各種用途に要求される封着条件を満足できなくなる。例えば、ICセラミックパッケージにIC素子を実装した後、ICセラミックパッケージを高温で封着すると、IC素子の特性劣化を招きやすく、製品歩留りが低下する等の問題が生じる。そのため、この用途に用いる封着材料は、460℃以下の低温で封着可能であることが要求される。
ところで、従来から、封着材料の流動性を向上させる手段として、ガラス組成を改良する試みは活発になされている。しかし、耐火性フィラー粉末を改良することにより、封着材料の流動性を向上させる試みは、殆どなされていないのが実情である。既述の通り、ビスマス系ガラスは、流動性に課題を有しているため、耐火性フィラー粉末を改良する実益は大きい。また、ビスマス系ガラスにおいて、ガラス組成中のBiの含有量が多いと、例えば、Biの含有量が76質量%以上であると、Bi以外の成分の含有量が相対的に少なくなり、ガラス組成を改良する余地が乏しくなる。その場合、耐火性フィラー粉末を改良する実益はより大きい。
そこで、本発明は、ビスマス系ガラス粉末と耐火性フィラー粉末を含有する封着材料において、耐火性フィラー粉末を改良し、封着材料の流動性を向上させることにより、セラミックパッケージまたは平面表示装置等の特性を向上させることを技術的課題とする。
本発明者は、鋭意努力の結果、ビスマス系ガラス粉末と耐火性フィラー粉末を含有する封着材料において、耐火性フィラー粉末の含有量を5〜50体積%に規制するとともに、耐火性フィラー粉末の形状を略球状にすることで上記技術的課題を解決できることを見出し、本発明として、提案するものである。すなわち、本発明の封着材料は、ビスマス系ガラス粉末と耐火性フィラー粉末を含有する封着材料において、耐火性フィラー粉末の含有量が5〜50体積%であり、且つ耐火性フィラー粉末が略球状であることを特徴とする。
ここで、本発明でいう「略球状」とは、真球のみに限定されるものではなく、例えば、耐火性フィラー粉末において、耐火性フィラー粉末の重心を通る最も短い径を最も長い径で割った値が0.5以上、望ましくは0.7以上のものを指す。また、本発明でいう「ビスマス系ガラス」は、ガラス組成中のBiの含有量が20質量%以上、望ましくは67〜90質量%、より望ましくは76〜90質量%の場合を指す。
本発明の封着材料は、ビスマス系ガラス粉末を含有する。ビスマス系ガラスは、他の無鉛ガラスに比べて、熱的安定性が良好であるとともに、融点が低温である。
本発明の封着材料は、耐火性フィラー粉末を5〜50体積%含有する。このようにすれば、封着材料の熱膨張係数を高歪点ガラス(熱膨張係数:約85×10−7/℃)、アルミナ基板(熱膨張係数:約76×10−7/℃)等の熱膨張係数に整合させることができる。ここで、封着材料の熱膨張係数は、被封着物に対して5〜30×10−7/℃程度低く設計することが重要である。これは、封着層に残留する応力をコンプレッション側にして封着層のクラックを防ぐためである。なお、耐火性フィラー粉末の含有量が50体積%より多いと、融材であるガラス粉末の含有量が相対的に少なくなるため、封着材料の流動性が低下しやすくなる。
本発明の封着材料は、耐火性フィラー粉末の形状が略球状である。このようにすれば、ガラス粉末が軟化する際に、ガラス粉末の流動性が耐火性フィラー粉末によって阻害されにくくなり、結果として、封着材料の流動性が向上する。また、耐火性フィラー粉末の形状が略球状であると、平滑なグレーズ層を得やすくなる。更に、耐火性フィラー粉末の形状が略球状であると、仮にグレーズ層の表面に耐火性フィラー粉末の一部が露出しても、耐火性フィラー粉末が略球状であるため、この部分の応力が分散され、更には封着に際し、被封着物をグレーズ層に当接しても、被封着物に不当な応力がかかりにくく、結果として、セラミックパッケージ等の気密性を確保しやすくなる。
略球状の耐火性フィラー粉末を得る方法として、(1)溶融法、(2)造粒法、(3)結晶化ガラス法等の方法がある。(1)溶融法は、高温雰囲気に耐火性フィラー粉末の原料の微粉砕物を通過させることによって、表面張力で耐火性フィラー粉末を略球状化した後に、急冷し、耐火性フィラー粉末を得る方法である。(2)造粒法は、仮焼成した耐火性フィラー粉末の原料を略球状になるように、造粒した後、焼成し、耐火性フィラー粉末を得る方法である。(3)結晶化ガラス法は、後述の方法である。
第二に、本発明の封着材料は、耐火性フィラー粉末がコーディエライトであることを特徴とする。
第三に、本発明の封着材料は、耐火性フィラー粉末の平均粒子径D50が1〜35μmであることを特徴とする。ここで、「平均粒子径D50」とは、レーザー回折法で測定した値を指す。
第四に、本発明の封着材料は、ビスマス系ガラス粉末が、ガラス組成として、下記酸化物換算の質量%表示で、Bi 67〜90%、B 2〜12%、Al 0〜5%、ZnO 1〜20%、BaO 0〜10%、CuO 0〜5%、Fe 0〜3%、CeO 0〜5%、Sb 0〜5%含有することを特徴とする。
第五に、本発明の封着材料は、実質的にPbOを含有しないことを特徴とする。ここで、本発明でいう「実質的にPbOを含有しない」とは、封着材料中のPbOの含有量が1000ppm以下の場合を指す。
第六に、本発明の封着材料は、ビスマス系ガラス粉末と耐火性フィラー粉末を含有する封着材料において、耐火性フィラー粉末の含有量が5〜50体積%であり、且つ耐火性フィラー粉末が結晶化ガラス法で作製されていることを特徴とする。ここで、「結晶化ガラス法」とは、まず所望の組成を有するように調合されたガラス原料を溶融し、成形、粉砕して結晶性ガラス粉末を作製した後、これらを焼成して結晶化させることにより、耐火性フィラー粉末を得る方法を指す。
既述の通り、結晶化ガラス法は、原料として結晶性ガラス粉末を用いる。よって、結晶化ガラス法で耐火性フィラー粉末を作製すれば、均質な耐火性フィラー粉末を得ることができるとともに、短時間の焼成で耐火性フィラー粉末を得ることができる。また、結晶化ガラス法で耐火性フィラー粉末を作製すれば、均質な耐火性フィラー粉末を得ることができるため、封着材料の焼成時に、耐火性フィラーの焼成時の未反応物がガラス中に溶け込むおそれが少なくなり、封着材料の流動性や熱的安定性を阻害しにくくなる。
第七に、本発明の封着材料は、更に、結晶粉末として、SiO、Al、ZnO、ZrOの群から選ばれた一種または二種以上を含有し、且つ該結晶粉末の平均粒子径D50が1nm〜1μmであることを特徴とする。ここで、「結晶粉末の平均粒子径D50」は、結晶粉末の一次粒子径を測定した値を指す。
本発明の封着材料は、結晶粉末として、SiO、Al、ZnO、ZrOの群から選ばれた一種または二種以上を含有している。更に言えば、耐火性フィラー粉末を作製する際に、原料の結晶性ガラス粉末にSiO、Al、ZnO、ZrOの群から選ばれた一種または二種以上の結晶粉末が添加されている。結晶性ガラス粉末にこれらの結晶粉末を添加すれば、耐火性フィラーの焼成時に、結晶性ガラス粉末が表面張力により略球状になりやすく、封着材料の流動性を向上させることができる。
図1は、本発明に係る耐火性フィラー粉末(コーディエライト)の原料である結晶性ガラス粉末を示す電子顕微鏡写真であり、結晶粉末としてAlを添加した結晶性ガラス粉末を示す電子顕微鏡写真である。図2は、本発明に係る耐火性粉末を示す電子顕微鏡写真であり、図1の試料を焼成し、得られた耐火性フィラー粉末を示す電子顕微鏡写真である。図1、2から明らかなように、結晶粉末を添加した後に、結晶性ガラス粉末を焼成すれば、耐火性フィラー粉末を略球状にすることができる。
本発明の封着材料において、結晶粉末の平均粒子径D50を1nm〜1μmに規制すれば、結晶性ガラス粉末を均一に被覆することができ、その結果、略球状の耐火性フィラー粉末を得やすくなるとともに、耐火性フィラー粉末の製造工程を簡略化することができる。
第八に、本発明の封着材料は、結晶粉末の含有量が0.03〜3体積%であることを特徴とする。
第九に、本発明の封着材料は、平面表示装置またはセラミックパッケージの封着に用いることを特徴とする。
第十に、本発明の封着材料は、ビスマス系ガラス粉末と耐火性フィラー粉末を含有する封着材料の製造方法において、耐火性フィラー粉末を結晶化ガラス法で作製することを特徴とする。
第十一に、本発明の封着材料は、耐火性フィラー粉末を作製する際に、結晶粉末を添加することを特徴とする。
第十二に、本発明の封着材料は、耐火性フィラー粉末がコーディエライトであることを特徴とする。
本発明の封着材料において、耐火性フィラー粉末の混合割合は、ビスマス系ガラス粉末が50〜95体積%、耐火性フィラー粉末5〜50体積%であることが好ましく、ビスマス系ガラス粉末が40〜90体積%、耐火性フィラー粉末10〜60体積%であることがより好ましく、ビスマス系ガラス粉末が60〜80体積%、耐火性フィラー粉末20〜40体積%であることが更に好ましい。両者の割合をこのように規定した理由は、耐火性フィラー粉末が5体積%より少ないと、耐火性フィラー粉末がもたらす効果を享受し難くなり、50体積%より多いと、封着材料の流動性が低下し、セラミックパッケージ等を封着し難くなるからである。
本発明の封着材料おいて、耐火性フィラー粉末の重心を通る最も短い径を最も長い径で割った値は0.5以上、好ましくは0.6以上、より好ましくは0.7以上、更に好ましくは0.75以上である。耐火性フィラー粉末の最も短い径を最も長い径で割った値が0.5未満であると、ガラス粉末が軟化する際に、ガラス粉末の流動性が耐火性フィラー粉末によって阻害されやすくなり、結果として、封着材料の流動性が乏しくなる。また、耐火性フィラー粉末の最も短い径を最も長い径で割った値が0.5未満であると、平滑なグレーズ膜を得にくくなるとともに、グレーズ膜の表面に耐火性フィラー粉末の一部が露出した場合、この部分に応力が集中しやすくなり、封着に際し、グレーズ膜に被封着物を当接すると、被封着物に不当な応力がかかりやすくなり、結果として、セラミックパッケージ等の気密性を確保し難くなる。
本発明の封着材料において、耐火性フィラー粉末は、コーディエライト、ウイレマイト、ジルコン、リン酸ジルコニウム、β−クオーツ固溶体、亜鉛ペタライト、β−ユークリプタイト、ガーナイト等が好適である。これらの耐火性フィラー粉末は、熱膨張係数の低下効果が大きいだけでなく、ビスマス系ガラスと適合性が良好であり、封着材料の熱的安定性を損ないにくい。特に、コーディエライト粉末は、熱膨張係数が小さく、ビスマス系ガラスと相性が良好であるため、好ましい。また、封着材料の機械的強度等を高める目的で上記耐火性フィラー粉末以外の耐火性フィラー粉末を、特性を損なわない範囲で適宜添加することができる。
本発明の封着材料において、耐火性フィラー粉末の平均粒子径D50は1〜35μm、5〜20μm、特に7〜15μmが好ましい。耐火性フィラー粉末の平均粒子径D50が1μmより小さいと、封着材料の焼成時に、耐火性フィラー粉末がガラスに溶解しやすくなり、ビスマス系ガラス粉末と耐火性フィラー粉末の適合性が低い場合、封着材料の熱的安定性が低下しやすくなる。また、耐火性フィラー粉末の平均粒子径D50が1μmより小さいと、封着材料の焼成時に、耐火性フィラー粉末の溶解量が過剰になり、封着材料の軟化点が不当に上昇し、低温封着し難くなる。一方、耐火性フィラー粉末の平均粒子径D50が35μmより大きいと、耐火性フィラー粉末の粗大成分の割合が相対的に多くなり過ぎ、封着層にマイクロクラック等が発生しやすくなり、セラミックパッケージ等に気密不良が発生しやすくなる。また、耐火性フィラー粉末の平均粒子径D50が35μmより大きいと、ビスマス系ガラス粉末の平均粒子径D50が小さい場合、ビスマス系ガラス粉末と耐火性フィラー粉末を均一に混合しにくくなることに加えて、封着材料をペースト材料としたときにビスマス系ガラス粉末と耐火性フィラー粉末が分離しやすくなり、ペースト材料の寿命(所謂、ポットライフ)が短くなる。
本発明の封着材料において、ビスマス系ガラス粉末は、ガラス組成として、下記酸化物換算の質量%表示で、Bi 67〜90%、B 2〜12%、Al 0〜5%、ZnO 1〜20%、BaO 0〜10%、CuO 0〜5%、Fe 0〜3%、CeO 0〜5%、Sb 0〜5%含有することが好ましい。ビスマス系ガラス粉末のガラス組成範囲を上記のように限定した理由を下記に示す。
Biは、軟化点を下げるための主要成分である。その含有量は67〜90%、好ましくは70〜89%、より好ましくは74〜88%、更に好ましくは76〜86%である。Biの含有量が67%より少ないと、ガラスの軟化点が高くなり過ぎ、460℃以下の低温で封着しにくくなる。一方、Biの含有量が90%より多いと、ガラスが熱的に不安定になり、溶融時または焼成時にガラスが失透しやすくなる。
は、ビスマス系ガラスのガラスネットワークを形成する成分であり、必須成分である。その含有量は2〜12%、好ましくは3〜10%、より好ましくは4〜9.5%、更に好ましくは5〜9%である。Bの含有量が2%より少ないと、ガラスが熱的に不安定になり、溶融時または焼成時にガラスが失透しやすくなる。一方、Bの含有量が12%より多いと、ガラスの粘性が高くなり過ぎ、460℃以下の低温で封着することが困難になる。
Alは、ガラスの耐候性を向上させる成分である。その含有量は0〜5%、好ましくは0〜2%である。Alの含有量が5%より多いと、ガラスの軟化点が高くなり過ぎ、460℃以下の低温で封着することが困難となる。
SiOは、ガラスの耐候性を向上させる成分である。その含有量は0〜10%、好ましくは0〜3%である。SiOの含有量が10%より多いと、ガラスの軟化点が高くなり過ぎ、460℃以下の低温で封着することが困難となる。
ZnOは、溶融時または焼成時にガラスの失透を抑制する効果がある。その含有量は1〜20%、好ましくは3〜18%、より好ましくは4〜17%、更に好ましくは5〜15%である。ZnOの含有量が1%より少ないと、溶融時または焼成時にガラスの失透を抑制する効果が得られにくくなる。ZnOの含有量が20%より多いと、ガラス組成内のバランスを欠き、逆にガラスの熱的安定性が損なわれ、その結果、ガラスが失透しやすくなる。
BaO、SrO、MgO、CaOは、溶融時または焼成時にガラスの失透を抑制する効果がある成分である。これらの成分は合量で15%までガラス組成中に含有させることができる。これらの成分の合量が15%より多いと、ガラスの軟化点が高くなり過ぎ、460℃以下の低温で封着し難くなる。
BaOの含有量は0〜10%、好ましくは0〜8%、更に好ましくは0〜6%である。BaOの含有量が10%より多いと、ガラス組成内のバランスを欠き、逆にガラスの熱的安定性が損なわれ、その結果、ガラスが失透しやすくなる。また、ガラスの熱的安定性を向上させる観点から、BaOの含有量を1%以上とするのが好ましい。
SrO、MgO、CaOのそれぞれの含有量は0〜5%が好ましく、0〜2%がより好ましい。各成分の含有量が5%より多いと、ガラスが失透、或いは分相しやすくなる。
CuOは、溶融時または焼成時にガラスの失透を抑制する効果があり、5%まで添加することができる。CuOの含有量が5%より多いと、ガラス組成内のバランスを欠き、逆にガラスの熱的安定性が損なわれ、その結果、ガラスが失透しやすくなり、ガラスの流動性が損なわれやすくなる。また、ガラスの熱的安定性を向上させる観点から、CuOを微量添加するのが好ましく、具体的には、CuOの含有量を0.01%以上とするのが好ましい。
Feは、溶融時または焼成時にガラスの失透を抑制する効果があり、その含有量は0〜3%、好ましくは0〜1.5%である。Feの含有量が3%より多いと、ガラス組成内のバランスを欠き、逆にガラスの熱的安定性が損なわれ、その結果、ガラスが失透しやすくなる。また、ガラスの熱的安定性を向上させる観点から、Feを微量添加するのが好ましく、具体的には、Feの含有量を0.01%以上とするのが好ましい。
CeOは、溶融時または焼成時にガラスの失透を抑制する効果があり、その含有量は0〜5%、好ましくは0〜2%、より好ましくは0〜1%である。CeOの含有量が5%より多いと、ガラス組成内のバランスを欠き、逆にガラスの熱的安定性が損なわれ、その結果、ガラスが失透しやすくなり、ガラスの流動性が損なわれやすくなる。また、ガラスの熱的安定性を向上させる観点から、CeOを微量添加するのが好ましく、具体的には、CeOの含有量を0.01%以上とするのが好ましい。
Sbは、ガラスの失透を抑制するための成分であり、その含有量は0〜5%、好ましくは0〜2%、より好ましくは0〜1%である。Sbは、ビスマス系ガラスのネットワーク構造を安定化させる効果があり、ビスマス系ガラスにおいて、Sbを適宜添加すれば、Biの含有量が多い場合、例えばBiの含有量が76%以上であっても、ガラスの熱的安定性が低下し難くなる。ただし、Sbの含有量が5%より多いと、ガラス組成内のバランスを欠き、逆にガラスの熱的安定性が損なわれ、その結果、ガラスが失透しやすくなる。また、ガラスの熱的安定性を向上させる観点から、Sbを微量添加するのが好ましく、具体的には、Sbの含有量を0.05%以上とするのが好ましい。
上記成分以外にも、例えば以下の成分をガラス組成中に含有させることができる。
WOは、ガラスの失透を抑制するための成分であり、その含有量は0〜10%、特に0〜2%がより好ましい。WOの含有量が10%より多いと、ガラス組成内のバランスを欠き、逆にガラスの熱的安定性が損なわれ、その結果、ガラスが失透しやすくなる。
In、Gaは必須成分ではないが、ガラスの失透を抑制するための成分であり、その含有量は合量で0〜5%、特に0〜3%が好ましい。In、Gaの含有量が合量で5%より多いと、ガラス組成内のバランスを欠き、逆にガラスの熱的安定性が損なわれ、その結果、ガラスが失透しやすくなる。なお、Inの含有量は0〜1%がより好ましく、Gaの含有量は0〜0.5%がより好ましい。
Li、Na、KおよびCsの酸化物は、ガラスの軟化点を低くする成分であるが、溶融
時にガラスの失透を促進する作用を有するため合量で2%以下とするのが好ましい。
は、溶融時にガラスの失透を抑制する成分であるが、その添加量が1%より多いと、溶融時にガラスが分相しやすくなるため好ましくない。
MoO、La、YおよびGdは、溶融時にガラスの分相を抑制する成分であるが、これらの合量が3%より多いと、ガラスの軟化点が高くなり過ぎ、460℃以下の温度で焼成しにくくなる。
また、その他の成分であっても、ガラスの特性を損なわない範囲で15%(好ましくは5%)までガラス組成中に添加することができる。
以上のガラス組成を有するビスマス系ガラスは、低温で良好な流動性を示す非晶質のガラスであり、30〜250℃における熱膨張係数が約100〜120×10−7/℃である。
本発明の封着材料は、PbOを含有する態様を排除するものではないが、既述の通り、環境上の理由からPbOを実質的に含有しないことが好ましい。また、ガラス組成中にPbOを含有させると、ガラス中に存在するPb2+が拡散して、封着材料の電気絶縁性を低下させる場合がある。
本発明の封着材料は、更に結晶粉末を含有することが好ましく、結晶粉末は、耐火性フィラー粉末と同等以上の高い融点を有するとともに、原料の結晶性ガラス粉末と反応し難い性質のものが好ましく、SiO、Al、ZnO、ZrOの群から選ばれる一種又は二種以上がより好ましく、SiO、Al、ZnOの群から選ばれる一種又は二種以上がより好ましい。SiO、Al、ZnO、ZrOは、微粉末に加工しやすく、高い融点を有し、しかも結晶性ガラス粉末と反応し難い性質を有している。特に、耐火性フィラー粉末がコーディエライトの場合、Alは、結晶性ガラス粉末と反応しにくいことに加え、微粉末に加工しやすく、好適である。
本発明の封着材料において、結晶粉末の平均粒子径D50は1nm〜1μm、5nm〜0.5μm、特に8nm〜0.1μmが好ましい。結晶粉末の平均粒子径D50が1nmより小さいと、耐火性フィラーの焼成時に、結晶粉末が結晶性ガラス粉末中に溶解しやすくなり、所望の効果を発揮し難くなる。一方、結晶粉末の平均粒子径D50が1μmより大きいと、結晶性ガラス粉末を均一に被覆し難くなり、耐火性フィラーの焼成時に、結晶性ガラス粉末同士が焼結しやすくなる。なお、結晶粉末のBET比表面積は10〜400m/g、特に50〜200m/gが好ましい。結晶粉末のBET比表面積が10m/gより小さいと、結晶性ガラス粉末を均一に被覆し難くなり、耐火性フィラーの焼成時に、結晶性ガラス粉末同士が焼結しやすくなる。結晶粉末のBET比表面積が400m/gより大きいと、耐火性フィラーの焼成時に、結晶粉末が結晶性ガラス粉末中に溶解しやすくなり、所望の効果を発揮し難くなる。
本発明の封着材料において、結晶粉末の含有量は0.03〜3体積%、特に0.05〜2体積%が好ましい。結晶粉末の含有量が0.03体積%より少ないと、耐火性フィラーの焼成時に、結晶性ガラス粉末同士が固く焼結するため、耐火性フィラーの解砕に長時間を要するとともに、耐火性フィラー粉末が略球状になりにくく、封着材料の流動性が低下しやすくなる。一方、結晶粉末の含有量が3体積%より多いと、結晶粉末が過剰になり過ぎ、封着材料の焼成時に、余剰の結晶粉末がガラス中に溶解し、封着材料の流動性が損なわれるおそれがある。
本発明の封着材料において、結晶粉末は、耐火性フィラー粉末に付着していることが好ましい。このようにすれば、封着材料の焼成時に、結晶粉末がガラスに溶け込みにくくなり、封着材料の流動性が損なわれにくくなる。結晶粉末を耐火性フィラー粉末に付着させるには、耐火性フィラーの焼成条件(焼成温度、焼成時間)を調整すればよい。
本発明の封着材料は、セラミックパッケージの封着に用いることが好ましい。セラミックパッケージは、耐熱性が低い部材、例えばIC素子、導電接着剤を使用するため、低温で封着する必要性が高い。その点、本発明の封着材料は、低温で封着可能であるため、本用途に好適である。また、封着材料の流動性が低い場合、封着層の外表面に耐火性フィラー粉末が露出しやすく、この露出した部分には不当な応力が残留しやすいため、セラミックパッケージにクラックが発生しやすくなる。しかし、本発明の封着材料は、流動性に優れるため、このような事態を有効に回避することができる。さらに、本発明の封着材料は、形状が略球状であるため、仮に封着層に耐火性フィラー粉末が露出しても、露出部分の応力集中を緩和することができ、セラミックパッケージにクラックが発生する事態を有効に回避することができる。
本発明の封着材料は、特に、ICセラミックパッケージまたは水晶振動子セラミックパッケージの封着に用いることが好ましい。ICセラミックパッケージは、460℃以下の温度で封着しなければ、IC素子の劣化を招くが、本発明の封着材料は、460℃以下の温度で良好に封着できるため、本用途に好適である。水晶振動子セラミックパッケージは、460℃以下の温度で封着しなければ、導電接着剤が劣化し、素子の劣化を招くが、本発明の封着材料は、460℃以下の温度で良好に封着できるため、本用途に好適である。
本発明の封着材料は、平面表示装置の封着に用いることが好ましい。平面表示装置は、耐熱性が低い部材、例えば蛍光体を使用するため、低温で封着する必要性が高い。その点、本発明の封着材料は、低温で封着可能であるため、本用途に好適である。
PDPの製造工程において、封着材料は、以下のような焼成工程を経る。まず、PDPの背面ガラス基板の外周縁部にビークル内に分散された封着材料を塗布し、一次焼成(グレーズ工程、仮焼成工程)を行い、高温でビークル成分を熱分解または焼却する。一次焼成工程は、ビークルに使用される樹脂が完全に熱分解する温度条件、例えば400〜500℃程度で行われる。次に、二次焼成(封着工程、シール工程)でPDPの前面ガラス基板と背面ガラス基板を封着する。二次焼成工程は、封着材料が軟化変形する温度条件、例えば450〜500℃程度で行われる。最後に、排気管を通してPDP内部を真空排気した後、希ガスを必要量注入して排気管を封止する。本発明の封着材料は、流動性に優れるとともに、熱的安定性に優れるため、上記工程で好適に使用することができる。また、封着材料の流動性が低い場合、一次焼成後のグレーズ層の外表面に耐火性フィラー粉末が露出しやすく、この露出した部分に前面ガラス基板を当接させると、前面ガラス基板の当接部分にクラックが発生しやすくなる。しかし、本発明の封着材料は、流動性に優れるため、このような事態を有効に回避することができる。さらに、封着材料が結晶粉末を含有する場合、仮に一次焼成後のグレーズ層に耐火性フィラー粉末が露出しても、形状が略球状であるため、露出部分の応力集中を緩和することができ、平面表示装置にクラックが発生する事態を有効に回避することができる。
本発明の封着材料の製造方法は、ビスマス系ガラス粉末と耐火性フィラー粉末を含有する封着材料の製造方法において、耐火性フィラー粉末を結晶化ガラス法で作製することを特徴とする。また、本発明の封着材料の製造方法は、耐火性フィラー粉末の原料を作製する際に、好ましくは原料の結晶性ガラスを粉砕する際に、結晶粉末を添加することが好ましい。結晶性ガラスを粉砕する際に、結晶粉末を添加すれば、結晶性ガラス粉末と結晶粉末を混合する工程を省略できるとともに、結晶性ガラス粉末と結晶粉末を均一に混合することができる。さらに、本発明の封着材料の製造方法は、耐火性フィラー粉末がコーディエライトであることがより好ましい。ここで、本発明の封着材料の製造方法が有する技術的特徴(作用効果、好ましい態様、好適な数値範囲等)は、本発明の封着材料における説明の欄に既に記載されている内容と同様であり、ここでは、便宜上、その記載を省略する。
本発明に係る耐火性フィラー粉末を製造する際に、原料の結晶性ガラスの溶融性を高めるために、結晶性ガラスのガラス組成に、耐火性フィラー粉末の結晶構成成分以外の成分、例えばB、RO(ROは、LiO、NaO、KO、CsOを指す)、R’O(R’Oは、MgO、CaO、SrO、BaOを指す)を0.1〜10質量%添加することが好ましい。これらの成分が0.1質量%より少ないと、結晶性ガラスの溶融性を高めにくくなる。なお、結晶性ガラス粉末のガラス組成が、耐火性フィラー粉末の理論組成から多少外れても、所望の結晶を析出させることができるが、これらの成分が10質量%より多いと、所望の結晶を析出させにくくなる。
本発明に係る耐火性フィラー粉末を製造する際に、原料の結晶性ガラス粉末の粒度分布を調整する工程、例えば結晶性ガラス粉末の分級工程を設けることが好ましい。このようにすれば、耐火性フィラー粉末の粒度分布を容易に調整することができる。
本発明の封着材料の製造方法において、耐火性フィラー粉末を作製する際、結晶粉末を添加すれば、後の粉砕工程が省略可能になって、耐火性フィラー粉末の製造工程で分級工程を省略することができる。このようにすれば、耐火性フィラー粉末の製造効率を向上できるとともに、耐火性フィラー粉末の製造コストを低廉化することができる。更に、本発明の封着材料の製造方法において、耐火性フィラー粉末の製造工程で解砕工程を有し、粉砕工程を有しないことが好ましい。このようにすれば、解砕工程は短時間で完了するため、耐火性フィラー粉末の製造効率を高めることができる。また、このようにすれば、耐火性フィラー粉末の微粉割合を低減できるため、封着材料の流動性および熱的安定性を維持することができる。
本発明の封着材料において、略球状の耐火性フィラー粉末以外にも、必要に応じて、その他の形状の耐火性フィラー粉末を添加することができる。また、本発明の封着材料において、結晶化ガラス法で作製した耐火性フィラー粉末以外にも、必要に応じて、その他の方法で作製した耐火性フィラー粉末を添加することもできる。このような耐火性フィラー粉末として、例えばウイレマイト、ジルコン、酸化錫、ジルコニア、アルミナ、コーディエライト、酸化ニオブ、β−ユークリプタイト、酸化チタン、シリカ、ガーナイト、石英ガラス等を挙げることができる。
以下、実施例に基づいて、本発明を詳細に説明する。表1〜4は、本発明の実施例(試料No.1〜16)、比較例(試料No.17〜20)を示している。
次のようにして、表1〜4に記載の各試料No.1〜20を作製した。
まず、表1〜4に示したガラス組成となるように各種酸化物、炭酸塩等の原料を調合したガラスバッチを準備し、これを白金坩堝に入れて900〜1100℃で1〜2時間溶融した。次に、溶融ガラスの一部を押棒式熱膨張係数測定(TMA)装置および密度測定用サンプルとしてステンレス製の金型に流し出し、その他の溶融ガラスは、水冷ローラーにより薄片状に成形した。なお、TMAおよび密度測定用サンプルは、成形後に所定の徐冷処理を行った。最後に、薄片状のガラスをボールミルにて粉砕後、目開き45μmの篩いを通過させて、平均粒径約10μmの各ガラス粉末試料を得た。
各ガラス粉末試料につき、密度、熱膨張係数、ガラス転移点および軟化点を求めた。密度は、周知のアルキメデス法で測定した。熱膨張係数およびガラス転移点は、TMA装置で測定した。なお、熱膨張係数は、30〜300℃の温度範囲にて測定した。さらに、軟化点は、示差熱分析(DTA)装置で測定した。
次に、表1〜4の各ガラス粉末試料と表中所定の耐火性フィラー粉末を混合し、表1〜4に示す封着材料を得た。試料No.1〜20について、流動径、失透状態、表面突起および耐クラック性を評価した。
流動径は、各試料の合成密度に相当する質量の粉末を金型により外径20mmのボタン状に乾式プレスし、これを40mm×40mm×2.8mm厚の高歪点ガラス基板(日本電気硝子株式会社製PP−8C)上に載置し、空気中で5℃/分の速度で昇温した後、460℃10分間で焼成した上で室温まで5℃/分で降温し、得られたボタンの直径を測定することで評価した。なお、合成密度とは、ガラスの密度と耐火物フィラーの密度を、所定の体積比で混合させて算出される理論上の密度である。また、この評価で流動径が19mm以上であれば、460℃10分間の焼成で良好に封着できることを意味する。
失透状態は、次のようにして評価した。表1〜4の試料No.1〜20の粉末加圧成型体を焼成炉で460℃10分保持した後、実体顕微鏡(倍率200倍)を用いて試料の表面結晶を観察することにより、失透状態を評価した。失透が認められなかったものを「○」、失透が認められたものを「×」とした。なお、昇降温速度は、10℃/分とした。
表面突起は、次のようにして評価した。まず、各試料とアクリル樹脂含有α−ターピネオールとを均一に混練して、ガラスペーストに加工した後、100×100×3mmの高歪点ガラス基板(日本電気硝子株式会社製PP−8C)の端部に線状(80×3×3mm)に塗布し、120℃で15分乾燥させた。次に、この試料を焼成した後、得られたグレーズ膜の外表面を光学顕微鏡で確認し、耐火性フィラー粉末の一部が露出していないものを「○」、耐火性フィラー粉末の一部が露出していたものを「×」として評価した。なお、焼成は、空気中で行い、室温から5℃/分の速度で昇温し、440℃10分間で保持した上で室温まで5℃/分で降温した。
耐クラック性は、流動径の測定に供したボタン状の試料を用いて、評価した。ボタン状の試料の表面およびボタン直下のガラス基板を実体顕微鏡(200倍)で観察し、ボタン表面およびガラス基板にクラックが発生していないものを「○」、発生しているものを「×」として、評価した。
表1〜4の試料No.1〜15、17および18に記載の耐火性フィラー粉末は、次のような方法で作製した。まず所定の結晶物が得られるように、ガラス原料を調合し、混合後、1400〜1550℃で溶融し、結晶性ガラスを得た。次に、得られた結晶性ガラスを粉砕して、平均粒子径D50=10μmの結晶性ガラス粉末を得た。なお、結晶性ガラスの粉砕時に、表中の結晶粉末(平均一次粒子径D50=20nm)を添加した。次いで、この試料を1300℃10時間焼成した後、得られた焼成物を解砕し、平均粒子径D50=10μmの耐火性フィラー粉末を得た。なお、この方法で得られた耐火性フィラー粉末は、耐火性フィラー粉末の重心を通る最も短い径を最も長い径で割った値が0.7以上であった。表4の試料No.16に記載の耐火性フィラー粉末は、まず所定の耐火性フィラー粉末が得られるように、酸化物原料を調合し、混合後、1000℃8時間仮焼成した。次に、耐火性フィラー粉末の原料を略球状になるように、スプレードライヤーで造粒した後、1400℃10時間焼成し、平均粒子径D50=10μmの耐火性フィラー粉末を得た。なお、この方法で得られた耐火性フィラー粉末は、耐火性フィラー粉末の重心を通る最も短い径を最も長い径で割った値が0.75以上であった。
表4の試料No.19、20に記載の耐火性フィラー粉末は、次のような方法で得た。まず所定の耐火性フィラー粉末が得られるように、酸化物原料を調合し、混合後、1400℃10時間焼成した後、この焼成物をボールミルで粉砕し、次いで350メッシュの篩で分級し、平均粒子径D50=10μmの耐火性フィラー粉末を得た。なお、この方法で得られた耐火性フィラー粉末は、耐火性フィラー粉末の重心を通る最も短い径を最も長い径で割った値が0.3程度であった。
表1〜4の試料No.1〜16は、460℃10分間で良好に流動し、セラミックパッケージ等の封着に好適な低融点特性を備えていた。さらに、試料No.1〜16は、失透状態、表面突起および耐クラック性の評価が良好であるため、セラミックパッケージ等の気密性を確保できると考えられる。
表4の試料No.17は、耐火性フィラー粉末の含有量が所定範囲外であったため、耐クラック性が不良であった。試料No.18は、耐火性フィラー粉末の含有量が所定範囲外であったため、流動性および表面突起の評価が不良であった。なお、試料No.18は、耐火性フィラー粉末の含有量が過剰であったため、耐火性フィラー粉末の形状に起因せずに、表面突起の評価が不良になった。試料No.19および20は、耐火性フィラー粉末の形状が略球状ではないため、流動性および表面突起の評価が不良であった。
本発明の封着材料は、水晶振動子セラミックパッケージ、ICセラミックパッケージ等のセラミックパッケージに好適である。また、本発明の封着材料は、PDP、各種電子放出素子を有する各種形式のフィールドエミッションディスプレイ、有機エレクトロルミネセンスディスプレイ、無機エレクトロルミネセンスディスプレイ、蛍光表示管等の平面表示装置に好適である。
本発明に係る耐火性フィラー粉末(コーディエライト粉末)の原料である結晶性ガラス粉末を示す電子顕微鏡写真であり、結晶粉末としてAlを添加した結晶性ガラス粉末を示す電子顕微鏡写真である。 本発明に係る耐火性フィラー粉末(コーディエライト粉末)を示す電子顕微鏡写真であり、図1の試料を焼成し、得られた耐火性フィラー粉末を示す電子顕微鏡写真である。

Claims (12)

  1. ビスマス系ガラス粉末と耐火性フィラー粉末を含有する封着材料において、
    耐火性フィラー粉末の含有量が5〜50体積%であり、且つ耐火性フィラー粉末が略球状であることを特徴とする封着材料。
  2. 耐火性フィラー粉末がコーディエライトであることを特徴とする請求項1に記載の封着材料。
  3. 耐火性フィラー粉末の平均粒子径D50が1〜35μmであることを特徴とする請求項1または2に記載の封着材料。
  4. ビスマス系ガラス粉末が、ガラス組成として、下記酸化物換算の質量%表示で、Bi 67〜90%、B 2〜12%、Al 0〜5%、ZnO 1〜20%、BaO 0〜10%、CuO 0〜5%、Fe 0〜3%、CeO 0〜5%、Sb 0〜5%含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の封着材料。
  5. 実質的にPbOを含有しないことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の封着材料。
  6. ビスマス系ガラス粉末と耐火性フィラー粉末を含有する封着材料において、
    耐火性フィラー粉末の含有量が5〜50体積%であり、且つ耐火性フィラー粉末が結晶化ガラス法で作製されていることを特徴とする封着材料。
  7. 更に、結晶粉末として、SiO、Al、ZnO、ZrOの群から選ばれた一種または二種以上を含有し、且つ該結晶粉末の平均粒子径D50が1nm〜1μmであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の封着材料。
  8. 結晶粉末の含有量が0.03〜3体積%であることを特徴とする請求項7に記載の封着材料。
  9. 平面表示装置またはセラミックパッケージの封着に用いることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の封着材料。
  10. ビスマス系ガラス粉末と耐火性フィラー粉末を含有する封着材料の製造方法において、
    耐火性フィラー粉末を結晶化ガラス法で作製することを特徴とする封着材料の製造方法。
  11. 耐火性フィラー粉末を作製する際に、結晶粉末を添加することを特徴とする請求項10に記載の封着材料の製造方法。
  12. 耐火性フィラー粉末がコーディエライトであることを特徴とする請求項10または11に記載の封着材料の製造方法。
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