JP2009061924A - ハイブリッド車の駆動装置 - Google Patents

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剛 北畑
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Abstract

【課題】リングギアの径を大きくすることなく動力分配機構に入力された回転数と動力分配機構から出力される回転数の比の設定の自由度を高めることが可能なハイブリッド車の駆動装置を提供する。
【解決手段】内燃機関2の出力軸2a及び第1MG3の出力軸3aが連結される動力分配機構10と、動力分配機構10から出力された動力が伝達される駆動軸4とを備えたハイブリッド車の駆動装置1Aにおいて、動力分配機構10は、第1遊星歯車機構20と、第2遊星歯車機構30と、第2遊星歯車機構30のキャリア35を制動するブレーキ40と、を備え、第1MG3の出力軸3aと第1遊星歯車機構20のサンギア21とが連結され、内燃機関2の出力軸2aと第1遊星歯車機構20のキャリア24と第2遊星歯車機構30のリングギア34とが連結され、第1遊星歯車機構20のリングギア23と第2遊星歯車機構30のサンギア31と駆動軸4とが連結されている。
【選択図】図2

Description

本発明は、内燃機関の出力軸と電動機の出力軸とが連結される動力分配機構を備えたハイブリッド車の駆動装置に関する。
内燃機関に加えて電動機やモータジェネレータを走行用動力源として備えたハイブリッド車が知られている。このようなハイブリッド車に適用される駆動装置としては、車両の走行状態に応じて各走行用動力源の動力を適宜分配、変速して駆動輪に伝達可能なように動力分配機構及び変速機構を備えているものが知られている。例えば、2組の遊星歯車機構からなる動力分配機構を備え、電動機の出力軸と第1の遊星歯車機構のサンギアとが連結され、内燃機関の出力軸と第1の遊星歯車機構のキャリアと第2の遊星歯車機構のリングギアとが連結され、第1の遊星歯車機構のリングギアと第2の遊星歯車機構のキャリアと駆動軸とが連結され、第2の遊星歯車機構のサンギアがブレーキにて制動される駆動装置が知られている(特許文献1参照)。
特開2004−345527号公報
特許文献1の駆動装置に設けられる動力分配機構では、ブレーキにて第2の遊星歯車機構のサンギアを制動すると第2の遊星歯車機構のリングギアと第2遊星歯車機構のキャリアの回転数の比によって内燃機関の回転数と駆動軸の回転数との比が決まる。この際の内燃機関の回転数と駆動軸の回転数との比を大きくするためには、サンギアとプラネタリギアとのギア比を大きくする必要がある。この場合、プラネタリギアの径は、プラネタリギアの強度を確保する必要があるためにこの強度を確保可能な径以下に小さくすることができない。そのため、リングギアの径を大きくしてギア比を確保することになる。従って、装置が大型化するおそれがある。
そこで、本発明は、リングギアの径を大きくすることなく動力分配機構に入力された回転数と動力分配機構から出力される回転数の比の設定の自由度を高めることが可能なハイブリッド車の駆動装置を提供することを目的とする。
本発明の第1のハイブリッド車の駆動装置は、内燃機関と、電動機と、前記内燃機関の出力軸及び前記電動機の出力軸が連結される動力分配機構と、前記動力分配機構から出力された動力が伝達される駆動軸と、を備えたハイブリッド車の駆動装置において、前記動力分配機構は、第1遊星歯車機構と、第2遊星歯車機構と、前記第2遊星歯車機構のプラネタリギアをサンギアの軸線の回りに回転可能に保持するキャリアを制動するブレーキ手段と、を備え、前記電動機の出力軸と前記第1遊星歯車機構のサンギアとが一体回転するように連結され、前記内燃機関の出力軸と前記第1遊星歯車機構のプラネタリギアをサンギアの軸線の回りに回転可能に保持するキャリアと前記第2遊星歯車機構のリングギアとがそれぞれ一体回転するように連結され、前記第1遊星歯車機構のリングギアと前記第2遊星歯車機構のサンギアと前記駆動軸とがそれぞれ一体回転するように連結されていることにより、上述した課題を解決する(請求項1)。
本発明の第1の駆動装置は、共線図上において左から第2遊星歯車機構のサンギア、第2遊星歯車機構のリングギア、第2遊星歯車機構のキャリアの順に配置される。そして、この第1の駆動装置では、第2遊星歯車機構のリングギアが内燃機関の出力軸と連結され、第2遊星歯車機構のサンギアが駆動軸と連結され、第2遊星歯車機構のキャリアがブレーキ手段にて制動されるので、第2遊星歯車機構のキャリアを制動した場合における内燃機関の出力軸の回転数と駆動軸の回転数との比、すなわち動力分配機構に入力された回転数と動力分配機構から出力される回転数の比は、第2遊星歯車機構のリングギアとプラネタリギアとのギア比を小さくするほど上昇させることができる。一般にサンギアとリングギアとのギア比の方が、リングギアとプラネタリギアとのギア比よりも大きく設定されるため、このように回転数の比を調整可能な場合は、リングギアの回転数を低く抑えつつサンギアの回転数を高めることができる。この場合、プラネタリギアに作用する力を抑制することができるので、プラネタリギアの径を小さく設定できる。そのため、リングギアの径を大きくすることなく動力分配機構に入力された回転数と動力分配機構から出力される回転数の比の設定の自由度を高めることができる。また、プラネタリギアの径を小さくすることにより、リングギアとサンギアとの間に配置可能なプラネタリギアの個数を増加させることができるので、1つのプラネタリギアが受ける力をさらに抑制することができる。
本発明の第2のハイブリッド車の駆動装置は、内燃機関と、電動機と、前記内燃機関の出力軸及び前記電動機の出力軸が連結される動力分配機構と、前記動力分配機構から出力された動力が伝達される駆動軸と、を備えたハイブリッド車の駆動装置において、前記動力分配機構は、第1遊星歯車機構と、第2遊星歯車機構と、前記第2遊星歯車機構のリングギアを制動するブレーキ手段と、を備え、前記電動機の出力軸と前記第1遊星歯車機構のサンギアと前記第2遊星歯車機構のサンギアとがそれぞれ一体回転するように連結され、前記内燃機関の出力軸と前記第1遊星歯車機構のプラネタリギアをサンギアの軸線の回りに回転可能に保持するキャリアと前記第2遊星歯車機構のプラネタリギアをサンギアの軸線の回りに回転可能に保持するキャリアとがそれぞれ一体回転するように連結され、前記第1遊星歯車機構のリングギアと前記駆動軸とが一体回転するように連結されていることにより、上述した課題を解決する(請求項2)。
本発明の第2の駆動装置によれば、内燃機関の出力軸を第1遊星歯車機構のキャリアと第2遊星歯車機構のキャリアとが連結されるので、内燃機関から出力された動力を各遊星歯車機構のプラネタリギアで分担して受けることができる。この場合、各遊星歯車機構のプラネタリギアに作用する力をそれぞれ弱めることができるので、プラネタリギアの径を小さくしたり、プラネタリギアの径を変更せずにより大きなトルクを動力分配機構に入力したりすることができる。そのため、リングギアの径を大きくすることなく動力分配機構に入力された回転数と動力分配機構から出力される回転数の比の設定の自由度を高めたり、動力分配機構に入力可能なトルクの上限を上昇させることができる。
本発明の第3のハイブリッド車の駆動装置は、内燃機関と、電動機と、前記内燃機関の出力軸及び前記電動機の出力軸が連結される動力分配機構と、前記動力分配機構から出力された動力が伝達される駆動軸と、を備えたハイブリッド車の駆動装置において、前記動力分配機構は、第1遊星歯車機構と、第2遊星歯車機構と、前記第2遊星歯車機構のリングギアを制動するブレーキ手段と、を備え、前記電動機の出力軸と前記第1遊星歯車機構のサンギアと前記第2遊星歯車機構のプラネタリギアをサンギアの軸線の回りに回転可能に保持するキャリアとがそれぞれ一体回転するように連結され、前記内燃機関の出力軸と前記第1遊星歯車機構のプラネタリギアをサンギアの軸線の回りに回転可能に保持するキャリアと前記第2遊星歯車機構のサンギアとがそれぞれ一体回転するように連結され、前記第1遊星歯車機構のリングギアと前記駆動軸とが一体回転するように連結されていることにより、上述した課題を解決する(請求項3)。
本発明の第3の駆動装置によれば、第1遊星歯車機構のサンギアと第2遊星歯車機構のキャリアとを連結するとともに第1遊星歯車機構のキャリアと第2遊星歯車機構のサンギアとを連結することにより、これらの部分で内燃機関から出力された動力を受けることができる。これにより、各遊星歯車機構に作用する力をそれぞれ弱めることができるので、プラネタリギアの径を小さくしたり、プラネタリギアの径を変更せずにより大きなトルクを動力分配機構に入力したりすることができる。そのため、リングギアの径を大きくすることなく動力分配機構に入力された回転数と動力分配機構から出力される回転数の比の設定の自由度を高めたり、動力分配機構に入力するトルクを上昇させることができる。
本発明の第1〜第3の駆動装置の一形態において、前記第1遊星歯車機構及び前記第2遊星歯車機構のうちの一方がサンギアとリングギアとの間にキャリアに支持される一つのプラネタリギアが介在するシングルピニオン型の遊星歯車機構であり、他方がサンギアとリングギアとの間にキャリアに支持されて互いに噛み合う二つのプラネタリギアが介在するダブルピニオン型の遊星歯車機構であってもよい(請求項4)。このように第1遊星歯車機構及び第2遊星歯車機構の一方をダブルピニオン側にすることにより、動力分配機構に入力された回転数と動力分配機構から出力される回転数の比の設定の自由度をさらに高めることができる。
以上に説明したように、本発明によれば、動力分配機構に入力された回転数と動力分配機構から出力される回転数の比が第2遊星歯車機構のリングギアとプラネタリギアとのギア比を小さくするほど上昇するように第1遊星歯車機構の各回転要素と第2遊星歯車機構の各回転要素とを連結したり、プラネタリギアに作用する力が弱くなるように第1遊星歯車機構の各回転要素と第2遊星歯車機構の各回転要素とを連結したので、リングギアの径を大きくすることなく動力分配機構に入力された回転数と動力分配機構から出力される回転数の比の設定の自由度を高めることができる。
(第1の形態)
図1〜図3を参照して本発明の第1の形態に係る駆動装置について説明する。図1は、第1の形態に係る駆動装置の概略を示している。この駆動装置1Aは、ハイブリッド車に搭載されるものであり、内燃機関2と、電動機としての第1モータジェネレータ(MG)3と、内燃機関2の出力軸2a及び第1MG3の出力軸3aが連結された動力分配機構10と、動力分配機構10から出力された動力が伝達される駆動軸4と、第2モータジェネレータ(MG)5と、第2MG5の回転を駆動軸4に変速して伝達する変速機構6とを備えている。駆動軸4の動力は、不図示の差動装置を介して駆動輪に伝達される。図1に示したように動力分配機構10には、内燃機関の出力軸2aの回転が直接伝達するようにオイルポンプ7が接続されている。第1MG3のステータ3bはケース8に固定され、ロータ3cが出力軸3aを介して動力分配機構10に連結される。第2MG5も同様にステータ5aがケース8に固定され、ロータ5bが変速機構6を介して駆動軸4に連結される。
図2は、動力分配機構10を拡大して示した図である。図2に示したように、動力分配機構10は、第1遊星歯車機構20と、第2遊星歯車機構30と、ケース8に固定されるブレーキ手段としてのブレーキ40とを備えている。第1遊星歯車機構20は、内燃機関2の出力軸2aから入力された動力を第1MG3及び駆動軸4に分割する動力分割用のものであり、第2遊星歯車機構30は回転要素のいずれか一つの回転をブレーキ40にて禁止したり許可したりして駆動軸4の回転数を内燃機関2の駆動軸2aの回転数よりも高くするオーバードライブ用のものである。
第1遊星歯車機構20は、第1MG3の出力軸3aと一体回転するように連結されるサンギア21と、サンギア21と噛み合いつつその周囲を公転する複数のプラネタリギア(遊星ギア)22と、プラネタリギア22と噛み合うとともに駆動軸4と一体回転するように連結されるリングギア23と、プラネタリギア22を軸線Axの回りに回転自在に支持し、内燃機関2の出力軸2aと一体回転するように連結されるキャリア24とを備えている。図2に示したように第1遊星歯車機構20は、サンギア21とリングギア23の間に一つのプラネタリギア22が介在するシングルピニオン型の遊星歯車機構である。
第2遊星歯車機構30は、第1遊星歯車機構20のリングギア23及び駆動軸4のそれぞれと一体回転するように連結されるサンギア31と、サンギア31に噛み合いつつサンギア31の周囲を公転する複数の第1プラネタリギア32と、第1プラネタリギア32と噛み合いつつサンギア31の周囲を公転する複数の第2プラネタリギア33と、第2プラネタリギア33と噛み合うとともに第1遊星歯車機構20のキャリア24及び内燃機関の出力軸2aとそれぞれ連結されるリングギア34と、第1プラネタリギア32及び第2プラネタリギア33を軸線Axの回りに回転自在に支持するとともに、ブレーキ40にて制動可能なキャリア35とを備えている。図2に示したように第2遊星歯車機構30は、サンギア31とリングギア34との間に互いに噛み合う2つのプラネタリギア32、33が介在するダブルピニオン型の遊星歯車機構である。
図3は、ブレーキ40にて第2遊星歯車機構30のキャリア35を制動してその回転をロックしたときの第2遊星歯車機構30の共線図の一例を示している。図3の縦軸は回転数を示している。また、図3において符号S、R、Cがそれぞれ第2遊星歯車機構30のサンギア31、リングギア34、キャリア35を示している。図3に示したように、この形態の第2遊星歯車機構30においては、キャリア35の回転をロックするので、サンギア31の回転数とリングギア34の回転数との比は、共線図上においてリングギア34とキャリア35との距離ρを縮めることにより大きくすることができる。この共線図上におけるリングギア34とキャリア35との距離ρは、リングギア34と第1プラネタリギア32及び第2プラネタリギア33とのギア比によって定まる。そのため、このギア比を小さくすることによりサンギア31の回転数とリングギア34の回転数との比を大きくすることができる。このギア比は、リングギア34の径を小さくしたり各プラネタリギア32、33の径を大きくすることにより、小さくすることができる。
以上に説明したように、第1の形態に係る駆動装置1Aにおいては、リングギア34の径を小さくしたり、各プラネタリギア32、33の径を大きくすることにより、サンギア31の回転数とリングギア34の回転数との比、すなわち動力分配機構10に入力された回転数と動力分配機構10から出力される回転数の比を調整できる。図3にも示したように一般にサンギア31とリングギア34とのギア比の方が、リングギア34とプラネタリギア32、33とのギア比よりも大きく設定されるため、このように回転数の比を調整可能な場合は、リングギア34の回転数を低く抑えつつサンギア31の回転数を高めることができる。そのため、各プラネタリギア32、33に作用する力を抑制し、各プラネタリギア32、33の径を小さく設定できる。これにより、リングギア34の径を大きくすることなく動力分配機構10に入力された回転数と動力分配機構10から出力される回転数の比の設定の自由度を高めることができる。また、各プラネタリギア32、33の径を小さくすることにより、リングギア34とサンギア31との間に配置可能なプラネタリギアの個数を増加させることができるので、1つのプラネタリギアが受ける力をさらに抑制することができる。
(第2の形態)
図4〜図6を参照して本発明の第2の形態に係る駆動装置について説明する。なお、図4〜図6において第1の形態と共通の部分には同一の符号を付して説明を省略する。図4は第2の形態に係る駆動装置1Bの概略を示した図であり、図5は駆動装置1Bの動力分配機構10を拡大して示した図である。
図5に示したようにこの形態の動力分配機構10では、第1の形態と比較して第1遊星歯車機構20と第2遊星歯車機構30の配置位置が逆になっている。また、この形態では、内燃機関2の出力軸2aと第1遊星歯車機構20のキャリア24と第2遊星歯車機構30のキャリア35とがそれぞれ一体回転するように連結される。また、第1MG3の出力軸3aと第1遊星歯車機構20のサンギア21と第2遊星歯車機構30のサンギア31とがそれぞれ一体回転するように連結される。そして、第1遊星歯車機構20のリングギア23と駆動軸4とが一体回転するように連結される。ブレーキ40は、第2遊星歯車機構30のリングギア34を制動するように設けられる。
図6は、ブレーキ40にて第2遊星歯車機構30のリングギア34を制動してその回転をロックしたときの各遊星歯車機構20、30の共線図の一例を示している。なお、図6において左側が第2遊星歯車機構30の共線図を、右側が第1遊星歯車機構20の共線図を示している。図6の符号S1、R1、C1は、それぞれ第1遊星歯車機構20のサンギア21、リングギア23、キャリア24を示している。また、図6の符号S2、R2、C2がそれぞれ第2遊星歯車機構30のサンギア31、リングギア34、キャリア35を示している。図6に示したように第1遊星歯車機構20の各回転要素は、共線図において左側からサンギア21、キャリア24、リングギア23の順に配置される。一方、第2遊星歯車機構30では、共線図上に左側からサンギア31、リングギア34、キャリア35の順に配置される。この形態の動力分配機構10では、各遊星歯車機構20、30のサンギア21、31の回転数が一致し、各遊星歯車機構20、30のキャリア24、35の回転数が一致するので、第2遊星歯車機構30のリングギア34の回転をロックすると、図6に示したように第1遊星歯車機構20のサンギア21の回転数と第1遊星歯車機構20のキャリア24の回転数を結んだ線の傾きによって第1遊星歯車機構20のリングギア23の回転数が決まる。そのため、図6の左側の図に示したように内燃機関2の出力軸2aの回転数と駆動軸4の回転数の比を大きくすることができる。
第2の形態の駆動装置1Bによれば、内燃機関2の出力軸2aと第1遊星歯車機構20のキャリア24と第2遊星歯車機構30のキャリア35とを連結させたので、内燃機関2から出力された動力を第1遊星歯車機構20のプラネタリギア22及び第2遊星歯車機構30の各プラネタリギア32、33で分担して受けることができる。そのため、各プラネタリギア22、32、33に作用する力を弱めることができる。これにより、各プラネタリギア22、32、33の径を小さくしたり、各プラネタリギア22、32、33の径を変更することなくより大きくトルクを動力分配機構10に入力したりすることができるようになる。そのため、リングギア23、34の径を大きくすることなく動力分配機構10に入力された回転数と動力分配機構10から出力される回転数の比の設定の自由度を高めたり、動力分配機構10の入力可能なトルクの上限を上昇させることができる。
(第3の形態)
図7〜図9を参照して本発明の第3の形態に係る駆動装置について説明する。なお、図7〜図9において他の形態と共通の部分には同一の符号を付して説明を省略する。図7は、第3の形態に係る駆動装置1Cの概略を示した図であり、図8は駆動装置1Cの動力分配機構10を拡大して示した図である。
図8に示したようにこの形態の動力分配機構10では、第2の形態と同様に第1MG3側に第2遊星歯車機構30が配置され、第2MG5側に第1遊星歯車機構20が配置される。この形態においては、内燃機関2の駆動軸2aと第1遊星歯車機構20のキャリア24と第2遊星歯車機構30のサンギア31とが一体回転するように連結される。また、第1MG3の出力軸3aと第1遊星歯車機構20のサンギア21と第2遊星歯車機構30のキャリア35とが一体回転するように連結される。そして、第1遊星歯車機構20のリングギア23と駆動軸4とが一体回転するように連結される。ブレーキ40は、第2遊星歯車機構30のリングギア34を制動するように設けられる。
図9は、ブレーキ40にて第2遊星歯車機構30のリングギア34を制動してその回転をロックしたときの各遊星歯車機構20、30の共線図の一例を示している。なお、図9において左側が第2遊星歯車機構30の共線図を、右側が第1遊星歯車機構20の共線図を示している。図9中の符号S1、R1、C1、S2、R2、C2は、図6中の各符号と同じものを示しているため説明を省略する。なお、図9の符号Pは、第2遊星歯車機構30の各プラネタリギア32、33を示している。第3の形態においても第2の形態と同様に、第1遊星歯車機構20の各回転要素は、共線図において左側からサンギア21、キャリア24、リングギア23の順に配置される。また、第2遊星歯車機構30では、共線図上に左側からサンギア31、リングギア34、キャリア35の順に配置される。この形態の動力分配機構10では、第1遊星歯車機構20のサンギア21の回転数と第2遊星歯車機構30のキャリア35の回転数が一致し、第1遊星歯車機構20のキャリア24の回転数と第2遊星歯車機構30のサンギア31の回転数が一致する。そのため、第2遊星歯車機構30のリングギア34の回転をロックすると、第2の形態と同様に第1遊星歯車機構20のサンギア21の回転数と第1遊星歯車機構20のキャリア24の回転数を結んだ線の傾きによって第1遊星歯車機構20のリングギア23の回転数が決まる。従って、図9の左側の図に示したように内燃機関2の出力軸2aの回転数と駆動軸4の回転数の比を大きくすることができる。
第3の形態の駆動装置1Cによれば、第1遊星歯車機構20のサンギア21と第2遊星歯車機構30のキャリア35とを連結するとともに第1遊星歯車機構20のキャリア24と第2遊星歯車機構30のサンギア31とを連結したので、これらの部分で内燃機関2から出力された動力を受けることができる。これにより、プラネタリギアの径を小さくしたり、プラネタリギアの径を変更せずにより大きなトルクを動力分配機構に入力したりすることができる。そのため、リングギアの径を大きくすることなく動力分配機構に入力された回転数と動力分配機構から出力される回転数の比の設定の自由度を高めたり、動力分配機構に入力するトルクを上昇させることができる。また、第2遊星歯車機構30のプラネタリギア32、33には、第1遊星歯車機構20のプラネタリギア22及びサンギア21と、また第2遊星歯車機構30のサンギア31とを介してエンジン1の回転数が伝達されるので、第2の形態のように直接エンジン1の回転数が伝達される場合と比較してプラネタリギア32、33の回転数の上昇を抑えることができる。この場合、プラネタリギア32、33を回転支持するベアリングに要求される強度を低くすることができるので、このベアリングを小型化することができる。そのため、動力分配機構10を小型化することができる。
本発明は、上述した各形態に限定されることなく、種々の形態にて実施することができる。例えば、上述した各形態では第2遊星歯車機構にダブルピニオン型の遊星歯車機構が使用されているが、第2遊星歯車機構にも第1遊星歯車機構と同様にシングルピニオン側の遊星歯車機構を用いてもよい。
本発明の第1の形態に係る駆動装置の概略を示す図。 図1の駆動装置の動力分配機構を拡大して示す図。 図1の第2遊星歯車機構の共線図の一例を示す図。 本発明の第2の形態に係る駆動装置の概略を示す図。 図4の駆動装置の動力分配機構を拡大して示す図。 図4の各遊星歯車機構の共線図の一例を示す図。 本発明の第3の形態に係る駆動装置の概略を示す図。 図7の駆動装置の動力分配機構を拡大して示す図。 図7の各遊星歯車機構の共線図の一例を示す図。
符号の説明
1A、1B、1C 駆動装置
2 内燃機関
2a 出力軸
3 第1モータジェネレータ(電動機)
3a 出力軸
10 動力分配機構
20 第1遊星歯車機構
21 サンギア
22 プラネタリギア
23 リングギア
24 キャリア
30 第2遊星歯車機構
31 サンギア
32 第1プラネタリギア
33 第2プラネタリギア
34 リングギア
35 キャリア
40 ブレーキ(ブレーキ手段)

Claims (4)

  1. 内燃機関と、電動機と、前記内燃機関の出力軸及び前記電動機の出力軸が連結される動力分配機構と、前記動力分配機構から出力された動力が伝達される駆動軸と、を備えたハイブリッド車の駆動装置において、
    前記動力分配機構は、第1遊星歯車機構と、第2遊星歯車機構と、前記第2遊星歯車機構のプラネタリギアをサンギアの軸線の回りに回転可能に保持するキャリアを制動するブレーキ手段と、を備え、
    前記電動機の出力軸と前記第1遊星歯車機構のサンギアとが一体回転するように連結され、前記内燃機関の出力軸と前記第1遊星歯車機構のプラネタリギアをサンギアの軸線の回りに回転可能に保持するキャリアと前記第2遊星歯車機構のリングギアとがそれぞれ一体回転するように連結され、前記第1遊星歯車機構のリングギアと前記第2遊星歯車機構のサンギアと前記駆動軸とがそれぞれ一体回転するように連結されていることを特徴とするハイブリッド車の駆動装置。
  2. 内燃機関と、電動機と、前記内燃機関の出力軸及び前記電動機の出力軸が連結される動力分配機構と、前記動力分配機構から出力された動力が伝達される駆動軸と、を備えたハイブリッド車の駆動装置において、
    前記動力分配機構は、第1遊星歯車機構と、第2遊星歯車機構と、前記第2遊星歯車機構のリングギアを制動するブレーキ手段と、を備え、
    前記電動機の出力軸と前記第1遊星歯車機構のサンギアと前記第2遊星歯車機構のサンギアとがそれぞれ一体回転するように連結され、前記内燃機関の出力軸と前記第1遊星歯車機構のプラネタリギアをサンギアの軸線の回りに回転可能に保持するキャリアと前記第2遊星歯車機構のプラネタリギアをサンギアの軸線の回りに回転可能に保持するキャリアとがそれぞれ一体回転するように連結され、前記第1遊星歯車機構のリングギアと前記駆動軸とが一体回転するように連結されていることを特徴とするハイブリッド車の駆動装置。
  3. 内燃機関と、電動機と、前記内燃機関の出力軸及び前記電動機の出力軸が連結される動力分配機構と、前記動力分配機構から出力された動力が伝達される駆動軸と、を備えたハイブリッド車の駆動装置において、
    前記動力分配機構は、第1遊星歯車機構と、第2遊星歯車機構と、前記第2遊星歯車機構のリングギアを制動するブレーキ手段と、を備え、
    前記電動機の出力軸と前記第1遊星歯車機構のサンギアと前記第2遊星歯車機構のプラネタリギアをサンギアの軸線の回りに回転可能に保持するキャリアとがそれぞれ一体回転するように連結され、前記内燃機関の出力軸と前記第1遊星歯車機構のプラネタリギアをサンギアの軸線の回りに回転可能に保持するキャリアと前記第2遊星歯車機構のサンギアとがそれぞれ一体回転するように連結され、前記第1遊星歯車機構のリングギアと前記駆動軸とが一体回転するように連結されていることを特徴とするハイブリッド車の駆動装置。
  4. 前記第1遊星歯車機構及び前記第2遊星歯車機構のうちの一方がサンギアとリングギアとの間にキャリアに支持される一つのプラネタリギアが介在するシングルピニオン型の遊星歯車機構であり、他方がサンギアとリングギアとの間にキャリアに支持されて互いに噛み合う二つのプラネタリギアが介在するダブルピニオン型の遊星歯車機構であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のハイブリッド車の駆動装置。
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