JP2009060811A - 焼き菓子の接着方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】水分を吸収しても焼き菓子の巻き戻りがない、焼き菓子の製造方法を提供すること、およびこのような焼き菓子を提供すること。
【解決手段】小麦粉を含む焼成物の第1部分と小麦粉を含む焼成物の第2部分とが糖類の結晶層を介して接着された部位を有する焼き菓子の製造方法であって、無水または二水以下の糖類の結晶を、カラメル化が実質的に生じない温度で加熱融解して糖融解液を得る工程;ならびにカラメル化および結晶化が実質的に生じない温度および時間保持した該糖融解液を介して該第1部分と該第2部分とを積層させた状態で、該糖融解液を結晶化させて該糖類の結晶層を形成させる工程を包含し、該糖類は、加熱融解後、少なくとも1分間にわたって実質的にカラメル化しない状態で保持することができる糖類である、方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、焼成後に焼き菓子同士を接着させる成型工程を含むせんべい、ワッフルなどの焼き菓子に使用する食品用接着剤およびその接着方法に関する。好ましい実施形態において、本発明は、水分を吸収しても焼き菓子の巻き戻りがない、巻かれた形状の焼き菓子の製造方法および焼き菓子に関する。
従来、巻いた焼き菓子の中央にクリームを充填した複合菓子は、焼き菓子部分のサクサクの食感と、クリーム部分のふわふわの食感との違いが楽しめる菓子として販売され好評を博している。
このような、巻いた焼き菓子の中央にクリームを充填した複合菓子では、クリームとして無水系のものを使用している。これは、焼き菓子が単に巻くことにより成形されており、水分を吸収すると焼き菓子の巻きが戻り、型崩れ、割れやカケなどが生じるため、含水系クリームを充填できないからである。
特許文献1は、シュガーコーンの吸湿性に原因して製品の開口部巻き目(重ね合わせ)部分より剥離し、コーン自体の形状を大きく変化させるという欠点があることを記載している。特許文献1では、接合用溶液として糖を水に溶かした糖溶液、より具体的にはグラニュー糖溶液、糖蜜溶液、でん粉溶液を記載している。しかし、糖溶液を接合溶液として使用すると、シュガーコーンが湿気てしまい、本来の良好な食感が損なわれる。また、特許文献1に記載されるシュガーコーンは、接合用溶液をスプレー手段などによってシート材料に付着させた後、雌状円錐形外型と雄状円錐形内型との間で押圧力をかけて付着させられる。そのため、特許文献1に記載されるシュガーコーンの付着は、接合用溶液による付着力によって付着しているというよりも、接合用溶液でシュガーコーンをふやかし、その後圧力で押し付けることによって付着していると考えられる。つまり、押圧力による接着力を糖液が補助しているにすぎない。
従って、接着材料として糖を用いる場合には水を用いることが必須と考えられており、水を使わずに接着を行うことは全く考えられていなかった。
他方、コロンのような円筒形に巻いた形状の焼き菓子では、シュガーコーンのように圧力をかけて生地を押し付けることはできない。そのため、巻き戻りが非常に起こりやすいという問題があった。
特開平4−222545号公報
本発明は、上記問題点の解決を意図するものであり、水分を吸収しても焼き菓子の巻き戻りがない、焼き菓子の製造方法を提供すること、およびこのような焼き菓子を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、熱融解させた糖を糊として塗ることにより、焼き菓子の内外どちらからの吸湿に対しても焼き菓子の巻き戻り防止効果が得られることを見出し、これに基づいて本発明を完成させた。
上記目的を達成するために、本発明は、例えば、以下の手段を提供する:
(項目1)
小麦粉を含む焼成物の第1部分と小麦粉を含む焼成物の第2部分とが糖類の結晶層を介して接着された部位を有する焼き菓子の製造方法であって、
無水または二水以下の糖類の結晶を、カラメル化が実質的に生じない温度で加熱融解して糖融解液を得る工程;ならびに
カラメル化および結晶化が実質的に生じない温度および時間保持した該糖融解液を介して該第1部分と該第2部分とを積層させた状態で、該糖融解液を結晶化させて該糖類の結晶層を形成させる工程
を包含し、該糖類は、加熱融解後、少なくとも1分間にわたって実質的にカラメル化しない状態で保持することができる糖類である、方法。
(項目2)
前記糖類の結晶が、ぶどう糖、果糖、マルチトール、ラクチトールおよびパラチニットから選択される糖類の無水結晶または含水結晶である、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記第1部分および前記第2部分が単一の焼成物中の2つの部分である、項目1に記載の方法。
(項目4)
前記積層工程において前記焼成物が、充填物を充填できる形状に成形される、項目1に記載の方法。
(項目5)
前記焼成物が円筒状に巻かれた形状に成形される、項目3に記載の方法。
(項目6)
前記焼成物が小麦粉および糖類を含む、項目1に記載の方法。
(項目7)
前記焼成物が小麦粉、糖類および油脂を含む、項目1に記載の方法。
(項目8)
複合菓子の製造方法であって、
無水または二水以下の糖類の結晶を、カラメル化が実質的に生じない温度で加熱融解して糖融解液を得る工程;
カラメル化および結晶化が実質的に生じない温度および時間保持した該糖融解液を介して、小麦粉を含む焼成物の第1部分と小麦粉を含む焼成物の第2部分とを積層させた状態で、該糖融解液を結晶化させて該糖類の結晶層を形成させる工程;ならびに
該焼成物に充填物を充填する工程
を包含し、
ここで、該積層工程において該焼成物が、充填物を充填できる形状に成形され、該糖類は、加熱融解後、少なくとも1分間にわたって実質的にカラメル化しない状態で保持することができる糖類である、方法。
(項目9)
前記糖類の結晶が、ぶどう糖、果糖、マルチトール、ラクチトールおよびパラチニットから選択される糖類の無水結晶または含水結晶である、項目8に記載の方法。
(項目10)
前記第1部分および前記第2部分が単一の焼成物中の2つの部分である、項目8に記載の方法。
(項目11)
前記焼成物が円筒状に巻かれた形状に成形される、項目8に記載の方法。
(項目12)
前記充填物が含水系充填物である、項目8に記載の方法。
(項目13)
小麦粉を含む焼成物の第1部分と小麦粉を含む焼成物の第2部分とが糖類の結晶層を介して接着された部位を有する、成形された焼き菓子であって、該糖類は、ぶどう糖、果糖、マルチトール、ラクチトールおよびパラチニットから選択される、焼き菓子。
(項目14)
前記第1部分および前記第2部分が単一の焼成物中の2つの部分である、項目13に記載の焼き菓子。
(項目15)
円筒状に巻かれた状態に成形されている、項目13に記載の焼き菓子。
(項目16)
焼き菓子と充填物とを含む複合菓子であって、該焼き菓子は、小麦粉を含む焼成物の第1部分と小麦粉を含む焼成物の第2部分とが糖類の結晶層を介して接着された部位を有し、該焼成物は、充填物を充填できる形状に成形されており、該焼き菓子には、充填物が充填されており、該糖類は、ぶどう糖、果糖、マルチトール、ラクチトールおよびパラチニットから選択される、複合菓子。
(項目17)
前記第1部分および前記第2部分が単一の焼成物中の2つの部分である、項目16に記載の焼き菓子。
(項目18)
前記焼成物が円筒状に巻かれた形状に成形されており、該円筒状の焼成物の内部に前記充填物が充填されている、項目16に記載の複合菓子。
(項目19)
前記充填物が含水系充填物である、項目16に記載の複合菓子。
本発明により、焼き菓子の内外どちらからの吸湿に対しても焼き菓子の巻き戻りを防止することができる。そのため、型崩れ、割れやカケなどの発生を顕著に減少させることができる。
本発明によりまた、従来不可能であった含水系クリームを焼き菓子に充填することが可能になった。このような複合菓子は、クリーム部分から移行した水分により焼き菓子部分がしっとりとした食感となる。そのため、従来にない食感の複合菓子を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
(1.複合菓子の材料)
本発明の複合菓子は、成形した焼き菓子が糖融解液を用いて付着されていること以外は通常の材料を用いて製造され得る。
(1.1 糖融解液の材料)
糖融解液に用いられる糖類は、加水せずに加熱すること(例えば、100℃〜200℃)により溶融する糖類(例えば、糖および糖アルコール)であって、溶融後のカラメル化を実質的に生じず、約80℃までに冷却したときに結晶化する糖類である。本発明の糖融解液で用いられる糖類は、以下の3つの点を満たすことが好ましい:
(1)加熱により容易に完全融解することができる;
(2)加熱融解時に実質的にカラメル化しない;および
(3)冷却により速やかに結晶化し、常温で結晶化による強い接着力を有する。冷却により形成された結晶がある程度の強度を有し、ぼろぼろ崩壊しないことが好ましい。
糖類の融点は、約70℃以上であることが好ましく、より好ましくは約75℃以上であり、さらに好ましくは約80℃以上であり、最も好ましくは約85℃以上である。糖類の融点は、約200℃以下であることが好ましく、より好ましくは約190℃以下であり、さらに好ましくは約180℃以下であり、特に好ましくは約170℃以下であり、最も好ましくは約160℃以下である。
糖類のガラス転移温度は、好ましくは約0℃以上であり、より好ましくは約10℃以上であり、さらに好ましくは約20℃以上である。糖類のガラス転移温度は、好ましくは約70℃以下であり、より好ましくは約60℃以下であり、さらに好ましくは約50℃以下である。
このような条件を満たす糖類の例としては、無水または二水以下の含水結晶である糖類が挙げられる。このような糖類は好ましくは、ぶどう糖、果糖、マルチトール、ラクチトールおよびパラチニットから選択される糖類の無水結晶または含水結晶から選択される。さらに好ましくは、このような糖は、ぶどう糖の無水結晶、ぶどう糖一水和物の結晶、果糖の無水結晶、マルチトールの無水結晶、ラクチトールの無水結晶、ラクチトールの一水和物の結晶、ラクチトールの二水和物の結晶およびパラチニットの無水結晶から選択される。
ぶどう糖、果糖などのように、非常に高い温度に長時間保持すると顕著にカラメル化する性質を有する糖であっても、カラメル化が実質的に生じないように温度および時間を制御して糖融解液を保持することにより、本発明に好適に使用され得る。
糖融解液は、1種類の糖結晶のみから製造されてもよく、複数種類の糖結晶を混合して製造されてもよい。1種類の糖結晶から製造されることが好ましい。
糖融解液は、80℃では結晶化することが好ましいが、100℃よりも高い温度では結晶化しないことが好ましい。結晶化温度が高すぎると、シート状焼き菓子の成形が終わる前に結晶化してしまい、接着効果が得られない場合があるからである。結晶化する温度は好ましくは約100℃以下であり、より好ましくは約95℃以下であり、さらに好ましくは約90℃以下であり、特に好ましくは約85℃以下である。結晶化温度が低すぎると、焼き菓子の成形後充分な接着が得られない場合がある。結晶化温度は好ましくは約80℃以上であり、例えば、約85℃以上、約90℃以上、約95℃以上などであり得る。また、製造条件等が許す場合には、約70℃以上、約60℃以上、約50℃以上、約40℃以上などの結晶化温度を有する糖を用いることも可能である。
本明細書中では、「実質的にカラメル化しない」とは、カラメル化による苦味が感じられないことをいう。好ましくは、約1gの糖融解液を官能評価した場合に、カラメル化による苦味が感じられないことが好ましい。カラメル化による苦味が感じられない程度にごくわずかにカラメル化した糖融解液は、場合により、薄い黄金色に着色するが、多少の着色があっても、苦味が感じられなければ本発明において好適に使用され得る。全く着色が見られない糖融解液を使用することが、より好ましい。
(1.2 焼成物の材料)
本発明の焼き菓子は、当該分野で通常用いられる材料を用いて製造され得る。本発明の焼き菓子は、下記の「3.焼き菓子」で詳細に説明するような各種の焼き菓子であり得る。例えば、水種生地を焼成することによって得られる焼き菓子(例えば、ウェハース、コーン、煎餅など)または展延生地もしくは絞り生地を焼成することによって得られる焼き菓子(例えば、ビスケット、クッキーなど)であり得る。なお、本明細書中では、焼き菓子の一部分を指すために、「焼成物の第1部分」、「焼成物の第2部分」などという表現を用いる。焼き菓子は、1枚の生地を焼成して得られるものであってもよく、あるいは、2枚以上の生地を焼成したものを接着することによって得られるものであってもよい。第1部分および第2部分が単一の焼成物中の2つの部分である場合に、本発明は特に有利である。
本発明の焼き菓子には、粉類、糖類、油脂などが用いられ得る。
本明細書中では、「粉類」とは、穀粉および澱粉をいう。焼成物は小麦粉を含む。本発明で用いられる粉類は、小麦粉を主原料とすることが好ましい。「主原料とする」とは、粉類のうちの50重量%以上を占めることをいう。好ましくは、小麦粉は、粉類のうちの約60重量%以上、より好ましくは約70重量%以上、さらに好ましくは約80重量%以上を占める。粉類に占める小麦粉の割合は、例えば、約85重量%以上、約90重量%以上、約95重量%以上または約100重量%であってもよい。粉類に占める小麦粉の割合に特に上限はない。
本明細書中では、「穀粉」とは、穀物の種子から得られた粉をいう。好ましくはその種子の粉砕物をいう。穀粉としては、通常市販されている穀粉であればどのような穀粉でも使用され得る。穀粉の粒子のサイズは通常、約0.001mm〜約1mmである。穀粉の原料として用いられ得る穀物の例としては、小麦、ライ麦、トウモロコシ、ソバ、コメ、あわ、きび、はと麦、ひえなどが挙げられる。穀粉の例としては、小麦粉、ライ麦粉、コーンフラワー、ソバ粉、米粉、あわ粉、きび粉、はと麦粉、ひえ粉などが挙げられる。穀粉としてはまた、焼成小麦粉およびグルテンが失活した加工小麦粉のような、穀物を粉に挽いた状態では活性グルテンを含む穀粉を、熱処理のような人為的な物理的処理によってグルテンを失活させた穀粉を用いることもできる。
小麦粉は、タンパク質含量によって、強力粉、準強力粉、中力粉、および薄力粉に分けられる。強力粉とは、タンパク質含量が約12.0%〜約14.0%のものをいう。準強力粉とは、タンパク質含量が約11.0%〜約12.5%のものをいう。中力粉とは、タンパク質含量が約8.0%〜約11.0%のものをいう。薄力粉とは、タンパク質含量が約7.0%〜約8.5%のものをいう。タンパク質含量が多いほどグルテン量が多い。粘りが出ると焼成時に生地が膨張しにくくなるので、小麦粉は、薄力粉であることが好ましい。
米粉とは、精白米をそのまま、または酵素処理や加熱糊化して粉砕したものをいう。米粉は、原料米および製法によって分類される。粳米を原料とする米粉としては、新粉、上新粉および上用粉が挙げられる。もち米を原料とする米粉としては、もち粉、白玉粉、道明寺粉、寒梅粉および上南粉が挙げられる。
穀粉としては、小麦粉、米粉等の1種以上を広く用いることができ、目的とする最終製品の風味に応じて使い分けることが可能である。穀粉の製造方法は当業者に周知である。
「澱粉」とは、物質として100%純粋な澱粉だけでなく、約10重量%以下、好ましくは約5%以下、好ましくは約1%以下の不純物を含む澱粉をいう。澱粉の代わりに乾燥馬鈴薯または乾燥マッシュポテトを用いることもできる。これらはフレーク状もしくはパウダー状に成型したものが生地の安定化のために好ましい。澱粉類の例としては、未処理澱粉および各種化工澱粉が挙げられる。本明細書中では、澱粉の定義の中に、デキストリンを含む。
「未処理澱粉」とは、天然で生成される澱粉であって、自然状態で共存している他の成分(例えば、タンパク質、脂質など)から澱粉を分離するために必要な処理以外の処理が施されていない澱粉をいう。未処理澱粉としては、通常市販されている澱粉であればどのような澱粉でも使用され得る。未処理澱粉の例としては、馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉、甘藷澱粉、くず澱粉などの地下澱粉;コーンスターチ、小麦澱粉、米澱粉(例えば、もち米澱粉、粳米澱粉)などの地上澱粉が挙げられる。
未処理澱粉としては、例えば、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチおよびタピオカ澱粉が、ボディー形成、膨化性および生地の安定化のために望ましい。
未糊化澱粉類に包含される化工澱粉としては、従来から知られている架橋澱粉、エステル化澱粉、エーテル化澱粉、可溶性澱粉、漂白澱粉などいずれも使用することができる。架橋処理、エステル化処理、エーテル化処理、可溶化処理、漂白処理など、化工澱粉を得るための種々の処理は、任意に組み合わされ得る。本発明の目的の効果が得られる限り、これらの種々の処理の組合せが施された任意の化工澱粉が、本発明で使用され得る。
架橋澱粉とは、澱粉中の2箇所以上の水酸基に多官能基を結合させて澱粉分子内または澱粉分子間で架橋させた、澱粉誘導体をいう。架橋剤の例としては、オキシ塩化リン、トリメタリン酸、アクロレイン、エピクロルヒドリンなどが挙げられる。常法で製造された任意の架橋澱粉を使用し得る。
エステル化澱粉とは、澱粉に対してエステル結合で官能基を付加した澱粉をいい、エーテル化澱粉とは、澱粉に対してエーテル結合で官能基を付加した澱粉をいう。エステル化澱粉の例としては、アセチル澱粉、リン酸澱粉、コハク酸澱粉、カルボキシメチル澱粉、酢酸澱粉、硝酸澱粉およびキサントゲン酸澱粉が挙げられる。エーテル化澱粉の例としては、ヒドロキシプロピル澱粉、ヒドロキシエチル澱粉およびカルボキシエチル澱粉が挙げられる。これらのうち、エステル化澱粉としてはアセチル澱粉が、エーテル化澱粉としてはヒドロキシプロピル澱粉が食感上好ましい。
アセチル澱粉およびヒドロキシプロピル澱粉は、常法に従って製造された任意のものが使用可能である。アセチル澱粉およびヒドロキシプロピル澱粉では、その澱粉の無水グルコース残基当りの官能基のモル数、いわゆる置換度は、0.01〜0.2であることが好ましい。置換度が0.01未満では得られる効果に未処理澱粉と差がなく、また0.2以上では、本発明で得られるカリカリした効果が得にくい場合があり、かつそのような置換度の澱粉を得る処理にコストがかかるため、経済的でない。
アセチル化処理またはヒドロキシプロピル化処理にさらに架橋処理を組合せることによって得られる架橋アセチル澱粉および架橋ヒドロキシプロピル澱粉も、本発明で使用することができる。これらの澱粉は、食感調整のために添加され得る。小麦澱粉、粳米澱粉、コーンスターチなど、未処理の状態ではカリカリした食感となりにくい澱粉も、アセチル化、ヒドロキシプロピル化などを施すことによって食感が改良され得る。好適な特性を有する澱粉処理の方法は当業者に周知である。
デキストリンとは、D−グルコースがα−1,4結合によって重合している、重合度約5〜約200000のグルカンをいう。デキストリンは、直鎖状であっても環状であってもよく、環状部分から直鎖部分が分岐した状態であってもよい。本明細書中では、デキストリンの定義には、サイクロデキストリンおよび高度分岐環状デキストリンを含む。デキストリンは、1種類のものを単独で用いてもよいし、複数種のものを混合して用いてもよい。デキストリンは好ましくは、重量平均分子量30000〜500000のものであり、より好ましくは35000〜450000のものである。
粉類は、小麦粉および澱粉であることが好ましい。
穀粉の量は、焼成前の生地状態で、生地重量を100重量%として、好ましくは約5重量%以上であり、より好ましくは約10重量%以上であり、さらに好ましくは約15重量%以上であり、最も好ましくは約20重量%以上である。穀粉の量は、焼成前の生地状態で、生地重量を100重量%として、好ましくは約60重量%以下であり、より好ましくは約50重量%以下であり、さらに好ましくは約40重量%以下であり、最も好ましくは約35重量%以下である。
本明細書中では、「糖類」とは、当該分野で公知の任意の糖類であり得る。糖類の例としては、砂糖、異性化糖、ブドウ糖、果糖、水あめなどが挙げられる。糖類は、1種類のみで用いられてもよいし、2種類以上が組み合わされて用いられてもよい。
糖類の量は、焼成前の生地状態で、生地重量を100重量%として、好ましくは約1重量%以上であり、より好ましくは約5重量%以上であり、さらに好ましくは約10重量%以上であり、最も好ましくは約15重量%以上である。糖類の量は、焼成前の生地状態で、生地重量を100重量%として、好ましくは約40重量%以下であり、より好ましくは約35重量%以下であり、さらに好ましくは約30重量%以下であり、最も好ましくは約25重量%以下である。
本明細書中では、「油脂」とは、当該分野で用いられ得る任意の食用油脂が用いられ得る。食用油脂の例としては、植物性油脂および動物性油脂が挙げられる。植物性油脂の例としては、菜種油、大豆油、ヒマワリ種子油、綿実油、落花生油、米ぬか油、コーン油、サフラワー油、オリーブ油、カポック油、ごま油、月見草油、パーム油、パーム核油、ヤシ油(例えば、硬化ヤシ油)、シア脂、サル脂およびカカオ脂が挙げられる。動物性油脂の例としては、乳脂、牛脂、豚脂、魚油、ラードおよび鯨油が挙げられる。食用油脂としては、液体油脂から固体油脂(融点約20℃〜約50℃)まで幅広く使用することが出来る。
油脂の量は、焼成前の生地状態で、生地重量を100重量%として、好ましくは約0.5重量%以上であり、より好ましくは約1重量%以上であり、さらに好ましくは約2重量%以上であり、最も好ましくは約5重量%以上である。油脂の量は、焼成前の生地状態で、生地重量を100重量%として、好ましくは約40重量%以下であり、より好ましくは約30重量%以下であり、さらに好ましくは約25重量%以下であり、最も好ましくは約20重量%以下である。
本発明の焼き菓子は、乳化剤、乳系原料、安定剤、香料、色素および水からなる群より選択される原料をさらに含むことが好ましい。
当該分野で用いられ得る任意の乳化剤が用いられ得る。乳化剤とは、分子内に親水基および親油基の両方を含み、従って水と油との界面に吸着層を作りやすい物質をいう。例えば、公知の各種界面活性剤が挙げられる。乳化剤の例としては、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステルなどの非イオン界面活性剤;レシチン、アラビアゴム、アルギン酸、ゼラチンなどの天然物が挙げられる。ソルビタン脂肪酸エステルの例としては、ソルビタンモノオレイン酸エステル、ソルビタンモノラウリン酸エステルなどが挙げられる。ショ糖脂肪酸エステルの例としては、パルミチン酸またはステアリン酸を脂肪酸として含むショ糖脂肪酸エステルが挙げられる。レシチンとしては、大豆レシチンまたは卵黄レシチンなどが挙げられる。レシチンは、酵素分解レシチンであってもよい。乳化剤は、任意の親水性−疎水性バランス(HLB)を有し得る。HLBは、好ましくは約3〜約20であり、より好ましくは約5〜約16である。
乳系原料は、当該分野で公知の任意の乳および乳製品であり得る。「乳」とは、例えば、生乳、牛乳、特別牛乳、生山羊乳、殺菌山羊乳、生めん羊乳、部分脱脂乳、脱脂乳及び加工乳をいう。乳製品とは、例えば、クリーム、バター、バターオイル、チーズ、濃縮ホエイ、濃縮乳、脱脂濃縮乳、無糖練乳、無糖脱脂練乳、加糖練乳、加糖脱脂練乳、全粉乳、脱脂粉乳、クリームパウダー、ホエイパウダー、タンパク質濃縮ホエイパウダー、バターミルクパウダー、加糖粉乳、調製粉乳、発酵乳、乳酸菌飲料(無脂乳固形分3.0%以上を含むものに限る。)及び乳飲料をいう。
乳系原料は好ましくは、乳、濃縮乳、クリーム、バター、脱脂乳、脱脂濃縮乳または脱脂粉乳である。乳系原料は、1種類のみが用いられてもよいし、2種類以上が組み合わされて用いられてもよい。
甘味料としては、当該分野で用いられ得る任意の甘味料が用いられ得る。甘味料とは、甘味を与える物質であって、糖類以外の物質をいう。甘味料の例としては、糖アルコール、ステビア、アスパルテーム、スクラロース、アセスルファムカリウムなどが挙げられる。
卵原料とは、卵から得られる任意の原料をいう。卵原料としては、当該分野で用いられ得る任意の卵原料が用いられ得る。卵原料の例としては、全卵、卵黄および卵白が挙げられる。
全卵とは、卵殻以外の部分をいう。本発明において用いられ得る全卵は、当該分野で公知の任意の全卵であり得る。全卵は、代表的には鶏卵から採取されるが、他の卵から採取した全卵であってもよい。コストの面から、鶏卵から採取することが好ましい。全卵の例としては、液状全卵、加糖全卵、凍結全卵、乾燥全卵などが挙げられる。全卵は、1種類のみで用いられてもよいし、2種類以上が組み合わされて用いられてもよい。
卵黄とは、卵の黄色の部分をいう。本発明において用いられ得る卵黄は、当該分野で公知の任意の卵黄であり得る。卵黄は、代表的には鶏卵から採取されるが、他の卵から採取した卵黄であってもよい。コストの面から、鶏卵から採取することが好ましい。卵黄の例としては、液状卵黄、加糖卵黄、凍結卵黄、乾燥卵黄などが挙げられる。卵黄は、1種類のみで用いられてもよいし、2種類以上が組み合わされて用いられてもよい。
卵白とは、卵殻以外の、卵の白色の部分をいう。本発明において用いられ得る卵白は、当該分野で公知の任意の卵白であり得る。卵白は、代表的には鶏卵から採取されるが、他の卵から採取した卵白であってもよい。コストの面から、鶏卵から採取することが好ましい。卵白の例としては、液状卵白、加糖卵白、凍結卵白、乾燥卵白などが挙げられる。卵白は、1種類のみで用いられてもよいし、2種類以上が組み合わされて用いられてもよい。
安定剤としては、当該分野で用いられ得る任意の安定剤が用いられ得る。安定剤の例としては、ゼラチン、寒天、ペクチン、セルロース、タマリンドガム、グアガム、ローカストビーンガム、カラギナン、アラビアガム、カラヤガム、キサンタンガム、アルギン酸ナトリウム、繊維素グルコール酸ナトリウム(カルボキシメチルセルロース)などが挙げられる。
香料としては、当該分野で用いられ得る任意の香料が用いられ得る。
色素としては、当該分野で用いられ得る任意の色素が用いられ得る。
水は、軟水、中間水および硬水のいずれであってもよい。硬水とは、硬度20°以上の水をいい、中間水とは、硬度10°以上20°未満の水をいい、軟水とは、硬度10°未満の水をいう。水は、好ましくは軟水または中間水であり、より好ましくは軟水である。
これらの原料の配合量の決定は、目的とする焼き菓子の組織、風味、種類などを考慮して当業者によって任意に適切に行われる。
「膨脹剤」とは、加熱によって発生するガスによって生地を膨脹させる作用を有する物質をいう。膨脹剤の例としては、ミョウバン、石灰、ソーダ灰、重炭酸ナトリウムおよび重炭酸アンモニウムが挙げられる。膨脹剤は、ミョウバン、石灰、ソーダ灰、重炭酸ナトリウムおよび重炭酸アンモニウムからなる群より選択されることが好ましい。得られる焼き菓子の膨化程度および食感を調整する目的で、必要に応じて1種、または2種以上の膨脹剤を選択して用いることができる。本発明の焼き菓子は比較的膨化が大きく、膨脹剤を必ずしも配合しなくて良いが、さらに膨化を大きくしたい場合、食感をより軽くしたい場合等、目的とする膨化程度、食感に応じて配合量を設定することができる。膨脹剤の配合量は好ましくは、生地100重量%に対して、通常約0.01重量%〜約2重量%であり、より好ましくは約0.02重量%〜約1重量%である。
「調味料」とは、得られる焼き菓子の味を調える目的で添加される食品素材をいう。調味料の例としては、食塩、コンソメ、出汁、香辛料および醤油が挙げられる。
これらの焼き菓子材料の好適な量は、目的とする焼き菓子に応じて適切に選択され得る。
(1.3 充填物の材料)
本発明で用いられる充填物は、焼き菓子の空隙部分に充填できる限り、任意の食品であり得る。
充填物は、無水系充填物であっても含水系充填物であってもよい。
無水系充填物の例としては、ショートニングクリーム、チョコレート類が挙げられる。本明細書中では、無水系充填物とは、水分含有量が3重量%未満の食品をいう。
含水系充填物の例としては、バタークリーム、マーガリンクリーム、チーズクリーム、カスタードクリーム、生クリーム、餡、ジャム、マシュマロ、グミ、ゼリー、寒天が挙げられる。含水系充填物とは、水分含有量が3重量%以上の食品をいう。含水系充填物の水分含有量は好ましくは約10重量%以上であり、より好ましくは約20重量%以上であり、より好ましくは約30重量%以上である。水系充填物の水分含有量は例えば、約40重量%以上、約50重量%以上、約60重量%以上、約70重量%以上、約80重量%以上、約90重量%以上などであり得る。水系充填物の水分含有量は好ましくは約95重量%以下であり、より好ましくは約90重量%以下であり、さらに好ましくは約80重量%以下である。水系充填物の水分含有量は例えば、約70重量%以下、約60重量%以下、約50重量%以下、約40重量%以下、約30重量%以下などであり得る。
(2.複合菓子の製造方法)
本発明の複合菓子は、無水または二水以下の糖類の結晶を、カラメル化が実質的に生じない温度で加熱融解して糖融解液を得る工程;カラメル化および結晶化が実質的に生じない温度および時間保持した該糖融解液を介して、小麦粉を含む焼成物の第1部分と小麦粉を含む焼成物の第2部分とを積層させた状態で、該糖融解液を結晶化させて該糖類の結晶層を形成させる工程;ならびに該焼成物に充填物を充填する工程を包含する方法によって製造される。
(2.1 糖融解液の製造)
本発明で使用される糖融解液は、無水または二水以下の糖類を、カラメル化が実質的に生じない温度で加熱融解することにより得られる。この糖融解液は、融解液を調製してからシート状焼き菓子に塗布するまでの間、カラメル化および結晶化が実質的に生じない温度で保持される。
糖融解液は、無水または二水以下の糖類を当該分野で公知の加熱手段によって加熱することにより得られる。例えば、糖融解液は、耐熱性容器に糖類を入れ、直接または間接的に加熱することによって調製され得る。糖融解液の製造には、電気オーブン、ガスオーブン、電気釜、ホットプレートなどの、温度調節が容易な加熱手段を用いることが好ましい。糖融解液の製造には、糖融解後にその融解液をほぼ一定の温度に保持しながら、その融解液を少量ずつシート状焼き菓子に塗布できる機能を備えた手段を用いることが好ましい。
なお、糖を融解させる際には、実質的に水を添加せずに糖を加熱して融解させる。糖の結晶水以外の水が混入する場合であっても、その水の量は、糖および水の合計のうち、10重量%以下であることが好ましく、6重量%以下であることがさらに好ましく、3重量%以下であることが特に好ましい。
(2.2 焼き菓子の製造)
焼き菓子材料は、当該分野で公知の方法に従って混合され、焼成されて、シート状焼成物が得られる。
目的とする焼き菓子が水種生地を焼成することによって得られる焼き菓子である場合、焼き菓子材料を当該分野で公知の順序で混合した後、例えば、加熱した金属板上に流したり、焼き型金属板または2枚の金属型に挟んで焼成することによってシート状焼成物が得られる。各種焼き菓子に適切な焼成温度および焼成時間は公知である。水種生地は、必要に応じて、原料を油系原料と粉系原料に分け、油系原料に均質化を行った後に油系原料と粉系原料を混合することによって調製されてもよい。
目的とする焼き菓子が延展生地もしくは絞り生地を焼成することによって得られる焼き菓子である場合、焼き菓子材料を当該分野で公知の順序で混合した後または捏ねた後、延展または絞り出し、焼成することによってシート状焼成物が得られる。
本明細書中では、「シート状焼成物」とは、焼き菓子材料を焼成することによって得られる、冷却されるまでの間は成形可能な柔軟性を有する焼成物であって、シート状のものをいう。焼成直後のシート状焼成物は通常、約100℃〜約200℃であり、この温度では柔軟性を有する。シート状焼成物の温度が約80℃以下に低下するとシート状焼成物は柔軟性がほとんどなくなり、堅くなるので、糖融解液を介して焼成物の第1部分と焼成物の第2部分とを接着させる工程は、シート状焼成物が約80℃以下になるまでの間に行われることが好ましい。
第1部分および第2部分は、例えば、糖融解液を介して接着される。接着の方法は任意の方法が可能である。例えば、焼成物の第1部分に糖融解液を塗布し、その上に焼成物の第2部分を載せる方法がある。この場合、焼成物の第2部分を載せた際に圧力をかけてもよい。例えば、人手または道具、機械などを用いて押し付けることが可能である。平板、道具を用いて押し付けてもよく、プレスなどの機械を用いて圧力をかけてもよい。
例えば、シート状焼成物に糖融解液が塗布される。糖融解液の塗布は、任意の方法により行われ得る。糖融解液の量をある程度制御できれば任意の手段を用いればよく、例えば、刷毛状のものを用いてもよく、ノズル状のものを用いてもよい。一般に、糖融解液の粘度は高く、また冷えることで瞬時に固まる性質を持つため、スプレーすることは困難であることが多い。糖融解液は、シート状焼成物のうちの、接着したい部分の一部(例えば、第1部分のみ)に塗布されれば充分である。糖融解液は、例えば、四角いシート状焼成物の第1部分に線状、長方形状または点状に塗布される。
塗布する面積に特に限定はなく、冷却後に充分な接着が得られれば、任意の面積であり得る。例えば、第1部分と第2部分とを接着させる際に、接着させたい部分のみであり得る。
糖融解液を線状に塗布する場合、塗布する線の幅に特に限定はなく、冷却後に充分な接着が得られれば、任意の幅であり得る。
糖融解液を線状に塗布する場合、塗布する線の好ましい長さに特に限定はなく、冷却後に充分な接着が得られれば、任意の長さであり得る。なお、糖融解液を点線状に塗布する場合、その長さは、点線の長さの合計として計算する。
塗布される糖融解液の量は、少なすぎると充分な接着が得られず、多すぎると糖の結晶により食感が堅くなる場合がある。糖融解液の量は適切に選択される。糖融解液の量は、例えば、横幅約270mm×縦88mmのシート状焼き菓子に対して好ましくは約0.5g以上であり、より好ましくは約1.0g以上であり、好ましくは約2.0g以下であり、より好ましくは約1.5g以下である。
シート状焼成物に糖融解液が塗布されたら、焼成物の第1部分と焼成物の第2部分とを積層させた状態で、糖融解液を結晶化させて糖類の結晶層を形成させる。
本発明の好ましい実施形態においては、シート状焼成物を所望の形状に成形する際に、上述した、第1部分および第2部分の積層工程を行う。例えば、この積層工程において、シート状焼成物は、充填物を充填できる形状に成形される。成形は、シート状焼成物の温度が80℃以下に下がる前に行われることが好ましい。成形は、当該分野で公知の方法により、当該分野で公知の形状に成形され得る。例えば、円筒状、コーン状などに成形され得る。
成形後、温度がある程度高いうちに、必要に応じて切断が行われる。
焼成物の温度がある程度(例えば、80℃以下に)下がると、焼成物は硬化し、糖融解液は結晶化して糖類の結晶層が形成される。このようにして、小麦粉を含む焼成物の第1部分と小麦粉を含む焼成物の第2部分とが糖類の結晶層を介して接着された部位を有する焼き菓子が得られる。焼成物の第1部分と焼成物の第2部分とは、糖類の結晶層を介して強固に接着している。
(2.3 充填物の製造)
充填物は、当該分野で公知の方法によって製造され得る。
例えば、無水系充填物は、ショートニングなどの油系原料に、糖類、香料、安定剤などを添加し、混合し、必要に応じて気泡することにより製造され得る。
例えば、含水系充填物がカスタードクリームである場合、例えば、乳系原料および卵、必要に応じて糖類などを混合し、加熱し、必要に応じて気泡することにより製造され得る。卵の代わりにカスタードパウダー(すなわち、着色され、風味をつけたコーンフラワー)を用いてもよい。含水系充填物が生クリームである場合、動物性または植物性の乳系原料および必要に応じて糖類などを混合し、気泡することにより製造され得る。含水系充填物が餡である場合、豆類を原料として当該分野で公知の方法によって製造され得る。餡は、練り餡でありる。餡は例えば、小豆餡、赤餡、白餡などである。餡の原料は、小豆、竹小豆、金時、緑豆、白豆(大手亡、大正白金時、ベビーライマ、グレートノーザン、バタービーンズなど)などである。含水系充填物がジャムである場合、例えば、種々の果実、野菜などを原料とし、必要に応じて糖類、果汁、ゲル化剤などを加えて煮詰めることにより製造され得る。含水系充填物がゼリーである場合、例えば、果汁などにゼラチン、糖類などを加えて加熱することにより製造され得る。含水系充填物が寒天である場合、例えば、果汁などに寒天を加えて加熱することにより製造され得る。
(2.4 成形された焼き菓子への充填物の充填)
本発明の複合菓子は、小麦粉を含む焼成物の第1部分と小麦粉を含む焼成物の第2部分とが糖類の結晶層を介して接着された部位を有する焼き菓子であって、充填物を充填できる形状に成形されている焼き菓子に充填物を充填することにより製造され得る。充填は、当該分野で公知の方法によって行われ得る。
(3.焼き菓子)
本明細書中では、「焼き菓子」とは、焼成されることにより製造される菓子をいう。焼き菓子は好ましくは水種生地を焼成することによって得られる焼き菓子または展延生地もしくは絞り生地を焼成することによって得られる焼き菓子である。本発明の焼き菓子は好ましくは、本願の方法を用いて接着しなければ、水分を吸収することにより型崩れを起こす焼き菓子である。
水種生地を焼成することによって得られる焼き菓子の例としては、ウェハース、コーン、クレープおよび煎餅が挙げられる。
「水種生地」とは、水分を含み、流動性を有する生地をいう。好ましくは、生地全体の重量100重量%のうちの約25重量%以上が水分である。より好ましくは、水種生地のうちの約30重量%以上が、さらに好ましくは約40重量%以上が水分である生地をいう。また、必要に応じて約50重量%以上もしくは約55重量%以上としてもよい。水種生地の水分率の上限は、好ましくは約75重量%以下であり、より好ましくは約70重量%以下であり、さらに好ましくは約65重量%以下である。水分率が多すぎる場合には焼成に長時間が必要になりやすい。
「ウェハース」とは、一般に、小麦粉を主原料とし、砂糖を小麦粉の約0.6倍〜約0.8倍含む、薄板状またはそれをなんらかの形状(例えば、円筒状)に成形した焼き菓子をいう。ウェハースとゴーフルまたはゴーフレットとは同義語である。ウェハースは、ワッフルとも呼ばれる。ウェハースの厚みは、好ましくは約0.5mm〜約8mmであり、より好ましくは約1mm〜約6mmであり、さらに好ましくは約2mm〜約4mmである。
「コーン」とは、円錐形、四角錐またはそれらに類似した形状の焼き菓子をいう。コーンは好ましくは、小麦粉を主原料とする。本明細書中における用語「コーン」は錐を意味する「cone」に由来する言葉であるので、トウモロコシ由来の原料は必須ではない。本発明で用いられるコーンとは、焼成後に巻くなどして成型されるものをいい、型焼きされるものは範囲に含まない。コーンの厚みは、好ましくは約0.5mm〜約8mmであり、より好ましくは約1mm〜約6mmであり、さらに好ましくは約2mm〜約4mmである。コーンの厚みは、水種生地を焼成する際の凹凸型の隙間によって決定される。通常、凹凸型の隙間は、コーンの厚みが上記の範囲になるように設計される。
コーンは、シュガーコーン、セミシュガーコーンおよびソフトコーンに分類される場合がある。このような場合、「シュガーコーン」とは、一般に、小麦粉を主原料とし、砂糖を約20重量%〜約30重量%含む焼き菓子であって、焼成後に成型される焼き菓子をいう。シュガーコーンには膨脹剤はあまり使用されず、シュガーコーンの内部組織は緻密である。通常のシュガーコーン中の油脂含量は、約5〜10重量%であるが、本発明の方法によって製造されるシュガーコーンはより多量の油脂を含有し得る。セミシュガーコーンおよびソフトコーンは、型焼きされるコーンであるので、本願の範囲には含まれない。
「煎餅」とは、かわら煎餅、八つ橋、いそべ煎餅などのいわゆる小麦粉煎餅をいう。かわら煎餅は、一般に、小麦粉および砂糖をほぼ等量含み、鶏卵を小麦粉の約50%含み、膨脹剤によりさくっとした組織と食感を出している焼き菓子である。いそべ煎餅は、小麦粉と砂糖をほぼ等量含み、水の代わりにアルカリ性の磯部鉱泉(炭酸水素ナトリウムを含有する食塩泉)を使用して生地をこねることを特徴とする煎餅である。
展延生地または絞り生地を焼成することによって得られる焼き菓子の例としては、ビスケットおよびクッキーが挙げられる。
「ビスケット」とは、小麦粉、糖類、食用油脂及び食塩を原料とし、必要により澱粉、乳製品、卵製品、膨脹剤、食品添加物等の原材料を配合し、又は添加したものを混合機、成型機及びビスケットオーブンを使用して製造した食品をいう。ビスケットは、ハードタイプとソフトタイプの主に2つのタイプに分けられる。
ハードタイプのビスケット(ハードビスケット)とは、小麦粉などのグルテン系タンパク質含有材料を主原料として、油脂、糖類、必要に応じて呈味原料、食品添加物、乳製品、卵製品などの原料を加えて混合して生地を調製した後、生地の調製の際に生地をよく捏ねてグルテンをよく形成させてから生地を成型し、焼成して得られる、硬い食感を有するビスケットをいう。ハードビスケットの生地の配合、および製法等については、いわゆるビスケットの規約に制限されない。風味的にも特に制限はない。
ハードビスケットは、カッティング製法によって製造される。一般に、ハードビスケットの食感は硬い。これは、生地の調製の際に、生地をよく捏ねて生地中のグルテン網を発達させ、生地を層状に折り畳んで生地の中に空気の層を形成させるからである。ハードビスケットは、生地が層状に折り畳まれて製造されるため、組織に規則性がある。ハードビスケットにはしばしば、表面に小さな穴が多数空けられる。これらの穴は、焼成中にハードビスケットが膨らみすぎないよう、空気抜きするために設けられる。ハードビスケットの原料として使用される小麦粉はさまざまであり、薄力粉のみでなく、中力粉または強力粉(これらは、一般に、タンパク質を8重量%〜14重量%含む)が利用されることもある。なお、一般には、中力粉または強力粉を用いて得られるビスケットのみがハードビスケットであると説明される場合もあるが、本件明細書中では、薄力粉を用いて得られるビスケットであっても、上述したハードビスケットの製造方法により製造されて、ハードビスケットに特有の硬い食感を有するビスケットについては、ハードビスケットに分類する。ハードビスケットと似たものにクラッカーがあるが、クラッカーは、ハードビスケットと似ているが一般に、製造過程で発酵を行うという相違がある。
ソフトタイプのビスケット(ソフトビスケット)とは、小麦粉などのグルテン系タンパク質含有材料を主原料として、油脂、糖類、必要に応じて呈味原料、食品添加物、乳製品、卵製品などの原料を加えて混合して生地を調製した後、ロータリーモールダー、ワイヤーカッター、デポジッター、ステンシルモールダー、ソフトカッティングなどによって生地中のグルテン形成が抑制された状態で生地を成型し、焼成して得られる、軟らかく、サクサクとした軽い食感を有するビスケットをいう。ソフトビスケットの生地の配合、および製法等については、いわゆるビスケットの規約に制限されない。風味的にも特に制限はない。
ソフトビスケットは、ロータリーモールダー、ワイヤーカッター、デポジッター、ステンシルモールダー、ソフトカッティングなどを用いる方法によって製造される。一般に、ソフトビスケットの食感は軟らかい。これは、ソフトビスケットの生地の調製においては、グルテン網があまり発達しないようにしているからである。ソフトビスケットでは、グルテン網をあまり発達させないため、通常用いられる配合のグルテン量では、ビスケットの表面に膜を形成することがない。また、ソフトビスケットの製造においては、格別、積層などを行っていないため、組織に規則性がない。ソフトビスケットの原料として使用される小麦粉は、薄力粉(これは、一般に、タンパク質を7重量%〜8重量%含む)であることが多い。なお、一般には、薄力粉を用いて得られるビスケットのみがソフトビスケットであると説明される場合もあるが、本件明細書中では、中力粉または強力粉を用いて得られるビスケットであっても、上述したソフトビスケットの製造方法で製造されて、いわゆるソフトビスケットに特有のソフトな食感を有するビスケットについては、ソフトビスケットに分類する。
「クッキー」とは、ビスケットのうち、「手づくり風」の外観を有し、糖分、脂肪分の合計が重量百分比で40%以上のものであって、嗜好に応じ、卵、乳製品、ナッツ、乾果、蜂蜜等により製品の特徴づけをおこなって風味よく焼きあげたものをいう。
本発明の焼き菓子の水分率は、焼成後、他の食品と組み合わせない場合、好ましくは約5重量%以下であり、より好ましくは約4重量%以下であり、さらに好ましくは約3重量%以下である。水分率が高すぎると、焼き菓子の食感が低下して、サクサク感が失われる場合またはチューイング性が現れる場合がある。水分率の下限は特にないが、一般的には約0.01重量%以上である。焼き菓子の水分活性値は好ましくは約0.90以下であり、より好ましくは約0.86以下であり、さらに好ましくは約0.75以下である。
なお、本明細書中では、「水分率」とは、焼き菓子に含まれる水分の、焼き菓子全体の重量に対する割合をいう。例えば、100gの焼き菓子中に1gの水分が含まれている場合、その焼き菓子の水分率は1重量%である。水分率の測定方法は、当業者に公知である。例えば、株式会社ケット科学研究所製赤外線水分計Kett600を用い、まず、粉砕した焼き菓子の重量を測定し、次いで粉砕した焼き菓子5gを、105℃にて10分間設定の取扱い説明書に記載される通りの条件で水分を蒸発させ、水分蒸発後の重量を測定し、水分の蒸発による重量の変化から水分率を決定し得る。この方法は、乾燥減量法とも呼ばれ、公定標準測定法に採用されている。
焼成後、焼き菓子は空気中の水分を吸収する場合があるので、焼成直後の焼き菓子中の水分率は、好ましくは約4重量%以下、より好ましくは約3重量%以下、さらに好ましくは約2重量%以下である。
焼き菓子の重量は特に限定されない。焼き菓子の重量は、好ましくは約0.1g以上であり、より好ましくは約0.5g以上であり、さらに好ましくは約1g以上である。所望の大きさ、厚さ、組織の粗密などにより適切に設定され得る。焼き菓子の重量は、例えば、約0.1g以上、約0.2g以上、約0.3g以上、約0.4g以上、約0.5g以上、約0.6g以上、約0.7g以上、約0.8g以上、約0.9g以上、約1g以上、約2g以上、約3g以上、約4g以上、約5g以上、約6g以上、約7g以上、約8g以上、約9g以上、約10g以上などであり得る。焼き菓子の重量は、例えば、約30g以下、約20g以下、約10g以下、約9g以下、約8g以下、約7g以下、約6g以下、約5g以下、約4g以下、約3g以下、約2g以下、約1g以下などであり得る。一般に、ウェハースなどは組織が多孔質なので重量が軽く、クッキーなどは組織が密になっているので重量が重い。
焼き菓子の大きさは特に限定されない。円筒形状の場合は、直径が好ましくは約50mm以下であり、より好ましくは約40mm以下であり、さらに好ましくは約30mm以下であり、特に好ましくは約20mm以下である。円筒形状の場合は、直径が好ましくは約5mm以上であり、より好ましくは約10mm以上であり、さらに好ましくは約15mm以上であり、特に好ましくは約18mm以上である。
(4.複合菓子)
本発明の複合菓子は、焼き菓子に充填物が充填されている。
複合菓子の水分量は、充填物が無水系充填物である場合、複合菓子全体として、好ましくは約3重量%以下であり、さらに好ましくは約2.5重量%以下であり、特に好ましくは約2重量%以下であり、最も好ましくは約1.5重量%以下である。充填物が無水系充填物である複合菓子の場合、焼き菓子部分の水分量は、好ましくは約2.5重量%以下であり、より好ましくは約2重量%以下であり、さらに好ましくは約1.5重量%以下である。
複合菓子の水分量は、充填物が含水系充填物である場合、特に上限はないが、複合菓子全体として、約50重量%以下であり、より好ましくは約40重量%以下であり、さらに好ましくは約35重量%以下であり、なおさらに好ましくは約30重量%以下であり、特に好ましくは約25重量%以下であり、最も好ましくは約20重量%以下である。充填物が含水系充填物である複合菓子の場合、焼き菓子部分の水分量は、特に上限はないが、好ましくは約50重量%以下であり、より好ましくは約40重量%以下であり、さらに好ましくは約30重量%以下である。
充填物の量は限定されない。充填物の重量は、空隙部の大きさまたは充填物の密度によって大きく変動する。例えば、ホイップされたクリームなどは非常に密度が小さいため軽く、ジャムなどは非常に密度が大きいため重い。
(実施例1−1〜1−5および比較例1−1〜1−3:接着剤として種々の糖質を用いた円筒状焼菓子)
(1)ウェハースの焼成
薄力粉 100重量部;ショートニング 20重量部;鶏卵 20重量部;砂糖 70重量部;食塩 0.5重量部;膨脹剤 0.5重量部;水 85重量部を混合して水種生地を得て、これを約160℃の鉄板に挟み、約2分間焼成することにより、1.4mmの厚さで横幅270mm、縦幅88mmのウェハースを得た。焼成直後のウェハースの温度は約150℃であり、充分な柔軟性を有していた。
(2)糖融解液の調製
各糖質をステンレス製容器に入れ、以下の表1に記載の温度に設定した電気オーブンにて加熱融解し、均一な糖融解液を得た。ただし、トレハロース(比較例1−1)およびマンニトール(比較例1−3)については、下記のように、均一な糖融解液を得ることができなかった。この設定温度は、各糖質の溶けやすさを考え、各糖質の融点より10〜64℃高く設定した。
各糖質が完全融解した時点で、(1)で製造したウェハースが100℃〜160℃の温度にある間に、糖融解液を(1)で製造したウェハースに塗布した。各糖融解液は、ウェハースの横幅270mmに対して糊付け幅245mmで、ウェハース1枚あたり約1.0gとなるような量で線状に塗布された。各糖融解液を塗布したらすぐにウェハースを直径約15mmの円筒状に巻き、室温まで冷却した後に、円筒の長さが約18mmになるように切断することにより、円筒状に巻かれて成形されたウェハースを得た。糊付けが行われなかった端のウェハースは除外した。糊付けの位置を図1に模式的に示す。ウェハースが室温まで冷却されたことを確認し、各糖融解液による接着力を判定した。
接着力の判定は、ウェハースの外側の端部に指をかけ、ウェハースの組織が壊れない程度の力で軽く引っ張って、端部がはがれるかを確認した。接着剤としての可否を以下の表1に示す。○は、端部がはがれず、接着剤として使用可能であることを示し、×は、全く接着していないまたは接着力が弱いために簡単にはがれて接着剤として使用可能でないことを示す。
なお、ぶどう糖(一水和物)は、125℃以上で長時間保持すると徐々にカラメル化するが、140℃以上で加熱しないと完全融解しにくい。このため、実施例1−1では、電気オーブン設定温度150℃で短時間加熱して融解させ、実質的にカラメル化する前にウェハースに塗布した。
果糖(無水結晶)は、125℃以上で長時間保持すると徐々にカラメル化するので、実施例1−2では、電気オーブン設定温度125℃で、実質的にカラメル化する前に使用した。
トレハロース(一水和物)は、純品を加熱しても融解せず、加熱を続けると粉の形態を維持したまま焦げたように変色し始めた。そのため、比較例1−1では、トレハロース(一水和物)に10%加水して実験を行った。加水後は部分的に湿ったような状態になるだけで、トレハロース全体は溶けていなかった。加熱により、湿った部分から徐々に透明な液状になったが、ガラス転移温度が高いため、その液状の部分も水分の蒸発につれて急速に再結晶が進んだ。そのため、加水した場合でも、塗布作業に適切な均一な液体の状態にすることができず、接着剤としての使用を断念した。
比較例1−2(ソルビトール)では、糖融解液が常温になっても結晶化せず、粘り気のある状態であった。すなわち、結晶層を形成させる工程を行うことができなかった。
比較例1−3(マンニトール)については、180℃で1時間加熱しても完全融解せず、部分的に粉の形態を維持したままであったため、1時間の時点で加熱を中止し、接着剤としての使用を断念した。
(実施例2−1および比較例2−1、2−2:無水結晶ぶどう糖を用いた円筒状焼き菓子)
実施例1−1〜1−5の(1)と同様にしてウェハースを焼成した。
無水結晶ぶどう糖を用い、加水なしまたは加水10%もしくは20%で、以下の温度で加熱して糖溶液または糖融解液を得た。加水したものについては、加水部が激しく蒸発してしまわないよう、均一に溶解するまで時々混ぜながら加熱した。実施例1−1〜1−5と同様にして、各糖液をウェハースに塗布し、円筒状に成形し、冷却し、切断して、円筒状のウェハースを得た。ウェハースが室温まで冷却されたことを確認し、各糖融解液による接着力を判定した。
接着力の判定を実施例1−1〜1−5と同様に行った。接着剤としての可否を以下の表2に示す。
表2に示すように、加水をして溶解した場合、糖溶液は冷却しても結晶化せず、充分な接着が得られないことがわかった。このように、糖を融解して糖液を作製することが重要であることがわかった。
(実施例3および比較例3:接着ウェハースの製造および外からの吸湿実験)
実施例1−1〜1−5の(1)と同様にしてウェハースを焼成した。
含水結晶ぶどう糖(一水和物)を140℃に設定したホットプレート上で加熱融解して、糖融解液を得た。
この糖融解液を、実施例1−1〜1−5と同様にして、ウェハースが100℃〜160℃の温度にある間に、ウェハースの横幅270mmに対して糊付け幅245mmで、ウェハース1枚あたり約1.0gとなるような量で線状に塗布した。糖融解液を塗布したらすぐにウェハースを直径約15mmの円筒状に巻き、室温まで冷却した後に、円筒の長さが約18mmになるように切断することにより、円筒状のウェハースを得た。
コントロール(比較例3)として、糖融解液を塗布しないこと以外は同様の方法で円筒状のウェハースを得た。
これらの円筒状のウェハースの空洞部に、無水系クリームを、空洞部を完全に満たすよう過不足なく充填した。無水系クリームの組成を以下の表3に示す:
この無水系クリームは、通常の方法に従って製造した。
このようにして、円筒状ウェハースに無水系クリームが充填された複合菓子が得られた。この複合菓子のウェハース部分の水分率を、乾燥減量法(赤外線水分計Kett600使用、粉砕ウェハース部5g、設定105℃にて10分間)にて測定した。その結果、製造直後の実施例3の複合菓子のウェハース部分および比較例3の複合菓子のウェハース部分のいずれも、水分率は約1.0%であった。
次いで、これらの複合菓子を加湿条件(25℃、85%RH)にて24時間静置することにより、外から吸湿させた後、ウェハース部分の水分率を上記と同じ方法で測定した。吸湿実験後の水分率は、実施例3の複合菓子のウェハース部分および比較例3の複合菓子のウェハース部分のいずれも、8.6%であった。
吸湿実験後のこれらの複合菓子について外観を観察した。比較例3のコントロール品は激しく巻き戻りがみられ、商品価値が失われた(×;図2の左側)。一方、実施例3の接着品は、巻き戻りがみられず、外観は良好であった(○;図2の右側)。なお、本明細書中では、「巻き戻り」とは、巻き終わり部分が剥離し、巻きが緩むことをいう。このように、本発明の方法による糊付け効果は明確であった。糊付け品は、焼き菓子の外側からの吸湿に対して巻き戻り防止効果が得られる。
(実施例4〜8および比較例4〜8:接着ウェハースの製造および内からの吸湿実験)
実施例1−1〜1−5の(1)と同様にしてウェハースを焼成した。
含水結晶ぶどう糖(一水和物)を140℃に設定したホットプレート上で加熱融解して、糖融解液を得た。
この糖融解液を、実施例1−1〜1−5と同様にして、ウェハースが100℃〜160℃の温度にある間に、ウェハースの横幅270mmに対して糊付け幅245mmで、ウェハース1枚あたり約1.0gとなるような量で線状に塗布した。糖融解液を塗布したらすぐにウェハースを直径約15mmの円筒状に巻き、室温まで冷却した後に、円筒の長さが約18mmになるように切断することにより、円筒状のウェハースを得た。
コントロール(比較例4〜8)として、糖融解液を塗布しないこと以外は同様の方法で円筒状のウェハースを得た。
これらの円筒状のウェハースの空洞部に、以下の表4に記載の充填物を充填した(実施例4〜8)。充填物は、空洞部を完全に満たすよう過不足なく充填した。
このようにして、円筒状ウェハースの空洞部に各種充填物が充填された複合菓子が得られた。この複合菓子のウェハース部分の水分率を、乾燥減量法(赤外線水分計Kett600使用、粉砕ウェハース部5g、設定105℃にて10分間)にて測定した。その結果、製造直後の実施例4〜7の複合菓子のウェハース部分および比較例4〜7の複合菓子のウェハース部分の水分率はいずれも、約1.0%であった。
次いで、これらの複合菓子をステンレス製の容器に入れ、アルミ蒸着袋にて密封し、表4に示す各温度条件にて24時間静置した後、ウェハース部分の水分率を上記と同じ方法で測定した。吸湿実験後の水分率を表4に示す。
吸湿実験後のこれらの複合菓子について外観を観察した。比較例4〜8のコントロール品は激しく巻き戻りがみられ、商品価値が失われた(×;図3〜7の左側)。一方、実施例4〜8の接着品は、巻き戻りがみられず、外観は良好であった(○;図3〜7の右側)。このように、本発明の方法による糊付け効果は明確であった。糊付け品は、焼き菓子の内側からの吸湿に対して巻き戻り防止効果が得られる。
吸湿後のこれら複合菓子を喫食したところ、水分が多いほどしっとりとやわらかく、風味食感が良好であった。このことから、従来にない良好な食感の複合菓子が得られることがわかった。
以上のように、本発明の好ましい実施形態を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、この実施形態に限定して解釈されるべきものではない。本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。当業者は、本発明の具体的な好ましい実施形態の記載から、本発明の記載および技術常識に基づいて等価な範囲を実施することができることが理解される。本明細書において引用した特許、特許出願および文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。
本発明により、従来無水充填物した充填できなかった焼き菓子に含水充填物を充填できるようになった。また、本発明により、従来なかった、新たな食感の複合菓子が提供される。
図1は、実施例1−1〜1−5において行ったウェハースの糖融解液塗布位置を模式的に示す。 図2は、実施例3および比較例3の複合菓子の吸湿後の結果を示す写真である。左側が接着なし(比較例3)の複合菓子であり、右側が接着あり(実施例3)の複合菓子である。 図3は、実施例4および比較例4の複合菓子の吸湿後の結果を示す写真である。左側が接着なし(比較例4)の複合菓子であり、右側が接着あり(実施例4)の複合菓子である。 図4は、実施例5および比較例5の複合菓子の吸湿後の結果を示す写真である。左側が接着なし(比較例5)の複合菓子であり、右側が接着あり(実施例5)の複合菓子である。 図5は、実施例6および比較例6の複合菓子の吸湿後の結果を示す写真である。左側が接着なし(比較例6)の複合菓子であり、右側が接着あり(実施例6)の複合菓子である。 図6は、実施例7および比較例7の複合菓子の吸湿後の結果を示す写真である。左側が接着なし(比較例7)の複合菓子であり、右側が接着あり(実施例7)の複合菓子である。 図7は、実施例8および比較例8の複合菓子の吸湿後の結果を示す写真である。左側が接着なし(比較例8)の複合菓子であり、右側が接着あり(実施例8)の複合菓子である。

Claims (19)

  1. 小麦粉を含む焼成物の第1部分と小麦粉を含む焼成物の第2部分とが糖類の結晶層を介して接着された部位を有する焼き菓子の製造方法であって、
    無水または二水以下の糖類の結晶を、カラメル化が実質的に生じない温度で加熱融解して糖融解液を得る工程;ならびに
    カラメル化および結晶化が実質的に生じない温度および時間保持した該糖融解液を介して該第1部分と該第2部分とを積層させた状態で、該糖融解液を結晶化させて該糖類の結晶層を形成させる工程
    を包含し、該糖類は、加熱融解後、少なくとも1分間にわたって実質的にカラメル化しない状態で保持することができる糖類である、方法。
  2. 前記糖類の結晶が、ぶどう糖、果糖、マルチトール、ラクチトールおよびパラチニットから選択される糖類の無水結晶または含水結晶である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記第1部分および前記第2部分が単一の焼成物中の2つの部分である、請求項1に記載の方法。
  4. 前記積層工程において前記焼成物が、充填物を充填できる形状に成形される、請求項1に記載の方法。
  5. 前記焼成物が円筒状に巻かれた形状に成形される、請求項3に記載の方法。
  6. 前記焼成物が小麦粉および糖類を含む、請求項1に記載の方法。
  7. 前記焼成物が小麦粉、糖類および油脂を含む、請求項1に記載の方法。
  8. 複合菓子の製造方法であって、
    無水または二水以下の糖類の結晶を、カラメル化が実質的に生じない温度で加熱融解して糖融解液を得る工程;
    カラメル化および結晶化が実質的に生じない温度および時間保持した該糖融解液を介して、小麦粉を含む焼成物の第1部分と小麦粉を含む焼成物の第2部分とを積層させた状態で、該糖融解液を結晶化させて該糖類の結晶層を形成させる工程;ならびに
    該焼成物に充填物を充填する工程
    を包含し、
    ここで、該積層工程において該焼成物が、充填物を充填できる形状に成形され、該糖類は、加熱融解後、少なくとも1分間にわたって実質的にカラメル化しない状態で保持することができる糖類である、方法。
  9. 前記糖類の結晶が、ぶどう糖、果糖、マルチトール、ラクチトールおよびパラチニットから選択される糖類の無水結晶または含水結晶である、請求項8に記載の方法。
  10. 前記第1部分および前記第2部分が単一の焼成物中の2つの部分である、請求項8に記載の方法。
  11. 前記焼成物が円筒状に巻かれた形状に成形される、請求項8に記載の方法。
  12. 前記充填物が含水系充填物である、請求項8に記載の方法。
  13. 小麦粉を含む焼成物の第1部分と小麦粉を含む焼成物の第2部分とが糖類の結晶層を介して接着された部位を有する、成形された焼き菓子であって、該糖類は、ぶどう糖、果糖、マルチトール、ラクチトールおよびパラチニットから選択される、焼き菓子。
  14. 前記第1部分および前記第2部分が単一の焼成物中の2つの部分である、請求項13に記載の焼き菓子。
  15. 円筒状に巻かれた状態に成形されている、請求項13に記載の焼き菓子。
  16. 焼き菓子と充填物とを含む複合菓子であって、該焼き菓子は、小麦粉を含む焼成物の第1部分と小麦粉を含む焼成物の第2部分とが糖類の結晶層を介して接着された部位を有し、該焼成物は、充填物を充填できる形状に成形されており、該焼き菓子には、充填物が充填されており、該糖類は、ぶどう糖、果糖、マルチトール、ラクチトールおよびパラチニットから選択される、複合菓子。
  17. 前記第1部分および前記第2部分が単一の焼成物中の2つの部分である、請求項16に記載の焼き菓子。
  18. 前記焼成物が円筒状に巻かれた形状に成形されており、該円筒状の焼成物の内部に前記充填物が充填されている、請求項16に記載の複合菓子。
  19. 前記充填物が含水系充填物である、請求項16に記載の複合菓子。
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