JP2009059676A - リチウムイオン二次電池用負極活物質及び負極 - Google Patents

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Abstract

【課題】 急速な充放電が可能で、高出力特性に優れ、HEV等の用途に好適で、しかも高エネルギ−密度の負極材を提供する。
【解決手段】
平均粒径D50が、5〜15μm、熱膨張率が0.95〜1.50×10−6/℃である900〜1500℃でか焼されたニ−ドルコ−クス粉末100重量部に光学的等方性ピッチを10〜25重量部加えて加熱混合し、900〜1300℃で焼成、解砕、篩い通しして炭素粉末を得る。この炭素粉末の表面にはR値(I/I)が0.7〜1.0の厚さ0.05〜0.2μmの炭素皮膜が形成され、炭素粉末の平均粒径D50が5〜20μmであり、X線広角回折で得られる結晶面の面間隔d002が0.340〜0.360nmであり、急速充放電が可能で、高出力特性に優れている。
【選択図】図1

Description

本発明は、リチウムイオン二次電池用負極活物質に関し、特に比較的高速で充放電を行う必要のあるハイブリッド電気自動車(HEV)、電動工具用電源、ラジオコントロ−ル用の電源等の高入出力用途に有用な負極活物質に関する。
リチウムイオン二次電池は高容量、高電圧、小型軽量の二次電池として携帯電話、パソコン、PDA、ハンデイビデオカメラ等の可搬型機器類に多く使用され、今後もその需要がさらに高くなると予想されている。リチウムイオン二次電池の各種のパ−ツや材料の高性能化も活発に試みられ、中でも電池の性能を左右するものとして、負極材の開発は、重要度を増している。
現在の負極材は、主に高容量を追及した黒鉛質が主力であるが、コスト低減の要求も強く、初期のメソフェ−ズピッチを原料とするタイプからコ−クスとピッチバインダ−を主原料とした人造黒鉛、さらには天然黒鉛を基材とするタイプが開発され実用化に至っている。
一方、最近では、上記のような小型可搬型機器用途とは別に、高入出力型のリチウムイオン二次電池がハイブリッド電気自動車(HEV)や電動工具用電源、ラジオコントロ−ル用の電源として必要とされつつある。
特に自動車産業では環境問題から電気自動車、ニッケル水素電池とガソリンエンジンを組み合わせたハイブリッド電気自動車(HEV)が開発され、販売台数を伸ばしている。このHEV用の電源としてニッケル水素電池に代わりリチウムイオン二次電池が注目されている。即ち、現在HEVに用いられるニッケル水素電池に比べ、高エネルギ−密度、高電圧のリチウムイオン二次電池は、次代の電源として、開発に大きな期待がかけられている。なおHEVの普及にあたり、バッテリ−の価格を大きく低減する必要があり、そのためここに用いる負極材も安価であることが必要となる。
ところで、これまでリチウムイオン二次電池の主な用途であった携帯機器においては、電池の充放電容量を高めるために、負極材として主に前述のような黒鉛材が用いられている。
例えば特許文献1(特開平7−249411)には、易黒鉛化材料を1500〜3300℃で炭素化した負極材が記載されている。更に特許文献1では2800℃以上の高温で黒鉛化することにより、高結晶の黒鉛質材が得られ、かつ黒鉛質材を使用した負極は、リチウムの吸蔵量が増大し、放電容量を大幅に向上させることができることが記載されている。
特開平7−249411号
しかし、HEVなどの高容量よりも高入出力が重視される用途では、急激な加減速に対応した充放電特性が要求され、従来の黒鉛質材はかかる特性を十分に満足させる負極材とはなり得ない欠点がある。
とりわけ高い入出力特性を重視する場合は、黒鉛質材を使用することは困難となる。このためハ−ドカ−ボンや比較的熱処理温度の低いソフトカ−ボン系の材料の利用が考えられる。しかし、ハ−ドカ−ボンは、樹脂を基材とする場合は焼成得率の低さや原料価格が安価でないとの理由からコスト高は避けられず、コ−ルタ−ルのような瀝青物から出発する場合は、晶質化を防ぐために焼成前の原料の調整にかなりの手間を要するためコスト高となり好ましくない。
一方比較的熱処理温度の低いソフトカ−ボン系の材料の利用としては、生コ−クス(デイレ−ドコ−クス)やか焼コ−クス(カルサインコ−クス)を原料とする方法が穏当である。入手が容易という点ではか焼コ−クス(カルサインコ−クス)が有利なので、これを原料にできればさらに好ましいことである。但しそのまま粉砕しただけでは、メソフェ−ズが炭化したエッジ部分やベ−サル面が露出しており、電解液との長期的な反応性、充放電サイクル性能等解決すべき諸問題が残されている。
現在のリチウムイオン二次電池負極材の主流である黒鉛質材は、高容量の製品が得られ、小型携帯機器用としては優れた材料だが、HEV用等の高入出力特性に満足できる性能を発揮する安価な負極材は未だ得られていない。
上記のような状況に鑑み、本発明は、急速な充放電が可能で、高入出力特性に優れ、HEV等の用途に好適な負極材を提供することを課題とするものである。
本発明は上記の課題を解決するもので、本発明者は、か焼コークスを出発原料として、波長514.5nmのアルゴンレ−ザ−ラマン光を用いたラマンスペクトクル分光分析において、1360cm−1付近にピ−クを有するDバンドのピ−ク強度Iと1600cm−1付近にピ−クを有するGバンドのピ−ク強度Iとの強度比であるR値(I/I)が0.7〜1.0である厚さ0.05〜0.2μmの炭素皮膜を有し、X線広角回折で得られる結晶面の面間隔d002が0.340〜0.360nmである平均粒径D50が5〜20μmである入出力特性に優れた安価なリチウムイオン二次電池用負極活物質である粉末状の炭素材料を開発するに至った。
即ち本発明のリチウムイオン二次電池負極活物質は、熱膨張率が0.95〜1.50×10−6/℃である1200〜1500℃でか焼されたニ−ドルコ−クスを粉砕、必要に応じて粒度分布等を調整して平均粒径D50が8〜15μmとした後、光学的等方性ピッチ(バインダ−ピッチまたは含浸用ピッチ)を加え、加熱混合して900〜1300℃で焼成、解砕、篩い通ししたものである。
用いるか焼コークスは、熱膨張率が0.95〜1.50×10−6/℃であり、か焼温度が900〜1500℃、好ましくは1200〜1400℃である。熱膨張率が0.95〜1.50×10−6/℃の範囲のか焼コークスは、メソフェーズが流れ構造によく発達した組織を有する所謂ニ−ドルコ−クスに分類される。か焼段階で結晶配向が制御された構造になっていることから、負極活物質としたときの高い放電容量を得るために好ましい構造である。
市販のニ−ドルコ−クスの例としては、例えばシ−ケム株式会社製のLPC−UL、LPC−U、LPC−UH等が挙げられる。逆に熱膨張率が1.50×10−6/℃よりも大きなか焼コークスでは、メソフェ−ズ由来の晶質構造が不十分な流れ構造、モザイク構造およびこれらの混合構造であり、一般には、アルミ精錬用カソ−ド電極やヒ−タ−、治具、ルツボ等の特殊炭素製品を製造する場合の原料となるものである。リチウム二次電池負極活物質として考えた場合ニ−ドルコークスの場合と比べると放電容量が劣る。また熱膨張率が0.95×10−6/℃よりも小さい場合には、石油ピッチ系ニ−ドルコ−クスの一部の銘柄が考えられるが、限りなく鱗片状の天然黒鉛に近い結晶配向となる。電解液との反応性は結晶配向が大きいほど大きくなるので、放電容量が大きくなることは期待されるが、電解液の分解によるガス発生、サイクル劣化、内部抵抗の上昇の点では不向きである。
か焼温度は、900〜1500℃、好ましくは1200〜1400℃である。
か焼温度が900℃以下のものは容量は大きくなるが、充放電における不可逆容量が大きく好ましくないばかりか、表面が物理化学的に不安定で、長期保管における電気化学的な特性の維持の保証がない。逆にか焼温度が1500℃を超えると放電容量が小さくなり好ましくない。
原料のか焼コークスは粉砕して、平均粒径D50が5〜15μmとした後、光学的等方性ピッチ(バインダ−ピッチまたは含浸用ピッチ)を加え、加熱混合し、900〜1300℃で焼成し、更に解砕、篩い通しして平均粒径D50が5〜20μmの負極活物質を得る。
また必要に応じて分級による整粒を行い、D50や粒度分布を任意に調整してもよい。
本発明の炭素粒子の平均粒子径D50は、5〜20μm程度であるが、HEVの場合は入出力特性の確保のため、ある程度の比表面積が大きい方が望ましいためD50は好ましくは、8〜15μm、より好ましくは9〜12μmである。なおSEM観察による最大粒子径は65μm以下であるのが好ましい。本発明の負極活物質を使用して電極とする場合、電極の導電性を確保し出力特性を発現させるため、比較的薄く塗布する。そのため65μm以上の粒子が存在すると塗工時に筋を引く不具合の発生が考えられるためである。平均粒子径が5μm以下では、比表面積が大きくなり過ぎ、充放電における不可逆容量が大きくなったり、ペーストを作る際の粘度が高くなって製造工程でのハンドリング性能が低下するなどの問題が生じる。
粉砕された原料であるか焼コークス粒子の長径と短径の比であるアスペクト比であるが、元々ニ−ドルコ−クスは発達した流れ構造をしているため、粉砕条件を調整してもせいぜい1.5〜5程度である。HEV用等の本発明を適用する用途では、電極の塗工厚さは30〜50μm程度あるいは40μm程度と薄いため、負極活物質のアスペクト比はかえってある程度大きい方が電極の抵抗を低く抑えることができる利点がある。従って1.5〜5程度の粉末を原料とすることは好都合となる。但し特殊な粉砕方法によってアスペクト比を1.5以下とした場合でも、粒度分布の調整等により電極の抵抗値が十分に低ければ構わない。また5よりも大きい場合、即ち熱膨張率が0.95×10−6℃よりも小さいか焼コークスを用いた場合に相当するが、これから得られる負極活物質はアスペクト比が大き過ぎ、サイクル特性の面で好ましくない。
炭素粒子表面を覆う皮膜材として用いる光学的等方性ピッチは、従来一般に製鋼用の人造黒鉛電極やルツボ、ヒ−タ−、治具等に用いる等方性黒鉛材等を製造する場合に用いるバインダ−ピッチやこれら炭素素材の密度向上のために使われる含浸用ピッチであり、軟化点は80〜150℃程度である。市販品の例としてはシ−ケム株式会社のIPシリ−ズ、JFEケミカル株式会社のPKシリ−ズ等が挙げられる。
仮焼コークス粉末とピッチの配合割合は、か焼コークス粉末100重量部に対してピッチが10〜25重量部であることが好ましい。生成された負極活物質に厚さ0.05〜0.2μmの炭素皮膜を形成するために配合割合を決めるが、10重量部以下では、形成される皮膜厚さが薄すぎて皮膜の効果が発揮されないか、被覆が不完全となって効果が不十分である。また逆に25重量部以上を配合すると形成された皮膜厚さが厚すぎて充放電効率が悪化する。形成される皮膜の厚さは、基材であるか焼コークスの晶質面を完全に被覆し、負極活物質上で電解液の分解を押さえて充放電によるガス発生、電池のサイクル特性の劣化等を抑制し、なおかつ高い充放電効率が得られるに十分である厚さであることが肝要であり、このため、薄からず厚からずの0.05〜0.2μm、好ましくは0.08〜0.15μmである必要がある。従って、配合されるピッチの量は10〜25重量部、好ましくは12〜18重量部であることが望ましい。
皮膜として形成されるピッチの焼成温度は、900〜1300℃好ましくは950〜1200℃である。900℃以下では充放電における不可逆容量が大きくなり好ましくなく、1300℃以上では放電容量が低くなること、とりわけ1300〜1400℃近辺では皮膜の硬度が高くなり、電極の塗工乾燥後のプレスでの潰れ性にも問題が出る可能性が高い。
本発明において製造された負極活物質は、n−ブタ−ノル置換による真密度が2.00〜2.24g/cmとなる。皮膜部分は、焼成温度によっても違うが、若干低めの1.85〜2.00g/cmとなる。また本発明で得られる負極活物質の構造は、皮膜の構造、性質を司る波長514.5nmアルゴンレ−ザ−ラマン光を用いたラマンスペクトル分光分析において、1360cm−1付近にピ−クを有するDバンドのピ−ク強度Iと1600cm−1付近にピ−クを有するGバンドのピ−ク強度Iとの強度比であるR値(I/I)及び基材であるか焼成コ−クスの構造、性質を司るX線広角回折で得られる結晶面の面間隔d002によって規定される。即ち本発明による負極活物質のR値は0.7〜1.0であり、d002は0.340〜0.360nmである。
本発明の負極活物質は、か焼コークスに等方性ピッチを被覆焼成して得た高入出力特性を兼ね備えるとともに、原材料が安価で入手しやすいものであるので、安価な負極活物質であるとともに、安定的に供給することができるものである。
本発明の負極活物質は、レーザ−ラマン分光分析の他、広角X線回折、タップ密度、比表面積等の表面構造、粒度分布および電気化学的な充放電試験を行った。試験の詳細な条件については以下に示す。
レーザ−ラマン分光分析は、Jobin Yvon/愛岩物産のRamanor T−64000型を用いた。詳細な分析条件は、以下の通りである。
測定モ−ド :マクロラマン
測定配置 :60°
ビ−ム径 :100μm
光源 :Ar+レ−ザ−/514.5nm
レザ−パワ− :10mW.
回折格子 :Single 600gr/mm
分散 :Single 21A/mm
スリット :100μm
検出器 :CCD/Jobin Yvon 1024×256
測定は、試料表面から任意に3点を選択し、Dバンド(1360cm−1付近に現れるピ−ク)の強度Iと、Gバンド(1600cm−1付近に現れるピ−ク)の強度Iとの比(I/I)であるR値を計算した。ラマンスペクトクルの測定深さは試料の吸収係数に依存する。炭素のような黒色材料では測定深さは小さくなる。黒鉛の場合は514.5nm励起における吸収係数から予想される測定深さは約15nmとされている。非晶質炭素の場合では一般に測定深さは大きくなり数十nmと推定される。
X線広角回折は、株式会社リガク製のX線回折装置RINT−UltimaIIIを用いて、金属珪素を内部標準とした、人造炭素材料の結晶子サイズ・網面サイズなどの構造解析を行う方法を規定した学振法に基づいて実施した。
タップ密度は、100mlのメスシリンダ−に試料を60±0.1g投入し、内部にカムを備えた自製のタップ密度測定器にセットし、ストロ−ク10nmにて700回タッピング後の試料の体積から算出した。
比表面積、細孔容積、細孔直径は、窒素ガスの吸脱着により測定し、測定装置は、Micromeritics社製の自動比表面積/細孔分布測定装置Tristar3000を使用した。
比表面積は、吸着等温線から得られた吸着ガス量を、単分子層として評価して表面積を計算するBETの多点法によって求めた
P/V(P−P)=(1/VmC)+{(C−1)/VmC(P/P)……(1)
S=kVm…………………………………………………………………………………(2)
:飽和蒸気圧
P:吸着平衡圧
V:吸着平衡圧Pにおける吸着量
Vm:単分子層吸着量
C:吸着熱などに関するパラメ−タ−
S:比表面積
k:窒素単分子占有面積 0.162nm
全細孔容積は、吸着等温線から得られた平衡相対圧(P/P)=0.99付近の飽和吸着ガス量から求めた。
孔径2nm以下のマイクロポア容積は、窒素ガスの吸着膜の厚さtに対して吸着量をプロットしたt−プロット法により求めた。
吸着膜の厚さは、0.35〜0.50nmの範囲でHarkins & Juraの式
t=〔13.99/{0.034−log(P/P}〕0.5………………(3)
により求めた。
:飽和蒸気圧
P:吸着平衡圧
平均粒子径や粒度分布の測定は、株式会社セイシン企業製のLMS−30システムを用いて、水を分散媒として微量の界面活性剤を分散剤にして、超音波分散をさせた状態で測定した。
真密度の測定は、株式会社セイシン企業製の自動粉粒体密度測定器MAT−7000を用いてピクノメ−タ−によるn−ブタノ−ル置換え法によって求めた。測定温度は25℃である。
電気化学的な充放電試験は、負極活物質100重量部に対して結着剤としてPVDF7重量部、補助導電材としてアセチレンブラック1重量部、溶剤としてN−メチル−2−ピロリドンを併せたスラリ−を調製し、銅箔上にドクタ−ブレ−ドを用いて厚さ80μmに塗布し、120℃で乾燥し、ロ−ルプレスを掛けた後、12φに打ち抜き電極とした。プレス後の電極は厚さが40μmであった。
これに対極としてリチウム金属を用い、セパレ−タ−を介し対向させ電極群とした後、1MLiPF/EC:MEC(1:2)の電解液を加えてコインセルを形成し、充放電試験に供した。
充放電条件は、まず電流値0.5mA/cmで定電流充電を行い、電圧値が0.01Vになった後定電圧充電に切り換え、電流値が0.01mA/cmに下がるまで、充電を行った。充電終了後、電流値0.5mA/cmで定電流放電を行い、電圧値が1.5Vとなったところで放電終了した。
本発明の負極活物質は急速な充放電が可能であり、高出力特性に優れ、HEV等の用途に好適で、かつ高エネルギ−密度のリチウム二次電池用負極活物質である。
実施例および比較例
次に本発明を以下の実施例に基づいて更に詳しく述べるが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
熱膨張係数が1.0×10−6/℃の石炭系か焼コークス(か焼温度:1300℃)を粉砕し、平均粒子径(D50)=8.14μmとした。粉砕したか焼ニードルコ−クス100重量部と軟化点110℃のバインダ−ピッチ20重量部を加えた後、加熱ニ−ダ−を使用して150℃で1時間混捏した。これを非酸化性雰囲気下1000℃で焼成後、解砕、目開き38μmの篩いを通過させて炭素質粉末を得た。
生成した粉末の諸物性を表1に示す。
表中の表層炭素割合(重量比)はコア材1に対する表層コ−テング材の添加量×炭化収率により求めた。
また塗布電極単位面積あたりの表面積(m/cm)は試料を銅箔上に塗布乾燥後の単位面積あたりの活物質重量(g・cm)×
BET比表面積(m/g)より求めた。
図1に得られた粉末の断面写真を示す。この写真より表層に0.086μm厚の低結晶炭素層が形成されていることがわかる。
熱膨張係数が1.0×10−6/℃の石炭系か焼コークス(か焼温度:1200℃)を粉砕し、平均粒子径(D50)=8.14μmとした。粉砕したか焼ニードルコークス100重量部と軟化点110℃のバインダ−ピッチ15重量部を加えた後、加熱ニ−ダ−を使用して150℃で1時間混捏した。これを非酸化性雰囲気下1000℃で焼成後、解砕、目開き38μmの篩いを通過させて炭素質粉末を得た。
生成した粉末の諸物性を表1に示す。
熱膨張係数が1.3×10−6/℃の石炭系か焼コークス(か焼温度:1300℃)を粉砕し、平均粒子径(D50)=8.50μmとした。粉砕したか焼ニードルコークス100重量部と軟化点110℃のバインダ−ピッチ20重量部を加えた後、加熱ニ−ダ−を使用して150℃で1時間混捏した。これを非酸化性雰囲気下1000℃で焼成後、解砕、目開き38μmの篩いを通過させて炭素質粉末を得た。
生成した粉末の諸物性を表1に示す。
(比較例1)
熱膨張係数が1.0×10−6/℃の石炭系か焼コークス(か焼温度:1300℃)を粉砕し、平均粒子径(D50)=7.68μmとし、これをそのままリチウムイオン二次電池用負極活物質とした。
生成した粉末の諸物性を表1に示す。
か焼コークスを粉砕しただけの比較例1は比表面積が大きく、放電効率が低い。
(比較例2)
QI(キノリン不溶分)成分が0%のピッチ(メソフェ−ズピッチ)を500℃で熱処理し、これを10μmに粉砕した。
これをさらに非酸化性雰囲気下1300℃で焼成後、解砕、目開き38μmの篩を通過させて炭素質粉末を得た。
生成した粉末の諸物性を表1に示す。
(比較例3)
熱膨張係数が1.0×10−6/℃の石炭系か焼コークス(か焼温度:1300℃)を粉砕し、平均粒子径(D50)=8.14μmとした。粉砕したか焼ニードルコークス100重量部と軟化点110℃のバインダ−ピッチ8重量部を加えた後、加熱ニ−ダ−を使用して150℃で1時間混捏した。これを非酸化性雰囲気下1000℃で焼成後、解砕、目開き38μmの篩いを通過させて炭素質粉末を得た。
生成した粉末の諸物性を表1に示す。
(比較例4)
平均粒子径(D50)=11μmの球状天然黒鉛100重量部と軟化点110℃のバインダ−ピッチ18重量部を加えた後、加熱ニ−ダ−を使用して150℃で1時間混捏した。
これを非酸化性雰囲気下1000℃で焼成後、解砕、目開き38μmの篩いを通過させて炭素質粉末を得た。
生成した粉末の諸特性を表1に示す。
Figure 2009059676
図2に実施例及び比較例の急速充電特性を示す。
表面炭素層のない比較例2、表面炭素層の薄い比較例3、ラマンR値の小さい比較例4は実施例1〜3と比較して急速充電したときの定電流充電量が小さく、充電受入性が悪いことがわかる。
即ち、回折特性が実施例と比較して劣ることが言える。
実施例1の断面写真 実施例1および比較例2の急速充電特性のグラフ

Claims (6)

  1. 炭素粉末表面に厚さ0.05〜0.2μmの炭素皮膜が形成されており、この皮膜は、波長514.5nmのアルゴンレ−ザ−ラマン光を用いたラマンスペクトクル分光分析において、1360cm−1付近にピ−クを有するDバンドのピ−ク強度Iと1600cm−1付近にピ−クを有するGバンドのピ−ク強度Iとの強度比であるR値(I/I)が0.7〜1.0であり、炭素粉末は、X線広角回折で得られる結晶面の面間隔d002が0.340〜0.360nmであり、平均粒径D50が5〜20μmであるリチウムイオン二次電池用負極活物質。
  2. 炭素皮膜の真密度が1.85〜2.00g/cmであり、真密度が2.00〜2.24/cmである請求項1のリチウムイオン二次電池用負極活物質。
  3. 平均粒径D50が5〜15μm、熱膨張率が0.95〜1.50×10−6/℃である900〜1500℃でか焼されたニ−ドルコ−クス粉末100重量部に光学的等方性ピッチを10〜25重量部加え、加熱混合し、900〜1300℃で焼成、解砕、篩い通しして得た請求項1,2のリチウムイオン二次電池用負極活物質。
  4. 平均粒子径D50が5〜20μmで、かつSEM観察による最大粒子径が65μm以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の負極活物質。
  5. 請求項1〜4のいずれかの負極活物質に有機バインダ−と分散媒を加えて混練りしたペ−ストを金属製の集電体上に塗工、乾燥、プレスしてして塗工厚さを30〜100μm、電極密度を0.9〜1.5g/cmとしたリチウムイオン二次電池用負極。
  6. 平均粒径D50が5〜15μm、熱膨張率が0.95〜1.50×10−6/℃である900〜1500℃でか焼されたニ−ドルコ−クス粉末100重量部に光学的等方性ピッチを10〜25重量部加えて加熱混合し、900〜1300℃で焼成、解砕、篩い通しする請求項1,2のリチウムイオン二次電池用負極活物質の製造方法。
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