この発明の実施形態に係る磁気ディスク装置、及び磁気記録媒体用基板について、図1から図5を参照して説明する。
図1は、この発明の実施形態に係る磁気ディスク装置の構成を示す斜視図である。磁気ディスク装置10は、筐体11の平面部に、スピンドルモータ(図示しない)が設置されている。磁気記録媒体30は、クランプ20によって押圧されて、スピンドルモータの回転軸に対して固定され、スピンドルモータによって回転駆動させられる。このスピンドルモータがこの発明の「駆動手段」の1例に相当する。
さらに、筐体11には、アーム13が垂直軸13aの周りに揺動可能に取り付けられている。このアーム13の一端には、板ばねからなるサスペンション13bを介して、ヘッドスライダ14が取り付けられている。また、アーム13の他端には、ボイスコイル15aが備えられ、ボイスコイル15aを挟持するように、筐体11上には、マグネット(図示しない)が取り付けられている。これにより、ボイスコイル15aとマグネットとによって、ボイスコイルモータ15が構成されている。
ボイスコイル15aに外部から電流が供給されると、アーム13は、マグネットの磁場と、ボイスコイル15aに流れる電流とによって生じる力に基づいて、垂直軸13aの周りに回動する。これにより、アーム13の一端に取り付けられたヘッドスライダ14は、磁気記録媒体30の半径方向(矢印Xの方向)に移動させられる。ヘッドスライダ14に設置された磁気ヘッド(図示しない)は、磁気記録媒体30に対してシーク動作を行う。
さらに、ヘッドスライダ14は、磁気記録媒体30の回転に伴って浮揚力を受け、その浮揚力とサスペンション13bによる押圧力とのバランスによって、磁気記録媒体30の表面から一定の浮上量で走行することになる。これにより、磁気記録媒体30の所定のトラックに対して、データの記録・再生が行われる。
ここで、磁気記録媒体30に用いられる磁気記録媒体用基板について図2を参照して説明する。図2は、この発明の実施形態に係る磁気記録媒体用基板の斜視図である。
磁気記録媒体用基板1は円板状の形状を有し、基板の中央に、基板の厚さ方向に貫通する貫通孔2が形成されている。磁気記録媒体用基板1は樹脂で構成されている。この磁気記録媒体用基板1の表面に磁性膜を成膜することで、磁気ディスク装置10に用いられる磁気記録媒体30が作製される。
さらに、磁気記録媒体用基板1の一方の面には、貫通孔2の周縁部に凹部3、4、5が形成されている。貫通孔2の周縁部は、貫通孔2から所定距離外側までの領域であり、磁気記録媒体において情報の記録に用いられない領域である。凹部3、4、5は、それぞれ貫通孔2の中心から等しい距離に形成されており、円周方向に等間隔に形成されている。例えば、凹部3、4、5は、等間隔に120度の間隔をおいて形成されている。この実施形態では、凹部3、4、5を等間隔に120度の間隔をおいて形成したが、等間隔に形成しなくても良い。また、この実施形態では、3つの凹部を磁気記録媒体用基板1に形成したが、3つ以上の凹部を形成しても良い。この場合も、複数の凹部を等間隔に形成しても良いし、等間隔に形成しなくても良い。
磁気記録媒体用基板1の表面に、スパッタリングなどの成膜方法によってCo系合金などの磁性膜を成膜して磁気記録媒体30を作製する。磁性膜は、磁気記録媒体用基板1の片面のみに成膜しても良いし、両面に成膜しても良い。これにより、貫通孔の周縁部に、上述した凹部3、4、5に相当する3つの凹部が形成された磁気記録媒体30が作製される。この凹部に、クランプに設けられた突起部が嵌合することで、磁気記録媒体30がスピンドルモータの回転軸に固定される。
次に、磁気記録媒体30とクランプ20の構成について図3を参照して説明する。図3は、この発明の実施形態に係る磁気ディスク装置の一部断面図であり、図1のIII−III断面図である。
スピンドルモータ12に接続されたハブ26は円柱状の形状を有し、磁気記録媒体30の貫通孔に嵌合されている。また、ハブ26の上端には、板ばねからなるクランプ20がねじ24によってねじ止めされている。クランプ20は、磁気記録媒体30の一方の面において、貫通孔の周縁部に当接している。また、ハブ26の下端部に形成されたクランプ台27は、磁気記録媒体30の他方の面において、貫通孔の周縁部に当接している。
以上のように、クランプ20とクランプ台27とによって磁気記録媒体30を上下方向から挟持することで、磁気記録媒体30を保持する。
図1に示すように、クランプ20は、中心から放射状に延びるクランプ部材21、22、23を備えている。この実施形態においては、クランプ部材21、22、23は、等間隔に120度の間隔をおいて配置されている。そして、図3に示すように、クランプ部材21の先端には、スピンドルモータ12の回転軸方向に突出した突起部21aが設けられている。クランプ部材22、23の先端にも、クランプ部材21と同様に、突起部が設けられている。
磁気記録媒体30の一方の面には、凹部31が形成されている。この凹部31は、図2に示す磁気記録媒体用基板1の凹部3、4、5のいずれかに相当する。また、図示しないが、磁気記録媒体30の一方の面には、凹部31の他、2つの凹部が形成されている。従って、上述したように、3つの凹部が、等間隔に120度の間隔をおいて貫通孔の周縁部に形成されている。なお、磁気記録媒体用基板1に3つ以上の凹部を形成した場合、磁気記録媒体30は、3つ以上の凹部を有することになる。
クランプ20をハブ26の上端に設置し、ねじ24によってハブ26にねじ止めすることで、クランプ部材21の先端に設けられた突起部21aが、磁気記録媒体30の凹部31に嵌合される。突起部21aを、磁気記録媒体30の凹部31に対応する位置に設けることで、凹部31に嵌合される。さらに、クランプ部材22、23の突起部も、磁気記録媒体30の他の凹部に対応する位置に設けることで、磁気記録媒体30の凹部に嵌合される。
磁気記録媒体30には3つの凹部が等間隔に120度の間隔をおいて形成され、クランプ部材21、22、23は、それら3つの凹部の間隔に合わせて、等間隔に120度の間隔をおいて配置されている。このように、磁気記録媒体30(磁気記録媒体用基板1)に形成された凹部の数と間隔に合わせて、クランプ部材を配置し、クランプ部材に設けられた突起部を磁気記録媒体30の凹部に嵌合させる。また、磁気記録媒体30に3つ以上の凹部を形成した場合、それら3つ以上の凹部の数と間隔に合わせて、3つ以上のクランプ部材を配置し、クランプ部材に設けられた突起部を磁気記録媒体30の凹部に嵌合させる。
クランプ20は板ばねで構成されているため、ねじ24によってクランプ20をハブ26に固定することで、クランプ部材21、22、23が撓り、磁気記録媒体30はクランプ部材21、22、23によって押圧される。
クランプ部材21、22、23の先端に形成された突起部が磁気記録媒体30の凹部に嵌合することで磁気記録媒体30を押圧する。この押圧によって、磁気記録媒体30をスピンドルモータ12の回転軸に対して固定し、さらに、スピンドルモータ12の回転によるトルクを磁気記録媒体30に伝達する。この実施形態では、クランプ部材21、22、23は、突起部のみが磁気記録媒体30に当接して磁気記録媒体30を押圧し、これによって、磁気記録媒体30を回転軸に対して固定し、トルクを磁気記録媒体30に伝達する。
ここで、クランプ部材の先端に設けられた突起部と、磁気記録媒体30に形成された凹部について図4及び図5を参照して説明する。図4は、クランプ部材の先端に設けられた突起部と、磁気記録媒体に形成された凹部を示す斜視図である。なお、磁気記録媒体については、凹部のみを示している。図5は、クランプ部材の先端に設けられた突起部と、磁気記録媒体に形成された凹部を示す一部断面図である。
図4及び図5に示すように、クランプ部材21の突起部21aは略球状の形状を有している。磁気記録媒体30に形成された凹部31は円形状の形状を有し、磁気記録媒体30の表面における径が最大となり、深くなるほど、凹部31の径は徐々に小さくなっている。また、磁気記録媒体30の表面における凹部31の径は、クランプ部材21の突起部21aの最大径よりも小さくなっている。クランプ部材21の突起部21aが凹部31に嵌合されると、突起部21aの所定高さにおける側面の全周100が、凹部31の所定深さにおける内面の全周101に当接する。これにより、クランプ部材21は突起部21aのみが磁気記録媒体30に当接することになる。突起部21aの所定高さにおける側面の全周100が、凹部31の内面に当接することで、クランプ部材21による押圧力が磁気記録媒体30に伝わる。また、クランプ部材22、23に設けられている突起部も、突起部21aと同じ形状を有し、凹部31以外の2つの凹部も、凹部31と同じ形状を有している。そして、各クランプ部材の突起部の側面が各凹部の内面に当接することで、各クランプ部材による押圧力が磁気記録媒体30に伝わる。これにより、磁気記録媒体30をスピンドルモータ12の回転軸に対して固定し、また、スピンドルモータ12の回転によるトルクを磁気記録媒体30に伝達する。
以上のように、磁気記録媒体30に形成された凹部にクランプ部材の突起部を嵌合させ、突起部と凹部との接触によって磁気記録媒体30を押圧することで、比較的弱い力でも磁気記録媒体30をスピンドルモータ12の回転軸に対して固定し、また、スピンドルモータ12の回転によるトルクを伝達することが可能となる。その結果、磁気記録媒体30の固定時において発生する歪みを低減することが可能となる。
また、複数の凹部を等間隔に磁気記録媒体30に形成して、各凹部に突起部を嵌合することで、バランス良く、磁気記録媒体30を押圧することができる。例えば、この実施形態のように、3つの凹部を120度間隔で磁気記録媒体30に形成して、各凹部に突起部を嵌合することで、クランプによって磁気記録媒体30に加えられる力が均一になり、バランス良く、磁気記録媒体30を押圧することが可能となる。
なお、突起部21aの形状は略球状の形状に限定されず、また、凹部31の形状は円形状の形状に限定されない。突起部21aの所定高さにおける側面が、凹部31の所定深さにおける内面に当接するような形状であれば良い。
なお、この実施形態では、クランプ20は放射状に延びるクランプ部材21、22、23を備えているが、クランプはこの放射状の形状に限定されない。例えば、クランプは、クランプ部材21、22、23を一体化した円板状の形状であっても良い。この場合、円板状のクランプには、円周方向に120度の間隔をおいて、3つの突起部を設ける。そして、円板状のクランプに設置された3つの突起部を、磁気記録媒体30の凹部31にそれぞれ嵌合することで、磁気記録媒体30を押圧する。なお、磁気記録媒体30に3つ以上の凹部を形成した場合、それら3つ以上の凹部の数と間隔に合わせて、3つ以上の突起部を円板状のクランプに設け、その突起部を磁気記録媒体30の凹部に嵌合させる。
[変形例]
上述した実施形態に係る磁気ディスク装置10は、1枚の磁気記録媒体30を備えている。磁気ディスク装置は、複数枚の磁気記録媒体を備えていても良い。複数枚の磁気記録媒体を備えた磁気ディスク装置について図6及び図7を参照して説明する。図6は、変形例に係る磁気ディスク装置の構成を示す斜視図である。図7は、変形例に係る磁気ディスク装置の一部断面図であり、図6のVII−VII断面図である。
変形例に係る磁気ディスク装置10Aは、図1に示す磁気ディスク装置10と同様に、筐体11、スピンドルモータ12、アーム13、垂直軸13a、サスペンション13b、ヘッドスライダ14、ボイスコイルモータ15、ボイスコイル15a、及びクランプ20を備えている。そして、磁気記録媒体40、50は、クランプ20によって、スピンドルモータ12の回転軸に対して固定され、スピンドルモータ12によって回転駆動させられる。変形例では、2つの磁気記録媒体が磁気ディスク装置10Aに設置されている。なお、変形例に係る磁気記録媒体40、50がこの発明の「個別媒体」の1例に相当し、個別媒体としての磁気記録媒体40、50が積層されて磁気ディスク装置10Aに設置される。
磁気記録媒体40、50に用いられる磁気記録媒体用基板には、上述した実施形態と同様に、図2に示す磁気記録媒体用基板1が用いられる。変形例に用いられる磁気記録媒体用基板1の一方の面には、凹部3、4、5が等間隔に120度の間隔をおいて形成されている。さらに、図2には示さないが、変形例においては、磁気記録媒体用基板1の他方の面にも、貫通孔2の周縁部に3つの凹部が等間隔に120度の間隔をおいて形成されている。なお、上述した実施形態と同様に、磁気記録媒体用基板1の片面につき3つ以上の凹部を形成した場合、磁気記録媒体40、50は、片面につき3つ以上の凹部を有することになる。
両面にそれぞれ3つの凹部が形成された磁気記録媒体用基板1の表面に、磁性膜を成膜して磁気記録媒体40、50を作製する。磁性膜は、磁気記録媒体用基板1の片面のみに成膜しても良いし、両面に成膜しても良い。これにより、貫通孔の周縁部に凹部が形成された磁気記録媒体40、50が作製される。
図7に示すように、スピンドルモータ12に接続されたハブ26は円柱状の形状を有し、磁気記録媒体40、50の貫通孔に嵌合されている。これにより、磁気記録媒体40、50は、スピンドルモータ12のハブ26に互いに同軸的に嵌合され、ハブ26の軸方向に沿って積層されている。
隣り合う2枚の磁気記録媒体40、50の間には、リング状の形状を有し、ハブ26に嵌合されたスペーサ25が介在している。スペーサ25の表面は、磁気記録媒体40、50の貫通孔の周縁部に当接している。
ハブ26の上端には、板ばねからなるクランプ20がねじ24によってねじ止めされている。クランプ20は、磁気記録媒体40の一方の面において、貫通孔の周縁部に当接している。また、ハブ26の下端部に形成されたクランプ台28は、磁気記録媒体50の一方の面において、貫通孔の周縁部に当接している。
以上のように、クランプ20、スペーサ25、及びクランプ台28によって磁気記録媒体40、50を上下方向から挟持することで、磁気記録媒体40、50を保持する。
上述した実施形態と同様に、クランプ20は、中心から放射状に延びるクランプ部材21、22、23を備えている。クランプ部材21、22、23は、等間隔に120度の間隔をおいて配置されている。そして、図7に示すように、クランプ部材21の先端には、スピンドルモータ12の回転軸方向に突出した突起部21aが設けられている。クランプ部材22、23の先端にも、クランプ部材21と同様に、突起部が設けられている。なお、上述した実施形態と同様に、クランプは放射状の形状に限定されず、例えば、クランプ部材21、22、23を一体化した円板状の形状であっても良い。
磁気記録媒体40の一方の面には、凹部41が形成されている。この凹部41は、図2に示す磁気記録媒体用基板1の凹部3、4、5のいずれかに相当する。また、図示しないが、磁気記録媒体40の一方の面には、凹部41の他、2つの凹部が形成されている。従って、上述したように、3つの凹部が等間隔に120度の間隔をおいて貫通孔の周縁部に形成されている。なお、磁気記録媒体用基板1の一方の面に3つ以上の凹部を形成した場合、磁気記録媒体40は、一方の面に3つ以上の凹部を有することになる。
クランプ20をハブ26の上端に設置し、ねじ24によってハブ26にねじ止めすることで、クランプ部材21の先端に設けられた突起部21aが、磁気記録媒体40の凹部41に嵌合される。突起部21aを、磁気記録媒体40の凹部41に対応する位置に設けることで、凹部41に嵌合される。さらに、クランプ部材22、23の突起部も、磁気記録媒体40の他の凹部に対応する位置に設けることで、磁気記録媒体40の凹部に嵌合される。
磁気記録媒体40の一方の面には3つの凹部が等間隔に120度の間隔をおいて形成され、クランプ部材21、22、23は、それら3つの凹部の間隔に合わせて、等間隔に120度の間隔をおいて配置されている。このように、磁気記録媒体40(磁気記録媒体用基板1)に形成された凹部の数と間隔に合わせて、クランプ部材を配置し、クランプ部材に設けられた突起部を磁気記録媒体40の一方の面に形成された凹部に嵌合させる。また、磁気記録媒体40の一方の面に3つ以上の凹部を形成した場合、それら3つ以上の凹部の数と間隔に合わせて、3つ以上のクランプ部材を配置し、クランプ部材に設けられた突起部を磁気記録媒体40の一方の面に形成された凹部に嵌合させる。
クランプ20は板ばねで構成されているため、ねじ24によってクランプ20をハブに固定することで、クランプ部材21が撓り、磁気記録媒体40はクランプ部材21、22、23によって押圧される。
クランプ部材21、22、23の先端に形成された突起部が磁気記録媒体40の凹部に嵌合することで磁気記録媒体40、50をスピンドルモータ12の回転軸に対して固定し、さらに、スピンドルモータ12の回転によるトルクを磁気記録媒体40、50に伝達する。この変形例では、クランプ部材21、22、23は、突起部のみが磁気記録媒体40に当接して磁気記録媒体40、50をスピンドルモータ12の回転軸に対して固定し、トルクを磁気記録媒体40、50に伝達する。
上述した実施形態と同様に、クランプ部材21の先端に設けられた突起部21aの形状は略球状の形状を有している。磁気記録媒体40に形成された凹部41は円形状の形状を有し、磁気記録媒体40の表面における径が最大となり、深くなるほど、凹部41の径は徐々に小さくなっている。また、磁気記録媒体40の表面における凹部41の径は、クランプ部材21の突起部21aの最大径よりも小さくなっている。クランプ部材21の突起部21aが凹部41に嵌合されると、突起部21aの所定高さにおける側面の全周が、凹部41の所定深さにおける内面の全周に当接する。これにより、クランプ部材21は突起部21aのみが磁気記録媒体40に当接することになる。突起部21aの所定高さにおける側面の全周が、凹部41の内面に当接することで、クランプ部材21による押圧力が磁気記録媒体40に伝わる。また、凹部41以外の凹部も、凹部41と同じ形状を有している。そして、各クランプ部材の突起部の側面が各凹部の内面に当接することで、各クランプ部材による押圧力が磁気記録媒体40に伝わる。これにより、磁気記録媒体40、50をスピンドルモータ12の回転軸に対して固定し、また、スピンドルモータ12の回転によるトルクを磁気記録媒体40、50に伝達する。
さらに、磁気記録媒体40の他方の面には、凹部42が形成されている。この凹部42は、図2に示す磁気記録媒体用基板1の他方の面に形成された凹部に相当する。また、図示しないが、磁気記録媒体40の他方の面には、凹部42の他、2つの凹部が形成されている。従って、上述したように、3つの凹部が等間隔に120度の間隔をおいて貫通孔の周縁部に形成されている。なお、磁気記録媒体用基板1の他方の面に3つ以上の凹部を形成した場合、磁気記録媒体40は、他方の面に3つ以上の凹部を有することになる。
また、磁気記録媒体50の一方の面には、凹部51が形成されている。この凹部51は、図2に示す磁気記録媒体用基板1の凹部3、4、5のいずれかに相当する。また、図示しないが、磁気記録媒体50の一方の面には、凹部51の他、2つの凹部が形成されている。従って、上述したように、3つの凹部が等間隔に120度の間隔をおいて貫通孔の周縁部に形成されている。なお、磁気記録媒体用基板1の一方の面に3つ以上の凹部を形成した場合、磁気記録媒体50は、一方の面に3つ以上の凹部を有することになる。
そして、磁気記録媒体40と磁気記録媒体50の間に設置されたスペーサ25の一方の面(磁気記録媒体40と向かい合う面)には、磁気記録媒体40の凹部42の位置に合わせて、突起部25aが形成されている。また、図示しないが、突起部25aの他、スペーサ25の一方の面には、磁気記録媒体40の表面に形成された凹部の位置に合わせて2つの突起部が形成されている。すなわち、スペーサ25の一方の面には、3つの突起部が等間隔に120度の間隔をおいて形成されている。
さらに、スペーサ25の他方の面(磁気記録媒体50と向かい合う面)には、磁気記録媒体50の凹部51の位置に合わせて、突起部25bが形成されている。また、図示しないが、突起部25bの他、スペーサ25の他方の面には、磁気記録媒体50の表面に形成された凹部の位置に合わせて2つの突起部が形成されている。すなわち、スペーサ25の他方の面には、3つの突起部が等間隔に120度の間隔をおいて形成されている。
そして、磁気記録媒体40と磁気記録媒体50との間にスペーサ25を介在させることで、スペーサ25の一方の面に形成された突起部25aが、磁気記録媒体40の他方の面に形成された凹部42に嵌合される。スペーサ25の一方の面には120度の間隔をおいて3つの突起部が形成され、磁気記録媒体40の他方の面には120度の間隔をおいて3つの凹部が形成されている。突起部と凹部はそれぞれ対応する位置に形成されているため、3つの突起部と3つの凹部は、それぞれ嵌合することになる。また、磁気記録媒体40の他方の面に3つ以上の凹部を形成した場合、それら3つ以上の凹部の数と間隔に合わせて、3つ以上の突起部をスペーサ25の一方の面に形成し、それら突起部を凹部に嵌合させる。
さらに、スペーサ25の他方の面に形成された突起部25bが、磁気記録媒体50の一方の面に形成された凹部51に嵌合される。スペーサ25の他方の面には120度の間隔をおいて3つの突起部が形成され、磁気記録媒体50の一方の面には120度の間隔をおいて3つの凹部が形成されている。突起部と凹部はそれぞれ対応する位置に形成されているため、3つの突起部と3つの凹部は、それぞれ嵌合することになる。また、磁気記録媒体50の一方の面に3つ以上の凹部を形成した場合、それら3つ以上の凹部の数と間隔に合わせて、3つ以上の突起部をスペーサ25の他方の面に形成し、それら突起部を凹部に嵌合させる。
スペーサ25に形成された突起部が磁気記録媒体40、50の凹部に嵌合することで磁気記録媒体40、50をスピンドルモータ12の回転軸に対して固定し、さらに、スピンドルモータ12の回転によるトルクを磁気記録媒体40、50に伝達する。この変形例では、スペーサ25は、突起部のみが磁気記録媒体40、50に当接して磁気記録媒体40、50を固定し、トルクを磁気記録媒体40、50に伝達する。
スペーサ25に形成された突起部25a、25bの形状は略球状の形状を有している。磁気記録媒体40に形成された凹部42は円形状の形状を有し、磁気記録媒体40の表面における径が最大となり、深くなるほど、凹部42の径は徐々に小さくなっている。また、磁気記録媒体40の表面における凹部42の径は、スペーサ25の突起部25aの最大径よりも小さくなっている。突起部25aが凹部42に嵌合されると、突起部25aの所定高さにおける側面の全周が、凹部42の所定深さにおける内面の全周に当接する。また、スペーサ25の一方の面に設けられた突起部25a以外の2つの突起部も、突起部25aと同じ形状を有し、磁気記録媒体40に形成された凹部42以外の2つの凹部も、凹部42と同じ形状を有している。そして、スペーサ25の一方の面に設けられた突起部の側面が各凹部の内面に当接する。これにより、スペーサ25は突起部のみが磁気記録媒体40に当接することになる。
また、磁気記録媒体50に形成された凹部51は円形状の形状を有し、磁気記録媒体50の表面における径が最大となり、深くなるほど、凹部51の径は徐々に小さくなっている。また、磁気記録媒体50の表面における凹部51の径は、スペーサ25の突起部25bの最大径よりも小さくなっている。突起部25bが凹部51に嵌合されると、突起部25bの所定高さにおける側面の全周が、凹部51の所定深さにおける内面の全周に当接する。また、スペーサ25の他方の面に設けられた突起部25b以外の2つの突起部も、突起部25bと同じ形状を有し、磁気記録媒体50に形成された凹部51以外の2つの凹部も、凹部51と同じ形状を有している。そして、スペーサ25の他方の面に設けられた突起部の側面が各凹部の内面に当接する。これにより、スペーサ25は突起部のみが磁気記録媒体50に当接することになる。
以上のように、スペーサ25の突起部の所定高さにおける側面の全周が、磁気記録媒体40、50の凹部の内面に当接することで、磁気記録媒体40、50をスピンドルモータ12の回転軸に対して固定し、また、スピンドルモータ12の回転によるトルクを磁気記録媒体40、50に伝達する。
さらに、磁気記録媒体50の他方の面には、凹部52が形成されている。この凹部52は、図2に示す磁気記録媒体用基板1の他方の面に形成された凹部に相当する。また、図示しないが、磁気記録媒体50の他方の面には、凹部52の他、2つの凹部が形成されている。従って、上述したように、3つの凹部が等間隔に120度の間隔をおいて貫通孔の周縁部に形成されている。なお、磁気記録媒体用基板1の他方の面に3つ以上の凹部を形成した場合、磁気記録媒体50は、他方の面に3つ以上の凹部を有することになる。
また、クランプ台28の表面(磁気記録媒体50と向かい合う面)には、磁気記録媒体50の凹部52の位置に合わせて、突起部28aが形成されている。また、図示しないが、突起部28aの他、クランプ台28の表面には、磁気記録媒体50の表面に形成された凹部の位置に合わせて2つの突起部が形成されている。すなわち、クランプ台28の表面には、3つの突起部が等間隔に120度の間隔をおいて形成されている。
そして、クランプ台28の上に磁気記録媒体50を設置することで、クランプ台28の表面に形成された突起部28aが、磁気記録媒体50の他方の面に形成された凹部52に嵌合される。クランプ台28の表面には120度の間隔をおいて3つの突起部が形成され、磁気記録媒体50の他方の面には120度の間隔をおいて3つの凹部が形成されている。突起部と凹部はそれぞれ対応する位置に形成されているため、3つの突起部と3つの凹部は、それぞれ嵌合することになる。また、磁気記録媒体50の他方の面に3つ以上の凹部を形成した場合、それら3つ以上の凹部の数と間隔に合わせて、3つ以上の突起部をクランプ台28に形成し、それら突起部を凹部に嵌合させる。
クランプ台28に形成された突起部が磁気記録媒体50の凹部に嵌合することで磁気記録媒体40、50をスピンドルモータ12の回転軸に対して固定し、さらに、スピンドルモータ12の回転によるトルクを磁気記録媒体40、50に伝達する。この変形例では、クランプ台28は、突起部のみが磁気記録媒体50に当接して磁気記録媒体40、50を固定し、トルクを磁気記録媒体40、50に伝達する。
クランプ台28に形成された突起部28aの形状は略球状の形状を有している。磁気記録媒体50に形成された凹部52は円形状の形状を有し、磁気記録媒体50の表面における径が最大となり、深くなるほど、凹部52の径は徐々に小さくなっている。また、磁気記録媒体50の表面における凹部52の径は、クランプ台28の突起部28aの最大径よりも小さくなっている。突起部28aが凹部52に嵌合されると、突起部28aの所定高さにおける側面の全周が、凹部52の所定深さにおける内面の全周に当接する。また、クランプ台28に設けられた突起部28a以外の2つの突起部も、突起部28aと同じ形状を有し、時期記録媒体50に形成された凹部52以外の2つの凹部も、凹部52と同じ形状を有している。そして、クランプ台28に設けられた突起部の側面が各凹部の内面に当接する。これにより、クランプ台28は突起部のみが磁気記録媒体50に当接することになる。
以上のように、クランプ台28の突起部の所定高さにおける側面の全周が、磁気記録媒体50の凹部の内面に当接することで、磁気記録媒体40、50をスピンドルモータ12の回転軸に対して固定し、また、スピンドルモータ12の回転によるトルクを磁気記録媒体40、50に伝達する。
以上のように、磁気記録媒体40、50に形成された凹部に、クランプ部材の突起部、スペーサの突起部、又はクランプ台28の突起部を嵌合させ、突起部と凹部との接触によって磁気記録媒体40、50を押圧することで、比較的弱い力でも磁気記録媒体40、50をスピンドルモータ12の回転軸に対して固定し、また、スピンドルモータ12の回転によるトルクを伝達することが可能となる。その結果、磁気記録媒体40、50の固定時に発生する歪みを低減することが可能となる。
なお、この変形例においては、スペーサとクランプ台に突起部を設けたが、スペーサとクランプ台に突起部を設けなくても良い。この場合、平坦な面を有するスペーサとクランプ台を用いる。そして、突起部が設けられたクランプを用いて、磁気記録媒体40、50を押圧する。スペーサとクランプ台に突起部を設けない場合は、スペーサとクランプ台の突起部に対応する凹部を、磁気記録媒体40、50に形成しなくても良い。
また、クランプ台に突起部を設けず、クランプとスペーサに突起部を設けて磁気記録媒体40、50を押圧しても良いし、スペーサに突起部を設けず、クランプとクランプ台に突起部を設けて磁気記録媒体40、50を押圧しても良い。
(磁気記録媒体用基板1の材料)
上述した磁気記録媒体30、40、及び50に用いられる磁気記録媒体用基板1には、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、又は活性線硬化性樹脂の他、様々な樹脂を用いることができる。
熱可塑性樹脂として、磁気記録媒体用基板には、例えば、ポリカーボネイト、ポリエーテルエーテルケトン樹脂(PEEK樹脂)、環状ポリオレフィン樹脂、メタクリルスチレン樹脂(MS樹脂)、ポリスチレン樹脂(PS樹脂)、ポリエーテルイミド樹脂(PEI樹脂)、ABS樹脂、ポリエステル樹脂(PET樹脂、PBT樹脂など)、ポリオレフィン樹脂(PE樹脂、PP樹脂など)、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂(PES樹脂)、ポリアリレート樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリアミド樹脂、又は、アクリル樹脂などを用いることができる。また、熱硬化性樹脂として、例えば、フェノール樹脂、ユリア樹脂、不飽和ポリエステル樹脂(BMC樹脂など)、シリコン樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、又は、ポリベンゾイミダゾール樹脂などを用いることができる。その他、ポリエチレンナフタレート樹脂(PEN樹脂)などを用いることができる。
活性線硬化性樹脂として、例えば、紫外線硬化性樹脂が用いられる。紫外線硬化性樹脂としては、例えば、紫外線硬化性アクリルウレタン系樹脂、紫外線硬化性ポリエステルアクリレート系樹脂、紫外線硬化性エポキシアクリレート系樹脂、紫外線硬化性ポリオールアクリレート系樹脂、紫外線硬化性エポキシ樹脂、紫外線硬化シリコン系樹脂、又は、紫外線硬化アクリル樹脂などを挙げることができる。
また、塗説された硬化前の層に活性線を照射することによって硬化するときに、光開始剤を用いて硬化反応を促進させることが好ましい。このとき光増感剤を併用しても良い。
また、空気中の酸素が上記硬化反応を抑制する場合は、酸素濃度を低下させる、または除去するために、例えば不活性ガス雰囲気下で活性線を照射することもできる。活性線としては、赤外線、可視光、紫外線などを適宜選択することができるが、硬化速度などの生産性の面で紫外線を選択することが好ましいが、特に限定されるものではない。また、活性線の照射中、または前後に加熱によって硬化反応を強化させても良い。
さらに、磁気記録媒体用基板には、液晶ポリマー、有機/無機ハイブリッド樹脂(例えば、高分子成分にシリコンを骨格として取り込んだもの)などを用いても良い。なお、上記に挙げた樹脂は磁気記録媒体用基板に用いられる樹脂の一例であり、この発明に係る基板がこれらの樹脂に限定されることはない。2種以上の樹脂を混合して樹脂製の基板としても良く、また、別々の層として異なる成分を隣接させた基板としても良い。
また、母材としての樹脂は、極力、耐熱温度又はガラス転移温度Tgが高い方が望ましい。樹脂製の磁気記録媒体用基板にはスパッタリングにより磁性層が形成されるため、耐熱温度又はガラス転移温度Tgは、そのスパッタリングにおける温度以上であることが望ましい。例えば、耐熱温度又はガラス転移温度Tgが150℃以上である樹脂を用いることが望ましく、より好ましくは200℃以上である樹脂を用いることが望ましい。
耐熱温度又はガラス転移温度Tgが150℃以上の代表的な樹脂として、耐熱性ポリカーボネイト、シリコン樹脂、テフロン樹脂、無機フィラーを充填したフェノール、メラニン、エポキシ、ポリフェニレンスルファイド、不飽和ポリエステルなどの樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂(PES樹脂)、ポリエーテルイミド樹脂(PEI樹脂)、ポリアミドイミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリベンゾイミダゾール樹脂、BMC樹脂、又は、液晶ポリマーなどが挙げられる。より具体的には、ポリエーテルスルホン樹脂(PES樹脂)として、ユーデル(ソルベイアデバンストポリマーズ)、ポリエーテルイミド樹脂(PEI樹脂)として、ウルテム(日本GEプラスチック)、ポリアミドイミド樹脂として、トーロン(ソルベイアデバンストポリマーズ)、ポリイミド樹脂(熱可塑性)として、オーラム(三井化学)、ポリイミド(熱硬化性)として、ユーピレックス(宇部興産)、又は、ポリベンゾイミダゾール樹脂として、PBI/Celazole(クラリアントジャパン)が挙げられる。また、液晶ポリマーとして、スミカスーパーLCP(住友化学)、ポリエーテルエーテルケトンとして、ビクトレックス(ビクトレックスMC)が挙げられる。