この発明の実施形態に係る磁気ディスク装置、及び磁気記録媒体用基板について、図1から図4を参照して説明する。
図1は、この発明の実施形態に係る磁気ディスク装置の構成を示す斜視図である。磁気ディスク装置10は、筐体11の平面部に、スピンドルモータ(図示しない)が設置されている。磁気記録媒体30は、クランプ20によって押圧されて、スピンドルモータの回転軸に対して固定され、スピンドルモータによって回転駆動させられる。
さらに、筐体11には、アーム13が垂直軸13aの周りに揺動可能に取り付けられている。このアーム13の一端には、板ばねからなるサスペンション13bを介して、ヘッドスライダ14が取り付けられている。また、アーム13の他端には、ボイスコイル15aが備えられ、ボイスコイル15aを挟持するように、筐体11上には、マグネット(図示しない)が取り付けられている。これにより、ボイスコイル15aとマグネットとによって、ボイスコイルモータ15が構成されている。
ボイスコイル15aに外部から電流が供給されると、アーム13は、マグネットの磁場と、ボイスコイル15aに流れる電流とによって生じる力に基づいて、垂直軸13aの周りに回動する。これにより、アーム13の一端に取り付けられたヘッドスライダ14は、磁気記録媒体30の半径方向(矢印Xの方向)に移動させられる。ヘッドスライダ14に設置された磁気ヘッド(図示しない)は、磁気記録媒体30に対してシーク動作を行う。
さらに、ヘッドスライダ14は、磁気記録媒体30の回転に伴って浮揚力を受け、その浮揚力とサスペンション13bによる押圧力とのバランスによって、磁気記録媒体30の表面から一定の浮上量で走行することになる。これにより、磁気記録媒体30の所定のトラックに対して、データの記録・再生が行われる。
ここで、磁気記録媒体30に用いられる磁気記録媒体用基板について図2を参照して説明する。図2は、この発明の実施形態に係る磁気記録媒体用基板の斜視図である。
磁気記録媒体用基板1は円板状の形状を有し、基板の中央に、基板の厚さ方向に貫通する貫通孔2が形成されている。磁気記録媒体用基板1は樹脂で構成されている。この磁気記録媒体用基板1の表面に磁性膜を成膜することで、磁気ディスク装置10に用いられる磁気記録媒体30が作製される。
さらに、磁気記録媒体用基板1の一方の面には、貫通孔2の周縁部に凹部3、4、5が形成されている。貫通孔2の周縁部は、貫通孔2から所定距離外側までの領域であり、磁気記録媒体において情報の記録に用いられない領域である。凹部3、4、5は、それぞれ貫通孔2の中心から等しい距離に形成されており、円周方向に等間隔に形成されている。例えば、凹部3、4、5は、等間隔に120度の間隔をおいて形成されている。この実施形態では、凹部3、4、5を等間隔に120度の間隔をおいて形成したが、等間隔に形成しなくても良い。また、この実施形態では、3つの凹部を磁気記録媒体用基板1に形成したが、3つ以上の凹部を形成しても良い。この場合も、複数の凹部を等間隔に形成しても良いし、等間隔に形成しなくても良い。
磁気記録媒体用基板1の表面に、スパッタリングなどの成膜方法によってCo系合金などの磁性膜を成膜して磁気記録媒体30を作製する。磁性膜は、磁気記録媒体用基板1の片面のみに成膜しても良いし、両面に成膜しても良い。これにより、貫通孔の周縁部に、上述した凹部3、4、5に相当する3つの凹部が形成された磁気記録媒体30が作製される。この凹部に、クランプに設けられた突起部が嵌合することで、磁気記録媒体30がスピンドルモータの回転軸に固定される。
次に、磁気記録媒体30とクランプ20の構成について図3を参照して説明する。図3は、この発明の実施形態に係る磁気ディスク装置の一部断面図であり、図1のIII−III断面図である。
スピンドルモータ12に接続されたハブ24は円柱状の形状を有し、磁気記録媒体30の貫通孔に嵌合されている。また、ハブ24の上端には、板ばねからなるクランプ20がねじ23によってねじ止めされている。クランプ20は、磁気記録媒体30の一方の面において、貫通孔の周縁部に当接している。また、ハブ24の下端部に形成されたクランプ台25は、磁気記録媒体30の他方の面において、貫通孔の周縁部に当接している。
以上のように、クランプ20とクランプ台25とによって磁気記録媒体30を上下方向から挟持することで、磁気記録媒体30を保持する。
クランプ20は、例えば円板状の形状を有し、中心にねじ23を貫通させるための貫通孔が形成されている。そして、クランプ20の外周端部には、磁気記録媒体30と対向する面に、円周方向に沿ってスピンドルモータ12の回転軸方向に突出した押圧部21が設けられている。さらに、押圧部21には、磁気記録媒体30と対向する面に、120度の間隔をおいて3つの突起部が、回転軸方向に突出して設けられている。なお、図3には、突起部22のみが図示されているが、押圧部21上に等間隔に120度の間隔をおいて3つの突起部が設けられている。
磁気記録媒体30の一方の面(クランプ20と対向する面)には、凹部31が形成されている。この凹部31は、図2に示す磁気記録媒体用基板1の凹部3、4、5のいずれかに相当する。また、図示しないが、磁気記録媒体30の一方の面には、凹部31の他、2つの凹部が形成されている。従って、上述したように、3つの凹部が等間隔に120度の間隔をおいて貫通孔の周縁部に形成されている。なお、磁気記録媒体用基板1に3つ以上の凹部を形成した場合、磁気記録媒体30は、3つ以上の凹部を有することになる。
クランプ20をハブ24の上端に設置し、ねじ23によってハブ24にねじ止めすることで、押圧部21に設けられた突起部22が、磁気記録媒体30の凹部31に嵌合される。突起部22を、磁気記録媒体30の凹部31に対応する位置に設けることで、凹部31に嵌合させる。そして、押圧部21の突起部22が設けられた面のうち平坦な部分(押圧面)が、磁気記録媒体30の表面に当接する。例えば、押圧部21の押圧面は、凹部31の周辺の表面に当接する。押圧部21に設けられた3つの突起部は、磁気記録媒体30の3つの凹部にそれぞれ嵌合される。すなわち、磁気記録媒体30には3つの凹部が120度の間隔をおいて形成され、押圧部21には3つの突起部が120度の間隔をおいて設けられているため、クランプ20をねじ止めすることで、3つの突起部がそれぞれ対応する凹部に嵌合されることになる。
磁気記録媒体30には3つの凹部が等間隔に120度の間隔をおいて形成され、クランプ20には、それら3つの凹部の間隔に合わせて、3つの突起部が等間隔に120度の間隔において設けられている。このように、磁気記録媒体30(磁気記録媒体用基板1)に形成された凹部の数と間隔に合わせて、突起部をクランプ20に形成し、突起部を磁気記録媒体30の凹部にそれぞれ嵌合させる。また、磁気記録媒体30に3つ以上の凹部を形成した場合、それら3つ以上の凹部の数と間隔に合わせて、3つ以上の突起部をクランプ20に形成し、それら突起部を磁気記録媒体30の凹部に嵌合させる。
クランプ20は板ばねで構成されているため、ねじ23によってクランプ20をハブ24に固定することで、クランプ20は撓り、磁気記録媒体30はクランプ20によって押圧される。
クランプ20に設けられた押圧部21の平坦な面(押圧面)が磁気記録媒体30の表面に接することで、磁気記録媒体30を押圧する。例えば、押圧部21の押圧面が凹部31の周辺の表面に当接することで、磁気記録媒体30を押圧する。この押圧によって、磁気記録媒体30をスピンドルモータ12の回転軸に対して固定し、さらに、スピンドルモータ12の回転によるトルクを磁気記録媒体30に伝達する。さらに、押圧部21に設けられた突起部が磁気記録媒体30の凹部に嵌合することで、スピンドルモータ12の回転によるトルクを磁気記録媒体30に伝達する。この実施形態では、クランプ20は、押圧部21の押圧面と突起部のみが磁気記録媒体30に接触して磁気記録媒体30を押圧し、これによって、磁気記録媒体30を回転軸に対して固定し、トルクを磁気記録媒体30に伝達する。
ここで、クランプ20の外周端部に設けられた押圧部、突起部と、磁気記録媒体30に形成された凹部について図4を参照して説明する。図4は、この発明の実施形態に係るクランプと磁気記録媒体を示す一部断面図である。
図4に示すように、クランプ20の外周端部に設けられた押圧部21は、磁気記録媒体30と対向する面に平坦な面を有し、さらに、その面に突起部22を有している。突起部22は、例えば半球状の形状を有している。突起部22は、押圧部21から離れる方向に向かって徐々に幅が狭くなっている。図4に示す例では、突起部22の側面は曲線を有し、先端に向かって徐々に幅が狭くなっている。これは1例であり、突起部22の側面が直線状であっても良い。
磁気記録媒体30に形成された凹部31は円形状の形状を有し、磁気記録媒体30の表面における径が最大となり、深くなるほど、凹部31の径は徐々に小さくなっている。図4に示す例では、凹部31の側面は曲線を有している。これは1例であり、凹部31の側面が直線状であっても良い。
磁気記録媒体30の表面における凹部31の径は、突起部22の最大径よりも大きくなっている。さらに、凹部31の深さは、突起部22の高さ以上となっている。つまり、凹部31の深さは、突起部22の高さと等しいか、又は、突起部22の高さよりも深くなっている。このように、突起部22の大きさは凹部31の大きさよりも小さくなっている。そのため、突起部22が凹部31に嵌合されると、突起部22と凹部31との間に若干の隙間が生じる。
突起部22の大きさは凹部31の大きさよりも小さくなっているため、突起部22を凹部31に嵌合すると、押圧部21の平坦な面(以下、「押圧面21a」と称する場合がある)が、磁気記録媒体30の表面に当接する。
また、突起部22以外の2つの突起部も、突起部22と同じ形状を有し、凹部31以外の2つの凹部も、凹部31と同じ形状を有している。そして、各突起部が各凹部に嵌合され、押圧部21の押圧面21aが磁気記録媒体30の表面に当接する。このように、押圧部21の押圧面21aが、磁気記録媒体30の表面に当接することで、クランプ20による押圧力が磁気記録媒体30に伝わり、磁気記録媒体30がスピンドルモータ12の回転軸に対して固定される。すなわち、磁気記録媒体30の固定は、押圧部21の当接によって行われる。さらに、押圧部21が磁気記録媒体30の表面に当接することで、スピンドルモータ12の回転によるトルクが、磁気記録媒体30に伝達される。
さらに、突起部22が凹部31に嵌合することでも、スピンドルモータ12の回転によるトルクが磁気記録媒体30に伝達される。すなわち、スピンドルモータ12の回転に伴って、突起部22が凹部31に引っ掛かり、その引っ掛かりによってスピンドルモータ12の回転によるトルクが、磁気記録媒体30に伝達される。このように、スピンドルモータ12の回転によるトルクは、押圧部21の磁気記録媒体30への当接と、突起部22の凹部31への嵌合とによって磁気記録媒体30に伝達される。
以上のように、磁気記録媒体30に形成された凹部にクランプの突起部を嵌合させ、押圧部によって磁気記録媒体30を押圧することで、比較的弱い力でも磁気記録媒体30をスピンドルモータ12の回転軸に対して固定し、さらに、スピンドルモータ12の回転によるトルクを磁気記録媒体30に伝達することが可能となる。その結果、磁気記録媒体30の固定時において発生する歪みを低減することが可能となる。
また、複数の凹部を等間隔に磁気記録媒体30に形成して、各凹部に突起部を嵌合することで、バランス良く、磁気記録媒体30を押圧し、スピンドルモータ12の回転によるトルクを磁気記録媒体30に伝達することができる。例えば、この実施形態のように、3つの凹部を120度間隔で磁気記録媒体30に形成して、各凹部に突起部を嵌合することで、クランプによって磁気記録媒体30に加えられる力が均一になり、バランス良く、磁気記録媒体30を押圧し、トルクを磁気記録媒体30に伝達することが可能となる。
また、突起部22の大きさと凹部31の大きさをほぼ等しくすることで、突起部22と凹部31の内面を接触させても良い。このように突起部22を凹部31の内面に接触させても、スピンドルモータ12の回転時において突起部22が凹部31に引っ掛かり、その引っ掛かりによってスピンドルモータ12の回転によるトルクを、磁気記録媒体30に伝達することができる。
[変形例1]
次に、上述した実施形態の変形例1について図5及び図6を参照して説明する。図5は、変形例1に係る磁気ディスク装置の一部断面図である。図6は、変形例1に係るクランプと磁気記録媒体を示す一部断面図である。
上述した実施形態では、クランプ20に突起部22を設け、磁気記録媒体30に凹部31を形成している。この変形例では、磁気記録媒体に突起部を設け、クランプには押圧部を設け、クランプの押圧部に、磁気記録媒体の突起部が嵌合する凹部を設けた。
図5に示すように、磁気記録媒体40がハブ24に接続されている。また、ハブ24の上端には、板ばねからなるクランプ50がねじ23によってねじ止めされている。クランプ50は、磁気記録媒体40の一方の面において、貫通孔の周縁部に当接している。また、ハブ24の下端部に形成されたクランプ台25は、磁気記録媒体40の他方の面において、貫通孔の周縁部に当接している。このように、クランプ50とクランプ台25とによって磁気記録媒体40を上下方向から挟持することで、磁気記録媒体30を保持する。
クランプ50は、例えば円板状の形状を有し、中心にねじ23を貫通させるための貫通孔が形成されている。そして、クランプ50の外周端部には、磁気記録媒体40と対向する面に、円周方向に沿ってスピンドルモータ12の回転軸方向に突出した押圧部51が設けられている。さらに、押圧部51には、磁気記録媒体40と対向する面に、120度の間隔をおいて3つの凹部が形成されている。なお、図5には、凹部52のみが図示されているが、押圧部51上に等間隔に120度の間隔をおいて3つの凹部が形成されている。
磁気記録媒体40の一方の面(クランプ50と対向する面)には、回転軸方向に突出した突起部41が設けられている。なお、図5には、突起部41のみが図示されているが、磁気記録媒体40の一方の面には、突起部41の他、2つの突起部が設けられている。つまり、磁気記録媒体40の一方の面には、3つの突起部が設けられている。3つの突起部は、等間隔に120度の間隔をおいて貫通孔の周縁部に設けられている。
磁気記録媒体40に用いられる磁気記録媒体用基板は、上述した磁気記録媒体用基板1と同様に、樹脂で構成され、円板状の形状を有し、基板の中央に、基板の厚さ方向に貫通する貫通孔を有している。そして、磁気記録媒体用基板の表面に磁性膜を成膜することで、磁気ディスク装置に用いられる磁気記録媒体40が作製される。
磁気記録媒体40に用いられる磁気記録媒体用基板の一方の面には、貫通孔の周縁部に3つの突起部が設けられている。貫通孔の周縁部は、貫通孔から所定距離外側までの領域であり、磁気記録媒体40において情報の記録に用いられない領域である。3つの突起部は、それぞれ貫通孔の中心から等しい距離に設けられており、円周方向に等間隔に設けられている。例えば、3つの突起部は、等間隔に120度の間隔をおいて設けられている。この変形例1では、3つの突起部を磁気記録媒体用基板に設けたが、3つ以上の突起部を設けても良い。この場合も、複数の突起部を等間隔に設けても良いし、等間隔に設けなくても良い。この突起部が、磁気記録媒体40の突起部41に相当する。この磁気記録媒体用基板の表面に磁性膜を成膜して磁気記録媒体40を作製する。これにより、貫通孔の周縁部に、3つの突起部が設けられた磁気記録媒体40が作製される。
以上のように、磁気記録媒体40には、凹部の代わりに突起部41を設け、クランプ50には、突起部の代わりに凹部52を形成している。
クランプ50をハブ24の上端に設置し、ねじ23によってハブ24にねじ止めすることで、磁気記録媒体40に設けられた突起部41が、クランプ50の押圧部51に形成された凹部52に嵌合される。凹部52を、磁気記録媒体40の突起部41に対応する位置に形成することで、突起部41を凹部52に嵌合させる。そして、押圧部51の凹部52が形成された面のうち平坦な部分(押圧面)が、磁気記録媒体40の表面に当接する。例えば、押圧部51の押圧面は、突起部41の周辺の表面に当接する。磁気記録媒体40に設けられた3つの突起部は、押圧部51の3つの凹部にそれぞれ嵌合される。すなわち、磁気記録媒体40には3つの突起部が120度の間隔をおいて設けられ、押圧部51には3つの凹部が120度の間隔をおいて形成されているため、クランプ50をねじ止めすることで、3つの突起部がそれぞれ対応する凹部に嵌合されることになる。
磁気記録媒体40には3つの突起部が等間隔に120度の間隔をおいて設けられ、クランプ50には、それら3つの突起部の間隔に合わせて、3つの凹部が等間隔に120度の間隔をおいて形成されている。このように、磁気記録媒体40(磁気記録媒体用基板)に形成された突起部の数と間隔に合わせて、凹部をクランプ50に形成し、突起部をクランプ50の凹部52に嵌合させる。また、磁気記録媒体40に3つ以上の突起部を設けた場合、それら3つ以上の突起部の数と間隔に合わせて、3つ以上の凹部をクランプ50に形成し、それら突起部を凹部に嵌合させる。
クランプ50は板ばねで構成されているため、ねじ23によってクランプ50をハブ24に固定することで、クランプ50は撓り、磁気記録媒体40はクランプ50によって押圧される。
クランプ50に設けられた押圧部51の平坦な面(押圧面)が磁気記録媒体40の表面に接することで、磁気記録媒体40を押圧する。例えば、押圧部51の押圧面が突起部41の周辺の表面に当接することで、磁気記録媒体40を押圧する。この押圧によって、磁気記録媒体40をスピンドルモータ12の回転軸に対して固定し、さらに、スピンドルモータ12の回転によるトルクを磁気記録媒体40に伝達する。さらに、磁気記録媒体40に設けられた突起部41が、押圧部51に形成された凹部52に嵌合することで、スピドルモータ12の回転によるトルクを磁気記録媒体40に伝達する。変形例1では、クランプ50は、押圧部51のみが磁気記録媒体40に接触して磁気記録媒体40を押圧し、これによって、磁気記録媒体40を回転軸に対して固定し、トルクを磁気記録媒体40に伝達する。
ここで、クランプ50の外周端部に設けられた押圧部と、磁気記録媒体40に設けられた突起部について図6を参照して説明する。
図6に示すように、クランプ50の外周端部に設けられた押圧部51は、磁気記録媒体40と対向する面に平坦な面を有し、さらに、その面に凹部52が形成されている。凹部52は円形状の形状を有し、押圧部51の表面における径が最大となり、深くなるほど、押部52の径は徐々に小さくなっている。図6に示す例では、凹部52の側面は曲線を有している。これは1例であり、凹部52の側面が直線状であっても良い。
磁気記録媒体40に設けられた突起部41は、例えば半球状の形状を有している。突起部41は、磁気記録媒体40から離れる方向に向かって徐々に幅が狭くなっている。図6に示す例では、突起部41の側面は曲線を有し、先端に向かって徐々に幅が狭くなっている。これは1例であり、突起部41の側面が直線状であっても良い。
押圧部51の表面における凹部52の径は、突起部41の最大径よりも大きくなっている。さらに、凹部52の深さは、突起部41の高さ以上となっている。つまり、凹部52の深さは、突起部41の高さと等しいか、又は、突起部41の高さよりも深くなっている。このように、突起部41の大きさは凹部52の大きさよりも小さくなっている。そのため、突起部41が凹部52に嵌合されると、突起部41と凹部52との間に若干の隙間が生じる。
突起部41の大きさは凹部52の大きさよりも小さくなっているため、突起部41を凹部52に嵌合すると、押圧部51の平坦な面(以下、「押圧面51a」と称する場合がある)が、磁気記録媒体40の表面に当接する。
また、突起部41以外の2つの突起部も、突起部41と同じ形状を有し、凹部52以外の2つの凹部も、凹部52と同じ形状を有している。そして、各突起部が各凹部に嵌合され、押圧部51の凹圧面51aが磁気記録媒体40の表面に当接する。このように、押圧部51の押圧面51aが、磁気記録媒体40の表面に当接することで、クランプ50による押圧力が磁気記録媒体40に伝わり、磁気記録媒体40がスピンドルモータ12の回転軸に対して固定される。すなわち、磁気記録媒体40の固定は、押圧部51の当接によって行われる。さらに、押圧部51が磁気記録媒体40の表面に当接することで、スピンドルモータ12の回転によるトルクが、磁気記録媒体40に伝達される。
さらに、突起部41が凹部52に嵌合することでも、スピンドルモータ12の回転によるトルクが磁気記録媒体40に伝達される。すなわち、スピンドルモータ12の回転に伴って、突起部41が凹部52に引っ掛かり、その引っ掛かりによってスピンドルモータ12の回転によるトルクが、磁気記録媒体40に伝達される。このように、スピンドルモータ12の回転によるトルクは、押圧部51の磁気記録媒体40への当接と、突起部41の凹部52への嵌合とによって磁気記録媒体40に伝達される。
以上のように、クランプ50の押圧部51に形成された凹部に磁気記録媒体40の突起部を嵌合させ、押圧部51によって磁気記録媒体40を押圧することで、比較的弱い力でも磁気記録媒体40をスピンドルモータ12の回転軸に対して固定し、さらに、スピンドルモータ12の回転によるトルクを磁気記録媒体40に伝達することが可能となる。その結果、磁気記録媒体40の固定時において発生する歪みを低減することが可能となる。
また、変形例1に係る磁気記録媒体40は、比較的容易に作製することができる。変形例1に係る磁気記録媒体用基板を成型により作製する場合、突起部41に対応する凹部を金型に形成し、その金型によって成型することで、突起部を備えた磁気記録媒体用基板を容易に作製することができる。
なお、変形例1においては、クランプ50に形成されている凹部52を貫通孔にしても良い。凹部52を貫通孔としても、磁気記録媒体40の突起部41がその貫通孔に嵌合し、スピンドルモータ12の回転によるトルクを磁気記録媒体40に伝達することが可能となる。
[変形例2]
次に、上述した実施形態の変形例2について図7及び図8を参照して説明する。図7は、変形例2に係る磁気ディスク装置の構成を示す斜視図である。図8は、変形例2に係る磁気ディスク装置の一部断面図であり、図7のVIII−VIII断面図である。
変形例2に係る磁気ディスク装置10Aは、図1に示す磁気ディスク装置10と同様に、筐体11、スピンドルモータ12、アーム13、垂直軸13a、サスペンション13b、ヘッドスライダ14、ボイスコイルモータ15、ボイスコイル15a、及びクランプ20を備えている。そして、磁気記録媒体60、70は、クランプ20によって、スピンドルモータ12の回転軸に対して固定され、スピンドルモータ12によって回転駆動させられる。変形例2では、2つの磁気記録媒体が磁気ディスク装置10Aに設置されている。なお、変形例に係る磁気記録媒体60、70がこの発明の「個別媒体」の1例に相当し、個別媒体としての磁気記録媒体60、70が積層されて磁気ディスク装置10Aに設置される。
磁気記録媒体60、70に用いられる磁気記録媒体用基板には、上述した実施形態と同様に、図2に示す磁気記録媒体用基板1が用いられる。変形例に用いられる磁気記録媒体用基板1の一方の面には、凹部3、4、5が等間隔に120度の間隔をおいて形成されている。さらに、図2には示さないが、変形例においては、磁気記録媒体用基板1の他方の面にも、貫通孔2の周縁部に3つの凹部が等間隔に120度の間隔をおいて形成されている。なお、上述した実施形態と同様に、磁気記録媒体用基板1の片面につき3つ以上の凹部を形成した場合、磁気記録媒体60、70は、片面につき3つ以上の凹部を有することになる。
両面にそれぞれ3つの凹部が形成された磁気記録媒体用基板1の表面に、磁性膜を成膜して磁気記録媒体60、70を作製する。磁性膜は、磁気記録媒体用基板1の片面のみに成膜しても良いし、両面に成膜しても良い。これにより、貫通孔の周縁部に凹部が形成された磁気記録媒体60、70が作製される。
図8に示すように、スピンドルモータ12に接続されたハブ24は円柱状の形状を有し、磁気記録媒体60、70の貫通孔に嵌合されている。これにより、磁気記録媒体60、70は、スピンドルモータ12のハブ24に互いに同軸的に嵌合され、ハブ24の軸方向に沿って積層されている。
隣り合う2枚の磁気記録媒体60、70の間には、リング状の形状を有し、ハブ24に嵌合されたスペーサ26が介在している。スペーサ26の表面は、磁気記録媒体60、70の貫通孔の周縁部に当接している。
ハブ24の上端には、板ばねからなるクランプ20がねじ23によってねじ止めされている。クランプ20は、磁気記録媒体60の一方の面において、貫通孔の周縁部に当接している。また、ハブ24の下端部に形成されたクランプ台27は、磁気記録媒体70の一方の面において、貫通孔の周縁部に当接している。
以上のように、クランプ20、スペーサ26、及びクランプ台27によって磁気記録媒体60、70を上下方向から挟持することで、磁気記録媒体60、70を保持する。
上述した実施形態と同様に、クランプ20の外周端面には、磁気記録媒体60と対向する面に、円周方向に沿ってスピンドルモータ12の回転軸方向に突出した押圧部21が設けられている。さらに、押圧部21には、磁気記録媒体60と対向する面に、120度の間隔をおいて3つの突起部が、回転軸方向に突出して設けられている。なお、図8には、突起部22のみが図示されているが、押圧部21上に等間隔に120度の間隔をおいて3つの突起部が設けられている。
磁気記録媒体60の一方の面(クランプ50と対向する面)には、凹部61が形成されている。この凹部61は、図2に示す磁気記録媒体用基板1の凹部3、4、5のいずれかに相当する。また、図示しないが、磁気記録媒体60の一方の面には、凹部61の他、2つの凹部が形成されている。従って、上述したように、3つの凹部が等間隔に120度の間隔をおいて貫通孔の周縁部に形成されている。なお、磁気記録媒体用基板1の一方の面に3つ以上の凹部を形成した場合、磁気記録媒体60は、一方の面に3つ以上の凹部を有することになる。
クランプ20をハブ24の上端に設置し、ねじ23によってハブ24にねじ止めすることで、押圧部21上に設けられた突起部22が、磁気記録媒体60の凹部61に嵌合される。突起部22を、磁気記録媒体60の凹部61に対応する位置に設けることで、凹部61に嵌合させる。そして、押圧部21の突起部22が設けられた面のうち平坦な部分(押圧面)が、磁気記録媒体60の表面に当接する。例えば、押圧部21の押圧面は、凹部61の周辺の表面に当接する。そして、上述した実施形態と同様に、押圧部21に設けられた3つの突起部は、磁気記録媒体60の一方の面に形成された3つの凹部にそれぞれ嵌合される。
クランプ20は板ばねで構成されているため、ねじ23によってクランプ20をハブに固定することで、クランプ20が撓り、磁気記録媒体60はクランプ20によって押圧される。
磁気記録媒体60に形成された凹部61は円形状の形状を有し、磁気記録媒体60の表面における径が最大となり、深くなるほど、凹部61の径は徐々に小さくなっている。図8に示す例では、凹部61の側面は曲線を有している。これは1例であり、凹部61の側面が直線状であっても良い。
磁気記録媒体60の表面における凹部61の径は、突起部22の最大径よりも大きくなっている。さらに、凹部61の深さは、突起部22の高さ以上となっている。つまり、凹部61の深さは、突起部22の高さと等しいか、又は、突起部22の高さよりも深くなっている。このように、突起部22の大きさは凹部61の大きさよりも小さくなっている。そのため、突起部22が凹部61に嵌合されると、突起部22と凹部61との間に若干の隙間が生じる。突起部22の大きさは凹部61の大きさよりも小さくなっているため、突起部22を凹部61に嵌合すると、押圧部21の平坦な面(押圧面)が、磁気記録媒体60の表面に当接する。
また、突起部22以外の2つの突起部も、突起部22と同じ形状を有し、凹部61以外の2つの凹部も、凹部61と同じ形状を有している。そして、各突起部が各凹部に嵌合され、押圧部21の押圧面が磁気記録媒体60の表面に当接する。このように、押圧部21の押圧面が、磁気記録媒体60の表面に当接することで、クランプ20による押圧力が磁気記録媒体60に伝わり、磁気記録媒体60、70がスピンドルモータ12の回転軸に対して固定される。さらに、押圧部21が磁気記録媒体60の表面に当接することで、スピンドルモータ12の回転によるトルクが、磁気記録媒体60、70に伝達される。
さらに、スピンドルモータ12の回転に伴って、突起部22が凹部61に引っ掛かり、その引っ掛かりによってスピンドルモータ12の回転によるトルクが、磁気記録媒体60に伝達される。このように、スピンドルモータ12の回転によるトルクは、押圧部21の磁気記録媒体60への当接と、突起部22の凹部61への嵌合とによって磁気記録媒体60に伝達される。
変形例2では、クランプ20は、押圧部21の押圧面と突起部のみが磁気記録媒体60に接触して磁気記録媒体60、70を押圧し、これによって、磁気記録媒体60、70を回転軸に対して固定し、トルクを磁気記録媒体60、70に伝達する。
さらに、磁気記録媒体60の他方の面(スペーサ26と対向する面)には、凹部62が形成されている。この凹部62は、図2に示す磁気記録媒体用基板1の他方の面に形成された凹部に相当する。また、図示しないが、磁気記録媒体60の他方の面には、凹部62の他、2つの凹部が形成されている。従って、上述したように、3つの凹部が等間隔に120度の間隔をおいて貫通孔の周縁部に形成されている。なお、磁気記録媒体用基板1の他方の面に3つ以上の凹部を形成した場合、磁気記録媒体60は、他方の面に3つ以上の凹部を有することになる。
また、磁気記録媒体70の一方の面(スペーサ26と対向する面)には、凹部71が形成されている。この凹部71は、図2に示す磁気記録媒体用基板1の凹部3、4、5のいずれかに相当する。また、図示しないが、磁気記録媒体70の一方の面には、凹部71の他、2つの凹部が形成されている。従って、上述したように、3つの凹部が等間隔に120度の間隔をおいて貫通孔の周縁部に形成されている。なお、磁気記録媒体用基板1の一方の面に3つ以上の凹部を形成した場合、磁気記録媒体70は、一方の面に3つ以上の凹部を有することになる。
そして、磁気記録媒体60と磁気記録媒体70の間に設置されたスペーサ26の一方の面(磁気記録媒体60と対応する面)には、磁気記録媒体60の凹部62の位置に合わせて、突起部26aが形成されている。また、図示しないが、突起部26aの他、スペーサ26の一方の面には、磁気記録媒体60の表面に形成された凹部の位置に合わせて2つの突起部が形成されている。すなわち、スペーサ26の一方の面には、3つの突起部が等間隔に120度の間隔をおいて形成されている。
さらに、スペーサ26の他方の面(磁気記録媒体70と対向する面)には、磁気記録媒体70の凹部71の位置に合わせて、突起部26bが形成されている。また、図示しないが、突起部26bの他、スペーサ26の他方の面には、磁気記録媒体70の表面に形成された凹部の位置に合わせて2つの突起部が形成されている。すなわち、スペーサ26の他方の面には、3つの突起部が等間隔に120度の間隔をおいて形成されている。
そして、磁気記録媒体60と磁気記録媒体70との間にスペーサ26を介在させることで、スペーサ26の一方の面に形成された突起部26aが、磁気記録媒体60の他方の面に形成された凹部62に嵌合される。スペーサ26の一方の面には120度の間隔をおいて3つの突起部が形成され、磁気記録媒体60の他方の面には120度の間隔をおいて3つの凹部が形成されている。突起部と凹部はそれぞれ対応する位置に形成されているため、3つの突起部と3つの凹部は、それぞれ嵌合することになる。また、磁気記録媒体60の他方の面に3つ以上の凹部を形成した場合、それら3つ以上の凹部の数と間隔に合わせて、3つ以上の突起部をスペーサ26の一方の面に形成し、それら突起部を凹部に嵌合させる。
さらに、スペーサ26の他方の面に形成された突起部26bが、磁気記録媒体70の一方の面に形成された凹部71に嵌合される。スペーサ26の他方の面には120度の間隔をおいて3つの突起部が形成され、磁気記録媒体70の一方の面には120度の間隔をおいて3つの凹部が形成されている。突起部と凹部はそれぞれ対応する位置に形成されているため、3つの突起部と3つの凹部は、それぞれ嵌合することになる。また、磁気記録媒体70の一方の面に3つ以上の凹部を形成した場合、それら3つ以上の凹部の数と間隔に合わせて、3つ以上の突起部をスペーサ26の他方の面に形成し、それら突起部を凹部に嵌合させる。
スペーサ26に設けられた突起部26a、26bは、例えば半球状の形状を有している。突起部26a、26bは、スペーサ26から離れる方向に向かって徐々に幅が狭くなっている。図8に示す例では、突起部26a、26bの側面は曲線を有し、先端に向かって徐々に幅が狭くなっている。これは1例であり、突起部26a、26bの側面が直線状であっても良い。
磁気記録媒体60に形成された凹部62は円形状の形状を有し、磁気記録媒体60の表面における径が最大となり、深くなるほど、凹部62の径は徐々に小さくなっている。図8に示す例では、凹部62の側面は曲線を有している。これは1例であり、凹部62の側面が直線状であっても良い。
磁気記録媒体60の表面における凹部62の径は、突起部26aの最大径よりも大きくなっている。さらに、凹部62の深さは、突起部26aの高さ以上となっている。つまり、凹部62の深さは、突起部26aの高さと等しいか、又は、突起部26aの高さよりも深くなっている。このように、突起部26aの大きさは凹部62の大きさよりも小さくなっている。そのため、突起部26aが凹部62に嵌合されると、突起部26aと凹部62との間に若干の隙間が生じる。
突起部26aの大きさは凹部62の大きさよりも小さくなっているため、突起部26aを凹部62に嵌合すると、スペーサ26の平坦な面が、磁気記録媒体60の他方の面に当接する。
また、突起部26a以外の2つの突起部も、突起部26aと同じ形状を有し、凹部62以外の2つの凹部も、凹部62と同じ形状を有している。そして、各突起部が各凹部に嵌合され、スペーサ26の平坦な面が磁気記録媒体60の他方の面に当接する。このように、スペーサ26の平坦な面が磁気記録媒体60の他方の面に当接することで、クランプ20による押圧力が磁気記録媒体60、70に伝わり、磁気記録媒体60、70がスピンドルモータ12の回転軸に対して固定され、さらに、スピンドルモータ12の回転によるトルクが、磁気記録媒体60、70に伝達される。
さらに、突起部26aが凹部62に嵌合することでも、スピンドルモータ12の回転によるトルクが磁気記録媒体60、70に伝達される。すなわち、スピンドルモータ12の回転に伴って、突起部26aが凹部62に引っ掛かり、その引っ掛かりによってスピンドルモータ12の回転によるトルクが、磁気記録媒体60、70に伝達される。
また、磁気記録媒体70に形成された凹部71は円形状の形状を有し、磁気記録媒体70の表面における径が最大となり、深くなるほど、凹部71の径は徐々に小さくなっている。図8に示す例では、凹部71の側面は曲線を有している。これは1例であり、凹部71の側面が直線状であっても良い。
磁気記録媒体70の表面における凹部71の径は、突起部26bの最大径よりも大きくなっている。さらに、凹部71の深さは、突起部26bの高さ以上となっている。つまり、凹部71の深さは、突起部26bの高さと等しいか、又は、突起部26bの高さよりも深くなっている。このように、突起部26bの大きさは凹部71の大きさよりも小さくなっている。そのため、突起部26bが凹部71に嵌合されると、突起部26bと凹部71との間に若干の隙間が生じる。
突起部26bの大きさは凹部71の大きさよりも小さくなっているため、突起部26bを凹部71に嵌合すると、スペーサ26の平坦な面(押圧面)が、磁気記録媒体70の一方の面に当接する。
また、突起部26b以外の2つの突起部も、突起部26bと同じ形状を有し、凹部71以外の2つの凹部も、凹部71と同じ形状を有している。そして、各突起部が各凹部に嵌合され、スペーサ26の平坦な面が磁気記録媒体70の一方の面に当接する。このように、スペーサ26の平坦な面が磁気記録媒体70の一方の面に当接することで、クランプ20による押圧力が磁気記録媒体60、70に伝わり、磁気記録媒体60、70がスピンドルモータ12の回転軸に対して固定され、さらに、スピンドルモータ12の回転によるトルクが、磁気記録媒体60、70に伝達される。
さらに、突起部26bが凹部71に嵌合することでも、スピンドルモータ12の回転によるトルクが磁気記録媒体60、70に伝達される。すなわち、スピンドルモータ12の回転に伴って、突起部26bが凹部71に引っ掛かり、その引っ掛かりによってスピンドルモータ12の回転によるトルクが、磁気記録媒体60、70に伝達される。
さらに、磁気記録媒体70の他方の面には、凹部72が形成されている。この凹部72は、図2に示す磁気記録媒体用基板1の他方の面に形成された凹部に相当する。また、図示しないが、磁気記録媒体70の他方の面には、凹部72の他、2つの凹部が形成されている。従って、上述したように、3つの凹部が等間隔に120度の間隔をおいて貫通孔の周縁部に形成されている。なお、磁気記録媒体用基板1の他方の面に3つ以上の凹部を形成した場合、磁気記録媒体70は、他方の面に3つ以上の凹部を有することになる。
また、クランプ台27の表面(磁気記録媒体70と向かい合う面)には、磁気記録媒体70の凹部72の位置に合わせて、突起部27aが設けられている。また、図示しないが、突起部27aの他、クランプ台27の表面には、磁気記録媒体70の表面に形成された凹部の位置に合わせて2つの突起部が形成されている。すなわち、クランプ台27の表面には、3つの突起部が等間隔に120度の間隔をおいて形成されている。
そして、クランプ台27の上に磁気記録媒体70を設置することで、クランプ台27の表面に形成された突起部27aが、磁気記録媒体70の他方の面に形成された凹部72に嵌合される。クランプ台27の表面には120度の間隔をおいて3つの突起部が形成され、磁気記録媒体70の他方の面には120度の間隔をおいて3つの凹部が形成されている。突起部と凹部はそれぞれ対応する位置に形成されているため、3つの突起部と3つの凹部は、それぞれ嵌合することになる。また、磁気記録媒体70の他方の面に3つ以上の凹部を形成した場合、それら3つ以上の凹部の数と間隔に合わせて、3つ以上の突起部をクランプ台27に形成し、それら突起部を凹部に嵌合させる。
クランプ台27に設けられた突起部27aは、例えば半球状の形状を有している。突起部27aは、クランプ台27から離れる方向に向かって徐々に幅が狭くなっている。図8に示す例では、突起部27aの側面は曲線を有し、先端に向かって徐々に幅が狭くなっている。これは1例であり、突起部27aの側面が直線状であっても良い。
磁気記録媒体70に形成された凹部72は円形状の形状を有し、磁気記録媒体70の表面における径が最大となり、深くなるほど、凹部72の径は徐々に小さくなっている。図8に示す例では、凹部72の側面は曲線を有している。これは1例であり、凹部72の側面が直線状であっても良い。
磁気記録媒体70の表面における凹部72の径は、突起部27aの最大径よりも大きくなっている。さらに、凹部72の深さは、突起部27aの高さ以上となっている。つまり、凹部72の深さは、突起部27aの高さと等しいか、又は、突起部27aの高さよりも深くなっている。このように、突起部27aの大きさは凹部72の大きさよりも小さくなっている。そのため、突起部27aが凹部72に嵌合されると、突起部27aと凹部72との間に若干の隙間が生じる。
突起部27aの大きさは凹部72の大きさよりも小さくなっているため、突起部27aを凹部72に嵌合すると、クランプ台27の平坦な面(押圧面)が、磁気記録媒体70の他方の面に当接する。
また、突起部27a以外の2つの突起部も、突起部27aと同じ形状を有し、凹部72以外の2つの凹部も、凹部72と同じ形状を有している。そして、各突起部が各凹部に嵌合され、クランプ台27の平坦な面が磁気記録媒体70の他方の面に当接する。このように、クランプ台27の平坦な面が磁気記録媒体70の他方の面に当接することで、クランプ20による押圧力が磁気記録媒体60、70に伝わり、磁気記録媒体60、70がスピンドルモータ12の回転軸に対して固定され、さらに、スピンドルモータ12の回転によるトルクが、磁気記録媒体60、70に伝達される。
さらに、突起部27aが凹部72に嵌合することでも、スピンドルモータ12の回転によるトルクが磁気記録媒体60、70に伝達される。すなわち、スピンドルモータ12の回転に伴って、突起部27aが凹部72に引っ掛かり、その引っ掛かりによってスピンドルモータ12の回転によるトルクが、磁気記録媒体60、70に伝達される。
以上のように、磁気記録媒体60、70に形成された凹部に、クランプ20の突起部、スペーサ26の突起部、及びクランプ台27の突起部を嵌合させ、押圧部によって磁気記録媒体60、70を押圧することで、比較的弱い力でも磁気記録媒体60、70をスピンドルモータ12の回転軸に対して固定し、さらに、スピンドルモータ12の回転によるトルクを磁気記録媒体60、70に伝達することが可能となる。その結果、磁気記録媒体60、70の固定時に発生する歪みを低減することが可能となる。
なお、変形例2においては、磁気記録媒体60、70に凹部を形成し、クランプ20、スペーサ26、及びクランプ台27に突起部を設けたが、磁気記録媒体60、70に突起部を設け、クランプ20、スペーサ26、及びクランプ台27に凹部を形成しても良い。
また、変形例2においては、スペーサとクランプ台に突起部を設けたが、スペーサとクランプ台に突起部を設けなくても良い。この場合、平坦な面を有するスペーサとクランプ台を用いる。そして、突起部が設けられたクランプを用いて、磁気記録媒体60、70を押圧する。スペーサとクランプ台に突起部を設けない場合は、スペーサとクランプ台の突起部に対応する凹部を、磁気記録媒体60、70に形成しなくても良い。
さらに、クランプ台に突起部を設けず、クランプとスペーサに突起部を設けて磁気記録媒体60、70を押圧しても良いし、スペーサに突起部を設けず、クランプとクランプ台に突起部を設けて磁気記録媒体60、70を押圧しても良い。
なお、この変形例2では1例として、2つの磁気記録媒体を用いたが、3つ以上の磁気記録媒体を用いても良い。
(磁気記録媒体用基板の材料)
上述した磁気記録媒体30、40、60、及び70に用いられる磁気記録媒体用基板には、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、又は活性線硬化性樹脂の他、様々な樹脂を用いることができる。
熱可塑性樹脂として、磁気記録媒体用基板には、例えば、ポリカーボネイト、ポリエーテルエーテルケトン樹脂(PEEK樹脂)、環状ポリオレフィン樹脂、メタクリルスチレン樹脂(MS樹脂)、ポリスチレン樹脂(PS樹脂)、ポリエーテルイミド樹脂(PEI樹脂)、ABS樹脂、ポリエステル樹脂(PET樹脂、PBT樹脂など)、ポリオレフィン樹脂(PE樹脂、PP樹脂など)、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂(PES樹脂)、ポリアリレート樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリアミド樹脂、又は、アクリル樹脂などを用いることができる。また、熱硬化性樹脂として、例えば、フェノール樹脂、ユリア樹脂、不飽和ポリエステル樹脂(BMC樹脂など)、シリコン樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、又は、ポリベンゾイミダゾール樹脂などを用いることができる。その他、ポリエチレンナフタレート樹脂(PEN樹脂)などを用いることができる。
活性線硬化性樹脂として、例えば、紫外線硬化性樹脂が用いられる。紫外線硬化性樹脂としては、例えば、紫外線硬化性アクリルウレタン系樹脂、紫外線硬化性ポリエステルアクリレート系樹脂、紫外線硬化性エポキシアクリレート系樹脂、紫外線硬化性ポリオールアクリレート系樹脂、紫外線硬化性エポキシ樹脂、紫外線硬化シリコン系樹脂、又は、紫外線硬化アクリル樹脂などを挙げることができる。
また、塗説された硬化前の層に活性線を照射することによって硬化するときに、光開始剤を用いて硬化反応を促進させることが好ましい。このとき光増感剤を併用しても良い。
また、空気中の酸素が上記硬化反応を抑制する場合は、酸素濃度を低下させる、または除去するために、例えば不活性ガス雰囲気下で活性線を照射することもできる。活性線としては、赤外線、可視光、紫外線などを適宜選択することができるが、硬化速度などの生産性の面で紫外線を選択することが好ましいが、特に限定されるものではない。また、活性線の照射中、または前後に加熱によって硬化反応を強化させても良い。
さらに、磁気記録媒体用基板には、液晶ポリマー、有機/無機ハイブリッド樹脂(例えば、高分子成分にシリコンを骨格として取り込んだもの)などを用いても良い。なお、上記に挙げた樹脂は磁気記録媒体用基板に用いられる樹脂の一例であり、この発明に係る基板がこれらの樹脂に限定されることはない。2種以上の樹脂を混合して樹脂製の基板としても良く、また、別々の層として異なる成分を隣接させた基板としても良い。
また、母材としての樹脂は、極力、耐熱温度又はガラス転移温度Tgが高い方が望ましい。樹脂製の磁気記録媒体用基板にはスパッタリングにより磁性層が形成されるため、耐熱温度又はガラス転移温度Tgは、そのスパッタリングにおける温度以上であることが望ましい。例えば、耐熱温度又はガラス転移温度Tgが150℃以上である樹脂を用いることが望ましく、より好ましくは200℃以上である樹脂を用いることが望ましい。
耐熱温度又はガラス転移温度Tgが150℃以上の代表的な樹脂として、耐熱性ポリカーボネイト、シリコン樹脂、テフロン樹脂、無機フィラーを充填したフェノール、メラニン、エポキシ、ポリフェニレンスルファイド、不飽和ポリエステルなどの樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂(PES樹脂)、ポリエーテルイミド樹脂(PEI樹脂)、ポリアミドイミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリベンゾイミダゾール樹脂、BMC樹脂、又は、液晶ポリマーなどが挙げられる。より具体的には、ポリエーテルスルホン樹脂(PES樹脂)として、ユーデル(ソルベイアデバンストポリマーズ)、ポリエーテルイミド樹脂(PEI樹脂)として、ウルテム(日本GEプラスチック)、ポリアミドイミド樹脂として、トーロン(ソルベイアデバンストポリマーズ)、ポリイミド樹脂(熱可塑性)として、オーラム(三井化学)、ポリイミド(熱硬化性)として、ユーピレックス(宇部興産)、又は、ポリベンゾイミダゾール樹脂として、PBI/Celazole(クラリアントジャパン)が挙げられる。また、液晶ポリマーとして、スミカスーパーLCP(住友化学)、ポリエーテルエーテルケトンとして、ビクトレックス(ビクトレックスMC)が挙げられる。
磁気記録媒体用基板は、基板に対応した形状を有する金型を用いて、射出成形法、注型成形法、シート成形法、射出圧縮成形法、又は圧縮成形法などの成形法によって製造することができる。さらに、必要に応じて、成形した基板をカッティングし、打ち抜き、又はプレス成形を行ってこの実施形態に係る磁気記録媒体用基板を製造しても良い。
また、上記射出成形法などによりこの実施形態に係る磁気記録媒体用基板を成形することで、基板の内径の寸法、外径の寸法、内周端部の形状、又は外周端部の形状の少なくとも1つを同時に形成することができる。つまり、基板の内径の寸法や外径の寸法に合わせて、射出成形法などに用いられる金型を作製し、その金型を用いることで、内径寸法や外径寸法が樹脂成形時に完成されることになる。また、基板の内周端部の形状や外周端部の形状に合わせて、金型を作製し、その金型を用いることで、内周端部の形状や外周端部の形状が樹脂成形時に形成されることになる。