JP2004028174A - 軸受けユニットおよび軸受けユニットを有するモータ - Google Patents
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Abstract
【課題】組立てが簡単であり潤滑油の漏洩の無い信頼性に優れた軸受けユニットおよび軸受けユニットを有するモータを提供すること。
【解決手段】回転軸60と、回転軸60をラジアル方向に関して回転可能に支持するラジアル軸受け114と、回転軸をスラスト方向に関して回転可能に支持するスラスト軸受け124と、ラジアル軸受け114とスラスト軸受け124を収容して保持し、回転軸60との間に半径方向の空隙Hを有する樹脂製ハウジング116とを有する軸受けユニット110であり、樹脂製ハウジング116は、一端部側に空隙Hを有し、一端部と反対側の他端部には開口部を有する円筒状の第1部材140と、円筒状の第1部材140の他端部の開口部を閉じるための第2部材143とを有し、円筒状の第1部材140の他端部と第2部材143は、超音波融着されている。
【選択図】 図5
【解決手段】回転軸60と、回転軸60をラジアル方向に関して回転可能に支持するラジアル軸受け114と、回転軸をスラスト方向に関して回転可能に支持するスラスト軸受け124と、ラジアル軸受け114とスラスト軸受け124を収容して保持し、回転軸60との間に半径方向の空隙Hを有する樹脂製ハウジング116とを有する軸受けユニット110であり、樹脂製ハウジング116は、一端部側に空隙Hを有し、一端部と反対側の他端部には開口部を有する円筒状の第1部材140と、円筒状の第1部材140の他端部の開口部を閉じるための第2部材143とを有し、円筒状の第1部材140の他端部と第2部材143は、超音波融着されている。
【選択図】 図5
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、軸受けユニットおよび軸受けユニットを有するモータに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
モータを用いる電子機器の例としては、情報記録再生装置があるが、その中で例えばハードディスク装置は、その用途が拡大し、大型の記録装置やデスクトップ型のパーソナルコンピュータ用記録装置の他に、例えば、ノート型のパーソナルコンピュータやこれより小さいサイズの携帯用の端末装置等の電子機器に使用されるようになっている。
最近においては、PC(Personal Computer)カード寸法と称されるIC(Integrated Circuit)メモリカードやカード型のモデム程度の大きさを有するPCカード型のハードディスク装置が用いられ、このPCカード型のハードディスク装置は、必要に応じて使用者がノート型のパーソナルコンピュータや携帯用の端末機のPCカードスロットに抜き差しして使用される。
【0003】
図17は、従来のハードディスクドライブ装置に用いられているモータのための動圧流体軸受けユニットの断面構造を示している。
この軸受けユニット1060は、回転軸1061と、軸受け1062と、スラスト受け1063と、ハウジング1064などを有している。
回転軸1061は、断面T型ステップ形状の軸である。軸受け1062は、動圧発生溝1062aと動圧発生溝1062bを有している。動圧発生溝1062aは、回転軸1061をラジアル方向に回転自在に支持している。動圧発生溝1062bは、回転軸1061をスラスト方向に回転自在に支持している。スラスト受け1063の内面には、回転軸1061をスラスト方向に回転自在に支持するための動圧発生溝1063aを有している。
金属製のハウジング1064は、金属製のシール部材1066と金属製の蓋1065を有している。このハウジング1064は、軸受け1062とスラスト受け1063を保持して、内部の潤滑油の漏洩を防止する役割を果たす。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上述した従来の軸受けユニット1060では次のような問題がある。
ハウジング1064は、シール部材1066と蓋部材1065を締結することにより構成されており、これらのハウジング1064、シール部材1066および蓋部材1065は、いずれも金属製の部材である。
軸受け1062と回転軸1061との空隙には潤滑油が充填されているが、この潤滑油がハウジング1064の外に漏れないようにするために、ハウジング1064とシール部材1066との締結部Bは、金属部材同士を接着剤で締結すると同時にシーリングする必要がある。これと同様にハウジング1064と蓋部材1065の締結部Aも、金属部材同士を接着剤で締結すると同時にシーリングする必要がある。
このように、従来の軸受けユニット1060の構造では、軸受け1062とスラスト受け1063を保持し、内部の潤滑油の漏洩を防止する必要があり、ハウジング1064はシール部材1066と蓋部材1065により接着剤を用いて締結し且つシーリングしなければならないので、従来の軸受けユニットは高価であり、組立て工程が複雑になってしまう。しかも、接着剤などにより各部材を締結し且つシーリングを行う必要があるので、その作業管理が困難であり、軸受けユニットの動作信頼性に欠けるという問題もある。
そこで本発明は、上記課題を解消し、組立てが簡単であり潤滑油の漏洩の無い信頼性に優れた軸受けユニットおよび軸受けユニットを有するモータを提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、回転軸と、前記回転軸をラジアル方向に関して回転可能に支持するラジアル軸受けと、前記回転軸をスラスト方向に関して回転可能に支持するスラスト軸受けと、前記ラジアル軸受けと前記スラスト軸受けを収容して保持し、前記回転軸との間に半径方向の空隙を有する樹脂製ハウジングとを有する軸受けユニットであり、前記樹脂製ハウジングは、一端部側に前記空隙を有し、前記一端部と反対側の他端部には開口部を有する円筒状の第1部材と、前記円筒状の第1部材の前記他端部の前記開口部を閉じるための第2部材と、を有し、前記円筒状の第1部材の前記他端部と前記第2部材は、超音波融着されていることを特徴とする軸受けユニットである。
【0006】
請求項1では、ラジアル軸受けは、回転軸をラジアル方向に関して回転可能に支持する。スラスト軸受けは、回転軸をスラスト方向に関して回転可能に支持する。
樹脂製ハウジングは、ラジアル軸受けとスラスト軸受けを収容して保持し、回転軸との間に半径方向の空隙を有している。
この樹脂製のハウジングは、円筒状の第1部材とこれとは別の第2部材を有している。円筒状の第1部材は、一端部側に空隙を有しており、一端部と反対側の他端部には開口部を有している。第2部材は、円筒状の第1部材の他端部の開口部を閉じるためのものである。
円筒状の第1部材の他端部とこの第2部材は、超音波融着により一体化されて樹脂製ハウジングを構成している。
樹脂製ハウジングの円筒状の第1部材は、一端部側に上述した空隙を有しておれば、ラジアル軸受けとスラスト軸受けおよび回転軸を収容して保持することができる。そして円筒状の第1部材の他端部と第2部材を超音波融着するだけで、構造の簡単な内部の潤滑油の漏洩の無い信頼性に優れた軸受けユニットが得られる。
本発明の軸受けユニットは、従来と異なり金属製の複数の部材を接着剤などを用いて締結し且つシーリングする必要が無くなるので、組立て工程が簡単になる。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載の軸受けユニットにおいて、前記第2部材は、円盤状の蓋部材である。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1に記載の軸受けユニットにおいて、前記円筒状の第1部材と前記第2部材の少なくとも一方が液晶ポリマーから成る。
【0009】
請求項3では、円筒状の第1部材と第2部材の少なくとも一方が液晶ポリマーであると、超音波融着時にアウトガスの発生やコンタミネーションの発生が少なくなる。
【0010】
請求項4の発明は、請求項1に記載の軸受けユニットにおいて、前記円筒状の第1部材の他端部と前記第2部材が当たる位置であり、前記円筒状の第1部材の他端部と前記第2部材の一方には、融着用のエネルギーダイレクターが設けられている。
【0011】
請求項4では、融着用のエネルギーダイレクターを用いて、円筒状の第1部材の他端部と第2部材は確実に超音波融着することができる。
【0012】
請求項5の発明は、請求項4に記載の軸受けユニットにおいて、前記エネルギーダイレクターは、断面三角形を有している。
【0013】
請求項6の発明は、請求項4に記載の軸受けユニットにおいて、前記第2部材には、前記円筒状の第1部材の他端部が当たる位置に前記エネルギーダイレクターが設けられている。
【0014】
請求項7の発明は、請求項4に記載の軸受けユニットにおいて、前記円筒状の第1部材の他端部と前記第2部材が当たる位置には、前記円筒状の第1部材の他端部と前記第2部材を前記エネルギーダイレクターにより融着する際に、前記円筒状の第1部材の軸方向に関する前記第2部材の位置精度を維持するための位置精度維持部を有する。
【0015】
請求項7では、位置精度維持部が、円筒状の第1部材の他端部と第2部材をエネルギーダイレクターにより融着する際に、円筒状の第1部材の軸方向に関する第2部材の位置精度を維持することができ、これによって正確な形状の樹脂製のハウジングを形成することができる。
【0016】
請求項8の発明は、請求項4に記載の軸受けユニットにおいて、前記エネルギーダイレクターは、リング状に連続して形成されている。
【0017】
請求項9の発明は、請求項4に記載の軸受けユニットにおいて、前記エネルギーダイレクターは、前記リング状に形成されており、複数の切欠き部を有する。
【0018】
請求項10の発明は、請求項1に記載の軸受けユニットにおいて、前記ラジアル軸受けと前記スラスト軸受けは、動圧流体軸受けである。
【0019】
請求項11の発明は、請求項1に記載の軸受けユニットにおいて、前記ラジアル軸受けは、焼結金属製軸受けである。
【0020】
請求項12の発明は、請求項10に記載の軸受けユニットにおいて、前記スラスト軸受けは、前記第2部材の内面に形成されている動圧発生溝を有する動圧流体軸受けである。
【0021】
請求項12では、樹脂製の第2部材の内面に対して動圧流体軸受けを設けることにより、別部材のスラスト軸受けの設定が不要となり、部品点数を減らすことができる。
【0022】
請求項13の発明は、請求項12に記載の軸受けユニットにおいて、前記スラスト軸受けは、前記第2部材の内面に形成されている動圧発生溝を有する動圧流体軸受けであり、前記動圧発生溝は超音波転写されることで形成されている。
【0023】
請求項13では、第2部材の内面に形成される動圧流体軸受けの動圧発生溝が、超音波転写により形成されることにより、バリの発生がしづらいという利点がある。
【0024】
請求項14の発明は、軸受けユニットを有するモータであり、前記軸受けユニットは、回転軸と、前記回転軸をラジアル方向に関して回転可能に支持するラジアル軸受けと、前記回転軸をスラスト方向に関して回転可能に支持するスラスト軸受けと、前記ラジアル軸受けと前記スラスト軸受けを収容して保持し、前記回転軸との間に半径方向の空隙を有する樹脂製ハウジングとを有する軸受けユニットであり、前記樹脂製ハウジングは、一端部側に前記空隙を有し、前記一端部と反対側の他端部には開口部を有する円筒状の第1部材と、前記円筒状の第1部材の前記他端部の前記開口部を閉じるための第2部材と、を有し、前記円筒状の第1部材の前記他端部と前記第2部材は、超音波融着されていることを特徴とする軸受けユニットを有するモータである。
【0025】
請求項14では、ラジアル軸受けは、回転軸をラジアル方向に関して回転可能に支持する。スラスト軸受けは、回転軸をスラスト方向に関して回転可能に支持する。
樹脂製ハウジングは、ラジアル軸受けとスラスト軸受けを収容して保持し、回転軸との間に半径方向の空隙を有している。
この樹脂製のハウジングは、円筒状の第1部材とこれとは別の第2部材を有している。円筒状の第1部材は、一端部側に空隙を有しており、一端部と反対側の他端部には開口部を有している。第2部材は、円筒状の第1部材の他端部の開口部を閉じるためのものである。
円筒状の第1部材の他端部とこの第2部材は、超音波融着により一体化されて樹脂製ハウジングを構成している。
樹脂製ハウジングの円筒状の第1部材は、一端部側に上述した空隙を有しておれば、ラジアル軸受けとスラスト軸受けおよび回転軸を収容して保持することができる。そして円筒状の第1部材の他端部と第2部材を超音波融着するだけで、構造の簡単な内部の潤滑油の漏洩の無い信頼性に優れた軸受けユニットが得られる。
本発明の軸受けユニットは、従来と異なり金属製の複数の部材を接着剤などを用いて締結し且つシーリングする必要が無くなるので、組立て工程が簡単になる。
【0026】
請求項15の発明は、請求項14に記載の軸受けユニットを有するモータにおいて、前記第2部材は、円盤状の蓋部材である。
【0027】
請求項16の発明は、請求項14に記載の軸受けユニットを有するモータにおいて、前記円筒状の第1部材と前記第2部材の少なくとも一方が液晶ポリマーから成る。
【0028】
請求項17の発明は、請求項14に記載の軸受けユニットを有するモータにおいて、前記円筒状の第1部材の他端部と前記第2部材が当たる位置であり、前記円筒状の第1部材の他端部と前記第2部材の一方には、融着用のエネルギーダイレクターが設けられている。
【0029】
請求項17では、融着用のエネルギーダイレクターを用いて、円筒状の第1部材の他端部と第2部材は確実に超音波融着することができる。
【0030】
請求項18の発明は、請求項17に記載の軸受けユニットを有するモータにおいて、前記エネルギーダイレクターは、断面三角形を有している。
【0031】
請求項19の発明は、請求項17に記載の軸受けユニットを有するモータにおいて、前記第2部材には、前記円筒状の第1部材の他端部が当たる位置に前記エネルギーダイレクターが設けられている。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
なお、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
【0033】
図1は、本発明の軸受けユニットを有するモータを備えた情報記録再生装置を示す平面図である。図2と図3は図1の情報記録再生装置の分解斜視図である。図4は、図1のスピンドルモータの断面構造例である。
【0034】
図1〜図3に示す情報記録再生装置は、一例としてハードディスクドライブ装置である。このハードディスクドライブ装置1は、ディスク状記録媒体Dに対して磁気的に情報を記録したり、あるいはすでにディスク状記録媒体Dに記録されている情報を磁気的に再生する機能を有している。
【0035】
このハードディスクドライブ装置1は、たとえば電子機器の一例であるいわゆるノート型パーソナルコンピュータのPCカードスロットに装着して使用するものであり、非常に小型でかつ薄型化の装置である。
【0036】
ハードディスクドライブ装置1は、図2と図3に示すように概略的には筐体(外筐ともいう)2、ディスク状記録媒体D、スピンドルモータ3、回動型アクチュエータ4等を有している。筐体2は、第1部材(上筐体ともいう)10と、第2部材(下筐体ともいう)12を有している。第1部材10と第2部材12の空間の中には、スピンドルモータ3やディスク状記録媒体D、回動型アクチュエータ4等が収容されている。
ディスク状記録媒体Dは、図4に示すようにスピンドルモータ3のロータR側に固定されており、ロータRはディスク状記録媒体Dを連続回転させる。
【0037】
図3に示すように、2つの回動型アクチュエータ4は、サスペンション20、ボイスコイル22、2つの磁気ヘッド24等を有している。図3に示すボイスコイル22と図3に示すマグネット29,30との間に生じる電磁力により、回動型アクチュエータ4の磁気ヘッド24は図1と図2のF方向に揺動可能であり、磁気ヘッド24,24が回転するディスク状記録媒体Dの任意のトラックに対して位置決めすることで情報信号の記録を行ったりあるいはすでに記録された情報を再生することができる。磁気ヘッド24は、たとえばGMR(ジャイアント磁気抵抗効果素子)等を採用することができる。
【0038】
図1に示すハードディスク装置1では、図4に示す筐体2の第1部材10が第2部材12から取り除かれた状態を示しており、内部のディスク状記録媒体Dや回動型アクチュエータ4等が露出している。第2部材12の端部には、コンピュータ等に対して電気的に接続するための接続端子35が設けられている。回路基板37には、システムLSI(大規模集積回路)39やIC(集積回路)等の一般の電子部品等が配置されている。
【0039】
次に、図4に示すモータ3の構造について説明する。
このモータ3はスピンドルモータであり、ロータRとステータSを有している。まずモータ3のロータRの構造について説明する。
ロータRは、概略的にはターンテーブル50、チャック52、駆動用のマグネット58および回転軸(ロータシャフトとも呼んでいる)60を有している。この回転軸60は軸方向に関して断面T字型を有している。ターンテーブル50はロータハウジングとも呼んでおり、たとえば鉄により作られている。このロータハウジングの中心部には孔51が形成されており、この孔51には回転軸60の取付部61が圧入により固定されている。回転軸60はたとえばステンレス鋼により作られている。
【0040】
ターンテーブル50は、上述したように回転軸60と一体に取り付けられており、回転対象物であるディスク状記録媒体D(ハードディスクとも呼んでいる)をチャック52を用いて保持している。すなわちディスク状記録媒体Dの内周部分63が、ターンテーブル50のフランジ部分53の上に載せてあり、チャック52はこの内周部分63をフランジ部分53側に固定している。チャック52は、たとえばステンレス鋼により作られているリング状の部材である。
【0041】
図4に示すマグネット58は、S極とN極が交互に着磁されたリング状のマグネットである。このマグネット58はたとえばネオジ焼結体を用いることができる。このマグネット58はターンテーブル50の内周面に対して接着により固定されている。
【0042】
図4のディスク状記録媒体DがロータRに装着された状態で、図1の回動型アクチュエータ4が揺動することにより、サスペンション20,20の磁気ヘッド24,24がディスク状記録媒体Dの一方の面と他方の面に対して接触しない状態で情報の記録やあるいは情報の再生を行うことができる。
しかしこれに限らず、磁気ヘッド24が、ディスク状記録媒体Dの一方の面と他方の面にそれぞれ接触しながら情報を記録したりあるいは情報の再生を行うような形式のものを採用してもよい。
【0043】
次に、図4のステータSの構造について説明する。
ステータSは、概略的にはハウジング80、軸受けユニット110、駆動用のコイル88、鉄心89、図示しないフレキシブルプリント基板を有している。
ハウジング(ステータハウジングとも呼んでいる)80は、たとえばステンレス鋼により作られており、フレキシブルプリント基板はハウジング80に対して接着により固定されている。フレキシブルプリント基板はコイル88に電気的に接続されている。このコイル88のU相端子、V相端子およびW相端子と、コモン端子は、フレキシブルプリント基板を介してハウジング80から外部に引き出されており、このフレキシブルプリント基板はコネクタを介して通電制御部100に電気的に接続されている。
【0044】
コイル88は鉄心89にそれぞれ巻かれている。このコイル88と鉄心89の組はたとえば9極設けられている。これに対してマグネット58はS極とN極がたとえば12極円周方向に沿って交互に形成されている。
通電制御部100によりコイル88に所定の通電パターンで通電されると、コイル88が発生する磁界とマグネット58が発生する磁界との相互作用により、ロータRは回転軸60を中心としてステータSに対して連続回転可能になっている。
ハウジング80は円筒部90を有している。この円筒部90の内周面には、軸受けユニット110の樹脂製のハウジング116の外周面が挿入して固定されている。図5はこの軸受けユニット110のみを示す断面図である。
【0045】
図4と図5を参照しながら、軸受けユニット110の構造について説明する。
軸受けユニット110は、回転軸60、ラジアル軸受け114、スラスト軸受け124、樹脂製のハウジング116を有している。
回転軸60の形状について説明する。回転軸60は、取付部61と支持部分130およびステップ部134を有している。この回転軸60は、単に軸とも呼んでおり、この回転軸60は軸方向に断面で見てもしくは外観で見てT字型を有している。
【0046】
取付部61と支持部分130は、断面円形状でありたとえばほぼ同じ外形寸法を有している。取付部61と支持部分130の間には、テーパー部63が形成されている。
支持部分130の端部にはステップ部134が一体的に形成されている。このステップ部134は断面円形状を有している円板状の部分であり、ステップ部134の外径寸法は支持部分130の外径寸法よりも大きく設定されている。ステップ部134は回転軸60がG方向に抜けないようにするための抜け防止部の役割も果たす。
この回転軸60は、金属、例えばステンレス鋼や真鍮などにより作られている。
【0047】
次に、軸受けユニット110のラジアル軸受け114とスラスト軸受け124について説明する。
まずラジアル軸受け114は円筒状の軸受け部材である。ラジアル軸受け114は、例えば焼結金属製の軸受けであり、例えば鉄、銅を主成分とした粉体により作られている。
このラジアル軸受け114は、回転軸60の支持部分130を、ラジアル方向に関して回転可能に支持するために、第1の動圧発生部117が形成されている。この一対の動圧発生部117は、内周面に形成されており、例えばへリングボーン溝のような動圧発生溝である。
【0048】
またラジアル軸受け114の内端面であって、ステップ部134の一方の面に対面する位置には、別の動圧発生部118が形成されている。この動圧発生部118は例えばヘリングボーン溝のような動圧発生溝である。
このラジアル軸受け114の外周面は、後で説明する樹脂製ハウジング116の円筒状の第1部材140の内周面に対して固定されている。
【0049】
図5に示すスラスト軸受け124は、金属、例えばステンレス鋼、真鍮により作られている。このスラスト軸受け124の内面側には、動圧発生部119が形成されている。この動圧発生部119は、ヘリングボーン溝のような動圧発生溝であり、ステップ部134の他方の面に対面している。スラスト軸受け124は円盤状の部材である。
【0050】
ラジアル軸受け114の動圧発生部117は、回転軸60が回転することにより支持部分130の外周面とラジアル軸受け114の内周面との間で潤滑油による動圧を発生させる。
またラジアル軸受け114の別の動圧発生部118は、回転軸60が回転することによりステップ部134の一方の面とラジアル軸受け114の内端面の間において潤滑油による動圧を発生させる。
これと同時に、スラスト軸受け124の動圧発生部119は、ステップ部134の他方の面とスラスト軸受け124の間で潤滑油による動圧を発生させる。
これによって、回転軸60は、ラジアル軸受け114によりラジアル方向とスラスト方向に関して回転可能に支持されると共に、スラスト軸受け124によりスラスト方向に関しても回転可能に支持される。
【0051】
次に、図5に示す軸受けユニット110の特徴的な樹脂製ハウジング116について説明する。
樹脂製ハウジング116は、円筒状の第1部材140と円盤状の第2部材143により構成された密閉型の樹脂製ハウジングである。
この樹脂製ハウジング116は、上述したラジアル軸受け114、スラスト軸受け124、そして回転軸60を収容して保持すると共に、これらのラジアル軸受け114、回転軸60およびスラスト軸受け124の間には潤滑油を充填するようになっている。
【0052】
樹脂製ハウジングの材質としては、例えばポリカーボネート、ポリイミド、ナイロンなど各種の樹脂を採用することができる。しかし、樹脂製ハウジング116の円筒状の第1部材140と第2部材143の少なくとも一方、好ましくは両方が、液晶ポリマーにより作られているのが望ましい。この液晶ポリマーを用いることにより、アウトガスの発生やコンタミネーションの発生を少なくすることができる。
【0053】
図5に示すように円筒状の第1部材140は、一端部141と他端部142を有している。一端部141側には、空隙Hが形成されている。この空隙Hは、回転軸60のテーパ部分63の付近を通すための穴である。この空隙Hを含む一端部141の領域は、リング状の表面張力シール部150を構成している。この表面張力シール部150は、内部に充填されている潤滑油に対して接触角を大きくすることができ、この空隙Hの内周面に対して界面活性剤を塗布しなくても潤滑油が空隙Hから外部に漏れたり飛散するのを防ぐことができる。この空隙Hは、一端部141において、半径方向に向いて形成された円形状の穴である。
【0054】
円筒状の第1部材140の他端部142には、円形状の開口部155が形成されている。この円形状の開口部155の内径は、ステップ部134の外径よりも大きく設定されている。
他端部142の端面はBで示しており、この端面Bとは別の内側の位置には端面Cが形成されている。端面Cは端面Bに対して一段ラジアル軸受け114の方向にへこんだ部分である。この端面Cと内周面Dに対しては、スラスト軸受け124の内面側と外周面がそれぞれ突き当てて位置決めされるようになっている。この端面Cおよび内周面Dは、位置精度維持部160を構成している。
【0055】
図5に示す第2部材143は、円盤状の部材であるが、その内周面側には、突出するようにしてエネルギーダイレクター200が設けられている。
このエネルギーダイレクター200は、第2部材143の内面においてリング状に形成されている。このエネルギーダイレクター200の形成されている位置は、スラスト軸受け124の外周面よりも半径方向外側に位置している。
エネルギーダイレクター200は、円筒状の第1部材140の他端部142の端面Bと、第2部材143の内面側とを超音波融着して密閉するために設けられているものである。このエネルギーダイレクター200が、超音波融着により端面Bに融着されるのである。
超音波振動は第2部材143に対して印加して、図5に示す状態から図4に示す状態になるように円筒状の第1部材140の端面Bと第2部材143の内面とが良好に融着される。
【0056】
上述した位置精度維持部160は、このように端面Bと第2部材143のエネルギーダイレクター200が超音波融着される時に、スラスト軸受け124の位置が中心軸CLに沿って必要以上に内側に入り込むのを防止するのである。スラスト軸受け124の内面と外周面が、位置精度維持部160の端面Cと内周面Dに対してそれぞれ機械的に位置決めされていることから、第2部材143のエネルギーダイレクター200の超音波融着状態がどこまでも進行してしまうのを防ぐのである。
もしも、この位置精度維持部160の端面Cと内周面Dが無ければ、円筒状の第1部材140の端面Bとスラスト軸受け124および第2部材143が機械的に密着しないので、エネルギーダイレクター200と端面Bとの間の超音波融着がどこまでも進行してしまい、機械精度を維持することができにくくなる。この結果、動圧発生部119とステップ部134の他方の面との間のスラスト方向のクリアランスが、所定の間隔で精度良く組立てられなくなってしまう。
このようなことから、位置精度維持部160はこのようなクリアランスの確保を確実に行うことができるので有用である。
なお、樹脂製ハウジング116は、空隙Hだけを残して密閉型にしているが、内部の空気を抜いてしまうための空気抜きを設けても勿論構わない。
【0057】
軸受けユニット110のラジアル軸受け114が、焼結含油軸受けあるいは焼結含油軸受けに動圧発生溝を設けた焼結含油型動圧流体軸受けである場合には利点が多い。焼結含油型の動圧流体軸受けは、作成工程が非常に簡素で安価である。しかし、焼結金属の特性上、周囲に数ミクロンメートルから、数十ミクロンメートル程度のポーラス(巣)があるので、軸受け周囲から、潤滑油が漏洩してしまう欠点があるが、本発明では、周囲を樹脂製のハウジング116で覆っているので、潤滑油の漏洩は完全に防げる。従って、安価で且つ、信頼性に優れた動圧流体軸受けユニットを得ることができる。
【0058】
次に、図6と図7を参照しながら、本発明の軸受けユニットおよび軸受けユニットを有するモータの別の実施の形態について説明する。
図6に示すモータ3の構造は、図4に示すモータ3の構造とほぼ同じであるが、軸受けユニット110の構造が異なる。図7は図6の軸受けユニット110の構造を示している。図7に示す軸受けユニット110の構造と図5に示す軸受けユニット110の構造が異なるのは、次の点である。その他の点については図6と図7の軸受けユニット110の構造は、図4と図5に示す軸受けユニット110の構造と同じであるので、同じ符号を記してその説明を用いることにする。
【0059】
動圧発生部118が、円筒状の第1部材140の中間部分230に形成されている。この中間部分230は、円筒状の第1部材140の一端部141と共に、ラジアル軸受け114をスラスト方向に関して固定するための部分である。中間部分230の内径は、支持部分130の外径よりも大きく設定されている。この動圧発生部118は、ステップ部134の一方の面に対面している。
また第2部材343は、ほぼ円盤状の部材であるが、内面側にはスラスト軸受け124を一体的に形成している。このために別部材としての金属製のスラスト軸受けは不要となり、部品点数を削減できる。
【0060】
第2部材343の内側には、スラスト軸受け124のための動圧発生部119が形成されている。この動圧発生部119は、ステップ部134の他方の面に対面している。
第2部材343の周囲には、エネルギーダイレクター200がリング状に形成されている。円筒状の第1部材140の他端部142側には、位置精度維持部160が設けられている。この位置精度維持部160の端面Cおよび内周面Dが、第2部材343のスラスト方向に関する位置決めを行っている。これによって、第2部材143のエネルギーダイレクター200が端面Bに対して超音波融着される際に、超音波融着が進行しすぎることが無いのは、図5の実施の形態と同様である。
【0061】
樹脂製の第2部材343に対して動圧発生部119を形成することは、例えば図5に示す別部材の金属製のスラスト軸受け124の内面に対して動圧発生部119を形成するのに比べて格段に容易に行えることから、軸受けユニット110の製作価格を安価にできる。第2部材343の動圧発生部119の形成は、金型により形成しても良いし、超音波転写方式により転写して形成しても良い。
【0062】
図8と図9は、上述したエネルギーダイレクター200の形状例を示している。
図8(A)では、図7に示す樹脂製の第2部材343を示している。第2部材343の内面側には、リング状のエネルギーダイレクター200が連続して形成されている。このエネルギーダイレクター200の内側には、動圧発生部119が形成されている。この動圧発生部119は、複数の例えばほぼV字型のヘリングボーン溝を有していて、円周方向に沿ってそれぞれ形成されている。
【0063】
図8(B)に示すように、エネルギーダイレクター200の半径方向の幅Daは、エネルギーダイレクター200を設ける面の半径方向の幅Dbのほぼ3分の1程度が良いことが、実験で確認されている。
エネルギーダイレクター200は、ほぼ断面三角形状であり、図8(A)でみて円形状に形成されている。樹脂製の第2部材343を超音波で加振すれば、断面三角形状の頂点と融着面である図7に示す端面Bとの間に摩擦熱が集中するので、簡単に樹脂同士である端面Bとエネルギーダイレクター200を介して第2部材343の内面を融着することができる。このような融着の原理は、図5の実施の形態でも同じである。
【0064】
図9は、エネルギーダイレクター200の別の形状例を示している。図9に示すエネルギーダイレクター200は、ほぼ90度ごとに切欠き部201を有している。この複数の切欠き部201を設けることにより、エネルギーダイレクター200が超音波印加による発熱で、溶けやすいようにするのである。
【0065】
次に、図10を参照しながら、超音波融着工程の例を説明する。
回転軸60は、既にラジアル軸受け114の中に挿入されている。この状態で、樹脂製ハウジング116の円筒状の第1部材140を、固定部410の上に対して固定する。そして蓋部材である第2部材343は、超音波振動子400で加振しながら、第2部材343のエネルギーダイレクター200を円筒状の第1部材140の端面Bに対して融着していく。
この時に、断面三角形状のエネルギーダイレクター200の頂点には摩擦熱が集中するので、端面Bへの良好な融着を行うことができる。さらに融着が進んで、端面Cに対して第2部材343の内面343Aが突き当たった時点で、融着が進行しなくなり、融着工程が終了する。この際、内周面Dは第2部材343の半径方向の位置を正確に定める。すなわち、この端面Cと内周面Dの形状精度さえ維持しておれば、円筒状の第1部材140と第2部材343との組み立て精度を簡単に得ることができる。
この結果、数μm程度に維持されなければならない回転軸60のステップ部134の他方の面と、動圧発生部119の間のクリアランスは、精度良く管理することができる。このことから、軸受けユニット110の信頼性は優れたものになる。
【0066】
図11は、図7の動圧発生部119の形成例を示している。第2部材343の内面343A側に対しては、例えば超音波振動スタンパ450を用いて、動圧発生部119を超音波転写する。このような動圧発生部119は、通常樹脂成形などにより成形することもできるが、図11のように超音波振動スタンパ450を用いて、樹脂製の第2部材343の内面343Aに対して超音波を印加することにより、熱により動圧発生溝を形成することができる。この超音波振動による動圧発生部119の転写による形成を用いることには、バリなどの発生がしづらいという利点がある。
【0067】
次に、図12と図13を参照しながら、本発明の軸受けユニットおよび軸受けユニットを有するモータのさらに別の実施の形態について説明する。
図12に示すモータ3の構造は、図4に示すモータ3の構造とほぼ同じである。しかし、図12に示す軸受けユニット110の構造は、図4に示す軸受けユニット110の構造と異なる。
図12と図13に示すように、軸受けユニット110は、断面I型の回転軸660と、樹脂製のハウジングそしてラジアル軸受け614およびスラスト軸受け624を有している。
【0068】
樹脂製のハウジング116は、円筒状の第1部材640と第2部材643を有している。
円筒状の第1部材640の一端部641には空隙Hが形成されている。第1部材640の他端部642には開口部655が形成されている。他端部645と、第2部材643は、図示しないが既に述べたようなエネルギーダイレクターを用いて、超音波融着されている。
樹脂製の第2部材643の内面側には、スラスト軸受け624が突出して設けられている。このスラスト軸受け624は、回転軸660の先端部700をスラスト方向に関して回転可能に支持する。
【0069】
ラジアル軸受け614は、動圧発生部117を有しており、これらの動圧発生部117は、回転軸660の支持部分130をラジアル方向に関して回転可能に支持する。回転軸660の取付部661は、図12に示すように、ターンテーブル50の穴51に対して圧入により固定されている。
【0070】
図13に示すように、スラスト軸受け624は、いわゆるピヴォット受けになっており、摺動性に優れたものである。樹脂製のハウジング116は、ポリカーボネート、ポリイミド、ナイロンあるいは、液晶ポリマーなどにより作られており、いずれにしても回転摺動性に優れた樹脂を採用できる。
樹脂製のハウジング116の第1部材640と第2部材643は、同一の樹脂の材質であっても良いし、異なる樹脂の材質を採用しても勿論構わない。特に第2部材643は回転摺動性などに優れている液晶ポリマーを用いるのがより好ましい。
円筒状の第1部材640は、ラジアル軸受け614の周囲に対してアウトサート成形されている。逆にいえばラジアル軸受け614は、第1部材640に対してインサート成形により収容している。
【0071】
図14と図15は、本発明の軸受けユニットのさらに別の実施の形態を示している。
図14の軸受けユニット110は、図5の軸受けユニット110とほぼ同じである。図15の軸受けユニット110は、図7の軸受けユニット110とほぼ同じである。
図14の軸受けユニット110が、図5の軸受けユニット110と異なるのは、エネルギーダイレクター200が第2部材143側ではなく、円筒状の第1部材140の他端部142を端面Bに形成されていることである。
図15の軸受けユニット110が、図7の軸受けユニット110と異なるのは、やはりエネルギーダイレクター200が円筒状の第1部材140の端面Bに形成されていることである。
【0072】
図16は、たとえば図14のエネルギーダイレクター200の形状例を示している。
エネルギーダイレクター200は、端面Bにおいて例えば円形状に形成されているが、必要に応じて複数箇所に切欠き部を形成したものであっても勿論構わない。エネルギーダイレクター200の幅に関しては、図8で説明した場合と同じである。
ところで本発明の軸受けユニットを有するモータは、ハードディスクドライブ装置のハードディスクの回転用に用いられているが、これに限らず他の種類の用途にも適用することができる。例えば本発明のモータは、ファンを回転させて、発熱素子などに風を送って冷却するためのファンモータであっても良い。また光磁気ディスクや光ディスクのようなディスク状の情報記録媒体を回転するためのモータとしても、本発明のモータは適用できるのである。
【0073】
本発明のモータが適用される電子機器としては、ハードディスクドライブ装置に限らず、他の種類の電子機器、例えばコンピュータや携帯情報端末あるいはその他の種類のものでも良い。
本発明の実施の形態の軸受けユニットでは、樹脂製のハウジング116の円筒状の第1部材140と、第2部材143が、エネルギーダイレクターを用いた超音波融着により一体化されてシールされている。
【0074】
これにより従来必要であった接着剤を用いて締結しシールドするような組立て作業が不要となり、組立て工数を減らすことができる。円筒状の第1部材140はラジアル軸受けの外側に対してアウトサート成形により成形することが可能である。軸受けユニット110が備えているラジアル軸受け114は、従来用いられているようなボールベアリングではなく、動圧流体軸受けとなっているので、NRRO(Non Repetitive Run Out:ボールベアリングにおける軸の振れのうち、1回転ごとに繰り返さない振れ成分、すなわち非周期的に現れる振れの量をいう。)が格段に小さくて、本発明の軸受けユニットは例えばハードディスクドライブ装置に対して適したものになっている。
樹脂製ハウジング116は、樹脂製の円筒状の第1部材と樹脂製の第2部材を超音波融着により締結しているので、組立てが簡単であり、内部の潤滑油が漏洩することのない動作信頼性の優れたものである。
【0075】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、組立てが簡単であり潤滑油の漏洩の無い信頼性に優れたものにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の軸受けユニットを有するモータが適用されている情報記録再生装置の一例であるハードディスクドライブ装置を示す平面図。
【図2】図1のハードディスクドライブ装置の分解斜視図。
【図3】図1のハードディスクドライブ装置をさらに分解した斜視図。
【図4】ハードディスクドライブ装置のディスク状記録媒体を回転するためのモータを示す断面図。
【図5】図4のモータに用いられている軸受けユニットを示す断面図。
【図6】本発明の軸受けユニットを有するモータの別の実施の形態を示す断面図。
【図7】図6のモータに用いられている軸受けユニットの断面図。
【図8】エネルギーダイレクターの形状例を示す図。
【図9】エネルギーダイレクターの別の形状例を示す図。
【図10】円筒状の第1部材と第2部材を超音波振動子により超音波融着する様子を示す図。
【図11】超音波振動スタンパを用いて第2部材に対して動圧発生部を形成する図。
【図12】本発明の軸受けユニットを有するモータのさらに別の実施の形態を示す断面図。
【図13】図12のモータの軸受けユニットを示す断面図。
【図14】本発明のさらに別の実施の形態の軸受けユニットを示す断面図。
【図15】本発明の軸受けユニットのさらに別の実施の形態を示す断面図。
【図16】円筒状の第1部材側にエネルギーダイレクターが形成されている例を示す図。
【図17】従来の軸受けユニットの断面図。
【符号の説明】
3・・・モータ、60・・・回転軸、110・・・軸受けユニット、114・・・ラジアル軸受け、116・・・樹脂製ハウジング、124・・・スラスト軸受け、140・・・円筒状の第1部材、143・・・第2部材、160・・・位置精度維持部、H・・・空隙
【発明の属する技術分野】
本発明は、軸受けユニットおよび軸受けユニットを有するモータに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
モータを用いる電子機器の例としては、情報記録再生装置があるが、その中で例えばハードディスク装置は、その用途が拡大し、大型の記録装置やデスクトップ型のパーソナルコンピュータ用記録装置の他に、例えば、ノート型のパーソナルコンピュータやこれより小さいサイズの携帯用の端末装置等の電子機器に使用されるようになっている。
最近においては、PC(Personal Computer)カード寸法と称されるIC(Integrated Circuit)メモリカードやカード型のモデム程度の大きさを有するPCカード型のハードディスク装置が用いられ、このPCカード型のハードディスク装置は、必要に応じて使用者がノート型のパーソナルコンピュータや携帯用の端末機のPCカードスロットに抜き差しして使用される。
【0003】
図17は、従来のハードディスクドライブ装置に用いられているモータのための動圧流体軸受けユニットの断面構造を示している。
この軸受けユニット1060は、回転軸1061と、軸受け1062と、スラスト受け1063と、ハウジング1064などを有している。
回転軸1061は、断面T型ステップ形状の軸である。軸受け1062は、動圧発生溝1062aと動圧発生溝1062bを有している。動圧発生溝1062aは、回転軸1061をラジアル方向に回転自在に支持している。動圧発生溝1062bは、回転軸1061をスラスト方向に回転自在に支持している。スラスト受け1063の内面には、回転軸1061をスラスト方向に回転自在に支持するための動圧発生溝1063aを有している。
金属製のハウジング1064は、金属製のシール部材1066と金属製の蓋1065を有している。このハウジング1064は、軸受け1062とスラスト受け1063を保持して、内部の潤滑油の漏洩を防止する役割を果たす。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上述した従来の軸受けユニット1060では次のような問題がある。
ハウジング1064は、シール部材1066と蓋部材1065を締結することにより構成されており、これらのハウジング1064、シール部材1066および蓋部材1065は、いずれも金属製の部材である。
軸受け1062と回転軸1061との空隙には潤滑油が充填されているが、この潤滑油がハウジング1064の外に漏れないようにするために、ハウジング1064とシール部材1066との締結部Bは、金属部材同士を接着剤で締結すると同時にシーリングする必要がある。これと同様にハウジング1064と蓋部材1065の締結部Aも、金属部材同士を接着剤で締結すると同時にシーリングする必要がある。
このように、従来の軸受けユニット1060の構造では、軸受け1062とスラスト受け1063を保持し、内部の潤滑油の漏洩を防止する必要があり、ハウジング1064はシール部材1066と蓋部材1065により接着剤を用いて締結し且つシーリングしなければならないので、従来の軸受けユニットは高価であり、組立て工程が複雑になってしまう。しかも、接着剤などにより各部材を締結し且つシーリングを行う必要があるので、その作業管理が困難であり、軸受けユニットの動作信頼性に欠けるという問題もある。
そこで本発明は、上記課題を解消し、組立てが簡単であり潤滑油の漏洩の無い信頼性に優れた軸受けユニットおよび軸受けユニットを有するモータを提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、回転軸と、前記回転軸をラジアル方向に関して回転可能に支持するラジアル軸受けと、前記回転軸をスラスト方向に関して回転可能に支持するスラスト軸受けと、前記ラジアル軸受けと前記スラスト軸受けを収容して保持し、前記回転軸との間に半径方向の空隙を有する樹脂製ハウジングとを有する軸受けユニットであり、前記樹脂製ハウジングは、一端部側に前記空隙を有し、前記一端部と反対側の他端部には開口部を有する円筒状の第1部材と、前記円筒状の第1部材の前記他端部の前記開口部を閉じるための第2部材と、を有し、前記円筒状の第1部材の前記他端部と前記第2部材は、超音波融着されていることを特徴とする軸受けユニットである。
【0006】
請求項1では、ラジアル軸受けは、回転軸をラジアル方向に関して回転可能に支持する。スラスト軸受けは、回転軸をスラスト方向に関して回転可能に支持する。
樹脂製ハウジングは、ラジアル軸受けとスラスト軸受けを収容して保持し、回転軸との間に半径方向の空隙を有している。
この樹脂製のハウジングは、円筒状の第1部材とこれとは別の第2部材を有している。円筒状の第1部材は、一端部側に空隙を有しており、一端部と反対側の他端部には開口部を有している。第2部材は、円筒状の第1部材の他端部の開口部を閉じるためのものである。
円筒状の第1部材の他端部とこの第2部材は、超音波融着により一体化されて樹脂製ハウジングを構成している。
樹脂製ハウジングの円筒状の第1部材は、一端部側に上述した空隙を有しておれば、ラジアル軸受けとスラスト軸受けおよび回転軸を収容して保持することができる。そして円筒状の第1部材の他端部と第2部材を超音波融着するだけで、構造の簡単な内部の潤滑油の漏洩の無い信頼性に優れた軸受けユニットが得られる。
本発明の軸受けユニットは、従来と異なり金属製の複数の部材を接着剤などを用いて締結し且つシーリングする必要が無くなるので、組立て工程が簡単になる。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載の軸受けユニットにおいて、前記第2部材は、円盤状の蓋部材である。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1に記載の軸受けユニットにおいて、前記円筒状の第1部材と前記第2部材の少なくとも一方が液晶ポリマーから成る。
【0009】
請求項3では、円筒状の第1部材と第2部材の少なくとも一方が液晶ポリマーであると、超音波融着時にアウトガスの発生やコンタミネーションの発生が少なくなる。
【0010】
請求項4の発明は、請求項1に記載の軸受けユニットにおいて、前記円筒状の第1部材の他端部と前記第2部材が当たる位置であり、前記円筒状の第1部材の他端部と前記第2部材の一方には、融着用のエネルギーダイレクターが設けられている。
【0011】
請求項4では、融着用のエネルギーダイレクターを用いて、円筒状の第1部材の他端部と第2部材は確実に超音波融着することができる。
【0012】
請求項5の発明は、請求項4に記載の軸受けユニットにおいて、前記エネルギーダイレクターは、断面三角形を有している。
【0013】
請求項6の発明は、請求項4に記載の軸受けユニットにおいて、前記第2部材には、前記円筒状の第1部材の他端部が当たる位置に前記エネルギーダイレクターが設けられている。
【0014】
請求項7の発明は、請求項4に記載の軸受けユニットにおいて、前記円筒状の第1部材の他端部と前記第2部材が当たる位置には、前記円筒状の第1部材の他端部と前記第2部材を前記エネルギーダイレクターにより融着する際に、前記円筒状の第1部材の軸方向に関する前記第2部材の位置精度を維持するための位置精度維持部を有する。
【0015】
請求項7では、位置精度維持部が、円筒状の第1部材の他端部と第2部材をエネルギーダイレクターにより融着する際に、円筒状の第1部材の軸方向に関する第2部材の位置精度を維持することができ、これによって正確な形状の樹脂製のハウジングを形成することができる。
【0016】
請求項8の発明は、請求項4に記載の軸受けユニットにおいて、前記エネルギーダイレクターは、リング状に連続して形成されている。
【0017】
請求項9の発明は、請求項4に記載の軸受けユニットにおいて、前記エネルギーダイレクターは、前記リング状に形成されており、複数の切欠き部を有する。
【0018】
請求項10の発明は、請求項1に記載の軸受けユニットにおいて、前記ラジアル軸受けと前記スラスト軸受けは、動圧流体軸受けである。
【0019】
請求項11の発明は、請求項1に記載の軸受けユニットにおいて、前記ラジアル軸受けは、焼結金属製軸受けである。
【0020】
請求項12の発明は、請求項10に記載の軸受けユニットにおいて、前記スラスト軸受けは、前記第2部材の内面に形成されている動圧発生溝を有する動圧流体軸受けである。
【0021】
請求項12では、樹脂製の第2部材の内面に対して動圧流体軸受けを設けることにより、別部材のスラスト軸受けの設定が不要となり、部品点数を減らすことができる。
【0022】
請求項13の発明は、請求項12に記載の軸受けユニットにおいて、前記スラスト軸受けは、前記第2部材の内面に形成されている動圧発生溝を有する動圧流体軸受けであり、前記動圧発生溝は超音波転写されることで形成されている。
【0023】
請求項13では、第2部材の内面に形成される動圧流体軸受けの動圧発生溝が、超音波転写により形成されることにより、バリの発生がしづらいという利点がある。
【0024】
請求項14の発明は、軸受けユニットを有するモータであり、前記軸受けユニットは、回転軸と、前記回転軸をラジアル方向に関して回転可能に支持するラジアル軸受けと、前記回転軸をスラスト方向に関して回転可能に支持するスラスト軸受けと、前記ラジアル軸受けと前記スラスト軸受けを収容して保持し、前記回転軸との間に半径方向の空隙を有する樹脂製ハウジングとを有する軸受けユニットであり、前記樹脂製ハウジングは、一端部側に前記空隙を有し、前記一端部と反対側の他端部には開口部を有する円筒状の第1部材と、前記円筒状の第1部材の前記他端部の前記開口部を閉じるための第2部材と、を有し、前記円筒状の第1部材の前記他端部と前記第2部材は、超音波融着されていることを特徴とする軸受けユニットを有するモータである。
【0025】
請求項14では、ラジアル軸受けは、回転軸をラジアル方向に関して回転可能に支持する。スラスト軸受けは、回転軸をスラスト方向に関して回転可能に支持する。
樹脂製ハウジングは、ラジアル軸受けとスラスト軸受けを収容して保持し、回転軸との間に半径方向の空隙を有している。
この樹脂製のハウジングは、円筒状の第1部材とこれとは別の第2部材を有している。円筒状の第1部材は、一端部側に空隙を有しており、一端部と反対側の他端部には開口部を有している。第2部材は、円筒状の第1部材の他端部の開口部を閉じるためのものである。
円筒状の第1部材の他端部とこの第2部材は、超音波融着により一体化されて樹脂製ハウジングを構成している。
樹脂製ハウジングの円筒状の第1部材は、一端部側に上述した空隙を有しておれば、ラジアル軸受けとスラスト軸受けおよび回転軸を収容して保持することができる。そして円筒状の第1部材の他端部と第2部材を超音波融着するだけで、構造の簡単な内部の潤滑油の漏洩の無い信頼性に優れた軸受けユニットが得られる。
本発明の軸受けユニットは、従来と異なり金属製の複数の部材を接着剤などを用いて締結し且つシーリングする必要が無くなるので、組立て工程が簡単になる。
【0026】
請求項15の発明は、請求項14に記載の軸受けユニットを有するモータにおいて、前記第2部材は、円盤状の蓋部材である。
【0027】
請求項16の発明は、請求項14に記載の軸受けユニットを有するモータにおいて、前記円筒状の第1部材と前記第2部材の少なくとも一方が液晶ポリマーから成る。
【0028】
請求項17の発明は、請求項14に記載の軸受けユニットを有するモータにおいて、前記円筒状の第1部材の他端部と前記第2部材が当たる位置であり、前記円筒状の第1部材の他端部と前記第2部材の一方には、融着用のエネルギーダイレクターが設けられている。
【0029】
請求項17では、融着用のエネルギーダイレクターを用いて、円筒状の第1部材の他端部と第2部材は確実に超音波融着することができる。
【0030】
請求項18の発明は、請求項17に記載の軸受けユニットを有するモータにおいて、前記エネルギーダイレクターは、断面三角形を有している。
【0031】
請求項19の発明は、請求項17に記載の軸受けユニットを有するモータにおいて、前記第2部材には、前記円筒状の第1部材の他端部が当たる位置に前記エネルギーダイレクターが設けられている。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
なお、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
【0033】
図1は、本発明の軸受けユニットを有するモータを備えた情報記録再生装置を示す平面図である。図2と図3は図1の情報記録再生装置の分解斜視図である。図4は、図1のスピンドルモータの断面構造例である。
【0034】
図1〜図3に示す情報記録再生装置は、一例としてハードディスクドライブ装置である。このハードディスクドライブ装置1は、ディスク状記録媒体Dに対して磁気的に情報を記録したり、あるいはすでにディスク状記録媒体Dに記録されている情報を磁気的に再生する機能を有している。
【0035】
このハードディスクドライブ装置1は、たとえば電子機器の一例であるいわゆるノート型パーソナルコンピュータのPCカードスロットに装着して使用するものであり、非常に小型でかつ薄型化の装置である。
【0036】
ハードディスクドライブ装置1は、図2と図3に示すように概略的には筐体(外筐ともいう)2、ディスク状記録媒体D、スピンドルモータ3、回動型アクチュエータ4等を有している。筐体2は、第1部材(上筐体ともいう)10と、第2部材(下筐体ともいう)12を有している。第1部材10と第2部材12の空間の中には、スピンドルモータ3やディスク状記録媒体D、回動型アクチュエータ4等が収容されている。
ディスク状記録媒体Dは、図4に示すようにスピンドルモータ3のロータR側に固定されており、ロータRはディスク状記録媒体Dを連続回転させる。
【0037】
図3に示すように、2つの回動型アクチュエータ4は、サスペンション20、ボイスコイル22、2つの磁気ヘッド24等を有している。図3に示すボイスコイル22と図3に示すマグネット29,30との間に生じる電磁力により、回動型アクチュエータ4の磁気ヘッド24は図1と図2のF方向に揺動可能であり、磁気ヘッド24,24が回転するディスク状記録媒体Dの任意のトラックに対して位置決めすることで情報信号の記録を行ったりあるいはすでに記録された情報を再生することができる。磁気ヘッド24は、たとえばGMR(ジャイアント磁気抵抗効果素子)等を採用することができる。
【0038】
図1に示すハードディスク装置1では、図4に示す筐体2の第1部材10が第2部材12から取り除かれた状態を示しており、内部のディスク状記録媒体Dや回動型アクチュエータ4等が露出している。第2部材12の端部には、コンピュータ等に対して電気的に接続するための接続端子35が設けられている。回路基板37には、システムLSI(大規模集積回路)39やIC(集積回路)等の一般の電子部品等が配置されている。
【0039】
次に、図4に示すモータ3の構造について説明する。
このモータ3はスピンドルモータであり、ロータRとステータSを有している。まずモータ3のロータRの構造について説明する。
ロータRは、概略的にはターンテーブル50、チャック52、駆動用のマグネット58および回転軸(ロータシャフトとも呼んでいる)60を有している。この回転軸60は軸方向に関して断面T字型を有している。ターンテーブル50はロータハウジングとも呼んでおり、たとえば鉄により作られている。このロータハウジングの中心部には孔51が形成されており、この孔51には回転軸60の取付部61が圧入により固定されている。回転軸60はたとえばステンレス鋼により作られている。
【0040】
ターンテーブル50は、上述したように回転軸60と一体に取り付けられており、回転対象物であるディスク状記録媒体D(ハードディスクとも呼んでいる)をチャック52を用いて保持している。すなわちディスク状記録媒体Dの内周部分63が、ターンテーブル50のフランジ部分53の上に載せてあり、チャック52はこの内周部分63をフランジ部分53側に固定している。チャック52は、たとえばステンレス鋼により作られているリング状の部材である。
【0041】
図4に示すマグネット58は、S極とN極が交互に着磁されたリング状のマグネットである。このマグネット58はたとえばネオジ焼結体を用いることができる。このマグネット58はターンテーブル50の内周面に対して接着により固定されている。
【0042】
図4のディスク状記録媒体DがロータRに装着された状態で、図1の回動型アクチュエータ4が揺動することにより、サスペンション20,20の磁気ヘッド24,24がディスク状記録媒体Dの一方の面と他方の面に対して接触しない状態で情報の記録やあるいは情報の再生を行うことができる。
しかしこれに限らず、磁気ヘッド24が、ディスク状記録媒体Dの一方の面と他方の面にそれぞれ接触しながら情報を記録したりあるいは情報の再生を行うような形式のものを採用してもよい。
【0043】
次に、図4のステータSの構造について説明する。
ステータSは、概略的にはハウジング80、軸受けユニット110、駆動用のコイル88、鉄心89、図示しないフレキシブルプリント基板を有している。
ハウジング(ステータハウジングとも呼んでいる)80は、たとえばステンレス鋼により作られており、フレキシブルプリント基板はハウジング80に対して接着により固定されている。フレキシブルプリント基板はコイル88に電気的に接続されている。このコイル88のU相端子、V相端子およびW相端子と、コモン端子は、フレキシブルプリント基板を介してハウジング80から外部に引き出されており、このフレキシブルプリント基板はコネクタを介して通電制御部100に電気的に接続されている。
【0044】
コイル88は鉄心89にそれぞれ巻かれている。このコイル88と鉄心89の組はたとえば9極設けられている。これに対してマグネット58はS極とN極がたとえば12極円周方向に沿って交互に形成されている。
通電制御部100によりコイル88に所定の通電パターンで通電されると、コイル88が発生する磁界とマグネット58が発生する磁界との相互作用により、ロータRは回転軸60を中心としてステータSに対して連続回転可能になっている。
ハウジング80は円筒部90を有している。この円筒部90の内周面には、軸受けユニット110の樹脂製のハウジング116の外周面が挿入して固定されている。図5はこの軸受けユニット110のみを示す断面図である。
【0045】
図4と図5を参照しながら、軸受けユニット110の構造について説明する。
軸受けユニット110は、回転軸60、ラジアル軸受け114、スラスト軸受け124、樹脂製のハウジング116を有している。
回転軸60の形状について説明する。回転軸60は、取付部61と支持部分130およびステップ部134を有している。この回転軸60は、単に軸とも呼んでおり、この回転軸60は軸方向に断面で見てもしくは外観で見てT字型を有している。
【0046】
取付部61と支持部分130は、断面円形状でありたとえばほぼ同じ外形寸法を有している。取付部61と支持部分130の間には、テーパー部63が形成されている。
支持部分130の端部にはステップ部134が一体的に形成されている。このステップ部134は断面円形状を有している円板状の部分であり、ステップ部134の外径寸法は支持部分130の外径寸法よりも大きく設定されている。ステップ部134は回転軸60がG方向に抜けないようにするための抜け防止部の役割も果たす。
この回転軸60は、金属、例えばステンレス鋼や真鍮などにより作られている。
【0047】
次に、軸受けユニット110のラジアル軸受け114とスラスト軸受け124について説明する。
まずラジアル軸受け114は円筒状の軸受け部材である。ラジアル軸受け114は、例えば焼結金属製の軸受けであり、例えば鉄、銅を主成分とした粉体により作られている。
このラジアル軸受け114は、回転軸60の支持部分130を、ラジアル方向に関して回転可能に支持するために、第1の動圧発生部117が形成されている。この一対の動圧発生部117は、内周面に形成されており、例えばへリングボーン溝のような動圧発生溝である。
【0048】
またラジアル軸受け114の内端面であって、ステップ部134の一方の面に対面する位置には、別の動圧発生部118が形成されている。この動圧発生部118は例えばヘリングボーン溝のような動圧発生溝である。
このラジアル軸受け114の外周面は、後で説明する樹脂製ハウジング116の円筒状の第1部材140の内周面に対して固定されている。
【0049】
図5に示すスラスト軸受け124は、金属、例えばステンレス鋼、真鍮により作られている。このスラスト軸受け124の内面側には、動圧発生部119が形成されている。この動圧発生部119は、ヘリングボーン溝のような動圧発生溝であり、ステップ部134の他方の面に対面している。スラスト軸受け124は円盤状の部材である。
【0050】
ラジアル軸受け114の動圧発生部117は、回転軸60が回転することにより支持部分130の外周面とラジアル軸受け114の内周面との間で潤滑油による動圧を発生させる。
またラジアル軸受け114の別の動圧発生部118は、回転軸60が回転することによりステップ部134の一方の面とラジアル軸受け114の内端面の間において潤滑油による動圧を発生させる。
これと同時に、スラスト軸受け124の動圧発生部119は、ステップ部134の他方の面とスラスト軸受け124の間で潤滑油による動圧を発生させる。
これによって、回転軸60は、ラジアル軸受け114によりラジアル方向とスラスト方向に関して回転可能に支持されると共に、スラスト軸受け124によりスラスト方向に関しても回転可能に支持される。
【0051】
次に、図5に示す軸受けユニット110の特徴的な樹脂製ハウジング116について説明する。
樹脂製ハウジング116は、円筒状の第1部材140と円盤状の第2部材143により構成された密閉型の樹脂製ハウジングである。
この樹脂製ハウジング116は、上述したラジアル軸受け114、スラスト軸受け124、そして回転軸60を収容して保持すると共に、これらのラジアル軸受け114、回転軸60およびスラスト軸受け124の間には潤滑油を充填するようになっている。
【0052】
樹脂製ハウジングの材質としては、例えばポリカーボネート、ポリイミド、ナイロンなど各種の樹脂を採用することができる。しかし、樹脂製ハウジング116の円筒状の第1部材140と第2部材143の少なくとも一方、好ましくは両方が、液晶ポリマーにより作られているのが望ましい。この液晶ポリマーを用いることにより、アウトガスの発生やコンタミネーションの発生を少なくすることができる。
【0053】
図5に示すように円筒状の第1部材140は、一端部141と他端部142を有している。一端部141側には、空隙Hが形成されている。この空隙Hは、回転軸60のテーパ部分63の付近を通すための穴である。この空隙Hを含む一端部141の領域は、リング状の表面張力シール部150を構成している。この表面張力シール部150は、内部に充填されている潤滑油に対して接触角を大きくすることができ、この空隙Hの内周面に対して界面活性剤を塗布しなくても潤滑油が空隙Hから外部に漏れたり飛散するのを防ぐことができる。この空隙Hは、一端部141において、半径方向に向いて形成された円形状の穴である。
【0054】
円筒状の第1部材140の他端部142には、円形状の開口部155が形成されている。この円形状の開口部155の内径は、ステップ部134の外径よりも大きく設定されている。
他端部142の端面はBで示しており、この端面Bとは別の内側の位置には端面Cが形成されている。端面Cは端面Bに対して一段ラジアル軸受け114の方向にへこんだ部分である。この端面Cと内周面Dに対しては、スラスト軸受け124の内面側と外周面がそれぞれ突き当てて位置決めされるようになっている。この端面Cおよび内周面Dは、位置精度維持部160を構成している。
【0055】
図5に示す第2部材143は、円盤状の部材であるが、その内周面側には、突出するようにしてエネルギーダイレクター200が設けられている。
このエネルギーダイレクター200は、第2部材143の内面においてリング状に形成されている。このエネルギーダイレクター200の形成されている位置は、スラスト軸受け124の外周面よりも半径方向外側に位置している。
エネルギーダイレクター200は、円筒状の第1部材140の他端部142の端面Bと、第2部材143の内面側とを超音波融着して密閉するために設けられているものである。このエネルギーダイレクター200が、超音波融着により端面Bに融着されるのである。
超音波振動は第2部材143に対して印加して、図5に示す状態から図4に示す状態になるように円筒状の第1部材140の端面Bと第2部材143の内面とが良好に融着される。
【0056】
上述した位置精度維持部160は、このように端面Bと第2部材143のエネルギーダイレクター200が超音波融着される時に、スラスト軸受け124の位置が中心軸CLに沿って必要以上に内側に入り込むのを防止するのである。スラスト軸受け124の内面と外周面が、位置精度維持部160の端面Cと内周面Dに対してそれぞれ機械的に位置決めされていることから、第2部材143のエネルギーダイレクター200の超音波融着状態がどこまでも進行してしまうのを防ぐのである。
もしも、この位置精度維持部160の端面Cと内周面Dが無ければ、円筒状の第1部材140の端面Bとスラスト軸受け124および第2部材143が機械的に密着しないので、エネルギーダイレクター200と端面Bとの間の超音波融着がどこまでも進行してしまい、機械精度を維持することができにくくなる。この結果、動圧発生部119とステップ部134の他方の面との間のスラスト方向のクリアランスが、所定の間隔で精度良く組立てられなくなってしまう。
このようなことから、位置精度維持部160はこのようなクリアランスの確保を確実に行うことができるので有用である。
なお、樹脂製ハウジング116は、空隙Hだけを残して密閉型にしているが、内部の空気を抜いてしまうための空気抜きを設けても勿論構わない。
【0057】
軸受けユニット110のラジアル軸受け114が、焼結含油軸受けあるいは焼結含油軸受けに動圧発生溝を設けた焼結含油型動圧流体軸受けである場合には利点が多い。焼結含油型の動圧流体軸受けは、作成工程が非常に簡素で安価である。しかし、焼結金属の特性上、周囲に数ミクロンメートルから、数十ミクロンメートル程度のポーラス(巣)があるので、軸受け周囲から、潤滑油が漏洩してしまう欠点があるが、本発明では、周囲を樹脂製のハウジング116で覆っているので、潤滑油の漏洩は完全に防げる。従って、安価で且つ、信頼性に優れた動圧流体軸受けユニットを得ることができる。
【0058】
次に、図6と図7を参照しながら、本発明の軸受けユニットおよび軸受けユニットを有するモータの別の実施の形態について説明する。
図6に示すモータ3の構造は、図4に示すモータ3の構造とほぼ同じであるが、軸受けユニット110の構造が異なる。図7は図6の軸受けユニット110の構造を示している。図7に示す軸受けユニット110の構造と図5に示す軸受けユニット110の構造が異なるのは、次の点である。その他の点については図6と図7の軸受けユニット110の構造は、図4と図5に示す軸受けユニット110の構造と同じであるので、同じ符号を記してその説明を用いることにする。
【0059】
動圧発生部118が、円筒状の第1部材140の中間部分230に形成されている。この中間部分230は、円筒状の第1部材140の一端部141と共に、ラジアル軸受け114をスラスト方向に関して固定するための部分である。中間部分230の内径は、支持部分130の外径よりも大きく設定されている。この動圧発生部118は、ステップ部134の一方の面に対面している。
また第2部材343は、ほぼ円盤状の部材であるが、内面側にはスラスト軸受け124を一体的に形成している。このために別部材としての金属製のスラスト軸受けは不要となり、部品点数を削減できる。
【0060】
第2部材343の内側には、スラスト軸受け124のための動圧発生部119が形成されている。この動圧発生部119は、ステップ部134の他方の面に対面している。
第2部材343の周囲には、エネルギーダイレクター200がリング状に形成されている。円筒状の第1部材140の他端部142側には、位置精度維持部160が設けられている。この位置精度維持部160の端面Cおよび内周面Dが、第2部材343のスラスト方向に関する位置決めを行っている。これによって、第2部材143のエネルギーダイレクター200が端面Bに対して超音波融着される際に、超音波融着が進行しすぎることが無いのは、図5の実施の形態と同様である。
【0061】
樹脂製の第2部材343に対して動圧発生部119を形成することは、例えば図5に示す別部材の金属製のスラスト軸受け124の内面に対して動圧発生部119を形成するのに比べて格段に容易に行えることから、軸受けユニット110の製作価格を安価にできる。第2部材343の動圧発生部119の形成は、金型により形成しても良いし、超音波転写方式により転写して形成しても良い。
【0062】
図8と図9は、上述したエネルギーダイレクター200の形状例を示している。
図8(A)では、図7に示す樹脂製の第2部材343を示している。第2部材343の内面側には、リング状のエネルギーダイレクター200が連続して形成されている。このエネルギーダイレクター200の内側には、動圧発生部119が形成されている。この動圧発生部119は、複数の例えばほぼV字型のヘリングボーン溝を有していて、円周方向に沿ってそれぞれ形成されている。
【0063】
図8(B)に示すように、エネルギーダイレクター200の半径方向の幅Daは、エネルギーダイレクター200を設ける面の半径方向の幅Dbのほぼ3分の1程度が良いことが、実験で確認されている。
エネルギーダイレクター200は、ほぼ断面三角形状であり、図8(A)でみて円形状に形成されている。樹脂製の第2部材343を超音波で加振すれば、断面三角形状の頂点と融着面である図7に示す端面Bとの間に摩擦熱が集中するので、簡単に樹脂同士である端面Bとエネルギーダイレクター200を介して第2部材343の内面を融着することができる。このような融着の原理は、図5の実施の形態でも同じである。
【0064】
図9は、エネルギーダイレクター200の別の形状例を示している。図9に示すエネルギーダイレクター200は、ほぼ90度ごとに切欠き部201を有している。この複数の切欠き部201を設けることにより、エネルギーダイレクター200が超音波印加による発熱で、溶けやすいようにするのである。
【0065】
次に、図10を参照しながら、超音波融着工程の例を説明する。
回転軸60は、既にラジアル軸受け114の中に挿入されている。この状態で、樹脂製ハウジング116の円筒状の第1部材140を、固定部410の上に対して固定する。そして蓋部材である第2部材343は、超音波振動子400で加振しながら、第2部材343のエネルギーダイレクター200を円筒状の第1部材140の端面Bに対して融着していく。
この時に、断面三角形状のエネルギーダイレクター200の頂点には摩擦熱が集中するので、端面Bへの良好な融着を行うことができる。さらに融着が進んで、端面Cに対して第2部材343の内面343Aが突き当たった時点で、融着が進行しなくなり、融着工程が終了する。この際、内周面Dは第2部材343の半径方向の位置を正確に定める。すなわち、この端面Cと内周面Dの形状精度さえ維持しておれば、円筒状の第1部材140と第2部材343との組み立て精度を簡単に得ることができる。
この結果、数μm程度に維持されなければならない回転軸60のステップ部134の他方の面と、動圧発生部119の間のクリアランスは、精度良く管理することができる。このことから、軸受けユニット110の信頼性は優れたものになる。
【0066】
図11は、図7の動圧発生部119の形成例を示している。第2部材343の内面343A側に対しては、例えば超音波振動スタンパ450を用いて、動圧発生部119を超音波転写する。このような動圧発生部119は、通常樹脂成形などにより成形することもできるが、図11のように超音波振動スタンパ450を用いて、樹脂製の第2部材343の内面343Aに対して超音波を印加することにより、熱により動圧発生溝を形成することができる。この超音波振動による動圧発生部119の転写による形成を用いることには、バリなどの発生がしづらいという利点がある。
【0067】
次に、図12と図13を参照しながら、本発明の軸受けユニットおよび軸受けユニットを有するモータのさらに別の実施の形態について説明する。
図12に示すモータ3の構造は、図4に示すモータ3の構造とほぼ同じである。しかし、図12に示す軸受けユニット110の構造は、図4に示す軸受けユニット110の構造と異なる。
図12と図13に示すように、軸受けユニット110は、断面I型の回転軸660と、樹脂製のハウジングそしてラジアル軸受け614およびスラスト軸受け624を有している。
【0068】
樹脂製のハウジング116は、円筒状の第1部材640と第2部材643を有している。
円筒状の第1部材640の一端部641には空隙Hが形成されている。第1部材640の他端部642には開口部655が形成されている。他端部645と、第2部材643は、図示しないが既に述べたようなエネルギーダイレクターを用いて、超音波融着されている。
樹脂製の第2部材643の内面側には、スラスト軸受け624が突出して設けられている。このスラスト軸受け624は、回転軸660の先端部700をスラスト方向に関して回転可能に支持する。
【0069】
ラジアル軸受け614は、動圧発生部117を有しており、これらの動圧発生部117は、回転軸660の支持部分130をラジアル方向に関して回転可能に支持する。回転軸660の取付部661は、図12に示すように、ターンテーブル50の穴51に対して圧入により固定されている。
【0070】
図13に示すように、スラスト軸受け624は、いわゆるピヴォット受けになっており、摺動性に優れたものである。樹脂製のハウジング116は、ポリカーボネート、ポリイミド、ナイロンあるいは、液晶ポリマーなどにより作られており、いずれにしても回転摺動性に優れた樹脂を採用できる。
樹脂製のハウジング116の第1部材640と第2部材643は、同一の樹脂の材質であっても良いし、異なる樹脂の材質を採用しても勿論構わない。特に第2部材643は回転摺動性などに優れている液晶ポリマーを用いるのがより好ましい。
円筒状の第1部材640は、ラジアル軸受け614の周囲に対してアウトサート成形されている。逆にいえばラジアル軸受け614は、第1部材640に対してインサート成形により収容している。
【0071】
図14と図15は、本発明の軸受けユニットのさらに別の実施の形態を示している。
図14の軸受けユニット110は、図5の軸受けユニット110とほぼ同じである。図15の軸受けユニット110は、図7の軸受けユニット110とほぼ同じである。
図14の軸受けユニット110が、図5の軸受けユニット110と異なるのは、エネルギーダイレクター200が第2部材143側ではなく、円筒状の第1部材140の他端部142を端面Bに形成されていることである。
図15の軸受けユニット110が、図7の軸受けユニット110と異なるのは、やはりエネルギーダイレクター200が円筒状の第1部材140の端面Bに形成されていることである。
【0072】
図16は、たとえば図14のエネルギーダイレクター200の形状例を示している。
エネルギーダイレクター200は、端面Bにおいて例えば円形状に形成されているが、必要に応じて複数箇所に切欠き部を形成したものであっても勿論構わない。エネルギーダイレクター200の幅に関しては、図8で説明した場合と同じである。
ところで本発明の軸受けユニットを有するモータは、ハードディスクドライブ装置のハードディスクの回転用に用いられているが、これに限らず他の種類の用途にも適用することができる。例えば本発明のモータは、ファンを回転させて、発熱素子などに風を送って冷却するためのファンモータであっても良い。また光磁気ディスクや光ディスクのようなディスク状の情報記録媒体を回転するためのモータとしても、本発明のモータは適用できるのである。
【0073】
本発明のモータが適用される電子機器としては、ハードディスクドライブ装置に限らず、他の種類の電子機器、例えばコンピュータや携帯情報端末あるいはその他の種類のものでも良い。
本発明の実施の形態の軸受けユニットでは、樹脂製のハウジング116の円筒状の第1部材140と、第2部材143が、エネルギーダイレクターを用いた超音波融着により一体化されてシールされている。
【0074】
これにより従来必要であった接着剤を用いて締結しシールドするような組立て作業が不要となり、組立て工数を減らすことができる。円筒状の第1部材140はラジアル軸受けの外側に対してアウトサート成形により成形することが可能である。軸受けユニット110が備えているラジアル軸受け114は、従来用いられているようなボールベアリングではなく、動圧流体軸受けとなっているので、NRRO(Non Repetitive Run Out:ボールベアリングにおける軸の振れのうち、1回転ごとに繰り返さない振れ成分、すなわち非周期的に現れる振れの量をいう。)が格段に小さくて、本発明の軸受けユニットは例えばハードディスクドライブ装置に対して適したものになっている。
樹脂製ハウジング116は、樹脂製の円筒状の第1部材と樹脂製の第2部材を超音波融着により締結しているので、組立てが簡単であり、内部の潤滑油が漏洩することのない動作信頼性の優れたものである。
【0075】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、組立てが簡単であり潤滑油の漏洩の無い信頼性に優れたものにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の軸受けユニットを有するモータが適用されている情報記録再生装置の一例であるハードディスクドライブ装置を示す平面図。
【図2】図1のハードディスクドライブ装置の分解斜視図。
【図3】図1のハードディスクドライブ装置をさらに分解した斜視図。
【図4】ハードディスクドライブ装置のディスク状記録媒体を回転するためのモータを示す断面図。
【図5】図4のモータに用いられている軸受けユニットを示す断面図。
【図6】本発明の軸受けユニットを有するモータの別の実施の形態を示す断面図。
【図7】図6のモータに用いられている軸受けユニットの断面図。
【図8】エネルギーダイレクターの形状例を示す図。
【図9】エネルギーダイレクターの別の形状例を示す図。
【図10】円筒状の第1部材と第2部材を超音波振動子により超音波融着する様子を示す図。
【図11】超音波振動スタンパを用いて第2部材に対して動圧発生部を形成する図。
【図12】本発明の軸受けユニットを有するモータのさらに別の実施の形態を示す断面図。
【図13】図12のモータの軸受けユニットを示す断面図。
【図14】本発明のさらに別の実施の形態の軸受けユニットを示す断面図。
【図15】本発明の軸受けユニットのさらに別の実施の形態を示す断面図。
【図16】円筒状の第1部材側にエネルギーダイレクターが形成されている例を示す図。
【図17】従来の軸受けユニットの断面図。
【符号の説明】
3・・・モータ、60・・・回転軸、110・・・軸受けユニット、114・・・ラジアル軸受け、116・・・樹脂製ハウジング、124・・・スラスト軸受け、140・・・円筒状の第1部材、143・・・第2部材、160・・・位置精度維持部、H・・・空隙
Claims (19)
- 回転軸と、
前記回転軸をラジアル方向に関して回転可能に支持するラジアル軸受けと、
前記回転軸をスラスト方向に関して回転可能に支持するスラスト軸受けと、
前記ラジアル軸受けと前記スラスト軸受けを収容して保持し、前記回転軸との間に半径方向の空隙を有する樹脂製ハウジングとを有する軸受けユニットであり、
前記樹脂製ハウジングは、
一端部側に前記空隙を有し、前記一端部と反対側の他端部には開口部を有する円筒状の第1部材と、
前記円筒状の第1部材の前記他端部の前記開口部を閉じるための第2部材と、を有し、
前記円筒状の第1部材の前記他端部と前記第2部材は、超音波融着されていることを特徴とする軸受けユニット。 - 前記第2部材は、円盤状の蓋部材である請求項1に記載の軸受けユニット。
- 前記円筒状の第1部材と前記第2部材の少なくとも一方が液晶ポリマーから成る請求項1に記載の軸受けユニット。
- 前記円筒状の第1部材の他端部と前記第2部材が当たる位置であり、前記円筒状の第1部材の他端部と前記第2部材の一方には、融着用のエネルギーダイレクターが設けられている請求項1に記載の軸受けユニット。
- 前記エネルギーダイレクターは、断面三角形を有している請求項4に記載の軸受けユニット。
- 前記第2部材には、前記円筒状の第1部材の他端部が当たる位置に前記エネルギーダイレクターが設けられている請求項4に記載の軸受けユニット。
- 前記円筒状の第1部材の他端部と前記第2部材が当たる位置には、前記円筒状の第1部材の他端部と前記第2部材を前記エネルギーダイレクターにより融着する際に、前記円筒状の第1部材の軸方向に関する前記第2部材の位置精度を維持するための位置精度維持部を有する請求項4に記載の軸受けユニット。
- 前記エネルギーダイレクターは、リング状に連続して形成されている請求項4に記載の軸受けユニット。
- 前記エネルギーダイレクターは、前記リング状に形成されており、複数の切欠き部を有する請求項4に記載の軸受けユニット。
- 前記ラジアル軸受けと前記スラスト軸受けは、動圧流体軸受けである請求項1に記載の軸受けユニット。
- 前記ラジアル軸受けは、焼結金属製軸受けである請求項1に記載の軸受けユニット。
- 前記スラスト軸受けは、前記第2部材の内面に形成されている動圧発生溝を有する動圧流体軸受けである請求項10に記載の軸受けユニット。
- 前記スラスト軸受けは、前記第2部材の内面に形成されている動圧発生溝を有する動圧流体軸受けであり、前記動圧発生溝は超音波転写されることで形成されている請求項12に記載の軸受けユニット。
- 軸受けユニットを有するモータであり、
前記軸受けユニットは、
回転軸と、
前記回転軸をラジアル方向に関して回転可能に支持するラジアル軸受けと、
前記回転軸をスラスト方向に関して回転可能に支持するスラスト軸受けと、
前記ラジアル軸受けと前記スラスト軸受けを収容して保持し、前記回転軸との間に半径方向の空隙を有する樹脂製ハウジングとを有する軸受けユニットであり、
前記樹脂製ハウジングは、
一端部側に前記空隙を有し、前記一端部と反対側の他端部には開口部を有する円筒状の第1部材と、
前記円筒状の第1部材の前記他端部の前記開口部を閉じるための第2部材と、を有し、
前記円筒状の第1部材の前記他端部と前記第2部材は、超音波融着されていることを特徴とする軸受けユニットを有するモータ。 - 前記第2部材は、円盤状の蓋部材である請求項14に記載の軸受けユニットを有するモータ。
- 前記円筒状の第1部材と前記第2部材の少なくとも一方が液晶ポリマーから成る請求項14に記載の軸受けユニットを有するモータ。
- 前記円筒状の第1部材の他端部と前記第2部材が当たる位置であり、前記円筒状の第1部材の他端部と前記第2部材の一方には、融着用のエネルギーダイレクターが設けられている請求項14に記載の軸受けユニットを有するモータ。
- 前記エネルギーダイレクターは、断面三角形を有している請求項17に記載の軸受けユニットを有するモータ。
- 前記第2部材には、前記円筒状の第1部材の他端部が当たる位置に前記エネルギーダイレクターが設けられている請求項17に記載の軸受けユニットを有するモータ。
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- 2002-06-24 JP JP2002183563A patent/JP2004028174A/ja active Pending
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