JP2009057993A - 無段変速装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】無段変速装置において、トラクション力による伝達効率を向上させる。
【解決手段】入力軸20と一体的に回転するサンローラ30、サンローラに外接する複数の遊星ローラ40、出力軸100と一体的に回転すると共に遊星ローラを自転及び公転自在に内接させる出力リング50、遊星ローラを転動自在に内接させる共に中心軸線の方向に可動に設けられた変速リング60を備え、遊星ローラは、サンローラ及び出力リングに挟まれるように接触する第1円錐部41、変速リングと接触する第2円錐部42、第3円錐部43を含み、変速リングは、第2円錐部と接触する主接触部61、変速リングが所定位置に達したとき第3円錐部と接触し得る補助接触部62を含む。これによれば、変速リングが所定位置に達したとき、補助接触部が第3円錐部と接触するため、その位置においてより大きな法線力が得られ、トラクション力による駆動力の伝達効率が向上する。
【選択図】図2

Description

本発明は、トラクション力を用いたトラクションドライブによって、入力軸の回転速度を連続的に変化させて出力軸に伝達する無段変速装置に関し、特に、円錐状の遊星ローラを用いて連続的な無段変速を行う無段変速装置に関する。
従来の無段変速装置としては、ハウジングに軸受を介してそれぞれ回動自在に支持された入力軸及び出力軸、入力軸と一体的に回転するように設けられた円錐台状のサンローラ(内輪)、入力軸に回動自在に支持されたホルダ(保持器)、ホルダに回動自在に支持されかつサンローラの外周面を転動する複数のテーパローラ(遊星ローラ)、出力軸と一体的に回転すると共にテーパローラに外接する出力リング(従動外輪)、テーパローラに一体的に設けられた円錐部に外接すると共に円錐部の母線方向にのみ往復駆動される変速リング(回転固定外輪)等を備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
この無段変速装置では、入力軸が回転すると、サンローラが一体的に回転し、サンローラに外接するテーパローラが回転及び公転し、テーパローラの回転により出力リングが回転し、出力リングと一体となって出力軸が回転し、変速リングの位置に応じて出力軸の回転速度が増減されるようになっている。
しなしながら、この無段変速装置においては、テーパローラ(遊星ローラ)とサンローラの接触面における法線荷重、テーパローラと出力リングの接触面における法線荷重、及びテーパローラの円錐部と変速リングの接触面における法線荷重は、初期の組付け精度に依存し、又、経時変化等による法線荷重の変動を補正する手段がないため、必要なトラクション力が得られず、変速動作が確実に行われなく虞がある。
特に、テーパローラはホルダにより片持ち状に支持されているため、法線荷重の増加に伴ってテーパローラが押され、所望のトラクション力が得られなくなり、又、テーパローラの円錐部と接触する変速リングが、円錐部の小径側に移動するに連れて、滑り接触によるスピンロスを生じ易くなる虞がある。
さらに、法線荷重に伴って入力軸及び出力軸の軸線方向にスラスト荷重が発生し、このスラスト荷重は入力軸及び出力軸の軸受あるいはハウジングが受けることになるため、軸受及びハウジングの経時的な変形あるいは軸受領域の発熱による潤滑油温度の上昇等を生じ、磨耗、動力伝達効率の低下等を招く虞がある。一方、変形等に対処するべく、ハウジングの剛性を高めると、大型化あるいは重量化を招くことになる。
特開平6−280961号公報
本発明は、上記従来の装置の事情に鑑みて成されたものであり、その目的とするところは、構造の簡素化、小型化、低コスト化、機能上の信頼性の向上等を図りつつ、転動接触領域におけるスピンロス(滑り接触)を防止して、十分なトラクション力あるいは伝達トルクを確保でき、伝達効率を向上させることができ、所望の変速比に確実に設定することができる無段変速装置を提供することにある。
本発明の無段変速装置は、所定の中心軸線上において回動自在にハウジングに支持された入力軸と、入力軸と一体的に回転するサンローラと、中心軸線上に頂点をもつ仮想円錐面内に等間隔に配列されてサンローラに外接する複数の遊星ローラと、ハウジングに回動自在に支持された出力軸と、出力軸と一体的に回転すると共に遊星ローラを自転及び公転自在に内接させる出力リングと、遊星ローラを転動自在に内接させると共に中心軸線の方向に可動に設けられた変速リングとを備え、上記遊星ローラは、頂点に向けて先細るように形成されサンローラ及び出力リングに挟まれるように接触する第1円錐部と、第1円錐部に続けて逆向に先細るように形成され変速リングと接触する第2円錐部と、第2円錐部に続けて逆向きに末広がるように形成された第3円錐部とを含み、上記変速リングは、第2円錐部と接触する主接触部と、変速リングが所定位置に達したとき第3円錐部と接触し得る補助接触部とを含む、構成となっている。
この構成によれば、入力軸の回転駆動力は、サンローラ→複数の遊星ローラ→出力リングを介して適宜所望の変速比に無段変速され、変速された回転速度は、出力軸から回転駆動力として出力される。
ここで、変速リングの主接触部が第2円錐部との接触位置を変えることにより、無段変速が行われ、変速リングが所定位置に達したとき、その補助接触部が第3円錐部と接触するため、その位置においてより大きな法線力が得られ、トラクション力による駆動力の伝達効率が向上する。
上記構成において、補助接触部は、変速リングの移動範囲の一方の移動端において、第3円錐部と接触するように形成されている、構成を採用することができる。
この構成によれば、変速リングが変速を行う移動範囲の一方の移動端(第2円錐部の小径側の移動端であり、例えば、変速比のトップ位置)に位置するとき、補助接触部が第3円錐部と接触するため、この移動端(トップ位置)においてトラクション力による駆動力の伝達を確実に行わせることができ、又、補助接触部が第3円錐部に接触することで、変速リングを一方の移動端に位置決めするストッパの役割を兼ねさせることができる。
上記構成において、変速リングが一方の移動端に位置するとき、主接触部が第2円錐部に接触する位置と補助接触部が第3円錐部に接触する位置とは、頂点を通る同一の円錐面上に位置するように形成されている、構成を採用することができる。
この構成によれば、変速リングが一方の移動端(例えば、トップ位置)に位置するとき、これら2つの接触領域では回転角速度が同一になるため滑りを生じず、その結果スピンロスを無くして、法線力を高めつつ伝達効率を向上させることができる。
上記構成において、サンローラ、複数の遊星ローラ、出力リング、及び変速リングにより、一つのトラクション変速ユニットが形成され、このトラクション変速ユニットは、中心軸線に垂直な面に対して対称的に向かい合うように二つ配置されている、構成を採用することができる。
この構成によれば、二つのトラクション変速ユニットにおいてそれぞれ発生する中心軸線方向におけるスラスト荷重を、お互いに逆向きに作用させて相殺することができ、それ故に、ハウジングあるいは入力軸の軸受等に無理な荷重が加わるのを防止することができ、又、軸受領域等における潤滑油の温度上昇を抑制でき、それ故に接触界面に潤滑油膜を形成させてトラクション力を確実に得ることができる。
また、入力軸のトルクを二つのトラクション変速ユニットにより倍増しつつ無段変速して出力軸から出力することができる。
上記構成において、二つのトラクション変速ユニットの一方に含まれる変速リングと他方に含まれる変速リングを同期して駆動する一つの駆動機構を含む、構成を採用することができる。
この構成によれば、一つの駆動機構で二つの変速リングを同期して駆動することにより、基本的に二つのトラクション変速ユニットにおいて変速比のズレを生じないようにすることができ、特に、二つの変速リングの位置ズレ(すなわち、変速比のズレ)を生じても、それぞれの変速リングの補助接触部を対応する遊星ローラの第3円錐部に強制的に押し付けるように駆動して、その位置ズレを補正することができる。
上記構成において、二つのトラクション変速ユニットに含まれる出力リングから出力されるそれぞれの回転速度を一つの回転速度に変換して伝達する差動歯車機構を含む、構成を採用することができる。
この構成によれば、仮に二つのトラクション変速ユニット間に相対的な変速比のズレがあっても、又、変速比の値が小さく調整が難しい領域であっても、差動歯車機構がその変速比のズレを調整して一つの変速比(例えば、両者の平均値をなす変速比に対応する一つの回転速度)として出力することができる。したがって、特に二つのトラクション変速ユニットの組付けを高精度に設定しなくても、所望の変速機能を確保することができ、変速比がゼロの付近の調整も容易に行うことができ、経時変化による二つのトラクション変速ユニットの変速比のズレの影響を防止でき、伝達効率を向上させることができる。
上記構成において、出力リングを遊星ローラの第1円錐部に押圧するべく,回転力を伝達し得ると共に中心軸線の方向に押圧力を発生し得るローディングカム機構を含む、構成を採用することができる。
この構成によれば、入力軸の回転駆動力は、サンローラ→遊星ローラ→出力リング→ローディングカム機構(又はさらに差動歯車機構)を介して出力軸に伝達され、逆に、出力軸の負荷トルクは、ローディングカム機構(又は差動歯車機構→ローディングカム機構)を介して、出力リングを遊星ローラに押し付ける押圧力(法線荷重)すなわちトラクション力を増加させる。これにより、外部から負荷トルクが加わっても、トラクション力が確実に得られて出力軸は所定の変速比で確実に回転駆動される。
上記構成において、入力軸の回転速度に応じて、サンローラと遊星ローラの間でのトラクション力による回転力の伝達をオン/オフするトリガ機構を含む、構成を採用することができる。
この構成によれば、サンローラと遊星ローラが常時直結(トラクション力を発生するように密接)されているのではなく、入力軸(サンローラ)の回転速度が増加すると、トリガ機構がオン作動してサンローラ(入力軸)の回転駆動力がトラクション力を介して遊星ローラに伝達されるため、サンローラすなわち入力軸の回転を所望のタイミングで出力軸に連動させることができ、一方、入力軸(サンローラ)の回転速度が減少すると、トリガ機構がオフ作動してサンローラ(入力軸)の回転駆動力は遊星ローラに伝達されないため、入力軸(サンローラ)の回転に拘わらず出力軸をフリー(外力により回転可能)にすることができる。
上記構成をなす無段変速装置によれば、構造の簡素化、小型化、低コスト化、機能上の信頼性の向上等を達成しつつ、十分なトラクション力あるいは伝達トルクを確保でき、伝達効率を向上させることができ、所望の変速比に確実に設定することができる無段変速装置を得ることができる。
以下、本発明の最良の実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
図1ないし図4は、本発明に係る無段変速装置の一実施形態を示すものであり、図1は装置の内部を示す部分断面図、図2は装置の内部を示す断面図、図3は装置の概略構成を示す模式図、図4は装置の一部をなすローディングカム機構を示す概略図である。
この無段変速装置は、図1及び図2に示すように、ハウジング10、入力軸20、トラクション変速ユニットU、トリガ機構80、ローディングカム機構90、出力軸100等を備えている。
トラクション変速ユニットUは、図1及び図2に示すように、円錐台状に形成されたサンローラ30、サンローラ30に外接して転動する複数の遊星ローラ40、遊星ローラ40を内接させると共に回動自在に支持された出力リング50、遊星ローラ40を転動自在に内接させると共にその内接位置を移動させて変速する変速リング60、変速リング60を駆動する駆動機構70等を備えている。
ハウジング10は、図2に示すように、入力軸20を回動自在に支持する左右のフランジ壁部11、軸受12、リングシール13、左右のフランジ壁部11を連結する連結ガイドロッド14、外周を覆う円筒カバー部15等を備えている。
そして、ハウジング10内には、トラクション変速ユニットUのトラクション力が発生する接触界面、その他の摺動面、転動面等に供給される潤滑油が注入されている。
入力軸20は、図2に示すように、ハウジング10の内部に形成された円板状のフランジ部21、フランジ部21から伸長して形成された縮径部22を一体的に備えている。
フランジ部21は、後述するトリガ機構80の端面82を画定している。縮径部22は、後述するトリガ機構80の傾斜面83aを画定するスライダ83を中心軸線方向Lに可動に支持すると共に、その先端側においてサンローラ30を一体的に回転するようにかつ中心軸線方向Lに僅かに移動可能に連結している。
サンローラ30は、図2に示すように、略円錐台状に形成され、遊星ローラ40が転動する円錐面状の一部をなす外周面31、外周面31に続けて入力軸20側に形成された円筒部32、外周面31よりも縮径して出力軸100側に形成された縮径円筒部33等を備えるように形成されている。
円筒部31は、その外周面において後述する可動ホルダ45を支持し、その内側において入力軸20の縮径部22及びトリガ機構80を収容している。
縮径円筒部33は、その外周面において後述する可動ホルダ45を支持し、その内側において後述する出力リング50のシャフト部53を同軸上において回動自在に受け入れている。
遊星ローラ40は、図2及び図3に示すように、サンローラ30(の外周面31)に外接すると共に出力リング50(の内周面51)に内接して転動する第1円錐部41、変速リング60(の主接触面61)に内接して転動する第2円錐部42、変速リング60(の補助接触面62)に係脱自在に内接し得る第3円錐部43、第1円錐部41,第2円錐部42,及び第3円錐部43の共通の軸部44を備えている。
第1円錐部41は、図3に示すように、中心軸線L上の頂点Aに向けて先細るように形成され、サンローラ30(の外周面31)及び出力リング50(の内周面51)に挟まれるように接触している。
第2円錐部42は、図3に示すように、第1円錐部41に続けて逆向き(頂点Aと反対側)に先細るように形成され、変速リング60(の主接触面61)に接触している。
第3円錐部43は、図3に示すように、第2円錐部42に続けて逆向き(頂点Aと反対側)に末広がるように形成され、変速リング60が移動範囲の一方の移動端(変速比のトップ位置T)に達したときに変速リング60(の補助接触面62)に接触するようになっている。
軸部44は、図2に示すように、その両端が僅かに移動できるように、可動ホルダ45により回動自在に両端支持されている。
可動ホルダ45は、図1及び図2に示すように、骨組み構造(鳥籠形状)に形成され、ハウジング10内において他の部品と接触しないように、サンローラ30の円筒部32及び縮径円筒部33に軸受を介して中心軸線L回りに回動自在に保持されている。
すなわち、複数(ここでは、6個)の遊星ローラ40は、図2及び図3に示すように、中心軸線L上に頂点Aをもつ仮想円錐面内において(所定軸線Lに対して角度θをなす軸線Sを回転中心軸として)等間隔に配列されて自転及び公転可能に可動ホルダ45に保持されている。
ここで、全ての遊星ローラ40における第2円錐部42は、図3に示すように、中心軸線Lから径方向に最も離れた位置にある母線(変速リング60の主接触面61が接触する稜線)M2が中心軸線L(入力軸20の軸線)と平行に伸長するように形成されている。
また、遊星ローラ40と変速リング60の関係についてさらに説明すると、図3に示すように、第1円錐部41を画定する母線M1が、第2円錐部42と交わる点Pnの位置に変速リング60の主接触面61が位置するとき、遊星ローラ40が出力リング50に対して転動し、出力リング50が停止した状態となる中立位置Nに対応する。
したがって、この中立位置Nを起点として、図3中の右側(矢印Dで示すように第2円錐部42の小径側)に変速リング60が移動するとき、出力リング50は連続的に増速されて、トップ位置Tに至る。一方、中立位置Nを起点として、図3中の左側(矢印Rで示すように第2円錐部42の大径側)に変速リング60が移動するとき、出力リング50は逆向きに回転するようになっている。
さらに、第3円錐部43の母線M3は、図3に示すように、変速リング60が一方の移動端(トップ位置T)に位置するとき、主接触面61が第2円錐部42に接触する位置Ptを通るように形成されている。すなわち、変速リング60の主接触面61が第2円錐部42に接触する位置Ptと変速リング60の補助接触面62が第3円錐部43に接触する位置とは、頂点Aを通る同一の円錐面(母線M3)上に位置するように形成されている。したがって、変速リング60がトップ位置Tに位置するとき、これら2つの接触領域では回転角速度が同一になるため滑りを生じず、その結果スピンロスを無くして、法線力を高めつつ伝達効率を向上させることができる。
変速リング60は、図1ないし図3に示すように、遊星ローラ40の第2円錐部42に接触する主接触部としての主接触面61、遊星ローラ40の第3円錐部43に所定のタイミングで接触し得る補助接触部としての補助接触面62、駆動機構70の一部をなすリードスクリュー71が螺合する雌ネジ部63、連結ガイドロッド14に外嵌されてガイドされる被ガイド部64等を備えるように形成されている。
主接触面61は、中心軸線Lと同軸をなす円筒面に形成され、補助接触面62は、第3円錐部43を内接させ得るように円錐状の傾斜面として形成されている。
そして、変速リング60は、ハウジング10内において、中心軸線L(入力軸20)回りに回転不能に保持された状態で、中心軸線L(入力軸20)方向の所定の移動範囲において往復動自在に支持されている。
上記変速リング60と遊星ローラ40の関係において、補助接触面62は、変速リング60の移動範囲の一方の移動端(トップ位置T)において、第3円錐部43と接触するように形成されているため、この移動端(トップ位置)においてトラクション力による駆動力の伝達を確実に行わせることができ、又、変速リング60を一方の移動端(トップ位置T)に位置決めするストッパの役割を第3円錐部43に兼ねさせることができる。
出力リング50は、図2及び図3に示すように、遊星ローラ40の第1円錐部41が内接して転動する内周面51、ローディングカム機構90が介在する環状の端面部52、サンローラ30の縮径円筒部33に嵌入されると共に出力軸100の嵌合穴102に嵌入されて中心軸線方向Lに僅かに移動可能なシャフト部53等を備えるように形成されている。そして、出力リング50は、遊星ローラ40が回転及び公転することで、そのトラクション力により中心軸線L回りに出力軸100と一体的に回転するようになっている。したがって、内周面51における法線力を大きくすることにより、より大きなトラクション力が得られ、回転力が確実に伝達される。
駆動機構70は、図2に示すように、ハウジング10内において中心軸線L(入力軸20及び出力軸100)と平行に伸長するように配置されて変速リング60の雌ネジ部63に螺合するリードスクリュー71、リードスクリュー71の一端に固着された歯車72、歯車72に噛合するウォーム73、ウォーム73を回転駆動するモータ74等を備えている。
そして、モータ74が一方向に回転すると、ウォーム73→歯車72→リードスクリュー71を介して、変速リング60を図3中の右向き(増速側)に向けて駆動し(移動させ)、一方、モータ74が逆向きに回転すると、ウォーム73→歯車72→リードスクリュー71を介して、変速リング60を図3中の左向き(減速→停止→逆回転する側)に向けて駆動する(移動させる)ようになっている。
すなわち、変速リング60を中心軸線方向Lに移動させることで、遊星ローラ40の第2円錐部42が主接触面61と内接する内接位置を移動させ、これにより、無段変速を行うようになっている。
具体的には、図3に示すように、変速リング60が、第2円錐部42の中立位置Nにおいて接触している場合、遊星ローラ40は出力リング50に対して転動し、出力リング50は回転することなく停止した状態、すなわち、出力軸100も停止した状態にある。
次に、変速リング60を右向きに(図3中において矢印Dで示すように、第2円錐部42の小径端部側に向けて)移動させると、出力リング50の回転速度は次第に増速され、出力軸100も増速されて回転するようになっている。
一方、変速リング60を中立位置Nから左向きに(図3中において矢印Rで示すように、第2円錐部42の大径端部側に向けて)移動させると、出力リング50は逆向きに回転するようになっている。
トリガ機構80は、入力軸20すなわちサンローラ30の回転速度に応じて、サンローラ30と遊星ローラ40の間でのトラクション力による回転力の伝達をオン/オフするものであり、図2に示すように、球状をなす複数の遠心ウエイト81、入力軸20のフランジ部21に形成された端面82、入力軸20の縮径部22に外嵌されてサンローラ30を遊星ローラ40に向けて押し付けるように中心軸線方向Lに摺動し得ると共に傾斜面83aを画定するスライダ83、スライダ83がサンローラ30を押し付ける押圧力を弱める方向に付勢力を及ぼすべく縮径部22の周りに配置されたコイルスプリング84等を備えている。
そして、トリガ機構80は、サンローラ30と遊星ローラ40がお互いに空回りする状態(接触面におけるトラクション力が作用しない状態)から、入力軸20(サンローラ30)の回転速度が増加すると、遠心ウエイト81が径方向の外側に移動して傾斜面83aを押圧することで、コイルスプリング84の付勢力に抗してスライダ83を左向きに移動させ、サンローラ30を中心軸線方向Lの左向きに押圧する(オン作動する)。すなわち、サンローラ30は、複数の遊星ローラ40に食い込むように押圧される。その結果、トラクション力が発生して、入力軸20(サンローラ30)の回転駆動力が遊星ローラ40に伝達され、所望のタイミングで出力軸100まで伝達されることになる。
一方、入力軸20(サンローラ30)の回転速度が減少すると、コイルスプリング84の付勢力により遠心ウエイト81が径方向の中心軸線L寄りに移動して、傾斜面83aを押す力が弱くなり、サンローラ30は対応する複数の遊星ローラ40から抜け出すように僅かに移動する(オフ作動する)。その結果、トラクション力が小さくなり、入力軸20(サンローラ30)の回転駆動力は遊星ローラ40に伝達されなくなり、入力軸20(サンローラ30)の回転に拘わらず出力軸100は自由に回転する(外力により回転する)ことができるようになる。
このように、トリガ機構80がオン作動する際に、サンローラ30はくさび作用を強めるように形成されているため、サンローラ30と遊星ローラ40との接触面における法線力すなわちトラクション力を確実に得ることができる。
ローディングカム機構90は、図2及び図4に示すように、出力リング50の端面部52に形成された円弧状のカム溝91、出力軸100のフランジ部101に形成された円弧状のカム溝92、カム溝91とカム溝92の間に介在する球状の転動体93等を備えている。
そして、ローディングカム機構90は、出力リング50の端面部52と出力軸100のフランジ部101の間に相対的な回転差を生じると、転動体93が移動してカム溝91,92によりカム作用を受け、中心軸線Lの方向に押圧力(スラスト荷重)を発生する。すると、出力リング50(の内周面51)が遊星ローラ40の第1円錐部41に押圧されて法線力が増加し、又、スラスト荷重の反力として出力リング50と出力軸100が一体的に回転するようになる。
具体的には、入力軸20の回転駆動力は、サンローラ30→遊星ローラ40→出力リング50→ローディングカム機構90を介して出力軸100に伝達され、逆に、出力軸100の負荷トルクは、ローディングカム機構90を介して、出力リング50を遊星ローラ40に押し付ける押圧力(法線荷重)すなわちトラクション力を増加させるため、外部から負荷トルクが加わっても、トラクション力が確実に得られて出力軸は所定の変速比で確実に回転駆動される。
出力軸100は、図2に示すように、円板状のフランジ部101、シャフト部53を受け入れる嵌合穴102を備えるように形成されている。
そして、出力軸100は、図2に示すように、軸受12及びリングシール13等を介してハウジング10に支持されて、中心軸線L回りに(入力軸20と同軸上において)回動自在となっている。
次に、上記無段変速装置の動作について説明する。
先ず、入力軸20が停止している場合、トラクション変速ユニットUにはトラクション力が発生せずトルクが伝達されないため、出力軸100は自由に回転できる状態にある(オフの状態)。
続いて、入力軸20が停止した状態から回転し始め、その回転速度が上昇すると、トリガ機構80がオン作動して(遠心ウエイト81が径方向外向きに移動してサンローラ30を複数の遊星ローラ40内に楔作用により入り込ませて)、サンローラ30が遊星ローラ40に押し付けられて所定レベル以上の法線力すなわちトラクション力が発生し、サンローラ30から遊星ローラ40にトルク(回転駆動力)が伝達される。
そして、トラクション変速ユニットUにおいて、駆動機構70により変速リング60が適宜駆動され、サンローラ30→複数の遊星ローラ40→出力リング50を経て変速された回転速度が、ローディングカム機構90を介して出力軸100から回転駆動力として出力される。
一方、出力軸100に負荷トルクが加わった場合は、ローディングカム機構90が作動して、出力リング50を遊星ローラ40に押し付ける押圧力(法線荷重)すなわちトラクション力を増加させる。これにより、外部から負荷トルクが加わっても、トラクション力が確実に得られて出力軸100は所定の変速比で確実に回転駆動される。
ここで、変速リング60の主接触面61が第2円錐部42との接触位置を変えることにより無段変速され、変速リング60が変速比のトップ位置Tに達したとき、補助接触面62が第3円錐部43と接触するため、その位置において変速リング60が位置決めされると共により大きな法線力が得られ、トラクション力による駆動力の伝達効率が向上する。
上記構成をなす無段変速装置では、図3に示すように、サンローラ30と第1円錐部41が接触する領域において、サンローラ30の回転半径をR1、第1円錐部41の回転半径をR2、トラクション係数(伝達効率)をηとし、出力リング50と第1円錐部41が接触する領域E2において、第1円錐部41の回転半径をR3、出力リング50の回転半径をR4、トラクション係数(伝達効率)をηとし、変速リング60と第2円錐部42が接触する領域において、第2円錐部42の回転半径をR5、変速リング60(主接触面61)の回転半径をR6、トラクション係数(伝達効率)をηとするとき、入力軸20の入力トルクTinと出力軸100の出力トルクToutの関係は、
out=[−η・η・(1+η・η・I)/I−η・η]・Tin
=R3・R6/R4・R5
=R2・R6/R1・R5
ただし、R4/R3≦R6/R5
で表される。
上記関係式に基づいて、変速リング60がトップ位置Tにあるときのηの伝達効率を計算すると、トップ位置Tにおいてスピンロスを零にすることができるため、99パーセント以上の伝達効率を達成することができる。
上記構成をなす無段変速装置によれば、構造の簡素化、小型化、低コスト化、機能上の信頼性の向上等を達成しつつ、十分なトラクション力あるいは伝達トルクを確保でき、伝達効率を向上させることができ、所望の変速比に確実に設定することができる。
図5ないし図7は、本発明に係る無段変速装置の他の実施形態を示すものであり、図5は装置の内部を示す部分断面図、図6は装置の内部を示す断面図、図7は装置の概略構成を示す模式図である。
この実施形態においては、二つのトラクション変速ユニットU、差動歯車機構110等を採用した以外は、基本的に前述の実施形態と同一であり、同一の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
すなわち、この無段変速装置は、図5及び図6に示すように、ハウジング10´、入力軸20´、二つのトラクション変速ユニットU、トリガ機構80´、ローディングカム機構90´、差動歯車機構110、出力軸100´等を備えている。
二つのトラクション変速ユニットUは、図5及び図6に示すように、それぞれ、サンローラ30´、複数の遊星ローラ40、出力リング50´、変速リング60を備えている。また、二つのトラクション変速ユニットUは、各々の変速リング60を同期して駆動する一つの駆動機構70´を備えている。
すなわち、図6及び図7(トリガ機構80´が省略されている)に示すように、左側に位置するトラクション変速ユニットUが、サンローラ30´、複数の遊星ローラ40、出力リング50´、変速リング60を含み、右側に位置するトラクション変速ユニットUが、同様に、サンローラ30´、複数の遊星ローラ40、出力リング50´、変速リング60を含む構成となっている。
そして、左側のトラクション変速ユニットU及び右側のトラクション変速ユニットUは、図5ないし図7に示すように、ローディングカム機構90´を挟んで、所定軸線Lに垂直な面(ハウジング10´内の中央に位置する垂直面)に対して対称的に向かい合うように配置されている。
したがって、二つのトラクション変速ユニットUは、所定軸線方向Lにおいて発生するスラスト荷重をお互いに逆向きに作用させて相殺しつつ、それぞれに変速した回転力(回転速度)を、差動歯車機構110を介して出力軸100´に伝達することができる。それ故に、ハウジング10´あるいは軸受12等に無理な荷重が加わるのを防止することができ、又、軸受領域等における潤滑油の温度上昇を抑制でき、トラクション力を確実に得ることができる。
ハウジング10´は、図6に示すように、フランジ壁部11、軸受12、リングシール13、連結ガイドロッド14、円筒カバー部15、差動歯車機構110及び出力軸100´を支持すると共に周りを覆うカバー部16、軸受17,リングシール18等を備えている。そして、ハウジング10内には、トラクション変速ユニットUのトラクション力が発生する接触界面、その他の摺動面、転動面等に供給される潤滑油が注入されている。
入力軸20´は、図6に示すように、ハウジング10´の外部に突出してエンジン等から駆動力を伝達される外部入力軸21´、ハウジング10´の内部に配置されて外部入力軸21´と一体的に回転するように連結された内部入力軸22´により形成されている。
外部入力軸21´は、その内側端部において、円板状のフランジ部21a、内部入力軸22´を連結する連結穴21bを備えている。フランジ部21aは、トリガ機構80´の後述する端面82を画定している。
内部入力軸22´は、二つのサンローラ30´をお互いに向き合うように外嵌させた状態で、一体的に回転するようにかつ左側のサンローラ30´をその軸線方向Lに所定量だけ移動可能に連結している。
サンローラ30´は、図6に示すように、外周面31、円筒部32等を備えるように形成されている。そして、左側に位置するサンローラ30´は、その円筒部32の内側において、トリガ機構80´の遠心ウエイト81を受ける傾斜面83aを画定している。
一方、右側に位置するサンローラ30´は、円筒部32において、内部入力軸22´の端部にねじ込まれるネジ部材33´を収容するように形成されている。ネジ部材33´は、右側のサンローラ30´を内部入力軸22´と一体的に回転させるように固定するものである。すなわち、左側のサンローラ30´は、内部入力軸22´と一体的に回転するようにかつ内部入力軸22´の中心軸線方向Lに僅かに移動可能に連結され、右側のサンローラ30´は、内部入力軸22´と一体的に回転するように固定されている。
出力リング50´は、図6に示すように、内周面51、端面部52等を備えるように形成されている。また、右側の出力リング50´は、その外周において、後述する差動歯車機構110の外歯車112aに噛合する歯車54´を備えている。
駆動機構70´は、図6及び図7に示すように、ハウジング10´内において中心軸線Lと平行に伸長するように配置されて二つの変速リング60の雌ネジ部63に螺合するリードスクリュー71´、歯車72、ウォーム73、モータ74等を備えている。
そして、モータ74が一方向に回転すると、ウォーム73→歯車72→リードスクリュー71´を介して、二つの変速リング60を図6及び図7中の中心軸線方向Lの中央に向けて同期して駆動し(移動させ)、一方、モータ74が逆向きに回転すると、ウォーム73→歯車72→リードスクリュー71´を介して、二つの変速リング60を図6及び図7中の中心軸線方向Lの左右両外側に向けて同期して駆動する(移動させる)ようになっている。
このように、一つの駆動機構70´で二つの変速リング60,60を同期して駆動することにより、基本的に二つのトラクション変速ユニットUにおいて変速比のズレを生じないようにすることができ、特に、二つの変速リング60の位置ズレ(すなわち、変速比のズレ)を生じても、それぞれの変速リング60の補助接触面62を対応する遊星ローラ40の第3円錐部43に強制的に押し付けるように駆動して、その位置ズレを補正することができる。
トリガ機構80´は、図6に示すように、複数の遠心ウエイト81、外部入力軸21´のフランジ部21aに形成された端面82、左側に配置されるサンローラ30´の円筒部32内に形成された複数の傾斜面83a等を備えている。
トリガ機構80´は、前述の実施形態に比べてコイルスプリングの付勢力が作用しないだけで、入力軸20´すなわちサンローラ30´の回転速度に応じて、サンローラ30´と遊星ローラ40の間でのトラクション力による回転力の伝達をオン/オフするものである。
ローディングカム機構90´は、図6及び図7に示すように、左右の出力リング50´,50´の間に介在する二つの回転板91´,91´´、回転板91´,91´´の間に配置されたスラスト軸受94、左側の出力リング50´と回転板91´の間及び右側の出力リング50´と回転板91´´の間にそれぞれ介在する転動体93等を備えている。
回転板91´は、図6及び図7に示すように、左側の出力リング50´と隣接するように配置され、その外周面において後述する差動伝達機構110の外歯車111aに噛合する歯車91a´、左側の出力リング50´と対向する側面において円弧状の複数のカム溝92を備えるように形成されている。尚、左側の出力リング50´の端面部52には、回転板91´のカム溝92と対向するカム溝91が形成されている。
回転板91´´は、図6及び図7に示すように、右側の出力リング50´と隣接するように配置され、右側の出力リング50´と対向する側面において円弧状の複数のカム溝92を備えるように形成されている。尚、右側の出力リング50´の端面部52には、回転板91´´のカム溝92と対向するカム溝91が形成されている。
そして、左側に位置する回転板91´と右側に位置する回転板91´´とは、図6に示すように、中心軸線方向Lにおいてお互いに隣接して配置されている。
スラスト軸受94は、ローディングカム機構90´により発生するスラスト荷重を受けるようになっている。
そして、ローディングカム機構90´は、図6に示すように、左側のトラクション変速ユニットUの出力リング50´と右側のトラクション変速ユニットUの出力リング50´の間に介在して、中心軸線方向Lに押圧力(スラスト荷重)を発生し得るものである。
すなわち、ローディングカム機構90´は、出力リング50´と回転板91´,91´´の間に相対的な回転差を生じると、転動体93が移動してカム溝91,92によりカム作用を受け、中心軸線方向Lに押圧力(スラスト荷重)を発生する。すると、出力リング50´と遊星ローラ40の接触面での法線力が増加し、又、スラスト荷重の反力として出力リング50´と回転板91´,91´´が一体的に回転するようになる。
具体的には、入力軸20´の回転駆動力は、サンローラ30´→遊星ローラ40→出力リング50´→ローディングカム機構90´→差動歯車機構110を介して出力軸100´に伝達され、逆に、出力軸100´の負荷トルクは、差動歯車機構110→ローディングカム機構90´を介して、出力リング50´を遊星ローラ40に押し付ける押圧力(法線荷重)すなわちトラクション力を増加させるため、外部から負荷トルクが加わっても、トラクション力が確実に得られて出力軸は所定の変速比で確実に回転駆動される。
さらに、一方の回転板91´と他方の回転板91´´は、中心軸線方向Lにおいてお互いに隣接して配置されているため、中心軸線方向Lにおける装置の集約化及び小型化を達成でき、又、中心軸線方向Lに作用するスラスト力を相殺させて、スラスト軸受94の負担を軽減させることもできる。
差動歯車機構110は、図6及び図7に示すように、回転板91´の歯車91a´と噛合する外歯車111a及び内側に形成されたカサ歯車111bを一体的に有すると共に出力軸100´の回りに回動自在に支持された歯車111、右側の出力リング50´の歯車54´と噛合する外歯車112a及び内側に形成されたカサ歯車112bを一体的に有すると共に出力軸100´の回りに回動自在に支持された歯車112、二つの歯車111,112に挟まれる領域において出力軸100´と一体的に回転するように連結された軸部材113、軸部材113に回動自在に支持されると共にカサ歯車111b,112bにそれぞれ噛合する二つのカサ歯車114,115等を備えている。
軸部材113は、出力軸100´の軸線方向に直交する方向に伸長する軸線回りにおいて、カサ歯車114,115を回動自在に支持している。
すなわち、差動歯車機構110は、歯車111(外歯車111a,カサ歯車111b)、歯車112(外歯車112a,カサ歯車112b)、軸部材113、カサ歯車114、カサ歯車115を含む差動歯車列として形成されている。
したがって、左右の出力リング50´の回転速度が同一の場合は、歯車111,112は同一の速度で出力軸100´回りに回転するため、カサ歯車114,115は回転することなく歯車111,112に噛合した状態で軸部材113と一体となって回転し、出力軸100´にその回転速度を伝達することになる。
一方、左右の出力リング50´の回転速度が異なるとき、歯車111と歯車112は相対的に回転差を生じるため、カサ歯車114,115が回転(自転)しつつ軸部材113と一体となって出力軸100´の回りに回転して、両方の歯車111,112の回転速度を平均して一つの回転速度に変換して出力軸100´に伝達するようになっている。
このように、一つの入力軸20´のトルクを二つのトラクション変速ユニットUにより倍増しつつ無段変速でき、仮に二つのトラクション変速ユニットU間に相対的な変速比のズレがあっても、差動歯車機構110がその変速比のズレを調整して一つの変速比(例えば、両者の平均値をなす変速比に対応する一つの回転速度)として出力することができるため、前述の遊星ローラ40(の第3円錐部43)と変速リング60(の補助接触面62)の関係と共に、入力軸20´の回転駆動力を効率よく出力軸100´に伝達することができる。
出力軸100´は、図6に示すように、ハウジング10´に対して軸受17及びリングシール18を介して回動自在に支持されており、歯車111,112をその軸線回りに回動自在に支持すると共に、その軸線方向に直交する軸部材113を一体的に回転するように保持している。
次に、上記無段変速装置の動作について説明する。
先ず、入力軸20´が停止している場合、二つのトラクション変速ユニットUにはトラクション力が発生せずトルクが伝達されないため、出力軸100´は自由に回転できる状態にある(オフの状態)。
続いて、入力軸20´が停止した状態から回転し始め、その回転速度が上昇すると、トリガ機構80´がオン作動して(遠心ウエイト81が径方向外向きに移動して二つのサンローラ30´を対応する遊星ローラ40内に入り込ませて)、サンローラ30´が遊星ローラ40に押し付けられて所定レベル以上の法線力すなわちトラクション力が発生し、サンローラ30´から遊星ローラ40にトルク(回転駆動力)が伝達される。
そして、二つのトラクション変速ユニットUにおいて、一つの駆動機構70´により両方の変速リング60が適宜駆動され、サンローラ30´→複数の遊星ローラ40→出力リング50´を経て変速されたそれぞれの回転速度が、直接又はローディングカム機構90´を介して差動歯車機構110に入力されることにより一つの回転速度に変換されて、出力軸100´が回転する。
ここで、入力軸20´のトルクは、二つのトラクション変速ユニットUにより倍増されつつ無段変速され、仮に二つのトラクション変速ユニットU間に相対的な変速比のズレがあっても、又、変速比の値が小さく調整が難しい領域においても、差動歯車機構110がその変速比のズレを調整して一つの変速比(両者の平均値をなす変速比に対応する一つの回転速度)として出力するため、入力軸20´から二つのトラクション変速ユニットUを介して出力軸100´に確実に回転駆動力が伝達される。
上記トラクションドライブにおいて、二つのトラクション変速ユニットUにはそれぞれ中心軸線方向Lにスラスト荷重が発生するが、二つのトラクション変速ユニットU(左右にそれぞれ位置する、サンローラ30´、遊星ローラ40、出力リング50´、変速リング60)は中心軸線Lに垂直な面に対して対称的に向かい合うように配置されているため、それぞれのスラスト荷重をお互いに逆向きに作用させて相殺することができる。その結果、ハウジング10´あるいは軸受12等に無理な荷重が加わるのを防止できる。
一方、出力軸100´に負荷トルクが加わった場合は、ローディングカム機構90´が作動して、出力リング50´を遊星ローラ40に押し付ける押圧力(法線力)すなわちトラクション力を増加させる。これにより、外部から負荷トルクが加わっても、トラクション力が確実に得られて出力軸100´は所定の変速比で確実に回転駆動される。
上記構成をなす無段変速装置においても、前述同様に、構造の簡素化、小型化、低コスト化、機能上の信頼性の向上等を達成しつつ、変速リング60がトップ位置Tにあるときスピンロスを零にすることができるため、99パーセント以上の伝達効率を達成することができ、十分なトラクション力あるいは伝達トルクを確保でき、回転駆動力を確実に伝達することができる。
上記実施形態においては、変速リング60がトップ位置に達したときに、変速リング60の補助接触面62が遊星ローラ40の3円錐部43に接触する場合を示したが、これに限定されるものではなく、その他のタイミングで接触するように構成してもよい。
上記実施形態においては、ローディングカム機構90,90´を採用した場合を示したが、これに限定されるものではなく、出力リング50,50´から直接的に出力軸100に又は差動歯車機構110を介して出力軸100´に駆動力を伝達する構成を採用してもよい。
上記実施形態においては、トリガ機構80,80´を一つ採用した場合を示したが、これに限定されるものではなく、トリガ機構80,80´を廃止してもよく、あるいは、左右対称的に二つのトリガ機構を採用してもよい。
上記実施形態においては、二つのトラクション変速ユニットUに含まれる二つの変速リング60を一つの駆動機構70´で駆動する場合を示したが、これに限定されるものではなく、それぞれ別々に設けた駆動機構により駆動してもよい。
以上述べたように、本発明の無段変速装置は、構造の簡素化、小型化、低コスト化、機能上の信頼性の向上等を達成しつつ、十分なトラクション力あるいは伝達トルクを確保でき、伝達効率を向上させることができ、所望の変速比に確実に設定することができるため、二輪車、四輪者等の車両に搭載される変速装置として適用できるのは勿論のこと、汎用機械、建設機械、農業機械、工作機械等にも有用である。
本発明に係る無段変速装置の一実施形態を示す部分断面図である。 図1に示す無段変速装置の内部を示す断面図である。 図2に示す無段変速装置の概略構成を示した模式図である。 図2に示す無段変速装置に含まれるローディングカム機構を示すものであり、(a)は概略を示す斜視分解図、(b)は部分断面図である。 本発明に係る無段変速装置の他の実施形態を示す部分断面図である。 図5に示す無段変速装置の内部を示す断面図である。 図6に示す無段変速装置の概略構成を示した模式図である。
符号の説明
10,10´ ハウジング
11 フランジ壁部
12 軸受
13 リングシール
14 連結ガイドロッド
17 軸受
18 リングシール
L 中心軸線
A 頂点
20,20´ 入力軸
21,21a フランジ部
21b 連結穴
21´ 外部入力軸
22 縮径部
22´ 内部入力軸
U トラクション変速ユニット
30,30´ サンローラ
31 外周面
32 円筒部
33 縮径円筒部
33´ ネジ部材
40 遊星ローラ
41 第1円錐部
42 第2円錐部
43 第3円錐部
44 軸部
45 可動ホルダ
50 出力リング
51 内周面
52 端面部
53 シャフト部
54´ 歯車
60 変速リング
61 主接触面(主接触部)
62 補助接触面(補助接触部)
63 雌ネジ部
64 被ガイド部
70,70´ 駆動機構
71,71´ リードスクリュー
72 歯車
73 ウォーム
74 モータ
80,80´ トリガ機構
81 遠心ウエイト
82 端面
83 スライダ
83a 傾斜面
84 コイルスプリング
90,90´ ローディングカム機構
91,92 カム溝
91´,91´´ 回転板
91a´ 歯車
93 転動体
94 スラスト軸受
100,100´ 出力軸
101 フランジ部
102 嵌合穴
110 差動歯車機構
111,112 歯車
111a,112a 外歯車
111b,112b カサ歯車
113 軸部材
114,115 カサ歯車

Claims (8)

  1. 所定の中心軸線上において回動自在にハウジングに支持された入力軸と、前記入力軸と一体的に回転するサンローラと、前記中心軸線上に頂点をもつ仮想円錐面内に等間隔に配列されて前記サンローラに外接する複数の遊星ローラと、前記ハウジングに回動自在に支持された出力軸と、前記出力軸と一体的に回転すると共に前記遊星ローラを自転及び公転自在に内接させる出力リングと、前記遊星ローラを転動自在に内接させると共に前記中心軸線の方向に可動に設けられた変速リングとを備えた無段変速装置であって、
    前記遊星ローラは、前記頂点に向けて先細るように形成され前記サンローラ及び出力リングに挟まれるように接触する第1円錐部と、前記第1円錐部に続けて逆向に先細るように形成され前記変速リングと接触する第2円錐部と、前記第2円錐部に続けて逆向きに末広がるように形成された第3円錐部とを含み、
    前記変速リングは、前記第2円錐部と接触する主接触部と、前記変速リングが所定位置に達したとき前記第3円錐部と接触し得る補助接触部とを含む、
    ことを特徴とする無段変速装置。
  2. 前記補助接触部は、前記変速リングの移動範囲の一方の移動端において、前記第3円錐部と接触するように形成されている、
    ことを特徴とする請求項1に記載の無段変速装置。
  3. 前記変速リングが前記一方の移動端に位置するとき、前記主接触部が前記第2円錐部に接触する位置と前記補助接触部が前記第3円錐部に接触する位置とは、前記頂点を通る同一の円錐面上に位置するように形成されている、
    ことを特徴とする請求項2に記載の無段変速装置。
  4. 前記サンローラ、前記複数の遊星ローラ、前記出力リング、及び前記変速リングにより、一つのトラクション変速ユニットが形成され、
    前記トラクション変速ユニットは、前記中心軸線に垂直な面に対して対称的に向かい合うように二つ配置されている、
    ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一つに記載の無段変速装置。
  5. 前記二つのトラクション変速ユニットの一方に含まれる変速リングと他方に含まれる変速リングを同期して駆動する一つの駆動機構を含む、
    ことを特徴とする請求項4に記載の無段変速装置。
  6. 前記二つのトラクション変速ユニットに含まれる出力リングから出力されるそれぞれの回転速度を一つの回転速度に変換して伝達する差動歯車機構を含む、
    ことを特徴とする請求項4又は5に記載の無段変速装置。
  7. 前記出力リングを前記遊星ローラの第1円錐部に押圧するべく,回転力を伝達し得ると共に前記中心軸線の方向に押圧力を発生し得るローディングカム機構を含む、
    ことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一つに記載の無段変速装置。
  8. 前記入力軸の回転速度に応じて、前記サンローラと前記遊星ローラの間でのトラクション力による回転力の伝達をオン/オフするトリガ機構を含む、
    ことを特徴とする請求項1ないし7のいずれか一つに記載の無段変速装置。

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