JP2009056830A - エアバッグの製造方法、エアバッグ及びエアバッグ装置 - Google Patents

エアバッグの製造方法、エアバッグ及びエアバッグ装置 Download PDF

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Abstract

【課題】基布を縫製と接着剤とにより接合するエアバッグにおいて、接着剤が硬化する前に基布同士を縫製して接合部の気密性を向上させる。
【解決手段】基布3の気室10を形成するための外周接合部20に沿って、接着剤21Sを所定幅に塗布し、この接着剤21Sを挟んで上側から、同形状の基布2を重ね合わせる。続いて、接着剤21Sが硬化する前に、接着剤21Sの外周側に隣接して基布2、3同士を縫製し、接着剤21Sを加圧して縫製部22側に向かって流動させて、縫製部22を越えて外側まで浸透させる。その後、接着剤21Sを硬化させて接着剤層21と縫製部22の縫い糸とを一体化させ、同時に、基布2、3を外周接合部20で接合して膨張可能な気室10を形成する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、自動車等に搭載されるエアバッグとエアバッグ装置、及びエアバッグの製造方法に関し、特に、基布同士を縫製と接着剤とにより接合したエアバッグとエアバッグの製造方法、及び、このエアバッグを備えたエアバッグ装置に関する。
車両の衝突時や緊急時等に運転席や助手席の乗員等を保護するため、例えばステアリングホイールやインストルメントパネル部に、膨張展開可能なエアバッグを備えたエアバッグ装置を搭載した自動車等が広く普及している。また、近年では、後席を含む乗員の保護機能をより高めるため、車両側部のルーフレール部等にエアバッグを取り付け、車両の側面衝突時や横転時等にインフレータを作動させて、車両内側の側方窓部に沿って、その全体を覆うようにカーテン状にエアバッグ(いわゆるカーテン状エアバッグ)を展開させる側面用のサイドエアバッグ装置も採用されている。
ところで、これら各種のエアバッグは、複数の基布を接合する等して膨張展開可能な袋状に形成されるのが一般的であり、充分な膨張展開特性や乗員の保護機能を確保等するため、基布自体の気密性に加えて、基布同士の接合部にも高い気密性(耐圧性)が要求されることがある。そこで、従来、このような要求に答えるため、コーティング剤を被覆した二枚の基布(コーティング基布)を、そのコーティング面同士が対向するように重ね合わせて縫製し、かつ縫製部を接着剤によりシールして、気密性を高めたエアバッグが知られている(特許文献1参照)。
この従来のエアバッグは、二枚の基布のコーティング面同士を、粘性を有する接着剤(ここでは接着性シリコーン)により接着した後、この接着部(接着剤層)を挟んだ状態で接着部の基布同士を縫製し、基布の所定位置を接合して膨張可能な気室等を形成している。このように接着剤層を縫製することで、エアバッグの膨張時に基布の接合部に作用する力を、主に縫製部(縫い糸)で受けて接着剤層の剥離を抑制するとともに、接着剤層により接合部をシールして、縫製時に形成される基布(コーティング層)の孔からのガスの漏洩を抑制する等して、基布の接合部及びエアバッグの気密性を高めている。
しかしながら、このような従来のエアバッグでは、接着剤の硬化前には縫製作業が行えず、接着剤の硬化後に、基布を硬化した硬い接着剤層と共に縫製する必要があるため、縫製がし難くて手間や時間等を要し、基布同士の縫製や接合作業が困難である、という問題がある。また、縫製部の縫い糸は、接着剤層内を貫通するだけで接着剤層とは接着されていないため、基布の接合部に充分な接合強度が得られずに、エアバッグの展開時の内圧により接合部の一部が破断する恐れがある等、基布の接合部をより強固に接合して、その気密性を一層高める必要がある。同時に、例えば基布の接合部の一部が縫製部まで破断した場合には、縫製に伴い接着剤層と基布に形成された孔を伝って、エアバッグ(気室)内のガスが漏洩する恐れもあり、エアバッグの接合部に充分な気密性を確保して保持するのが難しい、という問題もある。
更に、この従来のエアバッグでは、接着剤を基布に塗布して基布同士を重ね合わせた後は、上記したように接着剤が硬化するまで縫製作業を行えず、比較的硬化が早い接着剤であっても半日から1日程度の硬化時間を要するため、その時間に応じて縫製までの待ち時間が長くなる。加えて、接着剤の硬化前に、エアバッグを折り畳んだり傾けたりすると、接着剤層の厚さが変化する等して所定の性能を発揮できなくなり、基布の接合部の強度や気密性が低下する恐れがある。そのため、この従来のエアバッグは、接着剤が硬化するまで、略水平に広げた状態等で留置する必要があり、そのための一時的なストックスペースとして広い保管スペースが必要である、という問題もある。特に、上記したカーテン状エアバッグのように展開時の寸法が大きなエアバッグでは、その大きさに応じて、より広い保管スペースが必要になり、エアバッグの全体としての生産スペースを確保するのも困難になる。
特開2006−159990号公報
本発明は、前記従来の問題に鑑みなされたものであって、その目的は、基布を縫製と接着剤とにより接合するエアバッグにおいて、接着剤が硬化する前に基布同士を縫製できるようにし、接着剤の硬化までに必要な保管スペースを削減しつつ、基布の縫製及び接合作業を容易にし、更に、エアバッグの接合部の気密性を高めることである。
請求項1の発明は、対向する基布同士が外周接合部で縫製と接着剤とにより接合されて膨張可能な気室が形成されたエアバッグであって、前記外周接合部は、前記基布間に挟まれた接着剤が硬化する前に該接着剤の外周側に隣接して前記基布同士を縫製した縫製部と、前記硬化前の接着剤を加圧して前記縫製部に浸透させた接着剤層と、からなることを特徴とする。
請求項2の発明は、膨張可能な気室を形成する対向する基布同士が前記気室内に設けられた内側接合部で縫製と接着剤とにより接合されたエアバッグであって、前記内側接合部は、前記基布間に挟まれた隣接する接着剤が硬化する前に該隣接する接着剤の間で前記基布同士を縫製した縫製部と、前記隣接する硬化前の接着剤を加圧して前記縫製部に浸透させた接着剤層と、からなることを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載されたエアバッグにおいて、前記接着剤層が、前記接着剤を挟む基布をプレスして前記硬化前の接着剤を加圧し、前記縫製部に浸透させて形成されていることを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項1又は2に記載されたエアバッグにおいて、前記気室に連通する開口を備え、前記接着剤層が、前記開口から加圧ガスを導入して前記硬化前の接着剤を加圧し、前記縫製部に浸透させて形成されていることを特徴とする。
請求項5の発明は、請求項4に記載されたエアバッグにおいて、前記接着剤層が、前記外周接合部の前記縫製部の外周側をシールした状態で前記開口から前記加圧ガスを導入して前記硬化前の接着剤を加圧し、前記縫製部に浸透させて形成されていることを特徴とする。
請求項6の発明は、エアバッグ装置であって、請求項1ないし5のいずれかに記載されたエアバッグと、該エアバッグにガスを供給するインフレータと、を備えたことを特徴とする。
請求項7の発明は、対向する基布同士が外周接合部で縫製と接着剤とにより接合されて膨張可能な気室が形成されるエアバッグの製造方法であって、前記基布の外周接合部に沿って前記接着剤を塗布する工程と、前記接着剤を挟んで前記基布同士を重ねる工程と、前記接着剤が硬化する前に該接着剤の外周側に隣接して前記基布同士を縫製して縫製部を形成する工程と、前記硬化前の接着剤を加圧して前記縫製部に浸透させる工程と、を有することを特徴とする。
請求項8の発明は、膨張可能な気室を形成する対向する基布同士が前記気室内に設けられた内側接合部で縫製と接着剤とにより接合されるエアバッグの製造方法であって、前記基布の内側接合部に前記接着剤を隣接させて塗布する工程と、前記接着剤を挟んで前記基布同士を重ねる工程と、前記接着剤が硬化する前に前記隣接する接着剤の間で前記基布同士を縫製して縫製部を形成する工程と、前記隣接する硬化前の接着剤を加圧して前記縫製部に浸透させる工程と、を有することを特徴とする。
請求項9の発明は、請求項7又は8に記載されたエアバッグの製造方法において、前記浸透させる工程は、前記接着剤を挟む基布をプレスして前記硬化前の接着剤を加圧することを特徴とする。
請求項10の発明は、請求項7又は8に記載されたエアバッグの製造方法において、前記浸透させる工程は、前記気室に連通する開口から加圧ガスを導入して前記硬化前の接着剤を加圧することを特徴とする。
請求項11の発明は、請求項10に記載されたエアバッグの製造方法において、前記浸透させる工程は、前記外周接合部の縫製部の外周側をシールする工程を有し、該外周側をシールした状態で前記開口から前記加圧ガスを導入することを特徴とする。
本発明によれば、基布を縫製と接着剤とにより接合するエアバッグにおいて、接着剤が硬化する前に基布同士を縫製することができ、接着剤の硬化までに必要な保管スペースを削減しつつ、基布の縫製及び接合作業を容易にでき、更に、エアバッグの接合部の気密性を高めることができる。
以下、本発明のエアバッグ装置の一実施形態について、図面を参照して説明する。
このエアバッグ装置は、例えば自動車の運転席用や助手席用、又は側面用等のエアバッグ装置であり、膨張展開可能なエアバッグと、所定の衝撃を検知した時等にガスを発生し、エアバッグにガスを供給するためのインフレータ等を備えている。また、以下の実施形態では、上記した車両側部上方のルーフレール部に取り付けられる、カーテン状エアバッグを備えた側面用のサイドエアバッグ装置を例に採り説明する。
図1は、本実施形態のエアバッグ装置が備えるエアバッグの要部を模式的に示す正面図であり、展開状態のエアバッグの概略形状を示す平面展開図である。
なお、図では、左側が車両における前方側(フロントピラー側)、右側が車両における後方側(リアピラー側)である。また、エアバッグ1は、車両上方のルーフレール部(図示せず)に配置及び収納され、収納された状態から下方等にカーテン状に展開し、車両内側の側方窓部(図では紙面奥側に位置)(図示せず)に沿って、その全体を覆うように膨張展開するようになっている。
このエアバッグ1は、図示のように、覆うべき車両側方窓部の形状等に応じた形状の横長な袋体であり、上縁に沿って、車両のルーフレール部に取り付けられる複数(図では3つ)の略矩形状の取付片5が設けられている。また、エアバッグ1は、この各取付片5がルーフレール部に沿って取り付けられて、その内部等に配置された状態では、取付片5側(上縁側)に向かって順に折り畳まれ、或いは、下縁側から上縁側に車内側に向けて巻き込まれる等、下方向等に膨張展開可能な状態で収納され、インフレータ(図示せず)の作動時には、主に下方向に向かってカーテン状に膨張展開する。
このようなエアバッグ1は、例えば織布を裁断等して形成した2枚の同形状の基布を重ね合わせ、又は対称形状の1枚の基布を折り重ねて、縁部に沿って互いに接合する等、対向する基布同士を所定位置で気密状態に接合して、その間に膨張可能な気室10を形成することで袋状に形成される。
本実施形態では、エアバッグ1を、互いに同形状な乗員側の表側基布2及び、窓側の裏側基布3とから構成し、それらを重ね合わせて、対向する基布2、3同士を気室10の外周部(外縁部)に対応する外周接合部(第1の接合部)20で接合している。この外周接合部20は、エアバッグ1の内外を区画して気室10の外周(外縁)形状を規定する、主に基布2、3の外周側(縁部側)に設けられる接合部であり、ここでは、基布2、3同士を外周縁部に沿うように互いに接合している。これにより、膨張可能な気室10を、前席の乗員を主に保護する平面視略矩形状の前部膨張部11、それよりも大きな後席の乗員を主に保護する平面視略矩形状の後部膨張部12、及び各膨張部11、12を連結する上下寸法の小さい中間膨張部13からなり、車両の前後方向(図では左右方向)に連続して延びる袋状に形成している。
また、このエアバッグ1では、気室10の一端部(図では右側部)の上部側において、基布2、3の外端側(後端部)に向かう外周接合部20間に基布2、3同士を接合しない部分を設け、これにより、後部膨張部12の一部をエアバッグ1外に向かって開放させて、気室10に連通する開口15を形成している。エアバッグ1は、この開口15のみで内部と外部とが連通しており、開口15を、そこを通して気室10内にガスを導入するガス導入口にしている。
加えて、エアバッグ1は、膨張可能な気室10を形成する、対向する基布2、3同士が、気室10内に設けられた内側接合部(第2の接合部)30で接合されている。この内側接合部30は、気室10の厚さ方向(図では紙面に直交する方向)の膨張を抑制し、或いは、気室10を区画してガス流路部や所定の膨張部を形成等するための気室10の内部接合部であり、その目的に応じた所定形状に形成され、気室10内の所定位置に1又は複数配置される。このエアバッグ1では、内側接合部30を、気室10の各部の膨張を抑止して、その膨張厚さや形状等を規制するための規制手段として使用しており、前部膨張部11の中央部に1つ、後部膨張部12の中央部を挟んで離間した位置に2つ、それぞれ、略上下方向に傾斜した状態に形成して、それらの膨張展開特性や乗員の保護機能等を高めている。
ここで、基布2、3は、コーティング処理等を施していないノンコート基布でもよいが、気密性の観点等からは、例えばシリコーンゴムやシリコーン樹脂、又はクロロプレーンゴムやフッ素系ゴム、或いは、ウレタン樹脂や、ポリアミド系又はポリエステル系の樹脂やゴム等、気密性樹脂層が設けられた基布を用いるのが望ましい。本実施形態では、これら各基布2、3に、コーティング又はラミネート等の表面処理(気密性樹脂層形成処理)により、少なくとも一方の面に気密性樹脂を施した基布を使用し、各気密性樹脂面同士を対向させて内側に向けた状態で、基布2、3同士を接合している。
同時に、これら基布2、3の接合を、気密性樹脂面を接着剤により接着するとともに、併せて基布2、3同士を縫い糸により縫製(縫合)して行っており、基布2、3同士を、外周接合部20と内側接合部30のそれぞれで縫製と接着剤とにより接合している。即ち、各接合部20、30は、基布2、3間に設けられた所定幅の接着剤層21、31(図の斜線で示す各領域)と、接着剤層21、31に沿って、その内側(幅内)に設けられた縫製部22、32(図では点線で示す)とからなり、基布2、3同士を縫製して形成した縫製部22、32の全体が、基布2、3間で接着剤層21、31に囲まれるように配置されている。また、接着剤層21、31は、各接合部20、30を気密状態に封止する接着層(シール層)であり、例えばシリコーンゴムやシリコーン樹脂、又はクロロプレーンゴムやウレタン樹脂、エポキシ樹脂等、接着性やシール性、及び硬化性を有する合成樹脂や合成ゴム等からなる接着剤21S、31S(シール剤)が、基布2、3間に挟まれた状態で硬化して形成されている。
以下、これら外周接合部20及び内側接合部30の接合手順や構造等について順次説明する。
図2は、外周接合部20付近を拡大して接合手順を順に示す模式図であり、同付近を、図1のX−X線に沿って矢印方向(外周接合部20の延在方向と直交する方向)から見た状態に対応する断面で示している。
外周接合部20で基布2、3同士を接合するときには、まず、基布2、3の対向面の少なくとも一方側の外周接合部20に沿って(図1参照)、接着剤21Sを、基布2、3同士を縫製する部分(縫製部22)の内側となる内周側の所定位置に塗布する。その際、このエアバッグ1では、裏側基布3を、図示のように、気密性樹脂面が上方を向くように作業台等の上面(図示せず)に広げて載置し(図2A参照)、接着剤21Sを、外周接合部20を形成すべき範囲内の気室10側(縫製部22の内側)に沿って、裏側基布3の上面に塗布する。この裏側基布3への接着剤21Sの塗布を、例えばスプレー法、刷毛塗り法、スクリーン印刷法、又はディスペンサー法等の周知の塗布法により行い、接着剤21Sを、上記した外周接合部20の気室10側の部分(例えば外周接合部20の略内側半分の領域内)の全体に、縫製部22の周囲及び、その外側の外周接合部20を含む他の部分に着かないようにして、所定幅及び所定厚さに塗布する。
次に、裏側基布3の上に、表側基布2(図2B参照)を、その気密性樹脂面が下になるように裏側基布3に対向させて重ね合わせ、表側基布2の外周接合部20に対応する部分を接着剤21Sに接触させる。このように、基布2、3同士を、塗布した接着剤21Sを間に挟んで重ねて配置し、外周接合部20の気室10側(内側)の部分で基布2、3を互いに接着して、それらの間に気室10を形成する。
続いて、基布2、3同士を重ねてから接着剤21Sが硬化する前、例えば接着剤21Sがある程度の流動性を有している間(ここでは基布2、3の重ね合わせ直後)に、挟み込んだ接着剤21Sの外周側(気室10の反対側)に隣接する部分(図2C参照)で、基布2、3同士を縫い合わせて縫製する。この縫製を、縫い針(ミシン針)や縫製後の縫い糸が接着剤21Sに接触しないように、外周接合部20内の接着剤21Sから所定距離を隔てた外側位置で行い、外周接合部20に沿って、その全長に亘って縫製部22を形成する。これにより、基布2、3の接着剤21Sにより接着された部分の外周側を縫い糸により直接的に接合(縫合)し、縫製部22を中心として、その周囲の基布2、3を互いに密着又は近接させるとともに、縫製部22と気室10との間に接着剤21Sを配置して、それらの間を接着剤21Sにより気密状にシールする。
次に、接着剤21Sに対して、気室10内からの外側方向(図2では左方向)のガス圧や、基布2、3を挟んだ上下両側からのプレスによる機械圧(プレス圧)を作用させる等して、少なくとも縫製部22側に向かう圧力をかける。これにより、硬化前の接着剤21Sを、外周側の縫製部22等に向かって加圧し、主に縫製部22側に押圧(図2D参照)する等して、その一部を外周接合部20の縫製部22を越えた外周位置(外側)まで移動又は流動等させ、接着剤21Sを縫製部22まで浸透させる。その後、基布2、3を広げた状態で放置する等して接着剤21Sを硬化させ、外周接合部20における接合作業(工程)を終了する。
以上のようにして基布2、3同士が外周接合部20で気密状態に接合され、膨張可能な気室10が形成される等して、エアバッグ1が製造される。即ち、このエアバッグ1は、硬化した接着剤とともに基布を縫製する上記した従来のエアバッグと異なり、外周接合部20が、基布2、3間に挟まれた接着剤21Sが硬化する前に、接着剤21Sの外周側に隣接して基布2、3同士を縫製(縫合)して形成した縫製部22と、この縫製後に硬化前の接着剤21Sを加圧して縫製部22に浸透させて形成した接着剤層21と、からなっている。
その際、浸透した接着剤21Sは、基布2、3同士の間隔が狭い縫製部22を越えて、その外周側まで浸透して塗布時よりも薄く拡がり、縫製部22及び縫製部22を挟んだ両側の基布2、3同士を、外周接合部20の全体に亘って接着し、硬化して接着剤層21を形成する。その結果、外周接合部20の接着剤層21は、縫製部22では縫い糸とも接合するとともに、縫製部22の周囲では薄く、その両側では厚くなり、かつ、縫製部22を挟んだ内外側の所定範囲に配置されて、縫製部22の両側を気密状にシールする。なお、ここでは、接着剤層21は、エアバッグ1の膨張展開時等に、高いガス圧が作用する縫製部22よりも気室10側の内側部分が、外側部分に対して幅広になるように形成されている。
また、本実施形態では、以上説明した外周接合部20での接合と同時に、各内側接合部30でも、基布2、3同士の接合をそれぞれ同様かつ同時に行う。続いて、この内側接合部30での接合手順等について説明する。
図3は、1箇所の内側接合部30付近を拡大して接合手順を順に示す模式図であり、同付近を、図1のY−Y線に沿って矢印方向(内側接合部30の延在方向と直交する方向)から見た状態に対応する断面で示している。
なお、以下では、1箇所の内側接合部30の接合手順等について説明するが、基布2、3の接合時には、複数の内側接合部30のそれぞれで、同様の接合作業が並行して順次行われる。また、この内側接合部30の接合作業は、以下での説明は省略するが、上記した外周接合部20での接合作業と同時に、それぞれ対応する作業が並行して行われる。
内側接合部30で基布2、3同士を接合するときには、まず、基布2、3の対向面の少なくとも一方側の内側接合部30に沿って(図1参照)、接着剤31Sを、基布2、3同士を縫製する部分(縫製部32)の両側に、互いに隣接させて塗布(図3A参照)する。その際、このエアバッグ1では、接着剤31Sを、裏側基布3の上面(気密性樹脂面)の内側接合部30を形成すべき範囲内において、その中心線を挟んだ両側に断面略対称に、かつ所定間隔で略平行に塗布する。このようにして、二条の接着剤31Sを、内側接合部30の長手方向(縫製部32の延在方向)に沿って、縫製部32の周囲及び、その両側の近傍部分等に着かないようにして、縫製部32の両側の全体に亘って、裏側基布3の上面に所定幅及び所定厚さに塗布する。
次に、裏側基布3の上に、表側基布2(図3B参照)を、上記と同様に裏側基布3に重ね合わせて、表側基布2の内側接合部30に対応する部分を接着剤31Sに接触させる。これにより、基布2、3同士を、塗布した接着剤31Sを間に挟んで重ねて配置し、内側接合部30の二条の接着剤31Sで基布2、3を互いに接着する。
続いて、挟み込んだ接着剤31Sが硬化する前に、隣接する接着剤31Sの間で基布2、3同士を縫い合わせて縫製(図3C参照)する。この縫製を、針や縫製後の縫い糸が両側の接着剤31Sに接触しないように、それらの略中間位置で行い、内側接合部30に沿って、その全長に亘って縫製部32を形成する。これにより、基布2、3の接着剤31Sに挟まれた部分を縫い糸により直接的に接合し、接着剤31S間の縫製部32を中心として、その周囲の基布2、3を互いに密着又は近接させるとともに、縫製部32と両側の気室10との間に接着剤31Sを配置して、縫製部32の両側を接着剤31Sにより略気密状にシールする。
次に、両側の接着剤31Sに対して、気室10からの互いに接近する方向(縫製部32の方向)のガス圧や、基布2、3を挟んだ上下両側からのプレスによる機械圧(プレス圧)を作用させる等して、少なくとも縫製部32側に向かう圧力をかける。これにより、互いに隣接する硬化前の接着剤31Sを、内側の縫製部32等に向かって加圧し、主に縫製部32側に押圧(図3D参照)する等して、その一部を内側接合部30の縫製部32まで移動又は流動等させ、接着剤31Sを両側から縫製部32まで浸透させる。その後、上記した外周接合部20の接着剤21Sと共に接着剤31Sを硬化させ、内側接合部30における接合作業(工程)を終了する。
エアバッグ1は、以上のようにして、対向する基布2、3同士が気室10内に設けられた各内側接合部30でも気密状態に接合され、基布2、3による気室10の形成と併せて、所定形状の袋状に製造される。即ち、このエアバッグ1は、内側接合部30が、上記した外周接合部20と異なり、基布2、3間に挟まれた二条の略平行な隣接する接着剤31Sが硬化する前に、これら隣接する接着剤31Sの間の略中間部で基布2、3同士を縫製(縫合)して形成した縫製部32と、この縫製後に隣接する硬化前の各接着剤31Sを加圧して縫製部32に浸透させて形成した接着剤層31と、からなっている。
その際、この浸透する両側の接着剤31Sは、縫製部32を包み込むように塗布時よりも薄く拡がりつつ、基布2、3同士の間隔が狭い縫製部32で互いに合流して一体化し、縫製部32の端部を含む全体を包み込んで、縫製部32を中心に、その周囲(内側接合部30)の全体に亘って基布2、3同士を接着し、硬化して接着剤層31を形成する。その結果、内側接合部30の接着剤層31も、縫製部32では縫い糸とも接合するとともに、縫製部32の周囲では薄く、その両側では厚くなり、かつ、縫製部32を挟んで両側の所定範囲(ここでは略対称な範囲)に配置されて、気室10内で縫製部32を気密状にシールする。
なお、これら外周接合部20と内側接合部30の各接着剤層21、31は、接合作業時に、各接着剤21S、31Sが、例えば加圧ガスやプレス装置を使用する等して同時に加圧され、対応する縫製部22、32に浸透して形成される。
以下、この接着剤21S、31Sの加圧作業(工程)について、2つの例を説明する。
図4は、加圧ガスを使用して外周接合部20の接着剤21Sを加圧する手順等を順に示す模式図であり、図2に対応する断面で示している。一方、図5は、外周接合部20と同時に、内側接合部30の接着剤31Sを加圧する手順等を順に示す模式図であり、図3に対応する断面で示している。
この加圧ガスを使用する加圧工程では、上記した気室10に連通する開口15(図1参照)から、気室10内に空気や窒素等の加圧ガスを導入して気室10の内圧を上昇させ、このガス圧により、図示のように、硬化前の各接着剤21S、31Sを加圧して各縫製部22、32に浸透させて、接着剤層21、31を形成する。
その際、外周接合部20では、接着剤21Sの外周側に隣接して縫製部22を形成(図2C参照)した後に、縫製部22の外周側の基布2、3を、一対の挟込部材40、41(図4A参照)により、外周接合部20を形成する部分の外側縁部に沿って挟み込む。この一対の挟込部材40、41は、例えば外周接合部20の外側縁部の全体に亘って、その外周側(外側)の基布2、3を両側(上下側)から挟み込み可能な形状の板状部材(プレス部材)であり、それぞれ外周接合部20の全体形状に応じた形状に、かつ対向面が平坦面に形成されて、互いに接近及び離間可能に対向して配置される。その状態から、一対の挟込部材40、41は、基布2、3の挟み込み時には、基布2、3(エアバッグ1)の全体が所定位置に挿入されて対向面間に配置された後に、駆動手段(図示せず)により駆動されて互いに相対的に接近し、両側から基布2、3の縫製部22から所定距離を隔てた所定位置を、開口15を残して挟み込むように構成されている。
このように、基布2、3の外縁部を上下側から一対の挟込部材40、41により挟み込んで、外周接合部20の縫製部22の外周側に隣接した部分(外周部)の一部又は全体(ここでは全体)をシールして封止し、その状態で開口15から所定圧力の加圧ガスを導入する。この加圧ガス(ガス圧)により、外周接合部20の接着剤21S(図4B参照)に気室10側から圧力(図4Bの矢印P1)をかけて接着剤21Sを加圧し、縫製部22側に押圧して、上記したように接着剤21Sを縫製部22に浸透させる。その際、接着剤21Sは、縫製部22を越えて基布2、3間に入り込んで、外周側の挟込部材40、41による挟込端部まで浸透するとともに、縫製部22よりも気室10側では、圧力等により、縫製部22側に向かって徐々に縮小する断面略三角形状を成す。続いて、加圧ガスの供給を停止して挟込部材40、41による挟み込みを解除(図4C参照)し、開口15から気室10内のガスを排気してエアバッグ1を縮小させ、外周接合部20での接着剤21Sの浸透作業を終了する。
ここで、本実施形態では、接着剤21Sの加圧時に、挟込部材40、41に加えて、気室10の厚さ方向(図4では上下方向)の過剰な膨張を防止するため、エアバッグ1の全体を、所定間隔(例えば30mm以下程度)を隔てて配置された平行な板状部材(図示せず)間に挿入し、その状態で気室10に加圧ガスを導入する。これにより、エアバッグ1全体が完全に膨張するのを防止して、接着剤21Sに接する基布2、3間の間隔が拡がり過ぎるのを抑制し、浸透時における気室10側の接着剤21Sの形状及び寸法変化を抑えて、それらを安定化させるとともに、確実に縫製部22側への圧力を作用させて浸透をより円滑にしている。また、基布2、3と共に一旦拡開した接着剤21Sを縮閉させると、拡開した接着剤21Sの間にガスが入り込んで接着剤21S内にガス溜まり等の欠陥が生じる恐れがあるが、ここでは、このような接着剤21Sの欠陥の発生も防止している。同時に、エアバッグ1内に導入されるガスの量を制限して、作業終了後の気室10からのガスの排気を容易にしている。
一方、内側接合部30(図5A参照)では、開口15からの加圧ガスの導入に伴い、縫製部32を挟む接着剤31Sに、それぞれ気室10側から内側方向の圧力(図5Aの矢印P2)が作用し、各接着剤31Sが加圧されて、上記したように縫製部32に浸透する。この間、各接着剤31Sは、それぞれ圧力により、縫製部32に向かって徐々に縮小する断面略三角形状を成し、浸透作業が終了しても、それに近似した形状(図5B参照)に維持される。ただし、上記した気室10からのガス排気時に、その排気時間の短縮等を目的に、エアバッグ1の全体をプレス装置等により両側から押さえながらガス排気を行う場合には、それぞれ局部的に厚さが増加等した接着剤21S、31Sを、同時にプレスして、その厚さや形状等を修正できる。これにより、各接合部20、30の接着剤21S、31Sを、それぞれ縫製部22、32を挟んだ両側で略均一な厚さ(図2D、図3D参照)にすることもできる。
次に、これら接着剤21S、31Sの加圧作業(工程)を、プレス装置を使用して行う例について説明する。
図6は、プレス装置を使用して外周接合部20の接着剤21Sを加圧する手順等を順に示す模式図であり、図2に対応する断面で示している。一方、図7は、内側接合部30の接着剤31Sを加圧する手順等を順に示す模式図であり、図3に対応する断面で示している。
このプレス装置を使用する加圧工程では、図示のように、接着剤21S、31Sを挟む基布2、3の少なくとも接着剤21S、31Sと接する部分や、その周囲を機械的にプレスして硬化前の接着剤21S、31Sを加圧し、各接合部20、30の縫製部22、32側に流動(移動)等させて浸透させて、接着剤層21、31を形成する。
その際、外周接合部20では、接着剤21Sの外周側に隣接して縫製部22を形成(図2C参照)した後に、プレス装置が備える一対のプレス部材50、51(図6参照)により、外周接合部20を含む基布2、3を挟み込んでプレスする。この一対のプレス部材50、51は、例えばエアバッグ1の全体を両側から挟み込み可能な板状部材や、少なくとも外周接合部20を含む基布2、3の外縁側部分を挟み込み可能な板状部材であり、本実施形態では、それぞれエアバッグ1の全体を挟み込み可能な形状及び大きさに形成され、互いに接近及び離間可能に対向して配置されている。
また、ここでは、基布2、3の下側に配置される下側プレス部材51は、裏側基布3と接する上面が平坦面に形成され、これに対向して基布2、3を挟んで配置される上側プレス部材50の対向面(下面)に、塗布した接着剤21Sの位置や形状等に応じた凹部(凹溝)50Aが形成されている。この凹部50Aは、外周接合部20に沿って、それぞれ上側プレス部材50下面の縫製部22との接触部近傍から、内側(気室10側)に向かって外周接合部20の内側(内周)端近傍まで凹設され、溝底側(図では上側)の頂点位置が中心線よりも縫製部22側に位置するように断面略三角形状に、かつ塗布された接着剤21Sの全体を収容可能な大きさに形成されている。
プレス時には、一対のプレス部材50、51を離間させて、その対向面間にエアバッグ1を挿入し、塗布した接着剤21Sと上側プレス部材50の凹部50Aとの位置を合わせて配置する。その状態から、プレス装置を駆動手段(図示せず)により駆動して、一対のプレス部材50、51を互いに接近(図6A参照)させ、エアバッグ1の基布2、3を両側からプレス部材50、51間に挟み込んでプレスする。これにより、接着剤21Sを上側プレス部材50の凹部50A内に収容しつつ、その断面形状に応じた断面形状(ここでは断面略三角形状)に型付けし(図6B参照)、接着剤21Sを縫製部22側に流動させて同側に偏らせて配置する。なお、本実施形態では、凹部50Aを挟んだ縫製部22側のプレス部材50、51間に僅かに隙間ができるようになっており、流動した接着剤21Sの一部は縫製部22に浸透する。
その後、プレス部材50、51を離間させてエアバッグ1を取り出し、このエアバッグ1を、互いの対向面が平坦面に形成された一対の平板間に挿入して、両平板を所定間隔まで接近させ、接着剤21Sを中心にエアバッグ1を再びプレス(平板プレス)する。この平板プレスにより、型付けした断面略三角形状の接着剤21Sに圧力をかけて頂点部から加圧し、接着剤21Sを押圧して略均一な所定厚さに押し潰してから(図6C参照)、平板プレスによる加圧を解放し、エアバッグ1を一対の平板間から取り出して、外周接合部20における接着剤21Sの浸透作業を終了する。
一方、内側接合部30(図7参照)でも、外周接合部20と同時にプレス部材50、51等によりプレスされ、接着剤31Sの浸透作業が行われる。そのため、プレス部材50、51の一方(ここでは上側プレス部材50)には、内側接合部30に塗布する接着剤31Sの位置や形状等に応じた凹部(凹溝)50Bが、上記した外周接合部20用の凹部50Aと同様に形成され、他方の下側プレス部材50の上面は平坦面になっている。ただし、この内側接合部30用の凹部50Bは、内側接合部30に沿って、その縫製部32を挟む両側に略対称に凹設され、溝底側(図では上側)が短辺になる断面略台形状に、かつ塗布された二条の接着剤31Sの全体が収容可能な大きさに形成されている。
プレス時には、上記した一対のプレス部材50、51の接近に伴い、両側の接着剤31Sが塗布時(図3C参照)の状態から、上側プレス部材50の凹部50B内に収容(図7A参照)され、その断面形状に応じた断面形状に徐々に型付けされる。これにより、両接着剤31Sを、縫製部32側(図7B参照)に流動させて互いに接近させ、全体として断面略台形状に形成して、縫製部32側に偏らせて配置しつつ、互いの対向した内側部分を縫製部32まで浸透させて接触させる。続いて、プレス部材50、51から取り出したエアバッグ1を平板プレスして、型付けされた接着剤31Sを加圧して略均一な厚さに押し潰し(図7C参照)、一対の平板間からエアバッグ1を取り出して、内側接合部30における接着剤31Sの浸透作業を終了する。このようにして、外周接合部20と内側接合部30での浸透作業を終了させた後、各接着剤21S、31Sを硬化させて接合部20、30の基布2、3同士を接合し、他の工程を経てエアバッグ1の製造が完了する。
以上説明した本実施形態のエアバッグ装置では、エアバッグ1の基布2、3を、縫製と接着剤21S、31Sとを併用して接合するため、上記したように、エアバッグ1の膨張時に接着剤層21、31の剥離を抑制できるとともに、接着剤層21、31により接合部20、30をシールする等して、基布2、3の接合部20、30及びエアバッグ1の気密性を高めることができる。
また、このエアバッグ1では、各接合部20、30の接合作業時に、基布2、3間に挟まれた接着剤21S、31Sが硬化する前に、接着剤21S、31Sの塗布されていない部分を縫製するため、接着剤21S、31Sの影響を受けることなく、通常の基布のみを縫製するのと同様に、基布2、3の縫製を行うことができる。即ち、硬化した硬い接着剤層21、31を縫製する必要がなく、縫製もし易くなるため、基布2、3同士の縫製や接合作業を極めて容易に行うことができ、そのための手間や時間等を削減して作業性や作業効率を向上させることができる。
同時に、このエアバッグ1では、接着剤21S、31Sが硬化するのを待つことなく、その後の縫製作業等を続けて行えるため、縫製までの待ち時間を短縮することができ、各作業を円滑に順次進行させることができる。また、従来必要であった、接着剤21S、31Sが硬化するまでの一時的なストックスペース等、仕掛かりのエアバッグ1の保管スペースを削減することもできる。特に、以上の各効果は、このエアバッグ1のように、展開時の寸法が比較的大きいカーテン状エアバッグを製造する場合に大きくなり、エアバッグ1の生産スペースも容易に確保可能で、工場内等のスペースを有効に活用することもできる。
一方、基布2、3を縫製した後は、硬化前(未硬化)の接着剤21S、31Sを加圧して各接合部20、30の縫製部22、32まで浸透させるため、その部分の縫い糸と接着剤21S、31Sとが接着され、硬化後の接着剤層21、31と縫製部22、32(縫い糸)とを一体化させることができる。その結果、縫製部22、32の縫い糸と接着剤層21、31とが相互に補強されて、基布2、3の各接合部20、30を強固に接合して接合強度を効果的に高めることができる。これに伴い、エアバッグ1の展開時の内圧等による接合部20、30の破断を抑制できるとともに、各接合部20、30における接着剤層21、31のシール機能(気密性)を高い状態に維持することもでき、接合部20、30の気密性を高めて、その部分を気密状態に保持することができる。
加えて、このエアバッグ1では、縫い糸が接着剤層21、31と一体になっており、かつ、縫製により基布2、3に開けられた孔も浸透した接着剤21S、31Sにより閉塞されるため、縫製に付随する縫製孔を消滅させることができる。そのため、例えば、エアバッグ1の膨張時に、基布2、3の接合部20、30の一部が縫製部22、32まで破断したとしても、エアバッグ1(気室10)内のガスが漏洩することもなく、接合部20、30に非常に優れた気密性を確保して気密に保持することができる。
従って、本実施形態によれば、接着剤21S、31Sが硬化する前に、エアバッグ1の基布2、3同士を縫製することができ、接着剤21S、31Sの硬化までに必要な保管スペースを削減することができる。同時に、基布2、3の縫製及び接合作業を容易にできるとともに、エアバッグ1の接合部20、30の気密性を高めることもできる。また、ここでは、各接合部20、30の縫製時に基布2、3同士を直接縫製するため、縫製部22、32付近の基布2、3同士が密着又は近接して隙間が極めて狭くなる。その結果、加圧された接着剤21S、31Sは、狭い基布2、3間の隙間に充填されることになり、縫製部22、32まで浸透させるのに必要な接着剤21S、31Sの量を少なくすることができる。これに伴い、高価な接着剤21S、31Sの使用量を減らすことができ、エアバッグ1の製造コストを削減して安価に実現することができる。
ここで、本実施形態では、気室10内の内側接合部30の接合作業時に、隣接させた二条の接着剤31S間を縫製しているため、それらを両側からの圧力で縫製部32に浸透させることができ、硬化前の接着剤31Sを縫製部32に対してより浸透させ易い。即ち、この浸透時には、縫製により基布2、3に開けられた孔から縫製部32の周辺のガスが抜けて、接着剤31S間のガスが排出されるため、ガスの残留等を防止しつつ、接着剤31Sを縫製部32に向かって円滑に流動させて確実に浸透させることができる。同時に、縫製部32は、両側の接着剤層31により確実に気密性が保持されるとともに、上記した基布2、3の縫製時の孔が浸透する接着剤31Sで閉塞するため、より一層気密性を高めることができる。ただし、この内側接合部30へ塗布する接着剤31Sは、平行に二条塗布する以外に、例えば、それらの端部同士を繋げて略環状にする等、縫製部32を挟んで隣接する部分を有するように他の形状に塗布するようにしてもよい。
また、硬化前の接着剤21S、31Sの浸透作業を、加圧ガス(図4、図5参照)により行う場合には、接着剤21S、31Sが気室10を気密状に区画しているので、気室10に連通する開口15から加圧ガスを導入等するだけで、接着剤21S、31Sをガス圧により外周側や内側等に位置する各縫製部22、32に向かって流動(移動)させることができる。このように、特別な装置を設けることなく、接着剤21S、31Sの全体に略均等に圧力を加えて一気に各縫製部22、32へ浸透できるので、接着剤21S、31Sを簡単な作業で確実に縫製部22、32まで浸透させることができる。その際、この浸透作業を、外周接合部20の縫製部22の外周側をシールした状態(図4参照)で行う場合には、接着剤21Sが縫製部22を越えてシールした部分まで浸透した後は、それ以上の浸透を防止できる等、接着剤21Sの浸透量や領域を制御することができる。
一方、硬化前の接着剤21S、31Sの浸透作業を、プレス装置(図6、図7参照)を使用して行う場合には、接着剤21S、31Sを機械的に直接加圧できるため、その加圧力を増減する等して、接着剤21S、31Sの加圧を適宜制御して行うことができる。併せて、プレス時のプレス部材50、51や前記平板間の間隔を調整等することで、プレス後の接着剤層21、31の幅や厚さを一定に維持でき、その全体に亘って均一な接合(接着)強度を得ることもできる。
なお、本実施形態では、基布2、3として、コーティングやラミネート等により気密性樹脂層が形成されたものを用いたが、上記したように気密性樹脂層を有さない基布2、3によりエアバッグ1を形成してもよい。しかしながら、気密性樹脂層が形成された基布2、3を使用し、その気密性樹脂面同士を対向させて接着等し、同面をエアバッグ1の内面にした場合には、基布2、3自体の気密性が高くなるとともに、基布2、3の樹脂と接着剤21S、31Sとがより強固に接着されて、接合部20、30の気密性もより高くなる。その結果、エアバッグ1の気密性もより一層高くなるため、エアバッグ1は、そのように形成するのが、より望ましい。
また、接着剤21S、31Sは、基布2、3間の気密性等を長期間に亘って保持できる硬化性を有するものであればよいが、特に、基布2、3の接着面に気密性樹脂層が形成されている場合には、相性の観点等から、その樹脂と同じ種類の樹脂を主成分にする等、同系統の接着剤21S、31Sを用いるのが望ましい。従って、例えば気密性樹脂がウレタン樹脂であるときには、ウレタン樹脂からなる接着剤21S、31Sを用い、気密性樹脂がシリコーン樹脂であるときには、シリコーン樹脂やシリコーンゴム等からなるシリコーン系の接着剤21S、31Sを用いるのが望ましい。ただし、耐熱性や密着性等の点から、例えば付加型のシリコーン系の接着剤21S、31Sを用いてもよい。
以上に加えて、本実施形態では、エアバッグ装置として、カーテン状のエアバッグ1を備えたサイドエアバッグ装置を例に採り説明したが、本発明は、同様に、基布同士を縫製と接着剤とにより接合するエアバッグを備えた、例えば運転席用や助手席用等の、他のエアバッグ及びエアバッグ装置に適用することもできる。
本実施形態のエアバッグ装置が備えるエアバッグの要部を模式的に示す正面図である。 本実施形態の外周接合部付近を拡大して接合手順を順に示す模式図である。 本実施形態の内側接合部付近を拡大して接合手順を順に示す模式図である。 加圧ガスを使用して外周接合部の接着剤を加圧する手順等を順に示す模式図である。 加圧ガスを使用して内側接合部の接着剤を加圧する手順等を順に示す模式図である。 プレス装置を使用して外周接合部の接着剤を加圧する手順等を順に示す模式図である。 プレス装置を使用して内側接合部の接着剤を加圧する手順等を順に示す模式図である。
符号の説明
1・・・エアバッグ、2・・・表側基布、3・・・裏側基布、5・・・取付片、10・・・気室、11・・・前部膨張部、12・・・後部膨張部、13・・・中間膨張部、15・・・開口、20・・・外周接合部、21・・・接着剤層、21S・・・接着剤、22・・・縫製部、30・・・内側接合部、31・・・接着剤層、31S・・・接着剤、32・・・縫製部、40・・・挟込部材、41・・・挟込部材、50・・・上側プレス部材、50A・・・凹部、50B・・・凹部、51・・・下側プレス部材。

Claims (11)

  1. 対向する基布同士が外周接合部で縫製と接着剤とにより接合されて膨張可能な気室が形成されたエアバッグであって、
    前記外周接合部は、前記基布間に挟まれた接着剤が硬化する前に該接着剤の外周側に隣接して前記基布同士を縫製した縫製部と、前記硬化前の接着剤を加圧して前記縫製部に浸透させた接着剤層と、からなることを特徴とするエアバッグ。
  2. 膨張可能な気室を形成する対向する基布同士が前記気室内に設けられた内側接合部で縫製と接着剤とにより接合されたエアバッグであって、
    前記内側接合部は、前記基布間に挟まれた隣接する接着剤が硬化する前に該隣接する接着剤の間で前記基布同士を縫製した縫製部と、前記隣接する硬化前の接着剤を加圧して前記縫製部に浸透させた接着剤層と、からなることを特徴とするエアバッグ。
  3. 請求項1又は2に記載されたエアバッグにおいて、
    前記接着剤層が、前記接着剤を挟む基布をプレスして前記硬化前の接着剤を加圧し、前記縫製部に浸透させて形成されていることを特徴とするエアバッグ。
  4. 請求項1又は2に記載されたエアバッグにおいて、
    前記気室に連通する開口を備え、
    前記接着剤層が、前記開口から加圧ガスを導入して前記硬化前の接着剤を加圧し、前記縫製部に浸透させて形成されていることを特徴とするエアバッグ。
  5. 請求項4に記載されたエアバッグにおいて、
    前記接着剤層が、前記外周接合部の前記縫製部の外周側をシールした状態で前記開口から前記加圧ガスを導入して前記硬化前の接着剤を加圧し、前記縫製部に浸透させて形成されていることを特徴とするエアバッグ。
  6. 請求項1ないし5のいずれかに記載されたエアバッグと、該エアバッグにガスを供給するインフレータと、を備えたことを特徴とするエアバッグ装置。
  7. 対向する基布同士が外周接合部で縫製と接着剤とにより接合されて膨張可能な気室が形成されるエアバッグの製造方法であって、
    前記基布の外周接合部に沿って前記接着剤を塗布する工程と、
    前記接着剤を挟んで前記基布同士を重ねる工程と、
    前記接着剤が硬化する前に該接着剤の外周側に隣接して前記基布同士を縫製して縫製部を形成する工程と、
    前記硬化前の接着剤を加圧して前記縫製部に浸透させる工程と、
    を有することを特徴とするエアバッグの製造方法。
  8. 膨張可能な気室を形成する対向する基布同士が前記気室内に設けられた内側接合部で縫製と接着剤とにより接合されるエアバッグの製造方法であって、
    前記基布の内側接合部に前記接着剤を隣接させて塗布する工程と、
    前記接着剤を挟んで前記基布同士を重ねる工程と、
    前記接着剤が硬化する前に前記隣接する接着剤の間で前記基布同士を縫製して縫製部を形成する工程と、
    前記隣接する硬化前の接着剤を加圧して前記縫製部に浸透させる工程と、
    を有することを特徴とするエアバッグの製造方法。
  9. 請求項7又は8に記載されたエアバッグの製造方法において、
    前記浸透させる工程は、前記接着剤を挟む基布をプレスして前記硬化前の接着剤を加圧することを特徴とするエアバッグの製造方法。
  10. 請求項7又は8に記載されたエアバッグの製造方法において、
    前記浸透させる工程は、前記気室に連通する開口から加圧ガスを導入して前記硬化前の接着剤を加圧することを特徴とするエアバッグの製造方法。
  11. 請求項10に記載されたエアバッグの製造方法において、
    前記浸透させる工程は、前記外周接合部の縫製部の外周側をシールする工程を有し、該外周側をシールした状態で前記開口から前記加圧ガスを導入することを特徴とするエアバッグの製造方法。
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