JP2009056785A - フレキシブル積層板及びその製造方法 - Google Patents

フレキシブル積層板及びその製造方法 Download PDF

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Akira Kowata
明 小綿
Mizuho Hiraga
瑞穂 平賀
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Abstract


【課題】本発明は、酸素、水分子あるいは塩化物イオンに対して優れた耐食性を示すフレキシブル積層板およびその製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】ベースフィルム1と、このベースフィルム1上に積層された中間層2と、この中間層2上に積層された導電層3と、を備えたフレキシブル積層板101であって、前記中間層2は、Mo,Cr,Ni,Si,Fe,およびAlから選択される1種または2種以上の元素を含有するとともに、窒素を含んでいることを特徴とするフレキシブル積層板101を用いることにより、上記課題を解決できる。
【選択図】図1

Description

本発明は、フレキシブル積層板に関するものである。特に、TABテープ、フレキシブル配線基板に使用されるフレキシブル積層板及びこのフレキシブル積層板の製造方法に関する。
近年、電子機器の小型化・軽量化に対する需要の高まりとともに、柔軟な構造を持ち、軽く、フレキシブル配線基板が広く用いられている。前記フレキシブル配線基板とは、絶縁体からなるベースフィルム上に金属薄膜からなる回路パターンが形成されたものである。
フレキシブル配線基板は、絶縁体からなるベースフィルムに金属薄膜を張り合わせたフレキシブル積層板の金属薄膜をエッチングして回路パターンを刻み込むことにより前形成される。このフレキシブル積層板は、CCL(Copper clad laminate)とも呼ばれている。
フレキシブル積層板に用いられる金属薄膜は導電性の高いものが好ましく、一般にCu箔が用いられている。また、ベースフィルムを構成する絶縁体としては、前記ポリイミドのほか液晶ポリマ、ガラス布、エポキシ樹脂あるいはアラミド・フィルムなどのフレキシブル基板が用いられている。
前記フレキシブル積層板には,接着剤を介して金属薄膜と基材を張り合わせる3層型フレキシブル積層板と,接着剤を使わない2層型フレキシブル積層板とがある。液晶ドライバICをTAB(Tape−automated bonding)方式で実装する場合には3層型フレキシブル積層板が用いられ、COF(Chip on Film)方式で実装する場合には2層型フレキシブル積層板が用いられている。また、COF方式の方が配線ピッチを狭くすることができるので、液晶ドライバICの高密度化を図れることから、2層型フレキシブル積層板の需要がより高まってきている。
従来のフレキシブル配線基板の製造においては、フレキシブル積層板をエッチングして回路パターンを形成する際に、ベースフィルムと導電層間の接合強度が低下して剥離する問題があった。
そこで、特許文献1〜6では、導電層とベースフィルムとの間に中間層を設けることにより、ベースフィルムと導電層との間の接合強度を向上させ、フレキシブル配線基板あるいはフレキシブル積層板を形成する例について開示されている。
特に、特許文献6では、中間層としてCr合金を含有させることにより、Cr原子のd電子とポリイミド樹脂のπ電子とを共有結合させて、前記接合強度を向上させる例について示している。
特開平01−133729号公報 特開平03−274261号公報 特開平05−183012号公報 特開平07−197239号公報 特開平08−330695号公報 特開2005−26378号公報
しかしながら、このように接合強度が高められても、高温多湿の環境下では、接合強度が低下してベースフィルムと導電層が剥離する場合があった。高温多湿の環境下では、空気中に存在する酸素あるいは水分子の動きが活発となり、酸素あるいは水分子がベースフィルムに取り込まれやすくなる。酸素あるいは水分子がベースフィルムの中に取り込まれた場合、ベースフィルムを構成するポリイミド樹脂の中を拡散し、酸素あるいは水分子が中間層とベースフィルムの界面にまで達する。そして、その界面に存在するCr合金を酸化することにより、ポリイミド樹脂との結合力を低下させて、ベースフィルムと導電層を剥離する。
そのため、自動車や航空機などの電装部品に適用され、高温多湿の環境下で使用されることが多くなってきたフレキシブル配線基板あるいはフレキシブル積層板には、酸素あるいは水分子に対する耐食性が強く望まれるようになっている。
また、製造工程中に混入して残存した塩素等の不純物が誘因となってマイグレーションが発生し、導電層に形成された回路が短絡する場合があり、特に、高温多湿の環境下では、前記短絡事故が発生しやすいという問題があった。すなわち、導電層に回路パターンを形成する製造工程において、フレキシブル積層板に結露等によって水分が付着することがあり、この水分にエッチング液に含有されていた塩素等が残存する場合には、HCl溶液のような酸性液となる。この酸性液が中間層内に浸入すると中間層の一部がこの酸性液中に塩化物イオンとして溶出し、この塩化物イオンを通じて導電層の銅が腐食されるという問題があった。特に、Cr合金は、局所的な腐食に弱いので、前記問題は大きかった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、酸素、水分子あるいは塩化物イオンに対して優れた耐食性を示すフレキシブル積層板およびその製造方法を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明は以下の構成を採用した。すなわち、
本発明のフレキシブル積層板は、ベースフィルムと、このベースフィルム上に積層された中間層と、この中間層上に積層された導電層と、を備えたフレキシブル積層板であって、前記中間層は、Mo,Cr,Ni,Si,Fe,およびAlから選択される1種または2種以上の元素を含有するとともに、窒素を含んでいることを特徴とする。
Mo,Cr,Ni,Si,Fe,およびAlから選択される1種または2種以上の元素は、金属核付着部として機能し、ベースフィルム1の表面の活性点に付着して、核粒子を形成し、接合強度を向上させベースフィルムとの接合強度を向上させることができる。
また、窒素は、酸素、水分子あるいは塩化物イオンなどに対する耐食性が高いバリア層を形成することができ、フレキシブル積層板の耐食性を向上させることができる。
本発明のフレキシブル積層板は、中間層において、Mo,Cr,Ni,Si,Fe,およびAlから選択される1種または2種以上の元素の窒化物が形成されていることが好ましい。
Mo,Cr,Ni,Si,Fe,およびAlから選択される1種または2種以上の元素の窒素物は、酸素、水分子あるいは塩化物イオンなどに対する耐食性が高いバリア層を形成することができ、フレキシブル積層板の耐食性を向上させることができる。
本発明のフレキシブル積層板は、中間層が、Niを55質量%以上、Crを4質量%以上含有する合金であり、かつ、窒素が含まれていることが好ましい。
NiCr合金は、中間層の表面に緻密な不動態皮膜を形成し、中間層の耐食性を向上させることができる。
さらに、窒素は、酸素、水分子あるいは塩化物イオンなどに対する耐食性が高いバリア層を形成し、フレキシブル積層板の耐食性を向上させることができる。さらにまた、前記窒素は、Niおよび/またはCrと窒化物を前記中間層の内部に形成し、酸素、水分子あるいは塩化物イオンなどに対する耐食性が高いバリア層を形成し、フレキシブル積層板の耐食性を向上させることができる。
本発明のフレキシブル積層板は、中間層は、Mo,W,Ta,NbおよびTiから選択される1種または2種以上を含有していることが好ましい。
Mo,W,Ta,NbおよびTiから選択される1種または2種以上の元素は、窒化物を形成しやすい。
本発明のフレキシブル積層板は、前記中間層は、Al、FeおよびCoから選択される1種または2種以上を含有し、これらAl、FeおよびCoの含有量が合計で10質量%以下とされていることが好ましい。
合計の含有量が10質量%以下であるAl、FeおよびCoから選択される1種または2種以上の元素は、前記中間層がNiを含有する場合には、Ni相の固溶範囲を広げ、Ni相を安定化し、緻密な不動態皮膜を安定して形成することができる。
本発明のフレキシブル積層板は、前記ベースフィルムのうち少なくとも前記中間層が積層される表面が、ポリイミドで構成されていることが好ましい。
ベースフィルムのうち少なくとも中間層が積層される表面がポリイミドで構成されているので、中間層とベースフィルムを積層した場合に、中間層の接合部分は全てポリイミドからなる層とすることができる。中間層に含まれるCrのd電子とポリイミド樹脂のπ電子は、共有結合によって中間層とベースフィルムとの接合強度を向上させるので、中間層の接合部分を全てポリイミドからなる層とするとした場合には、前記接合強度を最大とすることができ、中間層がベースフィルムから剥がれないようにすることができる。
本発明のフレキシブル積層板の製造方法は、前記ベースフィルムの表面に前記中間層の積層を行う中間層積層工程と、前記中間層の表面に前記導電層の積層を行う導電層積層工程と、を有し、前記中間層積層工程は、Nガスを含んだ雰囲気中で、前記ベースフィルムの表面に成膜を行う工程を備えていることを特徴とする。
前記中間層積層工程は、Nガスを含んだ雰囲気中で、前記ベースフィルムの表面に成膜を行う工程を備えているので、窒素を前記中間層に容易に混入させることができ、酸素、水分子あるいは塩化物イオンに対する耐食性の高いバリア層を形成して、耐食性の高いフレキシブル積層板を製造することができる。
本発明のフレキシブル積層板の製造方法は、前記ベースフィルムの表面に成膜を行う工程がスパッタ法により行われることが好ましい。
前記ベースフィルムの表面に成膜を行う工程がスパッタ法により行われるので、窒素を中間層に容易に混入させることができ、酸素、水分子あるいは塩化物イオンに対する耐食性の高いバリア層を形成して、耐食性の高いフレキシブル積層板を製造することができる。
上記構成によれば、酸素、水分子あるいは塩化物イオンに対して優れた耐食性を示すフレキシブル積層板およびその製造方法を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態を説明する。
図1は、本発明の実施形態であるフレキシブル積層板の一例を示す図である。
図1に示すように、フレキシブル積層板101は、ベースフィルム1と、ベースフィルム1の表面に形成された中間層2と、中間層2の上に形成された導電層3とから構成されている。
ベースフィルム1は、ポリイミド樹脂で構成されている。
ポリイミド樹脂としては、ビフェニルテトラカルボン酸(以下、BPDA)系ポリイミドやピロメリット酸二無水物(以下、PMDA)系ポリイミドフィルムなどを用いることができる。一般的に、BPDAを原料とするポリイミドフィルムは、金属薄膜との接合強度が低いという欠点を有するが、熱および吸湿寸法安定性および剛性が良好であり、主にTAB用途に使用されている。BPDAを原料とするポリイミドフィルムには、ユーピレックス(宇部興産製)などがある。一方、PMDAを原料とするポリイミドフィルムは、金属薄膜との接合強度が高いとされている。PMDAを原料とするポリイミドフィルムには、カプトン(東レ・デュポン製)、アピカル(鐘淵化学工業製)などがある。
ベースフィルム1は、単層フィルムであってもよいが、複数のフィルムを積層した積層フィルムであってもよい。
ベースフィルム1の厚さは12μm以上125μm以下が好ましい。ベースフィルム1の厚さは12μm未満の場合にはベースフィルム1としての剛性を確保できないおそれが発生し、125μmを超える場合にはフレキシブル積層板101としてのフレキシビリティを確保できないおそれが発生する。
なお、ベースフィルム1は、ポリイミド樹脂で構成されているが、ベースフィルム1のうち少なくとも中間層2が積層される表面が、ポリイミドで構成されていればよい。
後述するように、ポリイミドと中間層2との間の接合強度が高いことが、フレキシブル積層板101の耐食性を向上させる理由の一つであるので、少なくとも中間層2が積層される表面がポリイミドで構成されていればよい。
中間層2は、Mo,Cr,Ni,Si,Fe,およびAlから選択される1種または2種以上の元素を含有する。
Mo,Cr,Ni,Si,Fe,およびAlから選択される1種または2種以上の元素は、金属核付着部として機能し、ベースフィルム1の表面の活性点に付着して、核粒子を形成し、接合強度を向上させる。
また、中間層2は、窒素を含有する。
窒素が含まれることによって、中間層2の内部に、酸素、水分子あるいは塩化物イオンに対する耐食性が高いバリア層を形成することができ、フレキシブル積層板101の耐食性を向上させる。
さらに、中間層2において、Mo,Cr,Ni,Si,Fe,およびAlから選択される1種または2種以上の元素の窒化物が形成されていることが好ましい。
中間層2に、Mo,Cr,Ni,Si,Fe,およびAlから選択される1種または2種以上の元素の窒素物を含むことにより、酸素、水分子あるいは塩化物イオンなどに対する耐食性が高いバリア層を形成することができ、フレキシブル積層板101の耐食性を向上させる。
特に、Niおよび/またはCrとの窒化物が形成されていることがより好ましい。Niおよび/またはCrとの窒化物は、中間層2の内部において、酸素、水分子あるいは塩化物イオンに対する耐食性がより高いバリア層を形成する。CrNとして含有されることがさらに好ましい。CrNは、酸素、水分子あるいは塩化物イオンなどに対する耐食性がさらに高いバリア層の役目を担うことができる。
本実施形態では、中間層2はNiを55質量%以上、Crを4質量%以上含有する合金で形成されている。
NiCr合金をベースフィルム1に積層することにより、中間層2の表面に緻密な不動態皮膜を形成し、中間層2の耐食性を向上させることができる。さらにまた、Crのd電子はポリイミド樹脂のπ電子と共有結合を形成し、中間層2とベースフィルム1との接合強度を確実に向上させることができる。
中間層2において、Niが55質量%未満の場合には、塩化第二鉄または塩化銅などでエッチング液による回路形成が困難であり、Crが4質量%未満の場合には、150℃、168時間などの耐熱試験後のポリイミドと中間層の密着強度が低下するため、好ましくない。
中間層2は、Al、FeおよびCoから選択される1種または2種以上を含有されていることが好ましい。
NiCr合金からなる中間層2に、Al、FeおよびCoを含有させることで、Ni相の固溶範囲を広げることができ、NiCr合金からなる中間層2の表面に緻密な不動態皮膜を安定して形成することができる。
また、中間層2は、Al、FeおよびCoの含有量が合計で10質量%以下とされていることが好ましい。
Al、FeおよびCoの含有量が合計で10質量%を超える場合には、ポリイミドと中間層の密着強度が低下するため、好ましくない。
中間層2は、Mo,W、Ta、NbおよびTiから選択される1種または2種以上を含有し、これらMo,W、Ta、NbおよびTiの含有量が合計で10質量%以下とされていることが好ましい。
Mo,W、Ta、NbおよびTiが含有されることで、窒化物が形成される。
さらに、中間層2は、不可避不純物が含有されていてもよい。不可避不純物は総量で2質量%以下とするのが好ましい。
なお、中間層2の厚さは10nm以上30nm以下とすることが好ましい。中間層2の厚さが10nm未満の場合には耐食性が悪化するおそれが発生し、中間層2の厚さが30nmを超える場合には、中間層2を積層した後に回路パターンを形成する際のエッチング速度を確保できなくなるおそれが発生する。
さらに、中間層2は、その積層方向においてNiおよびCrの濃度が変化させることもできる。たとえば、ベースフィルム1側のCr濃度が高く、導電層3側に向かうにしたがいCr濃度が漸次低くなるように構成してもよい。また、Crの濃度変化に応じてNiの濃度を変化させてもよい。さらに、窒素もしくは窒化物は、中間層2の内部で偏在されている。なお、NiとCrの濃度割合は、スパッタ条件を変更することにより、適宜変更することができる。
導電層3は、CuまたはCu合金が好ましい。前記Cu合金を形成する金属としては、Ni、亜鉛、鉄などを挙げることができる。
さらに、Cu以外の導電性を有する金属または合金から選択される1種または2種以上で構成されていてもかまわない。導電性を有する金属または合金としては、たとえば、アルミニウム、アルミニウム合金、銀、金、白金などを挙げることができる。
導電層3の厚さは10nm以上300nm未満が好ましく、30nm以上300nm未満がより好ましい。導電層3の厚さが10nmよりも薄い場合にはメッキ工程で焼き切れてしまう不良が発生しやすくなり、導電層3が300nm以上の場合にはコストが高くなりすぎる。
次に、本発明の実施形態であるフレキシブル積層板の製造方法の一例について説明する。本発明の実施形態であるフレキシブル積層板の製造方法は、中間層形成工程と、導電層形成工程とからなる。
図2は、本発明の実施形態であるフレキシブル積層板の製造方法の一例を示す概略図である。減圧装置9の内部に2つの搬送ロール5にベースフィルム1がセットされている。搬送ロール5を一方向に回転させることにより、ベースフィルム1はX方向に搬送される。減圧装置9の内部は、孔部15が設けられた仕切り板10によってチャンバー21、22の2つのチャンバーに分離されている。チャンバー21の下方部には、Niスパッタターゲット11およびCrスパッタターゲット12が設置され、チャンバー22の下方部には、Cuスパッタターゲット14が設置されている。
(中間層形成工程)
まず、チャンバー21において中間層2を形成する。減圧装置9の内部を減圧状態とした後、Arガスバルブ7を開放して、ベースフィルム1表面の前処理を行う。
次に、Arガスバルブ7を開放したまま、Nガスバルブ8を開放して、減圧装置9の内部をArガスおよびNガス雰囲気とする。その後、一定の搬送速度で搬送ロール5を回転させながら、Niスパッタターゲット11およびCrスパッタターゲット12を用いて、共スパッタリングを行うことによって、所定の組成、所定の膜厚のNiCr合金からなる中間層2をベースフィルム1上に形成する。また、このとき、NiCr合金からなる中間層2に、窒素が含有される。
なお、ベースフィルム1の表面に対向する側に、Niスパッタターゲット11およびCrスパッタターゲット12が搬送方向に隣接されて配設されているが、搬送方向に垂直な方向に隣接して配設してもよい。どちらの配置によっても、NiとCrの共スパッタリングを行うことができ、その結果としてNiCr合金からなる中間層2をベースフィルム1の表面に形成することができる。
このとき、Niスパッタターゲット11およびCrスパッタターゲット12のスパッタ速度の組み合わせに応じて、NiCr合金の組成も適宜変更することができる。また、各スパッタ速度を調整することにより、中間層2の厚さ方向において、ベースフィルム1側はNiの濃度が高く、ベースフィルム1の反対側はNiの濃度が低いように、濃度勾配をつけることも可能である。
また、中間層2の厚さは、ベースフィルム1の搬送速度および各スパッタターゲットのスパッタ速度を適宜変更することにより調整する。
(導電層形成工程)
次に、チャンバー22において導電層3を形成する。Arガス雰囲気を保ったまま、Cuスパッタターゲット14をスパッタすることにより、中間層2の上に導電層3を形成して、フレキシブル積層板101を形成する。
本実施形態においては、減圧装置9の内部に2つのチャンバー21、22を有した装置を用いて、フレキシブル積層板101を形成する例を示したが、中間層2と導電層3をそれぞれ別の減圧装置を用いて形成しても良い。
また、中間層2および導電層3の形成に、真空蒸着法あるいはイオンプレーティング法を用いても良い。また、それぞれの層を異なる成膜方法で形成しても良い。
次に、本発明の実施形態であるフレキシブル積層板の製造方法の別の一例について説明する。
図3は、本発明の実施形態であるフレキシブル積層板の製造方法の別の一例を示す概略図であって、Niスパッタターゲット11およびCrスパッタターゲット12の代わりに、NiCrスパッタターゲット13が設置されているほかは、図2と同様な装置構成とされている。
NiCr合金スパッタターゲット13をスパッタして中間層2をベースフィルム1上に形成し、その上に導電層3を形成してフレキシブル積層板101を形成する。
以下、本発明の実施形態の効果について説明する。
本発明の実施形態であるフレキシブル積層板101は、中間層2としてNiを55質量%以上、Crを4質量%以上含有する合金で構成されているので、中間層2の表面には緻密な不動態皮膜を形成することができ、中間層2の耐食性を向上させることができる。
さらにまた、中間層2のCrのd電子は、ベースフィルム1のポリイミド樹脂のπ電子と共有結合を形成することができ、中間層2とベースフィルム1との接合強度を確実に向上させることができる。
本発明の実施形態であるフレキシブル積層板101は、中間層2に窒素およびNiおよび/またはCrと窒化物を含有する構成なので、中間層2の内部に酸素、水分子あるいは塩化物イオンなどに対する耐食性が高いバリア層を形成することができ、フレキシブル積層板101の耐食性を向上させることができる。
本発明の実施形態であるフレキシブル積層板の製造方法は、ベースフィルム1の表面に中間層2の積層を行う中間層積層工程と、前記中間層2の表面に前記導電層3の積層を行う導電層積層工程と、を有し、前記中間層積層工程は、Nガスを含んだ雰囲気中で、前記ベースフィルム1の表面に成膜を行う構成なので、中間層2に窒素を容易に含有させることができ、中間層2の内部に酸素、水分子あるいは塩化物イオンなどに対する耐食性が高い、窒素もしくは窒化物によるバリア層を形成することができ、フレキシブル積層板101の耐食性を向上させることができる。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。しかし、本発明はこれらの実施例にのみ限定されるものではない。
(実施例1)
ベースフィルムとしてBPDA系ポリイミド樹脂で構成された宇部興産株式会社製商品名「ユーピレックスS」(厚さ38μm)を用意した。
このベースフィルムを直流(DC)スパッタリング装置内にセットし、減圧状態とした。
前処理ガスであるArガスを10sccmで流入させて、印加電力500Wでプラズマ処理を行った。次に、Arガスを流入させたまま、Arガスに対する流速比を1/100でとなるようにNガスを混入させ、DC出力500WでスパッタターゲットであるNiCr合金(20質量%Cr(3N))をスパッタすることにより、その表面に膜厚10nmの中間層を形成した。
次に、Arガスを流入させまま、Nガスを止めた状態で、DC出力3kWでCuスパッタターゲットをスパッタすることにより、中間層の上に導電層を形成した。導電層の膜厚は300nmとした。
さらに、スパッタリング装置からサンプルを取り出した後、硫酸銅浴によりCu電解めっきを行い、厚さ20μmのCuからなる導電層を形成した。
このようにして、実施例1サンプルであるフレキシブル積層板を得た。
(実施例2)
NiCr合金をスパッタする際にNガスの流速をArガスに対して1/5としたほかは実施例1と同様にして、実施例2サンプルであるフレキシブル積層板を得た。
(比較例1)
NiCr合金をスパッタする際にNガスを混入しなかったほかは実施例1と同様にして、比較例1サンプルであるフレキシブル積層板を得た。
(XPS分析)
図4は実施例1サンプルのXPS分析結果を示す図であって、図4(a)は膜の深さ方向の分析結果であり、図4(b)は(a)の分析結果を窒素の状態で分離して示したものである。
図4(a)に示されているように、実施例1サンプルにおいては5つのデータ曲線が示されている。スパッタ時間0〜5分の範囲で示される深さの領域では、N2pが原子密度約75%、Cr2pが原子密度約18%、N1sが原子密度約5%で存在し、C1sおよびO1sが少量存在している。また、スパッタ時間5〜9分の範囲で示される深さの領域では、N2pが急激に減少し、Cr2pも同様に減少し、N1sはあまり変わらず原子密度約5%で存在し、C1sは急激に増加し、O1sも多少増加している。この分析結果から、スパッタ時間0〜5分の範囲で示される深さの領域がNiCr合金からなる中間層であり、スパッタ時間5〜9分の範囲で示される深さの領域がポリイミド樹脂からなるベースフィルムであることが分かった。
また、窒素の存在範囲を示すN1sは中間層、ベースフィルム両方に存在する。図4(b)では、図4(a)のN1sを状態分離することにより、NiCr合金中に含まれるNの原子密度を示すmetal−Nおよびポリイミド樹脂中に含まれるNの原子密度を示すCarbon−Nが示されている。
図5は比較例1サンプルのXPS分析結果を示す図である。図4(a)と比較して分かるように、N1sはスパッタ時間5〜9分の範囲で示される深さの領域では存在するが、スパッタ時間0〜5分の範囲で示される深さの領域には存在しない。これは、比較例1サンプルでは、NiCr合金中に含まれるNが存在しないということを示している。
(エッチング実験)
実施例1、2および比較例1の耐食性を評価するために、エッチング実験を行った。エッチング装置として小型エッチング装置K−60629(株式会社二宮システム製)を用い、エッチング液としては塩化第二鉄溶液(ボーメ40°)を使用し、液温40℃、吐出圧力0.25MPa、エッチング時間は180秒および600秒とした。
図6は、実施例1の実験結果を示す写真であり、図6(a)がエッチング時間180秒のものであり、図6(b)がエッチング時間600秒のものである。図7は、比較例1の実験結果を示す写真であり、図7(a)がエッチング時間180秒のものであり、図7(b)がエッチング時間600秒のものである。実施例1は、NiCr層が完全にエッチングされないのに対し、比較例1は縞状にエッチングされているのが分かる。
このように、実施例1、2ではエッチングがし難く、耐食性がよい結果となった。逆に、比較例1ではエッチングがし易く、耐食性が実施例1、2に比較して劣る結果となった。
なお、表1に実施例1、2および比較例1の実験条件および実験結果をまとめた。
Figure 2009056785
本発明は、携帯電話、パソコン、DVDレコーダー、デジタルカメラなどに使用されるフレキシブル配線基板に用いられるフレキシブル積層板に関するものであり、特に、高温高湿環境下で用いられるフレキシブル積層板を必要とする産業において利用可能性がある。
本発明の実施形態であるフレキシブル積層板の一例を示す図である。 本発明の実施形態であるフレキシブル積層板の製造方法の一例を示す概略図である。 本発明の実施形態であるフレキシブル積層板の製造方法の一例を示す概略図である。 実施例1サンプルのXPS分析結果の一例を示す図である。 比較例1サンプルのXPS分析結果の一例を示す図である。 実施例1サンプルのエッチング実験結果を示す図である。 比較例1サンプルのエッチング実験結果を示す図である。る。
符号の説明
1…ベースフィルム、2…中間層、3…導電層、5…搬出ロール、7…Arガスバルブ、8…Nガスバルブ、9…減圧装置、10…仕切り板、11…Niスパッタターゲット、12…Crスパッタターゲット、13…NiCr合金スパッタターゲット、14…ポリイミドスパッタターゲット、15…孔部、101…フレキシブル積層板

Claims (8)

  1. ベースフィルムと、このベースフィルム上に積層された中間層と、この中間層上に積層された導電層と、を備えたフレキシブル積層板であって、
    前記中間層は、Mo,Cr,Ni,Si,Fe,およびAlから選択される1種または2種以上の元素を含有するとともに、窒素を含んでいることを特徴とするフレキシブル積層板。
  2. 前記中間層において、Mo,Cr,Ni,Si,Fe,およびAlから選択される1種または2種以上の元素の窒化物が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のフレキシブル積層板。
  3. 前記中間層が、Niを55質量%以上、Crを4質量%以上含有する合金であり、かつ、窒素が含まれていることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれか1項に記載のフレキシブル積層板。
  4. 前記中間層は、Mo,W,Ta,NbおよびTiから選択される1種または2種以上を含有していることを特徴とする請求項3に記載のフレキシブル積層板。
  5. 前記中間層は、Al、FeおよびCoから選択される1種または2種以上を含有し、これらAl、FeおよびCoの含有量が合計で10質量%以下とされていることを特徴とする請求項3または請求項4のいずれか1項に記載のフレキシブル積層板。
  6. 前記ベースフィルムのうち少なくとも前記中間層が積層される表面が、ポリイミドで構成されていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のフレキシブル積層板。
  7. 請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のフレキシブル積層板の製造方法であって、
    前記ベースフィルムの表面に前記中間層の積層を行う中間層積層工程と、
    前記中間層の表面に前記導電層の積層を行う導電層積層工程と、を有し、
    前記中間層積層工程は、Nガスを含んだ雰囲気中で、前記ベースフィルムの表面に成膜を行う工程を備えていることを特徴とするフレキシブル積層板の製造方法。
  8. 前記ベースフィルムの表面に成膜を行う工程がスパッタ法により行われることを特徴とする請求項7に記載のフレキシブル積層板の製造方法。
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JP2017128061A (ja) * 2016-01-21 2017-07-27 宇部エクシモ株式会社 フレキシブル金属積層板

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