JP2009054777A - プラズマ加工装置及びプラズマ加工方法 - Google Patents

プラズマ加工装置及びプラズマ加工方法 Download PDF

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Abstract

【課題】被加工物の切断時の温度の上昇を抑制する。
【解決手段】プラズマ加工装置は、被加工物としてのシリコンインゴット100を切断するための第1スライス電極4と、第1スライス電極4に対して水平方向に間隔をおいて配置され、シリコンインゴット100を切断するための第2スライス電極6と、第1スライス電極4と第2スライス電極6がシリコンインゴット100に対してそのシリコンインゴット100の切断方向に対向するように配置されたときに当該シリコンインゴット100を切断するためのプラズマが発生するように第1スライス電極4と第2スライス電極6との間に所定の電位差を生じさせる電圧印加部8とを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、プラズマ加工装置及びプラズマ加工方法に関するものである。
従来、例えばシリコンインゴットのような被加工物をプラズマエッチングにより切断し、シリコンウエハを作製するプラズマ加工装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
図8には、そのような従来のプラズマ加工装置の一例が示されている。このプラズマ加工装置では、被加工物200に対向するようにスライス電極102が配置されるとともに、被加工物200の底面に被加工物側電極104が取り付けられている。また、スライス電極102と被加工物側電極104には、電源106が電気的に接続されている。そして、この電源106からスライス電極102と被加工物側電極104に電圧を印加してスライス電極102と被加工物200との間に電位差を生じさせることによって、これらスライス電極102と被加工物200との間にプラズマを発生させ、そのプラズマのエッチング作用により被加工物200を切断する。
特開2006−196845号公報
しかしながら、上記した従来のプラズマ加工装置では、被加工物200のプラズマエッチングによる切断時にスライス電極102と被加工物側電極104との間で被加工物200を貫通して電流が流れるため、被加工物200にジュール熱が発生し、被加工物200の温度が上昇する。被加工物200の温度が上昇すると、被加工物200の切断精度が低下したり、被加工物200自体に障害が発生する虞がある。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、被加工物の切断時の温度の上昇を抑制することが可能なプラズマ加工装置及びプラズマ加工方法を提供することである。
上記目的を達成するために、本発明によるプラズマ加工装置は、被加工物をプラズマエッチングにより切断するプラズマ加工装置であって、前記被加工物を切断するための第1スライス電極と、前記第1スライス電極に対して間隔をおいて配置され、前記被加工物を切断するための第2スライス電極と、前記第1スライス電極と前記第2スライス電極が前記被加工物に対してその被加工物の切断方向に対向するように配置されたときに当該被加工物を切断するためのプラズマが発生するように前記第1スライス電極と前記第2スライス電極との間に所定の電位差を生じさせる電圧印加部とを備えている。
このプラズマ加工装置では、被加工物を切断するためのプラズマを発生させる際、第1スライス電極と第2スライス電極との間に所定の電位差を生じさせることができる。これにより、被加工物をプラズマエッチングする際、第1スライス電極と第2スライス電極との間の微小な距離で電流が流れ、従来のようにスライス電極から被加工物を貫通して電流が流れる場合に比べて、ジュール熱による被加工物の温度の上昇を抑制することができる。従って、このプラズマ加工装置では、被加工物の切断時の温度の上昇を抑制することができる。
上記プラズマ加工装置において、前記電圧印加部は、前記第1スライス電極と前記第2スライス電極に符号が逆で等しい大きさの電圧をそれぞれ印加するのが好ましい。
このように構成すれば、同符号で異なる大きさの電圧を第1スライス電極と第2スライス電極に印加して両スライス電極に電位差を生じさせる場合と異なり、正電圧を印加したスライス電極から負電圧を印加したスライス電極へ全ての電流を流すことができ、被加工物のジュール熱による温度の上昇をより抑制しやすくすることができる。
上記プラズマ加工装置において、前記第1スライス電極と前記第2スライス電極は、前記第1スライス電極と前記被加工物の間及び前記第2スライス電極と前記被加工物の間にそれぞれプラズマが発生するように前記被加工物に対して配置されてもよい。
このように構成すれば、第1スライス電極と第2スライス電極のそれぞれに対応する箇所で被加工物をプラズマエッチングにより切断することができる。そして、このプラズマエッチングの際、第1スライス電極と第2スライス電極との間の微小な距離で電流を流すことができる。
上記プラズマ加工装置において、前記第1スライス電極と前記第2スライス電極は、互いの間にプラズマを発生可能な間隔で隣接して配置されてもよい。
このように構成すれば、第1スライス電極と第2スライス電極の間で発生するプラズマにより被加工物をエッチングして切断することができる。そして、この構成では、第1スライス電極と第2スライス電極との間で直接電流を流してプラズマを発生させることができるので、被加工物が絶縁物であってもプラズマエッチングにより切断することができる。
この場合において、前記第1スライス電極と前記第2スライス電極は、互いの対向する側面間に絶縁材を挟んで配置されるのが好ましい。
このように構成すれば、第1スライス電極と第2スライス電極が互いの間でプラズマが発生可能なほど近接して配置されていても、絶縁材により絶縁された両スライス電極の互いに対向する側面間ではプラズマが発生せず、両スライス電極の被加工物に対向する端部間でのみプラズマを発生させて被加工物を切断することができる。そして、この構成では両スライス電極の互いに対向する側面間を絶縁材で絶縁するので、両スライス電極の側面間に設けた空隙により両スライス電極間を絶縁する場合に比べて、両スライス電極の側面間を絶縁しながら両スライス電極をより近接させて配置することができる。このため、両スライス電極の端部間で発生するプラズマにより被加工物をエッチングする切込み部の幅、すなわち、カーフロス幅を小さくすることができ、材料ロスを低減することができる。
上記プラズマ加工装置において、前記第1スライス電極と前記第2スライス電極は、前記被加工物の切断方向と直交する方向に間隔をあけて複数配置されるのが好ましい。
このように構成すれば、複数の第1スライス電極と複数の第2スライス電極を用いて被加工物を同時に多くの箇所で切断することができるので、被加工物の切断の作業効率を向上させることができる。
この場合において、前記第1スライス電極と前記第2スライス電極は、前記被加工物の切断方向と直交する方向に交互に配置されるのが好ましい。
このように構成すれば、第1スライス電極同士を隣り合わせて配置するとともに第2スライス電極同士を隣り合わせて配置する場合と比べて、各第1スライス電極と各第2スライス電極を互いに近接させて配置することができる。このため、各第1スライス電極と各第2スライス電極に電圧を印加して両スライス電極間に所定の電位差を生じさせたときに、第1スライス電極と第2スライス電極が遠くに離れている場合に比べて、各第1スライス電極と各第2スライス電極の間で電流を流しやすくすることができる。その結果、切断時における被加工物の温度の上昇をより有効に抑制することができる。
上記プラズマ加工装置において、前記電圧印加部は、断続的にプラズマを発生させる電圧を前記第1スライス電極と前記第2スライス電極にそれぞれ印加するのが好ましい。
このように構成すれば、第1スライス電極と被加工物の間及び第2スライス電極と被加工物の間に断続的にプラズマを発生させることができるため、第1スライス電極と第2スライス電極に常に一定の電圧を印加して一定かつ大きい強度のプラズマを連続して発生させる場合に比べて、第1スライス電極と第2スライス電極の損耗を低減することができる。
この場合において、前記被加工物に電気的に接続される被加工物側電極と、この被加工物側電極を通じて前記被加工物に前記第1スライス電極と前記第2スライス電極に印加される電圧のピーク値よりも小さい直流電圧を印加する直流電源とを備えるのが好ましい。
このように構成すれば、第1スライス電極と第2スライス電極に印加される電圧がプラズマを発生させる電圧値よりも小さくなった期間において、直流電源から被加工物側電極を通じて被加工物に印加する直流電圧によりエッチングガスのイオンを被加工物に静電収集することができ、この期間においても被加工物のエッチングによる切断を進行させることができる。このため、被加工物の切断速度を向上させることができる。また、被加工物に印加する直流電圧は第1スライス電極と第2スライス電極に印加される電圧のピーク値よりも小さいので、各スライス電極に印加される電圧がプラズマを発生させる電圧値よりも小さくなった期間には、各スライス電極と被加工物の間にプラズマが発生しないか又は発生したとしても各スライス電極にピーク電圧が印加されている時よりも弱いプラズマとすることができる。従って、この構成では、第1スライス電極と第2スライス電極の損耗を低減しながら、被加工物の切断速度を向上させることができる。
本発明によるプラズマ加工方法は、上記プラズマ加工装置を用いて被加工物をプラズマエッチングにより切断するプラズマ加工方法であって、前記第1スライス電極と前記第2スライス電極を間隔をおいて配置するとともに、前記第1スライス電極と前記第2スライス電極を前記被加工物に対してその被加工物の切断方向に対向するように配置する工程と、
前記被加工物を切断するためのプラズマが発生するように前記第1スライス電極と前記第2スライス電極との間に所定の電位差を生じさせる工程とを備えている。
このプラズマ加工方法では、被加工物を切断するためのプラズマを発生させる際、第1スライス電極と第2スライス電極との間に所定の電位差を生じさせることができる。これにより、被加工物をプラズマエッチングする際、第1スライス電極と第2スライス電極との間で電流が流れ、従来のようにスライス電極から被加工物を貫通して電流が流れる場合に比べて、ジュール熱による被加工物の温度の上昇を抑制することができる。従って、このプラズマ加工方法では、上記プラズマ加工装置と同様、被加工物の切断時の温度の上昇を抑制することができる。
以上説明したように、本発明によれば、被加工物の切断時の温度の上昇を抑制することができる。
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態によるプラズマ加工装置の概略図である。まず、図1を参照して、本発明の第1実施形態によるプラズマ加工装置の構成について説明する。
この第1実施形態によるプラズマ加工装置は、被加工物としてのシリコンインゴット100をプラズマエッチングにより切断してシリコンウエハを製造するためのものである。このプラズマ加工装置は、図略のチェンバと、昇降機構2と、第1スライス電極4と、第2スライス電極6と、電圧印加部8と、被加工物側電極10と、直流電源12とを備えている。
前記図略のチェンバは、その内部にプラズマエッチングを行う反応室を形成するものである。このチェンバには、図略の排気管とガス導入管が接続されており、その排気管を通じてチェンバ内を真空排気した後、ガス導入管を通じてエッチングガスとしての三フッ化窒素(NF)をチェンバ内に充填可能となっている。
前記昇降機構2は、シリコンインゴット100の鉛直方向の位置を調節するものである。具体的には、この昇降機構2は、前記チェンバ内に設置されている。そして、昇降機構2は、その上部にシリコンインゴット100を載置するための載置台2aを有しており、この載置台2aを上下させることによってシリコンインゴット100の鉛直方向の位置を調節する。さらに、この昇降機構2は、プラズマエッチング時にシリコンインゴット100を徐々に上方に移動させることにより、シリコンインゴット100のプラズマエッチングによる切断を上面から下方に向かって進行させる。
前記第1スライス電極4と前記第2スライス電極6は、シリコンインゴット100を切断するために用いられるものである。この第1スライス電極4とシリコンインゴット100の間及び第2スライス電極6とシリコンインゴット100の間でプラズマが発生し、そのプラズマのエッチング作用によってシリコンインゴット100が切断される。
具体的には、第1スライス電極4と第2スライス電極6は、前記チェンバ内の空間に固定的に設置される。この第1スライス電極4と第2スライス電極6は、帯状の薄膜に形成されており、その短辺の延びる方向が鉛直方向となるように配置される。そして、第1スライス電極4と第2スライス電極6は、水平方向に間隔をおいて互いに平行に配置されるとともに、前記載置台2a上にセットされたシリコンインゴット100の上面に対して鉛直方向に対向するように配置される。すなわち、第1スライス電極4と第2スライス電極6は、シリコンインゴット100の切断方向である鉛直方向と直交する水平方向に間隔をおいて配置される。
また、第1スライス電極4と第2スライス電極6は、同様の構造に形成されており、共に銅箔等の金属箔を樹脂材料からなる絶縁膜で挟み込み、ホットプレスすることによって形成されている。そして、両スライス電極4,6には、その金属箔に前記電圧印加部8から電圧が印加される。これにより、金属箔の下端と対向するシリコンインゴット100の表面との間にプラズマが発生し、絶縁膜で覆われた両スライス電極4,6の側面側にはプラズマが発生しないようになっている。
そして、両スライス電極4,6とシリコンインゴット100の間でプラズマが発生することによって、エッチングガスとしてのNFが解離し、フッ素原子(F)やフッ素イオン(F)が生成される。このフッ素原子(F)及びフッ素イオン(F)とシリコンインゴット100のシリコン原子(Si)が反応してSiFガスが生成されることにより、シリコンインゴット100のエッチングによる切断が進行する。
前記電圧印加部8は、前記第1スライス電極4と前記第2スライス電極6に電圧を印加するものであり、第1スライス電極4とシリコンインゴット100との間及び第2スライス電極6とシリコンインゴット100との間にプラズマが発生するように第1スライス電極4と第2スライス電極6との間に所定の電位差を生じさせる。
具体的には、電圧印加部8は、トランス8aと、電源8bとを有している。
前記トランス8aの一次コイル8cは、前記電源8bと電気的に接続されている。一方、前記トランス8aの二次コイル8dの一方端側は、前記第1スライス電極4に保護抵抗9aを介して電気的に接続されているとともに、前記トランス8aの二次コイル8dの他方端側は、前記第2スライス電極6に保護抵抗9bを介して電気的に接続されている。そして、前記二次コイル8dの前記一方端側と前記他方端側の中間電位となる部位が接地されている。
前記電源8bは、パルス電圧を生成してそのパルス電圧を前記トランス8aの一次コイル8cに印加するものである。この電源8bによってトランス8aの一次コイル8cにパルス電圧が印加されると、トランス8aの二次コイル8dではその両端側の中間電位となる部位が接地されていることに起因して前記一方端側と前記他方端側に符号が逆で等しい大きさのパルス電圧が発生する。これにより、第1スライス電極4と第2スライス電極6には符号が逆で等しい大きさのパルス電圧が印加され、第1スライス電極4とシリコンインゴット100の間及び第2スライス電極6とシリコンインゴット100の間にプラズマがそれぞれ断続的に発生する。そして、第1スライス電極4と第2スライス電極6に逆符号のパルス電圧が印加されることにより、第1スライス電極4と第2スライス電極6の間に所定の電位差が断続的に生じるようになっている。これにより、前記プラズマが発生しているときには、シリコンインゴット100のうち第1スライス電極4におけるプラズマと第2スライス電極6におけるプラズマとを直線的に結ぶ線分の近傍部分を通って電流が流れる。すなわち、第1スライス電極4と第2スライス電極6との間の微小な距離でシリコンインゴット100を通じて電流が流れる。
前記被加工物側電極10は、シリコンインゴット100に電気的に接続されるものであり、シリコンインゴット100の底面に取り付けられる。この被加工物側電極10には、前記直流電源12が電気的に接続されている。
前記直流電源12は、被加工物側電極10を通じてシリコンインゴット100に一定の正の直流電圧を印加するものである。この直流電圧は、第1スライス電極4と第2スライス電極6に印加されるパルス電圧のピーク値よりも小さく、その直流電圧が印加されたシリコンインゴット100と前記パルス電圧が立ち下がったときの両スライス電極4,6との間で生じる電位差によってプラズマが発生しないような低い電圧に設定されている。そして、この正の直流電圧がシリコンインゴット100に印加されることにより、前記パルス電圧が立ち下がって前記両スライス電極4,6とシリコンインゴット100の間にプラズマが発生しない期間にエッチングガスイオン(F)がシリコンインゴット100に静電収集される。これにより、この期間もシリコンインゴット100のエッチングが進行するようになっている。
次に、この第1実施形態のプラズマ加工装置によるシリコンインゴット100のプラズマ加工方法について説明する。
まず、前記図略のチェンバ内において昇降機構2の載置台2a上にシリコンインゴット100をセットするとともに、被加工物側電極10をシリコンインゴット100の底面に対して取り付けて被加工物側電極10とシリコンインゴット100を電気的に接続する。そして、第1スライス電極4と第2スライス電極6をシリコンインゴット100の上面に対向するようにシリコンインゴット100の鉛直方向上側に間隔をあけて設置する。
次に、チェンバ内を真空排気し、その後、エッチングガスとしてNFをチェンバ内に充填する。
次に、電圧印加部8の電源8bからトランス8aにパルス電圧を印加することにより、そのトランス8aから第1スライス電極4と第2スライス電極6に符号が逆で等しい大きさのパルス電圧をそれぞれ印加する。また、直流電源12から被加工物側電極10を通じてシリコンインゴット100に弱い正の直流電圧を印加する。
この後、昇降機構2によりシリコンインゴット100を徐々に上昇させ、両スライス電極4,6の下端に対してシリコンインゴット100の上面を徐々に接近させる。そして、両スライス電極4,6の下端とシリコンインゴット100の上面がある一定の距離まで接近すると、両スライス電極4,6の下端とシリコンインゴット100の上面との間にプラズマが断続的に発生し、シリコンインゴット100のエッチングによる切断が鉛直方向に進行する。
そして、両スライス電極4,6に互いに符号が逆のパルス電圧がそれぞれ印加されることに起因して、この両スライス電極4,6間には所定の電位差が生じる。これにより、両スライス電極4,6とシリコンインゴット100との間にプラズマが発生している期間には、シリコンインゴット100のうち両スライス電極4,6にそれぞれ対応するプラズマを直線的に結ぶ線分の近傍部分を通じて電流が流れる一方、両スライス電極4,6と前記被加工物側電極10との間でシリコンインゴット100を貫通するような電流はほとんど流れない。シリコンインゴット100に電流が流れるとジュール熱が発生し、シリコンインゴット100の温度が上昇するが、上記のようにシリコンインゴット100のうち両スライス電極4,6におけるプラズマを結ぶ部分を通じて電流が流れる場合にはその電流の流れる距離が微小であることに起因して、両スライス電極4,6と前記被加工物側電極10との間でシリコンインゴット100を貫通して電流が流れる場合に比べて発生するジュール熱が小さく、シリコンインゴット100の温度の上昇が抑制される。このため、この第1実施形態では、従来のようにプラズマエッチング時にスライス電極から被加工物を貫通して電流が流れる場合に比べて、シリコンインゴット100の温度の上昇が抑制される。
また、両スライス電極4,6に印加されるパルス電圧が立ち下がってプラズマが発生しない期間には、正の直流電圧が印加されたシリコンインゴット100にエッチングガスのイオン(F)が静電収集され、このプラズマが発生していない期間でもシリコンインゴット100のエッチングによる切断が進行する。
なお、第1スライス電極4と第2スライス電極6を上記のように設置したときに両スライス電極4,6の鉛直方向における相対的な位置にずれがある場合には、昇降機構2により両スライス電極4,6にシリコンインゴット100を徐々に接近させる過程において、両スライス電極4,6のうち下方に位置する一方のスライス電極の下端とシリコンインゴット100の上面との間の距離がプラズマを発生可能な距離に先に到達する。この場合、この一方のスライス電極とシリコンインゴット100の間でのみプラズマが発生し、この一方のスライス電極側でのみシリコンインゴット100の切断が進行する。しかし、その後、その切断が進行し、前記他方のスライス電極の下端とシリコンインゴット100の上面とがプラズマを発生可能な距離まで接近すると、その他方のスライス電極とシリコンインゴット100との間でもプラズマが発生し、この他方のスライス電極側でもシリコンインゴット100のエッチングによる切断が進行する。
なお、両スライス電極4,6の一方のみにおいてプラズマが発生しているときは、両スライス電極4,6間で電流が流れず、そのプラズマが発生した一方のスライス電極と被加工物側電極10との間でシリコンインゴット100の内部を通って電流が流れ、シリコンインゴット100にジュール熱が発生する。しかし、その後、前記一方のスライス電極側でシリコンインゴット100のエッチングによる切断が進行し、すぐに前記他方のスライス電極とシリコンインゴット100との間でプラズマが発生し始め、両スライス電極4,6間で電流が流れるようになる。このため、前記一方のスライス電極と被加工物側電極10との間でシリコンインゴット100の内部を通って電流が流れることによるジュール熱の発生期間は短く、このジュール熱によるシリコンインゴット100の温度の上昇は非常に小さいものとなる。
以上説明したように、この第1実施形態では、第1スライス電極4とシリコンインゴット100の間及び第2スライス電極6とシリコンインゴット100の間にプラズマを発生させる際、電圧印加部8から印加する電圧により第1スライス電極4と第2スライス電極6との間に所定の電位差を生じさせることができる。これにより、シリコンインゴット100をプラズマエッチングする際、第1スライス電極4と第2スライス電極6との間の微小な距離でシリコンインゴット100を通じて電流が流れ、従来のようにスライス電極から被加工物を貫通して電流が流れる場合に比べて、ジュール熱によるシリコンインゴット100の温度の上昇を抑制することができる。従って、この第1実施形態では、被加工物としてのシリコンインゴット100の切断時の温度の上昇を抑制することができる。
また、第1実施形態では、電圧印加部8が第1スライス電極4と第2スライス電極6に符号が逆で等しい大きさのパルス電圧をそれぞれ印加するので、同符号で異なる大きさの電圧を第1スライス電極4と第2スライス電極6に印加して両スライス電極4,6間に電位差を生じさせる場合と異なり、両スライス電極4,6のうち正電圧を印加したものから負電圧を印加したものへ全ての電流を流すことができ、シリコンインゴット100のジュール熱による温度の上昇をより抑制しやすくすることができる。
また、第1実施形態では、電圧印加部8が、両スライス電極4,6とシリコンインゴット100の間に断続的にプラズマを発生させるパルス電圧を第1スライス電極4と第2スライス電極6にそれぞれ印加するので、第1スライス電極4と第2スライス電極6に常に一定の電圧を印加して一定かつ大きい強度のプラズマを連続して発生させる場合に比べて、第1スライス電極4と第2スライス電極6の損耗を低減することができる。
また、第1実施形態では、直流電源12から被加工物側電極10を通じてシリコンインゴット100に正の直流電圧を印加するので、第1スライス電極4と第2スライス電極6に印加されるパルス電圧がプラズマを発生させる電圧値よりも小さくなった期間において、エッチングガスのイオン(F)をシリコンインゴット100に静電収集することができ、この期間においてもシリコンインゴット100のエッチングによる切断を進行させることができる。このため、シリコンインゴット100の切断速度を向上させることができる。また、シリコンインゴット100に印加する直流電圧は、その直流電圧が印加されたシリコンインゴット100と印加されるパルス電圧が立ち下がったときの両スライス電極4,6との間で生じる電位差によってプラズマが発生しないような低い電圧に設定されているため、各スライス電極4,6に印加されるパルス電圧がプラズマを発生可能な電圧値よりも小さくなった期間には、各スライス電極4,6とシリコンインゴット100の間にプラズマが発生しない。従って、この第1実施形態では、第1スライス電極4と第2スライス電極6の損耗を低減しながら、シリコンインゴット100の切断速度を向上させることができる。
(第2実施形態)
図2は、本発明の第2実施形態によるプラズマ加工装置の概略図である。次に、図2を参照して、本発明の第2実施形態によるプラズマ加工装置の構成について説明する。
この第2実施形態によるプラズマ加工装置は、上記第1実施形態によるプラズマ加工装置と異なり、第1スライス電極4と第2スライス電極6がそれぞれ複数設けられている。
具体的には、この第2実施形態によるプラズマ加工装置では、第1スライス電極4と第2スライス電極6が水平方向に等間隔かつ平行に交互に配置されている。そして、全ての第1スライス電極4は、電圧印加部8のトランス8aの二次コイル8dの一方端側に電気的に接続されており、全ての第2スライス電極6は、電圧印加部8のトランス8aの二次コイル8dの他方端側に電気的に接続されている。これにより、電源8bからトランス8aの一次コイル8cにパルス電圧が印加されたときに、交互に配置された第1スライス電極4と第2スライス電極6に同時に符号が逆で等しい大きさのパルス電圧がそれぞれ印加されるようになっている。
そして、この第2実施形態によるプラズマ加工装置によるシリコンインゴット100のプラズマ加工方法では、電圧印加部8から複数の第1スライス電極4と複数の第2スライス電極6にパルス電圧を印加して各第1スライス電極4とシリコンインゴット100との間及び各第2スライス電極6とシリコンインゴット100との間にそれぞれプラズマを発生させる。これにより、各第1スライス電極4及び各第2スライス電極6に対応する箇所でシリコンインゴット100のプラズマエッチングによる切断を並行して進行させる。このため、この第2実施形態によるプラズマ加工方法では、1回の切断工程でシリコンインゴット100から多数のシリコンウエハが製造される。
また、各第1スライス電極4と各第2スライス電極6には符号が逆のパルス電圧がそれぞれ印加されるため、各第1スライス電極4と各第2スライス電極6の間に電位差が生じる。これにより、各第1スライス電極4及び各第2スライス電極6とシリコンインゴット100との間でプラズマが発生している期間は、各第1スライス電極4と各第2スライス電極6との間の微小な距離でシリコンインゴット100を通じて電流が流れ、従来のようにスライス電極からシリコンインゴット100を貫通して電流が流れる場合に比べてシリコンインゴット100におけるジュール熱の発生が低減される。
この第2実施形態によるプラズマ加工装置及びプラズマ加工方法の上記以外の構成は、上記第1実施形態によるプラズマ加工装置及びプラズマ加工方法と同様である。
以上説明したように、この第2実施形態では、第1スライス電極4と第2スライス電極6が水平方向に等間隔で複数配置されているので、シリコンインゴット100を同時に多くの箇所でプラズマエッチングにより切断することができる。このため、被加工物としてのシリコンインゴット100の切断の作業効率を向上させることができる。
なお、複数の第1スライス電極4と複数の第2スライス電極6の配置形態としては、上記第2実施形態による配置形態以外に第1スライス電極4同士を隣り合わせて配置するとともに第2スライス電極6同士を隣り合わせて配置する形態も考えられる。しかし、この配置形態では、第1スライス電極4と第2スライス電極6の間の距離が離れてしまうという不都合がある。これに対して、第2実施形態では、第1スライス電極4と第2スライス電極6が水平方向に交互に配置されているので、上記の第1スライス電極4同士を隣り合わせて配置するとともに第2スライス電極6同士を隣り合わせて配置する形態に比べて各第1スライス電極4と各第2スライス電極6を互いに近接させて配置することができる。このため、各第1スライス電極4と各第2スライス電極6に電圧を印加して両スライス電極4,6間に所定の電位差を生じさせたときに、第1スライス電極4と第2スライス電極6が遠くに離れている場合に比べて各第1スライス電極4と各第2スライス電極6との間で電流を流しやすくすることができる。その結果、切断時における被加工物としてのシリコンインゴット100の温度の上昇をより有効に抑制することができる。
この第2実施形態による上記以外の効果は、上記第1実施形態による効果と同様である。
(第3実施形態)
図3は、本発明の第3実施形態によるプラズマ加工装置の概略図である。次に、図3を参照して、本発明の第3実施形態によるプラズマ加工装置の構成について説明する。
この第3実施形態によるプラズマ加工装置は、上記第1実施形態によるプラズマ加工装置と異なり、第1スライス電極4と第2スライス電極6の間でプラズマを発生させ、そのプラズマにより被加工物101をエッチングして切断するものである。
具体的には、この第3実施形態では、第1スライス電極4と第2スライス電極6が互いの間でプラズマを発生可能な間隔で水平方向に隣接して配置される。第1スライス電極4の側面は絶縁膜で覆われているとともに、第2スライス電極6の側面は絶縁膜で覆われており、電圧印加部8から第1スライス電極4と第2スライス電極6に電圧を印加したときに両スライス電極4,6の対向する側面間にはプラズマが発生せず、被加工物101に対向する両スライス電極4,6の下端部間及びその周囲でプラズマが発生する。そして、この第3実施形態では、上記第1実施形態のようにプラズマ発生時に両スライス電極4,6間でシリコンインゴット100を通じて電流が流れるものと異なり、両スライス電極4,6間で直接電流を流してプラズマを発生させることが可能である。これにより、例えば被加工物101が絶縁物であっても、両スライス電極4,6間で電流を流して被加工物101のプラズマエッチングによる切断が可能となっている。
なお、この第3実施形態では、被加工物101が絶縁物の場合を想定しており、上記第1実施形態のような直流電源12からの直流電圧印加によるシリコンインゴット100へのエッチングガスイオンの静電収集はできないため、上記第1実施形態の被加工物側電極10及び直流電源12は設けられていない。
この第3実施形態による上記以外の構成は、上記第1実施形態による構成と同様である。
以上説明したように、この第3実施形態では、第1スライス電極4と第2スライス電極6が互いの間でプラズマを発生可能な間隔で隣接して配置されるので、この両スライス電極4,6間で発生するプラズマにより被加工物101をエッチングして切断することができる。
また、この第3実施形態では、第1スライス電極4と第2スライス電極6との間で直接電流を流してプラズマを発生させることができるので、被加工物101が絶縁物であってもプラズマエッチングにより切断することができる。
第3実施形態による上記以外の効果は、上記第1実施形態による効果と同様である。
(第4実施形態)
図4は、本発明の第4実施形態によるプラズマ加工装置の概略図である。次に、図4を参照して、本発明の第4実施形態によるプラズマ加工装置の構成について説明する。
この第4実施形態によるプラズマ加工装置は、第1スライス電極24と第2スライス電極26がワイヤによって形成されている。
具体的には、第1スライス電極24と第2スライス電極26は、水平方向に互いに平行に延びるワイヤからなる。この両スライス電極24,26は、互いの間でプラズマを発生可能な間隔で水平方向に隣接して配置される。これにより、電圧印加部8から両スライス電極24,26に電圧が印加されると、両スライス電極24,26間及び両スライス電極24,26の周囲にプラズマが発生し、このプラズマにより被加工物101をエッチングして切断する。すなわち、この第4実施形態でも、上記第3実施形態と同様、両スライス電極24,26間で直接電流を流してプラズマを発生可能であり、被加工物101が絶縁物であってもプラズマエッチングにより切断可能となっている。
この第4実施形態の上記以外の構成は、上記第3実施形態による構成と同様である。
以上説明したように、この第4実施形態では、第1スライス電極24と第2スライス電極26との間で直接電流を流してプラズマを発生させることができるので、被加工物101が絶縁物であってもプラズマエッチングにより切断することができるという上記第3実施形態と同様の効果を得ることができる。
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均一の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれる。
例えば、上記各実施形態では、被加工物としてシリコンインゴット100を切断する構成を例にとって説明したが、被加工物としてはシリコンインゴットに限らず、種々の材料のものを適用可能である。例えば、シリコンカーバイド(SiC)やゲルマニウム(Ge)等の被加工物を本発明によるプラズマ加工装置及びプラズマ加工方法を用いて切断してもよい。また、上記第3及び第4実施形態で切断可能な絶縁物からなる被加工物としては、ダイヤモンドや石英(SiO)等からなる被加工物を適用してもよい。
また、上記各実施形態では、エッチングガスとしてNFを用いたが、被加工物の種類に応じてエッチング可能な適切な種類のエッチングガスを用いればよい。例えば、シリコンインゴット100のエッチングガスとしてSFやClを用いてもよい。また、SiCからなる被加工物を切断する場合には、エッチングガスとしてNFガスのほかに、SFガス、NFとOの混合ガス、または、SFとOの混合ガスなどを用いることができる。また、Geからなる被加工物を切断する場合には、エッチングガスとしてNFやSFなどを用いることができる。
また、エッチングガスの種類によってはエッチングガスを解離させてできるエッチングガスイオンが上記実施形態と異なりプラスイオンとなる場合も考えられ、この場合には、被加工物側電極10を通じて被加工物に印加する直流電圧を負電圧とするのが好ましい。これにより、エッチングガスイオンがプラスイオンである場合でもそのエッチングガスイオンを被加工物に静電収集することができ、第1スライス電極4及び第2スライス電極6と被加工物との間にプラズマが発生しない期間でも被加工物のエッチングによる切断を進行させることができる。
また、上記第2実施形態では、逆符号のパルス電圧を印加する第1スライス電極4と第2スライス電極6を交互に配置したが、本発明はこの構成に限らない。すなわち、第1スライス電極4と第2スライス電極6は、交互に配置されている必要はなく、第1スライス電極4同士が隣り合うように配置されるとともに、第2スライス電極6同士が隣り合うように配置されてもよい。また、第1スライス電極4と第2スライス電極6の数は同じでなくてもよく、第1スライス電極4又は第2スライス電極6のいずれか一方が他方よりも多く設けられていてもよい。
また、上記各実施形態では、第1スライス電極4と第2スライス電極6に符号が逆で等しい大きさのパルス電圧を印加したが、第1スライス電極4と第2スライス電極6への電圧の印加の形態はこの形態に限らない。すなわち、第1スライス電極4及び第2スライス電極6と被加工物との間でプラズマを発生可能であり、かつ、第1スライス電極4と第2スライス電極6の間に所定の電位差を生じさせることが可能な上記パルス電圧以外の形態の電圧を第1スライス電極4と第2スライス電極6に印加してもよい。
例えば、上記第1及び第2実施形態のようにパルス電圧を印加する電圧印加部8の代わりに直流電圧を印加する電圧印加部を用いて第1スライス電極4と第2スライス電極6に一定の直流電圧をそれぞれ印加することにより、両スライス電極4,6と被加工物との間にプラズマを発生させるとともに、両スライス電極4,6間に所定の電位差を生じさせてもよい。この場合、両スライス電極4,6と被加工物との間にプラズマが発生し、かつ、両スライス電極4,6間に電位差が生じる電圧であれば、両スライス電極4,6に同符号で大きさの異なる電圧をそれぞれ印加してもよい。
また、両スライス電極4,6に印加する電圧としては、上記以外にも、直流パルス電圧、交流電圧、インパルス電圧等の様々な種類の電圧を適用することができる。
また、上記第1及び第2実施形態では、直流電源12からシリコンインゴット100に印加する直流電圧を、その直流電圧が印加されたシリコンインゴット100と前記パルス電圧が立ち下がったときの両スライス電極4,6との間で生じる電位差によってプラズマが発生しないような低い電圧に設定したが、この直流電圧は、両スライス電極4,6に印加するパルス電圧のピーク値よりも低い電圧であれば上記各実施形態のような電圧に限らない。
この場合、両スライス電極4,6に印加されるパルス電圧が立ち下がった期間に両スライス電極4,6と直流電圧が印加されたシリコンインゴット100との間の電位差によってプラズマが発生する可能性もあるが、このプラズマは両スライス電極4,6にピーク電圧が印加されたときに発生するプラズマよりも弱いものとなる。このため、両スライス電極4,6とシリコンインゴット100との間で発生するプラズマは上記各実施形態のように断続的なものではなく強弱を繰り返すものとなる。この場合、上記各実施形態ほど両スライス電極4,6の損耗を低減する効果は得られないが、一定の電圧を両スライス電極4,6に印加して常に強いプラズマを両スライス電極4,6とシリコンインゴット100の間に発生させる場合に比べると両スライス電極4,6の損耗を低減することができる。
また、図5に示す上記第1実施形態の変形例のように、シリコンインゴット100に直流電圧を印加するための被加工物側電極10と直流電源12を省略してもよい。そして、この場合には、電圧印加部としての電源18を上記第1実施形態のようなトランス8aを介さずに第1スライス電極4と第2スライス電極6に電気的に接続し、この電源18から両スライス電極4,6に直流電圧を印加して両スライス電極4,6とシリコンインゴット100との間にプラズマを発生させるとともに、両スライス電極4,6間に電位差を生じさせてもよい。
また、図6に示す上記第3実施形態の変形例のように、第1スライス電極4と第2スライス電極6を互いの対向する側面間に絶縁膜21を挟んで配置してもよい。なお、この絶縁膜21は、本発明の絶縁材の概念に含まれるものである。
具体的には、この変形例では、第1スライス電極4と第2スライス電極6を一体に形成する。すなわち、第1スライス電極4の金属箔4aと第2スライス電極6の金属箔6aを絶縁膜21を介して密着させる。そして、第1スライス電極4の金属箔4aの外側面を覆うように絶縁膜22を設けるとともに、第2スライス電極6の金属箔6aの外側面を覆うように絶縁膜23を設ける。換言すると、側方から絶縁膜22、金属箔4a、絶縁膜21、金属箔6a、絶縁膜23が順に配設されており、この5層構造の各部材がホットプレスにより互いに密着されて一体化されている。
そして、この変形例では、電圧印加部8から第1スライス電極4の金属箔4aと第2スライス電極6の金属箔6aに電圧が印加されると、両金属箔4a,6aの下端部間及びその周囲にプラズマが発生し、そのプラズマにより被加工物101をエッチングして切断できるようになっている。
この変形例では、第1スライス電極4の金属箔4aと第2スライス電極6の金属箔6aが互いの間でプラズマが発生可能なほど近接して配置されていても、絶縁膜21により絶縁された両金属箔4a,6aの互いに対向する側面間ではプラズマが発生せず、両金属箔4a,6aの被加工物101に対向する下端部間でのみプラズマを発生させて被加工物101を切断することができる。
さらに、この変形例では、両金属箔4a,6aの互いに対向する側面間を絶縁膜21で絶縁するので、両金属箔4a,6aの側面間に空隙を設けることにより両金属箔4a,6a間を絶縁する場合に比べて、両金属箔4a,6aの側面間を絶縁しながら両金属箔4a,6aをより近接させて配置することができる。このため、両金属箔4a,6aの下端部間及びその周囲で発生するプラズマにより被加工物101をエッチングする切込み部の幅、すなわち、カーフロス幅を小さくすることができ、材料ロスを低減することができる。
なお、この変形例では、第1スライス電極4の金属箔4aと第2スライス電極6の金属箔6aとの間に1つの絶縁膜21を挟んで両金属箔4a,6a間を絶縁したが、本発明はこの構成に限らない。例えば、第1スライス電極4の金属箔4aと第2スライス電極6の金属箔6aの互いに対向する側面をそれぞれ覆うように個別に絶縁膜を形成するとともに、その絶縁膜同士を接合して両スライス電極4,6を一体化させてもよい。すなわち、両金属箔4a,6a間に第1スライス電極4側の絶縁膜と第2スライス電極6側の絶縁膜を挟んで両金属箔4a,6a間を絶縁してもよい。
また、図7に示す上記第4実施形態の変形例のように、ワイヤからなる第1スライス電極24と第2スライス電極26を被加工物101の切断方向に並べて配置してもよい。この場合でも、第1スライス電極24と第2スライス電極26の間及びその周囲にプラズマを発生させることができ、両スライス電極24,26に対応する箇所で被加工物101をプラズマエッチングにより切断することができる。
また、上記した被加工物と各スライス電極は、相対的に鉛直方向に配置されている必要はなく、任意の方向に配置されていてもよい。そして、各スライス電極の配列方向も水平方向以外の任意の方向であってもよく、被加工物の切断方向はこれら被加工物と各スライス電極の配置方向に応じた方向であってもよい。例えば、被加工物を上に配置するとともに各スライス電極をその被加工物の下方に配置し、被加工物を下から上へ切断する構成や、被加工物を横に倒して配置するとともに各スライス電極をその被加工物の側方に配置して被加工物を横方向に切断する構成であってもよい。なお、これらの構成では、上記昇降機構2の代わりに被加工物をその切断方向に移動可能な移動機構を用い、その移動機構の載置台に被加工物を落ちないように固定するのが好ましい。
また、上記電源8(18)として交流電源を用いる場合には、保護抵抗9a(9b)の代わりにリアクトルを用いてもよい。また、過電流を制限する構成としてはこれら以外にも種々の構成を適用可能である。例えば、上記保護抵抗9a(9b)の代わりに可変抵抗を用いるとともにその可変抵抗に電流検知部と制御部を付設し、電流検知部が過電流を検知したときに制御部がそれに基づいて可変抵抗の抵抗値を0Ωから有限値に上昇させることにより過電流を制限するようにしてもよい。
また、上記保護抵抗9a(9b)の代わりに電流検知部と、制御部と、スイッチング回路と、FET(電界効果型トランジスタ)などの電流制御デバイスとを組み合わせた回路を用いて過電流を制限してもよい。すなわち、過電流の流れていない通常時にはスイッチング回路によって前記FETを経由しない経路で電流を流す一方、前記電流検知部が過電流を検知したときには前記制御部がそれに基づいて前記FETを通って電流が流れるようにスイッチング回路を切り替えるとともに、前記FETのゲート電圧を制御することで電流値を制御し、過電流を制限するような構成であってもよい。
また、上記保護抵抗9a(9b)を省略し、上記電源8(18)として電圧を制御可能なものを用いるとともに電流検知部と制御部とを設け、前記電流検知部が過電流を検知したときにそれに基づいて前記制御部が電源8(18)の電圧を低下させることによって過電流を制限するようにしてもよい。
本発明の第1実施形態によるプラズマ加工装置の概略図である。 本発明の第2実施形態によるプラズマ加工装置の概略図である。 本発明の第3実施形態によるプラズマ加工装置の概略図である。 本発明の第4実施形態によるプラズマ加工装置の概略図である。 本発明の第1実施形態の変形例によるプラズマ加工装置の概略図である。 本発明の第3実施形態の変形例によるプラズマ加工装置の概略図である。 本発明の第4実施形態の変形例によるプラズマ加工装置の概略図である。 従来の一例によるプラズマ加工装置の概略図である。
符号の説明
4、24 第1スライス電極
6、26 第2スライス電極
8 電圧印加部
10 被加工物側電極
12 直流電源
18 電源(電圧印加部)
21 絶縁膜(絶縁材)
100 シリコンインゴット(被加工物)
101 被加工物

Claims (10)

  1. 被加工物をプラズマエッチングにより切断するプラズマ加工装置であって、
    前記被加工物を切断するための第1スライス電極と、
    前記第1スライス電極に対して間隔をおいて配置され、前記被加工物を切断するための第2スライス電極と、
    前記第1スライス電極と前記第2スライス電極が前記被加工物に対してその被加工物の切断方向に対向するように配置されたときに当該被加工物を切断するためのプラズマが発生するように前記第1スライス電極と前記第2スライス電極との間に所定の電位差を生じさせる電圧印加部とを備えた、プラズマ加工装置。
  2. 前記電圧印加部は、前記第1スライス電極と前記第2スライス電極に符号が逆で等しい大きさの電圧をそれぞれ印加する、請求項1に記載のプラズマ加工装置。
  3. 前記第1スライス電極と前記第2スライス電極は、前記第1スライス電極と前記被加工物の間及び前記第2スライス電極と前記被加工物の間にそれぞれプラズマが発生するように前記被加工物に対して配置される、請求項1または2に記載のプラズマ加工装置。
  4. 前記第1スライス電極と前記第2スライス電極は、互いの間にプラズマを発生可能な間隔で隣接して配置される、請求項1または2に記載のプラズマ加工装置。
  5. 前記第1スライス電極と前記第2スライス電極は、互いの対向する側面間に絶縁材を挟んで配置される、請求項4に記載のプラズマ加工装置。
  6. 前記第1スライス電極と前記第2スライス電極は、前記被加工物の切断方向と直交する方向に間隔をあけて複数配置される、請求項1〜5のいずれか1項に記載のプラズマ加工装置。
  7. 前記第1スライス電極と前記第2スライス電極は、前記被加工物の切断方向と直交する方向に交互に配置される、請求項6に記載のプラズマ加工装置。
  8. 前記電圧印加部は、断続的にプラズマを発生させる電圧を前記第1スライス電極と前記第2スライス電極にそれぞれ印加する、請求項1〜7のいずれか1項に記載のプラズマ加工装置。
  9. 前記被加工物に電気的に接続される被加工物側電極と、
    この被加工物側電極を通じて前記被加工物に前記第1スライス電極と前記第2スライス電極に印加される電圧のピーク値よりも小さい直流電圧を印加する直流電源とを備える、請求項8に記載のプラズマ加工装置。
  10. 請求項1に記載のプラズマ加工装置を用いて被加工物をプラズマエッチングにより切断するプラズマ加工方法であって、
    前記第1スライス電極と前記第2スライス電極を間隔をおいて配置するとともに、前記第1スライス電極と前記第2スライス電極を前記被加工物に対してその被加工物の切断方向に対向するように配置する工程と、
    前記被加工物を切断するためのプラズマが発生するように前記第1スライス電極と前記第2スライス電極との間に所定の電位差を生じさせる工程とを備えた、プラズマ加工方法。
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