JP2009052724A - 低温流体の加熱・気化装置およびその運転方法 - Google Patents

低温流体の加熱・気化装置およびその運転方法 Download PDF

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Abstract

【課題】低温流体の供給量の変動に関係なく、定常負荷時におけると同等の効果を発揮させ、特に、熱媒体の温度低下量を大きく維持できる低温流体の加熱・気化装置とその運転方法を提供する。
【解決手段】熱交換パネル1の両面に沿って熱媒体(海水、循環水)を流下させることによりパネルを構成する伝熱管内を通過する低温流体(LNG、LPG、エチレンガス、LPガス等)を加熱し、または気化させる装置であって、ヘッダー4a、4bの入口側および/またはマニホールド6a、6bの入口手前に、調節弁11a、11b、12a、12bが取り付けられている。さらに、熱媒体を流下させるトラフに調節弁が取り付けられていることが望ましい。運転に際しては、低温流体の供給量の変動に応じて、一部のパネルへの液化ガスの供給を停止するとともに、残りのパネルでは定常負荷時における流量が維持されるように調節弁を操作する。
【選択図】図5

Description

本発明は、エチレンガス、液化石油ガス(LPG)等の低温流体の昇温に使用される加熱装置、および、液化天然ガス(LNG)、その他の低温液化ガス等の低温液体の気化に使用される気化装置、並びにその運転方法に関する。なお、ここでは、加熱装置および気化装置の両者を指す場合、加熱・気化装置とも記す。
パネル状に配列された複数の伝熱管の上部および下部にそれぞれヘッダーが設けられ、伝熱管の外側に熱媒体を供給してヘッダーから伝熱管内に供給される低温液体を加熱する方式の装置が、LNG、その他の低温液化ガスの気化装置として知られている。また、この方式の装置は、加熱装置として低温のエチレンガス、LPガス(石油ガス)や、LP液(液化石油ガス)等、低温流体の昇温にも利用することができる。
例えば、オープンラック式の気化装置が、従来から、低温液化ガス、特にLNGの気化に多用されている。この装置は、多数の伝熱管がパネル状に配列され、その上部および下部にヘッダーが設けられてなる熱交換パネルの外側に熱媒体を供給して加熱し、伝熱管内を通過する低温の液化ガスを気化させる熱交換器の一種である。熱媒体としては、海水または循環水が使用され、この熱媒体をパネルの外面に流すことにより、伝熱管内の低温液化ガスを気化させている。
図1は、LNGの気化に使用されるオープンラック式の気化装置の要部を構成する熱交換パネルとそれに付帯する設備を模式的に例示する図で、(a)は正面図、(b)は(a)のA−A矢視図(部分図)である。
図1に示した例では、フィン付きの伝熱管2が管径方向に多数配列され、その上部および下部にヘッダー3、4が設けられて熱交換パネル1が構成されている。このようなパネル1が多数並列に配置されたものはブロックと称され、このブロックが数組連接されて一つのオープンラック式の気化装置が構成されている。
多数並列配置された各パネル1のヘッダー3、4はそれぞれマニホールド5、6に連結されている。さらに、各パネル1の両側には、パネル1の両面に沿って流下させる熱媒体を保持するトラフ7が取り付けられている(図1(b)参照)。
LNGは、LNG入口配管(図示せず)を通過し、マニホールド6を経由し、ヘッダー4の入口側に取り付けられた調節弁12、接続部13を経てヘッダー4へ供給され、伝熱管2内を上昇する。LNGの供給経路に関して、マニホールド5を経てヘッダー3へ供給され、伝熱管2内を流下するダウンフロータイプを採用するオープンラック式気化装置もある。
一方、熱媒体として通常使用される海水は、海水入口配管(図示せず)を通過し、海水散水管8および調節弁14を経てトラフ7に供給され、該トラフ7から溢流して、図1(b)に示すように、パネル1の外面に液膜7fをつくって流下する。
伝熱管2内を通過するLNGは、パネル1の外面を流下する海水との熱交換により気化し、天然ガス(NG)としてヘッダー3からマニホールド5へ導かれる。一方、流下して温度が低下した海水は海へ排水される。
熱媒体として工業用水を使用する場合もある。その場合は、排出された低温の水を、発電所のタービンの冷却や、その他冷却装置等で有効に利用し、温度が上昇した水を再度気化装置のトラフ7に供給して使用することが可能となる。
このオープンラック式の低温液化ガス気化装置において、LNGの供給量が装置能力に対して100%(これを、ここでは「定格流量」と記す)の場合、すなわち定常負荷で運転されている場合には、熱媒体(海水、水)の供給量を一定に保持する限り、安定した操業が行われ、パネル面に沿って流下する水は常に所定温度まで冷却される。
しかし、LNGの供給量は需要に応じて大きく変動するので、供給量が減少して気化装置の負荷が低下する場合がある。その場合、ヘッダーから取り出されるNGの温度は一定温度になるように管理されているので、熱媒体である水との熱交換量が減少する。その結果、水の供給量が定常負荷時における供給量のままであると、熱交換の前後における水温の差(これを、以下、「熱交換に伴う熱媒体の温度低下量」、または単に「熱媒体の温度低下量」という)が小さく、冷却装置等で冷媒として利用する場合、冷媒としての機能が十分果たせなくなる。
気化装置における負荷の低下に合わせて熱媒体の供給量を減少させると、各パネルへの水の分配のバランスが崩れ、配管内に偏流が生じたり、局所的な水切れが起こる。また、トラフから溢流させてパネルの外面に水を流下させる際に、水に勢いがないため水膜がパネル全面に形成されず、膜切れが生じて装置の使用ができなくなる。
このようなオープンラック式の低温液化ガス気化装置において、LNGの供給量が定格流量より低下した時に、熱交換に伴う熱媒体の温度低下量を、定格流量の時の温度低下量と同程度に大きく維持するための対策に関する文献(特許文献、研究論文等)は見当たらないが、特許文献1には、逆に、熱交換に伴う熱媒体の温度低下量を小さくし、所定範囲内に制限することができるオープンラック式気化器が開示されている。
この気化器では、熱媒体として海水を使用しており、LNGとの熱交換により温度が低下した海水はそのまま海へ戻されるので、環境保護の観点から、熱交換に伴う熱媒体の温度低下量を所定の温度範囲(例えば、5℃程度)以下とすることが求められている。一方、上部ヘッダーから取り出されるNGの温度は年間を通じて一定温度(例えば、0℃)を確保する必要があり、そのためには、熱交換量を一定に維持することが必要になる。しかし、熱媒体である海水の温度には季節的な変動があり、何ら対策を講じなければ、海水温度が上がる夏期においては熱交換量が増大し、NGの温度は前記一定温度より高くなるとともに、海水温度の低下量は所定の温度範囲を上回る。
そこで、特許文献1に記載の発明では、熱媒体の温度に関係なく熱交換量を一定に維持するために、トラフにおける熱媒体流出口レベル(すなわち、熱媒体が溢流するトラフの上端のレベル)を変更可能とし、例えば、海水温度が上がる夏期には前記熱媒体流出口レベルを低下させて、熱媒体の流下経路を短くする(これにより、有効伝熱長さが短縮する)ことにより、熱交換量を一定に維持する方策を講じている。具体的には、a)トラフを昇降可能にする、b)伝熱管の長手方向に配置した複数団のトラフへ熱媒体を選択的に供給する、c)トラフを深さ可変構造とする、等の構成を採用している。
このように、特許文献1に記載された熱交換量を一定に維持する対策が施された気化器は、上部ヘッダーから取り出されるNGの温度を一定に保ち、熱交換に伴う熱媒体の温度低下量を所定の温度範囲内に保持するには、非常に有効である。
しかし、前述のように、LNGの供給量が減少して気化装置の負荷が低下した場合、NGの温度を例えば常温付近の一定温度に維持しようとすると、熱媒体である水との熱交換量を装置全体として減少させなければならず、特許文献1に記載の発明で採られている対策とは異なる対策を採らざるを得ない。
このように、装置の負荷が低下した場合においても、NGの温度を一定温度に維持しつつ、熱媒体の温度低下量を所定範囲に制御するなど、その装置が有すべき機能を十分に発揮させる必要性は、前述のオープンラック式の低温液化ガス気化装置に限らない。パネル状に配列された複数の伝熱管を備え、伝熱管の外側に熱媒体を供給してヘッダーから伝熱管内に供給されるエチレンガスやLP液などの低温流体を所定温度まで昇温させる方式の加熱装置にも共通する課題である。
特開2006−177427号公報
本発明は、パネル状に配列された複数の伝熱管の上部および下部にそれぞれヘッダーが設けられ、伝熱管の外側に熱媒体を供給してヘッダーから伝熱管内に供給される低温流体を加熱する方式の装置において、装置の負荷が変動した場合においても、定常負荷時におけると同等の効果を奏することができる低温流体の加熱・気化装置、特に、低温液化ガスの供給量が減少して気化装置の負荷が低下した場合においても、低温液化ガスとの熱交換に伴う熱媒体の温度低下量を、定常負荷時における温度低下量と同程度に大きく保って冷熱エネルギーとしての価値を維持し、熱媒体を冷却装置等で有効に利用できる運転が可能なオープンラック式の低温液化ガス気化装置、およびこの加熱・気化装置の運転方法の提供を目的としている。
オープンラック式の低温液化ガス気化装置において、低温液化ガスの気化および常温までの加熱に必要な熱媒体の温度低下量を、負荷低下時においても、定常負荷時における温度低下量と同程度に維持するためには、気化装置の負荷の低下に応じて装置全体としての熱媒体の供給量を低下させることが必要となる。しかし、単純に熱媒体の供給量を低下させるのでは、前述のように、配管内の偏流や、パネル表面を流下させる際に膜切れが生じ、装置の使用ができなくなる。
そこで、本発明者らは、検討を重ねた結果、各パネル(正確には、各パネルを構成するそれぞれの伝熱管)への単位時間当たりの低温液化ガスの供給量は変えず、低温液化ガス供給量の低下分に見合う数のパネルは閉止して使用しない方式を採ることとした。この場合、熱媒体は、低温液化ガスを供給したパネルに対してのみトラフから供給することになる。これによって、パネルの外面に流下させる熱媒体の供給量(パネル1枚当たりの供給量)は減少させずに、装置全体としての熱媒体の供給量を低下させることができ、熱媒体の温度低下量を、定常負荷時における温度低下量と同程度に大きく維持することが可能となる。
熱交換パネルへの低温液化ガスの供給または停止は、例えば、ヘッダーの入口側および/またはマニホールドの入口手前に開閉の切り替えができる調節弁を取り付けることにより支障なく実施できることを確認した。
前記の、各パネルへの単位時間当たりの低温液化ガスの供給量は変えず、低温液化ガス供給量の低下分に見合う数のパネルは閉止するという方式は、パネル状に配列された複数の伝熱管を備え、伝熱管の外側に熱媒体を供給してヘッダーから伝熱管内に供給されるLP液などの低温液体、あるいは低温エチレンガスやLPガスなど、低温流体を所定温度まで昇温させる方式の加熱装置にも適用することができる。
本発明の要旨は、下記(1)の低温流体の加熱・気化装置、および(2)の低温流体の加熱・気化装置の運転方法にある。
(1)複数の伝熱管が管径方向に垂直に配列され、その上部および下部にヘッダーが設けられてなる熱交換パネルを有し、このパネルの両面に沿って熱媒体を流下させることにより前記伝熱管内を通過する低温流体を昇温、または気化させる加熱・気化装置であって、前記熱交換パネルは複数並列に配置され、これら複数の熱交換パネルの上部および下部の各ヘッダーはそれぞれ上部および下部のマニホールドに接続されており、前記ヘッダーの入口側および/または前記マニホールドの入口手前に調節弁が取り付けられていることを特徴とする低温流体の加熱・気化装置。
ここで言う「ヘッダーの入口側」とは、LNGを例にとると、マニホールド、ヘッダー、伝熱管の順に流れるLNGの流れ方向を基準にして、LNGがマニホールドから流れ出てヘッダーへ入った部分の近傍(前記図1中に破線4eで囲んだ部分)を指す。この部分に調節弁12が取り付けられ、さらに、接続部13を介してヘッダー4に接続される(前記図1(a)参照)。
また、「マニホールドの入口手前」とは、同じくLNGの流れ方向を基準にして、LNGがマニホールドへ入る手前をいう。具体的には、LNG入口配管10が枝分かれする分岐点(Pd)から、分岐した配管がマニホールド6a、6bに連結される連結部(Pc)までがマニホールド入口手前である(後述する図2参照)。
なお、「ヘッダー」および「マニホールド」は、気化装置が通常のタイプのものであるか、ダウンフロータイプのものであるかにより、上部のヘッダー、マニホールドを指すか、下部のヘッダー、マニホールドを指すかが自ずと定まる。気化装置が通常のタイプのものであれば、供給されたLNGは伝熱管内を上昇するので、前記「ヘッダーの入口側」のヘッダー、前記「マニホールドの入口手前」のマニホールドは多数の伝熱管の下部に設けられたヘッダー、およびそれに連結されるマニホールドであり、ダウンフロータイプのものであれば、上部に設けられたヘッダー、マニホールドである。
前記の「熱媒体」としては、通常は海水が使用されるが、工業用水(淡水)が循環使用されることもある。
この本発明の低温流体の加熱・気化装置において、前記低温流体がLNGであり、熱媒体として循環水を流下させてLNGを気化させることとする実施形態を採ることができる。
また、本発明の低温流体の加熱・気化装置において、前記パネルの両面に沿って熱媒体を流下させるためのトラフを備え、かつトラフに調節弁が取り付けられていれば、例えば、低温流体がLNGの場合、当該装置における負荷の変動に関係なく、LNGが有している冷熱エネルギーを容易に利用することができる。
(2)前記(1)に記載の低温流体の加熱・気化装置の運転方法であって、ヘッダーを経由して伝熱管内へ供給される低温流体の流量の変化に応じて、定常負荷時における流量が維持されるように、前記ヘッダーの入口側および/または前記マニホールドの入口手前に取り付けられている調節弁を操作することを特徴とする低温流体の加熱・気化装置の運転方法。
前記の「定常負荷時における流量」とは、低温液化ガスの伝熱管内への供給量が定格流量で、熱交換パネルの使用率が100%で運転されている場合の流量(単位時間当たりの流量)をいう。
本発明の低温流体の加熱・気化装置の運転方法において、前記伝熱管内へ導入される低温流体の流量が減少したとき、その減少量に応じて前記調節弁を閉じることとする実施形態を採ることができる。
また、本発明の低温流体の加熱・気化装置の運転方法において、前記ヘッダーの入口側および/または前記マニホールドの入口手前に取り付けられている調節弁の操作に加え、さらに、前記熱媒体を流下させるためのトラフに取り付けられている調節弁を操作することとすれば、特に、低温流体がLNGの場合において、後述するように、望ましい実施形態である。
本発明の低温流体の加熱・気化装置を用いれば、装置の負荷が変動した場合においても、定常負荷時におけると同等の効果(すなわち、LP液、エチレンガス、LPガスなどの低温流体の所定温度への昇温、または低温液化ガスの気化や、熱媒体の温度低下量の制御等)を発揮させることが可能である。
例えば、低温液化ガス気化装置の負荷が変動した場合、特に、前述のように、低温液化ガスの供給量が減少して気化装置の負荷が低下した場合等においても、低温液化ガスとの熱交換に伴う熱媒体の温度低下量を、定常負荷時における温度低下量と同程度に大きく保って冷熱エネルギーとしての価値を維持し、熱媒体を冷却装置等で効果的に利用することができる。
本発明の低温流体の加熱・気化装置の運転方法によれば、本発明の加熱・気化装置を適正に稼働させ、その効果を発揮させることができる。
本発明の低温流体の加熱・気化装置は、前記のように、複数の伝熱管が管径方向に垂直に配列され、その上部および下部にヘッダーが設けられてなる熱交換パネルを有し、このパネルの両面に沿って熱媒体を流下させることにより前記伝熱管内を通過する低温流体を昇温、または気化させる加熱・気化装置を前提としている。
前記の加熱装置としては、エチレンガス加熱装置や、LPガス加熱装置など、ガスの温度を所定温度まで高める装置、LP液ヒーター、液化プロパンヒーター、液化ブタンヒーターなど、低温液体の温度を所定温度まで高める装置等があげられる。また、低温液化ガスの気化装置としては、LNG、その他の低温液化ガスの気化に使用される気化装置が例示される。
本発明の低温流体の加熱・気化装置は、このような各種の加熱装置または気化装置であって、熱交換パネルは複数並列に配置され、これら複数の熱交換パネルの上部および下部の各ヘッダーはそれぞれ上部および下部のマニホールドに接続されており、前記ヘッダーの入口側および/または前記マニホールドの入口手前に、調節弁が取り付けられている装置である。
以下、LNGなどの低温液化ガスの気化に多用されているオープンラック式の気化装置を例にとり、必要に応じ、その他の低温流体の加熱・気化装置にも言及しつつ、本発明について説明する。
図2は、本発明の低温流体の加熱・気化装置の一つである低温液化ガス気化装置の概略構成例を示す図である。この図は、前記図1に例示した、熱交換パネル1が多数並列に配置されてなる気化装置の要部の横断面を上方から観察し模式的に示した図(図1(b)のB−B矢視図)である。
図2に示した気化装置は、熱交換パネル1a、1bがそれぞれ5枚並列に配置されてなるブロック9a、9bを有する気化装置である。伝熱管2a、2bの下部に設けられたヘッダー4a、4bはそれぞれマニホールド6a、6bに接続され、該マニホールド6a、6bは1本にまとめられて低温液化ガス入口配管10に連結されている。
この気化装置では、マニホールド6a、6bの入口手前に調節弁11a、11bが取り付けられている。この場合、マニホールド6a、6bのいずれかの入口手前にのみ調節弁を取り付ける構成を採ることも可能である。
図2に示した気化装置において、マニホールド6a、6bを経てヘッダー4a、4bへ供給された低温液化ガスは、パネル1a、1bの伝熱管2a、2b内を上昇する間に、熱媒体との熱交換により気化し、ヘッダーからマニホールド(いずれも図示せず)へ導かれ、ガスラインへ送られる。
図2に例示した気化装置では、調節弁11a、11bがマニホールド6a、6bのそれぞれの入口手前に取り付けられているが、上部に設けられたヘッダーに連結されているマニホールド(いずれも図示せず)の出口後に取り付けられていてもよい。前記のように、熱媒体との熱交換により気化したガスはヘッダーからマニホールドへ導かれ、ガスラインへ送られるが、このマニホールドの出口後に調節弁を取り付けても、マニホールド6a、6bの入口手前に調節弁を取り付けた場合と同等の効果が得られるからである。
なお、前記の「マニホールドの出口後」とは、気化したガスの流れ方向を基準にしており、NGを例にとると、NGはマニホールドを出てNG出口配管へ合流するので、マニホールドの出口から前記合流点までをいう。
図3は、前記図2に示した気化装置と同一の構成を有する低温液化ガス気化装置を模式的に示す図であるが、ブロック9bのマニホールド6bの入口手前に取り付けられた調節弁11bが閉じられている場合を示す図である。図示した例は、低温液化ガスの供給量が定格流量より50%低下した場合で、調節弁11bを閉じることにより、各パネルへの単位時間当たりの低温液化ガスの供給量を変えずに、低温液化ガスを気化させることができる。なお、図3において、調節弁11bを表す図記号を黒塗りにしているのは、調節弁が閉じられていることを意味する(次に示す図4、図5においても同じ)。
図4は、本発明の低温流体の加熱・気化装置の他の構成例を模式的に示す図である。この場合は、マニホールド6a、6bのそれぞれの入口手前に調節弁11a、11bが取り付けられ、さらに、ブロック9aを構成するパネル1aの一部(図示した例では、ブロック9aを構成する5枚のパネルのうちの2枚)のヘッダー4aの入口側にも調節弁12aが取り付けられている。この例は、低温液化ガスの供給量が定格流量の30%に低下した場合で、この2枚の調節弁12aと、11bの調節弁を閉じることにより、閉止していない3枚のパネルにおいて単位時間当たりの定格流量を維持できる。
調節弁の取り付けは、ブロック9aを構成するパネル1aのヘッダー入口側に限らず、ブロック9bにおけるヘッダー入口側でもよいし、両方のブロック9a、9bのヘッダー入口側でもよい。また、取り付け個数も、気化装置における負荷の変動等を考慮して適宜定めればよい。
なお、図4では、調節弁12aの取り付け部分は簡略化して図示しているが、前記図1において、破線4eの枠内に示したように、調節弁12aが取り付けられ、さらに、接続部(図1に示した接続部13)を介してヘッダー4aに接続されている。
また、マニホールド6aとヘッダー4aとは、接続部(図1に示した接続部13)を境にして材質を異にしており、通常は、調節弁12aを含めマニホールド6a側はステンレス鋼製、ヘッダー4a側はアルミニウム合金製となっている。そのため、図6に示すように、接続部13と熱交換パネル1との間に、パネル1の両面に沿って流下させる熱媒体(例えば、海水)の飛散を避けるための遮蔽板15が設けられている。
図5は、本発明の低温流体の加熱・気化装置のさらに他の構成例を模式的に示す図である。この場合は、マニホールド6a、6bのそれぞれの入口手前に調節弁11a、11bが取り付けられ、さらに、ブロック9a、9bを構成する全パネル1a、1bのヘッダー4a、4bの入口側にも調節弁12a、12bが取り付けられている。
図5に示した例は、低温液化ガスの供給量が定格流量の70%に低下した場合で、閉止していない7枚のパネルそれぞれで単位時間当たりの定格流量を維持することができる。この場合、気化装置における負荷の変動等を考慮して、調節弁11a、11bは設けず、ヘッダー4a、4bの入口側にのみ調節弁12a、12bを取り付けてもよい。
なお、図4、図5に例示した加熱・気化装置では、調節弁12a、12bが、ヘッダー4a、4bの入口側に取り付けられているが、上部に設けられたヘッダー(図示せず)の出口側に取り付けられていてもよい。調節弁を上部に設けられたヘッダーの出口側に取り付けても、ヘッダー4a、4bの入口側に取り付けた場合と同等の効果が得られるからである。なお、「ヘッダーの出口側」とは、気化したガスの流れ方向を基準にしたもので、前記図1(a)において、破線3oで囲んだ範囲である。
本発明の低温流体の加熱・気化装置は、上述の通り、ヘッダーの入口側もしくはマニホールドの入口手前に、または、ヘッダーの入口側およびマニホールドの入口手前に調節弁が取り付けられている気化装置であり、その調節弁の取り付け位置および個数は、低温液化ガス気化装置における負荷の変動、特に負荷の低下の程度や頻度等を勘案して決定できる。
以上、低温液化ガス気化装置を例にとって説明したが、この本発明の加熱・気化装置を使用すれば、エチレンガス、LPガスや、LP液等の低温流体の供給量が減少して装置の負荷が低下したときでも、調節弁を操作して、供給量の低下分に見合う数のパネルは閉止し、閉止していない各パネルへの単位時間当たりの供給量を変えずに、低温流体を所定温度へ昇温させ、定常負荷時におけると同等の効果を発揮させることが可能になる。
また、低温液化ガスの気化においては、低温液化ガスとの熱交換に伴う熱媒体の温度低下量を、定常負荷時における温度低下量と同程度に大きく維持することも可能である。この場合、熱媒体は、低温液化ガスを供給したパネルに対してのみ供給することになる。
本発明の低温流体の加熱・気化装置において、前記パネルの両面に沿って熱媒体を流下させるためのトラフを備え、かつトラフには調節弁が取り付けられていることとする実施形態を採用すれば、このトラフの調節弁を操作して、低温液化ガスを供給したパネルのみへの熱媒体の供給を容易に行える。
本発明の低温流体の加熱・気化装置において、低温液化ガスがLNGであり、熱媒体が循環水であれば、当該装置における負荷の変動に関係なく温度低下量の大きい低温の水が得られ、冷熱エネルギーとして冷却装置等で利用する場合には、LNGが有している冷熱エネルギーを効果的に利用することができる。
本発明の低温流体の加熱・気化装置の運転方法は、前述の本発明の加熱・気化装置の運転方法であって、ヘッダーを経由して伝熱管内へ供給される低温流体の流量の変化に応じて、定常負荷時における流量が維持されるように、前記ヘッダーの入口側および/または前記マニホールドの入口手前に取り付けられている調節弁を操作する運転方法である。
前記低温流体の流量の変化に応じて、定常負荷時における流量が維持されるように調節弁を操作するのは、各パネルへの単位時間当たりの低温液化ガスの供給量を変えずに、低温流体の所定温度への昇温、低温液化ガスの気化などにおいて、定常負荷時におけると同等の効果を奏するようにするためである。
本発明の加熱・気化装置の伝熱管内へ導入される低温流体の流量が減少したときには、その減少量に応じて前記調節弁を閉じる操作を行うこととなる。
低温流体が、例えば低温液化ガスの場合、ヘッダーの入口側および/またはマニホールドの入口手前に取り付けられている調節弁を操作することにより、低温液化ガスとの熱交換に伴う熱媒体の温度低下量を定常負荷時における温度低下量と同程度に大きく維持することが可能であるが、これは、本発明の低温流体の加熱・気化装置の運転方法において、前記調節弁の操作に加え、さらに、熱媒体を流下させるためのトラフに取り付けられている調節弁を操作する実施形態を採用することにより、容易に実施することができる。
その結果、低温流体が低温液化ガスの場合であれば、冷熱エネルギーとして価値が高い、低温の媒体(海水、水)が得られ、この媒体を冷却装置等で効果的に利用することができる。また、低温液化ガスを供給しないパネルへの熱媒体の供給を停止するので、熱媒体の循環ポンプの稼働に要するコストの低減等、装置全体のランニングコストを低減することが可能である。特に、低温流体がLNGの場合には、発電用燃料に使用する場合が多いので、電力需要の頻繁な変動に合わせて、気化装置へのLNGの供給量を頻繁に調整し、それに応じて熱媒体の供給量を容易に変化させることができるという大きな利点がある。
このように、本発明の低温流体の加熱・気化装置の運転方法によれば、前述の本発明の低温流体の加熱・気化装置を適正に稼働させ、その効果を発揮させることができる。
以上述べた本発明の低温流体の加熱・気化装置およびその運転方法は、前述のように、オープンラック式の気化装置として低温液化ガスの気化に好適に利用できる他、加熱装置として低温のエチレンガス、LPガス(石油ガス)や、LPG(LP液)等、低温流体の昇温にも利用することができる。さらに、負荷の変動(特に、低下)に応じ調節弁を操作して液化ガスなどの被処理物の供給経路の一部を閉止し、開放されている供給経路では定常負荷時の供給条件を維持するという本発明における考え方は、他の方式の熱交換器においても適用可能である。
本発明の低温流体の加熱・気化装置は、LNG、その他の低温液化ガスの気化装置として、また、低温のエチレンガス、LPガス(石油ガス)や、LPG(LP液)等、低温流体を昇温させる加熱装置として利用することができる。
特に、低温液化ガス気化装置は、ヘッダーの入口側および/またはマニホールドの入口手前に調節弁が取り付けられたオープンラック式の気化装置であり、この装置により、熱媒体の温度低下量を負荷の変動に関係なく、大きく維持することができる。これにより、冷熱エネルギーとして価値が高い、低温の媒体(海水、水)が得られ、この媒体を冷却装置等で効果的に利用することができる。
本発明の加熱・気化装置は、本発明の低温流体の加熱・気化装置の運転方法により適正に稼働させ、その効果を発揮させることができる。
したがって、本発明の低温流体の加熱・気化装置および運転方法は、LNGなど低温液化ガス気化装置をはじめ、石油関連の熱処理機器の関連分野において、好適に利用することができる。
LNGの気化に使用されるオープンラック式の気化装置の要部を構成する熱交換パネルを模式的に例示する図で、(a)は正面図、(b)は(a)のA−A矢視図(部分図)である。 本発明の低温流体の加熱・気化装置の構成例を模式的に示す図である。 本発明の低温流体の加熱・気化装置の構成例を模式的に示す図で、マニホールドの入口手前に取り付けられた調節弁の一部が閉じられている場合の図である。 本発明の低温流体の加熱・気化装置の他の構成例を模式的に示す図である。 本発明の低温流体の加熱・気化装置のさらに他の構成例を模式的に示す図である。 オープンラック式の気化装置における熱媒体の飛散防止用遮蔽板の取り付け状況を模式的に示す斜視図である。
符号の説明
1、1a、1b:熱交換パネル
2、2a、2b:伝熱管
3、4、4a、4b:ヘッダー
5、6、6a、6b:マニホールド
7:トラフ、7f:液膜
8:海水散水管
9a、9b:ブロック
10:低温液化ガス入口配管
11a、11b、12、12a、12b:調節弁
13:接続部
14:調節弁
15:遮蔽板

Claims (6)

  1. 複数の伝熱管が管径方向に垂直に配列され、その上部および下部にヘッダーが設けられてなる熱交換パネルを有し、このパネルの両面に沿って熱媒体を流下させることにより前記伝熱管内を通過する低温流体を昇温、または気化させる加熱・気化装置であって、
    前記熱交換パネルは複数並列に配置され、これら複数の熱交換パネルの上部および下部の各ヘッダーはそれぞれ上部および下部のマニホールドに接続されており、
    前記ヘッダーの入口側および/または前記マニホールドの入口手前に調節弁が取り付けられていることを特徴とする低温流体の加熱・気化装置。
  2. 前記低温流体が液化天然ガスであり、熱媒体として循環水を流下させて液化天然ガスを気化させることを特徴とする請求項1に記載の低温流体の加熱・気化装置。
  3. 前記パネルの両面に沿って熱媒体を流下させるためのトラフを備え、かつトラフに調節弁が取り付けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の低温流体の加熱・気化装置。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の低温流体の加熱・気化装置の運転方法であって、
    ヘッダーを経由して伝熱管内へ供給される低温流体の流量の変化に応じて、定常負荷時における流量が維持されるように、前記ヘッダーの入口側および/または前記マニホールドの入口手前に取り付けられている調節弁を操作することを特徴とする低温流体の加熱・気化装置の運転方法。
  5. 前記伝熱管内へ導入される低温流体の流量が減少したとき、その減少量に応じて前記調節弁を閉じることを特徴とする請求項4に記載の低温流体の加熱・気化装置の運転方法。
  6. 前記ヘッダーの入口側および/または前記マニホールドの入口手前に取り付けられている調節弁の操作に加え、さらに、前記熱媒体を流下させるためのトラフに取り付けられている調節弁を操作することを特徴とする請求項4または5に記載の低温流体の加熱・気化装置の運転方法。
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