JP2009051812A6 - ケト化合物の製法 - Google Patents
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本発明は、4−[1−オキソ−4−[4−(ヒドロキシジフェニルメチル)−1−ピペリジニル]ブチル]−α,α−ジメチルベンゼン酢酸の新規製造方法、およびフェキソフェナジンの製造におけるその使用に関する。
フェキソフェナジンの多数の製造方法が知られており、とりわけ、多数の工程を特徴とするものがWO 93/21156、WO 97/22344およびWO 97/23213に開示されている。公知の方法はいずれも、収束手法に基づかず、α,α−ジメチルベンゼン酢酸から出発し、段階的にさまざまな官能基を導入して分子を構築することに基づいている。代替ルートは、J. Org. Chem. 1994, 59, 2620-2622にKawai S.らにより記載されているが、それはその工業的応用を妨げるさまざまな問題を抱えている。前記合成ルートの重要段階は、式(A)のカルボキシメチルエステル中のアルキン結合を水和して、式(B)のそれぞれのケト誘導体を得ることである。
ここで、Phはフェニル環である。
水和は、事実上、副生成物の形成を伴い、これはほとんど最終生成物から除去できない。さらに、Kawai Sらによる方法は、シリカゲルクロマトグラフィーによる連続した式(B)のケトンの精製を必要とする。この技術は大量の製品の生産に不適切であり、そのため全工程を工業的規模に適用できない。副生成物形成の問題は、この種の水和を、白金、パラジウムまたはルテニウムの触媒を用いて、場合により配位子の存在下で行うEP 1260505により実質的には解決された。しかしながら、これらの触媒は、非常に高価で、そして最終的経費に著しい影響を及ぼす。
この問題を考慮して、EP 1616861は、C1−C4アルカノール中の酸化水銀(II)に基づくより費用のかからない触媒を使ってアルキン結合を水和させるための方法を提供する。この方法によって、副生成物を除去する困難性の形成がさらに低減され、それによって高収率で対応するケト化合物が得られる。
前記方法において使用される酸化水銀の量(Kawai Sらにより使用されるもののすでに1/10の量)は、典型的には基質に対して2〜4モル%に及ぶ。しかしながら、処理が面倒であるそのような水銀含有量を有する廃棄物の形成を伴うので、水銀触媒の使用は問題である;これは、経費を増加させ、全工程の経済性に著しい影響を及ぼす。
前記方法において使用される酸化水銀の量(Kawai Sらにより使用されるもののすでに1/10の量)は、典型的には基質に対して2〜4モル%に及ぶ。しかしながら、処理が面倒であるそのような水銀含有量を有する廃棄物の形成を伴うので、水銀触媒の使用は問題である;これは、経費を増加させ、全工程の経済性に著しい影響を及ぼす。
それ故に、高収率を提供するとともに、より少ない量の水銀を使用することによって純粋な形の対応するケト化合物へのアルキンの水和を可能にするフェキソフェナジンの代替製造方法が必要である。
本願明細書において定義されるような式(I)の対応している誘導体を得るための、本願明細書において定義されるような式(II)のアルキンの水和反応を、おおよそ1モル%以下の触媒を含有しているH2SO4中の水銀(II)化合物の溶液を使用することにより、テトラヒドロフランの存在下、行うことが可能であることが今や見出された。意外にも、得られた収率はなおも非常に高く、その上、廃棄物中の水銀含有量は著しく低減する。これは、本発明の新規な方法を工業的規模において非常に好都合にさせる。
本発明の目的は、式(I)
の化合物の製造方法であって、
式(II)
式(II)
の化合物(ここで、Phはフェニル環である)を、テトラヒドロフラン中で、水銀(II)化合物の存在下、硫酸水溶液と反応させることを含む方法である。
水銀(II)化合物は、典型的に、硫酸に溶解性の水銀(II)化合物、例えば酸化水銀(II)である。
式(II)のアルキンは、約10〜約40%w/w、好ましくはおおよそ20〜30%w/wの濃度でテトラヒドロフラン中の溶液として反応する。
硫酸水溶液は、典型的には、約20〜約50%w/w、好ましくは約30〜約40%w/wに及ぶ濃度を有する溶液である。
式(II)のアルキンは、約10〜約40%w/w、好ましくはおおよそ20〜30%w/wの濃度でテトラヒドロフラン中の溶液として反応する。
硫酸水溶液は、典型的には、約20〜約50%w/w、好ましくは約30〜約40%w/wに及ぶ濃度を有する溶液である。
反応を、式(II)のアルキンのテトラヒドロフラン溶液を水銀(II)化合物、例えばHgOを含有している硫酸水溶液と接触させることにより、行うことができる。
式(II)で示されるアルキンに対する硫酸のモル量は、おおよそ1〜2;好ましくは約1.5〜約1.8に及ぶ。
式(II)のアルキンに対する、水銀(II)化合物、例えばHgOのモル量は、おおよそ0.6%〜1.6%;好ましくは1%近辺、より好ましくは約0.8%〜約1.3%に及ぶ。
反応をおおよそ20℃〜反応混合物の還流温度、好ましくは約60〜66℃に及ぶ温度で行うことができる。
式(II)で示されるアルキンに対する硫酸のモル量は、おおよそ1〜2;好ましくは約1.5〜約1.8に及ぶ。
式(II)のアルキンに対する、水銀(II)化合物、例えばHgOのモル量は、おおよそ0.6%〜1.6%;好ましくは1%近辺、より好ましくは約0.8%〜約1.3%に及ぶ。
反応をおおよそ20℃〜反応混合物の還流温度、好ましくは約60〜66℃に及ぶ温度で行うことができる。
反応の完了後、反応混合物を水溶液中の塩基性物質(例えば水酸化ナトリウム)でアルカリ性にし、次に、得られた式(I)のケトの塩を、鉱酸(例えば、塩酸、硫酸またはリン酸)あるいは有機酸(例えば、酢酸、メタンスルホン酸またはシュウ酸)を用いる処理により、対応する遊離酸に変換する。所望ならば、結晶化を、前もって得られた純粋なケト化合物(I)を用いて播種することにより促進することができる。
式(I)の得られたケト:4−{[4−(4−ヒドロキシジフェニルメチル)−1−ピペリジニル]−1−オキソブチル}−α,α−ジメチルベンゼン酢酸は、XRPD(ここで、最も強い回折ピークが、2θにおいて5.7;8.8;10.3;11.5;16.1;17.3;18.1;19.4;20.0;22.8±0.2°で下がる)を有する結晶構造を有する。前記結晶形態の式(I)のケトンは、新規化合物であり、本発明の目的物である。
実験例から認識できるように、本発明の方法によれば、EP 1616861で報告されたものに類似する操作条件下でその方法を行ったが、水銀(II)化合物(例えばHgO)量の半分未満が、実質的には同じ純度の特性を有する生成物を提供するのに必要である;それ故に、操作者および環境影響にとって水銀暴露の危険性が大幅に低減する。
続いて、式(I)のケト化合物を還元して、式(III)
のフェキソフェナジンを得ることができるが、これは公知の手順により、例えば、おおよそ0℃〜反応混合物の還流温度に及ぶ温度で、適切なアルカノール(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、またはその水との混合物)中の還元剤(例えば、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム、シアノ水素化ホウ素ナトリウムまたは水素化ホウ素テトラメチルアンモニウム)を用いる還元を含んでいる方法により、得ることができる。所望ならば、次に、フェキソフェナジンは、公知の方法にしたがってその塩(例えば塩酸塩)に変換させることができる。
それ故に、本発明はまた、フェキソフェナジンまたはその塩の製造方法であって、得られた式(I)
のケト化合物を還元してフェキソフェナジンを得ること、及び所望ならばそれをその塩に変換することをさらに含む方法に関する。フェキソフェナジン塩は、例えば薬学的に許容されるその塩、特に塩酸塩である。
以下の実施例は、本発明を例証する。
実施例:4−{[4−(4−ヒドロキシジフェニルメチル)−1−ピペリジニル]−1−オキソブチル}−α,α−ジメチルベンゼン酢酸の合成;(I)
撹拌機、温度計、冷却機を備えていて、窒素下で保持されている3Lの四つ口フラスコを、4−{[4−(4−ヒドロキシジフェニルメチル)−1−ピペリジニル]−1−ブチニル}−α,α−ジメチルベンゼン酢酸62.5gとテトラヒドロフラン250gで充填した。水40g中の96%w/w硫酸21.1gの溶液を、100mlの丸底フラスコ中で調製して、酸化水銀0.31gを撹拌下で加えた。テトラヒドロフラン中の4−{[4−(4−ヒドロキシジフェニルメチル)−1−ピペリジニル]−1−ブチニル}−α,α−ジメチルベンゼン酢酸の懸濁液に上記で調製した硫酸水銀水溶液を加えた。得られた溶液を、撹拌下で約62〜66℃に加熱して、この温度を反応の完了まで保持した(溶液中の滴定により測定した収率は、今や90%以上である)。水78.8ml中の水酸化ナトリウム片(26.2g)の溶液を調製して、50℃の温度で反応混合物を加えた。次に、得られた混合物を、テトラヒドロフラン62gと水74.5gで希釈し、還流温度に加熱して、氷酢酸9gをその中に滴下した。約30%の酸を加えた後、結晶化を、前もって得られた純粋なケト化合物(I)を用いて播種することにより促進し、そして酸の添加を完了させた。その後、混合物を約15〜20分間還流し、次に約2時間で約15〜30℃に冷却した。混合物をこの温度で約1時間放置し、そして固体を濾過してテトラヒドロフラン(2×100ml)で洗浄した。得られた4−{[4−(4−ヒドロキシジフェニルメチル)−1−ピペリジニル]−1−オキソブチル}−α,α−ジメチルベンゼン酢酸は、XRPD(ここで、最も強い回折ピークが、2θにおいて5.7;8.8;10.3;11.5;16.1;17.3;18.1;19.4;20.0;22.8±0.2°で下がる)を有する結晶構造を有する。固体を、水酸化ナトリウム片4.9gを含有しているメタノール320ml中への再溶解および酢酸7.7gを用いた60〜65℃での再沈殿により、無機塩からさらに精製した。冷却後、生成物を濾過し、水とエタノールで洗浄して乾燥した。上記結晶形態の生成物(I)51gを得た;(純度99.5%以上;収率:82%)。
実施例:4−{[4−(4−ヒドロキシジフェニルメチル)−1−ピペリジニル]−1−オキソブチル}−α,α−ジメチルベンゼン酢酸の合成;(I)
撹拌機、温度計、冷却機を備えていて、窒素下で保持されている3Lの四つ口フラスコを、4−{[4−(4−ヒドロキシジフェニルメチル)−1−ピペリジニル]−1−ブチニル}−α,α−ジメチルベンゼン酢酸62.5gとテトラヒドロフラン250gで充填した。水40g中の96%w/w硫酸21.1gの溶液を、100mlの丸底フラスコ中で調製して、酸化水銀0.31gを撹拌下で加えた。テトラヒドロフラン中の4−{[4−(4−ヒドロキシジフェニルメチル)−1−ピペリジニル]−1−ブチニル}−α,α−ジメチルベンゼン酢酸の懸濁液に上記で調製した硫酸水銀水溶液を加えた。得られた溶液を、撹拌下で約62〜66℃に加熱して、この温度を反応の完了まで保持した(溶液中の滴定により測定した収率は、今や90%以上である)。水78.8ml中の水酸化ナトリウム片(26.2g)の溶液を調製して、50℃の温度で反応混合物を加えた。次に、得られた混合物を、テトラヒドロフラン62gと水74.5gで希釈し、還流温度に加熱して、氷酢酸9gをその中に滴下した。約30%の酸を加えた後、結晶化を、前もって得られた純粋なケト化合物(I)を用いて播種することにより促進し、そして酸の添加を完了させた。その後、混合物を約15〜20分間還流し、次に約2時間で約15〜30℃に冷却した。混合物をこの温度で約1時間放置し、そして固体を濾過してテトラヒドロフラン(2×100ml)で洗浄した。得られた4−{[4−(4−ヒドロキシジフェニルメチル)−1−ピペリジニル]−1−オキソブチル}−α,α−ジメチルベンゼン酢酸は、XRPD(ここで、最も強い回折ピークが、2θにおいて5.7;8.8;10.3;11.5;16.1;17.3;18.1;19.4;20.0;22.8±0.2°で下がる)を有する結晶構造を有する。固体を、水酸化ナトリウム片4.9gを含有しているメタノール320ml中への再溶解および酢酸7.7gを用いた60〜65℃での再沈殿により、無機塩からさらに精製した。冷却後、生成物を濾過し、水とエタノールで洗浄して乾燥した。上記結晶形態の生成物(I)51gを得た;(純度99.5%以上;収率:82%)。
Claims (13)
- 水銀(II)化合物がHgOである、請求項1記載の方法。
- 式(II)の化合物が、テトラヒドロフラン溶液の形態中で、約10〜40%w/wの濃度で反応する、請求項1記載の方法。
- テトラヒドロフラン中の式(II)の化合物の濃度が、おおよそ20〜30%w/wに及ぶ、請求項3記載の方法。
- 硫酸水溶液の濃度が、おおよそ20〜50%w/wに及ぶ、請求項1記載の方法。
- 硫酸水溶液の濃度が、おおよそ30〜40%w/wに及ぶ、請求項5記載の方法。
- 式(II)の化合物に対する硫酸のモル量が1〜2に及ぶ、請求項1記載の方法。
- 式(II)の化合物に対する硫酸のモル量がおおよそ1.5〜1.8に及ぶ、請求項7記載の方法。
- 式(II)の化合物に対する水銀(II)化合物のモル量がおおよそ0.6%〜1.6%に及ぶ、請求項1または2記載の方法。
- 式(II)の化合物に対する水銀(II)化合物のモル量がおおよそ0.8%〜1.3%に及ぶ、請求項9記載の方法。
- 反応を、式(II)の化合物のテトラヒドロフラン溶液を水銀(II)化合物を含有している硫酸水溶液と接触させることにより行う、請求項1〜10のいずれか1項記載の方法。
- 最も強い回折ピークが、2θにおいて5.7;8.8;10.3;11.5;16.1;17.3;18.1;19.4;20.0;22.8±0.2°で下がるXRPDを有する結晶形態にある、4−{[4−(4−ヒドロキシジフェニルメチル)−1−ピペリジニル]−1−オキソブチル}−α,α−ジメチルベンゼン酢酸。
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