JP2009047230A - トランスミッションケース - Google Patents

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Abstract

【課題】車両用エンジンケース等の接続対象に固定される接続端部に精度の良いボルト座を形成できる。
【解決手段】トランスミッションケース1を鋳込むとき、湯がフランジ部12及び弧状リブ15を通過させ、流体抵抗を小さくした状態で、湯温の低下が少なく、湯の流動性が良好な状態で鋳込むことになるので、ダイキャスト製品に巣が入ることなくボルト座13を精度を高く形成できる。同時に、トランスミッションケース1から型を抜くとき、弧状リブ15が離型する方向、即ち、トランスミッションケース1の中心軸方向に湾曲させないような力が作用し、結果、離型が容易になり、また、離型時に本体部2に割れ、身食い、ヒビ、歪を生じさせることがない。
【選択図】図2

Description

本発明は鋳造されたトランスミッションケースに関するものであり、特に、自動変速機ケースを含むトランスミッションケースの構造に関するものである。
現今のトランスミッションケースは、鋳造によって形成されている鋳物製品である。他の自動車部品と同様、トランスミッションケースの軽量化によって燃費の向上が望まれている。
トランスミッションケースが鋳造製品であることは、特許文献1にも記載されている。なお、トランスミッションケースの軽量化をもくろむ他の技術は発見できなかった。
特許文献1は自動変速機の構造を示している。自動変速機(1)(なお、ここで( )内の数字は特許文献1に記載の図面の構成部品のみを示すものである)は、入力軸(10)の回転を変速して出力軸(11)に出力するように構成され、コンバータハウジング(4)、下部に油圧制御装置(18)を有するトランスミッションケース(8)、エクステンションハウジング(9)からなるケース(2)を備えている。また、油圧制御装置(18)の下方部分を覆うようにオイルパン(21)が設けられており、オイルパン(21)にはオイルが溜められている。コンバータハウジング(4)は、ロックアップクラッチ(5)を有するトルクコンバータ(6)を覆っており、トランスミッションケース(8)は変速機構(3)を覆っており、エクステンションハウジング(9)は出力軸(11)を覆っている。
特許文献1によれば、コンバータハウジング(4)とトランスミッションケース(8)とがボルトで取り付けられ、また、トランスミッションケース(8)とエクステンションハウジング(9)もボルトで取り付けられ、一体化されている。
トランスミッションケース(8)を軽量化する場合には、このような取り付け部分の機械的接続強度を維持し、その軽量化を行う必要がある。
特開2003−240104
特許文献1の技術は、トランスミッションケース(8)に対して両側からコンバータハウジング(4)とエクステンションハウジング(9)をボルト締めしている。特に、このボルト締めのために特許文献1の技術では、トランスミッションケース(8)にタップを切っている。しかし、ボルト締めのためにトランスミッションケース(8)の端部にタップを形成するとなると、タップ付近を厚肉として、機械的強度を得る必要があった。
そこで、ボルト座を設けボルト・ナット締めする方法、機械的強度のある接続対象の相手材にタップを形成してボルト締めする方法により、対応することが考えられる。
一方、トランスミッションケースの肉厚を薄くすると、鋳造の際に湯の周りが悪くなり、ボルト座の精度を上げることができず、切削加工等の二次加工が必要となり、生産性がよくなかった。
そこで、この発明はかかる不具合を解決するためになされたもので、車両用エンジンケース等の接続対象に固定される接続端部に精度の良いボルト座を形成できるトランスミッションケースの提供を目的とするものである。
請求項1にかかるトランスミッションケースは、接続対象にボルトで接続したとき、前記接続対象に密着される密着面及び該密着面に機械的強度を持たせるべく肉厚に形成したフランジ部を有する少なくとも内部に変速機構を内蔵する本体部から連続して形成した接続端部には、その外表面側から突出した前記接続対象に固定されるボルト座及び該ボルト座に形成したボルト孔と、前記フランジ部よりも前記本体部側にあり、かつ、前記フランジ部を正面からみたそのシルエットラインよりも内側位置にあり、前記フランジ部に沿って前記外表面側に延設した弧状リブを具備するものである。
ここで、前記フランジ部正面のシルエットラインよりも内側位置とは、前記フランジ部を正面から見た外形線の内側の位置である。
また、上記接続対象とは、車両用エンジンのケースとすることもできるし、車両用エンジンのケース、トルクコンバータハウジング、クラッチハウジング、エクステンションハウジング、4WD用トランスファハウジングの何れかとすることができる。
そして、上記フランジ部は、本体部が収容する動力伝達方向の長さに対して直角に形成した密着面及び当該密着面から所定の厚みに形成した部分である。また、上記接続端部とは、密着面及びフランジ部、ボルト座及びボルト孔、弧状リブを具備する位置で、トランスミッションケースの端部付近である。
更に、上記ボルト座は、トランスミッションケースが収容する動力伝達方向の長さに対し略直角方向に突出して形成したものである。また、上記弧状リブは、前記フランジ部の前記密着面の反対側で、かつ、前記フランジ部を正面からみたシルエットラインよりも内径側にその頂点を有し、前記フランジ部の周方向に延設したものである。
請求項2にかかるトランスミッションケースの前記接続対象は、車両用エンジン側であれば、車両用エンジンのケース、トルクコンバータハウジング、クラッチハウジングの何れかとし、出力軸側であれば、エクステンションハウジング、4WD用トランスファハウジングの何れか1以上としたものである。
請求項3にかかるトランスミッションケースの前記フランジ部に沿って前記外表面側に延設した前記弧状リブは、前記フランジ部の周りの全周に、または部分的に形成したものである。
ここで、前記フランジ部の周りの全周に、または部分的に形成したとは、トランスミッションケースのフランジ部の周方向に一致させてトランスミッションケースの全周に弧状リブを設けてもよい。しかし、一般的には、トランスミッションケースの上部から湯を注ぎ込むことから、上部に弧状リブを設けなくともよい。また、トランスミッションケースの下部においても、湯だまりとなるボルト座の数及びその密度、その断面形状によって、湯の流れが確保できる箇所には、弧状リブの配設を省略することができるから、部分的に設けることもできる。
請求項4にかかるトランスミッションケースの前記弧状リブは、表面に形成された湯口(ゲート)と交差しないように形成したものである。
ここで、特に、湯口はトランスミッションケースの鋳造後、冷却が完了すると機械的に折られることになるが、前記湯口と前記弧状リブとが交差していると、湯口を折るときに前記弧状リブが手伝ってトランスミッションケースの一部が剥がれる、所謂、身食い(ミクイ)が生ずる可能性があるので、前記弧状リブと湯口とが接合しないようにするものである。また、離型する際にトランスミッションケースの一部に身食いが発生するのを防止できる。
請求項5にかかるトランスミッションケースの前記弧状リブは、前記フランジ部及び前記ボルト座に湯が行き届くまでの流体抵抗を小さくできる位置に形成したしたものである。
ここで、前記フランジ部に沿って前記外表面側に延設した前記弧状リブは、前記フランジ部の付根の位置付近に配設し、フランジ部及びボルト座に行き届くまでの流体抵抗を小さくするものである。
請求項6にかかるトランスミッションケースの前記フランジ部の周方向に延設した弧状リブは、その弧状リブの体積に相当する体積だけ、薄肉部を形成したものである。ここで、弧状リブで機械的強度を上げることによって、重量が増加するのはよくないから、前記接続端部の内側の部分を肉薄とするものである。
請求項1のトランスミッションケースは、接続対象にボルトで接続したとき、前記接続対象に密着される密着面及び該密着面に機械的強度を持たせるべく肉厚に形成したフランジ部を有する少なくとも内部に変速機構を内蔵する本体部から連続して形成した接続端部には、その外表面側から突出した前記接続対象に固定されるボルト座及び該ボルト座に形成したボルト孔と、前記フランジ部よりも前記本体部側にあり、かつ、前記フランジ部を正面からみたそのシルエットラインよりも内側位置にあり、前記フランジ部に沿って前記外表面側に延設した弧状リブを具備し、トランスミッションケースを鋳込むとき、流体抵抗を小さくした状態で、湯を前記フランジ部及び前記弧状リブを通過させるものであり、湯温の低下が少なく、湯の流動性が良好な状態で鋳込むことになるので、ダイキャスト製品に巣が入ることなく前記ボルト座を形成することができ精度を高く形成できる。同時に、トランスミッションケースから型を抜くとき、前記弧状リブが離型する方向、即ち、トランスミッションケースの中心軸方向に湾曲させないような力が作用し、結果、離型が容易になり、また、離型時に本体部にヒビ、割れ、身食いを生じさせることがない。
請求項2のトランスミッションケースの前記接続対象は、車両用エンジンのケース、トルクコンバータハウジング、クラッチハウジング、エクステンションハウジング、4WD用トランスファハウジングの何れかとしたものであるから、請求項1に記載の効果に加えて、トランスミッションケースの接続対象を目的に合わせて設計施工できる。
請求項3のトランスミッションケースの前記弧状リブは、前記フランジ部に沿って前記外表面側に延設し、前記フランジ部の周りの全周に、または部分的に形成したものであるから、請求項1または請求項2に記載の効果に加えて、トランスミッションケースの形状、サイズ、ボルト座の数及び配置等に応じて任意の形状とすることができる。
請求項4のトランスミッションケースの前記弧状リブは、表面に形成された湯口と交差しないように形成したものであるから、請求項1乃至請求項3の何れか1つに記載の効果に加えて、湯口を折るときに前記弧状リブまで変化し、トランスミッションケースの一部が剥がれるという身食いが生ずるのを防止できる。離型するときにも、トランスミッションケースに身食いが生ずるのを防止できる。
請求項5のトランスミッションケースの前記弧状リブは、前記フランジ部及び前記ボルト座に湯が行き届くまでの流体抵抗を小さくできる位置に形成したものであるから、請求項1乃至請求項4の何れか1つに記載の効果に加えて、フランジ部及びボルト座に行き届くまでの流体抵抗を小さくでき、ダイキャスト製品に巣が入ることがなくなり、ボルト座の鋳込み精度を高くでき、かつ、フランジ部の鋳込み精度も上げることができ、しかも、離型の際にトランスミッションケースと型との接合がきつくても、トランスミッションケースに身食い、割れ、ヒビ、歪が入ることがない。
請求項6のトランスミッションケースの前記フランジ部の周方向に延設した弧状リブは、その弧状リブの体積に相当する体積だけ、前記接続端部の内側の部分を肉薄とするものであるから、請求項1乃至請求項5の何れか1つに記載の効果に加えて、ダイキャスト製品の重量を重くすることがない。
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。なお、実施の形態において、図中、実施の形態1と同一記号及び同一符号は、同一または相当する機能部分であるから、ここでは重複する説明を省略する。
[実施の形態1]
図1は本発明の実施の形態1にかかるトランスミッションケース全体の斜視図、図2は本発明の実施の形態1にかかるトランスミッションケースの大径側の要部斜視図、また、図3は図2の切断線A−Aによる要部断面図(a)、切断線B−Bによる要部断面図(b)、切断線C−Cによる要部断面図(c)である。
図1において、本実施の形態のトランスミッションケース1は、図示の右側が車両用エンジンのケースに取り付けられるトルクコンバータハウジングとして機能する接続端部3であり、図示の左側が4WD用トランスファハウジングに取り付けられるエクステンションハウジングとして機能する接続端部4である。その間が本体部2である。
なお、本実施の形態のトランスミッションケース1は、トルクコンバータハウジング、自動変速機ハウジング、エクステンションハウジングの機能を持たせたものであるが、本発明を実施する場合には、トルクコンバータハウジングと変速機ハウジング、変速機ハウジングとエクステンションハウジング、クラッチハウジングと変速機ハウジングのハウジングとしても実施できる。
即ち、本実施の形態のトランスミッションケース1は、図示の右側が車両用エンジンのケースに取り付けられるトルクコンバータハウジングとして機能する接続端部3であり、図示の左側が4WD用トランスファハウジングに取り付けられるエクステンションハウジングとして機能する接続端部4である。その間が少なくとも内部に自動変速機等の変速機構を内蔵する変速機ハウジングとして機能する本体部2である。
接続端部3及び接続端部4は、本実施の形態のトランスミッションケース1がトルクコンバータハウジング、変速機ハウジング、エクステンションハウジングとして機能する事例で説明するが、変速機ハウジングとトルクコンバータハウジング、変速機ハウジングとエクステンションハウジング、変速機ハウジングとクラッチハウジングとして実施する場合にも、接続端部3、接続端部4の幅が変化するものの、本体部2の両側に存在する。
なお、本実施の形態の接続端部4の構造は、接続端部3の構造と基本的に一致するから、ここでは、接続端部3についてのみ説明する。また、本発明を実施する場合には、接続端部3または接続端部4の一方、または接続端部3及び接続端部4の両側に実施することができる。
接続端部3の端部は、接続対象の車両用エンジンのケースにボルトで接続するとき、相手材と密着される密着面11を有している。通常、トランスミッションケース1は全体がダイキャストによって製造されるが、この面は切削加工によって形成される。
この密着面11は、フランジ部12のトランスミッションケース1の収容する動力伝達方向の一面に形成されており、フランジ部12の厚みによって接続対象にボルトで接続するとき、相手材と密着を維持できる機械的強度を得ている。
また、接続対象に固定されるトランスミッションケース1が収容する動力伝達方向に対し直角方向に突出してボルト座13が、密着面11と同一面となるように設けられている。正確には、ボルト座13の本体部2側は、即ち、ボルト座13の密着面11の反対面は、トランスミッションケース1の中心軸に対し直角方向に突出させている密着面11に対し、微小な傾きθによって型抜きをするように形成されている。故に、ボルト座13はトランスミッションケース1の中心軸に対し略直角方向に突出していることになる。
そして、ボルト座13の略中心には、トランスミッションケース1の中心軸に並行してボルト孔14が形成されている。
更に、弧状リブ15は、フランジ部12の密着面11の反対側で、かつ、フランジ部12を正面からみたシルエットラインよりも内側位置、即ち、内側位置にその頂点を有する断面形状として、フランジ部12の外表面側のフランジ部12に沿って、略並行するように周方向に延設したものである。この弧状リブ15としては、トランスミッションケース1の外表面側の周り、即ち、外周に環状に形成してもよいし、図示しない湯口の配置されるトランスミッションケース1の上部側を除き、部分的に単数または複数形成されてもよい。勿論、複数列に形成してもよい。
なお、フランジ部12を正面からみたシルエットラインよりも内側位置とは、トランスミッションケース1または本体部2が収容する動力伝達方向に対する軸から見て、同じ角度位置の径の違いの表現であるが、必ずしも、本体部2及びまたは接続端部3,4の断面が円形であることを意味するものではない。
いずれにせよ、弧状リブ15の配設により、トランスミッションケース1の上部から湯が流れ込んだときには、型の上部の温度が高くなるので、上部に弧状リブ15を設けるのを省略できる。また、トランスミッションケース1の下部においても、湯だまりとなるボルト座13の数及びその密度、その断面形状によって、湯の流れが確保できる箇所には、弧状リブ15の配設を省略することができ、結果、部分的に設ければよい。
しかし、弧状リブ15は湯の流れを良くするものの、離型条件等を考慮すると、トランスミッションケース1の他の補強部材から離して形成するのが望ましい。
弧状リブ15は、トランスミッションケース1の周方向に沿って、好ましくは、フランジ部12に並行して形成されているから、フランジ部12及び弧状リブ15に沿って湯が流れ、ボルト座13に確実に湯が流れ込み、この間に湯の流れの違いによって温度の異なる湯が交じり合うことなく、また、温度の下降が少なく、素直な流れにより、ボルト座13に湯が流れ込むことになる。故に、ボルト座13の座面の形成精度が向上し、かつ、ケース成形時の金型を抜く際にトランスミッションケース1が割れるのが防止されることは勿論のこと、ヒビ、歪が入るのも、身食いが発生するのも防止される。
したがって、特に、車両用エンジン側のケースとの取り付け接続端部3付近は、トランスミッションケース1が配置されるスペースが規制されるが、トランスミッションケース1を大型化せずに湯路を確保できる。
本実施の形態では、弧状リブ15をフランジ部12に並行して形成したものであり、その幅も、ボルト座13の高さとなっているから、フランジ部12の機械的強度の強化にも寄与するものである。しかし、本発明を実施する場合には、弧状リブ15の形成位置として、必ずしも、ボルト座13の高さに限定されるものではない。
発明者らの実験によれば、弧状リブ15としては、ボルト座13付近に配設し、フランジ部12及びボルト座13に湯が行き届くまでの流体抵抗を小さくすることができれば、ボルト座13の鋳込み精度を高くでき、かつ、フランジ部12の鋳込み精度も上げることができ、しかも、離型の際にトランスミッションケース1と型との接合がきつくても、トランスミッションケース1にヒビが入ったり、身食いが生じたりすることがない。
図4及び図5はその実施の形態である。
[実施の形態2]
図4は本発明の実施の形態2にかかるトランスミッションケースの大径側の要部斜視図、また、図5は図4の切断線D−Dによる要部断面図(a)、切断線E−Eによる要部断面図(b)、切断線F−Fによる要部断面図(c)である。
弧状リブ25は、フランジ部22の密着面21の反対側で、かつ、フランジ部22を正面からみたシルエットラインよりも内側にその頂点を有する断面形状として、フランジ部22の周方向に延設したものである。弧状リブ25としては、トランスミッションケース1の中心軸周り、即ち、トランスミッションケース1の上部側を除き、部分的に複数形成したものである。
弧状リブ25の配設により、トランスミッションケース1の上部から湯が流れ込むことから、型の上部の温度が高くなるので、弧状リブ25を設けるのを省略でき、また、トランスミッションケース1の下部においても、湯だまりとなるボルト座23の数及びその密度、その断面形状によって、湯の流れが確保できる箇所は、弧状リブ25の配設を部分的に省略したものである。
弧状リブ25は、トランスミッションケース1の周方向に沿って形成されているから、弧状リブ25に沿って湯が流れ、弧状リブ25としてはボルト座23付近に配設されているから、フランジ部22及びボルト座23に湯が行き届くまでの湯の流体抵抗を小さくすることができ、ボルト座23の鋳込み精度を高くでき、かつ、フランジ部22の鋳込み精度も上げることができる。しかも、離型の際には、トランスミッションケース1と型との接合がきつくても、トランスミッションケース1の割れがなくなり、かつ、ヒビ、歪が入ることがない。身食いも生じることがない。
特に、ボルト座23に確実に湯が流れ込み、この間に湯の流れの違いによって温度の異なる湯が交じり合うことなく、また、温度の下降が少なく、素直な流れにより、ボルト座23に湯が流れ込むことになる。故に、ボルト座23の座面の形成精度が向上し、かつ、ケース成形時の金型を抜く際にトランスミッションケース1が割れるのが防止されることは勿論のこと、ヒビ、歪が入るのも防止される。したがって、トランスミッションケース1を大型化せずに湯路を確保できる。
本実施の形態では、弧状リブ25としては、フランジ部22の付根の位置よりも本体部2方向の位置に形成したものであれば、フランジ部22及びボルト座23に湯が行き届くまでの流体抵抗を小さくすることができ、トランスミッションケース1に巣が入ることがなくなり、ボルト座23の鋳込み精度を高くでき、かつ、フランジ部22の鋳込み精度も上げることができ、しかも、離型の際にトランスミッションケース1と型との接合がきつくても、トランスミッションケース1にヒビ、歪が入ることがない。当然、身食いも生じることがない。
上記実施の形態1及び実施の形態2では、弧状リブ15,25を設けることについて説明したが、弧状リブ15,25を設けることによって、ボルト座13,23の座面の形成精度が向上し、かつ、ケース成形時の金型を抜く際にトランスミッションケース1との離型が容易になり、また、離型時に本体部にヒビ、割れ、身食いを生じさせることがない。が防止されることから、本発明を実施する場合には、弧状リブ15,25の配設によって増加した体積だけ、トランスミッションケース1の機械的強度に影響を与え難い位置、即ち、内部構造に薄肉部を形成し、その重量を軽減することができる。少なくとも、フランジ部12,22の周方向に延設した弧状リブ15,25は、弧状リブ15,25の体積に相当する体積だけ、トランスミッションケース1の内部構造から薄肉部を形成することにより、弧状リブ15,25を配設したことによる重量の影響を皆無とすることができる。
例えば、実施の形態1では、図3(c)に示すように、本来の肉抜き部分の内部16aを軽量化のための肉抜き部分の内部16と、肉抜きを増加させることにより、軽量化を図っている。同様に、実施の形態2では、図5(c)に示すように、本来の肉抜き部分の内部26aを軽量化のための肉抜き部分の内部26と、肉抜きを増加させることにより、軽量化を図っている。
上記実施の形態1及び実施の形態2の鋳造されたトランスミッションケースにおいては、少なくとも内部に自動変速機等の変速機構を内蔵する本体部2並びに車両用エンジンのケース等の接続対象にボルトで接続したとき、車両用エンジンのケース等の接続対象に密着される密着面11,21及び密着面11,21に機械的強度を持たせるべく肉厚に形成したフランジ部12,22を有する本体部2から連続して形成した接続端部3,4を具備する鋳造されたトランスミッションケース1において、この接続端部3,4には、更に、その外表面側から突出した車両用エンジンのケース等の接続対象に固定されるボルト座13,23及びボルト座13,23に形成したボルト孔14,24と、フランジ部12,22よりも本体部2側にあり、かつ、フランジ部12,22を正面からみたそのシルエットラインよりも内側位置にあり、フランジ部12,22に沿ってその外表面側に延設した弧状リブ15,25とを具備するものである。
したがって、トランスミッションケース1を鋳込むとき、湯がフランジ部12,22及び弧状リブ15,25を通過させ、流体抵抗を小さくした状態で、湯温の低下が少なく、湯の流動性が良好な状態で鋳込むことになるので、ダイキャスト製品に巣が入ることなくボルト座13,23を精度を高く形成できる。同時に、トランスミッションケース1から型を抜くとき、弧状リブ15,25が離型する方向、即ち、トランスミッションケース1の中心軸方向に湾曲させないような力が作用し、結果、離型が容易になり、また、離型時に本体部2に割れは勿論、ヒビ、割れを生じさせることがない。
また、弧状リブ15,25は、トランスミッションケース1の上部に形成された湯口と交差しないように形成したものでは、湯口を折るときに弧状リブ15,25まで変化し、トランスミッションケース1に身食いが生ずるのを防止できる。
そして、弧状リブ15,25は、フランジ部12,22の密着面の反対側の付根位置よりも本体部2よりの範囲に形成したものである。
更に、フランジ部12,22の周方向に延設した弧状リブ15,25は、その弧状リブ15,25の体積に相当する体積だけ、薄肉部を形成することで、ダイキャスト製品の重量を重くすることがない。
図1は本発明の実施の形態1にかかるトランスミッションケース全体の斜視図である。 図2は本発明の実施の形態1にかかるトランスミッションケースの大径側の要部斜視図である。 図3は図2の切断線A−Aによる要部断面図(a)、切断線B−Bによる要部断面図(b)、切断線C−Cによる要部断面図(c)である。 図4は本発明の実施の形態2にかかるトランスミッションケースの大径側の要部斜視図である。 図5は図4の切断線D−Dによる要部断面図(a)、切断線E−Eによる要部断面図(b)、切断線F−Fによる要部断面図(c)である。
符号の説明
1 トランスミッションケース
3,4 接続端部
11,21 密着面
12,22 フランジ部
13,23 ボルト座
14,24 ボルト孔
15,25 弧状リブ

Claims (6)

  1. 少なくとも内部に変速機構を内蔵する本体部並びに接続対象にボルトで接続したとき、前記接続対象に密着される密着面及び該密着面に機械的強度を持たせるべく肉厚に形成したフランジ部を有する前記本体部から連続して形成した接続端部を具備する鋳造されたトランスミッションケースにおいて、
    前記接続端部には、更に、その外表面側から突出した前記接続対象に固定されるボルト座及び該ボルト座に形成したボルト孔と、前記フランジ部よりも前記本体部側にあり、かつ、前記フランジ部を正面からみたそのシルエットラインよりも内側位置にあり、前記フランジ部に沿って前記外表面側に延設した弧状リブと
    を具備することを特徴とするトランスミッションケース。
  2. 前記接続対象は、車両用エンジンのケース、トルクコンバータハウジング、クラッチハウジング、エクステンションハウジング、4WD用トランスファハウジングの何れかとしたことを特徴とする請求項1に記載のトランスミッションケース。
  3. 前記フランジ部に沿って前記外表面側に延設した前記弧状リブは、前記フランジ部の周りの全周に、または部分的に形成したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のトランスミッションケース。
  4. 前記フランジ部に沿って前記外表面側に延設した前記弧状リブは、前記トランスミッションケースの上部に形成された湯口と交差しないように形成したことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1つに記載のトランスミッションケース。
  5. 前記フランジ部に沿って前記外表面側に延設した前記弧状リブは、前記フランジ部及び前記ボルト座に湯が行き届くまでの流体抵抗を小さくする位置に形成したことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1つに記載のトランスミッションケース。
  6. 前記フランジ部に沿って前記外表面側に延設した前記弧状リブは、その弧状リブの体積に相当する体積だけ、薄肉部を形成したことを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1つに記載のトランスミッションケース。
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