JP2009044056A - 銅膜作製方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】下地層との密着性に優れた銅膜を製造する方法の提供。
【解決手段】成膜対象物上に下地層を形成した後、この下地層を水素ガス雰囲気中で熱処理し、次いでその上に銅膜を作製する。このように銅膜を作製した後、さらに水素ガス雰囲気中で熱処理を行なう。
【選択図】図10
【解決手段】成膜対象物上に下地層を形成した後、この下地層を水素ガス雰囲気中で熱処理し、次いでその上に銅膜を作製する。このように銅膜を作製した後、さらに水素ガス雰囲気中で熱処理を行なう。
【選択図】図10
Description
本発明は、銅膜作製方法、特にバリア層等の下地層の上に銅配線膜を作製する方法に関する。
半導体素子(LSI、IC等)を製造する際の配線では、下部配線と上部配線とを結ぶコンタクトホールや溝等に下地層としてバリア層及び/又は密着層を形成するのが一般的である。このバリア層は、配線材料と絶縁材料とが相互に拡散し、半導体素子の特性が劣化するのを防ぐことを目的として、また、密着層は、配線材料と絶縁材料との界面で膜剥離が生じるのを防ぐことを目的として、配線材料と絶縁材料との間に一般的に設けられものである。この場合、バリア層に密着性を持たせるものもある。
近年、コンタクトホールや溝内の配線材料として、従来のアルミニウムに代わって、より抵抗率の低い銅を用いることが試みられている。この場合、例えば、銅配線の下に設けるシリコン酸化物膜等の絶縁層中に銅が拡散することを防ぐために、シリコン酸化物膜等と銅配線との間に下地層としてバリア層を形成している。
ところで、銅配線形成には、従来からメッキ法が用いられてきた。しかし、近年、LSI等の配線スケールの縮小に伴い、コンタクトホール等のサイズも細長くなり、メッキ液がこのアスペクト比の高い細長いホール等の内部まで入り難くなるという問題が生じており、メッキ液による銅配線の形成が困難になっている。
そこで、メッキ法に代わる銅配線形成方法として、CVDやALD法に代表されるガスを用いる化学的な手法で銅膜を作製することが検討されている。配線材料とバリア層との間の密着性は、配線構造のCMP加工やチップからパッケージへ配線を引き出すボンデイング加工に影響を及ぼすため大変重要なのであるが、配線スケールの縮小に伴い、配線材料とバリア層との間にストレスが内包したり、上記のような化学的な手法で銅膜を作製することにより、配線材料とバリア層との密着強度を十分に確保することが非常に困難になっている。
上記のような化学的手法を用いた銅膜形成プロセスでは、その膜形成が下地材料の表面特性に大きく影響され、(1)初期核の形成が困難であり、時間がかかることや、(2)島状成長し易いことといった問題があり、連続的な薄膜を形成することが困難であった。そのため、ホール径φ0.2μm以下、溝幅0.2μm以下では、アスペクト比が4以上の場合に、ホール等への穴埋めに際して、ボイドが発生してしまい、完全な穴埋めを行うことができなかった。これでは、メッキ法による穴埋めが困難になってくる径0.1μm以下のホールや溝への埋め込みがCVD法等では行えず、将来大問題になる恐れがある。さらに、この下地材料の表面特性の影響は、銅膜とバリア層等の下地層との密着が取り難いという問題にもつながる。
そこで、CVD法等により銅膜を連続薄膜として形成するためには、成膜プロセスの初期段階での核形成を速めると共に、核形成密度を高くすることが必要であり、下地に使用されるバリア層(密着層)が重要となる。また、同時にこの下地層と銅膜との密着性が良好であることも銅膜形成には重要となる。
CVD法により形成した銅膜を配線として用いる場合に、この膜との密着性が良く、かつ内部応力の小さいバリア層を形成するために、反応性スパッタ法やCVD法により窒化バナジウム膜を形成することが知られている(例えば、特許文献1参照)。この場合、反応性スパッタ法では、細長いコンタクトホールや溝への均一な薄膜形成は困難であり、また、CVD法では、原料ガスとして、ビス(シクロペンタジエニル)バナジウム(II)等を用いており、必ずしも良好なバリア層が得られていないのが実情である。
一方、スパッタや蒸着等のような膜形成粒子が一定の方向性を持った方法では、粒子の飛行方向と角度をなした方向にある膜形成部分や、粒子源から見えない膜形成部分、例えばコンタクトホールや溝の側壁部分等には膜の付着が難しく、特に技術の進歩と共に構造が微細化していくに連れて、複雑な構造への均一な膜形成(段差被覆性)は難しくなっている。
さらに、銅薄膜を金属基板や金属窒化物基板上に形成した場合、銅薄膜と基板との密着性が低いことから、調製した基板を水素雰囲気やアルゴン雰囲気下、約100mTorr〜1Torrの圧力で、約30〜60秒間、約200〜300℃の温度で加熱処理した後、持続時間が非常に短い銅堆積工程で銅を堆積し、次いで385℃より高い温度でベーキングした後に、所望の厚さまで銅を堆積させて銅薄膜を形成する方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。しかし、このようなプロセスを経ても、下地層と銅配線膜との密着性は必ずしも満足できるものではない。
特開2003−17437号公報(特許請求の範囲等)
特開2003−163174号公報(特許請求の範囲等)
そこで、本発明の課題は、上述の従来技術の問題点を解決することにあり、下地層との密着性に優れた銅膜の作製方法を提供することにある。
本発明の銅膜作製方法は、成膜対象物上に下地層を形成した後、その上に銅膜を作製する銅膜作製方法において、下地層を形成した後、この下地層を水素ガス雰囲気中で熱処理し、この熱処理した下地層の上に銅膜を作製した後、さらに水素ガス雰囲気中で熱処理を行なうことを特徴とする。このプロセスにより、銅膜と下地層との間の密着性が向上する。
前記下地層は、Ti、Zr、Hf、V、Nb及びWから選ばれた金属を含有する膜であることを特徴とする。
前記水素ガス雰囲気中での熱処理は、100〜400℃の温度、0.1〜10000Paの圧力下で行なわれることを特徴とする。熱処理温度が100℃未満であると、密着性がなく、また、400℃を超えると、界面反応はあるものの密着性に乏しい。熱処理圧力が0.1Pa未満であると、密着性がなく、また、10000Paを超えると、界面反応はあるものの密着性に乏しい。
前記銅膜の作製は、CVD、ALD、又はスパッタ法で行われる。
本発明によれば、前記下地層は、4価のアミド系チタン又はバナジウム有機金属原料ガスと還元性ガスとを用いて、CVD法により形成したチタン又はバナジウム含有膜であることを特徴とする。このようなチタン又はバナジウム含有膜は、段差被覆性に優れると共に、この上に作製する銅膜との良好な密着性を有する下地層となり、後工程で連続的な銅膜を形成できるようになる。
前記4価のアミド系チタン有機金属原料は、テトラキスジエチルアミノチタン、テトラキスジメチルアミノチタン又はテトラキスエチルメチルアミノチタンであり、また、前記4価のアミド系バナジウム有機金属原料が、テトラキスジエチルアミノバナジウム、テトラキスジメチルアミノバナジウムまたはテトラキスエチルメチルアミノバナジウムであることを特徴とする。
前記還元性ガスは、乖離してH*ラジカルや、H+イオンを放出することができるガスであることが好ましい。例えば、ヒドラジン誘導体、NH3、H2、SiH4及びSi2H6から選ばれたガスである。このヒドラジン誘導体は、ヒドラジンの水素原子の1つ又は2つをメチル基、エチル基、直鎖又は分枝のブチル基で置換したものであることが好ましく、特に、TDEAT、TDMAT、TDEAVやTDMAV等と反応し、窒化を促進できるターシャリーブチルヒドラジン(TBH)等が特に好ましい。
前記4価のアミド系チタン有機金属原料ガス又はアミド系バナジウム有機金属原料ガスと還元性ガスとの反応を、成膜速度が成膜対象物の温度に依存する温度領域で行い、チタン又はバナジウム含有膜を形成することが好ましい。
本発明によれば、銅膜形成前に、下地層を水素ガス中で熱処理し、一旦表面に水素化したアモルファス層を形成した後に銅膜を作製し、次いで好ましくは熱処理を再度行なって、下地層と銅膜との界面のアモルファス層を再結晶化することにより、下地層と銅膜との間に極めて高い密着強度を確保できるという効果を奏する。
本発明の銅膜作製に適した下地層(バリア層及び/又は密着層)を用い、かつ、水素ガス雰囲気中での熱処理を行えば、配線材料と絶縁材料との界面で膜剥離が生じることのない強い密着性、また、配線材料と絶縁材料とが相互に拡散することのない良好なバリア性を得ることができる。
また、上記した下地層を用いれば、本発明の銅膜作製プロセスにおいて、初期核の形成を短時間で容易に行うことができ、また、その核形成密度が高いので、容易に連続的な銅膜を形成することができると共に、得られる銅膜と下地層との間で密着が取り易いという効果を奏する。
さらに、上記した下地層を用いれば、複雑な構造、例えばアスペクト比の高いホールや溝内を、その側壁部分を含めて均一に被覆することが可能であり、段差被覆性に優れているので、その結果、本発明の銅膜作製プロセスにより、後工程でホール等の内部に配線材料を均一に埋め込むことが可能となる。
本発明によれば、LSI等の銅配線において、配線構造のCMP加工やチップからパッケージへ配線を引き出すボンデイング加工に影響を及ぼす配線材料とバリア層との間の密着強度が、配線スケールの縮小に伴い、配線材料とバリア層との間にストレスが内包したり、CVD法やALD法等の化学的な手法で銅膜を作製するようになることにより不十分になる問題を、根本的に解決する手段を提供することが可能になる。
本発明によれば、以下説明するように、下地層の形成された成膜対象物を、その表面が酸化しないように、大気開放せず、銅膜形成用の反応室へ搬送し、所定温度に保たれている基板設置台上に乗せ、この基板に対して、流量の制御された水素ガスを供給し、反応室内の圧力を一定に保ちながら、基板温度を所定の温度になるように加熱する。この場合の圧力及び基板加熱温度は、後に行う銅膜形成時の条件と同じであっても良い。この水素ガスは基板表面の酸化物膜除去の効果もある。このように、所定の温度及び圧力に保ちながら、下地層を水素ガス雰囲気中で熱処理した後、銅膜作製用原料を導入し、CVD法、ALD法、又はスパッタ法により、所定の成膜圧力、成膜温度及び成膜時間にて銅膜を作製し、次いで好ましくは水素ガス雰囲気中で再度熱処理を行なうことにより、銅膜と下地層との間に極めて高い密着を得ることができる。この下地層の水素ガス雰囲気中熱処理は、100〜400℃、かつ、0.1〜10000Paで行なわれ、銅膜作製後の熱処理は、上記したようにして、100〜400℃、且つ、0.1〜10000Paで行われることが好ましい。この場合の下地層は、特に制限されるものではないが、例えば、Ti、Zr、Hf、V、Nb、又はWから選ばれた金属を含有する膜からなるものであればよい。上記銅膜の形成は、通常、SEM、XPS、蛍光X線分析(XRF)により確認することができる。
上記のようにして得られた銅膜に対し、漢字の「田」印状に、5mm角4個の升目を、基板直径上のX−Y方向に等間隔で9カ所描き、表面に粘着テープを貼り付けた後、剥離させるテープテストを行えば、下地層を形成せずに直接成膜対象物上に銅膜を形成した場合及び下地層を形成して上記のような水素ガス雰囲気中での熱処理を行わない場合の銅膜と比べて、本発明に従って得られる銅膜は、下地層表面からの剥離が観察されない程の高い密着強度を有することが分かる。この点については、以下の実施例で説明し、また、図9〜14で詳細に示すように、銅膜作製に先立って水素ガス雰囲気中で熱処理を行い、銅膜作製後に再度水素ガス中で熱処理を行なうことにより、密着試験(テープテスト)で膜剥がれが生じない高い、密着強度が得られていることが明らかである。
次ぎに、本発明の銅膜作製方法において下地層として用いる膜について説明する。この下地層としては、銅配線膜の下地層として通常用いられるものであれば、特に制限されるわけではないが、例えば、上記した金属からなるものであれば良く、以下ではチタン又はバナジウム含有膜を例に挙げ説明する。
まず、下地層としてのチタン又はバナジウム含有膜を形成するためのCVD装置の一構成例について図1〜4を参照して説明する。なお、このCVD装置は、本発明の銅膜作製にも使用でき、本発明の銅膜作製には、その他の公知のCVD装置や公知のALD装置及びスパッタ装置を使用することができる。
図1に示すCVD装置は、キャリアガス(例えば、N2、Ar、He等)や還元性ガス(例えば、NH3、H2等)等のガスの供給を行うガス供給装置1と、成膜原料の供給を行う原料供給装置2と、金属含有膜形成を行う反応装置3と、原料及びガスの排出を行う排出装置4とから構成されている。
ガス供給装置1は、キャリアガスのガス源及び還元性ガスのガス源から、それぞれ、マスフローコントローラー(図中、MFC1及びMFC2で示す)を通して各ガスの流量を制御しながら、配管を通して反応装置3内へと輸送する機能を有する。
原料供給装置2は、原料容器201内の原料202の供給流量や供給圧力を制御しながら反応装置3の反応室301内へ原料を輸送する機能を有する。図1によれば、この原料供給装置は、常温で液体又は固体の原料に使用でき、例えばTDEATやTDMAT、又はTDEAVやTDMAV等のチタン又はバナジウム含有膜形成用有機金属材料やヒドラジン誘導体(例えば、ターシャリーブチルヒドラジン(TBH)等)の還元性ガス材料を気化装置203を通してガス状にし、このガスを反応装置3内へ導入するために使用される。この原料供給装置の基本構成の一つを示す図1では、供給流量や供給圧力をマスフローコントローラー(図1中、L−MFCやMFC3で示す)や圧力計(図1中、204及び205で示す)を介して制御しながら、原料ガスを反応室301へ輸送できるようになっている。原料容器201から反応装置3のシャワープレート302に至るまでの原料輸送用配管、バルブ等の各構成要素は全て温度制御されている。この温度制御範囲は、室温〜270℃程度が好ましい。これにより、原料ガスが液化、析出しないように制御され得る。
反応装置3は、原料供給装置2から供給される原料ガス、還元性ガス及びキャリアガスや、ガス供給装置1から供給されるキャリアガス及び還元性ガス等を基板Sに適切に供給するためのシャワープレート302と、基板S近傍の成膜雰囲気を保つための反応室301と、基板Sを設置でき、加熱できるようになっている基板設置台303(図示していない加熱手段を備えている)と、隣の基板搬送室等との雰囲気を仕切るための仕切りバルブ304と、成膜雰囲気の圧力をモニターする圧力計305とから構成されている。このシャワープレート302は、金属(例えば、ステンレス鋼、Al、Al合金、ハステロイ(登録商標)、インコネル(カナダ・インコ(INCO)社製)等)で作製され、室温〜250℃の範囲で温度制御することが好ましい。反応室301は、金属(例えば、ステンレス鋼、Al、Al合金、ハステロイ、インコネル等)で作製され、室温〜250℃の範囲で温度制御することが好ましい。基板設置台303は、金属(例えば、ステンレス鋼、Al、Al合金、ハステロイ、インコネル等)又はセラミックス(例えば、Al2O3、AlN、SiN、SiC、SiO2等)で作製され得る。好ましくはセラミックスである。セラミックスの中でも、熱伝導が良く、高温でも温度分布の良いAlNで作製することが好ましい。AlNで作製した基板設置台303は、室温〜600℃の加熱に対応できる。仕切りバルブ304は、金属(例えば、ステンレス鋼、Al、Al合金、ハステロイ、インコネル等)で作製され、バルブ内部、外部に温度モニターとヒーター等の加熱手段とが設置され、室温〜250℃の範囲で温度制御することができるようになっている。圧力計35は、高温対応型を用いる。
排出装置4は、反応室301内の雰囲気を調整する装置である。その基本的な構造は、図1に例示す通り、配管、排出バルブ401、圧力コントロールバルブ402、原料トラップ403、真空ポンプ404からなっている。反応室301から真空ポンプ404までの構成要素は、温度制御され、その制御範囲は、室温〜250℃が好ましい。圧力コントロールバルブ402は、反応室301に設けられた圧力計305の値を基に、任意の設定値になるように連動して開閉できるようになっている。また、原料供給装置2を出た原料ガスについては、排出装置4の原料トラップ403まで輸送できる配管5を設けることで、原料供給装置2から輸送される原料ガスの供給量が安定したところで、原料ガスの輸送経路を反応室301側に切り替えて、反応室301内へ原料ガスを安定して供給することが可能となる。また、原料ガスの供給が終了した際、配管5により原料ガスを原料トラップ403に切り替えることで、反応室301へのガス供給を即座に停止することができる。この原料トラップ403は、排出される原料ガスを回収する機能を有する装置であり、真空ポンプ404への負荷(ポンプ内部での閉塞)の軽減及び原料の再利用を行う上で有効である。図1に示す真空ポンプ404の排気能力を上げるために、圧力コントロールバルブ402と真空ポンプ404との間に第2の真空ポンプを設置してもかまわない。
上記原料供給装置は、図1に示す以外にも、例えば図2〜4に示すような構成を有するものであれば下地層の形成において利用できる。図1を含めて、いずれの構成においても、供給流量や供給圧力をマスフローコントローラー(図2〜4中、L−MFCやMFC3、MFC4で示す)や圧力計(図2〜4中、204及び205で示す)を介して制御しながら、原料ガスを反応室301内へ輸送できるように構成されている。なお、気化装置は図示していないが、随時設けることができる。
図2に示す原料供給装置2では、所定の圧力の加圧ガス(N2、Ar、He等)により原料容器201内の原料202をマスフローコントローラー(L−MFC)を介して反応室301へ輸送できるように構成されている。図3に示す原料供給装置2では、所定の圧力のキャリアガス及び還元性ガスをマスフローコントローラー(MFC3)を介して原料容器201内の原料202と共に反応室301内へ輸送できるように構成されている。図4に示す原料供給装置2では、原料容器201内の原料202をマスフローコントローラー(MFC4)を介して反応室301内へ輸送できるように構成されている。
上記下地層で用いることができるチタン含有金属原料としては、4価のアミド系チタン有機金属原料が好ましく、例えば、Ti[NR1R2]4、Ti[NR1R2]3・Cl、Ti[NR1R2]2・Cl2、Ti[NR1R2]・Cl3等を使用できる。ここで、R1及びR2は、同じであっても異なっていてもよく、CnH2n+1(n=0〜4の整数)、CmH2mO(m=0〜4の整数である)、CH2OH又はフェニル基等から選ばれる。Clはこれ以外のハロゲン原子であってもよい。これらの金属原料の中でも、上記したTDEAT及びTDMAT等がより好ましい。
また、バナジウム含有金属原料としては、4価のアミド系バナジウム有機金属原料が好ましく、例えば、V[NR1R2]4、V[NR1R2]3・Cl、V[NR1R2]2・Cl2、V[NR1R2]・Cl3等を使用できる。ここで、R1及びR2は、同じであっても異なっていてもよく、CnH2n+1(n=0〜4の整数)、CmH2mO(m=0〜4の整数である)、CH2OH又はフェニル基等から選ばれる。Clはこれ以外のハロゲン原子であってもよい。これらの金属原料の中でも、上記したTDEAV及びTDMAV等がより好ましい。
還元性ガスとしては、乖離してH*ラジカルや、H+イオンを放出することができるガス、例えばヒドラジン誘導体(例えば、ターシャリーブチルヒドラジン(TBH):(CH3)3CNHNH2)、NH3、H2、SiH4等が使用できる。その他のヒドラジン誘導体(例えば、1つ又は2つのHがメチル、エチル、ブチル等のアルキル基で置換されているもの)も使用できる。これらの還元性ガスのうち、TDEATガス又はTDEAVガスと反応し、チタン又はバナジウム含有膜を形成する際に、窒化を促進できるガス(TBHやNH3)が好ましい。
上記有機金属原料に対する還元性ガスの供給比は、特に制限はないが、本発明で用いる下地層の場合は、2〜20程度で所望の目的を達することができる。
キャリアガスとしては、例えばアルゴン、ヘリウム等の希ガスやN2等の不活性ガスを用いることができる。
本発明の銅膜作製方法で用いることができる成膜対象物としては、半導体作製用基板であれば特に制限があるわけではなく、例えば、ホールや溝を開けてあってもよいSiO2/Si基板を以下の参考例及び実施例では用いているが、これ以外に、Low−k基板を用いても構わない。このLow−k基板としては、SiOC系(例えば、商品名Black Diamond(AMAT社製)、Coral(Novellus社製)、Aurola(ASM社製)、Orion(TRIKON社製)、SiLK(Dow Chemical社製)、FLARE(Honeywell Electric Materials社製))、SiOF、HSQ、MSQ、NCS(Nano Crystal Silica(富士通製))等を挙げることができる。
次に、上記CVD装置を用いて行う下地層の形成方法の具体例について説明する。
(参考例1)
(参考例1)
本参考例では、図1に示すCVD装置を用いて、以下の条件でチタン含有膜を形成した。
まず、反応装置3の仕切りバルブ304を開け、反応室301に隣接する室のロボットを用いて、基板Sを反応室内に搬送した。この搬送は、搬送の最中、基板Sの表面に炭素含有ガス(CO又はCO2)、酸素含有ガス(O2)、水(H2O)等の空気中に存在するガスが付着したり、又は基板内部に拡散するのを避けるために、真空中で行った。
反応室301内に搬送された基板Sを、その主面である表面をシャワープレート302側にし、裏面を基板設置台303側にして、反応室内の加熱手段を備えた基板設置台上に乗せた。この基板設置台は常に所定の温度に保った。
次いで、ガス供給装置1から、N2ガスをMFC1を介して1500sccmの流量に制御して反応室301内へ流し、反応室内の圧力を所定の成膜圧力に保って、所定の基板温度になるように加熱した。1〜10分後、以下に示す成膜条件に従って成膜を開始した。
基板:8インチウェハー(SiO2/Si)
有機金属原料としてTDEAT(テトラキスジエチルアミノチタン:Ti[N(C2H5)2]4)を用いた場合:
TDEAT供給量:84mg/min
TDEAT用キャリアN2:400sccm
還元性ガス(TBH、NH3)流量:22sccm
有機金属原料に対する還元性ガスの供給モル比:4
キャリアN2:1500sccm
基板温度:225〜550℃
成膜圧力:340Pa
成膜時間:1〜60min
有機金属原料としてTDMAT(テトラキスジメチルアミノチタン:Ti[N(CH3)2]4)を用いた場合:
TDMAT供給量:56mg/min
TDMAT用キャリアN2:400sccm
還元性ガス(TBH、NH3)流量:22sccm
有機金属原料に対する還元性ガスの供給モル比:4
キャリアN2:1500sccm
基板温度:200〜500℃
基板温度:200〜500℃
成膜圧力:340Pa
成膜時間:1〜60min
成膜時間:1〜60min
以上の成膜条件でチタン含有膜の形成を行い、膜堆積速度の基板温度依存性をアレニウスプロットに纏めた結果を図5(a)及び(b)に示す。図5に基づき、成膜速度が基板温度に依存する(いわゆる表面反応律速)温度領域が存在する金属原料と還元性ガスとの組み合わせを以下の表1に整理して示す。表1中、○印は上記基板温度(成膜温度)の範囲内で活性化エネルギーの傾きがあることを示す。すなわち、成膜速度が基板温度に依存することを示す。
(表1)
図5(a)及び(b)並びに表1から、いずれの金属原料の場合でも、表面反応律速温度領域があることが分かる。また、還元性ガスを用いた場合には、用いない場合よりも、表面反応律速温度範囲が狭くなる。この図5(a)及び(b)から明らかなように、膜堆積速度が基板温度に依存していない温度領域を除外し、かつ実用的な成膜速度(0.1nm/min以上)が確保できる温度としては、TDEATを使用する場合、225〜500℃、TDMATを使用する場合、200〜450℃(ただし、TDMAT+NH3の場合は、200〜300℃)であることが望ましいことが分かる。
(参考例2)
(参考例2)
参考例1で得られた表面反応律速温度領域内の温度である250℃で、直径0.2μmで深さが1μmのホールを用いて、段差被覆性を評価した。この場合、金属原料としてTDMAT及びTDEATを、また、還元性ガスである窒化原料としてNH3及びTBHを用いて、参考例1の方法に準じて成膜した。また、比較のために還元性ガスを用いないものに場合についても同様に成膜し、その段差被覆性を評価した。その結果を図6に横断面SEM写真として示す。
図6から明らかなように、TDMAT又はTDEATと還元性ガスとを用い、所定の温度で成膜することにより、被覆率50%以上の側面被覆を実現できることが分かる。すなわち、本参考例のチタン含有膜形成方法によれば、ホールの上面、底面、側面にほぼ同じ厚さの膜が形成され、ホールの上は覆われていなかった。図6の結果から、原料の組み合わせと段差被覆性との関係を纏めると以下の表2にようになる。表2中、×→△→○→◎の順で相対的に段差被覆性が改善されることを示す。
(表2)
従って、図6及び表2から、還元性ガスを用いることにより、段差被覆性が良好になることが分かる。これは、還元性ガスの表面吸着が表面反応を促進するからである。
(参考例3)
(参考例3)
図1に示すCVD装置を用いてチタン含有膜を形成した。膜を形成する基板として、ケイ素酸化物膜の形成された8インチウェハー(SiO2/Si)を用いた。
反応装置3の仕切りバルブ304を開け、反応室301に隣接する室のロボットを用いて、基板Sを反応室内に搬送した。この搬送は、搬送の最中、基板Sの表面に炭素含有ガス(CO又はCO2)、酸素含有ガス(O2)、水(H2O)等の空気中に存在するガスが付着したり、又は基板内部に拡散するのを避けるために、真空中で行った。
反応室301内に搬送された基板Sを、その主面である表面をシャワープレート302側にし、裏面を基板設置台303側にして、反応室内の加熱手段を備えた基板設置台上に乗せた。この基板設置台は常に所定の成膜温度に保った。
次いで、ガス供給装置1から、N2ガスをMFC1を介して1500sccmの流量に制御して反応室301内へ流し、反応室内の圧力を所定の成膜圧力に保って、基板温度が350℃になるように加熱した。0〜10分後、以下に示す成膜条件1及び2に従って成膜を開始した。
原料として、TDEATを用い、還元性ガスとしてTBH、NH3、H2を用いた。
成膜条件1:
成膜条件1:
TDEAT供給量:84mg/min
TDEAT用キャリアN2:400sccm
キャリアN2:1500sccm
還元性ガス(TBH、NH3、H2)流量:80sccm
成膜圧力:340Pa
成膜時間:2〜30min
成膜温度:300℃
膜厚:100nm
成膜条件2:
成膜条件2:
TDEAT供給量:84mg/min
TDEAT用キャリアN2:400sccm
キャリアN2:1580sccm
成膜圧力:340Pa
成膜圧力:340Pa
成膜時間:30min
成膜温度:300℃
成膜温度:300℃
膜厚:100nm
上記成膜条件1に従って作製されたチタン含有膜の電気抵抗率は0.1〜1Ω・cmであり、成膜条件2に従って作製されたチタン含有膜の電気抵抗率は0.005〜0.02Ω・cmであった。上記成膜条件1及び2に従って作製されたチタン含有膜の組成をXPS法で調べた結果を以下の表3に示す。
(表3)
表3から明らかなように、還元性ガスを使用した方が使用しない場合より窒素含量の高い膜が得られ、特にNH3及びTBHの場合に窒化が促進されていることが分かる。
(参考例4)
(参考例4)
原料として、TDEATの代わりにTDMATを用いたこと以外は、参考例3記載の方法を繰り返した。その際の成膜条件を以下に示す。
成膜条件1:
成膜条件1:
TDMAT供給量:56mg/min
TDMAT用キャリアN2:400sccm
還元性ガス(TBH、NH3、H2)流量:80sccm
キャリアN2:1580sccm
成膜圧力:340Pa
成膜時間:1〜60min
成膜温度:250℃
膜厚:100nm
成膜条件2:
成膜条件2:
TDMAT供給量:56mg/min
TDMAT用キャリアN2:400sccm
キャリアN2:1580sccm
成膜圧力:340Pa
成膜時間:60min
成膜温度:250℃
膜厚:100nm
膜厚:100nm
上記TDMAT成膜条件1に従って作製されたチタン含有膜の電気抵抗率は0.05〜0.5Ω・cmであり、成膜条件2に従って作製されたチタン含有膜の電気抵抗率は0.005〜0.5Ω・cmであった。上記成膜条件1及び2に従って作製されたチタン含有膜の組成をXPS法で調べた結果を以下の表4に示す。
(表4)
表4から明らかなように、還元性ガスを使用した方が使用しない場合と比べてチタン含量は高く、窒素含量も高い膜が得られ、特にNH3及びTBHの場合に窒化が促進されていることが分かる。
(参考例5)
(参考例5)
参考例1記載の方法に従って、バナジウム含有膜を形成した。
本参考例では、有機金属原料として、TDEAV(テトラキスジエチルアミノバナジウム:V[N(C2H5)2]4)を用いたこと及び基板温度を300〜550℃としたことを除いて、有機金属原料供給量、有機金属原料用キャリア(N2)の流量、還元性ガス(TBH、NH3)の流量、有機金属原料に対する還元性ガスの供給モル比、キャリアN2の流量、成膜圧力及び成膜時間は参考例1のTDEATの場合と同じにして、参考例1の方法を繰り返した。
また、有機金属原料として、TDMAV(テトラキスジメチルアミノバナジウム:V[N(CH3)2]4)を用いたこと及び基板温度を200〜450℃としたことを除いて、有機金属原料供給量、有機金属原料用キャリア(N2)の流量、還元性ガス(TBH、NH3)の流量、有機金属原料に対する還元性ガスの供給モル比、キャリアN2の流量、成膜圧力及び成膜時間は参考例1のTDMATの場合と同じにして、参考例1の方法を繰り返した。
以上の成膜条件でバナジウム含有膜の形成を行い、膜堆積速度の基板温度依存性をアレニウスプロットに纏めた結果を図7(a)及び(b)に示す。図7に基づき、成膜速度が基板温度に依存する(いわゆる表面反応律速)温度領域が存在する金属原料と還元性ガスとの組み合わせを以下の表5に整理して示す。表5中、○印は上記基板温度(成膜温度)の範囲内で活性化エネルギーの傾きがあることを示す。すなわち、成膜速度が基板温度に依存することを示す。
(表5)
図7(a)及び(b)並びに表5から、いずれの金属原料の場合でも、表面反応律速温度領域があることが分かる。また、還元性ガスを用いた場合には、用いない場合よりも、表面反応律速温度範囲が狭くなる。この図7(a)及び(b)から明らかなように、膜堆積速度が基板温度に依存していない温度領域を除外し、かつ実用的な成膜速度(0.1nm/min以上)が確保できる温度としては、TDEAVを使用する場合、300〜500℃、TDMAVを使用する場合、200〜400℃であることが望ましいことが分かる。
(参考例6)
(参考例6)
参考例5で得られた表面反応律速温度領域内の300℃及び350℃で、直径0.2μmで深さが1μmのホールを用いて、段差被覆性を評価した。この場合、金属原料としてTDMAV及びTDEAVを、また、還元性ガスである窒化原料としてNH3及びTBHを用いて、参考例5の方法に準じて成膜した。また、比較のために還元性ガスを用いない場合についても同様に成膜し、その段差被覆性を評価した。その結果を図8に横断面SEM写真として示す。
図8から明らかなように、TDMAV又はTDEAVと還元性ガスとを用い、所定の温度で成膜することより、被覆率50%以上の側面被覆を実現できることが分かる。すなわち、本参考例のバナジウム含有膜形成方法によれば、ホールの上面、底面、側面にほぼ同じ厚さの膜が形成され、ホールの上は覆われていなかった。図8の結果から、原料の組み合わせと段差被覆性との関係を纏めると以下の表6に示すようになる。表6中、×→△→○→◎の順で相対的に段差被覆性が改善されることを示す。
(表6)
従って、図8及び表6から、還元性ガスを用いることにより、段差被覆性が良好になることが分かる。これは、還元性ガスの表面吸着が表面反応を促進するからである。
(参考例7)
従って、図8及び表6から、還元性ガスを用いることにより、段差被覆性が良好になることが分かる。これは、還元性ガスの表面吸着が表面反応を促進するからである。
(参考例7)
参考例3記載の方法に従って、バナジウム含有膜を形成した。
本参考例では、成膜条件1として、有機金属原料としてTDEAVを用いたこと、還元性ガスとしてTBH、NH3、H2を用いたこと、並びに成膜温度を350℃及び成膜時間を10〜60minとしたことを除いて、有機金属原料供給量、有機金属原料用キャリア(N2)の流量、還元性ガス(TBH、NH3、H2)の流量、キャリアN2の流量及び成膜圧力は参考例3の成膜条件1の場合と同じにして、参考例3記載の方法を繰り返した。
また、成膜条件2として、有機金属原料としてTDEAVを用いたこと、還元性ガスとしてTBH、NH3、H2を用いたこと並びに成膜温度を350℃及び成膜時間を50minとしたことを除いて、有機金属原料供給量、有機金属原料用キャリア(N2)の流量、キャリアN2の流量、成膜圧力及び成膜時間は参考例3の成膜条件2の場合と同じにして、参考例3記載の方法を繰り返した。
上記成膜条件1に従って作製されたバナジウム含有膜の電気抵抗率は2500〜3000μΩ・cmであり、成膜条件2で作製されたバナジウム含有膜の電気抵抗率は1200〜1500μΩ・cmであった。上記成膜条件1及び2に従って作製されたバナジウム含有膜の組成をXPS法で調べた結果を以下の表7に示す。
(表7)
表7から明らかなように、還元性ガスを使用した方が使用しない場合よりバナジウム及び窒素含量の高い膜が得られ、特にNH3及びTBHの場合に窒化が促進されていることが分かる。
(参考例8)
表7から明らかなように、還元性ガスを使用した方が使用しない場合よりバナジウム及び窒素含量の高い膜が得られ、特にNH3及びTBHの場合に窒化が促進されていることが分かる。
(参考例8)
原料として、TDEAVの代わりにTDMAVを用いたこと以外は、参考例7(参考例4)記載の方法を繰り返した。
本参考例では、成膜条件1として、有機金属原料としてTDMAVを用いたこと及び成膜時間を5〜60minとしたことを除いて、有機金属原料供給量、有機金属原料用キャリア(N2)の流量、還元性ガス(TBH、NH3、H2)の流量、キャリアN2の流量、成膜圧力及び成膜温度は参考例4の成膜条件1の場合と同じにして、参考例4の方法を繰り返した。
また、成膜条件2として、有機金属原料としてTDMAVを用いたこと及び成膜時間を50minとしたことを除いて、有機金属原料供給量、有機金属原料用キャリア(N2)の流量、キャリアN2の流量、成膜圧力及び成膜温度は参考例4の成膜条件2の場合と同じにして、参考例4の方法を繰り返した。
上記TDMAV成膜条件1に従って作製されたバナジウム含有膜の電気抵抗率は1200〜3000μΩ・cmであり、成膜条件2に従って作製されたバナジウム含有膜の電気抵抗率は1000〜1500μΩ・cmであった。上記成膜条件1及び2に従って作製されたバナジウム含有膜の組成をXPS法で調べた結果を以下の表8に示す。
(表8)
表8から明らかなように、還元性ガスを使用した方が使用しない場合と比べてバナジウム含量はほぼ同じであるが窒素含量の高い膜が得られ、特にNH3及びTBHの場合に窒化が促進されていることが分かる。
表8から明らかなように、還元性ガスを使用した方が使用しない場合と比べてバナジウム含量はほぼ同じであるが窒素含量の高い膜が得られ、特にNH3及びTBHの場合に窒化が促進されていることが分かる。
図9〜12に示す工程図に従って銅膜を作製し、この銅膜と下地層との密着試験を行った。
まず、図9に示す工程図に従って銅膜を作製し、この銅膜と下地層との密着試験を行った。すなわち、スパッタ法(スパッタ条件:10kV、17秒)により、膜厚15nmのチタン膜を形成した。このチタン膜の形成された基板を、その表面が酸化しないように、大気開放せず、銅膜形成用の反応室へ搬送し、所定温度に保たれている基板設置台上に乗せた。また、チタン膜の形成されていないSiO2/Si基板も同様にして銅膜形成用の反応室内基板設置台に乗せた。これらの基板のそれぞれに対して、流量の制御されたH2ガス(100sccm)を供給し、反応室内の圧力を200Paに保ちながら、基板温度200℃で、60秒間加熱処理を行った。
次いで、上記各基板上に、CVD法により、水素雰囲気中にて、銅膜形成用原料として公知のヘキサフルオロアセチルアセトナト銅(I)トリメチルビニルシラン(Cu(hfac)TMVS)を導入し、成膜温度200℃、成膜圧力200Pa、成膜時間720秒間で、膜厚100nmの銅膜を形成した。
この成膜プロセスにおいて得られたチタン膜の形成された試料と形成されていない試料とを比較すると、銅膜作製の前にバリア膜としてチタン膜を形成することにより、銅膜の初期核形成が促進され、短時間で初期核の核密度が高密度化されていることがSEM写真により確認できた。また、SEM、XPS、蛍光X線分析(XRF)により、銅膜が形成されていることも確認できた。
上記のようにして得られた膜厚100nmの銅膜に対し、漢字の「田」印状に、5mm角4個の升目を、基板直径上のX−Y方向に等間隔で9カ所描き、表面に粘着テープを貼り付けた後、剥離させるテープテストの結果、銅膜のチタン膜表面からの剥離が観察され、密着試験の結果は良くなかった。また、チタン膜を形成せずに、基板上に直接銅膜を形成した場合にも、銅膜は基板表面から簡単に剥離した。
次いで、上記のようにして膜厚100nmの銅膜を作製した後、図10に示したように、流量の制御されたH2ガス(100sccm)を供給し、反応室内の圧力を160Paに保ちながら、基板温度250℃で、120秒間加熱処理を行った。
上記したような再度の水素ガス雰囲気中での加熱処理により得られた銅膜と下地層との密着試験を上記のようにして行った。このテープテストの結果、銅膜のチタン膜表面からの剥離は観察されず、密着試験の結果は良好であった。
このように銅膜作製前に水素ガス雰囲気中で熱処理し、かつ、銅膜形成後に同様に水素ガス雰囲気中で熱処理した場合に、密着試験で膜剥がれが生じなかったという顕著な結果が得られた。
また、比較のために、図11に示す工程図に従って銅膜を作製して、銅膜と下地層との密着試験を行った。すなわち、図11に示す工程の場合は、図9に示す工程における水素ガス雰囲気中での熱処理の代わりに、窒素ガス雰囲気中、圧力:200Pa、温度200℃で、60秒間の熱処理を行ったことを除いて、全て同じプロセスを繰り返した。
かくして得られた膜厚100nmの銅膜と下地層との密着試験を上記のようにして行った。その結果、銅膜のチタン膜表面からの剥離が観察され、密着試験の結果は良くなかった。
さらに、比較のために、図12に示す工程図に従って銅膜を作製して、銅膜と下地層との密着試験を行った。すなわち、図12に示す工程の場合は、図11に示す工程に従って膜厚100nmを有する銅膜を作製した後、さらに、図10の場合と同様に、水素ガス雰囲気中での熱処理(圧力:160Pa、温度250℃で、120秒間)を行った。
かくして得られた膜厚100nmの銅膜と下地層との密着試験を上記のようにして行った。その結果、銅膜のチタン膜表面からの剥離が観察され、密着試験の結果は良くなかった。
図9及び10に示す工程に従って得られた試料について、その断面を透過電子顕微鏡法で観察すると共に、銅膜と下地層のチタン膜との界面構造を電子線回折法で観察した。その結果を、それぞれ、図13及び図14に示す。図13に示す写真が図9に示す工程(図13では、工程1と表示)に従って作製されたサンプルに対する結果であり(向かって左側の写真が断面の写真であり、右側の写真が界面構造を示している)、また、図14に示す写真が図10に示す工程(図14では、工程2と表示)に従って作製されたサンプルに対する結果である(向かって左側の写真が断面の写真であり、右側の写真が界面構造を示している)。図13から明らかなように、図9に示す工程に従って作製された場合、水素ガス雰囲気中での銅膜作製前の熱処理により形成されたアモルファス層が界面に存在することが分かる。また、図14から明らかなように、図10に示す工程に従って作製された場合、水素ガス雰囲気中での銅膜作製前の熱処理により形成されたアモルファス層が、水素ガス雰囲気中での銅膜作製後のさらなる熱処理により結晶化していることが分かる。このように結晶化したことにより。銅膜と下地層との密着性が確保できたのである。
実施例1記載の図10に示す工程図に従い、基板温度及び反応室内圧力を変動させて、下地膜、銅膜を作製し、この銅膜と下地層との密着試験を行った。
まず、図10に示す工程図に従って銅膜を作製した。すなわち、スパッタ法(スパッタ条件:10kV、17秒)により、膜厚15nmのチタン膜を形成した。このチタン膜の形成された基板を、その表面が酸化しないように、大気開放せず、銅膜形成用の反応室へ搬送し、基板設置台上に乗せた。この基板に対して、流量の制御されたH2ガス(100sccm)を供給し、基板温度を50〜500℃に設定し、反応室内の圧力を0.01〜100000Paに保ちながら、60秒間加熱処理を行った。
次いで、上記各基板上に、CVD法により、水素雰囲気中にて、銅膜形成用原料として公知のヘキサフルオロアセチルアセトナト銅(I)トリメチルビニルシラン(Cu(hfac)TMVS)を導入し、成膜温度200℃、成膜圧力200Pa、成膜時間720秒間で、膜厚100nmの銅膜を形成した。
上記のようにして膜厚100nmの銅膜を作製した後、流量の制御されたH2ガス(100sccm)を供給し、反応室内の圧力及び基板温度を上記熱処理の場合と同じ範囲に設定し、120秒間加熱処理を行った。
上記にような再度の水素ガス雰囲気中での加熱処理により得られた銅膜と下地層との密着試験を行った。すなわち、膜厚100nmの銅膜に対し、上記と同様に漢字の「田」印状に、5mm角4個の升目を、基板直径上のX−Y方向に等間隔で9カ所描き、表面に粘着テープを貼り付けた後、剥離させるテープテストを行った。かくして得られたテープテストの結果を以下の表9に示す。
(表9)
註:表9にいて、○は密着性あり、△は界面反応あり、×は密着性なしを意味する。
註:表9にいて、○は密着性あり、△は界面反応あり、×は密着性なしを意味する。
表9から明らかなように、基板温度100〜400℃、反応室内圧力0.1〜10000Paにおいて銅膜のチタン膜表面からの剥離は観察されず、密着試験の結果は良好であった。このように銅膜作製前に水素ガス雰囲気中で熱処理し、かつ、銅膜形成後に同様に水素ガス雰囲気中で熱処理した場合に、密着試験で膜剥がれが生じなかったという顕著な結果が得られた。
次いで、スパッタ法によるチタン膜の代わりに、参考例5の記載に準じてCVD法によりVN膜を形成したことを除いて、上記方法を繰り返した。その結果を以下の表10に示す。
(表10)
註:表10にいて、○は密着性あり、△は界面反応あり、×は密着性なしを意味する。
註:表10にいて、○は密着性あり、△は界面反応あり、×は密着性なしを意味する。
表10から明らかなように、基板温度200〜400℃、反応室内圧力10〜10000Paにおいて銅膜のVN膜表面からの剥離は観察されず、密着試験の結果は良好であった。このように銅膜作製前に水素ガス雰囲気中で熱処理し、かつ、銅膜形成後に同様に水素ガス雰囲気中で熱処理した場合に、密着試験で膜剥がれが生じなかったという顕著な結果が得られた。しかし、下地膜をCVD法で形成するよりも、スパッタ法で形成した法が、広い温度範囲及び圧力で、良好な密着性が得られていることが分かる。
上記したようにして得られた試料について、その断面を透過電子顕微鏡法で観察すると共に、銅膜と下地層との界面構造を電子線回折法で観察した。この場合も、図14と同様な結果が得られた。
本発明によれば、銅膜作製前に、下地層を水素ガス雰囲気中で熱処理し、一旦表面に水素化したアモルファス層を形成した後、銅膜を形成し、次いで水素ガス雰囲気中での熱処理を再度行なって、下地層と銅膜との界面のアモルファス層を再結晶化することにより、下地層と銅膜との間の極めて高い密着性を確保できる。そのため、本発明は、LSIやIC等の半導体産業やデスクリート電子部品等の電子産業における金属配線等の製造プロセスの分野に利用可能である。
また、本発明の銅膜作製の際に、下地層として、後工程で連続的な銅膜を形成できるようなチタン又はバナジウム膜(バリア層及び/又は密着層)を用いることができると共に、得られる銅膜との間で密着が取り易いチタン又はバナジウム膜を効率的に用いることができる。また、この下地層は、複雑な構造、例えばアスペクト比の高いホールや溝内を、その側壁部分を含めて均一に被覆する段差被覆性に優れており、その結果、後工程でホール等の内部に銅膜を均一に埋め込むことが可能となる。従って、このチタン又はバナジウム膜を形成する方法は、銅配線を形成する際に適用可能な技術である。
1 ガス供給装置 2 原料供給装置
201 原料容器 202 原料
203 気化装置 3 反応装置
301 反応室 302 シャワープレート
303 基板設置台 304 仕切りバルブ
4 排出装置 401 排出バルブ
402 圧力コントロールバルブ 403 原料トラップ
404 真空ポンプ
201 原料容器 202 原料
203 気化装置 3 反応装置
301 反応室 302 シャワープレート
303 基板設置台 304 仕切りバルブ
4 排出装置 401 排出バルブ
402 圧力コントロールバルブ 403 原料トラップ
404 真空ポンプ
Claims (11)
- 成膜対象物上に下地層を形成した後、その上に銅膜を作製する銅膜作製方法において、下地層を形成した後、この下地層を水素ガス雰囲気中で熱処理し、この熱処理した下地層の上に銅膜を作製した後、さらに水素ガス雰囲気中で熱処理を行なうことを特徴とする銅膜作製方法。
- 前記下地層が、Ti、Zr、Hf、V、Nb及びWから選ばれた金属を含有する膜であることを特徴とする請求項1記載の銅膜作製方法。
- 前記水素ガス雰囲気中での熱処理が、100〜400℃の温度、0.1〜10000Paの圧力下で行なわれることを特徴とする請求項1又は2記載の銅膜作製方法。
- 前記銅膜の作製が、CVD、ALD、又はスパッタ法で行われることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の銅膜作製方法。
- 前記下地層が、4価のアミド系チタン又はバナジウム有機金属原料ガスと還元性ガスとを用いて、CVD法により形成したチタン又はバナジウム含有膜であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の銅膜作製方法。
- 前記4価のアミド系チタン有機金属原料が、テトラキスジエチルアミノチタン、テトラキスジメチルアミノチタン又はテトラキスエチルメチルアミノチタンであり、また、前記4価のアミド系バナジウム有機金属原料が、テトラキスジエチルアミノバナジウム、テトラキスジメチルアミノバナジウムまたはテトラキスエチルメチルアミノバナジウムであることを特徴とする請求項5記載の銅膜作製方法。
- 前記還元性ガスが、乖離してH*ラジカルや、H+イオンを放出することができるガスであることを特徴とする請求項5又は6記載の銅膜作製方法。
- 前記還元性ガスが、ヒドラジン誘導体、NH3、H2、SiH4及びSi2H6から選ばれたガスであることを特徴とする請求項7記載の銅膜作製方法。
- 前記ヒドラジン誘導体が、ヒドラジンの水素原子の1つ又は2つをメチル基、エチル基、直鎖又は分枝のブチル基で置換したものである請求項8記載の銅膜作製方法。
- 前記ヒドラジン誘導体が、ターシャリーブチルヒドラジンであることを特徴とする請求項9記載の銅膜作製方法。
- 前記4価のアミド系チタン有機金属原料ガス又はアミド系バナジウム有機金属原料ガスと還元性ガスとの反応を、成膜速度が成膜対象物の温度に依存する温度領域で行い、チタン又はバナジウム含有膜を形成することを特徴とする請求項5〜10のいずれかに記載の銅膜作製方法。
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