JP2009042359A - 電子写真用トナー及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】有機溶媒に溶解されたトナー組成液を噴射して微小液滴を形成し、この微小液滴を乾燥してトナー粒子を得るトナー製造方法において、低コスト、短時間で乾燥を行うことが可能なトナー製造方法の提供。
【解決手段】少なくとも樹脂及び着色剤を含むトナー用材料を溶媒に溶解乃至分散させたトナー組成液をノズルを通して液滴化する工程と、該液滴から溶媒を除去する脱溶媒工程とを含む電子写真用トナーの製造法において、液滴の予熱及び少なくとも恒率乾燥の一部を該液滴と水蒸気を含む脱溶媒用気体とを接触させて行うことを特徴とする電子写真用トナーの製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真に用いられるトナーに関する。より詳しくはノズルを通して液滴化する工程を経て製造されるトナーの製造方法に関する。
近年、電子写真方式による複写機あるいはプリンター等の分野において、高画質化が要求されている。この要求を満たすべく、トナーの小粒径化が活発に検討されている。
従来からトナーの製法としては、結着樹脂や着色剤等を溶融混練し、この混練物を粉砕、分級することにより行う粉砕法が用いられている。しかし、この粉砕法により得られるトナーはトナー粒子の粒径分布が広く、トナーの小粒径化に対して技術的に、また収率等の生産性の面から限界がある。
また、最近では、懸濁重合法、乳化重合凝集法によるトナー製造法、いわゆる重合型トナーが検討されている。この他にも、ポリマー溶解懸濁法と呼ばれる体積収縮を伴う工法も検討されている(特許文献1参照)。この方法はトナー材料を低沸点有機溶媒などの揮発性溶剤に分散、溶解させ、これを分散剤の存在する水系媒体中で乳化、液滴化した後に揮発性溶剤を除去するものである。この方法は懸濁重合法、乳化重合凝集法と異なり、用いることのできる樹脂に汎用性が広く、特に透明性や定着後の画像部の平滑性が要求されるフルカラープロセスに有用なポリエステル樹脂を用いることができる点で優れている。
しかしながら、上記の重合型トナーにおいては、水系媒体中で分散剤を使用することを前提としているために、トナーの帯電特性を損なう分散剤がトナー表面に残存して環境安定性が損なわれるなどの不具合が発生したり、これを除去するために非常に大量の洗浄水を必要とすることが知られており、必ずしも製法として満足のいくものではない。
これに代わるトナーの製造方法として、圧電パルスを利用して微小液滴を形成し、さらにこれを乾燥固化してトナー化する工法が提案されている(特許文献2参照)。更に、ノズル内の熱膨張を利用し、やはり微小液滴を形成し、さらにこれを乾燥固化してトナー化する工法が提案されている(特許文献3参照)。更には、音響レンズを利用し、同様の処理をする方法が提案されている(特許文献4参照)。
これら微小液的を噴射して形成する製造方法において、噴射する溶液及び分散液は潜熱の小さい有機溶媒を用いるのがエネルギー的に好ましいが、得られた粉体に残留する残留溶媒を除去するのは非常に困難であり、乾燥残留物の処理が大きな課題となっている。
特開平7−152202号公報 特開2003−262976号公報 特開2003−280236号公報 特開2003−262977号公報
本発明は、有機溶媒に溶解されたトナー組成液を噴射して微小液滴を形成し、この微小液滴を乾燥してトナー粒子を得るトナー製造方法において、低コスト、短時間で乾燥を行うことが可能なトナー製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明者等は鋭意検討を進めた結果、ノズルを通して液滴化されて得られた液滴の予熱及び恒率乾燥に用いる乾燥用気体に水蒸気を含んだスチームを用いることにより上記課題が解決できることを見出して本発明を完成した。
即ち、本件発明は以下に記載するとおりの構成を有する。
(1)少なくとも樹脂及び着色剤を含むトナー用材料を溶媒に溶解乃至分散させたトナー組成液をノズルを通して液滴化する工程と、該液滴から溶媒を除去する脱溶媒工程とを含む電子写真用トナーの製造法において、液滴の予熱及び少なくとも恒率乾燥の一部を該液滴と水蒸気を含む脱溶媒用気体とを接触させて行うことを特徴とする電子写真用トナーの製造方法。
(2)少なくとも樹脂及び着色剤を含むトナー用材料を溶媒に溶解乃至分散させたトナー組成液を、ノズルを通して液滴化する工程と、該液滴から溶媒を除去する脱溶媒工程とを含む電子写真用トナーの製造法において、液滴の予熱及び恒率乾燥を二段階で行ない、第一段階を該液滴と水蒸気を含む第一脱溶媒用気体とを接触させて行い、次いで、第二段階を常圧下の露点温度が−10℃以下の第二脱溶媒用気体と接触させて行うことを特徴とする電子写真用トナーの製造方法。
(3)水蒸気を含む乾燥用気体の相対湿度が脱溶媒工程投入時の温度において85%以上であることを特徴とする(1)又は(2)に記載の電子写真用トナーの製造方法。
(4)前記ノズルが、貯留部の一部に接する振動手段により、前記貯留部を介して原料流体を励振しながら、貯留部に設けた複数の貫通孔より該原料液体を造粒空間に放出し、原料流体を柱状から括れ状態を経て液滴化する振動チャンバーノズルヘッドであることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載のトナーの製造方法
(5)該ノズルが、トナー組成液を貯留する貯留部に設けた複数のノズルを有する薄膜から前記トナー組成液を機械的振動手段により周期的に放出するノズルであることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかにトナーの製造方法。
(6)前記機械的振動手段が、前記薄膜のノズルを設けた領域の周囲に円環状に形成された振動発生手段であることを特徴とする(4)に記載のトナーの製造方法。
(7)前記機械的振動手段が、前記薄膜に対して平行な振動面を有し、該振動面が垂直方向に縦振動する振動手段であることを特徴とする(4)記載のトナーの製造方法。
(8)(1)〜(7)のいずれかに記載のトナーの製造方法によって製造された電子写真用トナー。
(9)THF溶解分のGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によって測定される分子量分布において、重量平均分子量(Mw)が8.0×10〜5.0×10であることを特徴とする(8)に記載の電子写真用トナー。
(10)(8)又は(9)に記載の電子写真用トナーを用いた電子写真式画像形成装置
(11)(8)又は(9)に記載の電子写真用トナーを用いたプロセスカートリッジ
本発明のトナー製造方法によれば、トナー組成液から低コスト、短時間で単一分散のトナー粒子を製造することができ、現像での潜像に対してのトナー量が均一化され高画質、連続印字時の画像安定性が向上する。
また、脱溶媒用気体中に水蒸気が存在することにより恒率乾燥時に液滴中の溶媒の水置換が発生し残留溶媒量を減少することが可能となる。また減率乾燥時にも残留した水分により同様の効果が得られ、また恒率乾燥後の半乾燥液滴を第二脱溶媒用気体と接触させることによって減率乾燥が可能となり以降の工程が不要となる。
本発明におけるトナー用材料としては、少なくとも樹脂と着色剤を含有し、必要に応じて、有機低分子物質、外添剤、帯電制御剤等のその他の成分を含有する。
以下、トナー組成物を構成する材料について説明する。
<樹脂>
前記樹脂としては、少なくとも結着樹脂が挙げられる。
前記結着樹脂としては、特に制限はなく、通常使用される樹脂を適宜選択して使用することができ、2種類以上の樹脂を混合し用いることが可能であるが、溶剤に不溶なゲル成分が0.5%未満であることが好ましい。ゲル成分が含まれると噴霧ノズルの詰りが生じ、生産安定性を損なう。従ってゲル成分が含まれている樹脂を用いる場合には樹脂を溶解後にろ過工程によりゲル成分をろ過して用いる。また、混合される樹脂の組成によりトナー形状やトナー中のWAX、顔料の位置などを制御することが可能となる。
樹脂の例としては、スチレン系単量体、アクリル系単量体、メタクリル系単量体等のビニル重合体、これらの単量体又は2種類以上からなる共重合体、ポリエステル系重合体、ポリオール樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、テルペン樹脂、クマロンインデン樹脂、ポリカーボネート樹脂、石油系樹脂、などが挙げられる。
前記スチレン系単量体としては、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−フエニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−アミルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−へキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロロスチレン、m−ニトロスチレン、o−ニトロスチレン、p−ニトロスチレン等のスチレン、又はその誘導体、などが挙げられる。
前記アクリル系単量体としては、例えば、アクリル酸、あるいはアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸n−ドデシル、アクリル酸2−エチルへキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニル等のアクリル酸、又はそのエステル類、などが挙げられる。
前記メタクリル系単量体としては、例えば、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸n−ドデシル、メタクリル酸2−エチルへキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等のメタクリル酸又はそのエステル類、などが挙げられる。
前記ビニル重合体、又は共重合体を形成する他のモノマーの例としては、以下の(1)〜(18)が挙げられる。
(1)エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン等のモノオレフイン類;(2)ブタジエン、イソプレン等のポリエン類;(3)塩化ビニル、塩化ビニルデン、臭化ビニル、フッ化ビニル等のハロゲン化ビニル類;(4)酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル等のビニルエステル類;(5)ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類;(6)ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類;(7)N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドン等のN−ビニル化合物;(8)、ビニルナフタリン類;(9)アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等のアクリル酸若しくはメタクリル酸誘導体等;(10)マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、アルケニルコハク酸、フマル酸、メサコン酸の如き不飽和二塩基酸;(11)マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、アルケニルコハク酸無水物の如き不飽和二塩基酸無水物;(12)マレイン酸モノメチルエステル、マレイン酸モノエチルエステル、マレイン酸モノブチルエステル、シトラコン酸モノメチルエステル、シトラコン酸モノエチルエステル、シトラコン酸モノブチルエステル、イタコン酸モノメチルエステル、アルケニルコハク酸モノメチルエステル、フマル酸モノメチルエステル、メサコン酸モノメチルエステルの如き不飽和二塩基酸のモノエステル;(13)ジメチルマレイン酸、ジメチルフマル酸の如き不飽和二塩基酸エステル;(14)クロトン酸、ケイヒ酸の如きα,β−不飽和酸;(15)クロトン酸無水物、ケイヒ酸無水物の如きα,β−不飽和酸無水物;(16)該α,β−不飽和酸と低級脂肪酸との無水物、アルケニルマロン酸、アルケニルグルタル酸、アルケニルアジピン酸、これらの酸無水物及びこれらのモノエステルの如きカルボキシル基を有するモノマー;(17)2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等のアクリル酸又はメタクリル酸ヒドロキシアルキルエステル類;(18)4−(1−ヒドロキシ−1−メチルブチル)スチレン、4−(1−ヒドロキシ−1−メチルへキシル)スチレンの如きヒドロキシ基を有するモノマー。
本発明のトナーにおいて、結着樹脂のビニル重合体、又は共重合体は、ビニル基を2個以上有する架橋剤で架橋された架橋構造を有していてもよい。この場合に用いられる架橋剤としては、芳香族ジビニル化合物として、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、などが挙げられる。アルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類として、例えば、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6へキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、これらの化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの、などが挙げられる。
エーテル結合を含むアルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類として、例えば、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#400ジアクリレート、ポリエチレングリコール#600ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、これらの化合物のアクリレートをメタアクリレートに代えたもの、などが挙げられる。
その他、芳香族基及びエーテル結合を含む鎖で結ばれたジアクリレート化合物、ジメタクリレート化合物も挙げられる。ポリエステル型ジアクリレート類として、例えば、商品名MANDA(日本化薬社製)が挙げられる。
多官能の架橋剤としては、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの、トリアリルシアヌレート、トリアリルトリメリテートが挙げられる。
これらの架橋剤は、前記ビニル重合体、又は共重合体を形成する他のモノマー100重量部に対して、0.01〜10重量部用いることが好ましく、0.03〜5重量部用いることがより好ましい。これらの架橋性モノマーのうち、トナー用樹脂に定着性、耐オフセット性の点から、芳香族ジビニル化合物(特にジビニルベンゼン)、芳香族基及びエーテル結合を1つ含む結合鎖で結ばれたジアクリレート化合物類が好適に挙げられる。これらの中でも、スチレン系共重合体、スチレン−アクリル系共重合体となるようなモノマーの組み合わせが好ましい。
本発明のビニル重合体又は共重合体の製造に用いられる重合開始剤としては、例えば、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、2,2'−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、ジメチル−2,2'−アゾビスイソブチレート、1,1'−アゾビス(1−シクロへキサンカルボニトリル)、2−(カルバモイルアゾ)−イソブチロニトリル、2,2'−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2−フェニルアゾ−2',4'−ジメチル−4'−メトキシバレロニトリル、2,2'−アゾビス(2−メチルプロパン)、メチルエチルケトンパ−オキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、シクロへキサノンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類、2,2−ビス(tert−ブチルパーオキシ)ブタン、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、tert−ブチルクミルパーオキサイド、ジークミルパーオキサイド、α−(tert−ブチルパーオキシ)イソプロピルべンゼン、イソブチルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、m−トリルパーオキサイド、ジ−イソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルへキシルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシカーボネート、ジ−エトキシイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシカーボネート、アセチルシクロへキシルスルホニルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシアセテート、tert−ブチルパーオキシイソブチレート、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルへキサレート、tert−ブチルパーオキシラウレート、tert−ブチル−オキシベンゾエ−ト、tert−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジ−tert−ブチルパーオキシイソフタレート、tert−ブチルパーオキアリルカーボネート、イソアミルパーオキシ−2−エチルへキサノエート、ジ−tert−ブチルパーオキシへキサハイドロテレフタレート、tert−ブチルパーオキシアゼレート、などが挙げられる。
結着樹脂がスチレン−アクリル系樹脂の場合、樹脂成分のテトラヒドロフラン(THF)に可溶分のGPCによる分子量分布で、重量平均分子量(Mw)が8.0×10〜5.0×10である樹脂が、定着性、オフセット性、保存性の点で好ましい。重量平均分子量(Mw)が8.0×10未満では残留溶媒値は小さくすることが可能であるがオフセット性、保存性に問題があり、重量平均分子量(Mw)が5.0×10より大きいと残留溶媒値を200ppm以下とすることが困難となる。
結着樹脂がスチレン−アクリル系樹脂等のビニル重合体のときの酸価としては、0.1mgKOH/g〜100mgKOH/gであることが好ましく、0.1mgKOH/g〜70mgKOH/gであることがより好ましく、0.1mgKOH/g〜50mgKOH/gであることが最も好ましい。
ポリエステル系重合体を構成するモノマーとしては、以下のものが挙げられる。
2価のアルコール成分としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−へキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、水素化ビスフェノールA、又は、ビスフェノールAにエチレンオキシド、プロピレンオキシド等の環状エーテルが重合して得られるジオール、などが挙げられる。
ポリエステル樹脂を架橋させるためには、3価以上のアルコールを併用することが好ましい。
前記3価以上の多価アルコールとしては、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、例えば、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタトリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン、などが挙げられる。
ポリエステル系重合体を形成する酸成分としては、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等のべンゼンジカルボン酸類又はその無水物、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸等のアルキルジカルボン酸類又はその無水物、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、アルケニルコハク酸、フマル酸、メサコン酸等の不飽和二塩基酸、マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、アルケニルコハク酸無水物等の不飽和二塩基酸無水物、などがあげられる。また、3価以上の多価カルボン酸成分としては、トリメット酸、ピロメット酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシ−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、テトラ(メチレンカルボキシ)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、エンポール三量体酸、又はこれらの無水物、部分低級アルキルエステル、などが挙げられる。
結着樹脂がポリエステル系樹脂の場合は、樹脂成分のテトラヒドロフラン(THF)に可溶分のGPCによる分子量分布で、重量平均分子量(Mw)が8.0×10〜5.0×10である樹脂が、定着性、オフセット性、保存性の点で好ましい。重量平均分子量(Mw)が8.0×10未満では残留溶媒値は小さくすることが可能であるがオフセット性、保存性に問題があり、重量平均分子量(Mw)が5.0×10より大きいと残留溶媒値を200ppm以下とすることが困難となる。
結着樹脂がポリエステル樹脂の場合、その酸価としては、0.1mgKOH/g〜100mgKOH/gであることが好ましく、5mgKOH/g〜70mgKOH/gであることがより好ましく、10mgKOH/g〜50mgKOH/gであることが最も好ましい。
本発明のトナーに使用できる結着樹脂としては、前記ビニル重合体成分及びポリエステル系樹脂成分の少なくともいずれか中に、これらの両樹脂成分と反応し得るモノマー成分を含む樹脂も使用することができる。ポリエステル系樹脂成分を構成するモノマーのうちビニル重合体と反応し得るものとしては、例えば、フタル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸又はその無水物、などが挙げられる。ビニル重合体成分を構成するモノマーとしては、カルボキシル基又はヒドロキシ基を有するものや、アクリル酸若しくはメタクリル酸エステル類が挙げられる。
また、ポリエステル系重合体、ビニル重合体とその他の結着樹脂を併用する場合、全体の結着樹脂の酸価が0.1〜50mgKOH/gを有する樹脂を60質量%以上有するものが好ましい。
本発明において、トナー組成物の結着樹脂成分の酸価は、以下の方法により求め、基本操作はJIS K−0070に準ずる。
(1)試料は予め結着樹脂(重合体成分)以外の添加物を除去して使用するか、結着樹脂及び架橋された結着樹脂以外の成分の酸価及び含有量を予め求めておく。試料の粉砕品0.5〜2.0gを精秤し、重合体成分の重さをWgとする。例えば、トナーから結着樹脂の酸価を測定する場合は、着色剤又は磁性体等の酸価及び含有量を別途測定しておき、計算により結着樹脂の酸価を求める。
(2)300(ml)のビーカーに試料を入れ、トルエン/エタノール(体積比4/1)の混合液150(ml)を加え溶解する。
(3)0.1mol/lのKOHのエタノール溶液を用いて、電位差滴定装置を用いて滴定する。
(4)この時のKOH溶液の使用量をS(ml)とし、同時にブランクを測定し、この時のKOH溶液の使用量をB(ml)とし、以下の式(1)で算出する。ただしfはKOHのファクターである。
酸価(mgKOH/g)=[(S−B)×f×5.61]/W (1)
トナーの結着樹脂及び結着樹脂を含む組成物は、トナー保存性の観点から、ガラス転移温度(Tg)が35〜80℃であるのが好ましく、40〜75℃であるのがより好ましい。Tgが35℃より低いと高温雰囲気下でトナーが劣化しやすく、また定着時にオフセットが発生しやすくなることがある。また、Tgが80℃を超えると、定着性が低下することがある。
<着色剤>
前記着色剤としては、特に制限はなく、通常使用される樹脂を適宜選択して使用することができるが、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミウムレッド、カドミウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ポグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン及びこれらの混合物、などが挙げられる。
前記着色剤の含有量としては、トナーに対して1〜15質量%が好ましく、3〜10質量%がより好ましい。
本発明で用いる着色剤の分散は、少なくとも樹脂と着色剤とを高せん断力をかけて混合、混練する方法、分散剤・着色剤をあらかじめ溶媒中にて分散する方法等があるがこれに限られるものではない。混合混練するには、3本ロールミル等の高せん断分散装置が好適に使用される。また、溶媒中で分散する装置としてはビーズミルが好適に使用される。
着色剤分散後の分散液中の着色剤の粒径は、1μm以下であることが望ましい。1μm
より大きいと吐出ノズルに詰りを生じやすくなる。更にはトナーを形成した際に、着色剤の粒径が大きくなり、画質が低下しやすく、特に、OHPの光透過性が低下しやすい。更に好ましくは300nm以下である。300nm以下では光透過性の向上が目覚しく色再現範囲が大幅に向上する。なお、着色剤の粒径は、レーザー回折/散乱粒度分布測定装置「LA−920」(堀場製作所社製)で求めることができる。
分散時に用いられるバインダー樹脂としては、先にあげた変性、未変性ポリエステル樹脂の他に、例えば、ポリスチレン、ポリp−クロロスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の重合体;スチレン−p−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体などのスチレン系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックス、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
<有機低分子物質>
有機低分子物質の例としては、脂肪酸エステル、フタル酸等の芳香族酸のエステル、燐酸エステル、マレイン酸エステル、フマル酸エステル、イタコン酸エステル、その他エステル、ベンジル、ベンゾイン化合物、ベンゾイル化合物等のケトン類、ヒンダードフェノール化合物、べンゾトリアゾール化合物、芳香族スルホンアミド化合物、脂肪族アミド化合物、長鎖アルコール、長鎖ジアルコール、長鎖カルボン酸、長鎖ジカルボン酸、などが挙げられる。
具体的には、ジメチルフマレート、モノエチルフマレート、モノブチルフマレート、モノメチルイタコネート、モノブチルイタコネート、ジフェニルアジペート、ジベンジルテレフタレート、ジベンジルイソフタレート、ベンジル、ベンゾインイソプロピルエーテル、4−ベンゾイルビフェニル、4−ベンゾイルジフェニルエーテル、2−ベンゾイルナフタレン、ジベンゾイルメタン、4−ビフェニルカルボキシリックアシッド、ステアリルステアリン酸アミド、オレイルステアリン酸アミド、ステアリンオレイル酸アミド、オクタデカノール、n−オクチルアルコール、テトラコサン酸、エイコサン酸、ステアリン酸、ラウリン酸、ノナデカン酸、パルミチン酸ヒドロキシオクタン酸、ドコサン酸、特開2002−105414号公報に記載の一般式(1)〜(17)の化合物、等が挙げられる。
更に、例えば、カルナウバワックス、綿ロウ、木ロウ、ライスワックス等の植物系ワックス;ミツロウ、ラノリン等の動物系ワックス;オゾケライト、セルシン等の鉱物系ワックス;パラフィン、マイクロクリスタリン、ペトロラタム等の石油ワックス;などの天然ワックスが挙げられる。また、これら天然ワックスのほか、フィッシャー・トロプシュワックス、ポリエチレンワックス等の合成炭化水素ワックス;エステル、ケトン、エーテル等の合成ワックス;などが挙げられる。更に、12−ヒドロキシステアリン酸アミド、ステアリン酸アミド、無水フタル酸イミド、塩素化炭化水素等の脂肪酸アミド;低分子量の結晶性高分子樹脂である、ポリ−n−ステアリルメタクリレート、ポリ−n−ラウリルメタクリレート等のポリアクリレートのホモ重合体あるいは共重合体(例えば、n−ステアリルアクリレート−エチルメタクリレートの共重合体等);側鎖に長いアルキル基を有する結晶性高分子、などを用いてもよい。
また、カルナウバワックス、綿ロウ、木ロウ、ライスワックス等の植物系ワックス;ミツロウ、ラノリン等の動物系ワックス;オゾケライト、セルシン等の鉱物系ワックス;パラフィン、マイクロクリスタリン、ペトロラタム等の石油ワックス;などの天然ワックスが挙げられる。また、これら天然ワックスのほか、フィッシャー・トロプシュワックス、ポリエチレンワックス等の合成炭化水素ワックス;エステル、ケトン、エーテル等の合成ワックス;などが挙げられる。更に、12−ヒドロキシステアリン酸アミド、ステアリン酸アミド、無水フタル酸イミド、塩素化炭化水素等の脂肪酸アミド;低分子量の結晶性高分子樹脂である、ポリ−n−ステアリルメタクリレート、ポリ−n−ラウリルメタクリレート等のポリアクリレートのホモ重合体あるいは共重合体(例えば、n−ステアリルアクリレート−エチルメタクリレートの共重合体等);側鎖に長いアルキル基を有する結晶性高分子、などを用いてもよい。
これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
この有機低分子物質は樹脂との組み合わせにより以下の機能を示す場合がある。
用いられる樹脂と有機低分子物質が有機低分子物質の溶融温度以上の温度にて相溶する場合、有機低分子物質は可塑剤として機能する。つまり、該有機低分子物質により樹脂の軟化速度が向上し低温定着性を有することとなる。この場合該有機低分子物質の溶融温度は120℃以下が好ましく、更に好ましくは80℃以下となる。溶融温度が120℃を超えると低温定着性に効果がなくなる。
用いられる樹脂と有機低分子物質が相溶しない場合、有機低分子物質は離型剤として機能する。この場合該有機低分子物質の溶融温度は100℃以下が好ましく、更に好ましくは80℃以下である。溶融温度が100℃以上となると定着時にコールドオフセットを発生しやすくなる。
また、該有機低分子物質の溶融粘度としては、該有機低分子物質の融点より10℃高い温度での測定値として、5〜1000cpsが好ましく、10〜100cpsがより好ましい。
前記溶融粘度が、5cps未満であると、離型性が低下することがあり、1,000cpsを超えると、耐ホットオフセット性、低温定着性への向上効果が得られなくなることがある。
<溶媒>
本発明に用いられる有機溶媒の具体例としては、エステル系溶媒の場合は、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、乳酸エチル、エチレンカーボネートなど、アルコール系溶媒の場合は、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、メチルイソカルビノールなど、炭化水素系溶媒の場合はベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;ヘキサン、ヘプタン、iso−オクタン、シクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素類等が用いられる。本発明に従って、これらは適宜組み合わされる。そのほかにアセトン、2−ブタノン、エチルアミルケトン、ジアセトンアルコール、イソホロン、シクロヘキサノンなどのケトン類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド類;ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、3,4−ジヒドロ−2H−ピランなどのエーテル類;2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、エチレングリコールジメチルエーテルなどのグリコールエーテル類;2−メトキシエチルアセテート、2−エトキシエチルアセテート、2−ブトキシエチルアセテートなどのグリコールエーテルアセテート類;塩化メチレン、1,2−ジクロルエタン、ジクロロプロパン、クロルベンゼンなどのハロゲン化炭化水素類;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類;N−メチル−2−ピロリドン、N−オクチル−2−ピロリドンなどのピロリドン類等を例示することができる。
<その他の材料>
樹脂、有機低分子物質、着色剤以外の材料として、トナー粒子に流動性、現像性、帯電性等を付与するための外添剤として無機微粒子を使用することができる。
前記無機微粒子としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ペンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素、等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記無機微粒子の一次粒子径としては、5nm〜2μmが好ましく、5nm〜500nmがより好ましい。また、前記無機微粒子のBET法による比表面積としては、20〜500m/gが好ましい。
前記無機微粒子の前記トナーにおける含有量としては、0.01〜5.0質量%が好ましく、0.01〜2.0質量%がより好ましい。
前記流動性向上剤は、表面処理を行って、疎水性を上げ、高湿度下においても流動特性や帯電特性の悪化を防止可能なものを意味し、例えば、シランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤、シリコーンオイル、変性シリコーンオイル、等が挙げられる。前記シリカ、前記酸化チタンは、このような流動性向上剤により表面処理行い、疎水性シリカ、疎水性酸化チタンとして使用するのが特に好ましい。
前記クリーニング性向上剤は、感光体や一次転写媒体に残存する転写後の現像剤を除去するために前記トナーに添加され、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸等の脂肪酸金属塩、ポリメチルメタクリレート微粒子、ポリスチレン微粒子等のソープフリー乳化重合により製造されたポリマー微粒子、などが挙げられる。該ポリマー微粒子は、比較的粒度分布が狭いものが好ましく、体積平均粒径が0.01〜1μmのものが好適である。
帯電制御剤としては、特に制限はなく、公知のもの中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体又はその化合物、タングステンの単体又はその化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸の金属塩、サリチル酸誘導体の金属塩、等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記帯電制御剤は、市販品を使用してもよく、該市販品としては、例えば、ニグロシン系染料のボントロン03、第四級アンモニウム塩のボントロンP−51、含金属アゾ染料のボントロンS−34、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(以上、オリエント化学工業社製)、第四級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(以上、保土谷化学工業社製)、第四級アンモニウム塩のコピーチャージPSY VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、第四級アンモニウム塩のコピーチャージ NEG VP2036、コピーチャージ NX VP434(以上、ヘキスト社製)、LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(日本カーリット社製)、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、四級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物、等が挙げられる。
前記帯電制御剤の前記トナーにおける含有量としては、前記樹脂の種類、添加剤の有無、分散方法等により異なり、一概に規定することができないが、例えば、前記結着樹脂100重量部に対し、0.1〜10重量部が好ましく、0.2〜5重量部がより好ましい。該含有量が、0.1重量部未満であると、帯電制御性が得られないことがあり、10重量部を超えると、トナーの帯電性が大きくなりすぎ、主帯電制御剤の効果を減退させて、現像ローラとの静電的吸引力が増大し、現像剤の流動性低下や画像濃度の低下を招くことがある。
(トナー製造方法)
本発明のトナー製造方法は、少なくとも溶媒に溶解された樹脂及び着色剤を含有するトナー用材料の溶解乃至分散液をノズルを通して液滴化し、この液滴を脱溶媒する電子写真用トナーの製造法において、液滴化後の恒率乾燥に用いる脱溶媒用気体に水蒸気を含んだスチームを用いることを特徴とする電子写真用トナーの製造方法である。
なお、本明細書でいう「恒率乾燥」及び「源率乾燥」という用語について説明する。
一般に、水分を含有する材料を乾燥用気体と接触させて加熱乾燥するとき、含水率Wと時間θとの関係を示すと図29に示す通りとなる。
すなわち、初期の予熱期間(A→B)を経過すると直線的に含水率Wが減少する恒率乾燥期間(B→C)を経て、含水率が直線的に低下せず飽和していく減率乾燥期間(C→E)となる。
本発明の液滴化したトナーについては水分を除去するのではなく溶媒を除去するのであるが、溶媒を除去する際にも前記と同様の現象がおこるので、本明細書では前記のB→Cに相当する期間における脱溶媒現象を「恒率乾燥」といい、C→Dに相当する期間における脱溶媒を「減率乾燥」という。
また、以下では、「脱溶媒」を「乾燥」ということがある。
トナー組成液をノズルを通して液滴化する方法としては、トナー組成液に振動する圧力をかけてノズルから液滴を噴出させる方法と、振動チャンバー或いは振動オリフィスを用いてノズルから液柱状に噴出するトナー組成液を液滴化する方法等があるが、以下では、これらの液滴化方法を合わせて「噴霧」という表現を用いる。
本発明のトナー製造方法に使用される装置(以下、「トナー製造装置」ともいう。)としては、噴霧乾燥製造方法により、トナーを製造可能な装置であれば、特に制限はなく、適宜選択して使用することができるが、少なくとも樹脂と着色剤とを含有するトナー用材料の溶解乃至分散液を吐出させて、液滴を形成する液滴形成手段と、該液滴中に含まれる溶媒を除去することにより前記液滴を脱溶媒し、トナー粒子を形成する溶媒除去手段とを有するトナー製造装置であり、前記溶媒除去手段の恒率乾燥に用いる乾燥用気体に水蒸気を含んだスチームを用いる製造装置である。
<液滴形成手段>
前記トナー製造装置の液滴形成手段としては、次の(1)〜(4)が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
(1)エアにより溶解乃至分散液を吐出口より噴射させる多流体ノズルを用いた手段
(2)圧電パルスを用い溶解乃至分散液滴を形成するノズルを用いた手段
(3)貯留部の一部に接する振動手段により、前記貯留部を介して原料流体を励振しながら、貯留部に設けた複数の貫通孔より該原料液体を造粒空間に放出し、原料流体を柱状から括れ状態を経て液滴化し、該液滴を造粒空間において固体粒子に変化させる手段
(4)トナー組成液を貯留する貯留部を有し、前記貯留部に設けた複数のノズルを有する薄膜から前記トナー組成液を機械的振動手段により周期的に放出する手段
前述された液滴形成手段の中でも(3)(4)の液滴形成手段が好ましい。(3)(4)の液滴形成手段では液滴個々の体積を一定に保ち且つ1振動手段により100以上の液滴を同時に発生することが可能なる。粒度の単一分散性を有した粒子を得られることにより、流動性や帯電特性といったトナーに求められる多くの特性値において、これまでの製造方法にみられた粒子による変動の幅が全くないか、非常に少ない、電子写真、静電記録、静電印刷等に於ける静電荷像を現像するための現像剤に使用されるトナーの製造方法、及びそれにより製造されたトナーを提供することができる。(3)の装置を図1に示した。
この装置は、振動手段が前記貯留部を構成する一部に接し、前記貯留部を介してトナー組成液に振動を与えることで、トナー組成液に一括して同等に振動を加えて圧力粗密波を発生し、貫通孔より放出されるトナー組成液に一定間隔のくびれが生じ、一定量の液滴が分裂することにより単分散な粒度分布を有する真球トナーを生成する。
また、上記(4)の貯留部に設けた複数のノズルを有する薄膜から前記トナー組成液を機械的振動手段により周期的に放出する手段を用いることはより好ましい。
以下では、上記(4)の貯留部に設けた複数のノズルを有する薄膜から前記トナー組成液を機械的振動手段により周期的に放出する手段を用いるトナー製造方法について詳細に述べる。
上記の機械的振動手段を用いる製造方法においては、トナー組成液の液滴は複数のノズルを有する薄膜を機械的に振動させることによって、該ノズルからトナー組成液が放出されることによって形成される。機械的振動手段は、ノズルを有する膜に対して垂直方向に振動すればどのような配置でもよいが、好ましいものとしては、次の二通りの方式がある。
一つは、複数のノズルを有する薄膜に対して平行な振動面を有し、垂直方向に縦振動する機械的手段(機械的縦振動手段)を用いる方式であり、他の一つは、複数のノズルを有する薄膜の周囲に円環状に形成された機械的振動手段(円環状機械的振動手段)を設ける方式である。
以下、各方式について説明する。
(機械的縦振動手段)
まず、機械的縦振動手段を設けたトナー製造装置の一例について図2の模式的構成図を参照して説明する。
トナーの製造装置1は、少なくとも樹脂及び着色剤を含有するトナー組成液を液滴化して放出する液滴化手段としての液滴噴射ユニット2と、この液滴噴射ユニット2が上方に配置され、液滴噴射ユニット2から放出される液滴化されたトナー組成液の液滴を固化してトナー粒子Tを形成する粒子化手段としての粒子形成部3と、粒子形成部3で形成されたトナー粒子Tを捕集するトナー捕集部4と、トナー捕集部4で捕集されたトナー粒子Tがチューブ5を介して移送され、移送されたトナー粒子Tを貯留するトナー貯留手段としてのトナー貯留部6と、トナー組成液10を収容する原料収容部7と、この原料収容部7内から液滴噴射ユニット2に対してトナー組成液10を送液する配管(送液管)8と、稼動時などにトナー組成液10を圧送供給するためのポンプ9とを備えている。
また、原料収容部7からのトナー組成液10は、液滴噴射ユニット2による液滴化現象により自給的に液滴噴射ユニット2に供給されるが、装置稼働時等には上述したように補助的にポンプ9を用いて液供給を行う構成としている。なお、トナー組成液10として、ここでは、少なくとも樹脂及び着色剤を含有するトナー組成物を溶剤に溶解又は分散した溶液、分散液を用いている。
次に、液滴噴射ユニット2について図3、4に基づいて説明する。
図3は同液滴噴射ユニット2の概略断面説明図、図4は図2を下側から見た要部底面説明図である。
この液滴噴射ユニット2は、複数のノズル(吐出口)11が形成された薄膜12と、この薄膜12を振動させる機械的振動手段(以下「振動手段という)13と、薄膜12と振動手段13との間に少なくとも樹脂及び着色剤を含有するトナー組成液10を供給する貯留部(液流路)14を形成する流路部材15とを備えている。
前記複数のノズル11を有する薄膜12は、前記振動手段13の振動面13aに対して平行に設置されており、薄膜12の一部がハンダまたはトナー組成液に溶解しない樹脂結着材料によって流路部材15に接合固定されており、振動手段13の振動方向とは実質的に垂直な位置関係となる。前記振動手段13の振動発生手段21の上下面に電圧信号が付与されるように、通信手段24が設けられており、駆動信号発生源23からの信号を機械的振動に変換することができる。電気信号を与える通信手段としては、表面を絶縁被覆されたリード線が適している。また、振動手段13は後述する各種ホーン型振動子、ボルト締めランジュバン型振動子など、振動振幅の大きな素子を用いることが、効率的かつ安定なトナー生産には好適である。
振動手段13は、振動を発生する振動発生手段21と、この振動発生手段21で発生した振動を増幅する振動増幅手段22とで構成され、駆動回路(駆動信号発生源)23から所要周波数の駆動電圧(駆動信号)が振動発生手段21の電極21a、21b間に印加されることによって、振動発生手段21に振動が励起され、この振動が振動増幅手段22で増幅され、薄膜12と平行に配置される振動面13aが周期的に振動し、この振動面13aの振動による周期的な圧力によって薄膜12が所要周波数で振動する。
この振動手段13としては、薄膜12に対して確実な縦振動を一定の周波数で与えることができるものであれば特に制限はなく、適宜選択して使用することができるが、薄膜12を振動させることから、振動発生手段21にはバイモルフ型のたわみ振動の励起される圧電体21Aが好ましい。圧電体21Aは、電気的エネルギーを機械的エネルギーに変換する機能を有する。具体的には、電圧を印加することにより、たわみ振動が励起され、薄膜12を振動させることが可能となる。
振動発生手段21を構成する圧電体21Aとしては、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等の圧電セラミックスが挙げられるが、一般に変位量が小さい為、積層して使用されることが多い。この他にも、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等の圧電高分子や、水晶、LiNbO、LiTaO、KNbO、等の単結晶、などが挙げられる。
振動手段13は、ノズル11を有する薄膜12に対して垂直方向の振動を与えるものであれば、どのような配置でもよいが、振動面13aと薄膜12とは平行に配置される。
図示した例では振動発生手段21と振動増幅手段22で構成される振動手段13としてホーン型振動子を用いており、このホーン型振動子は、圧電素子などの振動発生手段21の振幅を振動増幅手段22としてのホーン22Aで増幅することができるため、機械的振動を発生する振動発生手段21自体は小さな振動でよく、機械的負荷が軽減するために生産装置としての長寿命化につながる。
ホーン型振動子としては、公知の代表的なホーン形状でよく、例えば図5に示すようなステップ型、図6に示すようなエクスポネンシャル型、図7に示すようなコニカル型などを挙げることができる。これらのホーン型振動子は、ホーン22Aの面積の大きい面に圧電体21Aが配置され、圧電体21Aは縦振動を利用し、ホーン22Aの効率的な振動を誘起し、ホーン22Aに面積の小さい面を振動面13aとして、この振動面13aが最大振動面となるように設計されている。圧電体21の上方と下方にはリード線24が配置され、駆動回路23より交流電圧信号を与える。これらホーン振動子の最大振動面は、13aとなるように形状を設計されるものである。
また、振動手段13としては、特に高強度なボルト締めランジュバン型振動子を用いることもできる。このボルト締めランジュバン型振動子は圧電セラミックスが機械的に結合されており、高振幅励振時に破損することがない。
貯留部及び前記機械的振動手段、前記薄膜の構成を、図3の概略図を用いて詳細に説明する。貯留部14には、液供給チューブ18が少なくとも1箇所設けられており、一部断面図に示されるように、流路を通じて液貯留部に液を導入する。また、必要に応じて気泡排出チューブ19を設けることも可能である。この流路部材15に取り付けた図示しない支持部材によって液滴噴射ユニット2が粒子形成部3の天面部に設置保持されている。なお、ここでは、粒子形成部3の天面部に液滴噴射ユニット2を配置している例で説明しているが、粒子形成部3となる乾燥部側面壁又は底部に液滴噴射ユニット2を設置する構成とすることもできる。
機械的振動を発生する振動手段13の大きさは、発振振動数の減少に伴い大きくなることが一般的であり、必要な周波数に応じて、適宜振動手段に直接穴あけ加工を施し貯留部を設けることができる。また、貯留部全体を効率的に振動させることも可能である。
この場合、振動面とは、前記複数のノズルを有する薄膜が貼り合わされた面と定義される。
このような構成の液滴噴射ユニット2の異なる例について図8及び図9を参照して説明する。 図8に示す例は、振動手段80(13)として、振動発生部としての圧電体81及び振動増幅部としてのホーン82で構成されるホーン型振動子80を用いて、ホーン82の一部に貯留部(流路)14を形成したものである。この液滴噴射ユニット2は、ホーン型振動子80のホーン82に一体形成した固定部(フランジ部)83によって粒子形成部3(乾燥手段)の壁面に固定されていることが好ましい、振動の損失を防ぐ観点から、図示しない弾性体を用いて固定してもよい。
図9に示す例は、振動手段90(13)として、振動発生部としての圧電体91A、91B及びホーン92A、92Bがボルトで機械的に強固に固定されて構成されるボルト締めランジュバン型振動子90を用いて、ホーン92Aに貯留部(流路14)を形成したものである。周波数条件により、素子が大きくなる場合もあり、図示のように振動子の一部に流体導入/排出路及び貯留部を加工し、複数の薄膜を有する金属薄膜を貼り付けることができる。
なお、図2では、液滴噴射ユニット2が1個だけ粒子形成部3に取付けられている例を示しているが、後述する図11に示すように複数個の液滴噴射ユニット2を粒子形成部3(乾燥塔)上部に並列にすることが、生産性向上の観点から好ましく、その個数は100〜1000個の範囲であることが、制御性の観点から好ましい。この場合、液滴噴射ユニット2の各貯留部14には配管8を介して原料収容部(共通液溜め)7に通じ、トナー組成液10が供給される構成とする。トナー組成液10は、液滴化に伴って自給的に供給される構成とすることもできるし、また、装置稼働時等、補助的にポンプ9を用いて液供給を行う構成とすることもできる。
液滴噴射ユニットの他の例について図10を参照して説明する。なお、図10は同液滴噴射ユニットの模式的断面説明図である。
この液滴噴射ユニット2は、前述した例と同様に、ホーン型振動子を振動手段13を用いて、この振動発生手段13の周囲を囲んでトナー組成液10を供給する流路部材15を配置し、振動発生手段13のホーン22に薄膜12と対向する部分に貯留部14を形成している。さらに、流路部材15の周囲に所要の間隔を置いて気流35を流す気流路37を形成する気流路形成部材36を配置している。なお、図示を簡略化するため、薄膜12のノズル11は1個で示しているが、前述したように複数個設けられている。
また、図11に示すように、複数、例えば制御性の観点からは100〜1,000個の液滴噴射ユニット2を、粒子形成部3を構成する乾燥塔の上部に並べて配置する。これにより、より生産性の向上を図ることができる。
(円環状機械的振動手段)
図12は図1に示す装置において液滴噴射ユニットをリング式のものに代えたものである。
リング式の液滴噴射ユニット2について図13〜図15を参照して説明する。なお、図13は同液滴噴射ユニット2の断面説明図、図14は図12を下側から見た要部底面説明図、図15は液滴化手段の概略断面説明図である。
この液滴噴射ユニット2は、少なくとも樹脂及び着色剤を含有するトナー組成液10を液滴化して放出させる液滴化手段11と、この液滴化手段11にトナー組成液10を供給する貯留部(液流路)14を形成した流路部材15とを備えている。
液滴化手段16は、複数のノズル(吐出口)11が形成された薄膜12と、この薄膜12を振動させる円環状の振動発生手段(電気機械変換手段)17とで構成されている。ここで、薄膜12は、最外周部(図15の斜線を施して示す領域)をハンダ又はトナー組成液に溶解しない樹脂結着材料によって流路部材15に接合固定している。振動発生手段17は、この薄膜12の変形可能領域16A(流路部材15に固定されていない領域)内の周囲に配されている。この振動発生手段17にはリード線21、22を通じて駆動回路(駆動信号発生源)23から所要周波数の駆動電圧(駆動信号)が印加されることで、例えば撓み振動を発生する。
液滴化手段16は、貯留部14に臨む複数のノズル11を有する薄膜12の変形可能領域16A内の周囲に円環状の振動発生手段17が配されていることによって、例えば図16に示す比較例構成のように振動発生手段17Aが薄膜12の周囲を保持している構成に比べて、相対的に薄膜12の変位量が大きくなり、この大きな変位量が得られる比較的大面積(φ1mm以上)の領域に複数のノズル11を配置することができ、これら複数のノズル15より一度に多くの液滴を安定的に形成して放出することができるようになる。
図12では、液滴噴射ユニット2が1個配置されている例で図示しているが、好ましくは、図17に示すように、複数、例えば制御性の観点からは100〜1,000個(図17では4個のみ図示)の液滴噴射ユニット2を、粒子形成部3の天面部3Aに並べて配置し、各液滴噴射ユニット2には配管8Aを原料収容部7(共通液溜め)に通じさせてトナー組成液10を供給するようにする。これによって、一度により多くの液滴を放出させることができて、生産効率の向上を図ることができる。
(液滴形成メカニズム)
次に、この液滴化手段としての液滴噴射ユニット2による液滴形成のメカニズムについて説明する。
上述したように液滴噴射ユニット2は、貯留部14に臨む複数のノズル11を有する薄膜12に、機械的振動手段である振動手段13によって発生した振動を伝播させて、薄膜12を周期的に振動させ、比較的大面積(φ1mm以上)の領域に複数のノズル11を配置し、それら複数のノズル11より液滴を安定的に形成して放出することができるようになる。
図18に示すような単純円形膜12の周辺部12Aを固定した場合、基本振動は周辺が節になり、図19に示すように、薄膜の中心Oで変位ΔLが最大(ΔLmax)となる断面形状となり、振動方向に周期的に上下振動する。
また、図20、図21に示すような、より高次のモードが存在することが知られている。これらのモードは、円形膜内に、同心円状に節を1乃至複数持ち、実質的に軸対称な変形形状である。また、図22に示すように、中心部が凸形状12cとすることで液滴の進行方向を制御し、かつ振動振幅量を調整することが可能である。
円形薄膜の振動により、円形膜各所に設けられたノズル近傍の液体には、膜の振動速度Vmに比例した音圧Pacが発生する。音圧は、媒質(トナー組成液)の放射インピーダンスZrの反作用として生じることが知られており、音圧は、放射インピーダンスと膜振動速度Vmの積で下記式(1)の方程式を用いて表される。
ac(r,t)=Z・V(r,t) (1)
膜の振動速度Vmは時間とともに周期的に変動しているため時間の関数であり、例えばサイン波形、矩形波形など、様々な周期変動を形成することが可能である。また、前述のとおり、膜の各所で振動方向の振動変位は異なっており、Vmは、膜上の位置座標の関数でもある。本発明で用いられる膜の振動形態は、上述のとおり軸対象である。したがって、実質的には半径座標の関数となる。
以上のように、分布を持った膜の振動変位速度に対して、それに比例する音圧が発生し、音圧の周期的変化に対応してトナー組成液が、気相へ吐出される。
気相へ周期的に排出されたトナー組成液は、液相と気相との表面張力差によって球体を形成するため、液滴化が周期的に発生する。
液滴化を可能とする膜の振動周波数としては20kHz〜2.0MHzの領域が用いられ、50kHz〜500kHzの範囲がより好適に用いられる。20kHz以上の振動周期であれば、液体の励振によって、トナー組成液中の顔料やワックスなどの微粒子の分散が促進される。
更には、前記音圧の変位量が、10kPa以上となることによって、上述の微粒子分散促進作用がより好適に発生する。
ここで、形成される液滴の直径は、前記膜のノズル近傍における振動変位が大きいほど大きくなる傾向にあり、振動変位が小さい場合、小滴が形成されるか、または液滴化しない。このような、各ノズル部位における液滴サイズのばらつきを低減するためには、ノズル配置を、膜振動変位の最適な位置に規定することが必要である。
本発明においては、図19〜21で説明されるように、前記機械的振動手段により発生するノズル近傍における膜の振動方向変位ΔLの最大値ΔLmaxと最小値ΔLmimの比R(=ΔLmax/ΔLmin)が、2.0以内である部位にノズルが配置することにより、上記液滴サイズのばらつきを、高画質な画像を提供することのできるトナー微粒子として必要な領域に保てることを見出した。
トナー組成液の条件を変更し、粘度20mPa・s以下、表面張力20乃至75mN/mの領域においてサテライトの発生開始領域が同様であったことから、前記音圧の変位量が、500kPa以下であることが必要となる更に好適には、100kPa以下である。
(複数のノズルを有する薄膜)
ノズルを有する薄膜は、先にも述べたように、トナー用材料の溶解乃至分散液を、吐出させて液滴とする部材である。
この薄膜12の材質、ノズル11の形状としては、特に制限はなく、適宜選択した形状とすることができるが、例えば、薄膜12は厚み5〜500μmの金属板で形成され、かつ、ノズル11の開口径が3〜35μmであることが、ノズル11からトナー組成液10の液滴を噴射させるときに、極めて均一な粒子径を有する微小液滴を発生させる観点から好ましい。なお、前記ノズル11の開口径は、真円であれば直径を意味し、楕円であれば短径を意味する。また、複数のノズル11の個数は、2ないし3000個が好ましい。
<溶媒除去手段>
前記溶媒除去設備としては、乾燥用気体としての水蒸気を含んだスチームを流すことにより気流を発生させ、該気流により、液滴を溶媒除去設備内で搬送させると共に、該搬送中に前記液滴中の溶媒を除去させることにより、トナー粒子を形成する。前記乾燥用気体としては、水蒸気を含んでいれば特に制限はないが、脱溶媒工程投入時の温度(運転温度)において相対湿度が85%以上であることが好ましく飽和蒸気圧であることが特に好ましい。水蒸気を含む気体としては空気、窒素ガス、などが好適に挙げられる。
更に常圧下の露点温度が−10℃以下の第二脱溶媒用気体を溶媒除去手段の途中から流すことが可能である。この第二脱溶媒用気体を用いることにより溶媒と置換された水分の乾燥が可能となり下記に示す減率乾燥手段の時間を短縮することが可能となる。第二脱溶媒用気体としては空気または窒素を用いることが好ましい。
また、恒率乾燥において、第一段階の脱溶媒に用いられる水蒸気を含んだ脱溶媒用気体及び第二段階の脱溶媒に用いられる常圧下の露点温度が−10℃以下の第二脱溶媒用気体の脱溶媒工程投入温度は、捕集されるトナー温度が50℃以上とならない温度に設定される。
本発明のトナー製造装置は減率乾燥手段を前記気流乾燥手段と別途に設けることができる。減率乾燥手段としては伝導電熱式攪拌乾燥機、流動層乾燥機、移動層乾燥機等が用いられる。減率乾燥時の乾燥温度は使用する樹脂のガラス転移点、有機低分子物質の融解温度いずれか低い温度より低い温度であることが好ましく、さらに好ましくは10℃以上低い温度が好ましい。
<その他の手段>
本発明のトナーは必要に応じて外添剤を混合する。外添剤混合工程と前記減率乾燥工程を同時に行うことが可能である。工程を同一化することにより工程の簡略化が可能となる。
(画像形成装置)
本発明のトナーを用いる画像形成装置の概略について以下述べる。
本発明の電子写真式画像形成装置の一例として複写機の図25に示す。
以下、本発明を図面に示した実施の形態により詳細に説明する。
図25は、本発明の一実施の形態に係るカラー画像形成装置の内部構成図の一例を示す。この具体例はタンデム型間接転写方式の電子写真複写装置であるが、本発明の画像形成装置は二成分現像剤を用いた電子写真方式の全てに適用されるものであり、本具体例に限ったものではない。
図中符号100は複写装置本体、200は複写装置本体100を載せる給紙テーブル、300は複写装置本体100上に取り付けるスキャナ(読取り光学系)、400はさらにその上に取り付ける原稿自動搬送装置(ADF)である。複写装置本体100の中央位置には、横方向へ延びる無端ベルト状の中間転写体10を設ける。そして、図示例では中間転写体を3つの支持ローラ14・15・16に掛け回して図中時計回りに回転搬送可能とする。この図示例では、3つの支持ローラの中で、第2の支持ローラ15の左に、画像転写後に中間転写体10上に残留する残留トナーを除去する中間転写体クリーニング装置17を設ける。また、3つの支持ローラの中で第1の支持ローラ14と第2の支持ローラ15間に張り渡した中間転写体10上には、その搬送方向に沿って、ブラック・イエロー・マゼンタ・シアンの4つの画像形成手段18を横に並べて配置してタンデム画像形成部20を構成する。タンデム画像形成部20の直上には、図25に示すように、さらに露光装置21を設ける。一方、中間転写体10を挟んでタンデム画像形成部20と反対の側には、2次転写装置22を備える。2次転写装置22は、図示例では、2つのローラ23間に、無端ベルトである2次転写ベルト24を掛け渡して構成し、中間転写体10を介して第3の支持ローラ16に押し当てて配置し、中間転写体10上の画像をシートに転写する。2次転写装置22の横には、シート上の転写画像を定着する定着装置25を設ける。定着装置25は、無端ベルトである定着ベルト26に加圧ローラ27を押し当てて構成する。上述した2次転写装置22は、画像転写後のシートをこの定着装置25へと搬送するシート搬送機能も備えている。なお、図示例では、このような2次転写装置22および定着装置25の下に、上述したタンデム画像形成部20と平行に、シートの両面に画像を記録すべくシートを反転するシート反転装置28を備える。
さて、いまこのカラー電子写真装置を用いてコピーをとるときは、原稿自動搬送装置400の原稿台30上に原稿をセットする。または、原稿自動搬送装置400を開いてスキャナ300のコンタクトガラス32上に原稿をセットし、原稿自動搬送装置400を閉じてそれで押さえる。不図示のスタートスイッチを押すと、原稿自動搬送装置400に原稿をセットしたときは、原稿を搬送してコンタクトガラス32上へと移動させた後、他方コンタクトガラス32上に原稿をセットしたときは、直ちにスキャナ300を駆動し、第1走行体33および第2走行体34を走行する。そして、第1走行体33で光源から光を発射するとともに原稿面からの反射光をさらに反射して第2走行体34に向け、第2走行体34のミラーで反射して結像レンズ35を通して読取りセンサ36に入れ、原稿内容を読み取る。また、不図示のスタートスイッチを押すと、不図示の駆動モータで支持ローラ14、15、16のうちの1つを回転駆動して他の2つの支持ローラを従動回転し、中間転写体10を回転搬送する。同時に、個々の画像形成手段18でその感光体40を回転して各感光体40上にそれぞれ、ブラック・イエロー・マゼンタ・シアンの単色画像を形成する。
そして、中間転写体10の搬送とともに、それらの単色画像を順次転写して中間転写体10上に合成カラー画像を形成する。一方、不図示のスタートスイッチを押すと、給紙テーブル200の給紙ローラ42の1つを選択回転し、ペーパーバンク43に多段に備える給紙カセット44の1つからシートを繰り出し、分離ローラ45で1枚ずつ分離して給紙路46に入れ、搬送ローラ47で搬送して複写機本体100内の給紙路48に導き、レジストローラ49に突き当てて止める。そして、中間転写体10上の合成カラー画像にタイミングを合わせてレジストローラ49を回転し、中間転写体10と2次転写装置22との間にシートを送り込み、2次転写装置22で転写してシート上にカラー画像を記録する。画像転写後のシートは、2次転写装置22で搬送して定着装置25へと送り込み、定着装置25で熱と圧力とを加えて転写画像を定着した後、切換爪55で切り換えて排出ローラ56で排出し、排紙トレイ57上にスタックする。または、切換爪55で切り換えてシート反転装置28に入れ、そこで反転して再び転写位置へと導き、裏面にも画像を記録して後、排出ローラ56で排紙トレイ57上に排出する。一方、画像転写後の中間転写体10は、中間転写体クリーニング装置17で、画像転写後に中間転写体10上に残留する残留トナーを除去し、タンデム画像形成部20による再度の画像形成に備える。
さて、上述したタンデム画像形成部20において、個々の画像形成手段18は、ドラム状の感光体40のまわりに、帯電装置60、現像装置61、1次転写装置62、除電装置64などを備えている。感光体クリーニング装置63は少なくともブレードクリーニング部材を持つ。また、現像装置61は、図26に示すように現像剤容器内に、現像剤攪拌・搬送手段としてのトナー補給側攪拌室86、現像側攪拌室87、現像スリーブ68、トナー濃度センサ75、ドクタブレード77を備える。第一の現像剤撹拌室86の容器外壁には図示しない補給口を設けて図示しないトナー補給装置からトナーが供給される。トナー補給側の攪拌スクリューは、トナー補給装置から補給されたトナーと現像剤容器内の現像剤(磁性粒子とトナーとを有する二成分現像剤)とを攪拌、搬送する。また、第二の現像剤撹拌室87(現像剤担持体側)の攪拌スクリューは、現像剤容器内の現像剤を攪拌、搬送する。(以後、第二の現像剤攪拌室を現像側攪拌室と呼ぶ。)
補給側攪拌室と現像側攪拌室は図27に示すように仕切り板80で仕切られており、両端部に現像剤の受け渡す開口部がある。
現像側攪拌室の現像剤は現像スリーブに汲み上げられ、ドクタブレードによって量を規制され潜像坦持体との摺擦部に供給される。この時、ドクタブレードにより現像剤は最も大きな摺擦力を与えられる。
図28に本発明の現像方法を用いるプロセスカートリッジの概略構成を示す。図8において、10はプロセスカートリッジ全体を示し、11は感光体、12は帯電手段、13は現像手段、14はクリーニング手段を示す。
本発明においては、上述の感光体11、帯電装置手段12、現像手段13及びクリーニング手段14等の構成要素のうち、複数のものをプロセスカートリッジとして一体に結合して構成し、このプロセスカートリッジを複写機やプリンタ等の画像形成装置本体に対して着脱可能に構成する。
本発明の現像方法を用いるプロセスカートリッジを有する画像形成装置は、感光体が所定の周速度で回転駆動される。感光体は回転過程において、帯電手段によりその周面に正または負の所定電位の均一帯電を受け、次いで、スリット露光やレーザビーム走査露光等の像露光手段からの画像露光光を受ける。こうして感光体の周面に静電潜像が順次形成され、形成された静電潜像は現像手段によりトナーで現像され、現像されたトナー像は、給紙部から感光体と転写手段との間に感光体の回転と同期されて給送された転写材に、転写手段により順次転写されていく。像転写を受けた転写材は感光体面から分離されて像定着手段へ導入されて像定着され、複写物(コピー)として装置外へプリントアウトされる。像転写後の感光体の表面は、少なくともブレードクリーニング部材を持つクリーニング手段によって転写残りトナーの除去を受けて清浄面化され、更に除電された後、繰り返し画像形成に使用される
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明は何ら以下の実施例に限定されるものではない。
<着色剤分散液の調製>
先ず、着色剤としての、カーボンブラックの分散液を調製した。
カーボンブラック(Regal400;Cabot社製)16重量部、顔料分散剤4重量部を、酢酸エチル80重量部に、攪拌羽を有するミキサーを使用し、一次分散させた。該顔料分散剤としては、アジスパーPB821(味の素ファインテクノ社製)を使用した。得られた一次分散液を、ダイノーミルを用いて強力なせん断力により細かく分散し、凝集体を完全に除去した虹分散液を調製した。更に、1μmの細孔を有するフィルター(PTFE製)を通過させ、サブミクロン領域まで分散させた液を調製した。
<ワックス分散液の調製>
次に、結着樹脂としての樹脂、及びワックスを添加した下記組成からなる分散液を調製した。
結着樹脂としてのポリエステル樹脂(花王社製RN−300)14重量部、パラフィンワックス(HPE−11)10重量部、三洋化成社製ワックス分散剤6重量部を、酢酸エチル80重量部に、着色剤分散液調製時と同じく、攪拌羽を有するミキサーを使用して、10分間攪拌を行い、分散させた後、ダイノーミルを用いて分散を施した。この段階の分散液を、着色剤分散液調製時と同様に、1μmのフィルター(PTFE製)で濾過した。
<トナー材料液Aの調整>
着色剤分散液 : 50部
ワックス分散液 : 50部
結着樹脂 : 90部
(日本カーバイト社製スチレンアクリル樹脂 NCI 10B−85 重量平均分子量(Mw)8500 )
酢酸エチル: 720部
<トナー材料液Bの調整>
着色剤分散液 : 50部
ワックス分散液 : 50部
結着樹脂 : 90部
(花王社製ポリエステル樹脂RN−300 重量平均分子量(Mw)14000)
酢酸エチル :720部
<トナー材料液Cの調整>
着色剤分散液 : 50部
ワックス分散液 : 50部
結着樹脂 : 70部
(花王社製ポリエステル樹脂RN−300 重量平均分子量(Mw)14000)
結着樹脂 : 20部
(日本カーバイト社製スチレンアクリル樹脂 NCI 10B−85 重量平均分子量(Mw)8500 )
酢酸エチル :720部
<トナー材料液Dの調整>
着色剤分散液 : 50部
ワックス分散液 : 50部
結着樹脂 : 90部
(花王社製ポリエステル樹脂RN−104 重量平均分子量(Mw)50000)
酢酸エチル :720部
(トナーの作成)
前記で得られたトナー材料液A〜Dを下記の製造法1〜3にてそれぞれトナー母体A1、A2、A3、B1、B2、B3、C1、C2、C3、D1、D2、D3を作成した。作成したトナーは全て平均粒径(D4)が5.8μmの単一分散粒子であった。
[実施例1](製造法1)
トナー組成液を貯留する貯留部を有し、前記貯留部に設けた複数のノズルを有する薄膜から前記トナー組成液を機械的振動手段により周期的に放出する図3に示したホーン型振動子ノズルヘッドを用いた噴霧手段を持つ図23に示したトナー製造装置にて噴霧乾燥した後、流動層乾燥機にて50℃雰囲気で減率乾燥したトナー母体A1〜D1を作成した。
このときの乾燥用気体は温度50℃、相対湿度85%RHの水蒸気を含んだスチームであり、ホーン型振動子ノズルヘッドを用いた噴霧手段の噴射量は10g/minとした。
トナー母体A1からD1の減率乾燥後の残留溶媒値及び固形分を表1に示す。
尚、評価基準として残留溶媒値50ppm未満を◎、50ppm以上100ppm未満を○、100ppm以上200ppm未満を△、200ppm以上を×とした。残留溶媒値が200ppmを超えると電子写真式画像形成装置にて該トナーを使用すると臭気、感光体フィルミング等の問題発生することが確認されている。
なお、使用した薄膜は、外径8.0mmで厚み20μmのニッケル板に、真円形状の直径8μmの吐出孔(ノズル)を、電鋳法による加工で作製した。吐出孔は各吐出孔間の距離が100μmとなるように千鳥格子状に、薄膜の中心の約5mmφの範囲にのみ設けた。
圧電体としては、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)を積層して使用し、振動周波数は180KHzとした。
Figure 2009042359
[実施例2](製造法2)
トナー組成液を貯留する貯留部を有し、前記貯留部に設けた複数のノズルを有する薄膜から前記トナー組成液を機械的振動手段により周期的に放出する図3に示したホーン型振動子ノズルヘッドを用いた噴霧手段を持つ図24に示したトナー製造装置にて噴霧乾燥したトナー母体A2〜D2を作成した。
このときの第一乾燥用気体は気体温度50℃、相対湿度95%RHの水蒸気を含んだスチームであり、第二乾燥気体は温度40℃、相対湿度5%RH未満の乾燥空気とした。ホーン型振動子ノズルヘッドを用いた噴霧手段の噴射量は10g/minとした。
トナー母体A2からD2の噴霧乾燥後の残留溶媒値及び固形分を表2に示す。
製造法2を用いることにより減率乾燥工程が削減可能となる。
なお、使用した薄膜は、外径8.0mmで厚み20μmのニッケル板に、真円形状の直径8μmの吐出孔(ノズル)を、電鋳法による加工で作製した。吐出孔は各吐出孔間の距離が100μmとなるように千鳥格子状に、薄膜の中心の約5mmφの範囲にのみ設けた。
圧電体としては、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)を積層して使用し、振動周波数は180KHzとした。
Figure 2009042359
[比較例1](製造法3)
トナー製造法1の乾燥用気体をスチームから温度50℃、相対湿度5%RH未満の乾燥窒素に変更した製造方法にて恒率乾燥を行った後、流動層乾燥機にて50℃雰囲気で減率乾燥したトナー母体A3〜D3を作成した。
トナー母体A3からD3の減率乾燥後の残留溶媒値及び固形分を表3に示す。
Figure 2009042359
以上により本発明のトナー製造方法によれば有機溶媒に溶解されたトナー組成液を噴射して微小液的を形成する製造方法において、低コストで残留溶媒を低減したトナー粒子を得ることができる。
本発明のトナー製造方法によれば、噴射したトナー組成液の微小液滴から残留溶媒を低減させたトナー粒子を低コスト、短時間で製造することができるので、電子写真に用いられるトナーの製造方法として好適である。
本発明に係るトナーの製造方法に用いるトナーの製造装置の一例を示す概略構成図である。 本発明に係るトナーの製造方法に用いるトナーの製造装置の一例を示す概略構成図である。 同トナーの製造装置の液滴噴射ユニットの説明に供する拡大説明図である。 図3を下側から見た底面説明図である。 同液滴噴射ユニットの振動発生手段を構成するステップ型のホーン型振動子の例を示す模式的説明図である。 同液滴噴射ユニットの振動発生手段を構成するエクスポネンシャル型のホーン型振動子の例を示す模式的説明図である。 同液滴噴射ユニットの振動発生手段を構成するコニカル型のホーン型振動子の例を示す模式的説明図である。 同トナーの製造装置の液滴噴射ユニットの他の例の説明に供する拡大説明図である。 同トナーの製造装置の液滴噴射ユニットの更に他の例の説明に供する拡大説明図である。 同トナーの製造装置の液滴噴射ユニットの更にまた他の例の説明に供する拡大説明図である。 図10の液滴噴射ユニットを複数個配置した例の説明に供する説明図である。 本発明に係るトナーの製造方法に用いるトナーの製造装置の一実施形態を示す概略構成図である。 同トナーの製造装置の液滴噴射ユニットの説明に供する拡大説明図である。同じく薄膜の中央部に凸部を形成した場合の説明図である。 図13を下側から見た底面説明図である。 同液滴噴射ユニットの液滴化手段の拡大断面説明図である。 比較例構成に係る液滴化手段の拡大断面説明図である。 同トナーの製造装置の具体的適用の説明に供する要部説明図である。 同液滴噴射ユニットによる液滴化の動作原理の説明に供する薄膜の模式的説明図である。 同じく基本振動モードの説明に供する説明図である。 同じく2次振動モードの説明に供する説明図である。 同じく3次振動モードの説明に供する説明図である。 同じく薄膜の中央部に凸部を形成した場合の説明図である。 実施例で用いたトナー製造装置の構成を示す概略図である。 実施例で用いたトナー製造装置の構成を示す概略図である。 本発明に係る画像形成装置の一例を示す斜視図である。 現像器の一例を示す断面図である。 現像器の一例を示す断面図である。 プロセスカートリッジの一例を示す図である。 恒率乾燥及び減率乾燥の用語を説明する図である。
符号の説明
(図1〜21について)
1 トナーの製造装置
2 液滴噴射ユニット
3 粒子形成部(溶媒除去部)
4 トナー捕集部
5 チューブ
6 トナー捕集部
7 原料収容部
8 配管
9 ポンプ
10 トナー組成液
11 ノズル
12 薄膜
13 振動手段
13a振動面
14 貯留部
15 流路部材
16 液滴化手段
17 振動発生手段(電気機械変換手段)
18 液供給チューブ
19 気泡排出チューブ
20 支持部材
21 振動発生手段
21A 圧電体
22 振動増幅手段
22A ホーン
23 駆動回路(駆動信号発生源)
24 通信手段
31 液滴
35 気流
36 気流路形成部材
37 気流路
80 ホーン型振動子
81 圧電体
82 ホーン
83 固定部
90 ランジュバン型振動子
91 圧電体
92 ホーン
T トナー粒子
(図23,24について)
1 貯留部
2 振動手段
3 ノズルヘッド
4 スチーム発生手段(第一乾燥風発生手段)
5 液供給手段
6 溶媒除去手段
7 トナー材料液貯蔵部
8 送液管
9 貫通孔保持機構
10 振動発生装置
11 導電線
12 開放弁
13 液滴
14 乾燥用スチーム
15 第二乾燥風発生手段
16 第二乾燥風
(図25〜28について)
10 中間転写体
14・15・16 支持ローラ
17 中間転写体クリーニング装置
18 画像形成手段
20 タンデム画像形成部
22 2次転写装置
24 2次転写ベルト
25 定着装置
26 定着ベルト
27 加圧ローラ
28 シート反転装置
30 原稿台
32 コンタクトガラス
33 第1走行体
34 第2走行体
35 結像レンズ
36 読取りセンサ
40 感光体
42 給紙ローラ
43 ペーパーバンク
44 給紙カセット
45 分離ローラ
46 給紙路
47 搬送ローラ
48 給紙路
49 レジストローラ
55 切換爪
56排出ローラ
57 排紙トレイ
60 帯電装置
61 現像装置
62 1次転写装置
64除電装置
63感光体クリーニング装置
61現像装置
86 トナー補給側攪拌室
87 現像側攪拌室
68 現像スリーブ
75 トナー濃度センサ
77 ドクタブレード
87 第二の現像剤撹拌室
80 仕切り板
100 複写装置本体
200 給紙テーブル
300 スキャナ
400 原稿自動搬送装置(ADF)

Claims (11)

  1. 少なくとも樹脂及び着色剤を含むトナー用材料を溶媒に溶解乃至分散させたトナー組成液をノズルを通して液滴化する工程と、該液滴から溶媒を除去する脱溶媒工程とを含む電子写真用トナーの製造法において、液滴の予熱及び少なくとも恒率乾燥の一部を該液滴と水蒸気を含む脱溶媒用気体とを接触させて行うことを特徴とする電子写真用トナーの製造方法。
  2. 少なくとも樹脂及び着色剤を含むトナー用材料を溶媒に溶解乃至分散させたトナー組成液を、ノズルを通して液滴化する工程と、該液滴から溶媒を除去する脱溶媒工程とを含む電子写真用トナーの製造法において、液滴の予熱及び恒率乾燥を二段階で行ない、第一段階を該液滴と水蒸気を含む第一脱溶媒用気体とを接触させて行い、次いで、第二段階を常圧下の露点温度が−10℃以下の第二脱溶媒用気体と接触させて行うことを特徴とする電子写真用トナーの製造方法。
  3. 水蒸気を含む乾燥用気体の相対湿度が脱溶媒工程投入時の温度において85%以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子写真用トナーの製造方法。
  4. 前記ノズルが、貯留部の一部に接する振動手段により、前記貯留部を介して原料流体を励振しながら、貯留部に設けた複数の貫通孔より該原料液体を造粒空間に放出し、原料流体を柱状から括れ状態を経て液滴化する振動チャンバーノズルヘッドであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のトナーの製造方法
  5. 該ノズルが、トナー組成液を貯留する貯留部に設けた複数のノズルを有する薄膜から前記トナー組成液を機械的振動手段により周期的に放出するノズルであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかにトナーの製造方法。
  6. 前記機械的振動手段が、前記薄膜のノズルを設けた領域の周囲に円環状に形成された振動発生手段であることを特徴とする請求項4に記載のトナーの製造方法。
  7. 前記機械的振動手段が、前記薄膜に対して平行な振動面を有し、該振動面が垂直方向に縦振動する振動手段であることを特徴とする請求項4にトナーの製造方法。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載のトナーの製造方法によって製造された電子写真用トナー。
  9. THF溶解分のGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によって測定される分子量分布において、重量平均分子量(Mw)が8.0×10〜5.0×10であることを特徴とする請求項8に記載の電子写真用トナー。
  10. 請求項8又は9に記載の電子写真用トナーを用いた電子写真式画像形成装置。
  11. 請求項8又は9に記載の電子写真用トナーを用いたプロセスカートリッジ。
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