JP2009042354A - 位相差制御部材とのその製造方法、およびアライメント調整方法。 - Google Patents

位相差制御部材とのその製造方法、およびアライメント調整方法。 Download PDF

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Abstract

【課題】アライメントマークが設けられた基材上で液晶分子を配向させてこれを固定化したインセルタイプの位相差層を備える位相差制御部材を提供する。
【解決手段】光透過性の基材2と、前記基材に区画形成または予定形成された有効表示領域10の外側に設けられた、当該基材を位置合わせするための一つまたは複数のアライメントマーク3と、前記基材上であって、前記有効表示領域の内側、および前記アライメントマークの少なくとも一つを覆う領域に対して、ともに形成された配向膜6と、重合性液晶分子40が前記配向膜上で所定方向に配向した状態で固定化されてなる位相差層4と、を備え、前記アライメントマークを覆う配向膜と当該アライメントマークとで保護マーク30が構成されていることを特徴とする位相差制御部材。
【選択図】図1

Description

本発明は、光透過性の基材に塗布した重合性液晶分子を配向させたうえで重合固定化してなる位相差層を備える位相差制御部材とその製造方法、および当該製造方法にて行われる基材のアライメント調整方法に関する。
現在、さまざまな液晶表示装置が開発されているが、光の利用の仕方により、自然光や室内光などの外光を利用する反射型液晶表示装置と、バックライトからの照明光を利用する透過型液晶表示装置と、上記反射と透過の両方が可能な半透過半反射型液晶表示装置とに大別することができる。
これらの液晶表示装置では、様々な目的によって透過光に所望の位相差を与える複屈折機能を有する位相差層を備えている。位相差層としては、液晶分子の配向方向の相違に基づく面内/面外方向の屈折率の大小関係により、例えば正のCプレート、正のAプレート、および負のCプレート、ならびに液晶分子のチルト角が厚さ位置ごとに変化するハイブリッド配向プレートなど各種が知られている。
このうち、例えば位相差層に対して液晶分子を垂直に配向させてなる正のCプレートは、液晶セルをクロスニコル状態で挟み込む二枚の直線偏光板の視野角を拡大する機能がある。
また位相差層に対して液晶分子を水平に配向させてなる正のAプレートは、半透過半反射型液晶表示装置の微細な画素内に形成された反射表示領域を通過する可視光のみに1/4波長の位相差を与えることにより、透過表示領域を通過する可視光とともに駆動液晶分子のスイッチングによって明表示と暗表示との切り換えを可能にしている。
近年では、駆動液晶分子を二枚の基板で挟んでなる液晶セルの内側にこの位相差層を造り込むことにより、液晶表示装置全体の厚さが低減でき、また位相差層に良好な耐久性や光透過性が得られる、いわゆるインセルタイプの位相差層を備える液晶表示装置が提案されている。具体的には、液晶セルの有効表示領域内に出・入射する可視光を画素ごとにR(赤)G(緑)B(青)等に分光する着色層の上にて、重合性液晶分子を配向および重合固定化して位相差層を被覆形成することにより、複屈折機能に加えて、着色層を物理的に保護する透明保護層としての機能をも併せもった位相差制御部材(カラーフィルタ)が知られている(例えば正のCプレートをインセルタイプで作製する下記特許文献1、正のAプレートをインセルタイプで作製する下記特許文献2を参照)。かかる位相差制御部材によれば、着色層を保護するための別途の保護層が不要となり、部品点数の削減や生産コストの低減に加え、液晶表示装置全体の薄型化が可能となる。
ここで、位相差制御部材の各種製造および取扱工程においては、他の装置や基板との位置合わせ(アライメント調整)を行うことが必要である。アライメント調整には、冶具上に立てたピンに位相差制御部材を当接させて行う簡易かつ低精度のピンアライメント調整と、各種装置の備えるアライナー機構でアライメントマークをパターン認識して行う高精度の光学調整(いわゆるトンボ調整)とが代表的に行われている。一般に、前者は1mm程度以下の位置精度、後者は5μm以下の位置精度にアライメント調整することが可能である。
一般に微小な十字形状などに形成されるアライメントマークは、位相差制御部材を構成する光透過性の基材のうち、有効表示領域が予定形成された区画領域の外部に複数個設けられ、各種製版工程やその後の切断または貼り合わせ工程などにおいて、複数個のアライメントマークのうちのいずれか一以上を適宜選択して各種装置やパネルとの位置合わせに用いられる。
アライメントマーク(以下、簡単のため「AM」と略記する場合がある。)を用いて基材の位置合わせをする具体的なケースとしては、
(一)基材上面に着色層をフォトリソグラフィー法やインクジェット法により微細にパターン形成する場合の、基材と当該フォトマスク、または基材とインクジェットコーターとの位置合わせ;
(二)塗布された液晶性インキをフォトリソグラフィー法でパターニング露光する場合の、基材とフォトマスクとの位置合わせ;
(三)位相差層形成後に、液晶セルのセル厚さ(以下、セルギャップという。)を一定に保持するための柱状体やシール、または駆動液晶分子の配向方向を規制するための突起などをフォトリソグラフィー法や転写法などにより微細にパターン形成する場合の、基材と当該フォトマスク、または転写装置との位置合わせ;
(四)位相差層形成後に、駆動液晶分子やその配向膜などを位相差層の上に直接または間接に塗工する場合の、基材と塗工装置との位置合わせ;
(五)位相差層形成後に、当該基材を所定のカットラインで切断する場合の、基材と切断装置との位置合わせ;
(六)位相差層を形成した基材と、液晶駆動回路を画素ごとにパターン配置した液晶駆動基板とを貼り合わせる場合の、基材と液晶駆動基板との位置合わせ;などを一例として挙げることができる。
アライナー機構によるAMの認識は、対物CCDカメラを搭載したアライナー機構の備える照明系でAMを照らし、吸光性または光反射性のAMと、その周囲にあたる光透過性の近傍領域との透過率または反射率のコントラスト比を、光学的に測定して行うことが通常である。アライナー機構の照明光源とその受光部(対物CCDカメラ)とは、AMに対して同一側に配置される場合と反対側に配置される場合とがある。同一側に配置する場合、AMを光反射性とすることで、AM形成位置では照明光が反射されて受光部で明るく観察され、その周囲は照明光が透過して黒色に観察される。照明光源と受光部とを反対側に配置する場合、AMを遮光性(吸光性または光反射性)とすることで、AM形成位置では照明光が吸収または反射されて黒色の光抜けとして受光部で観察され、その周縁は透過した照明光が明るく観察される。受光部で観察された上記照明光はコンピュータにて画像処理が施され、隣接する画素にて所定の閾値以上のコントラスト比が計測された場合にAMのエッジが検出される。
特開2005−165239号公報 特開2006−276397号公報
アライナー機構による光学的なアライメント調整にあたり、AMおよびその周囲に配向膜を形成することなく液晶性インキを塗工した場合は、下記の理由によりAMおよびその周囲では液晶分子の配向が乱れて微小ドメインが形成され、アライナー機構の照明光が強く散乱してAMの光学認識が著しく阻害される虞がある。
すなわち、例えば着色層上に被覆形成された水平配向膜によって液晶分子を水平配向させて作製するインセルタイプの正のAプレートの場合、当該水平配向膜は、有効表示領域内にRGBなどの着色領域が微細にパターニングされた着色層の上にのみ被覆されれば足りることから、有効表示領域の外側に設けられるAMおよびその周囲は水平配向膜によって覆われることはない。またAMの視認性を損なわないよう、AMおよびその周囲には着色層を被覆形成しないことが通常であるため、AMの近傍においては、AMが突出形成された基材上に液晶性インキが塗布されることが通常である。したがってAM自体の無視できない層厚さにより位相差層には段差が形成されることと相俟って、AMおよびその周囲においては液晶分子の水平配向に不良が生じて上記の光散乱の問題が生じていた。
同様にインセルタイプの正のCプレートの場合も、垂直配向膜が被覆形成された有効表示領域内においては液晶分子の良好な垂直配向が得られるものの、かかる配向膜が塗工形成されないAMおよびその周囲においては液晶分子の垂直配向に乱れが生じて照明光の散乱が生じていた。
上記のようにアライナー機構の照明光に散乱が生じると、以後の工程においてAMを光学認識してのアライメント調整を高精度で行うことができないという重大な問題が生じる。
具体的には、液晶分子を配向させた状態からフォトマスクを介してフォトリソグラフィー法により有効表示領域内に所望の位相差層をパターン形成することを試みた場合、基材とフォトマスクとのアライメント調整を高精度に行うことができず、最悪の場合アライナー機構が閾値以上のコントラスト比をいつまでも検出することができずに計測エラーが生じ、上記ケース(二)における位置合わせがそもそも不可能となる。
また位相差層をフォトリソグラフィー法でパターン形成することを諦め、着色層を含む基材全面にベタ膜としてこれを塗工形成した場合についても、位相差層形成後におこなわれる上記ケース(三)〜(六)において同様にアライメント調整が不可能となる。
なお本発明の上記課題は、基材上に着色層を備えるいわゆるカラーフィルタにのみ発生するものではなく、基材を高精度でアライメント調整する必要があり、かつ基材上で液晶分子を配向させて固定化するインセルタイプの位相差制御部材の全般に対して生じうるものである。
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、すなわち本発明は、アライメントマークが設けられた基材上で液晶分子を配向させてこれを固定化したインセルタイプの位相差層を備える位相差制御部材であって、アライナー機構によるアライメントマークの光学的な認識を良好に行うことのできる位相差制御部材やその製造方法、および当該製造方法にて行われる基材のアライメント調整方法を提供することを目的とする。本発明のその他の目的は以下の説明より明らかとなろう。
本発明は、従来の位相差制御部材においては液晶分子を配向させる配向膜を有効表示領域内のみに塗工形成することがいわば技術常識であったところ、これを有効表示領域内のみならずその外側にあるAMおよびその周囲についても敢えてこれを設けることにより、塗布された液晶分子を、有効表示領域内と同等の配向性によってAMおよびその周囲においても配向させるという技術思想に基づいて為されたものである。
すなわち本発明にかかる位相差制御部材は、
(1)光透過性の基材と、
前記基材に区画形成または予定形成された有効表示領域の外側に設けられた、当該基材を位置合わせするための一つまたは複数のアライメントマークと、
前記基材上であって、前記有効表示領域の内側、および前記アライメントマークの少なくとも一つを覆う領域に対して、ともに形成された配向膜と、
重合性液晶分子が前記配向膜上で所定方向に配向した状態で固定化されてなる位相差層と、を備え、
前記アライメントマークを覆う配向膜と当該アライメントマークとで保護マークが構成されていることを特徴とする位相差制御部材;
(2)配向膜が、前記有効表示領域の内側と、前記保護マークを構成するアライメントマークを覆う領域とにパターン形成されていることを特徴とする上記(1)に記載の位相差制御部材;
(3)基材と配向膜との間に、少なくとも2色以上の着色領域からなる着色層を更に備える上記(1)または(2)に記載の位相差制御部材;
を要旨とする。
また本発明にかかるアライメント調整方法は、
(4)(a)有効表示領域の外側にアライメントマークが設けられた光透過性の基材と、(b)前記アライメントマークおよびその周囲、ならびに前記有効表示領域内の所定位置にそれぞれ対応してマスクパターンが開口形成された遮光性のフォトマスクと、を位置合わせするアライメント調整方法であって、
前記基材上であって、前記有効表示領域の内側と、前記アライメントマークを覆う領域とに対して、ともに配向膜を形成し、
光重合性の液晶分子を含有する液晶性インキを前記配向膜上に塗布し、
前記塗布された液晶分子を前記配向膜上で所定方向に配向させたのちに、
上記基材と前記フォトマスクとを、前記アライメントマークをアライナー機構で光学的にパターン認識することにより互いを位置合わせすることを特徴とするアライメント調整方法;
を要旨とする。
さらに本発明にかかる位相差制御部材の製造方法は、
(5)有効表示領域の内側を通過する透過光に位相差を与える位相差制御部材の製造方法であって、
(i)光透過性の基材に区画形成または予定形成された前記有効表示領域の外側に一つまたは複数のアライメントマークを形成する工程と;
(ii)前記基材上であって、前記有効表示領域の内側と、前記アライメントマークの少なくとも一つを覆う領域とに対して、配向膜を直接または間接に形成し、前記アライメントマークを覆う配向膜と当該アライメントマークとで保護マークを構成する配向膜形成工程と;
(iii)重合性液晶分子を含有する液晶性インキを前記配向膜上に塗布して液晶塗布膜を形成する塗布工程と;
(iv)前記重合性液晶分子を、前記配向膜上で所定方向に配向させる配向工程と;
(v)前記配向した重合性液晶分子同士を重合固定化して位相差層を形成する位相差層形成工程と;
を含む位相差制御部材の製造方法;
(6)有効表示領域の内側を通過する透過光に位相差を与える位相差制御部材の製造方法であって、
(i)光透過性の基材に区画形成または予定形成された前記有効表示領域の外側に一つまたは複数のアライメントマークを形成する工程と;
(ii)前記基材上であって、前記有効表示領域の内側と、前記アライメントマークの少なくとも一つを覆う領域とに対して、配向膜を直接または間接に形成し、前記アライメントマークを覆う配向膜と当該アライメントマークとで保護マークを構成する配向膜形成工程と;
(iii)光重合性の液晶分子を含有する液晶性インキを前記配向膜上に塗布して液晶塗布膜を形成する塗布工程と;
(iv)前記液晶分子を、前記配向膜上で所定方向に配向させる配向工程と;
(v)前記保護マークおよびその周囲、ならびに前記有効表示領域内の所定位置にそれぞれ対応してマスクパターンが開口形成された遮光性のフォトマスクと、前記基材とを、前記保護マークをアライナー機構で認識することにより互いに位置合わせするアライメント工程と;
(vi)前記フォトマスクを介して行うパターン露光、およびその後のエッチング除去により、前記配向した液晶分子同士を重合固定化してなる位相差層を、前記マスクパターンに対応してパターン形成する位相差層形成工程と;
を含む位相差制御部材の製造方法;
(7)有効表示領域の内側を通過する透過光に位相差を与える位相差層制御部材の製造方法であって、
(i)光透過性の基材に区画形成または予定形成された前記有効表示領域の外側に一つまたは複数のアライメントマークを形成する工程と;
(ii)前記基材上であって、前記有効表示領域の内側と前記アライメントマークの少なくとも一つを覆う領域とに対して、配向膜を直接または間接に塗工形成し、当該アライメントマークを保護マークとなす配向膜形成工程と;
(iii)光重合性の液晶分子を含有する液晶性インキを前記配向膜上に塗布して液晶塗布膜を形成する塗布工程と;
(iv)前記液晶分子を、前記配向膜上で所定方向に配向させる配向工程と;
(v)前記保護マークおよびその周囲、ならびに前記有効表示領域内の所定位置にそれぞれ対応してマスクパターンが開口形成された遮光性のフォトマスクと、前記基材とを、前記保護マークをアライナー機構で認識することにより互いに位置合わせをするアライメント工程と;
(vi)前記保護マークおよびその周囲を遮光した状態で前記フォトマスクを介して行うパターン露光、およびその後のエッチング除去により、前記保護マーク上に塗布された液晶分子は重合固定化せず、有効表示領域の内側に塗布された液晶分子を重合固定化して位相差層を形成する位相差層形成工程と;
を含む位相差制御部材の製造方法;
(8)上記(5)〜(7)のいずれかに記載の位相差制御部材の製造方法において、
前記位相差層形成工程の後に行われる(ア)前記基材を切断する切断加工工程、(イ)位相差層の上に他の配向膜を製膜する製膜工程、または(ウ)前記基材と他の基材とを貼り合わせる貼合工程、のいずれかにて、前記保護マークをアライナー機構で光学的にパターン認識することにより前記基材のアライメント調整を行うことを特徴とする、位相差制御部材の製造方法;
を要旨とする。
なお本発明において、保護マークを構成するアライメントマークが配向膜に覆われているまたは被覆されているとは、(a)基材に対し当該アライメントマークと配向膜とが同一面側に設けられて、当該アライメントマークの一部分または全体の上に、直接にまたは他層を介して間接に配向膜が塗工形成される場合と、(b)当該アライメントマークと配向膜とが基材の反対面側にそれぞれ設けられて、当該アライメントマークが形成された領域の一部または全部が、配向膜が形成された領域と、基材面内位置において重複している場合、の両者を意味するものである。
またアライメントマーク(保護マーク)の周囲とは、アライメントマークの一部または全部をアライナー機構の視野内に収めた場合に、当該アライメントマークとともに観察される近接領域を意味するものである。
本発明の位相差制御部材は、液晶性インキの塗布工程における、アライメントマークおよびその周囲と有効表示領域とに共通して配向膜を設けたことにより、塗布された液晶分子の配向性がアライメントマーク近傍においても良好となるため、液晶性インキのパターニング工程、およびその後の工程において、アライナー機構による認識エラーが生じることなく基材の位置合わせを確実に行うことが可能となる。
また本発明の位相差制御部材は位相差層をインセルタイプで備えることから、これを液晶駆動基板と組み合わせることで、透過光に所望の位相差を与える複屈折機能が得られるとともに、装置全体の厚さを低減し、位相差層の良好な耐久性や光透過性を得ることができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について具体的に説明する。
[第一の実施形態について]
図1は本発明の第一の実施形態にかかる位相差制御部材の一部を模式的に示す平面図であり、図2(a)はそのII−II断面図(立面図)である。また図2(b)は、従来の位相差制御部材の立面図である。
本発明の位相差制御部材1は、これを通過する透過光に位相差を与える複屈折機能を有する光学部材であり、以下に詳述するように液晶表示装置に用いられるカラーフィルタのほか、出/入射光の位相差を制御するデジタルカメラなどの光学機器と組み合わせて用いられるものである。これらの表示装置や光学機器において、透過光が出/入射して所定の表示や観測が行なわれる領域は有効表示領域とよばれ、位相差制御部材1についてもこれと対応して有効表示領域10が用意されている。
本実施形態の位相差制御部材1は、位置合わせ用のアライメントマーク(AM)3が有効表示領域10の外側に一つまたは複数形成された光透過性の基材2の表面に、直接または他層を介して間接に配向膜6を塗工形成し、さらに配向膜6の上に液晶性インキを直接塗布し、液晶分子を所定方向に配向させた位相差層4を形成して構成されている。また本発明の位相差制御部材1は、有効表示領域10のみならず、上記AM3の少なくとも一つを覆うように配向膜6が形成されていることを特徴とする。図1に示す位相差制御部材1では、有効表示領域10の外側に設けられた二つのAM3のうちの一つが配向膜6で被覆されている。本発明においては、AM3と、これを被覆する配向膜6との組み合わせを保護マーク30と呼ぶものとする。
図1に示す本実施形態の位相差制御部材1は、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)などの複数色の光透過性の着色領域91,92,93が配列された着色層9を基材2上に備えるカラーフィルタであり、有効表示領域10の内側を通過する透過光を、着色層9によってRGBなどに分光する分光機能と、位相差層4によって位相差を与える複屈折機能とを有する。
図2(a)に示す本実施形態のように、有効表示領域10とともにAM3(保護マーク30)およびその周囲を覆う領域に対しても配向膜6を設けることにより、配向膜6を含む基材2の全面に液晶性インキを塗布した場合に、保護マーク30上で液晶分子40の配向性を有効表示領域10と同等に良好なものとすることができる。より具体的には、保護マーク30の直上および保護マーク30の周縁に隣接する透過領域31の直上についても配向膜6が設けられていることから、アライナー機構(図示せず)の照明光の照射域内において液晶分子40の配向性が良好となり、もってアライナー機構による保護マーク30の光学的な認識を良好にしている。
本発明において、有効表示領域10に設けられる配向膜と、保護マーク30を構成する配向膜とは共通としてもよく、相違させてもよい。すなわち両者をともに同一の配向規制力をもつ共通の配向膜とすることで、両者を一工程にて作製できるという利点がある。ただし本発明においては、少なくとも一つのAM3(保護マーク30)の直上において液晶分子40の良好な配向性が得られれば足りることから、例えば有効表示領域10内については基材2上に水平配向膜を形成し、一方で保護マーク30には垂直配向膜を形成するなど、異種の配向膜をそれぞれに塗工形成することを排除するものではない。
なお本実施形態では位相差層4として、液晶塗布膜41に含まれる液晶分子40を水平配向した状態で互いに重合固定化した、いわゆる正のAプレートを例示するものとし、配向膜6としてはいわゆる水平配向膜を設けるものとする。
一方、図2(b)に示す従来の位相差制御部材101においては、有効表示領域10内については配向膜(水平配向膜)6が着色層9上に塗工形成されているため、その上に塗布された液晶塗布膜41に含まれる液晶分子40は良好に水平配向することが期待されるものの、AM103と液晶塗布膜41との間にはこれが設けられていないため、照明光の照射域内であるAM103の周縁の透過領域131の領域において、特に液晶分子40の配向不良が生じやすくなる。
これは、液晶分子40の配向性は、界面に対する液晶分子40のアンカリング特性と、液晶分子40同士の連続弾性体理論とで決定されるところ、基材2やAM103と配向膜6とでは界面の性状が異なるため、AM103やその周縁の透過領域131では配向膜6と同様の配向性を得ることができないためである。またAM103自体の厚みによって透過領域131には基材2との間に段差が形成されるため、液晶分子40の配向性がさらに阻害されることとなる。
液晶塗布膜41を配向膜6上に塗工して液晶分子40を所定方向に配向(本実施形態の場合、水平配向)させた状態から、液晶分子40同士を互いに重合固定化させて位相差層4を形成することができる。この際、基材2の全体を加熱するか、または基材2を全面露光することによって位相差層4はベタ製版される。一方、有効表示領域10内の所定領域が開口したマスクパターンを備える遮光性のフォトマスクを介して紫外線などの活性放射線をパターン露光し、またその後に液晶塗布膜41のエッチング除去を施すことにより、マスクパターンに対応して、すなわちポジ型のフォトリソグラフィー法の場合はマスクパターンの開口と同一形状に、そしてネガ型のフォトリソグラフィー法の場合は開口と反転形状に、位相差層4をパターン形成することができる。
したがって図2(a)に示す本実施形態の位相差制御部材1の場合、液晶塗布膜41を液晶相転移温度以上に加温して液晶分子40に水平配向を付与した場合に、保護マーク30およびその周囲において液晶分子40が微小ドメインを形成することなく良好な水平配向が得られるため、アライナー機構によるアライメントマークの光学認識が良好に行われ、基材2とフォトマスクとの高精度の位置合わせが可能となる。一方、同図(b)に示す従来の位相差制御部材101の場合、液晶塗布膜41を加温して液晶分子40に水平配向を付与することを試みた場合も、液晶分子40がAM103およびその周囲で良好に水平配向しないため、アライナー機構によるAM103の光学認識に支障をきたし、基材2とフォトマスクとの位置合わせができず、位相差層4のパターン形成が不可能になる虞がある。
なお基材2の位置合わせは上記フォトマスクに限らず上記位置合わせケース(一)〜(六)など各種想定されるところ、液晶分子40の配向(水平配向)が不良のまま位相差層4をベタ製版によって基材2上に固定化した場合、上記ケース(三)〜(六)において位置合わせが不可能になるという同様の問題が生じる。
周知のように活性放射線の露光によって感光するフォトレジスト材料にはポジ型とネガ型とが存在する。仮焼成したフォトレジスト材料を露光することでエッチング除去可能となるポジ型の場合、用いられるフォトマスクは、有効表示領域10の対向位置が遮光され、その周囲が光学的に開口したマスクパターンとなる。一方、露光することで固定化されるネガ型のフォトレジスト材料の場合、用いられるフォトマスクは、有効表示領域10の対向位置が開口し、その周囲が遮光されたマスクパターンとなる。後者の場合、フォトマスクには保護マーク30を認識するための光透過性の覗き窓が設けられる。
本発明においては、液晶塗布膜41を重合固定化するに際して上記のポジ型とネガ型のいずれを採ることもできる。
すなわちポジ型のフォトリソグラフィー法によって位相差層4を有効表示領域10内にパターン形成する場合、(1a)例えばエポキシ系などの熱重合性の液晶分子40を含む液晶性インキを配向膜6の上に塗布して液晶塗布膜41を形成し、(2a)液晶分子40を配向させた後にこれを固定化することで位相差層4を基材2の全面に一旦形成し、(3a)ポジ型のフォトレジストを位相差層4上に全面塗布し、(4a)有効表示領域10が遮光されたマスクパターンのフォトマスクを、保護マーク30をアライナー機構で視認することで基材2と位置合わせし、(5a)フォトマスクを介して位相差層4に活性放射線を照射して露光部分を感光させ、つづいて現像により感光部分を除去し、(6a)現像により露出した部分をドライエッチングなどにより除去して、有効表示領域10に所望の位相差層4を残すことができる。
またネガ型のフォトリソグラフィー法によって位相差層4を有効表示領域10にパターン形成する場合、(1b)光重合性の液晶分子40を含む液晶性インキを配向膜6の上に塗布して液晶塗布膜41を形成し、(2b)液晶塗布膜41を減圧乾燥するとともに液晶相温度に加熱して液晶分子40を配向させ、(3b)有効表示領域10が光学的に開口したマスクパターンのフォトマスクを、覗き窓を通じて保護マーク30をアライナー機構で視認することで基材2と位置合わせし、(4b)フォトマスクを介して活性放射線を露光して有効表示領域10内の液晶分子40を重合固定し、(5b)未露光部をエッチング除去して有効表示領域10に位相差層4を形成することができる。
後述するように有効表示領域10を囲うように設けられるシール8(図4を参照)を避けるため、有効表示領域10の周囲には所定幅に亘って位相差層4を固定形成しないことが好ましい。
また本発明において位相差層4をパターン形成するにあたっては、保護マーク30およびその周囲を覆う液晶塗布膜41をエッチング除去してもよく、または除去せず位相差層4として残置してもよく、さらには基材2の全面に位相差層4を固定形成してもよい。すなわち保護マーク30周囲の透過領域31では液晶分子40が良好に配向していることから、液晶分子40が液晶相を示す液晶塗布膜41の状態であっても、または液晶分子40同士を重合させて固相の位相差層4とした状態であっても、アライナー機構の照明光に光散乱を生じることはなく、したがって有効表示領域10内とともに当該配向を固定化してもアライメント調整の上で問題は生じない。
なお、保護マーク30およびその周囲に塗工された液晶塗布膜41をエッチング除去する場合については、フォトマスクの開口(覗き窓)を通じて保護マーク30を視認することで当該フォトマスクと基材2とを位置合わせした状態から、(i)ポジ型のフォトリソグラフィー法による場合は保護マーク30およびその周囲に対してそのまま活性放射線を露光すればよく、(ii)ネガ型のフォトリソグラフィー法による場合は覗き窓を遮光板(図5(d)の遮光板45を参照)で遮蔽してから露光すればよい。
以下に説明する実施形態についてはネガ型のフォトリソグラフィー法によって位相差層4をパターン形成する態様を例にとり具体的に説明するが、ポジ型のリソグラフィー方法による場合については、上記説明および本発明の内容に照らし当業者であれば容易に想到できよう。
なお、保護マーク30と配向膜6とは、保護マーク30を構成するAM3が配向膜6に覆われている限り、基材2に対して同一側に設けられても、反対側に設けられてもよい。換言すると、(a)基材2の一方の面上に形成されたAM3の少なくとも一つに対してその一部分または全体の上に、配向膜6を直接接触させて形成して保護マーク30としても、または他の積層を介して間接に配向膜6を形成して保護マーク30としてもよく、また(b)AM3を基材2の一方の面上に形成するとともに、基材2の他方の面上であって、面内位置がAM3の少なくとも一つに対してその一部分または全体と重複する領域に配向膜6を形成することで保護マーク30としてもよい。
いずれの場合も、遮光性(吸光性または光反射性)のAM3のエッジに隣接する透過領域31において液晶分子を良好にホメオトロピック配向させることができるため、液晶性インキのパターニング工程を含む、位相差制御部材1の以後の製造および取扱工程において、アライナー機構による保護マーク30の光学的な認識が良好に行われ、基材2のアライメント調整が可能になる。
図1および図2(a)に示す本実施形態においては、位相差制御部材1の基材2には、AM3と同一面側に、透過光の通過する有効表示領域10の外縁を形成する遮光性のブラックマトリクス(以下、BMと略記する場合がある。)5が設けられている。
なお、位相差制御部材1に用意される有効表示領域10は、本実施形態のようにBM5などの遮光材料によって明示的にパターン形成される場合と、位相差制御部材1の面央などに当該有効表示領域の予定域を包絡する広さの光透過領域が存在しているだけの場合とがある。いずれの場合も、本発明の位相差制御部材1が用いられる表示装置や光学機器の仕様に基づいて求められる有効表示領域をまず基材2上に仮想的に予定形成し、これと干渉しない位置にAM3を配置することとなる。
すなわち本発明において、基材2に有効表示領域10が区画形成された状態とは、BM5または後述する額縁状のシール8などによって開口部が囲み形成された状態や、着色層9や配向膜6、位相差層4などが基材2の面央などにパターン形成された状態をいう。一方、基材2に有効表示領域10が予定形成された状態とは、AM3が設けられた基材2にBM5やシール8が未形成である状態や、BM5やシール8が形成されることなく、基材2に着色層9や配向膜6、位相差層4などがベタ塗工された状態をいう。
また図1に示すように、BM5は有効表示領域10の内部に多数の画素開口35を微細に区画形成している。画素開口35のそれぞれには、これを覆うように着色層9を構成する着色領域が設けられ、液晶表示装置のひとつの画素を構成する。BM5は隣り合う着色領域の混色を防止するとともに、画素の輪郭を鮮明化し、また液晶駆動基板51(図7を参照)の備える液晶駆動回路や駆動電極などを透過光から隠蔽して保護する機能をもつ。互いに異なる着色領域91,92,93で覆われた隣り合う3つの画素開口35(画素)が合わさったものを絵素36と呼ぶ場合がある。
なお本発明においては、位相差制御部材1の用途や仕様によってはBM5や着色層9を不要としてもよい。また着色層9を構成する着色領域についても、上記RGB方式の三色の場合のほか、その補色系であるCMY方式とすることも可能であり、さらに単色もしくは二色の場合、または四色以上の場合なども採りうる。
[第二の実施形態について]
図3は、本発明の第二の実施形態にかかる位相差制御部材1の一部を模式的に示す平面図であり、図4はそのIV−IV断面図(立面図)である。
本実施形態の位相差制御部材1は、上記第一の実施形態にかかる位相差制御部材1に対して、
(1)画素開口35ごとにパターニングして設けられた、セルギャップを一定に保持するための柱状体7;
(2)有効表示領域10の周囲を囲んで設けられた、駆動液晶分子を封止するための額縁状のシール8;
をさらに備えることを特徴とする。
第一および第二の実施形態に共通して用いられる基材2、AM3、位相差層4、BM5、配向膜6および着色層9、ならびに第二の実施形態に用いられる柱状体7およびシール8の各構成要素について、その具体的な材料や作製方法を以下に説明する。
<基材について>
基材2は、ガラス基板などのガラス材の他、種々の材質からなる板状体を適宜選択できる。特に位相差制御部材1を液晶ディスプレイ用に用いる場合には、基材2は無アルカリガラス製のガラス基板とすることが好ましい。ガラス基板のほか、基材2には、シリコンや石英などの無機基材、または下記列挙のような有機基材を用いることができる。即ち有機基材としては、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレート、トリアセチルセルロースなどからなるプラスチック基板や、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリプロプレン、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルケトンなどの樹脂フィルムを例示することができる。
基材2には、AM3、BM5、配向膜6および着色層9などに対する濡れ性を向上するため、洗浄処理を含む公知の表面処理を施すとよい。
<ブラックマトリクス(BM)について>
BM5の形成方法としては、(1)スパッタリング法や真空蒸着法等によりクロム等の金属薄膜を基材2上に形成し、この薄膜をパターニングする方法、(2)カーボン微粒子や金属酸化物等の遮光性粒子を含有させたポリイミド樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂層を基材2上に形成し、この樹脂層をパターニングする方法、等を例示することができる。
なお図3では、位相差制御部材1の幅方向に9つの画素開口35が並び形成された状態が模式的に図示されているが、液晶表示装置に組み合わせて用いられる位相差制御部材1の場合、有効表示領域10の幅寸法が数cmから数十cm程度であるのに対し、画素幅は100μm程度である。
<アライメントマーク(AM)について>
AM3は、基材2を位置合わせする際の基準となる見当マークであり、上記位置合わせケース(一)〜(六)などに例示される様々な場合にアライナー機構によって光学的に認識される。AM3は、アライナー機構の照明光に対して、AM3形成位置とその周囲近傍とで明確に対比しうるコントラスト比の光透過率または反射率を有している。
したがってAM3は、吸光性もしくは実質的に吸光性と同視しうる低い透過率の光透過性となるよう上記BM5と同様に黒色樹脂材料や黒色金属材料の単層、または黒色金属材料により形成するか、または高い光反射性が得られるよう金属光沢のある金属材料の積層などにより形成するとよい。
なお、AM3を光透過性とする場合は、アライナー機構の照明光に対する吸光度の高い色を選択することでコントラスト比が向上し、パターン認識の精度が高くなる。例えばアライナー機構の照明光としては、液晶性インキが感光しないよう可視光のうちエネルギーの高い紫色光や青色光の短波長成分をフィルタリングして除去した黄色光(イエローライト)を用いることが一般的であるところ、AM3を青色とすることで照明光が吸収されて、アライメントマーク位置は暗視(黒色)、その周囲は明視(黄色)に観察されてアライメント調整が可能となる。
AM3のサイズは特に限定されるものではないが、アライナー機構による視認性と、AM3が有効表示領域の外部に設けられることから、平面視寸法は0.1〜10mmとするとよい。またAM3の厚さは、その材料や製法にもよるが、0.05〜2μm程度とすることが代表的である。
AM3は基材2上に一つまたは複数個が設けられ、上記位置合わせのケースによってそのうちの一つ以上が選択して用いられることが通常である。AM3を設ける基材2の面は、BM5や位相差層4が塗工形成される面と同一側であっても、その裏面側であってもよい。ただし後述するように位相差制御部材1と液晶駆動基板51(図7を参照)とを対向させて互いに位置合わせする場合に、両者の備えるアライメントマークの面外距離を近接させてアライナー機構の焦点深度を近づけることが好ましいことから、位相差制御部材1の基材2に設けるAM3は、インセル側、すなわち位相差層4や柱状体7の形成側に設けるとよい。
AM3は、基材2の位置と向きを精度よく調整できるよう、それぞれ十字状や鉤型など、ラインが交叉したコーナー部を含む形状にするとよい。またAM3は、位置調整精度を向上するため、有効表示領域10を挟んで対向する位置に複数個設けられるとよい。
ただしAM3の形状や位置、および複数個のAM3の形成順序は、基材2の位置合わせのケースに応じて適宜設定しうるものである。
AM3およびBM5は、まずAM3の塗工装置と基材2とをピンアライメントにより位置合わせした状態でAM3のみを基材2上に形成し、続けて、BM5の材料となる黒色樹脂材料インキや黒色金属材料等を、当該AM3およびその周囲から塗り逃げて基材2の全面に塗布し、アライナー機構によってAM3を捕捉してアライメントをとりながらこれを所望の形状にエッチング除去することで、AM3に対して所定の相対位置にBM5をパターン形成することができる。または、AM3を基準位置として黒色樹脂材料インキをインクジェット法によって所定位置にオンデマンドで塗布してBM5を形成してもよい。このほか、BM5形成用の上記AM3に加え、BM5によって有効表示領域10が既に区画形成された基材2上に、以降の工程におけるアライメント調整に用いる他のAMを形成してもよい。
ただし、AM3の形成およびその後の製版工程を簡易かつ精度よく行うため、遮光性のアライメントマークの場合はBM5とともに、すなわちBM5のマスクパターンにおいてAM3の該当箇所についても開口させて、BM5と同一の遮光性材料により同時に形成するとよい。
また光透過性のAM3とする場合は、後述する着色層9のうちの一色をAM3の予定位置に塗工して形成することができる。また着色層9がCMY方式の場合については、選択された任意の二色を積層してAM3としてもよい。
<着色層について>
BM5によって多数の画素が開口形成された基材2上には、次いで色パターンを形成することができる。図4に示すように位相差制御部材1としてRGBの三色カラーフィルタを得る場合は、赤色パターン形成領域に赤色の着色領域91、緑色パターン形成領域に緑色の着色領域92、青色パターン形成領域に青色の着色領域93を、同時または任意の順番で形成し、着色層9を作製する。各色の着色領域の塗工形成方法は特に限定されず、フォトリソグラフィー法やインクジェット法などにより行うことができる。
なお、着色層9の形成方法としては上述した顔料分散法の他に、例えば、
(a)基材2上に染色用の材料である水溶性高分子材料を塗布し、これをフォトリソグラフィー法により所望の形状にパターニングした後、得られたパターンを染色浴に浸漬して着色されたパターンを得る染色法;
(b)熱硬化型の樹脂に顔料を分散させ、印刷(または熱転写)を繰り返すことにより各色を塗り分けた後、樹脂を熱硬化させることにより着色層9を形成する印刷法(熱転写法);
(c)基材2上に予め透明導電膜を形成し、顔料、樹脂、電解液等の入った電着塗装液に浸漬して所定の色を電着して各色の着色パターン層を形成し、樹脂を熱硬化させる電着法;
を用いることもできる。
<配向膜について>
位相差層4を正のAプレートまたは負のCプレートとする場合、基材2上には、後述する液晶性インキの下地としての水平配向膜を形成して液晶分子40を水平配向(ホモジニアス配向)させる。ハイブリッド配向プレートに関しても、基材2の界面側に位置する液晶分子を水平配向させる場合には、同様に水平配向膜を基材2上に塗工形成するとよい。
水平配向膜の作製方法は特に限定されるものではないが、ポリアミド樹脂またはポリイミド樹脂材料を基材2に塗工して樹脂塗膜を形成し、その上面を、布を巻き付けたローラ等により所定方向に摩擦するラビング処理を施して得ることが代表的である。
位相差層4を正のCプレートとする場合、基材2上には垂直配向膜を形成して液晶分子40を垂直配向(ホメオトロピック配向)させる。
垂直配向膜は、長鎖アルキル型デンドリマー誘導体、または炭素数が3〜20の長鎖アルキル基を有する界面活性剤を、有機溶媒に溶解させてコーティング液を調整し、これを基材2上に直接または着色層9などの他層を介して間接に塗布して樹脂塗膜を形成した上で、かかる塗膜を乾燥硬化させて得ることができる。
このような界面活性剤の具体例としては、レシチン、オクタデシルジメチル(3−トリメトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、ヘキサデシルアミンのほか、アデカミン4DAC−85(旭電化工業社製)、ドライポン600E(日華化学社製)、ドライポンZ−7(日華化学社製)、NKガード NDN−7E(日華化学社製)等が挙げられる。また上記界面活性剤としては、撥水性や撥油性を向上するため長鎖アルキル基の少なくとも一部がフッ素置換されたものを用いることが好ましい。
(配向膜形成工程について)
本発明において配向膜6は、有効表示領域10の内側、および保護マーク30となすべきAM3を覆う領域に対して、少なくとも塗工形成される。したがって配向膜6は、有効表示領域10の内側と、当該AM3を覆う領域とに分離されてパターン形成されていてもよく、または両者を結合した大領域にひと続きの配向膜6を形成しても、基材2または着色層9などの下地層上に配向膜6をベタ製版してもよい。
ただし後述のように有効表示領域10を囲むようにシール8を立設する場合については、配向膜6を介さずにシール8が基材2に直接接触するよう、有効表示領域10の外周にはシール8の形成位置に対応して配向膜6の非形成領域61を設けるとよい。したがってかかる場合、配向膜6は基材2上にベタ形成するのではなく、有効表示領域10の内側と、当該AM3を覆う領域とにパターン形成するとよい。
上記樹脂塗膜を基材2上に形成し、有効表示領域10内と、その外側に設けられたAM3およびその周囲をともに覆う領域に配向膜6をパターニングして形成する方法としては、例えばフレキソ印刷法を採用することができる。フレキソ印刷法による場合、基材2上のうち、有効表示領域10の内側、および、一つまたは複数のAM3のうち保護マーク30となすものを覆う領域に対して、オンデマンドかつ一の工程で上記材料樹脂を塗布することができる。
樹脂塗膜形成後には、例えば配向膜6を水平配向膜とする場合については、有効表示領域10内とAM3(保護マーク30)とに対して、ともにラビング処理を施すことで配向膜6を所望の領域にパターニングすることができる。また配向膜6を垂直配向膜とする場合については、有効表示領域10内とAM3(保護マーク30)およびその周囲とに塗布された樹脂塗膜を乾燥硬化すればよい。
なお本実施形態においてはこのほか、フォトリソグラフィー法やインクジェット法、スクリーン印刷法などによって材料樹脂を上記領域にパターン塗布して樹脂塗膜を形成し、これを適宜ラビング処理や乾燥効果させて配向膜6としてもよい。
上記のように本実施形態においては、保護マーク30を構成するAM3を被覆する配向膜6と、有効表示領域10内で位相差層4の下地として設けられる配向膜6とは共通の材料、かつ同一工程にて作製される。したがって例えば位相差層4を正のAプレートや負のCプレートとする場合は、AM3を覆う領域に設けられる配向膜6と有効表示領域10内に設けられる配向膜6はともに水平配向膜となる。同様に負のCプレートの場合は両者とも垂直配向膜が塗工形成される。これにより、従来の位相差制御部材101に対して製版工程数を増やすことなく、有効表示領域10内と、保護マーク30を構成するAM3上とに配向膜6を塗工形成することができる。
なお本発明においては、上述のように有効表示領域10内とAM3(保護マーク30)とを覆う配向膜6が共通である場合に限られず、保護マーク30およびその周囲における液晶分子40の配向性が、アライナー機構による保護マーク30の光学認識が可能な程度に良好であれば足りる。したがって配向膜6の塗工工程数は増えるものの、例えばフレキソ印刷法を複数回おこなって、有効表示領域10内には水平配向膜を、AM3(保護マーク30)を覆う領域には垂直配向膜を、それぞれ塗工形成してもよい。
<位相差層について>
位相差層4は、分子構造中に重合性官能基を有する重合性の液晶分子を垂直配向させた状態で相互に三次元架橋させてなる高分子構造を有している。かかる位相差層4は、光重合開始剤などの種々の添加剤とともに液晶分子40を溶媒に分散させた液晶性インキを、基材2に薄膜状に塗布し、これを所定方向に配向させた状態で固定化して作製できる。
(液晶性インキの成分について)
位相差層4を構成する重合性の液晶分子40には、その液晶分子の構造中に不飽和二重結合を重合性官能基として有するものが好ましく、分子構造の両末端に不飽和二重結合を有するもの(不飽和二重結合を2以上有するもの)がより好ましい。
位相差層4を得るために用いられる重合性の液晶分子としては、架橋重合性を有するネマチック液晶分子(架橋性ネマチック液晶分子)などをあげることができる。架橋性ネマチック液晶分子としては例えば、1分子中に(メタ)アクリロイル基、エポキシ基、オキタセン基、イソシアネート基等の重合性基を少なくとも1個有するモノマー、オリゴマー、ポリマー等が挙げられる。また、このような架橋性液晶分子として、より具体的には、下記化1に示す一般式(1)で表される化合物のうちの1種の化合物(化合物(I))、下記化2に示す一般式(2)で表される化合物のうちの1種の化合物(化合物(II))もしくは2種以上の混合物、化3、化4に示す化合物(化合物(III))のうちの1種の化合物或いは2種以上の混合物、またはこれらを組み合わせた混合物を用いることができる。
Figure 2009042354
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Figure 2009042354
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化1に示す一般式(1)において、RおよびR2は、それぞれに、水素またはメチル基を示すが、架橋性液晶分子が液晶相を示す温度の範囲をより広くするには少なくともR及びR2のどちらか一方が水素であることが好ましく、両方が水素であることがより好ましい。また一般式(1)におけるXおよび一般式(2)のYは、水素、塩素、臭素、ヨウ素、炭素数1〜4のアルキル基、メトキシ基、シアノ基またはニトロ基のいずれであってもよいが、塩素またはメチル基であることが好ましい。また、一般式(1)の分子鎖両端の(メタ)アクリロイロキシ基と芳香環と間のアルキレン基の鎖長を示すaおよびb並びに、一般式(2)におけるdおよびeは、それぞれ個別に1〜12の範囲で任意の整数をとり得るが、4〜10の範囲であることが好ましく、6〜9の範囲であることがさらに好ましい。a=b=0である一般式(1)の化合物(I)またはd=e=0である一般式(2)の化合物(II)は安定性に乏しく、加水分解を受けやすい上に、化合物(I)または(II)自体の結晶性が高い。また、aやb、あるいはdやeがそれぞれ13以上である一般式(1)の化合物(I)または一般式(2)の化合物(II)は、等方相転移温度(TI)が低い。この理由から、これらの化合物は、どちらについても液晶分子が液晶性を安定的に示す温度範囲(液晶相を維持する温度範囲)が狭いものとなり、位相差層4に用いるには好ましくない。
架橋性液晶分子として、上記化1、化2、化3、化4では重合性を備える液晶モノマーを例示したが、重合性液晶のオリゴマーや重合性液晶のポリマー等を用いてもよく、これらについても、上記化1、化2、化3、化4などのオリゴマーやポリマーなど公知のものを適宜選択して用いることができる。
位相差層4においては、液晶分子の重合度(架橋重合性液晶分子の場合は、架橋重合度)が80以上程度であることが好ましく、90以上程度であることがより好ましい。位相差層4を構成する液晶分子の重合度が80より小さいと、均一な配向性を十分に維持できない虞がある。なお、上記重合度、架橋重合度は、液晶分子の重合性官能基のうち液晶分子の重合反応に消費された割合を示す。
液晶性インキは、位相差層4を構成する上記化合物(I)〜(III)のような液晶分子と、溶媒とを配合して調整される。
液晶性インキの調整に用いる溶媒としては、位相差層4を構成する液晶分子を溶解させるものであれば特に限定されず、具体的には、ベンゼン、トルエン、キシレン、n−ブチルベンゼン、ジエチルベンゼン、テトラリン等の炭化水素類、メトキシベンゼン、1,2−ジメトキシベンゼン、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、2,4−ペンタンジオン等のケトン類、酢酸エチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン等のエステル類、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒、クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、トリトリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、オルソジクロロベンゼン等のハロゲン系溶媒、t−ブチルアルコール、ジアセトンアルコール、グリセリン、モノアセチン、エチレングリコール、トリエチレングリコール、ヘキシレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチルセルソルブ、ブチルセルソルブ等のアルコール類、フェノール、パラクロロフェノール等のフェノール類等の1種又は2種以上が使用可能である。単一種の溶媒を使用しただけでは、重合性液晶分子等の配合物成分の溶解性が不充分である場合や、液晶性インキを塗布する際における塗布の相手方となる素材(基材を構成する素材)が侵される虞がある場合等には、2種以上の溶媒を混合使用することにより、これらの不都合を回避することができる。上記した溶媒のなかにあって、単独溶媒として好ましいものは、炭化水素系溶媒とグリコールモノエーテルアセテート系溶媒であり、混合溶媒として好ましいものは、エーテル類又はケトン類と、グリコール類とを混合した混合系溶媒である。液晶性インキの配合物成分の濃度は、これに用いる配合物成分の溶媒への溶解性や位相差層に望まれる層厚み等により異なるが、通常は1〜60重量%、好ましくは3〜40重量%の範囲である。
(添加剤について)
位相差層4をいわゆる正のAプレートまたは負のCプレートとする場合は、空気界面に対する液晶分子の表面自由エネルギーを抑制するためのレベリング剤を液晶性インキに添加し、配向膜6(水平配向膜)に規制される液晶分子の水平配向を補助するとよい。
また負のCプレートを作成する場合には、液晶性インキに公知のカイラル剤を添加するとよい。本発明で用いるカイラル剤は、得られる位相差層4の熱安定性の観点から、架橋性を有し、コレステリック規則性が付与された液晶分子40と重合可能なものが好ましい。特にその分子構造の両末端に架橋性官能基が存在するものが、位相差層の耐熱性を向上させる上でより好ましい。
位相差層4をいわゆる正のCプレートとする場合には、液晶分子40のホメオトロピック配向を補助する垂直配向助剤を添加するとよい。垂直配向助剤としては、疎水基および親水基を備える界面活性剤や、疎水基および加水分解基を備えるカップリング剤を用いることができる。具体的には、垂直に整列したアルキル鎖またはフルオロカーボン鎖を有する表面カップリング剤、例えばレシチンまたは第四級アンモニウム界面活性剤、例えばHTAB(ヘキサデシル−トリメチルアンモニウムブロミド)、DMOAP(N,N−ジメチル−N−オクタデシル−3−アミノプロピルトリメトキシシリルクロリド)またはN−パーフルオロオクチルスルホニル−3−アミノプロピルトリメチルアンモニウムヨージド、シランポリマー、長鎖アルキルアルコールなどを挙げることができる。
液晶性インキには、活性放射線のエネルギーによりフリーラジカルを発生するラジカル重合開始剤を光重合開始剤として配合するとよい。ラジカル重合開始剤としては、例えばベンゾイン、ベンゾフェノンなどのベンゾフェノン誘導体またはそれらのエステルなどの誘導体;キサントンおよびチオキサントン誘導体;クロロスルフォニル、クロロメチル多核芳香族化合物、クロロメチル複素環式化合物、クロロメチルベンゾフェノン類などの含ハロゲン化合物;トリアジン類;フルオレノン類;ハロアルカン類;光還元性色素と還元剤とのレドックスカップル類;有機硫黄化合物;過酸化物等が挙げられる。その他の光重合開始剤としては、ケトン系、ビイミダゾール系化合物等が好ましい。これらは市販されている。
なお、液晶性インキには重合禁止剤を添加して保存安定性を向上させてもよく、さらに本発明の目的が損なわれない範囲で、増感剤や、界面活性剤なども適宜添加することができる。
(塗布工程について)
基材2上の有効表示領域10内とAM3(保護マーク30)を覆う領域とに配向膜6が塗工形成され、また液晶性インキが調整されると、次いで配向膜6にこれを塗布して液晶塗布膜41(図2を参照)を作成する。
液晶性インキの塗布方法は特に限定されるものではなく、例えばグラビア印刷法、オフセット印刷法、凸版印刷法、スクリーン印刷法、静電印刷法、無版印刷法などの各種印刷方法や、グラビアコート法、ロールコート法、ナイフコート法、エアナイフコート法、バーコート法、ディップコート法、キスコート法、スプレーコート法、(スリット)ダイコート法、コンマコート法、インクジェット法、スピンコート法などの塗工方法、さらにはこれらを組合せた方法を適宜用いることができる。このうち、特に均一な塗布厚が容易に得られる観点から特にスピンコート法や(スリット)ダイコート法が好適に用いられる。
すなわち液晶表示装置の大型化が進む近年では、これに用いられる位相差制御部材1についても、基材2の面積に対して有効表示領域10を可能な限り広く取るために、有効表示領域10と基材2の端面とのクリアランスは10mm程度以下と小さくなっている。このため、着色層9を形成する着色材料(着色インキ)や位相差層4を形成する液晶性インキなど、有効表示領域10を少なくとも包絡するように塗工されるインキ材料の塗布工程においては、AM3を覆って基材2全面にインキ材料を一旦ベタ塗工してから、フォトリソグラフィー法により不要箇所をエッチング除去する製版方法が一般的である。
スピンコート法やダイコート法によって液晶性インキを基材2にベタ塗工する場合、これらの塗布装置と基材2との位置合わせはピンアライメント調整で足りるという利点もある。保護マーク30を用いてのアライナー機構による光学的な位置合わせは、活性放射線のパターニング照射(上記位置合わせケース(二))やその後の工程(上記位置合わせケース(三)〜(六))で行われる。
一方、インクジェット法でインキ材料を基材に塗布する場合は、上記位置合わせケース(二)に先立ち、液晶性インキを基材2に塗布する工程、すなわち基材2とインクジェットコーターとの高精度なアライメント調整に際しても保護マーク30が用いられる。
(配向工程について)
基材2の表面に液晶性インキを塗布して作製された液晶塗布膜41に含まれる液晶分子40には所定の配向性が付与される。液晶分子40に対する配向性の付与は、液晶塗布膜41を加熱して、内部の液晶分子が液晶相となる温度(液晶相温度)以上、等方相(液体相)となる等方相転移温度未満になるよう温度制御することで行われる。このとき液晶塗布膜41の加熱手段は特に限定されず、伝熱または輻射による加熱を適宜組み合わせて加熱するとよい。なお、重合性液晶分子を配向させる方法は、上記方法による他、液晶塗布膜41を一旦等方相温度まで加熱した後の冷却過程で自発的に液晶分子に配向を誘起させる方法や、液晶塗布膜41に対して所定方向から電場や磁場を負荷する方法によっても実現可能である。
(位相差層形成工程について)
液晶塗布膜41に含まれる液晶分子40に所定方向の配向が付与された後、液晶分子40同士を重合固定化して位相差層4を得る。この重合反応は、液晶性インキに添加された光重合開始剤の感光波長の光(例えば紫外線)などの活性放射線を、液晶相状態の液晶塗布膜41に向けて全面照射またはパターニング照射して開始および進行させる。
液晶塗布膜41に照射する光の波長は、この塗膜中に含まれている光重合開始剤の種類に応じて適宜選択するとよい。ネガ型のフォトリソグラフィー法によって位相差層4をパターニングする本実施形態の場合、位相差層4の形成予定位置が開口した位相差層パターニング用のフォトマスクを介して活性放射線を露光し、パターン露光後には液晶塗布膜41のうちの未重合部分をエッチング除去し、残ったパターン露光部分をさらに焼成して熱重合硬化させるとよい。かかるパターン照射を行うに際しては、基材2とフォトマスクとの高精度の位置合わせが必要である。したがって上記パターン露光に先立って、アライナー機構によって保護マーク30を光学認識することにより基材2とフォトマスクとを互いに位置合わせするアライメント工程を行う。
図3,4に示す本発明の第二実施形態の位相差制御部材1では、有効表示領域10の内側においては位相差層4および配向膜6がベタ製版されている。
ただし有効表示領域10の外側については、シール8と基材2とを直接当接させてシール8による液晶セル23(図7を参照)の密閉性を向上するため、シール8と基材2との間には位相差層4や配向膜6が成膜されないことが好ましい。したがって図示のように本実施形態では、有効表示領域10の外周に、シール8の形成領域を確保するために額縁状に、または額縁状のシール8形成領域を含む領域に、位相差層4および配向膜6の非形成領域61が設けられている。したがって本実施形態の位相差制御部材1を得るためには、液晶塗布膜41のパターニング照射が求められる。なお、かかるパターニング照射にて保護マーク30を構成する配向膜6の上に位相差層4を固定化して残置するか、液晶分子40を重合させずにエッチング除去するかは上述の通り任意である。
また図1,3に示すように、有効表示領域10の外側に保護マーク30とは別のAM3が設けられている場合、当該AM3およびその周囲については液晶分子40を重合させること無く液晶塗布膜41をエッチング除去するとよい。これにより、位相差層4の製版以後の工程(上記位置合わせケース(三〜六))において、アライナー機構によって当該AM3を良好に光学認識することができる。
なお、有効表示領域10の内側についても、配向状態の液晶分子40を重合固定化した液晶相領域と、等方相領域とをパターニングして位相差層4を形成することもできる。かかる位相差層4の製版工程については後述する。
<柱状体について>
位相差層4を塗工形成した位相差制御部材1には、必要に応じて位相差層4上に、セルギャップを規定するとともに位相差制御部材1に負荷される押し込み荷重に耐える構造部材としての柱状体7や、液晶の配向方向を規制するための突起(図示せず)などをパターン設置することができる。柱状体7や突起は、位相差層4自体のパターン露光と同様にフォトリソグラフィー法を用いてパターニングするほか、印刷法や転写法を用いて有効表示領域10内の所定位置に立設することができる。柱状体7や突起は高い位置精度で設計位置に正しくパターン配置されることが好ましく、これらはAM3を用いたアライナー機構による光学的なアライメント調整によって基材2を位置合わせした状態で製版される(上記位置合わせケース(三))。
柱状体7をフォトリソグラフィー法で形成する場合を例に説明する。
図5は、位相差層4の上に柱状体7を立設する方法を示す模式図である。同図(a)は、有効表示領域10の外周に額縁状の非形成領域61を残して位相差層4が形成され、さらに光透過性かつ光学等方性のフォトレジスト材料(図示せず)が全面に塗布された基材2、同図(b)は柱状体製版用のフォトマスク48、同図(c)は両者を位置合わせした状態をそれぞれ示す。基材2に設けられたAM3は配向膜6で被覆された保護マーク30であり、またフォトマスク48には、柱状体の形成パターンに対応して設けられた開口47、覗き窓49およびマスク側AM43が設けられており、位置合わせ時にアライナー機構により保護マーク30が視認可能である。
なお柱状体7の製版工程におけるアライメント調整にあっては、上述のように、保護マーク30とは異なる、位相差層4の固定形成されていない他のAM3(図1,3を参照)を用いてもよい。
本実施形態の位相差制御部材1では、有効表示領域10の内側のみならず保護マーク30を構成するAM3およびその周囲の透過領域31に配向膜6がパターン形成されているため、基材2に塗工された位相差層4は、有効表示領域10内とともに保護マーク30上および透過領域31においても、微小ドメインを形成することなく良好な配向性を示している。したがって柱状体7の製版にあたっては、保護マーク30とマスク側AM43との位置合わせがアライナー機構によって良好に行われる。
図示のように、柱状体7を構成するフォトレジスト材料を、位相差層4を含む基材2上にベタ塗工し、AM3(保護マーク30)を基準にして位置合わせをしたフォトマスク48を介して露光、現像することにより、各画素に対応して所望の位置、具体的にはBM5で遮光される領域にのみ柱状体7を立設することができる。
柱状体7は、多官能アクリレートを含有するアクリル系、及びアミド系又はエステル系ポリマー等の光硬化可能な感光性を有する、光透過性かつ光学等方性の樹脂材料から構成することができる。なお柱状体7の樹脂材料を露光、現像する際には、AM3およびその近傍領域に対応するフォトマスク48の覗き窓49を、遮光板45で被覆した状態(同図(d))で行うことで、AM3の上方に塗布された当該樹脂材料は固定化せずにエッチング除去し、BM5上にのみ柱状体7を形成することが通常である(同図(e))。なお上記のように光学等方性の材料を選択することにより、覗き窓49を通じて保護マーク30をアライナー機構で視認しながら行うフォトマスク48の位置合わせが不良になることがない。また仮に遮光板45によって覗き窓49を遮蔽することなく保護マーク30およびその周囲の透過領域31の上に柱状体7を立設したとしても、その後の製版工程または取扱工程において基材2のアライメント調整が不可能になることはない。
なお、位相差制御部材1に柱状体7を設ける場合には、位相差層4の表面上に直接柱状体7を設ける場合のみならず、インジウム錫酸化物(以下、ITOと略す)等の透明導電膜からなる透明電極をスパッタリング法など公知の手段を適宜選択して位相差層4上に形成した後に、柱状体7を立設してもよい。
<シールについて>
本実施形態の位相差制御部材1を、液晶駆動回路を画素ごとにパターン配置した液晶駆動基板と貼り合わせて液晶表示装置を構成するカラーフィルタとして用いる場合、液晶駆動基板と基材2(カラーフィルタ基板)との間に挟まれて液晶セルを構成する駆動液晶分子は、基材2の面直方向に外力が付与された時や、外部圧力の変動時にも基板同士の間から漏れ出すことのないよう、有効表示領域10を取り囲む額縁状のシール8によって減圧状態で封止されることが一般的である(例えば特開2006−227231号公報等を参照)。
したがって着色層9や位相差層4の製版にあたっては、着色材料や液晶性インキがスピンコート法やダイコート法などで基材2の全面に一旦ベタ塗工されたのち、有効表示領域10の外側に区画された額縁状のシール8の予定形成領域については少なくともこれをエッチング除去することが一般的である。シール8は駆動液晶分子を減圧状態で封止しつつセルギャップを精度よい厚さで保持する構造部材であり、ガラス基板に代表される剛性の高い基材2とシール8とを直接当接させて液晶セルの寸法安定性を高くすることが好ましいことから、着色層9や位相差層4などの比較的柔軟かつ塗工厚さの大きい積層体がシール8の下に潜り込んで固定化されることを排除するためである。
なお、BM5を黒色金属材料の薄膜で構成する場合は、その厚さ方向の変形は無視しうることから、BM5の上にシール8が立設されることは問題ないといえる。
シール8には、ビスフェノールF型、ビスフェノールA型ジグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル樹脂、フェノールボラック型エポキシ樹脂、もしくはトリフェノールメタン型エポキシ樹脂などの熱硬化型もしくは光硬化型の樹脂材料の1種または2種以上が好適に用いられる。このほか、無機充填剤や硬化促進剤などを添加してもよい。
シール8を形成するにあたっては、基材2上に着色層9や位相差層4、柱状体7が製版された後に、ペースト状の当該樹脂材料を、セルギャップ厚さよりも分厚く、かつ有効表示領域10を額縁状に囲むように(シール8の予定形成領域に)塗工し、基材2と対向して設けられた液晶駆動基板をこれに押し当てた状態で熱硬化または光硬化させる(後述の、貼り合わせ工程を参照)。
<切断工程について>
基材2に上記各層が積層された製版工程に引き続き、位相差制御部材1の取扱工程のひとつとして、AM3を基準位置として基材2と切断装置とを位置合わせした状態で、有効表示領域10を内包する所定のカットラインに沿って位相差制御部材1が切り出される。
かかる切断工程で用いられるAM3は、上述の位相差層4の製版工程で用いられた保護マーク30または柱状体7の製版工程で用いられたAM3を流用してもよく、アライナー機構による光学的な認識が可能である限り他のアライメントマークを用いてもよい。
当該切断工程では、基材2に設けられたAM3は、下記貼り合わせ工程におけるアライメント調整に用いられるものを除いて、基材2から切断除去されることが通常である。
<貼り合わせ工程について>
切断工程を経て切り出された位相差制御部材1には、さらに取扱工程のひとつとして、駆動液晶分子を配向させるための配向膜が被覆形成された上で、液晶駆動基板51(図7を参照)と対向させた状態でこれと接合する、貼り合わせ工程が施される。位相差制御部材1と駆動液晶基板とは、それぞれに設けられたアライメントマーク同士を整合させて位置合わせした状態で貼り合わされる。
なお、本発明の位相差制御部材1を、基材2に複数枚同時に形成する、いわゆる多面付けによって作製する場合、上記切断工程の前に複数枚の液晶駆動基板との貼り合わせを行い、しかる後に基材2を複数枚に切断してもよい。したがってかかる多面付けの場合、保護マーク30を含むAM3は、いずれも基材2より切断されて除去される場合がある。
位相差制御部材1と液晶駆動基板との間には、駆動液晶分子を介装して駆動液晶層が形成されるが、柱状体7が浸漬するように位相差層4の上に駆動液晶分子を滴下して真空中で液晶駆動基板と貼り合わせる液晶滴下工法(ODF法)によって駆動液晶層を形成してもよく、またはシール8によって位相差制御部材1と液晶駆動基板とを封止しつつ、減圧下で両者の間に駆動液晶分子を注入して駆動液晶層を形成してもよい。
なお、駆動液晶分子の駆動モードがいわゆるIPSモードやTNモードなど、駆動電圧の無負荷時に駆動液晶分子を水平配向させる場合については、位相差制御部材1のうち駆動液晶分子が滴下される最上面(上記に例示の場合は位相差層4の表面)には、ラビング処理などを施した水平配向膜を塗工形成するとよい。
[第三の実施形態について]
図6は、本発明の第三の実施形態にかかる位相差制御部材1の一部を模式的に示す断面図(立面図)である。紙面奥行側のシール8、および図中右側は図示を省略している。
本実施形態の位相差制御部材1は、有効表示領域10の内側に塗工された位相差層4が、液晶相領域4aと等方相領域4bとを備えていることを特徴とする。また位相差層4の上には、駆動液晶分子をスイッチング駆動させるための電圧負荷を与える透明電極層が塗工形成され、その上には図示しない柱状体7(図4を参照)と、駆動液晶分子を水平配向させるための水平配向膜が形成される。
本実施形態の位相差制御部材1は、半透過半反射型の液晶表示装置に組み合わせて用いることができる。位相差層4のうち液晶相領域4aを反射表示領域、等方相領域4bを透過表示領域にそれぞれ対向させて組み合わせることにより、各画素において外光を反射させて明表示する反射表示と、バックライト光を透過させて明表示する透過表示とをともにおこなうことができる。なお本実施形態においては、画素の幅方向中央に透過表示領域が設けられ、画素の幅方向両端に反射表示領域が設けられている。したがって液晶相領域4aと等方相領域4bとは画素内で微細にパターニングして形成されている。
なお、図6では便宜上、着色層9を構成する三色の着色領域91,92,93と、位相差層4を構成する液晶相領域4aおよび等方相領域4bとが、いずれも紙面左右方向に横並びに配置されるようストライプ状に図示されているが、両者のストライプパターンは直交して配置してもよい。後者の場合、位相差制御部材1の奥行方向(紙面前後方向)には、短冊状の着色領域91,92,93が同方向に所望の画素数に相当する本数だけストライプ状に繰り返し配置され、幅方向(紙面左右方向)には、短冊状の液晶相領域4a,等方相領域4bが当該方向に所望の画素数に相当するペア数だけストライプ状に繰り返し配置される。
パターニングされた液晶相領域4aと等方相領域4bとを備える位相差層4は以下のようにして作製することができる。
まず、上述の位相差層形成工程における活性放射線のパターニング照射に用いるフォトマスクに対し、有効表示領域10内に等方相領域4bと対応する形状に遮光部を設けておく。かかるフォトマスクを介して活性放射線を照射することにより、液晶相状態に配向した液晶分子40のうち、活性放射線が露光される領域、すなわち有効表示領域10については液晶相領域4aに対応する領域に存在するもののみが光重合により互いに重合して固定化される。かかるパターニング露光は、保護マーク30をアライナー機構で光学認識することで基材2とフォトマスクとを位置合わせして行う。
かかるパターニング露光により、等方相領域4bに残る液晶分子40は未重合ゆえ更なる相転移やエッチング除去が可能である。
ついで、位相差層4の非形成領域61とともに、等方相領域4bに相当する領域を光学的に等方化する。方法は大別して(i)液晶相状態にある液晶塗布膜41の全体を等方相転移温度以上に加熱して、未重合の上記領域に存在する液晶分子40を等方相転移させた上で、さらに液晶塗布膜41全体を焼成する、(ii)未重合の上記領域に存在する液晶分子40をエッチング除去し、気相によって等方相領域を形成する、という二例を挙げることができる。すなわち前者(i)の場合、光重合により既に硬化している液晶相領域4aについては液晶分子40がもはや相転移することができず、有効表示領域10内については未重合の等方相領域4bのみを等方相に転移させることができる。なお、未重合の領域が液晶相から等方相に相転移したことは、DSC等の測定装置や偏光顕微鏡観察によって確認できる。また後者(ii)の場合については、エッチング除去された気相の等方相領域を、光学等方性の樹脂材料などで充填してもよい。
上記(i)の方法によって液晶相領域4aと等方相領域4bとをパターン形成する場合、液晶分子40は光重合性とともに熱重合性を有していることが好ましく、また液晶性インキには熱重合開始剤を添加しておくことが好ましい。
熱重合開始剤としては、ラジカル重合性開始剤を好適に使用できる。例えば、2,2’−アゾビスイソブチルニトリル、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1’−アゾビス−1−シクロヘキシルニトリル、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、4,4’−アゾビス−4−シアノバレル酸、1,1’−アゾビス(1−アセトキシ−1−フェニルエタン)等のアゾ化合物、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキサイド、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン等の有機過酸化物、を挙げることができる。
[半透過半反射型液晶表示装置について]
図7は、上記第三の実施形態の位相差制御部材1を観察者に対向する表示側基板として備える半透過半反射型液晶表示装置(以下、液晶表示装置と略記する場合がある。)60の構成を示す断面模式図である。
液晶表示装置60は半透過半反射層24を備え、観察者側(図中上方)から有効表示領域10内に入射した可視光が同層の反射部24aで反射されて観察者に視認される反射表示領域17と、背面側(図中下方)に設けられたバックライト20から放射された可視光が同層の開口部24bを通過して観察者に至る透過表示領域16とが形成されていることを特徴とする。
半透過半反射層24は、アルミニウム、銀、またはこれらの合金等の反射率の高い金属膜からなる反射膜に微細な開口をパターニングすることで、反射部24aと開口部24bとを画素ごとに形成してなることが一般的である。
駆動液晶分子28を配向させた駆動液晶層13をはじめとする各種の積層を、ガラス基板に例示される一対の基材2,18の間に挟持してなる液晶セル23では、VA(Vertical Alignment)液晶等の駆動液晶分子28を電圧印加によって駆動することで、これを通過する可視光に与える位相差量を変動させ、画素ごとに明表示と暗表示とのスイッチングを行う。
具体的には、図7に示す液晶表示装置60の場合、透過表示領域16における駆動液晶層13の厚さは、反射表示領域17における厚さの2倍に構成され、これを透過する可視光に対し、電圧印加時には透過表示領域16で1/2波長、反射表示領域17で1/4波長の位相差が与えられるよう設計されている。また電圧無印加時には駆動液晶分子28が垂直配向して、透過光に与えられる位相差がともにゼロとなることにより、かかる透過光が直線偏光板12を観察者に向かって通過して観察者に視認される明表示と、通過できずに吸光されて観察者に至らない暗表示とが切り替えられる。
液晶セル23のうち、基材同士の内側(インセル側)には、まず背面側の基材18の内面側に、半透過半反射層24や透明電極層14が積層され、透明電極層14を覆うように、駆動液晶分子28を所望に配向させるための配向膜(図示せず)が形成されている。配向膜は、透明電極層14上に塗工したポリイミド層をラビング処理するなどにより得られる。
このほか基材18には、そのインセル側に、TFT等の画素スイッチング素子、データ線、走査線等が形成されて液晶駆動基板51を構成している。
液晶駆動基板51の基材18にはアライメントマーク(AM)53が形成されている。AM53は、上述のように位相差制御部材1のAM3との焦点深度を近づけてアライナー機構による位置合わせ精度を向上するため、基材18のインセル側、すなわち透明電極層14の形成側に設けるとよい。
AM53のうち、アライナー機構の受光部側からみた吸光性・光反射性の性状はAM3と共通とすることが好ましい。すなわち位相差制御部材1のAM3が吸光性の場合、AM53も吸光性に作製し、液晶表示装置60を挟んでアライナー機構の受光部の反対側に配置された透過光源を用いて、AM3とAM53との一致/不一致を画像処理により判断することができる。また位相差制御部材1のAM3が光反射性の場合、AM53も光反射性に作製し、液晶表示装置60に対してアライナー機構の受光部と同一側に配置された反射光源を用いて、AM3とAM53との一致/不一致を画像処理により判断する。なお、透過光源を用いてAM3とAM53との位置合わせを行う前者の場合、AM3またはAM53の一方または両方を光反射性としてもよい。
AM53の形状は適宜選定しうるが、例えばAM3を十字状とした場合、AM53はこれを囲う矩形状とすることができる。AM53の矩形内側の開口サイズは、AM3の十字よりもわずかに大きく形成され、両者の中心同士を一致させた状態で互いに重なり合うことなく非接触に観察される。これにより、アライナー機構を用いた基材2と基材18との位置合わせが精度よく行なわれる。
液晶表示装置60は、真空雰囲気下で、位相差制御部材1のAM3と液晶駆動基板51のAM53とを対向させてこれらをアライナー機構によって位置合わせしつつ、位相差制御部材1と液晶駆動基板51とを貼り合わせる。貼り合わせは、例えば適量の駆動液晶分子を位相差制御部材1のインセル側に滴下し、柱状体7でセルギャップを保持した状態で、シール8によって位相差制御部材1と液晶駆動基板51との間を封止して行う。
一方、表示側基板を構成する位相差制御部材1には、上述のように基材2上にBM5によって有効表示領域10や各画素が区画形成され、当該区画を埋めるように、R(赤)G(緑)B(青)などの異なる色の着色領域91,92,93が画素幅で微細に配列されて着色層9がストライプ状に構成され、さらにその上(図中下方)には配向膜6が塗工形成されている。また配向膜6は有効表示領域10の外側に設けられたAM3を覆う領域にも設けられ、当該AM3は保護マーク30を構成している。
配向膜6の上(図中下方)には液晶相領域4aと等方相領域4bとがパターニングされた位相差層4を備え、反射表示領域17を通過する可視光に対してのみ1/4波長の位相差が与えられる。位相差層4の上には透明電極層11が塗工形成され、さらに図示しない柱状体7と、駆動液晶分子28を垂直配向させるための垂直配向膜が有効表示領域10内に設けられる。本実施形態の液晶表示装置60のように位相差層4が液晶セル23のインセル側に設けられることにより、位相差層4は基材2,18によって保護されることとなり、吸湿変形や熱変形、および機械環境負荷から保護される。
液晶セル23の外側(アウトセル側)には、基材2の観察者側に直線偏光板12が配置され、また基材18から背面側にもまた直線偏光板19が設けられている。
直線偏光板12の透過軸と直線偏光板19の透過軸とは互いに直交し、すなわち直線偏光板12,19はクロスニコル状態を構成している。
バックライト20は、光源20aと導光板20bと反射板21とから構成され、導光板20bの下面側には、導光板20b中を透過する光を液晶セル23側に向けて出射させるための反射板21が設けられている。
次に、半透過半反射型液晶表示装置60の表示原理について説明する。
電圧印加状態では、先ず、観察者側から反射表示領域17に入射した可視光(外光)は、直線偏光板12を透過して直線偏光になると、着色層9で所定の色(所定の波長の可視光)に分光されたのち、位相差制御部材1の液晶相領域4aを透過する際に1/4波長の位相差が与えられて円偏光となって駆動液晶層13に入射する。電圧無印加時には駆動液晶層13では位相差が生じないため、円偏光はそのまま駆動液晶層13を通過する。
円偏光は、反射部24aの表面で反射すると偏光方向が反転し、表示側に向かって再度駆動液晶層13を透過する。液晶相領域4aで再び1/4波長の位相差が与えられて直線偏光に変換されると、当該直線偏光は、直線偏光板12と垂直な偏光軸を有しているため、直線偏光板12に吸収されて観察者側へは出射されず、暗表示となる。
一方、バックライト20から透過表示領域16に出射された光は、直線偏光板19を透過して直線偏光となり、その状態で開口部24bを介して液晶セル23を透過する。この直線偏光は、電圧印加時の駆動液晶層13および等方相領域4bでいずれも位相差が与えられず、透過軸の直交する直線偏光板12で吸収されるため、暗表示となる。
電圧印加状態では、液晶セル23を可視光が透過する際に、反射表示領域17では、VA液晶の有する位相差によって1/4波長、さらに液晶相領域4aによって1/4波長の位相のずれが付与され、他方、透過表示領域16では、VA液晶の有する位相差によって1/2波長の位相のずれが付与される。従って、外光の場合(反射表示)もバックライト光の場合(透過表示)も、直線偏光板12を透過する直線偏光は、偏光板と平行な偏光軸を有することとなり、直線偏光板12によって出射光が吸収されることはなく、明表示となる。すなわち図示に例示する液晶表示装置60はノーマリ・ブラック型となる。
また、直線偏光板19を透過することで直線偏光になったバックライト光のうち一部は、反射部24aの裏面で反射するが、 そのまま直線偏光板19を透過してバックライト側に戻り、反射板21によって再度液晶セル23にむけて照射されるため、光の再利用が図られ輝度の高い表示装置が実現できる。
以下本発明の実施例について詳細に説明する。
[実施例1]
(1)基材および着色層の構成
基材上に形成するブラックマトリクスおよび着色層の各色パターンを形成するための各感光性樹脂組成物(フォトレジスト)を調製した。各フォトレジストは、顔料、分散剤、および溶媒にビーズを加え、ペイントシェーカーを分散機として用い、3時間分散させた後、ビーズを取り除いて得られた分散液と、ポリマー、モノマー、添加剤、開始剤および溶剤からなるレジスト組成物とを混合することにより調製した。各フォトレジストの組成は下記に示す通りで、部数はいずれも質量基準である。透過表示領域と反射表示領域の分光濃度を合わせ込むため、各RGBにおいて透過部用と反射部用を別途用意するものとし、計6色のフォトレジストを調整した。
(i)ブラックマトリクス形成用フォトレジスト
・黒顔料・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14.0部
(大日精化工業(株)製、TMブラック#9550)
・分散剤・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1.2部
(ビックケミー(株)製、ディスパービック111)
・ポリマー・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2.8部
(昭和高分子(株)製、(メタ)アクリル系樹脂、品番:VR60)
・モノマー・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3.5部
(サートマー(株)製、多官能アクリレート、品番:SR399)
・添加剤(分散性改良剤)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・0.7部
(綜研化学(株)製、ケミトリーL−20)
・開始剤・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1.6部
(2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1)
・開始剤(4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン)・・・・・・0.3部
・開始剤(2,4−ジエチルチオキサントン)・・・・・・・・・・0.1部
・溶剤(エチレングリコールモノブチルエーテル)・・・・・・・75.8部
(ii)赤色パターン形成用フォトレジスト
・赤色顔料(C.I.PR254)・・・・・・・・・・・・・・・1.75部
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)、クロモフタールDPP Red BP)
・黄色顔料(C.I.PY139)・・・・・・・・・・・・・・・0.3部
(BASF社製、パリオトールイエローD1819))
・分散剤・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1.5部
(ゼネカ(株)製、ソルスパース24000)
・ポリマー1(下記)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5.0部
・モノマー・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4.0部
(サートマー(株)製、多官能アクリレート、品番:SR399)
・開始剤・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1.4部
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、イルガキュア907)
・開始剤・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・0.6部
(2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4’,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール)
・溶剤・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・80.0部
(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)
なお、上記ポリマー1は、ベンジルメタクリレート:スチレン:アクリル酸:2−ヒドロキシエチルメタクリレート=15.6:37.0:30.5:16.9(モル比)の共重合体100モル%に対して、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートを16.9モル%付加したものであり、質量平均分子量は42500であり、以降においても同じである。上記の組成は反射表示領域(赤色反射用レジスト)に塗布される赤色着色領域の用途であり、透過表示領域用途(赤色透過用レジスト)としては赤顔料、黄顔料、および分散剤をそれぞれ2倍としたフォトレジストを使用した。
(iii)緑色パターン形成用フォトレジスト
上記の赤色パターン形成用フォトレジストにおける赤色顔料および黄色顔料に替えて、顔料として下記のものを下記の配合量で用いた。
・緑色顔料(C.I.PG7)・・・・・・・・・・・・・・・・・1.9部
(大日精化製セイカファストグリーン5316P))
・黄色顔料(C.I.PY139)・・・・・・・・・・・・・・・1.1部
(BASF社製、パリオトールイエローD1819)
上記の組成は反射表示領域用途(緑色反射用レジスト)であり、透過表示領域用途(緑色透過用レジスト)としては緑顔料、黄顔料、および分散剤をそれぞれ2倍としたフォトレジストを使用した。
(iv)青色パターン形成用フォトレジスト
上記の赤色パターン形成用フォトレジストにおける赤色顔料、黄色顔料、および分散剤に替えて、下記のものを下記の配合量で用いた。
・青色顔料(C.I.PB15:6)・・・・・・・・・・・・・・2.3部
(BASF社製ヘリオゲンブルーL6700F))
・紫色顔料(C.I.PV23)・・・・・・・・・・・・・・・・0.7部
(クラリアント社製、フォスタパームRL−NF)
・顔料誘導体・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・0.3部
(ゼネカ(株)製ソルスパース12000)
・分散剤・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1.2部
(ゼネカ(株)製ソルスパース24000)
上記の組成は反射表示領域用途(青色反射用レジスト)であり、透過表示領域用途(青色透過用レジスト)としては上記のすべての成分をそれぞれ2倍としたフォトレジストを使用した。
基材には、厚みが0.7mmの溶融成形ホウケイ酸薄板ガラス(米国コーニング社製、品番:7059)を準備し、洗浄を行った後、該基材上にブラックマトリクス形成用フォトレジストを、スピンコート法により塗布し、塗布後、温度:90℃、および加熱時間:3分間の条件でプレベイクを行い、プレベイク後、所定のパターンを介し、照射線量が100mJ/cmになるよう紫外線露光を行い、露光後、0.05%KOH水溶液を用いたスプレー現像を60秒間行った後、温度:200℃、および加熱時間:30分間の条件でポストベイクを行い、画素に相当する開口部を有する厚みが1.2μmのブラックマトリクスを形成した。
同時にブラックマトリクスで区画される有効表示領域の外側には、後の製版工程や切断または貼り合わせ工程などに用いるアライメントマークを、上記ブラックマトリクス形成用フォトレジスト材料により同時に形成した。
次に、ブラックマトリクスが形成された基材上に赤色反射用レジストをスピンコート法により全面に塗布し、ホットプレート上で温度:80℃、および加熱時間:3分間の条件でプレベイクを行い、引き続き赤色反射表示領域のみを、所定のマスクパターンを介して照射線量が200mJ/cmになるよう紫外線露光を行い、同様にアルカリを用いたスプレー現像を行った。さらに温度:220℃、および加熱時間:30分間の条件でポストベイクを行い、赤色反射画素に相当する部分に、厚みが1.2μmの着色パターンを形成した。
つづけて、赤色反射用レジストを赤色透過用レジストに変更し、上記と同様な手法を用いて透過表示領域に透過用赤色画素を形成した。
同様に、緑色反射用レジストにより反射用緑色画素を、緑色透過用レジストにより透過用緑色画素を、青色反射用レジストにより反射用青色画素を、青色透過用レジストにより透過用青色画素を、それぞれ開口位置の異なるフォトマスクに変更しつつ同様の手法を用いて形成した。
(2)液晶性インキの構成
重合可能な液晶材料としては、RMM34(商品名:メルク社製)を用いた。液晶材料25質量部、光重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(イルガキュアIrg184:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)を1質量部、溶剤としてのトルエン74質量部を混合して製作した。
上記液晶材料の液晶相転移温度は約60℃、等方相転移温度は約120℃である。
(3)パターニングした位相差層の構成
上記の如く基材上にブラックマトリクスおよび着色層が形成された上に、可溶性ポリイミド樹脂系の配向膜形成用インキ組成物(JSR(株)製:AL1254)をフレキソ印刷法により有効表示領域とアライメントマークを覆う領域とにパターン状に印刷し、当該印刷後、乾燥させて溶剤を除去した後、温度:200℃、および加熱時間:1時間の条件で焼成を行い、焼成後、表面にラビング処理を行って、厚みが700Åの水平配向膜、およびこれとアライメントマークとから構成される保護マークを形成した。次に、スピンコーティング法を用いて水平配向膜の上に直接に液晶性インキを塗工した。続いて当該基材をホットプレート上で、温度:100℃、加熱時間:5分間の条件で加熱して、残存溶剤を除去し、ホモジニアス配向した液晶構造を発現させた。
この際、保護マークおよびその周囲においては、有効表示領域と同様に液晶分子が良好な一軸配向性を示した。したがって、引き続きアライナー機構を用いて保護マークを光学認識することでフォトマスクと基材との位置合わせを行うに際し、当該アライナー機構により容易に光学認識をすることが可能であった。かかる位置合わせ状態にて紫外線照射(照射線量:10J/cm,波長:365nm)を行い、各色の反射用画素(反射表示領域)のみを固定化して位相差層を作製することができた。
また上記にかかる位相差層の上に、セルギャップ厚さを制御するための柱状体や、駆動液晶分子の配向を制御する突起をフォトリソグラフィー法または転写法にて製版する際にも、上記保護マークをアライナー機構により光学認識することによって、フォトマスクや転写装置とのアライメント調整が容易かつ好適に行うことができた。
[比較例1]
アライメントマークおよびその周囲に水平配向膜を被覆形成せず、有効表示領域の内側にのみ水平配向膜を塗工したところ、当該アライメントマーク近傍では液晶分子の微小ドメインが形成されて良好な一軸配向が実現されなかった。これにより、アライナー機構によって当該アライメントマークを光学認識するための照射光をあてた際に、屈折率の不連続性に起因して散乱光成分が発生し、これを良好に認識することができず、基材とフォトマスクとの位置合わせができなかった。
第一の実施形態にかかる位相差制御部材1の一部を模式的に示す平面図である。 (a)は図1のII−II断面図(立面図)であり、(b)は従来の位相差制御部材の立面図である。 第二の実施形態にかかる位相差制御部材1の一部を模式的に示す平面図である。 図3のIV−IV断面図(立面図)である。 位相差層4の上に柱状体7を立設する方法を示す模式図であり、(a)は基材2、(b)はフォトマスク48、(c)は両者を位置合わせした状態、(d)はフォトマスク48の覗き窓49を遮光板45で遮蔽した状態、(e)はBM5の上に柱状体7を固定形成した状態、をそれぞれ示す。 第三の実施形態にかかる位相差制御部材1の一部を模式的に示す断面図(立面図)である。 第三の実施形態の位相差制御部材1を表示側基板として備える半透過半反射型液晶表示装置60の構成を示す断面模式図である。
符号の説明
1,101 位相差制御部材
2,18 基材
3,53,103 アライメントマーク
30 保護マーク
31,131 透過領域
4 位相差層
4a 液晶相領域
4b 等方相領域
40 液晶分子
41 液晶塗布膜
5 ブラックマトリクス
6 配向膜
7 柱状体
8 シール
9 着色層
10 有効表示領域
16 透過表示領域
17 反射表示領域
23 液晶セル
60 半透過半反射型液晶表示装置

Claims (8)

  1. 光透過性の基材と、
    前記基材に区画形成または予定形成された有効表示領域の外側に設けられた、当該基材を位置合わせするための一つまたは複数のアライメントマークと、
    前記基材上であって、前記有効表示領域の内側、および前記アライメントマークの少なくとも一つを覆う領域に対して、ともに形成された配向膜と、
    重合性液晶分子が前記配向膜上で所定方向に配向した状態で固定化されてなる位相差層と、を備え、
    前記アライメントマークを覆う配向膜と当該アライメントマークとで保護マークが構成されていることを特徴とする位相差制御部材。
  2. 配向膜が、前記有効表示領域の内側と、前記保護マークを構成するアライメントマークを覆う領域とにパターン形成されていることを特徴とする請求項1に記載の位相差制御部材。
  3. 基材と配向膜との間に、少なくとも2色以上の着色領域からなる着色層を更に備える請求項1または2に記載の位相差制御部材。
  4. (a)有効表示領域の外側にアライメントマークが設けられた光透過性の基材と、(b)前記アライメントマークおよびその周囲、ならびに前記有効表示領域内の所定位置にそれぞれ対応してマスクパターンが開口形成された遮光性のフォトマスクと、を位置合わせするアライメント調整方法であって、
    前記基材上であって、前記有効表示領域の内側と、前記アライメントマークを覆う領域とに対して、ともに配向膜を形成し、
    光重合性の液晶分子を含有する液晶性インキを前記配向膜上に塗布し、
    前記塗布された液晶分子を前記配向膜上で所定方向に配向させたのちに、
    上記基材と前記フォトマスクとを、前記アライメントマークをアライナー機構で光学的にパターン認識することにより互いを位置合わせすることを特徴とするアライメント調整方法。
  5. 有効表示領域の内側を通過する透過光に位相差を与える位相差制御部材の製造方法であって、
    (i)光透過性の基材に区画形成または予定形成された前記有効表示領域の外側に一つまたは複数のアライメントマークを形成する工程と;
    (ii)前記基材上であって、前記有効表示領域の内側と、前記アライメントマークの少なくとも一つを覆う領域とに対して、配向膜を直接または間接に形成し、前記アライメントマークを覆う配向膜と当該アライメントマークとで保護マークを構成する配向膜形成工程と;
    (iii)重合性液晶分子を含有する液晶性インキを前記配向膜上に塗布して液晶塗布膜を形成する塗布工程と;
    (iv)前記重合性液晶分子を、前記配向膜上で所定方向に配向させる配向工程と;
    (v)前記配向した重合性液晶分子同士を重合固定化して位相差層を形成する位相差層形成工程と;
    を含む位相差制御部材の製造方法。
  6. 有効表示領域の内側を通過する透過光に位相差を与える位相差制御部材の製造方法であって、
    (i)光透過性の基材に区画形成または予定形成された前記有効表示領域の外側に一つまたは複数のアライメントマークを形成する工程と;
    (ii)前記基材上であって、前記有効表示領域の内側と、前記アライメントマークの少なくとも一つを覆う領域とに対して、配向膜を直接または間接に形成し、前記アライメントマークを覆う配向膜と当該アライメントマークとで保護マークを構成する配向膜形成工程と;
    (iii)光重合性の液晶分子を含有する液晶性インキを前記配向膜上に塗布して液晶塗布膜を形成する塗布工程と;
    (iv)前記液晶分子を、前記配向膜上で所定方向に配向させる配向工程と;
    (v)前記保護マークおよびその周囲、ならびに前記有効表示領域内の所定位置にそれぞれ対応してマスクパターンが開口形成された遮光性のフォトマスクと、前記基材とを、前記保護マークをアライナー機構で認識することにより互いに位置合わせするアライメント工程と;
    (vi)前記フォトマスクを介して行うパターン露光、およびその後のエッチング除去により、前記配向した液晶分子同士を重合固定化してなる位相差層を、前記マスクパターンに対応してパターン形成する位相差層形成工程と;
    を含む位相差制御部材の製造方法。
  7. 有効表示領域の内側を通過する透過光に位相差を与える位相差層制御部材の製造方法であって、
    (i)光透過性の基材に区画形成または予定形成された前記有効表示領域の外側に一つまたは複数のアライメントマークを形成する工程と;
    (ii)前記基材上であって、前記有効表示領域の内側と前記アライメントマークの少なくとも一つを覆う領域とに対して、配向膜を直接または間接に塗工形成し、当該アライメントマークを保護マークとなす配向膜形成工程と;
    (iii)光重合性の液晶分子を含有する液晶性インキを前記配向膜上に塗布して液晶塗布膜を形成する塗布工程と;
    (iv)前記液晶分子を、前記配向膜上で所定方向に配向させる配向工程と;
    (v)前記保護マークおよびその周囲、ならびに前記有効表示領域内の所定位置にそれぞれ対応してマスクパターンが開口形成された遮光性のフォトマスクと、前記基材とを、前記保護マークをアライナー機構で認識することにより互いに位置合わせをするアライメント工程と;
    (vi)前記保護マークおよびその周囲を遮光した状態で前記フォトマスクを介して行うパターン露光、およびその後のエッチング除去により、前記保護マーク上に塗布された液晶分子は重合固定化せず、有効表示領域の内側に塗布された液晶分子を重合固定化して位相差層を形成する位相差層形成工程と;
    を含む位相差制御部材の製造方法。
  8. 請求項5〜7のいずれかに記載の位相差制御部材の製造方法において、
    前記位相差層形成工程の後に行われる(ア)前記基材を切断する切断加工工程、(イ)位相差層の上に他の配向膜を製膜する製膜工程、または(ウ)前記基材と他の基材とを貼り合わせる貼合工程、のいずれかにて、前記保護マークをアライナー機構で光学的にパターン認識することにより前記基材のアライメント調整を行うことを特徴とする、位相差制御部材の製造方法。
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