JP2009042354A - 位相差制御部材とのその製造方法、およびアライメント調整方法。 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】光透過性の基材2と、前記基材に区画形成または予定形成された有効表示領域10の外側に設けられた、当該基材を位置合わせするための一つまたは複数のアライメントマーク3と、前記基材上であって、前記有効表示領域の内側、および前記アライメントマークの少なくとも一つを覆う領域に対して、ともに形成された配向膜6と、重合性液晶分子40が前記配向膜上で所定方向に配向した状態で固定化されてなる位相差層4と、を備え、前記アライメントマークを覆う配向膜と当該アライメントマークとで保護マーク30が構成されていることを特徴とする位相差制御部材。
【選択図】図1
Description
このうち、例えば位相差層に対して液晶分子を垂直に配向させてなる正のCプレートは、液晶セルをクロスニコル状態で挟み込む二枚の直線偏光板の視野角を拡大する機能がある。
また位相差層に対して液晶分子を水平に配向させてなる正のAプレートは、半透過半反射型液晶表示装置の微細な画素内に形成された反射表示領域を通過する可視光のみに1/4波長の位相差を与えることにより、透過表示領域を通過する可視光とともに駆動液晶分子のスイッチングによって明表示と暗表示との切り換えを可能にしている。
一般に微小な十字形状などに形成されるアライメントマークは、位相差制御部材を構成する光透過性の基材のうち、有効表示領域が予定形成された区画領域の外部に複数個設けられ、各種製版工程やその後の切断または貼り合わせ工程などにおいて、複数個のアライメントマークのうちのいずれか一以上を適宜選択して各種装置やパネルとの位置合わせに用いられる。
(一)基材上面に着色層をフォトリソグラフィー法やインクジェット法により微細にパターン形成する場合の、基材と当該フォトマスク、または基材とインクジェットコーターとの位置合わせ;
(二)塗布された液晶性インキをフォトリソグラフィー法でパターニング露光する場合の、基材とフォトマスクとの位置合わせ;
(三)位相差層形成後に、液晶セルのセル厚さ(以下、セルギャップという。)を一定に保持するための柱状体やシール、または駆動液晶分子の配向方向を規制するための突起などをフォトリソグラフィー法や転写法などにより微細にパターン形成する場合の、基材と当該フォトマスク、または転写装置との位置合わせ;
(四)位相差層形成後に、駆動液晶分子やその配向膜などを位相差層の上に直接または間接に塗工する場合の、基材と塗工装置との位置合わせ;
(五)位相差層形成後に、当該基材を所定のカットラインで切断する場合の、基材と切断装置との位置合わせ;
(六)位相差層を形成した基材と、液晶駆動回路を画素ごとにパターン配置した液晶駆動基板とを貼り合わせる場合の、基材と液晶駆動基板との位置合わせ;などを一例として挙げることができる。
すなわち、例えば着色層上に被覆形成された水平配向膜によって液晶分子を水平配向させて作製するインセルタイプの正のAプレートの場合、当該水平配向膜は、有効表示領域内にRGBなどの着色領域が微細にパターニングされた着色層の上にのみ被覆されれば足りることから、有効表示領域の外側に設けられるAMおよびその周囲は水平配向膜によって覆われることはない。またAMの視認性を損なわないよう、AMおよびその周囲には着色層を被覆形成しないことが通常であるため、AMの近傍においては、AMが突出形成された基材上に液晶性インキが塗布されることが通常である。したがってAM自体の無視できない層厚さにより位相差層には段差が形成されることと相俟って、AMおよびその周囲においては液晶分子の水平配向に不良が生じて上記の光散乱の問題が生じていた。
同様にインセルタイプの正のCプレートの場合も、垂直配向膜が被覆形成された有効表示領域内においては液晶分子の良好な垂直配向が得られるものの、かかる配向膜が塗工形成されないAMおよびその周囲においては液晶分子の垂直配向に乱れが生じて照明光の散乱が生じていた。
具体的には、液晶分子を配向させた状態からフォトマスクを介してフォトリソグラフィー法により有効表示領域内に所望の位相差層をパターン形成することを試みた場合、基材とフォトマスクとのアライメント調整を高精度に行うことができず、最悪の場合アライナー機構が閾値以上のコントラスト比をいつまでも検出することができずに計測エラーが生じ、上記ケース(二)における位置合わせがそもそも不可能となる。
また位相差層をフォトリソグラフィー法でパターン形成することを諦め、着色層を含む基材全面にベタ膜としてこれを塗工形成した場合についても、位相差層形成後におこなわれる上記ケース(三)〜(六)において同様にアライメント調整が不可能となる。
(1)光透過性の基材と、
前記基材に区画形成または予定形成された有効表示領域の外側に設けられた、当該基材を位置合わせするための一つまたは複数のアライメントマークと、
前記基材上であって、前記有効表示領域の内側、および前記アライメントマークの少なくとも一つを覆う領域に対して、ともに形成された配向膜と、
重合性液晶分子が前記配向膜上で所定方向に配向した状態で固定化されてなる位相差層と、を備え、
前記アライメントマークを覆う配向膜と当該アライメントマークとで保護マークが構成されていることを特徴とする位相差制御部材;
(2)配向膜が、前記有効表示領域の内側と、前記保護マークを構成するアライメントマークを覆う領域とにパターン形成されていることを特徴とする上記(1)に記載の位相差制御部材;
(3)基材と配向膜との間に、少なくとも2色以上の着色領域からなる着色層を更に備える上記(1)または(2)に記載の位相差制御部材;
を要旨とする。
(4)(a)有効表示領域の外側にアライメントマークが設けられた光透過性の基材と、(b)前記アライメントマークおよびその周囲、ならびに前記有効表示領域内の所定位置にそれぞれ対応してマスクパターンが開口形成された遮光性のフォトマスクと、を位置合わせするアライメント調整方法であって、
前記基材上であって、前記有効表示領域の内側と、前記アライメントマークを覆う領域とに対して、ともに配向膜を形成し、
光重合性の液晶分子を含有する液晶性インキを前記配向膜上に塗布し、
前記塗布された液晶分子を前記配向膜上で所定方向に配向させたのちに、
上記基材と前記フォトマスクとを、前記アライメントマークをアライナー機構で光学的にパターン認識することにより互いを位置合わせすることを特徴とするアライメント調整方法;
を要旨とする。
さらに本発明にかかる位相差制御部材の製造方法は、
(5)有効表示領域の内側を通過する透過光に位相差を与える位相差制御部材の製造方法であって、
(i)光透過性の基材に区画形成または予定形成された前記有効表示領域の外側に一つまたは複数のアライメントマークを形成する工程と;
(ii)前記基材上であって、前記有効表示領域の内側と、前記アライメントマークの少なくとも一つを覆う領域とに対して、配向膜を直接または間接に形成し、前記アライメントマークを覆う配向膜と当該アライメントマークとで保護マークを構成する配向膜形成工程と;
(iii)重合性液晶分子を含有する液晶性インキを前記配向膜上に塗布して液晶塗布膜を形成する塗布工程と;
(iv)前記重合性液晶分子を、前記配向膜上で所定方向に配向させる配向工程と;
(v)前記配向した重合性液晶分子同士を重合固定化して位相差層を形成する位相差層形成工程と;
を含む位相差制御部材の製造方法;
(6)有効表示領域の内側を通過する透過光に位相差を与える位相差制御部材の製造方法であって、
(i)光透過性の基材に区画形成または予定形成された前記有効表示領域の外側に一つまたは複数のアライメントマークを形成する工程と;
(ii)前記基材上であって、前記有効表示領域の内側と、前記アライメントマークの少なくとも一つを覆う領域とに対して、配向膜を直接または間接に形成し、前記アライメントマークを覆う配向膜と当該アライメントマークとで保護マークを構成する配向膜形成工程と;
(iii)光重合性の液晶分子を含有する液晶性インキを前記配向膜上に塗布して液晶塗布膜を形成する塗布工程と;
(iv)前記液晶分子を、前記配向膜上で所定方向に配向させる配向工程と;
(v)前記保護マークおよびその周囲、ならびに前記有効表示領域内の所定位置にそれぞれ対応してマスクパターンが開口形成された遮光性のフォトマスクと、前記基材とを、前記保護マークをアライナー機構で認識することにより互いに位置合わせするアライメント工程と;
(vi)前記フォトマスクを介して行うパターン露光、およびその後のエッチング除去により、前記配向した液晶分子同士を重合固定化してなる位相差層を、前記マスクパターンに対応してパターン形成する位相差層形成工程と;
を含む位相差制御部材の製造方法;
(7)有効表示領域の内側を通過する透過光に位相差を与える位相差層制御部材の製造方法であって、
(i)光透過性の基材に区画形成または予定形成された前記有効表示領域の外側に一つまたは複数のアライメントマークを形成する工程と;
(ii)前記基材上であって、前記有効表示領域の内側と前記アライメントマークの少なくとも一つを覆う領域とに対して、配向膜を直接または間接に塗工形成し、当該アライメントマークを保護マークとなす配向膜形成工程と;
(iii)光重合性の液晶分子を含有する液晶性インキを前記配向膜上に塗布して液晶塗布膜を形成する塗布工程と;
(iv)前記液晶分子を、前記配向膜上で所定方向に配向させる配向工程と;
(v)前記保護マークおよびその周囲、ならびに前記有効表示領域内の所定位置にそれぞれ対応してマスクパターンが開口形成された遮光性のフォトマスクと、前記基材とを、前記保護マークをアライナー機構で認識することにより互いに位置合わせをするアライメント工程と;
(vi)前記保護マークおよびその周囲を遮光した状態で前記フォトマスクを介して行うパターン露光、およびその後のエッチング除去により、前記保護マーク上に塗布された液晶分子は重合固定化せず、有効表示領域の内側に塗布された液晶分子を重合固定化して位相差層を形成する位相差層形成工程と;
を含む位相差制御部材の製造方法;
(8)上記(5)〜(7)のいずれかに記載の位相差制御部材の製造方法において、
前記位相差層形成工程の後に行われる(ア)前記基材を切断する切断加工工程、(イ)位相差層の上に他の配向膜を製膜する製膜工程、または(ウ)前記基材と他の基材とを貼り合わせる貼合工程、のいずれかにて、前記保護マークをアライナー機構で光学的にパターン認識することにより前記基材のアライメント調整を行うことを特徴とする、位相差制御部材の製造方法;
を要旨とする。
また本発明の位相差制御部材は位相差層をインセルタイプで備えることから、これを液晶駆動基板と組み合わせることで、透過光に所望の位相差を与える複屈折機能が得られるとともに、装置全体の厚さを低減し、位相差層の良好な耐久性や光透過性を得ることができる。
[第一の実施形態について]
図1は本発明の第一の実施形態にかかる位相差制御部材の一部を模式的に示す平面図であり、図2(a)はそのII−II断面図(立面図)である。また図2(b)は、従来の位相差制御部材の立面図である。
図2(a)に示す本実施形態のように、有効表示領域10とともにAM3(保護マーク30)およびその周囲を覆う領域に対しても配向膜6を設けることにより、配向膜6を含む基材2の全面に液晶性インキを塗布した場合に、保護マーク30上で液晶分子40の配向性を有効表示領域10と同等に良好なものとすることができる。より具体的には、保護マーク30の直上および保護マーク30の周縁に隣接する透過領域31の直上についても配向膜6が設けられていることから、アライナー機構(図示せず)の照明光の照射域内において液晶分子40の配向性が良好となり、もってアライナー機構による保護マーク30の光学的な認識を良好にしている。
これは、液晶分子40の配向性は、界面に対する液晶分子40のアンカリング特性と、液晶分子40同士の連続弾性体理論とで決定されるところ、基材2やAM103と配向膜6とでは界面の性状が異なるため、AM103やその周縁の透過領域131では配向膜6と同様の配向性を得ることができないためである。またAM103自体の厚みによって透過領域131には基材2との間に段差が形成されるため、液晶分子40の配向性がさらに阻害されることとなる。
なお基材2の位置合わせは上記フォトマスクに限らず上記位置合わせケース(一)〜(六)など各種想定されるところ、液晶分子40の配向(水平配向)が不良のまま位相差層4をベタ製版によって基材2上に固定化した場合、上記ケース(三)〜(六)において位置合わせが不可能になるという同様の問題が生じる。
すなわちポジ型のフォトリソグラフィー法によって位相差層4を有効表示領域10内にパターン形成する場合、(1a)例えばエポキシ系などの熱重合性の液晶分子40を含む液晶性インキを配向膜6の上に塗布して液晶塗布膜41を形成し、(2a)液晶分子40を配向させた後にこれを固定化することで位相差層4を基材2の全面に一旦形成し、(3a)ポジ型のフォトレジストを位相差層4上に全面塗布し、(4a)有効表示領域10が遮光されたマスクパターンのフォトマスクを、保護マーク30をアライナー機構で視認することで基材2と位置合わせし、(5a)フォトマスクを介して位相差層4に活性放射線を照射して露光部分を感光させ、つづいて現像により感光部分を除去し、(6a)現像により露出した部分をドライエッチングなどにより除去して、有効表示領域10に所望の位相差層4を残すことができる。
なお、保護マーク30およびその周囲に塗工された液晶塗布膜41をエッチング除去する場合については、フォトマスクの開口(覗き窓)を通じて保護マーク30を視認することで当該フォトマスクと基材2とを位置合わせした状態から、(i)ポジ型のフォトリソグラフィー法による場合は保護マーク30およびその周囲に対してそのまま活性放射線を露光すればよく、(ii)ネガ型のフォトリソグラフィー法による場合は覗き窓を遮光板(図5(d)の遮光板45を参照)で遮蔽してから露光すればよい。
以下に説明する実施形態についてはネガ型のフォトリソグラフィー法によって位相差層4をパターン形成する態様を例にとり具体的に説明するが、ポジ型のリソグラフィー方法による場合については、上記説明および本発明の内容に照らし当業者であれば容易に想到できよう。
いずれの場合も、遮光性(吸光性または光反射性)のAM3のエッジに隣接する透過領域31において液晶分子を良好にホメオトロピック配向させることができるため、液晶性インキのパターニング工程を含む、位相差制御部材1の以後の製造および取扱工程において、アライナー機構による保護マーク30の光学的な認識が良好に行われ、基材2のアライメント調整が可能になる。
なお、位相差制御部材1に用意される有効表示領域10は、本実施形態のようにBM5などの遮光材料によって明示的にパターン形成される場合と、位相差制御部材1の面央などに当該有効表示領域の予定域を包絡する広さの光透過領域が存在しているだけの場合とがある。いずれの場合も、本発明の位相差制御部材1が用いられる表示装置や光学機器の仕様に基づいて求められる有効表示領域をまず基材2上に仮想的に予定形成し、これと干渉しない位置にAM3を配置することとなる。
すなわち本発明において、基材2に有効表示領域10が区画形成された状態とは、BM5または後述する額縁状のシール8などによって開口部が囲み形成された状態や、着色層9や配向膜6、位相差層4などが基材2の面央などにパターン形成された状態をいう。一方、基材2に有効表示領域10が予定形成された状態とは、AM3が設けられた基材2にBM5やシール8が未形成である状態や、BM5やシール8が形成されることなく、基材2に着色層9や配向膜6、位相差層4などがベタ塗工された状態をいう。
図3は、本発明の第二の実施形態にかかる位相差制御部材1の一部を模式的に示す平面図であり、図4はそのIV−IV断面図(立面図)である。
本実施形態の位相差制御部材1は、上記第一の実施形態にかかる位相差制御部材1に対して、
(1)画素開口35ごとにパターニングして設けられた、セルギャップを一定に保持するための柱状体7;
(2)有効表示領域10の周囲を囲んで設けられた、駆動液晶分子を封止するための額縁状のシール8;
をさらに備えることを特徴とする。
基材2は、ガラス基板などのガラス材の他、種々の材質からなる板状体を適宜選択できる。特に位相差制御部材1を液晶ディスプレイ用に用いる場合には、基材2は無アルカリガラス製のガラス基板とすることが好ましい。ガラス基板のほか、基材2には、シリコンや石英などの無機基材、または下記列挙のような有機基材を用いることができる。即ち有機基材としては、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレート、トリアセチルセルロースなどからなるプラスチック基板や、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリプロプレン、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルケトンなどの樹脂フィルムを例示することができる。
BM5の形成方法としては、(1)スパッタリング法や真空蒸着法等によりクロム等の金属薄膜を基材2上に形成し、この薄膜をパターニングする方法、(2)カーボン微粒子や金属酸化物等の遮光性粒子を含有させたポリイミド樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂層を基材2上に形成し、この樹脂層をパターニングする方法、等を例示することができる。
AM3は、基材2を位置合わせする際の基準となる見当マークであり、上記位置合わせケース(一)〜(六)などに例示される様々な場合にアライナー機構によって光学的に認識される。AM3は、アライナー機構の照明光に対して、AM3形成位置とその周囲近傍とで明確に対比しうるコントラスト比の光透過率または反射率を有している。
AM3は、基材2の位置と向きを精度よく調整できるよう、それぞれ十字状や鉤型など、ラインが交叉したコーナー部を含む形状にするとよい。またAM3は、位置調整精度を向上するため、有効表示領域10を挟んで対向する位置に複数個設けられるとよい。
ただしAM3の形状や位置、および複数個のAM3の形成順序は、基材2の位置合わせのケースに応じて適宜設定しうるものである。
ただし、AM3の形成およびその後の製版工程を簡易かつ精度よく行うため、遮光性のアライメントマークの場合はBM5とともに、すなわちBM5のマスクパターンにおいてAM3の該当箇所についても開口させて、BM5と同一の遮光性材料により同時に形成するとよい。
また光透過性のAM3とする場合は、後述する着色層9のうちの一色をAM3の予定位置に塗工して形成することができる。また着色層9がCMY方式の場合については、選択された任意の二色を積層してAM3としてもよい。
BM5によって多数の画素が開口形成された基材2上には、次いで色パターンを形成することができる。図4に示すように位相差制御部材1としてRGBの三色カラーフィルタを得る場合は、赤色パターン形成領域に赤色の着色領域91、緑色パターン形成領域に緑色の着色領域92、青色パターン形成領域に青色の着色領域93を、同時または任意の順番で形成し、着色層9を作製する。各色の着色領域の塗工形成方法は特に限定されず、フォトリソグラフィー法やインクジェット法などにより行うことができる。
(a)基材2上に染色用の材料である水溶性高分子材料を塗布し、これをフォトリソグラフィー法により所望の形状にパターニングした後、得られたパターンを染色浴に浸漬して着色されたパターンを得る染色法;
(b)熱硬化型の樹脂に顔料を分散させ、印刷(または熱転写)を繰り返すことにより各色を塗り分けた後、樹脂を熱硬化させることにより着色層9を形成する印刷法(熱転写法);
(c)基材2上に予め透明導電膜を形成し、顔料、樹脂、電解液等の入った電着塗装液に浸漬して所定の色を電着して各色の着色パターン層を形成し、樹脂を熱硬化させる電着法;
を用いることもできる。
位相差層4を正のAプレートまたは負のCプレートとする場合、基材2上には、後述する液晶性インキの下地としての水平配向膜を形成して液晶分子40を水平配向(ホモジニアス配向)させる。ハイブリッド配向プレートに関しても、基材2の界面側に位置する液晶分子を水平配向させる場合には、同様に水平配向膜を基材2上に塗工形成するとよい。
水平配向膜の作製方法は特に限定されるものではないが、ポリアミド樹脂またはポリイミド樹脂材料を基材2に塗工して樹脂塗膜を形成し、その上面を、布を巻き付けたローラ等により所定方向に摩擦するラビング処理を施して得ることが代表的である。
垂直配向膜は、長鎖アルキル型デンドリマー誘導体、または炭素数が3〜20の長鎖アルキル基を有する界面活性剤を、有機溶媒に溶解させてコーティング液を調整し、これを基材2上に直接または着色層9などの他層を介して間接に塗布して樹脂塗膜を形成した上で、かかる塗膜を乾燥硬化させて得ることができる。
このような界面活性剤の具体例としては、レシチン、オクタデシルジメチル(3−トリメトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、ヘキサデシルアミンのほか、アデカミン4DAC−85(旭電化工業社製)、ドライポン600E(日華化学社製)、ドライポンZ−7(日華化学社製)、NKガード NDN−7E(日華化学社製)等が挙げられる。また上記界面活性剤としては、撥水性や撥油性を向上するため長鎖アルキル基の少なくとも一部がフッ素置換されたものを用いることが好ましい。
本発明において配向膜6は、有効表示領域10の内側、および保護マーク30となすべきAM3を覆う領域に対して、少なくとも塗工形成される。したがって配向膜6は、有効表示領域10の内側と、当該AM3を覆う領域とに分離されてパターン形成されていてもよく、または両者を結合した大領域にひと続きの配向膜6を形成しても、基材2または着色層9などの下地層上に配向膜6をベタ製版してもよい。
ただし後述のように有効表示領域10を囲むようにシール8を立設する場合については、配向膜6を介さずにシール8が基材2に直接接触するよう、有効表示領域10の外周にはシール8の形成位置に対応して配向膜6の非形成領域61を設けるとよい。したがってかかる場合、配向膜6は基材2上にベタ形成するのではなく、有効表示領域10の内側と、当該AM3を覆う領域とにパターン形成するとよい。
樹脂塗膜形成後には、例えば配向膜6を水平配向膜とする場合については、有効表示領域10内とAM3(保護マーク30)とに対して、ともにラビング処理を施すことで配向膜6を所望の領域にパターニングすることができる。また配向膜6を垂直配向膜とする場合については、有効表示領域10内とAM3(保護マーク30)およびその周囲とに塗布された樹脂塗膜を乾燥硬化すればよい。
なお本発明においては、上述のように有効表示領域10内とAM3(保護マーク30)とを覆う配向膜6が共通である場合に限られず、保護マーク30およびその周囲における液晶分子40の配向性が、アライナー機構による保護マーク30の光学認識が可能な程度に良好であれば足りる。したがって配向膜6の塗工工程数は増えるものの、例えばフレキソ印刷法を複数回おこなって、有効表示領域10内には水平配向膜を、AM3(保護マーク30)を覆う領域には垂直配向膜を、それぞれ塗工形成してもよい。
位相差層4は、分子構造中に重合性官能基を有する重合性の液晶分子を垂直配向させた状態で相互に三次元架橋させてなる高分子構造を有している。かかる位相差層4は、光重合開始剤などの種々の添加剤とともに液晶分子40を溶媒に分散させた液晶性インキを、基材2に薄膜状に塗布し、これを所定方向に配向させた状態で固定化して作製できる。
位相差層4を構成する重合性の液晶分子40には、その液晶分子の構造中に不飽和二重結合を重合性官能基として有するものが好ましく、分子構造の両末端に不飽和二重結合を有するもの(不飽和二重結合を2以上有するもの)がより好ましい。
位相差層4を得るために用いられる重合性の液晶分子としては、架橋重合性を有するネマチック液晶分子(架橋性ネマチック液晶分子)などをあげることができる。架橋性ネマチック液晶分子としては例えば、1分子中に(メタ)アクリロイル基、エポキシ基、オキタセン基、イソシアネート基等の重合性基を少なくとも1個有するモノマー、オリゴマー、ポリマー等が挙げられる。また、このような架橋性液晶分子として、より具体的には、下記化1に示す一般式(1)で表される化合物のうちの1種の化合物(化合物(I))、下記化2に示す一般式(2)で表される化合物のうちの1種の化合物(化合物(II))もしくは2種以上の混合物、化3、化4に示す化合物(化合物(III))のうちの1種の化合物或いは2種以上の混合物、またはこれらを組み合わせた混合物を用いることができる。
位相差層4をいわゆる正のAプレートまたは負のCプレートとする場合は、空気界面に対する液晶分子の表面自由エネルギーを抑制するためのレベリング剤を液晶性インキに添加し、配向膜6(水平配向膜)に規制される液晶分子の水平配向を補助するとよい。
基材2上の有効表示領域10内とAM3(保護マーク30)を覆う領域とに配向膜6が塗工形成され、また液晶性インキが調整されると、次いで配向膜6にこれを塗布して液晶塗布膜41(図2を参照)を作成する。
一方、インクジェット法でインキ材料を基材に塗布する場合は、上記位置合わせケース(二)に先立ち、液晶性インキを基材2に塗布する工程、すなわち基材2とインクジェットコーターとの高精度なアライメント調整に際しても保護マーク30が用いられる。
基材2の表面に液晶性インキを塗布して作製された液晶塗布膜41に含まれる液晶分子40には所定の配向性が付与される。液晶分子40に対する配向性の付与は、液晶塗布膜41を加熱して、内部の液晶分子が液晶相となる温度(液晶相温度)以上、等方相(液体相)となる等方相転移温度未満になるよう温度制御することで行われる。このとき液晶塗布膜41の加熱手段は特に限定されず、伝熱または輻射による加熱を適宜組み合わせて加熱するとよい。なお、重合性液晶分子を配向させる方法は、上記方法による他、液晶塗布膜41を一旦等方相温度まで加熱した後の冷却過程で自発的に液晶分子に配向を誘起させる方法や、液晶塗布膜41に対して所定方向から電場や磁場を負荷する方法によっても実現可能である。
液晶塗布膜41に含まれる液晶分子40に所定方向の配向が付与された後、液晶分子40同士を重合固定化して位相差層4を得る。この重合反応は、液晶性インキに添加された光重合開始剤の感光波長の光(例えば紫外線)などの活性放射線を、液晶相状態の液晶塗布膜41に向けて全面照射またはパターニング照射して開始および進行させる。
液晶塗布膜41に照射する光の波長は、この塗膜中に含まれている光重合開始剤の種類に応じて適宜選択するとよい。ネガ型のフォトリソグラフィー法によって位相差層4をパターニングする本実施形態の場合、位相差層4の形成予定位置が開口した位相差層パターニング用のフォトマスクを介して活性放射線を露光し、パターン露光後には液晶塗布膜41のうちの未重合部分をエッチング除去し、残ったパターン露光部分をさらに焼成して熱重合硬化させるとよい。かかるパターン照射を行うに際しては、基材2とフォトマスクとの高精度の位置合わせが必要である。したがって上記パターン露光に先立って、アライナー機構によって保護マーク30を光学認識することにより基材2とフォトマスクとを互いに位置合わせするアライメント工程を行う。
ただし有効表示領域10の外側については、シール8と基材2とを直接当接させてシール8による液晶セル23(図7を参照)の密閉性を向上するため、シール8と基材2との間には位相差層4や配向膜6が成膜されないことが好ましい。したがって図示のように本実施形態では、有効表示領域10の外周に、シール8の形成領域を確保するために額縁状に、または額縁状のシール8形成領域を含む領域に、位相差層4および配向膜6の非形成領域61が設けられている。したがって本実施形態の位相差制御部材1を得るためには、液晶塗布膜41のパターニング照射が求められる。なお、かかるパターニング照射にて保護マーク30を構成する配向膜6の上に位相差層4を固定化して残置するか、液晶分子40を重合させずにエッチング除去するかは上述の通り任意である。
また図1,3に示すように、有効表示領域10の外側に保護マーク30とは別のAM3が設けられている場合、当該AM3およびその周囲については液晶分子40を重合させること無く液晶塗布膜41をエッチング除去するとよい。これにより、位相差層4の製版以後の工程(上記位置合わせケース(三〜六))において、アライナー機構によって当該AM3を良好に光学認識することができる。
なお、有効表示領域10の内側についても、配向状態の液晶分子40を重合固定化した液晶相領域と、等方相領域とをパターニングして位相差層4を形成することもできる。かかる位相差層4の製版工程については後述する。
位相差層4を塗工形成した位相差制御部材1には、必要に応じて位相差層4上に、セルギャップを規定するとともに位相差制御部材1に負荷される押し込み荷重に耐える構造部材としての柱状体7や、液晶の配向方向を規制するための突起(図示せず)などをパターン設置することができる。柱状体7や突起は、位相差層4自体のパターン露光と同様にフォトリソグラフィー法を用いてパターニングするほか、印刷法や転写法を用いて有効表示領域10内の所定位置に立設することができる。柱状体7や突起は高い位置精度で設計位置に正しくパターン配置されることが好ましく、これらはAM3を用いたアライナー機構による光学的なアライメント調整によって基材2を位置合わせした状態で製版される(上記位置合わせケース(三))。
図5は、位相差層4の上に柱状体7を立設する方法を示す模式図である。同図(a)は、有効表示領域10の外周に額縁状の非形成領域61を残して位相差層4が形成され、さらに光透過性かつ光学等方性のフォトレジスト材料(図示せず)が全面に塗布された基材2、同図(b)は柱状体製版用のフォトマスク48、同図(c)は両者を位置合わせした状態をそれぞれ示す。基材2に設けられたAM3は配向膜6で被覆された保護マーク30であり、またフォトマスク48には、柱状体の形成パターンに対応して設けられた開口47、覗き窓49およびマスク側AM43が設けられており、位置合わせ時にアライナー機構により保護マーク30が視認可能である。
なお柱状体7の製版工程におけるアライメント調整にあっては、上述のように、保護マーク30とは異なる、位相差層4の固定形成されていない他のAM3(図1,3を参照)を用いてもよい。
本実施形態の位相差制御部材1を、液晶駆動回路を画素ごとにパターン配置した液晶駆動基板と貼り合わせて液晶表示装置を構成するカラーフィルタとして用いる場合、液晶駆動基板と基材2(カラーフィルタ基板)との間に挟まれて液晶セルを構成する駆動液晶分子は、基材2の面直方向に外力が付与された時や、外部圧力の変動時にも基板同士の間から漏れ出すことのないよう、有効表示領域10を取り囲む額縁状のシール8によって減圧状態で封止されることが一般的である(例えば特開2006−227231号公報等を参照)。
なお、BM5を黒色金属材料の薄膜で構成する場合は、その厚さ方向の変形は無視しうることから、BM5の上にシール8が立設されることは問題ないといえる。
シール8を形成するにあたっては、基材2上に着色層9や位相差層4、柱状体7が製版された後に、ペースト状の当該樹脂材料を、セルギャップ厚さよりも分厚く、かつ有効表示領域10を額縁状に囲むように(シール8の予定形成領域に)塗工し、基材2と対向して設けられた液晶駆動基板をこれに押し当てた状態で熱硬化または光硬化させる(後述の、貼り合わせ工程を参照)。
基材2に上記各層が積層された製版工程に引き続き、位相差制御部材1の取扱工程のひとつとして、AM3を基準位置として基材2と切断装置とを位置合わせした状態で、有効表示領域10を内包する所定のカットラインに沿って位相差制御部材1が切り出される。
かかる切断工程で用いられるAM3は、上述の位相差層4の製版工程で用いられた保護マーク30または柱状体7の製版工程で用いられたAM3を流用してもよく、アライナー機構による光学的な認識が可能である限り他のアライメントマークを用いてもよい。
当該切断工程では、基材2に設けられたAM3は、下記貼り合わせ工程におけるアライメント調整に用いられるものを除いて、基材2から切断除去されることが通常である。
切断工程を経て切り出された位相差制御部材1には、さらに取扱工程のひとつとして、駆動液晶分子を配向させるための配向膜が被覆形成された上で、液晶駆動基板51(図7を参照)と対向させた状態でこれと接合する、貼り合わせ工程が施される。位相差制御部材1と駆動液晶基板とは、それぞれに設けられたアライメントマーク同士を整合させて位置合わせした状態で貼り合わされる。
なお、本発明の位相差制御部材1を、基材2に複数枚同時に形成する、いわゆる多面付けによって作製する場合、上記切断工程の前に複数枚の液晶駆動基板との貼り合わせを行い、しかる後に基材2を複数枚に切断してもよい。したがってかかる多面付けの場合、保護マーク30を含むAM3は、いずれも基材2より切断されて除去される場合がある。
なお、駆動液晶分子の駆動モードがいわゆるIPSモードやTNモードなど、駆動電圧の無負荷時に駆動液晶分子を水平配向させる場合については、位相差制御部材1のうち駆動液晶分子が滴下される最上面(上記に例示の場合は位相差層4の表面)には、ラビング処理などを施した水平配向膜を塗工形成するとよい。
図6は、本発明の第三の実施形態にかかる位相差制御部材1の一部を模式的に示す断面図(立面図)である。紙面奥行側のシール8、および図中右側は図示を省略している。
本実施形態の位相差制御部材1は、有効表示領域10の内側に塗工された位相差層4が、液晶相領域4aと等方相領域4bとを備えていることを特徴とする。また位相差層4の上には、駆動液晶分子をスイッチング駆動させるための電圧負荷を与える透明電極層が塗工形成され、その上には図示しない柱状体7(図4を参照)と、駆動液晶分子を水平配向させるための水平配向膜が形成される。
まず、上述の位相差層形成工程における活性放射線のパターニング照射に用いるフォトマスクに対し、有効表示領域10内に等方相領域4bと対応する形状に遮光部を設けておく。かかるフォトマスクを介して活性放射線を照射することにより、液晶相状態に配向した液晶分子40のうち、活性放射線が露光される領域、すなわち有効表示領域10については液晶相領域4aに対応する領域に存在するもののみが光重合により互いに重合して固定化される。かかるパターニング露光は、保護マーク30をアライナー機構で光学認識することで基材2とフォトマスクとを位置合わせして行う。
かかるパターニング露光により、等方相領域4bに残る液晶分子40は未重合ゆえ更なる相転移やエッチング除去が可能である。
図7は、上記第三の実施形態の位相差制御部材1を観察者に対向する表示側基板として備える半透過半反射型液晶表示装置(以下、液晶表示装置と略記する場合がある。)60の構成を示す断面模式図である。
液晶表示装置60は半透過半反射層24を備え、観察者側(図中上方)から有効表示領域10内に入射した可視光が同層の反射部24aで反射されて観察者に視認される反射表示領域17と、背面側(図中下方)に設けられたバックライト20から放射された可視光が同層の開口部24bを通過して観察者に至る透過表示領域16とが形成されていることを特徴とする。
半透過半反射層24は、アルミニウム、銀、またはこれらの合金等の反射率の高い金属膜からなる反射膜に微細な開口をパターニングすることで、反射部24aと開口部24bとを画素ごとに形成してなることが一般的である。
具体的には、図7に示す液晶表示装置60の場合、透過表示領域16における駆動液晶層13の厚さは、反射表示領域17における厚さの2倍に構成され、これを透過する可視光に対し、電圧印加時には透過表示領域16で1/2波長、反射表示領域17で1/4波長の位相差が与えられるよう設計されている。また電圧無印加時には駆動液晶分子28が垂直配向して、透過光に与えられる位相差がともにゼロとなることにより、かかる透過光が直線偏光板12を観察者に向かって通過して観察者に視認される明表示と、通過できずに吸光されて観察者に至らない暗表示とが切り替えられる。
このほか基材18には、そのインセル側に、TFT等の画素スイッチング素子、データ線、走査線等が形成されて液晶駆動基板51を構成している。
AM53のうち、アライナー機構の受光部側からみた吸光性・光反射性の性状はAM3と共通とすることが好ましい。すなわち位相差制御部材1のAM3が吸光性の場合、AM53も吸光性に作製し、液晶表示装置60を挟んでアライナー機構の受光部の反対側に配置された透過光源を用いて、AM3とAM53との一致/不一致を画像処理により判断することができる。また位相差制御部材1のAM3が光反射性の場合、AM53も光反射性に作製し、液晶表示装置60に対してアライナー機構の受光部と同一側に配置された反射光源を用いて、AM3とAM53との一致/不一致を画像処理により判断する。なお、透過光源を用いてAM3とAM53との位置合わせを行う前者の場合、AM3またはAM53の一方または両方を光反射性としてもよい。
配向膜6の上(図中下方)には液晶相領域4aと等方相領域4bとがパターニングされた位相差層4を備え、反射表示領域17を通過する可視光に対してのみ1/4波長の位相差が与えられる。位相差層4の上には透明電極層11が塗工形成され、さらに図示しない柱状体7と、駆動液晶分子28を垂直配向させるための垂直配向膜が有効表示領域10内に設けられる。本実施形態の液晶表示装置60のように位相差層4が液晶セル23のインセル側に設けられることにより、位相差層4は基材2,18によって保護されることとなり、吸湿変形や熱変形、および機械環境負荷から保護される。
直線偏光板12の透過軸と直線偏光板19の透過軸とは互いに直交し、すなわち直線偏光板12,19はクロスニコル状態を構成している。
電圧印加状態では、先ず、観察者側から反射表示領域17に入射した可視光(外光)は、直線偏光板12を透過して直線偏光になると、着色層9で所定の色(所定の波長の可視光)に分光されたのち、位相差制御部材1の液晶相領域4aを透過する際に1/4波長の位相差が与えられて円偏光となって駆動液晶層13に入射する。電圧無印加時には駆動液晶層13では位相差が生じないため、円偏光はそのまま駆動液晶層13を通過する。
円偏光は、反射部24aの表面で反射すると偏光方向が反転し、表示側に向かって再度駆動液晶層13を透過する。液晶相領域4aで再び1/4波長の位相差が与えられて直線偏光に変換されると、当該直線偏光は、直線偏光板12と垂直な偏光軸を有しているため、直線偏光板12に吸収されて観察者側へは出射されず、暗表示となる。
[実施例1]
基材上に形成するブラックマトリクスおよび着色層の各色パターンを形成するための各感光性樹脂組成物(フォトレジスト)を調製した。各フォトレジストは、顔料、分散剤、および溶媒にビーズを加え、ペイントシェーカーを分散機として用い、3時間分散させた後、ビーズを取り除いて得られた分散液と、ポリマー、モノマー、添加剤、開始剤および溶剤からなるレジスト組成物とを混合することにより調製した。各フォトレジストの組成は下記に示す通りで、部数はいずれも質量基準である。透過表示領域と反射表示領域の分光濃度を合わせ込むため、各RGBにおいて透過部用と反射部用を別途用意するものとし、計6色のフォトレジストを調整した。
・黒顔料・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14.0部
(大日精化工業(株)製、TMブラック#9550)
・分散剤・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1.2部
(ビックケミー(株)製、ディスパービック111)
・ポリマー・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2.8部
(昭和高分子(株)製、(メタ)アクリル系樹脂、品番:VR60)
・モノマー・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3.5部
(サートマー(株)製、多官能アクリレート、品番:SR399)
・添加剤(分散性改良剤)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・0.7部
(綜研化学(株)製、ケミトリーL−20)
・開始剤・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1.6部
(2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1)
・開始剤(4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン)・・・・・・0.3部
・開始剤(2,4−ジエチルチオキサントン)・・・・・・・・・・0.1部
・溶剤(エチレングリコールモノブチルエーテル)・・・・・・・75.8部
・赤色顔料(C.I.PR254)・・・・・・・・・・・・・・・1.75部
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)、クロモフタールDPP Red BP)
・黄色顔料(C.I.PY139)・・・・・・・・・・・・・・・0.3部
(BASF社製、パリオトールイエローD1819))
・分散剤・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1.5部
(ゼネカ(株)製、ソルスパース24000)
・ポリマー1(下記)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5.0部
・モノマー・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4.0部
(サートマー(株)製、多官能アクリレート、品番:SR399)
・開始剤・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1.4部
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、イルガキュア907)
・開始剤・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・0.6部
(2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4’,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール)
・溶剤・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・80.0部
(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)
上記の赤色パターン形成用フォトレジストにおける赤色顔料および黄色顔料に替えて、顔料として下記のものを下記の配合量で用いた。
・緑色顔料(C.I.PG7)・・・・・・・・・・・・・・・・・1.9部
(大日精化製セイカファストグリーン5316P))
・黄色顔料(C.I.PY139)・・・・・・・・・・・・・・・1.1部
(BASF社製、パリオトールイエローD1819)
上記の赤色パターン形成用フォトレジストにおける赤色顔料、黄色顔料、および分散剤に替えて、下記のものを下記の配合量で用いた。
・青色顔料(C.I.PB15:6)・・・・・・・・・・・・・・2.3部
(BASF社製ヘリオゲンブルーL6700F))
・紫色顔料(C.I.PV23)・・・・・・・・・・・・・・・・0.7部
(クラリアント社製、フォスタパームRL−NF)
・顔料誘導体・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・0.3部
(ゼネカ(株)製ソルスパース12000)
・分散剤・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1.2部
(ゼネカ(株)製ソルスパース24000)
上記の組成は反射表示領域用途(青色反射用レジスト)であり、透過表示領域用途(青色透過用レジスト)としては上記のすべての成分をそれぞれ2倍としたフォトレジストを使用した。
同時にブラックマトリクスで区画される有効表示領域の外側には、後の製版工程や切断または貼り合わせ工程などに用いるアライメントマークを、上記ブラックマトリクス形成用フォトレジスト材料により同時に形成した。
つづけて、赤色反射用レジストを赤色透過用レジストに変更し、上記と同様な手法を用いて透過表示領域に透過用赤色画素を形成した。
同様に、緑色反射用レジストにより反射用緑色画素を、緑色透過用レジストにより透過用緑色画素を、青色反射用レジストにより反射用青色画素を、青色透過用レジストにより透過用青色画素を、それぞれ開口位置の異なるフォトマスクに変更しつつ同様の手法を用いて形成した。
重合可能な液晶材料としては、RMM34(商品名:メルク社製)を用いた。液晶材料25質量部、光重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(イルガキュアIrg184:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)を1質量部、溶剤としてのトルエン74質量部を混合して製作した。
上記液晶材料の液晶相転移温度は約60℃、等方相転移温度は約120℃である。
上記の如く基材上にブラックマトリクスおよび着色層が形成された上に、可溶性ポリイミド樹脂系の配向膜形成用インキ組成物(JSR(株)製:AL1254)をフレキソ印刷法により有効表示領域とアライメントマークを覆う領域とにパターン状に印刷し、当該印刷後、乾燥させて溶剤を除去した後、温度:200℃、および加熱時間:1時間の条件で焼成を行い、焼成後、表面にラビング処理を行って、厚みが700Åの水平配向膜、およびこれとアライメントマークとから構成される保護マークを形成した。次に、スピンコーティング法を用いて水平配向膜の上に直接に液晶性インキを塗工した。続いて当該基材をホットプレート上で、温度:100℃、加熱時間:5分間の条件で加熱して、残存溶剤を除去し、ホモジニアス配向した液晶構造を発現させた。
アライメントマークおよびその周囲に水平配向膜を被覆形成せず、有効表示領域の内側にのみ水平配向膜を塗工したところ、当該アライメントマーク近傍では液晶分子の微小ドメインが形成されて良好な一軸配向が実現されなかった。これにより、アライナー機構によって当該アライメントマークを光学認識するための照射光をあてた際に、屈折率の不連続性に起因して散乱光成分が発生し、これを良好に認識することができず、基材とフォトマスクとの位置合わせができなかった。
2,18 基材
3,53,103 アライメントマーク
30 保護マーク
31,131 透過領域
4 位相差層
4a 液晶相領域
4b 等方相領域
40 液晶分子
41 液晶塗布膜
5 ブラックマトリクス
6 配向膜
7 柱状体
8 シール
9 着色層
10 有効表示領域
16 透過表示領域
17 反射表示領域
23 液晶セル
60 半透過半反射型液晶表示装置
Claims (8)
- 光透過性の基材と、
前記基材に区画形成または予定形成された有効表示領域の外側に設けられた、当該基材を位置合わせするための一つまたは複数のアライメントマークと、
前記基材上であって、前記有効表示領域の内側、および前記アライメントマークの少なくとも一つを覆う領域に対して、ともに形成された配向膜と、
重合性液晶分子が前記配向膜上で所定方向に配向した状態で固定化されてなる位相差層と、を備え、
前記アライメントマークを覆う配向膜と当該アライメントマークとで保護マークが構成されていることを特徴とする位相差制御部材。 - 配向膜が、前記有効表示領域の内側と、前記保護マークを構成するアライメントマークを覆う領域とにパターン形成されていることを特徴とする請求項1に記載の位相差制御部材。
- 基材と配向膜との間に、少なくとも2色以上の着色領域からなる着色層を更に備える請求項1または2に記載の位相差制御部材。
- (a)有効表示領域の外側にアライメントマークが設けられた光透過性の基材と、(b)前記アライメントマークおよびその周囲、ならびに前記有効表示領域内の所定位置にそれぞれ対応してマスクパターンが開口形成された遮光性のフォトマスクと、を位置合わせするアライメント調整方法であって、
前記基材上であって、前記有効表示領域の内側と、前記アライメントマークを覆う領域とに対して、ともに配向膜を形成し、
光重合性の液晶分子を含有する液晶性インキを前記配向膜上に塗布し、
前記塗布された液晶分子を前記配向膜上で所定方向に配向させたのちに、
上記基材と前記フォトマスクとを、前記アライメントマークをアライナー機構で光学的にパターン認識することにより互いを位置合わせすることを特徴とするアライメント調整方法。 - 有効表示領域の内側を通過する透過光に位相差を与える位相差制御部材の製造方法であって、
(i)光透過性の基材に区画形成または予定形成された前記有効表示領域の外側に一つまたは複数のアライメントマークを形成する工程と;
(ii)前記基材上であって、前記有効表示領域の内側と、前記アライメントマークの少なくとも一つを覆う領域とに対して、配向膜を直接または間接に形成し、前記アライメントマークを覆う配向膜と当該アライメントマークとで保護マークを構成する配向膜形成工程と;
(iii)重合性液晶分子を含有する液晶性インキを前記配向膜上に塗布して液晶塗布膜を形成する塗布工程と;
(iv)前記重合性液晶分子を、前記配向膜上で所定方向に配向させる配向工程と;
(v)前記配向した重合性液晶分子同士を重合固定化して位相差層を形成する位相差層形成工程と;
を含む位相差制御部材の製造方法。 - 有効表示領域の内側を通過する透過光に位相差を与える位相差制御部材の製造方法であって、
(i)光透過性の基材に区画形成または予定形成された前記有効表示領域の外側に一つまたは複数のアライメントマークを形成する工程と;
(ii)前記基材上であって、前記有効表示領域の内側と、前記アライメントマークの少なくとも一つを覆う領域とに対して、配向膜を直接または間接に形成し、前記アライメントマークを覆う配向膜と当該アライメントマークとで保護マークを構成する配向膜形成工程と;
(iii)光重合性の液晶分子を含有する液晶性インキを前記配向膜上に塗布して液晶塗布膜を形成する塗布工程と;
(iv)前記液晶分子を、前記配向膜上で所定方向に配向させる配向工程と;
(v)前記保護マークおよびその周囲、ならびに前記有効表示領域内の所定位置にそれぞれ対応してマスクパターンが開口形成された遮光性のフォトマスクと、前記基材とを、前記保護マークをアライナー機構で認識することにより互いに位置合わせするアライメント工程と;
(vi)前記フォトマスクを介して行うパターン露光、およびその後のエッチング除去により、前記配向した液晶分子同士を重合固定化してなる位相差層を、前記マスクパターンに対応してパターン形成する位相差層形成工程と;
を含む位相差制御部材の製造方法。 - 有効表示領域の内側を通過する透過光に位相差を与える位相差層制御部材の製造方法であって、
(i)光透過性の基材に区画形成または予定形成された前記有効表示領域の外側に一つまたは複数のアライメントマークを形成する工程と;
(ii)前記基材上であって、前記有効表示領域の内側と前記アライメントマークの少なくとも一つを覆う領域とに対して、配向膜を直接または間接に塗工形成し、当該アライメントマークを保護マークとなす配向膜形成工程と;
(iii)光重合性の液晶分子を含有する液晶性インキを前記配向膜上に塗布して液晶塗布膜を形成する塗布工程と;
(iv)前記液晶分子を、前記配向膜上で所定方向に配向させる配向工程と;
(v)前記保護マークおよびその周囲、ならびに前記有効表示領域内の所定位置にそれぞれ対応してマスクパターンが開口形成された遮光性のフォトマスクと、前記基材とを、前記保護マークをアライナー機構で認識することにより互いに位置合わせをするアライメント工程と;
(vi)前記保護マークおよびその周囲を遮光した状態で前記フォトマスクを介して行うパターン露光、およびその後のエッチング除去により、前記保護マーク上に塗布された液晶分子は重合固定化せず、有効表示領域の内側に塗布された液晶分子を重合固定化して位相差層を形成する位相差層形成工程と;
を含む位相差制御部材の製造方法。 - 請求項5〜7のいずれかに記載の位相差制御部材の製造方法において、
前記位相差層形成工程の後に行われる(ア)前記基材を切断する切断加工工程、(イ)位相差層の上に他の配向膜を製膜する製膜工程、または(ウ)前記基材と他の基材とを貼り合わせる貼合工程、のいずれかにて、前記保護マークをアライナー機構で光学的にパターン認識することにより前記基材のアライメント調整を行うことを特徴とする、位相差制御部材の製造方法。
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