JP2009041471A - ディーゼルエンジンの制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】エンジン10の温度を検出する温度検出手段19の出力に応じて、エンジンの始動時におけるスタータ作動前にプリグローを行うグロープラグ20のプリグロー時間を設定するディーゼルエンジンの制御装置50を、エンジンのスタータ作動から始動までに要した実始動時間を予め定められた参照始動時間と比較し、比較結果に応じて次回始動時のプリグロー時間を補正する構成とする。
【選択図】図1
Description
従来、プリグロー時間は、エンジン冷却水温に応じて制御することが一般的である。また、グロープラグの予熱制御状態を示すグローランプを最適なタイミングで点灯させるため、水温及びバッテリ電圧を考慮してプリグローの終了タイミングを算出するグローランプ制御装置が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
本発明の課題は、エンジンの個体差に応じてプリグロー時間を適切に設定するディーゼルエンジンの制御装置を提供することである。
請求項1の発明は、エンジンの温度を検出する温度検出手段の出力に応じて、該エンジンの始動時におけるスタータ作動前にプリグローを行うグロープラグのプリグロー時間を設定するディーゼルエンジンの制御装置であって、前記エンジンのスタータ作動から始動までに要した実始動時間を予め定められた参照始動時間と比較し、比較結果に応じて次回始動時の前記プリグロー時間を補正することを特徴とするディーゼルエンジンの制御装置である。
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載のディーゼルエンジンの制御装置において、前記実始動時間と前記参照始動時間との比較結果に応じた前記プリグロー時間の補正は、始動時のエンジンの温度に応じて異なった補正量が用いられることを特徴とするディーゼルエンジンの制御装置である。
また、プリグロー時間の補正に、始動時のエンジンの温度に応じて異なった補正量を用いることによって、始動時の各エンジン温度に応じた適切なプリグロー時間を設定することができる。
図1は、実施例のディーゼルエンジンのシステム構成図である。このディーゼルエンジンは、例えば乗用車等の自動車に搭載されるコモンレール式のものである。
ディーゼルエンジン1は、エンジン本体10、インテークシステム30、エキゾーストシステム40、エンジン制御ユニット(ECU)50等を備えて構成されている。
シリンダ11は、エンジンブロックに形成され、ピストン12が挿入される筒状部である。シリンダ11の上部とピストン12の冠面との間には燃焼室11aが形成される。
ピストン12は、コンロッドを介して図示しないクランクシャフトに接続されている。
エキゾーストポート14は、シリンダ11から燃焼済みガス(排気)を排出する流路である。
インテークバルブ15及びエキゾーストバルブ16は、図示しないカムシャフト等の駆動機構によって駆動され、インテークポート13及び排気ポート14を開閉する。
水温センサ19は、ウォータジャケット18に設けられ、エンジン冷却水の水温を検出し、ECU50に伝達する。
グロープラグ20は、エンジンのスタータ作動に先立ち、その先端部を始動可能温度(例えば約1000℃)まで予熱するプリグロー、及び、スタータ作動後にエンジンの運転が安定するまで発熱を継続するアフターグローを行う。このプリグロー時間の設定については、後に詳しく説明する。
インテークダクト31は、外気をエンジン本体10のインテークポート13に導入する管路である。
エアクリーナ32は、インテークダクト31の入口部に設けられ、インテークダクト31に導入される空気を濾過してダスト等を取り除くものである。
エアフローメータ33は、エアクリーナ32の出側における空気流量を測定するものである。エアフローメータ33の出力は、ECU50に伝達される。
インテークチャンバ34は、インテークダクト31の中間部分に設けられた容器状の気室であって、例えば共鳴過給効果等によってエンジン本体10の充填効率を向上するものである。
エキゾーストパイプ41は、エンジン本体の排気ポート14から出た排気を外部へ放出する管路である。
酸化触媒42は、排気中の過剰空気等を用いて排気に含まれるCO、HCを酸化処理する触媒コンバータである。酸化触媒42は、エキゾーストパイプ41の途中でありかつエンジン本体10の近傍に設けられている。
酸化触媒入り側温度センサ43は、酸化触媒42に流入する排気の温度を検出する。
DPF入り側温度センサ45、及び、DPF出側温度センサ46は、DPF44に流入する排気、及び、DPF44から流出する排気の温度をそれぞれ検出する。
差圧センサ47は、DPF44の入り側と出側の排気圧力の差圧を検出する。
また、ECU50は、エンジンの始動時に、以下説明するグロープラグ17のプリグロー時間を設定する機能、及び、エンジンの実始動時間に応じて、次回始動時以降のプリグロー時間を増減する学習機能を備えている。この点について以下詳しく説明する。
ECU50は、この学習機能を発揮するため、後述する表1から表4までの各テーブルに含まれるデータ、及び、従前のエンジン始動時における実始動時間及びエンジン冷却水温を保持するメモリを備えている。このメモリは、後述する学習機能によって補正された後のプリグロー時間に関するデータを有する学習加算RAMテーブルが格納される。この点については後に詳しく説明する。
以下、ステップ毎に順を追って説明する。
<ステップS10:IGNスイッチオン>
図示しないイグニッション(IGN)スイッチを運転者等のユーザが操作すると、これに応じた始動要求信号がECU50に要求され、以下のプリグロー時間設定が開始される。ステップS20に進む。
<ステップS20:エンジン水温読込>
ECU50は、水温センサ19の出力を読み込み、この出力に基づいてエンジンの冷却水温を求める。ステップS30に進む。
ECU50は、プリグロー時間の学習制御が終了しているか否かを判定する。
図3は、プリグロー時間学習制御の終了判定を示すフローチャートである。以下、ステップ毎に順を追って説明する。
<ステップS31:学習制御終了判断>
ECU50は、従前のプリグロー時間に関するデータの修正履歴等を参照し、プリグロー時間の学習値設定が終了しているか否かを判断する。具体的には、後述するプリグロー時間学習加算RAMテーブルへのプリグロー時間加算値の格納が終了している場合はステップS32に進み、未終了の場合はステップS33に進む。
<ステップS32:学習制御の終了>
ECU50は、プリグロー時間学習制御の終了判定を終了し、図2のステップS50に進む。
<ステップS33:学習制御の未終了>
ECU50は、プリグロー時間学習制御の終了判定を終了し、図2のステップS40に進む。
ECU50は、以下説明するベースプリグロー時間算出を行う。
図4は、ベースプリグロー時間算出を示すフローチャートである。以下、ステップ毎に順を追って説明する。
<ステップS41:ベースプリグロー時間算出>
ECU50は、水温センサ19によって検出されたエンジン冷却水温と、以下説明するベースプリグロー時間テーブルとを用いて、ベースプリグロー時間を補間計算によって算出する。
表1は、ベースプリグロー時間テーブルである。
例えば始動時エンジン水温(センサ値)が−15℃である場合には、ベースプリグロー時間BPreは、(6秒+12秒)/2=9秒となる。
ベースプリグロー時間算出が終了後、これを実際のプリグロー時間として設定し、図2のステップS70に進む。
ECU50は、学習値の設定を行う。
図5は、学習値の設定を示すフローチャートである。以下、ステップ毎に順を追って説明する。
<ステップS51:実始動時間(REALT)の読込>
ECU50は、前回エンジン始動時における実始動時間をメモリから読み込む。ここで、実始動時間(REALT)とは、エンジンに設けられたスタータの起動から、エンジン回転数が所定の回転数(例えば、500rpm)まで上昇するまでの時間である。
<ステップS52:ベース始動時間判定値読込>
ECU50は、実始動時間(REALT)に対応した当該エンジン始動時の始動時エンジン水温と、以下説明するベース始動時間判定値テーブルとを用いて、ベース始動時間判定値(参照始動時間)を補間計算によって算出する。このベース始動時間判定値は、標準的なエンジンにおけるスタータ作動からエンジン回転数が500rpmに達するまでの所要時間を想定したものである。
表2は、ベース始動時間判定値テーブルである。
例えば、始動時エンジン水温(センサ値)が−15℃である場合には、ベース始動時間判定値(Target1)は、(2秒+4秒)/2=3秒となる。
ステップS53に進む。
ECU50は、ステップS51で読込んだ実始動時間(REALT)とステップS52で読込んだベース始動時間判定値(Target1)とを用いて、以下の通りこれらの差(Diff1)を算出する。
Diff1=REALT−Target1
例えば、始動時エンジン水温(センサ値)が−15℃、実始動時間(REALT)が5秒である場合、ベース始動時間判定値(Target1)は上述したとおり3秒であるから、差(Diff1)は、5秒−3秒=2秒となる。
Diff1の算出後、ステップS54に進む。
ECU50は、ステップS53において算出した差(Diff1)と、以下説明するプリグロー時間加算テーブルとを用いて、プリグロー時間加算値(PreAd)を選定する。
表3は、プリグロー時間加算テーブルである。
そして、ステップS53において算出された差(Diff1)に対応する行のデータが、プリグロー時間加算値(PreAd)として選定される。
ステップS55に進む。
ECU50は、ステップS54において選定された80℃から−30℃までのプリグロー時間加算値(PreAd)を、プリグロー時間学習加算RAMテーブルに書き込み、格納する。
表4は、格納終了後のプリグロー時間学習加算RAMテーブルの一例を示す図である。
なお、この格納処理の終了をもって、上述したステップS31における学習制御の終了判断では、学習制御が終了したと判定されるようになる。
ECU50は、最終プリグロー時間(FinalT)を算出して設定する。
図6は、最終プリグロー時間の設定を示すフローチャートである。以下、ステップ毎に順を追って説明する。
<ステップS61:プリグロー時間加算値(PreAd)読込>
ECU50は、現在の始動時エンジン水温に対応したプリグロー時間加算値(PreAd)をプリグロー時間学習加算RAMテーブル(表4)から読込み、必要に応じて補間値を求めて、ステップS62に進む。
ECU50は、現在の始動時エンジン水温に対応したベースプリグロー時間(BPreT)をベースプリグロー時間テーブル(表1)から読込み、必要に応じて補間値を求めて、ステップS63に進む。
<ステップS63:最終プリグロー時間算出>
ECU50は、以下の式1に従ってグロープラグ20が実際に予熱を行うプリグロー時間(最終プリグロー時間)(FinalT)を算出する。
最終プリグロー時間(FinalT)の算出式
FinalT=BPreT+PreAd1・・(式1)
ここで
BPreT:
ベースプリグロー時間テーブル(表1)より読込まれるベースプリグロー時間
PreAd1:
プリグロー時間学習加算RAMテーブル(表4)より読込まれる加算値(学習値)
ECU50は、スタータの作動前に、ステップS40又はステップS60において設定されたプリグロー時間にわたってグロープラグ20に通電するプリグローを行ない、一連の処理を終了する。このプリグロー時間の経過後、図示しないスタータが作動し、エンジンの始動が開始される。
本実施例の場合には、基準となるベースプリグロー時間を設定する際に、エンジンの個体差を考慮して長くする必要がなく、さらに延長が必要な場合であっても必要以上の延長を行わないことから、例えば−20℃でのエンジン始動時におけるプリグロー時間を、従来のシステムに対して例えば約12秒から平均4秒程度短縮することができる。
また、このプリグロー学習は、エンジン始動時の各水温に応じて行われるため、それぞれのエンジン水温に応じて最適なプリグロー時間を設定することができる。
本発明は、以上説明した実施例に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の技術的範囲内である。
(1)ディーゼルエンジン及びその補器類の構成は上述した実施例のものに限定されず、適宜変更することができる。
(2)実施例では、ベースプリグロー時間に対して所定の加算値を加算してプリグロー時間を延長しているが、本発明はこのような形態には限定されない。例えば、参照始動時間に対して実始動時間が短い(始動性のよい)エンジンの場合には、もとのプリグロー時間を短縮してもよい。また、プリグロー時間の延長、短縮を、このような加減算ではなく、所定の係数を用いた乗算、除算によって行ってもよい。
11 シリンダ 12 ピストン
13 インテークポート 14 エキゾーストポート
15 インテークバルブ 16 エキゾーストバルブ
17 インジェクタ 18 ウォータジャケット
19 水温センサ 20 グロープラグ
30 インテークシステム 31 インテークダクト
32 エアクリーナ 33 エアフローメータ
34 インテークチャンバ 40 エキゾーストシステム
41 エキゾーストパイプ 42 酸化触媒
43 酸化触媒入り側温度センサ 44 DPF
45 DPF入り側温度センサ 46 DPF出側温度センサ
47 差圧センサ 50 ECU
Claims (3)
- エンジンの温度を検出する温度検出手段の出力に応じて、該エンジンの始動時におけるスタータ作動前にプリグローを行うグロープラグのプリグロー時間を設定するディーゼルエンジンの制御装置であって、
前記エンジンのスタータ作動から始動までに要した実始動時間を予め定められた参照始動時間と比較し、比較結果に応じて次回始動時の前記プリグロー時間を補正すること
を特徴とするディーゼルエンジンの制御装置。 - 請求項1に記載のディーゼルエンジンの制御装置において、
前記実始動時間が前記参照始動時間よりも長い場合には次回始動時の前記プリグロー時間を延長し、前記実始動時間が前記参照始動時間よりも短い場合には次回始動時の前記プリグロー時間を短縮する補正を行うこと
を特徴とするディーゼルエンジンの制御装置。 - 請求項1又は請求項2に記載のディーゼルエンジンの制御装置において、
前記実始動時間と前記参照始動時間との比較結果に応じた前記プリグロー時間の補正は、始動時のエンジンの温度に応じて異なった補正量が用いられること
を特徴とするディーゼルエンジンの制御装置。
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JP2013535606A (ja) * | 2010-07-23 | 2013-09-12 | ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング | 内燃機関のグロープラグの着火特性の制御のための方法及び装置 |
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