JP2009041052A - スラグフューミング炉による含銅ドロスの製錬方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】亜鉛及び/又は鉛製錬の熔錬法で産出される含銅ドロスから、銅、鉛等の有価金属を効率的に回収する製錬方法を提供する。
【解決手段】亜鉛及び/又は鉛製錬の熔錬炉から産出されるスラグを銅共存下でスラグフューミング処理する操業がなされているフューミング炉内に、銅及び鉛を含有する含銅ドロスを投入し加熱還元することを特徴とする。さらに、前記フューミング炉内に局所的に高温融体領域を形成することを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、スラグフューミング炉による含銅ドロスの製錬方法に関し、さらに詳しくは、亜鉛及び/又は鉛製錬の熔錬法で産出される含銅ドロスから、銅、鉛等の有価金属を効率的に回収する製錬方法に関する。
従来、亜鉛及び/又は鉛製錬において、Imperial Smelting Processと呼ばれる亜鉛と鉛を同時に製錬する熔鉱炉法が広く用いられている。前記熔鉱炉法で熔鉱炉から発生するスラグの処理方法は、スラグを熔鉱炉の前床に導いて含銅粗鉛と炉鉄を粗分離した後水砕して、セメント原料用等の製品スラグとされている。しかしながら、前記スラグは、亜鉛含有量が高く、鉛とともに、スパイスの成分であるヒ素、アンチモンその他の金属を含むため、一般には、フューミング炉に装入してスラグフューミング処理(例えば、特許文献1参照。)、を行ったのち水砕して製品化される。
前記スラグフューミング処理とは、熔融状態のスラグを加熱還元することによって、スラグに含まれる亜鉛、鉛、ヒ素、アンチモン等の金属を揮発させるものである。これによって、スラグから亜鉛と鉛を回収するとともに不純物金属を除去することができ、清浄化されたスラグが得られる。ここで、スラグフューミング処理は、ガス吹き込み用のランス又は炉下部に羽口を備えた加熱炉を用いて行われる。処理後のスラグは炉底部から抜き出され、揮発された金属は炉頂部への移動の途中で空気を加えて酸化されて亜鉛と鉛を含むスラグフューミングダストとして回収される。
また、上記含銅粗鉛からは鉛の回収が行なわれるが、そのためには、まず銅の分離が不可欠である。含銅粗鉛からの銅の分離回収方法としては、通常、除滓炉と呼ばれる炉に含銅粗鉛を導入し、固体状のドロス(以下、含銅ドロスと呼称する場合がある。)として銅を鉛浴上へ浮かせた後、掻き取りなどにより機械的に分離することが行なわれている。この方法は、鉛融点近傍における鉛中への銅溶解度が小さいことを利用して、含銅粗鉛の熔体を徐冷して銅を析出分離する、いわゆる熔離法によるものである。ここで得られる含銅ドロスの主要成分としては、一部酸化された固体銅とこれに付着した多量の粗鉛であり、粗鉛中には鉛の他に亜鉛等を含有している。
しかしながら、上記のスラグの処理方法においては、スラグフューミング処理におけるヒ素、アンチモンなどの15族元素の挙動、処理後のスラグからの鉛等の溶出、含銅ドロスからの銅、鉛等の有価金属の効率的な分離回収等の課題があった。
ところで、上記含銅ドロスの製錬方法としては、一般に、含銅ドロスにイオウを添加して、硫化しマット又は白カワを得て、これを乾式銅製錬の転炉工程に投入して銅を回収することが行なわれている。すなわち、含銅ドロスを直接転炉工程に投入した場合、含銅ドロスは鉛含有量が高いので、転炉において鉛の揮発により低融点のダスト量が増加することとなり、発生ダストの処理を困難にさせるという問題があった。また、含銅ドロス中の酸化された銅は、スラグへ分配するため、その分の回収率が下がるという問題があった。そのため、通常は、含銅ドロスは、キルン等を用いてパイライトなどの硫化源と炭酸ソーダなどのフラックスを添加して加熱処理され、鉛が分離回収されるとともに銅がマット化され、上記の問題点が回避される処理が行なわれている。しかしながら、含銅ドロスを硫化する工程では、硫化に要する時間が長いため、燃料費及び労務費コストが高くなるという問題があった。
また、上記スラグフューミング処理におけるヒ素、アンチモンなどの15族元素の挙動に関わる技術的課題としては、フューミング炉から回収された亜鉛と鉛ダスト中には低沸点で蒸気圧の高いヒ素、アンチモンなどの15族元素が濃縮され、前記熔鉱炉法の焼結工程に繰り返されると揮発して排ガス処理系統への負荷を増加させること、あるいは焼結塊とともに熔鉱炉内へ装入されると、高融点金属化合物であるスパイスを生成させる原因となって熔鉱炉操業を困難にさせることがあった。また、スラグフューミング処理のばらつきにより、鉛又はヒ素といった有害元素がスラグ中に残留した場合には、上記処理後スラグの溶出試験において、土壌環境基準を満足することができないという問題がおこるので、安定的に土壌環境基準を満足する方法が望まれていた。
この解決策として、本発明者らは、PCT/JP2005/000462において、亜鉛及び/又は鉛製錬の熔錬炉から産出される亜鉛及び鉛とともにヒ素又はヒ素及びアンチモンを含有するスラグを、フューミング炉内で加熱還元し亜鉛と鉛を揮発分離するスラグフューミング方法において、前記スラグの融体に、銅融体を共存させながら、スラグ中に含有されるヒ素又はヒ素及びアンチモンとを反応させてCu−Fe−Pb−As系銅合金の均一融体を形成するスラグフューミング方法を開示している。この銅共存下でスラグフューミングする方法によれば、ヒ素及びアンチモン含有量が少ない亜鉛と鉛を含むダストを得るとともに、安定的に土壌環境基準(環境庁告示第46号による溶出試験でのPb、As溶出量:各0.01mg/L以下)を満足することができるスラグが得られる。したがって、スラグフューミング処理におけるヒ素、アンチモンなどの15族元素の挙動及び処理後のスラグからの鉛等の溶出に関する課題は解決される。
以上より、上記含銅ドロスから、銅、鉛等の有価金属を効率的に回収する方法が求められていた。
特開平11−269567号公報(第1頁、第2頁)
本発明の目的は、上記の従来技術の問題点に鑑み、亜鉛及び/又は鉛製錬の熔錬法で産出される含銅ドロスから、銅、鉛等の有価金属を効率的に回収する製錬方法を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するために、亜鉛及び/又は鉛製錬の熔錬法で産出される含銅ドロスの製錬方法について、鋭意研究を重ねた結果、亜鉛及び/又は鉛製錬の熔錬炉から産出されるスラグを銅共存下でスラグフューミング処理しているフューミング炉内に、含銅ドロスを投入し加熱還元したところ、銅を銅合金として、鉛をスラグフューミングダストとして、有価金属をスラグフューミング炉産出物として効率的に回収することができることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、亜鉛及び/又は鉛製錬の熔錬炉から産出されるスラグを銅共存下でスラグフューミング処理する操業がなされているフューミング炉内に、銅及び鉛を含有する含銅ドロスを投入し加熱還元することを特徴とする含銅ドロスの製錬方法が提供される。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、前記フューミング炉内の融体の温度は、1100〜1500℃であることを特徴とする含銅ドロスの製錬方法が提供される。
また、本発明の第3の発明によれば、第1の発明において、前記フューミング炉内のスラグの酸素分圧は、次式に示す範囲に制御しながら行なうことを特徴とする含銅ドロスの製錬方法が提供される。
−8>logPo>−11.5
(但し、式中、Poはatm単位によるスラグ中の酸素分圧を表し、かつ1400℃の温度基準に換算したものである。)
また、本発明の第4の発明によれば、第1〜3いずれかの発明において、前記フューミング炉内に局所的に高温融体領域を形成することを特徴とする含銅ドロスの製錬方法が提供される。
また、本発明の第5の発明によれば、第4の発明において、前記高温融体領域は、燃料と酸素含有ガスを同時に融体に吹き込むか、或いは吹き付けることによって形成させることを特徴とする含銅ドロスの製錬方法が提供される。
また、本発明の第6の発明によれば、第4の発明において、前記フューミング炉内の融体の平均温度を1100〜1200℃に制御し、局所的に1350〜1450℃の温度の高温融体領域を形成させることを特徴とする含銅ドロスの製錬方法が提供される。
本発明のスラグフューミング炉による含銅ドロスの製錬方法は、亜鉛及び/又は鉛製錬の熔錬法で産出される含銅ドロスから、銅を銅合金として、鉛をスラグフューミングダストとして、有価金属をフューミング炉産出物として効率的に回収することができ、コストの削減に寄与することができるので、その工業的価値は極めて大きい。また、含銅ドロス中の銅は、フューミング炉内で加熱還元され、銅共存下でのスラグフューミング処理法において銅源として作用するので、スラグフューミング処理の銅源のコストを削減することができる。
さらに、フューミング炉内に局所的に高温融体領域を形成すれば、含銅ドロスを投入しても短時間で製錬処理することができるので、より有利である。
以下、本発明のスラグフューミング炉による含銅ドロスの製錬方法を詳細に説明する。
本発明のスラグフューミング炉による含銅ドロスの製錬方法は、亜鉛及び/又は鉛製錬の熔錬炉から産出されるスラグを銅共存下でスラグフューミング処理する操業がなされているフューミング炉内に、銅及び鉛を含有する含銅ドロスを投入し加熱還元することを特徴とする。
本発明において、銅共存下でスラグフューミング処理しているフューミング炉内に、含銅ドロスを投入して製錬することに重要な意義がある。すなわち、含銅ドロスは、前述のように、一部酸化された固体銅とこれに付着した鉛、亜鉛等を含む粗鉛からなるが、銅共存下でスラグフューミング処理の操業がなされているフューミング炉内に形成される加熱還元条件下で、酸化された銅等の金属は容易に還元されるので、銅は炉内に形成されているCu−Fe−Pb−As系銅合金又は銅マット中に吸収されるか、又は銅源として作用する。一方、鉛及び亜鉛は揮発され、スラグからのフューミングダストと同時に回収される。
上記方法は、例えば、以下のように行なわれる。ガス吹き込み用のランスを備えたフューミング炉を用いて、炉内にスラグ融体、銅源、及び含銅ドロスを投入後、融体にランスを浸漬してランス先端から重油、天然ガス、微粉炭等と酸素含有ガスを噴出するガス吹錬を行い、これらを混合撹拌するとともに、融体内を所定温度に制御し、かつ還元性雰囲気とする。また、炉内にスラグ融体及び銅源を投入し、スラグフューミング処理を行なっているときに、含銅ドロスを投入して製錬処理することができる。
これによって、主にスラグ中に含有される亜鉛、鉛、ヒ素、アンチモン等の酸化物と含銅ドロス中の酸化銅を金属状態へ還元する。ここで、金属化された亜鉛の大部分と鉛の一部を揮発させてダストとして回収する。また、金属化されたヒ素とアンチモンは、蒸気圧が高いという性質を有するが、一方鉄及び銅との親和力が強いという性質を有している。そこで、銅源等による銅融体が共存すると、ヒ素とアンチモンは銅と反応する。ここで、銅中のヒ素の活量は、ヒ素濃度が低い場合には著しく小さいので、ヒ素が銅中に溶融あるいは固溶すれば、ヒ素の蒸気圧は十分に小さくなり、揮発することなく銅合金を形成することになる。アンチモンに関しても、ヒ素と同様の挙動を示し、Cu−Fe−Pb−As系銅合金の均一融体に含有される。
上記方法に用いる含銅ドロスとしては、銅と鉛を含有し、前述したように含銅粗鉛から除滓炉等で分離された一部酸化された銅と粗鉛からなるドロス(1次ドロスとも呼称される)のほかに、粗鉛をアノードに鋳込む際に、さらに冷却されることで粗鉛から生成されたドロス(2次ドロスとも呼称される。)が用いられる。ここで、1次、2次ドロスの組成は、表1に示すように、1次ドロスは、銅、鉛の他に亜鉛品位が比較的高く、2次ドロスは鉛品位がより高いものである。表1に、含銅ドロス(1、2次ドロス)の組成の代表例を示す。
Figure 2009041052
上記含銅ドロスのフューミング炉への投入割合としては、特に限定されるものではなく、スラグに対して、20重量%以下が好ましい。すなわち、20重量%を超えると、フューミング炉への鉛の持ち込み量が多くなりすぎる。
上記方法に用いるスラグとしては、特に限定されるものではなく、亜鉛及び/又は鉛製錬の熔錬炉から産出される、亜鉛、鉛のほかにヒ素又はヒ素及びアンチモンを含有する還元性雰囲気で形成されたスラグが用いられる。例えば、亜鉛及び/又は鉛製錬において産出されるスラグは、原料とフラックスの調合によって、例えば、FeO−SiO−Al−CaO−ZnO−PbO系の比較的低融点であるスラグ組成に調製される。そこで、スラグ温度は1200〜1350℃で操業される。
上記方法に用いる銅源として、製錬中間物又はスクラップから選ばれる少なくとも1種の含銅原料を用いる。ここで、上記含銅原料は、各種の含銅原料を混合して用いることができる。また、銅源としての金属銅と併用することができる。前記製錬中間物としては、特に限定されるものではなく、銅製錬から得られる粗銅(銅品位98〜99重量%)のほか、製錬、特に銅製錬の熔錬、転炉等の各工程で発生するダスト、滓等の含銅中間物が用いられる。また、多くの銅材料の使用分野からリサイクルされた、金属及び合金形態の加工屑等の含銅スクラップが用いられる。
上記方法で用いるスラグに対する銅源中の銅の使用量としては、特に限定されるものではなく、スラグに含まれるスパイスと反応して、1100〜1500℃の温度範囲においてCu−Fe−Pb−As系銅合金の均一融体を形成する条件が選ばれるが、例えば、この温度範囲において均一融体中のCuとFeの含有割合(重量比)は、1:0.05〜1:0.5であり、用いる温度とスラグに含まれるスパイス中の鉄量に応じて、銅に対する鉄の溶解量から求められる銅量以上の使用量にすることが望ましい。
上記方法においてフューミング炉内の融体の温度は、1100〜1500℃が好ましく、1200〜1400℃がより好ましい。この温度範囲において、含銅ドロスの熔融及び還元を行なうことができる。融体の温度が1100℃未満では、Zn−ZnO平衡から亜鉛蒸気の形成が不十分なためスラグから亜鉛の揮発効率が悪化したり、又はFe−FeO平衡からFeOを含む安定したスラグの形成が不十分であるので、スラグの粘性が高すぎるといった問題が生じる。一方、融体の温度が1500℃を超えると、フューミング炉の耐火物の損傷量が多くなり、あるいは必要とする熱エネルギーが大きくなる。
さらに、フューミング炉内には、含銅ドロスの投入割合によっては、多量の金属鉛が持ちこまれ、しかも銅合金中に溶けこんだ鉛の活量は低くなり、それに伴って鉛の蒸気圧が小さくなるので、鉛揮発速度が遅くなり、低鉛の銅合金を得るためには、フューミング時間が長時間となるという問題が生じる。この解決策としては、融体の温度を高めにして操業することが望ましいが、フューミング炉内の全体を高温度に上昇させることは、前述のように炉の耐火物更新までの寿命の低下等により経済的でないので、フューミング炉内に局所的に高温融体領域を形成し、この部分に撹拌によって融体を移動させて鉛の揮発を促進させるのが好ましい。
例えば、フューミング炉内の融体の平均温度を1100〜1200℃に制御し、ランス等で局所的に燃料と酸素含有ガスを同時に融体に吹き込むか、或いは吹き付けることによって1350〜1450℃の温度の高温融体領域を形成させることが好ましい。前記燃料としては、コークス、石炭、重油、LNG等の固体、液体、気体状態のいずれもが用いられるが、固体に関しては、揮発成分含有割合が多い石炭等が反応速度が早く、燃焼しやすいことから好ましい。また、酸素含有ガスとしては、純酸素、空気あるいはそれらの混合ガスが用いられる。
上記方法においてフューミング炉内の融体の酸素分圧としては、特に限定されるものではなく、亜鉛、鉛、ヒ素及びアンチモンを金属状態に還元できる酸素分圧を用いるが、この中で、特に、−8>logPo>−11.5(但し、式中、Poはatm単位によるスラグ中の酸素分圧を表し、かつ1400℃の温度基準に換算したものである。)で示す範囲の酸素分圧に制御することが好ましい。
すなわち、Poが10−8atmを超えると、還元性が弱まるので、金属亜鉛の揮発が起りにくくなる。また、FeO−Fe平衡のPo依存性によって高融点であるFeがスラグ中に増加してスラグの流動性が悪化することによって、安定したスラグフューミング操業が困難になる。一方、Poが10−11.5atm未満では、Fe−FeO平衡のPo依存性によって鉄が金属状態で安定になり、炉鉄の生成が起り操業を阻害するので好ましくない。
上記方法においてフューミング炉に生成される銅合金の均一融体は、比重差でスラグと分離し、炉の傾転あるいはタッピングにより銅合金として容易に回収できる。また、回収された銅合金は、例えば酸化雰囲気である銅製錬の転炉工程に投入することで、銅を回収するとともに、鉄をスラグとして除去し、鉛、ヒ素及びアンチモンをダストとして処理することが可能である。このように、既存プロセス工程での処理が可能であることから、含銅ドロスから回収された銅の処理におけるコストの上昇も非常に少なくてすむ。また、上記方法において得られるスラグは、安定的に土壌環境基準を満足することができるスラグであり、セメント原料等へ使用することができる。
以上から明かなように、本発明のスラグフューミング炉による含銅ドロスの製錬方法により、含銅ドロスの硫化処理等の別途設備での処理が不用となるなど、効率的な製錬処理が行なえる。
以下に、本発明の実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例によってなんら限定されるものではない。なお、実施例で用いた金属の分析及び酸素分圧の測定方法は、以下の通りである。
(1)金属の分析:ICP発光分析法で行った。
(2)酸素分圧の測定:消耗型の酸素測定用プローブをスラグ中に浸漬させて酸素分圧を測定した。
また、実施例で用いた原料スラグは、熔鉱炉から産出したスラグを用いた。表2にその化学組成を示す。
Figure 2009041052
(実施例1)
ガス吹き込み用のランスを備え、処理後のスラグと銅合金は炉底部から抜出され、一方揮発された金属は炉頂部への移動の途中で空気を加えて酸化されて亜鉛と鉛を含むフューミングダストとして回収されるスラグフューミング処理用のフューミング炉を用いた。なお、スラグフューミング処理は、フューミング炉内の融体の温度及びスラグの酸素分圧を、炉頂部から炉内の融体にランスを浸漬しランス先端から微粉炭と空気を噴出させることにより所定値に制御して行なった。
まず、予熱されたフューミング炉内に熔鉱炉から産出された、1200℃に加熱されたスラグを投入した。次に、銅源としての金属銅(銅品位99.99重量%)と含銅ドロス(表1の1次ドロスを用いた。)を投入後、炉内の融体にランスを浸漬し、融体の温度が1350℃、及びスラグの酸素分圧(Po)が10−9〜10−10atmになるように微粉炭と空気の装入速度を調整した。なお、それぞれの投入割合は、スラグ100重量部、金属銅20重量部及び含銅ドロス7重量部であった。スラグフューミング処理を2時間行なった後、フューミング処理を停止しセトリングを行ない、その後、炉底部からまず銅合金、次いでスラグを抜出し、それぞれを回収し分析した。なお、含銅ドロス相の存在は認められなかった。スラグの分析結果を表3に、及び銅合金の分析結果を表4に示す。
Figure 2009041052
Figure 2009041052
表3、4より、実施例1では、含銅ドロスの製錬が本発明の方法に基づいて行われたので、スラグ中の鉛、亜鉛とヒ素が低減し、ヒ素とアンチモンが濃縮し、鉛が低い銅合金が得られることが分かる。また、含銅ドロス相の存在は認められなかったことより、含銅ドロスは効率的に製錬処理された。
(実施例2)
実施例1と同様のフューミング炉を用いた。なお、スラグフューミング処理は、フューミング炉の炉頂部から炉内の融体に主ランスを浸漬しランス先端から微粉炭と空気を噴出させることにより、炉内の融体の温度及びスラグの酸素分圧を所定値に制御するとともに、さらに局所的に高温融体領域を形成させるため、副ランスを用いて融体表面の一部にのみ微粉炭と空気を噴出させ吹付けた。
まず、予熱されたフューミング炉内に熔鉱炉から産出された1200℃に加熱されたスラグを投入した。次いで、銅源としての金属銅(銅品位99.99重量%)と含銅ドロス(表1の1次ドロスを用いた。)を投入後、炉内の融体に主ランスを浸漬し、融体の温度が1150℃、及びスラグの酸素分圧(Po)が10−9〜10−10atmになるように微粉炭と空気の装入速度を調整するとともに、副ランスを用いて融体表面の一部にのみ微粉炭と空気を吹付け、局所的に1400℃程度の温度の高温融体領域を形成させた。なお、それぞれの投入割合は、スラグ100重量部、金属銅20重量部及び含銅ドロス7重量部であった。スラグフューミング処理を30分間行なった後、フューミング処理を停止しセトリングを行ない、その後、炉底部からまず銅合金、次いでスラグを抜出し、それぞれを回収し分析した。なお、含銅ドロス相の存在は認められなかった。スラグの分析結果を表5に示す。
Figure 2009041052
表5より、実施例2では、含銅ドロスの製錬が本発明の方法に基づいて行われたので、スラグ中の鉛、亜鉛とヒ素が低減することが分かる。また、含銅ドロス相の存在は認められなかったことより、含銅ドロスは効率的に製錬処理された。さらに、局所的な高温融体領域を形成することにより、実施例1との比較から、より短時間でスラグフューミング処理と同時に含銅ドロスの処理が行なえることが分かる。
以上より明らかなように、本発明のスラグフューミング炉による含銅ドロスの製錬方法は、亜鉛及び/又は鉛製錬の熔錬法で産出される含銅ドロスから、銅を銅合金として、鉛をスラグフューミングダストとして、有価金属をスラグフューミング炉産出物として効率的に回収することができ、コストの削減に寄与することができるので、含銅ドロスの製錬方法として効果的である。

Claims (6)

  1. 亜鉛及び/又は鉛製錬の熔錬炉から産出されるスラグを銅共存下でスラグフューミング処理する操業がなされているフューミング炉内に、銅及び鉛を含有する含銅ドロスを投入し加熱還元することを特徴とする含銅ドロスの製錬方法。
  2. 前記フューミング炉内の融体の温度は、1100〜1500℃であることを特徴とする請求項1に記載の含銅ドロスの製錬方法。
  3. 前記フューミング炉内のスラグの酸素分圧は、次式に示す範囲に制御しながら行なうことを特徴とする請求項1に記載の含銅ドロスの製錬方法。
    −8>logPo>−11.5
    (但し、式中、Poはatm単位によるスラグ中の酸素分圧を表し、かつ1400℃の温度基準に換算したものである。)
  4. 前記フューミング炉内に局所的に高温融体領域を形成することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の含銅ドロスの製錬方法。
  5. 前記高温融体領域は、燃料と酸素含有ガスを同時に融体に吹き込むか、或いは吹き付けることによって形成させることを特徴とする請求項4に記載の含銅ドロスの製錬方法。
  6. 前記フューミング炉内の融体の平均温度を1100〜1200℃に制御し、局所的に1350〜1450℃の温度の高温融体領域を形成させることを特徴とする請求項4に記載の含銅ドロスの製錬方法。
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