JP2009209388A - スラグフューミング方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】フューミング炉内に亜鉛及び/又は鉛製錬の熔錬炉から産出される亜鉛、鉛、ヒ素及びハロゲン族元素を含有するスラグと銅源を投入して融体を形成しながら、フューミングにより、亜鉛と鉛を揮発分離するスラグフューミング方法において、亜鉛の高揮発速度の下で、エネルギーコストを削減し、かつハロゲン族元素の含有量が少ない亜鉛と鉛を含むダストが得られるスラグフューミング方法を提供する。
【解決手段】前記フューミングに際し、炉内に炭素質還元剤と石灰石を添加するとともに、炉内の気相部に過剰の炭素質還元剤を燃焼するに十分な量の空気を送入してスラグ温度の低下を防止する。
【選択図】なし

Description

本発明は、スラグフューミング方法に関し、さらに詳しくは、フューミング炉内に亜鉛及び/又は鉛製錬の熔錬炉から産出される亜鉛、鉛、ヒ素及びハロゲン族元素を含有するスラグと銅源を投入して融体を形成しながら、フューミングにより亜鉛と鉛を揮発分離するスラグフューミング方法において、亜鉛の高揮発速度の下で、エネルギーコストを削減し、かつハロゲン族元素の含有量が少ない亜鉛と鉛を含むダストが得られるスラグフューミング方法に関する。
亜鉛及び/又は鉛製錬において、Imperial Smelting Processと呼ばれる亜鉛と鉛を同時に製錬する熔鉱炉法が広く用いられている。前記熔鉱炉法で熔鉱炉で発生するスラグの処理方法は、スラグを熔鉱炉の前床に導いて含銅粗鉛と炉鉄を粗分離した後水砕して、セメント原料用等の製品スラグとされている。また、一般には、前記スラグは、亜鉛含有量が高く、鉛とともに、スパイスの成分であるヒ素、アンチモンその他の金属を含むため、フューミング炉に装入してスラグフューミングを行ったのち水砕して製品化される。
前記スラグフューミングは、熔融状態のスラグを加熱還元することによって、スラグに含まれる亜鉛、鉛、ヒ素、アンチモン等の金属を揮発させるものである。これによって、スラグから亜鉛と鉛を回収するとともに不純物金属を除去することができ、清浄化されたスラグが得られる。ここで、スラグフューミング処理は、ガス吹き込み用のランス又は炉下部に羽口を備えた加熱炉を用いて行われる。例えば、ガス吹き込み用のランスを備えた炉を用いて、該炉内に装入したスラグにランスを浸漬してランス先端から重油、微粉炭、天然ガス等の化石燃料と空気を噴出させることにより、スラグ中の金属を還元し揮発させる処理である。処理後のスラグは前記炉底部から抜き出され、揮発された金属は前記炉頂部への移動の途中で空気を加えて酸化されて亜鉛と鉛を含むスラグフューミングダストとして回収される。
しかしながら、スラグフューミング処理では、回収の主目的元素である亜鉛と鉛とともに、低沸点で蒸気圧の高いヒ素、アンチモンなどの15族元素が揮発し、回収した亜鉛と鉛ダスト中に濃縮する。これら15族元素は、回収した亜鉛と鉛とともに、例えば、前記熔鉱炉法の焼結工程に繰り返されるが、焼結工程で揮発して排ガス処理系統への負荷を増加させること、あるいは焼結塊とともに熔鉱炉内へ装入されると、高融点金属化合物であるスパイスを生成させる原因となって、熔鉱炉操業を困難にさせるという問題があった。
また、スラグフューミング処理のばらつきにより、鉛又はヒ素といった有害元素がスラグ中に残留した場合には、上記清浄化されたスラグの溶出試験において、土壌環境基準を満足することができないという問題がおこるので、安定的に土壌環境基準を満足する方法が望まれていた。
この解決策として、スラグの改質方法が提案されており、代表的なものとしては、熔鉱炉産出のスラグを前床に導いて含銅粗鉛と炉鉄を粗分離した後、電気炉で加熱して含銅粗鉛と炉鉄を沈降分離して、その後フューミング炉で処理する2段処理(例えば、特許文献1参照。)が挙げられる。しかしながら、この方法では、スラグの亜鉛、鉛及びヒ素の含有量及びスラグの土壌環境基準は満足されるが、電力コストが高く、しかもヒ素、アンチモン及びハロゲン族元素の揮発については根本的な解決策は得られないという問題があった。
この解決策として、亜鉛及び/又は鉛製錬の熔錬炉から産出される亜鉛及び鉛とともにヒ素又はヒ素及びアンチモンを含有するスラグを、フューミング炉内で加熱還元し亜鉛と鉛を揮発分離するスラグフューミング方法において、前記スラグの融体に、銅融体を共存させながら、スラグ中に含有されるヒ素又はヒ素及びアンチモンとを反応させてCu−Fe−Pb−As系銅合金の均一融体を形成するスラグフューミング方法(例えば、特許文献2参照。)が提案されている。この銅共存下でスラグフューミングする方法によれば、ヒ素及びアンチモン含有量が少ない亜鉛と鉛を含むダストを得るとともに、安定的に土壌環境基準(環境庁告示第46号による溶出試験でのPb、As溶出量:各0.01mg/L以下)を満足することができるスラグが得られる。したがって、スラグフューミング処理におけるヒ素、アンチモンなどの15族元素の挙動及び処理後のスラグからの鉛等の溶出に関する課題は解決される。
さらに、従来、スラグフューミング処理では、重油、微粉炭、天然ガス等の化石燃料から発生する水素とスラグ中に含まれるフッ素、塩素などのハロゲン族元素とが反応して、フッ化水素又は塩化水素ガスを形成し、回収の主目的金属である亜鉛、鉛とともに揮発され、回収した亜鉛と鉛を含むダスト中に濃縮される。その後、前記ダストは、例えば、上記熔鉱炉法の焼結工程に繰り返されるが、この場合に、これらハロゲン族元素は、焼結工程で揮発して排ガス処理系統への負荷を増加させるという問題、あるいは、焼結塊中に含まれて熔鉱炉内へ繰り返されると設備の腐食を増加させる原因となって、熔鉱炉操業を困難にさせるという問題があった。
以上の状況から、炉内に亜鉛及び/又は鉛製錬の熔錬炉から産出される亜鉛、鉛、ヒ素及びハロゲン族元素を含有するスラグと銅源を投入して銅融体を形成しながら、亜鉛と鉛を揮発分離するスラグフューミング方法において、安定的に土壌環境基準(環境庁告示第46号による溶出試験でのPb、As溶出量:各0.01mg/L以下)を満足するスラグを得ること、及びヒ素及びアンチモンの含有量が少ない亜鉛と鉛を含むダストを得ることは勿論のこと、亜鉛の高揮発速度の下で、エネルギーコストを削減し、かつハロゲン族元素の含有量が少ない亜鉛と鉛を含むダストが得られるスラグフューミング方法が求められている。
特開平11−269567号公報(第1頁、第2頁) WO2005/068669号明細書
本発明の目的は、上記の従来技術の問題点に鑑み、フューミング炉内に亜鉛及び/又は鉛製錬の熔錬炉から産出される亜鉛、鉛、ヒ素及びハロゲン族元素を含有するスラグと銅源を投入して融体を形成しながら、フューミングにより、亜鉛と鉛を揮発分離するスラグフューミング方法において、亜鉛の高揮発速度の下で、エネルギーコストを削減し、かつハロゲン族元素の含有量が少ない亜鉛と鉛を含むダストが得られるスラグフューミング方法を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するために、フューミング炉内に亜鉛及び/又は鉛製錬の熔錬炉から産出される亜鉛、鉛、ヒ素及びハロゲン族元素を含有するスラグと銅源を投入して融体を形成しながら、亜鉛と鉛を揮発分離するスラグフューミング方法ついて、鋭意研究を重ねた結果、炉内にスラグと銅源を投入して融体を形成した後、該融体上に炭素質還元剤と石灰石を添加してフューミングを行なう際に、炉内の気相部に送入する空気量を特定値に制御したところ、亜鉛の高揮発速度の下で、エネルギーコストを削減し、かつハロゲン族元素の含有量が少ない亜鉛と鉛を含むダストが得られることを見出し、本発明を完成した。なお、ここで、ヒ素、アンチモン及びハロゲン族元素の含有量が少ない亜鉛と鉛を含むダストが得られるとともに、安定的に土壌環境基準を満足することができるスラグが得られる。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、フューミング炉内に亜鉛及び/又は鉛製錬の熔錬炉から産出される亜鉛、鉛、ヒ素及びハロゲン族元素を含有するスラグと銅源を投入して融体を形成しながら、亜鉛と鉛を揮発分離するスラグフューミング方法において、
炉内に炭素質還元剤と石灰石を添加するとともに、炉内の気相部に過剰の炭素質還元剤を燃焼するに十分な量の空気を送入してスラグ温度の低下を防止することを特徴とするスラグフューミング方法が提供される。
また,本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、前記フューミング炉は、電気炉であることを特徴とするスラグフューミング方法が提供される。
また,本発明の第3の発明によれば、第2の発明において、前記フューミングの空気は、炉内に流入するフリーエアー量を、その酸素量で、炉内の還元反応に対し過剰分の炭素が完全燃焼するのに必要とされる量の0.7〜1.4倍量になるように制御することを特徴とするスラグフューミング方法が提供される。
また,本発明の第4の発明によれば、第1〜3のいずれかの発明において、前記フューミングのスラグ温度を1100〜1500℃に維持することを特徴とするスラグフューミング方法が提供される。
本発明のスラグフューミング方法は、炉内に亜鉛及び/又は鉛製錬の熔錬炉から産出される亜鉛、鉛、ヒ素及びハロゲン族元素を含有するスラグと銅源を投入して融体を形成しながら、フューミングにより亜鉛と鉛を揮発分離するスラグフューミング方法において、亜鉛の高揮発速度の下で、エネルギーコストを削減し、かつハロゲン族元素の含有量が少ない亜鉛と鉛を含むダストが得られるので、その工業的価値は極めて大きい。
以下、本発明のスラグフューミング方法を詳細に説明する。
本発明のスラグフューミング方法は、フューミング炉内に亜鉛及び/又は鉛製錬の熔錬炉から産出される亜鉛、鉛、ヒ素及びハロゲン族元素を含有するスラグと銅源を投入して融体を形成しながら、フューミングにより亜鉛と鉛を揮発分離するスラグフューミング方法において、前記フューミングに際し、炉内に炭素質還元剤と石灰石を添加するとともに、炉内の気相部に過剰の炭素質還元剤を燃焼するに十分な量の空気を送入してスラグ温度の低下を防止することを特徴とする。
本発明において、フューミング炉内に銅源を投入とともに、熱源供給及び還元性雰囲気の形成のために炭素質還元剤と石灰石を添加してフューミングを行なうこと、及び炉内の気相部に過剰の炭素質還元剤を燃焼するに十分な量の空気を送入してスラグ温度の低下を防止することが重要である。
すなわち、亜鉛及び/又は鉛製錬の熔錬炉から産出される亜鉛、鉛、ヒ素及びハロゲン族元素を含有するスラグと銅源を炉内に投入して融体を形成し、該融体に炭素質還元剤と石灰石を添加してフューミングを行なうことにより、該融体内にブードア反応により還元雰囲気を形成し、ヒ素及びアンチモンを銅合金として固定化するとともにハロゲン族元素の揮発を防止することができる。しかも、炉内の気相部に送入する空気量を過剰の炭素質還元剤を燃焼するに十分な量に制御して、炉内の還元反応に対し過剰分の炭素を完全燃焼することにより、石灰石の分解に伴うスラグの温度低下を補償することができる。これにより、亜鉛の揮発速度を高めた条件下で、エネルギーコストを低減するとともに、ヒ素、アンチモン及びハロゲン族元素の含有量が少ない亜鉛と鉛を含むダストと安定的に土壌環境基準を満足することができるスラグが得られる。
上記スラグフューミング方法において、まず、フューミングに際して銅源を添加してスラグ中に含有されるヒ素又はアンチモンと銅とを反応させてCu−Fe−Pb−As系均一融体を形成することが重要な意義を有する。これによって、ヒ素及びアンチモン含有量が少ないダストと安定的に土壌環境基準を満足することができるスラグとが得られる。
すなわち、ヒ素とアンチモンをそれらが安定して含有されるCu−Fe−Pb−As系銅合金中に分配させることによって、フューミングによる揮発を抑制することができる。したがって、フューミングにより生成されたダストとフューミング後のスラグへのヒ素及びアンチモンの分布を低減することが達成される。
ここで、金属化された亜鉛の大部分と鉛の一部は揮発してダストとして回収される。一方、金属化されたヒ素とアンチモンは、蒸気圧が高いという性質と、鉄及び銅との親和力が強いという性質を有している。そこで、銅融体が共存するとヒ素とアンチモンは銅と反応する。ここで、銅中のヒ素の活量は、ヒ素濃度が低い場合には著しく小さいので、ヒ素が銅中に溶融あるいは固溶すれば、ヒ素の蒸気圧は十分に小さくなり、揮発することなく銅合金を形成することになる。アンチモンに関しても、ヒ素と同様の挙動を示し、Cu−Fe−Pb−As系銅合金の均一融体に含有される。
次に、炭素質還元剤と石灰石を添加することにより、まず、下記の(1)式で表される石灰石(主成分は炭酸カルシウム(CaCO)である。)の分解反応によって二酸化炭素が生成され、次いで、下記の(2)式で表されるブードア反応により炭素質還元剤と二酸化炭素が反応して融体内に還元雰囲気を形成することに重要な意義を有する。
すなわち、揮発成分が少なく化石燃料に比べて反応性が劣る炭素質還元剤を用いて、ブードア反応により一酸化炭素の生成速度を向上させ、融体内に亜鉛の高揮発速度が得られる強い還元雰囲気を維持する。このとき、炭素質還元剤からの水素の発生がほとんどないため、スラグ中に含有されるハロゲン族元素と水素との反応によるハロゲン化水素の揮発を防止することができる。したがって、フューミングにより生成されたダストへのハロゲン族元素の分布を低減することが達成される。また、上記(1)式で生成される酸化カルシウム(CaO)は、スラグ成分となり、スラグ中の亜鉛の活量を上昇させるので、亜鉛が揮発しやすくなるという効果をもたらす。
(1)式 CaCO=CaO+CO
(2)式 C+CO=2CO
ここで、ダスト中にハロゲン化物が形成される状況ついてより詳しく説明する。フッ化水素又は塩化水素により鉛からハロゲン化鉛を生成する標準生成エネルギーから、酸素の存在下常温から1600℃に至る範囲でハロゲン化鉛が生じやすいことがわかる。したがって、ガス中にフッ化水素又は塩化水素が存在すると、酸素の存在下鉛と反応してハロゲン化鉛が生成する。したがって、ハロゲン化水素の生成揮発を防ぐことが重要であり、そのためには、熱源及び還元剤として水素を系内に持ち込まない手段をとることが有効である。
ところで、石灰石を添加してスラグフューミングを行うことは、融体内に亜鉛の高揮発速度が得られる一方、石灰石はスラグ中あるいは上部で熱を吸収して分解するために、スラグ温度が低下し、これにより亜鉛の蒸気圧が低下し、揮発が十分に進まなくなるという問題点も有している。この解決策としては、炉内でのスラグの還元反応に対し過剰の炭素質還元剤の添加とその完全燃焼による熱源供給が不可欠である。
本発明の方法においてスラグのフューミングは、特に限定されるものではないが、以下のようなフューミング方法で行うことができる。
上記方法に用いるスラグフューミング装置としては、特に限定されるものではないが、電気炉方式の加熱炉を用いたものが好ましい。図1は、電気炉方式の加熱炉を用いたスラグフューミング装置の一例を示す。
図1において、まず、電極式の電気炉1内に熔融スラグを装入し、温度を上げた後、金属銅を装入して熔融し融体を形成し、次いで、炉内に炭素質還元剤と石灰石を添加するとともに、炉内の気相部に過剰の炭素質還元剤を燃焼するに十分な量の空気を送入してスラグ温度の低下を防止しながら、フューミングを行う。なお、発生する亜鉛ダストは、排気ファン5により、保温したダスト回収用ダクト2を通じて、排ガスと共に炉外に排出される。この間、亜鉛ダストは、電気炉外部に設置したサイクロン3及びバッグフィルター4で回収される。ここで、フューミング時の空気量は、炉内に流入するフリーエアー量を、過剰の炭素質還元剤を燃焼するに十分な量に制御することにより行われる。なお、この炉内に流入するフリーエアー量は、排気ファン5からの排ガス流量を調節により行うことができる。
上記方法に用いるフューミング時のスラグ温度としては、特に限定されるものではなく、1100〜1500℃が好ましく、1350〜1450℃が特に好ましい。上記温度範囲で、スラグ中の亜鉛と鉛を十分に揮発させ、かつ銅とスパイスとを反応させて銅合金の均一融体を形成することができる。すなわち、スラグの温度が1075℃未満では、Zn−ZnO平衡から亜鉛蒸気の形成が不十分なためスラグから亜鉛の揮発効率が悪化したり、又はFe−FeO平衡からFeOを含む安定したスラグの形成が不十分であるので、スラグの粘性が高すぎたりあるいは固化するといった問題が生じる。一方、スラグの温度が1500℃を超えると、耐火物の損傷量が多くなり、あるいは必要とする熱エネルギーが大きくなるという問題が生ずる。
ここで、スラグ温度の制御においては、炉内での酸化亜鉛等を含有するスラグの還元反応に対し過剰分の炭素を含む炭素質還元剤を炉内に装入するとともに、フリーエアーを積極的に炉内に導入することで、炭素を炉内でCOまで燃焼させ、その熱を利用して融体の温度を担保することにより行う。この際、排ガスファンの流量を制御することにより、炉内に流入するフリーエアー量を制御して炉内の燃焼状態を管理し、炭素の適正な燃焼状態を保つ。そうすることで、還元雰囲気を保持しつつ、燃焼熱を融体に伝え、融体温度の低下を防ぐことが可能となる。
これに対して、通常の電気炉操業においては、炉内の還元雰囲気を担保するために、排ガス量をできる限り少なくしてフリーエアーの炉内への導入を防ぐ。このとき、排ガス中には、強還元雰囲気にて生じたCOガスが多量に含まれることから、炉外に設けた2次燃焼炉などで空気等の酸素含有ガスにてCOガスを燃焼させ、COガスとして系外に排出する。そのために、燃焼による熱を利用することができない。このため、温度上昇には、電気炉の電力負荷を上げることとなるが、電気コストの上昇につながることから好ましくない。
上記方法で用いる炭素質還元剤としては、特に限定されるものではなく、コークス等の水素含有量が低いものが用いられる。なお、粉状物を用いることが、反応速度の向上のため好ましい。
上記方法に用いる炭素質還元剤の添加量としては、スラグの亜鉛、鉛等の還元対象物の含有量、炭素質還元剤の種類、炉の形状や断熱材の差による放散熱の違いにより求められるものであり、一義的に決まるものではないが、添加する過剰分の炭素質還元剤のコストとしては、電力による温度上昇に必要なコストに比して1/10以下であり、コストを低下させることができる。
また、電気炉の気相部に送入するフリーエアー量も同様に一義的に決まるものではないが、過剰に添加した分の炭素をCOまで燃焼させるのに必要な酸素量を1.0当量としたときに、0.7当量未満の酸素量では、燃焼が不十分となり、融体温度を担保するのに必要な燃焼熱が得られない。一方、1.4当量を超える酸素量では、還元雰囲気が保てず、亜鉛の揮発速度を十分に高く保てない。したがって、上記方法に用いるフューミングの空気は、電気炉方式の加熱炉を用いてフューミングを行う場合、炉内に流入するフリーエアー量を、その酸素量で、炉内の還元反応に対し過剰分の炭素が完全燃焼するのに必要とされる量の0.7〜1.4倍量になるように制御することが好ましい。
上記方法で用いる石灰石としては、特に限定されるものではなく、天然産出の石灰石鉱石のほか、市販の炭酸カルシウムを用いることができる。なお、粉状物を用いることが、反応速度の向上のため好ましい。
上記方法で用いる石灰石の添加量としては、特に限定されるものではなく、熱源及び還元雰囲気の形成のために必要とされる炭素質還元剤の添加量から、上記(1)、(2)式を用いて算出される化学当量の1倍以上が用いられる。
上記方法に用いるスラグとしては、特に限定されるものではなく、亜鉛及び/又は鉛製錬の熔錬炉から産出される亜鉛、鉛、ヒ素及びハロゲン族元素を含有する還元性雰囲気で形成されたスラグが用いられる。亜鉛及び/又は鉛製錬において産出されるスラグは、原料とフラックスの調合によって、例えば、FeO−SiO−Al−CaO−ZnO−PbO系の比較的低融点のスラグ組成に調製される。そこで、1200〜1350℃のスラグ温度で操業される。しかしながら、上記熔鉱炉法では、熔鉱炉内において、金属に還元された鉄及び銅はヒ素及びアンチモンと反応してスパイスと呼ばれる高融点の金属間化合物を形成し、スラグ層とメタル層の間に半溶融状又は固体状で存在し、スパイスの一部が懸濁してスラグ中に含まれる。
上記方法で用いる銅源としては、特に限定されるものではなく、製錬中間物又はスクラップから選ばれる少なくとも1種の含銅原料を用いる。ここで、上記含銅原料は、各種の含銅原料を混合して用いることができる。また、銅源としての金属銅と併用することができる。前記製錬中間物としては、特に限定されるものではなく、銅製錬から得られる粗銅(銅品位98〜99重量%)のほか、製錬、特に銅製錬の熔錬、転炉等の各工程で発生するダスト、滓等の含銅中間物が用いられる。また、多くの銅材料の使用分野からリサイクルされた、金属及び合金形態の加工屑等の含銅スクラップが用いられる。
これらの中で、亜鉛及び/又は鉛を比較的高濃度で含有する銅製錬工程のダスト、及び真鍮等の銅と亜鉛を含む合金スクラップが好ましい。また、特に、銅品位が高く、一方揮発されやすくダスト中への分配量が多い元素、例えばハロゲン族元素の含有量が少ないものがより好ましい。
上記方法で用いるスラグに対する含銅原料中の銅の添加量は、特に限定されるものではなく、スラグに含まれるスパイスと反応して、1100〜1500℃の温度範囲においてCu−Fe−Pb−As系銅合金の均一融体を形成する条件が選ばれるが、例えば、この温度範囲において均一融体中のCuとFeの含有割合(質量比)は、1:0.05〜1:0.5であり、用いる温度とスラグに含まれるスパイス中の鉄量に応じて、銅に対する鉄の溶解量から求められる銅量以上の添加量にすることが望ましい。
以下に、本発明の実施例と比較例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例によってなんら限定されるものではない。なお、実施例及び比較例で用いた金属及びハロゲン族元素の分析は、ICP発光分析法で行った。
また、実施例及び比較例で用いた原料スラグは、熔鉱炉から産出したスラグを用いた。表1にその化学組成を示す。
Figure 2009209388
また、実施例及び比較例で用いたスラグフューミング方法は、下記の通りである。
[スラグフューミング方法]
図1に示すスラグフューミング装置を用いて、まず、電極式の電気炉1内に熔融スラグを装入し、温度を上げた後、金属銅を装入して熔融し融体を形成し、次いで炉内に流入するフリーエアー量を制御しながら、スラグフューミングを行う。なお、発生する亜鉛ダストは、排気ファン5により、保温したダスト回収用ダクト2を通じて、排ガスと共に炉外に排出される。この間、亜鉛ダストは、電気炉外部に設置したサイクロン3及びバッグフィルター4で回収される。
(実施例1)
炉内に、上記原料スラグ150kgと金属銅(銅品位99.99質量%)30kgからなる原料調合物を入れた。添加銅量は、原料スラグ重量の20重量%にあたる。次に、上記スラグフューミング方法にしたがって、1350℃に加熱し、熔融後30分保持した後、炉内への混入酸素による酸化分を考慮したコークス(全炭素品位87.5質量%)7.4kgと石灰石13.6kgを添加し、排ガス流量を、過剰分の炭素がCOにまで燃焼するのに必要な酸素量の1.2倍量になるように、フリーエアー量を制御しながらフューミングを実施した。
この結果、得られた亜鉛ダストのヒ素、塩素及びフッ素の組成は、いずれも0.01質量%以下であり、ヒ素とともに、ハロゲン族元素の含有量が少ない亜鉛ダストが得られることが分かった。また、得られたスラグは土壌環境基準(環境庁告示第46号による溶出試験でのPb、As溶出量:各0.01mg/L以下)を満足していた。
また、スラグフューミング時の亜鉛揮発速度は、8.0kg/hであり、また、平均電気負荷量は、20KW/hであった。これより、十分な亜鉛揮発速度が得られた。
(比較例1)
コークス添加量を5.8kgとし、フリーエアーをほとんど炉内に入れないで、平均電気負荷量は20KW/hに保ってフューミングを行ったこと以外は、実施例と同様に行った。この結果、スラグフューミング時の亜鉛揮発速度は、5.1kg/hであり、また、スラグの平均温度は、1320℃であった。
これより、実施例1と同様の平均電気負荷量で、スラグ温度が低下し、かつ亜鉛揮発速度が大幅に低下することが分かる。
(比較例2)
コークス添加量を5.8kgとし、フリーエアーをほとんど炉内に入れないで、スラグ温度を1350℃に維持したこと以外は、実施例1と同様に行った。この結果、スラグフューミング時の亜鉛揮発速度は、8.1kg/hであり、また、平均電気負荷量は、24KW/hであった。
これより、実施例1と同様の亜鉛揮発速度を得る条件で、平均電気負荷量が大幅に上昇することが分かる。
以上より、実施例1では、フューミングに際し、炉内に炭素質還元剤と石灰石を添加するとともに、炉内の気相部に過剰の炭素質還元剤を燃焼するに十分な量の空気を送入してスラグ温度の低下を防止することにより、亜鉛の高揮発速度の下で、エネルギーコストを削減し、かつハロゲン族元素の含有量が少ない亜鉛と鉛を含むダストが得られることが分かる。
以上より明らかなように、本発明のスラグフューミング方法は、亜鉛及び/又は鉛製錬における熔錬炉から産出されるスラグ、例えば熔鉱炉法により熔鉱炉から産出されるスラグを加熱還元し、フューミングにより亜鉛と鉛を揮発分離回収するスラグフューミング方法において、亜鉛と鉛を含むダストを、ハロゲンの含有量が少ない状態にて、高い亜鉛揮発速度で得ることができ、かつ電気負荷量を上昇させることなく実施できるので、コストの削減することに寄与するものとして有用である。
実施例及び比較例に用いた電気炉方式の加熱炉を用いたスラグフューミング装置の一例を示す概念図である。
符号の説明
1 電気炉
2 ダスト回収用ダクト
3 ダスト回収用サイクロン
4 ダスト回収用バッグフィルター
5 排気ファン

Claims (4)

  1. フューミング炉内に亜鉛及び/又は鉛製錬の熔錬炉から産出される亜鉛、鉛、ヒ素及びハロゲン族元素を含有するスラグと銅源を投入して融体を形成しながら、フューミングにより亜鉛と鉛を揮発分離するスラグフューミング方法において、
    前記フューミングに際し、炉内に炭素質還元剤と石灰石を添加するとともに、炉内の気相部に過剰の炭素質還元剤を燃焼するに十分な量の空気を送入してスラグ温度の低下を防止することを特徴とするスラグフューミング方法。
  2. 前記フューミング炉は、電気炉であることを特徴とする請求項1に記載のスラグフューミング方法。
  3. 前記フューミングの空気は、炉内に流入するフリーエアー量を、その酸素量で、炉内の還元反応に対し過剰分の炭素が完全燃焼するのに必要とされる量の0.7〜1.4倍量になるように制御することを特徴とする請求項2に記載のスラグフューミング方法。
  4. 前記フューミングのスラグ温度を1100〜1500℃に維持することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のスラグフューミング方法。
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