JP2012007211A - スラグフューミングの操業方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】単位時間当たりの亜鉛と鉛の揮発分離を促進させ、亜鉛と鉛を多く含むダストが得られる生産性に優れたスラグフューミングの操業方法を提供する。
【解決手段】亜鉛及び/又は鉛製錬の熔錬炉から産出されるスラグを電気炉で加熱還元し、亜鉛と鉛を揮発分離するスラグフューミングにおいて、還元剤として添加する炭剤の一辺の長さ若しくは直径を3〜50mmに調製し、その炭剤をスラグ上に略均等に添加してスラグと炭剤を同時に且つ一緒に電気炉に装入すると共に、その装入口から電気炉内の熔体の湯面までの距離(落差)を30cm〜1mとする。
【選択図】なし
【解決手段】亜鉛及び/又は鉛製錬の熔錬炉から産出されるスラグを電気炉で加熱還元し、亜鉛と鉛を揮発分離するスラグフューミングにおいて、還元剤として添加する炭剤の一辺の長さ若しくは直径を3〜50mmに調製し、その炭剤をスラグ上に略均等に添加してスラグと炭剤を同時に且つ一緒に電気炉に装入すると共に、その装入口から電気炉内の熔体の湯面までの距離(落差)を30cm〜1mとする。
【選択図】なし
Description
本発明は、亜鉛及び/又は鉛製錬の熔錬炉から産出されるスラグを加熱還元し、亜鉛と鉛を揮発分離するスラグフューミングの操業方法に関する。
亜鉛や鉛の製錬においては、亜鉛と鉛を同時に製錬するISP(Imperial Smelting Process)法と呼ばれる熔鉱炉法が広く用いられている。このISP法では熔鉱炉からスラグが発生するが、発生したスラグは改質処理することによりセメント原料用素材などとして利用される。
上記ISP法で発生したスラグの処理方法としては、例えば特許文献1に記載されているスラグフューミング方法を用いることが多い。即ち、熔鉱炉から発生したスラグは前床と呼ばれる分離槽に導かれ、含銅粗鉛と炉鉄を沈降させて粗分離し、残ったスラグは熔融状態のままスラグフューミング炉に装入され、加熱還元してスラグに含有される亜鉛や鉛などの金属を揮発分離する。
スラグフューミング炉内で揮発した亜鉛や鉛などは、炉頂部から排出される際に空気により酸化され、スラグフューミングダストとしてバグフィルターなどで捕集され回収される。一方、フューミング処理された後のスラグは、炉底部から抜き出され、水砕処理されてセメント原料用素材などとして利用される。このようにスラグフューミング方法は、スラグから亜鉛と鉛を回収することができるので、有価金属のロスが少ないスラグが得られる利点がある。
上記フューミングに使用する炉としては、ガス吹き込み用のランスからスラグ中に還元剤をガスと共に吹き込むバススメルティング炉や、羽口から還元剤やガスを吹き込むシャフト炉、あるいはスラグと還元剤を電力により加熱する電気炉などが用いられる。これらの炉を用いた操業では、炉内に装入されたスラグに含まれている亜鉛や鉛が揮発されず、そのまま排出されてしまうショートパスを防ぐために、連続処理よりもむしろバッチ処理が適している。
特に電気炉を用いたスラグフューミングは、吹き込みによる熔体の撹拌がないため、鉛やスパイスなどスラグ以外の相のスラグへの混入が生じ難く、比較的清浄なスラグが得られるという特長がある。また、加熱を電気で行うため、還元剤の酸化熱を利用するバススメルティング炉やシャフト炉に比べるとCO2ガスの排出量が少なく、環境的に好ましいという特長もある。
上記した電気炉を用いたスラグフューミングでは、加熱用電極の存在など炉内構造上の理由からスラグの撹拌力が著しく小さいうえ、添加した炭剤などの還元剤がスラグの熔体上に浮いてしまうため、還元反応が進行しにくい。そのため、亜鉛や鉛の揮発が十分に進まず、炉床面積当たりや単位時間当たりの亜鉛や鉛の揮発量が少なくなるため、生産性が低いという問題があった。
また、従来のスラグフューミングの操業においては、炭剤などの還元剤を電気炉に短時間で多量に添加していたため、投入直後に反応が集中して生じていた。そのため、亜鉛や鉛などの揮発分離が短時間に集中し、この排ガスを処理するため必要以上に大きな能力のガス処理設備が必要となり、操業コストを増加させる一因になっていた。
更に、上記のごとく還元剤の投入直後に亜鉛や鉛などの揮発分離が短時間に集中発生することが繰り返されると、排気ダクトの閉塞が起こりやすい。即ち、排ガス中の亜鉛や鉛は炉内ガスゾーンで酸化されて熱が発生するが、集中発生したガスやダストの温度が十分に冷却されないままダクトに入ると、酸化された亜鉛や鉛の粒子がダクト内で焼結して固着しやすくなる。固着が進行すると次第にダクト内の空間が狭くなり、遂には閉塞して操業が不可能となる恐れがある。
排気ダクトが閉塞した場合には、操業を停止してダストを除去する必要があるため、生産性が著しく低下してしまう。また、このような生産性の低下を抑制するためには、ファンの増強やダクト径の拡張など設備の改造を行うことも考えられるが、設備コストの増加に繋がることから好ましくない。
本発明は、このような従来の電気炉を用いたスラグフューミングの操業方法における問題点に鑑み、設備コストの増加を招くような特別な装置を必要とせずに、単位時間当たりの亜鉛と鉛の揮発分離を促進させることができ、亜鉛と鉛を多く含むダストが得られ、生産性に優れたスラグフューミングの操業方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、電気炉での生産性に優れたスラグフューミングの操業方法について検討した結果、還元剤である炭剤はスラグに比して非常に軽いので、特に電気炉のように炉内の撹拌が少ない場合には、炭剤を単にスラグの上に落下させただけでは、炭剤が表面に浮くだけとなってスラグとの接触機会が少なく、反応効率が低くなり、その結果還元が不十分となって亜鉛や鉛の揮発が抑制されるとの考えに至った。
この知見に基づいて更に検討した結果、炭剤の大きさを特定サイズに調製してスラグと共に均等に電気炉に装入し、且つスラグと炭剤の装入口から電気炉内の熔体の湯面までの距離を一定の高さに保つことによって、スラグと炭剤の接触機会が増えて反応効率が向上し、ダストの生成量が増加する結果、亜鉛と鉛の回収量が増加して生産効率が向上することを見出した。
即ち、本発明によるスラグフューミングの操業方法は、亜鉛及び/又は鉛製錬の熔錬炉から産出される亜鉛及び鉛を含有するスラグを電気炉で加熱還元し、亜鉛と鉛を揮発分離するスラグフューミングにおいて、電気炉に還元剤として添加する炭剤の一辺の長さ若しくは直径を3〜50mmに調製し、該炭剤を電気炉に搬送されるスラグ上に略均等に添加して、スラグと炭剤を同時且つ一緒に電気炉の装入口から投入すると共に、装入口から電気炉内の熔体の湯面までの距離を30cm〜1mとすることを特徴とする。
また、上記本発明によるスラグフューミングの操業方法においては、前記炭剤が、微粉炭、コークス、塊状炭、廃活性炭、再利用黒鉛から選ばれた少なくとも1種であることが好ましい。
本発明によれば、スラグと炭剤が接触する機会が増えて還元反応が促進される結果、多くの亜鉛と鉛を含むダストを得ることができ、電気炉でのスラグフューミングの生産性を改善向上させることができる。また、排気ダクトやファンなどの設備を一時的な負荷の増加に対応して増強する必要がないため、設備投資を圧縮できる点でも有利である。
本発明のスラグフューミング方法においては、溶鉱炉から排出されたスラグをスラグフューミング炉に装入する際に、スラグと炭剤を装入口から同時に且つ一緒に装入する。また、電気炉に装入する炭剤の大きさを3〜50mmの範囲内に調整すると共に、電気炉の装入口と電気炉内の熔体の湯面との距離(装入口からの落差)として30cm以上の高さを確保する。
上記した方法により、スラグとの温度差と電気炉内の熔体上に落下するスラグの勢いを利用して、添加した炭剤を電気炉内でスラグ層(熔体)の内部に巻き込み、スラグ層内部での還元反応を促進させ、その結果として単位時間当たりの亜鉛や鉛の還元揮発量を増加させることができる。還元反応が均一に進行し、その結果揮発するダストの発生量も一定となれば、ガス中のダスト密度が均一化し、廃棄ダクトへのダストの固着量も減少する。
スラグと炭剤を電気炉の装入口から同時に且つ一緒に装入する手段としては、電気炉に搬送されるスラグ上に、装入口よりも上流側で、炭剤を略均等に添加する方法がある。具体的には、熔鉱炉から発生したスラグから含銅粗鉛などを沈降させる分離槽である前床や、前床から装入口にスラグを搬送する樋において、そこを流れているスラグ上に炭剤をほぼ均等に添加することが好ましい。
還元剤として用いる炭剤は、還元剤として利用できる固体であれば特に制限されることはなく、従来から電気炉でのスラグフューミングに用いられているものであっても良い。具体的には、微粉炭、コークス、塊状炭、廃活性炭、再利用黒鉛などを好適に用いることができる。尚、炭剤の添加量は、炭剤の種類や電気炉の形状、受け入れるスラグ量やその中に含まれる酸化亜鉛や酸化鉛の量の違いによって変化し、一義的には定まらない。
炭剤の大きさは、一辺の長さ若しくは直径が3〜50mmの範囲、好ましく10〜20mmの範囲とする。一辺の長さ若しくは直径が3mm未満の小さいサイズでは、電気炉への装入時あるいは炉内の反応中に飛散しやすく、スラグとの混合が円滑に進まない。一方、一辺の長さ若しくは直径が50mmを越える大きなサイズでは、炭剤が熔体中に沈降してしまい、スラグと均一に混ぜることが難しくなる。
また、電気炉へのスラグと炭剤の装入口から電気炉内の熔体の湯面までの距離(落差)は、30cm以上を確保することが必要である。装入口から熔体の湯面までの距離が30cmよりも短いと、落下によって得られる撹拌に必要な勢いが小さくなり、スラグ中への炭剤の充分な巻き込みが実現し難くなる。しかし、落差が大きすぎると、落下の勢いが大きいためスプラッシュを起こすなどして炉内で跳ね、やはりスラグと炭剤の混合が不十分になる恐れがあるので、最大でも1m以内とすることが好ましい。
[実施例1]
熔鉱炉から産出された平均温度が約1310℃のスラグを、前床にて含銅粗鉛と炉鉄を沈降させて粗分離した後、前床から樋を通じて3相交流電極式の電気炉内に装入して、スラグフューミング操作を実施した。これらの一連の操作はバッチで行い、スラグ受け入れ回数の1日当たりの平均は14回(バッチ)であった。下記表1に、スラグの代表的な化学組成を示す。
熔鉱炉から産出された平均温度が約1310℃のスラグを、前床にて含銅粗鉛と炉鉄を沈降させて粗分離した後、前床から樋を通じて3相交流電極式の電気炉内に装入して、スラグフューミング操作を実施した。これらの一連の操作はバッチで行い、スラグ受け入れ回数の1日当たりの平均は14回(バッチ)であった。下記表1に、スラグの代表的な化学組成を示す。
上記したスラグフューミングでは、各バッチでのスラグ受け入れ回毎に、予めホッパー内に受けていた炭剤のコークス(全炭素品位87.5重量%)を1バッチ当たり200kg切り出し、時間当たりのコークス投入量を調整しながら、スラグが炉内に流入している15〜20分の時間をかけて、前床から樋を通って流れるスラグ上にほぼ均等になるように添加した。尚、装入口から炉内の熔体の湯面までの距離は40cmとした。また、コークスは一辺が10〜20mmのサイズになるように篩い分けしたものを使用した。
炉内にスラグとコークスを装入した後、1バッチ当たり16.2〜20.2時間熔体を保持してスラグフューミングを行った。処理中に発生したダストは排気ファンを用いて吸引し、ダスト回収用ダクトを通じて排ガスと共に炉外に排出し、冷却塔を通じてガス温度を下げた後、冷却塔とファンの中間に設置したバッグフィルターを用いてダストを回収した。また、平均温度が約1330℃のスラグはスラグタップ口から抜き出し、水砕して水砕スラグを得た。これら一連のスラグフューミング操作を9日間に渡って実施した。
バッグフィルターで回収されたダストの量を測定し、単位時間当たりのダスト量を3日毎の平均値として求め、その結果を下記表2に示した。この実施例1で得られたダスト中の亜鉛の品位は約70%、鉛の品位は約8%であった。また、この実施例1で得られた水砕スラグの平均組成を下記表3に示した。
[比較例1]
炭剤であるコークスを従来と同じくスラグとは別の装入口から数回に分けて炉内に投入した以外は上記実施例1と同様にして、スラグフューミング操作を9日間に渡って実施した。尚、受け入れスラグの平均温度は約1310℃であり、炉内から抜き出したスラグの平均温度は約1330℃であった。
炭剤であるコークスを従来と同じくスラグとは別の装入口から数回に分けて炉内に投入した以外は上記実施例1と同様にして、スラグフューミング操作を9日間に渡って実施した。尚、受け入れスラグの平均温度は約1310℃であり、炉内から抜き出したスラグの平均温度は約1330℃であった。
この比較例1において回収されたダストの量を測定し、単位時間当たりのダスト量を3日毎の平均値として求め、得られた結果を下記表2に示した。また、この比較例1で得られた水砕スラグの平均組成を下記表3に示した。
これらの結果から分るように、実施例1における単位時間当たりのダスト量は比較例1に比べて平均で約20kg/h多くなり、またスラグ中の亜鉛濃度及び鉛濃度共に低下した。これらの結果から、本発明のスラグフューミング操作によれば、従来方法の操作に比べて、単位時間当たりの亜鉛及び鉛の揮発量が増加したことが裏付けられた。
[比較例2]
炭剤として、直径が1mm以下の微粉炭か、あるいは一辺の長さが約60mmの塊状炭を使用した以外は上記実施例1と同様にして、スラグフューミング操作を9日間に渡って実施した。尚、受け入れスラグの平均温度は約1310℃であり、炉内から抜き出したスラグの平均温度はいずれも約1330℃であった。
炭剤として、直径が1mm以下の微粉炭か、あるいは一辺の長さが約60mmの塊状炭を使用した以外は上記実施例1と同様にして、スラグフューミング操作を9日間に渡って実施した。尚、受け入れスラグの平均温度は約1310℃であり、炉内から抜き出したスラグの平均温度はいずれも約1330℃であった。
しかし、いずれの炭剤を使用した場合も、上記実施例1に比較すると還元が充分に進まず、亜鉛や鉛の揮発は不十分となり、回収されたダストの量は上記比較例1とほぼ同じ240〜250kg/h程度に留まった。
[比較例3]
炭剤として一辺の長さが約15mmのコークスを使用し、電気炉への装入口と熔体の湯面との距離を20cmとした以外は上記実施例1と同様にして、スラグフューミング操作を9日間に渡って実施した。尚、受け入れスラグの平均温度は約1310℃であり、炉内から抜き出したスラグの平均温度は約1330℃であった。
炭剤として一辺の長さが約15mmのコークスを使用し、電気炉への装入口と熔体の湯面との距離を20cmとした以外は上記実施例1と同様にして、スラグフューミング操作を9日間に渡って実施した。尚、受け入れスラグの平均温度は約1310℃であり、炉内から抜き出したスラグの平均温度は約1330℃であった。
しかし、上記実施例1に比較すると還元が充分に進まず、亜鉛や鉛の揮発は不十分となり、回収されたダストの量は上記比較例1とほぼ同じ240〜250kg/h程度に留まった。
Claims (2)
- 亜鉛及び/又は鉛製錬の熔錬炉から産出される亜鉛及び鉛を含有するスラグを電気炉で加熱還元し、亜鉛と鉛を揮発分離するスラグフューミングにおいて、電気炉に還元剤として添加する炭剤の一辺の長さ若しくは直径を3〜50mmに調製し、該炭剤を電気炉に搬送されるスラグ上に略均等に添加して、スラグと炭剤を同時且つ一緒に電気炉の装入口から投入すると共に、装入口から電気炉内の熔体の湯面までの距離を30cm〜1mとすることを特徴とするスラグフューミングの操業方法。
- 前記炭剤が、微粉炭、コークス、塊状炭、廃活性炭、再利用黒鉛から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする、請求項1に記載のスラグフューミングの操業方法。
Priority Applications (1)
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JP2010144532A JP2012007211A (ja) | 2010-06-25 | 2010-06-25 | スラグフューミングの操業方法 |
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JP2010144532A JP2012007211A (ja) | 2010-06-25 | 2010-06-25 | スラグフューミングの操業方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN105671314A (zh) * | 2016-04-20 | 2016-06-15 | 长沙有色冶金设计研究院有限公司 | 一种同时产出金属铅、锌的直接冶炼方法及系统 |
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CN114540628A (zh) * | 2022-01-20 | 2022-05-27 | 云南云铜锌业股份有限公司 | 一种处理浸锌渣、锌冶炼石膏渣和高炉瓦斯灰的方法 |
-
2010
- 2010-06-25 JP JP2010144532A patent/JP2012007211A/ja active Pending
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