JP2010275568A - 亜鉛と鉛の同時製錬方法および亜鉛鉛同時製錬設備 - Google Patents

亜鉛と鉛の同時製錬方法および亜鉛鉛同時製錬設備 Download PDF

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Abstract

【課題】硫化亜鉛精鉱から亜鉛と鉛を効率的に得る亜鉛と鉛の同時製錬方法、および、この方法に適した亜鉛鉛同時製錬設備を提供する。
【解決手段】亜鉛と鉛とを同時製錬する方法であって、亜鉛硫化物と鉛とを含有する原料を熔解して、酸化亜鉛を含有するスラグMS、硫化鉛を含有するマットMM、鉛メタルPbの3層を有する熔融物Mを形成し、熔融物MのスラグMSを、マットMM、鉛メタルPbと分離して銅メタルの存在下でスラグフューミングする。製錬を行う設備に精鉱を焼結する設備が不要となり、設備の面積当りの生産性を高くすることができ、熱エネルギーの利用効率を高くすることができる。さらに、還元度の高い条件で亜鉛を還元でき、亜鉛の回収率を高くでき、しかも、回収された亜鉛の純度も高くすることができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、亜鉛と鉛の同時製錬方法および亜鉛鉛同時製錬設備に関する。
現在の亜鉛や鉛の製錬法として多く用いられるのは乾式法である。
乾式法では、Imperial Smelting Process(ISP)と呼ばれる方法が広く用いられる。ISP法は、鉛を含有する亜鉛精鉱を原料とし、製錬法では焼結工程において、ベルト上に乗せた粉状の亜鉛ならびに鉛硫化物を下から空気を送り込むことにより、硫化物中の硫黄を燃焼させて、亜鉛と鉛を酸化物にすると同時に塊状化し(脱硫工程)、その塊状になった焼結物と炭剤とを熔融炉内で層状に重ねながら装入し、熔融炉下部にある刃口より高温のガスを吹き込むことで還元しながら熔融する(還元工程)。そして還元製錬工程で還元された亜鉛は蒸気として炉頂部から熔融鉛スプラッシュコンデンサーに供給されて凝縮されて回収される。一方、鉛は熔融状の金属として炉底部より回収されて精製される。
しかしながら、上記ISP法では、焼結工程は長いベルト上で反応を行うために、単位面積当たりの生産性が低い、しかも、熔融炉での製錬に適した焼結塊を得るために、鉱石の返粉を繰り返すという問題を有している。
また、熔融炉においては、その炉の構造上、炉内全体の還元度を均一に制御することは難しい。このため、亜鉛の還元を十分に行おうとすると、炉内の還元度を高くしなければならないが、還元度が高くなると、亜鉛だけでなく、一部の鉄が還元されてしまう。すると、鉄は金属化し、金属化した鉄は、そのままの状態又は精鉱中に存在する砒素と高融点の鉄スパイスを形成して、炉床に堆積するので炉の操業を著しく悪化させてしまう。
このため、炉内還元度をスラグ中に亜鉛が7〜10%残留させる程度に制御して操業する必要がある。その操業によって、亜鉛の回収率が低くなり、生産性が低くなっていた。
すなわち、現状の乾式法は亜鉛や鉛の生産に要するエネルギー、コストが大きく生産性が低いという問題を有している。
これまで、上記問題点を解決すべくいくつかの新たな亜鉛と鉛の製錬法が提案されている。
例えば、特許文献1の方法は、亜鉛焼鉱と還元剤とを酸素富化空気と共に熔融浴に吹き込むことにより、亜鉛を蒸気として回収する方法である。
また、特許文献2の方法は、以下の手順で金属亜鉛を回収している。
まず、硫化鉄と亜鉛硫化物を含有する原料と酸素を含む反応用空気を炉内に吹き込むことにより硫化鉄をFeOに酸化してスラグ化し、硫化亜鉛を分解してZnとした後にZnOへと酸化して煙灰の形で回収する。回収した煙灰のZnOは硫酸で熔解して電解液とし、電解採取を行って金属亜鉛を得る。
しかしながら、いずれの方法もエネルギー消費やコストの点で実用化に至っておらず、新たな亜鉛と鉛の製錬法の開発が望まれていた。
特公昭61−28004 特開平4−333533
本発明は上記事情に鑑み、硫化亜鉛精鉱から亜鉛と鉛を効率的に得る亜鉛と鉛の同時製錬方法、および、この方法に適した亜鉛鉛同時製錬設備を提供することを目的とする。
第1発明の亜鉛と鉛の同時製錬方法は、亜鉛と鉛とを同時製錬する方法であって、亜鉛硫化物と鉛とを含有する原料を熔解して、酸化亜鉛を含有するスラグ、硫化鉛を含有するマット、鉛メタルの3層からなる熔融物を形成し、該熔融物のスラグを、マット、鉛メタルと分離して銅メタルの存在下でスラグフューミングすることを特徴とする。
第2発明の亜鉛と鉛の同時製錬方法は、第1発明において、前記熔融物に、亜鉛硫化物を含有する供給原料を供給して熔解することを特徴とする。
第3発明の亜鉛と鉛の同時製錬方法は、第1または第2発明において、前記熔融炉内の酸素ポテンシャルPを、−10.5<logP<−7(atm)の範囲に維持することを特徴とする。
第4発明の亜鉛と鉛の同時製錬方法は、第1、第2または第3発明において、前記熔融炉内で形成されるスラグが、ZnO―FeO−CaO−SiO系を基本とするスラグであり、前記原料が、石灰系フラックスを含んでいることを特徴とする。
第5発明の亜鉛鉛同時製錬設備は、第1、第2、第3または第4発明の製錬方法を用いた亜鉛と鉛の同時製錬に使用される製錬設備であって、亜鉛硫化物を含有する原料を熔解する熔融炉と、該熔融炉と連通され、該熔融炉から排出されるスラグをフューミングしうるフューミング炉と、前記熔融炉と連通され、該熔融炉から排出されるマットを酸化する酸化炉とを備えていることを特徴とする。
第6発明の亜鉛鉛同時製錬設備は、第5発明において、前記酸化炉において生成された鉛メタルを、該酸化炉から前記熔融炉に戻す樋とを備えていることを特徴とする。
第1発明によれば、原料を熔融して熔融物を形成しているだけであるので、原料が粉末状態の精鉱を含んでいても使用することができる。すると、原料を焼結する必要がなくなるので、製錬を行う設備に精鉱を焼結する設備が不要となり、設備の面積当りの生産性を高くすることができる。また、原料中の亜鉛硫化物と鉛との反応により亜鉛が酸化されるが、この反応により発生する全ての熱量を熔融物に供給することができる。すると、焼結工程において亜鉛を酸化する場合に比べて、熱エネルギーの利用効率を高くすることができる。さらに、酸化亜鉛を含むスラグを、マット、鉛メタルと分離してからスラグフューミングするので、還元度の高い条件で亜鉛を還元でき、亜鉛の回収率を高くできる。そして、スラグフューミングを銅存在下で行うので、回収された亜鉛の純度も高くすることができる。
第2発明によれば、原料を熔融物中に投入すれば順次スラグが生成されるので、スラグを熔融物から分離しても、スラグ、マット、鉛メタルの3層を有する熔融物を維持しておくことができる。すると、連続してスラグを分離することができるので、分離したスラグから連続して亜鉛を回収することができる。
第3発明によれば、亜鉛の酸化を促進することができ、しかも、鉛が含まれないスラグを確実に形成することができる。
第4発明によれば、亜鉛および鉄をスラグに固定することができ、炉内の温度を低く抑えることができる。
第5発明によれば、焼結を行う設備が無いので、設備をコンパクト化でき、設備の面積当りの生産性を高くすることができる。また、酸化された亜鉛を含むスラグを熔融炉外のフューミング炉において還元して回収するので、還元度の高い条件で亜鉛を還元でき、亜鉛の回収率を高くできる。
第6発明によれば、原料中の亜鉛硫化物との化学反応によりマット化された鉛メタルを酸化炉で鉛メタルに戻し、この鉛メタルを亜鉛硫化物との反応に使用できるので、原料に含まれる鉛の量が少なくても、製錬作業を継続させることができる。
本発明の亜鉛と鉛の同時製錬方法(バッチ処理)の概略フローチャートである。 本発明の亜鉛と鉛の同時製錬方法(連続処理)の概略フローチャートである。 本実施形態の亜鉛鉛同時製錬設備1の概略説明図である。 実施例に用いた試験装置の概略説明図である。 実施例の結果を示した表である。 鉛-亜鉛の酸素-硫黄ポテンシャルの概念図であり、(A)は比較低温時の概念図であり、(B)は高温時の概念図である。
本発明は、亜鉛と鉛を同時に製錬する方法であって、通常亜鉛の精錬に使用されるISP法に比べて、熱エネルギーの利用効率が高く、また、亜鉛の回収率を高くできるようにしたことに特徴を有している。
まず、本発明の基本概念を説明する。
図1に示すように、本発明の亜鉛と鉛の同時製錬方法は、亜鉛硫化物を含有する原料を熔融してスラグ、マット、鉛メタル(Pbメタル)の3層を有する熔融物を形成する過程において亜鉛を酸化してスラグ化し、このスラグ化した酸化亜鉛をフューミングすることによって亜鉛(Zn)を回収する方法である。
また、本発明の亜鉛と鉛の同時製錬方法では、亜鉛硫化物を含有する原料から熔融物を形成する過程において、亜鉛が酸化されるときに、原料中の鉛が硫化されてマット化されるので、このマット化された硫化鉛を酸化することによって鉛メタルを回収することができる。
(熔融物の形成方法)
まず、本発明の亜鉛と鉛の同時製錬方法(以下、単に本発明の同時製錬方法という)では、亜鉛硫化物および鉛を含む原料から熔融物を形成する熔融炉等の設備(以下、単に熔融炉という)内において、スラグ、マット、鉛メタル(Pbメタル)の3層を有する熔融物を形成する。
具体的には、原料と燃料(コークス等)を熔融炉内に投入し反応性気体を供給しながら燃料を燃焼させると、その熱量によって原料が熔融する。すると、熔融した原料に含まれる物質同士や物質と反応性気体が反応するので、スラグ、マット、鉛メタル(Pbメタル)の3層を有する熔融物が形成されるのである。熔融した原料に含まれる物質同士や物質と反応性気体との反応には、亜鉛の酸化反応(硫化亜鉛(ZnS)→ 酸化亜鉛ZnO)や鉛の硫化反応(鉛(Pb)→ 硫化鉛(PbS))、硫化鉄の酸化反応(硫化鉄(FeS)→ 酸化鉄(Fe3O4))等の反応が含まれる。
なお、使用する反応性気体は、原料中の硫化鉄や硫化亜鉛をFe3O4とZnOとに酸化するために必要な酸素と、燃料の燃焼に必要な酸素とを含んでいればよく、工業用窒素、工業用酸素、酸素富化空気、空気からなる群より選ばれた一種あるいはそれらの混合ガスを用いることができる。
(熔融物の原料)
熔融物の原料は、少なくとも亜鉛硫化物と鉛とを含んでおり、上記熔融物を形成することができるものであればよく、特に限定されない。例えば、亜鉛精鉱等の亜鉛硫化物を含む亜鉛含有原料と、市販の鉛メタルや鉛を含有するスクラップ等の鉛を含む鉛含有原料と、フラックスとを原料として使用することができる。
なお、亜鉛精鉱のように亜鉛硫化物とともに鉛を含有する亜鉛含有原料を使用する場合において、亜鉛含有原料中に含まれている鉛だけで鉛メタルの層を形成する上で必要な量の鉛を得ることができるのであれば、原料は鉛含有原料を含んでいなくてもよい。
また、原料には、通常、熔融物の流動性を高めるために、フラックスが混合される。フラックスは、石灰系酸化物や硅石系酸化物などを使用することができるが、後述する性質を有する熔融物を形成できるものであれば、とくに限定されない。
(熔融物の性質)
熔融物における各層は、以下の性質を有するように調整される。
スラグは、亜鉛の酸化反応と鉛の硫化反応とが同時に起こる温度において十分な流動性を有する組成であって、その組成に亜鉛の酸化反応によって生成される酸化亜鉛を含むように調整される。
とくに、スラグは、その組成として、ZnO- Fe3O4-CaO-SiO2系を基本とし、かつ、Fe/ CaO=0.2〜1、SiO2<15%であることが望ましい。なぜなら、かかる組成であれば、後述するスラグ温度における鉄の安定組成が、FeOに比してスラグ熔融温度を高くするFe3O4であり、硅砂主体のスラグに比して石灰主体のスラグの方が流動性の高いスラグ組成を保つことができると同時に、次工程でのZnOの還元揮発を容易にするためにZnOの活量を高く保てるからである。なお、スラグの組成を、ZnO- Fe3O4-CaO-SiO2系を基本とし、かつ、Fe/ CaO=0.2〜1、SiO2<15%とする場合には、フラックスとして石灰系酸化物を用いることが好ましい。
マットは、亜鉛の酸化反応と鉛の硫化反応とが同時に起こる温度において十分な流動性を有し、かつ、鉛の硫化反応によって生成される硫化鉛を含むように調整される。
鉛メタルは、熔融した鉛に少量の不純物が混合したものである。
(熔融雰囲気)
上述した原料を熔融する熔融炉内の雰囲気は、熔融物の各層が上記のごとき性質となる条件であればとくに限定されない。
例えば、熔融炉内において、スラグ温度が1000℃以上1300℃以下、酸素ポテンシャルが−10.5<logP<−7(atm)となるように調整することにより、上記性質を有する熔融物を形成することができる。
スラグ温度を1000℃以上とするのは、スラグの流動性を確保するためばかりでなく、熔融炉内での亜鉛硫化物や鉛メタルの反応性の悪化を防止し、熔融炉内に未熔解物が多量に生成することを防止するためである。
また、スラグ温度を1300℃以下とするのは、まずそれ以上の温度ではエネルギーコストが高くなることがある。さらに、酸化亜鉛を安定に生成させる際に、鉛メタルと硫化鉛が共存できなくなり、プロセスの成立性が維持できなくなるからである。
スラグ温度が1300℃よりも高い場合に、プロセスの成立性が維持できなくなる理由については、以下に鉛-亜鉛の酸素-硫黄ポテンシャルの概念図(図6)を用いて説明する。
なお、図6中の点線はPSO2が一定(たとえばlogPSO2=0.1)の線を示している。
硫化物の酸化を行う際は、一般的に、PSO2が一定の値をとりながら変化する。すなわち図6中の点線上を左から右に変化する。
ここで、図6(A)は、例えば、1100℃のような比較的低温の温度での状態を示すが、かかる状態では、硫化鉛と硫化亜鉛が安定な領域から、硫化鉛と酸化亜鉛が安定な領域を通って、その後、鉛メタルと酸化亜鉛が安定な領域へと達する。
一方で、図6(B)に示すように、1300℃以上の高温である場合には、硫化鉛と硫化亜鉛が安定な領域から、鉛メタルと硫化亜鉛が安定な領域を通って、その後、鉛メタルと酸化亜鉛が安定な領域へと達し、硫化鉛と酸化亜鉛が安定な領域を通らなくなる。すなわち、硫化鉛と酸化亜鉛は共存できず、鉛による硫黄の固定ができずに硫黄の酸化揮発が生じてしまうことになる。そして、硫黄の酸化揮発が発生すると、溶融炉で発生する多量の酸性排ガス処理が必要となり、著しいコスト高となる。
したがって、プロセスの成立性を維持するには、スラグ温度を1300℃以下とする必要がある。そして、硫黄の酸化揮発も抑えることができるので、溶融炉で発生する酸性排ガス処理に要するコストも抑えることができる。
酸素ポテンシャルを−10.5(atm)以上とするのは、それより低い酸素ポテンシャルでは亜鉛の酸化が十分に進まないためである。
また、酸素ポテンシャルを−7(atm)以下とするのは、鉛の硫化物の一部が酸化してスラグ化することを防ぐためである。
(亜鉛の回収)
本発明では、亜鉛は、熔融物のスラグをフューミングすることによって亜鉛メタルを気体として回収している。
スラグをフューミングする方法は、公知の方法を採用することができる。例えば、吹錬方法を採用した場合には、熔融物のスラグに、重油、微粉炭、コークス等の還元剤と酸素含有ガスを吹き込みながら攪拌してスラグ内を還元雰囲気とするとともに、スラグの温度が1075℃以上1500℃以下となるように調整する。すると、スラグ中の亜鉛が金属状態に還元されるとともに、還元された亜鉛メタルが揮発するので、蒸気の状態の亜鉛メタルをダストとして回収することができる。
そして、本発明では、スラグのフューミングを銅メタルの存在下で行うことでもよい。つまり、スラグ中に銅メタルを混合して、銅メタルが熔融しているスラグをフューミングしている。この場合、スラグ中に含まれていたヒ素などの不純物が亜鉛メタルとともに揮発することを抑制することができるので、回収された亜鉛の純度を高くすることができる。
なお、フューミングする際には、スラグは熔融物のマットおよび鉛メタルから分離されるが、スラグを分離する方法はとくに限定されない。例えば、熔融炉からスラグだけを外部に流出させて分離してもよいし、熔融炉からマットとメタルを抜き取り熔融炉内にスラグだけを残して分離してもよい。
(鉛の回収)
本発明では、鉛は、マットに含まれる硫化鉛を酸化することによって鉛メタルの熔融物として回収している。マットに含まれる硫化鉛を酸化(メタル化)する方法はとくに限定されず、公知の方法を採用することができる。例えば、通常の硫化物のメタル化と同様に、単純酸化による処理で鉛メタルを回収することが可能である。
なお、硫化鉛を酸化する際には、マットは熔融物のスラグおよび鉛メタルから分離されるが、マットを分離する方法はとくに限定されない。例えば、熔融炉からマットだけを外部に流出させて分離してもよいし、熔融炉からスラグとメタルを抜き取り熔融炉内にマットだけを残して分離してもよい。
(亜鉛と鉛の同時精錬の手順説明)
つぎに、図1に基づいて、亜鉛と鉛の同時精錬の手順を簡単に説明する。
図1(I)に示すように、亜鉛硫化物を含む原料と燃料を混合して熔融炉に投入する。そして、この熔融炉に反応性気体を供給する。すると、燃料が燃焼しその熱量によって原料が熔融する。
そして、熔融した原料の温度が上昇すると、原料中の物質が反応を開始する。つまり、原料に含まれる物質である亜鉛硫化物中の亜鉛が酸化亜鉛となり、硫化鉄が酸化鉄(Fe3O4)となる酸化反応が生じる。同時に、鉛メタルが亜鉛硫化物や硫化鉄から分離した硫黄と結合して硫化鉛となる化学反応が生じる。すると、熔融炉内には、最下層に鉛メタル、最上層にスラグ、そして両層の間にマットの各層を有する熔融物が形成される。
そして、熔融物が形成される過程および熔融物の形成された後、熔融炉に供給する反応性気体および熔融炉の温度を調整すれば、各層を、上述したような所定の性質を有するように調整することができる。
ついで、図1(II)に示すように、熔融物の各層が所定の性質に調整されると、スラグをマット、鉛メタルから分離し(例えば、熔融炉外に排出し)、フューミング炉等のフューミングを行う設備(以下、単にフューミング炉という)に供給する。そして、フューミング炉内において、スラグをフューミングすれば、スラグ中の亜鉛が金属状態に還元されるとともに、還元された亜鉛メタルが揮発するので、蒸気の状態の亜鉛メタルをダストとして回収することができる。
一方、マットが所定の性質に調整されると、マットをスラグ、鉛メタルから分離し(例えば、熔融炉外に排出し)、酸化炉等の酸化を行う設備(以下、単に酸化炉という)に供給する。そして、酸化炉内において、マットを単純酸化すれば、マット中の硫化鉛が酸化されるので、鉛を鉛メタルの熔融物として回収することができる。
以上のごとく、本発明の亜鉛と鉛の同時精錬方法によれば、原料を熔融して所定の性質の熔融物を形成しているだけであるので、粉末状態の原料を含んでいても使用することができる。例えば、選鉱後の粉末状態の精鉱であってもそのまま使用することができる。すると、原料を焼結する必要がなくなるので、製錬を行う設備に精鉱を焼結する設備が不要となる。そして、製錬設備の設置面積を狭くできるから、設備の面積当りの生産性を高くすることができる。
また、原料中の亜鉛硫化物と鉛とが反応して亜鉛が酸化されるときに発熱するが、この反応により発生する全ての熱量を熔融物に供給することができる。つまり、燃料の燃焼により発生する熱量だけでなく、反応により発生する熱量も利用して熔融物の熔融温度を維持できるので、焼結工程において亜鉛を酸化する場合に比べて、熱エネルギーの利用効率を高くすることができる。
しかも、酸化された亜鉛の還元および回収を、銅の存在下においてスラグフューミングすることによって行えば、回収された亜鉛の純度も高くすることができる。
(亜鉛と鉛の同時連続精錬)
上述した実施形態では、バッチ処理によって上記熔融物を形成し、亜鉛、鉛をバッチ処理で回収するものであるが、生産性を向上させるためには、熔融物を連続生成して、スラグからの亜鉛の回収およびマットからの鉛メタルの回収を連続して行うことが好ましい。つまり、スラグフューミングやマットの酸化処理を行いながら、同時に熔融物を形成していくことが好ましい。
かかる連続処理は、熔融炉内に上述したような熔融物を形成したのち、熔融炉内に新たな原料(以下、供給原料という)を連続して供給しながら、熔融物の各層が所定の性質となるように調整するとともに、形成されたスラグやマットを熔融炉に排出してスラグフューミングやマットの酸化処理を行うことによって実現できる。
この連続処理の供給原料には、前記バッチ処理において熔融物を形成するために使用した原料と実質的に同じ原料を使用することができる。つまり、供給原料として、亜鉛精鉱等の亜鉛硫化物を含む亜鉛含有原料と、市販の鉛メタルや鉛を含有するスクラップ等の鉛を含む鉛含有原料と、フラックスとを含む原料を使用することができる。
(連続処理の手順説明)
つぎに、図2に基づいて連続処理の手順を説明する。
図2に示すように、連続処理では、熔融炉内に形成されている熔融物のスラグおよびマットを熔融炉外に排出しつつ、熔融炉内の熔融物に対して、供給原料とともに、燃料および反応性気体が供給される。
図2(III)に示すように、熔融炉外に排出されたスラグは、バッチ処理の場合と同様に、フューミング炉に供給されてフューミングされ、蒸気の状態の亜鉛メタルがダストとして回収される。また、熔融炉外に排出されたマットも、バッチ処理の場合と同様に、酸化炉内に供給されて単純酸化され、鉛が鉛メタルの熔融物として回収される。
一方、 図2(II)に示すように、熔融炉内では、供給原料が熔融物から供給される熱量および燃料の燃焼により発生する熱量によって熔融し、供給原料中の亜鉛が酸化されてスラグ化され、供給原料に含まれる鉛または熔融物の鉛メタルが硫化されてマット化される。つまり、スラグおよびマットが熔融炉外に排出されても、供給原料が熔融することによって、熔融炉内には、新たなスラグおよびマットが生成されるのである。
つまり、熔融炉内から熔融物のスラグおよびマットを外部に排出しても、熔融炉内では、熔融物中にスラグ、マット、鉛メタルの3層が存在する状況を維持することができるのである。
以上のごとく連続処理を行えば、連続して亜鉛および鉛を回収できるので、生産効率を高くすることができる。しかも、スラグのフューミングを熔融炉外に取り出してフューミング炉内でスラグフューミングするので、還元度の高い条件で亜鉛を還元でき、従来の方法に比べて亜鉛の回収率を高くできる。つまり、本発明の方法では、生産効率を高く維持しつつ亜鉛の回収率を高くできるのである。
なぜなら、本発明の方法では、熔融炉外のフューミング炉において亜鉛を還元するが、フューミング炉は温度と還元雰囲気を制御しやすいので、鉄をメタル化させること無く亜鉛を還元揮発させる条件を、操業にて比較的容易に達成できる。つまり、還元度の高い条件で亜鉛を還元してもプロセスを長期間連続して稼動できるからである。
なお、連続処理を行う場合において、熔融炉内や熔融物の雰囲気(熔融雰囲気)や、スラグ、マット、鉛メタルの性質(熔融物の性質)は、バッチ処理を行う場合と同等の状態となるように調整される。
また、連続処理を行う場合において、亜鉛精鉱のように亜鉛硫化物とともに鉛を含有する亜鉛含有原料を使用する場合において、亜鉛含有原料中に含まれている鉛だけで鉛メタルの層を形成する上で必要な量の鉛を得ることができるのであれば、鉛含有原料は添加しなくてもよい。
一方、亜鉛含有原料中に含まれている鉛だけで鉛メタルの層を形成する上で必要な量の鉛を得ることができない場合でも、酸化炉において生成された鉛メタルを熔融炉内に戻せば、熔融物中の鉛メタルが減少を防ぐことができる。よって、酸化炉において生成された鉛メタルを熔融炉内に戻すようにした場合も、原料に鉛含有原料を添加しなくてもよい。
連続処理を行う場合には、フューミング炉においてフューミングされたスラグを再び熔融炉内に戻してもよく、この場合には、熔融炉内や熔融物の温度変化がなくエネルギー効率が向上するという利点がある。
(亜鉛鉛同時製錬設備)
上述したような亜鉛と鉛の同時製錬方法を実施する設備はとくに限定されないが、例えば、以下に説明するような設備によって亜鉛と鉛の同時連続製錬を行うことができる。
図3において、符号1は本実施形態の亜鉛鉛同時製錬設備である。同図に示すように、本実施形態の亜鉛鉛同時製錬設備1は、熔融炉10と、フューミング炉20と、酸化炉30とから構成されている。
(熔融炉10の説明)
熔融炉10は、原料を熔融して形成される熔融物Mが収容される設備である。この熔融炉10には、亜鉛硫化物を含む原料と反応性空気、および燃料が投入するためのランス11が設けられている。このランス11は、その先端が熔融炉10内の熔融物Mの直上もしくはスラグMSの層に浸漬された状態となるように配設されている。
この熔融炉10には、熔融物MのスラグMSを外部に排出する樋等の排出通路12が設けられている。この排出通路12は、熔融炉10内に開口された端部(基端)が、熔融物MのマットMMの層が形成される位置よりも上方であってスラグMSの層が形成される位置に配設されている。そして、排出通路12は、その基端から先端に向かって下傾するように設けられている。つまり、排出通路12は、熔融炉10内からスラグMSのみが流入し、このスラグMSが基端から先端に向かって流れるように設けられているのである。
また、この熔融炉10には、熔融物MのマットMMを外部に排出する樋等の排出通路13が設けられている。この排出通路13は、熔融炉10内に開口された端部(基端)が、熔融物MのスラグMSの層よりも下方であって熔融物MのマットMMの層が形成される位置に配設されている。そして、排出通路13は、その基端から先端に向かって下傾するように設けられている。つまり、排出通路13は、熔融炉10内からマットMMが流入し、このマットMMが基端から先端に向かって流れるように設けられているのである。なお、排出通路13は、その内部にマットMMだけが流入するように配置されていることが好ましいが、スラグMSが流入しなければよく、マットMMとともに鉛メタルPbが流入してもよい。
そして、熔融炉10には、温度測定用熱電対や酸素濃度計、炉底冷却ファンなどが設けられており、熔融物Mの各層が所定の性質になるように、原料、反応性空気、燃料の投入量や温度等を調整している。
(フューミング炉20の説明)
図3に示すように、前記排出通路12の先端は、熔融炉10と別に設けられたフューミング炉20に連通されている。このフューミング炉20は、吹錬方法を採用してスラグMSをフューミングする設備である。
このフューミング炉20には、重油、微粉炭、コークス等の還元剤と酸素含有ガスを吹き込むためのランス21が設けられている。このランス21は、その先端がフューミング炉20内のスラグMSに浸漬された状態となるように配設されている。
なお、図3ではランス21が一本の場合を示しているが、ランス21を複数本設けて、各ランス11からそれぞれ還元剤、酸素含有ガスを吹き込むようにしてもよい。
また、ランスの代わりに羽口から還元剤、酸素含有ガスを吹き込む方式にしてもよい。
また、フューミング炉20には、温度測定用熱電対や酸素分圧測定口、スラグMSを攪拌するガス吹込みランス等の攪拌手段が設けられており、スラグMS内が還元雰囲気かつスラグMSの温度が1075℃以上1500℃以下となるように、攪拌手段の作動や、スラグMS中に吹き込むの還元剤と酸素含有ガスの投入量、ガス流速等を調整している。
(酸化炉30の説明)
図3に示すように、前記排出通路13の先端は、熔融炉10と別に設けられた酸化炉30に連通されている。この酸化炉30は、マットMMを酸化して鉛メタルを生成する設備である。
この酸化炉30には、酸素含有ガスを吹き込むためのランス31が設けられている。このランス31は、その先端が酸化炉30内のマットMMに浸漬された状態となるように配設されている。
また、酸化炉30には、炉温度測定用熱電対や廃ガス温度測定用熱電対が設けられており、酸化炉30中に吹き込むの酸素含有ガスの投入量やガス流速等を調整している。
本実施形態の亜鉛鉛同時製錬設備1は、上記のごとき構造を有するので、溶鉱炉10のランス11から原料を投入して熔融物Mを形成しつつ、熔融炉10内のスラグMSをフューミング炉20に排出して亜鉛を回収することができ、熔融炉10内のマットMMを酸化炉30に排出して鉛を回収することができる。そして、熔融炉10外のフューミング炉20においてスラグMSをフューミングして亜鉛を還元するので、還元度の高い条件で亜鉛を還元でき、亜鉛の回収率を高くできる。
また、供給原料は、ランス11を通して溶鉱炉10の熔融物M内に供給できればよいので、粉体状の精鉱であってもそのまま使用することができる。すると、粉体状の精鉱を焼結して塊にするための設備が不要となるので、設備をコンパクト化でき、設備の面積当りの生産性を高くすることができる。
なお、本実施形態の亜鉛鉛同時製錬設備1において、酸化炉30で生成された鉛メタルPbはそのまま回収しても良いが、この鉛メタルPbの一部を、酸化炉30から熔融炉10に戻すようにしてもよい。すると、戻した鉛メタルを原料に含まれる亜鉛硫化物との反応に使用できるので、原料中の鉛の量が少ない場合や原料に鉛が含まれない場合でも、鉛メタルを添加する必要がないので、製錬作業を効率化することができる。
鉛メタルPbを酸化炉30から熔融炉10に戻す方法はとくに限定されないが、例えば、樋を使った自然流出やレードルによる運搬等の方法を採用することができる。
また、上記亜鉛鉛同時製錬設備1では、スラグMSおよびマットMMは、自重によって熔融炉10からフューミング炉20や酸化炉30に移動する構造となっている。しかし、スラグMSおよびマットMMを移動させる方法、つまり、スラグMSおよびマットMMを他の層から分離して熔融炉10外に排出する方法はとくに限定されない。例えば、レードルに受けて運搬するなどとしてもよい。
(実施例)
本発明の方法による亜鉛鉛同時精錬の有効性を確認した。
なお、本発明の方法は、以下に示す実施例によって何ら限定されるものではない。
まず、本実施例において採用した(A)精鉱中亜鉛の硫黄置換吹錬方法、(B)含亜鉛スラグのフューミング方法、(C)硫化鉛のメタル化方法について説明する。
(A)精鉱中亜鉛の硫黄置換吹錬方法
本実施例では、図4のように構成された装置(以下、本実施例装置という)を用いて原料精鉱の硫黄置換吹錬方法を実施した。原料精鉱の硫黄置換吹錬は、上記実施形態における熔融物を生成する工程(図1の(I))に相当する。
本実施例装置は、外熱式の電気炉109と、この電気炉109内に配置されたるセラミック外るつぼ105(るつぼ保持用レンガ108上に設置)を備えており、セラミック外るつぼ105が電気炉109によって加熱されるようになっている。
なお、電気炉109内の温度と雰囲気は、温度制御用熱電対106と雰囲気担保用の窒素吹き込み管101によって制御される。
本実施例では、本実施例装置により、精鉱中亜鉛の硫黄置換吹錬方法を以下の手順で実施した。
まず、反応に用いるアルミナるつぼ107に原料調合物を装入し、セラミック外るつぼ105内にアルミナるつぼ107を入れる。すると、原料調合物は所定温度に加熱されるので熔融し、アルミナるつぼ107内に熔融状態となった融体が形成される。
つぎに、熔融状態となった融体に、定量切り出し装置110により切り出される一定量の含亜鉛精鉱を、ダスト回収用セラミック管102を通じてアルミナるつぼ107内に装入しながら、ガス吹き込み管103により空気、窒素あるいはそれらの混合ガスを吹き込み、硫黄置換吹錬を行う。このとき、測温用熱電対104で反応温度(スラグ温度)を測定して、融体が所定の反応温度を維持するように、電気炉109内の温度と雰囲気、および、混合ガスの吹き込み量を調製する。この時、融体中の酸素ポテンシャル調整を目的として、炭剤を亜鉛精鉱に混合して切り出すこともある。
そして、吹錬処理終了後、るつぼを冷却し、るつぼ内に存在するスラグ、硫化鉛、鉛メタルをそれぞれ回収する。
なお、吹錬中に発生するダストの一部は、ダスト回収用セラミック管102を通じて回収する。
(B)含亜鉛スラグのフューミング方法
本実施例では、上述した本実施例装置を用いて含亜鉛スラグのフューミング方法を実施した。
まず、反応に用いるアルミナるつぼ107に、前述の(A)精鉱中亜鉛の硫黄置換吹錬方法によって得られたスラグを装入し、セラミック外るつぼ105内にアルミナるつぼ107を入れる。すると、スラグは所定温度に加熱されるので熔融し、アルミナるつぼ107内に熔融状態となったスラグが形成される。
つぎに、熔融状態となったスラグにガス吹き込み管103により、窒素ガスを吹き込みながら、定量切り出し装置110により切り出される一定量の炭剤を供給し、スラグのフューミングを行う。このとき、測温用熱電対104で反応温度(スラグ温度)を測定して、スラグが所定の反応温度を維持するように、電気炉109内の温度と雰囲気、および、混合ガスを吹き込み量を調整する。
そして、発生するダストの一部を、ダスト回収用セラミック管102を通じて回収する。
(C)硫化鉛のメタル化方法
本実施例では、上述した本実施例装置を用いて硫化鉛のメタル化方法を実施した。
まず、反応に用いるアルミナるつぼ107に前述の(A)精鉱中亜鉛の硫黄置換吹錬方法で得られた硫化鉛(マット)を装入し、セラミック外るつぼ105内にアルミナるつぼ107を入れる。すると、硫化鉛は所定温度に加熱されるので熔融し、アルミナるつぼ107内に熔融状態となった硫化鉛が形成される。
つぎに、熔融状態となった硫化鉛にガス吹き込み管103により空気あるいは空気と酸素の混合ガスを吹き込み、酸化吹錬を行う。このとき、測温用熱電対104で硫化鉛反応温度を測定して、マットが所定の反応温度(マット温度)を維持するように、電気炉109内の温度と雰囲気、および、混合ガスの吹き込み量を調整する。
そして、吹錬処理終了後、るつぼを冷却し、るつぼ内に存在する鉛メタルを回収する。
なお、本実施例では、(A)精鉱中亜鉛の硫黄置換吹錬方法において使用する原料調合物として、複数の亜鉛鉱石を混合して得た原料精鉱を用いている。使用した原料精鉱の化学組成は、図5の表1に示すとおりである。
また、採取した金属の分析にはICP発光分析法を用いている。
(実施例1)
実施例1では、上記原料精鉱を上記(A)の方法を用いて(1)硫黄置換処理を行って含亜鉛スラグおよび鉛硫化物を得た。そして、含亜鉛スラグの(2)含亜鉛スラグのフューミング処理を上記(B)の方法を用いて行った。さらに、含鉛硫化物の(3)鉛金属回収処理を上記(C)の方法を用いて行った。
(1)精鉱中亜鉛の硫黄置換吹錬処理
アルミナるつぼ107内に、上記原料スラグ1000g、金属鉛(品位99.9重量%)800gを入れた。つぎに、上記(A)の方法にしたがって、窒素雰囲気下において1150℃に加熱し、原料精鉱の熔融を確認して30分同じ温度に保持した後、図5の表1に示す組成の混合亜鉛精鉱を毎分10g切り出し、酸素と窒素の混合ガスと共に浴内を40分吹き込んだ。
吹き込み終了後窒素雰囲気下で60分保持した後、冷却した。冷却後、スラグ、硫化鉛、金属鉛をサンプリングし、化学組成を分析した。また、揮発したダストを回収し化学組成を分析した。
結果を表2に示す。得られた重量は、スラグ1240g、硫化鉛750g、金属鉛120g、ダスト30gであった。
図5の表2より、亜鉛が酸化物となってスラグに固定され、同時に鉛が硫化物となったことが分る。
吹錬処理途中でジルコニア式の酸素濃度測定プローブを用いて、スラグの酸素ポテンシャルを測定したところ−8.2(atm)であった。
(2)含亜鉛スラグのフューミング処理
アルミナるつぼ107内に、上記(1)の操作で得たスラグ1000g、金属銅200g、金属銅(銅品位99.99重量%)を入れた。
つぎに、上記(B)の方法にしたがって、窒素雰囲気下において1350℃に加熱し、熔融後30分保持した後、炉内への混入酸素による酸化分を考慮したコークス(全炭素87.5重量%)を毎分0.5gづつ切り出してアルミナるつぼ107内に投入しながら、窒素ガスで浴内を100分撹拌して、フューミングを行った。撹拌終了後60分保持した後冷却し、スラグと銅合金をサンプリングした。
スラグと銅合金の間にマット相の生成が認められたが、ごく微量で、分離回収できる量ではなかった。また揮発したダストを回収した。
それぞれを化学組成を分析した結果を図5の表3に示す。なお、ダスト、スラグおよび銅合金の生成量は、おのおの90g、850g、および190gであった。
図5の表3より、銅共存下スラグフューミング処理で亜鉛を効率的に回収できることが分かる。
(3)鉛金属回収処理
アルミナるつぼ107内に、上記(1)の操作で得た硫化鉛500gを入れた。
つぎに、上記(C)の方法にしたがって、窒素雰囲気下において1150℃に加熱し、熔融後30分保持した後、毎分500mlで酸素ガスを浴内に100分撹拌して、酸化処理を行った。撹拌終了後60分保持した後冷却し、鉛メタルをサンプリングした。硫化物相は認められなかった。鉛メタルの化学分析結果を図5の表4に示す。鉛メタルの生成量は390gであった。
図5の表4より、酸化処理で鉛硫化物をメタル化できることが分かる。
(比較例1)
上記実施例1との比較例として、(1)精鉱中亜鉛の硫黄置換吹錬処理において、保持温度を1350℃として、アルミナるつぼ107内に融体を生成した。
この比較例1では、保持温度を1350℃であること以外は実施例1と同様に処理を行ったが、鉛硫化物相は得られなかった。つまり、鉛メタルと硫化鉛とが共存できなくなっていることが確認できる。
(比較例2)
上記実施例1との比較例として、(1)精鉱中亜鉛の硫黄置換吹錬処理において、亜鉛精鉱に50gのコークスを混合して、アルミナるつぼ107内に融体を生成した。なお、このときの酸素ポテンシャルは−11.3(atm)であった。
この比較例2では、亜鉛精鉱に50gのコークスを混合したこと以外は実施例1と同様に処理を行ったが、得られた鉛硫化物相は微量であった。つまり、亜鉛を十分に酸化できなかったと推測される。
本発明の亜鉛と鉛の同時製錬方法は、連続製錬する亜鉛鉛同時製錬設備における精錬方法に適している。
1 亜鉛鉛同時精錬設備
10 熔融炉
20 フューミング炉
30 酸化炉
101 窒素吹き込み管
102 ダスト回収用セラミック管
103 ガス吹き込み管
104 測温用熱電対
105 セラミック外るつぼ
106 温度制御用熱電対
107 アルミナるつぼ
108 るつぼ保持用レンガ
109 電気炉
110 定量切り出し装置
M 熔融物
MS スラグ
MM マット

Claims (6)

  1. 亜鉛と鉛とを同時製錬する方法であって、
    亜鉛硫化物と鉛とを含有する原料を熔解して、酸化亜鉛を含有するスラグ、硫化鉛を含有するマット、鉛メタルの3層からなる熔融物を形成し、
    該熔融物のスラグを、マット、鉛メタルと分離して銅メタルの存在下でスラグフューミングする
    ことを特徴とする亜鉛と鉛の同時製錬方法。
  2. 前記熔融物に、亜鉛硫化物を含有する原料を連続して供給して熔解する
    ことを特徴とする請求項1記載の亜鉛と鉛の同時製錬方法。
  3. 前記熔融炉内の酸素ポテンシャルPを、−10.5<logP<−7(atm)の範囲に維持する
    ことを特徴とする請求項1または2記載の亜鉛と鉛の同時製錬方法。
  4. 前記熔融炉内で形成されるスラグが、ZnO―FeO−CaO−SiO系を基本とするスラグであり、
    前記原料が、石灰系フラックスを含んでいる
    ことを特徴とする請求項1、2または3記載の亜鉛と鉛の同時製錬方法。
  5. 請求項1,2,3または4記載の製錬方法を用いた亜鉛と鉛の同時製錬に使用される製錬設備であって、
    亜鉛硫化物を含有する原料を熔解する熔融炉と、
    該熔融炉と連通され、該熔融炉から排出されるスラグをフューミングしうるフューミング炉と、
    前記熔融炉と連通され、該熔融炉から排出されるマットを酸化する酸化炉とを備えている
    ことを特徴とする亜鉛鉛同時製錬設備。
  6. 前記酸化炉において生成された鉛メタルを、該酸化炉から前記熔融炉に戻す戻し通路とを備えている
    ことを特徴とする請求項5記載の亜鉛鉛同時製錬設備。
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