JP2009040907A - 共重合ポリエステルの製造方法 - Google Patents

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康樹 日高
Yuji Taneda
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Abstract

【課題】
本発明は、カチオン染料に染色可能であり、色調に優れ、異物が少なく、かつ、繊維にした時に色調が良好で優れた発色性を有する常圧染色可能なカチオン可染性ポリエステル繊維用に適した共重合ポリエステル樹脂およびその製造方法を提供する。
【解決手段】
エチレンテレフタレートオリゴマー、炭素数5〜10の脂肪族ジカルボン酸、及びスルホン酸塩基含有ジカルボン酸からなるポリエステルの製造方法であって、アンチモン化合物を重縮合触媒とし、出発原料を反応缶に投入する際から重縮合工程に移るまで、缶内の撹拌翼回転数を20〜50rpmとし、重縮合中の缶内温度を250〜265℃とすることを特徴とする共重合ポリエステルの製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、カチオン染料に染色可能であり、色調に優れ、異物が少なく繊維にした時に色調が良好なポリエステル繊維を供給することができる共重合ポリエステルの製造方法に関するものである。
ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略記する。)を主体とするポリエステルは、その優れた機械的特性と化学的特性のため、衣料用、産業用等の繊維のほか、磁気テープ用、コンデンサー用等のフィルムあるいはボトル等の成形物用樹脂として広く用いられている。
しかしながら、通常のポリエステルを単に溶融紡糸して得られただけの繊維では、衣料用繊維として用いるには染色性が良好とはいえない。加えて、このような場合の染色は分散染料を用いることが一般的であるため、染色物の鮮明さが劣るという問題がある。
そこで、この問題を解決する方策として、5−ナトリウムスルホイソフタル酸に代表されるスルホン酸塩基を含有した成分を共重合させることにより、塩基性染料(以下、カチオン染料と称する)に可染性のポリエステル繊維が得られることが開示されている(例えば、特許文献1参照)。さらに、前記のスルホン酸塩基含有成分に加えて、アジピン酸等の脂肪族ジカルボン酸成分を共重合させることにより、通常は染液の温度を120〜150℃に維持するため加圧状態で染色を行う必要があったものが、常圧(染液の温度100℃)で染色可能なカチオン染料可染性ポリエステル繊維が得られることが開示されている(例えば、特許文献2、3参照)。
上記のような共重合ポリエステルも含め、PETを主体とするポリエステルの製造における重縮合用触媒としては、一般に、優れた触媒活性を有しかつ安価であることから、三酸化アンチモンに代表されるアンチモン化合物が広く用いられている。また、このような触媒を使用する時には、通常280℃程度の反応温度で重縮合を行う必要がある。
しかしながら、PETを主体とするポリエステル中に脂肪族ジカルボン酸成分を共重合させる場合、当該酸成分が熱分解し易いため、得られた共重合体において物性や品質に課題を残すことが多い。例えば、脂肪族ジカルボン酸成分がポリエステルの全酸成分に対して5モル%以上共重合されている場合では、280℃程度で重縮合を行おうとすると、得られるポリエステルは著しく黄褐色に着色するという問題がある。
このような問題に対し、例えば、ゲルマニウム化合物を重縮合触媒として使用する手法が実用化されているが、この触媒は非常に高価であり、また、重合中に反応系から外へ溜出し易いために反応系の触媒濃度が変化し、重合活性の維持・制御が困難になるといった問題を有している。
他方、重合触媒の種類を変えることに因らないで着色を抑える手段としては、重縮合時の反応温度を下げ、ポリマー中の脂肪族ジカルボン酸成分の熱分解をおさえる手法がある。しかしながら、ただ一律に反応温度を下げるだけの方法では、反応系内で、エチレンテレフタレートオリゴマー(以下、PETオリゴマーと略記する)由来で、かかる共重合ポリエステルより融点の高い白色異物が生じ、重合終了後においてもこれが残存することとなる。この白色異物は、重合したポリエステルをストランド状に払い出してチップ化する際に吐出口を塞いだり、該ポリエステルを紡糸する際に溶融ポリマーをろ過するフィルターの目詰まりを引き起こしたりするなど、種々のトラブルを引きおこす原因となっている。
特公昭34−10497号公報 特開昭51−133529号公報 特開昭55−158325号公報 特開平5−287174号公報
本発明は、上記のような問題を解決し、カチオン染料に染色可能であり、色調に優れ、異物が少なく、繊維にした時に色調が良好なポリエステル繊維を供給することができる共重合ポリエステルの製造方法を提供するものである。
本発明者は上記の課題を解決するために検討をおこなった結果、特定組成の共重合ポリエステルの製造にあたっては、反応槽の撹拌速度と重縮合温度を所定位置に制御することで、白色異物の発生を抑制でき、かつ得られた共重合体からなる布帛においても、良好な染色性を保持していることを見出し、本発明に到達した。すなわち、本発明は以下の構成を要旨とするものである。
(1)エチレンテレフタレートオリゴマー、炭素数5〜10の脂肪族ジカルボン酸、及びスルホン酸塩基含有ジカルボン酸からなるポリエステルの製造方法であって、アンチモン化合物を重縮合触媒とし、出発原料を反応缶に投入する際から重縮合工程に移るまでの缶内の撹拌翼回転数を20〜50rpmとし、重縮合中の缶内温度を250〜265℃とすることを特徴とする共重合ポリエステルの製造方法。
(2)前記共重合ポリエステルが、炭素数5〜10の脂肪族ジカルボン酸が全酸成分に対して0.5〜15モル%、スルホン酸塩基含有ジカルボン酸が全酸成分に対して0.5〜8.0モル%、共重合されたものであることを特徴とする(1)記載の共重合ポリエステルの製造方法。
(3)前記共重合ポリエステルに含有するエチレンテレフタレートオリゴマー由来の白色異物の含有量(n)が、下記式(a)〜(d)を満たしていることを特徴とする(1)又は(2)記載の共重合ポリエステルの製造方法。
(a)L≧1mm、n=0
(b)0.5≦L<1mm、n≦5
(c)0.2≦L<0.5、n≦10
(d)L<0.2、n≦50
ただし、L:白色異物の長軸方向の長さ
n:ポリエステル樹脂1kg中の白色異物の個数
本発明のポリエステル共重合体の製造方法は、安価なアンチモン触媒を使用することができると共に、従来の重合温度より低温で十分な分子量のポリマーを製造することができる。
また、本発明のポリエステル共重合体の製造方法では、PETオリゴマー由来の白色異物の発生が少ないため、ポリマーの払い出しに際して、吐出口の閉塞等がなく操業性よく生産することができる。さらに、紡糸に際してもフィルター詰まりや糸切れがなく、均質な繊維を操業性良く生産することができる。
本発明の製造方法で得られるポリエステル共重合体からなる繊維は、良好な色調を有すると共に、布帛にした際の染色性が良好であり、常圧においても斑のない均質な染色ができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の共重合ポリエステルの製造方法としては、エチレンテレフタレートオリゴマー、炭素数5〜10の脂肪族ジカルボン酸、及びスルホン酸塩基含有ジカルボン酸を原料成分とすることが必要である。
本発明におけるエチレンテレフタレートオリゴマーとしては、テレフタル酸とエチレングリコールとの直接エステル化法によって得られたもの、あるいはテレフタル酸ジメチルとエチレングリコールとのエステル交換法によって得られたもののいずれでもよい。また、その平均重合度としては、直接エステル化反応で工業的に得られる平均重合度7〜10のオリゴマーやそれ以下の重合度のオリゴマーであってもよい。因みに、本発明においては平均重合度が10を超えるオリゴマーであっても使用できるが、オリゴマー製造時のコストの面からは好ましくない。
また、本発明の製造方法において、当該共重合体を構成する繰返し単位が主にエチレンテレフタレート単位であることが好ましく、具体的には、80モル%以上がエチレンテレフタレート単位であることがより好ましい。エチレンテレフタレート単位が80モル%以上であることで、共重合される脂肪族ジカルボン酸成分とスルホン酸塩基含有ジカルボン酸に起因する常圧下での良好な染色性を発現させながらも、ポリエチレンテレフタレートに特有の耐熱性や機械物性等を良好に保持させることができる点で好ましい。
また、本発明の製造方法における脂肪族ジカルボン酸としては、炭素数が5〜10であることが必要である。当該脂肪族ジカルボン酸成分の炭素数が4以下である場合、得られるポリエステル樹脂の熱安定性が低下するため、溶融紡糸して繊維とした際に、色調が著しく悪くなることとなる。また、分子鎖が短いため、ポリエステルの結晶構造に乱れを生じさせる効果が少なく、常圧染色時に良好な染色性を得ることができないものとなる。一方、脂肪族ジカルボン酸成分の炭素数が11以上である場合、ポリエステルのガラス転移温度の低下が大きいため、ペレットがブロッキングして取り扱いが困難になる。また、長い分子鎖の部分は熱安定性が悪いため、得られるポリエステルの色調は黄色味を帯び、溶融紡糸して繊維とした際に糸強度が低下することとなる。
また、本発明における炭素数5〜10の脂肪族ジカルボン酸としては、得られるポリエステルの全酸成分に対して、0.5〜15モル%共重合されていることが好ましい。当該脂肪族ジカルボン酸の共重合量が0.5モル%未満である場合、得られるポリエステルのガラス転移温度が効果的に下がらないため、常圧でのカチオン染料に対する染色性に不十分さが残る傾向となり好ましくない。一方、当該脂肪族ジカルボン酸成分の共重合量が15モル%を超える場合、得られるポリエステルの融点が著しく低下したり、結晶性が低下しすぎたりして、配向しにくくなるため、繊維とした際の糸強度が低下する傾向となり好ましくない。ここで、炭素数5〜10の脂肪族ジカルボン酸成分としては、例えば、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸などが挙げられる。
本発明の製造方法としては、スルホン酸塩基含有ジカルボン酸が共重合されていることが必要であり、好ましくは得られるポリエステルの全酸成分に対して0.5〜8.0モル%、より好ましくは1.0〜5.0モル%共重合されていることが必要である。
当該スルホン酸塩基含有ジカルボン酸は、本発明の主旨であるカチオン染料による染色を可能にするための必須成分である。ここで、当該スルホン酸塩基含有ジカルボン酸の共重合量が0.5モル%未満である場合、ポリマー全体におけるカチオン染料の染着座席(カチオン染料と反応する反応基数)が十分ではないため、得られたポリエステル共重合体を用いて繊維とした際に、十分な染色性能が得られない傾向となり好ましくない。一方、当該スルホン酸塩基含有ジカルボン酸の共重合量が8.0モル%を越える場合、重縮合工程においてポリエステルの溶融粘度が高くなりすぎる傾向にあり、重合度を十分に上げることが困難となるため好ましくない。その結果、材料強度、例えば繊維としたときの糸強度等が低下する傾向となる。
本発明におけるスルホン酸塩基含有ジカルボン酸としては、ジカルボキシル基とスルホン酸塩基を分子内に共に有するモノマー成分であれば特に限定されるものではなく、例えば、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−カリウムスルホイソフタル酸、5−リチウムスルホイソフタル酸、ナトリウムスルホナフタレンジカルボン酸、ナトリウムスルホフェニルジカルボン酸、5−ナトリウムスルホテレフタル酸などのジカルボン酸及びそのエチレングリコールエステル等が挙げられる。このうち、特に、5−ナトリウムスルホイソフタル酸は、カチオン染料による発色性、溶融紡糸時の操業性及びコストの面から好ましく用いられる。
また、本願発明における共重合ポリエステルとしては、本願発明における本質的な効果を損なわない範囲であれば、他の共重合成分も含む事ができる。このような共重合成分の例としては、イソフタル酸、無水フタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸成分、1,3−プロピレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−ブタンジオール、ポリエチレングリコール等のグリコール成分、4−ヒドロキシ安息香酸、ε−カプロラクトン等のヒドロキシカルボン酸成分等が挙げられる。
本発明における重合触媒としては、アンチモン化合物を使用することが必要であり、中でも三酸化アンチモンが好ましい。当該重合触媒の添加量としては、特に制限はないが、通常の添加量の範囲であることが好ましい。
また、三酸化アンチモンは、優れた重縮合触媒性能を有し、かつ、安価であるなど大きな利点を有するものであるが、本発明においては、これと他の重縮合触媒とを併用することもできる。併用可能な重縮合触媒としては、二酸化ゲルマニウム等のゲルマニウム化合物、テトラブトキシチタネート等のチタン化合物、酢酸コバルト等のコバルト化合物、ジメチルスズマレエート等のスズ化合物、スルホサリチル酸等のスルホン酸化合物等が挙げられる。
本発明の共重合ポリエステルの製造方法において、出発原料を反応缶に投入する際から重縮合工程に至るまで、缶内の撹拌翼回転数を20〜50rpmとする必要がある。
一般に、本発明における成分組成の共重合ポリエステルを重合するにあたっては、例えば、反応缶内で溶融状態のPETオリゴマーに、脂肪族ジカルボン酸のエチレングリコールスラリーを添加し、エステル化反応と解重合反応を同時に行った後、スルホン酸塩基含有成分及び触媒等の添加剤を投入した後、重縮合を行うという工程・手法がとられる。
しかしながら、この手法では、出発原料投入の際に缶内の温度が一時的に下降するため、PETオリゴマーが一部析出することになる。この析出オリゴマーは、重縮合中においても溶融せず熱履歴を受け続けることによって、製造する共重合ポリエステルより融点の高い白色異物となることがある。すなわち、本願発明のような脂肪族成分を共重合させたポリエステルでは、製造時の熱劣化・熱分解を回避するため、重縮合反応時の缶内温度はPET重合の場合に比べ低く制御する必要があり、このため一旦生じた白色異物はその後の重縮合過程を経ても容易には再溶融しないため、反応系内に残存して高分子量化に寄与することはない。その結果、白色異物をある閾値以上に含んだポリエステルでは、ストランド状に払い出してチップ化する際に吐出口の閉塞を招いたり、該ポリエステルを紡糸する際に溶融ポリマーをろ過するフィルターが目詰まりし糸切れを引き起こしたり、染色斑を起こしたりするなど、種々のトラブルを引き起こすこととなる。
本願発明のポリエステル共重合体の製造方法は、上記のような共重合組成のポリエステルにあって、出発原料を反応缶に投入する際から重縮合工程に至るまで、缶内の撹拌翼回転数を20〜50rpmとすることによって、上記のような白色異物の発生を抑制でき、払い出し性、紡糸性、染色性のいずれにおいても良好な性能を有するポリエステル共重合体を製造することができることを見出したことによるものである。ここで、本発明における重縮合工程とは、エステル化及び/又は解重合の反応を伴う工程を経た後であって、所定の減圧下に至った後の重縮合反応を誘起させる工程をさす。
ここで、当該回転数が20rpm未満の場合、各成分を添加しながら下降する缶内温度を均一に維持することが困難となり、反応液中においてPETオリゴマーからなる白色異物が析出することと共に、反応液の撹拌効果が薄いため析出した白色異物の凝集を押さえる
機能も乏しくなる。一方、当該回転数が50rpmを超える場合、遠心力が大きいため反応液が缶内で飛散して反応液より上面の反応缶壁に固着するため、収率の低下を招いたり、高分子量化を阻害したりする原因となる。したがって、本願発明では、撹拌翼の回転数を上記範囲に制御することで、出発原料の投入で下降した反応缶内の温度を速やかに上昇させ、また析出したPETオリゴマーを撹拌熱と微細分散化により速やかに再融解させるができる。
本願発明における撹拌翼の形状としては、特に限定されるものではなく、ポリエステルの重合において通常に使用されている形状のもの、例えば、アンカー翼、ヘリカル翼、ダブルヘリカル翼等を適宜使用することができるし、これらが設置された反応缶を適宜選択して使用することができる。
また、本願発明の製造方法としては、重縮合中の缶内温度を250〜265℃とすることが必要であり、255℃〜260℃であることが好ましい。
一般に、芳香族ポリエステルに共重合された脂肪族ジカルボン酸成分は熱分解しやすく、共重合割合が増えたり、反応温度が上昇したりするのに伴い熱分解の頻度も上昇する。本願発明における共重合ポリエステルの組成においては、得られるポリエステルの溶融粘度と熱安定性とのバランスを保持するため、重縮合中の缶内温度としては、250〜265℃に制御することが必要となる。すなわち、当該温度が250℃未満の場合、反応速度が十分でないため、所定の重合度のポリマーを得ることができず繊維に加工することができなかったり、十分な高分子量体を得ようとして長時間の熱履歴を加えることで脂肪族成分の熱分解が助長されたりすることとなる。また、当該温度が265℃を超える場合、反応速度は上昇するものの、脂肪族成分の熱分解が加速されるため、得られるポリエステルは著しく黄褐色に着色したものとなる。
本発明の共重合ポリエステルの製造方法において、得られた共重合ポリエステルに含まれるPETオリゴマー由来の白色異物の含有量(n)としては、下記式(a)〜(d)を満たしたものであることが好ましい。

(a)L≧1mm、n=0
(b)0.5≦L<1mm、n≦5
(c)0.2≦L<0.5、n≦10
(d)L<0.2、n≦50
ただし、L:白色異物の長軸方向の長さ
n:ポリエステル樹脂1kg中の白色異物の個数

本願発明におけるPETオリゴマー由来の白色異物については、その形状が大きく、また個数が多い程、重合上がりのポリエステルをストランド状に払い出してチップ化する際に吐出口を塞いだり、該ポリエステルを紡糸する際し溶融ポリマーをろ過するフィルターの目詰まりを引き起こしたり、糸切れを生じたりする。
加えて、形状が小さいながらも所定の閾値を超えて含有される場合、得られたポリエステルからなる繊維を染色したとき、白色異物の部分は染色がされないため、布帛などでは不均一な染色斑が発生することになり品質に劣るものとなる。
本願発明のポリエステル共重合体の製造方法においては、ポリマー中に残存する白色異物については、長軸方向の長さが1mm未満であることが許容されるものであるが、個数(n)としては、ポリエステル樹脂1kgあたり、長軸方向の長さが0.5mm以上1mm未満の白色異物個数は5個以下、長軸方向の長さが0.2mm以上0.5mm未満の白色異物個数は10個以下、長軸方向の長さが0.2mm未満の白色異物個数は50個以下であることが好ましい。ここで、白色異物の形状としては、大半が非球状の立体形状を有するものであり、本願発明においては最も長い方向を長軸方向としている。
本願発明におけるPETオリゴマー由来の白色異物の含有量(n)が、重合上がりのポリエステルにおいて上記の(a)〜(d)の関係式を満たす範囲にある場合、紡糸工程においてフィルター目詰まりや紡糸切れを起こさず、より操業性よく生産することが可能となる。また布帛後の染色に際しても、より均質な染色が可能となる。
また、上記の白色異物の長軸方向の長さと含有量(n)との関係は、本願発明における共重合ポリエステルで規定される特定の組成にあって、紡糸温度や溶融粘度等との関係から、完全なる生成の抑制にまで至らなくとも、後の工程で除去可能な含有許容量として、見出されたものであり、本願発明における組成域、撹拌翼回転数、重縮中の缶内温度を適正に制御することで達成されるものとなる。
本願発明の共重合ポリエステルの製造方法としては、得られたポリエステルの物性並びに本願発明の主旨を損なわない範囲において、他の成分を含有したものであってもよい。例えば、ヒンダードフェノール化合物やリン化合物などの酸化防止剤、ジエチレングリコールの副生抑制のためにアルカリ金属化合物、二酸化チタンのような艶消し剤や顔料、蛍光剤、染料のような色調改良材等を含有させても差し支えない。
本願発明の方法で得られる共重合ポリエステルは常法によって製糸することができ、カチオン染料可染性の繊維とすることができる。
次に、本願発明の共重合ポリエステルの製造方法について、一例を用いて説明する。
まず、温度230〜250℃で窒素ガス制圧下、ビス−(β−ヒドロキシエチル)テレフタレートまたはその低重合体(以下、PETオリゴマーと略記する)の存在するエステル化反応槽に、グリコール成分/酸成分のモル比が1.1〜2.0のエチレングリコール(以下、EGと略記する)とテレフタル酸(以下、TPAと略記する)のスラリーを添加し、滞留時間7〜8時間でエステル化反応物を連続的に得る。
次に、このエステル化反応物(PETオリゴマー)を重合反応缶に移送し、アジピン酸をEG分散液の形で所定量添加し一定時間エステル化反応と解重合反応を行う(以下ランダム化と呼ぶ)。この際に缶内の撹拌翼回転数を20〜50rpmとする。これに、スルホン酸塩基含有成分を所定量添加し、触媒、酸化防止剤、ジエチレングリコール副生抑制剤、艶消し剤を添加する。その後重合反応缶の温度を250〜265℃に昇温し、0.01〜13.3hPaの減圧下にて、所定の極限粘度となるまで重縮合反応を行う。その後、ストランド状に払い出して、冷却、カットすることによりチップ化する。
次に、実施例を用いて本願発明を具体的に説明するが、これに限定されるものではない。実施例中の各種の特性値等の測定、評価方法は次の通りである。
(a)極限粘度〔η〕
フェノールと四塩化エタンとの等質量混合物を溶媒として、温度20℃の条件下で常法に基づき測定した。 本願発明では、〔η〕が0.50以上のものを合格とした。
(b)色調
日本電色工業社製ND−シグマ80型色差計を用いて測定した。色調の判定は、ハンターのLab表色計で行った。L値は明度(値が大きい程明るい)、a値は赤−緑系の色相(+は赤味、−は緑味)、b値は黄−青系の色相(+は黄味、−は青味)を表す。ポリエステルの色相としては、L値が大きい程、a値が0に近い程、また極端に小さくならない限りb値が小さい程良好である。
ここでは、L値が75.0以上、b値が7.0以下を合格とした。
(c)ポリマーの払い出し性
重縮合反応終了後、重合したポリマーをストランド状に払い出す際に、吐出口の閉塞が全くおこらず払い出されたものは○、吐出口に異物がつまり閉塞されたものは×とした。
(d)ポリマー中の白色異物量
ポリエステルチップ1kg中に含まれる白色異物を目視にて判別し、長軸方向が1mm以上の異物が0個、0.5mm以上1mm未満の異物が5個以下、0.2mm以上0.5mm未満の異物が10個以下、0.2mm未満の異物が50個以下であることを全て満たすものを合格とした。
(実施例1)
PETオリゴマーの存在するエステル化反応缶にTPAとEGとのモル比が1/1.6のスラリーを連続的に供給し、温度250℃、圧力0.1MPa、滞留時間8時間の条件で、エステル化反応を行い、反応率95%のPETオリゴマーを連続的に得た。
得られたPETオリゴマー1580kgを重縮合反応缶に移送し、続けて、アジピン酸(炭素数6、以下、ADと略記する)のEGスラリーを520kg添加し、常圧の条件で60分ランダム化を行った。この時に重縮合缶内の撹拌翼回転数を35rpmとした。
次に、艶消し剤として酸化チタンの濃度が34質量%に調製されたEGスラリー23kg、三酸化アンチモン、酢酸コバルト、トリエチルフォスファイト、酢酸リチウムを、ポリエステルを構成する酸成分1モルに対してそれぞれ3.0×10−4モル、1.3×10−4モル、6.2×10−4モル、14.6×10−4モルおよび5−ナトリウムスルホイソフタル酸のEGエステル(以下、SIPGと略記する)の濃度が35質量%に調製されたEG溶液113kg(全酸成分1モルに対して1.5モル%となる)をそれぞれ添加し、重縮合反応缶内の温度を30分間で260℃に昇温し、圧力を徐々に減じて60分後に1.2hPa以下とした。この条件で攪拌しながら、所定の極限粘度([η]=0.5以上)になるまで重縮合反応を行い、常法により払い出してチップ化した。白色異物の発生は少なく、ポリマー吐出口を塞ぐことはなかった。得られた共重合ポリエステルは極限粘度0.58、L値75.3、b値5.6であった。
実施例2〜7、比較例1〜7は、表1に示した条件以外は実施例1に準じた方法でポリエステルを製造した。結果を表1に示す。
(表1)

実施例1〜9ではいずれも重合性に問題はなく、色調も良好で、白色異物数も少なく良好であった。
比較例1ではランダム化時の撹拌翼回転数が少ないためにPETオリゴマー由来の白色異物が大量に発生したためにポリマー吐出口の閉塞を招いた。
比較例2では重縮合温度が高いためにチップが黄褐色になり、満足できる色調のものにはならなかった。
比較例3では重縮合温度が低いために、重合が十分に進まず、所定の極限粘度を有する共重合ポリエステルを得ることができなかった。
比較例4では脂肪族ジカルボン酸成分として炭素数が4であるコハク酸を用いたために、得られた共重合ポリエステルの色調が悪くなった。
比較例5では脂肪族ジカルボン酸成分として炭素数が12のドデカン二酸を使用したために、得られた共重合ポリエステルの色調が悪くなった。





Claims (3)

  1. エチレンテレフタレートオリゴマー、炭素数5〜10の脂肪族ジカルボン酸、及びスルホン酸塩基含有ジカルボン酸からなるポリエステルの製造方法であって、アンチモン化合物を重縮合触媒とし、出発原料を反応缶に投入する際から重縮合工程に移るまでの缶内の撹拌翼回転数を20〜50rpmとし、重縮合中の缶内温度を250〜265℃とすることを特徴とする共重合ポリエステルの製造方法。
  2. 前記共重合ポリエステルが、炭素数5〜10の脂肪族ジカルボン酸が全酸成分に対して0.5〜15モル%、スルホン酸塩基含有ジカルボン酸が全酸成分に対して0.5〜8.0モル%、共重合されたものであることを特徴とする請求項1記載の共重合ポリエステルの製造方法。
  3. 前記共重合ポリエステルに含有するエチレンテレフタレートオリゴマー由来の白色異物の含有量(n)が、下記式(a)〜(d)を満たしていることを特徴とする請求項1又は2記載の共重合ポリエステルの製造方法。

    (a)L≧1mm、n=0
    (b)0.5≦L<1mm、n≦5
    (c)0.2≦L<0.5、n≦10
    (d)L<0.2、n≦50
    ただし、L:白色異物の長軸方向の長さ
    n:ポリエステル樹脂1kg中の白色異物の個数






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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR101097172B1 (ko) * 2009-08-19 2011-12-21 이수영 지방족/방향족 코폴리에스테르 수지 및 이의 제조방법, 및 이를 포함하는 코팅 조성물

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