JP2009040696A - 新規アンジオテンシン変換酵素阻害ペプチド - Google Patents

新規アンジオテンシン変換酵素阻害ペプチド Download PDF

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Abstract

【課題】少量の摂取でACEを有効に阻害し、かつ副作用の心配が無く、高血圧者が日常生活の中で容易に経口摂取できる新規のACE阻害ペプチドおよび該ペプチドを含む組成物を提供すること。
【解決手段】下記の構造式(1)〜(2)で表されるペプチド、およびその塩を提供する。(1)Tyr−Thr、(2)Pro−Trp。
【選択図】図2

Description

本発明は、アンジオテンシン変換酵素を阻害することにより血圧降下の機能を発揮する新規のペプチドならびにこれらのペプチドを含有する組成物、およびその製造法に関する。
アンジオテンシン変換酵素(Angiotensin Converting Enzyme、以下ACEと略す)は、動物体内に存在するカルボキシペプチダーゼの一種であり、アンジオテンシンIのペプチド結合の一つを切断してアンジオテンシンIIを産生する。アンジオテンシンIIは強力な昇圧作用を有するペプチドホルモンであり、血管収縮やアルドステロン分泌促進などを通じて血圧上昇を引き起こす。したがって、ACE活性を阻害すればアンジオテンシンIIの産生を抑制することができ、高血圧症の治療が可能である。これまでにACE阻害物質としてカプトプリルなどの医薬品が実用化され、広く使用されている。しかしながら、これら医薬品は作用が強力であるために副作用の懸念があり、多くのACE阻害薬では空咳などの副作用に対する注意が必要とされている。
一方、ACEの基質であるアンジオテンシンIがペプチドであることから、天然物由来のペプチドによりACEを競合的に阻害し、副作用の無い高血圧治療剤を提供する研究が行われてきた(例えば、特許文献1〜5参照)。これらのペプチドはその作用が穏やかであることから、安全性が高いと期待される一方、有効量を摂取するためにはペプチドもしくはペプチドを含有する組成物を比較的大量に摂取しなければならないという問題がある。さらには、これらのペプチドの多くは全体の疎水性が高く、このようなペプチドは一般的に苦味が強いと言われており(例えば、特許文献6、非特許文献1〜2参照)、大量に経口摂取することが難しいという問題もある。
特開平4−091097号公報 特開平5−262790号公報 特開平6−040944号公報 特開平7−188282号公報 特開平10−175997号公報 特開2006−75064号公報 Wenyi Wang et al. Comprehensive Reviews in Food Science and Food Safety、2005、(4)、p.63−78. 藤巻正生ら著、「改定新版食品化学」、朝倉書店、1976年3月、p.117−118
本発明が解決しようとする課題は、少量の摂取でACEを有効に阻害し、かつ副作用の心配が無く、高血圧者が日常生活の中で容易に経口摂取できる新規のACE阻害ペプチドならびにこれらのペプチドを含む組成物、およびその製造法を提供することである。
本発明者等は、上記課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、これまでにACE阻害作用があることが知られていない化学構造(アミノ酸配列)を有し、その作用が極めて強いペプチドを見出し、本発明に至った。
すなわち本発明は、
1)下記の構造式(1)〜(2)で表される新規アンジオテンシン変換酵素阻害ペプチド、およびその塩。
(1)Tyr−Thr、(2)Pro−Trp
2)上記1)記載のペプチドの少なくとも1種を含有するアンジオテンシン変換酵素阻害剤。
3)上記1)記載のペプチドの少なくとも1種を含有し、高血圧の症状を緩和することを特徴とする組成物。
4)大豆を25℃以上で麹菌培養物とともに混合攪拌することを特徴とする、上記1)記載のペプチドの製造法。
を提供するものである。
本発明により、少量の摂取でACEを有効に阻害し、かつ副作用の心配が無く、高血圧者が日常生活の中で容易に経口摂取できる新規のACE阻害ペプチドならびにこれらのペプチドを含む組成物、およびその製造法が提供された。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のペプチド(1)Tyr−Thr、(2)Pro−Trpは、例えば、化学的に合成する方法で製造することができる。周知の方法として、例えば、アミノ末端側のアミノ酸のアミノ基をベンジルオキシカルボニル基で保護し、カルボキシル基をp−ニトロフェニルエステル基で活性化し、カルボキシル末端側のアミノ酸とトリエチルアミン存在下で縮合させた後、接触還元やトリフルオロ酢酸により保護基を除去する液相法と、ポリマー性の固相支持体にカルボキシル末端側のアミノ酸を結合し、アミノ基の保護とカルボキシル基の活性化を施したアミノ酸を順次ペプチド結合により結合した後、トリフルオロ酢酸やフッ化水素などを用いて固相支持体から切断し、アミノ酸側鎖の保護基を除去する固相法があるが、いずれの方法でも製造することができる。なお、ペプチド単体だけではなく、生理学的に許容されるイオンとの塩であっても、同様の効果が期待できる。
また、本発明のペプチドは、該アミノ酸配列を含むタンパク質を適当なプロテアーゼ剤によって加水分解した組成物からカラムクロマトグラフィー等を用いて分離精製することにより製造することもできる。この場合、該ペプチドを含有する組成物の形態で摂取しても目的の効果が得られる。前述の化学合成法と比べ、大量製造が容易であり、製造コストも少ないことから、より好ましい。
本発明のペプチドをタンパク質の加水分解により得る場合のタンパク質源としては、本発明の目的を達成できる限りいかなるものを用いても良いが、好ましくはマメ科植物を用いるのが良い。さらに好ましくは、栽培量が多く、価格が安く、タンパク質含量が多く、食経験が豊富で、分解後の組成物の呈味が良好という点から、大豆を用いるのが良い。大豆の種類としては、黄大豆、赤大豆、黒大豆などが挙げられるが、特に黄大豆が好ましい。大豆の態様としては、丸大豆(全脂大豆)、脱脂大豆、精製大豆タンパク質などを、そのままあるいは割砕、粉砕してから、適宜タンパク質変性処理を施し、用いることができる。タンパク質変性処理としては、工業的に広く行われている加圧蒸煮が好ましい。
本発明のペプチドをタンパク質の加水分解により得る場合のプロテアーゼ剤としては、本発明の目的を達成できる限りいかなるものを用いても良いが、プロテアーゼ活性が高く、価格が安く、食経験が豊富で、安全性が保証されており、分解後の組成物の呈味が良好という点から、麹菌培養物を用いるのが良い。麹菌としては、特にアスペルギルス・オリゼー及び/又はアスペルギルス・ソーヤが好適である。これらの微生物は醤油や味噌の醸造において古来よりタンパク質分解に利用されてきたばかりでなく、米国食品医薬品局(FDA)によって、GRAS(Generally Recognized As Safe)のリストに掲載され、安全性が認められている。麹菌培養物とは、大豆や小麦、米等を培地とし、麹菌を摂取して培養することにより得られるものである。その培養方法の違いにより、液体麹培養物と固体麹培養物に分類されるが、本発明においてはいずれも利用可能である。例えば、液体麹培養物は、大豆や小麦、小麦フスマ等を1〜5%含む液体培地に麹菌を接種し、25〜40℃で、24〜120時間培養して得ることができる。また、固体麹培養物は、大豆や小麦等を含む固体培地に麹菌を接種し、25〜40℃で、24〜120時間培養して得ることができる。
前記の加水分解反応の条件としては、麹菌培養物を終濃度10〜70%、好ましくは30〜50%、大豆を終濃度5〜40%、好ましくは15〜30%、食塩を終濃度0〜25%、好ましくは6〜18%、さらに水を終濃度0〜85%混合し、大豆と食塩の終濃度が前記の範囲になるように調製した後、25〜60℃、好ましくは30〜55℃で、攪拌速度10〜150rpm にて、12〜240時間、好ましくは24〜168時間反応させる。適宜香味向上のために、チゴサッカロマイセス属等の酵母を添加して、同時に発酵させることも可能である。
前記の製造法により調製した組成物は、本発明のペプチドを含有するにもかかわらず、従来知られているACE阻害ペプチド含有組成物とは著しく異なり、苦味がほとんど感じられず、まろやかで豊富な旨味・コクと、穏やかで優れた芳香を有し、食品としておいしく摂取できるものであった。
前記組成物から、本発明のペプチドを分離精製するための方法としては、限外濾過、透析、各種クロマトグラフィー等が挙げられる。これらは、一般に広く用いられている方法である。特に、サンプルの処理量と精製効率の点から、陽イオン交換クロマトグラフィーと逆相クロマトグラフィーが有効である。
このようにして得られた本発明のペプチドは、ACE阻害剤すなわち血圧上昇抑制/降下剤として、経口又は非経口投与により用いることができる。常法に従い、経口投与の場合には、錠剤、顆粒剤、粉末剤、カプセル剤などの形態とすることができ、非経口投与の場合には、注射薬製剤、経皮剤、坐剤などとすることができる。
また、高血圧予防及び/又は治療を目的とした飲食品(例えば、健康食品、健康志向食品、機能性食品、特定保健用食品等)に用いることができる。本発明のペプチドを各種飲食品に添加して製造することもできるが、前述の通りペプチドを含有する組成物の形態でも、その風味が良好であるがゆえに、各種飲食品に添加するのは容易である。さらには、組成物そのものを摂取することも容易である。このようにして得られる飲食品としては、例えば、しょうゆ、しょうゆ加工品、粉末しょうゆ、味噌、つゆ・スープ類、だし類、豆乳、発酵乳、清涼飲料、飲料濃縮原液および調整用粉末、酒類、油脂含有食品、麺類、水産加工食品、畜肉加工食品、半固形状食品、ペースト状食品、固形状食品等が挙げられる。
これらのペプチドの投与量は、予防あるいは治療目的・手段により異なるが、ペプチドとして一日当たり0.01mg〜100mgの範囲が好ましい。また、各種飲食品として摂取する場合には、IC50で表されるACE阻害活性が全体として1mg/ml以下になるのが好ましい。
以下、実施例に即して本発明を具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの記載によってなんら制限されるものではない。
<化学合成法によるペプチドの製造>
以下にTyr−Thrの製造を例示する。なお、特記以外の試薬は和光純薬製を使用した。まず、120mgの L−スレオニン塩酸塩を2mlのジメチルホルムアミドに溶解し、150μlのトリエチルアミンと300mgのZ−Tyr−Onp(国産化学製)を加え、室温で24時間攪拌した。次いで、20mlの1%アンモニア水を加え、−10℃で1時間放置して生じた析出物を濾取し、析出物を冷水で洗浄した。この析出物を20mlのメタノールに溶解し、20mgのパラジウム活性炭素を加え、窒素ガス封入後、接触還元反応を行った。反応は室温、大気圧下で振盪しながら水素ガスを接触させ、3日間行った。反応後、不溶物を濾過除去し、メタノールを溜去した後、蒸留水に溶解した。次いで、HPLC(島津製作所製LC−8A)に接続したODSカラム(ナカライテスク製Cosmosil 5C18−AR 20×250mm)により分取精製を行った。溶離液Aは超純水+0.1%トリフルオロ酢酸(TFA)、溶離液Bはアセトニトリル+0.1% TFAとし、常法に従いグラジエント溶出した。各フラクションを薄層クロマトグラフィー(TLC)で展開し、ニンヒドリン試薬でスポットが現れるフラクションから55mgのTyr−Thrを得た。この化学構造は、プロテインシークエンサー(アプライドバイオシステムズ製Procise 492)、及びNMR(ブルカー製AVANCE 500)、及びLC−MS(アジレントテクノロジーズ製1100、アプライドバイオシステムズ製QSTAR Elite、カラムは野村化学製Develosil RPAQUEOUS−AR)を用いて常法に従い確認した。
前記合成法により得られたペプチドのACE阻害活性を測定した。測定法としては、広く行われているCushmanらの方法を一部改変した方法で行った。すなわち、100μlの基質溶液(12.5mM Hippuryl−His−Leu(シグマ製)、100mMホウ酸バッファーpH8.3、1M NaCl)に140μlのサンプル溶液と10μlの酵素溶液(0.3U/ml ACE(ウサギ肺由来、シグマ製)、50mMホウ酸バッファーpH8.3)を加え、37℃で30分間反応した。次いで、250μlの1N塩酸を加えて反応を停止し、1.5mlの酢酸エチルを加えて攪拌し、遠心分離後、1mlの酢酸エチル層を遠心濃縮乾固し、1mlの超純水に溶解して、228nmの吸光度を測定した。ACE阻害率は、次式で表される。
ACE阻害率(%)={1−(ODs−ODsb)/(ODc−ODcb)}×100
なお、ODsは前記の通りサンプルに酵素溶液を加えて反応させたときの吸光度であり、ODsbは酵素溶液の代わりに超純水を加えたときの吸光度、ODcはサンプル溶液の代わりに超純水を加えたときの吸光度、ODcbは酵素溶液とサンプル溶液の代わりに超純水を加えたときの吸光度である。また、この反応系に対し50%の酵素活性阻害率を与えるサンプルの濃度をIC50値とする。
本発明のペプチドのACE阻害活性を表1に示す。なお、比較例として、既に報告されている、大豆をプロテアーゼで分解して得られたACE阻害ペプチドもあわせて示す。本発明のペプチドは、既知のペプチドと比較して充分に強い活性を有しているため、産業上有用と考えられる。
Figure 2009040696
<大豆を麹菌培養物で分解する方法によるペプチドの製造>
脱脂大豆2.0%、醤油油0.4%を含む20Lの液体培地に、麹菌アスペルギルス・オリゼーの胞子を添加して、30℃で72時間培養することにより麹菌培養物を得た。次に、脱脂大豆8.22kg、麹菌培養物15.1L、水13.1L、食塩3.1kg、酵母チゴサッカロマイセス・ルーキシーを1.5×10個/mlの割合で混合し、39℃、100rpmで48時間、さらに45℃、100rpmで72時間攪拌して諸味を得た。次いで、濾過圧搾機(薮田産業製PR66/40)を用いて諸味から不溶性固形分を除去し、清澄液を得た。さらに、HS殺菌機(日阪製作所製)を用いて117℃で5秒加熱することにより酵素失活と殺菌を行い、40℃で3日間静置した後、滓成分を含まない上清のみを20L採取した(組成物1)。
5Lの組成物1を電気透析により食塩約0%まで脱塩し、カラム容積18LのODSカラム(ダイソー製SP−120−40/60−ODS−B)にロードした。蒸留水72L、30%エタノール18L、99%エタノール27Lの順にステップワイズ溶出し、水溶出画分を2つの画分(溶出順にODS−A、ODS−B)、エタノール溶出画分を1つの画分(ODS−C)としてそれぞれエバポレーターで濃縮し、凍結乾燥を行った。
次に、ODS−B画分160gをカラム容積9LのODSカラム(ダイソー製SP−120−40/60−ODS−B)にロードした。溶離液Aは蒸留水+0.1%TFA、溶離液Bはアセトニトリル+0.1%TFAとした。グラジエント条件は、(A100%:200分間)→(B100%までグラジエント:960分間)とし、流速45ml/分、フラクションサイズ1200mlで分画した。各フラクションから100μlをサンプリングし、遠心濃縮乾燥後、500μlの水に溶解してACE阻害活性を測定したところ、ODS#24のフラクションに強い活性が見られた。このフラクションをエバポレーターで濃縮し、凍結乾燥を行った。
ODS#24のフラクション3gをカラム容積300mlの陽イオン交換カラム(東ソー製Toyopearl SP550C、H型)にロードした。溶離液Aは0.2%ギ酸、溶離液Bは1%ギ酸アンモニウムpH6.0、溶離液Cは1%アンモニア水とし、グラジエント条件は、(A100%:20分間)→(B100%までグラジエント:80分間)→(C100%までグラジエント:30分間)→(C100%:10分間)とし、流速20ml/分、フラクションサイズ80mlで分画した。前記と同様にACE阻害活性を測定し、活性の強いSP#18のフラクションを得た。このフラクションをエバポレーターで濃縮した。
SP#18のフラクション全量をODSカラム(ナカライテスク製Cosmosil 5C18−AR 20×250mm)にロードした。溶離液Aは超純水+0.1% TFA、溶離液Bは70%アセトニトリル+0.1% TFAとし、グラジエント条件は、(A100%:10分間)→(B30%までグラジエント:60分間)→(B100%までグラジエント:30分間)とし、流速5ml/分、フラクションサイズ8mlで分画した。前記と同様にACE阻害活性を測定し、活性の強いCS#6のフラクションを得た。このフラクションをエバポレーターで濃縮した。
CS#6のフラクション全量をC30カラム(野村化学製Develosil RPAQUEOUS−AR 20×250mm)にロードした。溶離液Aは超純水+0.1% TFA、溶離液Bは40%アセトニトリル+0.1% TFAとし、グラジエント条件は、(A100%:10分間)→(B30%までグラジエント:60分間)→(B100%までグラジエント:30分間)とし、流速5ml/分、フラクションサイズ6mlで分画した。そのクロマトグラムを図1に示す。ACE阻害活性を測定したところ、矢印で示したピークにのみ活性が見られた。このフラクションをエバポレーターで濃縮し、プロテインシークエンサー、NMR、LC−MSで構造解析したところ、Tyr−Thrであった。同様にして、ODS−C画分からPro−Trpを単離した。
前記のLC−MSを用いて組成物1に含まれる本発明のペプチドを定量した。まず、化学合成により得られたペプチドを標品として検量線を作成した。次いで、組成物1を電気透析により脱塩し、適宜希釈して分析を行い、各ペプチドに由来する検出されたイオン量から含有量を計算した。その結果を表2に示す。
Figure 2009040696
同様に、条件の異なる製造法で得られた組成物に含まれる、本発明のペプチドの含有量を表3に示す。比較例として、大豆の代わりに小麦、麹菌培養物の代わりに食品用プロテアーゼ剤(ノボザイムズ製アルカラーゼ2.4L−FG)を使用した。表3の結果から、原料としては大豆が優れ、酵素剤としては麹菌培養物が優れ、反応温度は25℃以上が優れることが判る。すなわち、大豆を麹菌培養物とともに25℃以上で混合攪拌することにより、本発明のペプチドを特に効率的に製造できる。
Figure 2009040696
<ラット混餌長期投与による降圧作用の検証>
5週齢の雄性食塩感受性高血圧ラット(Dahl−S)35匹を7匹づつ、以下の5群に分け30日間の混餌長期投与試験を行った。サンプルの食塩濃度は炎光分析法により分析し、飼料中の食塩濃度が各群間で同一になるように食塩を加えて調整した。試験期間中、飼料は自由摂取としたが、摂餌量は各群間でほぼ同じであった。
第1群(対照)(図中▲):減塩醤油(食塩濃度7%w/v)を飼料に対し25%v/w混合した飼料(飼料中食塩濃度3%w/w)。
第2群(組成物1)(図中●):減塩醤油に前記組成物1を20%v/v混合し、飼料に対し25%v/w混合した飼料(飼料中食塩濃度3%w/w、組成物1濃度1.5%w/w)。
第3群(組成物1からペプチドを除いた画分)(図中○):減塩醤油に前記ODS−A画分(組成物1をODSカラムで分画した、ペプチドをほとんど含まない画分)を混合し、飼料に対し25%v/w混合した飼料(飼料中食塩濃度3%w/w、ODS−A画分濃度1.3%w/w)。
第4群(組成物1のペプチド画分)(図中□):減塩醤油に前記ODS−B画分とODS−C画分(組成物1をODSカラムで分画した、ペプチドを多く含む画分)を重量比に応じて混合し、飼料に対し25%v/w混合した飼料(飼料中食塩濃度3%w/w、ODS−B・ODS−C画分合計濃度0.2%w/w)。
第5群(塩酸分解したペプチド画分)(図中■):ODS−B画分とODS−C画分を常法に従い塩酸分解することによりペプチドを完全に分解し、第4群と同様に混合した飼料(飼料中食塩濃度3%w/w、ODS−B・ODS−C画分合計濃度0.2%w/w)。
試験開始時から1週間毎に、非観血式血圧計MK−2000を用い収縮期血圧の測定を行った。これらの結果を図2に示す。なお、投与30日目の収縮期血圧値を用いて、Tukeyの多重比較検定により統計処理を行った。
図2の結果から、本発明のペプチドを含む組成物1は血圧上昇を有意に抑制した。さらに、ペプチドを含む画分に降圧作用が認められた一方で、ペプチドを分解したことにより降圧作用が失われたことから、組成物1の降圧作用はペプチドに由来するものであることが示唆された。
本発明で得られる新規アンジオテンシン変換酵素阻害ペプチドは、少量の摂取でACEを有効に阻害し、かつ副作用の心配が無く、高血圧者が日常生活の中で容易に経口摂取できる。また、該ペプチドを含み、風味に優れ、安全性が高く、食品としての摂取が容易な組成物の製造法を提起したことにより、高血圧者の生活の質の向上に大きく貢献することが可能となる。
組成物1からTyr−Thrを単離した際のUVピークを示す図である。 組成物1を高血圧ラットに長期投与した際の血圧値の変化を示す図である。

Claims (4)

  1. 下記の構造式(1)〜(2)で表される新規アンジオテンシン変換酵素阻害ペプチド、およびその塩。
    (1)Tyr−Thr、(2)Pro−Trp
  2. 請求項1記載のペプチドの少なくとも1種を含有するアンジオテンシン変換酵素阻害剤。
  3. 請求項1記載のペプチドの少なくとも1種を含有し、高血圧の症状を緩和することを特徴とする組成物。
  4. 大豆を25℃以上で麹菌培養物とともに混合攪拌することを特徴とする、請求項1記載のペプチドの製造法。
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