JP2009038154A - セラミック多層部品 - Google Patents

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尚人 佐藤
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Abstract

【課題】耐電圧特性に優れたセラミック多層部品を提供する。
【解決手段】ガラス及び無機フィラーを含有する絶縁体部110と、絶縁体部110内に配設された複数の電極層120と、を備えるセラミック多層部品100において、絶縁体部110は、電極層120に挟まれ且つ電極層120に挟まれた厚さが45μm以下である近接電極間絶縁体部130と、電極層に挟まれ且つ電極層に挟まれた厚さが45μmを超えるか又は電極層に挟まれていない非近接電極間絶縁体部と、を有し、近接電極間絶縁体部130に含まれたポア150は、長径Rが7.5μm以下であり、且つ短径rに対する長径Rの比(R/r)がR/r≦1.4であり、非近接電極間絶縁体部に含まれたポアは、短径rに対する長径Rの比(R/r)が1.0≦R/r<3.0である。
【選択図】図3

Description

本発明は、セラミック多層部品に関する。更に詳しくは、本発明は、耐電圧特性に優れたセラミック多層部品に関する。
従来、フィルタ等として通信分野等において広く利用されているセラミック多層部品は未焼成電極層と未焼成絶縁体層とが交互に積層された未焼成積層体が焼成されてなる。近年、このセラミック多層部品の高周波帯域での使用における誘電損失抑制の目的から、電極層としてAg及びCu等の低抵抗材料の使用が求められている。これらの材料は一般に低融点金属であり、これらの低融点金属と同時焼成できる低温焼結性の絶縁材料が必要となる。この絶縁材料としては、ガラスと無機フィラーとを含有するものが一般的である。
一方、セラミック多層部品には、小型化及び低背化が益々求められている。なかでも、低背化においては、電極間の高い絶縁性を確保しながら電極間距離をより小さくする技術が不可欠となる。しかし、絶縁材料に用いられるガラスは焼成過程でポアを生じる。電極間距離がこのポアの大きさに対して十分に厚い場合にはポアによる絶縁破壊の問題は生じないものの、電極間距離を小さくするにつれてポアによる絶縁破壊が問題となってきている。
このポアによる絶縁破壊の問題は、ポア自体の発生抑制及びポア径の抑制により解消されると考えられる。このための具体的な方法としては、製造過程で用いる原料粉末の粒径を制御する方法が知られている。
下記特許文献1には、用いる粉末全体の平均粒径を2.5μm以下に制御することで、ポアの最大径を絶縁体層厚さの30%以下の大きさに抑制でき、絶縁破壊電圧を大きくできることが開示されている。
下記特許文献2には、用いる粉末全体の10%粒度(D10)、平均粒径(D50)、90%粒度(D90)の各々の相関を所定の範囲に制御することで高強度な配線基板が得られることが開示されている。
下記特許文献3([0035]等)には平均粒径(D50)が0.1〜5μmのガラス粉末と、平均粒径(D50)が0.1〜5μmのフィラー粉末とを用いることで、得られる低温焼成磁器内に形成される気孔の最大径を10μm以下に抑えることができることが開示されている。
特開2004−228411号公報 特開2003−165765号公報 特開2004−231454号公報
上記特許文献ではいずれも用いる原料粉末を小さく制御することを基本としている。しかし、一般にガラス原料粉末の粒径を小さくすることは難しく且つ原料コストが非常に嵩むという問題がある。
即ち、上記特許文献1では、用いる粉末全体の平均粒径を2.5μm以下とすることは困難であり、且つ非常に高コストとなる。これに対して、得られる絶縁破壊電圧は25μmのセラミック層の厚さにおいて最大で23Vと十分ではない。また、上記特許文献2では、ガラス粉末の平均粒径を小さくすることは、上記特許文献1と同様に困難であり、また非常に高コストとなるという問題がある。更に、上記特許文献3では、上記相関を達したとしても、十分な耐電圧性が得られない場合がある。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、耐電圧特性に優れたセラミック多層部品を提供することを目的とする。
本発明者らは、セラミック多層部品の低背化過程における上記ポアによる絶縁破壊について鋭意検討を行った。この結果、電極層に挟まれた厚さが45μm以下の薄い絶縁体部においては特異的に耐電圧特性が低くなる傾向があることを知見した。また、この薄い絶縁体部は、厚さが45μmを超える絶縁体部と同じ材料構成であっても焼結は早く進み他部に比べて焼成が進んだ状態となり易いことを知見した。更に、この焼成が進んだ状態と考えられる部位においては、焼成過程で焼き締まって一度は小さくなったポアが再び大きく成長し始めることを知見した。これらの知見に基づき、これらの問題を解決することで本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は以下のとおりである。
(1)ガラス及び無機フィラーを含有する絶縁体部と、該絶縁体部内に配設された複数の電極層と、を備えるセラミック多層部品において、
上記絶縁体部は、上記電極層に挟まれ且つ該電極層に挟まれた厚さが45μm以下である近接電極間絶縁体部と、上記電極層に挟まれ且つ該電極層に挟まれた厚さが45μmを超えるか又は上記電極層に挟まれていない非近接電極間絶縁体部と、を有し、
上記近接電極間絶縁体部に含まれたポアは、長径Rが7.5μm以下であり、且つ短径rに対する長径Rの比(R/r)がR/r≦1.4であり、
上記非近接電極間絶縁体部に含まれたポアは、短径rに対する長径Rの比(R/r)が1.0≦R/r<3.0であることを特徴とするセラミック多層部品。
(2)上記近接電極間絶縁部及び上記非近接電極間絶縁体部は、共に、上記ガラスと上記無機フィラーとの合計を100体積%とした場合に、該ガラスの含有割合が40〜85体積%である上記(1)に記載のセラミック多層部品。
(3)上記近接電極間絶縁部を構成するガラスと、上記非近接電極間絶縁体部を構成するガラスと、は同種である上記(1)又は(2)に記載のセラミック多層部品。
(4)上記ガラスは、SiO−B−Al−CaO系ガラスである上記(3)に記載のセラミック多層部品。
(5)無機フィラーとしてアルミナ、コーディエライト及びムライトのうちの少なくとも1種を含有する上記非近接電極間絶縁体部と、
無機フィラーとしてチタニア、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム及びチタン酸バリウムのうちの少なくとも1種を含有する上記近接電極間絶縁体部と、を備える上記(1)乃至(4)のうちのいずれかに記載のセラミック多層部品。
(6)上記電極層は、Ag、Cu、Au、Pt及びPdのうちの少なくとも1種を含有する上記(1)乃至(5)のうちのいずれかに記載のセラミック多層部品。
本発明のセラミック多層部品によれば、優れた耐電圧特性が得られる。
ガラスと無機フィラーとの合計を100体積%とした場合に、ガラスの含有量が40〜85体積%である場合は、特に優れた耐電圧特性が得られる。また、ガラスの含有量が多いと焼結性が向上されるが故に焼成が不十分なことによるポアは生じ難くなるものの、過焼成され易くなるためにガラスの発泡によるポアが生じ易くなる。しかし、本発明ではこのような範囲においても形成されるポアの大きさ及び個数を抑制できる。
近接電極間絶縁体部と非近接電極間絶縁体部とのガラスが同種である場合は、反りが抑制されたセラミック多層部品とすることができる。
ガラスがSiO−B−Al−CaO系ガラスである場合は、上記効果に加え、より低温で焼成することができ、且つ無機フィラーとの反応を抑えることができるため、焼成温度を幅広く調整することができる。
以下、本発明を詳しく説明する。
[1]セラミック多層部品
(1)ガラス及び無機フィラーを含有する絶縁体部と、該絶縁体部内に配設された複数の電極層と、を備えるセラミック多層部品において、
上記絶縁体部は、上記電極層に挟まれ且つ該電極層に挟まれた厚さが45μm以下である近接電極間絶縁体部と、上記電極層に挟まれ且つ該電極層に挟まれた厚さが45μmを超えるか又は上記電極層に挟まれていない非近接電極間絶縁体部と、を有し、
上記近接電極間絶縁体部に含まれたポアは、長径Rが7.5μm以下であり、且つ短径rに対する長径Rの比(R/r)がR/r≦1.4であり、
上記非近接電極間絶縁体部に含まれたポアは、短径rに対する長径Rの比(R/r)が1.0≦R/r<3.0であることを特徴とするセラミック多層部品。
上記「電極層」は、絶縁体部内に配設された複数の導体層である。通常、本発明のセラミック多層部品は、焼成されて絶縁体部を構成することとなる未焼成絶縁体層と、焼成されて電極層となる未焼成電極層と、が交互に積層された未焼成セラミック多層部品を焼成して得られ、上記電極層は、仮想的に存在する絶縁体層(未焼成絶縁体層同士は焼成により一体化されて絶縁体部となるため各絶縁体層は仮想的な層ということができる)の層間に配設されることとなる。
電極層を構成する材料は導電性材料であればよく特に限定されないが、通常、金属が用いられる。この金属としては、Ag、Cu、Au、Pt、Pd、Al、Ni、Cr、W及びMoのうちの少なくとも1種の金属、並びに、これらのうちの2種以上の金属を含む合金、が挙げられる。これらのなかではAg、Cu、Au、Pt及びPdのうちの少なくとも1種を含有することが好ましく、特にこれらのうちの少なくとも1種(複数種の場合は合計)が電極層全体100質量%に対して96質量%以上(更には97.5質量%以上、100質量%であってもよい)含有されることが好ましい。この構成では本発明の効果をより得易い。なかでもAgが含まれることがとりわけ好ましい。Agを導電性材料として含有する場合には特に顕著に近接電極間絶縁体部における焼結促進現象が認められるために、本発明の構成とすることによる耐電圧性向上作用をとりわけ効果的に得ることができる。
この電極層の形状、大きさ及び厚さ等は特に限定されず、使用状況に応じて適当なものであることが好ましいが、例えば、キャパシタ電極、インダクタンス電極、共振器電極、アンテナ電極、接地(グランド、アース)電極等があげられる。また、電極層の厚さとしては、通常、5μm以上(より好ましくは10〜15μm)である。尚、これらの電極層以外にも、他の導体部として、各電極層同士を接続するスルーホール導体及び外表面接続導体等を備えることができる。
上記「絶縁体部」は、ガラス及び無機フィラーを含有する部位であり、上記電極層間を絶縁する部位である。この絶縁体部は、通常、未焼成絶縁体層が焼成により一体化されてなる。
上記「ガラス」は、絶縁体部を構成する成分である。このガラスの組成は特に限定されないが、例えば、Si並びにCa、Mg及びBa等のアルカリ土類金属元素などを含有するガラスが挙げられる。このガラスにはAlが含有されていてもよい。更に、Na及びK等のアルカリ金属元素が含有されていてもよい。また、このガラスはBを含有するガラス、Pbを含有するガラス等であってもよい。ガラスとしては、Si及びBを含有するホウケイ酸ガラスが好ましく、Si、B及びAlを含有するホウケイ酸ガラスがより好ましく、Si、B、Al及びCaを含有するホウケイ酸ガラスが特に好ましい。
このSi、B、Al及びCaを含有するホウケイ酸ガラスとしては、SiO−B−Al−CaO系ガラスが挙げられる。このSiO−B−Al−CaO系ガラスとしては、Si、B、Al及びCaの4種類の元素の酸化物のみからなるガラス、及びその他の酸化物を1種又は2種以上含有するガラスが挙げられる。上記その他の酸化物としては、Znの酸化物、及びCaを除くアルカリ土類金属元素(Mg、Ba及びSr)の酸化物が挙げられる。
このSiO−B−Al−CaO系ガラスにおける各元素の含有割合は特に限定されないが、少なくともSi、B、Al、Ca及びOを含有し、SiO、B、Al及びCaOの合計を100質量%とすると、SiがSiO換算で15〜50質量%(より好ましくは20〜35質量%)、BがB換算で1〜35質量%(より好ましくは15〜30質量%)、AlがAl換算で10〜35質量%(より好ましくは15〜30質量%)及びCaがCaO換算で5〜25質量%(より好ましくは10〜20質量%)であることが好ましい。
また、SiO−B−Al−CaO系ガラス全体を100質量%とした場合に、SiO、B、Al及びCaOの合計が75質量%以上(より好ましくは85質量%以上)であるガラスが好ましい。また、このガラスがその他の酸化物を含有するときは、その他の酸化物は、SiO、B、Al及びCaOの合計を100質量%とした場合に、酸化物換算(ZnO、MgO、BaO及びSrOなど)で5〜25質量%(より好ましくは10〜15質量%)であることが好ましい。
尚、上記ガラスのガラス転移点は特に限定されるものではないが、550〜700℃であることが好ましく、560〜670℃であることが特に好ましい。
SiO−B−Al−CaO系ガラスを用いた場合は、より低温で焼成することができるため、抵抗が低く且つ低融点の金属(Cu、Ag及びAu等)との同時焼成が容易であり、特に1000℃以下の低温で同時焼成できる。更に、SiO−B−Al−CaO系ガラスは、無機フィラーとしてCaTiO及びTiO等の比誘電率の高い無機フィラーと共に焼成してもガラスと無機フィラーとの反応が抑制される。このため焼成温度を幅広く調整することができる。
上記「無機フィラー」は、絶縁体部を構成する成分である。この無機フィラーの組成は特に限定されないが、通常、セラミックフィラーである。即ち、無機フィラーを構成する材料としては、アルミナ、コーディエライト、ムライト、チタニア、ジルコニア、ガーナイト、フォルステライト、ワラストナイト、アノーサイト、エンスタタイト、ジオプサイト、アーケルマナイト、ゲーレナイト、スピネル、及びチタン酸アルカリ金属塩(チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸ストロンチウム及びチタン酸バリウム等)等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらのうちのアルミナ、コーディエライト、ムライト、ジルコニア、ガーナイト、フォルステライト、ワラストナイト、アノーサイト、エンスタタイト、ジオプサイト、アーケルマナイト、ゲーレナイト及びスピネルは、通常、絶縁体部のうちの低誘電率部を構成する。なかでも、アルミナ、コーディエライト及びムライトが好ましい。これらは1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、チタン酸アルカリ金属塩及びチタニアは、通常、絶縁体部のうちの高誘電率部を構成する。なかでもチタン酸アルカリ金属塩が好ましく、更には、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム及びチタン酸バリウムがより好ましい。これらは1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
この絶縁体部に含有されるガラスの含有量及び無機フィラーの含有量は、特に限定されない。また、絶縁体部内の総ての部位においてガラスと無機フィラーとは共通であってもよく、絶縁体部を構成する各部毎に異なるガラス及び無機フィラーから構成されてもよい。通常、この絶縁体部は、ガラスと無機フィラーとの合計を100体積%とした場合に各々10〜90体積%の範囲で含有され、特にガラスが40〜85体積%である(即ち、無機フィラーの含有量は15〜60体積%である)ことが好ましい。この範囲では、優れた焼結性(反りを抑制しつつ1000℃以下の低温で焼結できる)が得られると共に、優れた耐電圧特性(特に250V以上の高電圧に対する耐久性)を両立して得ることができる。このガラスの含有量は41〜82体積%(無機フィラーの含有量は18〜59体積%)が好ましく、55〜80体積%(無機フィラーの含有量は20〜45体積%)がより好ましい。これらの範囲では上記特性において更に優れた効果を得ることができる。
この絶縁体部は、ガラス及び無機フィラー以外に他の成分を含有してもよいが、通常、絶縁体部全体100体積%に対してガラスと無機フィラーとを合計で95〜100体積%含有する。
上記絶縁体部(図2の110)は、電極層(図2の120)に挟まれ(電極層121と電極層122とに挟まれ)且つその電極層に挟まれた厚さ(即ち、電極間の距離)が45μm以下である近接電極間絶縁体部(図2の130)と、電極層(図2の120)に挟まれ(電極層121と電極層123とに挟まれ)且つその電極層に挟まれた厚さ(即ち、電極間の距離)が45μmを超えるか又は電極層間に挟まれていない非近接電極間絶縁体部(図2の140)と、を有する(図2参照)。
上記「近接電極間絶縁体部」は、上述のように絶縁体部のうち、電極層間に挟まれ且つ電極層に挟まれた厚さ(即ち、電極間の距離)が45μm以下(通常10μm以上)である部分である。そして、この近接電極間絶縁体部は、ポアを少なくとも1つ以上含む。また、近接電極間絶縁体部に含まれるポアは、長径Rが7.5μm以下であり、且つ短径rに対する長径Rの比(R/r)がR/r≦1.4(1≦R/r)である(図3参照)。即ち、R/rは1.4以下である(且つR/rは1.0以上)。このR/rは、1.0≦R/r≦1.3が好ましく、1.0≦R/r≦1.2がより好ましく、1.0≦R/r≦1.1が更に好ましい。
近接電極間絶縁体部において、「R≦7.5μm且つR/r≦1.4」である場合とは、焼成がなされたことによってポアが均質な球形状となったことに加えて、過焼成によるポア径の成長が抑制されていることを意味する。この特性を有することで、本発明のセラミック多層部品ではきわめて高い耐電圧性特性を得ることができる。
また、近接電極間絶縁体部の厚さは「45μm以下」である。電極層に接する絶縁体の電極層との接触面から絶縁体内部へ20μm程度までは、理由が定かではないものの、焼結性が特異的に向上される。更に、電極層に挟持されて、その厚さが45μm以下(更には40μm以下、特に35μm以下、より特に20μm以下、通常10μm以上)である絶縁体部(近接電極間絶縁体部)では、とりわけ焼結の進行が顕著である。そして、近接電極間絶縁体部で過度な焼成を生じると、焼成過程で収縮したポア径が逆に大きく成長され、近接電極間絶縁体部内に大きな空隙を形成し、絶縁厚さが設計よりも薄くなって耐電圧性が低下する場合がある。
尚、上記特異的な焼結性が向上される原因は下記に限定されるとは限らないが、以下2つ事項が要因となっていると考えられる。即ち、1つめは、未焼成電極層と焼成後に絶縁体部を構成する未焼成絶縁体層とを一体に焼成すると、未焼成電極層が先に焼成収縮し、その際の収縮挙動に追従した焼成収縮が近接電極間絶縁体部で生じていると考えられること、2つめは、電極層を構成する金属が焼成時に絶縁体部へ僅かに移動(マイグレーション)し、これにより絶縁体部の焼結性が向上されていると考えられること、である。
上記焼成過程におけるポアは、図4に示すような経過をたどっているものと考えられ、焼成初期は不定形な歪だ形状のポア(図4の151)であり、その後、焼成が進行するに従って球形に近づいたポア(図4の152)となり、更に焼成が進行されるとポア径が小さい球形のポア(図4の153)となる。しかし、そこから更に焼成が進行すると、ガラスの発泡により生じたポアの影響によりポアが成長し、小さな球形から大きな球形へと逆にポア径が大きいポア(図4の154)へと変遷するものと考えられる。
これらの新たな知見から、近接電極間絶縁体部と非近接電極間絶縁体部とが混在するセラミック多層部品で耐電圧性を得るには、厚さが45μm以下である近接電極間絶縁体部における過焼成を防止することで、ポアが「R≦7.5μm且つR/r≦1.4」となり、非常に高い耐電圧特性が得られることが分かった。
この電極層からの距離が20程度μmの範囲で焼結性が向上される現象は図5から具体的に分かる。即ち、一面側のみが電極層120に接している非近接電極間絶縁体部140の表面141から絶縁体部110内に向かって20μmの範囲(図5のS1)と、非近接電極間絶縁体部140の表面141から絶縁体部内に向かって20μmを超えて更に深部の範囲(図5のS2)と、を比べると、前者の範囲(部分)は後者の範囲(部分)に比べて、顕著に焼結性が向上されていることが、両者のポアの形状及び大きさを比較(図4参照)観察することで分かる。即ち、図5のS1の範囲にはポアがほぼ皆無(この拡大率において)であり、焼結がよく進んでいることが分かる。これに対して、図5のS2の範囲には未だ焼結が不十分であることによる不定型で歪な形状をしたポア151が残存されている。
この近接電極間絶縁体部130内においては、更に、最大長径が4μm以上であるポア150の数は積層方向におけるt×t四方の断面(図3参照)にt/5.5個以下(通常0.5個以上)であることが好ましい。即ち、例えば、積層方向に切断したセラミック多層部品の近接電極間絶縁体部130の断面において、近接電極間絶縁体部130の厚さtが25μmである場合に、この断面(近接電極間絶縁体部の断面)における任意の25μm×25μm四方の範囲に7.5μmを超えるポア150は認められず、且つ4μm以上のポアは認められたとしても4個以下とすることが好ましい{25μm×25μm四方の領域に一部のみ含まれるポア(図3のポア155)は最大長さが4μm以上である場合にのみ1つのポアとして換算し積算する}。この特性を備えることにより、ポアが連接することによって耐電圧性が低下することを抑制でき、とりわけ優れた耐電圧特性を発揮させることができる。
また、近接電極間絶縁体部は、非近接電極間絶縁体部と同じ絶縁体材料(ガラス及び無機フィラー)からなってもよいが、異なる絶縁体材料からなってもよい。異なる場合とは、例えば、近接電極間絶縁体部が、非近接電極間絶縁体部に比べてより高誘電率の絶縁体である場合が挙げられる。非近接電極間絶縁体部よりも高い誘電率を有する近接電極間絶縁体部は、非近接電極間絶縁体部に含有されるよりも高い誘電特性を有する無機フィラーを含有することで得ることができる。このような無機フィラーとしては、チタニア及びチタン酸アルカリ金属塩のうちの少なくとも1種が好ましく、特にチタン酸アルカリ金属塩が好ましく、とりわけチタン酸カルシウムが好ましい。
尚、通常、製造時の一枚の未焼成絶縁体層において高誘電率材料と低誘電率材料とが混在することはなく、得られる絶縁体部110内においても層状に高誘電率層と低誘電率層として存在することとなる。
更に、近接電極間絶縁体部では、ガラスと無機フィラーとの合計を100体積%とした場合に、ガラスは55〜80体積%とすることが特に好ましい。加えて、このガラスは、非近接電極間絶縁体部と同種であることが好ましく、特にSiO−B−Al−CaO系ガラスを用いることが好ましい。これにより、高誘電率部(近接電極間絶縁体部)と低誘電率部(非近接電極間絶縁体部)との焼成挙動を近似させつつ、無機フィラーとガラスの反応を抑制することができる。従って、高誘電率部と低誘電率部とを同時焼成しつつ、反り及びクラック等の発生が抑制されたセラミック多層部品を得ることができる。
尚、上記近接電極間絶縁体部の比誘電率と、非近接電極間絶縁体部の比誘電率と、の差は特に限定されないが、例えば、6.0以上とすることができる。
また、上記ガラスの種類が同種であるとは、ガラスを構成する各元素(酸素元素を除く)を含有量が多い順に、酸化物換算合計量85質量%まで並べた場合に、その元素種が共通していることを意味する。即ち、例えば、SiO−B−Al−CaO系ガラスにおいていえば、ガラスを構成するSi、B、Al及びCaの各元素を、各々SiO、B、Al及びCaOの酸化物に換算し、これら4種の含有量の積算が85質量%以上となるガラス同士は同種であることとなる。
尚、この近接電極間絶縁体部においては、この絶縁部に接する少なくとも一方の電極(更には両方の電極の各々)の厚さXと、近接電極間絶縁体部の厚さYと、の比X/Yが0.22〜0.75である場合に特に本発明による耐電圧向上効果を顕著に得ることができる。
上記「非近接電極間絶縁体部」は、上述のように絶縁体部のうち、電極層間に挟まれ且つ電極層に挟まれた厚さ(即ち、電極間の距離)が45μmを超える(通常120μm以下)か又は電極層間に挟まれていない部分である。そして、この非近接電極間絶縁体部は、ポアを少なくとも1つ以上含む。また、非近接電極間絶縁体部に含まれるポアは、短径rに対する長径Rの比(R/r)が1.0≦R/r<3.0である(図3参照)。即ち、R/rは1.0以上且つ3.0を越えない。このR/rは、1.0≦R/r≦2.5が好ましく、1.0≦R/r≦2.0が好ましい。
この非近接電極間絶縁体部は低誘電率部とすることができ、この場合、無機フィラーとしてはアルミナ、コーディエライト及びムライトのうちの少なくとも1種が好ましい。この低誘電率部では、ガラスと無機フィラーとの合計を100体積%とした場合に、ガラスは55〜80体積%とすることがより好ましい。
本発明のセラミック多層部品においては、近接電極間絶縁体部と非近接電極間絶縁体部とを含む絶縁体部、及び電極層を有すればよく、その他の構成については特に限定されない。また、各層の数も特に限定されないが、例えば、絶縁体部は一体化された絶縁体層10〜20層からなり、これらの絶縁体層の各層間に上記電極層を1層づつ、合計9〜19層を備えることができる。また、電極層は総ての絶縁体層間に挟まれていてもよく、一部の絶縁体層間にのみ挟まれていてもよい。
更に、このセラミック多層部品は、この積層構造を構成する電極層間に常時電圧が印加された状態で使用されるセラミック多層部品として用いることが好ましい。このようなセラミック多層部品においては、前記特性を備えることによる耐電圧向上効果が更に発揮され易い。このようなセラミック多層部品としては、積層型分波器、LCフィルタ(バンドパスフィルタ、ローパスフィルタ及びハイパスフィルタ)、アンテナ、バラン、カプラ、ダイプレクサ、及びデュプレクサ等が挙げられる。
本発明のセラミック多層部品によれば、実施例に後述する方法により測定される耐電圧特性を100V以上とすることができ、更には200V以上とすることができ、特に250V以上とすることができる。
本発明のセラミック多層部品の一例を、図1を用いて説明する。
図1は、本発明のセラミック多層部品100の一例を示す分解斜視図である。このセラミック多層部品100は、ローパスフィルタ(LPF)とハイパスフィルタ(HPF)の機能を一体的に備えるセラミック多層フィルタ(積層型分波器)である。
基板200〜270(これらの基板に設けられた各電極を含む。以下同様。)はLPFとして機能し、基板200〜220及び270〜330はHPFとして機能する。即ち、LPFとHPFとが上下に配置され、基板200〜220及び270はLPF及びHPFで共通して用いられる。また、各基板は電極層を介して未焼成段階で積層されたのち一体に焼成されてなる。
基板200は接地電極201を有し、接地電極201の裏面側に図示しないランド(実装用電極)を有する。基板220は接地電極221を有する。
基板230はインダクタ電極231を、基板240はインダクタ電極241を、基板250はインダクタ電極251を、基板310はインダクタ電極311を、基板320はインダクタ電極321及び322を、基板330はインダクタ電極331を、各々有する。
基板210はキャパシタ電極211及び212を、基板260はキャパシタ電極261を、基板270はキャパシタ電極271を、基板280はキャパシタ電極281及び282を、基板290はキャパシタ電極291を、基板300はキャパシタ電極301を、を各々有する。
更に、図1に示す基板間を繋ぐ線は各電極間の電気的な接続を示し、各々スルーホール導体(図示せず)を介して接続されている。
また、各基板に配設された電極のうち、接地電極201及び221と、キャパシタ電極301及び331と、は接地端子401と電気的に接続されている。キャパシタ電極271はアンテナ端子402と電気的に接続されている。キャパシタ電極211及び261と、インダクタ電極231と、は低周波側端子403と電気的に接続されている。キャパシタ電極212及び282と、インダクタ電極322と、は高周波端子404と電気的に接続されている。
接地端子401、アンテナ端子402、低周波側端子403及び高周波側端子404は、各々各基板に形成された6つの切欠き部を上下に繋ぐ外側電極(図示せず)であり、これらを介して基板200の裏面側に設けられたランド(図示せず)へ電気的に接続されている。
基板340は特段の導体層を有さず、主として基板330を保護する機能を有する。
この図1に例示するセラミック多層部品においては、各基板の焼結後の厚さは、基板200が80μm、基板210が25μm、基板220〜260が40μm、基板270〜300が25μm、基板310〜330が40μm、基板340が80μmである。従って、近接電極間絶縁体部としては、(1)接地電極201とキャパシタ電極211及び212とに挟まれた基板210の絶縁体部、(2)キャパシタ電極211及び212と接地電極221とに挟まれた基板220の絶縁体部、(3)接地電極221とインダクタ電極231とに挟まれた基板230の絶縁体部、(4)インダクタ電極231とインダクタ電極241とに挟まれた基板240の絶縁体部、(5)インダクタ電極241とインダクタ電極251とに挟まれた基板250の絶縁体部、等が挙げられる。
一方、非近接電極間絶縁体部としては、(6)接地電極201と接地電極221とに挟まれた基板210及び220の絶縁体部(キャパシタ電極211及び212を挟んでない部分)、(7)接地電極221とキャパシタ電極271とに挟まれた基板230、240、250、260及び270の絶縁体部(インダクタ電極231、241及び251とキャパシタ電極261とを挟んでない部分)、等が挙げられる。
本発明のセラミック多層部品における上記近接電極間絶縁体部及び上記非近接電極間絶縁体部のポア態様を得るには、焼成時の最高温度、最高温度における保持時間、降温速度、昇温速度の各焼成条件を幅広く振ったデータを取り、各条件における近接電極間絶縁体部及び非近接電極間絶縁体部のポアの状態を観察し、本ポア構成の関係となる条件を求めて製造される。
また、本セラミック多層部品の製造方法は特に限定されないが、例えば、焼成されて近接電極間絶縁体部又は焼成されて非近接電極間絶縁体部となる未焼成絶縁体層、及び、焼成されて電極層となる未焼成電極層、を前記本セラミック多層部品の構成となるように積層して未焼成セラミック多層部品を得(即ち、積層工程)、次いで、未焼成セラミック多層部品を焼成し(即ち、焼成工程)て、本発明のセラミック多層部品を得ることができる。
この際に、上記製造条件に加えて各原料粉末の粒径を制御するとすれば、ガラスの原料となるガラス粉末は、粒度分布における90%粒度(以下、単に「D90」という)を8μm以下とすることが好ましく、7.7μm以下とすることがより好ましく、6.1μm以下とすることが特に好ましい。しかし、通常使用できる方法(即ち、例えば、振動ミル、ボールミル及びジェットミル等)でD90を5.0μm以下にまで小さくすることは非常に困難である。従って、D90は5.5〜8μmとすることが好ましく、5.6〜7.7μmとすることができ、更には5.7〜6.1μmとすることができる。
上記D90に加えて、D10は2.5μm以下であることが好ましく、2.0μm以下であることがより好ましく、0.3〜1.7μmであることが特に好ましい。更に、上記D90及びD10に加えて、平均粒径(D50)は5.0μm以下であることが好ましく、4.5μm以下であることがより好ましく、3.3〜4.3μmであることが特に好ましい。
更に、ガラス粉末の各粒度の相関は、D10/D50が0.10〜0.45(より好ましくは0.13〜0.45、更に好ましくは0.13〜0.40、より更に好ましくは0.13〜0.30、特に好ましくは0.13〜0.17)であることが好ましい。また、D90/D50は1.8〜2.3であることが好ましい。
一方、無機フィラーの原料である無機フィラー粉末は、粒度分布におけるD90を4.5μm以下とすることが好ましく、4.0μm以下とすることがより好ましく、3.5μm以下とすることが特に好ましい。しかし、通常使用できる方法(即ち、例えば、振動ミル、ボールミル及びジェットミル等)でD90を1.5μm以下にまで小さくすることは非常に困難である。従って、D90は1.8〜4.5μmとすることが好ましく、1.9〜3.5μmとすることがより好ましい。
上記D90に加えて、D10は2.0μm以下であることが好ましく、1.5μm以下であることがより好ましく、0.1〜1.3μmであることが特に好ましい。更に、上記D90及びD10に加えて、平均粒径(D50)は3.0μm以下であることが好ましく、2.5μm以下であることがより好ましく、0.7〜2.0μmであることが特に好ましい。
更に、無機フィラー粉末の各粒度の相関は、D10/D50が0.05〜0.65であることが好ましい。また、D90/D50は1.5〜4.3であることが好ましい。
以下、本発明を実施例によって具体的に説明する。
[1]ガラス粉末の製造
各々の元素を酸化物換算した含有量が表1の値となるように、SiO粉末、HBO粉末、Al(OH)粉末、CaCO粉末及びZnO粉末をそれぞれ秤量し、播潰機により混合した。その後、混合物を3〜5時間加熱して溶融させ、次いで、水冷によって急冷して表1に示す2種類のガラス(ガラスa;ガラス転移点は623℃、ガラスb;ガラス転移点は631℃)を調製した。その後、各ガラスをボールミルにより粉砕してガラス粉末(D90が7.5μm、D50が3.9μm、D10が1.6μm)を得た。
尚、粒度分布は、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置(株式会社堀場製作所製、形式「LA−750」)により測定した値である。
Figure 2009038154
[2]無機フィラー粉末の調製
アルミナ粉末(純度99%以上)、及びチタン酸カルシウム粉末(純度97%以上)を各々、トロンメル粉砕機を用いて10〜15時間かけて2次粉砕してアルミナ粉末(D90が2.8μm、D50が1.7μm、D10が1.0μm)、チタン酸カルシウム粉末(D90が2.4μm、D50が1.4μm、D10が0.7μm)を得た。
[3]グリーンシートの作成
上記[1]で得られたガラス粉末と、上記[2]で得られたいずれか一方の無機フィラー粉末と、を体積割合で70:30となるようにボールミルで混合して混合粉末を得た。その後、この混合粉末に有機バインダ(アクリル樹脂)と可塑剤(ジブチルフタレート)と溶剤(トルエン)とを添加し、混練してスラリーを得た。次いで、得られたスラリーをシートに成形して下記3種類の未焼成シートF11〜F3を得た。
F11;焼成後厚さ25μm、ガラスa及びアルミナフィラーを含有
F12;焼成後厚さ40μm、ガラスa及びアルミナフィラーを含有
F13;焼成後厚さ80μm、ガラスa及びアルミナフィラーを含有
F21;焼成後厚さ25μm、ガラスb及びアルミナフィラーを含有
F22;焼成後厚さ40μm、ガラスb及びアルミナフィラーを含有
F23;焼成後厚さ80μm、ガラスb及びアルミナフィラーを含有
F3;焼成後厚さ25μm、ガラスb及びチタン酸カルシウムフィラーを含有
[4]セラミック多層部品の製造
上記[3]で得られた各未焼成シートF1〜F3の所定位置にAgペーストをスクリーン印刷により厚さ15μmで印刷した。その後、合計10層が下記の積層構成(表2における「積層構成」A、B及びC)となるように積層して未焼成セラミック多層部品を得た。
A;4層の未焼成シートF13、3層の未焼成シートF11、3層の未焼成シートF1 2、をこの順で積層した構成
B;4層の未焼成シートF23、3層の未焼成シートF21、3層の未焼成シートF2 2、をこの順で積層した構成
C;4層の未焼成シートF23、3層の未焼成シートF3、3層の未焼成シートF22 、をこの順で積層した構成
得られた未焼成セラミック多層部品を、温度760〜900℃(実験例1、10及び18;760℃、実験例2、11及び19;780℃、実験例4、12及び20;800℃、実験例5、13及び21;820℃、実験例6、14及び22;840℃、実験例7、15及び23;860℃、実験例8、16及び24;880℃、実験例9、17及び25;900℃、実験例3;790℃)で焼成し、25種のセラミック多層部品(実験例1〜25)を得た。
[5]耐電圧特性の評価
上記[4]で得られた実験例1〜25のセラミック多層部品の各々1万個について、絶縁破壊測定装置(東亜ディーケーケー株式会社製、形式「SM−8215」)を用い、得られたセラミック多層部品の信号端子とグランド端子との間に250Vの電圧を印加し、この際のコンデンサパターンとグランドパターン間の電流リークの有無を確認した。上記試験個数1万個のうちに1つでも電流リークを生じた実験例には表2に「×」と示し、上記試験個数1万個のうちに電流リークを生じたものが皆無であった実験例には表2に「○」と示した。
Figure 2009038154
尚、表中の「*」は本発明の範囲外であることを示す。
[6]断面におけるポアの評価
上記[4]で得られた各セラミック多層部品を、近接電極間絶縁体部及び非近接電極間絶縁体部が含まれる各層の積層方向に対して切断し、その後、この断面を研磨し、電子顕微鏡により500倍に拡大し、その表面をデジタル撮影し、得られた画像内に認められるポアの形状及び大きさ(R/r及びRの測定)についての観察を行った。
これらの結果を表2に併記した。更に、この測定に用いた、実験例4(実施例)及び実験例8(比較例)の切断断面を電子顕微鏡により500倍に拡大して得られた画像による説明図を図5(実験例4)及び図6(実験例8)に示した(図5及び図6内のスケールは全長が50μmに相当している)。
[7]実験例の効果
表2の結果から、A〜Cのいずれの積層構成においても、近接電極間絶縁体部内のポアがR≦7.5μm且つR/r≦1.4であり、且つ、非近接電極間絶縁体部内のポアが1.0≦R/r<3.0であるセラミック多層部品では、250V以上の極めて高い耐電圧特性が得られていることが分かる。
更に、図5(実施例;実験例4)と図6(比較例;実験例8)とを比較すると、図5では、S2の範囲に不定型で歪んだ形状のポア151が残存されているものの、S1の範囲にポアが皆無であり、近接電極間絶縁体部130にはポアがほとんど認められず、また、認められるポアも大きさが小さいことが分かる。これに対して、図6では、図5のS1に対応する範囲と図5のS2に対応する範囲との区別は認められず、両範囲で良好に燒結が進み、極小さなポアしか認められないことが分かる。しかし、近接電極間絶縁体部130には非常に大きなポア154が認められる。
これらのことから、非近接電極間絶縁体部内のポアを1.0≦R/r<3.0とすることで、近接電極間絶縁体部内のポアがR≦7.5μm且つR/r≦1.4となり、結果として、セラミック多層部品に250V以上となる極めて高い耐電圧特性が付与されているものと考えられる。
本発明は電子機器分野において広く利用される。即ち、例えば、積層型分波器、LCフィルタ(バンドパスフィルタ、ローパスフィルタ及びハイパスフィルタなど)、アンテナ、バラン、カプラ、ダイプレクサ、デュプレクサ、電子部品が実装される配線基板、セラミックパッケージ等が挙げられ、更には、これらのうちの2種以上を組み合わせた複合素子が挙げられる。これらのなかでも、特に通信器機分野において好適である。即ち、積層型分波器、LCフィルタ(バンドパスフィルタ、ローパスフィルタ及びハイパスフィルタなど)、アンテナ、バラン、カプラ、ダイプレクサ及びデュプレクサ等に好適である。
本発明のセラミック多層部品の一例であるセラミック多層フィルタの分解斜視図である。 本発明のセラミック多層部品における各部を説明する説明図である。 焼成におけるポアの形状及び大きさの変化を模式的に示す説明図である。 絶縁体部に含まれるポアについて説明する説明図である。 実験例(実験例4)のセラミック多層部品の断面を500倍に拡大して得られた画像による説明図である。 実験例(実験例8)のセラミック多層部品の断面を500倍に拡大して得られた画像による説明図である。
符号の説明
100;セラミック多層フィルタ(セラミック多層部品)、
110;絶縁体部、
120、121、122及び123;電極層、
130;近接電極間絶縁体部、
140;非近接電極間絶縁体部、
150、151、152、153、154及び155;ポア、
200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330及び340;基板(絶縁体層)、
201及び221;接地電極、
211、212、261、271、281、282、291及び301;キャパシタ電極、
231、241、251、311、321、322及び331;インダクタ電極、
401;接地端子、
402;アンテナ端子、
403;低周波数側端子、
404;高周波数側端子。

Claims (6)

  1. ガラス及び無機フィラーを含有する絶縁体部と、該絶縁体部内に配設された複数の電極層と、を備えるセラミック多層部品において、
    上記絶縁体部は、上記電極層に挟まれ且つ該電極層に挟まれた厚さが45μm以下である近接電極間絶縁体部と、上記電極層に挟まれ且つ該電極層に挟まれた厚さが45μmを超えるか又は上記電極層に挟まれていない非近接電極間絶縁体部と、を有し、
    上記近接電極間絶縁体部に含まれたポアは、長径Rが7.5μm以下であり、且つ短径rに対する長径Rの比(R/r)がR/r≦1.4であり、
    上記非近接電極間絶縁体部に含まれたポアは、短径rに対する長径Rの比(R/r)が1.0≦R/r<3.0であることを特徴とするセラミック多層部品。
  2. 上記近接電極間絶縁部及び上記非近接電極間絶縁体部は、共に、上記ガラスと上記無機フィラーとの合計を100体積%とした場合に、該ガラスの含有割合が40〜85体積%である請求項1に記載のセラミック多層部品。
  3. 上記近接電極間絶縁部を構成するガラスと、上記非近接電極間絶縁体部を構成するガラスと、は同種である請求項1又は2に記載のセラミック多層部品。
  4. 上記ガラスは、SiO−B−Al−CaO系ガラスである請求項3に記載のセラミック多層部品。
  5. 無機フィラーとしてアルミナ、コーディエライト及びムライトのうちの少なくとも1種を含有する上記非近接電極間絶縁体部と、
    無機フィラーとしてチタニア、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム及びチタン酸バリウムのうちの少なくとも1種を含有する上記近接電極間絶縁体部と、を備える請求項1乃至4のうちのいずれかに記載のセラミック多層部品。
  6. 上記電極層は、Ag、Cu、Au、Pt及びPdのうちの少なくとも1種を含有する請求項1乃至5のうちのいずれかに記載のセラミック多層部品。
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